再表2017-150577IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年9月8日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】マグネシウム二次電池及びマグネシウム二次電池用非水電解液
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0569 20100101AFI20181130BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20181130BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20181130BHJP
【FI】
   H01M10/0569
   H01M10/054
   H01M10/0568
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2018-503355(P2018-503355)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年2月28日
(31)【優先権主張番号】特願2016-38845(P2016-38845)
(32)【優先日】2016年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度 国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(先端的低炭素化技術開発)「次世代蓄電池/新原理に基づく金属負極を有する高性能新電池の創製/ゼロソルベントによる新規電解質の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】松本 一
(72)【発明者】
【氏名】大藪 理恵
(72)【発明者】
【氏名】窪田 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】竹田 和美
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ03
5H029AJ06
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK04
5H029AK05
5H029AK15
5H029AK16
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM02
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ02
(57)【要約】
本発明は、正極と、マグネシウムイオンを放出する負極と、非水電解液を備えたマグネシウム二次電池において、前記非水電解液は、溶媒と下記式(I)
[化1]
Mg[X1−SO2−N−SO2−X2]2 (I)
(式中、X1、X2は同一又は異なって、CpF2p+1を示すか、X1とX2が一緒になってCqF2qを示す。pは0,1,2又は3を示す。qは2,3又は4を示す。)で表されるマグネシウムスルホンアミド塩を含有し、前記溶媒はスルホン系溶媒とエーテルもしくはチオエーテル系溶媒を含む混合溶媒、あるいは、スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒である、マグネシウム二次電池を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、マグネシウムイオンを放出する負極と、非水電解液を備えたマグネシウム二次電池において、前記非水電解液は、溶媒と下記式(I)
【化1】
(式中、X1、X2は同一又は異なって、CpF2p+1を示すか、X1とX2が一緒になってCqF2qを示す。pは0,1,2又は3を示す。qは2,3又は4を示す。)
で表されるマグネシウムスルホンアミド塩を含有し、前記溶媒はスルホン系溶媒とエーテルもしくはチオエーテル系溶媒を含む混合溶媒、あるいは、スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒である、マグネシウム二次電池。
【請求項2】
スルホン系溶媒が下記式(II)
【化2】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって炭素数1〜4のアルキル基である)
で表される、請求項1に記載のマグネシウム二次電池。
【請求項3】
エーテルもしくはチオエーテル系溶媒が下記式(III)
【化3】
(式中、Y1及びY2は、同一又は異なってO又はSを示す。R3及びR4は、同一又は異なってメチル又はエチルである。nは1〜4の整数を示す。)
で表される、請求項1又は2に記載のマグネシウム二次電池。
【請求項4】
スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒が下記式(IV)
【化4】
(式中、R5及びR6は、同一又は異なって両方とも−R7−(O−CH2CH2−)m−OR8−で表される基を示すか、一方が炭素数1〜4のアルキル基であり、他方がR7−(O−CH2CH2−)m−OR8で表される基を示す。mは0〜2の整数を示し、R7はCH2もしくはCH2CH2を示し、R8はメチルもしくはエチルを示す。)
で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池。
【請求項5】
スルホン系溶媒とエーテルもしくはチオエーテル系溶媒を含む混合溶媒、あるいは、スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒中に、下記式(I)
【化5】
(式中、X1、X2は同一又は異なって、CpF2p+1を示すか、X1とX2が一緒になってCqF2qを示す。pは0,1,2又は3を示す。qは2,3又は4を示す。)
で表されるマグネシウムスルホンアミド塩を含有することを特徴とするマグネシウム二次電池用非水電解液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム二次電池及びマグネシウム二次電池用非水電解液
【背景技術】
【0002】
マグネシウム二次電池は高い理論容量密度を持ち、資源量が豊富で、安全性が高いため、リチウム二次電池を超える電池として実用化が期待されている。しかし、二価のマグネシウムイオンは一価のリチウムイオンと比較して、相互作用が強く、固相内で拡散しにくい。
【0003】
特許文献1は、マグネシウムイオンとハロゲン化物と1価のアニオンを含む電解液を開示し、1価のアニオンとしてTFSA-((CF3SO2)2N−)などが例示されている。また、グリニャール試薬(アルキルマグネシウムハロゲン化物)、マグネシウムアルコキシドなどを含む電解液も公知であるが(特許文献2〜3)、このような電解液は耐酸化性が低いために2V以上の高電圧の電池を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8951676号
【特許文献2】特開2014-186940号公報
【特許文献3】特開2015-115233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高電圧電池の作動を可能にするマグネシウム二次電池及びマグネシウム二次電池用非水電解液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のマグネシウム二次電池及びマグネシウム二次電池用非水電解液を提供するものである。
項1. 正極と、マグネシウムイオンを放出する負極と、非水電解液を備えたマグネシウム二次電池において、前記非水電解液は、溶媒と下記式(I)
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、X1、X2は同一又は異なって、CpF2p+1を示すか、X1とX2が一緒になってCqF2qを示す。pは0,1,2又は3を示す。qは2,3又は4を示す。)
で表されるマグネシウムスルホンアミド塩を含有し、前記溶媒はスルホン系溶媒とエーテルもしくはチオエーテル系溶媒を含む混合溶媒、あるいは、スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒である、マグネシウム二次電池。
項2. スルホン系溶媒が下記式(II)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって炭素数1〜4のアルキル基である)
で表される、項1に記載のマグネシウム二次電池。
項3. エーテルもしくはチオエーテル系溶媒が下記式(III)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、Y1及びY2は、同一又は異なってO又はSを示す。R3及びR4は、同一又は異なってメチル又はエチルである。nは1〜4の整数を示す。)
で表される、項1又は2に記載のマグネシウム二次電池。
項4. スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒が下記式(IV)
【0013】
【化4】
【0014】
(式中、R5及びR6は、同一又は異なって両方とも−R7−(O−CH2CH2−)m−OR8−で表される基を示すか、一方が炭素数1〜4のアルキル基であり、他方がR7−(O−CH2CH2−)m−OR8で表される基を示す。mは0〜2の整数を示し、R7はCH2もしくはCH2CH2を示し、R8はメチルもしくはエチルを示す。)
で表される、項1〜3のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池。
項5. スルホン系溶媒とエーテルもしくはチオエーテル系溶媒を含む混合溶媒、あるいは、スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒中に、下記式(I)
【化5】
(式中、X1、X2は同一又は異なって、CpF2p+1を示すか、X1とX2が一緒になってCqF2qを示す。pは0,1,2又は3を示す。qは2,3又は4を示す。)
で表されるマグネシウムスルホンアミド塩を含有することを特徴とするマグネシウム二次電池用非水電解液。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特定の溶媒を含む非水電解液を使用することで、過電圧を下げることができ、高電圧のマグネシウム二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】公知の各種溶媒(DME、G3、GBL、EiPSL、AN)を含む非水電解液を用いたマグネシウム二次電池のサイクリックボルタモグラムの結果。実験は、Arガスを充満したグローブボックスで行った。WE:Pt flag, CE:Mg ribbon, RE:Ag wire, Sample tube
【図2】25℃及び95℃での公知の溶媒(G3、EiPSL)を含む非水電解液を用いたマグネシウム二次電池のサイクリックボルタモグラムの比較。実験は、Arガスを充満したグローブボックスで行った。WE:Pt flag, CE:Mg ribbon, RE:Ag wire, Sample tube
【図3】エチルメチルスルホン:ジグライム=1:1の混合溶媒と0.5M MgTFSA2を含む非水電解液を用いたマグネシウム二次電池のサイクリックボルタモグラム。添加剤・添加塩、ハロゲンフリーでほぼ理論電位でのレドックス
【図4】混合溶媒中での析出・再溶解挙動。Deposition : I = -20 μA (3 min), rest 1 min, Stripping : I = +20 μA (cut off 0.0 V vs Ag QRE), rest 1 min.
【図5】各種の溶媒を含む非水電解液を用いたマグネシウム二次電池のサイクリックボルタモグラム.測定条件 T=25℃, 50 mV/s, WE:Pt, CE:Mg, RE: Ag QRE 0.5 M Mg[TFSA]2 . Glyme: G1,G2,G3,G4 Sulfone: SLxy [(CxH2x+1)(CyH2y+1)SO2]
【図6】V2O5 モデル合剤正極による二極作動(CR2032, AZ31)。セパレータ Whatmann GF/A 200μm, V2O5合剤 (V2O5 : (KB + VGCF) : PI = 90 : (3+2) : 5) , 0.01C、負極:AZ31
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で使用するマグネシウム二次電池の非水電解液は、溶媒に一般式(I)
【0018】
【化6】
【0019】
(式中、X1、X2は同一又は異なって、CpF2p+1を示すか、X1とX2が一緒になってCqF2qを示す。pは0,1,2又は3を示す。qは2,3又は4を示す。)
で表されるマグネシウムスルホンアミド塩を溶解したものである。溶媒として、スルホン系溶媒あるいはエーテルもしくはチオエーテル系溶媒を単独で使用した場合、過電圧が高くなるが、スルホン系溶媒とエーテルもしくはチオエーテル系溶媒を併用した混合溶媒、あるいは、スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒を使用することで過電圧を大きく低下させて、マグネシウム二次電池本来の高電圧の電池を得ることができる。
【0020】
pは、0,1,2又は3、好ましくは0,1又は2、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは1である。
【0021】
qは、2,3又は4、好ましくは2又は3、より好ましくは2である。
【0022】
X1とX2は同一であることが好ましい。
【0023】
スルホン系溶媒としては、下記式(II)
【0024】
【化7】
【0025】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって炭素数1〜4のアルキル基である)
で表される溶媒が挙げられる。
【0026】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどの直鎖又は分岐を有する炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0027】
スルホン系溶媒としては、具体的には、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジ-n-プロピルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジ-n-ブチルスルホン、ジイソブチルスルホン、ジ-sec-ブチルスルホン、ジ-tert-ブチルスルホン、メチルエチルスルホン、メチルn-プロピルスルホン、メチルイソプロピルスルホン、メチルn-ブチルスルホン、メチルイソブチルスルホン、メチルtert-ブチルスルホン、エチルn-プロピルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、エチルn-ブチルスルホン、エチルイソブチルスルホン、エチルtert-ブチルスルホン、n-プロピルn-ブチルスルホン、イソプロピルn-ブチルスルホン、n-プロピルイソブチルスルホン、イソプロピルイソブチルスルホン、n-プロピルtert-ブチルスルホン、イソプロピルtert-ブチルスルホンなどが挙げられる。スルホン系溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
エーテルもしくはチオエーテル系溶媒としては、下記式(III)
【0029】
【化8】
【0030】
(式中、Y1及びY2は、同一又は異なってO又はSを示す。R3及びR4は、同一又は異なってメチル又はエチルである。nは1〜4の整数を示す。)
で表される溶媒が挙げられる。
【0031】
Y1とY2は、一方または両方がOであるのが好ましく、Y1=Y2=Oであるのがより好ましい。
R3とR4は、同一であるのが好ましい。
【0032】
エーテル系溶媒としては、具体的には、ジメトキシエタン(モノグライム、G1)、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム、G2)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム、G3)、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム、G4)、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
【0033】
チオエーテル系溶媒としては、具体的には、CH3S-CH2CH2-SCH3、CH3CH2S-CH2CH2-SCH2CH3, CH3S-(CH2CH2-S)2CH3、CH3CH2S-(CH2CH2-S)2CH2CH3、CH3S-(CH2CH2-S)3CH3、CH3CH2S-(CH2CH2-S)3CH2CH3、CH3S-(CH2CH2-S)4CH3、CH3CH2S-(CH2CH2-S)4CH2CH3などが挙げられる。
【0034】
エーテルもしくはチオエーテル系溶媒は、さらに、CH3S-CH2CH2-OCH3、CH3CH2S-CH2CH2-OCH2CH3, CH3S-(CH2CH2-O)2CH3、CH3CH2S-(CH2CH2-O)2CH2CH3、CH3S-(CH2CH2-O)3CH3、CH3CH2S-(CH2CH2-O)3CH2CH3、CH3S-(CH2CH2-O)4CH3、CH3CH2S-(CH2CH2-O)4CH2CH3などのエーテル/チオエーテル溶媒を含む。
【0035】
スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒としては、下記式(IV)
【0036】
【化8】
【0037】
(式中、R5及びR6は、同一又は異なって両方とも−R7−(O−CH2CH2−)m−OR8−で表される基を示すか、一方が炭素数1〜4のアルキル基であり、他方がR7−(O−CH2CH2−)m−OR8で表される基を示す。mは0〜2の整数を示し、R7はCH2もしくはCH2CH2を示し、R8はメチルもしくはエチルを示す。)
で表される溶媒が挙げられる。
【0038】
mは0、1又は2、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
【0039】
スルホン部分とエーテルもしくはチオエーテル部分を含む溶媒は、具体的には、CH3SO2CH2CH2OCH3、CH3SO2CH2CH2OCH2CH3、CH3CH2SO2CH2CH2OCH3、CH3CH2SO2CH2CH2OCH3、CH3SO2(CH2CH2O)2CH3、CH3SO2(CH2CH2O)2CH2CH3、CH3CH2SO2(CH2CH2O)2CH3、CH3CH2SO2(CH2CH2O)2CH2CH3、CH3SO2(CH2CH2O)3CH3、CH3SO2(CH2CH2O)3CH2CH3、CH3CH2SO2(CH2CH2O)3CH3、CH3CH2SO2(CH2CH2O)3CH2CH3、CH3SO2(CH2CH2O)4CH3、CH3SO2(CH2CH2O)4CH2CH3、CH3CH2SO2(CH2CH2O)4CH3、CH3CH2SO2(CH2CH2O)4CH2CH3、
CH3OCH2CH2SO2CH2CH2OCH3、CH3CH2OCH2CH2SO2CH2CH2OCH2CH3、CH3(OCH2CH2)2SO2(CH2CH2O)2CH3、CH3CH2(OCH2CH2)2SO2(CH2CH2O)2CH2CH3、CH3(OCH2CH2)3SO2(CH2CH2O)3CH3、CH3CH2(OCH2CH2)3SO2(CH2CH2O)3CH2CH3、CH3(OCH2CH2)4SO2(CH2CH2O)4CH3、CH3CH2(OCH2CH2)4SO2(CH2CH2O)4CH2CH3などが挙げられる。
【0040】
スルホン系溶媒とエーテルもしくはチオエーテル系溶媒の混合溶媒において、両者の混合比率は容量で95:5〜5:95、好ましくは90:10〜10:90、より好ましくは80:20〜20:80、さらに好ましくは70:30〜30:70、特に好ましくは60:40〜40:60である。
【0041】
マグネシウムスルホンアミド塩としては、Mg[(FSO2)2N]2(以下MgFSA2)、Mg[(CF3SO2)2N]2(以下MgTFSA2)が好ましく、MgTFSA2がより好ましい。
【0042】
非水電解液におけるマグネシウムスルホンアミド塩の濃度は、0.01〜5M程度、好ましくは0.05〜3M程度、より好ましくは0.1〜1M程度である。
【0043】
本発明のマグネシウム二次電池のマグネシウムイオンを放出する負極は、金属マグネシウムを使用してもよく、負極活物質としてマグネシウム合金系材料(例えばMg-In合金,Mg-Zn合金,Mg-Sn合金,Mg-Cd合金,Mg-Co合金,Mg-Mn合金,Mg-Ga合金,Mg-Pb合金,Mg-Ni合金,Mg-Cu合金,Mg-Al合金,Mg-Ca合金,Mg-Li合金,Mg-Al-Zn合金,Mg-In-Niなど)、炭素系材料(グラファイト,カーボンファイバー,アモルファスカーボン,グラフェンなど)、金属マグネシウムやマグネシウム合金と炭素系材料の複合材料(マグネシウム合金−グラファイト,金属マグネシウム−カーボンファイバー,マグネシウム合金−カーボンファイバー,金属マグネシウム−アモルファスカーボン,マグネシウム合金−アモルファスカーボンなど)などを使用してもよい。
【0044】
正極は、正極活物質としてマグネシウムイオンが挿入/脱離反応を起こす材料が使用される。具体的には、マグネシウムを含有しない金属硫化物、金属酸化物(TiS2、MoS2、NbSe2、CoS、V2O5,V8O13、MnO2、CoO2など)、あるいは、Li複合酸化物からLiを脱離させ、Mgイオンに置換した酸化物(たとえば、MgMn2O4,MgAlO3,MgMnO3,MgFeO3MgFe0.5Mn0.5O3,MgFe0.9Al0.1O3,MgMn0.9Al0.1O3、Mg0.5Mn0.9Al0.1O2)、シェブレル系材料(Mo6S8, MxMo6S8(M = Cu, Ni, Ag, 遷移金属,0≦x≦2)、Cu0.13Mg1.09~1.12Mo6S8)、ポリアニオン系材料(MgHf(MoO4)3,Mg0.5Hf0.5Sc1.0(MoO4)3,Mg0.2Zr0.2Sc1.6(WO4)3,Mg0.4Zr0.4Sc1.2(WO4)3,Mg0.6Zr0.6Sc1.2(WO4)3,Mg0.8Zr0.8Sc0.4(WO4)3,MgZr(WO4)3)、シリケート系材料(MgCoSiO4, MgFeSiO4, MgNiSiO4, Mg(Ni0.9Mn0.1)SiO4,MgFe0.9Si0.1O3,MgFe0.5Si0.5O3,MgFe0.1Si0.9O3, Mg1.023(Mn0.956V0.014)SiO4, FeF2.8Cl0.2MgCoSiO4,MgMn0.9Si0.1O3、Mg0.9925(Co0.985V0.015)SiO4, Mg0.959(Fe0.918V0.082)SiO4,Mg0.95(Ni0.9V0.100)SiO4など)、窒化マグネシウム、有機系正極材料(例えば、マグネシウムポルフィリン,ポリチオフェンなど)、遷移金属とフッ素から構成される化合物(たとえば、FeF3,MnF3など)、ハロゲン化合物系正極材料などが挙げられる。
【0045】
正極は、正極活物質、結着剤、導電助剤などを含む正極活物質層を集電体の上に設けることで得られる。
【0046】
負極は金属マグネシウムを使用してもよく、負極活物質、結着剤などを含む負極活物質層を集電体の上に設けることで得られる。
【0047】
正極、負極に用いられる結着剤としては、例えばポリイミド、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)などが挙げられ、ポリイミドが好ましい。
【0048】
導電助剤としては、気相法炭素繊維(VGCF)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンブラック、アセチレンブラック、ポリフェニレン誘導体などが挙げられる。
【0049】
集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの金属板などの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させた含有または被覆させた合金を好ましく用いることができる。
【0050】
塗付液としては、例えば、必要に応じ、導電助剤、結着剤およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水、トルエンなどの分散媒を含むスラリー状の塗布液が用いられる。
【0051】
塗布方法としては、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法およびスクイーズ法が挙げられる。その中でも、ブレード法、ナイフ法およびエクストルージョン法が好ましい。また、塗布速度は、0.1〜100m/分で行われることが好ましい。この際、塗布液の溶液物性、乾燥性に合わせて、塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることができる。塗布液の塗布は、片面ずつ逐時でも、両面同時に行ってもよい。
【0052】
本発明で使用する電解質は、TFSAとLi、Na、K、Csなどのアルカリ金属の塩などの他の電解質をさらに含んでいてもよい。
【0053】
本発明のマグネシウム二次電池は、前記正極、負極、非水電解質の他に、セパレータなどを含むことができる。
【0054】
本発明の電解質は、通常、セパレータ部分と電極の空隙部分に充填ないし含浸して用いられる。
【0055】
した各構成要素は、コイン型、円筒型、ラミネートパッケージなどの公知の各種電池外装に封入され、密閉されて、マグネシウム二次電池とすることができる。
【実施例】
【0056】
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。
【0057】
実施例及び比較例において、以下の略号を用いる。
DME:ジメトキシエタン
EiPSL又はSL2i3:エチルイソプロピルスルホン
G1:モノグライム
G2:ジグライム
G3:トリグライム
G4:テトラグライム
PC:プロピレンカーボネート
AN:アセトニトリル
GBL:γ-ブチロラクトン
SL12又はEMSL:エチルメチルスルホン
SL33:ジn-プロピルスルホン
SL44:ジn-ブチルスルホン
WE:作用電極(Working Electrode)
RE:参照電極(Reference Electrode)
CE:対極(Counter Electrode)
【0058】
比較例1
0.5M MgTFSA2を含む公知の各種単独溶媒(DME、EiPSL、G3、AN、GBL)を電解液として用い、Ar置換グローブボックス中、室温で、以下の条件下にサイクリックボルタンメトリー測定を行った。
WE: Pt flag (0.5 cm2) ,
CE: Mg ribbon (0.5 cm2)
RE: Ag線(準参照極、以下 Q.R.E.と略す。)
すべてNilaco製 3N以上
容器 : ガラスサンプル管
溶液調整時 水分<50 ppm
結果を図1に示す。リチウムイオン二次電池で使用されているプロピレンカーボネート(PC)やγ-ブチロラクトン(GBL)では、良好なレドックスが観測されず全く使用できないことがわかる。一方、比較的良好なレドックスを示すと報告されているグライム類(DME,G3)でも、室温では、還元電流はほぼMgの理論電位(-2.0から-3.0 V vs Ag Q.R.E.)で流れ始めるが、その後の酸化ピークは 0 から 1 V vs Ag Q.R.E. 近傍で立ち上がっており、溶出時に2V以上の大きな過電圧が存在することから公知の溶媒では、室温ではより少なくとも水溶液系電池の電圧(1.5V)よりも高い電池として作動させることが困難であることを示す。
【0059】
比較例2
非水電解液として0.5M MgTFSA2を含む公知の単独溶媒(G3、EiPSL)を電解液として用い、95℃で比較例1と同様にしてサイクリックボルタンメトリー測定を行った。結果を図2に示す。温度を95℃に上昇させることで溶出過電圧が大きく低下することを確認した(T. Fukutsuka, K. Asaka, A. Inoo, R. Yasui, K. Miyzaki, T. Abe, K. Nishio, Y. Uchimoto, Chem. Lett., 43 (2014) 1788.)。
【0060】
実施例1
非水電解液として0.5M MgTFSA2を含むSL12:G3=1:1の混合溶媒溶液を用い、25℃で比較例1と同様にサイクリックボルタンメトリー測定を行った。結果を図3に示す。まず異なる溶媒や参照電極間での電位の比較を容易とするため、本発明に使用した溶媒中でのフェロセン(Ferrocene)の酸化還元電位を求めたところ、+0.21 V vs Ag Q.R.E.であった。これを用いると、-2.2 V vs Ag Q.R.E.にみられる大きなピークの酸化還元電位はおよそ -2.4 V vs Fc/Fc+となるが、この電位はほぼMgの理論電位(Liの酸化還元電位 -3.1 V vs Fc/Fc+ および LiとMgの電位差が 0.7 VであることからMgの理論電位は -2.4 V vs Fc/Fc+)と一致していることが明らかとなった。また、酸化電流の立ち上がり電位は +1.6 V vs Ag Q.R.E. であることから、少なくとも4.2 VまでのMg正極材料への適用が期待できることがわかる。本発明の混合溶媒により、ハロゲン(存在すると高電圧正極が使用できなくなる)を含まない電解液でMgの理論電位近傍で明瞭な酸化還元ピークが得られることが明らかになった。
【0061】
実施例2
非水電解液として0.5M MgTFSA2を含むEMSL:G2=1:1混合溶媒を電解液として用い、25℃での定電流析出再溶出試験(作用極:白金、対極:Mg金属、参照電極 Ag線)をbio-logic VMP3ポテンショスタットを用いて行った(20 μAで3分析出あるいは溶出を行い、析出・溶出間の休止時間を 1 分とした。)。Mg対極に対するPt作用極の電位を時間に対して表示したものを図4に示す。これから少なくとも5時間にわたり、白金上で析出・再溶出が継続して起こることが明らかとなった。
【0062】
実施例3
図5に異種溶媒をモル比1:1で混合した場合に得られるサイクリックボルタモグラムを示す(1:1以外の組成の場合のみ組成を明示)。これから、明らかに異なる系統の溶媒の混合(グライム類とスルホン類)でのみ良好な結果が得られ、異種グライム同士(例えば、G2とG3)、また異種スルホン同士(例えばSL11とSL12)を混合しても、G2とSL12、G3とSL12を混合した場合に得られる良好な結果は得られないことが明らかである。G2とSL12の混合モル比を1:1から変化させることで、0V vs Ag Q.R.E.付近のピークが小さくなることから、混合比の最適化が可能であることが示唆される。
【0063】
実施例4
正極としてMgの挿入脱離が起こると報告されているV2O5を下記に従って合剤正極としたものを、負極にはMg金属のかわりに、箔として得られ、Mg金属とほぼ同等の扱いが可能で、より安価でかつ取り扱いやすいMg合金(AZ31)を用いたコイン式セル(CR2032)を組み立て、充放電測定を行った結果を図6に示す。
【0064】
下記の正極活物質、結着剤、導電助剤を溶媒(N-メチルピロリドン)と混合してペースト化し、集電体に塗布し、乾燥して正極を得た。正極は、直径16 mmのシートであり、 活物質重量: 約1.5 mg , 厚み: 約15 μmであった。
正極活物質: V2O5 90 wt%
結着剤:ポリイミド(PI) 5 wt%
導電助剤:気相法炭素繊維 (VGCF) 2 wt%
ケッチェンブラック (KB) 3 wt%
集電体: アルミニウム箔
すでに報告されているG3では、室温では全く作動せず、60℃でかろうじて7 mAh/gの容量を示すのみであった。一方、本発明の電解液を用いたところ60℃において35 mAh/gと5倍以上の容量を示すのみならず平均電圧もG3の1.8Vから2.1Vと増加した。これは図4で示したように、Mg上での円滑な析出・再溶出が起こりMg上での過電圧がより低く保たれているためである。V2O5の理論容量(およそ 295 mAh/g)よりも小さいが、今回用いたV2O5電極が必ずしも最適ではないことに由来する。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【国際調査報告】

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