特表-17145893IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年8月31日
【発行日】2018年12月13日
(54)【発明の名称】鉛蓄電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/28 20060101AFI20181116BHJP
【FI】
   H01M2/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
【出願番号】特願2018-501615(P2018-501615)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年2月15日
(31)【優先権主張番号】特願2016-30627(P2016-30627)
(32)【優先日】2016年2月22日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克実
(72)【発明者】
【氏名】石牧 圭
(72)【発明者】
【氏名】菊地 亮太
(72)【発明者】
【氏名】藤森 智貴
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA01
5H043BA12
5H043CA04
5H043CA13
5H043EA07
5H043HA11E
5H043JA09E
5H043LA00E
5H043LA21E
5H043LA22E
5H043LA23E
(57)【要約】
本発明は、鉛蓄電池の正極板の耳部の破断を防止する。本発明の鉛蓄電池は、複数の正極板と負極板とを備える極板群を少なくとも1つ含む。前記極板群の前記複数の正極板は、それぞれ、格子体と、耳部と、正極活物質と、を含む。前記複数の正極板の前記耳部は、ストラップに溶接されている。前記耳部の厚さ方向の断面視において、前記複数の正極板のうち50%以上の枚数の前記正極板の前記耳部は、鉛直方向に対して傾斜しており、傾斜した前記耳部のうち少なくとも1つは、他の傾斜した前記耳部と逆方向に傾斜している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の正極板と負極板とを備える極板群を少なくとも1つ含み、
前記極板群の前記複数の正極板は、それぞれ、格子体と、耳部と、正極活物質と、を含み、前記複数の正極板の前記耳部は、ストラップに溶接されており、
前記耳部の厚さ方向の断面視において、
前記複数の正極板のうち50%以上の枚数の前記正極板の前記耳部は、鉛直方向に対して傾斜しており、
傾斜した前記耳部のうち少なくとも1つは、他の傾斜した前記耳部と逆方向に傾斜している、鉛蓄電池。
【請求項2】
前記極板群において、両端の前記正極板の前記耳部は、内側に傾斜している、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項3】
鉛直方向に対する前記耳部の傾斜角は、絶対値で0.1度〜7度の範囲にある、請求項1または2に記載の鉛蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池を作製する過程で、正極板と負極板とをセパレータを介して積層して極板群を作製した後、正極板の耳部を1つの極板群ごとにまとめて正極性ストラップと一体化し、かつ負極板の耳部を1つの極板群ごとにまとめて負極性ストラップと一体化する。具体的には、耳部に鉛合金片を当接させた後でバーナーにて加熱する方法や、溶湯にした鉛合金に耳部を漬けた後で冷却して固化させる方法などによって、正極性ストラップおよび負極性ストラップを成形しつつ耳部と一体化する。
【0003】
鉛蓄電池は充放電の繰り返しに伴って正極板が体積膨張する。この膨張は、特に過充電状態において顕著である。この膨張が正極板の耳部に負荷を与えて歪を生じさせ、鉛蓄電池が振動を受けることで耳部が破断することがある。
【0004】
この耳部の破断を防ぐために、特許文献1には、耳部とストラップの境界部分に、テーパ状やR状の肉盛り部を形成させて機械的強度を向上させる構成が開示されている。
【0005】
特許文献2には、耳部にリブ部を設けて機械的強度を向上させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−89259号公報
【特許文献2】特開平7−326359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鉛蓄電池の正極板の耳部の破断を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一側面は、複数の正極板と負極板とを備える極板群を少なくとも1つ含み、
前記極板群の前記複数の正極板は、それぞれ、格子体と、耳部と、正極活物質と、を含み、前記複数の正極板の前記耳部は、ストラップに溶接されており、
前記耳部の厚さ方向の断面視において、
前記複数の正極板のうち50%以上の枚数の前記正極板の前記耳部は、鉛直方向に対して傾斜しており、
傾斜した前記耳部のうち少なくとも1つは、他の傾斜した前記耳部と逆方向に傾斜している、鉛蓄電池に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鉛蓄電池の正極板の耳部の破断を防止することができる。
【0010】
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池の一部を切り欠いた概略斜視図である。
図2a図1の正極板の一例を示す概略正面図である。
図2b図2aのIIb−IIb線による矢示断面図である。
図3図1の極板群において、複数の正極板の耳部の傾斜状態を説明するための要部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池は、複数の正極板と負極板とを備える極板群を少なくとも1つ含む。極板群の複数の正極板は、それぞれ、格子体と、耳部と、正極活物質と、を含み、複数の正極板の耳部は、ストラップに溶接されている。耳部の厚さ方向の断面視において、複数の正極板のうち50%以上の枚数の正極板の耳部は、鉛直方向に対して傾斜しており、傾斜した耳部のうち少なくとも1つは、他の傾斜した耳部と逆方向に傾斜している。
【0013】
本実施形態では、複数の正極板を備える極板群において、50%以上の枚数の正極板において耳部を傾斜させるが、このとき傾斜した耳部の少なくとも1つを、他の傾斜した耳部と逆方向に傾斜させる。これにより、充電時(特に、過充電時)に正極板が膨張しても、膨張による応力歪みが生じ難い。また、鉛蓄電池が振動しても、振動による応力を分散させることができる。よって、正極板の耳部の破断を抑制することができる。
【0014】
以下に本実施形態について、図1図3を用いてより具体的に説明するが、これらの図は単なる例示であり、本発明は、これらの図の場合に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池の一部を切り欠いた概略斜視図である。図2aは、図1の正極板の一例を示す概略正面図である。図2bは、図2aのIIb−IIb線による矢示断面図である。図3は、図1の極板群において、複数の正極板の耳部の傾斜状態を説明するための要部の模式図である。図3は、耳部の厚さ方向の断面視で、耳部を実線、正極板の耳部以外の部分(耳部近傍の要部)を点線で示している。
【0015】
図1に示すように、鉛蓄電池は、複数の極板群4を備えている。極板群4は、電解液(図示せず)とともにセル室5aを複数個有する電槽5の各セル室5a内に収納されている。そして電槽5の開口部は、蓋6によって封口されている。
【0016】
極板群4では、正極板1と負極板2とがセパレータ3を介して積層されている。各正極板1は、集電のための耳部1cを有しており、各負極板2も同様に耳部を有している。正極板1の耳部1cは1つの極板群4ごとにまとめて正極性ストラップ7と一体化されている。また、正極板と同様に、負極板の耳部は1つの極板群4ごとにまとめて負極性ストラップ8と一体化されている。なお、図1において、耳部の厚さ方向を矢印にて示した。
【0017】
図2a、図2bに示すように、正極板1は、正極格子1a、正極活物質1b、耳部1cおよび上骨部1dを備えている。格子体は、正極格子1aおよび上骨部1dで構成される。1セルあたり(つまり、1つのセル室あたり)、4〜15枚の正極板が用いられる。
【0018】
本発明では、複数の正極板と負極板とを備える極板群において、50%以上の枚数の正極板の耳部を傾斜させ、一部の傾斜した耳部と他の傾斜した耳部との傾斜方向が逆向きとする。鉛蓄電池が複数の極板群を有する場合、少なくとも1つの極板群において、一部の傾斜した耳部と他の傾斜した耳部との傾斜方向が逆向きであればよく、全ての極板群の各極板群において、一部の傾斜した耳部と他の傾斜した耳部とで傾斜方向が逆向きであってもよい。1つの極板群において、耳部が鉛直方向に直立した正極板が含まれていてもよいが、その数は少ない方が好ましい。1つの極板群において、傾斜した正極板は、極板群に含まれる正極板全体の枚数の70%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。正極板の耳部の破断を抑制する効果をさらに高める観点からは、少なくとも1つの極板群において、全ての正極板の耳部が傾斜しており、一部の耳部と他の耳部とで傾斜方向が逆向きであることが好ましい。また、同様の観点で、鉛蓄電池に含まれる複数の極板群のうち、50%以上(好ましくは80%以上または90%以上)の極板群において、それぞれ、全ての正極板の耳部が傾斜しており、一部の耳部と他の耳部とで傾斜方向が逆向きであることが好ましい。なお、各極板群は、少なくとも1つの負極板を有していればよいが、正極板と負極板が交互になるように、複数の負極板を有することが好ましい。
【0019】
次に図3を用いて、正極板の耳部の傾斜状態について説明する。図3の(a)〜(e)に示すように、本実施形態に係る発明の鉛蓄電池の各正極板の耳部1cは、その厚さ方向の断面視において、鉛直方向に対して傾斜しており、そのうち少なくとも1つの耳部は、他の耳部と逆方向に傾斜している。
【0020】
図3では、耳部の厚さ方向の断面において、鉛直方向に対して、耳部が右側に傾斜している場合にその傾斜角を正で表し、左側に傾斜している場合には負で表すものとしている。
【0021】
製造バラツキに鑑み、本明細書において、耳部の傾斜とは、耳部の厚さ方向の断面視において、鉛直方向に対して絶対値で0度より大きく傾斜していることを意味し、0.1度以上または1度以上傾斜していることが好ましく、3度以上または5度以上傾斜していてもよい。耳部の傾斜は、絶対値で、例えば、10度以下であることが好ましく、7度以下であることがさらに好ましい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。耳部の傾斜の絶対値は、例えば、0.1〜10度、0.1〜7度、1〜7度、3〜7度、または5〜7度であってもよい。
【0022】
図3の(a)において、耳部1cは、左から順に+3度、+3度、+3度、+3度、−3度の傾斜角を有している。
【0023】
図3の(b)において、耳部1cは、左から順に−5度、+3度、+3度、+2度、+3度の傾斜角を有している。
【0024】
図3の(c)において、耳部1cは、左から順に−2度、+3度、+2度、−2度、+2度の傾斜角を有している。
【0025】
図3の(d)において、耳部1cは、左から順に+2度、−2度、+3度、+4度、−3度の傾斜角を有している。
【0026】
図3の(e)において、耳部1cは、左から順に+3度、+2度、+4度、−3度、−3度の傾斜角を有している。
【0027】
このように、傾斜させた耳部のうち少なくともひとつを他の傾斜した耳部と逆方向に傾斜させることによって、正極板の膨張による歪への耐性を向上させるとともに、振動状態に受ける応力を分散させることが可能となる。したがって、鉛蓄電池の正極板の耳部の破断を防止することができる。
【0028】
一方(例えば、正の方向)に傾斜させた耳部を有する正極板の位置や枚数は特に制限されない。また、傾斜角の絶対値は、極板群において、全てまたは一部の正極板の耳部で同じであってもよく、全ての正極板の耳部で異なっていてもよい。
【0029】
極板群における両端の耳部(図3では、最右側と最左側の耳部1c)は、互いに近づく方向に向かって、つまり内側に傾斜していることが好ましい。このように構成すると、正極性ストラップを小型軽量化できる。
【0030】
耳部の傾斜は、正極板の耳部または格子体と一体化した状態の耳部の部分を、所定の傾斜角を設定した櫛形治具に挿入して、櫛型治具の傾斜角に沿って屈曲させる(つまり、耳部の傾斜角を矯正する)ことで得られる。
【0031】
正極の格子体を構成する材料としては、例えば、鉛や鉛合金が挙げられる。正極は、格子体と、耳部と、正極活物質とを含んでいればよく、格子体と、耳部と、正極活物質を含む正極電極材料とを含んでいてもよい。耳部は、格子体の上部に一体化している。耳部の材料としては、格子体と同様に、鉛や鉛合金が利用できる。正極格子は、鉛または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛または鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、例えば、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。
【0032】
正極電極材料は、正極活物質に加え、鉛蓄電池の正極板に使用される公知の成分や添加剤などを含んでもよい。正極活物質は、酸化還元反応により容量を発現する物質であり、例えば、二酸化鉛もしくは硫酸鉛を含む。正極活物質(または正極電極材料)は、通常、正極格子に担持されている。
【0033】
正極板は、耳部が一体化された格子体において、耳を傾斜させ、正極活物質または正極電極材料を格子体の正極格子に担持させ、熟成、乾燥させ、通常、さらに化成処理を行うことにより得ることができる。正極活物質の担持と、耳の屈曲とはどちらを先に行なってもよい。
【0034】
複数の正極板の耳部と一体化するストラップの材質としては、格子体と同様に、例えば、鉛や鉛合金が利用される。
【0035】
負極板と正極板との間には、通常、セパレータが配置される。負極板、セパレータ、電解液、電槽、電槽蓋など、正極板の耳部以外の構成には、公知のものを採用できる。
【0036】
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の鉛蓄電池は、正極板の耳部の破断が抑制され、優れた信頼性を有するため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 正極板
1a 正極格子
1b 正極活物質
1c 耳部
1d 上骨部
2 負極板
3 セパレータ
4 極板群
5 電槽
5a セル室
6 蓋
7 正極性ストラップ
8 負極性ストラップ
図1
図2a
図2b
図3
【国際調査報告】