特表-17195722IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2017-195722積層型光電変換装置およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年11月16日
【発行日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】積層型光電変換装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/44 20060101AFI20181122BHJP
【FI】
   H01L31/04 122
   H01L31/04 112Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2018-516996(P2018-516996)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年5月8日
(31)【優先権主張番号】特願2016-94106(P2016-94106)
(32)【優先日】2016年5月9日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発/先端複合技術型シリコン太陽電池、高性能CIS太陽電池の技術開発/結晶Si太陽電池をベースとした複合型太陽電池モジュールの開発」共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】三島 良太
(72)【発明者】
【氏名】日野 将志
(72)【発明者】
【氏名】目黒 智巳
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
5F151AA04
5F151AA05
5F151AA11
5F151CB12
5F151CB13
5F151CB14
5F151CB15
5F151CB22
5F151DA02
5F151DA03
5F151DA07
5F151DA18
5F151FA02
5F151FA04
5F151FA06
5F151FA14
5F151GA14
5F151HA03
(57)【要約】
積層型光電変換装置(100)は、結晶シリコン基板(42)を備え受光面にテクスチャが設けられた結晶シリコン系光電変換ユニット(4)上に、中間透明導電層(3)および薄膜光電変換ユニット(2)を有する。結晶シリコン光電変換ユニットの受光面には、平均凹凸高さが0.5μm以上のテクスチャが設けられていることが好ましい。中間透明導電層は、結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面のテクスチャの凹部内に埋設され、かつテクスチャ凸部の頂点を覆うように設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶シリコン基板を含む結晶シリコン系光電変換ユニット上に薄膜光電変換ユニットを備える積層型光電変換装置の製造方法であって、
結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面上に、中間透明導電層を形成する工程;および
前記中間透明導電層上に、薄膜光電変換ユニットを形成する工程を有し、
前記結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面には、平均凹凸高さが0.5μm以上のテクスチャが設けられており、
前記中間透明導電層は、前記結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面のテクスチャの凹部内に埋設され、かつテクスチャ凸部の頂点を覆うように設けられ、
前記薄膜光電変換ユニットの少なくとも一部が、湿式法により製膜される、積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
前記中間透明導電層は、薄膜光電変換ユニット側界面における平均凹凸高さが500nm以下となるように形成される、請求項1に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
前記中間透明導電層を形成する工程において、
MOCVD法により、前記結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面のテクスチャの凹部を埋設し、テクスチャ凸部の頂点を覆うように、第一導電性酸化物層が製膜され、
前記第一導電性酸化物層の表面に異質層が形成される、請求項1または2に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
前記第一導電性酸化物層上に、スパッタ法により第二導電性酸化物層を製膜することによって前記異質層が形成される、請求項3に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記第一導電性酸化物層の表面をプラズマに曝す処理により前記異質層が形成される、請求項4に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
前記プラズマに曝す処理が、反応性イオンエッチングにより行われる、請求項5に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項7】
前記第一導電性酸化物層として、MOCVD法により酸化亜鉛が製膜される、請求項3〜6のいずれか1項に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項8】
前記中間透明導電層が湿式法により形成される、請求項1または2に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項9】
前記結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面の平均凹凸高さが2μm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項10】
前記薄膜光電変換ユニットがペロブスカイト型結晶材料を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項11】
結晶シリコン基板を結晶シリコン系光電変換ユニット、中間透明導電層、および薄膜光電変換ユニットを順に備える積層型光電変換装置であって、
前記結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面には、平均凹凸高さが0.5μm以上のテクスチャが設けられており、
前記中間透明導電層は、前記結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面のテクスチャの凹部内に埋設され、かつテクスチャ凸部の頂点を覆うように設けられており、
前記中間透明導電層の薄膜光電変換ユニット側界面における平均凹凸高さが500nm以下である、積層型光電変換装置。
【請求項12】
前記中間透明導電層は、第一導電性酸化物層、および前記第一導電性酸化物層の受光面側に接して設けられた異質層を含み、
前記異質層は、テクスチャの凹部内に埋設されている第一導電性酸化物層とは異質の材料から構成されている、請求項11に記載の積層型光電変換装置。
【請求項13】
前記薄膜光電変換ユニットがペロブスカイト型結晶材料を含有する、請求項11または12に記載の積層型光電変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶シリコン基板を備える結晶シリコン系光電変換ユニットと薄膜光電変換ユニットとが積層された積層型光電変換装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶シリコン系太陽電池は、結晶シリコン基板の一方の面にp型半導体層、他方の面にn型半導体層を備える。結晶シリコン系太陽電池上に、結晶シリコンとはバンドギャップの異なる光吸収層を備える光電変換ユニットを配置し、多接合化することにより、光利用効率を高めた積層型太陽電池が提案されている。
【0003】
例えば、非特許文献1では、結晶シリコン基板の表面にp型の拡散層が設けられた拡散型結晶シリコンボトムセル上に、トンネル接合層としてのn型シリコン薄膜を設け、その上に電子輸送層としての酸化チタン層を介してトップセルとしてのペロブスカイト光電変換ユニットを形成した積層型光電変換装置が開示されている。非特許文献2には、結晶シリコン基板の表面に真性非晶質シリコン薄膜およびp型非晶質シリコン薄膜を備えるヘテロ接合型結晶シリコンボトムセル上に、80nmのITO層および15nmの酸化錫層を設け、その上に、トップセルとして、ペロブスカイト型結晶材料層および正孔輸送層としてのspiro-OMETAD層からなるペロブスカイト光電変換ユニットを形成した積層型光電変換装置が開示されている。
【0004】
非特許文献1および非特許文献2の積層型光電変換装置のトップセルに用いられているペロブスカイトセルは、光吸収層としてペロブスカイト型結晶材料層を含み、高変換効率を実現可能である。一方で、ペロブスカイト型結晶材料は、波長800nmよりも短波長側に分光感度特性を有しており、800nmよりも長波長側の赤外光をほとんど吸収しない。長波長光を吸収可能な結晶シリコンセルとペロブスカイトセルとを組み合わせることにより、トップセルとボトムセルとの電流マッチングを取ることが可能となるため、高効率の積層型光電変換装置が得られると期待されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Steve Albrecht et. al., Energy Environ. Sci. 9, 81-88 (2016)
【非特許文献2】Jonathan P. Mailoa et. al., Appl. Phys. Lett. 106, 121105 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
結晶シリコン基板を用いた一般的なシングルセルでは、光反射を低減し、シリコン基板に取り込まれる光量を増大させるために、結晶シリコン基板の表面に凹凸高さが0.5〜10μm程度のテクスチャが設けられている。ペロブスカイトセルは、一般に、光吸収層であるペロブスカイト型結晶材料層やその上下に設けられる電荷輸送層が湿式法により形成される。
【0007】
ペロブスカイトセル等の薄膜セルの形成には、薄膜形成の土台となる基板が必要である。結晶シリコン基板を用いた結晶シリコンセルと、薄膜セルとを多接合化するためには、結晶シリコンセルを土台として、その上に薄膜を製膜することにより、薄膜セル(薄膜光電変換ユニット)を形成する必要がある。
【0008】
薄膜光電変換ユニットの厚みは一般に50〜1000nm程度であるため、シリコン基板の表面にテクスチャが設けられていると、テクスチャの凸部が薄膜で覆われず製膜不良が生じる。非特許文献1および非特許文献2では、受光面側が平滑でテクスチャ構造を有していない結晶シリコン基板を用いた結晶シリコンセルに、ペロブスカイト型結晶材料層や電荷輸送層を湿式法により形成している。そのため、結晶シリコン基板の受光面での光反射に起因してシリコン基板への光取り込みが十分ではなく、結晶シリコンセルの光電流が小さいために、多接合化の利点を十分に活かせていない。
【0009】
上記に鑑み、本発明は、受光面にテクスチャが形成されたシリコン基板を用いた結晶シリコン系光電変換ユニット上に、湿式法により薄膜光電変換ユニットを形成した場合でも、薄膜のカバレッジが良好な積層型光電変換装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、結晶シリコン基板を含む結晶シリコン系光電変換ユニット上に薄膜光電変換ユニットを備える積層型光電変換装置、およびその製造方法に関する。結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面上に、中間透明導電層が形成され、その上に薄膜光電変換ユニットが形成される。薄膜光電変換ユニットの少なくとも一部は、湿式法により製膜される。湿式法により形成される薄膜光電変換ユニットとしては、例えばペロブスカイト型結晶材料を含有するペロブスカイト光電変換ユニットが挙げられる。
【0011】
結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面には、平均凹凸高さが0.5μm以上のテクスチャが設けられており、中間透明導電層は、結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面のテクスチャの凹部内に埋設され、かつテクスチャ凸部の頂点を覆うように設けられる。結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面の平均凹凸高さは2μm以下が好ましい。
【0012】
中間透明導電層は、薄膜光電変換ユニット側界面における平均凹凸高さが、500nm以下となるように設けられることが好ましい。例えば、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)により酸化亜鉛等の導電性酸化物層を製膜することにより、結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面のテクスチャの凹部を埋設し、テクスチャ凸部の頂点を覆う中間透明導電層を形成できる。中間透明導電層は、湿式法により形成されてもよい。
【0013】
中間透明導電層として、MOCVD法により第一導電性酸化物層を製膜し、その表面に異質層を形成することが好ましい。例えば、第一導電性酸化物層上にスパッタ法等により第二導電性酸化物層を製膜することにより異質層を形成できる。また、第一導電性酸化物層の表面をプラズマに曝す処理により表面を変質させて異質層を設けてもよい。表面をプラズマに曝す処理としては、例えば反応性イオンエッチングが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
中間透明導電層が結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面のテクスチャの凹部内に埋設されているため、湿式法により薄膜光電変換ユニットを形成した場合でも、薄膜のカバレッジが良好である。そのため、結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面のテクスチャによる反射防止効果と、高品質の薄膜光電変換ユニットの形成とを両立し、変換特性に優れる積層型光電変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態の積層型光電変換装置の断面図である。
図2】光学シミュレーションに用いた積層型光電変換装置の構成の概略図である。
図3】光学シミュレーション結果を表す図である。
図4】テクスチャを有するシリコン基板上に設けられた酸化亜鉛膜の断面SEM像である。
図5】参考例4の製膜面および断面のSEM観察像である。
図6】実施例1の製膜面および断面のSEM観察像である。
図7】参考例4および実施例1の表面の塗布層のX線回折図である。
図8】実施例2の製膜面のSEM観察像である。
図9】RIE前後の酸化亜鉛膜表面のSEM観察像である。
図10】実施例3の製膜面のSEM観察像である。
図11】実施例4の製膜面および断面のSEM観察像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態の積層型光電変換装置の模式的断面図であり、図の上側が受光面側、図の下側が裏面側である。光電変換装置100は、ボトムセルとしての結晶シリコン系光電変換ユニット4を備える。ボトムセルの第一主面上(受光面側)には、中間透明導電層3が設けられ、その上にトップセルとしての薄膜光電変換ユニット2が設けられている。
【0017】
ボトムセルとしての結晶シリコン系光電変換ユニット4は、結晶シリコン基板42を備え、結晶シリコン基板42の受光面側および裏面側のそれぞれに、導電型シリコン系半導体層41,43を有する。結晶シリコン基板42の導電型は、n型でもp型でもよい。受光面側の第一導電型シリコン系半導体層41は第一導電型を有し、裏面側の第二導電型シリコン系半導体層43は第二導電型を有する。第一導電型と第二導電型は異なる導電型であり、一方がp型、他方がn型である。
【0018】
シリコン基板の表面にp型半導体層およびn型半導体層を有する結晶シリコン系光電変換ユニットとしては、拡散型結晶シリコン光電変換ユニットやヘテロ接合型結晶シリコン光電変換ユニットが挙げられる。拡散型結晶シリコン光電変換ユニットでは、結晶シリコン基板の表面にホウ素やリン等のドープ不純物を拡散させることにより、導電型シリコン系半導体層が形成される。
【0019】
ヘテロ接合型結晶シリコン光電変換ユニットでは、導電型シリコン系半導体層41,43として、非晶質シリコンや微結晶シリコン等の非単結晶シリコン系薄膜が設けられ、単結晶シリコン基板42と非単結晶シリコン系薄膜41,43との間でヘテロ接合が形成されている。ヘテロ接合シリコン光電変換ユニットは、単結晶シリコン基板42と導電型シリコン系薄膜41,43との間に、膜厚2〜15nm程度の真性シリコン系薄膜45,46を有することが好ましい。単結晶シリコン基板の表面に真性シリコン系薄膜が設けられることにより、単結晶シリコン基板への不純物の拡散を抑えつつ表面パッシベーションを有効に行うことができる。
【0020】
導電型シリコン系薄膜41,43としては、非晶質シリコン、微結晶シリコン(非晶質シリコンと結晶質シリコンを含む材料)や、非晶質シリコン合金、微結晶シリコン合金等が用いられる。シリコン合金としては、シリコンオキサイド、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、シリコンゲルマニウム等が挙げられる。これらの中でも、導電型シリコン系薄膜は、非晶質シリコン薄膜であることが好ましい。導電型シリコン系薄膜41,43の膜厚は、3〜30nm程度が好ましい。シリコン系薄膜41,43,45,46はプラズマCVD法により製膜されることが好ましい。
【0021】
結晶シリコン基板42は、受光面にテクスチャ構造(凹凸構造)を有している。表面にテクスチャが設けられることにより、シリコン基板42の表面や、シリコン基板上に薄膜が形成された結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面側の界面での光の反射を低減し、シリコン基板42への光取り込み量を増大できる。シリコン基板の裏面側にもテクスチャが設けられていてもよい。結晶シリコン基板の表面にテクスチャを形成する方法は特に限定されない。例えば単結晶シリコン基板では、アルカリを用いた異方性エッチングによりテクスチャを形成できる。
【0022】
結晶シリコン基板42の受光面にテクスチャが設けられることにより、結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面(中間透明導電層3との界面)にも、テクスチャが設けられる。拡散型結晶シリコンセルのように、シリコン基板表面へのドープ不純物の拡散により導電型シリコン系半導体層が設けられる場合は、結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面のテクスチャの凹凸高さは、シリコン基板42のテクスチャの凹凸高さに等しい。ヘテロ接合セルでは、シリコン基板42上にシリコン系薄膜45,41が設けられるが、その膜厚は通常5〜20nm程度であり、シリコン基板42の凹凸サイズに比べて十分小さい。そのため、シリコン基板42上に薄膜45,41が設けられる場合でも、結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面のテクスチャの凹凸高さは、シリコン基板42のテクスチャの凹凸高さに略等しい。
【0023】
光反射を低減し、特に長波長光の取り込み量を増大させるために、シリコン基板42の受光面に形成されるテクスチャの平均凹凸高さH、および結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面のテクスチャの平均凹凸高さHは、0.5μm以上が好ましい。テクスチャの平均凹凸高さは、一般には10μm以下である。テクスチャの凹部を中間透明導電層3で埋めて、その上に形成される薄膜光電変換ユニット2との界面を平滑とするためには、シリコン基板42の受光面の平均凹凸高さH、および結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面の平均凹凸高さHは、2μm以下が好ましい。
【0024】
テクスチャの凸部の頂点が露出しないように中間透明導電層3で被覆するためには、テクスチャの凹凸サイズのバラツキが小さいことが好ましい。テクスチャの凹凸サイズのバラツキが小さい場合は、平均凹凸高さと最大凹凸高さの差が小さい。そのため、中間透明導電層の表面からのテクスチャの凸部の頂点の露出が生じ難く、これに伴ってリークも抑制される。シリコン基板42の受光面の最大凹凸高さ、および結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面の最大凹凸高さは、4μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、2.5μm以下がさらに好ましい。
【0025】
シリコン基板の凹凸高さおよび結晶シリコン系光電変換ユニットの受光面の凹凸高さは、頂点と隣接する谷との高低差である。平均凹凸高さは、算術平均粗さRaの2倍で定義される。算術平均粗さRaは、断面観察により得られる粗さ曲線から、JIS B0601(2001)に準じて算出される。
【0026】
最大凹凸高さは、基板の面内中央部、および基板の各コーナー付近の計5カ所のそれぞれにおいて、1mm四方の領域を観察した際の観察領域(計5mm)における凹凸高さの最大値である。原子間力顕微鏡やレーザー顕微鏡を用い、基板面の法線方向の距離をマッピングすることにより凹凸高さが求められる。単結晶シリコン基板の異方性エッチングによりピラミッド形状(正方形の底面と4つの正三角形からなる四角錐)の凸部が形成されている場合、1辺の長さaのピラミッド形状の凸部の高さは(a/√2)≒0.7aで一定である。そのため、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡等による面内観察像から、テクスチャの凹凸高さを求めることもできる。
【0027】
結晶シリコン系光電変換ユニット4のテクスチャ上に、中間透明導電層3が設けられる。結晶シリコン系光電変換ユニット4と薄膜光電変換ユニット2との間に配置される中間透明導電層3は、2つの光電変換ユニットで生成したキャリアを再結合させる接合層としての機能を有する。中間透明導電層3は、薄膜光電変換ユニット2の裏面側に到達した光を透過して、後方に配置された結晶シリコン系光電変換ユニット4に到達させる。そのため、中間透明導電層3は、導電性を有し、かつ透明であることが好ましい。中間透明導電層3の材料としては導電性酸化物が好ましく、例えば、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、およびこれらの複合酸化物等が挙げられる。後に詳述するように、中間透明導電層3の屈折率は1.8〜2.5が好ましい。
【0028】
中間透明導電層3は、結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面のテクスチャの凹部内に埋設され、かつテクスチャ凸部の頂点を覆うように設けられる。テクスチャ上に湿式法により薄膜を製膜すると、溶液がテクスチャの凹部に溜まり、凸部の頂点およびその近傍には膜が形成され難い。中間透明導電層3が、テクスチャの凹部内を埋め、かつテクスチャの凸部の頂点を覆うように設けられていることにより、良好な接合を実現できるとともに、中間透明導電層3上に湿式法により薄膜光電変換ユニット2を形成した際に、膜が形成されない領域の発生を抑制できる。すなわち、中間透明導電層3は、結晶シリコン系光電変換ユニットのテクスチャの高低差を緩和する平坦化層として作用する。下地となる中間透明導電層3の表面が平坦化されていれば、その上に湿式法により薄膜光電変換ユニット2を形成する際に、均一な薄膜を形成できる。
【0029】
中間透明導電層3の膜厚Dは、結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面のテクスチャの平均凹凸高さよりも大きいことが好ましい。中間透明導電層3の表面を平坦化して、その上に形成される薄膜光電変換ユニットの膜厚を均一とする観点から、中間透明導電層3の膜厚Dは、結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面のテクスチャの平均凹凸高さHの1.5倍以上がより好ましく、2倍以上がさらに好ましい。中間透明導電層3の膜厚Dは、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましく、3μm以上が特に好ましい。テクスチャの凸部の頂点の被覆を確実に行うために、中間透明導電層3の膜厚Dは、結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面のテクスチャの最大凹凸高さよりも大きいことが好ましい。
【0030】
湿式法により中間透明導電層3が形成される場合、膜厚Dは、溶液の塗布量と固形分濃度から算出される。乾式法により中間透明導電層3が形成される場合、膜厚Dは製膜速度と製膜時間の積から算出される。製膜後の中間透明導電層3の膜厚を測定する場合は、断面観察から得られる結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面の粗さ曲線の平均線と、中間透明導電層3表面の粗さ曲線の平均線との距離が、中間透明導電層3の膜厚に相当する。
【0031】
中間透明導電層3の膜厚Dが過度に大きいと、結晶シリコン系光電変換ユニット4と中間透明導電層3との界面での応力が大きくなり、表裏の応力バランスの不整合に起因してシリコン基板42に反りが生じる場合がある。特に中間透明導電層3が結晶質の透明導電性酸化物により構成される場合は、膜厚Dの増大に伴う基板の反りが大きくなる傾向がある。そのため、中間透明導電層3の膜厚Dは、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、7μm以下がさらに好ましく、6μm以下が特に好ましい。中間透明導電層3の膜厚Dは、テクスチャの平均凹凸高さHの20倍以下が好ましい。
【0032】
中間透明導電層3の製膜方法は特に限定されず、湿式法および乾式法のいずれでもよい。湿式法としては、例えば、ITOインク等の透明導電性インクを用いて、ゾルゲル法等により透明導電膜を形成する方法が挙げられる。乾式法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、原子層堆積法、電子線蒸着法および真空蒸着法等のPVD法や、プラズマ化学気相成長(PECVD)法および有機金属化学気相成長(MOCVD)法等のCVD法が挙げられる。
【0033】
低抵抗の透明導電性酸化物層を形成可能であることから、乾式法により中間透明導電層3を形成することが好ましい。中でも、製膜レートが大きいことからMOCVD法が好ましい。スパッタ法等のPVD法では、基板面の法線方向に膜が成長しやすいのに対して、CVD法では、テクスチャ斜面の法線方向に膜が成長しやすい。特に、MOCVD法では、テクスチャ斜面の法線方向に結晶が成長する傾向があるため、テクスチャ斜面の垂直方向への膜成長が生じやすい。
【0034】
テクスチャ斜面の法線方向に膜が成長する場合は、基板面の法線方向に膜が成長する場合に比べて、製膜厚みが小さい場合でもテクスチャの凹部の空隙部分が埋められやすい。そのため、小さい膜厚の中間透明導電層3により、テクスチャの凹部を埋めて、表面を平坦化しやすい。中間透明導電層3として、MOCVD法により導電性酸化物膜を形成することにより、小さな膜厚で表面を平坦化できるため、プロセス時間短縮や製造コスト低減が期待できる。また、中間透明導電層3の膜厚Dを小さくできるため、応力の不均衡に起因する結晶シリコン基板の反りを抑制できる。
【0035】
MOCVD法により中間透明導電層を製膜する場合、小さな膜厚でテクスチャの凹部を埋められるとの利点を有する反面、その上に形成される薄膜光電変換ユニットの膜質に影響が生じる場合がある。例えば、薄膜光電変換ユニット2の光吸収層22として、ペロブスカイト型結晶材料を湿式法に製膜すると、中間透明導電層とペロブスカイト型結晶材料層との間に電子輸送層や正孔輸送層等の半導体薄膜23が設けられている場合でも、相分離等の製膜不良が生じる場合がある。このような製膜不良は、MOCVD法による製膜時の残存有機物等が関与していると考えられる。
【0036】
中間透明導電層上に、膜質の良好な薄膜光電変換ユニット2を形成するためには、MOCVD法により形成された第一導電性酸化物層30の表面に、第二導電性酸化物層として異質層31を設けることが好ましい。異質層31は、テクスチャの凹部内に埋設されている第一導電性酸化物層30とは異質の材料から構成されている層である。
【0037】
異質の材料とは、元素の組成が異なる材料、および元素組成が同等で結晶性や密度等の特性が異なる材料である。異質層31としては、スパッタ法等のPVD法により設けられた透明導電性酸化物の薄膜や、MOCVD法により形成された透明導電層の表面をプラズマに曝すことにより変質させた変質層が挙げられる。
【0038】
以下では、MOCVD法により形成された導電性酸化物層30の表面に異質層31が設けられた中間透明導電層3の形成方法について説明する。
【0039】
導電性酸化物層30は、MOCVD法により形成される。導電性酸化物層30の材料は、MOCVD法により形成可能な金属酸化物であれば特に限定されず、例えば酸化亜鉛や酸化錫が挙げられる。ヘテロ接合セルのように、結晶シリコン系光電変換ユニット4がシリコン系薄膜を含む場合は、シリコン系薄膜が耐熱性を有する範囲(例えば200℃以下)の基板温度で製膜が行われることが好ましい。このような温度範囲でMOCVD法による製膜が可能であることから、導電性酸化物層30の材料としては酸化亜鉛が特に好ましい。
【0040】
MOCVD法による金属酸化物層の製膜は、加熱下のCVDチャンバー内に、有機金属および酸化剤を供給しながら行われる。例えば、酸化亜鉛の製膜には、有機金属として、ジエチル亜鉛やジメチル亜鉛等のアルキル亜鉛、酢酸亜鉛等が用いられる。酸化剤との反応性が良好であることからジエチル亜鉛が好ましい。酸化剤としては、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄、五酸化二窒素、アルコール類、ケトン類、エーテル類、アルデヒド類、アミド類、スルホキシド類等が用いられる。有機金属との反応性が良好でかつ取扱いが簡便であることから、酸化剤として水を用いることが好ましい。
【0041】
CVDチャンバー内には、有機金属および酸化剤に加えて、希ガス、窒素、水素等の希釈ガスが導入されることが好ましい。熱伝導率が高く均熱性に優れることから、希釈ガスとしては水素が好ましい。金属酸化物の導電性を高めるために、ドーパントが用いられてもよい。酸化亜鉛のドーパントとしては、B,Al,Ga等の13族元素が好ましく、ドーパントガスとしては、ジボラン(B)、アルキルアルミニウム、アルキルガリウム等が用いられる。中でも、酸化亜鉛に対するドーピング効果が高いことから、ジボランが好ましい。
【0042】
これらの原料ガスを反応させることにより、結晶シリコン系光電変換ユニット4上に導電性酸化物層30が製膜される。導電性酸化物の結晶成長を促進し、テクスチャの斜面の法線方向に膜を成長させてテクスチャの凹部を埋めるためには、CVDによる製膜が加熱下で行われることが好ましい。酸化亜鉛を製膜時の基板温度は、100〜200℃が好ましく、120〜190℃がより好ましく、130〜180℃がさらに好ましい。チャンバー内の圧力は、常圧および減圧のいずれでもよい。導電性に優れる酸化膜を形成するためには、例えば、5〜100Pa、好ましくは5〜40Paの減圧下で低圧熱CVD法により製膜が行われることが好ましい。
【0043】
MOCVD法により製膜された導電性酸化物層30の表面に、異質層31が設けられる。異質層31は、導電性酸化物層30と異なる方法(すなわちMOCVD以外の方法)により形成された層、あるいは導電性酸化物層30の表面変質層である。異質層31の材料は導電性酸化物層30と同一でもよい。異質層31は、導電性酸化物層30よりも残存有機物量が少ないものが好ましい。
【0044】
MOCVD以外の方法により異質層を製膜する方法としては、湿式法、各種のPVD法、およびプラズマCVD法等が挙げられる。中でも、緻密な膜が形成されやすいことから、スパッタ法により異質層31が形成されることが好ましい。異質層31として緻密な膜が形成されることにより、MOCVD法により形成された導電性酸化物層30からの残存有機物の揮発等が抑制されると考えられる。
【0045】
スパッタ法では、製膜面がプラズマに曝されることも、中間透明導電層の改質に寄与していると考えられる。すなわち、MOCVD法により形成された導電性酸化物層30上にスパッタ法により異質層31を製膜することにより、導電性酸化物層30の表面が改質されることが、中間透明導電層3上に形成される薄膜光電変換ユニットへの影響の低減に寄与していると考えられる。
【0046】
スパッタ法により形成される異質層の材料としては、酸化インジウム錫(ITO)等のインジウム系酸化物や、酸化亜鉛等が好ましい。異質層31は、MOCVD法により形成された導電性酸化物層30の表面を覆っていれば、その膜厚は特に限定されない。導電性酸化物層30の表面を確実に覆うためには、異質層31の膜厚は2nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。異質層31の膜厚が過度に大きいと、光吸収によるロスや応力増大による反りの原因となるため、膜厚は100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
【0047】
導電性酸化物層30の表面を変質させることにより異質層31を設ける方法としては、プラズマに曝す処理が好ましい。プラズマに曝す処理としては、スパッタ法、プラズマCVD法、反応性イオンエッチング等が挙げられる。スパッタ法では、ターゲットの種類やパワー密度等を調整することにより、製膜レートよりもエッチングレートの方が大きくなり、導電性酸化物層30の表面がプラズマ処理される。プラズマCVD法では、製膜原料ガスを供給せずに、あるいは製膜原料ガスの量を小さくして、水素等の希釈ガスを供給しながらプラズマ放電を行うことにより、導電性酸化物層30の表面がプラズマ処理される。反応性イオンエッチング(RIE)では、Ar等のエッチングガスをプラズマ化することにより、イオンによるスパッタリングとエッチングガスによる化学反応とが同時に起こり、表面が改質される。
【0048】
上記のプラズマ処理の中でも、表面の改質効果が高いことから反応性イオンエッチングが好ましい。プラズマ処理により膜厚を減少させれば、表面の平坦性を保ちつつ導電性酸化物層の膜厚が減少するため、厚み方向の抵抗を低減できる。プラズマ処理により膜厚を減少させる場合、プラズマ処理前に比べて膜厚が1/2以下となるように処理を行うことが好ましい。
【0049】
中間透明導電層3の受光面側の表面(薄膜光電変換ユニット2側の界面)における凹凸は、できる限り小さいことが好ましい。中間透明導電層3の平均凹凸高さは、結晶シリコン系光電変換ユニットの平均凹凸高さと同様、算術平均粗さRaの2倍で定義される。中間透明導電層3が、結晶シリコン系光電変換ユニットの凹部に埋設され、受光面の高低差を緩和することにより、中間透明導電層3上に設けられる薄膜光電変換ユニット2の膜質を向上できる。
【0050】
中間透明導電層3の薄膜光電変換ユニット2側の界面における平均凹凸高さは、500nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。前述のように、中間透明導電層3の膜厚Dを大きくすることにより、結晶シリコン系光電変換ユニット4のテクスチャの凹凸形状が緩和され、中間透明導電層3の凹凸が小さくなる傾向がある。
【0051】
中間透明導電層3の受光面側には、トップセルとして薄膜光電変換ユニット2が設けられる。薄膜光電変換ユニット2は、中間透明導電層3側から、裏面側半導体層23、光吸収層22、および受光面側半導体層21を順に備える。薄膜光電変換ユニット2は、少なくとも一部が湿式法により製膜される。
【0052】
中間透明導電層3と薄膜光電変換ユニット2との間には、接合性の向上や屈折率調整等を目的とした機能層(不図示)が設けられてもよい。一方、中間透明導電層3や、その表面に設けられた異質層31が裏面型半導体層の機能を兼ね備える場合は、中間透明導電層3に接して光吸収層22が形成されてもよい。
【0053】
薄膜光電変換ユニット2の光吸収層22は、太陽光を吸収して光励起キャリアを生成する層であり、結晶シリコンよりもバンドギャップの広い材料からなる。結晶シリコンよりも広バンドギャップの薄膜材料としては、非晶質シリコンや非晶質シリコンカーバイド等の非晶質シリコン系材料、ペロブスカイト型結晶材料、および各種の有機半導体材料等が挙げられる。
【0054】
薄膜光電変換ユニット2と結晶シリコン系光電変換ユニット4とが直列接続されている場合、薄膜光電変換ユニット2の受光面側半導体層21は、結晶シリコン系光電変換ユニット4の第一導電型シリコン系半導体層41と同一の導電型を有し、裏面側半導体層23は、第二導電型シリコン系半導体層43と同一の導電型を有する。例えば、第一導電型シリコン系薄膜41がp型、第二導電型シリコン系薄膜43がn型の場合、受光面側半導体層21がp型、裏面側半導体層23がn型である。一方、薄膜光電変換ユニット2と結晶シリコン系光電変換ユニット4が逆方向の整流性を有するように積層されている場合、両者は並列接続される。
【0055】
受光面側半導体層21および裏面側半導体層23が有機半導体層である場合、電子輸送性であればn型、正孔輸送性であればp型とみなす。例えば、結晶シリコン系光電変換ユニット4の第一導電型シリコン系薄膜41がp型、第二導電型シリコン系薄膜43がn型であり、薄膜光電変換ユニット2が光吸収層22としてペロブスカイト型結晶材料を用いたペロブスカイト光電変換ユニットである場合、受光面側半導体層21が正孔輸送層、裏面側半導体層23が電子輸送層であれば、結晶シリコン系光電変換ユニットとペロブスカイト光電変換ユニットとが直列接続される。
【0056】
薄膜光電変換ユニット2を構成する裏面側半導体層23,光吸収層22、および受光面側半導体層21のうち、少なくとも1層は湿式法により形成される。薄膜光電変換ユニット2の形成の土台となるシリコン基板42の表面にはテクスチャが形成されているが、その上にテクスチャの凹部を埋設するように中間透明導電層3が設けられることにより、カバレッジが良好な薄膜を湿式法により製膜できる。
【0057】
以下では、薄膜光電変換ユニット2が、光吸収層22としてペロブスカイト型結晶材料を備え、光吸収層22の受光面側にp層(正孔輸送層)、裏面側にn層(電子輸送層)を備えるペロブスカイト光電変換ユニットである実施形態について説明する。この形態では、中間透明導電層3上に、電子輸送層23、ペロブスカイト光吸収層22および正孔輸送層21が順に製膜され、ペロブスカイト光電変換ユニット2が形成される。
【0058】
電子輸送層23としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等の無機材料が好ましく用いられる。PCBMをはじめとするフラーレン系材料や、ペリレン系材料等の有機材料を、電子輸送層の材料として用いることもできる。電子輸送層には、ドナーが添加されていてもよい。例えば、輸送層として酸化チタンが用いられる場合、ドナーとしては、イットリウム、ユウロピウム、テルビウム等が挙げられる。
【0059】
ペロブスカイト光吸収層22は、ペロブスカイト型結晶構造の感光性材料(ペロブスカイト型結晶材料)を含有する。ペロブスカイト型結晶材料を構成する化合物は、一般式RNHMXまたはHC(NHMXで表される。式中、Rはアルキル基であり、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。Mは2価の金属イオンであり、PbやSnが好ましい。Xはハロゲンであり、F,Cl,Br,Iが挙げられる。3個のXは、全て同一のハロゲン元素であってもよく、複数のハロゲンが混在していてもよい。ハロゲンXの種類や比率を変更することにより、分光感度特性を変化させることができる。
【0060】
ペロブスカイト光吸収層22が吸収する光の波長範囲は、ペロブスカイト型結晶材料のバンドギャップで決まる。ペロブスカイト光電変換ユニット2と結晶シリコン系光電変換ユニット4との電流マッチングを取る観点から、ペロブスカイト光吸収層22のバンドギャップは、1.55〜1.75eVが好ましく、1.6〜1.65eVがより好ましい。例えば、ペロブスカイト型結晶材料が式CHNHPbI3−yBrで表される場合、バンドギャップを1.55〜1.75eVにするためにはy=0〜0.85程度が好ましく、バンドギャップを1.60〜1.65eVにするためにはy=0.15〜0.55程度が好ましい。
【0061】
正孔輸送層21としては、有機材料が好ましく用いられ、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレン(Spiro−OMeTAD)等のフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリフェニルメチル)アミン](PTAA)等のトリフェニルアミン誘導体、ジフェニルアミン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポルフィリン、フタロシアニン等の錯体が挙げられる。MoO、WO、NiO、CuO等の無機酸化物も正孔輸送層の材料として用いることができ、有機材料と積層してもよい。
【0062】
ペロブスカイト光電変換ユニットの電子輸送層23、光吸収層22および正孔輸送層21の製膜方法は特に限定されず、材料の特性等に応じて、真空蒸着法、CVD法、スパッタ法等の乾式法や、スピンコート法、スプレー法、バーコート法等の湿式法を採用できる。これら各層の少なくとも1層は湿式法により製膜される。
【0063】
例えば、ペロブスカイト光吸収層22としてCHNHPbIを製膜する場合、ジメチルスルホキシドやN,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中に、ヨウ化鉛とヨウ化メチルアンモニウムを混合した溶液をスピンコート法にて塗布し、塗膜を加熱することにより、CHNHPbI結晶を成長させることができる。塗膜の表面に貧溶媒を接触させることにより、結晶性を向上させることもできる。
【0064】
受光面にテクスチャを有する結晶シリコン系光電変換ユニット4上に、中間透明導電層3が設けられることにより、ペロブスカイト光吸収層22等を製膜する際の下地が平坦化されている。そのため、テクスチャ凹部への液溜まりが生じ難く、湿式法により均一性の高い薄膜を形成できる。中間透明導電層3が、MOCVD法により形成された導電性酸化物層30の表面に異質層31を有することにより、湿式法によりペロブスカイト型結晶材料を形成した場合でも、下地に起因する相分離等の悪影響が生じ難い。
【0065】
乾式法と湿式法との組み合わせにより、ペロブスカイト型結晶材料層を形成してもよい。例えば、真空蒸着法によりヨウ化鉛の薄膜を形成し、その表面にヨウ化メチルアンモニウムのイソプロピルアルコール溶液を、スピンコート等により塗布することにより、CHNHPbIの結晶が得られる。テクスチャの凹部を埋めるように中間透明導電層3が設けられているため、スピンコート等の湿式法により塗布される溶液の凹部への液溜まりが抑制され、ペロブスカイト型結晶材料層を均一に形成できる。
【0066】
このように、本発明によれば、結晶シリコン系光電変換ユニット4に、受光面にテクスチャを有する結晶シリコン基板を用いた場合でも、その上に均一性の高い薄膜を湿式法により製膜可能である。そのため、結晶シリコン系光電変換ユニット4の受光面のテクスチャによる反射防止効果と、高品質の薄膜光電変換ユニット2の形成とを両立し、変換特性に優れる積層型光電変換装置が得られる。
【0067】
受光面電極1は、透明電極層11を含む。透明電極層の材料としては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム等の導電性酸化物や、酸化インジウム錫(ITO)等の複合酸化物等を用いることが好ましい。また、また、InやSnOにWやTi等をドープした材料を用いてもよい。このような透明導電性酸化物は、透明性を有しかつ低抵抗であるため、光励起キャリアを効率よく収集できる。透明電極層の製膜方法は、スパッタ法やMOCVD法等が好ましい。透明電極層として、酸化物以外に、Agナノワイヤ等の金属細線や、PEDOT−PSS等の有機材料を用いることもできる。
【0068】
受光面電極1は、透明電極層11上にパターン状の金属電極12を有していてもよい。受光面に設けられる金属電極12のパターン形状は、グリッド状が典型的であり、例えば、平行に並んだ複数のフィンガー電極と、フィンガー電極と直交方向に延在するバスバー電極とからなるグリッド形状が挙げられる。
【0069】
受光面側の透明電極層11としてITO等の金属酸化物が用いられる場合、受光面の最表面に反射防止膜(不図示)を設けることが好ましい。MgF等の低屈折率材料からなる反射防止膜を最表面に設けることにより、空気界面での屈折率差を小さくして反射光を低減し、光電変換ユニットに取り込まれる光量を増大できる。
【0070】
裏面電極5は、透明電極でも金属電極でもよく、透明電極と金属電極とが積層されていてもよい。結晶シリコン系光電変換ユニット4がヘテロ接合型結晶シリコン光電変換ユニットである場合は、半導体層43に接して透明電極層51が設けられ、その上に金属電極52が設けられる。裏面側の透明電極層51の材料としては、受光面側の透明電極層11の材料として先に例示した材料を用いることが好ましい。
【0071】
裏面金属電極52は、全面に形成されていてもよくパターン状でもよい。裏面金属電極52には、長波長光の反射率が高く、かつ導電性や化学的安定性が高い材料を用いることが望ましい。このような特性を満たす材料としては、銀、銅、アルミニウム等が挙げられる。裏面電極は、印刷法、各種物理気相蒸着法、めっき法等により形成できる。
【0072】
上記の様に、受光面にテクスチャを有する結晶シリコン系光電変換ユニット4上に、テクスチャの凹部を埋めるように中間透明導電層3が設けられ、その上に薄膜光電変換ユニット2としてペロブスカイト光電変換ユニットが形成される。この構成では、中間透明導電層の表面が平坦化されているため、膜質が高く均一性に優れるペロブスカイト光電変換ユニットを形成できる。
【0073】
さらには、シリコン基板の受光面のテクスチャによる反射防止効果により、結晶シリコン基板に取り込まれる光量が増大し、結晶シリコン系光電変換ユニットの発電電流量が増大する。受光面にテクスチャが設けられることに加えて、テクスチャの凹部を埋めるように中間透明導電層3が設けられることも、結晶シリコン系光電変換ユニットの発電電流量増大に寄与する。
【0074】
複数の光電変換ユニットが直列接続された積層型光電変換装置では、電流の小さい光電変換ユニットにより電流値が律速される。ペロブスカイト型結晶材料は高エネルギーの短波長光の吸光係数が大きいため、結晶シリコン系光電変換ユニット上にペロブスカイト光電変換ユニットを備える積層型光電変換装置では、結晶シリコン系光電変換ユニットの電流値により、全体の電流値が決定する。そのため、ボトムセルとしての結晶シリコン系光電変換ユニットの発電電流量の増大は、積層型光電変換装置の発電電流量の増大に直結する。
【0075】
図2は、ヘテロ接合型結晶シリコン光電変換ユニット(HJ cell)上に中間層を介してペロブスカイト光電変換ユニットが設けられた積層型光電変換装置の積層構成例であり、左側の図は結晶シリコン基板にテクスチャが設けられている形態、右側の図は結晶シリコン基板にテクスチャが設けられていない形態を表している。図中の括弧内の数値は、波長590nmにおける各材料の屈折率を表している。
【0076】
図3は、図2の構成を有する積層型光電変換装置において、中間層の屈折率を1〜4の範囲で変化させ、ヘテロ接合セルの電流密度を光学シミュレーションにより算出した結果を表している。中間層の屈折率の値に関わらず、テクスチャが設けられることによりヘテロ接合セルの電流密度が増大していることが分かる。
【0077】
シリコン基板の表面にテクスチャが設けられていない場合は、中間層の屈折率が3程度の場合に、ヘテロ接合セルの電流密度が最大となっている。一方、シリコン基板の表面にテクスチャが設けられている場合は、中間層の屈折率が2程度の場合に、ヘテロ接合セルの電流密度が最大となることが分かる。このシミュレーション結果から、シリコン基板の表面にテクスチャが設けられていない場合は中間層の屈折率は3程度が好ましいのに対して、シリコン基板の表面にテクスチャが設けられ、その凹部を埋めるように中間層が形成されている場合は、中間層の屈折率は2程度が好ましいことが分かる。
【0078】
特に、テクスチャの凹部を埋める中間層の屈折率が1.8〜2.5程度の範囲である場合に、ヘテロ接合セルの電流密度が高くなる傾向がある。酸化亜鉛等の導電性酸化物の多くは屈折率がこの範囲内であるため、テクスチャの凹部を埋めるように中間透明導電層が設けられることにより、ボトムセルによる電流律速が緩和され、変換効率の高い積層型光電変換装置が得られる。
【0079】
積層型光電変換装置は、実用に際してモジュール化されることが好ましい。例えば、基板とバックシートとの間に、封止材を介してセルを封止することにより、モジュール化が行われる。インターコネクタを介して複数のセルを直列または並列に接続した後に封止を行ってもよい。
【実施例】
【0080】
実施例と比較例との対比により、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0081】
[比較例]
(結晶シリコンセルの作製)
厚みが200μmのn型単結晶シリコン基板をアルカリ溶液に浸漬して、シリコン基板の両面の異方性エッチングを行い、(111)面が露出したピラミッド型のテクスチャを、基板の両面に形成した。テクスチャの平均凹凸高さは1.5μmであった。エッチング後のシリコン基板をCVD装置に導入し、プラズマCVDにより、真性非晶質シリコン薄膜およびp型非晶質シリコン薄膜を製膜した。
【0082】
(ペロブスカイト型結晶材料層の製膜)
p型非晶質シリコン薄膜上に、ペロブスカイトセルの電子輸送層として、膜厚50nmの酸化チタン層を電子線蒸着法により製膜した。走査型電子顕微鏡(SEM)により製膜表面を観察したところ、テクスチャを有する結晶シリコンセル上の全面に、酸化チタン層が均一に製膜されていた。
【0083】
ジメチルスルホキシド中にヨウ化鉛およびヨウ化メチルアンモニウムを溶解させた溶液を、乾燥膜厚が350nmとなるように、酸化チタン層上にスピンコート法により塗布した。100℃で10分加熱した後、表面のSEM観察を行ったところ、テクスチャの凸部には塗膜が形成されておらず、下地の酸化チタン層が露出していた。
【0084】
[参考例1〜3:テクスチャ上への酸化亜鉛中間層の形成]
比較例1と同様にして、テクスチャが形成されたシリコン基板上に、プラズマCVDにより、真性非晶質シリコン薄膜およびp型非晶質シリコン薄膜を製膜した。p型非晶質シリコン薄膜上に、基板温度150℃で、ジエチル亜鉛((CZn)、水(HO)、水素(H)および水素で0.5%に希釈したジボラン(B)を、流量比1:1.5:1.5:1.5となるように導入し、圧力25Paで、MOCVDにより酸化亜鉛を製膜した。酸化亜鉛の膜厚は、1.7μm(参考例1)、2.9μm(参考例2)および4.8μmとした。なお、膜厚は、平坦なシリコン基板上に同条件で成膜した酸化亜鉛層の膜厚から求めた製膜速度に基づく算出値である。
【0085】
参考例1〜3の酸化亜鉛膜の断面SEM像を図4に示す。参考例1〜3のいずれにおいても、酸化亜鉛の製膜初期(観察像の下側;シリコン基板側の界面)に、テクスチャ斜面の法線方向に結晶が成長しており、テクスチャの凹部が埋められることにより、表面が平坦化されていることが分かる。
【0086】
参考例1(1.7μm)の酸化亜鉛膜の表面は、シリコン基板のテクスチャの凹凸パターンを承継した凹凸パターンを有していたが、凹凸の高低差は緩和されていた。参考例2(2.9μm)および参考例3(4.8μm)では、酸化亜鉛膜の表面には、シリコン基板の凹凸に起因する凹凸形状はみられなかった。なお、参考例3では、酸化亜鉛膜の表面に、結晶成長に起因する凹凸形状が確認された。
【0087】
[参考例4:中間層上へのペロブスカイト型結晶材料層の製膜]
参考例2と同様にして、テクスチャが形成されたシリコン基板上に、プラズマCVDにより、真性非晶質シリコン薄膜およびp型非晶質シリコン薄膜を製膜し、その上にMOCVD法により膜厚2.9μmの酸化亜鉛を製膜した。酸化亜鉛層上に、比較例1と同様にして、膜厚50nmの酸化チタン層を製膜し、その上にヨウ化鉛およびヨウ化メチルアンモニウムの溶液塗布し、加熱を行った。
【0088】
[実施例1:中間層上へのスパッタ膜の形成およびペロブスカイト型結晶材料層の製膜]
参考例4と同様にして、テクスチャが形成されたシリコン基板上に、プラズマCVDにより、真性非晶質シリコン薄膜およびp型非晶質シリコン薄膜を製膜し、その上にMOCVD法により膜厚2.9μmの酸化亜鉛を製膜した。酸化亜鉛層上に、室温でDCマグネトロンスパッタにより、膜厚100nmのITOを製膜した。ITO層上に、比較例1と同様にして、膜厚50nmの酸化チタン層を製膜し、その上にヨウ化鉛およびヨウ化メチルアンモニウムの溶液塗布し、加熱を行った。
【0089】
参考例4の製膜面および断面のSEM観察像を図5に示す。実施例1の製膜面および断面のSEM観察像を図6に示す。図5の製膜面のSEM像に示すように、参考例1では、表面の全体が覆われており下地の酸化チタン層の露出はみられなかったが、相分離により膜が不均一となっていた。一方、酸化亜鉛膜上にスパッタ法によりITO膜を形成した実施例1では、均一な膜が形成されていた。
【0090】
図7に参考例4および実施例1の表面の塗布層のX線回折図を示す。実施例1では、2θ=14.1°にピークが観測され、CHNHPbIの結晶が形成されていることが確認できた。参考例4では、CHNHPbIの2θ=14.2°のピークに加えて2θ=12.8°のヨウ化鉛のピークが観測されたことから、ペロブスカイト結晶の形成が十分ではなく、相分離が生じていることが分かる。
【0091】
[実施例2]
酸化亜鉛層上のITO層の膜厚を5nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして各層の製膜を実施した。製膜面のSEM観察像を図8に示す。ITO層の膜厚が5nmの場合も、ITO層の膜厚が100nmの実施例1と同様に均一なペロブスカイト結晶材料膜が形成されていた。
【0092】
[実施例3:中間層のRIE処理およびペロブスカイト型結晶材料層の製膜]
参考例4と同様にして、テクスチャが形成されたシリコン基板上に、プラズマCVDにより、真性非晶質シリコン薄膜およびp型非晶質シリコン薄膜を製膜し、その上にMOCVD法により膜厚2.2μmの酸化亜鉛を製膜した。酸化亜鉛の製膜表面に対して、反応性イオンエッチング(RIE)を実施して、表面の改質を行った。RIE前後の酸化亜鉛膜表面のSEM観察像を図9に示す。
【0093】
RIE後の酸化亜鉛層上に、比較例1と同様にして、膜厚50nmの酸化チタン層を製膜し、その上にヨウ化鉛およびヨウ化メチルアンモニウムを溶液塗布し、加熱を行った。製膜面のSEM観察像を図10に示す。RIEにより表面処理を行った場合も、実施例1,2と同様に均一な膜が形成されていた。
【0094】
[実施例4:塗布型導電性中間層上へのペロブスカイト型結晶材料層の製膜]
比較例1と同様にして、テクスチャが形成されたシリコン基板上に、プラズマCVDにより、真性非晶質シリコン薄膜およびp型非晶質シリコン薄膜を製膜した。p型非晶質シリコン薄膜上に、乾燥後厚みが1μmとなるようにITOインクを塗布し、180℃で30分間加熱を行い、塗布層を固化させた。ITO層上に、比較例1と同様にして、膜厚50nmの酸化チタン層を製膜し、その上にヨウ化鉛およびヨウ化メチルアンモニウムを溶液塗布し、加熱を行った。製膜面および断面のSEM観察像を図11に示す。中間層として塗布型の導電層を用いた実施例4においても、実施例1〜3と同様に、均一な膜が形成されていた。
【符号の説明】
【0095】
1 受光面電極
2 薄膜光電変換ユニット
22 光吸収層
21,23 半導体層
3 中間透明導電層
30 導電性酸化物層
31 異質層
4 結晶シリコン系光電変換ユニット
42 結晶シリコン基板
41,43 半導体層
5 裏面電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】