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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年11月16日
【発行日】2018年5月24日
(54)【発明の名称】振動砂落とし装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 29/00 20060101AFI20180420BHJP
【FI】
   B22D29/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
【出願番号】特願2016-531089(P2016-531089)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年5月13日
(11)【特許番号】特許第6006910号(P6006910)
(45)【特許公報発行日】2016年10月12日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000145149
【氏名又は名称】株式会社滋賀山下
(74)【代理人】
【識別番号】100120226
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 知浩
(72)【発明者】
【氏名】市橋 薫
(72)【発明者】
【氏名】福井 充
(57)【要約】
砂等をワークから確実に除去することができる振動砂落とし装置及び自動車部品を提供する。
振動によってワークWに付着された砂を落とすための振動砂落とし装置10であって、振動台12と、振動台12に設けられ振動台12に加振する振動モータ16と、振動台12に設けられワークWを把持するとともに所定の方向に回転させるワーク回転把持部18と、振動台12に設けられワーク回転把持部18でワークWを回転させるための回転駆動源28と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動によってワークに付着された砂を落とすための振動砂落とし装置であって、
振動台と、
前記振動台に設けられ、前記振動台に加振する振動モータと、
前記振動台に設けられ、前記ワークを把持するとともに所定の方向に回転させるワーク回転把持部と、
前記振動台に設けられ、前記ワーク回転把持部で前記ワークを回転させるための回転駆動源と、
を有することを特徴とする振動砂落とし装置。
【請求項2】
前記ワーク回転把持部は、軸部を有し、前記ワークを把持した状態で前記軸部の軸回りに前記ワークを回転させるものであり、
前記回転駆動源は、前記軸部を回転駆動させるモータであることを特徴とする請求項1に記載の振動砂落とし装置。
【請求項3】
前記モータは、振動モータを利用することを特徴とする請求項2に記載の振動砂落とし装置。
【請求項4】
前記振動台に加振する前記振動モータは、前記振動モータの重心位置と前記振動台の重心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、前記振動台に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の振動砂落とし装置。
【請求項5】
前記振動台に加振する前記振動モータは、前記振動モータの高さ方向の中心位置と前記振動台の高さ方向の中心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、前記振動台に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の振動砂落とし装置。
【請求項6】
前記ワークは、自動車部品であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動砂落とし装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動砂落とし装置により砂が除去されたことを特徴とする自動車部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車部品等、鋳造によって成型された鋳造物(ワーク)を振動によりワークに付着している砂、特にワークの中空部に付着している中子砂及びゴミ等をワークから落とすためのワークの振動砂落とし装置及び振動砂落とし装置で砂等が除去された自動車部品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品等、各種機械部品の多くは鋳造により成型される。鋳造された鋳造物(ワーク)には多量の砂が付着しており、この付着している砂を落とす作業が必要となる。
【0003】
従来のワークの振動砂落とし装置の一例として、振動台板上にワークを配置し、振動台板の振動によってワークに付着された砂を落とす振動砂落とし装置であって、ワークをクランプレバーでクランプするとともに、前記クランプレバーを空気バネで操作してワークを強固に保持し、これによりワークの熱はクランプレバーを介して空気バネに伝導するようにし、空気バネを熱の影響から保護し、かつ設備を小型化するものが提案されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
これにより、ワークから砂を落とすことができるとともに、ワークの熱がクランプレバーを介して空気バネに伝達するから、空気バネは熱によって影響を受けることがなく、しかも空気バネは従来のシリンダーよりも小型であるから、設備を小型化することができる。
【0005】
その他、特許文献2〜5に記載されているように、従来から、多くの振動砂落とし装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−149367号公報
【特許文献2】特開2012−50990号公報
【特許文献3】特開2008−6481号公報
【特許文献4】特開2007−253188号公報
【特許文献5】特開2006−55905号公報
【特許文献6】特開2004−237306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の振動砂落とし装置では、ワークに形成された穴部に付着した砂が十分に除去することができなかった。すなわち、ワークを固定した状態で振動モータからの振動を付与してワークを加振し、ワークの表面に付着していた砂やゴミ等を取り除いていたが、ワークの穴部に付着した砂等は、加振により内壁又は砂同士で衝突を繰り返して次第に細かく砕かれていき、穴部の外部へ排出され易い大きさになる。
【0008】
しかしながら、穴部の開口が鉛直下方側を向かない構成では、加振で砕かれた砂等は穴部の内部に留まり、ワークから完全に除去することができなかった。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情を考慮して、砂等をワークから確実に除去することができる振動砂落とし装置及び自動車部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、振動によってワークに付着された砂を落とすための振動砂落とし装置であって、振動台と、前記振動台に設けられ、前記振動台に加振する振動モータと、前記振動台に設けられ、前記ワークを把持するとともに所定の方向に回転させるワーク回転把持部と、前記振動台に設けられ、前記ワーク回転把持部で前記ワークを回転させるための回転駆動源と、を有する。
【0011】
この場合、前記ワーク回転把持部は、軸部を有し、前記ワークを把持した状態で前記軸部の軸回りに前記ワークを回転させるものであり、前記回転駆動源は、前記軸部を回転駆動させるモータであることが好ましい。
【0012】
なお、モータには、DCモータ、ステッピングモータ、エアモータ、油圧モータ等の既存の全てのモータが含まれる。
【0013】
特に、前記モータとして、振動モータを利用することが好ましい。
【0014】
この場合、前記振動台に加振する前記振動モータは、前記振動モータの重心位置と前記振動台の重心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、前記振動台に配置されていることが好ましい。
【0015】
この場合、前記振動台に加振する前記振動モータは、前記振動モータの高さ方向の中心位置と前記振動台の高さ方向の中心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、前記振動台に配置されていることが好ましい。
【0016】
第2の発明は、本発明の振動砂落とし装置により砂が除去された自動車部品である。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、振動モータにより振動台が加振されて振動した状態で、ワーク回転把持部が回転駆動源からの駆動力を受けて、前記ワークを把持するとともに所定の方向に回転させる。これにより、ワークの表面に付着した砂やゴミは振動台の振動により除去されると同時に、ワークの穴部の開口を鉛直下方側に露出させることができるため、特に穴部の内部に付着していた砂やゴミを重力の作用を利用してワークから除去することができる。
【0018】
また、ワーク回転把持部は、回転駆動源であるモータからの回転駆動力を受けて、ワークを把持した状態で軸部の軸回りにワークを回転させる。これにより、ワークを把持した状態で容易に回転させることができる。
【0019】
また、ワーク回転把持部でワークを回転させるための回転駆動源であるモータとして、振動モータを利用することにより、振動台の振動に対して耐性力を有するため、モータの故障等が発生し難くなる。
【0020】
また、振動台に加振する振動モータが、振動モータの重心位置と振動台の重心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、振動台に配置されているため、振動台の振動と振動モータの振動とが共振することを抑制できる。これにより、振動台が大きく暴れることがなく、ワークを効果的に振動させてワークの砂除去機能が向上すると同時に、振動砂落とし装置の故障の発生や耐久性の低下を抑制できる。
【0021】
また、振動台に加振する振動モータが、振動モータの高さ方向(鉛直方向の高さ)の中心位置と振動台の高さ方向(鉛直方向の高さ)の中心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、振動台に配置されているため、振動台の振動と振動モータの振動とが共振することを抑制できる。これにより、振動台が大きく暴れることがなく、ワークを効果的に振動させてワークの砂除去機能が向上すると同時に、振動砂落とし装置の故障の発生や耐久性の低下を抑制できる。
【0022】
また、ワークとして自動車部品を振動させることにより、自動車部品に形成された複数の穴部から砂やゴミを除去することができる。
【0023】
第2の発明によれば、第1の発明の振動砂落とし装置により振動されることにより、自動車部品には、砂等がほとんど付着せず、品質向上が実現される。
【0024】
なお、この自動車部品には、四輪車用の部品の他に、バイク(自動二輪車)などの二輪車用の部品、三輪車用の部品等を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の本実施形態に係る振動砂落とし装置でワークを把持した状態の斜視図である
図2】本発明の本実施形態に係る振動砂落とし装置でワークを把持した状態の平面図である
図3】本発明の本実施形態に係る振動砂落とし装置のワークを把持した状態の正面図である。
図4】本発明の本実施形態に係る振動砂落とし装置のワークを把持した状態の側面図である。
図5】本発明の本実施形態に係る振動砂落とし装置のワーク回転把持部でワークを把持した状態の図である。
図6】本発明の本実施形態に係る振動砂落とし装置のワーク回転把持部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の本実施形態に係る振動砂落とし装置について、図面を参照して説明する。本実施形態の振動砂落とし装置で砂等が除去される部品は、ワークと称される。
【0027】
また、ワークは、例えば、鋳造によって成型された鋳造物であり、特に自動車部品である。
【0028】
なお、自動車部品には、四輪車用の部品の他に、バイク(自動二輪車)などの二輪車用の部品、三輪車用の部品等を含む。
【0029】
図1乃至図4に示すように、振動砂落とし装置10には、例えば平板状の振動台12が備えられている。また、振動台12には、その平面の厚み方向に貫通する大開口部となる貫通孔14が形成されている。
【0030】
貫通孔14には、振動台12に加振するための駆動源となる振動モータ16が配置されている。このため、振動台12の上面側及び下面側から、振動モータ16が突出するように配置されている。振動モータ16により振動台12に振動が加わり、装置全体が振動する。
【0031】
なお、振動モータ16としては、例えば、製造元:株式会社村上精機工作所、販売元:ユーラステクノ株式会社の高性能振動発生機(バイブレータ)を用いることができる。
【0032】
振動モータ16の詳細な構造については、従来から周知なものであるため、説明を省略する。
【0033】
ここで、振動台12に加振する振動モータ16は、振動モータ16の重心位置と振動台12の重心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、振動台12に配置されていることが好ましい。
【0034】
換言すれば、振動台12を設置したときに、振動モータ16の重心位置と振動台12の重心位置とが同一の水平線上に位置することが最も好ましく、あるいは同一の水平線上となるように相互に近接していてもよい。
【0035】
さらには、振動台12に加振する振動モータ16は、振動モータ16の高さ方向の中心位置と振動台12の高さ方向の中心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、振動台12に配置されているともいえる。
【0036】
振動台12には、ワークWを把持するとともに所定の方向に回転させるワーク回転把持部18が設けられている。
【0037】
図5及び図6に示すように、ワーク回転把持部18は、ワークWを把持する治具20と、治具20によるワークWの挟持力を調整するため空気バネ22と、を含んでいる。治具20は、ワークWを挟持した状態で当該ワークWを回転可能にするための軸部24及びベアリング機構26を含んでいる。
【0038】
空気バネ22によって所定の力でワークWが治具20に挟持された状態で、軸部24がベアリング機構26によって軸回りに回転することによりワークWが軸部24の軸回りに回転する。
【0039】
振動台12には、ワーク回転把持部18でワークWを回転させるための回転駆動源28が設けられている。回転駆動源28としては、例えばモータ30が好ましい。
【0040】
なお、モータ30には、DCモータ、ステッピングモータ、エアモータ、油圧モータ等の駆動力を発生する既存の全てのモータが含まれる。
【0041】
特に、モータ30として、振動モータ32が好ましい。図1図5では、回転駆動源28として振動モータ32が適用されている。
【0042】
回転駆動源28として振動モータ32を適用した構成では、振動モータ32を振動させず、回転駆動力を伝達するだけの通常のモータとして利用することが前提になる。
【0043】
具体的には、例えば本来の振動モータ32のシャフトに取り付けられているバランスウエイト(錘)等を取り除くか、最初からバランスウエイトのない振動モータを製造する等して、モータが振動しない構成にする必要がある。
【0044】
ワークWを回転駆動させるための振動モータ32は、振動台12に加振するための振動モータ16と同様に、上述の販売元のものを利用することができる。
【0045】
ワークWを回転させるための回転駆動源28として振動モータ32を用いたことにより、振動に対する耐久性があるため、振動する振動台12に設置した場合でも、振動を原因とした故障が発生し難いメリットがある。
【0046】
ここで、ワーク回転把持部18でワークWを回転させるための回転駆動源28に、所定の減速機構34を介して軸部24に機械的に接続されている。このため、回転駆動源28の回転駆動力が減速機構34を介して軸部24に伝達され、軸部丸が回転する。
【0047】
なお、減速機構34として、例えば、ピニオン・ラック機構及び歯車列が利用できる。
【0048】
振動台12には、複数の弾性支持部36により弾性支持されている。弾性支持部36の一例として、空気バネ38が利用される。
【0049】
なお、本実施形態では、弾性支持部36は、4個設けられており、各弾性支持部36で振動台12がバランス良く弾性支持されている。
【0050】
次に、本実施形態に係る振動砂落とし装置10の作用について説明する。
【0051】
図1乃至図6に示すように、ワークWが所定の挟持力にてワーク回転把持部18で把持された状態で、振動モータ16が駆動してその回転駆動力が減速機構34を介して軸部24に伝達される。これにより、ワークWがワーク回転把持部18で把持された状態で、軸部24の軸回りに回転する。
【0052】
同時に、振動台12に加振する振動モータ16が駆動して振動台12が振動する。このとき、振動モータ16及び回転駆動源28自体も振動するが、回転駆動源28が振動モータ32で構成されており、振動に対する耐久性を有するため、振動により破損し難い特徴がある。
【0053】
これにより、ワークWの表面に付着した砂等がワーク表面から落下して除去されるとともに、ワークWに形成された穴部の開口が鉛直下方側に向いたときに穴部に付着等していた砂等が落下してワークWから除去される。
【0054】
ここで、振動台12が振動している状態において、ワークWの穴部の内部に付着していた砂同士は、振動台12からの振動を受けて、相互に又は穴部の内壁と衝突を繰り返して、次第に粉砕されていく。この衝突の過程で、細かく粉砕された砂等がワークWの穴部の内部から外部へ排出されていくことになるが、特に穴部の径の大きさが小さい場合には、穴部の内部にある全ての砂等を外部に排出することが難しい。このため、振動砂落とし装置10で振動させた後でも、ワークWの穴部の内部に砂等が残ることがある。
【0055】
そこで、回転駆動源28の回転駆動力を軸部24に伝達し回転させることにより、振動台12が振動している状態で、ワークWが把持された状態で軸部24の軸回りに回転できるような環境を実現する。これにより、ワークWの穴部の開口が鉛直下方側に向いたときに、穴部の内部に残っていた砂等が重力と遠心力の作用を受けて穴部の外部へ排出される。この結果、ワークWの穴部から砂等を確実に排除できる。
【0056】
ここで、振動台12に加振する振動モータ16が、振動モータ16の重心位置と振動台12の重心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、振動台12に配置されている。
【0057】
この技術的背景として、振動モータ16と振動台12とは別部材のものが組み付けられて構成されているため、振動モータ16で振動台12を振動させることにより、装置全体が振動するものの、振動モータ16での振動波形(振動周波数)と、振動台12での振動波形(振動周波数)と、が独立して存在する。そして、両者の位相がずれる。この状態で、装置全体が振動していくと、やがて振動モータ16での振動波形の山と振動台12での振動波形の山とが重なり合い、あるいは振動モータ16での振動波形の谷と振動台12での振動波形の谷とが重なり合うタイミングで装置の共振現象が発生する。このとき、装置全体の振動が大きくなり過ぎ、換言すれば装置全体が暴れ過ぎ、装置の耐久性に問題が生じ得る。
【0058】
一方、振動モータ16での振動波形の山と振動台12での振動波形の谷とが重なり合い、あるいは振動モータ16での振動波形の谷と振動台12での振動波形の山とが重なり合うタイミングで装置全体の振動が小さくなり過ぎる。このとき、ワークWの砂等の除去機能が低下する問題が生じる。
【0059】
そこで、振動台12に加振する振動モータ16が、振動モータ16の重心位置と振動台12の重心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、振動台12に配置されていることにより、全体が一つの質量系とみなすことができる。この結果、装置全体の最適な振動を発生させることができ、振動台12が大きく暴れることがなく、ワークWを効果的に振動させてワークWの砂除去機能が向上すると同時に、振動砂落とし装置10の故障の発生や耐久性の低下を抑制できる。
【0060】
なお、振動台12の形状や構成によっては、振動台12に加振する振動モータ16が、振動モータ16の高さ方向の中心位置と振動台12の高さ方向の中心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、振動台12に配置されていることによっても、実現され得る。これにより、振動台12が大きく暴れることがなく、ワークWを効果的に振動させてワークWの砂除去機能が向上すると同時に、振動砂落とし装置10の故障の発生や耐久性の低下を抑制できる。
【0061】
また、ワークWを回転駆動させるための回転駆動源28が、回転駆動源28の重心位置と振動台12の重心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、振動台12に配置されていることにより、ワークWを効果的に振動させてワークWの砂除去機能が向上すると同時に、振動砂落とし装置10の故障の発生や耐久性の低下も抑制できる。
【0062】
さらには、振動台12の形状や構成によっては、ワークWを回転駆動させるための回転駆動源28が、回転駆動源28の高さ方向の中心位置と振動台12の高さ方向の中心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、振動台12に配置されていることによっても、ワークWを効果的に振動させてワークWの砂除去機能が向上すると同時に、振動砂落とし装置10の故障の発生や耐久性の低下も抑制できる。
【0063】
以上で説明した各実施形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 振動砂落とし装置
12 振動台
14 貫通孔
16 振動モータ
18 ワーク回転把持部
20 治具
22 空気バネ
24 軸部
26 ベアリング機構
28 回転駆動源
30 モータ
32 振動モータ
34 減速機構
36 弾性支持部
38 空気バネ
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6

【手続補正書】
【提出日】2016年6月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動によってワークに付着された砂を落とすための振動砂落とし装置であって、
振動台と、
前記振動台に設けられ、前記振動台に加振する振動モータと、
前記振動台に設けられ、前記ワークを把持するとともに所定の方向に回転させるワーク回転把持部と、
前記振動台に設けられ、前記ワーク回転把持部で前記ワークを回転させるための回転駆動源と、
を有し、
前記ワーク回転把持部は、軸部を有し、前記ワークを把持した状態で前記軸部の軸回りに前記ワークを回転させるものであり、
前記回転駆動源は、前記軸部を回転駆動させる振動モータであることを特徴とする振動砂落とし装置。
【請求項2】
前記振動台に加振する前記振動モータは、前記振動モータの重心位置と前記振動台の重心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、前記振動台に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の振動砂落とし装置。
【請求項3】
前記振動台に加振する前記振動モータは、前記振動モータの高さ方向の中心位置と前記振動台の高さ方向の中心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、前記振動台に配置されていることを特徴とする請求項に記載の振動砂落とし装置。
【請求項4】
前記ワークは、自動車部品であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動砂落とし装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動砂落とし装置により砂が除去されたことを特徴とする自動車部品

【手続補正書】
【提出日】2016年8月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動によってワークに付着された砂を落とすための振動砂落とし装置であって、
振動台と、
前記振動台に設けられ、前記振動台加振する振動モータと、
前記振動台に設けられ、前記ワークを把持するとともに所定の方向に回転させるワーク回転把持部と、
前記振動台に設けられ、前記ワーク回転把持部で前記ワークを回転させるための回転駆動源と、
を有し、
前記ワーク回転把持部は、軸部を有し、前記ワークを把持した状態で前記軸部の軸回りに前記ワークを回転させるものであり、
前記回転駆動源は、前記軸部を回転駆動させる振動モータであることを特徴とする振動砂落とし装置。
【請求項2】
前記振動台加振する前記振動モータは、当該振動モータの重心位置と前記振動台の重心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、前記振動台に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の振動砂落とし装置。
【請求項3】
前記振動台加振する前記振動モータは、当該振動モータの高さ方向の中心位置と前記振動台の高さ方向の中心位置とが略同じ高さ又は近接させるように、前記振動台に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の振動砂落とし装置。
【請求項4】
前記ワークは、自動車部品であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動砂落とし装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
そこで、本発明は、上記事情を考慮して、砂等をワークから確実に除去することができる振動砂落とし装置を提供することを目的とする。
【国際調査報告】