(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
操作装置(100)は、傾倒動作が可能な操作部材(1)と操作部材(1)を支持する支持体(2)と操作部材(1)と連動する第1可動部材(H13)及び第2可動部材(H23)と第1可動部材(H13)に備えられた第1磁性体(M14)と第2可動部材(H23)に備えられた第2磁性体(M24)と支持体(2)に支持された永久磁石(EM)とを備え、操作部材(1)が基準位置にある場合に、第1磁性体(M14)及び第2磁性体(M24)と永久磁石(EM)とが互いに吸引されており、操作部材(1)が基準位置から第1方向(D1)に傾倒されて複数のポジションに位置する際に、先ず第1可動部材(H13)の傾倒動作に伴って第1磁性体(M14)が永久磁石(EM)から離れ、次に第2可動部材(H23)の傾倒動作に伴って第2磁性体(M24)が永久磁石(EM)から離れることを特徴とし、この操作装置(100)を車両用シフト装置に好適に適用した。
操作者の操作を受けて傾倒動作が可能な操作部材と、前記傾倒動作が可能に前記操作部材を支持する支持体と、を備え、前記操作者による基準位置からの傾倒操作を受けて、前記操作部材が位置する複数のポジションを有した操作装置であって、
前記操作部材と連動して前記傾倒動作する第1可動部材及び第2可動部材と、
該第1可動部材に備えられた第1磁性体と、該第2可動部材に備えられた第2磁性体と、前記支持体に支持された永久磁石と、を有し、
前記操作部材が前記基準位置にある場合には、前記第1磁性体と前記第2磁性体とが互いに近づけられて前記永久磁石の一方側に配設されているとともに、前記第1磁性体及び前記第2磁性体と前記永久磁石とが互いに吸引されており、
前記操作部材が前記基準位置から第1方向の一方の向きに前記傾倒動作されて前記複数のポジションに位置する際には、先ず前記第1可動部材の前記傾倒動作に伴って前記第1磁性体が前記永久磁石から離れ、次に前記第2可動部材の前記傾倒動作に伴って前記第2磁性体が前記永久磁石から離れることを特徴とする操作装置。
前記操作部材を傾倒させて前記第1磁性体と前記永久磁石と、或いは前記第2磁性体と前記永久磁石とが離反した際に、それぞれの間に働く吸引力が消失しない位置にそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の操作装置。
前記操作部材を前記第1方向の一方の向きに傾倒させて、前記第1磁性体と前記永久磁石と、或いは前記第2磁性体と前記永久磁石とが離反した際に、それぞれの間に働く吸引力が消失しない位置にそれぞれ配設されており、
前記操作部材を前記第1方向の他方の向きに傾倒させて、前記第3磁性体と前記永久磁石と、或いは前記第4磁性体と前記永久磁石とが離反した際に、それぞれの間に働く吸引力が消失しない位置にそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の操作装置。
前記第1可動部材、前記第2可動部材、前記第1磁性体及び前記第2磁性体の少なくとも1つには、前記傾倒動作に伴って回動動作する駆動部材が備えられているとともに、前記駆動部材の一方側と対向配置されたカム部材が備えられ、
対向配置された前記駆動部材と前記カム部材とのいずれか一方には、凸状に形成された第1突部を有する摺動面が設けられているとともに、いずれか他方には、凸状に形成された第2突部を有する案内面が設けられており、前記摺動面と前記案内面とが互いに摺動可能に配設されており、
前記操作部材が前記基準位置にある場合には、前記第1磁性体及び前記第2磁性体と前記永久磁石との少なくとも1つの組合せの互いの吸引力により前記摺動面と前記案内面とが当接されており、
前記操作部材が前記基準位置から前記第1方向と交差する第2方向に傾倒されて前記複数のポジションに位置する際には、前記摺動面の前記第1突部と前記案内面の前記第2突部とが互いの凸状部分を乗り上げて摺動することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
前記第1可動部材、前記第2可動部材、前記第3可動部材、前記第4可動部材、前記第1磁性体、前記第2磁性体、前記第3磁性体及び前記第4磁性体の少なくとも1つには、前記傾倒動作に伴って回動動作する駆動部材が備えられているとともに、前記駆動部材の一方側と対向配置されたカム部材が備えられ、
対向配置された前記駆動部材と前記カム部材とのいずれか一方には、凸状に形成された第1突部を有する摺動面が設けられているとともに、いずれか他方には、凸状に形成された第2突部を有する案内面が設けられており、前記摺動面と前記案内面とが互いに摺動可能に配設されており、
前記操作部材が前記基準位置にある場合には、前記第1磁性体、前記第2磁性体、前記第3磁性体及び前記第4磁性体と前記永久磁石との少なくとも1つの組合せの互いの吸引力により前記摺動面と前記案内面とが当接されており、
前記操作部材が前記基準位置から前記第1方向と交差する第2方向に傾倒されて前記複数のポジションに位置する際には、前記摺動面の前記第1突部と前記案内面の前記第2突部とが互いの凸状部分を乗り上げて摺動することを特徴とする請求項7に記載の操作装置。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0046】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態では、操作装置100及び車両用シフト装置500について説明する。先ず、操作装置100を用いた車両用シフト装置500について説明を行う。
【0047】
図1は、本発明の第1実施形態に係わる操作装置100を用いた車両用シフト装置500を説明する斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態の係わる操作装置100を用いた車両用シフト装置500を説明する図であって、
図2(a)は、
図1に示すY2側から見た正面図であり、
図2(b)は、
図1に示すX1側から見た側面図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係わる操作装置100を用いた車両用シフト装置500を説明する分解斜視図である。
【0048】
本発明の第1実施形態の操作装置100を用いた車両用シフト装置500は、
図1及び
図2に示すような箱状の外観を呈し、
図3に示すように、操作者によって把持されるシフトノブ50Nと、操作者によるシフトノブ50Nの傾倒操作を受けて多方向への操作が行える操作装置100と、操作装置100からの信号を受けて車両側機器に信号を送信する制御部50Cと、操作装置100の操作部材1が位置する複数のポジションを検出する位置検出手段(図示していない)と、を備えて構成されている。
【0049】
他に、本発明の第1実施形態では、車両用シフト装置500は、
図3に示すように、後述する操作装置100における支持体2の一部として利用されるケースK2(車両用シフト装置500の外観を形成している)と、ケースK2の上側の開放部分を覆うカバーK5と、操作装置100のケースK2に収容され制御部50Cが搭載された配線基板19と、を有している。そして、この車両用シフト装置500は、車両に搭載され、前後の第1方向D1(
図1に示すX方向)と第1方向D1と交差(本発明の第1実施形態では直交)する左右の第2方向D2(
図1に示すY方向)の傾倒操作が行える、車両のシフト操作のために用いられる。
【0050】
先ず、車両用シフト装置500のシフトノブ50Nは、
図1ないし
図3に示すように、操作者によって把持し易いように細長い形状で形成され、
図1及び
図2に示すように、操作装置100の操作部材1の操作軸1j(
図3を参照)を覆うようにして、操作部材1に係合されて配設されている。なお、シフトノブ50Nは、ABS樹脂(ABS、acrylonitrile butadiene styrene copolymer)等の合成樹脂を用いて、射出成形されて作製されている。
【0051】
次に、車両用シフト装置500の制御部50Cは、集積回路(IC、Integrated Circuit)を用いて構成され、箱状のケースK2に収容された配線基板19(
図3を参照)に搭載されている。そして、制御部50Cは、図示していないコネクタを介して車両側機器に接続され、シフトノブ50Nの傾倒操作を受けて操作がされた位置情報信号を車両側機器に送信している。この位置情報信号を受けて、車両側では、シフトパターンに対応した動作を行うとともに、シフトパターンにおけるシフトノブ50Nのポジションをインストルメントパネル等に設けられた表示部に表示するようにしている。
【0052】
次に、車両用シフト装置500の位置検出手段は、図示はしていないが、抵抗体パターンが形成された基板と抵抗パターンを摺接する摺動子とから構成される、所謂回転型可変抵抗器を用いており、第1方向D1の傾倒操作での複数のポジションを検出するための第1位置検出器と、第2方向D2の傾倒操作での複数のポジションを検出するための第2位置検出器と、を有して構成されている。そして、この第1位置検出器及び第2位置検出器は、箱状のケースK2に収容されている。なお、後述するが、第1位置検出器が支持体2の傾倒軸12e(第1傾倒軸、後述する
図5を参照)に係合されて傾倒軸12eの回転角度を検出しているとともに、第2位置検出器が支持体2の第2傾倒軸22j(後述する
図5を参照)に係合されて第2傾倒軸22jの回転角度を検出している。
【0053】
また、位置検出手段には、第1位置検出器及び第2位置検出器からのそれぞれの信号を処理する第1信号処理部51S及び第2信号処理部52Sを有しており、
図3に示すように、第1信号処理部51S及び第2信号処理部52Sは、配線基板19に搭載されている。また、第1信号処理部51S及び第2信号処理部52Sのそれぞれは、図示しないフレキシブルプリント基板(FPC、Flexible printed circuits)を介して、第1位置検出器及び第2位置検出器のそれぞれに接続されている。そして、第1信号処理部51Sは、第1位置検出器からの信号に基づいて傾倒軸12eの回転角度を算出し、この回転角度から操作部材1の第1方向D1への移動を検出している。同様にして、第2信号処理部52Sは、第2位置検出器からの信号に基づいて第2傾倒軸22jの回転角度を算出し、この回転角度から操作部材1の第2方向D2への移動を検出している。
【0054】
最後に、車両用シフト装置500のケースK2、カバーK5及び配線基板19について説明する。
【0055】
先ず、車両用シフト装置500のケースK2は、ポリブチレンテレフタレート(PBT、polybutyleneterephtalate)等の合成樹脂材を射出成形して作製されており、上面が開放された開口部を有して、矩形状で箱状に形成されている。
【0056】
また、ケースK2には、
図3に一方側を示すように、長手方向(
図3に示すX方向)で対向する壁部のそれぞれに互いの中心軸が一致する、円形形状の貫通した孔からなる軸受け部42kが形成されており、この軸受け部42kには、後述する支持体2の第2傾倒軸22j(
図5を参照)がそれぞれ挿通される(他方側は図示していない)。この軸受け部42kは、第2傾倒軸22jとともに支持体2の一部を構成している。
【0057】
次に、車両用シフト装置500のカバーK5は、ケースK2と同様に、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂材を射出成形して作製されており、
図3に示すように、板状に形成されて、ケースK2の上方側の開口部を覆うようにして配設されている。なお、詳細な図示はしていないが、カバーK5は、ケースK2と係合されている。
【0058】
また、カバーK5には、
図3に示すように、その中央部分に円形の貫通穴K5hが形成されており、この貫通穴K5hに操作部材1の操作軸1jが挿通されて、操作軸1jがカバーK5の上面側に露出するようになる。これにより、操作装置100の操作部材1の操作軸1jと車両用シフト装置500のシフトノブ50Nとが、係合できるようになる。
【0059】
最後に、車両用シフト装置500の配線基板19は、一般的な片面のプリント配線板(PWB、printed wiring board)を用いており、前述したように、制御部50C、第1信号処理部51S及び第2信号処理部52Sが搭載されている(
図3を参照)。また、配線基板19には、図示はしていないが、第1位置検出器と第1信号処理部51S、及び第2位置検出器と第2信号処理部52Sとの電気的接続のためのフレキシブルプリント基板(FPC)が接続されているとともに、外部機器との接続のためのコネクタが搭載されている。
【0060】
ここで、本発明の第1実施形態における、操作装置100を用いた車両用シフト装置500のシフト操作について、
図4を用いて具体的に説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係わる操作装置100を用いた車両用シフト装置500の操作を具体的に説明する図であって、
図4(a)は、車両のシフトの配置(シフトパターン)を示した平面図であり、
図4(b)は、シフトノブ50Nのポジション位置を示した平面図である。
図4(a)に示すシフトパターンは、前述したインストルメントパネル等に設けられた表示部に表示される。また、
図4(b)に示すポジション位置は、シフトノブ50N(操作部材1)が操作されて、操作部材1が移動した位置を模式化したものである。なお、
図4(a)に示すシフトパターンは、操作装置100が適用される車両用シフト装置500においての一例を示すものであって、このシフトパターンに限るものではない。
【0061】
本発明の第1実施形態の車両用シフト装置500は、シフトノブ50Nが変速機に直接接続されている機械制御方式の車両ではなく、電子制御方式の車両に適用される。故に、操作装置100から送信されるシフト位置の情報信号だけで、車両のシフト操作が行われる。このシフト位置は、前述したインストルメントパネル等に設けられた表示部に表示されたシフトパターンに示されている。
【0062】
例えば、シフトノブ50N(操作部材1)が
図4(b)に示す第2ポジションP2に位置し、シフト位置が
図4(a)に示すニュートラルモード“N”に位置する場合、シフトノブ50NをX2方向に傾倒操作して、
図4(b)に示す前1段ポジションS21にすると、
図4(a)に示すリバースモード“R”にシフト位置が移動したと、情報信号が車両側に送信され、車両のシフト操作が行われる。そして、操作者は、操作が完了したためシフトノブ50Nから手を離すので、シフトノブ50Nが自動復帰して、第2ポジションP2に戻るようになる。
【0063】
また、その後の操作で、第2ポジションP2に位置するシフトノブ50NをX1方向に傾倒操作し、
図4(b)に示す後1段ポジションS23、後2段ポジションS24と順に操作すると、リバースモード“R”にあったシフト位置が、
図4(a)に示すニュートラルモード“N”、ドライブモード“D”へと順に移動する。この操作を受けて、
図4(a)に示すドライブモード“D”にシフト位置が移動したと、情報信号が車両側に送信され、車両のシフト操作が行われる。そして、操作者は、操作が完了したためシフトノブ50Nから手を離すので、シフトノブ50Nが自動復帰して、第2ポジションP2に戻るようになる。
【0064】
このようにして、車両用シフト装置500は、リバースモード“R”、ニュートラルモード“N”及びドライブモード“D”を有するオート操作に対して、基準位置であるオート操作ポジションを操作装置100の操作部材1の第2ポジションP2に割り付けて使用している。この際に、前述したように、リバースモード“R”からドライブモード“D”に切り換えるため、操作装置100の操作部材1は、後1段ポジションS23、後2段ポジションS24とX1方向に2段に傾倒操作できるようになっている。同様にして、ドライブモード“D”からリバースモード“R”に切り換えるため、操作装置100の操作部材1は、
図4(b)に示す前1段ポジションS21、前2段ポジションS22とX2方向に2段に傾倒操作できるようになっている。なお、操作装置100の操作部材1のX方向への移動方向(傾倒方向)を、車両のシフト操作の第1方向D1として割り付けを行っている。
【0065】
一方、例えば、
図4(a)に示すドライブモード“D”にシフト位置がある場合、第2ポジションP2に位置するシフトノブ50NをY2方向に傾倒操作し、
図4(b)に示す操作部材1の第1ポジションP1にすると、ドライブモード“D”にあったシフト位置が、
図4(a)に示すマニュアルモード“M”に移動する。この際に、操作者がシフトノブ50Nから手を離しても、操作部材1(シフトノブ50N)は、第1ポジションP1に留まり、操作部材1の傾倒状態をそのまま維持している。
【0066】
また、その後の操作で、第1ポジションP1に位置するシフトノブ50NをX2方向に傾倒操作し、
図4(b)に示す前方ポジションS11にすると、
図4(a)に示すシフトアップモード“+”にシフト位置が移動したと、情報信号が車両側に送信され、車両のシフトアップ操作が行われる。同様にして、第1ポジションP1に位置するシフトノブ50NをX1方向に傾倒操作し、
図4(b)に示す後方ポジションS13にすると、
図4(a)に示すシフトダウンモード“−”にシフト位置が移動したと、情報信号が車両側に送信され、車両のシフトダウン操作が行われる。
【0067】
このようにして、車両用シフト装置500は、シフトアップモード“+”及びシフトダウンモード“−”を有するマニュアル操作に対して、基準位置であるマニュアル操作ポジションを操作装置100の操作部材1の第1ポジションP1に割り付けて使用している。なお、操作装置100の操作部材1が第1ポジションP1と第2ポジションP2とを移動するY方向への移動方向(傾倒方向)を、車両のシフト操作の第2方向D2として割り付けを行っている。
【0068】
以上のように、車両用シフト装置500は、第1方向D1及び第2方向D2に傾倒動作が可能な操作装置100を用いて、
図4(a)に示すシフトパターンに対応したシフト操作を行うことができる。なお、
図1ないし
図3でも、説明を分かり易くするため、傾倒操作の第1方向D1及び第2方向D2を図示している。
【0069】
次に、操作装置100について説明する。
【0070】
図5は、本発明の第1実施形態の操作装置100を説明する図であって、操作装置100の主要部分の斜視図である。
図6は、操作装置100の主要部分の正面図である。
図7は、
図5に示す枠体32、カム部材8及び第2傾倒軸22jを省略した斜視図である。
図8(a)は、
図7に示すY2側から見た正面図であり、
図8(b)は、
図7に示すX1側から見た側面図である。
図9(a)は、
図7に示す第1可動部材H13及び第1磁性体M14を省略した斜視図であり、
図9(b)は、
図9(a)に示す第2可動部材H23及び第2磁性体M24を省略した斜視図である。
図10(a)は、
図9(b)に示す駆動部材7及び永久磁石EMを省略した斜視図であり、
図10(b)は、
図10(a)に示す第4可動部材H43及び第4磁性体M44を省略した斜視図である。なお、
図8ないし
図10では、説明を分かり易くするため、操作部材1の操作軸1jの一部を省略している。また、
図5ないし
図10は、操作部材1が、第2方向D2の第2ポジションP2に位置する状態で、第1方向D1の傾倒操作がされない基準位置にある場合を示している。
【0071】
本発明の第1実施形態の操作装置100は、
図5に示すような外観を呈し、
図7ないし
図9に示すように、操作者の操作を受けて傾倒動作可能な操作部材1と、操作部材1を傾倒動作可能に支持する支持体2と、操作部材1に連動して第1方向D1(各図に示すX方向)へ傾倒動作する第1可動部材H13及び第2可動部材H23(
図9(a)を参照)と、第1可動部材H13に備えられた第1磁性体M14と、第2可動部材H23に備えられた第2磁性体M24(
図9(a)を参照)と、支持体2に支持された永久磁石EM(
図9(b)を参照)と、を備えて構成されている。そして、操作部材1が基準位置にある場合には、第1磁性体M14と第2磁性体M24とが互いに近づけられて永久磁石EMの一方側(各図に示す上方のZ1方向側)に配設されているとともに、第1磁性体M14及び第2磁性体M24と永久磁石EMとが互いに吸引されている。
【0072】
また、本発明の第1実施形態では、操作装置100は、
図7ないし
図10に示すように、操作部材1に連動して第1方向D1(各図に示すX方向)へ傾倒動作する第3可動部材H33(
図10(b)を参照)及び第4可動部材H43(
図10(a)を参照)と、第3可動部材H33に備えられた第3磁性体M34(
図10(b)を参照)と、第4可動部材H43に備えられた第4磁性体M44(
図10(a)を参照)と、を備えている。そして、操作部材1が基準位置にある場合には、第3磁性体M34と第4磁性体M44とが互いに近づけられて永久磁石EMの他方側(各図に示す下方のZ2方向側)に配置されているとともに、第3磁性体M34と第4磁性体M44と永久磁石EMが互いに吸引されている。
【0073】
また、本発明の第1実施形態では、操作装置100は、
図9(a)に示すように、第2磁性体M24に備えられ傾倒動作に伴って回動動作する駆動部材7(駆動部材7Aとする)と、第4磁性体M44に備えられ傾倒動作に伴って回動動作する駆動部材7(駆動部材7Bとする)と、を有している。また、操作装置100は、
図5及び
図6に示すように、ケースK2に備えられ駆動部材7(駆動部材7A及び駆動部材7B)の一方側と対向配置されたカム部材8を有している。このカム部材8の中心部には、第2傾倒軸22jが回転可能に挿通されている。
【0074】
そして、操作装置100は、操作者の傾倒操作を受けて、操作部材1が前後の第1方向D1(各図に示すX方向)の傾倒動作と、第1方向D1と交差する(本発明の第1実施形態では直交する)左右の第2方向D2(各図に示すY方向)の傾倒動作と、が行える多方向への操作が可能な装置となっている。
【0075】
先ず、操作装置100の操作部材1について説明する。
図11は、操作部材1を説明する図であって、
図11(a)は、操作部材1の斜視図であり、
図11(b)は、
図11(a)をY2側から見た操作部材1の正面図である。
【0076】
操作部材1は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂材を射出成形して作製されており、
図11に示すように、垂直方向(
図5に示すZ方向)に延在された柱状の操作軸1jと、操作軸1jの他端側に設けられ操作軸1jの中心軸が貫く平面に広がる基体部1dと、を有して構成されている。なお、操作部材1として合成樹脂材を用いたが、これに限るものではなく、例えば、亜鉛(Zn)等の金属材を用いても良い。
【0077】
操作部材1の操作軸1jは、
図11に示すように、円柱形状で形成され、基体部1dと一体に形成されている。また、操作軸1jは、
図2に示すように、上方部分(カバーK5の上面から露出する部分)が車両用シフト装置500のシフトノブ50Nに覆われて、シフトノブ50Nと係合されている。なお、操作軸1jとシフトノブ50Nとの係合構造については、一般的に広く用いられる係合構造を適用できるので、詳細な説明は省略する。
【0078】
操作部材1の基体部1dは、
図11に示すように、操作軸1jの他端側(下端側)に設けられ、その中央部分には、基体部1dの延在方向(
図11に示すX方向)と直交する方向(
図11(a)に示すY方向)に貫く貫通孔1hが設けられている。この貫通孔1hには、操作部材1の傾倒動作を可能にする支持体2の傾倒軸12e(第1傾倒軸)が挿通されて嵌合されている。そして、操作部材1の第1方向D1(
図11に示すX方向)への傾倒動作に伴って、基体部1dも連動して回動するように構成されている。
【0079】
また、基体部1dは、操作装置100が組み立てられた際には、第1可動部材H13(第2可動部材H23)と第3可動部材H33(第4可動部材H43)との間に配設されている。そして、基体部1dには、
図9ないし
図11に示すように、基体部1dが傾倒軸12eを中心軸として回動した際に、第1可動部材H13と当接可能な第1押圧部11pと、第2可動部材H23と当接可能な第2押圧部21pと、を有している。この第1押圧部11pと第2押圧部21pとは、基体部1dの一方側(
図11に示すZ1方向側)にそれぞれ設けられており、操作部材1が基準位置にある場合には、第1可動部材H13と第1押圧部11pとの距離が第2可動部材H23と第2押圧部21pとの距離よりも小さくなるようにそれぞれ対向配設されている。
【0080】
また、本発明の第1実施形態では、基体部1dには、
図10(b)及び
図11に示すように、基体部1dが傾倒軸12eを中心軸として回動した際に、第3可動部材H33と当接可能な第3押圧部31pと、第4可動部材H43と当接可能な第4押圧部41pと、を有している。この第3押圧部31pと第4押圧部41pとは、基体部1dの他方側(
図11に示すZ2方向側)にそれぞれ設けられており、操作部材1が基準位置にある場合には、第3可動部材H33と第3押圧部31pとの距離が第4可動部材H43と第4押圧部41pとの距離よりも小さくなるようにそれぞれ対向配設されている。
【0081】
次に、操作装置100の支持体2について説明する。
図12(a)は、支持体2の枠体32の上方斜視図であり、
図12(b)は、支持体2の枠体32の下方斜視図である。
【0082】
支持体2は、
図5及び
図6に示すように、操作部材1の傾倒動作(第1方向D1への傾倒動作)を可能にする傾倒軸12e(第1傾倒軸)と、軸線方向が傾倒軸12eと直交する第2傾倒軸22jと、操作部材1の傾倒操作(第2方向D2への傾倒動作)に応じて第2傾倒軸22jを回動中心として回動する枠体32と、ケースK2に設けられ第2傾倒軸22jが挿通されて枠体32を回動可能に支持している軸受け部42k(
図3を参照)と、から主に構成されている。
【0083】
先ず、支持体2の傾倒軸12eは、鉄等の軟磁性体からなり、円柱形状に形成されている。そして、操作装置100が組み立てられた際には、この傾倒軸12eは、操作部材1の基体部1dの貫通孔1hに挿通されて操作部材1と嵌合されるとともに、支持体2の枠体32と回動可能に係合している。
【0084】
また、操作装置100が組み立てられた際には、傾倒軸12eは、
図7に示すように、第1可動部材H13、第2可動部材H23、第3可動部材H33及び第4可動部材H43と可動可能に係合している。これにより、基体部1d、第1可動部材H13、第2可動部材H23、第3可動部材H33及び第4可動部材H43が同じ支持体2の傾倒軸12eを中心軸として回動する(傾倒動作する)こととなる。このことにより、部品点数を減らすことができるとともに、スペース使用効率が良く小型化を図ることができる。
【0085】
次に、支持体2の第2傾倒軸22jは、鉄等の軟磁性体からなり、
図5及び
図6に示すように、円柱形状に形成されて、枠体32(後述する穴部32k)に挿入されて固定されている。そして、操作装置100が組み立てられた際には、この第2傾倒軸22jは、ケースK2に設けられた軸受け部42kに回動可能に挿入される。
【0086】
次に、支持体2の枠体32は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂材を射出成形して作製されており、
図12に示すように、上下面が開放された開口部を有して、矩形状で枠状に形成されている。そして、操作装置100が組み立てられた際には、枠体32の収容部の中に、操作部材1の基体部1d、第2可動部材H23及び第2磁性体M24、第4可動部材H43及び第4磁性体M44、及び永久磁石EMが収容されるとともに、上面視して、第1可動部材H13及び第1磁性体M14並びに第3可動部材H33及び第3磁性体M34が枠体32の内側に位置している。
【0087】
また、枠体32には、
図12に示すように、枠体32の短手方向(
図12に示すY方向)に対向する長辺壁にそれぞれ孔部32hが互いの中心軸が一致するように形成されており、この孔部32hに傾倒軸12eが挿通されて(
図5を参照)、傾倒軸12eが枠体32に回動可能に支持されている。これにより、この傾倒軸12eを中心軸(回動中心)として、操作部材1の操作軸1jが第1方向D1への回動できるとともに、操作部材1の基体部1dもこの傾倒軸12eを中心軸として回動することができる。一方、この枠体32は、操作部材1の第1方向D1への傾倒動作と連動しなく、第1方向D1への傾倒動作が行われない部材となっている。
【0088】
また、枠体32には、
図12に示すように、枠体32の長手方向(
図12に示すX方向)に対向する短辺壁にそれぞれ穴部32kが互いの中心軸が一致するように形成されており、前述したように、この穴部32kに第2傾倒軸22jが挿通されて嵌合される。そして、操作装置100が組み立てられた際には、この第2傾倒軸22jは、ケースK2に設けられた軸受け部42kにそれぞれ挿通されて、回動可能に支持されるようになる(
図3を参照)。これにより、この第2傾倒軸22jを回動中心(中心軸)として、枠体32が第2方向D2へ回動できるようになっており、枠体32に傾倒軸12eを介して係合された操作部材1も、この第2傾倒軸22jを中心軸として第2方向D2に回動するようになっている。以上のことから、支持体2は、傾倒軸(第1傾倒軸)12eと第2傾倒軸22jと枠体32と軸受け部42kとを用いて、操作部材1を多方向(第1方向D1及び第2方向D2)への傾倒動作可能に支持していることとなる。
【0089】
また、枠体32には、
図12に示すように、枠内の収容部の内側に向けて突設した固定部32rが対向する長辺壁のそれぞれに形成されている。そして、操作装置100が組み立てられた際には、詳細な図示はしていないが、この固定部32rに、永久磁石EMがスナップイン等の手段で固定されるようになっている。
【0090】
次に、操作装置100の可動部材及び磁性体について説明する。本発明の第1実施形態に係わる操作装置100では、前述したように、可動部材として、第1可動部材H13、第2可動部材H23、第3可動部材H33及び第4可動部材H43を有している。また、操作装置100では、磁性体として、第1磁性体M14、第2磁性体M24、第3磁性体M34及び第4磁性体M44を有している。
【0091】
また、本発明の第1実施形態では、第1可動部材H13及び第1磁性体M14は、鉄等の軟磁性体からなり、折り曲げ加工等を施して、
図7に示すように、一体で形成されている。また、第3可動部材H33及び第3磁性体M34も、鉄等の軟磁性体からなり、折り曲げ加工等を施して、
図10(b)に示すように、一体で形成されている。これにより、操作装置100の部品点数を減らすことができるとともに、この部分の薄形化を図ることができる。なお、本発明の第1実施形態では、好適に、第1可動部材H13と第1磁性体M14と、及び第3可動部材H33と第3磁性体M34とを一体で形成したが、これに限るものではなく、別体で形成しても良い。
【0092】
先ず、操作装置100の可動部材は、操作部材1の基体部1dの第1押圧部11pと対向して配設された第1可動部材H13と、基体部1dの第2押圧部21pと対向して配設された第2可動部材H23と、基体部1dの第3押圧部31pと対向して配設された第3可動部材H33と、基体部1dの第4押圧部41pと対向して配設された第4可動部材H43と、を有して構成されている。そして、この4つの可動部材は、操作部材1の傾倒操作に伴う基体部1dの傾倒動作と連動して傾倒動作する。なお、第1可動部材H13及び第3可動部材H33が軟磁性体からなるのに対し、第2可動部材H23及び第4可動部材H43は、アルミニウム等の非磁性体材料で形成されている。また、第2可動部材H23及び第4可動部材H43も同様に、折り曲げ加工等を施して、作製されている。
【0093】
また、
図7に示すように、第1可動部材H13及び第2可動部材H23の一端側が傾倒軸12eに回動可能に遊嵌されており、傾倒軸12eを中心にしてそれぞれが独立して回動するようになっている。その際には、第2可動部材H23には、
図9(a)に示すように、U字状に切りかかれた逃げ部H23kが設けられており、この逃げ部H23kによって、基体部1dの第1押圧部11pと干渉する(当接する)ことを回避できている。
【0094】
そして、操作部材1が第1方向D1の一方の向き(
図8(a)に示すX2方向)に傾倒操作された際に、一方の向きへ傾倒動作する基体部1dの第1押圧部11p(
図11を参照)により、第1押圧部11pと対向する第1可動部材H13が押圧され、更に傾倒操作が一方の向きに継続された際に、基体部1dの第2押圧部21p(
図11を参照)により、第2押圧部21pと対向する第2可動部材H23が押圧されるように構成されている。
【0095】
同様にして、本発明の第1実施形態では、第3可動部材H33及び第4可動部材H43の一端側が傾倒軸12eに回動可能に遊嵌されており、傾倒軸12eを中心にしてそれぞれが独立して回動するようになっている。その際には、第2可動部材H23と同様に、第4可動部材H43には、
図9(b)に示すように、U字状に切りかかれた逃げ部H43kが設けられており、この逃げ部H43kによって、基体部1dの第3押圧部31pと干渉する(当接する)ことを回避できている。
【0096】
そして、操作部材1が第1方向D1の他方の向き(
図8(a)に示すX1方向)に傾倒操作された際に、他方の向きへ傾倒動作する基体部1dの第3押圧部31p(
図11を参照)により、第3押圧部31pと対向する第3可動部材H33が押圧され、更に傾倒操作が他方の向きに継続された際に、基体部1dの第4押圧部41p(
図11を参照)により、第4押圧部41pと対向する第4可動部材H43が押圧されるように構成されている。
【0097】
次に、操作装置100の磁性体は、第1可動部材H13に備えられた(一体に形成された)第1磁性体M14と(
図7を参照)、第2可動部材H23に備えられた第2磁性体M24と(
図9(a)を参照)、第3可動部材H33に備えられた(一体に形成された)第3磁性体M34と(
図10(b)を参照)、第4可動部材H43に備えられた第4磁性体M44と(
図10(a)を参照)、から構成されている。
【0098】
また、第2磁性体M24及び第4磁性体M44は、鉄等の軟磁性体の板状部材を用いて、切断加工等で作製されて板状に形成されている。そして、第2磁性体M24及び第4磁性体M44は、スポット溶接等の手段により、それぞれ第2可動部材H23及び第4可動部材H43と接合され、第2可動部材H23及び第4可動部材H43と一体となって動作するように構成されている。
【0099】
そして、
図8(a)に示すように、第1磁性体M14が永久磁石EMの一方側(
図8に示すZ1方向側)に配設されているとともに、第3磁性体M34が永久磁石EMの他方側(
図8に示すZ2方向側)に配置されている。
【0100】
更に、第2磁性体M24が第1磁性体M14と永久磁石EMとの間に配設されているとともに、第4磁性体M44が第3磁性体M34と永久磁石EMとの間に配設されている。そして、第2磁性体M24を支持している第2可動部材H23及び第4磁性体M44を支持している第4可動部材H43を非磁性体材料で成形する構成としたので、永久磁石EMから第2磁性体M24への磁束、或いは第4磁性体M44への磁束が、第2可動部材H23へ、或いは第4可動部材H43へと拡散することがなく、第2磁性体M24及び第4磁性体M44の狭い領域でのみ磁束流路が形成される。このため、永久磁石EMから第2磁性体M24及び第4磁性体M44より離れた位置にある第1磁性体M14及び第3磁性体M34は、第2磁性体M24及び第4磁性体M44の領域外で永久磁石EMからの多くの磁束を通過させる磁束流路を形成することができる。このことにより、第1磁性体M14及び第3磁性体M34における永久磁石EMへの吸引力を充分確保することができる。
【0101】
また、本発明の第1実施形態では、軟磁性体で一体に形成された第1可動部材H13及び第1磁性体M14と、軟磁性体で一体に形成された第3可動部材H33及び第3磁性体M34と、で、永久磁石EM、第2磁性体M24及び第4磁性体M44を覆うようにしてそれぞれ配設されて、しかも第1可動部材H13及び第3可動部材H33の一端側が係合される傾倒軸12eを軟磁性体で構成している。これにより、第1磁性体M14及び第1可動部材H13と傾倒軸12eと第3可動部材H33及び第3磁性体M34とで、永久磁石EMから発生した磁束の流路を形成することができる。このため、第1磁性体M14及び第3磁性体M34における永久磁石EMへの吸引力、及び第2磁性体M24及び第4磁性体M44における永久磁石EMへの吸引力を強めることができる。
【0102】
また、
図8(b)に示すように、第2磁性体M24及び第4磁性体M44と永久磁石EMとの間、第1磁性体M14と第2磁性体M24との間、並びに第3磁性体M34と第4磁性体M44との間に一定間隔の空間を有して、それぞれが配設されている。この一定間隔を保つためには、永久磁石EMの吸引力によって、磁性体と永久磁石或いは磁性体同士が吸着しないように、図示していない部分で磁性体或いは可動部材を支持している。具体的には、本発明の第1実施形態では、第1磁性体M14を枠体32の上部と磁性体の端部に一体に設けられた第1規制部15(
図5を参照)で、第2磁性体M24を駆動部材7Aとカム部材8で、第3磁性体M34を枠体32の下部と磁性体の端部に一体に設けられた第2規制部25(
図5を参照)で、第4磁性体M44を駆動部材7Bとカム部材8で、支持するようにしている。なお、枠体32と第1規制部15或いは第2規制部25とが直接当接する際に生じる当接音を防止するために、図示していない緩衝部材が枠体32側或いは規制部側(第1規制部15或いは第2規制部25)に設けられている。
【0103】
次に、操作装置100の永久磁石EMについて説明する。永久磁石EMは、一般的なサマリウムコバルト磁石等を用いており、
図9(a)に示すように、矩形で板状の形状で形成されている。この永久磁石EMは、前述したように、枠体32の固定部32rに固定されるとともに、第2磁性体M24と第4磁性体M44との間に配設されている。そして、操作部材1が基準位置にある場合には、第2磁性体M24がこの永久磁石EMと第1磁性体M14との間に位置するとともに、第4磁性体M44がこの永久磁石EMと第3磁性体M34との間に位置することとなる。
【0104】
ここで、以上で説明した構成要素を用いた第1方向D1への動きについて、
図8(a)、
図13及び
図14に示す模式図を交えながら、その詳細を説明する。なお、ここで説明する第1方向D1の動きについては、第2ポジションP2を基準位置として(
図4(b)を参照)、操作者の傾倒操作によって行われる動きとして説明する。
【0105】
図13は、本発明の第1実施形態の操作装置100における第1方向D1の動作を説明する模式図であって、
図13(a)は、基準位置の状態の図であり、
図13(b)は、第1方向D1の一方の向き(
図8(a)に示すX2方向)に傾倒した状態の図であり、
図13(c)は、
図13(b)より更に第1方向D1の一方の向きに傾倒した状態の図である。
図14は、本発明の第1実施形態の操作装置100における第1方向D1の動作を説明する模式図であって、
図14(a)は、
図13(a)と同じ基準位置の状態の図であり、
図14(b)は、第1方向D1の他方の向き(
図8(a)に示すX1方向)に傾倒した状態の図であり、
図14(c)は、
図14(b)より更に第1方向D1の他方の向きに傾倒した状態の図である。なお、
図13及び
図14では、説明を分かり易くするため、操作軸1jの一部と、枠体32、駆動部材7及びカム部材8を省略している。
【0106】
先ず、第1方向D1における操作部材1の一方の向き(
図13に示すX2方向)の傾倒動作について、
図13を用いて説明する。
【0107】
先ず、操作部材1が第2ポジションP2の基準位置にある際には、
図13(a)に示すように、操作部材1の基体部1dは、X方向に対して水平が保たれており、この基体部1dと対向した4つの可動部材(第1可動部材H13、第2可動部材H23、第3可動部材H33、第4可動部材H43)も水平が保たれている。そして、2つの可動部材にそれぞれ備えられた(一体となった)第1磁性体M14と第3磁性体M34、及び2つの可動部材にそれぞれ備えられた第2磁性体M24と第4磁性体M44が、永久磁石EMを間に挟み、近接して対向配設されている。これにより、操作部材1が基準位置(第2ポジションP2)にある場合には、永久磁石EMを挟んでそれぞれの磁性体がすべて吸引されているので、操作部材1にガタツキが生じないという効果を奏している。
【0108】
次に、操作者により操作部材1の
図13(a)に示す基準位置(第2ポジションP2)から一方の向き(
図13(a)に示すX2方向)に傾倒操作されると、傾倒軸12eを回動中心として操作部材1の回動が行われ、基体部1dも傾倒軸12eを回動中心として回動が行われる。そして、基体部1dの第1押圧部11p(
図11を参照)が対向する第1可動部材H13を押圧し、第1可動部材H13が上方側に回動するようになる。そして、第1可動部材H13の傾倒動作に伴って、第1可動部材H13と一体となった第1磁性体M14も回動して一方の向きに傾倒動作する。
【0109】
これにより、
図13(b)に示すように、第1磁性体M14と枠体32に固定された永久磁石EMとが離反し、第1磁性体M14と永久磁石EMとの強い吸引状態から弱い吸引状態へ変化する。その際には、操作部材1は、第2ポジションP2から前1段ポジションS21(
図4(b)を参照)に位置するようになり、操作者に対して、第2ポジションP2から前1段ポジションS21に移動する際の節度感(クリック感)が得られるようになる。
【0110】
更に、操作者により操作部材1の
図13(b)に示す位置(前1段ポジションS21)から一方の向き(X2方向)への傾倒操作が継続されると、操作部材1の更なる回動が行われ、基体部1dも更なる回動が行われる。そして、基体部1dの第2押圧部21p(
図11(a)を参照)が対向する第2可動部材H23を押圧し、第2可動部材H23が上方側に回動するようになる。そして、第2可動部材H23の傾倒動作に伴って、第2可動部材H23に備えられた第2磁性体M24も回動して一方の向きに傾倒動作する。
【0111】
これにより、
図13(c)に示すように、第2磁性体M24と永久磁石EMとが離反し、第2磁性体M24と永久磁石EMとの強い吸引状態から弱い吸引状態へ変化する。その際には、操作部材1は、前1段ポジションS21から前2段ポジションS22(
図4(b)を参照)に位置するようになり、操作者に対して、前1段ポジションS21から前2段ポジションS22に移動する際の節度感(クリック感)が得られるようになる。なお、第1可動部材H13もさらに回動するが、すでに弱い吸着力の状態であるため、この回動動作による節度感への影響はほとんど無い。
【0112】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の操作装置100は、操作部材1が基準位置(第2ポジションP2)から第1方向D1の一方の向きに傾倒されて複数のポジションに位置する際には、
図13に示すように、先ず第1磁性体M14が永久磁石EMから離れ、次に第2磁性体M24が永久磁石EMから離れる構成とした。これにより、例えば基準位置から次のポジション、次のポジションから更に次のポジションへの切り換えに際し、磁性体(第1磁性体M14と第2磁性体M24)と永久磁石EMとの強い吸引状態から弱い吸引状態へ変化するようになり、操作者に対して、節度感を与えることができる。このことにより、従来例と比較して、節度感を生じさせる部分に摺動機構がないため、耐久性が優れている操作装置100を提供することができる。
【0113】
更に、節度感を生じさせる部分に磁性体(第1磁性体M14及び第2磁性体M24)と永久磁石EMを用いたので、従来例の節度ばね909及び節度体910を用いた場合と比較して、小型化が可能である
【0114】
また、本発明の第1実施形態の操作装置100では、操作部材1が一方の向き(
図13に示すX2方向)に傾倒操作された際に、基体部1dの第1押圧部11pが対向する第1可動部材H13を押圧し、第1可動部材H13と一体となった第1磁性体M14が傾倒動作され、第1磁性体M14と永久磁石EMとが離反し、更に傾倒操作が一方の向きに継続された際に、第2押圧部21pが対向する第2可動部材H23を押圧し、第2可動部材H23に備えられた第2磁性体M24が傾倒動作され、第2磁性体M24と永久磁石EMとが離反するように、具体的に構成されている。これにより、操作部材1が基準位置にある場合に、第1押圧部11pと第1可動部材H13との距離が第2押圧部21pと第2可動部材H23との距離よりも小さくなるように、簡単にそれぞれ対向配設するだけで、第1磁性体M14と永久磁石EMとの離反、第2磁性体M24と永久磁石EMとの離反、と順次行うことができる。このことにより、節度感を有した操作装置100を容易に作製することができる。
【0115】
次に、本発明の第1実施形態の操作装置100では、操作部材1の他方の向き(
図13(a)に示すX1方向)の傾倒操作においても、同様な構成を有している。そこで、第1方向D1における操作部材1の他方の向き(
図14に示すX1方向)の傾倒動作についても
図14を用いて説明する。
【0116】
先ず、操作者により操作部材1の
図14(a)に示す基準位置(第2ポジションP2)から他方の向き(
図14(a)に示すX1方向)に傾倒操作されると、傾倒軸12eを回動中心として操作部材1の回動が行われ、基体部1dの第3押圧部31p(
図11(b)を参照)が対向する第3可動部材H33を押圧し、第3可動部材H33が下方側に回動するようになる。そして、第3可動部材H33の傾倒動作に伴って、第3可動部材H33と一体となった第3磁性体M34も回動して他方の向きに傾倒動作する。
【0117】
これにより、
図14(b)に示すように、第3磁性体M34と枠体32に固定された永久磁石EMとが離反し、第3磁性体M34と永久磁石EMとの強い吸引状態から弱い吸引状態へ変化する。その際には、操作部材1は、第2ポジションP2から後1段ポジションS23(
図4(b)を参照)に位置するようになり、操作者に対して、第2ポジションP2から後1段ポジションS23に移動する際の節度感(クリック感)が得られるようになる。
【0118】
更に、操作者により操作部材1の
図14(b)に示す位置(後1段ポジションS23)から他方の向き(X1方向)への傾倒操作が継続されると、操作部材1の更なる回動が行われ、基体部1dの第4押圧部41p(
図11(b)を参照)が対向する第4可動部材H43を押圧し、第4可動部材H43が下方側に回動するようになる。そして、第4可動部材H43の傾倒動作に伴って、第4可動部材H43に備えられた第4磁性体M44も回動して他方の向きに傾倒動作する。
【0119】
これにより、
図14(c)に示すように、第4磁性体M44と永久磁石EMとが離反し、第4磁性体M44と永久磁石EMとの強い吸引状態から弱い吸引状態へ変化する。その際には、操作部材1は、後1段ポジションS23から後2段ポジションS24(
図4(b)を参照)に位置するようになり、操作者に対して、後1段ポジションS23から後2段ポジションS24に移動する際の節度感(クリック感)が得られるようになる。なお、第3可動部材H33もさらに回動するが、すでに弱い吸着力の状態であるため、この回動動作による節度感への影響はほとんど無い。
【0120】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の操作装置100は、操作部材1が基準位置(第2ポジションP2)から第1方向D1の他方の向きに傾倒されて複数のポジションに位置する際には、
図14に示すように、先ず第3磁性体M34が永久磁石EMから離れ、次に第4磁性体M44が永久磁石EMから離れる構成とした。これにより、例えば基準位置から次のポジション、次のポジションから更に次のポジションへの切り換えに際し、磁性体(第3磁性体M34と第4磁性体M44)と永久磁石EMとの強い吸引状態から弱い吸引状態へ変化するようになり、操作者に対して、節度感を与えることができる。このことにより、第1方向D1の他方の向きに対しても、従来例と比較して、節度感を生じさせる部分に摺動機構がないため、より耐久性が優れている。
【0121】
更に、第1方向D1の一方の向き及び他方の向きに対して、共通した永久磁石EMを用いているので、傾倒動作の向きやポジションを増やしても永久磁石EMを増やす必要がなく、低価格化が可能となるとともに、従来例の節度ばね909及び節度体910を用いた場合と比較して、小型化が可能である。
【0122】
また、本発明の第1実施形態の操作装置100では、操作部材1が他方の向き(
図14に示すX1方向)に傾倒操作された際に、基体部1dの第3押圧部31pが対向する第3可動部材H33を押圧し、第3可動部材H33と一体となった第3磁性体M34が傾倒動作され、第3磁性体M34と永久磁石EMとが離反し、更に傾倒操作が他方の向きに継続された際に、第4押圧部41pが対向する第4可動部材H43を押圧し、第4可動部材H43に備えられた第4磁性体M44が傾倒動作され、第4磁性体M44と永久磁石EMとが離反するように、具体的に構成されている。これにより、操作部材1が基準位置にある場合に、第3押圧部31pと第3可動部材H33との距離が第4押圧部41pと第4可動部材H43との距離よりも小さくなるように、簡単にそれぞれ対向配設するだけで、第3磁性体M34と永久磁石EMとの離反、第4磁性体M44と永久磁石EMとの離反、と順次行うことができる。このことにより、節度感を有した操作装置100を容易に作製することができる。
【0123】
また、本発明の第1実施形態では、操作部材1をX2方向或いはX1方向に傾倒させて、
図13(b)及び
図13(c)或いは
図14(b)及び
図14(c)に示すように、永久磁石EMと磁性体(第1磁性体M14及び第2磁性体M24、第3磁性体M34及び第4磁性体M44)が離反した際に、それぞれの間に働く吸引力が消失しない位置にそれぞれ配設されている。これにより、例えば各ポジション(前1段ポジションS21、前2段ポジションS22、後1段ポジションS23及び後2段ポジションS24)において、操作者による傾倒操作の力が取り除かれたときに、引き剥がされた第1磁性体M14と永久磁石EMと或いは第2磁性体M24と永久磁石EMと或いは第3磁性体M34と永久磁石EMと或いは第4磁性体M44と永久磁石EMとが、互いの吸引力により再び強く吸引する方向に回動することとなる。このことにより、自動復帰のための復帰部材を使用しなくても、操作部材1を基準位置(第2ポジションP2)に自動復帰させることができる。
【0124】
このように、本発明の第1実施形態の操作装置100は、第1方向D1において、基準位置から、操作者により第1方向D1の一方向及び他方向(X2方向及びX1方向)に操作部材1を傾倒操作できるように構成されている。なお、以上の説明では、第1方向D1への動きについて第2ポジションP2を基準位置として詳細に説明を行ってきたが、第1ポジションP1を基準位置とした場合においても同様な動きをするので、詳細な説明は省略する。
【0125】
次に、操作装置100の駆動部材7とカム部材8について説明する。
図15は、駆動部材7及びカム部材8を説明する図であって、
図5をX1側から見た側面図である。
【0126】
先ず、操作装置100の駆動部材7について説明する。駆動部材7は、アルミニウム(Al)等のダイキャストで作製されており、
図9に示すように、板状で両端部が直角に曲げられた2つの駆動部材7A及び駆動部材7Bを有している。この駆動部材7Aと駆動部材7Bは、同じ形状で作製されており、操作装置100が組み立てられた際には、
図15に示すように、X1方向から見た場合、第2傾倒軸22jの中心軸(
図15中に示すCA)に対して、点対称の形状で形成されている。
【0127】
また、駆動部材7Aは、
図9(a)に示すように、折り曲げられた一端部7aが第2磁性体M24と係合されて、第2磁性体M24の傾倒動作と連動するように第2磁性体M24に備えられている。また、駆動部材7Bは、
図9(b)に示すように、折り曲げられた一端部7bが第4磁性体M44と係合されて、第4磁性体M44の傾倒動作と連動するように第4磁性体M44に備えられている。このため、操作部材1の傾倒動作に伴って、可動部材(第2可動部材H23及び第4可動部材H43)及び磁性体(第2磁性体M24及び第4磁性体M44)が回動動作し、同時に駆動部材7(駆動部材7A及び駆動部材7B)が回動動作するようになっている。なお、駆動部材7Aと第2磁性体M24、及び駆動部材7Bと第4磁性体M44は、スポット溶接等の手段により、接合されている。
【0128】
また、駆動部材7Aの折り曲げられた他端部7eには、
図15に示すように、下方(
図15に示すZ2方向)向けて凸状に形成された第1突部17Aを有している。そして、この第1突部17Aの表面を含んだ他端部7eの一方側の面が摺動面17pとなっている。また、駆動部材7Bの折り曲げられた他端部7fには、駆動部材7Aと同様に、
図15に示すように、上方(
図15に示すZ1方向)向けて凸状に形成された第1突部17Bを有している。そして、この第1突部17Bの表面を含んだ他端部7fの一方側の面が摺動面17qとなっている。なお、操作装置100が組み立てられた際には、この第1突部17Aと第1突部17Bとは、
図15に示すように、X1方向から見た場合、第2傾倒軸22jの中心軸(
図15中に示すCA)に対して、点対称の位置に配設されるように構成されている。
【0129】
次に、操作装置100のカム部材8について説明する。カム部材8は、亜鉛(Zn)等のダイキャストで作製されており、
図15に示すように、板状で上下の面が円形形状であり、両側面の対向する部分が直線形状で形成されている。また、カム部材8の中央部分(円形形状の中心部分)には、板厚方向に貫通した穴が設けられており、この穴には、第2傾倒軸22jが回動可能に挿入されている。そして、操作装置100が組み立てられた際には、カム部材8は、ケースK2の内側の側壁に固定されて、
図5及び
図15に示すように、駆動部材7Aの他端部7eの一方側の面と対向して配置されるとともに、駆動部材7Bの他端部7fの一方側の面と対向して配置される。なお、本発明の第1実施形態では、このケースK2の側壁をカム部材8を備える支持体2として利用している。
【0130】
また、カム部材8には、
図15に示すように、駆動部材7Aの第1突部17Aと対向する側に、上方(
図15に示すZ1方向)向けて凸状に形成された2つの第2突部28Aと、凸状と対をなす凹状の3つの凹部A8rと、を有している。そして、この第2突部28Aの表面を含んだ面(駆動部材7Aの他端部7eの一方側と対向している面)が案内面28pとなっている。また、カム部材8には、駆動部材7Bの第1突部17Bと対向する側に、下方(
図15に示すZ2方向)向けて凸状に形成された2つの第2突部28Bと、凸状と対をなす凹状の3つの凹部B8rと、を有している。そして、この第2突部28Bの表面を含んだ面(駆動部材7Bの他端部7fの一方側と対向している面)も案内面28qとなっている。なお、この第2突部28Aと第2突部28Bとは、
図15に示すように、X1方向から見た場合、第2傾倒軸22jの中心軸(
図15中に示すCA)に対して、点対称の位置に形成されている。
【0131】
ここで、
図8(b)、
図15ないし
図17に示す図を交えて操作装置100における第2方向D2への動きについて説明することにより、駆動部材7及びカム部材8の更なる説明を加えることとする。また、第2方向D2に移動する動きについては、第1ポジションP1と第2ポジションP2の基準位置(
図4(b)を参照)間における、操作者の傾倒操作によって行われる動きについて説明する。
【0132】
図16は、本発明の第1実施形態の操作装置100における動作を説明する模式図であって、
図16(a)は、操作部材1が第2ポジションP2にある状態の図であり、
図16(b)は、操作部材1が第2ポジションP2と第1ポジションP1との間にある状態の図であり、
図16(c)は、操作部材1が第1ポジションP1にある状態の図である。
図16には、駆動部材7A側のみを記載し、
図16(b)及び
図16(c)には、駆動部材7Aの軌跡を二点鎖線で示している。
図17は、本発明の第1実施形態に係わる操作装置100のポジション位置を示した模式図である。
図17には、車両用シフト装置500のシフトの配置(シフトパターン)を二点鎖線で示している。
【0133】
先ず、
図16(a)に示す基準位置である第2ポジションP2(
図17を参照)にある場合には、
図8(b)に示すように、第2磁性体M24と第4磁性体M44とが永久磁石EMを間に挟み近づけて対向配設されているので、第2磁性体M24と第4磁性体M44とが互いに強い力で吸引されている。このため、
図15に示すように、中央の凹部A8rにおいて、第2磁性体M24に備えられた駆動部材7Aの摺動面17pと支持体2(ケースK2の側壁の部分)に固定されたカム部材8の案内面28pとが当接されている。同様にして、中央の凹部A8rにおいて、駆動部材7Bの摺動面17qとカム部材8の案内面28qとが当接されている。これにより、操作部材1が第2ポジションP2に保持されるようになる。
【0134】
次に、
図4(b)に示す基準位置である第2ポジションP2から、操作者により操作部材1が第2方向D2の一方向(
図8(b)に示すY2方向)に傾倒操作されると、
図16(b)に示すように、操作部材1の傾倒動作に伴って駆動部材7Aが一方向に移動する。その際には、駆動部材7Aの摺動面17p(主に第1突部17Aの表面)がカム部材8の案内面28p(主に第2突部28Aの表面)を摺動するようになり、
図16(b)に示すように、第1突部17Aの頂部と第2突部28Aの頂部とが突き合わされるようになる。このため、駆動部材7Aがカム部材8と離れる上方の方向(
図16に示すZ1方向)に移動するので、駆動部材7Aと一体となった第2磁性体M24も第2突部28Aの凸状部分の形状に倣って可動し、上方の方向に移動するようになる。
【0135】
同様にして、図示はしていないが、操作部材1の第2方向D2の一方向への傾倒動作に伴って、駆動部材7Aとは第2傾倒軸22jを挟んで反対側にある駆動部材7Bが第2方向D2の他方向(
図8(b)に示すY1方向)に移動する。その際には、駆動部材7Bの摺動面17q(主に第1突部17Bの表面)がカム部材8の案内面28q(主に第2突部28Bの表面)を摺動するようになり、第1突部17Bの頂部と第2突部28Bの頂部とが突き合わされるようになる。このため、駆動部材7Bがカム部材8と離れる下方の方向(
図15に示すZ2方向)に移動するので、駆動部材7Bと一体となった第4磁性体M44も第2突部28Bの凸状部分の形状に倣って可動し、下方の方向に移動するようになる。
【0136】
これにより、操作部材1が基準位置(第2ポジションP2)にある場合に、第2磁性体M24と永久磁石EM並びに第4磁性体M44と永久磁石EMが互いに強く吸着していたが、第2方向D2に傾倒された際には、第2磁性体M24と永久磁石EM並びに第4磁性体M44と永久磁石EMが離反するようになる。このため、第2磁性体M24と永久磁石EM並びに第4磁性体M44と永久磁石EMの強い吸引状態から弱い吸引状態へ変化する。
【0137】
更に、操作者により操作部材1が
図16(b)に示す位置から一方向への傾倒操作が継続されると、
図16(c)に示すように、更に駆動部材7Aが一方向に移動し、駆動部材7Aの摺動面17pがカム部材8の案内面28pを摺動するようになり、
図16(c)に示すように、駆動部材7Aが一方向側の隣の凹部A8rに移動する。同様にして、図示はしていないが、更に駆動部材7Bが他方向に移動し、駆動部材7Bの摺動面17qがカム部材8の案内面28qを摺動するようになり、駆動部材7Bが他方向側の隣の凹部A8rに移動する。そして、操作部材1は、基準位置(第2ポジションP2)から次のポジション(第1ポジションP1、
図17を参照)に位置することとなる。
【0138】
その際には、駆動部材7Aとカム部材8とが近づく下方の方向(
図16に示すZ2方向)に移動するとともに、駆動部材7Bとカム部材8とが近づく上方の方向(
図16に示すZ1方向)に移動するように、カム部材8の案内面28p及び案内面28qを構成している。このため、第2磁性体M24と永久磁石EM並びに第4磁性体M44と永久磁石EMが再び強い吸引状態へ変化し、操作部材1が次のポジション(第1ポジションP1)に保持されるようになる。
【0139】
以上のようにして、操作部材1が第2ポジションP2の基準位置から第2方向D2に傾倒されて次のポジション(第1ポジションP1)に位置する際には、突き合わされた駆動部材7Aの摺動面17pに設けられた第1突部17Aとカム部材8の案内面28pに設けられた第2突部28Aとが互いの凸状部分を乗り上げて摺動するようになる。このため、駆動部材7Aと連動する磁性体(本発明の第1実施形態では第2磁性体M24)が凸状部分の形状に倣って可動することとなり、磁性体(第2磁性体M24)と永久磁石EMとが、第1突部17Aと第2突部28Aの頂部同士が突き合わされるまでに徐々に引き剥がされてお互い離反し、その後、再び近づくようになる。これにより、その際の強い吸引状態から弱い吸引状態への変化が生じ、操作者に対して、節度感を与えることができる。このことにより、簡単なカム構造と磁性体(第2磁性体M24)及び永久磁石EMとを兼用しているので、新たに部品を追加する必要がなく、従来例と比較して、小型化を図ることができる。
【0140】
更に、本発明の第1実施形態では、もう一組の駆動部材7Bの第1突部17Bとカム部材8の第2突部28Bとを備えているので、操作部材1が第2ポジションP2の基準位置から第2方向D2に傾倒されて次のポジション(第1ポジションP1)に位置する際には、突き合わされた摺動面17qの第1突部17Bと案内面28qの第2突部28Bとが互いの凸状部分を乗り上げて摺動するようになる。このため、駆動部材7Bと連動する磁性体(本発明の第1実施形態では第4磁性体M44)と永久磁石EMとが、第1突部17Bと第2突部28Bの頂部同士が突き合わされるまでに徐々に引き剥がされてお互い離反し、その後、再び近づくようになる。
【0141】
これにより、その際の強い吸引状態から弱い吸引状態への変化が生じ、第2方向D2への傾倒操作に対して、操作者に与える操作荷重を更に増やす(約2倍)ことができ、操作者に対してより強い節度感を与えることができる。しかも、カム部材8の外側端部の両側にこのカム機構を設けることで、第2方向D2への傾倒操作をバランス良く行うことができる。更に、1箇所あたりの駆動部材7とカム部材8との摺動負荷も低減させることができ、耐久性を向上させることができる。なお、云うまでもないが、第1ポジションP1の基準位置から第2方向D2に傾倒されて第2ポジションP2に位置する際にも同じような動作が行われる。
【0142】
また、本発明の第1実施形態では、カム部材8には、更にもう1つの第2突部28A及び第2突部28Bを有しているので、基準位置である第2ポジションP2から、操作者により操作部材1が第2方向D2の他方向(
図8(b)に示すY1方向)に傾倒操作されると、駆動部材7A側で突き合わされた第1突部17Aともう1つの第2突部28Aとが互いの凸状部分を乗り上げて摺動するようになる。そして、操作部材1は、基準位置(第2ポジションP2)から次のポジション(
図17に示す第3ポジションP3)に位置することとなる。その際にも、第2磁性体M24と永久磁石EMとが引き剥がされて、強い吸引状態から弱い吸引状態への変化が生じ、操作者に対して、節度感を与えることができる。
【0143】
このように、本発明の第1実施形態の操作装置100は、第2方向D2においても、基準位置から、操作者により第2方向D2の一方向及び他方向(Y2方向及びY1方向)に操作部材1を傾倒操作できるように構成されている。そして、操作装置100は、
図17に示すように、15のポジションに操作部材1を位置させることができる。これにより、シフトの配置(シフトパターン)が違う多様な車両に適用することができる。
【0144】
以上のように、本発明の第1実施形態の操作装置100は、
図4(a)に示すシフトの配置(シフトパターン)を有した車両用シフト装置500に好適に適用することができる。つまり、本発明の第1実施形態の車両用シフト装置500が各ポジション(前方ポジションS11或いは前1段ポジションS21、前2段ポジションS22、第1ポジションP1或いは第2ポジションP2、後方ポジションS13或いは後1段ポジションS23、後2段ポジションS24、
図17を参照)への第1方向D1及び第2方向D2の操作が行えるシフトの配置(シフトパターン)を有しているので、操作装置100は、この車両用シフト装置500に好適に適用することができる。これにより、車両用シフト装置500は、節度感を有したシフト操作を行うことができ、しかも従来例と比較して、第1方向D1に関しては、節度感を生じさせる部分に摺動機構がないため、耐久性が優れた車両用シフト装置500となる。
【0145】
また、簡単なカム構造(駆動部材7及びカム部材8)と磁性体及び永久磁石EMとを兼用しているので、新たに部品を追加する必要がなく、従来例と比較して、小型化を図ることができる。これらのことにより、節度感を有し耐久性に優れているとともに小型化が図れた車両用シフト装置500を提供することができる。
【0146】
更に、操作装置100の操作部材1が基準位置にある場合には、永久磁石EMを挟んで、磁性体同士がすべて強い力で吸引されているので、操作部材1に係合されたシフトノブ50Nが基準位置にある際に、車両が走行中であってもシフトノブ50Nにガタツキが生じなく、車両用シフト装置500に、より一層好適である。
【0147】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0148】
図18は、変形例を説明する模式図であって、
図18(a)は、磁性体及び永久磁石EMの位置関係を変形した変形例1及び変形例2の側面図であって、
図18(b)は、磁性体の形状を変形した変形例3及び変形例4の側面図である。
図19は、変形例8を説明する模式図であって、駆動部材7(7A)とカム部材C8の部分拡大図である。
【0149】
<変形例1><変形例2>
上記第1実施形態では、
図8(b)に示すように、永久磁石EM、第2磁性体M24、第1磁性体M14の順で、永久磁石EMの一方側に配設されている構成であったが、これに限るものではない。例えば、
図18(a)に示すように、第1磁性体CM14及び第2磁性体CM24が永久磁石EMに沿った方向で横並びに配設されていても良い{変形例1}。同様にして、第3磁性体CM34及び第4磁性体CM44が永久磁石EMに沿った方向で横並びに配設されていても良い{変形例2}。
【0150】
<変形例3>
上記第1実施形態では、
図7及び
図9に示すように、第1磁性体M14及び第2磁性体M24が矩形で板状形状をしている構成としたが、これに限るものではなく、例えば、
図18(b)に示すように、第1磁性体DM14及び第2磁性体DM24の両端側のそれぞれが永久磁石EMと対向するようにして曲げられている形状であっても良い。これにより、永久磁石EMが発生する磁束が第1磁性体DM14及び第2磁性体DM24を通る磁束流路を形成することとなり、永久磁石EMと第1磁性体DM14及び第2磁性体DM24との間の吸引力を高めることができる。このことにより、操作者に対して、より強い節度感を付与することができる。
【0151】
<変形例4>
上記第1実施形態では、
図10に示すように、第3磁性体M34及び第4磁性体M44が矩形で板状形状をしている構成としたが、これに限るものではなく、変形例3と同様にして、例えば、
図18(b)に示すように、第3磁性体DM34及び第4磁性体DM44の両端側のそれぞれが永久磁石EMと対向するようにして曲げられている形状であっても良い。これにより、永久磁石EMと第3磁性体DM34及び第4磁性体DM44との間の吸引力を高めることができ、操作者に対して、より強い節度感を付与することができる。
【0152】
<変形例5>
上記第1実施形態では、支持体2の傾倒軸12eを好適に軟磁性体で作製したが、これに限るものではない。例えば、非磁性のアルミニウムや銅合金等の金属材でも良いし、非磁性体の合成樹脂材料でも良い。
【0153】
<変形例6><変形例7>
上記第1実施形態では、駆動部材7を磁性体(第2磁性体M24或いは第4磁性体M44)に備える構成としたが、これに限るものではない。例えば、他の磁性体(第1磁性体M14或いは第3磁性体M34)に駆動部材7を備える構成でも良いし{変形例6}、操作部材1の傾倒動作(第1方向D1の傾倒動作)に伴って回動動作する可動部材(第1可動部材H13、第2可動部材H23、第3可動部材H33、第4可動部材H43)の少なくとも一つに駆動部材7が備えられていれば良い{変形例7}。
【0154】
<変形例8><変形例9>
上記第1実施形態では、
図16に示すように、2つの第2突部28Aの間に位置する凹部A8rと2つの第2突部28Aの両側に位置する2つの凹部A8rとを、同等の深さの凹状としたが、これに限るものではない。例えば、
図19に示すように、2つの第2突部C28の両側に位置する2つの凹部C8rの深さが第1突部17A(或いは第1突部17B)をその位置に保持できない程度にまで浅い凹状に構成された案内面C28pであっても良い{変形例8}。これにより、操作者による傾倒操作力が取り除かれたときに、引き剥がされた第2磁性体M24と永久磁石EM(或いは第4磁性体M44と永久磁石EM)とが、互いの吸引力により再び強く吸引する方向に回動することとなり、第1突部17A(或いは第1突部17B)が案内面C28pの傾斜面を保持されること無くすべり落ちて、2つの第2突部C28の間に位置する凹部C8rに第1突部17A(或いは第1突部17B)が収容される。このことにより、第2方向D2においても第1方向D1の傾倒動作と同様に、自動復帰のための付勢部材を使用しなくても、操作部材1を基準位置に自動復帰させることができる。また、第1突部17A(或いは第1突部17B)が案内面C28pの傾斜面で保持されること無くすべり落ちることができれば、例えば、2つの凹部C8rの深さが全く無い平らな構成でも良い{変形例9}。
【0155】
<変形例10>
上記第1実施形態では、カム部材8の案内面28pに2つの第2突部28A(或いは第2突部28B)を設ける構成としたが、これに限るものではなく、3つ以上の第2突部28A(或いは第2突部28B)を設ける構成でも良い。これにより、第2方向D2においても、4つ以上のポジションへの傾倒操作が可能になる。
【0156】
<変形例11>
上記第1実施形態では、第3可動部材H33、第4可動部材H43、第3磁性体M34、第4磁性体M44、第3押圧部31p及び第4押圧部41pを好適に用いた構成としたが、これに限るものではなく、例えばこれらの構成要素が無い構成でも良い。
【0157】
<変形例12>
上記第1実施形態では、好適にカム部材8と駆動部材7との組合せを2つ用いた構成としたが、これに限るものではなく、例えばいずれか一方の組合せだけでも良い。
【0158】
<変形例13><変形例14>
上記第1実施形態では、第1可動部材H13、第2可動部材H23、第3可動部材H33及び第4可動部材H43が、同一の傾倒軸12eを中心軸として回動するように好適に構成したが、これに限るものではない。例えば、第3可動部材H33及び第4可動部材H43が別な軸を中心軸として回動するように構成しても良いし{変形例13}、全ての可動部材が別々な傾倒軸を中心軸として回動するように構成しても良い{変形例14}。
【0159】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。