特表-17145793IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年8月31日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器およびグリル皿
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20181130BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20181130BHJP
   F24C 15/16 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   A47J37/06 371
   H05B6/12 302
   F24C15/16 B
   F24C15/16 Y
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
【出願番号】特願2018-501569(P2018-501569)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年2月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-34621(P2016-34621)
(32)【優先日】2016年2月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-192073(P2016-192073)
(32)【優先日】2016年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】水田 功
(72)【発明者】
【氏名】小栗 大平
(72)【発明者】
【氏名】明石 孝之
(72)【発明者】
【氏名】山根 真一
【テーマコード(参考)】
3K151
4B040
【Fターム(参考)】
3K151AA34
3K151BA11
4B040AA03
4B040AA08
4B040CA05
4B040CA06
4B040CA17
4B040EB20
4B040GC01
(57)【要約】
調理台上の所望の位置に移動して、誘導加熱と輻射加熱を用いてグリル調理を行うことができる誘導加熱調理器であり、加熱庫(7)の内部に配置され、加熱庫(7)に対して出し入れするための係合部を有するグリル皿(8)を備えている。また、グリル皿(8)は調理台上に載置することが可能な構成を有しており、加熱庫(7)内の調理物が加熱庫(7)の上側に配設されて輻射加熱する上側加熱部と、加熱庫の下側に配設されてグリル皿を誘導加熱する下側加熱部とによりグリル調理される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物が収納される加熱庫と、
前記被加熱物が前記加熱庫に対して出し入れされるための開口を密閉状態とする扉と、
前記加熱庫の内部に収納された前記被加熱物を誘導加熱する誘導加熱部を有する加熱部と、
前記加熱部を駆動し制御する制御部と、
前記加熱部の加熱動作を設定する設定部と、を備える誘導加熱調理器であって、
前記誘導加熱調理器は、台上に載置することが可能に構成された、誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記加熱部は、前記加熱庫の内部を輻射加熱する輻射加熱部を更に有する、請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記加熱部は、前記誘導加熱部を前記加熱庫の下側に有し、前記輻射加熱部を前記加熱庫の上側に有する、請求項2に記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記加熱部が被加熱物としてグリル皿を加熱するよう構成され、前記グリル皿を前記加熱庫の内部の調理位置に位置決する加熱庫突起が前記加熱庫に設けられた、請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記グリル皿が前記加熱庫に収納され調理位置に位置決めされたとき、前記グリル皿において下方に突出する足部は、前記加熱庫の底面に形成された凹部に配置されて前記底面に接触せず、前記グリル皿において調理物を載置する調理面が前記加熱部に対して所定位置に配置される、請求項4に記載の誘導加熱調理器。
【請求項6】
前記グリル皿は、前記グリル皿が前記加熱庫から引き出されるとき、前記加熱庫突起と係止して、開状態における前記扉の上に支持されるよう構成された、請求項4または5に記載の誘導加熱調理器。
【請求項7】
被加熱物が収納される加熱庫と、
前記被加熱物が前記加熱庫に対して出し入れされるための開口を密閉状態とする扉と、
前記加熱庫の内部に収納された前記被加熱物を誘導加熱する誘導加熱部を有する加熱部と、を備え、台上に載置することが可能に構成された誘導加熱調理器に用いられるグリル皿であって、
前記グリル皿は、熱伝導性の高い材料で形成され、前記加熱部に対向する領域に磁性体材料が形成された、グリル皿。
【請求項8】
前記グリル皿は、水を保持することが可能に構成された貯水領域を有する、請求項7に記載のグリル皿。
【請求項9】
前記グリル皿において調理物を載置する調理面が、前記加熱部に対向する領域を示す境界マークを有し、前記境界マークにより高温調理領域と低温調理領域とが区分けされるよう構成された、請求項7または8に記載のグリル皿。
【請求項10】
前記グリル皿は、耐熱性樹脂材で形成された足部を有し、前記グリル皿が前記加熱庫から取り出されて台上に載置されるとき、前記足部は台上の載置面に対して前記グリル皿を所定空間を有して支持する足となる、請求項7から9のいずれか一項に記載のグリル皿。
【請求項11】
前記グリル皿において調理物を載置する調理面は、波形形状を有し、非粘着性の樹脂により被覆された、請求項7から10のいずれか一項に記載のグリル皿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば肉、魚または野菜などを焼くグリル調理を行うための誘導加熱調理器に関し、特に調理場所を移動させることが可能な誘導加熱調理器およびこれに用いられるグリル皿に関する。
【背景技術】
【0002】
熱源からの熱により調理物を直接加熱するグリル調理の場合、例えば肉、魚、野菜などを焼く場合、通常、一般家庭の台所または業務用の厨房などに設けられている熱源(例えばガスコンロ、電気コンロなど)により鉄板、金網またはフライパンなどが加熱されて調理される。また、肉および魚などを焼く調理器具としては、台所に備え付けられたロースターがある。ロースターは、被加熱物からの油が熱源に落ちて煙が発生することを防止するために、上方および側方からの輻射熱により被加熱物を焼くように構成されている。
【0003】
上記のように、一般的にグリル調理は、台所または厨房に備え付けられたコンロなどの熱源を用いているため、所定の固定された場所で調理が行われている。また、グリル調理は、熱源上の鉄板、金網またはフライパンなどの加熱具を用いて行われており、調理物が所望の焼き加減となるように、加熱具の温度管理および加熱時間を調整することは非常に難しく、調理人の経験と勘に頼っている。
【0004】
一方、台所に備え付けられた調理器具であるロースターを用いる場合には、グリル皿の温度管理、および加熱時間を予め設定することができるため、ある程度の好ましい焼き加減を得ることは可能である(特許文献1,2参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2によって提案されているようなロースターは、台所または厨房に設置された誘導加熱調理器に組み込まれた調理器具であり、移動させることができない。このため、グリル調理は誘導加熱調理器が設置された位置で行われなければならず、グリル調理の調理場所が制約されている。また、ロースターは台所または厨房に備え付けられた誘導加熱調理器の一部として組み込まれた構成であるため、ロースターを設けるための占有空間が制約されて、加熱領域が小さい。このため、例えば、ピザなどの大きな調理物を焼くことは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−267422号公報
【特許文献2】特開2014−203635号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示は、調理物に対して所望の焼き加減となるグリル調理を容易に行うことができると共に、グリル調理を所望の場所で行うことが可能な誘導加熱調理器およびその誘導加熱調理器に用いるグリル皿を提供することを目的とする。
【0008】
具体的には、本開示は、少なくとも誘導加熱を用いてグリル調理を行う構成であり、例えば、調理台上の所望の位置に移動してグリル調理を行うことができる誘導加熱調理器およびその誘導加熱調理器に用いるグリル皿を提供するものである。
【0009】
本開示に係る一態様の誘導加熱調理器は、被加熱物が収納される加熱庫と、被加熱物が加熱庫に対して出し入れされるための開口を密閉状態とする扉と、加熱庫の内部に収納された被加熱物を誘導加熱する構成を有する加熱部と、加熱部を駆動し制御する制御部と、加熱部の加熱動作を設定する設定部と、を備え、誘導加熱調理器は、台上に載置することが可能に構成されている。
【0010】
本開示に係る一態様のグリル皿は、被加熱物が収納される加熱庫と、被加熱物が加熱庫から出し入れされるための開口を密閉状態とする扉と、加熱庫の内部に収納された被加熱物を誘導加熱する構成を有する加熱部と、を備え、台上に載置することが可能に構成された誘導加熱調理器に用いられるグリル皿であって、グリル皿は、熱伝導性の高い材料で形成され、加熱部に対向する領域に磁性体材料が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態1の誘導加熱調理器における扉が開いた状態を示す斜視図である。
図3図3は、実施の形態1の誘導加熱調理器においてグリル皿が加熱庫から半分取り出された状態を示す斜視図である。
図4図4は、実施の形態1の誘導加熱調理器においてグリル皿が加熱庫から取り出されて、台上に置かれた状態を示す斜視図である。
図5図5は、実施の形態1の誘導加熱調理器における本体の分解斜視図である。
図6図6は、実施の形態1の誘導加熱調理器における本体カバーを外した状態を示す斜視図である。
図7図7は、実施の形態1の誘導加熱調理器を側方から見た断面図である。
図8図8は、実施の形態1の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿を示す斜視図である。
図9図9は、実施の形態1の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿を示す平面図である。
図10図10は、図9のグリル皿を10−10線により切断した断面図である。
図11図11は、実施の形態1の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿の底面図である。
図12図12は、図9のグリル皿を12−12線により切断した断面図である。
図13図13は、実施の形態1の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿の側面図である。
図14図14は、実施の形態1の誘導加熱調理器において、グリル皿が加熱庫の調理位置に配置されたときの状態を示す、側方から見た断面図である。
図15図15は、実施の形態1の誘導加熱調理器において、グリル皿が加熱庫から引き出されて中間保持位置に配置されたときの状態を示す、側方から見た断面図である。
図16図16は、実施の形態1の誘導加熱調理器において、グリル皿が中間保持位置に配置された状態における本体の内部構成を示す斜視図である。
図17図17は、実施の形態1の誘導加熱調理器における本体カバーを取り外した側面図である。
図18図18は、実施の形態1の誘導加熱調理器における冷却ファンの構成を示す斜視図である。
図19図19は、実施の形態1の誘導加熱調理器における冷却ファンの背面図である。
図20図20は、実施の形態1の誘導加熱調理器における冷却ファンの左側面図である。
図21図21は、実施の形態1の誘導加熱調理器を背面側後方の右上から見た斜視図である。
図22図22は、実施の形態1の誘導加熱調理器の背面側後方の左下から見た斜視図である。
図23図23は、実施の形態1の誘導加熱調理器における背面を示す図である。
図24図24は、本開示に係る実施の形態2の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿を示す斜視図である。
図25図25は、実施の形態2の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿を示す平面図である。
図26図26は、図25のグリル皿を26−26線により切断した断面図である。
図27図27は、実施の形態2の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿の底面図である。
図28図28は、図25のグリル皿を28−28線により切断した断面図である。
図29図29は、実施の形態2の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿の側面図である。
図30図30は、図27の底面図に示したグリル皿における足部下面の端部を拡大して示した図である。
図31図31は、実施の形態2の誘導加熱調理器において、グリル皿が加熱庫の調理位置に配置されたときの状態を示す側面断面図である。
図32図32は、実施の形態2の誘導加熱調理器において、グリル皿が加熱庫から引き出される途中の状態を示す側面断面図である。
図33図33は、図32に示す引き出し途中の状態におけるグリル皿と、グリル皿と接触する摺動突起および姿勢保持突起とを示す拡大図である。
図34図34は、図32に示す引き出し途中の状態において、グリル皿の摺動部を摺動する摺動突起を示す拡大断面図である。
図35図35は、実施の形態2の誘導加熱調理器において、グリル皿が加熱庫から引き出されて中間保持位置に配置されたときの状態を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示に係る第1の態様の誘導加熱調理器は、被加熱物が収納される加熱庫と、被加熱物が加熱庫に対して出し入れされるための開口を密閉状態とする扉と、加熱庫の内部に収納された被加熱物を誘導加熱する誘導加熱部を有する加熱部と、加熱部を駆動し制御する制御部と、加熱部の加熱動作を設定する設定部と、を備え、誘導加熱調理器は台上に載置することが可能に構成されている。
【0013】
本開示に係る第1の態様の誘導加熱調理器の構成によれば、調理物に対して所望の焼き加減となるグリル調理を容易に行うことができ、使用者が所望の場所でグリル調理を行うことが可能となる。また、調理物を誘導加熱することで、効率が高い加熱調理を行うことができるため、調理時間の短縮を図ることができる。
【0014】
本開示に係る第2の態様の誘導加熱調理器は、第1の態様における加熱部が、加熱庫の内部を輻射加熱する輻射加熱部を更に有してもよい。
【0015】
このような構成により、調理物に対して所望の焼き加減となるグリル調理を容易に行うことができる。
【0016】
本開示に係る第3の態様の誘導加熱調理器は、第2の態様における加熱部が、誘導加熱部を加熱庫の下側に有し、輻射加熱部を加熱庫の上側に有してもよい。
【0017】
このような構成により、加熱庫の下側から被加熱物を効率よく誘導加熱しつつ、加熱庫の上側から調理物が所望の焼き加減となるように輻射加熱することができる。
【0018】
本開示に係る第4の態様の誘導加熱調理器は、第1から第3の態様のいずれかの態様における加熱部が被加熱物としてグリル皿を加熱するよう構成され、グリル皿を加熱庫の内部の調理位置に位置決めする加熱庫突起が加熱庫に設けられてもよい。
【0019】
このような構成により、グリル皿が加熱庫の内部に収納され加熱調理される調理位置が規定されるので、グリル皿と加熱庫の底面下に配置されている下側加熱部とが確実に対向することとなり、調理物の焼きムラなどを防ぐことができる。
【0020】
本開示に係る第5の態様の誘導加熱調理器は、第1から第4の態様のいずれかの態様におけるグリル皿が加熱庫に収納され調理位置に位置決めされたとき、グリル皿において下方に突出する足部は、加熱庫の底面に形成された凹部に配置されて底面に接触せず、グリル皿において調理物を載置する調理面が加熱部に対して所定位置に配置されてもよい。
【0021】
このような構成により、グリル皿が加熱部に対して所定位置に配置されるため、グリル皿と加熱部との位置関係が定まるため、調理物に対する加熱が正確に行われる。
【0022】
本開示に係る第6の態様の誘導加熱調理器は、第1から第5の態様のいずれかの態様におけるグリル皿は、グリル皿が加熱庫から引き出されるとき、加熱庫突起が係止して、開状態における扉の上に支持されるよう構成されてもよい。
【0023】
このような構成により、使用者は加熱庫から容易に、且つ安全にグリル皿を取り出すことができる。
【0024】
本開示に係る第7の態様のグリル皿は、被加熱物が収納される加熱庫と、被加熱物が加熱庫から出し入れされるための開口を密閉状態とする扉と、加熱庫の内部に収納された被加熱物を誘導加熱する誘導加熱部を有する加熱部と、を備え、台上に載置することが可能に構成された誘導加熱調理器に用いられるグリル皿であって、グリル皿は、熱伝導性の高い材料で形成され、加熱部に対向する領域に磁性体材料が形成されている。
【0025】
このような構成により、グリル皿は、インバータ回路および下側加熱部に対して小さい負荷であり、また、加熱部に対向する領域に磁性体材料が形成されていることから、効率高く誘導加熱される。
【0026】
本開示に係る第8の態様のグリル皿は、第7の態様におけるグリル皿が、水を保持することが可能に構成された貯水領域を有してもよい。
【0027】
このような構成により、貯水領域に溜められた水により、調理物に対して蒸し焼き効果を発揮させることができる。
【0028】
本開示に係る第9の態様のグリル皿は、第7または第8の態様におけるグリル皿において調理物を載置する調理面が、加熱部に対向する領域を示す境界マークを有し、境界マークにより高温調理領域と低温調理領域とが区分けされるよう構成されてもよい。
【0029】
このような構成により、高温度で調理すべき調理物、例えば肉、魚などを、境界マークの内側である高温調理領域に載置して加熱調理し、低温度で調理すべき調理物、例えば野菜などを、境界マークの外側である低温調理領域に載置して加熱調理することが可能となる。従って、使用者は、所望の加熱調理を容易に、且つ確実に行うことが可能となる。
【0030】
本開示に係る第10の態様のグリル皿は、第7から第9の態様のいずれかの態様におけるグリル皿が、耐熱性樹脂材で形成された足部を有し、グリル皿が加熱庫から取り出されて台上に載置されるとき、足部は台上の載置面に対してグリル皿を所定空間を有して支持するよう構成してもよい。
【0031】
このような構成により、グリル皿が載置される台上の載置面に対するグリル皿からの熱の影響を抑えることができる。
【0032】
本開示に係る第11の態様のグリル皿は、第7から第10の態様のいずれかの態様のグリル皿において、調理物を載置する調理面は、波形形状を有し、非粘着性の樹脂により被覆されてもよい。
【0033】
このような構成により、調理時に飛散した油脂分、調理かすなどの汚れのグリル皿への付着を防止することができるとともに、汚れが付着したとしても、汚れを拭き取りやすい構成とすることができる。
【0034】
以下、本開示の誘導加熱調理器に係る実施の形態として、誘導加熱(IH:induction heating)と輻射加熱を併用してグリル調理する誘導加熱調理器を例に、添付の図面を参照しながら説明する。
【0035】
なお、本開示の誘導加熱調理器は、以下の実施の形態に記載した誘導加熱調理器の構成に限定されるものではなく、以下の実施の形態において説明する技術的思想と同等の誘導加熱調理器の構成を含むものである。例えば、本開示の誘導加熱調理器においては、輻射加熱を行う構成がなく、誘導加熱(IH)のみでグリル調理を行う構成においても適用可能である。
【0036】
以下で説明する実施の形態は、本開示の一例を示すものであって、実施の形態において示される構成、機能および動作などは、例示であり、本開示を限定するものではない。
【0037】
以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0038】
また、各実施の形態の構成はそれぞれを組み合わせることが可能であり、組み合わされた実施の形態はそれぞれの構成による効果を奏するものである。
【0039】
なお、本明細書において用いるグリル調理とは、熱源からの熱により被加熱物である調理物を直接加熱する調理方法であり、焼き網、鉄灸(鉄串)または金属板などを用いて被加熱物を焼く加熱調理である。
【0040】
以下の実施の形態の説明において、左右方向は誘導加熱調理器を使用する使用者から見た方向を示しており、誘導加熱調理器の使用者側が前側(正面側)であり、使用者側の反対側を後側(背面側)とする。また、実施の形態の説明における左または右とは、誘導加熱調理器の正面側から見て左側または右側を示す。
【0041】
(実施の形態1)
以下、本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器およびその誘導加熱調理器に用いるグリル皿について、添付の図面を参照して説明する。
【0042】
図1は、実施の形態1の誘導加熱調理器の外観を示す斜視図である。図2は、図1の実施の形態1の誘導加熱調理器における扉が開いた状態を示す斜視図である。
【0043】
図1および図2に示すように、誘導加熱調理器は、本体1の内部に設けられた加熱庫7の正面開口が扉2により開閉可能に構成されている。扉2の上方端部には扉把手3が設けられており、扉把手3を使用者が持って扉2を回動させ、扉2を上側から開くことで加熱庫7の正面開口を上開きに開閉する。加熱庫7の内部は扉2が閉められることにより実質的に密閉状態となり、加熱庫7の内部に配置された被加熱物である調理物が実質的な密閉状態で焼かれ、グリル調理が行われる状態となる。
【0044】
加熱庫7の内部に配置される調理物は、グリル皿8に載置されて加熱調理(グリル調理)される。グリル皿8が加熱庫7の平坦な底面の所定位置に確実に配置されるよう、グリル皿8および加熱庫7の内壁面には後述する位置決め機構が設けられている。
【0045】
誘導加熱調理器の正面には、上開きの扉2と共に、加熱調理の調理温度および調理時間などの各種調理条件を使用者が設定するための設定部4が設けられている。また、誘導加熱調理器の正面に設けられた設定部4は、各種調理条件および加熱調理中の加熱状態などを表示する表示部5などを有している。実施の形態1の構成においては、扉2に向かって右側の位置に設定部4が配置されている。
【0046】
図3は、グリル皿8が加熱庫7から半分取り出された中間保持位置の状態を示す斜視図である。図3においては、後述するグリル皿8の係止状態を示すため、設定部4を外した状態を示している。図4は、グリル皿8が加熱庫7から取り出されて、台上、例えば調理台の上に置かれた状態を示している。実施の形態1の構成においては、加熱庫7の加熱空間は、奥行きの長さより横方向(正面開口の幅)の長さの方が長い略直方体形状を有している。加熱庫7の加熱空間の具体的な形状の一例としては、350mm(幅)×330mm(奥行き)×110mm(高さ)である。グリル皿8は、加熱庫7の加熱空間の底面形状に対応した長方形形状であり、全周囲の縁部が立ち上がった皿形状である。
【0047】
図5は、実施の形態1の誘導加熱調理器における本体1の分解斜視図であり、扉2が外された状態を示している。図5に示すように、加熱庫7の底面下側には下側加熱部(誘導加熱部)9である加熱コイルが設けられており、加熱庫7の内部に配置されたグリル皿8に対して加熱コイルにより誘導加熱されるよう構成されている。下側加熱部9を駆動し制御する制御部10は、下側加熱部9より下側であって、設定部4が設けられた背面側下方における本体1の底面側に設けられている。制御部10は下側加熱部9である加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路基板および電源回路基板などを含んでおり、複数の発熱部品が配設されている。
【0048】
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱庫7内の温度を検出する庫内温度センサおよび、グリル皿8の温度を検出するグリル皿温度センサが設けられている。庫内温度センサは、例えばサーミスタなどの温度検出手段を使用可能であり、庫内温度が設定部4により設定された調理温度となるように制御するため用いられる。また、グリル皿温度センサには、例えば赤外線センサまたはサーミスタなどの温度検出手段が使用可能であり、グリル皿8の温度が予め設定された温度より高い温度となったとき、異常と判断して加熱動作を停止するなどの制御を行うために用いられている。
【0049】
また、本体1の内部空間において、設定部4が設けられた背面側領域の後方には、シロッコ型の冷却ファン11が設けられている。冷却ファン11の回転軸の軸方向は、加熱庫7の横方向(左右方向)と平行であり、本体側面(実施の形態1においては右側面後方側)に形成された側面吸気口12、および本体背面(実施の形態1においては背面右側)に形成された背面吸気口13から吸気される。各吸気口12,13は、複数の小さな開口により構成されている。なお、各吸気口12,13の開口には吸入方向を規定するガイドが設けられていてもよい。
【0050】
冷却ファン11により形成された空気流は、後述するように、複数の給気口を有するダクトにより形成される通気流路を通り、実施の形態1の誘導加熱調理器における高熱発生領域を効率高く冷却して、機器外部に排気される。
【0051】
図6は、誘導加熱調理器の本体1における本体カバー6を外した状態を、本体1の正面側を下方から見た図であり、グリル皿8を収納した加熱庫7の内部が示されている。図6に示すように、加熱庫7の上部には上側加熱部(輻射加熱部)16、例えばガラス管ヒータが設けられている。加熱庫7の内部は、上側加熱部16により輻射加熱される。実施の形態1においては、上側加熱部16として、左右に延設された棒状のガラス管ヒータが二本並行して設けられている。
【0052】
図7は、実施の形態1の誘導加熱調理器を側方から見た断面図であり、加熱庫7の内部にグリル皿8が収納されて、扉2が閉じられた状態を示している。図7に示すように、上側加熱部16としてのガラス管ヒータが加熱庫7の天井に形成された凹部の内部に配設されている。上側加熱部16が配設される凹部の凹面は、加熱庫7に対する熱反射板としての機能を有しており、加熱庫7の内部に配置されたグリル皿8の調理面18に対して効率高く熱放射できる構成を有している。なお、上側加熱部16は、ガラス管ヒータに限られず、シーズヒータなどのヒータを用いて構成することができる。
【0053】
また、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱庫7の正面開口が扉2により閉じられたとき、加熱庫7の内部が実質的に密閉状態となるように、正面開口の外周部分となる位置に密閉手段、例えばシリコンゴムなどの耐熱性弾性体が設けられている。なお、加熱庫7の内部が実質的に密閉状態にあるというのは、加熱庫7内の水分が加熱庫外に流出することが抑制された状態にあることをいう。密閉手段としては、本体1の加熱庫7の正面開口を取り囲むように、本体側に設けられてもよく、若しくは扉側に加熱庫7の正面開口を取り囲む位置に設けられてもよい。なお、密閉手段は、加熱庫7の正面開口を取り囲む位置であって、少なくとも加熱庫7に収納されたグリル皿8より上側に設けられることが好ましい。
【0054】
前述のように、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱庫7の加熱空間が、例えば、350mm(幅)×330mm(奥行き)×110mm(高さ)というように、底面の幅および奥行き(大きさ)と比較して高さが低く形成されているため、上側加熱部16からの輻射熱によりグリル皿8の調理面18に載置された調理物に対して高温度で効率高く加熱できる構成である。また、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱庫7の高さが底面の幅および奥行き(大きさ)と比較して低く形成されると共に、加熱庫7の加熱空間と調理器外部との空気の流通量が少量に抑えられるようにした構成である。このため、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱庫7が略密閉空間となるように構成されており、加熱庫7の内部においては上側加熱部16の輻射加熱と下側加熱部9の誘導加熱による焼き動作と共に、調理物からの水分による蒸し動作が加わるグリル調理が可能となる。
【0055】
また、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、図6に示すように、本体1の底面に、下側に突出する脚部50が設けられている。脚部50は、本体1が台上に載置される際に本体1を支持する。また、脚部50により本体1と台上との間に隙間が構成されるため、台上への熱の影響を抑制することができる。
【0056】
[グリル皿の構成]
図8および図9は、実施の形態1の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿8を示す図であり、図8は斜視図であり、図9は平面図である。グリル皿8は、平面形状が略長方形(略正方形を含む)であり、縁部分がフランジ形状を有しており、その縁部分の四隅にはグリル皿引掛け部17として開口が設けられている。グリル皿引掛け部17は、調理後のグリル皿8を加熱庫7から引き出すときに、使用者が鍋つかみ(a kitchen mitten or a pan gripper)などにより引っ掛ける部分(係合部)となる。なお、係合部であるグリル皿引掛け部17としては、開口形状以外に、凹み形状または突起形状など、使用者が指などで引っ掛けてグリル皿8を引き出すことのできる構成であればよい。
【0057】
グリル皿8における主要な部分は、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウムまたは銅などの金属で構成された熱伝導部26である。熱伝導部26において縁部分で取り囲まれた中央の領域が調理面18となっており、調理面18が縁部分に対して凹んだ凹面(底面)に形成されている。また、調理面18には、一方向に延びる峰と谷とで構成された凹凸面(波形状面)が形成されている。実施の形態1においては加熱庫7の左右方向に峰と谷とが延びる波形状となっている。
【0058】
グリル皿8の調理面18には、貯水領域20が形成されている。実施の形態1のグリル皿8においては、調理面18の前後それぞれの位置に貯水領域20が設けられている。図10は、図9のグリル皿8を10−10線により切断した断面図である。図10に示すように、貯水領域20における谷部の最低位置は、調理面18における貯水領域20以外の谷部の最低位置よりも低く形成されている。また、貯水領域20の谷部に溜まった液体が、貯水領域20以外の調理面18の谷部に侵入しないように、調理面18において、貯水領域20は、貯水領域20以外の領域とは峰部により隔離されている。
【0059】
なお、貯水領域20にも貯水領域20以外の調理面18と同様に峰部が形成されている。これは、貯水領域20に調理物が載置されたときに垂れ下がり、貯水領域20の水分などに触れないためである。
【0060】
上記のように、実施の形態1においては、グリル皿8の調理面18に貯水領域20が形成されているため、加熱調理において調理物から出る水分と共に貯水領域20に溜められた水により、調理物に対して蒸し焼き効果を発揮させることができる。また、加熱庫7内部が実質的に密閉状態となるように構成することで、水分が加熱庫7外に流出することを抑制し、調理物に対して効率よく蒸し焼きを行うことができる。このため、実施の形態1の誘導加熱調理器においては調理物が自ら有する水分を保持した状態でグリル調理することができる。
【0061】
図11は、グリル皿8の底面図である。グリル皿8の裏面は、グリル皿8が加熱庫7の内部の所定位置(調理位置)に配置されたとき、加熱庫7の底面下に配置されている下側加熱部9である加熱コイルと確実にかつ適切に対向するよう構成されている(図7参照)。
【0062】
グリル皿8の裏面においては、グリル皿8が調理位置にあるとき、下側加熱部9(加熱コイル)に対向する領域に、誘導加熱体25が熱伝導部26に固着されている。なお、誘導加熱体25は、鉄またはステンレスなどの透磁率の高い材料により形成された円板状の磁性体である。このような構成により、グリル皿8は、インバータ回路および下側加熱部9の負荷としては小さいものとなり、効率の高い誘導加熱が可能な負荷となる。誘導加熱体25は、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウム、または、銅で形成された熱伝導部26に対して、インサート成形、互いに凹凸を形成したカシメ固定、ネジ止め固定、または溶接などにより一体的に固着されている。
【0063】
このように構成されたグリル皿8においては、下側加熱部9に対向する領域には効率良く誘導加熱される誘導加熱体25が設けられ、この誘導加熱体25が熱伝導性の高い材料で形成された熱伝導部26に固着されている。このため、グリル皿8は、被加熱物として、下側加熱部9(加熱コイル)により効率良く誘導加熱され、高温度状態となる。これにより、グリル皿8上に載置された被加熱物である調理物が、グリル皿8を介した誘導加熱によって調理される。
【0064】
図12は、図9に示したグリル皿8を12−12線により切断した断面図であり、調理面18における谷部の位置で切断した図である。図12に示すように、グリル皿8の裏面に設けられた誘導加熱体25は、その裏面が平坦面となるように形成されており、調理位置においてグリル皿8の裏面は、誘導加熱体25が下側加熱部9(加熱コイル)と対向して、加熱庫7の底面と密接するように構成されている。この調理位置においては、後述するグリル皿8の足となる支持部(足部)21の突出端が、加熱庫7の底面に形成された凹部7a(図4参照)の内部に配置される。
【0065】
図13は、グリル皿8における前後方向に延びる側面を示す側面図であり、グリル皿8の両側に設けられ、耐熱性樹脂材で形成された支持部21および当接部22を示している。支持部21および当接部22は、グリル皿8の本体である熱伝導部26に固着手段、例えばネジ止め、溶着またははめ込みなどにより固着されている。グリル皿8の両側にある支持部21および当接部22は、それぞれが実質的に同じ形状である。
【0066】
図13に示すように、支持部21は、グリル皿8の本体となる熱伝導部26の最下位置である下面26aより下側に突設されている。また、支持部21の下面21aは、収納される加熱庫7の前後方向に延びており、平坦面となるように構成されている。上記のように、グリル皿8の両側に支持部21が設けられているため、加熱庫7から取り出されたグリル皿8が台上、例えば調理台上に載置されたとき、支持部21の突出端がグリル皿8の足となる。この結果、グリル皿8の熱伝導部26の下面26aは、台上の載置面から所定距離離れて配置され、グリル皿8の熱伝導部26と台上の載置面との間には所定空間が形成される。
【0067】
図4に示したように、加熱庫7の底面の両側には、グリル皿8の支持部21の突出端が収納される前後に細長い凹部7aが形成されている。また、加熱庫7の両側壁面には加熱庫突起29が設けられており(図4参照)、加熱庫7への収納時のグリル皿8の当接部22が係合するよう配設されている。
【0068】
グリル皿8の側面に設けられている当接部22は、グリル皿8が加熱庫7に収納され加熱調理される調理位置と、使用者により加熱庫7からグリル皿8が約半分取り出された状態の中間保持位置と、を規定するための位置決め機構の一部である。図13のグリル皿8の側面図に示すように、当接部22は中央部分の下側が上方に凹んだ凹形状を有している。当接部22の凹形状において、正面側の立ち上がり部分が第1当接部22aであり、背面側の立ち上がり部分が第2当接部22bである。
【0069】
加熱庫7の両側面壁には加熱庫突起29(図4参照)が形成されており、加熱庫突起29は、グリル皿8が加熱庫7に収納されていくときに当接部22の凹形状と係合する位置決め機構の一部である。グリル皿8が加熱庫7に収納されて調理位置にあるとき、加熱庫突起29が第1当接部22aと当接しており、加熱庫突起29によりグリル皿8が係止される。このとき、グリル皿8の足となる支持部21の突出端は、加熱庫7の底面の凹部7a(図4参照)の内部に入り込む。
【0070】
図14は、前述の図2に示したように、グリル皿8が加熱庫7の内部の調理位置に配置されたときの状態を示す、側方から見た断面図である。図15は、前述の図3に示したように、グリル皿8が加熱庫7から引き出されて中間保持位置に配置されたときの状態を示す、側方から見た断面図である。
【0071】
図14に示す調理位置にある状態のグリル皿8が加熱庫7から引き出されるとき、加熱庫突起29は、当接部22の凹形状の平坦面を摺動して、第2当接部22bに当接し、係止される。このように調理位置のグリル皿8が加熱庫7から引き出されたとき、加熱庫突起29が第2当接部22bに当接した位置が、中間保持位置となる(図15参照)。グリル皿8が中間保持位置にあるとき、グリル皿8の支持部21は、扉2の内面壁と加熱庫7の底面とに接触して、支持される。
【0072】
図16は、中間保持位置のグリル皿8の左側面に設けられた当接部22の第2当接部22bが加熱庫7の側壁面に設けられた加熱庫突起29により係止されている状態を示している。図16においては、第2当接部22bと加熱庫突起29との係止状態を示すために、本体カバー6および加熱庫7の壁面などを取り除いた状態を左斜め上前方から見た斜視図で表している。上記のように、グリル皿8の両側に設けられた当接部22と、加熱庫7の両側の壁面に設けた加熱庫突起29とが、実施の形態1における位置決め機構となる。
【0073】
上記のように、グリル皿8が中間保持位置にあるときは、グリル皿8は加熱庫7から半分以上取り出された状態で扉2の背面部分と加熱庫7の底面部分とにより支持された状態である(図15参照)。このため、使用者は、グリル皿8の両側にある当接部22の凹形状部分を持ち、加熱庫7から容易に、且つ安全にグリル皿8を取り出すことができる。なお、グリル皿8の形状は左右対称に構成されているため、加熱庫7へ挿入されるグリル皿8の前後方向は限定されない構成である。
【0074】
実施の形態1におけるグリル皿8においては、上記のように調理面18の中央部分直下に誘導加熱される誘導加熱体25が設けられているため(図11参照)、調理面18における誘導加熱体25に対応する領域は高温度(例えば、200℃〜250℃)となり、この領域は高温調理領域23(図8および図9参照)となる。また、調理面18において、誘導加熱体25に対応する領域より外側の領域は、熱伝導性の高い材料で構成されているが直接的な発熱源ではないため、高温調理領域23より低い温度(例えば、150℃〜200℃)となる低温調理領域24(図8および図9参照)となる。
【0075】
また、図8および図9に示すように、調理面18における高温調理領域23と低温調理領域24を使用者が確実に認識できるように、調理面18には境界マーク19が表示されている。従って、使用者は、高温度で調理すべき調理物、例えば肉、魚などを、境界マーク19の内側である高温調理領域23に載置して加熱調理し、低温度で調理すべき調理物、例えば野菜などを、境界マーク19の外側である低温調理領域24に載置して加熱調理することが可能となる。このため、実施の形態1においては、グリル皿8を用いることにより、調理物に対応して、また調理内容に対応して所望の加熱調理を容易に、且つ確実に行うことが可能となる。
【0076】
実施の形態1におけるグリル皿8の本体である熱伝導部26には、例えばフッ素樹脂またはシリコン樹脂などの非粘着性を有する被膜層が形成されていてもよい。このような被膜層を形成することにより、調理時に飛散した油脂分、調理かすなどの汚れのグリル皿8への付着を防止することができるとともに、汚れが付着したとしても、汚れを拭き取りやすい構成となる。また、グリル皿8の熱伝導部26について、フッ素系あるいはシリコン系の耐熱性の高い塗料にシラン化合物を配合して構成することにより、親水性を持たせたり、光触媒原料である二酸化チタンなどを配合して構成することにより、超親水性(水との接触角が10°以下)を示す機能を持たせてもよい。
【0077】
さらに、グリル皿8については、調理時の加熱により、調理時に飛散した油脂分を分解し、自動的に清掃するセルフクリーニング機能を持つ被覆層を形成してもよい。被覆層にセルフクリーニング機能を持たす方法としては、例えば酸化分解作用を促進する酸化マンガン系の触媒種などを被膜層に配合する方法、低温度での酸化分解作用に顕著な効果を発揮する白金または中高温域での活性が高いパラジウムなどを被膜層に添加する方法を用いてもよい。さらに、吸着作用のあるセリウムなどを被膜層に添加する方法を用いてもよい。
【0078】
上記のように、実施の形態1の誘導加熱調理器においてグリル皿8を用いることにより、調理物である、肉、魚または野菜などを所望の焼き加減となるようにグリル調理することを、短い時間で確実に行うことができる。また、グリル皿8は加熱庫7からの取り出しが容易にされると共に、調理後の洗浄も容易に行える構成となっている。
【0079】
[通気流路の構成]
図17は、実施の形態1の誘導加熱調理器において本体カバー6を取り外した状態を示した側面図である。図17に示すように、実施の形態1の誘導加熱調理器において、空気流を形成するシロッコ型の冷却ファン11は、設定部4の背面側であり、加熱庫7の側面後方に設けられている。
【0080】
冷却ファン11の回転軸の軸方向は加熱庫7の左右方向に平行であり、本体側面(右側面後方側)に形成された側面吸気口12、および本体背面(背面右側)に形成された背面吸気口13(図5参照)から吸気されて、冷却ファン11の吸入口に吸引される。冷却ファン11により形成された空気流は、冷却ファン11の下流側に設けられ、複数の給気口を有するダクトにより形成された通気流路を通り、実施の形態1の誘導加熱調理器における高熱発生領域を効率高く冷却して排気される。
【0081】
図18は、シロッコ型の冷却ファン11の構成を示す斜視図である。図18は、冷却ファン11を右斜め上前方から見た斜視図であり、右側面を主として示している。図19は、冷却ファン11の背面図であり、図20は冷却ファン11の左側面図である。冷却ファン11は、多数の羽根(blade)を筒状に配置した羽根車をファンモータ(例えば、ACモータ)27の回転軸に装着したものであり、回転軸の周りの吸入口32から空気を吸い込む構成である(図18参照)。
【0082】
実施の形態1の誘導加熱調理器における冷却ファン11は、図18に示すように、回転軸の回転中心の周りにある吸入口32に対して、本体1の側面吸気口12および背面吸気口13(図5参照)から機器外部の空気(I)が吸入される。側面吸気口12および背面吸気口13からの機器外部の空気(I)が冷却ファン11の吸入口32に確実に、且つスムーズに流れ込むように、吸入口32の周りには実質的に三方(上下方向及び正面方向)を囲む吸気ダクト30が設けられている(図18参照)。
【0083】
実施の形態1の冷却ファン11には、図18図20に示すようにその外周部分に4つの給気口31a,31b,31c,31dを有する給気ダクト31が設けられている。給気ダクト31は、冷却ファン11の周りに、冷却ファン11から分岐される実質的に4つの通気流路の一部をそれぞれ形成する。
【0084】
第1給気口31aから給気される第1空気流Aは、冷却ファン11から正面側方向に送出される空気流であり、図17に示す設定部4に向かう通気流路を流れる。第1空気流Aは、設定部4の裏面側に配設された電気回路基板などを冷却すると共に、加熱庫7の天井面の上を正面側から背面側に流れて加熱庫7の天井面の熱を本体1の背面側の右上に形成された背面第1排気口15(図5参照)から排出する機能を有する。また、第1空気流Aは、設定部4の裏面側に設けた加熱庫流入ガイド33(図17参照)により加熱庫7の正面側から扉2の裏面に沿って加熱庫7の内部に流入するよう構成されている。但し、加熱庫流入ガイド33から流入する空気は、扉2の裏面における調理時の蒸気による曇りを取り除く機能を主として有するものであり、加熱庫7への流入空気量としては少量である。本実施の形態においては、加熱庫流入ガイド33により案内された空気流が加熱庫7の側壁面に形成された複数の小さなパンチング孔(流入口)36(図21参照)を介して加熱庫7内に流入する。
【0085】
図21および図22は、実施の形態1の誘導加熱調理器において、冷却ファン11からの第1空気流Aが流れる通気流路を示す図であり、各図において説明に不要な部分は取り外している。図21は、誘導加熱調理器を背面側後方の右上から見た斜視図であり、冷却ファン11および加熱庫7などを主として示している。図22は、誘導加熱調理器の背面側後方の左下から見た斜視図であり、加熱庫7の内部を裏面側から見た図である。図22においては、下側加熱部9および制御部10などは取り外されており、加熱庫7の底面が示されている。
【0086】
図21に示すように、冷却ファン11からの第1空気流Aは、設定部4の裏面側に設けられた加熱庫流入ガイド33により案内されて、加熱庫7の右側壁面の正面側の上方に設けたパンチング孔(流入口)36から加熱庫7の内部に流入する。加熱庫7の内部に流入した空気流は、扉2(図示せず)の裏面に沿って流れると共に、加熱庫7の内部を循環する。
【0087】
図22に示すように、加熱庫7の内部における一部の空気流は、加熱庫7の背面壁の右側上方に形成された開口37を通って、加熱庫7の背面側上方に設けられた排気混合筒14に流れ込む。この排気混合筒14は、冷却ファン11から背面側上方に直接送出された、後述する第4空気流Dが流れる通気流路である。このため、排気混合筒14においては、加熱庫7の内部からの高温度の空気流と、冷却ファン11からの低温度の空気流とが所定距離並行に流れて混合され、本体1の背面側に形成された背面第2排気口28から機器外部に排出される。なお、加熱庫7の内部からの空気流と、冷却ファン11からの空気流とが所定距離だけ並行に流れるように、排気混合筒14の内部の前半部分に仕切り板を形成してもよい。この結果、背面第2排気口28から排気される空気の温度は、加熱庫7からの直接排気された高温度の空気より大幅に低くなる。
【0088】
図23は、実施の形態1の誘導加熱調理器の背面を示す図である。図23に示す本体1の背面であって、図22に示す冷却ファン11の近傍の右側面側(図23における左側)に背面吸気口13が形成されており、左側面側(図23における右側)には背面第1排気口15が形成されている。また、背面第2排気口28は、本体1の背面の上側の右側に形成されており、図22に示す冷却ファン11からの第4空気流Dと加熱庫7からの空気流とを混合して排気する。すなわち、第4空気流Dは、冷却ファン11から背面第2排気口28に直接導かれる構成となる。
【0089】
なお、実施の形態1においては、加熱庫7から排気され開口37を通過した直後の空気の温度が、温度検出手段、例えばサーミスタにより検出されている。即ち、排気混合筒14の内部において、第4空気流Dとの混合前の加熱庫7から排気された空気の排気温度のみを検出して、検出された温度を庫内温度としてグリル調理の制御が行われる。
【0090】
図20の冷却ファン11の左側面図に示すように、給気ダクト31により形成される4つの通気流路において、第2給気口31bから給気される第2空気流Bは、冷却ファン11から下方前方(下方の正面側)に送出される空気流である。第2空気流Bは、設定部4の裏面側の下方に設けられたインバータ回路などにおける発熱部品を有する制御部10などを冷却する通気流路を流れる。また、制御部10などを冷却した第2空気流Bは、下側加熱部9(加熱コイル)に案内されて下側加熱部9を冷却し、本体1の裏面に形成された裏面排気口34(図5参照)および本体1の左側面に形成された側面排気口35(図3参照)などから排気される。
【0091】
給気ダクト31の第3給気口31cから給気される第3空気流C(図20参照)は、冷却ファン11から下方後方(下方の背面側)に送出される空気流である。第3空気流Cは、下側加熱部9(加熱コイル)に直接的に案内するガイドを有する通気流路を流れて、下側加熱部9を冷却する。下側加熱部9を冷却した第3空気流Cは、第2空気流Bと共に本体1の裏面に形成された裏面排気口34(図5参照)などから排気される。
【0092】
図18に示すように、給気ダクト31の第4給気口31dから給気される第4空気流Dは、冷却ファン11から背面側上方に送出される空気流であり、加熱庫7の背面側上方に沿って設けられた排気混合筒14(図21、22参照)を流れるよう構成されている。排気混合筒14には、前述のように、加熱庫7の内部を流れた第1空気流Aの一部が加熱庫7の背面側壁面に形成された開口37から送り込まれるよう構成されている。
【0093】
上記したように、冷却ファン11からの第4空気流Dと加熱庫7からの空気流とが混合されて、本体1の背面に形成された背面第2排気口28から排気されるため、本体1の背面側に排出される空気は温度の低い空気流となる。従って、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、例えば調理台上に配置されて、誘導加熱調理器の周りに人が存在する場合であっても、誘導加熱調理器から排気される排気温度は低く抑えられているため、安全性の高い調理器具となる。
【0094】
以上のように、実施の形態1の誘導加熱調理器は、調理物に対して所望の焼き加減となる加熱調理を容易に行うことができる構成であり、例えば調理台の上の所望の位置に載置してグリル調理することができ、使用者とって所望の場所で加熱調理することが可能な構成を有する。
【0095】
また、実施の形態1の誘導加熱調理器は、加熱庫に収納されたグリル皿を誘導加熱により効率高く高温度に加熱し、合わせて加熱庫の上部から輻射加熱により高温度に加熱する構成であるため、例えば肉、魚または野菜などの調理物を所望の温度で加熱することができる。さらに、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、誘導加熱を用いているため、設定温度への立ち上がりが早く、調理時間の短縮を図ることができ、効率の高い加熱調理を行うことができる。
【0096】
さらに、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱庫が密閉性を有しており、調理物に対して加熱空間を小さく形成して加熱調理を行う構成であるため、調理物自らの水分を保持した状態で蒸し焼きと同様の加熱調理を行うことが可能な構成である。また、グリル皿の調理面には貯水領域が形成されているため、加熱調理において積極的に水分の補給を行うことが可能となり、調理物に応じた適切な加熱調理を行うことができる。
【0097】
実施の形態1の誘導加熱調理器は、加熱庫に対して上下から輻射加熱と誘導加熱を行い、検出された庫内温度を用いて加熱動作制御を行っているため、調理温度および調理時間などを精度高く制御することが容易な構成となる。
【0098】
また、実施の形態1の誘導加熱調理器における加熱庫の加熱空間は、略直方体形状であり、加熱庫の底面が略平坦な形状を有しているため、加熱庫内の洗浄が容易な構成である。グリル調理において、調理物がグリル皿の上にて調理されるため、汚れの多くはグリル皿上に存在する。実施の形態1の誘導加熱調理器においては、グリル皿を加熱庫から容易に取り出すことができ、グリル皿の形状がシンプルであるため、グリル皿の洗浄が容易であり、且つ本実施の形態におけるグリル皿は通常の皿形状であるため食洗機による洗浄が可能である。
【0099】
(実施の形態2)
以下、本開示に係る実施の形態2の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して、実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態2の説明において、前述の実施の形態1と同じ機能を有する構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。実施の形態2の誘導加熱調理器において、実施の形態1との相違点は、グリル皿、およびそのグリル皿を摺動し、係止する加熱庫の構成である。実施の形態2の誘導加熱調理器においてはグリル皿を中心に説明する。
【0100】
図24および図25は、実施の形態2の誘導加熱調理器において用いられるグリル皿80を示す図であり、図24は斜視図であり、図25は平面図である。グリル皿80は、実施の形態1のグリル皿8と実質的に同様の外径寸法形状(平面形状が略長方形)である。グリル皿80は、その縁部分がフランジ形状に水平方向に延設されたフランジ部80aを有しており、その縁部分の四隅には開口したグリル皿引掛け部17が形成されている。
【0101】
実施の形態2のグリル皿80は、実施の形態1のグリル皿8と実質的に同じであり、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウムまたは銅などの金属で構成された熱伝導部26を有している。熱伝導部26において縁部分で取り囲まれた中央の領域が調理面18となっており、調理面18が縁部分に対して凹んだ凹面(底面)に形成されている。
【0102】
グリル皿80の調理面18には、貯水領域20が形成されている。図26は、図25に示したグリル皿80を26−26線により切断した断面図である。図26に示すように、貯水領域20における谷部の最低位置が、調理面18における貯水領域20以外の谷部の最低位置より低く形成されている。また、貯水領域20の谷部に溜まった液体が、貯水領域20以外の調理面18の谷部に侵入しないように、調理面18において貯水領域20は貯水領域20以外の領域とは峰部により隔離されている。
【0103】
図27は、グリル皿80の底面図である。グリル皿80の裏面は、グリル皿80が加熱庫7の内部の所定位置(調理位置)に配置されたとき、加熱庫7の底面下に配置されている下側加熱部9である加熱コイルと確実に対向するよう構成されている。グリル皿80の裏面においては、グリル皿80が調理位置にあるときの下側加熱部9(加熱コイル)に対向する領域に、鉄またはステンレスなどの透磁率の高い材料により形成された円板状の磁性体である誘導加熱体25が熱伝導部26に固着されている。誘導加熱体25は、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウム、銅で形成された熱伝導部26に対して、インサート成形、互いに凹凸を形成したカシメ固定、ネジ止め固定、または溶接などにより一体的に固着されている。
【0104】
図28は、図25に示したグリル皿80を28−28線により切断した断面図であり、調理面18における谷部の位置で切断した図である。図28に示すように、グリル皿80の裏面における誘導加熱体25が設けられた裏面は、平坦面になるよう形成されており、加熱庫7内部の調理位置にあるグリル皿80の裏面は、誘導加熱体25が下側加熱部9(加熱コイル)と対向して配置される。
【0105】
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、グリル皿80の裏面の円形の誘導加熱体25の外周部分に環状の突出部分である環状体43が形成されている。この環状体43には3箇所の突起部分が等間隔で形成されている。即ち、グリル皿80の裏面にある環状体43に形成された3カ所の突起部分が加熱庫7の底面に接触する支持部分となる。このため、グリル皿80は加熱庫7内の調理位置において加熱庫7の底面に対して所定距離を有して3点支持で平行に載置される。このときの、グリル皿80における誘導加熱体25に対応する裏面と、加熱庫7の底面との間の所定距離としては、例えば加熱庫7の底面中央部では約0.55mmの一定距離に設定されており、誘導加熱体25が下側加熱部9(加熱コイル)により均一に加熱されるように構成されている。
【0106】
なお、グリル皿80が加熱庫7内の調理位置に配置されているとき、後述するグリル皿80の足となる足部210の突出端は、加熱庫7の底面に形成された凹部7a(図4参照)の内部に配置され、加熱庫7の底面とは接触しない浮いた状態となっている。
【0107】
図29は、グリル皿80における前後方向に延びる側面を示す側面図であり、グリル皿80の両側に設けた足部210および摺動部220を示している。なお、本実施の形態において、足部210および摺動部220は、耐熱性樹脂材で一体的に形成した例で説明するが、別体で構成してもよい。足部210および摺動部220は、グリル皿80の本体である熱伝導部26に対して、固着手段、例えばネジ止め、溶着またははめ込みなどを用いて確実に固着されている。グリル皿80の両側に設けた足部210および摺動部220は、それぞれが実質的に同じ形状である。
【0108】
図29に示すように、足部210は、グリル皿80の本体となる熱伝導部26の最下位置である下面26aよりも下側に突設されている。足部210の下面210aは、収納される加熱庫7の前後方向に延びた縦長の形状を有している。
【0109】
図30は、図27の底面図に示したグリル皿80の一部を拡大して示した図であり、足部210の下面210aの端部を拡大している。図27および図30に示すように、足部210の下面210aにおける前後位置には、下方に突出する支持突起44がそれぞれ形成されている。このように、グリル皿80の両側には支持突起44を有する足部210が設けられているため、加熱庫7から取り出されたグリル皿80が台上、例えば調理台上に載置されたとき、足部210の支持突起44がグリル皿80の実質的な支持点となる。この結果、グリル皿80の熱伝導部26の下面26aは、台上の載置面から所定距離離れて配置され、グリル皿80の熱伝導部26と台上の載置面との間には所定空間が確実に形成される(図29参照)。
【0110】
実施の形態1において説明したように、加熱庫7の底面の両側には前後に細長い凹部7aが形成されているため、この凹部7aにグリル皿80の足部210(図28参照)の突出端が収納される。グリル皿80が加熱庫7内の調理位置に配置されたとき、足部210の突出端が加熱庫7の底面における凹部7aの内部に配置され、足部210が加熱庫7の底面とは接触しない浮いた状態となる。このため、グリル皿80が加熱庫7内の調理位置に配置されたときには、グリル皿80は環状体43の突起部分によって加熱庫7の底面に対して支持されるので、グリル皿80の裏面であって誘導加熱体25が設けられた部分は、加熱庫7の底面と所定距離を有して配置される。
【0111】
なお、グリル皿80に取り付けられた足部210の下面210aは、中央部分が凹となる前後方向に多少湾曲した形状を有している(図29参照)。これは、足部210における下面210aが下側に突出していると、グリル皿80を台上に載置した時、グリル皿80がぐらついて不安定となる虞があるため、下面210aを上側に凹ませることにより、足部210において点接触となり、グリル皿80が安定して台上に載置されるようにするためである。
【0112】
図29に示したように、グリル皿80の側面には足部210と共に摺動部220が形成されている。この摺動部220は、グリル皿80が加熱庫7の内部へ収納される移動時、および加熱庫7の内部から引き出される移動時において、加熱庫7の両側面壁に設けられた加熱庫突起29(図4参照)と接触してグリル皿80の移動時にグリル皿80を支持する機能を有する。
【0113】
加熱庫7の側面壁に設けられた加熱庫突起29は、加熱庫7の両側の側面壁に対向するように同じ位置に設けられている。実施の形態2における加熱庫突起29は、加熱庫7の側面壁の底面側の前方側に設けた摺動突起29aと、側面壁における略中央に設けた姿勢保持突起29b(図31図33参照)と、を有する。摺動突起29aおよび姿勢保持突起29bの位置は、グリル皿80の移動時の姿勢が所望の位置となるようにグリル皿80の形状に応じて決定される。なお、実施の形態2において、摺動突起29aは金属、例えばアルミニウムで形成され、姿勢保持突起29bは樹脂材を用いて形成されている。少なくとも、摺動突起29aとしては、グリル皿80を支持して摺動することから金属製であることが好ましい。
【0114】
加熱庫7の両側の側面壁に設けられた姿勢制御部である加熱庫突起29(29a,29b)、およびグリル皿80の側面に設けられた摺動部220は、グリル皿80が加熱庫7の内部に収納され加熱調理される調理位置と、使用者により加熱庫7からグリル皿80が約半分取り出された状態の中間保持位置と、を規定するための位置決め機構であると共に、グリル皿80の加熱庫7への収納時、および加熱庫7からの引き出し時の姿勢制御機構の機能を有する。
【0115】
図29のグリル皿80の側面図に示すように、摺動部220は、その下側が上方に凹んだ全体的に略凹形状を有している。摺動部220の略凹形状部分において、一方の端部分、例えば正面側の端部分が更に上方に凹んだ第1係合部220aとなっており、背面側の端部分も同様に更に上方に凹んだ第2係合部220bとなっている。なお、グリル皿80においては、前後方向のどちらの方向でも使用可能であり、グリル皿80の前後は同じ形状を有しているが、図29に示すグリル皿80においては、図29の紙面に向かって左側を正面側として説明する。従って、摺動部220における第1係合部220aおよび第2係合部220bは同じ形状であり、グリル皿80における同じ位置に形成されている。
【0116】
図31は、グリル皿80が加熱庫7の内部の調理位置に配置されたときの状態を示す側面断面図である。図31に示すグリル皿80が加熱庫7に収納されて調理位置にあるとき、摺動突起29aが凹部である第1係合部220a(グリル皿80の正面側係合部)に入り込み係止した状態であり、摺動突起29aによりグリル皿80が位置決めされた状態である。このとき、グリル皿80の足となる足部210の突出端は、加熱庫7の底面の凹部7a(図4参照)の内部に入り込んで浮いた状態にある。また、このときグリル皿80の底面に形成された環状体43(図27参照)には、少なくとも3カ所の突起部分があり、突起部分が加熱庫7の底面に接触して、グリル皿80を加熱庫7の底面に対して所定距離を有して保持した状態となっている。
【0117】
調理位置にあるグリル皿80が加熱庫7から引き出されるとき、摺動突起29aは第1係合部220aの凹部から出て、第2係合部220bに続く摺動縁部220cを摺動する。従って、調理位置のグリル皿80が加熱庫7から引き出されるとき、グリル皿80の前面側は持ち上がった状態で前方へ移動する。
【0118】
図32は、グリル皿80が加熱庫7から引き出される途中の状態を示す側面断面図である。図33は、図32に示す引き出し途中の状態におけるグリル皿80と、グリル皿80と接触する摺動突起29aおよび姿勢保持突起29bとを示す拡大図である。
【0119】
図32および図33に示すように、摺動突起29aが摺動部220の摺動縁部220cと摺動すると共に、摺動突起29aの位置より背面側で上方側にある姿勢保持突起29bがグリル皿80の縁部分のフランジ部80aの上面と当接している。即ち、グリル皿80が引き出される途中の状態において、摺動突起29aの位置がグリル皿80の中心位置(摺動部220の中心位置)より背面側となったとき、グリル皿80には摺動突起29aを中心として前方側が下方に回動する力が働く。このため、グリル皿80が引き出される途中の状態においては、摺動突起29aより背面側にある姿勢保持突起29bがグリル皿80のフランジ部80aと当接して、グリル皿80の背面側を押さえることになる。従って、グリル皿80は、摺動突起29aにより全体的に少し持ち上げられた状態を維持して摺動する。
【0120】
図34は、図32に示す引き出し途中の状態において、グリル皿80の摺動部220の摺動縁部220cを摺動する摺動突起29aを示しており、グリル皿80を左右方向に切断した拡大断面図である。図34に示すように、摺動部220の摺動縁部220cの下端は、摺動方向に直交する断面が円弧状、または下端が細い形状になるよう形成されている。このため、摺動縁部220cと摺動突起29aとは、実質的に点接触の摺動状態である。この結果、実施の形態2の構成においては、グリル皿80の摺動時の摩擦抵抗が少なくなるよう構成されており、少ない力でグリル皿80を移動できる構成となっている。
【0121】
上記のように、摺動突起29aは、グリル皿80の摺動部220における摺動縁部220cと点接触で摺動して、グリル皿80の背面側にある凹部である第2係合部220bに入り込み、係止される。このように、調理位置のグリル皿80が加熱庫7から引き出されて、摺動突起29aが凹部である第2係合部220b(図33参照)に入り込み係止し、その位置が中間保持位置となる。
【0122】
図35は、グリル皿80が加熱庫7から引き出されて中間保持位置に配置されたときの状態を示す側面断面図である。図35に示すように、グリル皿80が中間保持位置にあるとき、姿勢保持突起29bはグリル皿80から外れている。このため、グリル皿80は摺動突起29aを中心として前方側が下方に回動して、グリル皿80の足部210の前方側が扉2の内面壁(例えば、加熱庫7の内部の調理状況を確認するための窓となるガラス板)に接触して、グリル皿80が支持されている。なお、実施の形態2の構成において、完全に開いた状態の扉2の内面壁は、水平面に対して手前側が2°〜5°持ち上がるよう斜行した面となるよう構成されている。
【0123】
なお、扉2が閉められて加熱庫7が実質的に密閉された状態において、扉2と加熱庫7の前側開口の外周部分との間にシール材としての密閉部材が配置されるよう構成されている。従って、グリル皿80の収納時および引き出し時において姿勢制御部である加熱庫突起29があることで、密閉部材がグリル皿80と接触しないように構成されている。
【0124】
上記のように、グリル皿80の両側に設けられた摺動部220と、加熱庫7の両側の壁面に設けた加熱庫突起29(29a,29b)が、実施の形態2における位置決め機構および姿勢制御機構となる。グリル皿80が中間保持位置にあるときは、グリル皿80は加熱庫7から半分以上引き出された状態で扉2の内面壁部分と加熱庫7の底面部分とにより支持された状態である。このため、使用者は、グリル皿80の両側にある摺動部220の略凹形状部分を持ち、グリル皿80を加熱庫7から容易に、且つ安全に取り出すことができる。なお、グリル皿80の形状は左右対称に構成されているため、加熱庫7へ挿入されるグリル皿80の前後位置は限定されない構成である。
【0125】
各実施の形態において説明したように、本開示の誘導加熱調理器は、調理物に対して所望の焼き加減となるグリル調理を容易に行うことができる構成を有しており、且つ使用者により、所望の場所で所望のグリル調理を容易に行うことが可能な誘導加熱調理器を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
以上述べたように、本開示の誘導加熱調理器は、少なくとも誘導加熱を用いて効率良く加熱調理することができるとともに、調理物に対して所望の焼き加減となるグリル調理を容易に行うことができる構成であり、且つ使用者が所望の場所で使用することができる構成であるため、有用な調理器具である。
【符号の説明】
【0127】
1 本体
2 扉
3 扉把手
4 設定部
5 表示部
6 本体カバー
7 加熱庫
7a 凹部
8 グリル皿
9 下側加熱部(誘導加熱部)
10 制御部
11 冷却ファン
16 上側加熱部(輻射加熱部)
17 グリル皿引掛け部
18 調理面
19 境界マーク
20 貯水領域
21 支持部(足部)
22 当接部
23 高温調理領域
24 低温調理領域
25 誘導加熱体
26 熱伝導部
29 加熱庫突起
30 吸気ダクト
31 給気ダクト
31a 第1給気口
31b 第2給気口
31c 第3給気口
31d 第4給気口
32 吸入口
50 脚部
80 グリル皿
210 足部
220 摺動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
【国際調査報告】