(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年9月8日
【発行日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20181109BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
H01L21/68 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
【出願番号】特願2018-502587(P2018-502587)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年1月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-41532(P2016-41532)
(32)【優先日】2016年3月3日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 高志
【テーマコード(参考)】
3F022
5F131
【Fターム(参考)】
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5F131KB06
5F131KB22
5F131KB32
5F131KB58
(57)【要約】
搬送システム100は、複数の第1レール9と、複数の第2レール11と、を有し、複数の第1レール9と複数の第2レール11とが同一面上に格子状に配置された走行レール4と、走行レール4上を第1方向及び第2方向に走行可能な走行部24と、キャリア50を保持する保持部46A及び保持部46Aを昇降させる昇降部45を含む移載部26と、を有する複数の台車8と、を備え、走行レール4は、所定の工程の処理を実施する第1の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部26が配置される第1の停止位置に台車8が乗り入れ自在であり、且つ、第1の停止位置から所定の工程とは異なる工程の処理を実施する第2の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部26が配置される第2の停止位置へ台車8が乗り入れ自在に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容するキャリアを、前記基板の処理を行う複数の処理装置それぞれにおける移載ポート相互間で搬送する搬送システムであって、
第1方向に直線状に延在する複数の第1レールと、前記第1方向に直交する第2方向に延在する複数の第2レールと、を有し、複数の前記第1レールと複数の前記第2レールとが同一面上に格子状に配置された走行レールと、
前記走行レールを前記第1方向及び前記第2方向に走行可能な走行部と、前記キャリアを保持する保持部及び前記保持部を昇降させる昇降部を含む移載部と、を有する複数の台車と、を備え、
前記走行レールは、所定の工程の処理を実施する第1の処理装置群における各前記移載ポートの直上に前記移載部が配置される第1の停止位置に前記台車が乗り入れ自在であり、且つ、前記第1の停止位置から前記所定の工程とは異なる工程の処理を実施する第2の処理装置群における各前記移載ポートの直上に前記移載部が配置される第2の停止位置へ前記台車が乗り入れ自在に配置されている、搬送システム。
【請求項2】
複数の前記移載ポートは、前記第1の処理装置群及び前記第2の処理装置群のそれぞれにおいて、前記第1方向又は前記第2方向に沿って互いに隣接して配置されており、
前記走行レールは、前記第1の処理装置群及び前記第2の処理装置群において配列方向が平行となるように設けられた複数の前記移載ポートの直上に前記移載部が配置される前記第1の停止位置から前記第2の停止位置へ前記台車が乗り入れ自在に配置されている、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記走行レールは、前記第1の処理装置群と前記第2の処理装置群とにおいて互いに対向して配置された複数の前記移載ポートの直上に前記移載部が配置される前記第1の停止位置から前記第2の停止位置へ前記台車が乗り入れ自在に配置されている、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
複数の前記移載ポートの配列方向が平行となるように設けられた前記第1の処理装置群及び前記第2の処理装置群を複数備え、
前記走行レールは、一の前記第1の処理装置群及び前記第2の処理装置群の前記移載ポートの直上に前記移載部が配置される前記第1の停止位置に前記台車が乗り入れ自在であり、且つ、前記第1の停止位置から他の前記第1の処理装置群及び前記第2の処理装置群の前記移載ポートの直上に前記移載部が配置される前記第2の停止位置に前記台車が乗り入れ自在に配置されている、請求項2又は3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記第1の処理装置群及び前記第2の処理装置群のそれぞれは、前記第1方向に沿って配置された複数の前記移載ポートと、前記第2方向に沿って配置された複数の前記移載ポートとを有し、
前記第1の処理装置群及び前記第2の処理装置群のそれぞれにおいて、前記第1方向又は前記第2方向に沿って配置された複数の前記移載ポートは、互いに一直線上には配置されておらず且つ前記第1方向又は前記第2方向にずれた位置に配置されたものを含み、
前記走行レールは、前記第1の処理装置群における各前記移載ポートの直上に前記移載部が配置される前記第1の停止位置に前記台車が乗り入れ自在であり、且つ、前記第1の停止位置から前記第2の処理装置群における各前記移載ポートの直上に前記移載部が配置される前記第2の停止位置へ前記台車が乗り入れ自在に配置されている、請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記台車は、前記移載部が前記走行レールよりも上側に位置した状態で前記走行レール上を走行し、
前記走行レールは、平面視において前記移載ポートを含む領域が開口部とされており、
前記台車は、前記開口部を介して前記移載部により前記移載ポートに対して前記キャリアの移載を行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記キャリアを保管する保管部を備え、
前記走行レールは、前記保管部の直上に前記移載部が配置される停止位置へ前記台車が乗り入れ自在となるように配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記走行レールは、複数の前記第1レールと複数の前記第2レールとが、それぞれ前記キャリアが鉛直方向に通過できる間隔をあけて配置されており、
前記保管部は、前記第1レールと前記第2レールとにより区画される空間の直下に設けられており、
前記台車は、前記空間を介して前記移載部により前記保管部に対して前記キャリアの移載を行う、請求項7に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記開口部は、1つの処理装置に設けられる複数の前記移載ポートを含む領域を有している、請求項6に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記移載部は、前記昇降部を前記第1方向及び前記第2方向に沿った平面に平行な方向において進退可能な移動部を有し、
前記台車は、前記開口部を形成する前記第1レール及び前記第2レールの少なくとも一方の上で停止し、前記移動部を進出させることにより、前記開口部を介して前記移載ポートに前記キャリアを移載する、請求項6に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記走行レールは、前記移載ポートの直上で前記台車が停止できるように配置されており、
前記台車は、前記移載ポートの直上で停止し、前記開口部を介して前記キャリアを前記移載ポートに移載する、請求項6に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記台車は、前記移載部が前記走行レールよりも下側に位置した状態で前記走行レールを走行する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記走行レールには、前記移載ポートに対する前記台車の停止位置に被検出体が設けられており、
前記台車は、前記被検出体を検出する検出部を備え、
前記走行部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記停止位置において前記台車を停止させる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の搬送システムとして、例えば、特許文献1に記載のシステムが知られている。特許文献1に記載の搬送システムは、処理装置のロードポートの上部を通過する第1の軌道と、第1の軌道に沿って走行し且つホイストを備える天井走行車と、第1の軌道の下方で、ロードポートの上方を通過し、且つ第1の軌道と平行に配置された第2の軌道と、第2の軌道の下方で、ロードポートよりも高い位置に、ロードポートの直上部をキャリアが鉛直方向に通過自在に設けられた、キャリアを置くためのバッファと、バッファ及びロードポートとの間でキャリアを受け渡しするホイストを備え、且つ第2の軌道に沿って走行するローカル台車と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−111635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術において、第1の軌道は工程間に設けられ、天井走行車により工程間でのキャリアの搬送を行うのが一般的であった。しかし、前記軌道において、天井走行車が取り得る走行経路は限られており、他の天井走行車が走行経路を塞ぐ等して後続の天井走行車の走行を妨げ、工程間での搬送効率が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明の一側面は、工程間でのキャリアの搬送効率の向上を図れる搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る搬送システムは、基板を収容するキャリアを、基板の処理を行う複数の処理装置それぞれにおける移載ポート相互間で搬送する搬送システムであって、第1方向に直線状に延在する複数の第1レールと、第1方向に直交する第2方向に延在する複数の第2レールと、を有し、複数の第1レールと複数の第2レールとが同一面上に格子状に配置された走行レールと、走行レールを第1方向及び第2方向に走行可能な走行部と、キャリアを保持する保持部及び保持部を昇降させる昇降部を含む移載部と、を有する複数の台車と、を備え、走行レールは、所定の工程の処理を実施する第1の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部が配置される第1の停止位置に前記台車が乗り入れ自在であり、且つ、第1の停止位置から所定の工程とは異なる工程の処理を実施する第2の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部が配置される第2の停止位置へ台車が乗り入れ自在に配置されている。
【0007】
本発明の一側面に係る搬送システでは、走行レールは、所定の工程の処理を実施する第1の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部が配置される停止位置に台車が乗り入れ自在であり、且つ、所定の工程とは異なる工程の処理を実施する第2の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部が配置される停止位置へ台車が乗り入れ自在に配置されている。これにより、搬送システムでは、第1の処理装置群の移載ポートと第2の処理装置群の移載ポートとの間において台車でキャリアを搬送する場合、第1方向及び第2方向の組み合せにより複数の走行経路を取り得るため、停止して移載動作を行っている進行方向前方の他の台車を追い越していく走行経路を選択してキャリアを搬送できる。したがって、搬送システムでは、工程間でのキャリアの搬送効率の向上を図れる。
【0008】
一実施形態においては、複数の移載ポートは、第1の処理装置群及び第2の処理装置群のそれぞれにおいて、第1方向又は第2方向に沿って互いに隣接して配置されており、走行レールは、第1の処理装置群及び第2の処理装置群において配列方向が平行となるように設けられた複数の移載ポートの直上に移載部が配置される第1の停止位置から第2の停止位置へ台車が乗り入れ自在に配置されていてもよい。この構成では、第1の処理装置群と第2の処理装置群との間のキャリアの搬送効率を向上させることができる。
【0009】
一実施形態においては、走行レールは、第1の処理装置群と第2の処理装置群とにおいて互いに対向して配置された複数の移載ポートの直上に移載部が配置される第1の停止位置から第2の停止位置へ台車が乗り入れ自在に配置されていてもよい。この構成では、第1の処理装置群と第2の処理装置群との間のキャリアの搬送効率をより一層向上させることができる。
【0010】
一実施形態においては、複数の移載ポートの配列方向が平行となるように設けられた第1の処理装置群及び第2の処理装置群を複数備え、走行レールは、一の第1の処理装置群及び第2の処理装置群の移載ポートの直上に移載部が配置される第1の停止位置に台車が乗り入れ自在であり、且つ、第1の停止位置から他の第1の処理装置群及び第2の処理装置群の移載ポートの直上に移載部が配置される第2の停止位置に台車が乗り入れ自在に配置されていてもよい。この構成では、第1の処理装置群及び第2の処理装置群で構成される群同士のキャリアの搬送効率をより一層向上させることができる。
【0011】
一実施形態においては、第1の処理装置群及び第2の処理装置群のそれぞれは、第1方向に沿って配置された複数の移載ポートと、第2方向に沿って配置された複数の移載ポートとを有し、第1の処理装置群及び第2の処理装置群のそれぞれにおいて、第1方向又は第2方向に沿って配置された複数の移載ポートは、互いに一直線上には配置されておらず且つ第1方向又は第2方向にずれた位置に配置されたものを含み、走行レールは、第1の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部が配置される第1の停止位置に台車が乗り入れ自在であり、且つ、第1の停止位置から第2の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部が配置される第2の停止位置へ台車が乗り入れ自在に配置されてもよい。この構成では、移載ポートの配置の自由度、ひいては処理装置の配置の自由度を高めることができる。
【0012】
一実施形態においては、台車は、移載部が走行レールよりも上側に位置した状態で走行レール上を走行し、走行レールは、平面視において移載ポートを含む領域が開口部とされており、台車は、開口部を介して移載部により移載ポートに対してキャリアの移載を行ってもよい。これにより、移載部が走行レールよりも上側に位置した状態で走行レール上を走行する台車の構成において、平面視における移載ポートの周囲に走行レールを設けても、台車が移載ポートに対してキャリアを移載することができる。
【0013】
一実施形態においては、キャリアを保管する保管部を備え、走行レールは、保管部の直上に移載部が配置される停止位置へ台車が乗り入れ自在となるように配置されていてもよい。この構成では、走行レールを走行する台車によりキャリアを移載ポートへ搬送できる位置にキャリアを一時保管できる。
【0014】
一実施形態においては、走行レールは、複数の第1レールと複数の第2レールとが、それぞれキャリアが鉛直方向に通過できる間隔をあけて配置されており、保管部は、第1レールと第2レールとにより区画される空間の直下に設けられており、台車は、空間を介して移載部により保管部に対してキャリアの移載を行ってもよい。この構成では、移載部が走行レールよりも上側に位置した状態で走行レール上を走行する台車の構成において、台車の走行を妨げない位置に多くのキャリアを保管できる。
【0015】
一実施形態においては、開口部は、1つの処理装置に設けられる複数の移載ポートを含む領域を有していてもよい。この構成では、平面視における走行レールと移載ポートとの相対位置の自由度を確保できる。
【0016】
一実施形態においては、移載部は、昇降部を第1方向及び前記第2方向に沿った平面に平行な方向において進退可能な移動部を有し、台車は、開口部を形成する第1レール及び第2レールの少なくとも一方の上で停止し、移動部を進出させることにより、開口部を介して移載ポートにキャリアを移載してもよい。この構成では、開口部の領域を広くすることが可能となる。したがって、平面視における走行レールと移載ポートとの相対位置の自由度を確保できる。
【0017】
一実施形態においては、走行レールは、移載ポートの直上で台車が停止できるように配置されており、台車は、移載ポートの直上で停止し、開口部を介してキャリアを移載ポートに移載してもよい。この構成では、移載ポートに対してキャリアを迅速に移載することができる。
【0018】
一実施形態においては、台車は、移載部が走行レールよりも下側に位置した状態で走行レールを走行してもよい。この構成では、走行レールに開口部を設けなくとも、移載ポートにキャリアを移載できる。
【0019】
一実施形態においては、走行レールには、移載ポートに対する台車の停止位置に被検出体が設けられており、台車は、被検出体を検出する検出部を備え、走行部は、検出部による検出結果に基づいて、停止位置において台車を停止させてもよい。この構成では、台車を、移載ポートに対する停止位置において精度良く停止させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によれば、工程間でのキャリアの搬送効率の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る搬送システムの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す搬送システムの一部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す搬送システムの走行レールの下方に設けられた処理装置を示す図である。
【
図7】
図7は、台車の移載部がスライドフォークを伸長した状態を示す図である。
【
図8】
図8は、バーコードが設けられた走行レールを示す図である。
【
図10】
図10は、ロードポートの直上に移載部が配置される停止位置に台車が位置している図である。
【
図14】
図14は、他の実施形態に係る搬送システムの走行レールを示す図である。
【
図15】
図15は、他の実施形態に係る搬送システムの台車を示す図である。
【
図16】
図16は、他の実施形態に係る搬送システムの台車を示す図である。
【
図17】
図17は、他の実施形態に係る搬送システムの走行レールを示す図である。
【
図18】
図18は、他の実施形態に係る搬送システムの走行レールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
図1に示される搬送システム100は、例えば、複数の処理装置を備える半導体製造工場のクリーンルーム内で、複数の半導体ウェハ等の基板が収容されたカセットを搬送するためのシステムである。カセットは、半導体ウェハ用の搬送及び保管等を目的としたキャリアであり、FOUP(Front Opening Unified Pod)、FOSB(Front Opening Shipping Box)、SmifPod等である。本実施形態では、FOUP50を搬送する搬送システムを一例に説明する。FOUP50は、本体部51と、本体部51の開口部に取り付けられる蓋52と、本体部51の上部に設けられたフランジ部53と、を備えている。搬送システム100は、FOUP50を一時的に保管する一時保管システムとしての機能も有している。
【0024】
図1又は
図2に示されるように、搬送システム100は、走行レール4と、走行レール4を走行する複数の台車8と、軌道Rと、軌道Rを走行する天井搬送車Vと、を備えている。軌道Rは、クリーンルームの天井付近に敷設されている。軌道Rは、搬送システム100と他の搬送システムとに亘って設けられている。軌道Rの一部は、走行レール4の上方に配置されている。すなわち、天井搬送車Vは、走行レール4の上方を走行する。天井搬送車Vは、FOUP50の搬送元と搬送先とが何れも軌道Rの直下にある場合には、走行レール4を走行する台車8よりも速やかにFOUP50を搬送できるため、かかる条件において、台車8よりも速やかに搬送したいFOUP50の搬送に用いられる。なお、軌道Rは、走行レール4と同じ高さ、或いは走行レール4よりも下方に設けられていてもよい。
【0025】
天井搬送車Vは、OHT(Over Head Transfer)である。天井搬送車Vは、走行レール4に設けられたセルバッファ22(後述)に対してFOUP50を搬送すると共に、セルバッファ22からFOUP50をピックアップして他の搬送システムにFOUP50を搬送する。
【0026】
図1に示されるように、走行レール4の下方には、処理装置が設けられている。具体的には、走行レール4の下方には、
図3に示されるように、第1処理装置M1を複数有する第1処理装置群G1と、第2処理装置M2を複数有する第2処理装置群G2と、第3処理装置M3を複数有する第3処理装置群G3と、第4処理装置M4を複数備える第4処理装置群G4と、第5処理装置M5を複数有する第5処理装置群G5と、第6処理装置M6を複数有する第6処理装置群G6と、第7処理装置M7を複数有する第7処理装置群G7と、第8処理装置M8を複数有する第8処理装置群G8と、第9処理装置M9を複数有する第9処理装置群G9と、が設けられている。第1〜第9処理装置群G1〜G9は、それぞれ半導体の製造に係る各工程(製造プロセス)の処理を行うものである。第1〜第9処理装置群G1〜G9は、例えば、半導体ウェハへの成膜、半導体ウェハの洗浄等を行う。半導体の製造に係る処理は、1つの処理装置群では完結せず、1つの処理装置群で処理が行われた後、他の処理装置群で行われる。
【0027】
第1処理装置群G1と第2処理装置群G2とは、Y方向において隣接して配置されている。第1処理装置群G1と第3処理装置群G3とは、Y方向において隣接して配置されている。第1処理装置群G1と第4処理装置群G4とは、X方向において隣接して配置されている。第4処理装置群G4と第5処理装置群G5とは、Y方向において隣接して配置されている。第3処理装置群G3と第5処理装置群G5とは、X方向において隣接して配置されている。第4処理装置群G4と第7処理装置群G7とは、Y方向において隣接して配置されている。第4処理装置群G4と第6処理装置群G6とは、X方向において隣接して配置されている。第6処理装置群G6と第7処理装置群G7とは、Y方向において隣接して配置されている。第6処理装置群G6と第8処理装置群G8とは、X方向において隣接して配置されている。第8処理装置群G8と第9処理装置群G9とは、Y方向において隣接して配置されている。第7処理装置群G7と第9処理装置群G9とは、X方向において隣接して配置されている。
【0028】
第1〜第9処理装置M1〜M9は、半導体ウェハに対して異なる処理を実施する装置である。すなわち、第1〜第9処理装置群G1〜G9のそれぞれは、互いに異なる工程の処理を実施する。第1〜第9処理装置M1〜M9の数は、設計に応じて適宜設定されればよい。
【0029】
第1処理装置M1は、FOUP50内の半導体ウェハを第1処理装置M1に出し入れするインターフェースである第1ロードポート(移載ポート)(以下、単に「ロードポート」と称する)P1を有する。第1処理装置M1には、例えば、第1ロードポートP1が3個設けられている。第2処理装置M2は、第2ロードポートP2を有する。第3処理装置M3は、第3ロードポートP3を有する。第4処理装置M4は、第4ロードポートP4を有する。第5処理装置M5は、第5ロードポートP5を有する。第6処理装置M6は、第6ロードポートP6を有する。第7処理装置M7は第7ロードポートP7を有する。第8処理装置M8は、第8ロードポートP8を有する。第9処理装置M9は、第9ロードポートP9を有する。第1〜第9処理装置M1〜M9における第1〜第9ロードポートP1〜P9の数は、適宜設定されればよい。
【0030】
第1処理装置群G1では、第1処理装置M1がY方向において所定の間隔をあけて配置されている。第1ロードポートP1のそれぞれは、Y方向に沿って配置されている。同様に、第2〜第9処理装置群G2〜G9のそれぞれでは、第2〜第9処理装置M2〜M9がY方向に所定の間隔をあけて配置されている。第2〜第9ロードポートP2〜P9のそれぞれは、Y方向に沿って配置されている。
【0031】
第1処理装置群G1の第1処理装置M1と第4処理装置群G4の第4処理装置M4とは、第1ロードポートP1と第4ロードポートP4とが対向するように配置されている。第1ロードポートP1と第4ロードポートP4との間には、通路A1が設けられている。通路A1は、例えば、作業者が歩行可能な幅を有する。第2処理装置群G2と第3処理装置群G3との間には、通路A2が設けられている。第3処理装置群G3と第5処理装置群G5との間には、通路A3が設けられている。第6処理装置群G6と第8処理装置群G8との間には、通路A4が設けられている。第7処理装置群G7と第9処理装置群G9との間には、通路A5が設けられている。
【0032】
図1及び
図2に示されるように、走行レール4は、平面視において格子状に設けられている。走行レール4は、例えば、クリーンルームの天井に支柱(図示省略)により支持されている。
図4に示されるように、走行レール4は、複数の第1レール9と、複数の第2レール11と、により構成されている。
【0033】
第1レール9は、X方向(第1方向)に直線状に延在している。第1レール9には、ガイド10が設けられている。ガイド10は、溝であり、第1レール9の延在方向に沿って設けられている。第2レール11は、第1レール9が延在するX方向に直交するY方向(第2方向)に直線状に延在している。第2レール11には、ガイド12が設けられている。ガイド12は、溝であり、第2レール11の延在方向に沿って設けられている。第1レール9のガイド10と第2レール11のガイド12とが交差する部分には、クロスポイント14が設けられている。
【0034】
図5に示されるように、走行レール4の下方で且つ第1〜第9処理装置M1〜M9の上方には、バッファ6が設けられている。バッファ6は、FOUP50が載置される棚であり、FOUP50を収容する。バッファ6は、支持部材20により走行レール4に支持されている。バッファ6は、複数のセルバッファ(保管部)22により構成されている。セルバッファ22は、走行レール4において第1レール9及び第2レール11により区画される矩形状のセル(空間)16毎に設定されている。セルバッファ22のそれぞれは、1個のFOUP50を保管する。セルバッファ22では、セル16を介してFOUP50が移載される。すなわち、FOUP50は、セル16を鉛直方向において通過してセルバッファ22に移載される。
図5に示されるように、バッファ6は、そのバッファ6上に載置されたFOUP50の一部が、側面視において走行レール4と重なる位置に設けられている。
【0035】
図2及び
図5に示されるように、走行レール4上には、台車8が設けられている。台車8は、走行レール4上に複数設けられている。台車8は、走行部24と、移載部26と、を備えている。また、台車8は、走行部24及び移載部26の動作を制御する制御部、上位コントローラと通信可能な通信部等を更に備えている。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などからなる電子制御ユニットである。台車8は、上位コントローラからの指令により、FOUP50を搬送する。
【0036】
走行部24は、直方体状を呈している。走行部24は、平面視においてセル16と同等の寸法である。
図6に示されるように、走行部24は、複数(本実施形態では4個)の走行ユニット35を有している。各走行ユニット35は、複数(本実施形態では2個)の車輪32a又は車輪32bと、走行モータ34と、上下機構(切替部)30と、をそれぞれ有する。車輪32aは、走行部24において互いに対向する2辺に2個ずつ設けられている。車輪32bは、走行部24において、車輪32aが設けられた辺と直交し、且つ互いに対向する2辺に2個ずつ設けられている。車輪32aは、第1レール9のガイド10にガイドされ、第1レール9における走行面上を走行する。車輪32bは、第2レール11のガイド12にガイドされ、第2レール11における走行面上を走行する。走行モータ34は、車輪32a,32bを駆動させる。上下機構30は、車輪32a,32b及び走行モータ34を上下方向に移動させる。上下機構30は、例えば、パンタグラフ、カム等である。
【0037】
走行部24は、上下機構30による車輪32a,32bの上下方向の移動により、車輪32a又は車輪32bが第1レール9のガイド10又は第2レール11のガイド12に接触し、第1レール9又は第2レール11に沿って走行する。すなわち、上下機構30は、車輪32又は車輪32bを上下方向に移動させることにより、車輪32aが第1レール9に沿って走行する第1走行状態と、車輪32bが第2レール11に沿って走行する第2走行状態とに走行状態を切り替える。
【0038】
走行部24は、センサ36と、バーコードリーダ(検出部)38と、を有する。センサ36は、走行部24の四隅において底面に配置されている。センサ36は、走行レール4のクロスポイント14を検出する。走行部24は、センサ36によって検出されたクロスポイント14に基づいて、走行部24の中心が走行レール4のセル16の中心に位置するように停止する。
【0039】
バーコードリーダ38は、バーコード(被検出体)B(
図8参照)を読み取る。バーコードリーダ38は、各走行ユニット35にそれぞれ設けられ、走行部24の底面に配置されている。
図8に示されるように、第1レール9(第2レール11)には、バーコードBが設けられている。詳細には、バーコードBは、第1〜第9処理装置M1〜M9の第1〜第9ロードポートP1〜P9の直上に移載部26が配置可能となる台車8の停止位置に配置されている。走行部24は、バーコードリーダ38によって検出されたバーコードBに基づいて、第1〜第9ロードポートP1〜P9に対する停止位置で停止する。
【0040】
移載部26は、走行部24から張り出している。移載部26は、スライドフォーク(移動部)40と、ターンテーブル44と、昇降装置(昇降部)45と、昇降台46と、ルックダウンセンサ47,48と、を備えている。
【0041】
スライドフォーク40は、走行部24に支持される支持体26Aに支持されている。スライドフォーク40は、ベース部41と、ミドル部42と、トップ部43と、を有する。ベース部41は、移載部26の支持体26Aに設けられている。スライドフォーク40は、昇降装置45を、X方向及びY方向に沿った平面に平行な方向において進退させる。
図7に示されるように、トップ部43は、ベース部41に対し、例えばセル16の一辺に相当するストロークで、移載部26の両側に進出する。
【0042】
ターンテーブル44は、トップ部43の下部に設けられている。ターンテーブル44は、当該ターンテーブル44の下部に設けられている昇降装置45を回転させる。ターンテーブル44は、例えば、180°回転可能に設けられている。昇降装置45は、ベルト、ロープ、ワイヤ等により昇降台46を昇降させる。昇降台46は、FOUP50のフランジ部53を保持(把持)するグリッパ(保持部)46Aを有する。
【0043】
ルックダウンセンサ47,48は、昇降台46を昇降させるときに、昇降台46の周囲の物体を検出する。ルックダウンセンサ47,48は、
図6に示されるように、トップ部43において、昇降装置45を挟む位置に配置されている。具体的は、ルックダウンセンサ47,48は、昇降台46にFOUP50が保持された状態でFOUP50が物体の検出の妨げとならない位置に配置されている。移載部26は、セルバッファ22におけるFOUP50の有無を検出するセンサ、FOUP50に設けられたID等を読み込むIDリーダ等を更に備えていてもよい。また、移載部26は、天井搬送車Vとの接触を回避するために、台車8の周囲の物体(障害物)を検出するセンサを更に備えていてもよい。
【0044】
台車8は、カウンターウェイト49を有している。カウンターウェイト49は、走行部24に設けられている。カウンターウェイト49は、移載部26から車輪32に加わる力のモーメントを相殺する機能を有する。カウンターウェイト49は、台車8の重心を、複数の車輪32で囲まれる範囲内に維持する。
【0045】
続いて、走行レール4について、更に詳細に説明する。
図1に示されるように、走行レール4は、第1〜第9処理装置群G1〜G9上に設けられている。走行レール4は、複数の処理装置群に亘って第1〜第9処理装置群G1〜G9が設けられているエリアの全面に配置されている。具体的な一例としては、格子状の走行レール4は、例えば、第1処理装置群G1と第4処理装置群G4との間に亘って設けられている。すなわち、走行レール4は、第1処理装置群G1と第4処理装置群G4との間に設けられた通路A1上にも設けられている。
【0046】
図9に示されるように、走行レール4には、開口部Kが設けられている。
図9に示す例では、開口部Kは、第1処理装置M1の第1ロードポートP1の直上(鉛直上方)に設けられている。開口部Kは、第1レール9と第2レール11とにより区画された領域である。開口部Kにより、第1ロードポートP1の上方は、開放された空間となっている。つまり、開口部Kの領域の下方には、バッファ6が設けられていない。開口部Kは、複数(ここでは3個)の第1ロードポートP1を含む領域に設定されている。開口部Kの長手方向(Y方向)の寸法は、同方向における第1ロードポートP1の一方の端部から他方の端部までの寸法よりも大きい。開口部Kは、第1〜第9処理装置M1〜M9の第1〜第9ロードポートP1〜P9の上方に設けられている。
【0047】
走行レール4は、台車8が第1〜第9ロードポートP1〜P9の直上に移載部26が配置される停止位置に乗り入れ自在に配置されている。具体的には、走行レール4は、所定の工程の処理を実施する一の処理装置群(第1の処理装置群)における各ロードポートの直上に移載部26が配置される第1の停止位置に台車8が乗り入れ自在であり、且つ、第1の停止位置から所定の工程とは異なる工程の処理を実施する他の処理装置群(第2の処理装置群)における各ロードポートの直上に移載部26が配置される第2の停止位置へ台車8が乗り入れ自在に配置されている。
図10に示されるように、台車8は、例えば、第1ロードポートP1にFOUP50を移載する場合には、第1ロードポートP19の直上に移載部26が位置する停止位置に停止し、開口部Kを介して昇降台46を昇降させる。
【0048】
台車8の動作について、
図11〜
図13を参照して説明する。
図11〜
図13では、開口部Kの領域内においてロードポート(第1ロードポートP1、第4ロードポートP4)が中央よりやや第2レール11に寄っており、台車8が第1ロードポートP1に対して図面向って左側に停止した状態で、第4ロードポートP4に対して図面向って右側に停止した状態で、それぞれスライドフォーク40により移載部26を第1ロードポートP1、第4ロードポートP4の直上へ移動させてFOUP50の移載を行う態様について説明する。
【0049】
最初に、
図11に示されるように、例えば、第1処理装置群G1の第1処理装置M1の第1ロードポートP1から、第4処理装置群G4の第4処理装置M4の第4ロードポートP4にFOUP50を搬送する場合について説明する。
図11に示されるように、台車8は、第1ロードポートP1の直上に移載部26が配置される第1の停止位置に停止し、FOUP50をピックアップする。FOUP50をピックアップすると、台車8は、Y方向に沿って図示下側の「1」で示す位置まで移動し、その後、X方向に沿って図示右側の「2」まで位置まで移動する。続いて、台車8は、「2」で示す位置から、第4ロードポートP4の直上に移載部26が配置される第2の停止位置まで移動して停止し、第4ロードポートP4にFOUP50を移載する。以上のように、台車8は、第1ロードポートP1から第4ロードポートP4まで、最短の走行経路でFOUP50を搬送する。
【0050】
続いて、
図12に示されるように、例えば、第1処理装置群G1の第1処理装置M1の第1ロードポートP1から、第4処理装置群G4の第4処理装置M4の第4ロードポートP4にFOUP50を搬送する場合において、走行レール4上に他の台車8が例えばセルバッファ22に対するFOUP50の移載のために停止している場合について説明する。
図12に示されるように、台車8は、第1ロードポートP1の直上に移載部26が配置される第1の停止位置に停止し、FOUP50をピックアップする。FOUP50をピックアップすると、台車8は、Y方向に沿って図示下側の「1」で示す位置まで移動し、その後、X方向に沿って図示右側の「2」まで位置まで移動する。次に、台車8は、Y方向に沿って図示上側の「3」で示す位置まで移動し、その後、X方向に沿って図示右側の「4」で示す位置まで移動する。次に、台車8は、Y方向に沿って図示下側の「5」で示す位置まで移動し、その後、X方向に沿って図示右側の「6」で示す位置まで移動する。そして、台車8は、「6」で示す位置から、第4ロードポートP4の直上に移載部26が配置される第2の停止位置まで移動して停止し、第4ロードポートP4にFOUP50を移載する。
【0051】
続いて、
図13に示されるように、例えば、第1処理装置群G1の第1処理装置M1の第1ロードポートP1から、第4処理装置群G4の第4処理装置M4の第4ロードポートP4にFOUP50を搬送する場合において、走行レール4上に他の台車8が停止している場合について説明する。
図13に示されるように、台車8は、第1ロードポートP1の直上に移載部26が配置される第1の停止位置に停止し、FOUP50をピックアップする。FOUP50をピックアップすると、台車8は、Y方向に沿って図示下側の「1」で示す位置まで第1処理装置M1上を通過して移動し、その後、X方向に沿って図示右側の「2」まで位置まで移動する。続いて、台車8は、「2」で示す位置から、第4ロードポートP4の直上に移載部26が配置される第2の停止位置まで移動して停止し、第4ロードポートP4にFOUP50を移載する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送システム100では、走行レール4は、所定の工程の処理を実施する第1の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部26が配置される停止位置に台車8が乗り入れ自在であり、且つ、所定の工程とは異なる工程の処理を実施する第2の処理装置群における各移載ポートの直上に移載部26が配置される停止位置へ台車8が乗り入れ自在に配置されている。これにより、搬送システム100では、第1の処理装置群の移載ポートと第2の処理装置群の移載ポートとの間においてFOUP50を台車8で搬送する場合、X方向及びY方向の組み合せにより複数の走行経路を取り得るため、停止して移載動作を行っている進行方向前方の他の台車8を追い越していく走行経路を選択してキャリアを搬送できる。したがって、搬送システム100では、工程間でのFOUP50の搬送効率の向上を図れる。
【0053】
本実施形態に係る搬送システム100では、第1〜第9処理装置群G1〜G9のそれぞれは、互いに異なる処理を実施する第1〜第9処理装置M1〜M9を備える。この構成において、搬送システム100では、異なる種類の処理装置間を台車8がFOUP50を搬送する際、X方向及びY方向の組み合せにより複数の走行経路を取り得るため、停止して移載動作を行っている進行方向前方の他の台車8を追い越していく走行経路を選択してFOUP50を搬送できる。したがって、搬送システム100では、工程間でのFOUP50の搬送効率の向上を図れる。
【0054】
本実施形態に係る搬送システム100では、第1〜第9処理装置M1〜M9の第1〜第9ロードポートP1〜P9は、第1〜第9処理装置群G1〜G9において、Y方向に沿って互いに隣接して配置されている。走行レール4は、第1〜第9処理装置群G1〜G9において配列方向が平行となるように設けられた第1〜第9ロードポートP1〜P9の直上に移載部26が配置される第1の停止位置又は第2の停止位置へ台車8が乗り入れ自在に配置されている。この構成では、第1〜第9処理装置群G1〜G9の間のFOUP50の搬送効率を向上させることができる。
【0055】
本実施形態に係る搬送システム100では、台車8は、移載部26が走行レール4よりも上側に位置した状態で走行レール上を走行する。走行レール4は、平面視において第1〜第9ロードポートP1〜P9を含む領域が開口部Kとされている。台車8は、開口部Kを介して移載部26により第1〜第9ロードポートP1〜P9に対してFOUP50の移載を行う。これにより、移載部26が走行レール4よりも上側に位置した状態で走行レール4上を走行する台車8の構成において、平面視における第1〜第9ロードポートP1〜P9の周囲に走行レール4を設けても、台車8が第1〜第9ロードポートP1〜P9に対してFOUP50を移載することができる。
【0056】
本実施形態に係る搬送システム100では、走行レール4は、複数の第1レール9と複数の第2レール11とが、それぞれFOUP50が鉛直方向に通過できる間隔をあけて配置されている。セルバッファ22は、第1レール9と第2レール11とにより区画されるセル16の直下に設けられている。台車8は、セル16を介して移載部26によりセルバッファ22に対してFOUP50の移載を行う。この構成では、移載部26が走行レール4よりも上側に位置した状態で走行レール4上を走行する台車8の構成において、台車8の走行を妨げない位置に多くのFOUP50を保管できる。
【0057】
本実施形態に係る搬送システム100では、セルバッファ22は、第1〜第9ロードポートP1〜P9よりも上方に設けられている。これにより、台車8がセルバッファ22においてFOUP50を移載する時間の短縮を図ることができる。その結果、FOUP50の搬送効率の向上をより一層図れる。また、搬送システム100において床上のスペースを専有することなくFOUP50の保管量を増やすことができる。
【0058】
本実施形態に係る搬送システム100では、第1〜第9ロードポートP1〜P9は、第1〜第9処理装置M1〜M9に設けられており、開口部Kは、第1〜第9処理装置M1〜M9に設けられる複数の第1〜第9ロードポートP1〜P9を含む領域を有している。この構成では、平面視における走行レール4と第1〜第9ロードポートP1〜P9との相対位置の自由度を確保できる。
【0059】
本実施形態に係る搬送システム100では、台車8の移載部26は、昇降装置45をX方向及びY方向に沿った平面に平行な方向において進退可能なスライドフォーク40を有する。台車8は、開口部Kを形成する第1レール9及び第2レール11の少なくとも一方の上で停止し、スライドフォーク40を進出させることにより、開口部Kを介して第1〜第9ロードポートP1〜P9にFOUP50を移載する。この構成では、開口部Kの領域を広くすることが可能となる。したがって、平面視における走行レール4と第1〜第9ロードポートP1〜P9との相対位置の自由度をより一層確保できる。
【0060】
本実施形態に係る搬送システム100では、走行レール4には、第1〜第9ロードポートP1〜P9に対する台車8の停止位置にバーコードBが設けられている。台車8は、バーコードBを検出するバーコードリーダ38を備える。台車8の走行部24は、バーコードリーダ38による検出結果に基づいて、停止位置において台車8を停止させる。この構成では、台車8を第1〜第9ロードポートP1〜P9に対する停止位置において精度良く停止させることができる。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0062】
上記実施形態では、軌道R及び天井搬送車Vを備える形態を一例に説明したが、軌道R及び天井搬送車Vは備えていなくてもよい。
【0063】
上記実施形態では、第1〜第9ロードポートP1〜P9が、Y方向に沿って配置されている形態を一例に説明した。しかし、第1〜第9ロードポートP1〜P9の配置形態はこれに限定されない。第1〜第9ロードポートP1〜P9は、設計に応じて適宜設置されればよい。例えば、
図14に示されるように、第1処理装置群G1において、各第1処理装置M1の第1ロードポートP1は、Y方向又はX方向に沿ってそれぞれ配置されている。第1ロードポートP1は、その配列方向が一直線上には設けられておらず、Y方向又はX方向にずれて配置されている。同様に、第2処理装置群G2において、各第2処理装置M2の第2ロードポートP2は、Y方向又はX方向に沿ってそれぞれ配置されている。第2ロードポートP2は、その配列方向が一直線上には設けられておらず、Y方向又はX方向にずれて配置されている。この構成であっても、搬送システム100では、走行レール4におけるX方向及びY方向の組み合わせにより台車8が複数の走行経路を取り得るため、非平行に設けられた複数のロードポート相互間で効率的にFOUP50を搬送できる。また、この構成では、第1〜第9ロードポートP1〜P9の配置の自由度、ひいては第1〜第9処理装置M1〜M9の配置の自由度を高めることができる。
【0064】
上記実施形態では、バッファ6が、そのバッファ6上に載置されたFOUP50の一部が、側面視において走行レール4と重なる位置に設けられている形態を一例に説明した。しかし、バッファ6(セルバッファ22)は、走行レール4と同じ高さ、或いは走行レール4よりも上方にFOUP50の載置面を備えていてもよい。
【0065】
上記実施形態では、走行レール4に設けられたバーコードBをバーコードリーダ38で読み取る形態を一例に説明した。しかし、走行レール4に設けられる被検出体は、例えば、磁気マーク、光学マーク、リニアスケール等であってもよい。検出部は、これらの被検出体を検出できるものであればよい。
【0066】
上記実施形態では、セルバッファ22に1個のFOUP50が収容される形態を一例に説明した。しかし、セルバッファ22には、複数のFOUP50が収容されてもよい。
【0067】
上記実施形態では、台車8の移載部26がスライドフォーク40を備える形態を一例に説明した。しかし、スライドフォーク40に変えてスカラーアーム等の水平方向に進退するアームを備えていてもよい。
【0068】
上記実施形態では、台車8が走行部24及び移載部26を備え、移載部26が走行部24から張り出している形態を一例に説明した。しかし、台車の形態はこれに限定されない。例えば、
図15に示されるように、台車70は、走行部72にスライドフォーク40を備えている。また、台車は、アーム状の移載部が走行部の重心周りに回転する構成であってもよい。この構成では、移載部は、スライドフォークを備えていなくてもよい。
【0069】
また、
図16に示されるように、台車80は、走行部84及び移載部86を有している。台車80は、走行レール4の下方に位置し、走行部84が走行レール4に吊り下げられた状態で走行する形態であってもよい。この構成では、走行レール4に開口部を設けなくとも、第1〜第9ロードポートP1〜P9にFOUP50を移載できる。また、台車は、走行レール4のセル16の直上に停止し、当該セル16を介してFOUP50を移載できる形態であってもよい。すなわち、台車の移載部がスライドフォークを備えていなくてもよい。この構成では、第1〜第9ロードポートP1〜P9に対してFOUP50を移載する際に、移載部を進出させる必要がないため、第1〜第9ロードポートP1〜P9に対してFOUP50を迅速に移載することができる。
【0070】
上記実施形態では、台車8の走行部24が上下機構30を備える形態を一例に説明した。しかし、第1レール9に沿って走行する第1走行状態と、第2レール11に沿って走行する第2走行状態とに走行状態を切り替える切替部の構成はこれに限定されない。切替部は、種々の機構を採用することができる。例えば、切替部は、走行部に対して車輪(走行ユニット)を移動可能とする機構であってもよい。この構成では、車輪を切替部によって移動させることにより、Y方向に沿って走行部が走行する場合には、車輪がY方向に沿うように配置され、X方向に沿って走行部が走行する場合には、車輪がX方向に沿うように配置される。
【0071】
上記実施形態では、走行レール4に設けられた開口部Kの領域内に複数のロードポートが位置する形態を一例に説明した。しかし、
図17に示されるように、開口部Kは、1台の第1ロードポートP1を領域内に含むように設けられていてもよい。この構成では、台車8が、走行レール4の開口部K上に位置して、当該開口部Kを介してFOUP50を移載できる構成であってもよい。この構成では、第1〜第9ロードポートP1〜P9に対してFOUP50をより迅速に移載することができる。
【0072】
上記実施形態では、ガイド10が設けられた第1レール9及びガイド12が設けられた第2レール11から構成される走行レール4を一例に説明した。しかし、走行レールは、例えば、
図18に示される形態であってもよい。
図18に示されるように、走行レール17は、第1レール18及び第2レール19から構成されている。第1レール18には、2本のガイド10,10が設けられている。第2レール19には、2本のガイド12,12が設けられている。ガイド10とガイド12との間、ガイド12とガイド12との間には、分離帯が設けられている。分離体21は、凸状であり、ガイド10とガイド10、ガイド12とガイド12とを分離する。走行レール17を備える搬送システムでは、2台の台車8が、第1レール18又は第2レール19上に同時に位置できる。
【符号の説明】
【0073】
4…走行レール、6…バッファ、8…台車、9…第1レール、11…第2レール、22…セルバッファ(保管部)、24…走行部、26…移載部、38…バーコードリーダ(検出部)、45…昇降装置(昇降部)、46A…グリッパ(保持部)、50…FOUP(キャリア)、100…搬送システム、B…バーコード(被検出体)、P1〜P9…第1〜第9ロードポート。
【国際調査報告】