(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年10月5日
【発行日】2018年9月27日
(54)【発明の名称】ワークの測定装置および工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/20 20060101AFI20180831BHJP
G01B 5/008 20060101ALI20180831BHJP
【FI】
B23Q17/20 A
G01B5/008
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】特願2018-508318(P2018-508318)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年3月31日
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 一成
(72)【発明者】
【氏名】河合 理恵
(72)【発明者】
【氏名】葛西 恒二
(72)【発明者】
【氏名】スタンク,アレクサンドラ フロレンティナ
【テーマコード(参考)】
2F062
3C029
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062AA07
2F062AA09
2F062AA10
2F062AA41
2F062AA71
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2F062FF13
2F062FF26
2F062HH01
2F062LL18
2F062MM06
3C029BB02
(57)【要約】
オペレーターがジョグ送り手段(200)によって主軸(112)とテーブル(106)とを相対移動させ、測定プローブ(114)がテーブルに固定されたワークに接触したときに、各送り軸の座標値を記憶し、該測定プローブを移動させるために用いた送り軸と、送り軸の移動方向と、ワークへの測定プローブの接触が何回目の接触であるか、および、現在のオペレーターによるジョグ送り操作が何番目の工程であるかに基づいて、オペレーターが行う測定のタイプを判定し、記憶された各送り軸の座標値に基づいてワークを測定するっようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸とテーブルとを相対的に移動させる複数の送り軸を有した工作機械の前記テーブルに固定されたワークを測定する測定装置において、
前記工作機械の主軸の先端に装着された測定プローブと、
オペレーターの手動操作により前記主軸と前記テーブルとを相対移動させる送り軸とを備え、
オペレーターの手動操作により前記主軸と前記テーブルとを相対移動させ、前記測定プローブが前記テーブルに固定されたワークに接触したときに、該測定プローブを移動させるために用いた送り軸と、送り軸の移動方向とを記憶し、前記測定プローブを移動させるための送り軸と送り軸の移動方向の履歴に基づいて、オペレーターが行う測定のタイプを予測し、前記予測した測定タイプを表示することを特徴としたワーク測定装置。
【請求項2】
前記測定プローブを移動させるための送り軸と、送り軸の移動方向の履歴から予測される測定タイプを複数表示したのちに、更に前記オペレーターの手動操作によって前記主軸と前記テーブルとを相対移動させ、前記測定プローブが前記テーブルに固定されたワークに接触したときに、表示する測定タイプを減らす請求項1に記載のワーク測定装置。
【請求項3】
前記測定プローブを移動させるために用いた送り軸、送り軸の移動方向、前記ワークへの前記測定プローブの接触回数、および、現在のジョグ送り操作の順番と関連付けて測定のタイプを記憶した測定タイプ記憶部を具備する請求項1に記載のワーク測定装置。
【請求項4】
オペレーターによって実行されたジョグ送り操作を順次に表示する表示部を具備する請求項1に記載のワーク測定装置。
【請求項5】
測定結果を工作機械のNC装置へ出力するようにした請求項1に記載のワーク測定装置。
【請求項6】
テーブルに載置されたワークと主軸とを相対的に移動する送り軸を有し、該ワークを加工する工作機械において、
前記工作機械の主軸の先端に装着された測定プローブと、
オペレーターの手動操作により前記主軸と前記テーブルとを相対移動させる送り軸とを備え、
オペレーターの手動操作により前記主軸と前記テーブルとを相対移動させ、前記測定プローブが前記テーブルに固定されたワークに接触したときに、該測定プローブを移動させるために用いた送り軸と、送り軸の移動方向とを記憶し、前記測定プローブを移動させるための送り軸と送り軸の移動方向の履歴に基づいて、オペレーターが行う測定のタイプを予測し、前記予測した測定タイプを表示することを特徴とした工作機械。
【請求項7】
前記測定プローブを移動させるための送り軸と、送り軸の移動方向の履歴から予測される測定タイプを複数表示したのちに、更に前記オペレーターの手動操作によって前記主軸と前記テーブルとを相対移動させ、前記測定プローブが前記テーブルに固定されたワークに接触したときに、表示する測定タイプを減らす請求項6に記載のワーク測定装置。
【請求項8】
オペレーターが前記主軸と前記テーブルとを相対移動させ、前記測定プローブが前記テーブルに固定されたワークに接触したときに、各送り軸の座標値を記憶し、該測定プローブを移動させるために用いた送り軸と、送り軸の移動方向と、前記ワークへの前記測定プローブの接触が何回目の接触であるか、および、現在のオペレーターによるジョグ送り操作が何番目の工程であるかに基づいて、オペレーターが行う測定のタイプを判定し、前記記憶された各送り軸の座標値に基づいてワークを測定することを特徴とした請求項6に記載の工作機械。
【請求項9】
前記測定プローブを移動させるために用いた送り軸、送り軸の移動方向、前記ワークへの前記測定プローブの接触回数、および、現在のジョグ送り操作の順番と関連付けて測定のタイプを記憶した測定タイプ記憶部を具備する請求項6に記載の工作機械。
【請求項10】
オペレーターによって実行されたジョグ送り操作を順次に表示する表示部を具備する請求項8に記載の工作機械。
【請求項11】
測定結果を工作機械のNC装置へ出力するようにした請求項6に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のテーブルに固定したワークを簡単な操作で測定可能にしたワークの測定装置および工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械では、加工プログラムを実行してワークを加工する際に、ワークの基準位置を工作機械に設定する必要がある。そのために、測定プローブを用いてワークの基準点を測定している。こうしたワークの測定作業を測定用NCプログラムにより自動的に実行する方法が特許文献1に記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、手動操作にて測定プローブを測定位置に配置した後、ワークへの接近動作をさせて測定プローブがワークに接触したときの座標値を読み取り、これを順次繰り返して所望のワーク測定を行う半自動測定方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−301042号公報
【特許文献2】特開2008−111770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、自動測定するために、測定開始位置やワークの概略寸法等を引数として有したNCプログラムを予め作成する必要がある。大量生産の場合には、測定用NCプログラムを作成すれば、ワークの測定を効率良く行うことが可能となる。然しながら、試作品を作成する場合や、多品種少量生産の場合には、測定用NCプログラムを作成することは、費用対効果の観点から問題がある。
【0006】
特許文献2の方法では、ワークに対してどの測定を行うのか(測定タイプ)をワークを測定するたびにオペレーターが、例えば測定メニューから探し出して測定装置に設定しなければならないが、多数の測定タイプから所望の測定タイプを探し出すことは時間と労力を要する作業である。また、測定中に測定プローブがワークに確実にアプローチするために、ワークの概略寸法を予め機械(NC装置)に設定する必要あり、これによって測定作業に要する時間が更に増大する。
【0007】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、オペレーターが迅速かつ容易にワークの測定を行うことができるようにした測定装置および工作機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、主軸とテーブルとを相対的に移動させる複数の送り軸を有した工作機械の前記テーブルに固定されたワークを測定する測定装置において、前記工作機械の主軸の先端に装着された測定プローブと、オペレーターの手動操作により前記主軸と前記テーブルとを相対移動させる送り軸とを備え、オペレーターの手動操作により前記主軸と前記テーブルとを相対移動させ、前記測定プローブが前記テーブルに固定されたワークに接触したときに、該測定プローブを移動させるために用いた送り軸と、送り軸の移動方向とを記憶し、前記測定プローブを移動させるための送り軸と送り軸の移動方向の履歴に基づいて、オペレーターが行う測定のタイプを予測し、前記予測した測定タイプを表示するワーク測定装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、テーブルに載置されたワークと主軸とを相対的に移動する送り軸を有し、該ワークを加工する工作機械において、前記工作機械の主軸の先端に装着された測定プローブと、オペレーターーの手動操作により前記主軸と前記テーブルとを相対移動させる送り軸とを備え、オペレーターの手動操作により前記主軸と前記テーブルとを相対移動させ、前記測定プローブが前記テーブルに固定されたワークに接触したときに、該測定プローブを移動させるために用いた送り軸と、送り軸の移動方向とを記憶し、前記測定プローブを移動させるための送り軸と送り軸の移動方向の履歴に基づいて、オペレーターが行う測定のタイプを予測し、前記予測した測定タイプを表示する工作機械が提供される。
【発明の効果】
【0010】
オペレーターが、測定プローブをジョグ送り操作して測定装置に対して測定点を直接教示するので、オペレーターは、測定に際して測定項目を選択したり、ワークの概略寸法を入力する必要がなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を適用する工作機械の一例を示す側面図である。
【
図4】本発明の好ましい実施形態による測定装置のブロック図である。
【
図17】測定タイプの一例(コーナー測定)を示す略図である。
【
図18】測定タイプの一例(中心測定)を示す略図である。
【
図19】測定タイプの一例(ポケット中心測定)を示す略図である。
【
図20】測定タイプの一例(円筒穴中心測定)を示す略図である。
【
図21】測定タイプの一例(円筒中心測定)を示す略図である。
【
図22】測定タイプの一例(傾斜測定)を示す略図である。
【
図23】測定タイプの一例(1軸測定)を示す略図である。
【
図24】測定タイプの一例(丸穴間傾斜測定)を示す略図である。
【
図25】測定タイプの一例(丸穴間中点測定)を示す略図である。
【
図26】測定タイプの一例(3穴中心測定)を示す略図である。
【
図27】測定タイプの一例(4穴中心測定)を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1を参照すると、本発明を適用する工作機械の一例が示されている。
図1において、本発明の好ましい実施の形態による工作機械100は、立形マシニングセンタを構成しており、工場の床面に固定された基台としてのベッド102、ベッド102の前方部分(
図1では左側)の上面で前後方向またはY軸方向(
図1では左右方向)に移動可能に設けられワークWが固定されるテーブル106、ベッド102の後端側(
図1では右側)で同ベッド102の上面に立設、固定されたコラム104、該コラム104の前面で左右方向またはX軸方向(
図1では紙面に垂直な方向)に移動可能に設けられたX軸スライダ108、X軸スライダ108の前面で上下方向またはZ軸方向に移動可能に取り付けられ主軸112を回転可能に支持する主軸頭110を具備している。工作機械100は、また、オペレーターが工作機械100を操作するための操作盤200を備えている。
【0013】
主軸112の先端には、テーブル106に固定されたワークWを加工する工具(図示せず)が装着される。
図1では、主軸112の先端には、工具に代えて、ワークWを測定するための測定プローブ114が装着されている。測定プローブ114は、工作機械100のオペレーターが手動操作によって装着したり、或いは、工作機械100のNC装置150によって自動的に装着するようにできる。
【0014】
テーブル106は、ベッド102の上面において水平なY軸方向(
図1の左右方向)に延設された一対のY軸案内レール(図示せず)に沿って往復動可能に設けられており、ベッド102には、テーブル106をY軸案内レールに沿って往復駆動するY軸送り装置として、Y軸方向に延設されたボールねじ(図示せず)と、該ボールねじの一端に連結されたY軸サーボモータ(図示せず)が設けられており、テーブル106には、前記ボールねじに係合するナット(図示せず)が取り付けられている。テーブル106には、また、テーブル106のY軸方向の座標位置を測定するY軸スケール120が取り付けられている。
【0015】
X軸スライダ108は、コラム104の上方部分の前面においてX軸方向に延設された一対のX軸案内レール(図示せず)に沿って往復動可能に設けられている。コラム104には、X軸スライダ108をX軸案内レールに沿って往復駆動するX軸送り装置として、X軸方向に延設されたボールねじ(図示せず)と、該ボールねじの一端に連結されたX軸サーボモータ(図示せず)が設けられており、X軸スライダ108には、前記ボールねじに係合するナット(図示せず)が取り付けられている。コラム104には、また、X軸スライダ108のX軸方向の座標位置を測定するX軸スケール116が取り付けられている。
【0016】
主軸頭110は、X軸スライダ108の前面においてZ軸方向(
図1では上下方向)に延設された一対のZ軸案内レールに沿って往復動可能に設けられている。X軸スライダ108には、主軸頭110をZ軸案内レールに沿って往復駆動するZ軸送り装置として、Z軸方向に延設されたボールねじ(図示せず)と、該ボールねじの一端に連結されたZ軸サーボモータ(図示せず)が設けられており、主軸頭110には、前記ボールねじに係合するナット(図示せず)が取り付けられている。X軸スライダ108には、また、主軸頭110のZ軸方向の座標位置を測定するZ軸スケール118取り付けられている。
【0017】
X軸サーボモータ、Y軸サーボモータ、Z軸サーボモータおよびX軸スケール116、Y軸スケール118、Z軸スケール120は、工作機械100を制御するNC装置150(
図4)に接続されている。測定プローブ114もまた、NC装置150に接続されている。NC装置150によって、X軸サーボモータ、Y軸サーボモータ、Z軸サーボモータへ供給される電力(電流値)が制御される。
【0018】
図2、3を参照して、操作盤200を説明する。操作盤200は、後述する測定装置の表示部28(
図4)を形成する表示パネル202を含む。本実施の形態の表示パネル202は、画面を接触することにより所望の部分の選択が可能なタッチパネルにより形成することができる。操作盤200は、キー入力部204を含む。キー入力部204には、複数のキースイッチが配置されている。キー入力部204のキースイッチを押すことにより、所定の数字や文字を入力することができる。また、操作盤200は、所定の操作の選択を行う操作スイッチ部206、オーバライド値の設定を行うオーバライド設定部208〜212および非常停止ボタン214を含む。オーバライド設定部208〜212は、例えば、主軸の回転速度のオーバライド値や加工の送り速度のオーバライド値等を設定することができる。
【0019】
操作盤200は、更に、下端部分から前方へ棚状に伸びるボード222を有したジョグコンソール220を備えている。ジョグコンソール220のボード222には、X軸、Y軸、Z軸の各送り軸を個別にジョグ送り操作するジョグボタン224、ジョグ送りの速度を設定するオーバーライドスイッチ226、自動測定開始ボタン228および測定停止ボタン230が配置されている。
【0020】
次に、本発明の好ましい実施形態による測定装置のブロック図である
図4を参照すると、測定装置10は、測定軸判定部12、測定方向判定部14、測定点カウント部16、測定工程記憶部18、自動測定指令部20、測定タイプ判定部22、演算部24、測定点座標記憶部26および表示部28を主要な構成要素として具備している。
【0021】
測定軸判定部12は、NC装置150に入力されるX軸、Y軸、Z軸の各スケール116、118、120の値に基づき、機械座標系における測定プローブ114の位置座標の変化によって、X軸、Y軸、Z軸のどの送り軸でワークWを測定しているのかを判定する。測定方向判定部14は、やはり機械座標系における測定プローブ114の位置座標の変化から測定方向を判定する。
【0022】
測定点カウント部16は、測定プローブ114がワークWに接触して、X軸、Y軸、Z軸の送りが停止した回数をカウントして測定点の個数として記憶する。ジョグ送り記憶部18は、現在のジョグ送りが何番目の工程であるか、測定軸判定部12および測定方向判定部14で判定された現在測定中の軸と方向と関連付けて記憶する。自動測定指令部20は、オペレーターによって操作盤200のジョグコンソール220の自動測定開始ボタン228が押下されたときに、オペレーターによってジョグコンソール220を通じて実行されたジョグ送り操作による測定動作を再現するようNC装置150に対して指令を発する。
【0023】
測定タイプ判定部22は、測定装置10によって実行可能な測定の種類を、測定軸、測定方法、測定点の個数および測定順序と関連付けて記憶している。
図17〜
図27に測定装置10によって実行可能な測定の種類を示す。
図17は、X軸、Y軸方向から測定プローブ114をワークWに接近させ、ワークWの側面に接触させることによって、両側面の交差する隅部の座標を測定するコーナー測定を示している。
【0024】
図18は、直方体形状のワークWの中心座標を測定する中心測定を示しており、測定プローブ114をX軸またはY軸に沿ってワークWに接近させてワークWの側面に接触させ、次いで、X軸またはY軸に沿って反対方向にワークWに接近させてワークWの反対側面に接触させ、次いで、Y軸またはX軸に沿ってワークWに接近させてワークWの側面に接触させ、次いで、Y軸またはX軸に沿って反対方向にワークWに接近させてワークWの反対側面に接触させることによって、ワークWの中心座標を測定する場合を示している。X軸方向に測定した2つの測定点の座標を(x
1、y
1)、(x
2、y
2)、Y軸方向に測定した2つの測定点の座標を(x
3、y
3)、(x
4、y
4)とすると、中心の座標は((x
1+x
2)/2、(y
3+y
4)/2)で表される。
【0025】
図19は、ワークWに形成した矩形のポケットまたは凹部の中心を測定するポケット中心測定を示しており、測定プローブ114をワークWのポケット内に配置して、測定プローブ114をX軸またはY軸に沿ってポケットの一方の内側面に接近させて該内側面に接触させ、次いで、X軸またはY軸に沿って反対方向に送りポケットの反対の内側面に接触させ、次いで、Y軸またはX軸に沿ってワークWに接近させてポケットの一方の内側面に接触させ、次いで、Y軸またはX軸に沿って反対方向に送りワークWの反対側の内側面面に接触させることによって、ワークWのポケットまたは凹部の中心座標を測定する場合を示している。X軸方向に測定した2つの測定点の座標を(x
1、y
1)、(x
2、y
2)、Y軸方向に測定した2つの測定点の座標を(x
3、y
3)、(x
4、y
4)とすると、中心の座標は((x
1+x
2)/2、(y
3+y
4)/2)で表される。
【0026】
図20は、ワークWに形成した円筒形状の凹部の中心を測定する円筒穴中心測定を示している。円筒穴中心測定では、ポケット中心測定の場合と同様に、測定プローブ114をワークWの円筒形状の凹部内に配置させるが、ポケット中心測定の場合と異なり、測定プローブ114を円筒穴の中心軸線付近にジョグ送り操作で移動させる。このときに円筒測定ボタン256をタップまたはクリックしてから自動測定開始ボタン228を押下すると、円筒穴の中心軸線の位置を求める円筒中心測定と予測される。内円測定と予測されると、自動運転で測定プローブ114がX軸に沿って円筒形状の凹部の内側面に接触する動作が行われ、次いで、X軸の反対方向に送られて円筒形状の凹部の内側面に接触する動作が行われ、次いで、当初の中心軸線付近の位置からY軸方向に沿って円筒形状の凹部の内側面に接触する動作が行われ、次いで、Y軸の反対方向に送られて円筒形状の内側面に接触する動作が行われる。接触によって得られた座標値より円筒穴の中心軸の位置が算出される。
【0027】
図21は、円筒形状のワークWの中心座標を測定する円筒中心測定を示している。
円筒穴中心測定の場合と異なり、先にジョグ送り操作で円筒側面の任意の箇所に側面プローブ114を接触させ、円筒側面の任意の箇所を測定したのち、測定プローブ114を円筒形状の円筒の中心軸線上の付近で、かつ、円筒形状の上方にジョグ送り操作で移動させる。このときに、円筒測定ボタン256をタップまたはクリックしてから自動測定ボタン228を押下すると、円筒の中心軸線の位置を求める円筒中心測定と予測される。円筒中心測定と予測されると、自動運転で測定プローブ114を円筒の外側から内側に向かって接触させる動作がX軸方向、X軸の反対方向、Y軸方向、Y軸の反対方向の各々の方向で行われる。接触によって得られた座標値より円筒の中心軸の位置が算出される。
【0028】
図22は、ワークWのX軸に対する傾斜角を測定する傾斜測定を示している。これは、ワークWの1つの側面に対して測定プローブ114を直線状に接近させて該側面に接触させ、次いで、1回目に測定プローブ114をワークWに接近させた直線経路に対して垂直方向に移動させ、次いで、測定プローブ114を前記直線経路に対して平行にワークWの前記1つの側面に対して直線状に接近させて該側面に接触させることによって、X軸に対するワークWの傾斜角θを測定する。2つの測定点の座標を(x
1、y
1)、(x
2、y
2)とすると、傾斜角θは、θ=ATAN(y
2−y
1)/(x
2−x
1)の計算式によって演算により求めることができる。
【0029】
図23は、ワークWのX軸、Y軸、Z軸に垂直な側面の1つのX座標、Y座標またはZ座標を測定する1軸測定を示している。これは、測定プローブ114をワークWのX軸、Y軸またはZ軸方向にワークWに接近させて、ワークWのX軸、Y軸、Z軸に垂直な側面の1つに接触させることによって、その側面のX座標、Y座標またはZ座標を測定する。
【0030】
図24は、2つの丸穴の中心間の直線のX軸に対する傾斜角を測定する丸穴間傾斜測定を示している。これは、
図20の円筒穴中心測定によって、2つの丸穴の各々の中心を求め、
図22の傾斜測定と同様の方法で該2つの丸穴の中心間の直線のX軸に対する傾斜角を測定する。
【0031】
図25は、2つの丸穴の中心間の中点の座標を測定する丸穴間中点測定を示している。これは、
図20の円筒穴中心測定によって、2つの丸穴の各々の中心を求め、該2つの中心の中点を算出する。2つの中心の座標を(x
1、y
1)、(x
2、y
2)とすると、中点の座標は((x
1+x
2)/2、(y
1+y
2)/2)で表される。
【0032】
図26は、3つの丸穴の中心を通る円の中心の座標を測定する3穴中心測定を示している。これは、
図20の円筒穴中心測定によって、3つの丸穴の各々の中心を求め、該3つの中心を通る円の中心を算出する。
【0033】
図27は、4つの丸穴の中心を通る円の中心の座標を測定する4穴中心測定を示している。これは、
図20の円筒穴中心測定によって、4つの丸穴の各々の中心を求め、該4つの中心を通る円の中心を算出する。
【0034】
次に、
図5〜
図16を参照して、本発明のワーク測定方法の一例を説明する。
図5〜
図16は表示部28(202)に表示される画面を示しており、該画面には、送り軸の座標表示領域250、測定タイプを示すアイコン252、測定プローブ114の移動方向(矢印A)をワークWと共に示す測定プローブ移動方向表示領域254、円筒穴中心測定を自動で実行させるための円筒測定ボタン256、測定結果としての座標値を表示する座標表示領域258、測定結果としての寸法値を表示する寸法表示領域260、X軸に対するワークWの傾斜角を表示する傾斜角表示領域262、および、測定プローブ114のZ軸方向の危険領域を設定するボタン264を含んでいる。また、測定した座標を工作機械のワーク座標系に設定するための座標設定ボタン266を備える。
【0035】
図5、6は、ワークWの高さ、つまりワークWのZ軸方向の寸法測定を示している。オペレーターがジョグコンソール220のジョグボタン224を操作することによって、測定プローブ114をZ軸に沿ってワークWの上方から下動させると、測定軸判定部12はX軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸の動作指令から、Z軸の測定が実行中であると判定する。同時に、測定方向判定部14は、移動指令から、測定プローブ114がZ軸に沿って下動していることを判定する。これによって、測定プローブ移動方向表示領域254には、矢印Aによって測定プローブ114がZ軸方向にワークWの上方から下動している状態が示されている。
【0036】
測定プローブ114がワークWの上面に接触すると、測定プローブ114からスキップ信号がNC装置150へ出力される。スキップ信号を受信すると、その時のX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標がNC装置150から測定点座標記憶部26へ出力される。また、NC装置150は、スキップ信号を受信するとZ軸の送りを反転し、測定プローブ114をワークWから離反させ、所定距離移動したところで、測定プローブ114の反転動作を停止する。測定工程記憶部18は、1番目の工程として上述のオペレーターによるジョグ送り操作を記憶する。
【0037】
このとき、測定タイプ判定部22は、今般の測定で用いられたのはZ軸だけであるとの情報を測定軸判定部12から、Z軸に沿ってワークWに接近する方向に測定プローブ114が移動したとの情報を測定方向判定部14から、測定点は1つだけであるとの情報を測定点カウント部16から、および、測定工程記憶部18から、今般の測定はZ軸に沿って測定プローブ114を移動させた工程だけを含んでいるという情報を受け取り、これに基づいて、オペレーターがジョグ送りによって教示した測定として、
図23に示した1軸測定が抽出され、測定タイプを示すアイコン252として
図23のアイコンがアクティブに表示される。
【0038】
オペレーターがジョグコンソール220の自動測定開始ボタン228を押下すると、NC装置150に格納されている自動測定プログラムが実行され、測定点座標記憶部26に記憶されている測定点の座標(測定プローブ114がワークWに接触したときのX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標)へ向けて、測定プローブ114がZ軸に沿って下動する。測定プローブ114の先端がワークWの上面に接触すると、スキップ信号が測定プローブ114からNC装置150へ出力される。スキップ信号を受信すると、その時のX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標がNC装置150から測定点座標記憶部26へ出力される。また、NC装置150は、スキップ信号を受信するとZ軸の送りを反転し、測定プローブ114をワークWから離反させ、所定距離移動したところで、測定プローブ114の反転動作を停止する。自動測定が完了すると、演算部24は測定値に基づいてワークWの高さとしてZ軸方向の寸法を演算する。測定結果は、座標表示領域258にワークWの高さとしてZ軸方向の寸法が表示される。
【0039】
このように、NC装置150に格納されている測定プログラムに従って測定を行うことにより、ワークWへの測定プローブ114の接近速度を最適化することが可能となり、測定プローブ114による測定誤差を小さくすることができる。
【0040】
図7を参照すると、オペレーターがジョグコンソール220のジョグボタン224を操作することによって、測定プローブ114をX軸に沿ってワークWへ接近させると、測定軸判定部12はX軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸の動作指令から、X軸の測定が実行中であると判定する。同時に、測定方向判定部14は、X軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸の動作指令から、測定プローブ114がX座標値が増加する方向に送られていることを判定する。これによって、測定プローブ移動方向表示領域254には、矢印Bによって測定プローブ114がX軸に沿って正の方向に移動している状態が示されている。
【0041】
測定プローブ114がワークWの側面に接触すると、測定プローブ114からスキップ信号がNC装置150へ出力される。スキップ信号を受信すると、その時のX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標がNC装置150から測定点座標記憶部26へ出力される。また、NC装置150は、スキップ信号を受信するとX軸の送りを反転し、測定プローブ114をワークWから離反させ、所定距離移動したところで、測定プローブ114の反転動作を停止する。測定工程記憶部18は、1番目の測定工程として、上述のオペレーターによるジョグ送り操作を記憶する。
【0042】
このとき、測定タイプ判定部22は、今般の測定で用いられたのはX軸だけであるとの情報を測定軸判定部12から、X軸に沿って正の方向に測定プローブ114が移動したとの情報を測定方向判定部14から、測定点は1つだけであるとの情報を測定点カウント部16から、および、今般の測定はX軸に沿って測定プローブ114を移動させた工程だけを含んでいるという情報を測定工程記憶部18から受け取り、これに基づいて、オペレーターがジョグ送りによって教示した測定として、
図23に示した1軸測定が抽出され、測定タイプを示すアイコン252として
図23のアイコンがアクティブに表示される。
【0043】
続けてオペレーターがジョグ送り操作によって、測定プローブ114をX軸に沿って矢印Bとは反対方向にワークWへ接近させると、測定軸判定部12はX軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸の動作指令から、X軸の測定が実行中であると判定する。同時に、測定方向判定部14は、X軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸の動作指令から、測定プローブ114がX軸に沿って負の方向に送られていることを判定する。これによって、測定プローブ移動方向表示領域254には、
図8の矢印Cによって測定プローブ114がX軸に沿って負の方向に移動している状態が示される。
【0044】
測定プローブ114がワークWの側面に接触すると、測定プローブ114からのスキップ信号によって、その時のX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標がNC装置150から測定点座標記憶部26へ出力され、X軸の送りが反転されて測定プローブ114がワークWから離反する方向に送られる。測定プローブ114が所定距離移動すると、測定プローブ114の反転動作が停止する。測定工程記憶部18は、2番目の測定工程として、オペレーターによるジョグ送り操作を記憶する。
【0045】
このとき、測定タイプ判定部22は、X軸が測定で用いられたとの情報を測定軸判定部12から、X軸に沿って正負の両方向に測定プローブ114が移動したとの情報を測定方向判定部14から、測定点は2つであるとの情報を測定点カウント部16から、および、今般の測定はX軸に沿って測定プローブ114を反対方向に移動させた2つの工程を含んでいるという情報を測定工程記憶部18から受け取り、更に、2つの測定点座標と測定の方向から内向きの面を測定しているか、外向きの面を測定しているのかを判別し、内向きの面を測定しているときは、オペレーターがジョグ送りによって教示した測定として、
図19に示したポケット中心測定が抽出され、可能性のある測定タイプを示すアイコン252として
図19のアイコンが表示される(
図8)。
【0046】
更にオペレーターがジョグ送り操作によって、測定プローブ114をY軸に沿って測定プローブ114をワークWへ接近させると、測定軸判定部12はX軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸の動作指令から、Y軸の測定が実行中であると判定する。同時に、測定方向判定部14は、X軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸の動作指令から、測定プローブ114がY座標値が減少する方向に送られていることを判定する。これによって、測定プローブ移動方向表示領域254には、矢印Dによって測定プローブ114がY軸に沿って負の方向に移動している状態が示されている(
図9)。
【0047】
測定プローブ114がワークWの側面に接触すると、測定プローブ114からのスキップ信号によって、その時のX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標がNC装置150から測定点座標記憶部26へ出力され、Y軸の送りが反転されて測定プローブ114がワークWから離反する方向に送られる。測定プローブ114が所定距離移動すると、測定プローブ114の反転動作が停止する。測定工程記憶部18は、3番目の測定工程として、上述のオペレーターによるジョグ送り操作を記憶する。
【0048】
更にオペレーターがジョグ送り操作によって、測定プローブ114をY軸に沿って矢印Dとは反対方向にワークWへ接近させると、測定軸判定部12はX軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸の動作指令から、Y軸の測定が実行中であると判定する。同時に、測定方向判定部14は、X軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸の動作指令から、測定プローブ114がY軸に沿って正の方向に送られていることを判定する。これによって、測定プローブ移動方向表示領域254には、
図8の矢印Eによって測定プローブ114がX軸に沿って正の方向に移動している状態が示される(
図10)。
【0049】
測定プローブ114がワークWの側面に接触すると、測定プローブ114からのスキップ信号によって、その時のX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標がNC装置150から測定点座標記憶部26へ出力され、Y軸の送りが反転されて測定プローブ114がワークWから離反する方向に送られる。測定プローブ114が所定距離移動すると、測定プローブ114の反転動作が停止する。測定工程記憶部18は、4番目の測定工程として、上述のオペレーターによるジョグ送り操作を記憶する。
【0050】
このとき、測定タイプ判定部22は、X軸およびY軸が測定で用いられたとの情報を測定軸判定部12から、X軸およびY軸に沿って正負の両方向に測定プローブ114が移動したとの情報を測定方向判定部14から、測定点は4つであるとの情報を測定点カウント部16から、および、今般の測定は、測定プローブ114をX軸に沿って正負両方向に送った後にY軸に沿って両方向に向に送った4つの工程を含んでいるという情報を測定工程記憶部18から受け取り、これに基づいて、オペレーターがジョグ送りによって教示した測定として、
図19に示したポケット中心測定が抽出され、測定タイプを示すアイコン252として
図19のアイコンがアクティブに表示される(
図10)。
【0051】
なお、より高度な測定を行いたい場合には、スキップ信号が上がるときの測定プローブ114のたわみ量が一様になるように、一定の速度で測定プローブ114とワークWとを接触させることが望ましい。接触の速度一定の条件の測定を行う場合は、オペレーターがジョグ送り操作によって、測定プローブ114をワークWに接触させたのち、ジョグコンソール220の自動測定開始ボタン228を押下すると、直前に行われた測定プローブ114とワークWとの接触動作を一定の速度で自動に行われる方式のワーク測定装置を使用する。この方式のワーク測定装置を用いる場合には、オペレーターがジョグ送り操作によって、測定プローブ114をワークWに接触教示する度に、オペレーターが自動測定開始ボタンを押下して、一定速度の測定を自動で繰り返させる。
【0052】
測定プローブ114の先端がワークWのポケットの内側面に接触すると、スキップ信号が測定プローブ114からNC装置150へ出力される。スキップ信号を受信すると、その時のX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標がNC装置150から測定点座標記憶部26へ出力される。
【0053】
NC装置150は、同様の出力を4つの全ての測定点について実行する。演算部24は、4つの測定点の座標値からワークWのポケットの中心座標を演算により求める。測定結果は、
図19のアイコンと共に座標表示領域258に表示される。
【0054】
図11において、オペレーターが更にジョグ送り操作によって測定プローブ114をY軸に沿ってワークWへ接近させると、測定軸判定部12はY軸の測定が実行中であると判定し、同時に、測定方向判定部14は測定プローブ114がY軸に沿って正の方向に送られていると判定する。これによって、測定プローブ移動方向表示領域254には、矢印Fによって測定プローブ114がY軸に沿って正の方向に移動している状態が示される。
【0055】
更にオペレーターがジョグ送り操作によって、測定プローブ114をX軸に沿ってワークWへ接近させると、測定軸判定部12はX軸の測定が実行中であると判定し、同時に、測定方向判定部14は測定プローブ114がX軸に沿って正の方向に送られていることを判定する。これによって、測定プローブ移動方向表示領域254には、
図12の矢印Gによって測定プローブ114がX軸に沿って正の方向に移動している状態が示される。
【0056】
このとき、測定タイプ判定部22は、測定軸判定部12からのX軸およびY軸が測定で用いられたとの情報、測定方向判定部14からのX軸およびY軸の双方に沿って正の方向に測定プローブ114が送られたとの情報、測定点カウント部16からの測定点は2つであるとの情報、および、測定工程記憶部18からの、今般の測定は測定プローブ114をY軸およびX軸に沿って正の方向に移動させた2つの工程を含んでいるという情報に基づいて、オペレーターがジョグ送りによって教示した測定として、
図17に示したコーナー測定を抽出する。こうして、測定タイプを示すアイコン252として
図17のアイコンがアクティブに表示される(
図12)。
【0057】
測定プローブ114の先端がワークWの側面に接触すると、スキップ信号が測定プローブ114からNC装置150へ出力される。スキップ信号を受信すると、その時のX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標がNC装置150から測定点座標記憶部26へ出力される。
【0058】
また、NC装置150は、スキップ信号を受信するとY軸の送りを反転し、測定プローブ114をワークWの側面から離反させ、所定距離移動したところで、測定プローブ114の反転動作を停止する。NC装置150は、同様の測定をX軸方向の測定点についても実行する。演算部24は、2つの測定点の座標値から、測定プローブ114が接触した2つの側面の間のコーナー部の座標を演算により求める。測定結果は、
図17のアイコンと共に座標表示領域258に表示される(
図12)。
【0059】
図13において、オペレーターが更にジョグ送り操作によって測定プローブ114をX軸に沿ってワークWへ接近させると、測定軸判定部12はX軸の測定が実行中であると判定し、同時に、測定方向判定部14は測定プローブ114がX軸に沿って正の方向に送られていると判定する。これによって、測定プローブ移動方向表示領域254には、矢印Hによって測定プローブ114がX軸に沿って正の方向に移動している状態が示される。
【0060】
更にオペレーターがジョグ送り操作によって、測定プローブ114を1回目に測定プローブ114をワークWに接近させた直線経路(X軸)に対して垂直方向(Y軸方向)に移動させ、次いで、測定プローブ114を前記直線経路に対して平行(X軸方向)にワークWの前記同じ側面に対して直線状に接近させて該側面に接触させる。このとき、測定軸判定部12はX軸の測定が実行中であると判定し、同時に、測定方向判定部14は測定プローブ114がX軸に沿って正の方向に送られていることを判定する。これによって、測定プローブ移動方向表示領域254には、測定プローブ114がX軸に沿って正の方向に移動している状態を示す矢印Iが加えられる。
【0061】
このとき、測定タイプ判定部22は、測定軸判定部12からのX軸が測定で用いられたとの情報、測定方向判定部14からのX軸に沿って正の方向に測定プローブ114が送られたとの情報、測定点カウント部16からの測定点は2つであるとの情報、および、測定工程記憶部18からの、今般の測定は測定プローブ114をX軸に沿って正の方向に移動させた2つの工程を含んでいるという情報に基づいて、オペレーターがジョグ送りによって教示した測定として、
図22に示した傾斜測定を抽出する。こうして、測定タイプを示すアイコン252として
図22のアイコンがアクティブに表示される(
図14)。
【0062】
測定プローブ114の先端がワークWの側面に接触すると、スキップ信号が測定プローブ114からNC装置150へ出力される。スキップ信号を受信すると、その時のX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の座標がNC装置150から測定点座標記憶部26へ出力される。
【0063】
また、NC装置150は、スキップ信号を受信するとX軸の送りを反転し、測定プローブ114をワークWの側面から離反させ、所定距離移動したところで、測定プローブ114の反転動作を停止する。NC装置150は、同様の測定を残りの測定点についても実行する。演算部24は、2つの測定点の座標値から、測定プローブ114が接触したワークWのX軸に対する傾斜角θを演算により求める。測定結果は、
図17のアイコンと共に座標表示領域258に表示される(
図14)。
【0064】
なお、より高度な測定を行いたい場合には、測定プローブ114をワークWに接触させるときに、ワークWの表面の法線方向から接触させることが望ましい。法線方向から接触させるないと、測定プローブ114のたわみ方が一様にならずに、接触時に測定プローブ114がたわむ量が変わり、測定結果に誤差が含まれてしまう。法線方向から接触させる条件で測定を行うため、割出ボタン268をタップまたはクリックしたのちに、自動測定開始ボタン228を押下して自動で測定プローブ114とワークWとの接触を繰り返すと、オペレーターがジョグ送り操作によって接触教示した動作に対し、座標表示領域258に表示された角度分の接触させる角度角度を補正し、測定プローブ114をワークWの表面に法線方向から接触させる。
【0065】
次に、
図15、16を参照して、円筒穴中心測定の自動実行を説明する。
オペレーターがジョグ送り操作によって測定プローブ114を測定対象であるワークWに形成した円筒穴の中心付近に配置した後に、画面上で円筒測定ボタン256をタップまたはクリックすると、画面内にジョグコンソール上の自動測定開始ボタン228を押下することをオペレーターに指示するダイアログボックスが表示される。
【0066】
ダイアログボックスの指示に従いオペレーターが自動測定開始ボタン228を押下すると、測定プローブ114の移動方向としてX軸、Y軸に沿って正負両方向に4つの矢印J〜Mが表示され、測定プローブ114が4つの矢印J〜Mに従いX軸に沿って正負両方向に送られ、次いでY軸に沿って正負両方向に順次送られ、測定プローブ114がワークWの円筒穴の側面に接触して、接触点の座標が測定点座標記憶部26に記憶される。演算部24は、測定点座標記憶部26から4つの測定点の座標値を受け取り円筒穴の中心座標を演算する。座標表示領域258に演算結果が
図20のアイコンと共に表示される。
【0067】
オペレーターが、測定プローブ114を手動操作(ジョグ送り操作や手動パルス発生器による送り操作)して測定装置に対して測定点を直接教示するので、オペレーターは、測定に際して測定項目を選択したり、ワークの概略寸法を入力する必要がなる。また、操作盤200の表示部202(28)に教示結果がワークに対する矢印によって順次表示されるので、オペレーターが測定タイプを間違えることが防止される。
【0068】
測定結果は、
図5〜
図16に示した測定画面における操作によって、NC装置150へ出力することができる。これによって、ワークWのコーナー位置(
図17)や、ワークWの中心位置(
図18、21)、ワークWの上面位置(
図23)をNC操作盤150のワーク座標系へ設定することが可能となる。従来技術では、ワークWの測定と、ワーク座標系の設定を個別に行う必要があるが、本発明では同じ測定画面内で一連の操作として測定と設定とを実行することが可能となる。
【0069】
ワークの測定では、測定プローブがワークに接触したときに、送り軸を停止させなければならないが、接触後にNC装置が測定プローブが完全に停止するまでの間、測定プローブはワークに対して更に進行し続ける。従って、測定プローブを高速で送ると、測定プローブが損傷することがある。上述の実施形態では、オペレーターが危険領域を設定するボタン264によって、ワークの高さを入力することによって、ワークが存在する領域に進入したときに、測定プローブの移動速度を安全な速度まで減速させることが可能となる。
【0070】
なお、既述の実施形態では、測定プローブ114とワークWとを相対移動させる手動操作の手段として、ジョグ送り操作で説明したが、手動パルス発生器のような手動操作手段であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 測定装置
12 測定軸判定部
14 測定方向判定部
16 測定点カウント部
18 測定工程記憶部
20 自動測定指令部
22 測定タイプ判定部
24 演算部
26 測定点座標記憶部
28 表示部
100 工作機械
106 テーブル
112 主軸
114 測定プローブ
150 NC装置
202 表示パネル
220 ジョグコンソール
224 ジョグボタン
226 オーバーライドスイッチ
228 自動測定開始ボタン
250 送り軸の座標表示領域
252 アイコン
254 測定プローブ移動方向表示領域
256 円筒測定ボタン
258 座標表示領域
260 寸法表示領域
262 傾斜角表示領域
【国際調査報告】