特表-17142030IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年8月24日
【発行日】2018年12月13日
(54)【発明の名称】アルミニウム合金および締結部材
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/02 20060101AFI20181116BHJP
   C22C 21/12 20060101ALI20181116BHJP
   C22C 21/00 20060101ALI20181116BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20181116BHJP
   C22F 1/043 20060101ALN20181116BHJP
   C22F 1/053 20060101ALN20181116BHJP
   C22F 1/04 20060101ALN20181116BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20181116BHJP
【FI】
   C22C21/02
   C22C21/12
   C22C21/00 L
   F16B35/00 J
   C22F1/043
   C22F1/053
   C22F1/04 B
   C22F1/00 602
   C22F1/00 601
   C22F1/00 640A
   C22F1/00 630A
   C22F1/00 630B
   C22F1/00 625
   C22F1/00 624
   C22F1/00 651B
   C22F1/00 683
   C22F1/00 682
   C22F1/00 691B
   C22F1/00 685Z
   C22F1/00 686B
   C22F1/00 631A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2018-500199(P2018-500199)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年2月16日
(31)【優先権主張番号】特願2016-30423(P2016-30423)
(32)【優先日】2016年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000134327
【氏名又は名称】株式会社トープラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 教良
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健
(72)【発明者】
【氏名】宮本 浩平
(72)【発明者】
【氏名】堀内 直樹
(57)【要約】
本発明に係るアルミニウム合金は、質量比で0.7%以上1.8%以下のケイ素、0.5%以上2.1%以下の銅、0.4%以上1.8%以下のマンガン、0.6%以上1.6%以下のマグネシウムおよび0.1%以上0.7%以下の亜鉛を含み、残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量比で0.7%以上1.8%以下のケイ素、0.5%以上2.1%以下の銅、0.4%以上1.8%以下のマンガン、0.6%以上1.6%以下のマグネシウムおよび0.1%以上0.7%以下の亜鉛を含み、残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなる
ことを特徴とするアルミニウム合金。
【請求項2】
前記銅は、質量比で1.5%以上2.1%以下含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項3】
前記マンガンは、質量比で1.2%以上1.8%以下含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項4】
前記ケイ素は、質量比で1.4%以上1.8%以下含まれており、
前記マグネシウムは、質量比で1.2%以上1.6%以下含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項5】
質量比で1.4%以上1.8%以下の前記ケイ素、1.5%以上2.1%以下の銅、1.2%以上1.8%以下の前記マンガン、1.2%以上1.6%以下の前記マグネシウム、および0.1%以上0.7%以下の亜鉛を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項6】
質量比で0.05%以上0.15%以下のニッケル、0.05%以上0.15%以下のコバルト、および0.05%以上0.3%以下のチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項7】
複数の部材を締結する締結部材であって
請求項1〜6のいずれか一つに記載のアルミニウム合金からなる
ことを特徴とする締結部材。
【請求項8】
引張り強さが470MPa以上である
ことを特徴とする請求項7に記載の締結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金、およびこのアルミニウム合金を用いてなる締結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の燃費向上を実現するための一つの方策として、各種部品の軽量化が追求されている。例えば、エンジンブロックの材料として、鋳鉄の代わりにアルミニウム合金を使用したり、エンジンカバーやオイルパンの材料として、鋼の代わりにマグネシウム合金を使用したりするようになってきている。
【0003】
上述したアルミニウム合金またはマグネシウム合金からなる部品同士を従来の鋼製ボルトによって締結する場合、アルミニウム合金やマグネシウム合金の線膨張係数と鋼の線膨張係数との差が大きいことに起因してゆるみが発生しやすい上、異種金属の接触による腐食も発生しやすい。このため、締結の信頼性を十分確保するには、部品のねじ穴を深くして鋼製ボルトの軸部長さを長くしたり、鋼製ボルトの径を太くしたりしなければならない。ところが、鋼製ボルトの軸部長さは部品の肉厚に影響を及ぼす一方、鋼製ボルトの径の太さは部品のねじ穴を設けるフランジ部分の幅に影響を及ぼすため、アルミニウム合金やマグネシウム合金からなる部品の締結用に鋼製ボルトを使用することは、軽量化を追求する上で障害となっていた。
【0004】
このような鋼製ボルトの問題を解決するために、アルミニウム合金やマグネシウム合金からなる部品同士を締結する締結部材として、アルミニウム合金製のボルトを採用する動きも広がってきている(例えば、特許文献1,2を参照)。アルミニウム合金製のボルトは、各種部品を構成するアルミニウム合金やマグネシウム合金との線膨張係数の差が小さくかつ異種金属接触腐食が小さいため、部品のねじ穴を浅くしたり、ボルトの径を細くしたりしても締結の信頼性を確保することができ、軽量化を図るのに好適である。
【0005】
特許文献1では、締結部材として求められる引張り強さが400MPa程度の強度を備える6000系のアルミニウム合金からなる締結部材が開示されている。この特許文献1よりも高強度なアルミニウム合金として、特許文献2では、ケイ素、鉄、マンガン、亜鉛、バナジウムなどの含有量を特定範囲内で含有させることにより、引張り強さが450MPa以上の強度を備える6000系のアルミニウム合金からなる締結部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3939414号公報
【特許文献2】特許第5495183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2が開示するアルミニウム合金は、バナジウムを含有しているため、バナジウムにより硬度は高くなって強度を向上することができるが、靱性が悪化するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、強度および靱性に優れたアルミニウム合金および締結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るアルミニウム合金は、質量比で0.7%以上1.8%以下のケイ素、0.5%以上2.1%以下の銅、0.4%以上1.8%以下のマンガン、0.6%以上1.6%以下のマグネシウムおよび0.1%以上0.7%以下の亜鉛を含み、残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るアルミニウム合金は、上記発明において、前記銅は、質量比で1.5%以上2.1%以下含まれていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るアルミニウム合金は、上記発明において、前記マンガンは、質量比で1.2%以上1.8%以下含まれていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るアルミニウム合金は、上記発明において、前記ケイ素は、質量比で1.4%以上1.8%以下含まれており、前記マグネシウムは、質量比で1.2%以上1.6%以下含まれていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るアルミニウム合金は、上記発明において、質量比で1.4%以上1.8%以下の前記ケイ素、1.5%以上2.1%以下の銅、1.2%以上1.8%以下の前記マンガン、1.2%以上1.6%以下の前記マグネシウム、および0.1%以上0.7%以下の亜鉛を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るアルミニウム合金は、上記発明において、質量比で0.05%以上0.15%以下のニッケル、0.05%以上0.15%以下のコバルト、および0.05%以上0.3%以下のチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る締結部材は、複数の部材を締結する締結部材であって、上記発明のいずれかに係るアルミニウム合金からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、引張り強さが470MPa以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、強度および靱性に優れたアルミニウム合金および締結部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る締結部材の構成を示す側面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態2に係る締結部材の構成を示す平面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態3に係る締結部材の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る締結部材の構成を示す側面図である。図1に示す締結部材1は、アルミニウム(Al)合金からなるボルト(雄ねじの一種)である。締結部材1は、円柱状をなす軸部2と、軸部2の軸線方向(図1の左右方向)の一端に設けられる頭部3と、軸部2と頭部3との境界をなす首部4とを備える。軸部2は、表面にねじ山21が形成されたねじ部22を有する。なお、頭部3の形状(六角トリム型)はあくまでも一例に過ぎず、その他の形状(六角フランジ型、なべ型、皿型、トラス型、平型等)を有していても構わない。
【0021】
締結部材1は、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)を含み、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物からなるアルミニウム合金からなる。具体的に、本実施の形態に係るアルミニウム合金は、質量比において、0.7%以上1.8%以下のSi、0.5%以上2.1%以下のCu、0.4%以上1.8%以下のMn、0.6%以上1.6%以下のMgおよび0.1%以上0.7%以下のZnを含んでいる。また、0.05%以上0.15%以下のニッケル(Ni)、0.05%以上0.15%以下のコバルト(Co)、および0.05%以上0.3%以下のチタン(Ti)からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含んでもよい。以下の説明において、含有量とは、質量比における含有比率を示している。
【0022】
ここで、Siは、時効処理によりMg2Siが析出し、このMg2Siの析出により強度を増加させることができる。特に、Mg含有量が1.2%以上1.6%以下の場合、Si含有量が1.4%以上1.8%以下であれば、Mg2Si析出物量を一層増やすことができ、さらに強度を向上させることができるため好ましい。一方、Si含有量が1.8%を超えると、合金の伸びを低下させてしまう。また、Si含有量が0.7未満では、Mg2Si析出物による強度向上効果が不足する。
【0023】
Cuは、時効処理によりCuAl2やAl2CuMgが析出し、この析出物により強度を増加させることができる。特に、Cu含有量が1.5%以上2.1%以下であれば、これら析出物量を一層増やすことができ、さらに強度を向上させることができる。一方、Cu含有量が2.1%を超えると、合金の耐食性や耐応力腐食割れ性、伸びを低下させてしまう。また、Cu含有量が0.5%未満では、これら析出物による強度向上効果が不足する。
【0024】
Mnは、固溶強化を示す元素である。また、時効処理によりAl−Mn−Si系析出物も生成し、強度を増加させることができる。特に、Mn含有量が1.2%以上1.8%以下であれば、これら析出物量を一層増やすことができ、さらに強度を向上させることができる。一方、Mn含有量が1.8%を超えると、合金の伸びを低下させてしまう。また、Mn含有量が0.4%未満では、これら析出物による強度向上効果が不足する。
【0025】
Mgは、時効処理によりMg2Siが析出し、強度を増加させることができる。特に、Si含有量が1.4%以上1.8%以下の場合、Mg含有量が1.2%以上1.6%以下であれば、Mg2Si析出物量を一層増やすことができ、さらに強度を向上させることができる。一方、Mg含有量が1.6%を超えると、伸びを低下させてしまう。また、Mg含有量が0.6%未満では、Mg2Si析出物による強度向上効果が不足する。
【0026】
Znは、時効処理によりMgZn2が析出し、強度を増加させる。ここで、Zn含有量が0.7%を超えると、合金の耐食性や耐応力腐食割れ性、伸びを低下させてしまう。また、Zn含有量が0.1%未満では、これら析出物による強度向上効果が不足する。
【0027】
Niは、AlやFe、Cu等との析出物を形成し、耐熱性を向上させる元素であり、必要に応じて添加することができる。ここで、Ni含有量が0.15%を超えると、耐食性や耐応力腐食割れ性、伸びを低下させてしまう。また、Ni含有量が0.05%未満では、これら析出物による強度向上効果が不足する。
【0028】
Coは、Al等との析出物を形成し、耐熱性を向上させる元素であり、必要に応じて添加することができる。ここで、Co含有量が0.15%を超えると、合金の伸びを低下させてしまう。また、Co含有量が0.05%未満では、これら析出物による強度向上効果が不足する。
【0029】
Tiは、鋳造組織の微細化を通して、強度を増加させる元素であり、必要に応じて添加することができる。ここで、Ti含有量が0.3%を超えると、合金の伸びを低下させてしまう。また、Ti含有量が0.05%未満では、組織の微細化による強度向上効果が不足する。
【0030】
0.7%以上1.8%以下のSi、0.5%以上2.1%以下のCu、0.4%以上1.8%以下のMn、0.6%以上1.6%以下のMgおよび0.1%以上0.7%以下のZnを含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金からなる締結部材1は、引張り強度が470MPa以上800MPaである。さらに、締結部材1は、0.2%耐力が400MPa以上、破断伸びが12%以下であり、靱性に優れている。
【0031】
締結部材1は、上述したアルミニウム合金からなる棒状部材に対して伸線加工やヘッダ加工等を施すことによって成形される。棒状部材に対して伸線加工およびヘッダ加工を施すことによって締結部材1を形成すると、ねじ部22では、金属結晶がねじ表面形状に沿って繊維状に引き延ばされるファイバーフローが見られる。ねじ部22にき裂が生じる場合には、ファイバーフローを横切るようにき裂が進む。したがって、ファイバーフローがあることにより、応力腐食割れを抑制することができる。
【0032】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、0.7%以上1.8%以下のSi、0.5%以上2.1%以下のCu、0.4%以上1.8%以下のMn、0.6%以上1.6%以下のMgおよび0.1%以上0.7%以下のZnを含み、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物からなるアルミニウム合金を用いて締結部材1を作製することによって、強度および靱性に優れた締結部材を提供することができる。
【0033】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2に係る締結部材の構成を示す平面図である。図2に示す締結部材5は、上述したアルミニウム合金からなるナット(雌ねじの一種)である。締結部材5は、中空円柱状をなしており、中心部に形成される穴51の内面にねじ山52が形成されている。なお、図2に示す締結部材5の形状(六角ナット)はあくまでも一例に過ぎず、他の形状を有するナット(フランジ付ナット、袋ナット、高ナット等)として実現することも可能である。
【0034】
締結部材5は、上述したアルミニウム合金を用いて形成され、リング状をなす。締結部材5は、上述したアルミニウム合金からなる棒状部材に対して伸線加工、芯部のくり抜き加工、およびヘッダ加工等を施すことによって成形される。
【0035】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、0.7%以上1.8%以下のSi、0.5%以上2.1%以下のCu、0.4%以上1.8%以下のMn、0.6%以上1.6%以下のMgおよび0.1%以上0.7%以下のZnを含み、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物からなるアルミニウム合金を用いて締結部材5を作製することによって、実施の形態1と同様、強度および靱性に優れた締結部材を提供することができる。
【0036】
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3に係る締結部材の構成を示す側面図である。図3に示す締結部材6は、上述したアルミニウム合金からなるリベットである。締結部材6は、円柱状の軸部7と、軸部7をなす円柱の高さ方向(図3の左右方向)の一端に設けられる頭部8と、軸部7と頭部8との境界をなす首部9とを備える。なお、図3に示す頭部8の形状(丸型)はあくまでも一例に過ぎず、その他の形状(皿型等)を有していても構わない。
【0037】
締結部材6は、上述したアルミニウム合金からなる棒状部材に対して伸線加工やヘッダ加工等を施すことによって成形することができる。
【0038】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、0.7%以上1.8%以下のSi、0.5%以上2.1%以下のCu、0.4%以上1.8%以下のMn、0.6%以上1.6%以下のMgおよび0.1%以上0.7%以下のZnを含み、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物からなるアルミニウム合金を用いて締結部材6を作製することによって、実施の形態1と同様、強度および靱性に優れた締結部材を提供することができる。
【0039】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1〜3によってのみ限定されるべきものではない。例えば、本発明に係る締結部材を、ボルト以外の雄ねじである小ねじやタッピンねじとして実現することも可能である。
【0040】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【実施例】
【0041】
以下、本発明に係るアルミニウム合金の実施例について説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1〜10、比較例1〜5)
表1に示す各組成のアルミニウム合金を電気炉で溶解した後、鋳造して鋳塊を得た。次いで、この鋳塊を、温度500〜560℃で加熱して均質化処理を行った。さらに、鋳塊を熱間圧延および線引加工することにより直径10〜11mmの線材を得た。この線材を所定寸法に切断後、ヘッダー加工を行い、ブランク品を得た。ブランク品を温度530〜560℃の条件下で溶体化処理後、温度150〜200℃で人工時効を行い、次いで転造加工を行うことによって、呼び径8mm、ピッチ1.25mmのボルトを作製した。これらのボルトに対して引張り試験を行い、引張り強さ、0.2%耐力および破断伸びを求めた。結果を表1に示す。
【表1】
【0043】
(実施例1〜4)
実施例1〜4は、0.7%以上1.8%以下のSi、0.5%以上2.1%以下のCu、0.4%以上1.8%以下のMn、0.6%以上1.6%以下のMgおよび0.1%以上0.7%以下のZnを含み、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物からなるアルミニウム合金である。
【0044】
(実施例5〜10)
実施例5〜10は、0.7%以上1.8%以下のSi、0.5%以上2.1%以下のCu、0.4%以上1.8%以下のMn、0.6%以上1.6%以下のMgおよび0.1%以上0.7%以下のZnを含むとともに、0.05%以上0.15%以下のニッケル(Ni)、0.05%以上0.15%以下のコバルト(Co)、および0.05%以上0.3%以下のチタン(Ti)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物からなるアルミニウム合金である。
【0045】
(比較例1〜5)
比較例1〜5は、0.7%以上1.8%以下のSi、0.5%以上2.1%以下のCu、0.4%以上1.8%以下のMn、0.6%以上1.6%以下のMgおよび0.1%以上0.7%以下のZnを含み、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物からなるアルミニウム合金に対し、いずれかの元素が範囲外にある。具体的に、比較例1は、Mgが0.51%であり、上述した範囲から外れている。比較例2は、Siが0.62%であり、上述した範囲から外れている。比較例3は、Cuが0.43%であり、上述した範囲から外れている。比較例4は、Mnが0.32%であり、上述した範囲から外れている。比較例5は、Znが0.02%であり、上述した範囲から外れている。
【0046】
引張り強さにおいて、表1から、実施例1〜10は、470MPa以上であるのに対し、比較例1〜5は、470MPa未満であり、実施例1〜10の方が上述した強度を満たし、高強度であることがわかる。また、0.2%耐力および破断伸びにおいて、表1から、実施例1〜10は、0.2%耐力が400MPa以上、かつ破断伸びが12%以下であるのに対し、比較例1〜5は、0.2%耐力が400MPa未満、かつ破断伸びが13%以上であり、実施例1〜10の方が上述した強度を満たし、靱性にも優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明に係るアルミニウム合金および締結部材は、強度および靱性に優れた締結部材を提供するのに好適である。
【符号の説明】
【0048】
1、5、6 締結部材
2、7 軸部
3、8 頭部
4、9 首部
21、52 ねじ山
22 ねじ部
51 穴
図1
図2
図3
【国際調査報告】