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再表2017-199750車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年11月23日
【発行日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20181122BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
   B60W30/10
   G08G1/16 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
【出願番号】特願2018-518210(P2018-518210)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年5月1日
(31)【優先権主張番号】特願2016-98048(P2016-98048)
(32)【優先日】2016年5月16日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大庭 吉裕
(72)【発明者】
【氏名】吉田 峰由生
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA02
3D241BA03
3D241BA08
3D241BA12
3D241BA15
3D241BA26
3D241BA33
3D241BA60
3D241BB01
3D241BB06
3D241BB16
3D241BB17
3D241BB45
3D241BB46
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3D241CC08
3D241CC17
3D241CD06
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3D241CE04
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3D241DC33Z
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3D241DC39Z
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3D241DC45Z
3D241DC50Z
3D241DC57Z
3D241DC58Z
3D241DD12Z
5H181AA01
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5H181CC03
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5H181CC12
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5H181FF22
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5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
車両制御システムは、車両の位置を認識する位置認識部と、車両が到達すべき将来の目標位置が、時系列に連続して数含まれる軌道を生成する軌道生成部と、前記軌道に含まれる複数の目標位置間の距離に基づいて、軌道に沿って車両を走行させる際の目標速度を導出すると共に、位置認識部により認識された車両の位置と、複数の目標位置のうち車両の位置認識がおこなわれた認識時刻に対応した第1の目標位置との第1の偏差に基づいて、前記目標速度を補正する走行制御部とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を認識する位置認識部と、
前記車両が到達すべき将来の目標位置が、時系列に連続して複数含まれる軌道を生成する軌道生成部と、
前記軌道に含まれる前記複数の目標位置間の距離に基づいて、前記軌道に沿って前記車両を走行させる際の目標速度を導出すると共に、前記位置認識部により認識された前記車両の位置と、前記複数の目標位置のうち前記車両の位置認識がおこなわれた認識時刻に対応した第1の目標位置との第1の偏差に基づいて、前記目標速度を補正する走行制御部と、
を備える車両制御システム。
【請求項2】
前記走行制御部は、
前記複数の目標位置の中から、前記認識時刻から第1の所定時間が経過した将来の時刻に対応する第2の目標位置を抽出し、
前記第1の目標位置から、前記第2の目標位置までの前記軌道の長さを、前記第1の所定時間で除算した速度を、前記目標速度として導出する、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記走行制御部は、更に、前記認識時刻から、前記第1の所定時間に比して短い第2の所定時間が経過した将来の時刻に対応した第3の目標位置と、前記将来の時刻において前記車両が到達することが予測される予測位置との第2の偏差に基づいて、前記目標速度を補正する、
請求項2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記第1の偏差に基づく前記目標速度の補正量と、前記第2の偏差に基づく前記目標速度の補正量との一方または双方には制限が設けられ、
前記走行制御部は、前記制限の範囲内の補正量で前記目標速度を補正する、
請求項3に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記第1の偏差および前記第2の偏差の少なくとも一方に対して、それぞれの偏差に応じて前記目標速度の補正量を減少させる領域が設けられ、
前記走行制御部は、求められた偏差が前記第1の偏差および前記第2の偏差の少なくとも一方の前記領域内にある場合、求められた偏差が前記領域外にある場合の前記目標速度の補正量に比して少ない補正量で前記目標速度を補正する、
請求項3または4に記載の車両制御システム。
【請求項6】
前記車両の周辺を走行する他車両を認識する外界認識部を更に備え、
前記走行制御部は、前記外界認識部により認識された他車両のうち、前記車両の前方を走行する前走車両および前記車両の後方を走行する後続車両の一方または双方と、前記車両との車間距離が大きくなるほど、前記領域の領域範囲を広く設定する、
請求項5に記載の車両制御システム。
【請求項7】
前記走行制御部は、前記第1の偏差および前記第2の偏差の少なくとも一方が閾値以下である場合、求められた偏差が前記閾値を超える場合の前記目標速度の補正量に比して少ない補正量で前記導出した目標速度を補正する、
請求項3または4に記載の車両制御システム。
【請求項8】
前記車両の周辺を走行する他車両を認識する外界認識部を更に備え、
前記走行制御部は、前記外界認識部により認識された他車両のうち、前記車両の前方を走行する前走車両および前記車両の後方を走行する後続車両の一方または双方と、前記車両との車間距離が大きくなるほど、前記閾値を大きくする、
請求項7に記載の車両制御システム。
【請求項9】
前記車両の速度を検出する検出部を更に備え、
前記走行制御部は、前記検出部により検出された速度が低下するほど、前記第1の偏差に基づく前記目標速度の補正量、または前記第2の偏差に基づく前記目標速度の補正量を少なくする、
請求項3から8のうちいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項10】
車載コンピュータが、
車両の位置を認識し、
前記車両が到達すべき将来の目標位置が、時系列に連続して複数含まれる軌道を生成し、
前記軌道に含まれる前記複数の目標位置間の距離に基づいて、前記軌道に沿って前記車両を走行させる際の目標速度を導出し、
前記認識した前記車両の位置と、前記複数の目標位置のうち前記車両の位置認識がおこなわれた認識時刻に対応した第1の目標位置との第1の偏差に基づいて、前記目標速度を補正する、
車両制御方法。
【請求項11】
車載コンピュータに、
車両の位置を認識させ、
前記車両が到達すべき将来の目標位置が、時系列に連続して複数含まれる軌道を生成させ、
前記軌道に含まれる前記複数の目標位置間の距離に基づいて、前記軌道に沿って前記車両を走行させる際の目標速度を導出させ、
前記認識させた前記車両の位置と、前記複数の目標位置のうち前記車両の位置認識がおこなわれた認識時刻に対応した第1の目標位置との第1の偏差に基づいて、前記目標速度を補正させる、
車両制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムに関する。
本願は、2016年5月16日に出願された日本国特願2016−098048号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の加減速と操舵とのうち、少なくとも一方を自動的に制御する技術(以下、自動運転)について研究が進められている。これに関連して、自車速度及び前走車速度の速度差をあらかじめ定めた所定値と比較し、その比較結果に基づき自車速度又は前走車速度に応じて自車と前走車との車間距離を調整するために加減速を制御し、自車速度及び前走車速度の速度差が所定値以上であるとき、自車速度に応じて加減速を修正する自動走行車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開平9−183319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、自動運転中に加減速が頻繁に行われる可能性があった。このため、車両の乗員が自動運転を不快に感じることが想定される。
【0005】
本発明の態様は、乗員の不快感を低減させることができる車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係る車両制御システムは、車両の位置を認識する位置認識部と、前記車両が到達すべき将来の目標位置が、時系列に連続して複数含まれる軌道を生成する軌道生成部と、前記軌道に含まれる前記複数の目標位置間の距離に基づいて、前記軌道に沿って前記車両を走行させる際の目標速度を導出すると共に、前記位置認識部により認識された前記車両の位置と、前記複数の目標位置のうち前記車両の位置認識がおこなわれた認識時刻に対応した第1の目標位置との第1の偏差に基づいて、前記目標速度を補正する走行制御部と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)の態様において、前記走行制御部が、前記複数の目標位置の中から、前記認識時刻から第1の所定時間が経過した将来の時刻に対応する第2の目標位置を抽出し、前記第1の目標位置から、前記第2の目標位置までの前記軌道の長さを、前記第1の所定時間で除算した速度を、前記目標速度として導出してもよい。
【0008】
(3)上記(2)の態様において、前記走行制御部が、更に、前記認識時刻から、前記第1の所定時間に比して短い第2の所定時間が経過した将来の時刻に対応した第3の目標位置と、前記将来の時刻において前記車両が到達することが予測される予測位置との第2の偏差に基づいて、前記目標速度を補正してもよい。
【0009】
(4)上記(3)の態様において、前記第1の偏差に基づく前記目標速度の補正量と、前記第2の偏差に基づく前記目標速度の補正量との一方または双方には制限が設けられてもよく、前記走行制御部が、前記制限の範囲内の補正量で前記導出した目標速度を補正してもよい。
【0010】
(5)上記(3)または(4)の態様において、前記第1の偏差および前記第2の偏差の少なくとも一方に対して、それぞれの偏差に応じて前記目標速度の補正量を減少させる領域が設けられてもよく、前記走行制御部が、求められた偏差が前記第1の偏差および前記第2の偏差の少なくとも一方の前記領域内にある場合、求められた偏差が前記領域外にある場合の前記目標速度の補正量に比して少ない補正量で前記目標速度を補正してもよい。
【0011】
(6)上記(5)の態様において、前記車両の周辺を走行する他車両を認識する外界認識部を更に備えてもよく、前記走行制御部が、前記外界認識部により認識された他車両のうち、前記車両の前方を走行する前走車両および前記車両の後方を走行する後続車両の一方または双方と、前記車両との車間距離が大きくなるほど、前記領域の領域範囲を広く設定してもよい。
【0012】
(7)上記(3)または(4)の態様において、前記走行制御部が、前記第1の偏差および前記第2の偏差の少なくとも一方が閾値以下である場合、求められた偏差が前記閾値を超える場合の前記目標速度の補正量に比して少ない補正量で前記導出した目標速度を補正してもよい。
【0013】
(8)上記(7)の態様において、前記車両の周辺を走行する他車両を認識する外界認識部を更に備えてもよく、前記走行制御部が、前記外界認識部により認識された他車両のうち、前記車両の前方を走行する前走車両および前記車両の後方を走行する後続車両の一方または双方と、前記車両との車間距離が大きくなるほど、前記閾値を大きくしてもよい。
【0014】
(9)上記(3)から(8)のいずれか一項の態様において、前記車両の速度を検出する検出部を更に備えてもよく、前記走行制御部が、前記検出部により検出された速度が低下するほど、前記第1の偏差に基づく前記目標速度の補正量、または前記第2の偏差に基づく前記目標速度の補正量を少なくしてもよい。
【0015】
(10)本発明の一態様に係る車両制御方法は、車載コンピュータが、車両の位置を認識し、前記車両が到達すべき将来の目標位置が、時系列に連続して複数含まれる軌道を生成し、前記軌道に含まれる前記複数の目標位置間の距離に基づいて、前記軌道に沿って前記車両を走行させる際の目標速度を導出し、前記認識した前記車両の位置と、前記複数の目標位置のうち前記車両の位置認識がおこなわれた認識時刻に対応した第1の目標位置との第1の偏差に基づいて、前記目標速度を補正する。
【0016】
(11)本発明の一態様に係る車両制御プログラムは、車載コンピュータに、車両の位置を認識させ、前記車両が到達すべき将来の目標位置が、時系列に連続して複数含まれる軌道を生成させ、前記軌道に含まれる前記複数の目標位置間の距離に基づいて、前記軌道に沿って前記車両を走行させる際の目標速度を導出させ、前記認識させた前記車両の位置と、前記複数の目標位置のうち前記車両の位置認識がおこなわれた認識時刻に対応した第1の目標位置との第1の偏差に基づいて、前記目標速度を補正させる。
【発明の効果】
【0017】
上記(1)〜(11)の態様によれば、乗員の不快感を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】各実施形態の車両制御システムが搭載される自車両の構成要素を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る車両制御システムを中心とした機能構成図である。
図3】自車位置認識部により走行車線に対する自車両の相対位置が認識される様子を示す図である。
図4】ある区間について生成された行動計画の一例を示す図である。
図5】軌道生成部の構成の一例を示す図である。
図6】軌道候補生成部により生成される軌道の候補の一例を示す図である。
図7】軌道候補生成部により生成される軌道の候補を軌道点で表現した図である。
図8】車線変更ターゲット位置を示す図である。
図9】3台の周辺車両の速度を一定と仮定した場合の速度生成モデルを示す図である。
図10】操舵制御部および加減速制御部と、その制御対象との関係を示す図である。
図11】第1の実施形態における加減速制御部の構成の一例を示す図である。
図12】第1の実施形態における加減速制御部の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】第2の実施形態における加減速制御部の構成の一例を示す図である。
図14】現在偏差に対する第1の不感帯の一例を示す図である。
図15】現在偏差に対する第1の不感帯の他の例を示す図である。
図16】将来偏差に対する第2の不感帯の一例を示す図である。
図17】将来偏差に対する第2の不感帯の他の例を示す図である。
図18】場面ごとの加減速制御の一例を示す図である。
図19】現在偏差に対する第1の不感帯の他の例を示す図である。
図20】現在偏差に対する第1の不感帯の他の例を示す図である。
図21】将来偏差に対する第2の不感帯の他の例を示す図である。
図22】将来偏差に対する第2の不感帯の他の例を示す図である。
図23】場面ごとの加減速制御の一例を示す図である。
図24】不感帯の領域サイズの変更方法を説明するための図である。
図25】不感帯の領域サイズの変更方法を説明するための図である。
図26】第2の実施形態における加減速制御部の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図27】第3の実施形態における加減速制御部の構成の一例を示す図である。
図28】自車両の速度に対する出力ゲインの変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムの実施形態について説明する。
【0020】
<共通構成>
図1は、各実施形態の車両制御システム100が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)の構成要素を示す図である。車両制御システム100が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の自動車であり、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関を動力源とした自動車や、電動機を動力源とした電気自動車、内燃機関および電動機を兼ね備えたハイブリッド自動車等を含む。電気自動車は、例えば、二次電池、水素燃料電池、金属燃料電池、アルコール燃料電池等の電池により放電される電力を使用して駆動される。
【0021】
図1に示すように、自車両Mには、ファインダ20−1から20−7、レーダ30−1から30−6、およびカメラ40等のセンサと、ナビゲーション装置50(経路誘導装置)と、車両制御システム100とが搭載される。
【0022】
ファインダ20−1から20−7は、例えば、照射光に対する散乱光を測定し、対象までの距離を測定するLIDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging)である。例えば、ファインダ20−1は、フロントグリル等に取り付けられ、ファインダ20−2および20−3は、車体の側面やドアミラー、前照灯内部、側方灯付近等に取り付けられる。ファインダ20−4は、トランクリッド等に取り付けられ、ファインダ20−5および20−6は、車体の側面や尾灯内部等に取り付けられる。上述したファインダ20−1から20−6は、例えば、水平方向に関して150度程度の検出領域を有している。また、ファインダ20−7は、ルーフ等に取り付けられる。
ファインダ20−7は、例えば、水平方向に関して360度の検出領域を有している。
レーダ30−1および30−4は、例えば、奥行き方向の検出領域が他のレーダよりも広い長距離ミリ波レーダである。また、レーダ30−2、30−3、30−5、30−6は、レーダ30−1および30−4よりも奥行き方向の検出領域が狭い中距離ミリ波レーダである。
【0023】
以下、ファインダ20−1から20−7を特段区別しない場合は、単に「ファインダ20」と記載し、レーダ30−1から30−6を特段区別しない場合は、単に「レーダ30」と記載する。レーダ30は、例えば、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体を検出する。
【0024】
カメラ40は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ40は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ40は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの前方を撮像する。カメラ40は、複数のカメラを含むステレオカメラであってもよい。
【0025】
なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0026】
<第1の実施形態>
図2は、第1の実施形態に係る車両制御システム100を中心とした機能構成図である。
自車両Mには、ファインダ20、レーダ30、およびカメラ40などを含む検知デバイスDDと、ナビゲーション装置50と、通信装置55と、車両センサ60と、表示装置62と、スピーカ64と、操作デバイス70と、操作検出センサ72と、切替スイッチ80と、車両制御システム100と、駆動力出力装置200と、ステアリング装置210と、ブレーキ装置220とが搭載される。
これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。
なお、特許請求の範囲における車両制御システムは、「車両制御システム100」のみを指しているのではなく、車両制御システム100以外の構成(検知デバイスDDなど)を含んでもよい。
【0027】
ナビゲーション装置50は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機や地図情報(ナビ地図)、ユーザインターフェースとして機能するタッチパネル式表示装置、スピーカ、マイク等を有する。ナビゲーション装置50は、GNSS受信機によって自車両Mの位置を特定し、その位置からユーザによって指定された目的地までの経路を導出する。
ナビゲーション装置50により導出された経路は、車両制御システム100の目標車線決定部110に提供される。自車両Mの位置は、車両センサ60の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。
また、ナビゲーション装置50は、車両制御システム100が手動運転モードを実行している際に、目的地に至る経路について音声やナビ表示によって案内を行う。
なお、自車両Mの位置を特定するための構成は、ナビゲーション装置50とは独立して設けられてもよい。
また、ナビゲーション装置50は、例えば、ユーザの保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。この場合、端末装置と車両制御システム100との間で、無線または有線による通信によって情報の送受信が行われる。
【0028】
通信装置55は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用した無線通信を行う。
【0029】
車両センサ60は、車速を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。車両センサ60は、「検出部」の一例である。
【0030】
表示装置62は、情報を画像として表示する。表示装置62は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(Electroluminescence)表示装置等を含む。本実施形態では、表示装置62は、自車両Mのフロントウィンドウに画像を反射させて、車両乗員の視野内に画像を表示するヘッドアップディスプレイであるものとして説明する。なお、表示装置62は、ナビゲーション装置50が備える表示装置や、自車両Mの状態(速度等)を表示するインストルメントパネルの表示装置であってもよい。スピーカ64は、情報を音声として出力する。
【0031】
操作デバイス70は、例えば、アクセルペダルやステアリングホイール、ブレーキペダル、シフトレバー等を含む。操作デバイス70には、運転者による操作の有無や量を検出する操作検出センサ72が取り付けられている。
操作検出センサ72は、例えば、アクセル開度センサ、ステアリングトルクセンサ、ブレーキセンサ、シフト位置センサ等を含む。操作検出センサ72は、検出結果としてのアクセル開度、ステアリングトルク、ブレーキ踏量、シフト位置等を走行制御部160に出力する。
なお、これに代えて、操作検出センサ72の検出結果が、直接的に駆動力出力装置200、ステアリング装置210、またはブレーキ装置220に出力されてもよい。
【0032】
切替スイッチ80は、車両乗員によって操作されるスイッチである。切替スイッチ80は、車両乗員の操作を受け付け、走行制御部160による制御モードを自動運転モードまたは手動運転モードのいずれか一方に指定する制御モード指定信号を生成し、切替制御部150に出力する。
自動運転モードとは、上述したように、運転者が操作を行わない(或いは手動運転モードに比して操作量が小さい、または操作頻度が低い)状態で走行する運転モードである。より具体的には、自動運転モードとは、行動計画に基づいて駆動力出力装置200、ステアリング装置210、およびブレーキ装置220の一部または全部を制御する運転モードである。
また、切替スイッチ80は、自動運転モードを切り替える操作の他に、種々の操作を受け付けてもよい。例えば、車両制御システム100側から出力された情報が表示装置62を介して車両乗員に提示された場合、切替スイッチ80は、これに対する応答操作などを受け付けてよい。
【0033】
車両制御システム100の説明に先立って、駆動力出力装置200、ステアリング装置210、およびブレーキ装置220について説明する。
【0034】
駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。駆動力出力装置200は、例えば、自車両Mが内燃機関を動力源とした自動車である場合、エンジン、変速機、およびエンジンを制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)を備える。また、自車両Mが電動機を動力源とした電気自動車である場合、駆動力出力装置200は、走行用モータおよび走行用モータを制御するモータECUを備える。また、自車両Mがハイブリッド自動車である場合、駆動力出力装置200は、エンジン、変速機、およびエンジンECUと走行用モータおよびモータECUとを備える。
駆動力出力装置200がエンジンのみを含む場合、エンジンECUは、後述する走行制御部160から入力される情報に従って、エンジンのスロットル開度やシフト段等を調整する。
駆動力出力装置200が走行用モータのみを含む場合、モータECUは、走行制御部160から入力される情報に従って、走行用モータに与えるPWM信号のデューティ比を調整する。
駆動力出力装置200がエンジンおよび走行用モータを含む場合、エンジンECUおよびモータECUは、走行制御部160から入力される情報に従って、互いに協調して走行駆動力を制御する。
【0035】
ステアリング装置210は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。
電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。
ステアリングECUは、車両制御システム100から入力される情報、或いは入力されるステアリング操舵角またはステアリングトルクの情報に従って電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0036】
ブレーキ装置220は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、制動制御部とを備える電動サーボブレーキ装置である。
電動サーボブレーキ装置の制動制御部は、走行制御部160から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。
電動サーボブレーキ装置は、ブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。
なお、ブレーキ装置220は、上記説明した電動サーボブレーキ装置に限らず、電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。電子制御式油圧ブレーキ装置は、走行制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する。
また、ブレーキ装置220は、駆動力出力装置200に含まれ得る走行用モータによる回生ブレーキを含んでもよい。この回生ブレーキは、駆動力出力装置90に含まれ得る走行用モータにより発電された電力を利用する。
【0037】
[車両制御システム]
以下、車両制御システム100について説明する。車両制御システム100は、例えば、一以上のプロセッサまたは同等の機能を有するハードウェアにより実現される。車両制御システム100は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、記憶装置、および通信インターフェースが内部バスによって接続されたECU(Electronic Control Unit)、或いはMPU(Micro-Processing Unit)などが組み合わされた構成であってよい。
【0038】
図2に戻り、車両制御システム100は、例えば、目標車線決定部110と、自動運転制御部120と、走行制御部160と、記憶部190とを備える。
自動運転制御部120は、例えば、自動運転モード制御部130と、自車位置認識部140と、外界認識部142と、行動計画生成部144と、軌道生成部146と、切替制御部150とを備える。
【0039】
目標車線決定部110、自動運転制御部120の各部、および走行制御部160のうち一部または全部は、プロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらのうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0040】
記憶部190には、例えば、高精度地図情報192、目標車線情報194、行動計画情報196などの情報が格納される。
記憶部190は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するプログラムは、予め記憶部190に格納されていてもよいし、車載インターネット設備等を介して外部装置からダウンロードされてもよい。
また、プログラムは、そのプログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで記憶部190にインストールされてもよい。
また、車両制御システム100は、複数のコンピュータ装置によって分散化されたものであってもよい。
【0041】
目標車線決定部110は、例えば、MPUにより実現される。目標車線決定部110は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、高精度地図情報192を参照してブロックごとに目標車線を決定する。目標車線決定部110は、例えば、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。目標車線決定部110は、例えば、経路において分岐箇所や合流箇所などが存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な走行経路を走行できるように、目標車線を決定する。目標車線決定部110により決定された目標車線は、目標車線情報194として記憶部190に記憶される。
【0042】
高精度地図情報192は、ナビゲーション装置50が有するナビ地図よりも高精度な地図情報である。高精度地図情報192は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。
また、高精度地図情報192には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。
道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度、高さを含む3次元座標)、車線のカーブの曲率、車線の合流および分岐ポイントの位置、道路に設けられた標識等の情報が含まれる。
交通規制情報には、工事や交通事故、渋滞等によって車線が封鎖されているといった情報が含まれる。
【0043】
自動運転モード制御部130は、自動運転制御部120が実施する自動運転のモードを決定する。本実施形態における自動運転のモードには、以下のモードが含まれる。なお、以下はあくまで一例であり、自動運転のモードの数や種類は任意に決定されてよい。
[モードA]
モードAは、最も自動運転の度合が高いモードである。モードAが実施されている場合、複雑な合流制御など、全ての車両制御が自動的に行われるため、車両乗員は自車両Mの周辺や状態を監視する必要が無い。
[モードB]
モードBは、モードAの次に自動運転の度合が高いモードである。モードBが実施されている場合、原則として全ての車両制御が自動的に行われるが、場面に応じて自車両Mの運転操作が車両乗員に委ねられる。このため、車両乗員は自車両Mの周辺や状態を監視している必要がある。
[モードC]
モードCは、モードBの次に自動運転の度合が高いモードである。モードCが実施されている場合、車両乗員は、場面に応じた切替スイッチ80に対する確認操作を行う必要がある。モードCでは、例えば、車線変更のタイミングが車両乗員に通知され、車両乗員が切替スイッチ80に対して車線変更を指示する操作を行った場合に、自動的な車線変更が行われる。このため、車両乗員は自車両Mの周辺や状態を監視している必要がある。
【0044】
自動運転モード制御部130は、切替スイッチ80に対する車両乗員の操作、行動計画生成部144により決定されたイベント、軌道生成部146により決定された走行態様などに基づいて、自動運転のモードを決定する。
自動運転のモードには、自車両Mの検知デバイスDDの性能等に応じた限界が設定されてもよい。例えば、検知デバイスDDの性能が低い場合には、モードAは実施されないものとしてよい。
いずれのモードにおいても、切替スイッチ80に対する操作によって、手動運転モードに切り替えること(オーバーライド)は可能である。
【0045】
自動運転制御部120の自車位置認識部140は、記憶部190に格納された高精度地図情報192と、ファインダ20、レーダ30、カメラ40、ナビゲーション装置50、または車両センサ60から入力される情報とに基づいて、自車両Mが走行している車線(走行車線)、および、走行車線に対する自車両Mの相対位置を認識する。
【0046】
自車位置認識部140は、例えば、高精度地図情報192から認識される道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ40によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。
この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。
【0047】
図3は、自車位置認識部140により走行車線L1に対する自車両Mの相対位置が認識される様子を示す図である。自車位置認識部140は、例えば、自車両Mの基準点G(例えば重心)の走行車線中央CLからの乖離OS、および自車両Mの進行方向の走行車線中央CLを連ねた線に対してなす角度θを、走行車線L1に対する自車両Mの相対位置として認識する。
なお、これに代えて、自車位置認識部140は、自車線L1のいずれかの側端部に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。自車位置認識部140により認識される自車両Mの相対位置は、目標車線決定部110に提供される。
【0048】
外界認識部142は、ファインダ20、レーダ30、カメラ40等から入力される情報に基づいて、周辺車両の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。
周辺車両とは、例えば、自車両Mの周辺を走行する車両であって、自車両Mと同じ方向に走行する車両である。周辺車両の位置は、他車両の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、他車両の輪郭で表現された領域で表されてもよい。
周辺車両の「状態」とは、上記各種機器の情報に基づいて把握される、周辺車両の加速度、車線変更をしているか否か(あるいは車線変更をしようとしているか否か)を含んでもよい。
また、外界認識部142は、周辺車両に加えて、ガードレールや電柱、駐車車両、歩行者その他の物体の位置を認識してもよい。
【0049】
行動計画生成部144は、自動運転のスタート地点、および/または自動運転の目的地を設定する。自動運転のスタート地点は、自車両Mの現在位置であってもよいし、自動運転を指示する操作がなされた地点でもよい。行動計画生成部144は、そのスタート地点と自動運転の目的地との間の区間において、行動計画を生成する。なお、これに限らず、行動計画生成部144は、任意の区間について行動計画を生成してもよい。
【0050】
行動計画は、例えば、順次実行される複数のイベントで構成される。
イベントには、例えば、自車両Mを減速させる減速イベントや、自車両Mを加速させる加速イベント、走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させるレーンキープイベント、走行車線を変更させる車線変更イベント、自車両Mに前走車両を追い越させる追い越しイベント、分岐ポイントにおいて所望の車線に変更させたり、現在の走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させたりする分岐イベント、本線に合流するための合流車線において自車両Mを加減速させ、走行車線を変更させる合流イベント、自動運転の開始地点で手動運転モードから自動運転モードに移行させたり、自動運転の終了予定地点で自動運転モードから手動運転モードに移行させたりするハンドオーバイベント等が含まれる。
行動計画生成部144は、目標車線決定部110により決定された目標車線が切り替わる箇所において、車線変更イベント、分岐イベント、または合流イベントを設定する。
行動計画生成部144によって生成された行動計画を示す情報は、行動計画情報196として記憶部190に格納される。
【0051】
図4は、ある区間について生成された行動計画の一例を示す図である。図4に示すように、行動計画生成部144は、目標車線情報194が示す目標車線上を自車両Mが走行するために必要な行動計画を生成する。なお、行動計画生成部144は、自車両Mの状況変化に応じて、目標車線情報194に拘わらず、動的に行動計画を変更してもよい。
例えば、行動計画生成部144は、車両走行中に外界認識部142によって認識された周辺車両の速度が閾値を超えたり、自車線に隣接する車線を走行する周辺車両の移動方向が自車線方向に向いたりした場合に、自車両Mが走行予定の運転区間に設定されたイベントを変更する。
例えば、レーンキープイベントの後に車線変更イベントが実行されるようにイベントが設定されている場合において、外界認識部142の認識結果によって当該レーンキープイベント中に車線変更先の車線後方から車両が閾値以上の速度で進行してきたことが判明した場合、行動計画生成部144は、レーンキープイベントの次のイベントを、車線変更イベントから減速イベントやレーンキープイベント等に変更してよい。この結果、車両制御システム100は、外界の状態に変化が生じた場合においても、安全に自車両Mを自動走行させることができる。
【0052】
図5は、軌道生成部146の構成の一例を示す図である。軌道生成部146は、例えば、走行態様決定部146Aと、軌道候補生成部146Bと、評価・選択部146Cとを備える。
【0053】
走行態様決定部146Aは、例えば、レーンキープイベントを実施する際に、定速走行、追従走行、低速追従走行、減速走行、カーブ走行、障害物回避走行などのうちいずれかの走行態様を決定する。
この場合、走行態様決定部146Aは、自車両Mの前方に他車両が存在しない場合に、走行態様を定速走行に決定する。
また、走行態様決定部146Aは、前走車両に対して追従走行するような場合に、走行態様を追従走行に決定する。
また、走行態様決定部146Aは、渋滞場面などにおいて、走行態様を低速追従走行に決定する。
また、走行態様決定部146Aは、外界認識部142により前走車両の減速が認識された場合や、停車や駐車などのイベントを実施する場合に、走行態様を減速走行に決定する。
また、走行態様決定部146Aは、外界認識部142により自車両Mがカーブ路に差し掛かったことが認識された場合に、走行態様をカーブ走行に決定する。
また、走行態様決定部146Aは、外界認識部142により自車両Mの前方に障害物が認識された場合に、走行態様を障害物回避走行に決定する。
また、走行態様決定部146Aは、車線変更イベント、追い越しイベント、分岐イベント、合流イベント、ハンドオーバイベントなどを実施する場合に、それぞれのイベントに応じた走行態様を決定する。
【0054】
軌道候補生成部146Bは、走行態様決定部146Aにより決定された走行態様に基づいて、軌道の候補を生成する。図6は、軌道候補生成部146Bにより生成される軌道の候補の一例を示す図である。図6は、自車両Mが車線L1から車線L2に車線変更する場合に生成される軌道の候補を示している。
【0055】
軌道候補生成部146Bは、図6に示すような軌道を、例えば、将来の所定時間ごとに、自車両Mの基準位置G(例えば重心や後輪軸中心)が到達すべき目標位置(軌道点K)の集まりとして決定する。本実施形態では、一例として、将来の所定時間の間隔を1秒として説明する。
【0056】
図7は、軌道候補生成部146Bにより生成される軌道の候補を軌道点Kで表現した図である。軌道点Kの間隔が広いほど、自車両Mの速度は速くなり、軌道点Kの間隔が狭いほど、自車両Mの速度は遅くなる。従って、軌道候補生成部146Bは、加速したい場合には軌道点Kの間隔を徐々に広くし、減速したい場合は軌道点Kの間隔を徐々に狭くする。
【0057】
このように、軌道点Kは速度成分を含むものであるため、軌道候補生成部146Bは、軌道点Kのそれぞれに対して目標速度を与える必要がある。目標速度は、走行態様決定部146Aにより決定された走行態様に応じて決定されてよい。
【0058】
ここで、車線変更(分岐を含む)を行う場合の目標速度の決定手法について説明する。
軌道候補生成部146Bは、まず、車線変更ターゲット位置(或いは合流ターゲット位置)を設定する。車線変更ターゲット位置は、周辺車両との相対位置として設定されるものであり、「どの周辺車両の間に車線変更するか」を決定するものである。軌道候補生成部146Bは、車線変更ターゲット位置を基準として3台の周辺車両に着目し、車線変更を行う場合の目標速度を決定する。図8は、車線変更ターゲット位置TAを示す図である。
図8において、L1は自車線を表し、L2は隣接車線を表している。
ここで、自車両Mと同じ車線で、自車両Mの直前を走行する周辺車両を前走車両mA、車線変更ターゲット位置TAの直前を走行する周辺車両を前方基準車両mB、車線変更ターゲット位置TAの直後を走行する周辺車両を後方基準車両mCと定義する。
自車両Mは、車線変更ターゲット位置TAの側方まで移動するために加減速を行う必要があるが、この際に前走車両mAに追いついてしまうことを回避しなければならない。このため、軌道候補生成部146Bは、3台の周辺車両の将来の状態を予測し、各周辺車両と干渉、又は接触しないように目標速度を決定する。
【0059】
図9は、3台の周辺車両の速度を一定と仮定した場合の速度生成モデルを示す図である。図9において、ポイントmA、mBおよびmCから延出する直線は、それぞれの周辺車両が定速走行したと仮定した場合の進行方向における変位を示している。自車両Mは、車線変更が完了するポイントCPにおいて、前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間にあり、且つ、それ以前において前走車両mAよりも後ろにいなければならない。このような制約の下、軌道候補生成部146Bは、車線変更が完了するまでの目標速度の時系列パターンを、複数導出する。そして、目標速度の時系列パターンをスプライン曲線等のモデルに適用することで、図7に示すような軌道の候補を複数導出する。
なお、3台の周辺車両の運動パターンは、図9に示すような定速度に限らず、定加速度、定ジャーク(躍度)を前提として予測されてもよい。
【0060】
評価・選択部146Cは、軌道候補生成部146Bにより生成された軌道の候補に対して、例えば、計画性と安全性の二つの観点で評価を行い、走行制御部160に出力する軌道を選択する。計画性の観点からは、例えば、既に生成されたプラン(例えば行動計画)に対する追従性が高く、軌道の全長が短い場合に軌道が高く評価される。例えば、右方向に車線変更することが望まれる場合に、一旦左方向に車線変更して戻るといった軌道は、低い評価となる。安全性の観点からは、例えば、それぞれの軌道点において、自車両Mと物体(周辺車両等)との距離が遠く、加減速度や操舵角の変化量などが小さいほど高く評価される。
【0061】
切替制御部150は、切替スイッチ80から入力される信号に基づいて自動運転モードと手動運転モードとを相互に切り替える。また、切替制御部150は、操作デバイス70に対する加速、減速または操舵を指示する操作に基づいて、自動運転モードから手動運転モードに切り替える。例えば、切替制御部150は、操作デバイス70から入力された信号の示す操作量が閾値を超えた状態が、基準時間以上継続した場合に、自動運転モードから手動運転モードに切り替える(オーバーライド)。また、切替制御部150は、オーバーライドによる手動運転モードへの切り替えの後、所定時間の間、操作デバイス70に対する操作が検出されなかった場合に、自動運転モードに復帰させてもよい。
【0062】
走行制御部160は、操舵制御部162と、加減速制御部164とを含む。走行制御部160は、軌道生成部146によって生成された軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、駆動力出力装置200、ステアリング装置210、およびブレーキ装置220を制御する。
【0063】
図10は、操舵制御部162および加減速制御部164と、その制御対象との関係を示す図である。
操舵制御部162は、軌道生成部146によって生成された軌道と、自車位置認識部140により認識された自車両Mの位置(自車位置)とに基づいて、ステアリング装置210を制御する。例えば、操舵制御部162は、軌道生成部146によって生成された軌道に含まれる軌道点K(i)に対応した転向角φiや、車両センサ60から取得した車速(或いは加速度や躍度)、鉛直軸回りの角速度(ヨーレート)などの情報に基づいて、操舵角を決定し、この操舵角分の変位を車輪に与えるようにステアリング装置210における電動モータの制御量を決定する。
【0064】
加減速制御部164は、車両センサ60により検出された自車両Mの速度vおよび加速度αと、軌道生成部146によって生成された軌道とに基づいて、駆動力出力装置200およびブレーキ装置220を制御する。
【0065】
[加減速制御]
図11は、第1の実施形態における加減速制御部164の構成の一例を示す図である。
加減速制御部164は、例えば、第1演算部165と、第2演算部166と、第3演算部167と、第4演算部168と、減算器169および170と、比例積分制御部171と、比例制御部172と、第1出力調整部173と、第2出力調整部174と、第3出力調整部175と、加算器176および177とを備える。
なお、これらの構成のうち一部または全部は、軌道生成部146(特に軌道候補生成部146B)に含まれてもよい。
【0066】
以下、フローチャートに即して、図11に示す加減速制御部164における各構成の処理内容について説明する。図12は、第1の実施形態における加減速制御部164の処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明において、各種位置は、ある時点(例えば現在時刻t)での自車両Mの位置を基準に、自車両Mの進行方向側のものは正値として扱われ、進行方向と反対方向側のものは負値として扱われる。
【0067】
まず、第1演算部165は、軌道生成部146によって生成された軌道に含まれる複数の軌道点K間の距離に基づいて、軌道に沿って自車両Mを走行させる際の目標速度を導出する。例えば、第1演算部165は、軌道に含まれる複数の軌道点Kの中から、現在の時刻tからn秒分の時間が経過するまで間に自車両Mが到達すべき軌道点K(i)からK(i+n)を抽出して、これらの軌道点K(i)からK(i+n)を含む軌道の長さを、n秒分の時間で除算して平均速度を導出する(ステップS100)。この平均速度は、軌道点K(i)からK(i+n)を含む軌道上の自車両Mの目標速度として扱われる。n秒分の時間は、「第1の所定時間」の一例である。
【0068】
第2演算部166は、軌道生成部146によって生成された軌道に含まれる複数の軌道点Kの中から、現在の時刻tに対応した軌道点K(i)を抽出する。
【0069】
第3演算部167は、現在の時刻tからn秒分の時間に比して短い所定時間(例えば1秒)経過した時刻ti+1に対応した軌道点K(i+1)を抽出する。現在の時刻tからn秒分の時間に比して短い所定時間は、「第2の所定時間」の一例である。
【0070】
第4演算部168は、自車位置認識部140により認識された自車位置Pact(i)と、車両センサ60により検出された自車両Mの速度vおよび加速度αに基づいて、現在の時刻tから1秒経過した時刻ti+1において自車両Mが到達することが予測される予測位置Ppre(i+1)を導出する(ステップS102)。例えば、第4演算部168は、以下の数式(1)に基づき予測位置Ppre(i+1)を導出する。式中tは、時刻tと時刻ti+1との差分の時間である。すなわち、式中tは、軌道点Kの時間間隔(サンプリング時間)に相当する。
【0071】
【数1】

【0072】
減算器169は、第2演算部166により抽出された軌道点K(i)から、自車位置Pact(i)を差し引いた偏差(以下、現在偏差と称する)を導出する(ステップS104)。そして、減算器169は、導出した現在偏差を比例積分制御部171に出力する。
現在偏差は、「第1の偏差」の一例である。
【0073】
減算器170は、第3演算部167により抽出された軌道点K(i+1)から、第4演算部168により導出された予測位置Ppre(i+1)を差し引いた偏差(以下、将来偏差と称する)を導出する(ステップS106)。そして、減算器170は、導出した将来偏差を比例制御部172に出力する。将来偏差は、「第2の偏差」の一例である。
【0074】
比例積分制御部171は、減算器169により出力された現在偏差に所定の比例ゲインを乗算すると共に、現在偏差の時間積分値に所定の積分ゲインを乗算する。そして、比例積分制御部171は、比例ゲインを乗算した現在偏差と、積分ゲインを乗算した現在偏差の時間積分値とを加算することで、自車両Mを自車位置Pact(i)から軌道点K(i)に近づけるような速度の補正量(以下、第1補正量と称する)を、操作量として導出する(ステップS108)。このように積分項を入れることによって、現在偏差がゼロに近づくように目標速度を補正することができる。この結果、加減速制御部164は、現在の時刻tの自車位置Pact(i)を、現在の時刻tに対応した目標位置である軌道点K(i)により近づけることができる。
【0075】
比例制御部172は、減算器170により出力された将来偏差に所定の比例ゲインを乗算して、1秒後の時点で自車両Mを予測位置Ppre(i+1)から軌道点K(i+1)に近づけるような速度の補正量(以下、第2補正量と称する)を、操作量として導出する(ステップS110)。このように比例制御部172は、不確定な要素を含む将来偏差を許容した比例制御を行う。
【0076】
第1出力調整部173は、例えば、比例積分制御部171により導出された第1補正量に制限をかけるフィルタ回路である。例えば、第1出力調整部173は、第1補正量が示す速度が15km/h以上増加または減少しないように第1補正量にフィルタリングを行う(ステップS112)。
【0077】
第2出力調整部174は、例えば、比例制御部172により導出された第2補正量に制限をかけるフィルタ回路である。例えば、第2出力調整部174は、第1出力調整部173と同様に、第2補正量が示す速度が15km/h以上増加または減少しないように第2補正量にフィルタリングを行う(ステップS114)。
【0078】
なお、第1出力調整部173によるフィルタリングの速度制限、および第2出力調整部174によるフィルタリングの速度制限の一方または双方において、速度の増加時の制限と減少時の制限とが異なってもよい。
【0079】
加算器176は、第1出力調整部173により調整された第1補正量と、第2出力調整部174により調整された第2補正量とを加算し、これらの補正量を加算した第3補正量を第3出力調整部175に出力する。
【0080】
第3出力調整部175は、例えば、加算器176により出力された第3補正量に制限をかけるフィルタ回路である。例えば、第3出力調整部175は、第3補正量が示す速度が5km/h以上増加または減少しないように第3補正量にフィルタリングを行う(ステップS116)。
【0081】
加算器177は、第1演算部165により導出された平均速度に、第3出力調整部175により調整された第3補正量を加算して、現在の時刻tからn秒間における自車両Mの目標速度として出力する(ステップS118)。これによって加減速制御部164は、目標速度に応じて駆動力出力装置200およびブレーキ装置220の制御量を決定する。
【0082】
係る制御によって、加減速が頻繁に発生するのを抑制することができる。例えば、自車位置認識部140により認識された自車位置Pact(i)と、複数の軌道点Kのうち自車両Mの位置認識をおこなった時刻(認識時刻、例えば現在の時刻t)に対応した軌道点K(i)との現在偏差を用いて目標速度を補正しない場合、第2補正量、すなわち1秒後の時点で自車両Mを予測位置Ppre(i+1)から軌道点K(i+1)に近づけるような速度の補正量のみで目標速度を補正することになる。この場合、センサ誤差等により各軌道点Kに対して常に追い越すような、或いは常に追いつかないような定常的なオフセット(偏差)が生じる可能性がある。また、不確定な要素を含む将来偏差のみで目標速度を補正することになるため、頻繁な加減速が生じる場合がある。
【0083】
これに対し、本実施形態では、現在偏差を用いた第1補正量と第2補正量との双方により目標速度を補正するため、軌道点Kに対するオフセットを小さくすることができる。より詳細には、比例積分制御部171が現在偏差の時間積分を行うことにより第1補正量を導出するため、現在の時刻tの自車位置Pact(i)を、現在の時刻tに対応した目標位置である軌道点K(i)により近づけることができる。また、比例制御部172が比例制御を行うことにより、不確定な要素を含む将来偏差をある程度許容することができる。この結果、加減速が頻繁に発生するのを抑制することができる。
【0084】
以上説明した第1の実施形態によれば、自車両Mの位置を認識する自車位置認識部140と、自車両Mが到達すべき将来の目標位置を示す軌道点Kが、時系列に連続して複数含まれる軌道を生成する軌道生成部146と、前記軌道に含まれる複数の軌道点K間の距離に基づいて、軌道に沿って自車両Mを走行させる際の目標速度を導出すると共に、自車位置認識部140により認識された自車両Mの位置と、複数の軌道点Kのうち自車両Mの位置認識がおこなわれた時刻(認識時刻)に対応した軌道点K(第1の目標位置)との現在偏差(第1の偏差)に基づいて目標速度を補正する走行制御部160の加減速制御部164と、を備えることにより、加減速が頻繁に発生するのを抑制することができる。この結果、乗員の不快感を低減させることができる。
【0085】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、加減速が頻繁に行われるのを抑制するために、将来偏差および現在偏差のいずれか一方または双方に対してそれぞれ不感帯DZを設定する点で第1の実施形態と相違する。不感帯DZとは、それぞれの偏差に応じた補正量を低下させるために設けられる領域である。以下、係る相違点を中心に説明する。
【0086】
図13は、第2の実施形態における加減速制御部164Aの構成の一例を示す図である。加減速制御部164Aは、例えば、上述した第1の実施形態における加減速制御部164の構成に加えて、更に比例積分ゲイン調整部180と、比例ゲイン調整部181とを備える。
【0087】
比例積分ゲイン調整部180は、現在偏差に対して第1の不感帯DZ1を設定し、減算器169により導出された現在偏差が第1の不感帯DZ1内である場合、現在偏差が第1の不感帯DZ1内でない場合に比して、比例積分制御部171における比例ゲインおよび積分ゲインの一方または双方を低下させる。「ゲインの低下」とは、正値のゲインをゼロまたは負値に近づけること、あるいは負値のゲインをゼロまたは正値に近づけることをいう。
【0088】
図14および図15は、現在偏差に対する第1の不感帯DZ1の一例を示す図である。
図14および図15に示す例のように、第1の不感帯DZ1は、現在偏差の正側(自車位置Pact(i)に比して軌道点K(i)が前方である側)のみ、または正側に偏って設定されてよい。
「正側に偏る」とは、例えば、第1の不感帯DZ1の領域の重心などが現在偏差の正側に存在することをいう。
図14の例では、現在偏差がゼロから閾値Th1(正値)までの領域が第1の不感帯DZ1として設定されている。
また、図15の例では、閾値Th2(負値)から閾値Th1(正値)までの領域が第1の不感帯DZ1として設定されている。
図14および図15に示すように、第1の不感帯DZ1では、比例ゲインや積分ゲインはゼロをとる。従って、現在偏差が第1の不感帯DZ1内であれば、比例積分制御部171により導出される第1補正量は、ゼロまたはゼロ程度になる。
【0089】
比例ゲイン調整部181は、将来偏差に対して第2の不感帯DZ2を設定し、減算器170により導出された将来偏差が第2の不感帯DZ2内である場合、将来偏差が第2の不感帯DZ2内でない場合に比して、比例制御部172における比例ゲインを低下させる。
【0090】
図16および図17は、将来偏差に対する第2の不感帯DZ2の一例を示す図である。
図16および図17に示す例のように、第2の不感帯DZ2は、第1の不感帯DZ1と同様に、現在偏差の正側のみ、または正側に偏って設定されてよい。
図16の例では、現在偏差がゼロから閾値Th1(正値)までの領域が第2の不感帯DZ2として設定されている。
また、図17の例では、閾値Th2(負値)から閾値Th1(正値)までの領域が第2の不感帯DZ2として設定されている。
図16および図17に示すように、第2の不感帯DZ2では、比例ゲインはゼロをとる。従って、将来偏差が第2の不感帯DZ2内であれば、比例制御部172により導出される第2補正量は、ゼロまたはゼロ程度になる。
なお、上述した第1の不感帯DZ1と第2の不感帯DZ2とは、その領域の大きさが互いに異なっていてもよいし、いずれか一方が偏差の正側のみに設定され、他方が正側に偏って設定されてもよい。
【0091】
図18は、場面ごとの加減速制御の一例を示す図である。図18(a)は、現在偏差が第1の不感帯DZ1内でない一場面を表している。また、図18(b)は、現在偏差が第1の不感帯DZ1内である一場面を表している。
いずれの場面においても、現在の時刻tにおける自車位置Pact(0)に比して軌道点K(0)が前方に位置している。すなわち、自車両Mが現在の時刻tにおいて到達すべき軌道点K(0)に到達していない。
このため、加減速制御部164は、駆動力出力装置200を制御して、自車両Mを加速させる必要がある。
【0092】
例えば、図18(a)に示す場面では、現在偏差が第1の不感帯DZ1外であるため、第1補正量が平均速度に加算され、自車両Mは現在の平均速度から加速することになる。
一方、図18(b)に示す場面では、現在偏差が第1の不感帯DZ1内であるため、第1補正量が減少する。この場合、加速制御が行われずに第1演算部165により導出された平均速度が維持されやすくなる。このような処理によって、自車両Mが軌道点K(0)に到達していない場合に頻繁に加速するのを抑制することができる。
【0093】
また、上述した例では、自車位置Pact(i)に比して軌道点K(i)が前方である場合に偏差に不感帯DZを設定するものとして説明したがこれに限られず、自車位置Pact(i)に比して軌道点K(i)が後方である場合に偏差に不感帯DZを設定してもよい。
【0094】
図19および図20は、現在偏差に対する第1の不感帯DZ1の他の例を示す図である。
図19および図20に示す例のように、第1の不感帯DZ1は、現在偏差の負側(自車位置Pact(i)に比して軌道点K(i)が後方である側)のみ、または負側に偏って設定されてよい。
図19の例では、現在偏差が閾値Th3(負値)からゼロまでの領域が第1の不感帯DZ1として設定されている。
また、図20の例では、閾値Th3(負値)から閾値Th4(正値)までの領域が第1の不感帯DZ1として設定されている。
【0095】
図21および図22は、将来偏差に対する第2の不感帯DZ2の他の例を示す図である。
図21および図22に示す例のように、第2の不感帯DZ2は、現在偏差の負側のみ、または負側に偏って設定されてよい。
図21の例では、現在偏差が閾値Th3(負値)からゼロまでの領域が第2の不感帯DZ2として設定されている。
また、図22の例では、閾値Th3(負値)から閾値Th4(正値)までの領域が第2の不感帯DZ2として設定されている。
上述した例においても、第1の不感帯DZ1と第2の不感帯DZ2とは、その領域の大きさが互いに異なっていてもよいし、いずれか一方が偏差の負側のみに設定され、他方が負側に偏って設定されてもよい。
【0096】
図23は、場面ごとの加減速制御の一例を示す図である。図23(a)は、現在偏差が第1の不感帯DZ1内でない一場面を表している。また、図23(b)は、現在偏差が第1の不感帯DZ1内である一場面を表している。
いずれの場面においても、現在の時刻tにおける自車位置Pact(0)に比して軌道点K(0)が後方に位置している。すなわち、自車両Mが現在の時刻tにおいて到達すべき軌道点K(0)を超えている。このため、加減速制御部164は、駆動力出力装置200を制御して、自車両Mを減速させる必要がある。
【0097】
例えば、図23(a)に示す場面では、現在偏差が第1の不感帯DZ1外であるため、第1補正量が平均速度に加算され、自車両Mは現在の平均速度から減速することになる。
一方、図23(b)に示す場面では、現在偏差が第1の不感帯DZ1内であるため、第1補正量が減少する。この場合、減速制御が行われずに第1演算部165により導出された平均速度が維持されやすくなる。このような処理によって、自車両Mが軌道点K(0)を超えた場合に頻繁に減速するのを抑制することができる。
【0098】
[不感帯の領域変更処理]
また、上述した比例積分ゲイン調整部180は、外界認識部142により状態が認識された周辺車両のうち、自車両Mの直前を走行する前走車両および自車両Mの直後を走行する後続車両の一方または双方と、自車両Mとの車間距離に基づいて、現在偏差に対して設定する第1の不感帯DZ1の領域サイズを変更してよい。
また、比例ゲイン調整部181は、自車両Mの直前を走行する前走車両および自車両Mの直後を走行する後続車両の一方または双方と、自車両Mとの車間距離に基づいて、将来偏差に対して設定する第2の不感帯DZ2の領域サイズを変更してよい。
【0099】
図24および図25は、不感帯DZの領域サイズの変更方法を説明するための図である。
図24に示すように、比例積分ゲイン調整部180または比例ゲイン調整部181は、自車位置Pact(i)に比して軌道点K(i)が前方である場合、それぞれが設定する不感帯DZの正側の閾値Th1を、後続車両との車間距離が広くなるのに応じて正側において大きくし、後続車両との車間距離が狭くなるのに応じて正側において小さくする。これによって、加減速制御部164は、後続車両との車間距離が詰まった場合には、安全を考慮して不感帯DZを狭くすることで、加速を頻繁に行わせることができる。また、加減速制御部164は、後続車両との車間距離が開いた場合には、不感帯DZを広くすることで、加速の頻度を低下させることができる。
【0100】
また、図25に示すように、比例積分ゲイン調整部180または比例ゲイン調整部181は、自車位置Pact(i)に比して軌道点K(i)が後方である場合、それぞれが設定する不感帯DZの負側の閾値Th3を、前走車両との車間距離が広くなるのに応じて負側において大きし、前走車両との車間距離が狭くなるのに応じて負側において小さくする。これによって、加減速制御部164は、前走車両との車間距離が詰まった場合には、安全を考慮して不感帯DZを狭くすることで、減速を頻繁に行わせることができる。また、加減速制御部164は、前走車両との車間距離が開いた場合には、不感帯DZを広くすることで、減速の頻度を低下させることができる。
【0101】
図26は、第2の実施形態における加減速制御部164Aの処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、第1演算部165は、軌道に含まれる複数の軌道点Kの中から、現在の時刻tからn秒分の時間が経過するまで間に自車両Mが到達すべき軌道点K(i)からK(i+n)を抽出して、これらの軌道点K(i)からK(i+n)を含む軌道の長さを、n秒分の時間で除算して平均速度を導出する(ステップS200)。
【0102】
次に、第4演算部168は、自車位置認識部140により認識された自車位置Pact(i)と、車両センサ60により検出された自車両Mの速度vおよび加速度αに基づいて、現在の時刻tから1秒経過した時刻ti+1において自車両Mが到達することが予測される予測位置Ppre(i+1)を導出する(ステップS202)。
【0103】
次に、減算器169は、第2演算部166により抽出された軌道点K(i)から、自車位置Pact(i)を差し引いた現在偏差を導出する(ステップS204)。次に、減算器170は、第3演算部167により抽出された軌道点K(i+1)から、第4演算部168により導出された予測位置Ppre(i+1)を差し引いた将来偏差を導出する(ステップS206)。
【0104】
次に、比例積分ゲイン調整部180は、現在偏差が第1の不感帯DZ1内であるか否かを判定し(ステップS208)、現在偏差が第1の不感帯DZ1内である場合、比例積分制御部171における比例ゲインおよび積分ゲインの一方または双方を低下させる(ステップS210)。一方、現在偏差が第1の不感帯DZ1内でない場合、比例積分ゲイン調整部180は、S212に処理を移す。
【0105】
次に、比例積分制御部171は、減算器169により出力された現在偏差に所定の比例ゲインを乗算すると共に、現在偏差の時間積分値に所定の積分ゲインを乗算し、これらを加算することで、第1補正量を導出する(ステップS212)。次に、第1出力調整部173は、第1補正量にフィルタリングを行う(ステップS214)。
【0106】
次に、比例ゲイン調整部181は、将来偏差が第2の不感帯DZ2内であるか否かを判定し(ステップS216)、将来偏差が第2の不感帯DZ2内である場合、比例制御部172における比例ゲインを低下させる(ステップS218)。一方、将来偏差が第2の不感帯DZ2内でない場合、比例ゲイン調整部181は、S220に処理を移す。
【0107】
次に、比例制御部172は、減算器170により出力された将来偏差に所定の比例ゲインを乗算することで、第2補正量を導出する(ステップS220)。次に、第2出力調整部174は、第2補正量にフィルタリングを行う(ステップS222)。
【0108】
次に、第3出力調整部175は、第1補正量と第2補正量とを加算した第3補正量にフィルタリングを行う(ステップS224)。次に、加算器177は、第1演算部165により導出された平均速度に、第3出力調整部175により調整された第3補正量を加算して、現在の時刻tからn秒間における自車両Mの目標速度として出力する(ステップS226)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0109】
以上説明した第2の実施形態によれば、将来偏差および現在偏差のいずれか一方または双方に対して不感帯DZを設定するため、更に頻繁な加減速の発生を抑制できる。この結果、車両の安全を考慮しつつ乗員の不快感を低減させることができる。
【0110】
また、第2の実施形態によれば、前走車両または後続車両との車間距離に基づいて、不感帯DZの領域を変更するため、頻繁な加減速の発生を効率よく抑制できる。
【0111】
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、自車両Mの速度が小さい場合に第3補正量の出力ゲインを調整する点で第1および第3の実施形態と相違する。
以下、係る相違点を中心に説明する。
【0112】
図27は、第3の実施形態における加減速制御部164Bの構成の一例を示す図である。加減速制御部164Bは、例えば、第1演算部165と、第2演算部166と、第3演算部167と、第4演算部168と、減算器169および170と、比例積分制御部171と、比例制御部172と、第1出力調整部173と、第2出力調整部174と、加算器176および177と、第3ゲイン調整部183と、乗算器184とを備える。
【0113】
第3ゲイン調整部183は、自車両Mの速度vが低下するほど、第1補正量と第2補正量とを加算した第3補正量を調整するための出力ゲインを低下させる。
【0114】
乗算器184は、第3ゲイン調整部183により調整された出力ゲインと、加算器176により出力された第3補正量とを乗算し、加算器177に出力する。
【0115】
図28は、自車両Mの速度vに対する出力ゲインの変化の一例を示す図である。図28に示すように、自車両Mの速度vが速度閾値Vth以下では、速度vの低下に応じて出力ゲインが1以下に低下する。このため、自車両Mが徐々に減速して停車するような場合、第3補正量が減少していくため、加減速の発生がより抑制される。
【0116】
以上説明した第3の実施形態によれば、自車両Mの速度が低下するのに応じて第3補正量を低下させるため、例えば自車両Mが停車する際に頻繁な加減速の発生を抑制できる。
これにより、スムーズな停車を行うことができる。また、第3の実施形態によれば、自車両Mの速度が増加するのに応じて第3補正量を増加させるため、自車両Mを停止状態からスムーズに加速させることできる。この結果、乗員の不快感を低減させることができる。
【0117】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0118】
20…ファインダ、30…レーダ、40…カメラ、DD…検知デバイス、50…ナビゲーション装置、55…通信装置、60…車両センサ、62…表示装置、64…スピーカ、70…操作デバイス、72…操作検出センサ、80…切替スイッチ、100…車両制御システム、110…目標車線決定部、120…自動運転制御部、130…自動運転モード制御部、140…自車位置認識部、142…外界認識部、144…行動計画生成部、146…軌道生成部、146A…走行態様決定部、146B…軌道候補生成部、146C…評価・選択部、150…切替制御部、160…走行制御部、162…操舵制御部、164…加減速制御部、165…第1演算部、166…第2演算部、167…第3演算部、168…第4演算部、169、170…減算器、171…比例積分制御部、172…比例制御部、173…第1出力調整部、174…第2出力調整部、175…第3出力調整部、176、177…加算器、190…記憶部、200…駆動力出力装置、210…ステアリング装置、220…ブレーキ装置、M…自車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
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図24
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図27
図28
【国際調査報告】