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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年9月8日
【発行日】2018年3月8日
(54)【発明の名称】足湯容器
(51)【国際特許分類】
   A61H 35/00 20060101AFI20180209BHJP
   A47K 3/022 20060101ALI20180209BHJP
   B65D 6/04 20060101ALI20180209BHJP
【FI】
   A61H35/00 F
   A47K3/022
   B65D6/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】48
【出願番号】特願2016-535744(P2016-535744)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年3月3日
(11)【特許番号】特許第6051482号(P6051482)
(45)【特許公報発行日】2016年12月27日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516065065
【氏名又は名称】株式会社弘福
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】浅井 令子
【テーマコード(参考)】
3E061
4C094
【Fターム(参考)】
3E061AA02
3E061AB09
3E061AB15
3E061AD03
3E061CA02
3E061DB06
4C094AA02
4C094BA03
4C094BB09
4C094CC12
4C094CC15
4C094DD14
4C094GG05
4C094GG11
(57)【要約】
【課題】壁板を折り倒して平坦に折りたたまれる足湯容器において、浴室の濡れた床面に置いても滑りにくく安全に使用することができ、使用後には蓄えられた湯水を容易に排水できると共に、足湯容器内部を衛生的に保つことも容易な足湯容器を提供すること。
【解決手段】四角形状とされた底板10と、前記底板から起立された向かい合う二対の壁板とからなる足湯容器において、対をなす第1の壁板20には、底辺両端から斜め上方に向けて折目21が備えられ、各々の第1の壁板20が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、対をなす第2の壁板30が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれる足湯容器であって、足湯容器が起立された状態を維持させる起立支援手段40と、前記底板の下面の湯水を排出させて容器の横滑りを防止させる横滑り防止手段11とを、足湯容器本体と一体に有した足湯容器とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状とされた底板と、前記底板から起立された向かい合う二対の壁板とからなる足湯容器において、
対をなす第1の壁板には、底辺両端から斜め上方に向けて折目が備えられ、各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、対をなす第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれる足湯容器であって、
足湯容器が起立された状態を維持させる起立支援手段と、前記底板の下面の湯水を排出させて容器の横滑りを防止させる横滑り防止手段とを、足湯容器本体と一体に有している、
ことを特徴とする足湯容器。
【請求項2】
前記起立支援手段が、各々の第1の壁板の天辺に沿う添着部材を含み、
前記添着部材は、基端部が足湯容器本体と一体に形成され、
各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着される、
ことを特徴とする請求項1に記載の足湯容器。
【請求項3】
前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板の引き込み手段を含み、
前記引き込み手段は、各々の第1の壁板を引き込む紐であって、前記紐の基端が、一方の第1の壁板と一体に付設されていると共に、前記紐の先端が、他方の第1の壁板の高さ方向の中央部よりも上に係止可能とされ、
各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、前記先端が前記他方の第1の壁板に係止されて、各々の第1の壁板が内方に引き込まれている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の足湯容器。
【請求項4】
前記起立支援手段が、対をなす第2の壁板の押し出し手段を含み、
前記押し出し手段は、各々の第2の壁板を押し出す竿体であって、前記竿体の基端が足湯容器本体と一体に形成され、
各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第2の壁板の高さ方向の中央部よりも上を、前記竿体の先端が外方に押し出している、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の足湯容器。
【請求項5】
前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板を起立させた状態の壁面形状を維持させる形状維持手段を含み、
前記形状維持手段は、各々の第1の壁板の天辺に沿う上部気体袋と、底板に備えられた下部気体袋と、気体流通手段とを有し、
前記気体流通手段を介して前記下部気体袋から前記上部気体袋に気体が流入されて、前記上部気体袋が膨らませられ、各々の第1の壁板を起立させた状態が維持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の足湯容器。
【請求項6】
各々の前記上部気体袋の圧力を同一とさせる圧力調整手段を備え、
前記圧力調整手段が、二つの上部気体袋を繋ぐ連通管とされている、
ことを特徴とする請求項5に記載の足湯容器。
【請求項7】
前記底板の内方面に、面状をなす断熱部材を含み、
前記断熱部材の下方に、前記下部気体袋が配設されている、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の足湯容器。
【請求項8】
対をなす第1の壁板の少なくともいずれか一方が吊下げ手段を有し、
前記足湯容器を平坦に折りたたんだ状態で、前記吊下げ手段を介して垂直に吊下げ可能とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の足湯容器。
【請求項9】
各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に、隙間があいている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の足湯容器。
【請求項10】
各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折り倒たたまれた状態で、
更に、各々の第1の壁板が前記底板に沿って、各々の第1の壁板と前記底板との接縁に対して折りたたみ可能とされ、
更に、第1の壁板が折りたたまれた状態で、第1の壁板が折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間となる位置に、各々の第1の壁板と前記底板とに筋目が形成され、足湯容器が折りたたみ可能とされていることを特徴としている。
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の足湯容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内でシャワー浴をしながら、容易かつ安全に足湯浴をすることができる足湯容器に関する。詳細には、浴室内の濡れた床、浴槽、床敷き等の上に、空の状態で置いても横滑りしにくく、シャワーを浴びる際には自立させやすく、シャワー浴の後には容器内に溜まった湯が排水しやすく、使いやすいと共に衛生的に管理しやすい足湯容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、足湯容器は、下半身の血液循環の向上等の治療を目的として、居室内で椅子に座った姿勢で使用されていた。そのため、足湯容器内の湯水がこぼれにくいように、足湯容器は変形しにくく、一定の形状の容器とされていた。
【0003】
特許文献1から特許文献3には、折りたたみ可能な容器の技術が開示されている。特許文献1には、椅子に座った姿勢で使用される足湯容器ではあるが、折りたたんで収容できるようにした足湯容器の技術が開示されている。胴部をシート状の軟質合成樹脂製とすると共に、着脱自在の芯材を、胴部の高さ方向に装着し、芯材が胴部に装着された状態では足湯容器の形状が保持され、芯材を取り外した状態では胴部が折りたたみ可能とされている。
【0004】
この足湯容器は、椅子に座った状態で使用される足湯容器であり、湯水や石鹸の泡等により濡れた浴室内では滑りやすく、安全に使用できなかった。また、シャワーの際に、泡等で濡れた軟質樹脂性の胴部に、芯材を装着することは困難で、芯材が外れた場合には、素足を傷つける危険性もあり、芯材を紛失した場合には起立させることができなくなるという課題もあった。
【0005】
更に、胴部が伸ばされた状態のままでは、排水の際に湯水が入った足湯容器を持ち上げて傾ける必要があり、排水が困難であった。芯材を取り外して胴部を縮めた状態とすれば、排水が容易になる反面、折りたたまれて接した胴部の内壁部に付着した湯水が乾燥されにくく、容器内部を衛生的に保つことが困難であり、また芯材を紛失しやすいという課題もあった。
【0006】
特許文献2には、折りたたみ可能な洗面器の技術が開示されている。特許文献2に記載された桝の形状をなす洗面器には、起立した向かい合う壁板のうち、折りたたまれる側の壁板には、底縁両端から天縁中央部に向かう斜めの折目が備えられ、全ての壁板が内方に向けて折りたたみ可能とされている。また、折目を有する壁板の天縁に沿って形状記憶合金からなる芯材が備えられている。洗面器が折りたたまれた状態から、各々の壁板を手で起こし起立させた状態とし、湯を溜めれば、形状記憶合金が加温され、洗面器が起立した形状に保持される。
【0007】
しかし、この容器の技術を、シャワー時に使用する足湯容器に適用すれば、壁板が内方に折れ曲がって、不安定な形状のままで、足湯容器を使い始めることになる。そうすると、内方に折れ曲がった形状記憶合金で、素足を傷つける危険性があった。また、足湯容器に溜まった湯水を排水しようとすると、足湯容器を持ち上げて傾ける必要があり排水しにくく、無理に壁板を外方に倒して排水しようとすると、形状記憶合金が折れ、容器が破損しやすいという課題があった。また、排水して容器が空となった後には、壁板が内方に折れ曲がり、折れ曲がって接した胴部の壁部に付着した湯水が乾燥されにくく、容器内部を衛生的に保つことが困難であるという課題もあった。
【0008】
特許文献3には、形状記憶樹脂を使用して、主として食品容器に使用される、折りたたみ式の形状復帰容器の技術が開示されている。倉庫での保管時には、場所をとらないように縮小した状態とされ、食品容器として使用される際には、温度が50℃以上の高温にされることにより、カップ形状に復帰する容器とされている。
【0009】
この文献には、両側から挟み込む別体の補強部品を、折りたたむ壁板に装着させて、壁板を自立した状態に維持させる技術が開示されている。しかし、特許文献3の技術によっても、特許文献1の場合と同様に、補強部品を紛失しやすく、素足で使うには危険であると共に、滑りやすい浴室内で安全に使用できず、容器内部を衛生的に保つことは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特許文献1:特開2003−180789号公報
特許文献2:特開2011−110416号公報
特許文献3:実開平02−16742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、浴室内でシャワーをしながら、容易かつ安全に足湯浴ができる足湯容器を提供することを課題としている。より詳細には、浴室内の濡れた床、浴槽、床敷き等の上に、空の状態で置いても横滑りしにくく、シャワーを浴びる際には自立しやすく、シャワー後には容器内に溜まった湯水が排水しやすく、使いやすいと共に衛生的に管理しやすい足湯容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の発明の足湯容器は、四角形状とされた底板と、前記底板から起立された向かい合う二対の壁板とからなる足湯容器において、対をなす第1の壁板には、底辺両端から斜め上方に向けて折目が備えられ、各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、対をなす第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれる足湯容器であって、足湯容器が起立された状態を維持させる起立支援手段と、前記底板の下面の湯水を排出させて容器の横滑りを防止させる横滑り防止手段とを、足湯容器本体と一体に有していることを特徴としている。
【0013】
四角形状は、矩形形状に限定されない。大きさ・高さも限定されず、例えば、少なくとも踝までが湯水に浸かることができる大きさ・高さとされればよい。底板及び壁板の材質は、柔軟性のある樹脂製のシート体であってもよく、剛性のある樹脂製の板体であってもよく、防水紙であってもよく限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル等の樹脂製シート体や、パラフィン紙、合成樹脂製の合成紙等であればよい。また、部位毎に異なった材質とされていてもよい。
【0014】
足湯容器を、樹脂製のシート体により構成させる場合には、平坦なシート体を組み合わせて、稜線部分を熱溶着し、足湯容器を形成させればよい。樹脂製のシート体とすると、耐久性が高く、繰り返し使用できる足湯容器を提供することができる。一方、防水紙、例えばパラフィン紙から構成させる場合には、紙を折りたたんで、壁板を接着剤等により接着して組立て、湯水を溜める容器とすればよく、少量であっても、安価に足湯容器を提供することができる。
【0015】
対をなす第1の壁板は、折目に沿って、外方に倒すように折りたたみ容易とされている。そのため、対をなす第1の壁板のいずれかを外方に倒すだけで、足湯容器に溜まった湯水が排水される。また、第1の壁板を折り倒して、各々の第1の壁板が垂直方向に並ぶようにして吊下げれば、足湯容器の内部に付着した湯水が、足湯容器内面に沿って排水される。これにより、湯水が溜まって、重くなった足湯容器を持ち上げて傾ける必要がなく排水が容易である。また、足湯容器の内面を乾燥させやすく、足湯容器が衛生的に管理できる。
【0016】
折目は、材質が紙質からなる場合は、折り癖をつけるだけでもよい。材質が樹脂製のシート体からなる場合は、折目の部分の性状が変えられればよく、折り癖をつけるだけでもよく、材質を変えても、厚さを変えても、シート体よりも硬い板体を貼着させてもよく、限定されない。折目の傾斜角度は、限定されない。
【0017】
足湯容器と一体に設けられる起立支援手段は、空の状態から湯水が溜まった状態になるまで、各々の壁板が倒れないように、壁板が起立された状態が維持できればよく、その形態は限定されない。例えば、外方に折り倒される対をなす第1の壁板を、内方側に引き込ませる引き込み手段であってもよく、内方に折り倒される対をなす第2の壁板を、外方に押し出させる押し出し手段であってもよい。また、折目を有する対をなす第1の壁板を、折りたたみ困難な状態とさせるものでもよい。
【0018】
起立支援手段が備えられるため、対をなす第1の壁板の各々の折目が開かれて、足湯容器が起立した状態を維持させることができる。そのため、壁板を手で倒れないように支えていなくても、シャワー浴をしながら、足湯容器に湯水を溜めることができる。これにより、手で身体を洗いながら又は身体をマッサージしながら、安全に足湯容器に湯水を溜めて、足湯浴をすることができる。
【0019】
前記底板の下面の湯水を排出させる横滑り防止手段は、浴室の床が濡れていても、底面と浴室床との間の湯水が排出されやすいように底面が粗面とされてもよく、底面が下方に凸に反っていてもよい、排出のための部品が添着されていてもよい。これにより、濡れた浴室の床や浴室の床に敷いた床敷きの上に足湯容器を置いて入浴者が立つだけで、足湯容器の底面と浴室床との間の湯水が排出され、足湯容器が滑りにくく、安全に使用することができる。
【0020】
また、起立支援手段と横滑り防止手段とが、本体と一体に備えられている。これにより、足湯容器を折りたたむ際にも、足元に部品を散乱させず、滑りやすい浴室内であっても、安全にシャワー浴ができる。また、保管時に部品をなくすこともない。
【0021】
本発明の第1の発明によれば、シャワーを浴びる際に壁板を自立させた状態を維持しやすいと共に、浴室内が濡れていても足湯容器が滑りにくい。シャワー浴の後には、一部の壁板を外方に倒して湯水を排水することができ、吊り下げて水切りをすることができる。これにより、濡れた浴室内であっても安全に使いやすいと共に、衛生的に管理しやすいという有利な効果を奏する。
【0022】
本発明の第2の発明は、第1の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、各々の第1の壁板の天辺に沿う添着部材を含み、前記添着部材は、基端部が足湯容器本体と一体に形成され、各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着されることを特徴としている。
【0023】
添着部材は、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着されて、各々の折目が開かれた状態に維持できればよく、その形態は限定されない。添着部材の形状は、竿体であっても板体であってもよい。添着の態様も、複数の鉤部と環部とが係合しあう面ファスナー、筋状の凸部と筋状の凹部とが嵌合される嵌合部材、天辺を挟み込む狭持部材等、限定されない。添着範囲は、壁面全体に亘って添着されてもよく、折目をなす部分のみに添着されてもよい。
【0024】
また、添着部材が足湯容器と一体に形成される位置は限定されず、対をなす第1の壁板の内面に添着されてもよく、外面に添着されてもよく、内面と外面の両面に添着されてもよい。対をなす第2の壁板の側縁部から水平に延設させてもよく、底板の底縁部から垂直に延設させてもよい。
【0025】
本発明の第2の発明によれば、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着部材を添着させ、対をなす第1の壁板の折目が開いた状態を維持させている。これにより、簡易な構成で足湯容器を起立させた状態とすることができると共に、添着部材の添着を解除すれば、対をなす第1の壁板を容易に倒すことができ、足湯容器に溜まった湯水を容易に排水することができる。
【0026】
本発明の第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板の引き込み手段を含み、前記引き込み手段は、各々の第1の壁板を引き込む紐であって、前記紐の基端が、一方の第1の壁板と一体に付設されていると共に、前記紐の先端が、他方の第1の壁板の高さ方向の中央部よりも上に係止可能とされ、各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、前記先端が前記他方の第1の壁板に係止されて、各々の第1の壁板が内方に引き込まれていることを特徴としている。
【0027】
起立支援手段をなす紐は、一方の第1の壁板のいずれかの位置に、紐の基端が一体に付着され、他方の第1の壁板の高さ方向の中央部よりも上に、紐の先端が係止されればよい。第3の発明によれば、外方に倒れやすい各々の第1の壁板が、内方に引き込まれた状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
【0028】
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、対をなす第2の壁板の押し出し手段を含み、前記押し出し手段は、各々の第2の壁板を押し出す竿体であって、前記竿体の基端が足湯容器本体と一体に形成され、各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第2の壁板の高さ方向の中央部よりも上を、前記竿体の先端が外方に押し出していることを特徴としている。
【0029】
起立支援手段をなす竿体は、一方の第2の壁板のいずれかの位置に、竿体の基端が一体に付着されている。竿体の幅、形状は限定されず、その基端が接着剤・熱溶着等によって対をなす第2の壁板の一方に固定され、先端が他方の第2の壁板に着脱自在に係止されればよい。また、竿体は対をなす第2の壁板の各々を繋ぐように、一体に設けた空気管としてもよい。
【0030】
竿体を空気管とした場合には、空気が抜けて萎んだ状態では、各々の壁板を折りたたむことができ、空気が流入されて膨らんだ状態では、向かい合う第2の壁板が押し出される。底板と一体に空気袋を備えさせておけば、足湯容器の中に入浴者が立てば、空気袋から空気管に空気が流入され、壁板が起立される。第4の発明によれば、内方に倒れやすい対をなす第2の壁板が、外方に押し出された状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
【0031】
本発明の第5の発明は、第1の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板を起立させた状態の壁面形状を維持させる形状維持手段を含み、前記形状維持手段は、各々の第1の壁板の天辺に沿う上部気体袋と、底板に備えられた下部気体袋と、気体流通手段とを有し、前記気体流通手段を介して前記下部気体袋から前記上部気体袋に気体が流入されて、前記上部気体袋が膨らませられ、各々の第1の壁板を起立させた状態が維持されることを特徴としている。
【0032】
上部気体袋は、壁板の天辺に沿った管状の空気袋とされてもよく、壁板全体に沿う空気袋とされてもよい。上部気体袋は、各々の第1の壁板に、壁板とは別体の袋体を貼着させてもよく、2枚の軟質樹脂シートを熱溶着させて、上部気体袋と壁板とを一体に形成させてもよい。
【0033】
下部気体袋は、単一の袋体とされて、複数の上部気体袋に気体を流通させてもよく、独立された複数の袋体とされて、独立された袋体から個別に上部気体袋に気体が流入されてもよい。下部気体袋が独立した複数の袋体とされると、壁板を折りたおした状態から足湯容器を二つ折りしやすくなる。下部気体袋も上部気体袋と同様に、別体の袋体を貼着させてもよく、下部気体袋を底板と一体に形成させてもよい。
【0034】
気体流通手段の形態は限定されず、上部気体袋と下部気体袋とを連通させる連通管により気体が流入されてもよく、上部気体袋と下部気体袋とが一体に形成され、下部気体袋から上部気体袋に気体が流入されてもよい。
【0035】
各々の壁板を起立させた状態で、下部気体袋の上に入浴者が立つと、下部気体袋が加圧され、下部気体袋に封入された気体が上部気体袋に流入されて、上部気体袋が膨らむ。これにより、足湯容器の底板の上に立つだけで、各々の第1の壁板を起立させた状態を維持させることができ、使いやすい足湯容器とすることができる。
【0036】
本発明の第6の発明は、第5の発明の足湯容器であって、各々の前記上部気体袋の圧力を同一とさせる圧力調整手段を備え、前記圧力調整手段が、二つの上部気体袋を繋ぐ連通管とされていることを特徴としている。
【0037】
連通管が備えられる場所は限定されず、対をなす第2の壁板又は底板のいずれかの位置に備えられればよい。第6の発明によれば、向かい合う上部気体袋の気圧が均一となって、いずれか一方が傾くことがない状態で、各々の第1の壁板が起立される。
【0038】
本発明の第7の発明は、第5又は第6の発明の足湯容器であって、前記底板の内方面に、面状をなす断熱部材を含み、前記断熱部材の下方に、前記下部気体袋が配設されていることを特徴としている。断熱部材が備えられることにより、冷えた浴室の床の温度が足裏に伝わりにくい。これにより、浴室の床の温度が低いときであっても、快適に温浴することができる。また、面状をなす断熱部材の上に立つようにして使用することになるため、下部気体袋が均等に加圧され、下部気体袋から上部気体袋に気体が流入されやすくなり、足湯容器を起立させた状態を維持させやすい。
【0039】
本発明の第8の発明は、第1から第7の発明の足湯容器であって、対をなす第1の壁板の少なくともいずれか一方が吊下げ手段を有し、前記足湯容器を平坦に折りたたんだ状態で、前記吊下げ手段を介して垂直に吊下げ可能とされていることを特徴としている。
【0040】
各々の第1の壁板を、底面に沿って伸びるように折った状態で吊下げることにより、足湯容器の中に湯水を残さないで排水することが容易となる。これにより、足湯容器を折りたたんだ状態としても、足湯容器を乾燥させやすいという有利な効果を奏する。
【0041】
本発明の第9の発明は、第1から第8の発明の足湯容器であって、各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に、隙間があいていることを特徴としている。
【0042】
足湯容器が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に、隙間があいているため、足湯容器内面に付着した水滴が水蒸気となって放散されやすい。また、足湯容器を吊下げて干すことにより、折目の先端の隙間から水滴が滴り落ちやすい。これにより、足湯容器内部がより早く乾燥しやすくなり、衛生的な状態を維持しやすいという有利な効果を奏する。
【0043】
本発明の第10の発明は、第1から第9の発明の足湯容器であって、各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれた状態で、更に、各々の第1の壁板が前記底板に沿って、各々の第1の壁板と前記底板との接縁に対して折りたたみ可能とされ、更に、第1の壁板が折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間となる位置に、各々の第1の壁板と前記底板とに筋目が形成され、足湯容器が折りたたみ可能とされていることを特徴としている。これにより、より小さく足湯容器を折りたたむことができ、運搬や保管が容易となる。なお、いずれの折りたたみ方向も、内方側であっても、外方側であってもよく限定されない。
【発明の効果】
【0044】
・本発明の第1の発明によれば、壁板を手で倒れないように支えていなくても、濡れた浴室の床や浴室の床に敷いた床敷きの上に足湯容器を置いて入浴者が立つだけで、足湯容器の底面と浴室床との間の湯水が排出され、足湯容器が滑りにくく、安全に使用することができる。これにより、手で身体を洗いながら又は身体をマッサージしながら、安全に足湯容器に湯水を溜めて、足湯浴をすることができる。また、足湯容器を折りたたむ際にも、足元に部品を散乱させず、滑りやすい浴室内であっても、安全にシャワー浴ができる。また、保管時に部品をなくすこともない。
・本発明の第2の発明によれば、簡易な構成で足湯容器を起立させた状態とすることができると共に、添着部材の添着を解除すれば、各々の第1の壁板を容易に倒すことができ、足湯容器に溜まった湯水を容易に排水することができる。
【0045】
・本発明の第3の発明によれば、外方に倒れやすい壁板が、内方に引き込まれた状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
・本発明の第4の発明によれば、内方に倒れやすい壁板が、外方に押し出された状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
・本発明の第5の発明によれば、足湯容器の底板の上に立つだけで、各々の第1の壁板を起立させた状態を維持させることができ、使いやすい足湯容器とすることができる。
・本発明の第6の発明によれば、向かい合う上部気体袋の気圧が均一となって、いずれか一方が傾くことがない状態で、各々の第1の壁板が起立される。
【0046】
・本発明の第7の発明によれば、浴室の床の温度が低いときであっても、快適に温浴することができる。また、面状をなす断熱部材の上に立つようにして使用することになるため、下部気体袋が均等に加圧され、下部気体袋から上部気体袋に気体が流入されやすくなり、足湯容器を起立させた状態を維持させやすい。
・本発明の第8の発明によれば、足湯容器を折りたたんだ状態としても、足湯容器を乾燥させやすいという有利な効果を奏する。
・本発明の第9の発明によれば、足湯容器内部がより早く乾燥しやすくなり、衛生的な状態を維持しやすいという有利な効果を奏する。
・本発明の第10の発明によれば、より小さく足湯容器を折りたたむことができ、運搬や保管が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】添着部材を備えた足湯容器の斜視図(実施例1)。
図2】添着部材を備えた足湯容器の説明図(実施例1)。
図3】足湯容器を折りたたんで吊るした状態を示す説明図(実施例1)。
図4】添着部材を備えた足湯容器の説明図(実施例2)。
図5】添着部材を備えた足湯容器の説明図(実施例3)。
図6】引き込み手段を備えた足湯容器の説明図(実施例4)。
図7】押し出し手段を備えた足湯容器の説明図(実施例5)。
図8】押し出し手段を備えた足湯容器の説明図(実施例6)。
図9】形状維持手段を備えた足湯容器の説明図(実施例7)。
図10】足湯容器を二つ折りにする状態を説明する説明図(実施例8)。
【発明を実施するための形態】
【0048】
平坦に折りたたみ可能な足湯容器に、起立支援手段と横滑り防止手段とを足湯容器本体と一体に備えさせ、壁板が起立された状態が維持されやすく、床が濡れている浴室でも使いやすく、横滑りしにくい足湯容器とした。また、シャワー浴の後は折りたたんで、溜まった湯水を排水しやすくし、排水後は吊下げて内部を乾燥させやすくし、衛生的に管理することができるようにした。
【実施例1】
【0049】
実施例1では、起立支援手段が添着部材とされた足湯容器1を、図1から図3を参照して説明する。図1は、足湯容器1の斜視図を示している。なお、図1から図3の各々の図では、壁板に隠れている部分について破線で示している。図1(A)図は、添着部材40が対をなす第1の壁板20に添着される前の状態を示し、図1(B)図は、添着部材40が対をなす第1の壁板20に添着され、各々の壁板が起立された状態を示している。図2は、足湯容器1の使用方法を説明する図を示し、図2(A)図は、添着部材40を添着させる前の平面図を示し、図2(B)図は、添着部材40を添着させた後の平面図を示している。図2(C)図は、対をなす第1の壁板を側面から看た側面図を示している。図3は、足湯容器1を吊り下げて乾燥させている状態を示している。
【0050】
まず、図1の各々の図を参照して、足湯容器1の構成を説明する。足湯容器1は、底板10が長方形形状とされ、底板10の各縁から対をなす第1の壁板20,20と、対をなす第2の壁板30,30とが一体に備えられ、天面が開放された矩形形状の容器とされている。足湯容器1は、可撓性樹脂からなるシート体を熱溶着させて形成させているが、耐水性を有する紙が折りたたまれて接着され形成されてもよい。底面には横滑り防止手段として、凹凸溝11が備えられている。また、一方の第1の壁板20には、足湯容器を吊下げるための吊下げ孔23が形成されている(図3参照)。足湯容器1の外形寸法は、縦が約45cm、横が約50cm、高さが約20cmとされているが、これに限定されない。
【0051】
対をなす第1の壁板20は、底辺両側から斜め上方に向かう折目21を有し、外方に折りたたみ容易とされている。折目21は、第1の壁板20が折り曲げられて付与された折り癖とされている。各々の第1の壁板20が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板30が内方に折り倒され、足湯容器1が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に隙間があけられ、対をなす第2の壁板同士が重ならないようにされている(図3参照)。同様に、第1の壁板の天辺25の中央部が重ならないようにされている。また、各々の第1の壁板20には、添着部材40を係合させるための面ファスナー24が備えられている。
【0052】
対をなす第2の壁板30は、内方に折り倒されて底板10に沿うように折りたたまれる。各々の壁板が折り倒されることにより、足湯容器本体が平坦な状態に折りたたまれる(図1(A)図,図3参照)。添着部材40は、樹脂製の竿体41とされている。竿体41は、対をなす第1の壁板の天辺25の長さと略同一の長さとされ、隣り合った折目21,21の上方に沿うようにされている(図2(C)図参照)。竿体41の基端は、対をなす第2の壁板30の内面であって、側縁の上方に、ヒンジをなすシート体43を介して一体に備えられている。シート体43の形態は限定されず、二つ折りとした可撓性樹脂からなるシート体を熱溶着させてもよく、二つ折りとした防水紙からなる厚紙を接着させてもよい。
【0053】
竿体41の先端には面ファスナー42が備えられ、対をなす第1の壁板20の内面に備えさせた面ファスナー24に係合可能とされている。係合される面ファスナー同士は、一方が鉤部、他方が環部とされればよい。対をなす第1の壁板20に添着部材40を添着させる際には、シート体43を基点として竿体41を回動させて、面ファスナー同士を係合させればよい(図2(A)図、図2(B)図参照)。
【0054】
添着部材40を、天辺25に沿って各々の第1の壁板に添着させると、隣り合った折目21,21が開かれた状態を、竿体41が維持させる。これにより、一時的に対をなす第1の壁板20が、外方に折れ曲がらない状態となり、各々の壁板が起立した状態が維持される。一方、面ファスナー同士の係合を解除し、各々の第1の壁板20から添着部材40を外して、各々の第2の壁板30に沿うように戻せば、足湯容器を折り倒すことができる(図1(A)図,図3参照)。また、竿体41の長さが、第1の壁板20の幅と、略同一とされているため、竿体が各々の第2の壁板30,30の間を突っ張り、各々の壁板がより折り倒されにくい(図1(B)図,図2(B)図参照)。
【0055】
ここで、足湯容器1の使用方法について説明する。まず、壁板が底板の面に沿うように、足湯容器が平坦とされた状態(図3参照)から、各々の壁板を折り上げる(図1(A)図)。次に、竿体41を、基端部の周りに回動させて、竿体先端の面ファスナー42を、各々の第1の壁板に付設されている面ファスナー24に係合させて、壁板を起立させた状態とする(図1(B)図)。そして、足湯容器1を浴室内に置き、足湯容器の中に立って浴室の床面と足湯容器の間の湯水を排出して、足湯容器が横滑りしないようにして、シャワー浴をすればよい。
【0056】
シャワー浴をした後は、係合された面ファスナー同士を外して、各々の第1の壁板20を外方に折り倒すようにすると、折目21,21の先端の高さが低くなり、足湯容器に溜まった湯水が排水される(図1(A)図参照)。これにより、湯水が溜まって重くなった足湯容器を持ち上げなくても、排水をすることができる。なお、各々の第2の壁板30を、内方に折り倒すようにして排水を行ってもよいことは勿論のことである。
【0057】
足湯容器から湯水を排水した後には、各々の第1の壁板20,20が垂直方向に並ぶように、吊下げ孔23にフックをかけるようにして吊り下げて、水切りを行う(図3参照)。そうすると、足湯容器1の内面に付着した水滴は、隣り合った折目の間22から滴り落ち、足湯容器内部が乾燥されやすい。足湯容器を平坦に折りたたんだ状態のままでも、水切りを行うことができるため、内部を乾燥させる際にも、広い場所が必要とならず、浴室内に吊るして乾燥させることもできるという有利な効果がある。
【実施例2】
【0058】
実施例2では、図4を参照して、添着部材44が平板とされた足湯容器2を説明する。図4では、平板45に隠されている部分について破線で示している。図4(A)図は、添着部材を添着させる前の状態の断面図を示し、図4(B)図は、添着部材を折り上げて、対をなす第1の壁板に添着させた状態の断面図を示している。図4(C)図は、対をなす第1の壁板を、側面から看た側面図を示している。以下、実施例1と同一の構成については、図に同一の符号を付して説明を省略している。
【0059】
添着部材44は、底板10と左右の第1の壁板20,20との二つの接縁部から、足湯容器2の外面に沿うように延設された平板45とされている(図4(A)図参照)。平板45の幅方向の長さは、対をなす第1の壁板の天辺25の長さよりも短く、隣り合う折目21,21の折れ曲がりやすい上方部のみに係合される。各々の第1の壁板20に備えられる係合部は筋状の凹部28をなし、二つの折目21,21を跨いで分割されて備えられ、添着部材に備えられる係合部は筋状の凸部27をなし、平板45の幅と略同一の幅となるように備えられている。
【0060】
添着部材44を第1の壁板20に添着させるには、平板45を折り上げて、筋状の凸部27を筋状の凹部28に係合させればよい。排水の際には、各々の第1の壁板20から、平板45を外してから、各々の第1の壁板20を折り倒せばよい。また、足湯容器2の外面のみに、添着部材44が備えられるため、足湯容器の内面に水滴が残りにくく、足湯容器の内部をより衛生的に保つことが容易となる。
【実施例3】
【0061】
実施例3では、図5を参照して、添着部材46が、対をなす第1の壁板20の外面に添着される竿体47とされた足湯容器3を説明する。図5(C)図では、竿体47に隠されている部分について、破線で示している。図5(A)図は、添着部材を添着させる前の平面図を示し、図5(B)図は、添着部材を添着させた後の平面図を示している。図5(C)図は、添着部材を添着させた状態の対をなす第1の壁板20を側面から看た側面図である。
【0062】
竿体47は、ヒンジをなすシート体43を基端部として、各々の第2の壁板30の外面の側縁部の上方に、足湯容器3と一体に形成されている。添着部材46を添着させるには、竿体47の基端部を軸端として、竿体47を回動させて、隣り合う折目21,21を跨ぐように添着させる(図5(B)図,図5(C)図参照)。実施例2の場合と同様に、足湯容器3の外面のみに、添着部材46が備えられるため、足湯容器の内面に水滴が残りにくく、足湯容器の内部をより衛生的に保つことが容易となる。係合部の形態は限定されないことは、勿論のことである。
【実施例4】
【0063】
実施例4では、図6を参照して、起立支援手段が引き込み手段とされた足湯容器4を説明する。図6(A)図は、引き込み手段を架け渡す前の状態の平面図を示している。図6(B)図は、引き込み手段を架け渡す前のA−A位置の断面図を示し、図6(C)図は、引き込み手段を架け渡した後のA−A位置の断面図を示している。
【0064】
引き込み手段は、対をなす第1の壁板20の天辺の両端部に備えられた一対の紐50,50とされている。紐50の基端は、一方の第1の壁板20に固着され、先端は鉤状の係止具51を備えている。他方の第1の壁板には、係止具51を引掛ける係止孔26が形成される(図6(B)図参照)。また、紐50の長さは対をなす第2の壁板30と略同一の長さとされる。紐は、伸縮しない材質であればよい。
【0065】
各々の係止具51を、係止孔26に引掛けることにより、各々の第1の壁板20,20が内方に引き込まれ、各々の壁板が起立された状態が維持される(図6(C)図参照)。これにより、簡易な構成で足湯容器4が起立した状態を維持させることができる。紐を、第1の壁板の中央部に設けるようにしてもよいことは勿論のことである。
【実施例5】
【0066】
実施例5では、図7を参照して、起立支援手段が押し出し手段とされた足湯容器5を説明する。図7(A)図は、押し出し手段が対をなす第2の壁板を押し出す前の状態の平面図を示し、図7(B)図は、押し出し手段が対をなす第2の壁板を押し出した状態の平面図を示している。図7(C)図は、図7(B)図のA−A位置の断面図を示している。
【0067】
押し出し手段は、各々の第2の壁板30,30を突っ張って押し出す竿体60とされている。竿体60の基端は、ヒンジをなすシート体62を介して、一方の第2の壁板30の内面であって、側縁部の上方に一体に備えられている。竿体60の先端には面ファスナー61が備えられている。他方の第2の壁板30の側縁上部には、竿体の先端の面ファスナー61と係合される面ファスナー31が備えられ、竿体60の先端が添着可能とされる(図7(A)図参照)。シート体及び面ファスナーは、実施例1と同様であればよく、説明を省略している。
【0068】
竿体60を回動させて、面ファスナー同士31,61を係合させることにより、各々の第2の壁板の上方部が突っ張って押し出している状態とされ、各々の第2の壁板30,30が内方に折り倒されない状態となる(図7(B)図参照)。これにより、各々の第1の壁板20,20も外方に折り倒されにくくなり、各々の壁板が起立した状態が維持される(図7(C)図参照)。
【実施例6】
【0069】
実施例6では、図8を参照して、起立支援手段が押し出し手段をなす空気管とされる足湯容器6を説明する。図8(A)図では、下部気体袋と気体流通管の一部を破線で示している。同様に、断熱部材の一部を破線で示している。図8(A)図は、空気管が対をなす第2の壁板を押し出した状態の平面図を示している。図8(B)図は、空気管が膨らむ前の状態のA−A位置の断面図を示し、図8(C)図は、空気管が膨らんで、対をなす第2の壁板を押し出した状態のA−A位置の断面図を示している。
【0070】
押し出し手段は、各々の第2の壁板を押し出す空気管70と、底板に一体に備えられる下部気体袋71と、下部気体袋71から空気管70に気体を供給させる気体流通管72とから構成されている。空気管70は、下部気体袋71から気体が供給されていない状態では、萎んで弛んだ状態とされる(図8(B)図)。一方、下部気体袋71から気体が流通されると、膨らんで竿体状をなし、各々の第2の壁板30,30の間が押し出される(図8(C)図)。
【0071】
下部気体袋71は、足湯容器の底板10と一体に備えられ、上面には面状をなす断熱部材73が一体に備えられている。入浴者が下部気体袋71の上に立つと、下部気体袋内の気体が気体流通管72を通って、空気管70に流通し、空気管が膨らむ。これにより、入浴者が足湯容器6の上に立つだけで、各々の壁板を起立させた状態とされ、使い勝手の良い足湯容器となる。下部気体袋71の材質は限定されず、例えば樹脂製の袋体であればよい。また、下部気体袋71及び断熱部材73は、底板10を二つ折りにできるように、図8において左右方向に分割された状態とされている。
【実施例7】
【0072】
実施例7では、図9を参照して、起立支援手段が対をなす第1の壁板の形状維持手段とされる足湯容器7を説明する。図9(A)図では、上部気体袋及び下部気体袋の一部について、想像線を一点鎖線で示している。同様に、断熱部材の一部について想像線を破線で示している。図9(A)図は、上部気体袋が膨らむ前の状態の平面図を示している。図9(B)図は、上部気体袋が膨らむ前の状態のA−A位置の断面図を示し、図9(C)図は、上部気体袋が膨らんだ状態のA−A位置の断面図を示している。
【0073】
形状維持手段は、各々の第1の壁板20,20と一体に備えられる上部気体袋80と、底板10と一体に備えられる下部気体袋81と、気体流通手段82とから構成されている。ここでは、上部気体袋80と、下部気体袋81と、気体流通手段82は一つの袋体から形成されるため、上部気体袋80と下部気体袋81との境界全体が気体流通手段82とされる(図9(B)図参照)。
【0074】
下部気体袋81の上面には、面状をなす断熱部材83が一体に備えられている(図9(A)図参照)。断熱部材83は、下部気体袋81の上面のうち、図上上側の縁部を残すように配設されている。そのため、入浴者が断熱部材83の上に立つと、下部気体袋81の断熱部材がある部分については、押し下げられた状態とされる。一方、断熱部材のない部分については押し下げられず、下部気体袋81の一部が筋状に残り、圧力調整手段をなす連通管84として機能される(図9(C)図参照)。
【0075】
形状維持手段が備えられることにより、入浴者が足湯容器7の上に立つだけで、各々の壁板を起立させた状態とされ、使い勝手の良い足湯容器となる。また、圧力調整手段が備えらえることにより、各々の上部気体袋の圧力が均一とされ、各々の第1の壁板が傾かずに起立された状態となる。
【実施例8】
【0076】
実施例8では、図10を参照して、各々の第1の壁板20と底板10とに筋目が備えられ、各々の第1の壁板が、第1の壁板と底板との接縁に対して折りたたまれた状態で、更に第2の壁板の天辺に沿って折りたたみ可能となる足湯容器8を説明する。図10では、各々の第1の壁板の天辺25と、第2の対をなす壁板の天辺32を一点鎖線で示し、竿体41の想像線を破線で示し、足湯容器の折りたたみ方向を矢印で示している。
【0077】
図10(A)図は、足湯容器8の底面図を示し、図10(B)図は、対をなす第1の壁板20を折り返した状態を示し、図10(C)図は、図10(B)図の状態からさらに二つ折りにした状態を示している。なお、足湯容器8は折りたたみ容易となるように筋目90が備えられる点以外は、実施例1の足湯容器1と同じ構成とされている。なお、図10では理解を容易にするため、横滑り防止手段をなす凹凸溝を省略している。
【0078】
筋目90は、第1の壁板を底板から延びるように折りたおした状態で、第2の壁板の天辺32と同一方向に延びるように、一方の第1の壁板20の天辺中央部から他方の第1の壁板の天辺中央部に亘って筋状に形成されている。筋目90は、折目21と同様に形成されればよく説明を省略している。
【0079】
次に、図10の各々の図を参照して、足湯容器8の折りたたみ方を説明する。まず、竿体41を第2の壁板に沿わせた状態としてから、各々の壁板20,30を折り倒して足湯容器8を平坦な状態とし、底板10の底面が上向きとなるように、足湯容器を裏返す(図10(A)図参照)。次に、各々の第1の壁板20を、第1の壁板と底板との接縁12に対して折りたたんで、第1の壁板20の中央部の外面を、底板10の底面に沿わせる(図10(B)図矢印参照)。更に、各々の第1の壁板20と底板10とを、筋目90に沿って二つ折りにする(図10(C)図矢印参照)。筋目90が備えられることにより、足湯容器の底板を容易に二つ折りとすることができる。
【0080】
(その他)
・上記実施例においては、吊下げ手段を、第1の壁板に形成させた吊下げ孔としたが、吊下げ孔の替わりに、第1の壁板の外面に鉤部が備えられてもよいことは勿論のことである。また、横滑り防止手段が凹凸溝とされた例を説明したが、横滑り防止手段は、底面を粗面としてもよく、底面に適宜の間隔で凸部が設けられただけでもよいことは勿論のことである。
・実施例4では、引き込み手段が一対の紐とされた例を説明したが、対をなす第1の壁板の天辺中央部に一本の紐を架け渡してもよいことは勿論のことである。この場合には、吊下げ孔を係止孔として利用することができる。
・実施例6及び実施例7では、空気管と下部気体袋に空気が入った状態を説明したが、折りたたみが容易となるように、空気抜き栓が設けられていてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3,4,5,6,7,8…足湯容器、
10…底板、11…凹凸溝、12…接縁、
20…第1の壁板、21…折目、22…折目の間、23…吊下げ孔、24…面ファスナー、25…天辺、26…係止孔、27…筋状の凸部、28…筋状の凹部、
30…第2の壁板、31…面ファスナー、32…天辺、
40…添着部材、41…竿体、42…面ファスナー、43…シート体、44…添着部材、45…平板、46…添着部材、47…竿体、
50…紐、51…係止具、
60…竿体、61…面ファスナー、62…シート体、
70…空気管、71…下部気体袋、72…気体流通管、73…断熱部材、
80…上部気体袋、81…下部気体袋、82…気体流通手段、83…断熱部材、84…連通管、
90…筋目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10

【手続補正書】
【提出日】2016年4月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状とされた底板と、前記底板から起立された向かい合う二対の壁板とからなり、対をなす第1の壁板には、底辺両端から斜め上方に向けて折目が備えられ、各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、対をなす第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれる足湯容器において、
足湯容器が起立された状態を維持させる起立支援手段と、前記底板の下面の湯水を排出させて容器の横滑りを防止させる横滑り防止手段とを、足湯容器本体と一体に有し、
各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に、隙間があいている、
ことを特徴とする足湯容器。
【請求項2】
前記起立支援手段が、各々の第1の壁板の天辺に沿う添着部材を含み、
前記添着部材は、基端部が足湯容器本体と一体に形成され、
各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着される、
ことを特徴とする請求項1に記載の足湯容器。
【請求項3】
前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板の引き込み手段を含み、
前記引き込み手段は、各々の第1の壁板を引き込む紐であって、前記紐の基端が、一方の第1の壁板と一体に付設されていると共に、前記紐の先端が、他方の第1の壁板の高さ方向の中央部よりも上に係止可能とされ、
各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、前記先端が前記他方の第1の壁板に係止されて、各々の第1の壁板が内方に引き込まれている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の足湯容器。
【請求項4】
前記起立支援手段が、対をなす第2の壁板の押し出し手段を含み、
前記押し出し手段は、各々の第2の壁板を押し出す竿体であって、前記竿体の基端が足湯容器本体と一体に形成され、
各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第2の壁板の高さ方向の中央部よりも上を、前記竿体の先端が外方に押し出している、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の足湯容器。
【請求項5】
前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板を起立させた状態の壁面形状を維持させる形状維持手段を含み、
前記形状維持手段は、各々の第1の壁板の天辺に沿う上部気体袋と、底板に備えられた下部気体袋と、気体流通手段とを有し、
前記気体流通手段を介して前記下部気体袋から前記上部気体袋に気体が流入されて、前記上部気体袋が膨らませられ、各々の第1の壁板を起立させた状態が維持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の足湯容器。
【請求項6】
各々の前記上部気体袋の圧力を同一とさせる圧力調整手段を備え、
前記圧力調整手段が、二つの上部気体袋を繋ぐ連通管とされている、
ことを特徴とする請求項5に記載の足湯容器。
【請求項7】
前記底板の内方面に、面状をなす断熱部材を含み、
前記断熱部材の下方に、前記下部気体袋が配設されている、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の足湯容器。
【請求項8】
対をなす第1の壁板の少なくともいずれか一方が吊下げ手段を有し、
前記足湯容器を平坦に折りたたんだ状態で、前記吊下げ手段を介して垂直に吊下げ可能とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の足湯容器。
【請求項9】
各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折り倒たたまれた状態で、
更に、各々の第1の壁板が前記底板に沿って、各々の第1の壁板と前記底板との接縁に対して折りたたみ可能とされ、
更に、第1の壁板が折りたたまれた状態で、第1の壁板が折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間となる位置に、各々の第1の壁板と前記底板とに筋目が形成され、足湯容器が折りたたみ可能とされていることを特徴としている。
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の足湯容器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内でシャワー浴をしながら、容易かつ安全に足湯浴をすることができる足湯容器に関する。詳細には、浴室内の濡れた床、浴槽、床敷き等の上に、空の状態で置いても横滑りしにくく、シャワーを浴びる際には自立させやすく、シャワー浴の後には容器内に溜まった湯が排水しやすく、使いやすいと共に衛生的に管理しやすい足湯容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、足湯容器は、下半身の血液循環の向上等の治療を目的として、居室内で椅子に座った姿勢で使用されていた。そのため、足湯容器内の湯水がこぼれにくいように、足湯容器は変形しにくく、一定の形状の容器とされていた。
【0003】
特許文献1から特許文献3には、折りたたみ可能な容器の技術が開示されている。特許文献1には、椅子に座った姿勢で使用される足湯容器ではあるが、折りたたんで収容できるようにした足湯容器の技術が開示されている。胴部をシート状の軟質合成樹脂製とすると共に、着脱自在の芯材を、胴部の高さ方向に装着し、芯材が胴部に装着された状態では足湯容器の形状が保持され、芯材を取り外した状態では胴部が折りたたみ可能とされている。
【0004】
この足湯容器は、椅子に座った状態で使用される足湯容器であり、湯水や石鹸の泡等により濡れた浴室内では滑りやすく、安全に使用できなかった。また、シャワーの際に、泡等で濡れた軟質樹脂性の胴部に、芯材を装着することは困難で、芯材が外れた場合には、素足を傷つける危険性もあり、芯材を紛失した場合には起立させることができなくなるという課題もあった。
【0005】
更に、胴部が伸ばされた状態のままでは、排水の際に湯水が入った足湯容器を持ち上げて傾ける必要があり、排水が困難であった。芯材を取り外して胴部を縮めた状態とすれば、排水が容易になる反面、折りたたまれて接した胴部の内壁部に付着した湯水が乾燥されにくく、容器内部を衛生的に保つことが困難であり、また芯材を紛失しやすいという課題もあった。
【0006】
特許文献2には、折りたたみ可能な洗面器の技術が開示されている。特許文献2に記載された桝の形状をなす洗面器には、起立した向かい合う壁板のうち、折りたたまれる側の壁板には、底縁両端から天縁中央部に向かう斜めの折目が備えられ、全ての壁板が内方に向けて折りたたみ可能とされている。また、折目を有する壁板の天縁に沿って形状記憶合金からなる芯材が備えられている。洗面器が折りたたまれた状態から、各々の壁板を手で起こし起立させた状態とし、湯を溜めれば、形状記憶合金が加温され、洗面器が起立した形状に保持される。
【0007】
しかし、この容器の技術を、シャワー時に使用する足湯容器に適用すれば、壁板が内方に折れ曲がって、不安定な形状のままで、足湯容器を使い始めることになる。そうすると、内方に折れ曲がった形状記憶合金で、素足を傷つける危険性があった。また、足湯容器に溜まった湯水を排水しようとすると、足湯容器を持ち上げて傾ける必要があり排水しにくく、無理に壁板を外方に倒して排水しようとすると、形状記憶合金が折れ、容器が破損しやすいという課題があった。また、排水して容器が空となった後には、壁板が内方に折れ曲がり、折れ曲がって接した胴部の壁部に付着した湯水が乾燥されにくく、容器内部を衛生的に保つことが困難であるという課題もあった。
【0008】
特許文献3には、形状記憶樹脂を使用して、主として食品容器に使用される、折りたたみ式の形状復帰容器の技術が開示されている。倉庫での保管時には、場所をとらないように縮小した状態とされ、食品容器として使用される際には、温度が50℃以上の高温にされることにより、カップ形状に復帰する容器とされている。
【0009】
この文献には、両側から挟み込む別体の補強部品を、折りたたむ壁板に装着させて、壁板を自立した状態に維持させる技術が開示されている。しかし、特許文献3の技術によっても、特許文献1の場合と同様に、補強部品を紛失しやすく、素足で使うには危険であると共に、滑りやすい浴室内で安全に使用できず、容器内部を衛生的に保つことは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特許文献1:特開2003−180789号公報
特許文献2:特開2011−110416号公報
特許文献3:実開平02−16742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、浴室内でシャワーをしながら、容易かつ安全に足湯浴ができる足湯容器を提供することを課題としている。より詳細には、浴室内の濡れた床、浴槽、床敷き等の上に、空の状態で置いても横滑りしにくく、シャワーを浴びる際には自立しやすく、シャワー後には容器内に溜まった湯水が排水しやすく、使いやすいと共に衛生的に管理しやすい足湯容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の発明の足湯容器は、四角形状とされた底板と、前記底板から起立された向かい合う二対の壁板とからなり、対をなす第1の壁板には、底辺両端から斜め上方に向けて折目が備えられ、各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、対をなす第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれる足湯容器において、足湯容器が起立された状態を維持させる起立支援手段と、前記底板の下面の湯水を排出させて容器の横滑りを防止させる横滑り防止手段とを、足湯容器本体と一体に有し、各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に、隙間があいていることを特徴としている。
【0013】
四角形状は、矩形形状に限定されない。大きさ・高さも限定されず、例えば、少なくとも踝までが湯水に浸かることができる大きさ・高さとされればよい。底板及び壁板の材質は、柔軟性のある樹脂製のシート体であってもよく、剛性のある樹脂製の板体であってもよく、防水紙であってもよく限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル等の樹脂製シート体や、パラフィン紙、合成樹脂製の合成紙等であればよい。また、部位毎に異なった材質とされていてもよい。
【0014】
足湯容器を、樹脂製のシート体により構成させる場合には、平坦なシート体を組み合わせて、稜線部分を熱溶着し、足湯容器を形成させればよい。樹脂製のシート体とすると、耐久性が高く、繰り返し使用できる足湯容器を提供することができる。一方、防水紙、例えばパラフィン紙から構成させる場合には、紙を折りたたんで、壁板を接着剤等により接着して組立て、湯水を溜める容器とすればよく、少量であっても、安価に足湯容器を提供することができる。
【0015】
対をなす第1の壁板は、折目に沿って、外方に倒すように折りたたみ容易とされている。そのため、対をなす第1の壁板のいずれかを外方に倒すだけで、足湯容器に溜まった湯水が排水される。また、第1の壁板を折り倒して、各々の第1の壁板が垂直方向に並ぶようにして吊下げれば、足湯容器の内部に付着した湯水が、足湯容器内面に沿って排水される。これにより、湯水が溜まって、重くなった足湯容器を持ち上げて傾ける必要がなく排水が容易である。また、足湯容器の内面を乾燥させやすく、足湯容器が衛生的に管理できる。
【0016】
折目は、材質が紙質からなる場合は、折り癖をつけるだけでもよい。材質が樹脂製のシート体からなる場合は、折目の部分の性状が変えられればよく、折り癖をつけるだけでもよく、材質を変えても、厚さを変えても、シート体よりも硬い板体を貼着させてもよく、限定されない。折目の傾斜角度は、限定されない。
【0017】
足湯容器と一体に設けられる起立支援手段は、空の状態から湯水が溜まった状態になるまで、各々の壁板が倒れないように、壁板が起立された状態が維持できればよく、その形態は限定されない。例えば、外方に折り倒される対をなす第1の壁板を、内方側に引き込ませる引き込み手段であってもよく、内方に折り倒される対をなす第2の壁板を、外方に押し出させる押し出し手段であってもよい。また、折目を有する対をなす第1の壁板を、折りたたみ困難な状態とさせるものでもよい。
【0018】
起立支援手段が備えられるため、対をなす第1の壁板の各々の折目が開かれて、足湯容器が起立した状態を維持させることができる。そのため、壁板を手で倒れないように支えていなくても、シャワー浴をしながら、足湯容器に湯水を溜めることができる。これにより、手で身体を洗いながら又は身体をマッサージしながら、安全に足湯容器に湯水を溜めて、足湯浴をすることができる。
【0019】
前記底板の下面の湯水を排出させる横滑り防止手段は、浴室の床が濡れていても、底面と浴室床との間の湯水が排出されやすいように底面が粗面とされてもよく、底面が下方に凸に反っていてもよい、排出のための部品が添着されていてもよい。これにより、濡れた浴室の床や浴室の床に敷いた床敷きの上に足湯容器を置いて入浴者が立つだけで、足湯容器の底面と浴室床との間の湯水が排出され、足湯容器が滑りにくく、安全に使用することができる。
【0020】
また、起立支援手段と横滑り防止手段とが、本体と一体に備えられている。これにより、足湯容器を折りたたむ際にも、足元に部品を散乱させず、滑りやすい浴室内であっても、安全にシャワー浴ができる。また、保管時に部品をなくすこともない。
【0021】
本発明の第1の発明によれば、シャワーを浴びる際に壁板を自立させた状態を維持しやすいと共に、浴室内が濡れていても足湯容器が滑りにくい。シャワー浴の後には、一部の壁板を外方に倒して湯水を排水することができ、吊り下げて水切りをすることができる。これにより、濡れた浴室内であっても安全に使いやすいと共に、衛生的に管理しやすいという有利な効果を奏する。
【0022】
また、足湯容器が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に、隙間があいているため、足湯容器内面に付着した水滴が水蒸気となって放散されやすい。また、足湯容器を吊下げて干すことにより、折目の先端の隙間から水滴が滴り落ちやすい。これにより、足湯容器内部がより早く乾燥しやすくなり、衛生的な状態を維持しやすいという有利な効果を奏する。
【0023】
本発明の第2の発明は、第1の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、各々の第1の壁板の天辺に沿う添着部材を含み、前記添着部材は、基端部が足湯容器本体と一体に形成され、各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着されることを特徴としている。
【0024】
添着部材は、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着されて、各々の折目が開かれた状態に維持できればよく、その形態は限定されない。添着部材の形状は、竿体であっても板体であってもよい。添着の態様も、複数の鉤部と環部とが係合しあう面ファスナー、筋状の凸部と筋状の凹部とが嵌合される嵌合部材、天辺を挟み込む狭持部材等、限定されない。添着範囲は、壁面全体に亘って添着されてもよく、折目をなす部分のみに添着されてもよい。
【0025】
また、添着部材が足湯容器と一体に形成される位置は限定されず、対をなす第1の壁板の内面に添着されてもよく、外面に添着されてもよく、内面と外面の両面に添着されてもよい。対をなす第2の壁板の側縁部から水平に延設させてもよく、底板の底縁部から垂直に延設させてもよい。
【0026】
本発明の第2の発明によれば、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着部材を添着させ、対をなす第1の壁板の折目が開いた状態を維持させている。これにより、簡易な構成で足湯容器を起立させた状態とすることができると共に、添着部材の添着を解除すれば、対をなす第1の壁板を容易に倒すことができ、足湯容器に溜まった湯水を容易に排水することができる。
【0027】
本発明の第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板の引き込み手段を含み、前記引き込み手段は、各々の第1の壁板を引き込む紐であって、前記紐の基端が、一方の第1の壁板と一体に付設されていると共に、前記紐の先端が、他方の第1の壁板の高さ方向の中央部よりも上に係止可能とされ、各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、前記先端が前記他方の第1の壁板に係止されて、各々の第1の壁板が内方に引き込まれていることを特徴としている。
【0028】
起立支援手段をなす紐は、一方の第1の壁板のいずれかの位置に、紐の基端が一体に付着され、他方の第1の壁板の高さ方向の中央部よりも上に、紐の先端が係止されればよい。第3の発明によれば、外方に倒れやすい各々の第1の壁板が、内方に引き込まれた状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
【0029】
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、対をなす第2の壁板の押し出し手段を含み、前記押し出し手段は、各々の第2の壁板を押し出す竿体であって、前記竿体の基端が足湯容器本体と一体に形成され、各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第2の壁板の高さ方向の中央部よりも上を、前記竿体の先端が外方に押し出していることを特徴としている。
【0030】
起立支援手段をなす竿体は、一方の第2の壁板のいずれかの位置に、竿体の基端が一体に付着されている。竿体の幅、形状は限定されず、その基端が接着剤・熱溶着等によって対をなす第2の壁板の一方に固定され、先端が他方の第2の壁板に着脱自在に係止されればよい。また、竿体は対をなす第2の壁板の各々を繋ぐように、一体に設けた空気管としてもよい。
【0031】
竿体を空気管とした場合には、空気が抜けて萎んだ状態では、各々の壁板を折りたたむことができ、空気が流入されて膨らんだ状態では、向かい合う第2の壁板が押し出される。底板と一体に空気袋を備えさせておけば、足湯容器の中に入浴者が立てば、空気袋から空気管に空気が流入され、壁板が起立される。第4の発明によれば、内方に倒れやすい対をなす第2の壁板が、外方に押し出された状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
【0032】
本発明の第5の発明は、第1の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板を起立させた状態の壁面形状を維持させる形状維持手段を含み、前記形状維持手段は、各々の第1の壁板の天辺に沿う上部気体袋と、底板に備えられた下部気体袋と、気体流通手段とを有し、前記気体流通手段を介して前記下部気体袋から前記上部気体袋に気体が流入されて、前記上部気体袋が膨らませられ、各々の第1の壁板を起立させた状態が維持されることを特徴としている。
【0033】
上部気体袋は、壁板の天辺に沿った管状の空気袋とされてもよく、壁板全体に沿う空気袋とされてもよい。上部気体袋は、各々の第1の壁板に、壁板とは別体の袋体を貼着させてもよく、2枚の軟質樹脂シートを熱溶着させて、上部気体袋と壁板とを一体に形成させてもよい。
【0034】
下部気体袋は、単一の袋体とされて、複数の上部気体袋に気体を流通させてもよく、独立された複数の袋体とされて、独立された袋体から個別に上部気体袋に気体が流入されてもよい。下部気体袋が独立した複数の袋体とされると、壁板を折りたおした状態から足湯容器を二つ折りしやすくなる。下部気体袋も上部気体袋と同様に、別体の袋体を貼着させてもよく、下部気体袋を底板と一体に形成させてもよい。
【0035】
気体流通手段の形態は限定されず、上部気体袋と下部気体袋とを連通させる連通管により気体が流入されてもよく、上部気体袋と下部気体袋とが一体に形成され、下部気体袋から上部気体袋に気体が流入されてもよい。
【0036】
各々の壁板を起立させた状態で、下部気体袋の上に入浴者が立つと、下部気体袋が加圧され、下部気体袋に封入された気体が上部気体袋に流入されて、上部気体袋が膨らむ。これにより、足湯容器の底板の上に立つだけで、各々の第1の壁板を起立させた状態を維持させることができ、使いやすい足湯容器とすることができる。
【0037】
本発明の第6の発明は、第5の発明の足湯容器であって、各々の前記上部気体袋の圧力を同一とさせる圧力調整手段を備え、前記圧力調整手段が、二つの上部気体袋を繋ぐ連通管とされていることを特徴としている。
【0038】
連通管が備えられる場所は限定されず、対をなす第2の壁板又は底板のいずれかの位置に備えられればよい。第6の発明によれば、向かい合う上部気体袋の気圧が均一となって、いずれか一方が傾くことがない状態で、各々の第1の壁板が起立される。
【0039】
本発明の第7の発明は、第5又は第6の発明の足湯容器であって、前記底板の内方面に、面状をなす断熱部材を含み、前記断熱部材の下方に、前記下部気体袋が配設されていることを特徴としている。断熱部材が備えられることにより、冷えた浴室の床の温度が足裏に伝わりにくい。これにより、浴室の床の温度が低いときであっても、快適に温浴することができる。また、面状をなす断熱部材の上に立つようにして使用することになるため、下部気体袋が均等に加圧され、下部気体袋から上部気体袋に気体が流入されやすくなり、足湯容器を起立させた状態を維持させやすい。
【0040】
本発明の第8の発明は、第1から第7の発明の足湯容器であって、対をなす第1の壁板の少なくともいずれか一方が吊下げ手段を有し、前記足湯容器を平坦に折りたたんだ状態で、前記吊下げ手段を介して垂直に吊下げ可能とされていることを特徴としている。
【0041】
各々の第1の壁板を、底面に沿って伸びるように折った状態で吊下げることにより、足湯容器の中に湯水を残さないで排水することが容易となる。これにより、足湯容器を折りたたんだ状態としても、足湯容器を乾燥させやすいという有利な効果を奏する。
【0042】
本発明の第9の発明は、第1から第8の発明の足湯容器であって、各々の第1の壁板が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板が内方に折り倒され、前記足湯容器が平坦に折りたたまれた状態で、更に、各々の第1の壁板が前記底板に沿って、各々の第1の壁板と前記底板との接縁に対して折りたたみ可能とされ、更に、第1の壁板が折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間となる位置に、各々の第1の壁板と前記底板とに筋目が形成され、足湯容器が折りたたみ可能とされていることを特徴としている。これにより、より小さく足湯容器を折りたたむことができ、運搬や保管が容易となる。なお、いずれの折りたたみ方向も、内方側であっても、外方側であってもよく限定されない。
【発明の効果】
【0043】
・本発明の第1の発明によれば、壁板を手で倒れないように支えていなくても、濡れた浴室の床や浴室の床に敷いた床敷きの上に足湯容器を置いて入浴者が立つだけで、足湯容器の底面と浴室床との間の湯水が排出され、足湯容器が滑りにくく、安全に使用することができる。これにより、手で身体を洗いながら又は身体をマッサージしながら、安全に足湯容器に湯水を溜めて、足湯浴をすることができる。また、足湯容器を折りたたむ際にも、足元に部品を散乱させず、滑りやすい浴室内であっても、安全にシャワー浴ができる。また、保管時に部品をなくすこともない。
・また、足湯容器内部がより早く乾燥しやすくなり、衛生的な状態を維持しやすいという有利な効果を奏する。
【0044】
・本発明の第2の発明によれば、簡易な構成で足湯容器を起立させた状態とすることができると共に、添着部材の添着を解除すれば、各々の第1の壁板を容易に倒すことができ、足湯容器に溜まった湯水を容易に排水することができる。
・本発明の第3の発明によれば、外方に倒れやすい壁板が、内方に引き込まれた状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
【0045】
・本発明の第4の発明によれば、内方に倒れやすい壁板が、外方に押し出された状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
・本発明の第5の発明によれば、足湯容器の底板の上に立つだけで、各々の第1の壁板を起立させた状態を維持させることができ、使いやすい足湯容器とすることができる。
・本発明の第6の発明によれば、向かい合う上部気体袋の気圧が均一となって、いずれか一方が傾くことがない状態で、各々の第1の壁板が起立される。
【0046】
・本発明の第7の発明によれば、浴室の床の温度が低いときであっても、快適に温浴することができる。また、面状をなす断熱部材の上に立つようにして使用することになるため、下部気体袋が均等に加圧され、下部気体袋から上部気体袋に気体が流入されやすくなり、足湯容器を起立させた状態を維持させやすい。
・本発明の第8の発明によれば、足湯容器を折りたたんだ状態としても、足湯容器を乾燥させやすいという有利な効果を奏する。
・本発明の第9の発明によれば、より小さく足湯容器を折りたたむことができ、運搬や保管が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】添着部材を備えた足湯容器の斜視図(実施例1)。
図2】添着部材を備えた足湯容器の説明図(実施例1)。
図3】足湯容器を折りたたんで吊るした状態を示す説明図(実施例1)。
図4】添着部材を備えた足湯容器の説明図(実施例2)。
図5】添着部材を備えた足湯容器の説明図(実施例3)。
図6】引き込み手段を備えた足湯容器の説明図(実施例4)。
図7】押し出し手段を備えた足湯容器の説明図(実施例5)。
図8】押し出し手段を備えた足湯容器の説明図(実施例6)。
図9】形状維持手段を備えた足湯容器の説明図(実施例7)。
図10】足湯容器を二つ折りにする状態を説明する説明図(実施例8)。
【発明を実施するための形態】
【0048】
平坦に折りたたみ可能な足湯容器に、起立支援手段と横滑り防止手段とを足湯容器本体と一体に備えさせ、壁板が起立された状態が維持されやすく、床が濡れている浴室でも使いやすく、横滑りしにくい足湯容器とした。また、シャワー浴の後は折りたたんで、溜まった湯水を排水しやすくし、排水後は吊下げて内部を乾燥させやすくし、衛生的に管理することができるようにした。
【実施例1】
【0049】
実施例1では、起立支援手段が添着部材とされた足湯容器1を、図1から図3を参照して説明する。図1は、足湯容器1の斜視図を示している。なお、図1から図3の各々の図では、壁板に隠れている部分について破線で示している。図1(A)図は、添着部材40が対をなす第1の壁板20に添着される前の状態を示し、図1(B)図は、添着部材40が対をなす第1の壁板20に添着され、各々の壁板が起立された状態を示している。図2は、足湯容器1の使用方法を説明する図を示し、図2(A)図は、添着部材40を添着させる前の平面図を示し、図2(B)図は、添着部材40を添着させた後の平面図を示している。図2(C)図は、対をなす第1の壁板を側面から看た側面図を示している。図3は、足湯容器1を吊り下げて乾燥させている状態を示している。
【0050】
まず、図1の各々の図を参照して、足湯容器1の構成を説明する。足湯容器1は、底板10が長方形形状とされ、底板10の各縁から対をなす第1の壁板20,20と、対をなす第2の壁板30,30とが一体に備えられ、天面が開放された矩形形状の容器とされている。足湯容器1は、可撓性樹脂からなるシート体を熱溶着させて形成させているが、耐水性を有する紙が折りたたまれて接着され形成されてもよい。底面には横滑り防止手段として、凹凸溝11が備えられている。また、一方の第1の壁板20には、足湯容器を吊下げるための吊下げ孔23が形成されている(図3参照)。足湯容器1の外形寸法は、縦が約45cm、横が約50cm、高さが約20cmとされているが、これに限定されない。
【0051】
対をなす第1の壁板20は、底辺両側から斜め上方に向かう折目21を有し、外方に折りたたみ容易とされている。折目21は、第1の壁板20が折り曲げられて付与された折り癖とされている。各々の第1の壁板20が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板30が内方に折り倒され、足湯容器1が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に隙間があけられ、対をなす第2の壁板同士が重ならないようにされている(図3参照)。同様に、第1の壁板の天辺25の中央部が重ならないようにされている。また、各々の第1の壁板20には、添着部材40を係合させるための面ファスナー24が備えられている。
【0052】
対をなす第2の壁板30は、内方に折り倒されて底板10に沿うように折りたたまれる。各々の壁板が折り倒されることにより、足湯容器本体が平坦な状態に折りたたまれる(図1(A)図,図3参照)。添着部材40は、樹脂製の竿体41とされている。竿体41は、対をなす第1の壁板の天辺25の長さと略同一の長さとされ、隣り合った折目21,21の上方に沿うようにされている(図2(C)図参照)。竿体41の基端は、対をなす第2の壁板30の内面であって、側縁の上方に、ヒンジをなすシート体43を介して一体に備えられている。シート体43の形態は限定されず、二つ折りとした可撓性樹脂からなるシート体を熱溶着させてもよく、二つ折りとした防水紙からなる厚紙を接着させてもよい。
【0053】
竿体41の先端には面ファスナー42が備えられ、対をなす第1の壁板20の内面に備えさせた面ファスナー24に係合可能とされている。係合される面ファスナー同士は、一方が鉤部、他方が環部とされればよい。対をなす第1の壁板20に添着部材40を添着させる際には、シート体43を基点として竿体41を回動させて、面ファスナー同士を係合させればよい(図2(A)図、図2(B)図参照)。
【0054】
添着部材40を、天辺25に沿って各々の第1の壁板に添着させると、隣り合った折目21,21が開かれた状態を、竿体41が維持させる。これにより、一時的に対をなす第1の壁板20が、外方に折れ曲がらない状態となり、各々の壁板が起立した状態が維持される。一方、面ファスナー同士の係合を解除し、各々の第1の壁板20から添着部材40を外して、各々の第2の壁板30に沿うように戻せば、足湯容器を折り倒すことができる(図1(A)図,図3参照)。また、竿体41の長さが、第1の壁板20の幅と、略同一とされているため、竿体が各々の第2の壁板30,30の間を突っ張り、各々の壁板がより折り倒されにくい(図1(B)図,図2(B)図参照)。
【0055】
ここで、足湯容器1の使用方法について説明する。まず、壁板が底板の面に沿うように、足湯容器が平坦とされた状態(図3参照)から、各々の壁板を折り上げる(図1(A)図)。次に、竿体41を、基端部の周りに回動させて、竿体先端の面ファスナー42を、各々の第1の壁板に付設されている面ファスナー24に係合させて、壁板を起立させた状態とする(図1(B)図)。そして、足湯容器1を浴室内に置き、足湯容器の中に立って浴室の床面と足湯容器の間の湯水を排出して、足湯容器が横滑りしないようにして、シャワー浴をすればよい。
【0056】
シャワー浴をした後は、係合された面ファスナー同士を外して、各々の第1の壁板20を外方に折り倒すようにすると、折目21,21の先端の高さが低くなり、足湯容器に溜まった湯水が排水される(図1(A)図参照)。これにより、湯水が溜まって重くなった足湯容器を持ち上げなくても、排水をすることができる。なお、各々の第2の壁板30を、内方に折り倒すようにして排水を行ってもよいことは勿論のことである。
【0057】
足湯容器から湯水を排水した後には、各々の第1の壁板20,20が垂直方向に並ぶように、吊下げ孔23にフックをかけるようにして吊り下げて、水切りを行う(図3参照)。そうすると、足湯容器1の内面に付着した水滴は、隣り合った折目の間22から滴り落ち、足湯容器内部が乾燥されやすい。足湯容器を平坦に折りたたんだ状態のままでも、水切りを行うことができるため、内部を乾燥させる際にも、広い場所が必要とならず、浴室内に吊るして乾燥させることもできるという有利な効果がある。
【実施例2】
【0058】
実施例2では、図4を参照して、添着部材44が平板とされた足湯容器2を説明する。図4では、平板45に隠されている部分について破線で示している。図4(A)図は、添着部材を添着させる前の状態の断面図を示し、図4(B)図は、添着部材を折り上げて、対をなす第1の壁板に添着させた状態の断面図を示している。図4(C)図は、対をなす第1の壁板を、側面から看た側面図を示している。以下、実施例1と同一の構成については、図に同一の符号を付して説明を省略している。
【0059】
添着部材44は、底板10と左右の第1の壁板20,20との二つの接縁部から、足湯容器2の外面に沿うように延設された平板45とされている(図4(A)図参照)。平板45の幅方向の長さは、対をなす第1の壁板の天辺25の長さよりも短く、隣り合う折目21,21の折れ曲がりやすい上方部のみに係合される。各々の第1の壁板20に備えられる係合部は筋状の凹部28をなし、二つの折目21,21を跨いで分割されて備えられ、添着部材に備えられる係合部は筋状の凸部27をなし、平板45の幅と略同一の幅となるように備えられている。
【0060】
添着部材44を第1の壁板20に添着させるには、平板45を折り上げて、筋状の凸部27を筋状の凹部28に係合させればよい。排水の際には、各々の第1の壁板20から、平板45を外してから、各々の第1の壁板20を折り倒せばよい。また、足湯容器2の外面のみに、添着部材44が備えられるため、足湯容器の内面に水滴が残りにくく、足湯容器の内部をより衛生的に保つことが容易となる。
【実施例3】
【0061】
実施例3では、図5を参照して、添着部材46が、対をなす第1の壁板20の外面に添着される竿体47とされた足湯容器3を説明する。図5(C)図では、竿体47に隠されている部分について、破線で示している。図5(A)図は、添着部材を添着させる前の平面図を示し、図5(B)図は、添着部材を添着させた後の平面図を示している。図5(C)図は、添着部材を添着させた状態の対をなす第1の壁板20を側面から看た側面図である。
【0062】
竿体47は、ヒンジをなすシート体43を基端部として、各々の第2の壁板30の外面の側縁部の上方に、足湯容器3と一体に形成されている。添着部材46を添着させるには、竿体47の基端部を軸端として、竿体47を回動させて、隣り合う折目21,21を跨ぐように添着させる(図5(B)図,図5(C)図参照)。実施例2の場合と同様に、足湯容器3の外面のみに、添着部材46が備えられるため、足湯容器の内面に水滴が残りにくく、足湯容器の内部をより衛生的に保つことが容易となる。係合部の形態は限定されないことは、勿論のことである。
【実施例4】
【0063】
実施例4では、図6を参照して、起立支援手段が引き込み手段とされた足湯容器4を説明する。図6(A)図は、引き込み手段を架け渡す前の状態の平面図を示している。図6(B)図は、引き込み手段を架け渡す前のA−A位置の断面図を示し、図6(C)図は、引き込み手段を架け渡した後のA−A位置の断面図を示している。
【0064】
引き込み手段は、対をなす第1の壁板20の天辺の両端部に備えられた一対の紐50,50とされている。紐50の基端は、一方の第1の壁板20に固着され、先端は鉤状の係止具51を備えている。他方の第1の壁板には、係止具51を引掛ける係止孔26が形成される(図6(B)図参照)。また、紐50の長さは対をなす第2の壁板30と略同一の長さとされる。紐は、伸縮しない材質であればよい。
【0065】
各々の係止具51を、係止孔26に引掛けることにより、各々の第1の壁板20,20が内方に引き込まれ、各々の壁板が起立された状態が維持される(図6(C)図参照)。これにより、簡易な構成で足湯容器4が起立した状態を維持させることができる。紐を、第1の壁板の中央部に設けるようにしてもよいことは勿論のことである。
【実施例5】
【0066】
実施例5では、図7を参照して、起立支援手段が押し出し手段とされた足湯容器5を説明する。図7(A)図は、押し出し手段が対をなす第2の壁板を押し出す前の状態の平面図を示し、図7(B)図は、押し出し手段が対をなす第2の壁板を押し出した状態の平面図を示している。図7(C)図は、図7(B)図のA−A位置の断面図を示している。
【0067】
押し出し手段は、各々の第2の壁板30,30を突っ張って押し出す竿体60とされている。竿体60の基端は、ヒンジをなすシート体62を介して、一方の第2の壁板30の内面であって、側縁部の上方に一体に備えられている。竿体60の先端には面ファスナー61が備えられている。他方の第2の壁板30の側縁上部には、竿体の先端の面ファスナー61と係合される面ファスナー31が備えられ、竿体60の先端が添着可能とされる(図7(A)図参照)。シート体及び面ファスナーは、実施例1と同様であればよく、説明を省略している。
【0068】
竿体60を回動させて、面ファスナー同士31,61を係合させることにより、各々の第2の壁板の上方部が突っ張って押し出している状態とされ、各々の第2の壁板30,30が内方に折り倒されない状態となる(図7(B)図参照)。これにより、各々の第1の壁板20,20も外方に折り倒されにくくなり、各々の壁板が起立した状態が維持される(図7(C)図参照)。
【実施例6】
【0069】
実施例6では、図8を参照して、起立支援手段が押し出し手段をなす空気管とされる足湯容器6を説明する。図8(A)図では、下部気体袋と気体流通管の一部を破線で示している。同様に、断熱部材の一部を破線で示している。図8(A)図は、空気管が対をなす第2の壁板を押し出した状態の平面図を示している。図8(B)図は、空気管が膨らむ前の状態のA−A位置の断面図を示し、図8(C)図は、空気管が膨らんで、対をなす第2の壁板を押し出した状態のA−A位置の断面図を示している。
【0070】
押し出し手段は、各々の第2の壁板を押し出す空気管70と、底板に一体に備えられる下部気体袋71と、下部気体袋71から空気管70に気体を供給させる気体流通管72とから構成されている。空気管70は、下部気体袋71から気体が供給されていない状態では、萎んで弛んだ状態とされる(図8(B)図)。一方、下部気体袋71から気体が流通されると、膨らんで竿体状をなし、各々の第2の壁板30,30の間が押し出される(図8(C)図)。
【0071】
下部気体袋71は、足湯容器の底板10と一体に備えられ、上面には面状をなす断熱部材73が一体に備えられている。入浴者が下部気体袋71の上に立つと、下部気体袋内の気体が気体流通管72を通って、空気管70に流通し、空気管が膨らむ。これにより、入浴者が足湯容器6の上に立つだけで、各々の壁板を起立させた状態とされ、使い勝手の良い足湯容器となる。下部気体袋71の材質は限定されず、例えば樹脂製の袋体であればよい。また、下部気体袋71及び断熱部材73は、底板10を二つ折りにできるように、図8において左右方向に分割された状態とされている。
【実施例7】
【0072】
実施例7では、図9を参照して、起立支援手段が対をなす第1の壁板の形状維持手段とされる足湯容器7を説明する。図9(A)図では、上部気体袋及び下部気体袋の一部について、想像線を一点鎖線で示している。同様に、断熱部材の一部について想像線を破線で示している。図9(A)図は、上部気体袋が膨らむ前の状態の平面図を示している。図9(B)図は、上部気体袋が膨らむ前の状態のA−A位置の断面図を示し、図9(C)図は、上部気体袋が膨らんだ状態のA−A位置の断面図を示している。
【0073】
形状維持手段は、各々の第1の壁板20,20と一体に備えられる上部気体袋80と、底板10と一体に備えられる下部気体袋81と、気体流通手段82とから構成されている。ここでは、上部気体袋80と、下部気体袋81と、気体流通手段82は一つの袋体から形成されるため、上部気体袋80と下部気体袋81との境界全体が気体流通手段82とされる(図9(B)図参照)。
【0074】
下部気体袋81の上面には、面状をなす断熱部材83が一体に備えられている(図9(A)図参照)。断熱部材83は、下部気体袋81の上面のうち、図上上側の縁部を残すように配設されている。そのため、入浴者が断熱部材83の上に立つと、下部気体袋81の断熱部材がある部分については、押し下げられた状態とされる。一方、断熱部材のない部分については押し下げられず、下部気体袋81の一部が筋状に残り、圧力調整手段をなす連通管84として機能される(図9(C)図参照)。
【0075】
形状維持手段が備えられることにより、入浴者が足湯容器7の上に立つだけで、各々の壁板を起立させた状態とされ、使い勝手の良い足湯容器となる。また、圧力調整手段が備えらえることにより、各々の上部気体袋の圧力が均一とされ、各々の第1の壁板が傾かずに起立された状態となる。
【実施例8】
【0076】
実施例8では、図10を参照して、各々の第1の壁板20と底板10とに筋目が備えられ、各々の第1の壁板が、第1の壁板と底板との接縁に対して折りたたまれた状態で、更に第2の壁板の天辺に沿って折りたたみ可能となる足湯容器8を説明する。図10では、各々の第1の壁板の天辺25と、第2の対をなす壁板の天辺32を一点鎖線で示し、竿体41の想像線を破線で示し、足湯容器の折りたたみ方向を矢印で示している。
【0077】
図10(A)図は、足湯容器8の底面図を示し、図10(B)図は、対をなす第1の壁板20を折り返した状態を示し、図10(C)図は、図10(B)図の状態からさらに二つ折りにした状態を示している。なお、足湯容器8は折りたたみ容易となるように筋目90が備えられる点以外は、実施例1の足湯容器1と同じ構成とされている。なお、図10では理解を容易にするため、横滑り防止手段をなす凹凸溝を省略している。
【0078】
筋目90は、第1の壁板を底板から延びるように折りたおした状態で、第2の壁板の天辺32と同一方向に延びるように、一方の第1の壁板20の天辺中央部から他方の第1の壁板の天辺中央部に亘って筋状に形成されている。筋目90は、折目21と同様に形成されればよく説明を省略している。
【0079】
次に、図10の各々の図を参照して、足湯容器8の折りたたみ方を説明する。まず、竿体41を第2の壁板に沿わせた状態としてから、各々の壁板20,30を折り倒して足湯容器8を平坦な状態とし、底板10の底面が上向きとなるように、足湯容器を裏返す(図10(A)図参照)。次に、各々の第1の壁板20を、第1の壁板と底板との接縁12に対して折りたたんで、第1の壁板20の中央部の外面を、底板10の底面に沿わせる(図10(B)図矢印参照)。更に、各々の第1の壁板20と底板10とを、筋目90に沿って二つ折りにする(図10(C)図矢印参照)。筋目90が備えられることにより、足湯容器の底板を容易に二つ折りとすることができる。
【0080】
(その他)
・上記実施例においては、吊下げ手段を、第1の壁板に形成させた吊下げ孔としたが、吊下げ孔の替わりに、第1の壁板の外面に鉤部が備えられてもよいことは勿論のことである。また、横滑り防止手段が凹凸溝とされた例を説明したが、横滑り防止手段は、底面を粗面としてもよく、底面に適宜の間隔で凸部が設けられただけでもよいことは勿論のことである。
・実施例4では、引き込み手段が一対の紐とされた例を説明したが、対をなす第1の壁板の天辺中央部に一本の紐を架け渡してもよいことは勿論のことである。この場合には、吊下げ孔を係止孔として利用することができる。
・実施例6及び実施例7では、空気管と下部気体袋に空気が入った状態を説明したが、折りたたみが容易となるように、空気抜き栓が設けられていてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3,4,5,6,7,8…足湯容器、
10…底板、11…凹凸溝、12…接縁、
20…第1の壁板、21…折目、22…折目の間、23…吊下げ孔、24…面ファスナー、25…天辺、26…係止孔、27…筋状の凸部、28…筋状の凹部、
30…第2の壁板、31…面ファスナー、32…天辺、
40…添着部材、41…竿体、42…面ファスナー、43…シート体、44…添着部材、45…平板、46…添着部材、47…竿体、
50…紐、51…係止具、
60…竿体、61…面ファスナー、62…シート体、
70…空気管、71…下部気体袋、72…気体流通管、73…断熱部材、
80…上部気体袋、81…下部気体袋、82…気体流通手段、83…断熱部材、84…連通管、
90…筋目

【手続補正書】
【提出日】2016年9月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状とされた底板と、前記底板から起立された向かい合う二対の壁板とからなり、対をなす第1の壁板には、底辺両端から斜め上方中央部に向かうと共に、交差しないように天辺に至る一対の折目が備えられ、前記一対の折目を折って、各々の第1の壁板の前記一対の折目の内方部壁板を外方に折り倒し、各々の第1の壁板の前記一対の折目の外方部壁板を内方に折り倒し、対をなす各々の第2の壁板を内方に折り倒して平坦に折りたたみ可能とされる足湯容器において、
前記足湯容器が前記のように平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に天辺に沿って隙間を有すると共に、起立支援手段と横滑り防止手段とを、足湯容器本体と一体に備え、
前記起立支援手段は、足湯浴時に前記折目が折れ曲がらないように拘束させて足湯容器を起立させ、
前記横滑り防止手段は、前記底板の下面の湯水を前記足湯容器の下面の外に排出可能とし、足湯浴時に前記下面の湯水を排出させて前記足湯容器の横滑りを防止させ、
足湯浴後には、前記起立支援手段を解除して、前記一対の折目を折り曲げて、前記のように平坦に折りたたまれた状態とする際に、前記隙間から湯水が排水される、
ことを特徴とする足湯容器。
【請求項2】
前記起立支援手段が、各々の第1の壁板の天辺に沿う添着部材を含み、
前記添着部材は、基端部が足湯容器本体と一体に形成され、
各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着されて、前記一対の折目が折れ曲がらないように拘束させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の足湯容器。
【請求項3】
前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板の引き込み手段を含み、
前記引き込み手段は、各々の第1の壁板を引き込む紐であって、前記紐の基端が、一方の第1の壁板と一体に付設されていると共に、前記紐の先端が、他方の第1の壁板の高さ方向の中央部よりも上に係止可能とされ、
各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、前記先端が前記他方の第1の壁板に係止されて、各々の第1の壁板を内方に引き込ませて、前記一対の折目が折れ曲がらないように拘束させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の足湯容器。
【請求項4】
前記起立支援手段が、対をなす第2の壁板の押し出し手段を含み、
前記押し出し手段は、各々の第2の壁板を押し出す竿体であって、前記竿体の基端が足湯容器本体と一体に形成され、
各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第2の壁板の高さ方向の中央部よりも上を、前記竿体の先端が外方に押し出して、前記一対の折目が折れ曲がらないように拘束させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の足湯容器。
【請求項5】
前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板を起立させた状態の壁面形状を維持させる形状維持手段を含み、
前記形状維持手段は、各々の第1の壁板の天辺に沿う上部気体袋と、底板に備えられた下部気体袋と、気体流通手段とを有し、
前記気体流通手段を介して前記下部気体袋から前記上部気体袋に気体が流入されて、前記上部気体袋が膨らませられ、各々の第1の壁板を起立させて、前記一対の折目が折れ曲がらないように拘束させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の足湯容器。
【請求項6】
前記気体流通手段は、各々の前記上部気体袋の圧力を同一とさせる圧力調整手段を備え、
前記圧力調整手段が、各々の前記上部気体袋を繋ぐ連通管とされ、
前記連通管が、対をなす第2の壁板又は底板のいずれかに備えられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の足湯容器。
【請求項7】
前記形状維持手段は、前記底板の内方面に、面状をなす断熱部材を含み、
前記断熱部材の下方に、前記下部気体袋が配設され、
足湯浴の際に、前記断熱部材の上に入浴者が立つことにより、前記断熱部材を介して前記下部気体袋が押圧されて、上部気体袋に前記気体流通手段を介して気体が流入される、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の足湯容器。
【請求項8】
前記足湯容器が吊下げ手段を有し、
前記吊下げ手段が、対をなす第1の壁板の少なくともいずれか一方に備えられ、
前記足湯容器が前記のように平坦に折りたたまれた状態で、前記吊下げ手段を介して、前記足湯容器が垂直に吊下げられて、前記足湯容器の内面に付着した水分が、離間された第2の壁板の内面と前記底板の内面に伝って流下して、下方に位置する第1の壁板の各々の前記折目の上端の間から排水される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の足湯容器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内でシャワー浴をしながら、容易かつ安全に足湯浴をすることができる足湯容器に関する。詳細には、浴室内の濡れた床、浴槽、床敷き等の上に、空の状態で置いても横滑りしにくく、シャワーを浴びる際には自立させやすく、シャワー浴の後には容器内に溜まった湯が排水しやすく、使いやすいと共に衛生的に管理しやすい足湯容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、足湯容器は、下半身の血液循環の向上等の治療を目的として、居室内で椅子に座った姿勢で使用されていた。そのため、足湯容器内の湯水がこぼれにくいように、足湯容器は変形しにくく、一定の形状の容器とされていた。
【0003】
特許文献1から特許文献3には、折りたたみ可能な容器の技術が開示されている。特許文献1には、椅子に座った姿勢で使用される足湯容器ではあるが、折りたたんで収容できるようにした足湯容器の技術が開示されている。胴部をシート状の軟質合成樹脂製とすると共に、着脱自在の芯材を、胴部の高さ方向に装着し、芯材が胴部に装着された状態では足湯容器の形状が保持され、芯材を取り外した状態では胴部が折りたたみ可能とされている。
【0004】
この足湯容器は、椅子に座った状態で使用される足湯容器であり、湯水や石鹸の泡等により濡れた浴室内では滑りやすく、安全に使用できなかった。また、シャワーの際に、泡等で濡れた軟質樹脂性の胴部に、芯材を装着することは困難で、芯材が外れた場合には、素足を傷つける危険性もあり、芯材を紛失した場合には起立させることができなくなるという課題もあった。
【0005】
更に、胴部が伸ばされた状態のままでは、排水の際に湯水が入った足湯容器を持ち上げて傾ける必要があり、排水が困難であった。芯材を取り外して胴部を縮めた状態とすれば、排水が容易になる反面、折りたたまれて接した胴部の内壁部に付着した湯水が乾燥されにくく、容器内部を衛生的に保つことが困難であり、また芯材を紛失しやすいという課題もあった。
【0006】
特許文献2には、折りたたみ可能な洗面器の技術が開示されている。特許文献2に記載された桝の形状をなす洗面器には、起立した向かい合う壁板のうち、折りたたまれる側の壁板には、底縁両端から天縁中央部に向かう斜めの折目が備えられ、全ての壁板が内方に向けて折りたたみ可能とされている。また、折目を有する壁板の天縁に沿って形状記憶合金からなる芯材が備えられている。洗面器が折りたたまれた状態から、各々の壁板を手で起こし起立させた状態とし、湯を溜めれば、形状記憶合金が加温され、洗面器が起立した形状に保持される。
【0007】
しかし、この容器の技術を、シャワー時に使用する足湯容器に適用すれば、壁板が内方に折れ曲がって、不安定な形状のままで、足湯容器を使い始めることになる。そうすると、内方に折れ曲がった形状記憶合金で、素足を傷つける危険性があった。また、足湯容器に溜まった湯水を排水しようとすると、足湯容器を持ち上げて傾ける必要があり排水しにくく、無理に壁板を外方に倒して排水しようとすると、形状記憶合金が折れ、容器が破損しやすいという課題があった。また、排水して容器が空となった後には、壁板が内方に折れ曲がり、折れ曲がって接した胴部の壁部に付着した湯水が乾燥されにくく、容器内部を衛生的に保つことが困難であるという課題もあった。
【0008】
特許文献3には、形状記憶樹脂を使用して、主として食品容器に使用される、折りたたみ式の形状復帰容器の技術が開示されている。倉庫での保管時には、場所をとらないように縮小した状態とされ、食品容器として使用される際には、温度が50℃以上の高温にされることにより、カップ形状に復帰する容器とされている。
【0009】
この文献には、両側から挟み込む別体の補強部品を、折りたたむ壁板に装着させて、壁板を自立した状態に維持させる技術が開示されている。しかし、特許文献3の技術によっても、特許文献1の場合と同様に、補強部品を紛失しやすく、素足で使うには危険であると共に、滑りやすい浴室内で安全に使用できず、容器内部を衛生的に保つことは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特許文献1:特開2003−180789号公報
特許文献2:特開2011−110416号公報
特許文献3:実開平02−16742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、浴室内でシャワーをしながら、容易かつ安全に足湯浴ができる足湯容器を提供することを課題としている。より詳細には、浴室内の濡れた床、浴槽、床敷き等の上に、空の状態で置いても横滑りしにくく、シャワーを浴びる際には自立しやすく、シャワー後には容器内に溜まった湯水が排水しやすく、使いやすいと共に衛生的に管理しやすい足湯容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の発明の足湯容器は、四角形状とされた底板と、前記底板から起立された向かい合う二対の壁板とからなり、対をなす第1の壁板には、底辺両端から斜め上方中央部に向かうと共に、交差しないように天辺に至る一対の折目が備えられ、前記一対の折目を折って、各々の第1の壁板の前記一対の折目の内方部壁板を外方に折り倒し、各々の第1の壁板の前記一対の折目の外方部壁板を内方に折り倒し、対をなす各々の第2の壁板を内方に折り倒して平坦に折りたたみ可能とされる足湯容器において、前記足湯容器が前記のように平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に天辺に沿って隙間を有すると共に、起立支援手段と横滑り防止手段とを、足湯容器本体と一体に備え、前記起立支援手段は、足湯浴時に前記折目が折れ曲がらないように拘束させて足湯容器を起立させ、前記横滑り防止手段は、前記底板の下面の湯水を前記足湯容器の下面の外に排出可能とし、足湯浴時に前記下面の湯水を排出させて前記足湯容器の横滑りを防止させ、足湯浴後には、前記起立支援手段を解除して、前記一対の折目を折り曲げて、前記のように平坦に折りたたまれた状態とする際に、前記隙間から湯水が排水されることを特徴としている。
【0013】
四角形状は、矩形形状に限定されない。大きさ・高さも限定されず、例えば、少なくとも踝までが湯水に浸かることができる大きさ・高さとされればよい。底板及び壁板の材質は、柔軟性のある樹脂製のシート体であってもよく、剛性のある樹脂製の板体であってもよく、防水紙であってもよく限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル等の樹脂製シート体や、パラフィン紙、合成樹脂製の合成紙等であればよい。また、部位毎に異なった材質とされていてもよい。
【0014】
足湯容器を、樹脂製のシート体により構成させる場合には、平坦なシート体を組み合わせて、稜線部分を熱溶着し、足湯容器を形成させればよい。樹脂製のシート体とすると、耐久性が高く、繰り返し使用できる足湯容器を提供することができる。一方、防水紙、例えばパラフィン紙から構成させる場合には、紙を折りたたんで、壁板を接着剤等により接着して組立て、湯水を溜める容器とすればよく、少量であっても、安価に足湯容器を提供することができる。
【0015】
対をなす第1の壁板は、折目を折って、外方に倒すように折りたたみ容易とされている。そのため、対をなす第1の壁板のいずれかを外方に倒すだけで、足湯容器に溜まった湯水が排水される。また、第1の壁板を折り倒して、各々の第1の壁板が垂直方向に並ぶようにして吊下げれば、足湯容器の内部に付着した湯水が、足湯容器内面に沿って排水される。これにより、湯水が溜まって、重くなった足湯容器を持ち上げて傾ける必要がなく排水が容易である。また、足湯容器の内面を乾燥させやすく、足湯容器が衛生的に管理できる。
【0016】
折目は、材質が紙質からなる場合は、折り癖をつけるだけでもよい。材質が樹脂製のシート体からなる場合は、折目の部分の性状が変えられればよく、折り癖をつけるだけでもよく、材質を変えても、厚さを変えても、シート体よりも硬い板体を貼着させてもよく、限定されない。折目の傾斜角度は、限定されない。
【0017】
足湯容器と一体に設けられる起立支援手段は、空の状態から湯水が溜まった状態になるまで、各々の壁板が倒れないように拘束し、壁板が起立された状態が維持できればよく、その形態は限定されない。例えば、外方に折り倒される対をなす第1の壁板を、内方側に引き込ませる引き込み手段であってもよく、内方に折り倒される対をなす第2の壁板を、外方に押し出させる押し出し手段であってもよい。また、折目を有する対をなす第1の壁板を、折りたたみ困難な状態とさせるものでもよい。
【0018】
起立支援手段が備えられるため、対をなす第1の壁板の各々の折目が開かれて、足湯容器が起立した状態を維持させることができる。そのため、壁板を手で倒れないように支えていなくても、シャワー浴をしながら、足湯容器に湯水を溜めることができる。これにより、手で身体を洗いながら又は身体をマッサージしながら、安全に足湯容器に湯水を溜めて、足湯浴をすることができる。
【0019】
前記底板の下面の湯水を排出させる横滑り防止手段は、浴室の床が濡れていても、底面と浴室床との間の湯水が排出されやすいように底面が粗面とされてもよく、底面が下方に凸に反っていてもよい、排出のための部品が添着されていてもよい。これにより、濡れた浴室の床や浴室の床に敷いた床敷きの上に足湯容器を置いて入浴者が立つだけで、足湯容器の底面と浴室床との間の湯水が排出され、足湯容器が滑りにくく、安全に使用することができる。
【0020】
また、起立支援手段と横滑り防止手段とが、本体と一体に備えられている。これにより、足湯容器を折りたたむ際にも、足元に部品を散乱させず、滑りやすい浴室内であっても、安全にシャワー浴ができる。また、保管時に部品をなくすこともない。
【0021】
本発明の第1の発明によれば、シャワーを浴びる際に壁板を自立させた状態を維持しやすいと共に、浴室内が濡れていても足湯容器が滑りにくい。シャワー浴の後には、一部の壁板を外方に倒して湯水を排水することができ、吊り下げて水切りをすることができる。これにより、濡れた浴室内であっても安全に使いやすいと共に、衛生的に管理しやすいという有利な効果を奏する。
【0022】
また、足湯容器が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に、隙間があいているため、足湯容器内面に付着した水滴が水蒸気となって放散されやすい。また、足湯容器を吊下げて干すことにより、折目の先端の隙間から水滴が滴り落ちやすい。これにより、足湯容器内部がより早く乾燥しやすくなり、衛生的な状態を維持しやすいという有利な効果を奏する。
【0023】
本発明の第2の発明は、第1の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、各々の第1の壁板の天辺に沿う添着部材を含み、前記添着部材は、基端部が足湯容器本体と一体に形成され、各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着されて、前記一対の折目が折れ曲がらないように拘束させることを特徴としている。
【0024】
添着部材は、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着されて、各々の折目が開かれた状態に維持できればよく、その形態は限定されない。添着部材の形状は、竿体であっても板体であってもよい。添着の態様も、複数の鉤部と環部とが係合しあう面ファスナー、筋状の凸部と筋状の凹部とが嵌合される嵌合部材、天辺を挟み込む狭持部材等、限定されない。添着範囲は、壁面全体に亘って添着されてもよく、折目をなす部分のみに添着されてもよい。
【0025】
また、添着部材が足湯容器と一体に形成される位置は限定されず、対をなす第1の壁板の内面に添着されてもよく、外面に添着されてもよく、内面と外面の両面に添着されてもよい。対をなす第2の壁板の側縁部から水平に延設させてもよく、底板の底縁部から垂直に延設させてもよい。
【0026】
本発明の第2の発明によれば、各々の第1の壁板の天辺に沿うように添着部材を添着させ、対をなす第1の壁板の折目が開いた状態を維持させている。これにより、簡易な構成で足湯容器を起立させた状態とすることができると共に、添着部材の添着を解除すれば、対をなす第1の壁板を容易に倒すことができ、足湯容器に溜まった湯水を容易に排水することができる。
【0027】
本発明の第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板の引き込み手段を含み、前記引き込み手段は、各々の第1の壁板を引き込む紐であって、前記紐の基端が、一方の第1の壁板と一体に付設されていると共に、前記紐の先端が、他方の第1の壁板の高さ方向の中央部よりも上に係止可能とされ、各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、前記先端が前記他方の第1の壁板に係止されて、各々の第1の壁板を内方に引き込ませて、前記一対の折目が折れ曲がらないように拘束させることを特徴としている。
【0028】
起立支援手段をなす紐は、一方の第1の壁板のいずれかの位置に、紐の基端が一体に付着され、他方の第1の壁板の高さ方向の中央部よりも上に、紐の先端が係止されればよい。第3の発明によれば、外方に倒れやすい各々の第1の壁板が、内方に引き込まれた状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
【0029】
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、対をなす第2の壁板の押し出し手段を含み、前記押し出し手段は、各々の第2の壁板を押し出す竿体であって、前記竿体の基端が足湯容器本体と一体に形成され、各々の壁板が開かれて足湯容器が起立された状態で、各々の第2の壁板の高さ方向の中央部よりも上を、前記竿体の先端が外方に押し出して、前記一対の折目が折れ曲がらないように拘束させることを特徴としている。
【0030】
起立支援手段をなす竿体は、一方の第2の壁板のいずれかの位置に、竿体の基端が一体に付着されている。竿体の幅、形状は限定されず、その基端が接着剤・熱溶着等によって対をなす第2の壁板の一方に固定され、先端が他方の第2の壁板に着脱自在に係止されればよい。また、竿体は対をなす第2の壁板の各々を繋ぐように、一体に設けた空気管としてもよい。
【0031】
竿体を空気管とした場合には、空気が抜けて萎んだ状態では、各々の壁板を折りたたむことができ、空気が流入されて膨らんだ状態では、向かい合う第2の壁板が押し出される。底板と一体に空気袋を備えさせておけば、足湯容器の中に入浴者が立てば、空気袋から空気管に空気が流入され、壁板が起立される。第4の発明によれば、内方に倒れやすい対をなす第2の壁板が、外方に押し出された状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
【0032】
本発明の第5の発明は、第1の発明の足湯容器であって、前記起立支援手段が、対をなす第1の壁板を起立させた状態の壁面形状を維持させる形状維持手段を含み、前記形状維持手段は、各々の第1の壁板の天辺に沿う上部気体袋と、底板に備えられた下部気体袋と、気体流通手段とを有し、前記気体流通手段を介して前記下部気体袋から前記上部気体袋に気体が流入されて、前記上部気体袋が膨らませられ、各々の第1の壁板を起立させて、前記一対の折目が折れ曲がらないように拘束させることを特徴としている。
【0033】
上部気体袋は、壁板の天辺に沿った管状の空気袋とされてもよく、壁板全体に沿う空気袋とされてもよい。上部気体袋は、各々の第1の壁板に、壁板とは別体の袋体を貼着させてもよく、2枚の軟質樹脂シートを熱溶着させて、上部気体袋と壁板とを一体に形成させてもよい。
【0034】
下部気体袋は、単一の袋体とされて、複数の上部気体袋に気体を流通させてもよく、独立された複数の袋体とされて、独立された袋体から個別に上部気体袋に気体が流入されてもよい。下部気体袋が独立した複数の袋体とされると、壁板を折りたおした状態から足湯容器を二つ折りしやすくなる。下部気体袋も上部気体袋と同様に、別体の袋体を貼着させてもよく、下部気体袋を底板と一体に形成させてもよい。
【0035】
気体流通手段の形態は限定されず、上部気体袋と下部気体袋とを連通させる連通管により気体が流入されてもよく、上部気体袋と下部気体袋とが一体に形成され、下部気体袋から上部気体袋に気体が流入されてもよい。
【0036】
各々の壁板を起立させた状態で、下部気体袋の上に入浴者が立つと、下部気体袋が加圧され、下部気体袋に封入された気体が上部気体袋に流入されて、上部気体袋が膨らむ。これにより、足湯容器の底板の上に立つだけで、各々の第1の壁板を起立させた状態を維持させることができ、使いやすい足湯容器とすることができる。
【0037】
本発明の第6の発明は、第5の発明の足湯容器であって、前記気体流通手段は、各々の前記上部気体袋の圧力を同一とさせる圧力調整手段を備え、前記圧力調整手段が、各々の前記上部気体袋を繋ぐ連通管とされ、前記連通管が、対をなす第2の壁板又は底板のいずれかに備えられていることを特徴としている。
【0038】
連通管が備えられる場所は限定されず、対をなす第2の壁板又は底板のいずれかの位置に備えられればよい。第6の発明によれば、向かい合う上部気体袋の気圧が均一となって、いずれか一方が傾くことがない状態で、各々の第1の壁板が起立される。
【0039】
本発明の第7の発明は、第5又は第6の発明の足湯容器であって、前記形状維持手段は、前記底板の内方面に、面状をなす断熱部材を含み、前記断熱部材の下方に、前記下部気体袋が配設され、足湯浴の際に、前記断熱部材の上に入浴者が立つことにより、前記断熱部材を介して前記下部気体袋が押圧されて、上部気体袋に前記気体流通手段を介して気体が流入されることを特徴としている。断熱部材が備えられることにより、冷えた浴室の床の温度が足裏に伝わりにくい。これにより、浴室の床の温度が低いときであっても、快適に温浴することができる。また、面状をなす断熱部材の上に立つようにして使用することになるため、下部気体袋が均等に加圧され、下部気体袋から上部気体袋に気体流通手段を介して気体が流入されやすくなり、足湯容器を起立させた状態を維持させやすい。
【0040】
本発明の第8の発明は、第1から第7の発明の足湯容器であって、前記足湯容器が吊下げ手段を有し、前記吊下げ手段が、対をなす第1の壁板の少なくともいずれか一方に備えられ、前記足湯容器が前記のように平坦に折りたたまれた状態で、前記吊下げ手段を介して、前記足湯容器が垂直に吊下げられて、前記足湯容器の内面に付着した水分が、離間された第2の壁板の内面と前記底板の内面に伝って流下して、下方に位置する第1の壁板の各々の前記折目の上端の間から排水されることを特徴としている。
【0041】
各々の第1の壁板を、底面に沿って伸びるように折った状態で吊下げることにより、足湯容器の中に湯水を残さないで排水することが容易となる。これにより、足湯容器を折りたたんだ状態としても、足湯容器を乾燥させやすいという有利な効果を奏する。
【発明の効果】
【0042】
・本発明の第1の発明によれば、壁板を手で倒れないように支えていなくても、濡れた浴室の床や浴室の床に敷いた床敷きの上に足湯容器を置いて入浴者が立つだけで、足湯容器の底面と浴室床との間の湯水が排出され、足湯容器が滑りにくく、安全に使用することができる。これにより、手で身体を洗いながら又は身体をマッサージしながら、安全に足湯容器に湯水を溜めて、足湯浴をすることができる。また、足湯容器を折りたたむ際にも、足元に部品を散乱させず、滑りやすい浴室内であっても、安全にシャワー浴ができる。また、保管時に部品をなくすこともない。
・また、足湯容器内部がより早く乾燥しやすくなり、衛生的な状態を維持しやすいという有利な効果を奏する。
【0043】
・本発明の第2の発明によれば、簡易な構成で足湯容器を起立させた状態とすることができると共に、添着部材の添着を解除すれば、各々の第1の壁板を容易に倒すことができ、足湯容器に溜まった湯水を容易に排水することができる。
・本発明の第3の発明によれば、外方に倒れやすい壁板が、内方に引き込まれた状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
【0044】
・本発明の第4の発明によれば、内方に倒れやすい壁板が、外方に押し出された状態とされ、各々の壁板を起立させた状態が維持される。
・本発明の第5の発明によれば、足湯容器の底板の上に立つだけで、各々の第1の壁板を起立させた状態を維持させることができ、使いやすい足湯容器とすることができる。
・本発明の第6の発明によれば、向かい合う上部気体袋の気圧が均一となって、いずれか一方が傾くことがない状態で、各々の第1の壁板が起立される。
【0045】
・本発明の第7の発明によれば、浴室の床の温度が低いときであっても、快適に温浴することができる。また、面状をなす断熱部材の上に立つようにして使用することになるため、下部気体袋が均等に加圧され、下部気体袋から上部気体袋に気体が流入されやすくなり、足湯容器を起立させた状態を維持させやすい。
・本発明の第8の発明によれば、足湯容器を折りたたんだ状態としても、足湯容器を乾燥させやすいという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】添着部材を備えた足湯容器の斜視図(実施例1)。
図2】添着部材を備えた足湯容器の説明図(実施例1)。
図3】足湯容器を折りたたんで吊るした状態を示す説明図(実施例1)。
図4】添着部材を備えた足湯容器の説明図(実施例2)。
図5】添着部材を備えた足湯容器の説明図(実施例3)。
図6】引き込み手段を備えた足湯容器の説明図(実施例4)。
図7】押し出し手段を備えた足湯容器の説明図(実施例5)。
図8】押し出し手段を備えた足湯容器の説明図(実施例6)。
図9】形状維持手段を備えた足湯容器の説明図(実施例7)。
【発明を実施するための形態】
【0047】
平坦に折りたたみ可能な足湯容器に、起立支援手段と横滑り防止手段とを足湯容器本体と一体に備えさせ、壁板が起立された状態が維持されやすく、床が濡れている浴室でも使いやすく、横滑りしにくい足湯容器とした。また、シャワー浴の後は折りたたんで、溜まった湯水を排水しやすくし、排水後は吊下げて内部を乾燥させやすくし、衛生的に管理することができるようにした。
【実施例1】
【0048】
実施例1では、起立支援手段が添着部材とされた足湯容器1を、図1から図3を参照して説明する。図1は、足湯容器1の斜視図を示している。なお、図1から図3の各々の図では、壁板に隠れている部分について破線で示している。図1(A)図は、添着部材40が対をなす第1の壁板20に添着される前の状態を示し、図1(B)図は、添着部材40が対をなす第1の壁板20に添着され、各々の壁板が起立された状態を示している。図2は、足湯容器1の使用方法を説明する図を示し、図2(A)図は、添着部材40を添着させる前の平面図を示し、図2(B)図は、添着部材40を添着させた後の平面図を示している。図2(C)図は、対をなす第1の壁板を側面から看た側面図を示している。図3は、足湯容器1を吊り下げて乾燥させている状態を示している。
【0049】
まず、図1の各々の図を参照して、足湯容器1の構成を説明する。足湯容器1は、底板10が長方形形状とされ、底板10の各縁から対をなす第1の壁板20,20と、対をなす第2の壁板30,30とが一体に備えられ、天面が開放された矩形形状の容器とされている。足湯容器1は、可撓性樹脂からなるシート体を熱溶着させて形成させているが、耐水性を有する紙が折りたたまれて接着され形成されてもよい。底面には横滑り防止手段として、凹凸溝11が備えられている。また、一方の第1の壁板20には、足湯容器を吊下げるための吊下げ孔23が形成されている(図3参照)。足湯容器1の外形寸法は、縦が約45cm、横が約50cm、高さが約20cmとされているが、これに限定されない。
【0050】
対をなす第1の壁板20は、底辺両側から斜め上方に向かう折目21を有し、外方に折りたたみ容易とされている。折目21は、第1の壁板20が折り曲げられて付与された折り癖とされている。各々の第1の壁板20が前記折目に沿って外方に折り倒されると共に、各々の第2の壁板30が内方に折り倒され、足湯容器1が平坦に折りたたまれた状態で、向かい合う第2の壁板の天辺の間に隙間があけられ、対をなす第2の壁板同士が重ならないようにされている(図3参照)。同様に、第1の壁板の天辺25の中央部が重ならないようにされている。また、各々の第1の壁板20には、添着部材40を係合させるための面ファスナー24が備えられている。
【0051】
対をなす第2の壁板30は、内方に折り倒されて底板10に沿うように折りたたまれる。各々の壁板が折り倒されることにより、足湯容器本体が平坦な状態に折りたたまれる(図1(A)図,図3参照)。添着部材40は、樹脂製の竿体41とされている。竿体41は、対をなす第1の壁板の天辺25の長さと略同一の長さとされ、隣り合った折目21,21の上方に沿うようにされている(図2(C)図参照)。竿体41の基端は、対をなす第2の壁板30の内面であって、側縁の上方に、ヒンジをなすシート体43を介して一体に備えられている。シート体43の形態は限定されず、二つ折りとした可撓性樹脂からなるシート体を熱溶着させてもよく、二つ折りとした防水紙からなる厚紙を接着させてもよい。
【0052】
竿体41の先端には面ファスナー42が備えられ、対をなす第1の壁板20の内面に備えさせた面ファスナー24に係合可能とされている。係合される面ファスナー同士は、一方が鉤部、他方が環部とされればよい。対をなす第1の壁板20に添着部材40を添着させる際には、シート体43を基点として竿体41を回動させて、面ファスナー同士を係合させればよい(図2(A)図、図2(B)図参照)。
【0053】
添着部材40を、天辺25に沿って各々の第1の壁板に添着させると、隣り合った折目21,21が開かれた状態を、竿体41が維持させる。これにより、一時的に対をなす第1の壁板20が、外方に折れ曲がらない状態となり、各々の壁板が起立した状態が維持される。一方、面ファスナー同士の係合を解除し、各々の第1の壁板20から添着部材40を外して、各々の第2の壁板30に沿うように戻せば、足湯容器を折り倒すことができる(図1(A)図,図3参照)。また、竿体41の長さが、第1の壁板20の幅と、略同一とされているため、竿体が各々の第2の壁板30,30の間を突っ張り、各々の壁板がより折り倒されにくい(図1(B)図,図2(B)図参照)。
【0054】
ここで、足湯容器1の使用方法について説明する。まず、壁板が底板の面に沿うように、足湯容器が平坦とされた状態(図3参照)から、各々の壁板を折り上げる(図1(A)図)。次に、竿体41を、基端部の周りに回動させて、竿体先端の面ファスナー42を、各々の第1の壁板に付設されている面ファスナー24に係合させて、壁板を起立させた状態とする(図1(B)図)。そして、足湯容器1を浴室内に置き、足湯容器の中に立って浴室の床面と足湯容器の間の湯水を排出して、足湯容器が横滑りしないようにして、シャワー浴をすればよい。
【0055】
シャワー浴をした後は、係合された面ファスナー同士を外して、各々の第1の壁板20を外方に折り倒すようにすると、折目21,21の先端の高さが低くなり、足湯容器に溜まった湯水が排水される(図1(A)図参照)。これにより、湯水が溜まって重くなった足湯容器を持ち上げなくても、排水をすることができる。なお、各々の第2の壁板30を、内方に折り倒すようにして排水を行ってもよいことは勿論のことである。
【0056】
足湯容器から湯水を排水した後には、各々の第1の壁板20,20が垂直方向に並ぶように、吊下げ孔23にフックをかけるようにして吊り下げて、水切りを行う(図3参照)。そうすると、足湯容器1の内面に付着した水滴は、隣り合った折目の間22から滴り落ち、足湯容器内部が乾燥されやすい。足湯容器を平坦に折りたたんだ状態のままでも、水切りを行うことができるため、内部を乾燥させる際にも、広い場所が必要とならず、浴室内に吊るして乾燥させることもできるという有利な効果がある。
【実施例2】
【0057】
実施例2では、図4を参照して、添着部材44が平板とされた足湯容器2を説明する。図4では、平板45に隠されている部分について破線で示している。図4(A)図は、添着部材を添着させる前の状態の断面図を示し、図4(B)図は、添着部材を折り上げて、対をなす第1の壁板に添着させた状態の断面図を示している。図4(C)図は、対をなす第1の壁板を、側面から看た側面図を示している。以下、実施例1と同一の構成については、図に同一の符号を付して説明を省略している。
【0058】
添着部材44は、底板10と左右の第1の壁板20,20との二つの接縁部から、足湯容器2の外面に沿うように延設された平板45とされている(図4(A)図参照)。平板45の幅方向の長さは、対をなす第1の壁板の天辺25の長さよりも短く、隣り合う折目21,21の折れ曲がりやすい上方部のみに係合される。各々の第1の壁板20に備えられる係合部は筋状の凹部28をなし、二つの折目21,21を跨いで分割されて備えられ、添着部材に備えられる係合部は筋状の凸部27をなし、平板45の幅と略同一の幅となるように備えられている。
【0059】
添着部材44を第1の壁板20に添着させるには、平板45を折り上げて、筋状の凸部27を筋状の凹部28に係合させればよい。排水の際には、各々の第1の壁板20から、平板45を外してから、各々の第1の壁板20を折り倒せばよい。また、足湯容器2の外面のみに、添着部材44が備えられるため、足湯容器の内面に水滴が残りにくく、足湯容器の内部をより衛生的に保つことが容易となる。
【実施例3】
【0060】
実施例3では、図5を参照して、添着部材46が、対をなす第1の壁板20の外面に添着される竿体47とされた足湯容器3を説明する。図5(C)図では、竿体47に隠されている部分について、破線で示している。図5(A)図は、添着部材を添着させる前の平面図を示し、図5(B)図は、添着部材を添着させた後の平面図を示している。図5(C)図は、添着部材を添着させた状態の対をなす第1の壁板20を側面から看た側面図である。
【0061】
竿体47は、ヒンジをなすシート体43を基端部として、各々の第2の壁板30の外面の側縁部の上方に、足湯容器3と一体に形成されている。添着部材46を添着させるには、竿体47の基端部を軸端として、竿体47を回動させて、隣り合う折目21,21を跨ぐように添着させる(図5(B)図,図5(C)図参照)。実施例2の場合と同様に、足湯容器3の外面のみに、添着部材46が備えられるため、足湯容器の内面に水滴が残りにくく、足湯容器の内部をより衛生的に保つことが容易となる。係合部の形態は限定されないことは、勿論のことである。
【実施例4】
【0062】
実施例4では、図6を参照して、起立支援手段が引き込み手段とされた足湯容器4を説明する。図6(A)図は、引き込み手段を架け渡す前の状態の平面図を示している。図6(B)図は、引き込み手段を架け渡す前のA−A位置の断面図を示し、図6(C)図は、引き込み手段を架け渡した後のA−A位置の断面図を示している。
【0063】
引き込み手段は、対をなす第1の壁板20の天辺の両端部に備えられた一対の紐50,50とされている。紐50の基端は、一方の第1の壁板20に固着され、先端は鉤状の係止具51を備えている。他方の第1の壁板には、係止具51を引掛ける係止孔26が形成される(図6(B)図参照)。また、紐50の長さは対をなす第2の壁板30と略同一の長さとされる。紐は、伸縮しない材質であればよい。
【0064】
各々の係止具51を、係止孔26に引掛けることにより、各々の第1の壁板20,20が内方に引き込まれ、各々の壁板が起立された状態が維持される(図6(C)図参照)。これにより、簡易な構成で足湯容器4が起立した状態を維持させることができる。紐を、第1の壁板の中央部に設けるようにしてもよいことは勿論のことである。
【実施例5】
【0065】
実施例5では、図7を参照して、起立支援手段が押し出し手段とされた足湯容器5を説明する。図7(A)図は、押し出し手段が対をなす第2の壁板を押し出す前の状態の平面図を示し、図7(B)図は、押し出し手段が対をなす第2の壁板を押し出した状態の平面図を示している。図7(C)図は、図7(B)図のA−A位置の断面図を示している。
【0066】
押し出し手段は、各々の第2の壁板30,30を突っ張って押し出す竿体60とされている。竿体60の基端は、ヒンジをなすシート体62を介して、一方の第2の壁板30の内面であって、側縁部の上方に一体に備えられている。竿体60の先端には面ファスナー61が備えられている。他方の第2の壁板30の側縁上部には、竿体の先端の面ファスナー61と係合される面ファスナー31が備えられ、竿体60の先端が添着可能とされる(図7(A)図参照)。シート体及び面ファスナーは、実施例1と同様であればよく、説明を省略している。
【0067】
竿体60を回動させて、面ファスナー同士31,61を係合させることにより、各々の第2の壁板の上方部が突っ張って押し出している状態とされ、各々の第2の壁板30,30が内方に折り倒されない状態となる(図7(B)図参照)。これにより、各々の第1の壁板20,20も外方に折り倒されにくくなり、各々の壁板が起立した状態が維持される(図7(C)図参照)。
【実施例6】
【0068】
実施例6では、図8を参照して、起立支援手段が押し出し手段をなす空気管とされる足湯容器6を説明する。図8(A)図では、下部気体袋と気体流通管の一部を破線で示している。同様に、断熱部材の一部を破線で示している。図8(A)図は、空気管が対をなす第2の壁板を押し出した状態の平面図を示している。図8(B)図は、空気管が膨らむ前の状態のA−A位置の断面図を示し、図8(C)図は、空気管が膨らんで、対をなす第2の壁板を押し出した状態のA−A位置の断面図を示している。
【0069】
押し出し手段は、各々の第2の壁板を押し出す空気管70と、底板に一体に備えられる下部気体袋71と、下部気体袋71から空気管70に気体を供給させる気体流通管72とから構成されている。空気管70は、下部気体袋71から気体が供給されていない状態では、萎んで弛んだ状態とされる(図8(B)図)。一方、下部気体袋71から気体が流通されると、膨らんで竿体状をなし、各々の第2の壁板30,30の間が押し出される(図8(C)図)。
【0070】
下部気体袋71は、足湯容器の底板10と一体に備えられ、上面には面状をなす断熱部材73が一体に備えられている。入浴者が下部気体袋71の上に立つと、下部気体袋内の気体が気体流通管72を通って、空気管70に流通し、空気管が膨らむ。これにより、入浴者が足湯容器6の上に立つだけで、各々の壁板を起立させた状態とされ、使い勝手の良い足湯容器となる。下部気体袋71の材質は限定されず、例えば樹脂製の袋体であればよい。また、下部気体袋71及び断熱部材73は、底板10を二つ折りにできるように、図8において左右方向に分割された状態とされている。
【実施例7】
【0071】
実施例7では、図9を参照して、起立支援手段が対をなす第1の壁板の形状維持手段とされる足湯容器7を説明する。図9(A)図では、上部気体袋及び下部気体袋の一部について、想像線を一点鎖線で示している。同様に、断熱部材の一部について想像線を破線で示している。図9(A)図は、上部気体袋が膨らむ前の状態の平面図を示している。図9(B)図は、上部気体袋が膨らむ前の状態のA−A位置の断面図を示し、図9(C)図は、上部気体袋が膨らんだ状態のA−A位置の断面図を示している。
【0072】
形状維持手段は、各々の第1の壁板20,20と一体に備えられる上部気体袋80と、底板10と一体に備えられる下部気体袋81と、気体流通手段82とから構成されている。ここでは、上部気体袋80と、下部気体袋81と、気体流通手段82は一つの袋体から形成されるため、上部気体袋80と下部気体袋81との境界全体が気体流通手段82とされる(図9(B)図参照)。
【0073】
下部気体袋81の上面には、面状をなす断熱部材83が一体に備えられている(図9(A)図参照)。断熱部材83は、下部気体袋81の上面のうち、図上上側の縁部を残すように配設されている。そのため、入浴者が断熱部材83の上に立つと、下部気体袋81の断熱部材がある部分については、押し下げられた状態とされる。一方、断熱部材のない部分については押し下げられず、下部気体袋81の一部が筋状に残り、圧力調整手段をなす連通管84として機能される(図9(C)図参照)。
【0074】
形状維持手段が備えられることにより、入浴者が足湯容器7の上に立つだけで、各々の壁板を起立させた状態とされ、使い勝手の良い足湯容器となる。また、圧力調整手段が備えらえることにより、各々の上部気体袋の圧力が均一とされ、各々の第1の壁板が傾かずに起立された状態となる。
【0075】
(その他)
・上記実施例においては、吊下げ手段を、第1の壁板に形成させた吊下げ孔としたが、吊下げ孔の替わりに、第1の壁板の外面に鉤部が備えられてもよいことは勿論のことである。また、横滑り防止手段が凹凸溝とされた例を説明したが、横滑り防止手段は、底面を粗面としてもよく、底面に適宜の間隔で凸部が設けられただけでもよいことは勿論のことである。
・実施例4では、引き込み手段が一対の紐とされた例を説明したが、対をなす第1の壁板の天辺中央部に一本の紐を架け渡してもよいことは勿論のことである。この場合には、吊下げ孔を係止孔として利用することができる。
・実施例6及び実施例7では、空気管と下部気体袋に空気が入った状態を説明したが、折りたたみが容易となるように、空気抜き栓が設けられていてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1,2,3,4,5,6,7,8…足湯容器、
10…底板、11…凹凸溝、12…接縁、
20…第1の壁板、21…折目、22…折目の間、23…吊下げ孔、24…面ファスナー、25…天辺、26…係止孔、27…筋状の凸部、28…筋状の凹部、
30…第2の壁板、31…面ファスナー、32…天辺、
40…添着部材、41…竿体、42…面ファスナー、43…シート体、44…添着部材、45…平板、46…添着部材、47…竿体、
50…紐、51…係止具、
60…竿体、61…面ファスナー、62…シート体、
70…空気管、71…下部気体袋、72…気体流通管、73…断熱部材、
80…上部気体袋、81…下部気体袋、82…気体流通手段、83…断熱部材、84…連通管
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】削除
【補正の内容】
【国際調査報告】