(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
第1の基材と、第2の基材と、前記第1の基材の前記第2の基材側の面に設けられた印刷層と、前記印刷層と前記第2の基材との間に配置され、前記第1の基材と前記第2の基材とを接着する接着層とを含み、前記印刷層はウレタン樹脂(A1)と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)とを含む印刷インキ組成物(A)で形成されており、前記接着層は数平均分子量が2300以下のポリオール(B1)とイソシアネート化合物(B2)とを含む2液型ポリウレタン系接着剤(B)を塗布して形成されている積層体、及び積層体の製造方法。
前記ポリオール(B1)の主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタン構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
前記ポリオール(B1)が、芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分との重縮合体であるポリエステルポリオール(B1−1)である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
≪積層体≫
本発明の積層体は、第1の基材と、第2の基材と、第1の基材の第2の基材側の面に設けられた印刷層と、印刷層と第2の基材との間に配置され、第1の基材(印刷層)と第2の基材とを接着する接着層とを少なくとも含む。第1の基材、第2の基材に加えてさらに他の基材を含む積層体としてもよい。接着層は数平均分子量が2300以下のポリオール(B1)とイソシアネート化合物(B2)とを含む2液型ポリウレタン系接着剤(B)を塗布、硬化させて形成されたものであり、印刷層はウレタン樹脂(A1)と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)とをバインダーとして含む印刷インキ組成物(A)を用いて印刷されたものである。接着剤に用いるポリオール(B1)の数平均分子量が2300以下であると、印刷層を再溶解させてしまい、積層体が外観不良となりやすい。本発明ではこのような印刷インキ組成物(A)を用いて印刷層を形成することにより、印刷層の再溶解が抑制され、外観不良がない積層体とすることができる。以下、本発明の積層体について説明する。
【0012】
<基材>
本発明の積層体の第1基材として用いることができるものとしては、少なくとも一部が透明であり、後述する印刷層が設けられる反対側の面から印刷層を視認できるようなものであれば特に制限はない。第2の基材として用いることができるものは透明であっても不透明であってもよい。第1の基材、第2の基材を含む基材の材料は同種であっても異種であってもよく、用途に応じて適宜選択することができる。
【0013】
例えば、本発明の積層体を食品包装用フィルムとして用いる場合、基材として用いることができるフィルムとしては、PETフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)、ポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理を施されたものであってもよい。延伸処理方法としては、押出製膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことが一版的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的には、ロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
【0014】
あるいは、アルミニウム等の金属、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルム、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムを基材として用いてもよい。このようなフィルムを用いることで、水蒸気、酸素、アルコール、不活性ガス、揮発性有機物(香り)等に対するバリア性を備えた積層体とすることができる。
【0015】
フィルム表面には、膜切れやはじき等の欠陥のない印刷層、接着層が形成されるように、必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理等の各種表面処理を施してもよい。
【0016】
本発明の積層体に用いられる第1の基材、第2の基材、その他基材の組み合わせの一例としては、
第1の基材としてPET、OPP、ポリアミドから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用し、第2の基材として無延伸ポリプロピレン(以下CPPと略す)、低密度ポリエチレンフィルム(以下LLDPEと略す)から選ばれる熱可塑性樹脂フィルムを使用する2層からなる複合フィルム;
第1の基材としてPET、ポリアミド、OPPから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用して最外層とし、第2の基材としてOPP、PET、ポリアミドから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用して中間層とし、さらに第3の基材としてCPP、LLDPEから選熱可塑性樹脂フィルムを使用して最内層とする3層からなる複合フィルム;
第1の基材としてOPP、PET、ポリアミドから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用して最外層とし、第2の基材としてPET、ナイロンから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用して第1中間層とし、第3の基材としてPET、ポリアミドから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用して第2中間層とし、第4の基材としてLLDPE、CPPから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用して最内層とする4層からなる複合フィルム等が挙げられる。
【0017】
<印刷層>
印刷層は、印刷インキ組成物(A)を用いて第1の基材上の全面または一部に印刷される文字、絵柄等であり、グラビア印刷、フレキソ印刷等の既知の印刷方式により形成される。本発明の積層体において、印刷層の形成に用いられる印刷インキ組成物(A)は、ウレタン樹脂(A1)と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)とをバインダーとして含む。これにより、ガスバリア性を有する2液型ポリウレタン系接着剤(B)を使用しても所望のガスバリア性を得ることができる。まず、印刷層の形成に用いられる印刷インキ組成物(A)について詳述する。
【0018】
(着色剤)
本発明で使用する着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料等を用いることができ特に制限はない。
有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系等が挙げられる。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、ベンガラ、アルミニウム、マイカ(雲母)などが挙げられる。また、ガラスフレークまたは塊状フレークを母材とした上に金属、もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料(メタシャイン;日本板硝子株式会社)等が挙げられる。
【0019】
前記着色剤の含有量は、印刷インキ組成物(A)の濃度、着色力を確保するのに十分な量が含まれていればよいが、一例として印刷インキ組成物(A)の総重量の1質量%以上50質量%以下である。着色剤は、単独または2種以上を併用して用いることができる。
【0020】
(バインダー)
本発明で使用する印刷インキ組成物(A)に用いられるバインダーは、ウレタン樹脂(A1)と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)とを含む。バインダーとしてこのような樹脂を併用することで、ガスバリア性を有する2液型ポリウレタン系接着剤(B)を使用しても所望のガスバリア性を維持することができる。
【0021】
本発明で使用するウレタン樹脂(A1)は、活性水素含有官能基、例えばヒドロキシル基、一級または二級のアミノ基等を含有することが好ましい。
このようなウレタン樹脂(A1)は、例えば、ポリオールとイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させて末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られたプレポリマーを適当な溶剤中、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤;メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法や、ポリオール、イソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤をのうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により得ることができる。
【0022】
ウレタン樹脂(A1)の合成に用いられるポリオールとしては、ウレタン樹脂(A1)の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4)、前記低分子ポリオール類(2)と、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、あるいはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸またはそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
【0023】
ウレタン樹脂(A1)の合成に用いられるイソシアネート化合物としては、ウレタン樹脂(A1)の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体的には、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が例示される。これらのジイソシアネート化合物は単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
ウレタン樹脂(A1)の合成に用いられる鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミンなどの他、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
ウレタン樹脂(A1)の合成に用いられる反応停止を目的として用いられる末端封鎖剤としては、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類など、一価の活性水素化合物が挙げられる。更に、特にウレタン樹脂(A1)にカルボキシル基を導入したい場合には、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
このようにして得られるウレタン樹脂(A1)の重量平均分子量は、15,000以上100,000以下とすることが好ましい。重量平均分子量を15,000以上とすることで、印刷層の耐ブロッキング性、皮膜強度、耐油性を良好に保つことができる。また、100,000以下とすることで、印刷インキ組成物(A)の粘度上昇を抑制し、印刷皮膜の光沢を確保することができる。
このようなウレタン樹脂(A1)の含有量は、第1の基材と印刷層との接着性を良好なものとするため印刷インキ組成物(A)の総重量の4質量%以上とすることが好ましい。また、印刷インキ組成物(A)の粘度上昇を抑制するため25質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは6質量%以上15質量%以下である。
【0027】
本発明で使用する塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)は、塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマー、ビニルアルコールを適当な割合で共重合して得ることができる。あるいは塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することによって得ることができる。
【0028】
接着性、耐ブロッキング性、ラミネート強度、ボイルレトルト適性、印刷適性を満足するため、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)100重量部に対して塩化ビニル由来の構造の割合が80重量部以上95重量部以下となるように、合成に用いるモノマーの割合を調整することが好ましい。80重量部未満だと印刷層の強度、耐ブロッキング性が低下する。95重量部を超えると印刷層が硬くなりすぎ、第1の基材と印刷層との接着性が低下する。
また塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)の水酸基価は、50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0029】
このような塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)の含有量は、バインダー全量の0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
【0030】
本発明で使用する印刷インキ組成物(A)は、前記ウレタン樹脂(A1)や塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)に加えて、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを併用してもよい。中でも、後述するイソシアネート硬化剤を併用した場合は、併用後の混合物の安定性が向上し粘度が安定することから、スチレン無水マレイン酸樹脂を併用することが好ましい。これらの併用樹脂は、単独または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、印刷インキ組成物(A)の総重量に対して1質量%以上25質量%以下が好ましく、2質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0031】
(溶剤)
本発明で使用する印刷インキ組成物(A)は通常溶剤を含む。溶剤としては一般的な有機溶剤を主に使用することができる。一例として、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤が挙げられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。作業環境の観点から、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤の使用は極力避けることが好ましい。
また、印刷インキ組成物(A)中に10質量%未満の水を含ませてもよい。水は前記有機溶剤に添加して用いてもよいし、別途添加してもよい。
【0032】
(イソシアネート硬化剤)
本発明の積層体では、上述の印刷インキ組成物(A)にイソシアネート硬化剤を併用して印刷層を形成することで、後述する2液型ポリウレタン系接着剤(B)を用いて印刷層上に接着層を設けた場合に生じうる印刷層の再溶解を抑制することができ好ましい。(なお、上述の印刷インキ組成物(A)にイソシアネート硬化剤を併用して使用する形態を、2液型の印刷インキ組成物と称する場合がある)
後述の2液型ポリウレタン系接着剤(B)は数平均分子量が2300以下のポリオール(B1)が必須成分であるが、これが印刷層の再溶解を誘発することがある。本発明の積層体は印刷インキ層がウレタン樹脂(A1)と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)とを含んでおり再溶解性が生じてもある程度のガスバリア性を維持することができるが、前記印刷インキ組成物(A)にイソシアネート硬化剤を併用して印刷層を形成すると、印刷層の再溶解を抑制することができ、よりガスバリア性に優れ且つ外観不良のない積層体とすることができる。
【0033】
本発明で使用するイソシアネート硬化剤は、イソシアネートを溶剤で希釈したものを用いる。
前記イソシアネート硬化剤に使用するイソシアネートとしては脂肪族、芳香族のイソシアネートを使用することができ、低分子化合物、高分子化合物のいずれであってもよい。このようなイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、これらのイソシアネートの三量体を好ましく使用でき、中でもジイソシアネートのアダクト体やビウレット体又はヌレート体であることが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートのアダクト体、ビウレット体又はヌレート体が特に好ましい。硬化剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0034】
前記イソシアネート硬化剤に使用する溶剤としては、一例として、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。酢酸エチルやメチルエチルケトンが好適に用いられる。
【0035】
前記イソシアネート硬化剤は、前記印刷インキ組成物(A)の全重量に対して硬化剤に含まれるイソシアネートの量が0.4質量%以上9.5質量%以下となるよう添加して用いることが好ましく、1.0質量%以上4.0質量%以下となるよう添加することが好ましい。0.4質量%未満であると、印刷層の再溶解を抑制する効果が薄くなり、9.5質量%を超えると印刷を施した基材フィルムを巻き取る際にブロッキングが発生し易く、また印刷層(印刷インキ皮膜)が硬くなりすぎ成形加工時にクラックが発生するおそれがある。
【0036】
(添加剤)
前記印刷インキ組成物(A)には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、分散剤、沈降防止剤等を用いることができる。分散剤や沈降防止剤の含有量は、印刷インキ組成物(A)の総重量の0.05質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0037】
(印刷層)
本発明における印刷層は、前記印刷インキ組成物(A)を用いて第1の基材上に形成される。印刷インキ組成物(A)の塗工方法は特に限定されず、グラビアコート法、フレキソコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法等の一般的な方法により塗布することができる。これを放置するか、必要により送風、加熱、減圧乾燥することにより印刷層を形成することができる。
印刷インキ組成物(A)の粘度は塗工方法に応じて調整すればよいが、一例として、10mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましい。印刷インキ組成物(A)の粘度はB型粘度計を用い、25℃において測定した値である。印刷インキ組成物(A)の粘度は、着色剤、バインダー、溶剤等の材料の種類や量により適宜調整することができる。また、着色剤として用いる顔料の粒度および粒度分布によっても調整することができる。
【0038】
<接着層>
本発明における接着層は、前記印刷層上に、数平均分子量が2300以下のポリオール(B1)と、イソシアネート化合物(B2)とを含む2液型ポリウレタン系接着剤(B)を塗布して設けられ、第1の基材と第2の基材を貼り合せた後、硬化した層である。接着層によって第1の基材(印刷層)と第2の基材とが貼り合わされる。以下、接着層の形成に用いられる2液型ポリウレタン系接着剤(B)について詳述する。
【0039】
(ポリオール(B1))
接着層の形成に設けられるポリオール(B1)としては、数平均分子量が2300以下であり、イソシアネート化合物(B2)と反応して所望の接着力を発現させうるものであれば特に限定されない。主骨格としてポリエステル構造、ポリエステルポリウレタン構造、ポリエーテル構造、ポリエーテルポリウレタン構造を有し、末端に2以上のヒドロキシル基を備える樹脂が好ましく用いられる。
【0040】
ポリオール(B1)は直鎖型であっても分岐型であってもよく、これらの混合物であってもよいが、分岐型ポリオールは直鎖型ポリオールよりも印刷層を再溶解させにくいことから、分岐型ポリオールか、分岐型ポリオールと直鎖型ポリオールの混合物を用いることがより好ましい。
【0041】
このようなポリオール(B1)は、2価または3価以上の多価アルコール、多価カルボン酸、多価イソシアネート等を縮重合して得られる。
ポリオール(B1)の合成に用いられる2価アルコールとしては、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール;
1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;
1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−(ジ)ヒドロキシナフタレン等の芳香族ジオール;等が挙げられる。
【0042】
ポリオール(B1)の合成に用いられる3価以上の多価アルコールとしては、
グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、トリグリセリン、トリペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール;
シクロヘキサントリオール等の脂環族多価アルコール;
キシロース、アラビノース、リブロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、エリトリット、トレイット、アラビット、リビット、キシリット、ソルビット、マンニット、シュクロース等の糖類;等が挙げられる。
【0043】
ポリオール(B1)の合成に用いられる2価カルボン酸としては、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;
無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和結合含有ジカルボン酸;
1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;
オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸およびこれらの無水物等の芳香族ジカルボン酸;等が挙げられる。
【0044】
ポリオール(B1)の合成に用いられる3官能以上の多価カルボン酸としては、
1,2,3−プロパントリカルボン酸、メソ−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;
シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸及びこれらの酸無水物等の脂環族多価カルボン酸;
ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタリンテトラカルボン酸及びこれらの無水物等の芳香族多価カルボン酸;等が挙げられる。
【0045】
ポリオール(B1)の合成に用いられる2価イソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリオール(B1)の合成に用いられる3価以上の多価イソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物の過剰量と、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、トリエタノールアミン等の低分子活水素化合物およびそのアルキレンオキサイド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物とを反応させて得られるアダクト体等が挙げられる。
【0046】
ポリオール(B1)の合成に用いられる前記化合物は1種または2種以上を混合して用いることができる。また、本発明に用いられるポリオール(B1)は、公知慣用の方法で合成することができる。
【0047】
中でも、接着層にガスバリア性を持たせたい場合にはポリエステルポリオールを好ましく用いることができる。具体的には、2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールであって、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを重縮合反応することにより得られた実質的に複数個の水酸基を有する重縮合体であり、本発明の目的とするガスバリア性を発現させうるものであれば特に限定はないが、芳香族環を有するものが好ましく、オルト配向芳香族環を有するものがよりガスバリア性に優れ好ましい。
【0048】
複数個の水酸基を有するポリエステルポリオールとして、より具体的には、
・芳香族多価カルボン酸成分、より好ましくはオルト配向芳香族多価カルボン酸成分を含む多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(B1−0)、
・3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(B1−1)、
・重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(B1−2)、
・グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(B1−3)、
・イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(B1−4)、
等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下、各ポリエステルポリオールについて説明する。
【0049】
[ポリエステルポリオール(B1−0)]
本発明で使用するポリエステルポリオール(B1−0)は、芳香族多価カルボン酸成分、より好ましくはオルト配向芳香族多価カルボン酸成分を含む多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を重縮合して得られる。
【0050】
(芳香族多価カルボン酸)
芳香族多価カルボン酸はガスバリア性を得る為には好ましく使用される。芳香族多価カルボン酸として具体的には、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらは単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。
中でもオルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びこれらの無水物が好ましく、オルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
【0051】
(オルトフタル酸及びその無水物)
オルトフタル酸及びその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりガスバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示し、十分な基材密着性が付与され、接着力とガスバリア性に優れると推定される。さらにドライラミネート接着剤として用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで取扱い性にも優れる特徴を持つ。
【0052】
また、前記芳香族多価カルボン酸と併用できるその他の多価カルボン酸として具体的には、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸や、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸が挙げられる。これらは単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。
中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸を併用することが好ましい。
前記ポリエステルポリオール(B1−0)は、前記オルトフタル酸及びその無水物の多価カルボン酸全成分に対する含有率が70〜100質量%であることが好ましい。
【0053】
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらのエチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。
【0054】
中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、エチレングリコールがより好ましい。
【0055】
前記芳香族多価カルボン酸成分、より好ましくはオルト配向芳香族多価カルボン酸成分を含む多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重縮合反応は、公知の方法で行うことができる。
【0056】
[3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(B1−1)]
本発明で使用するポリエステルポリオール(B1−1)は、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又は多価カルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するものである。
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールは多価カルボン酸または多価アルコールの一部を三価以上とすることで得られる。
中でも、多価カルボン酸としてオルトフタル酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分からなる、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールが好ましい。
【0057】
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールを合成する際に、多価カルボン酸成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上のカルボン酸を少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としては、トリメリット酸およびその酸無水物、ピロメリット酸及びその酸無水物等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価カルボン酸としては三価カルボン酸が好ましい。
【0058】
前記ポリエステルポリオールは、本発明の効果を損なわない範囲において、前述のオルトフタル酸及びその無水物以外の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
【0059】
(多価アルコール その他の成分)
前記ポリエステルポリオールを合成する際に、多価アルコール成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上の多価アルコールを少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価アルコールが好ましい。
【0060】
前記ポリエステルポリオールの合成時に使用するエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分は、酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、エチレングリコールを使用することが最も好ましい。
一方ここに挙げた多価アルコール成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価アルコール成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族ジオールとしては1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらのエチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。
【0061】
前記ポリエステルポリオールとカルボン酸無水物又は多価カルボン酸との反応は、公知の方法で行うことができる。例えば前記ポリエステルポリオールに、多価カルボン酸又はその酸無水物をポリエステルポリオールの水酸基と反応させることにより得ることができる。ポリエステルポリオールと多価カルボン酸との比率は反応後のポリエステルポリオールの水酸基が2個以上必要であることより、多価カルボン酸はポリエステルポリオールの水酸基の1/3以下と反応させることが好ましい。ここで用いられるカルボン酸無水物又は多価カルボン酸に制限はないが、多価カルボン酸とポリエステルポリオールとの反応時のゲル化を考慮すると、二価或いは三価のカルボン酸無水物を使用することが好ましい。二価のカルボン酸無水物としては無水コハク酸、無水マレイン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物等が使用でき、三価のカルボン酸無水物としてはトリメリット酸無水物等が使用できる。
【0062】
前記ポリエステルポリオール(B1−1)は、水酸基価が20〜250であり、酸価が20〜200であることが好ましい。水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS−K0070に記載の酸価測定法にて、測定することができる。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎる為に粘度が高くなり、良好な塗工適性が得られない。逆に水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、分子量が小さくなりすぎる為、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、良好な接着強度が得られない場合がある。酸価が20mgKOH/gより小さい場合、分子間の相互作用が小さくなり、良好なガスバリア性、良好な初期凝集力が得られない。逆に酸価が200mgKOH/gを超える場合、イソシアネート化合物(B2)との反応が早くなり過ぎ、良好な塗工適性が得られない恐れがある。
【0063】
[重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(B1−2)]
本発明で使用するポリエステルポリオール(B1−2)は、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有する。具体的には、多価カルボン酸や多価アルコールの成分として重合性炭素−炭素二重結合をもつ成分を使用することにより、ポリエステルポリオール(B1−2)の分子内に重合成炭素−炭素二重結合を導入したポリエステルポリオールである。
【0064】
(多価カルボン酸)
前記多価カルボン酸成分として具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。
中でも、ガスバリア性を得る為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、オルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
【0065】
(重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸)
前記重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその酸無水物、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその無水物等があげられる。中でも、炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が好ましい。
【0066】
(多価アルコール成分)
前記多価アルコール成分として具体的には、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。
中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングクリコールがより好ましい。
【0067】
(重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコール)
多価アルコールにおいて重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコールとして2−ブテン−1,4−ジオール等があげられる。
【0068】
また前述のほかに、水酸基を有するポリエステルポリオールと重合性二重結合を有するカルボン酸、又はカルボン酸無水物との反応により得たポリエステルポリオール(B1−2)でもよい。この場合のカルボン酸としてはマレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸等の重合性二重結合を有するカルボン酸、オレイン酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪酸等を用いることができる。この場合のポリエステルポリオールとしては2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールで好ましいが、ポリイソシアネートとの架橋により分子伸長を考慮すると、水酸基は3個以上有することがより好ましい。ポリエステルポリオールの水酸基が1又は2個の場合、重合性二重結合を有するカルボン酸を反応することにより得たポリエステルポリオール(B1−2)の水酸基が0又は1個となり、イソシアネート化合物(B2)との反応による分子伸長が起こり難くなり、接着剤としてのラミネート強度やシール強度、耐熱性等の特性が得られ難いおそれがある。
【0069】
前記多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことができる。前記ポリエステルポリオール(B1−2)の水酸基価は20〜250mgKOH/g、酸価が0〜100mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS−K0070に記載の酸価測定法にて測定することができる。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎる為に粘度が高くなり、良好な塗工適性が得られないおそれがあり、逆に水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、分子量が小さくなりすぎる為、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、良好な接着強度が得られないおそれがある。
【0070】
また、ポリエステルポリオール(B1−2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部であることが好ましい。この範囲より低いと重合性二重結合間の架橋点が少なくなり、ガスバリア性が得られ難くなり、高いと架橋点が多くなることにより硬化塗膜の柔軟性が著しく低下してラミネート強度が得られ難くなるおそれがある。
【0071】
なお本願においてポリエステルポリオール(B1−2)中の重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分量(二重結合成分比率)は、式(a)を用いて計算する。ここでモノマーとは前記の多価カルボン酸、多価アルコールを指す。
【0073】
前記ポリエステルポリオール(B1−2)として、炭素−炭素二重結合を有する公知慣用の乾性油、又は半乾性油を使用してもよい。
【0074】
[グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(B1−3)]
本発明で使用するポリエステルポリオール(B1−3)は、一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステルポリオールである。
【0076】
(式(1)中、R
1〜R
3は、各々独立に、水素原子、又は一般式(2)
【0078】
(式(2)中、nは1〜5の整数を表し、Xは、置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれるアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但し、R
1〜R
3のうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。)
【0079】
前記一般式(1)において、R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つは前記一般式(2)で表される基である必要がある。中でも、R
1、R
2及びR
3全てが前記一般式(2)で表される基であることが好ましい。
【0080】
また、R
1、R
2及びR
3のいずれか1つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R
1、R
2及びR
3のいずれか2つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R
1、R
2及びR
3の全てが前記一般式(2)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
【0081】
Xは、1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Xが置換基によって置換されている場合、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
【0082】
前記一般式(2)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基、ジメチルブチレン基等の、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
【0083】
前記一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステル樹脂化合物は、グリセロールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物と、多価アルコール成分とを反応させて得る。
【0084】
(多価カルボン酸)
前記カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
【0085】
前記オルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物以外の多価カルボン酸成分を、本発明の効果を損なわない範囲において共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸及びその無水物、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。
【0086】
中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタル酸、ジフェン酸が好ましい。
【0087】
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。
中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングリコールがより好ましい。
【0088】
前記多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことができる。
なお、本願においてグリセロール骨格の含有量は、本願のガスバリア性接着剤用有機樹脂組成物全固形分の質量に対して、前記一般式(1)におけるR
1〜R
3を除いた残基(C
3H
5O
3=89.07)がどのくらい含まれるかを、式(b)を用いて計算する。
【0090】
P:グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(B1−3)を表す。
【0091】
本発明では、高いガスバリア性を発現するため、ガスバリア性接着剤用有機樹脂組成物中に5質量%以上のグリセロール残基を有することが好ましい。
【0092】
[イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(B1−4)]
本発明で使用するポリエステルポリオール(B1−4)は、一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(B1−4)である。
【0094】
(一般式(3)中、R
1〜R
3は各々独立して、−(CH
2)
n1−OH(但しn1は2〜4の整数を表す)、又は一般式(4)
【0096】
(一般式(4)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)
で表される基を表す。但しR
1、R
2及びR
3の少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である)
【0097】
前記一般式(3)において、−(CH
2)
n1−で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状でもよい。n1は、中でも2又は3が好ましく、2が最も好ましい。
【0098】
前記一般式(4)において、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表す。
Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
【0099】
Xが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
【0100】
Xの置換基は、中でもヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基、が好ましくヒドロキシル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、フタルイミド基、フェニル基が最も好ましい。
【0101】
前記一般式(4)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基、ジメチルブチレン基等の、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
【0102】
前記一般式(3)において、R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。中でも、R
1、R
2及びR
3全てが前記一般式(4)で表される基であることが好ましい。
【0103】
また、R
1、R
2及びR
3のいずれか1つが前記一般式(4)で表される基である化合物と、R
1、R
2及びR
3のいずれか2つが前記一般式(4)で表される基である化合物と、R
1、R
2及びR
3の全てが前記一般式(4)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
【0104】
前記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(B1−4)は、イソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分とを反応させて得る。
【0105】
(イソシアヌル環を有するトリオール)
イソシアヌル環を有するトリオールとしては、例えば、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0106】
(多価カルボン酸)
また、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸またはその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。
【0107】
該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
【0108】
前記オルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物以外の多価カルボン酸成分を、本発明の効果を損なわない範囲において共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸及びその無水物、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。
【0109】
中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタル酸、ジフェン酸が好ましい。
【0110】
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。
中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟になりにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングリコールがより好ましい。多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことができる。
【0111】
中でも、イソシアヌル環を有するトリオール化合物として1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を使用し、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としてオルトフタル酸無水物を使用し、多価アルコールとしてエチレングリコールを使用したイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物が、ガスバリア性や接着性に特に優れ好ましい。
【0112】
イソシアヌル環は高極性であり且つ3官能である。従って系全体を高極性化させることができ、且つ、架橋密度を高めることが可能である。このような観点からイソシアヌル環を接着剤樹脂全固形分に対し5質量%以上含有することが好ましい。
【0113】
イソシアヌル環は高極性であり、且つ水素結合を形成しない。一般に接着性を高める手法として、水酸基、ウレタン結合、ウレイド結合、アミド結合などの高極性の官能基を配合させる方法が知られているが、これらの結合を有する樹脂は分子間水素結合を形成しやすく、ドライラミネート接着剤に良く使用される酢酸エチル、2−ブタノン溶剤への溶解性を損ねてしまうことがあるが、イソシアヌル環を有するポリエステル樹脂は該溶解性を損なわないので、容易に希釈可能である。
【0114】
また、イソシアヌル環は3官能であるため、イソシアヌル環を樹脂骨格の中心とし、且つその分岐鎖に特定の構造のポリエステル骨格を有するポリエステルポリオール化合物は高い架橋密度を得ることができる。架橋密度を高めることで、酸素等のガスが通過する隙間を減らすことができると推定される。このように、イソシアヌル環は分子間水素結合を形成せずに高極性であり且つ高い架橋密度が得られるので、ガスバリア性とドライラミネート接着性とを担保できると推定している。
【0115】
なお本願においてイソシアヌル環の含有量は、前期組成物全固形分の質量に対して、前記一般式(3)におけるR
1〜R
3を除いた残基(C
3N
3O
3=126.05)がどのくらい含まれるかを、式(c)を用いて計算する。
【0117】
P:イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(B1−4)を表す。
【0118】
イソシアヌル環を有するポリエステルポリオールは、公知慣用の方法で行うことができる。具体的な一例を示すと、原材料として用いるイソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分を一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させればよい。
【0119】
前記ポリオール(B1)を用いてガスバリア性の接着剤とする場合、ポリオール(B1)の末端ヒドロキシル基を除く残基の1モルあたりのパーマコール値が44以上60以下とすることが好ましく、44以上55以下とすることがより好ましい。パーマコール値が44を下回ると酸素バリア性が発現しにくく、60を超えると溶剤型の接着剤として用いる場合に溶剤に溶解しにくくなる傾向がある。ポリオール(B1)のパーマコール値は表1に記載のポリマーセグメントと対応するパーマコール値から計算できる。
【0121】
例えば、下記式(5)に示すような分子量600のエチレングリコールフタル酸エステルの、末端ヒドロキシル基を除く残基の1モルあたりのパーマコール値Pは、次のようにして求めることができる。
【0124】
【数4】
平均繰り返し数nは2.76であるので、末端ヒドロキシル基を除く残基の1モルあたりのパーマコール値Pは53.3となる。
【0125】
また、前記ポリオール(B1)は非晶性であることが好ましい。これにより、後述するイソシアネート化合物(B2)と反応して硬化した際にも柔軟性を保つことができ、接着性発現に有利である。
このような非晶性ポリオールとするには、主鎖を軸として非対称構造をとりやすい構造を導入することや、結晶性ポリオール同士を高温で混ぜ合わせる方法が挙げられる。
【0126】
前記ポリオール(B1)の水酸基価は40mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以上350mgKOH/g以下であることがより好ましい。これによりイソシアネート化合物(B2)と混合後の粘度安定性に優れたものとなる。
水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて測定することができる。
【0127】
本発明は、前記ガスバリア性を有し且つ高いパーマコール値を持つポリオール(B1)を含む接着剤を用いて積層体を形成することが好ましい。
一般にパーマコール値が高いポリオールは、数平均分子量が大きいと(例えば5000〜10000程度)粘度が非常に高くなってしまい、塗工作業性が悪化する。また、溶剤型の接着剤として用いる場合に溶剤への溶解性が悪くなり、ゲル化したり変色したりするなど保存安定性に課題が生じる。このような不具合を避けるために低分子量(数平均分子量が2300以下)のポリオールを用いて接着層を形成すると、印刷層を再溶解させてしまうおそれがある。
本発明の積層体では前記印刷インキ組成物(A)を用いて印刷層を形成しているため、前記不具合を抑制するとともに、ガスバリア性に優れた積層体とすることができる。
【0128】
また、ガスバリア性を有する2液型ポリウレタン系接着剤(B)を用いて接着層を形成する場合、ポリオールによって印刷層が再溶解してしまうと、再溶解した印刷層が接着剤の一部と混じり合う。再溶解した印刷層が混じった接着剤は、インキに使用されるバインダーの種類によっては十分なガスバリア性を発揮することができないが、本発明の積層体は、印刷層がウレタン樹脂(A1)と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)とを含む印刷インキ組成物(A)で形成されているので、接着層に再溶解した印刷層が混じった状態でもガスバリア性を維持することができる。
【0129】
前記ポリオール(B1)の数平均分子量の下限値は特に制限はないが、分子量が小さすぎると前記印刷インキ組成物(A)を用いても印刷層が再溶解しやすくなったり、未反応のポリオール(B1)が接着層から溶出したりするおそれがあるため、500以上であることが好ましい。ポリオール(B1)の数平均分子量は700以上2000以下であることがより好ましい。これにより、確実に印刷層の再溶解を抑制しつつ、2液型ポリウレタン系接着剤(B)の塗工作業性、保存安定性を確保することができる。
【0130】
前記ポリオール(B1)は、その種類に応じて選択された公知の添加剤を併用することができる。一例として、加水分解性アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、エポキシ樹脂等の接着促進剤が挙げられる。また、塗工ラミネートの時の塗工面を平滑にするために、各種レベリング剤を添加しても良い。
【0131】
(イソシアネート化合物(B2))
本発明の接着層に使用するイソシアネート化合物(B2)としては特に制限なく公知のものを用いることができ、芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート化合物が挙げられ、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。
例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、これらイソシアネート化合物の3量体、これらイソシアネート化合物の過剰量と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミン等の低分子活水素化合物およびそのアルキレンオキサイド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物とを反応させて得られるアダクト体、ジイソシアネートの多量体であるイソシアヌレート、アロファネート体、アミンとの反応により得られるビューレット体等が挙げられる。
【0132】
また、イソシアネート化合物(B2)としてブロックイソシアネートを用いてもよい。イソシアネートブロック化剤としては、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノン等のオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール等の第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタム等のラクタム類等が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステル等の活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダ等も挙げられる。ブロック化イソシアネートはイソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを公知慣用の方法により付加反応させて得られる。
【0133】
また、接着層にガスバリア性を持たせる場合には、芳香族環を分子内に含む3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、芳香族環を分子内に含まないポリイソシアネート化合物(b2)の混合物であることが好ましい。これにより、本発明のようにポリオールの数平均分子量が500以上2300以下と比較的小さい場合であっても良好な塗工適性と、積層体のラミネート強度とを両立させることができ、ガスバリア性を向上させることができる。
【0134】
芳香族環を分子内に含む3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)は、主剤のポリオールを3次元的に架橋させて固化する機能を持つ。従って、ポリイソシアネート化合物(b1)の使用量が少な過ぎるとボイル、レトルト処理のような熱が加えられる条件下では接着層が剥離(デラミネーション)するおそれがある。ポリイソシアネート化合物(b1)の官能基数に特に制限はないが、3官能以上であればポリオールを架橋・固化させる機能を果たすことができるため、一般的に入手が容易である3価のポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0135】
ポリイソシアネート化合物(b1)としては、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族環を含むジイソシアネートのモノマー、オリゴマーの過剰量を、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール等の3個以上の水酸基を有するアルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキサイド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。
【0136】
接着層に用いるイソシアネート化合物が全て芳香族環を含むものであると、接着層が硬くなりすぎて包装等に用いる積層体に良好な接着強度とならない場合がある。芳香族環を分子内に含まないポリイソシアネート化合物(b2)、特にアロファネート体のようなジイソシアネート化合物を併用することでガスバリア性を維持しつつ、接着層に柔軟性が付与され、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム等の金属系基材に対する密着性が向上する。
【0137】
ポリイソシアネート化合物(b2)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びメタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートの水素添加物から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネート、1価のアルコールとの反応生成物(アロファネート基含有のポリイソシアネート)と2個の水酸基を有するアルコールとの反応生成物からなる群から選ばれるものを好ましく用いることができる。
【0138】
ポリイソシアネート化合物(b1)とポリイソシアネート化合物(b2)との混合比は、イソシアネート含有率換算で1:5〜10:1であることが好ましく、1:3〜5:1であることがより好ましい。
【0139】
(添加剤)
本発明における接着層は、前記ポリオール(B1)、前記イソシアネート化合物(B2)に加え、接着力を損なわない範囲で各種の添加剤を配合した2液型ポリウレタン系接着剤(B)を用いて接着層を形成してもよい。添加剤としては、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等の無機充填剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤等が例示できる。
【0140】
接着層の耐酸性を向上させるために公知の酸無水物を添加剤として併用することもできる。酸無水物としては、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5−(2,5−オキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0141】
塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、キシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂等の粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、ポリオールとイソシアネートの総量100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下の範囲とすることが好ましい。
【0142】
接着層にガスバリア性が必要な場合には、板状無機化合物と、結晶性ポリエステルの少なくとも一方を含むことが好ましい。
板状無機化合物としては、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト−蛇紋族粘度鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライト等)、スメクタイト族粘度鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘度鉱物(バーミキュライト等)、雲母またはマイカ族粘度鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘度鉱物であっても合成粘度鉱物であってもよい。板状無機化合物は単独でまたは二種以上組み合わせて用いられる。
【0143】
板状無機化合物の層間の電荷の有無は接着層のガスバリア性には直接影響しないが、イオン性の無機化合物はポリオールに対する分散性が大幅に劣り、添加量が多過ぎると塗工適性が課題となる(チキソ性となる)。これに対し、無電荷(非膨潤性)の場合は添加量を多くしても塗工適性を確保することができる。
板状無機化合物の平均粒径は0.1μm以上であるとガスバリア性が発現しやすく、小さ過ぎると良好なガスバリア性が得られない。グラビア印刷にて塗工する場合、平均粒径が大きすぎるとグラビア版に入らないため塗工適性が悪化する。このため板状無機化合物の平均粒径は0.1μm以上100μm以下とすることが好ましく、0.1μm以上40μm以下とすることがより好ましい。なお、本明細書において平均粒径とは板状無機化合物の粒度分布を光散乱式測定装置で測定した場合に出現頻度が最も高い粒径をいう。
【0144】
板状無機化合物の添加量はガスバリア能が向上するのであれば特に制限はないが、ポリオール、イソシアネート化合物、板状無機化合物の総質量を100質量部とした場合に5質量部以上50質量部以下とすることが好ましい。
【0145】
結晶性ポリエステルは特に制限はなく、公知の結晶性ポリエステルを使用することができる。本明細書において結晶性とは、示差熱分析法(DSC)による融点に相当する吸熱ピークにおける吸熱量が、20℃/minの昇温条件下で20J/g以上、より好ましくは30J/g以上であることをいう。結晶性ポリエステルはこのような結晶性の条件を満たすものである。
結晶性ポリエステルは、ポリオールとの合計質量の2質量%以上50質量%以下の範囲で添加されることが好ましく、5質量%以上40質量%以下の範囲で添加されることがより好ましい。これにより、ガスバリア性の向上とドライラミネート接着剤としての塗工適性とを両立させることができる。
【0146】
(接着層)
接着層は、前記ポリオール(B1)とイソシアネート化合物(B2)、必要に応じて添加剤を混合した2液型ウレタン系接着剤(B)を印刷層上に塗布して形成される。
接着剤は、溶剤型、無溶剤型のいずれの形態であってもよい。溶剤型の場合は、溶剤は第1剤および/または第2剤の製造時に反応媒体として使用してもよい。さらに、塗工時に希釈剤として使用される。使用できる溶剤としては、一例として、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。第1剤、第2剤の種類に応じて好適な溶剤を選択すればよいが、酢酸エチルやメチルエチルケトンが好適に用いられる。
【0147】
ポリオール(B1)とイソシアネート化合物(B2)とは、ポリオール(B1)のヒドロキシル基とイソシアネート化合物(B2)の官能基とが当量比で1/0.5以上1/10以下となるよう混合して用いられることが好ましく、より好ましくは1/1以上1/5以下である。該範囲を超えてイソシアネート化合物(B2)が過剰な場合、余剰な硬化剤成分が残留することで接着後に接着層から溶出するおそれがあり、一方イソシアネート化合物(B2)が不足する場合には接着強度不足となるおそれがある。
【0148】
さらに、ポリオール(B1)とイソシアネート化合物(B2)との硬化塗膜のガラス転移温度が−30℃以上80℃以下となるように組み合わせて用いられることが好ましく、0℃以上70℃以下となるように組み合わせて用いられることがより好ましく、25℃以上70℃以下となるように組み合わせ用いられることがさらに好ましい。ガラス転移温度が80℃を上回ると、室温付近での硬化塗膜の柔軟性が低くなることにより、基材への密着性が低下する場合がある。また、ガラス転移温度が−30℃未満であると、室温付近での硬化塗膜の分子運動が激しく、凝集力が不足する場合がある。いずれの場合も接着力の低下につながる恐れがある。
【0149】
<積層体>
本発明の積層体は、印刷層をウレタン樹脂(A1)と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)とをバインダーとして含む印刷インキ組成物(A)を用いて形成しているため、ガスバリア性を有する2液型ポリウレタン系接着剤(B)を使用することで所望のガスバリア性を維持することができる。2液型ポリウレタン系接着剤(B)はオルト配向芳香族環を有するポリオール(B1)を使用すると、より高いガスバリア性が得られ、且つ印刷層にイソシアネート硬化剤を併用すると、印刷層の再溶解性を低減させることができ、なお高いガスバリア性を有する積層体とすることができる。
【0150】
また、このとき使用する基材も、ガスバリア性に影響する。基材としてPETフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)、ポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等の所謂プラスチックフィルムを第一及び第二の基材に使用した積層体では、印刷層としてイソシアネート硬化剤を併用した印刷インキ組成物(A)であることが、高いガスバリア性を維持でき好ましい。一方、アルミニウム等の金属、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルム、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア性フィルムを第一あるいは第二の基材の一方または両方に用いた場合は、印刷層としてイソシアネート硬化剤を併用しなくてもより高いガスバリア性を維持できる。
【0151】
接着剤をガスバリア性とすることに加え、基材としてガスバリア性フィルムを用いた積層体は、水蒸気バリア性に加え、酸素、アルコール、不活性ガス、揮発性有機溶媒に起因する香り等に対するさらに優れたバリア性をも備えたものとすることができる。
【0152】
本発明の積層体が遮断することができるアルコールとしては、少なくとも一箇所にアルキル鎖に対してヒドロキシル基が結合している構造を持つ、一般的なアルコール類に分類される材料類であれば特に制限はない。また、一価のアルコールでも多価のアルコールでもよい。一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ネオペンチルグリコール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール等を例示できる。また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチルプロパン等が例示できる。更には、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等のアミノアルコール類の他、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエーテル基含有のアルコール化合物等も挙げられる。
のような積層体は、室温領域で気体から液体の状態にあるアルコールに対し、特に好適に用いることができる。
【0153】
本発明の積層体が遮断することができる不活性ガスとしては、窒素、炭酸ガスの他、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の希ガスが例示できる。このような不活性ガスは化学変化を起こし難く、食品等に対して不活性であるだけでなく、食品周囲への酸素や水蒸気の接触を防ぐことができるため、食品の風味の維持、内容物の保持、酸化防止等の目的で用いられる。
【0154】
本発明の積層体が遮断することができる揮発性有機化合物(香り)としては、ココア、醤油、ソース、味噌、コーヒー、レモネン、サリチル酸メチル、メントール、チーズ、香料類、シャンプー、リンス、洗剤、柔軟剤、石鹸等の香り成分を含むサニタリー分野、ペットフード、防虫剤、芳香剤、毛染め類、香水、農薬類等に関するものが挙げられる。
【0155】
≪積層体の製造方法≫
本発明の積層体の製造方法は、第1の基材上に、前記印刷インキ組成物(A)を用いて印刷層を形成する印刷層形成工程と、印刷層上に前記2液型ポリウレタン系接着剤(B)を塗布する接着層形成工程と、第1の基材と第2の基材とを接着層を介して貼り合せる積層工程とを含む。
【0156】
(印刷層形成工程)
印刷層形成工程では、第1の基材上に前記印刷インキ組成物(A)を用いて印刷を施し印刷層を形成する。印刷方法としてはグラビアコート法、フレキソコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法等が挙げられる。これを放置するか、必要により送風、加熱、減圧乾燥することにより印刷層を形成する。印刷層の膜厚は、乾燥状態で1μmから7μm程度となるよう印刷又は塗工する。より好ましくは1μmから3μm程度である。
【0157】
(接着層形成工程)
次に、印刷層上に前記2液型ポリウレタン系接着剤(B)を塗工する。塗工方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。一例として、粘度の調整ができる溶剤型の場合はグラビアロール塗工方式で塗布することが多い。無溶剤型で、室温での粘度が高くグラビアロール塗工が適さない場合は、加温しながらロールコーターで塗工することもできる。ロールコーターを使用する場合には、2液型ポリウレタン系接着剤(B)の粘度が500mPa・s〜2500mPa・s程度となるように室温〜120℃程度まで加熱した状態で塗工することが好ましい。
【0158】
2液型ポリウレタン系接着剤(B)の塗布量は2.0g/m
2以上7.0g/m
2以下であることが好ましく、3.0g/m
2以上6.0g/m
2以下であることがより好ましい。これにより、基材同士を貼り合せる際の塗工作業性(例えば濡れ性や初期タック性)と、接着強度等の物性(例えばラミネート強度やシール強度)とを好適なものとすることができる。
【0159】
(積層工程)
次に、第2の基材を重ねてラミレーションにより貼り合せることで本発明の積層体が得られる。ラミネーション方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、押出しラミネーション等公知の方法を用いることができる。
【0160】
ドライラミネーション法にて積層する場合は、接着剤をグラビアロール方式で塗工後、第2の基材を重ねて貼り合せる。ラミネートロールの温度は室温〜60℃程度が好ましい。
ノンソルベントラミネーション法にて積層する場合には、予め室温〜120℃程度に接着剤を加熱しておき、室温〜120℃程度に加熱したロールコーター等のロールにより塗布した後、直ちにその表面に第2の基材を貼り合せることにより積層体を得る。ラミネート圧力は10〜300kg/cm
2程度が好ましい。
【0161】
押出しラミネーションにて積層する場合には、接着補助剤(アンカーコート剤)として2液型ポリウレタン系接着剤(B)の有機溶剤溶液をグラビアロール等のロールにより塗布し、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行った後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることにより積層体を得ることができる。溶融させるポリマー材料としては、低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0162】
このようにして作成した積層体は、エージング処理を行うことが好ましい。一例として、ポリイソシアネート化合物を硬化剤として用いた場合のエージング条件は、室温〜80℃で、12〜240時間である。この間に接着強度が増強する。
【0163】
本発明の積層体は、包装材、太陽電池保護フィルム、表示素子用ガスバリア基板等の電子材料、建築材料、工業材料等、各種用途の好適に用いることができる。
【実施例】
【0164】
以下、本発明の理解を容易にするため、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、各例中の部および%は特に断りのない限り質量基準によるものである。
【0165】
<ウレタン樹脂(A1)の製造>
攪拌機、温度計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、エチレングリコールとネオペンチルグリコールの混合物(モル比=1/1)とアジピン酸とを反応させて得た数平均分子量1,800のポリエステルジオール605.9部およびイソホロンジイソシアネート94.1部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、遊離イソシアネート価1.02質量%のプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル300部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン18.1部、酢酸エチル873部およびIPA503部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で8時間攪拌反応させて、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液を得た。得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の固形分をウレタン樹脂(A1)として実施例、比較例に用いた。
【0166】
<ポリオール(B1)の製造>
(製造例1)エチレングリコールとオルトフタル酸からなる数平均分子量900のポリエステルポリオール「EGoPA 900」の製造
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール747.31部、無水フタル酸1252.70部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.02部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が4mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量900のポリエステルポリオール「EGoPA
900」を得た。このポリエステルポリオールの繰り返し数はn=3.94、末端水酸基を除く残基のパーマコール値は54.8である。水酸基価は120.9であった。
【0167】
(製造例2)エチレングリコールとオルトフタル酸からなる数平均分子量1100のポリエステルポリオール「EGoPA 1100」の製造
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール747.31部、無水フタル酸1252.70部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.02部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が4mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1100のポリエステルポリオール「EGoPA1100」を得た。このポリエステルポリオールの繰り返し数はn=4.82、末端水酸基を除く残基のパーマコール値は55.4である。水酸基価は102.7であった。
【0168】
(製造例3)エチレングリコールとオルトフタル酸からなる数平均分子量1300のポリエステルポリオール「EGoPA 1300」の製造
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール747.31部、無水フタル酸1252.70部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.02部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が4mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1300のポリエステルポリオール「EGoPA1300」を得た。このポリエステルポリオールの繰り返し数はn=5.70、末端水酸基を除く残基のパーマコール値は55.9である。水酸基価は87.6であった。
【0169】
(製造例4)エチレングリコールとオルトフタル酸からなる数平均分子量2100のポリエステルポリオール「EGoPA 2100」の製造
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール747.31部、無水フタル酸1252.70部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.02部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が4mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量2100のポリエステルポリオール「EGoPA2100」を得た。このポリエステルポリオールの繰り返し数はn=9.20、末端水酸基を除く残基のパーマコール値は57.0である。水酸基価は54.0であった。
【0170】
(製造例5)エチレングリコールとオルトフタル酸からなる数平均分子量2500のポリエステルポリオール「EGoPA 2500」の製造
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール747.31部、無水フタル酸1252.70部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.02部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が4mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量2500のポリエステルポリオール「EGoPA2500」を得た。このポリエステルポリオールの繰り返し数はn=10.95、末端水酸基を除く残基のパーマコール値は57.3である。水酸基価は42.8であった。
【0171】
<積層体の製造>
(実施例1)
表3に示す組成で印刷インキ組成物(A)を作成した。これを第一の基材に印刷して乾燥させ、印刷層を形成した。
【0172】
続いて、表3に示す組成で2液型ポリウレタン系接着剤(B)を作成し、これを印刷層上に塗布した後、第二の基材と貼り合せて実施例1の積層体を得た。
基材の組み合わせは、第一の基材/第二の基材として、厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡(株)製「E−5100」)/厚さ70μmの未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)の組み合わせ(以後PET/CPPと略す)、及び、厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡(株)製「E−5100」)/厚さ25umのアルミ蒸着未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「2203」)の組み合わせ(以後PET/VMCPPと略す)を使用した。
【0173】
(実施例2〜7)
HDIアダクト体の酢酸エチル溶液の添加量、2液型ポリウレタン系接着剤(B)の組成を表3のようにした以外は実施例1と同様にして、実施例2〜7の積層体を得た。
【0174】
(実施例8〜13)
HDIアダクト体の酢酸エチル溶液は添加せず、2液型ポリウレタン系接着剤(B)の組成を表4のようにした以外は実施例1と同様にして、実施例8〜13の積層体を得た。
【0175】
(比較例1〜6)
表5に示す組成で印刷インキ組成物(A)を作成し、これを厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡(株)製「E−5100」)に印刷して乾燥させ、印刷層を形成した。
2液型ポリウレタン系接着剤(B)の組成を表5のようにした以外は実施例1と同様にして、比較例1〜6の積層体を得た。
【0176】
【表3】
【0177】
【表4】
【0178】
【表5】
【0179】
表中、略語及び使用した原料名を以下に示す。
酸化チタン顔料:石原産業(株)製のR−780
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2):Wuxi Honghui Resin 社製のUMOH
スチレンマレイン酸樹脂:星光PMC(株)製のハイロスX−228 酢酸エチル10%溶液
NCO:イソシアネート
イソシアネート硬化剤:HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)アダクト体の酢酸エチル溶液)
HM6025:HENGHAO社製、マイカ/非膨潤性、板状、平均粒径10μm、アスペクト比100以上)
タケネート500:三井化学(株)製のイソシアネート化合物
タケネートD−110N:三井化学(株)製のイソシアネート化合物
【0180】
<評価>
実施例1〜13、比較例1〜6の積層体について、以下のようにして評価を行い、結果を表5、6にまとめた。
【0181】
(初期タック)
初期タックはラミネート加工直後の接着剤の粘着性を示す。初期タックが弱い場合、ドライヤー熱や高いテンションにより強制的に伸びたまま貼合されたフィルムが縮もうする力を抑制する力が弱いため、貼りあわせたフィルムがずれて、ラミネートフィルムにしわが入るトンネリング現象が生じ、作業性に支障をきたす。この初期タックを評価するため、ラミネートした実施例及び比較例で得たPET/CPPの組み合わせの積層体を貼り合せた直後に15mm幅で切断し、テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を100mm/分に設定し、T型剥離方法で剥離した際の剥離強度により初期タックを測定し、以下のようにして5段階で評価した。強度の単位はN/15mmとした。
評価5:剥離強度が、1.0N/15mm以上
評価4:剥離強度が、0.75N/15mm以上1N/15mm未満
評価3:剥離強度が、0.50N/15mm以上0.75N/15mm未満
評価2:剥離強度が、0.25N/15mm以上0.50N/15mm未満
評価1:剥離強度が、0.25N/15mm未満
【0182】
(インキ再溶解性)
ラミネートでは、一般的にフィルムの裏に印刷をするため、印刷インキ層と接着剤層が直接接触する。接着剤によっては塗工直後にインキ層に浸透し、一部が溶け合って入り混じるため、インキ層と接着剤層の実際の層厚みが小さくなり、場合によっては印刷デザインの外観不良を発生させる。この現象をインキの再溶解性という。これを評価するため、以下の方法で行った。
実施例及び比較例のPET/CPPの組み合わせの積層体をクライオミクロトーム(−100℃、ガラス刃)で断面調整し、SEM観察を行った。断面観察結果から、無地部(印刷層を形成しなかった部分)および印刷部(印刷層を形成した部分)それぞれの接着層の厚みを測定し、以下の計算を行った。
(接着剤層残存率)=(印刷部の接着剤層厚み)/(無地部の接着剤層厚み)×100[%]
接着層残存率が高いものをインキの再溶解性が起こりにくい、残存率が低いものを再溶解性しやすいものとし、以下のようにして5段階で評価した。
評価5:接着層残存率が、90%以上100%以下
評価4:接着層残存率が、80%以上90%未満
評価3:接着層残存率が、70%以上80%未満
評価2:接着層残存率が、60%以上70%未満
評価1:接着層残存率が、60%未満
【0183】
(酸素バリア性)
ここで述べる酸素バリア性とは、大気中の酸素分子がパッケージの中へどれだけ浸入しにくいかを示す性能である。具体的には、ラミネートフィルムがPET/CPPの場合、単位時間及び単位面積中に、酸素がPET表面から浸入し、ラミネートフィルム層を透過し、CPP表面へ抜けた酸素量、いわゆる酸素透過度で表現する。従ってこの値が小さいほど、酸素バリア性に優れると判断できる。
実施例及び比較例のPET/CPPの組み合わせ、及びPET/VMCPPの組み合わせの積層体を、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21を用いて23℃、90%RHの雰囲気下で測定した。測定単位はcc/m
2/dayとした。
【0184】
【表6】
【0185】
【表7】
【0186】
【表8】
【0187】
実施例、比較例から明らかなように、本発明の積層体は、印刷層はウレタン樹脂(A1)と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(A2)とを含む印刷インキ組成物(A)で形成されているので、ガスバリア性を有する数平均分子量が2300以下のポリオール(B1)とイソシアネート化合物(B2)とを含む2液型ポリウレタン系接着剤(B)を使用したときの酸素バリア性に優れる。それはインキ再溶解性に劣る場合であってもある程度の酸素バリア性を維持することができ、特に基材としてPET/VMCPPの組み合わせを使用した場合、あるいは印刷インキ組成物(A)にイソシアネート硬化剤を併用した場合には、良好な酸素バリア性を維持できる。
一方、比較例の積層体は、印刷層としてニトロセルロース樹脂を含む印刷インキを使用した例であるが、インキ再溶解性の評価にかかわらずバリア性を得ることができなかった。
特に比較例5の積層体では再溶解は抑制されているが、接着剤塗工時にフィルムへの濡れ性やニップ時の潰れが悪く、均一な接着剤塗膜を形成しづらいことからバリア性が悪化してやはり十分な酸素バリア性を得ることができなかった。
前記ポリオール(B1)の主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタン構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
前記ポリオール(B1)が、芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分との重縮合体であるポリエステルポリオール(B1−1)である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
前記ポリオール(B1)の主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタン構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
前記ポリオール(B1)が、芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分との重縮合体であるポリエステルポリオール(B1−1)である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。