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再表2017-163520太陽電池、太陽電池モジュールおよび太陽電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年9月28日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】太陽電池、太陽電池モジュールおよび太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0747 20120101AFI20181130BHJP
【FI】
   H01L31/06 455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2018-506781(P2018-506781)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】特願2016-57960(P2016-57960)
(32)【優先日】2016年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東方田 悟司
(72)【発明者】
【氏名】重松 正人
(72)【発明者】
【氏名】松山 謙太
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA04
5F151AA05
5F151AA16
5F151CA15
5F151CB18
5F151CB20
5F151DA07
5F151FA04
5F151FA14
5F151FA15
5F151GA04
5F151GA15
5F151HA03
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA05
5F151JA08
(57)【要約】
n型シリコン基板1に、低ドープ領域11と、そのn型低ドープ領域11よりも高いn型のドーパント濃度を有する第1主面側高ドープ領域12とを設ける。第1主面側高ドープ領域12を、n型低ドープ領域11とp型非晶質シリコン層3との間に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型のシリコン基板と、
前記シリコン基板の第1主面側に位置する第2導電型の非晶質シリコン層と、
を備え、
前記シリコン基板は、前記第1導電型にドーピングされた低ドープ領域と、前記低ドープ領域と前記非晶質シリコン層との間に設けられ、前記低ドープ領域よりも高い前記第1導電型のドーパント濃度を有する第1主面側高ドープ領域とを有する、太陽電池。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池において、
前記シリコン基板の第2主面側に位置する前記第1導電型の非晶質シリコン層を備え、
前記シリコン基板は、前記低ドープ領域と前記第1導電型の非晶質シリコン層との間に設けられ、前記低ドープ領域よりも高い前記第1導電型のドーパント濃度を有する第2主面側高ドープ領域を有する、太陽電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の太陽電池において、
前記シリコン基板は、前記シリコン基板の厚さ方向に延在する側面を覆うように設けられ、前記低ドープ領域よりも高い前記第1導電型のドーパント濃度を有する側方高ドープ領域を有する、太陽電池。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の太陽電池において、
前記第1主面側高ドープ領域が、前記シリコン基板の厚さ方向に略直交する方向の両端部に設けられる、太陽電池。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の太陽電池において、
前記第1主面側高ドープ領域における表面ドーパント濃度が、1×1018cm-3以上である、太陽電池。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の太陽電池において、
前記低ドープ領域は、n型結晶性シリコンからなり、
前記第1主面側高ドープ領域は、前記低ドープ領域よりも多くのn型ドーパントがドーピングされたn+領域である、太陽電池。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の太陽電池において、
前記シリコン基板の前記第1主面は、非光入射面である、太陽電池。
【請求項8】
請求項1に記載の太陽電池において、
前記シリコン基板の前記第1主面側に、前記第2導電型の非晶質シリコンに前記シリコン基板の厚さ方向に略直交する方向に隣り合う第1導電型の非晶質シリコン層を更に備える、太陽電池。
【請求項9】
直列接続された請求項1乃至8のいずれか1つに記載の太陽電池を複数備える、太陽電池モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の太陽電池モジュールにおいて、
前記複数の太陽電池に含まれる直列接続された2以上の前記太陽電池に並列接続されたバイパスダイオードを備える、太陽電池モジュール。
【請求項11】
n型ドーパントを含む酸性水溶液にn型結晶性シリコン基板を浸漬して、当該基板の表面にn型ドーパントを含むシリコン酸化層を形成する工程と、
前記n型結晶性シリコン基板を熱処理して、前記シリコン酸化層から前記n型結晶性シリコン基板の内部に前記n型ドーパントを拡散させ、少なくとも前記n型結晶性シリコン基板の前記シリコン酸化層との界面に他の領域よりも前記n型ドーパントの濃度が高いn+領域を形成する工程と、
前記シリコン酸化層を除去して前記n型結晶性シリコン基板の前記n+領域を露出させる工程と、
前記シリコン酸化層が除去された前記n型結晶性シリコン基板の第1主面側にp型非晶質シリコン層を形成する工程と、
を備える、太陽電池の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の太陽電池の製造方法において、
前記シリコン酸化層が除去された前記n型結晶性シリコン基板の第2主面側n型非晶質シリコン層を形成する工程を備える、太陽電池の製造方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の太陽電池の製造方法において、
前記酸性水溶液には、リン酸および硝酸が含まれる、太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池、太陽電池モジュールおよび太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池モジュールとしては、特許文献1に記載されたバイパスダイオードを有するものがある。この太陽電池モジュールは、直列接続された複数の太陽電池ストリングと、直列接続された複数のバイパスダイオードとを備える。太陽電池ストリングは、直列接続された複数の太陽電池セルを有する。直列接続された2つの太陽電池ストリングで1つのユニットが構成される。各バイパスダイオードは、互いに異なる1つのユニット(以下、ストリングユニットという)に並列接続される。
【0003】
太陽電池ストリング内の太陽電池セルに障害物の影がかかり、影の面積が大きくなると、その太陽電池セルを含むストリングユニットに並列接続されたバイパスダイオードに電流が流れる。このようにして、影がかかった太陽電池を含むストリングユニットがバイパスされ、太陽電池モジュールの出力がゼロになることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−157457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の太陽電池モジュールでは、ある太陽電池に影がかかった場合、その太陽電池を含むストリングユニットがバイパスされるため、そのストリングユニット内の全ての太陽電池が発電に寄与しない。したがって、該ストリングユニット内の影がかかっていない太陽電池の発電まで妨げられ、発電性能が大きく低下する。
【0006】
本開示の目的は、影がかかった場合において太陽電池モジュールに生じる発電性能の低下を抑制できる太陽電池セルおよびそれを含む太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様である太陽電池は、第1導電型のシリコン基板と、シリコン基板の第1主面側に位置する第2導電型の非晶質シリコン層と、を備え、シリコン基板は、第1導電型にドーピングされた低ドープ領域と、低ドープ領域と非晶質シリコン層との間に設けられ、低ドープ領域よりも高い第1導電型のドーパント濃度を有する第1主面側高ドープ領域とを有する。
【0008】
尚、上記「シリコン基板の第1主面側に位置する第2導電型の非晶質シリコン層」という要件は、第2導電型の非晶質シリコン層がシリコン基板の第1主面側に接触する場合に満たされる。また、上記「シリコン基板の第1主面側に位置する第2導電型の非晶質シリコン層」という要件は、第2導電型の非晶質シリコン層が、例えば真性半導体層等の層をシリコン基板の第1主面との間に挟んだ状態でシリコン基板の第1主面に対向する場合にも満たされる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様である太陽電池によれば、影がかかった場合において太陽電池モジュールに生じる発電性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の太陽電池モジュールの主要部を示す模式構成図である。
図2】前記太陽電池モジュールの太陽電池の模式断面図である。
図3】前記太陽電池の電圧−電流特性の1試験例を示すグラフである。
図4】参考例の太陽電池の一部構造を示す模式断面図である。
図5】第1実施形態の太陽電池における図4に対応する模式断面図である。
図6】参考例の太陽電池モジュールの主要部を示す模式構成図である。
図7】第2実施形態の太陽電池主要部の模式断面図である。
図8】第3実施形態の太陽電池主要部の模式断面図である。
図9】第3実施形態の変形例での太陽電池主要部の模式断面図である。
図10】第4実施形態の太陽電池の模式断面図である。
図11】第4実施形態の変形例での太陽電池の模式断面図である。
図12】本願の実施形態に係る高ドープ領域の形成方法における変形例を示す図である。
図13】第1実施形態の太陽電池モジュールの主要部を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。また、実施形態の説明で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは現物と異なる場合がある。本明細書において「略**」との記載は、略全域を例に挙げて説明すると、全域はもとより実質的に全域と認められる場合を含む意図である。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の太陽電池モジュール50の主要部を示す模式構成図である。
【0013】
図1に示すように、この太陽電池モジュール50は、6つの太陽電池ストリング20と、3つのバイパスダイオード30とを備える。6つの太陽電池ストリング20は、直列接続される。太陽電池ストリング20は、配線材16によって直列接続された12の太陽電池10を有する。3つのバイパスダイオード30は、直列接続される。直列接続された2つの太陽電池ストリングで1つのユニット(以下、ストリングユニットという)22が構成される。各バイパスダイオード30は、互いに異なる1つのストリングユニット22に並列接続される。
【0014】
尚、図1に破線Aで示す流れは、太陽電池10の発電により生じた電流の流れである。また、図1に斜線で示す1つの太陽電池10kは、図示しない障害物により影がかかった太陽電池である。影がかかった太陽電池10kが生じた場合での太陽電池モジュール50の発電機構については、図3等を参照して後で詳述する。
【0015】
図2は、太陽電池10の模式断面図である。図2に示すように、この太陽電池10は、第1導電型としてのn型の結晶性シリコン基板(以下、n型シリコン基板という)1と、第1i型非晶質シリコン層2と、第2導電型としてのp型の非晶質シリコン層(以下、p型非晶質シリコン層という)3と、第2i型非晶質シリコン層4と、n型非晶質シリコン層5とを備える。n型シリコン基板1は、n型多結晶シリコン基板であってもよいが、好ましくはn型単結晶シリコン基板である。
【0016】
第1i型非晶質シリコン層2は、n型シリコン基板1の第1主面上に設けられる。また、p型非晶質シリコン層3は、n型シリコン基板1の第1主面側に設けられる。詳しくは、p型非晶質シリコン層3は、第1i型非晶質シリコン層2のn型シリコン基板1側とは反対側に設けられる。第2i型非晶質シリコン層4は、n型シリコン基板1の第2主面上に設けられる。n型非晶質シリコン層5は、第2i型非晶質シリコン層4のn型シリコン基板1側とは反対側に設けられる。なお、n型シリコン基板1と非晶質シリコン層との界面またはその近傍には、微量の酸素原子が含有されていてもよい。
【0017】
第1i型非晶質シリコン層2、p型非晶質シリコン層3、第2i型非晶質シリコン層4およびn型非晶質シリコン層5は、光生成キャリアの再結合を抑制する機能を有する。これらのシリコン層2,3,4,5は、化学気相成長法(CVD)特にプラズマCVD法により好適に成膜される。シリコン層2,3,4,5の成膜に使用する原料ガスとしては、SiH4、Si26等のシリコン含有ガス、またはそれらのガスとH2を混合したものが好適に用いられる。p型またはn型非晶質シリコン層3,5を形成するためのドーパントガスとしては、例えばB26またはPH3等が好適に用いられる。PやBといった不純物の添加量は微量でよく、SiH4やH2等との混合ガスを用いることもできる。
【0018】
第1および第2i型非晶質シリコン層2,4は、i型水素化非晶質シリコン層(i型a−Si:H)であることが好ましく、p型非晶質シリコン層3は、p型水素化非晶質シリコン層(p型a−Si:H)であることが好ましい。また、n型非晶質シリコン層5は、n型水素化非晶質シリコン層(n型a−Si:H)であることが好ましい。i型a-Si:H層は、SiH4をH2で希釈した原料ガスを用いたCVD法により成膜できる。p型a-Si:H層の成膜には、SiH4にB26を添加して水素希釈した原料ガスが使用される。n型a-Si:H層の成膜には、B26の代わりにPH3を含む原料ガスが使用される。尚、各非晶質シリコン層2〜5は必ずしも水素化される必要はない。また、各半導体層の成膜法は特に限定されない。第1および第2i型非晶質シリコン層2,4には、製造上の理由により微量のドーパントが含有されていてもよい。
【0019】
図2に示すように、n型シリコン基板1は、低ドープ領域11と、第1主面側高ドープ領域12とを有する。低ドープ領域11は、n型にドーピングされる。また、第1主面側高ドープ領域12は、低ドープ領域11とp型非晶質シリコン層3との間に設けられ、低ドープ領域11よりも高いn型のドーパント濃度を有する。低ドープ領域11および第1主面側高ドープ領域12のn型ドーパント濃度については、図3を参照して後述する。第1主面側高ドープ領域12は、低ドープ領域11のp型非晶質シリコン層3側の全面に設けられる。第1主面側高ドープ領域12は、低ドープ領域11よりも多くのn型ドーパントがドーピングされたn+領域である。低ドープ領域11および第1主面側高ドープ領域12の夫々は、イオン注入法、熱拡散法、プラズマドープ法またはエピタキシャル成長法等を用いて形成される。n型ドーパントとしては、P、As、Sb等が用いられ、特にPが好適に用いられる。Pは、POCl3ガスを混ぜて熱処理を行うことによって欠陥生成を抑制した状態で好適にドープされる。イオン注入法を用いる場合、イオン注入で生じた欠陥を低減するため高温アニールやRTA(Rapid Thermal Annealing)を併用するのが好ましい。
【0020】
第1主面側高ドープ領域12を形成するのに熱拡散法又はプラズマドープ法を用いた場合は、n型シリコン基板1の低ドープ領域11から離れるにしたがって濃度が徐々に高くなる濃度勾配が形成される。エピタキシャル成長法を用いた場合は、例えば熱拡散法を用いた場合と比べて低ドープ領域11と第1主面側高ドープ領域12との境界位置でドーパント濃度を急峻に上昇させることができ、また第1主面側高ドープ領域12の全体でドーパント濃度を均一化し易い。
【0021】
太陽電池10は、n型非晶質シリコン層5側から光を受光することが想定される。図2に示すように、太陽電池10は、受光側とは反対側の裏面側でp型非晶質シリコン層3上に透明導電層6および裏側集電極7をこの順に備える。また、太陽電池10は、受光側である表側でn型非晶質シリコン層5上に透明導電層8および表側集電極9をこの順に備える。透明導電層6は、p型非晶質シリコン層3の裏面の略全域に形成され、透明導電層8は、n型非晶質シリコン層5の表側面の略全域に形成される。各透明導電層6,8は、透光性及び導電性を有する。各透明導電層6,8は、例えばIn23、ZnO、SnO2、又はTiO2などの金属酸化物で構成される。これらの金属酸化物に、Sn、Zn、W、Sb、Ti、Ce、Zr、Mo、Al、Gaなどのドーパントがドープされてもよい。
【0022】
裏側および表側集電極7,9は、例えば、多数のフィンガー部と、フィンガーよりも少ない本数のバスバー部とを含むパターンで導電性ペーストをスクリーン印刷して形成される。裏面側集電極7は、表側集電極9よりも大面積に形成されることが好ましく、裏面側集電極7のフィンガー部は表側集電極9のフィンガー部よりも多く形成されるのが好ましい。なお、電極の構造は特に限定されないので、例えば裏面側集電極を、透明導電層上の略全域に形成した金属層で構成してもよい。
【0023】
太陽電池10は、n型非晶質シリコン層5側から光を受光することが想定されるが、太陽電池は、p型非晶質シリコン層側から光を受光してもよい。また、太陽電池は、p型非晶質シリコン層側およびn型非晶質シリコン層側の両方から光を受光してもよい。n型シリコン基板1の第1主面側を非光入射面(裏面)とすると好ましい。というのは、高ドープ領域では、キャリアの移動度が小さくなる。したがって、高ドープ領域を光入射面(受光面)とすると、高ドープ領域内で発生したキャリアが再結合し易いため、照射される光の強さに関係する短絡光電流密度が低下する。高ドープ領域を、光入射面と逆の面にすることによって短絡光電流密度の低下を抑制できる。ここで、太陽電池10の光入射面とは、光が主に入射する主面を意味し、太陽電池10に入射する光のうち50%超過〜100%が光入射面から入射する。裏面とは、光入射面と反対側の面であって、透明導電層上に形成される集電極の面積が大きい方の主面である。
【0024】
図13は、図2に例示する太陽電池10を用いて構成された太陽電池モジュール50の断面図である。太陽電池モジュール50では、矢印Sで示す方向から主に太陽光が入射する。太陽電池モジュール50は、複数の太陽電池10と、複数の太陽電池10の光入射面側に設けられた表面側保護材51と、複数の太陽電池10の裏面側に設けられた裏面側保護材54とを備える。また、太陽電池モジュール10は、表面側保護材51と太陽電池10との間に充填された表面側封止材52と、裏面側保護材54と太陽電池10との間に充填された裏面側封止材53とを備える。複数の太陽電池10は、表側集電極9が太陽電池モジュール50の光入射面側を向き、裏側集電極7が太陽電池モジュール50の裏面側を向いた状態で各保護材に挟持されている。
【0025】
表面側保護材51は、太陽電池10の発電に寄与する波長領域の光を十分に透過する透明性を有する材料、例えばガラス、樹脂材等からなる板材である。裏面側保護材54は、ガラス、樹脂材からなる板材又はシート状材料であるが、必ずしも光透過性を有する必要はない。表面側封止材52および裏面側封止材53には、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体等の太陽電池モジュールに通常用いられる封止材を用いてよい。裏面側封止材53は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO2)等の粒子を含んでいてもよく、例えば白色に着色されていてもよい。このような太陽電池モジュール50において、太陽電池10は、第1主面側高ドープ領域12が形成されるn型シリコン基板1の第1主面が太陽電池モジュール50の裏面側を向くように配置される。
【0026】
図3は、太陽電池10の電圧−電流特性の1試験例を示すグラフである。この試験例では、低ドープ領域11にドープしたPのドープ濃度の平均は1.8×1015cm-3程度である。図3において、実線fは、第1主面側高ドープ領域12にドープしたPの濃度平均が1×1018cm-3である場合の電圧−電流特性を示す。また、点線gは、第1主面側高ドープ領域12にドープしたPの濃度平均が5×1018cm-3である場合の電圧−電流特性を示す。また、一点鎖線rは、第1主面側高ドープ領域12にドープしたPの濃度平均が1×1019cm-3である場合の電圧−電流特性を示す。また、実線hは、n型シリコン基板を低ドープ領域だけで構成して第1主面側高ドープ領域を設けなかった参考例の太陽電池の電圧−電流特性を示す。
【0027】
実線hで示すように、第1主面側高ドープ領域を設けなかった参考例の太陽電池の場合、電圧降下が15Vまで増大しても電流が流れなかった。一方、実線fで示す太陽電池の場合、電圧降下が2V程度以上になると電流が序々に流れ、電流値は最終的に3Aあたりで収束した。また、Pの濃度平均が5×1018cm-3以上である点線gおよび一点鎖線rで示す太陽電池の場合、電圧降下が1.5V以上になると電流が急激に流れはじめた。そして、電流が6A流れた場合に電圧降下が略2V以下になるという良好な電圧−電流特性が得られた。
【0028】
図4は、参考例の太陽電池110の一部構造を示す模式断面図である。太陽電池110は、Pの平均ドープ濃度が1×1014〜1×1016cm-3であるn型結晶性シリコン基板101を有する。太陽電池110は、n型結晶性シリコン基板101上にi型非晶質シリコン層111とp型非晶質シリコン層112とをこの順に積層してなる構造を有する。また、図5は、本実施形態の太陽電池10における図4に対応する模式断面図である。太陽電池10は、低ドープ領域11および第1主面側高ドープ領域12を有するn型シリコン基板1を有する。太陽電池10では、n型シリコン基板1上にi型非晶質シリコン層11とp型非晶質シリコン層12とをこの順に積層してなる構造を有する。参考例の太陽電池110は、低ドープ領域および第1主面側高ドープ領域がn型結晶性シリコン基板101に設けられなくてn結晶性シリコン基板101が一定のn型ドーパント濃度を有する点が太陽電池10と異なる。
【0029】
太陽電池10の発電性能は、参考例の太陽電池110の発電性能と同等であることが確かめられている。尚、本実施形態の変形例の太陽電池の発電性能や以下の実施形態およびその変形例で説明する太陽電池の発電性能が、参考例の太陽電池110の発電性能と同等であることも確かめられている。
【0030】
図6は、参考例の太陽電池モジュール150の主要部を示す模式構成図である。太陽電池モジュール150は、太陽電池10の代わりに図4に示す太陽電池110を使用している点のみが、本実施形態の太陽電池モジュール50と異なる。以下、図1に示す本実施形態の太陽電池モジュール50で影がかかった太陽電池10が生じた場合の発電性能を、参考例の太陽電池モジュール150で影がかかった太陽電池110が生じた場合の発電性能と比較する。参考例の太陽電池モジュール150においても、直列接続された2つの太陽電池ストリング120でストリングユニット122が構成される。各バイパスダイオード130は、互いに異なる1つのストリングユニット122に並列接続される。
【0031】
図6に示す参考例の太陽電池モジュール150において影が1つの太陽電池110kにかかったとする。この場合、図3の参考例hに示すように太陽電池110kに電流が流れるためには過大な電圧降下が必要になる。よって、この場合、図6に示すように、電流がストリングユニット122に並列接続されたバイパスダイオード130を流れ、太陽電池110kを有するストリングユニット122がバイパスされる。したがって、電流が図6に矢印Dで示す点線上の経路を流れて、そのストリングユニット220内の斜線領域にある24の太陽電池110が発電に寄与しない。よって、大きな出力損失が発生する。
【0032】
これに対し、図1に示す本実施形態の太陽電池モジュール50において影が1つの太陽電池10kにかかったとする。この場合、図3の点線gに示すように、電流が小さな電圧の降下で太陽電池10k内を急激に流れるようになる。したがって、太陽電池モジュール50を流れる電流は一般的にそれほど大きくないので、上記小さな電圧と上記それほど大きくない電流との積で表される太陽電池10kでの消費電力が小さく抑えられる。よって、ストリングユニット22内において影がかかっていない太陽電池10k以外の大多数の太陽電池10が発電を行うことを考慮すると、本実施形態の太陽電池モジュール50では、参考例の太陽電池モジュール150との比較で出力損失が大幅に低減される。尚、本実施形態の場合でも、各ストリングユニット22に1つのバイパスダイオード30が並列接続される。これは同一のストリングユニット22内にある複数の太陽電池10に影がかかった場合、その同一のストリングユニット22をバイパスした方が、出力損失を低減できる場合があるからである。
【0033】
第1実施形態によれば、n型シリコン基板1内にn型低ドープ領域11とそれよりも高いドーパント濃度を有するn型第1主面側高ドープ領域12とを設け、n型第1主面側高ドープ領域12がn型低ドープ領域11とp型非晶質シリコン層3との間に設けられる。低い電圧降下で影がかかった太陽電池10k内にも電流を流すことができる。よって、太陽電池10に影がかかった場合に生じる太陽電池モジュール50の発電性能の低下を抑制できる。
【0034】
尚、上記第1実施形態では、n型シリコン基板1の第1主面側に第1i型非晶質シリコン層2とp型非晶質シリコン層3とをこの順に積層して再結合を抑制する層(以下、再結合抑制層という)を形成する場合について説明した。また、第1i型非晶質シリコン層がi型水素化非晶質シリコン層(i型a−Si:H)であると好ましく、p型非晶質シリコン層3がp型水素化非晶質シリコン層(p型a−Si:H)であることが好ましいと言及した。しかし、n型シリコン基板1の第1主面側にそれらの層以外の再結合抑制層を形成してもよい。n型シリコン基板1の第1主面側には、それらの層含む下記(1)〜(6)より選択される材料からなる再結合抑制層を好適に形成できる。(1)p型a-Si:H、(2)p型a-SiC:H、(3)i型若しくはp型a-Si:Hと高濃度のp型a-Si:Hとの積層体(i型若しくはp型a-Si:H/高濃度のp型a-Si:Hの積層体)、(4)i型若しくはp型a-Si:H/高濃度のp型水素化微結晶シリコン(p型μc-Si:H)の積層体、(5)i型若しくはp型a-SiC:H/高濃度のp型a-Si:Hの積層体、(6)i型若しくはp型a-SiC:H/高濃度のp型μc-Si:Hの積層体。また、これ以外のp型層を含む再結合抑制層、例えば水素化されていないp型層を含む再結合抑制層を形成することもできる。ここで、上記「高濃度」とは「p型a-Si:H/高濃度のp型a-Si:Hの積層体」を例に挙げて説明すると、前者に比べて後の後者のドーパント濃度が高いことを意味する。即ち、当該記載はドーパント量が異なる2つの層を積層した構造であることを意味する。
【0035】
尚、n型シリコン基板1の第2主面側に第2i型非晶質シリコン層4とn型非晶質シリコン層5とをその順に積層して再結合抑制層を形成する場合について説明した。また、第2i型非晶質シリコン層4がi型水素化非晶質シリコン層(i型a−Si:H)であると好ましく、n型非晶質シリコン層5がn型水素化非晶質シリコン層(n型a−Si:H)であることが好ましいと言及した。しかし、n型シリコン基板1の第2主面側にそれらの層以外の再結合抑制層を形成してもよい。n型シリコン基板1の第2主面側には、それらの層含む下記(7)〜(12)より選択される材料からなる再結合抑制層を好適に形成できる。(7)n型a-Si:H、(8)n型a-SiC:H、(9)i型若しくはn型a-Si:Hと高濃度のn型a-Si:Hとの積層体(i型若しくはn型a-Si:H/高濃度のn型a-Si:Hの積層体)、(10)i型若しくはn型a-Si:H/高濃度のn型水素化微結晶シリコン(n型μc-Si:H)の積層体、(11)i型若しくはn型a-SiC:H/高濃度のn型a-Si:Hの積層体、(12)i型若しくはn型a-SiC:H/高濃度のn型μc-Si:Hの積層体。また、これ以外のn型層を含む再結合抑制層、例えば水素化されていないn型層を含む再結合抑制層を形成することもできる。ここで、上記「高濃度」とは「n型a-Si:H/高濃度のn型a-Si:Hの積層体」を例に挙げて説明すると、前者に比べて後の後者のドーパント濃度が高いことを意味する。即ち、当該記載はドーパント量が異なる2つの層を積層した構造であることを意味する。
【0036】
また、n型シリコン基板1の第1および第2主面側にある再結合抑制層上に保護層を形成しない例について説明した。しかし、n型シリコン基板1の第1および第2主面側にある再結合抑制層の少なくとも一方上に保護層を形成してもよい。保護層は、例えば再結合抑制層の損傷を抑制し光の反射を抑制する機能を有する。保護層は、光透過性が高い材料から構成されることが好ましく、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、又は酸窒化ケイ素(SiON)等から構成されることが好適である。
【0037】
また、n型シリコン基板1の表面には、テクスチャ構造(図示せず)が設けられてもよい。テクスチャ構造とは、表面反射を抑制してn型シリコン基板1の光吸収量を増大させるための表面凹凸構造であって、例えば受光面のみ、又は受光面と裏面の両方に形成される。テクスチャ構造は、アルカリ性溶液を用いて単結晶シリコン基板の(100)面を異方性エッチングすることで形成でき、単結晶シリコン基板の表面に(111)面を斜面としたピラミッド形状の凹凸構造が形成される。テクスチャ構造の凹凸の高さは、例えば1μm〜15μmである。
【0038】
また、各層1〜5,11,12の層厚を、仕様によって適宜変動できるのは言うまでもない。例えば、n型シリコン基板1の厚さは、50μm〜300μmとできる。n型第1主面側高ドープ領域12の厚さは、例えば200nm以下とできるが、数nm〜500nmの範囲であればよく、15nm〜200nm、さらに好ましくは50nm〜100nmであるのが好適である。また、n型シリコン基板1の第1および第2主面側にある再結合抑制層の夫々の厚さは、1nm〜50nm、好ましくは2nm〜15nmとできる。
【0039】
また、低ドープ領域11の表面ドープ濃度が1×1014〜1×1016cm-3であり、第1主面側高ドープ領域12でのPの表面ドープ濃度が1×1018cm-3以上である場合に好適な結果が得られた。第1主面側高ドープ領域12のPの表面ドープ濃度の好適な範囲の一例は、2×1018cm-3〜2.5×1018cm-3である。上記のように、第1および第2i型非晶質シリコン層2,4には微量のドーパントが含まれていてもよく、この場合、第1主面側高ドープ領域12のPの表面ドープ濃度は、前述の好適な濃度範囲よりも濃度が薄い範囲、例えば0.5×1018cm-3〜2.0×1018cm-3であるのが好ましい。しかし、低ドープ領域および第1主面側高ドープ領域の表面ドープ濃度は、これらの値に限らない。これは、表面ドープ濃度が低ドープ領域11よりも大きい第1主面側高ドープ領域12を形成することによって、本願発明の効果が得られるためである。第1主面側高ドープ領域12の平均ドープ濃度が1×1018cm-3より小さい場合でも、例えば、低ドープ領域11の表面ドープ濃度が1×1015cm-3以上、より好ましくは5×1015cm-3以上であれば、2V程度の小さな電圧降下で電流が流れる。したがって、その場合でも、図3のhに示す15Vの電圧降下まで電流が流れなかった参考例との比較においてトンネル効果が格段に起こり易くなる。よって、その場合でも、仕様によっては太陽電池に影がかかった場合に生じる太陽電池モジュールの出力損失を抑制できる。このとき、第1主面側高ドープ領域12でのPの表面ドープ濃度が1×1019cm-3以上、5×1019cm-3以下であるのが更に好ましい。
【0040】
また、第1主面側高ドープ領域12を、低ドープ領域11のp型非晶質シリコン層3側の全面に設けた例について説明した。しかし、第1主面側高ドープ領域を、低ドープ領域のp型非晶質シリコン層側の一部表面に設けてもよい。例えば、第1主面側高ドープ領域を厚さ方向に略直交する方向の両端部のみに設けてもよく、又は該略直交する方向の中央部のみに設けてもよい。
【0041】
また、第1導電型がn型で第2導電型がp型である例について説明した。しかし、第1導電型がp型で第2導電型がn型であってもよい。
【0042】
また、太陽電池モジュール50が、6つの太陽電池ストリング20を備え、太陽電池ストリング20が、12の太陽電池10を有する例について説明した。しかし、太陽電池モジュールは、6以外の数の太陽電池ストリングを有してもよく、各太陽電池ストリングが、12以外の数の太陽電池を有してもよい。また、直列接続された2つの太陽電池ストリング20からなるストリングユニット22に1つのバイパスダイオード30を並列接続する例について説明した。しかし、直列接続された2以外の数(1も含む)の太陽電池ストリングからなるストリングユニットに1つのバイパスダイオードを並列接続してもよい。また、太陽電池モジュールは、バイパスダイオードを有さなくてもよい。
【0043】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の太陽電池210の主要部における模式断面図である。図7では、透明導電層及び集電極は、図示を省略する。第2実施形態の太陽電池では、第1実施形態の太陽電池の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略する。第2実施形態の太陽電池では、第1実施形態の太陽電池と共通の作用効果および変形例については説明を省略し、第1実施形態の太陽電池と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行う。
【0044】
第2実施形態では、n型結晶性シリコン基板201が、低ドープ領域11および第1主面側高ドープ領域12に加えて、第2主面側高ドープ領域213を有する点が、第1実施形態とは異なる。
【0045】
第2主面側高ドープ領域213は、n型結晶性シリコン基板201の第2主面側に設けられる。第2主面側高ドープ領域213は、低ドープ領域11とn型非晶質シリコン層5との間に設けられる。第2主面側高ドープ領域213は、低ドープ領域11のn型非晶質シリコン層5側の全面に設けられる。
【0046】
第2主面側高ドープ領域213は、低ドープ領域11よりも高いn型平均ドーパント濃度を有する。第2主面側高ドープ領域213のn型平均ドープ濃度は、第1主面側高ドープ領域12のn型平均ドープ濃度と同一でも異なっていてもよい。第2主面側高ドープ領域213のn型平均ドープ濃度は、適宜変動できるが好ましくは1×1018cm-3以上であり、例えば2×1018cm-3〜2.5×1018cm-3である。上記のように、第1および第2i型非晶質シリコン層2,4には微量のドーパントが含まれていてもよく、この場合、第2主面側高ドープ領域213のn型平均ドープ濃度は、前述の好適な濃度範囲よりも濃度が薄い範囲、例えば0.5×1018cm-3〜2.0×1018cm-3であるのが好ましい。
【0047】
第2主面側高ドープ領域213の層厚は、第1主面側高ドープ領域12の層厚と同一でも異なっていてもよい。第2主面側高ドープ領域213の層厚は、仕様によって適宜変動できる。第2主面側高ドープ領域213の層厚は、例えば200nm以下とできるが、数nm〜500nmの範囲であればよく、15nm〜200nm、さらに好ましくは50nm〜100nmであるのが好適である。n型結晶性シリコン基板201におけるn型非晶質シリコン層5側(第2主面側)にn型高ドープ領域を設けると、光生成キャリアの再結合が抑制されて出力の向上が得られる。
【0048】
第2実施形態によれば、低ドープ領域11とn型非晶質シリコン層5との間に低ドープ領域11よりも表面ドーパント濃度が高い第2主面側高ドープ領域213が設けられるので、光生成キャリアの再結合を抑制できて出力を増大できる。特に、第1主面側高ドープ領域12のn型表面ドープ濃度が1×1018cm-3以上に設定され、第2主面側高ドープ領域213のn型表面ドープ濃度が1×1017cm-3以上に設定されると好ましい。この場合、影がかかった太陽電池10kが生じた場合の太陽電池モジュール50の出力低下の抑制効果と、光生成キャリアの再結合の抑制効果とを共に顕著に発揮できるからである。なお、このとき、第1主面側高ドープ領域12のn型表面ドープ濃度が1×1019cm-3以上、5×1019cm-3以下であるのが更に好ましい。
【0049】
第2実施形態では、第2主面側高ドープ領域213が、低ドープ領域11のn型非晶質シリコン層5側の全面に設けられる例について説明した。しかし、第2主面側高ドープ領域は、低ドープ領域のn型非晶質シリコン層側の一部表面のみに設けられてもよい。例えば、第2主面側高ドープ領域を厚さ方向に略直交する方向の両端部のみに設けてもよく、又は該略直交する方向の中央部のみに設けてもよい。又は、面内に点在していてもよい。
【0050】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態の太陽電池310の主要部における模式断面図である。図8では、透明導電層及び集電極は、図示を省略する。第3実施形態の太陽電池310では、第2実施形態の太陽電池210の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略する。第3実施形態の太陽電池310では、第1および第2実施形態の太陽電池10,210と共通の作用効果および変形例については説明を省略する。第3実施形態の太陽電池310では、第1および第2実施形態10,210の太陽電池と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行う。
【0051】
第3実施形態では、n型結晶性シリコン基板301がn型低ドープ領域11、第1主面側高ドープ領域12および第2主面側高ドープ領域213を備える点が、第2実施形態と同等である。一方、第3実施形態では、n型結晶性シリコン基板301がn型低ドープ領域11の両側面を覆うように設けられた第1および第2側方高ドープ領域314a,314bを備える点が、第2実施形態と異なる。
【0052】
図8に示すように、n型結晶性シリコン基板301は、n型低ドープ領域11の厚さ方向に略直交する方向の一方側に第1側方高ドープ領域314aを有する。また、n型結晶性シリコン基板301は、n型低ドープ領域11の上記略直交する方向の他方側に第2側方高ドープ領域314bを有する。第1および第2側方高ドープ領域314a,314bの夫々は、n型結晶性シリコン基板301の厚さ方向に延在する。第1側方高ドープ領域314aは、上記略直交する方向の一方側で第1主面側高ドープ領域12と第2主面側高ドープ領域213とを連結する。また、第2側方高ドープ領域314bは、上記略直交する方向の他方側で第1主面側高ドープ領域12と第2主面側高ドープ領域213とを連結する。
【0053】
第1および第2側方高ドープ領域314a,314bの夫々は、低ドープ領域11よりも高いn型平均ドーパント濃度を有する。第1側方高ドープ領域314aのn型平均ドーパント濃度は、第1主面側高ドープ領域12および第2主面側高ドープ領域213のうちの1以上の領域のn型平均ドーパント濃度と同一であってもよい。また、第1側方高ドープ領域314aのn型平均ドーパント濃度は、それら全ての領域12,213のn型平均ドーパント濃度と異なってもよい。また、第2側方高ドープ領域314bのn型平均ドーパント濃度は、第1主面側高ドープ領域12、第2主面側高ドープ領域213および第1側方高ドープ領域314aのうちの1以上の領域のn型平均ドーパント濃度と同一であってもよい。また、第2側方高ドープ領域314bのn型平均ドーパント濃度は、それら全ての領域12,213,314aのn型平均ドーパント濃度と異なってもよい。第1および第2側方高ドープ領域314a,314bの夫々が、1×1018cm-3以上、例えば2×1018cm-3〜2.5×1018cm-3のn型平均ドーパント濃度を有すると好ましい。第1および第2側方高ドープ領域314a,314bの夫々における基板厚さ方向に垂直な方向の層厚は、仕様によって適宜変動できる。第1および第2側方高ドープ領域314a,314bの夫々における基板厚さ方向に垂直な方向の層厚は、例えば200nm以下にできるが、数nm〜500nmの範囲であればよく、15nm〜200nm、さらに好ましくは50nm〜100nmであるのが好適である。
【0054】
第3実施形態によれば、n型結晶性シリコン基板301の両側面が第1および第2側方高ドープ領域314a,314bで覆われるので、n型結晶性シリコン基板301の両側面の表面再結合を低減でき、発電性能を向上できる。
【0055】
また、n型結晶性シリコン基板301の低ドープ領域11を取り囲むようにn型高ドープ領域が設けられるので、各高ドープ領域12,213,314a,314bを、POCl3ガスを使用した熱拡散等で低ドープ領域11の周囲に同時かつ容易に形成できる。したがって、太陽電池310の製造工数を低減できてサイクルタイムを短縮できる。この場合、高ドープ領域12,213,314a,314b全てが1×1018cm-3以上で同一のn型平均ドーパント濃度を有すると好ましく、1×1019cm-3以上、5×1019cm-3以下のn型平均ドーパント濃度を有するのが更に好ましい。
【0056】
尚、第3実施形態では、第1および第2側方高ドープ領域314a,314bが、n型低ドープ領域11の両側面を覆うように設けられる例について説明した。しかし、側方高ドープ領域は、n型低ドープ領域11の片側側面のみに設けられてもよい。
【0057】
また、第1および第2側方高ドープ領域314a,314bが、第1主面側高ドープ領域12と第2主面側高ドープ領域213とを連結する例について説明した。しかし、少なくとも1つの側方高ドープ領域は、第1主面側高ドープ領域と第2主面側高ドープ領域とを連結しなくてもよい。少なくとも1つの側方高ドープ領域が、低ドープ領域の側面の一部のみに設けられてもよい。また、第2主面側高ドープ領域が存在しない場合に側方高ドープ領域を低ドープ領域の側面の少なくとも一部に設けてもよい。また、図9すなわち第3実施形態の変形例での太陽電池410の主要部の模式断面図に示すように、n型シリコン基板401の第1主面側の中央部にn型高ドープ領域を設けなくてもよい。図9に示すように、第1主面側高ドープ領域がn型シリコン基板401の厚さ方向に略直交する方向の両端部のみに設けられてもよい。尚、図9では、透明導電層及び集電極の図示は省略されている。
【0058】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態の太陽電池510の模式断面図である。第4実施形態の太陽電池510では、第1実施形態の太陽電池10と共通の作用効果および変形例については説明を省略し、第1実施形態の太陽電池10と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行う。
【0059】
第4実施形態の太陽電池510では、n型結晶性シリコン基板501の第1主面側にp型半導体層550およびn型半導体層560が設けられる点が、第1〜第3実施形態と異なる。
【0060】
図10に示すように、太陽電池510は、n型結晶性シリコン基板(以下、単に基板という)501と、基板501の第1主面上に形成されたp型半導体層550及びn型半導体層560を備える。p型半導体層550とn型半導体層560は、互いに厚さ方向に重なる部分を有し、重なり部分の厚さ方向の間には絶縁層570が設けられる。基板501の受光面とは、基板501の第1主面の反対側の面に該当する。太陽電池510は、n型低ドープ領域511と、n型第1主面側高ドープ領域512とを有する。n型第1主面側高ドープ領域512は、n型低ドープ領域511よりも高いn型平均ドープ濃度を有する。n型第1主面側高ドープ領域512は、n型低ドープ領域511の受光面側とは反対側の全面に形成される。
【0061】
n型第1主面側高ドープ領域512の一部は、n型低ドープ領域511とp型半導体層550との間に設けられる。p型半導体層550は、例えば第1実施形態で説明したi型非晶質シリコン層とp型非晶質シリコン層との積層構造で構成される。p型半導体層550を、上記(1)〜(6)より選択される材料からなる再結合抑制層で構成してもよい。
【0062】
n型第1主面側高ドープ領域512の他の一部は、n型低ドープ領域511とn型半導体層560との間に設けられる。n型半導体層560は、例えば第1実施形態で説明したi型非晶質シリコン層とn型非晶質シリコン層との積層構造で構成される。n型半導体層560を、好ましくは上記(7)〜(12)より選択される材料からなる再結合抑制層で構成してもよい。
【0063】
p型半導体層550の基板501側とは反対側にはp側電極580が設けられる。p側電極580は、p型半導体層550上に設けられた透明導電層と、透明導電層上に設けられた集電極とからなる。また、n型半導体層560の基板501側とは反対側にはn側電極590が設けられる。n側電極590は、n型半導体層560上に設けられた透明導電層と、透明導電層上に設けられた集電極とからなる。p側電極580およびn側電極590の両方を基板501の受光面側とは反対側に配置することによって、遮光損失を抑制している。
【0064】
各透明導電層の材質および製造方法としては、第1実施形態で説明した材質および製造方法を好適に使用できる。各集電極は、導電性ペーストを用いて形成されてもよいが、好ましくは電解めっきにより形成される。前記裏側および表側集電極は、例えばNi、Cu、Ag等の金属から構成され、Ni層とCu層との積層構造であってもよく、耐食性を向上させるために最表面に錫(Sn)層を有してもよい。透明導電層および集電極の好適な積層構造としては、透明導電層としての酸化インジウムスズ(ITO)と集電極としてのCuの積層構造がある。
【0065】
p側電極580とn側電極590は、互いに接触しておらず電気的に分離されている。太陽電池510はn型結晶性シリコン基板501の裏面側のみに形成された一対の電極を備える。発電領域で発生した正孔はp側電極により収集され、電子はn側電極により収集される。
【0066】
p型半導体層550とn型半導体層560は、いずれもn型結晶性シリコン基板501の裏面上に積層され、当該裏面上にはp型領域とn型領域とが形成される。p型領域とn型領域は、例えば一の方向に交互に配置され、互いに噛み合う平面視櫛歯状パターンで形成される。図10に示す例では、p型半導体層550の一部がn型半導体層560の一部の上に重なって、n型結晶性シリコン基板501の裏面上に各半導体層(p型領域、n型領域)が隙間なく形成される。p型半導体層550とn型半導体層560が重なる部分には絶縁層570が設けられる。絶縁層570は、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素等から構成される。各層や各領域において、ドーパント濃度、層厚および各層の製造法は、仕様によって適宜変動される。濃度、層厚、各層の製造法は、第1実施形態およびその変形例で説明したものを採用できる。
【0067】
第4実施形態によれば、低ドープ領域511の受光面側とは反対側の全面に形成された第1主面側高ドープ領域512の一部が、n型低ドープ領域511とp型半導体層550との間に位置する。また、第1主面側高ドープ領域512の他の一部が、n型低ドープ領域511とn型半導体層560との間に位置する。したがって、低ドープ領域511の受光面側とは反対側に1つの高ドープ領域512を設けるだけで、第2実施形態の第1および第2主面側高ドープ領域12,213に対応する層を一度に形成できる。よって、影がかかった太陽電池が生じた場合の太陽電池モジュールの出力低下の抑制効果と、光生成キャリアの再結合の抑制効果とを簡易に獲得できる。
【0068】
第4実施形態では、n型低ドープ領域511の全面に第1主面側高ドープ領域512を設ける例について説明した。しかし、n型低ドープ領域の全面に第1主面側高ドープ領域を設けなくてもよい。図11は、第4実施形態の変形例の太陽電池610の模式断面図である。この変形例では、第4実施形態の構成部と同一な構成部には同一参照番号を付して説明を省略する。図11に示すように、この変形例では、第1主面側高ドープ領域612がn型結晶性シリコン基板601におけるn型低ドープ領域611とp型半導体層550との間の一部のみに設けられる。この変形例のように、第1主面側高ドープ領域612をn型低ドープ領域611とn型半導体層560との間に設けなくても、影がかかった太陽電池610が生じた場合の太陽電池モジュールの出力低下を抑制できる。尚、第1主面側高ドープ領域を、n型結晶性シリコン基板におけるn型低ドープ領域とp型半導体層との間の全域に設ける一方、n型結晶性シリコン基板におけるn型低ドープ領域とn型半導体層との間に全く設けないようにしてもよい。また、第1主面側高ドープ領域を、n型結晶性シリコン基板におけるn型低ドープ領域とp型半導体層との間の全域に設けるとともに、n型結晶性シリコン基板におけるn型低ドープ領域とn型半導体層との間の一部のみに設けてもよい。また、第1主面側高ドープ領域を、n型結晶性シリコン基板におけるn型低ドープ領域とp型半導体層との間の一部のみに設けるとともに、n型結晶性シリコン基板におけるn型低ドープ領域とn型半導体層との間の一部のみに設けてもよい。
【0069】
(変形例)
上述の各実施形態においては、イオン注入法、熱拡散法、プラズマドープ法またはエピタキシャル成長法等によって高ドープ領域を形成したが、熱拡散法の一例として、所定導電型の高ドープ領域は、結晶性シリコン基板の表面に該所定導電型ドーパントを含む溶液を接触させる工程の後に、当該結晶性シリコン基板の熱処理工程を行うことによって、該所定導電型ドーパントを結晶性シリコン基板に拡散させる方法によって形成してもよい。また、前記溶液として所定導電型ドーパントを含み且つシリコンを酸化させる溶液を準備し、当該結晶性シリコン基板にこの溶液を接触させて結晶性シリコン基板の表面に該所定導電型ドーパントを含むシリコン酸化層を形成し、その後、熱処理工程によって、当該シリコン酸化層から結晶性シリコン基板の表面へと所定導電型ドーパントを拡散させる方法で形成してもよい。例えば、n型の高ドープ領域は、P、As、Sb等のn型ドーパントを含む溶液を用いて形成してよく、特に好ましいn型ドーパントであるPを用いる場合について、第3実施形態の変形例を挙げて詳しく説明する。
【0070】
図12は、本変形例における高ドープ領域12、213、314a及び314bの形成方法を示す図である。なお、第3実施形態と同一または類似の部分には同一の番号を付している。
【0071】
まず、表面にテクスチャ構造を備えるn型結晶性シリコン基板301の表面に、シリコン酸化層370を形成する機能を有する、Pを含むシリコンの酸化用薬液を用意する。n型結晶性シリコン基板301は、高ドープ領域12、213、314a及び314bよりも低いn型ドーパント濃度を有する低ドープ領域11である。次に、表面にテクスチャ構造を備えるn型結晶性シリコン基板301を、上記酸化用薬液に浸漬し、n型結晶性シリコン基板301の表面全体に数Å〜20Å程度の厚みを有する、Pを含む酸化層370を形成する(S1)。次に、窒素雰囲気又は酸素雰囲気下において、Pを含む酸化層370を表面に備えたn型結晶性シリコン基板301を熱処理する(S2)。この熱処理によって、酸化層370に含まれるPがn型結晶性シリコン基板301の表面から内部に向かって拡散し、n型結晶性シリコン基板301の酸化層370との界面およびその近傍に他の領域よりもPの濃度が高いn+領域である高ドープ領域12、213、314a及び314bを形成する。その後、n型結晶性シリコン基板301をフッ酸(HF)溶液に浸漬させて酸化層370を除去し、n型結晶性シリコン基板301の表面に高ドープ領域12、213、314a及び314bを露出させる(S3)。
【0072】
S1のウェットプロセス工程で用いるシリコンの酸化用薬液は、n型ドーパントを含む酸性水溶液であって、シリコンの表面を酸化させる機能を有する水溶液であればよく、本変形例においては、85質量%濃度の硝酸水溶液と70質量%濃度のリン酸水溶液の混合液が用いられる。各水溶液の混合比率は、体積比率において硝酸水溶液:リン酸水溶液が10:90ないし50:50の範囲であればよく、20:80ないし40:60であるのが好ましい。S1の工程における処理温度は、例えば20℃〜100℃であり、50℃〜80℃程度の範囲であるのが好ましい。
【0073】
上記酸性水溶液は、リン酸(オルトリン酸)および硝酸を含むものに限定されず、例えば硝酸の代わりに又は硝酸と共に、塩酸、過酸化水素水等の他の酸を含んでいてもよい。n型ドーパント源であるリン酸にはメタリン酸を用いてもよく、また酸性水溶液にはリン酸以外のP含有化合物が含まれていてもよい。
【0074】
上記では酸性水溶液を用いる方法を例示したが、n型結晶性シリコン基板301を溶解させてしまうアルカリ系の水溶液を用いない限りにおいて、中性の薬液等、他の薬液も利用可能である。
【0075】
S2で示す熱処理は、ドーパントの熱拡散処理であり、酸素または窒素雰囲気下で実施されるが、酸素雰囲気下で行うのが特に好ましい。或いは、水蒸気雰囲気下で熱処理を行ってもよい。熱処理の温度は700℃〜1000℃の範囲であるのが好ましく、800℃〜950℃の範囲であるのが更に好ましいが、適宜調整可能である。熱処理時間は、例えば10〜60分程度であり、適宜調整可能である。
【0076】
シリコンの酸化用薬液によって形成されるPを含む酸化層370は、n型結晶性シリコン基板301の全面を覆っていてもよく、部分的に、又はアイランド状に形成されていてもよい。酸化層370の厚みや形成面積は、酸化層370を形成する際のシリコンの酸化用薬液に含まれる複数の酸水溶液の混合比率及びそれぞれの酸水溶液の濃度、ならびに、酸化層370形成時の温度及び形成時間等によって調整することができる。また、n型結晶性シリコン基板301へのP拡散についても、熱処理の温度やその熱処理時間等を調整することによって、Pが拡散する深さや、P濃度を調整することができる。
【0077】
以上、第3実施形態の変形例では、所定導電型ドーパントを含む溶液を基板に接触させた後、所定の熱処理によって所定導電型ドーパントを基板に拡散させて高ドープ領域を形成する方法について説明したが、第1、第2及び第4実施形態における高ドープ領域も、この方法と同様の方法によって形成してよい。例えば、n型結晶性シリコン基板301の表面全体にPを含む酸化層370を形成した後、一部の酸化層370を除去してから熱処理を行うことによって、表面に高ドープ領域と低ドープ領域の両方を備えるn型結晶性シリコン基板301を形成してもよい。また、n型結晶性シリコン基板301の表面全体にPを含む酸化層370を形成し、熱処理によってn型結晶性シリコン基板301の表面全体に高ドープ領域を形成したのち、形成された高ドープ領域の一部をエッチング等によって除去することによって、表面に高ドープ領域と低ドープ領域の両方を備えるn型結晶性シリコン基板301を形成してもよい。
【0078】
上述のように、ウェットプロセスと熱処理によって高ドープ領域を形成したn型結晶性シリコン基板301は、上記各実施形態と同様の製造工程を経て、太陽電池を完成させてよい。太陽電池の製造工程は、酸化層370が除去されたn型結晶性シリコン基板301の第1主面側にp型非晶質シリコン層を形成する工程を含む。また、太陽電池の製造工程は、酸化層370が除去されたn型結晶性シリコン基板301の第2主面側にn型非晶質シリコン層を形成する工程を含むことが好ましい。ウェットプロセスと熱処理によるドーパント拡散方法を用いた場合であっても、良好な電圧−電流特性を備えた太陽電池を形成することができ、好適な結果が得られる。なお、本変形例に示した高ドープ領域の形成方法は、一例である。本変形例に示した方法のほか、スピンコート法やスプレー法等によって、結晶性シリコン基板の表面にドーパントを含む溶液を塗布した後、熱処理を行う方法によって、高ドープ領域を形成することもできる。
【符号の説明】
【0079】
1、 201、 301、 401、 501、 601 n型シリコン基板、 2 第1i型非晶質シリコン層、 3 p型非晶質シリコン層、 4 第2i型非晶質シリコン層、 5 n型非晶質シリコン層、 10、 210、 310、 410、 510、 610 太陽電池、 11、 511、 611 低ドープ領域、 12、 512、 612 第1主面側高ドープ領域、16 配線材、20 太陽電池ストリング、 30 バイパスダイオード、 50 太陽電池モジュール、 213 第2主面側高ドープ領域、 314a 第1側方高ドープ領域、 314b 第2側方高ドープ領域、 550 p型半導体層、 560 n型半導体層 、370 酸化層
図1
図2
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【国際調査報告】