(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年11月23日
【発行日】2019年4月18日
(54)【発明の名称】吸水性樹脂粒子、その製造方法、これを含有してなる吸収体及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
C08J 3/11 20060101AFI20190322BHJP
A61L 15/18 20060101ALI20190322BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20190322BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20190322BHJP
【FI】
C08J3/11CEY
A61L15/18 200
A61F13/53 300
C08F220/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
【出願番号】特願2018-518382(P2018-518382)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年5月19日
(31)【優先権主張番号】特願2016-101442(P2016-101442)
(32)【優先日】2016年5月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-199024(P2016-199024)
(32)【優先日】2016年10月7日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】301023009
【氏名又は名称】SDPグローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104813
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 信也
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 恵
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一裕
【テーマコード(参考)】
3B200
4F070
4J100
【Fターム(参考)】
3B200BB16
3B200DB02
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4J100HB58
4J100HB61
4J100HC39
4J100JA19
(57)【要約】
吸水性性能を低下させることなく、吸収速度及び膨潤ゲル間の通液性の両立が可能な吸水性樹脂粒子を提供する。本発明は水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)と、pKa4.5〜10のプロトンを持つ無機酸(c)を含有し、水可溶分が20%以下である吸水性樹脂粒子;架橋重合体(A)と無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)を、その水分量3〜8重量%で、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する上記吸水性樹脂粒子の製造方法;上記吸水性樹脂粒子を含有してなる吸収体である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)と、pKa4.5〜10のプロトンを持つ無機酸(c)を含有し、水可溶分が20%以下である吸水性樹脂粒子。
【請求項2】
無機酸(c)がリン酸、亜リン酸、タングストリン酸、ポリリン酸、トリリン酸、シクロリン酸、炭酸、亜硫酸、次亜塩素酸、ケイ酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機酸である請求項1に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項3】
無機酸(c)がリン酸、亜リン酸、タングストリン酸、ポリリン酸、トリリン酸、およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項4】
無機酸(c)の合計含有量が、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)の合計重量に基づいて、0.004〜2.4重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項5】
生理食塩水の遠心保持量が29〜40g/gである請求項1〜4のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項6】
0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上である請求項1〜5のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項7】
Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度が15秒以下である請求項1〜6のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項8】
Vortex試験法で測定された吸収速度が50秒以下である請求項1〜7のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項9】
内部架橋剤(b)の重量割合が、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)の合計重量に基づいて、0.05〜0.7重量%である請求項1〜8のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子を含有してなる吸収体。
【請求項11】
さらに繊維状物を含有してなる請求項10記載の吸収体。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の吸収体を備えてなる吸収性物品。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法であって、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)とpKa4.5〜10のプロトンを持つ無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)を、その水分量3〜8重量%で、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項14】
表面架橋剤(d)の重量割合が、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)の合計重量に基づいて、0.03〜0.5重量%である請求項13に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項15】
内部架橋剤(b)の重量割合が、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)の合計重量に基づいて、0.05〜0.7重量%である請求項13又は14に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項16】
生理食塩水の遠心保持量が29〜40g/gであり、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上であり、Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度が15秒以下であり、Vortex試験法で測定された吸収速度が50秒以下である吸水性樹脂粒子の製造方法である請求項13〜15のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項17】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)とリン酸(c1)及び/又はリン酸塩(c2)とを含有する樹脂粒子(B)の表面を、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する、吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項18】
表面架橋剤(d)が多価グリシジル化合物である請求項17に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項19】
リン酸(c1)及びリン酸塩(c2)の合計含有量が、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)の合計重量に基づいて、0.008〜1.4重量%である請求項17又は18に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項20】
表面架橋剤(d)の重量割合が、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)の合計重量に基づいて、0.03〜0.5重量%である請求項17〜19のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項21】
内部架橋剤(b)の重量割合が、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)の合計重量に基づいて、0.05〜0.7重量%である請求項17〜20のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項22】
水溶性ビニルモノマー(a1)が(メタ)アクリル酸である請求項17〜21のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項23】
生理食塩水の遠心保持量が29〜40g/gであり、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上であり、Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度が15秒以下であり、Vortex試験法で測定された吸収速度が50秒以下である吸水性樹脂粒子の製造方法である請求項17〜22のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項24】
生理食塩水の遠心保持量が29〜40g/gであり、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上であり、Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度が15秒以下であり、Vortex試験法で測定された吸収速度が50秒以下である請求項1〜4のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子、を含有してなる吸収体。
【請求項25】
さらに繊維状物を含有してなる請求項24記載の吸収体。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の吸収体を備えてなる吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂粒子、その製造方法、これを含有してなる吸収体及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料には、吸収体として、パルプ等の親水性繊維とアクリル酸(塩)等を主原料とする吸水性樹脂(Super Absorbent Polymerを略してSAPとも言う。)との組合せが、幅広く利用されている。近年のQOL(Quality Of Life)向上の観点から、これら衛生材料は、より軽量かつ薄型のものへと需要が遷移している。これに伴って親水性繊維の使用量低減が望まれるようになってきた。そのため、吸収体中で、これまで親水性繊維が担ってきた役割をSAP自体が果たすことを求められるようになっている。例えば、オムツの重要な機能として尿の高速吸収による漏れ低減がある。従来の吸収体は、嵩高い親水性繊維間に存在する物理的空間(Voidと呼ぶ)の存在により尿の吸収速度が速いが、上述のSAP比率の高い吸収体においては、SAP粒子どうしが隙間の少ない充填構造を形成するために、Voidが少なく尿の吸収速度が遅いという問題点がある。
【0003】
また、従来の吸収体は、親水性繊維による毛管現象により、尿拡散性が高く、吸収体全体に尿を拡散させることが可能であるのに対して、SAP比率の高い吸収体は、毛管力が低い上に膨潤ゲルによる尿の拡散阻害があるため、吸収体中における尿の拡散性は著しく低下する。この拡散性の低下は、上述の吸収速度の低下と相まってオムツ漏れの深刻な原因となる。
【0004】
拡散性の低下を防ぐ方法として、重合によって得られた吸水性樹脂粒子の表面を特定の有機架橋剤化合物を含む水溶液と特定のカチオンを含む水溶液とを用いて架橋し、膨潤ゲル表面の変形を抑制することでゲル間隙を効率的に形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし特許文献1に記載の方法では、吸収体の吸収速度と膨潤ゲル間の通液性は改善するが、架橋密度が高くなることで吸水性樹脂の吸水性能の低下を招き、衛生材料・吸水性物品の長時間使用や、使用中のカブレ防止を妨げる原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第00/53664号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、吸水性能を低下させることなく、吸収速度及び膨潤ゲル間の通液性の両立が可能な吸水性樹脂粒子及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)とpKa4.5〜10のプロトンを持つ無機酸(c)とを含有し、水可溶分が20重量%以下である吸水性樹脂粒子;及び前記吸水性樹脂粒子を含有してなる吸収体、なかでも、前記吸水性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体;前記吸収体を備えてなる吸収性物品である。
第二の本発明は、第一の本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法であって、前記架橋重合体(A)とpKa4.5〜10のプロトンを持つ無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)を、その水分量3〜8重量%で、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する製造方法である。
第三の本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)とリン酸(c1)及び/又はリン酸塩(c2)とを含有する樹脂粒子(B)の表面を、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する、吸水性樹脂粒子の製造方法である。上記製造方法は、生理食塩水の遠心保持量が29〜40g/gであり、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上であり、Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度が15秒以下であり、Vortex試験法で測定された吸収速度が50秒以下である吸水性樹脂粒子の製造方法として好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸水性樹脂粒子、及び本発明の製造方法(第二の本発明、第三の本発明を区別せずに本発明の製造方法ともいう。)で製造された吸水性樹脂粒子は、上述の構成により、上記課題を解決し、以下で詳述する優れた特性を有する。なかでも、吸収速度が速く、かつ、膨潤ゲル間の通液性が非常に優れているにもかかわらず高い吸水性能も同時に有することから、吸水性樹脂比率の高い薄型の衛生材料・吸収性物品に適用したとき、どのような状態においても安定して優れた吸収性能(たとえば液拡散性、吸収速度、及び吸収量)を発揮し、カブレが生じにくい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の吸水性樹脂粒子、本発明の製造方法(以下、併せて、本発明ともいう。)において、水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知(たとえば、特許第3648553号公報の0007〜0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)、特開2003−165883号公報の0009〜0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー、特開2005−75982号公報の0041〜0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマー)のビニルモノマー等が使用できる。
【0011】
加水分解により水溶性ビニルモノマー(a2)となるビニルモノマー(a2)(以下、加水分解性ビニルモノマー(a2)ともいう。)は特に限定はなく、公知(たとえば、特許第3648553号公報の0024〜0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005−75982号公報の0052〜0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基(1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−CO−O−CO−)基、アシル基及びシアノ基等)を有するビニルモノマー)のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、当業者に周知の概念であるが、数値を用いて表すなら、例えば、25℃の水100gに少なくとも100g溶解するビニルモノマーを意味する。また、加水分解は、当業者に周知の概念であるが、より具体的に表すなら、例えば、水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解されることを意味する。加水分解性ビニルモノマー(a2)の加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれで行っても良いが、得られる吸水性樹脂組成物の吸収性能の観点から、重合後が好ましい。
【0012】
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましい。水溶性ビニルモノマー(a1)としては、好ましくはアニオン性ビニルモノマー、より好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマーである。これらのなかでは、より好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0013】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH
4)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0014】
単量体組成物が水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成成分とする場合、1種類を単独で構成成分としてもよく、また、必要により2種以上を構成成分としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成成分とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成成分とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0015】
前記の単量体組成物には、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成成分とすることができる。
【0016】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく、公知(たとえば、特許第3648553号公報の0028〜0029段落に開示されている疎水性ビニルモノマー、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報の0058段落に開示されているビニルモノマー)の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0017】
その他のビニルモノマー(a3)を構成成分とする場合、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、上述にもかかわらず、吸収特性の観点等から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0018】
内部架橋剤(b)としては特に限定はなく、公知(たとえば、特許第3648553号公報の0031〜0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003−165883号公報の0028〜0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤、反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005−75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー、特開2005−95759号公報の0015〜0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤が使用できる。これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0019】
単量体組成物に含まれる内部架橋剤(b)の含有量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)の、合計重量に基づいて、0.05〜0.7が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.6、特に好ましくは0.15〜0.5である。この範囲であると、水可溶分が減少し、吸収特性がさらに良好となる。
【0020】
架橋重合体(A)の製造方法としては、前記の単量体組成物を用いて公知の溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号公報等)や、公知の逆相懸濁重合(特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等)と同様にして製造することができる。重合方法のうち、好ましくは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましくは水溶液重合法である。
【0021】
重合時には、必要に応じて連鎖移動剤に代表される重合コントロール剤を併用しても良く、これらの具体例としては、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、アルキルメルカプタン、ハロゲン化アルキル、チオカルボニル化合物等が挙げられる。これらの重合コントロール剤は、単独で使用しても良く、これらの2種以上を併用しても良い。重合コントロール剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005〜5が好ましく、更に好ましくは0.001〜2である。
【0022】
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0〜1である。この範囲であると、吸水性樹脂粒子の吸収性能がさらに良好となる。
【0023】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜9、最も好ましくは3〜8である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後の架橋重合体(A)の壊れ性がさらに良好となる。
【0024】
水溶液重合法によって架橋重合体(A)と水とからなる含水ゲルが得られる。得られた含水ゲルは、必要に応じて細断して用いることができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、後述する溶媒(水を含む。)の留去が容易となり好ましい。
【0025】
細断は、公知の方法で行うことができ、細断装置(たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機)等を使用して細断できる。
【0026】
なお、有機溶媒の含有量及び水分量は、赤外水分測定器((株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W)により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0027】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0028】
本発明において、架橋重合体(A)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0029】
第一の本発明において、無機酸(c)は、pKa4.5〜10のプロトンを有しており、吸収特性の観点から、プロトンのpKaは5.5〜8.5が好ましく、更に好ましくは、6.5〜7.5である。
無機酸(c)としては、リン酸、亜リン酸、タングストリン酸、ポリリン酸、トリリン酸、シクロリン酸、炭酸、硫酸、亜硫酸、次亜塩素酸、ケイ酸等及びこれらの塩が挙げられる。
塩としては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの金属の中でも、吸収特性の観点等から、1A、3A又は3B族に属する金属が更に好ましく、1A族に属するナトリウム、カリウムが最も好ましい。
【0030】
無機酸(c)は、表面架橋の均一性、吸収特性の観点等から、連鎖移動剤として機能しにくい無機酸及びこれらの塩であることが好ましく、無機酸(c)が連鎖移動剤として強く機能する場合、分子量が低下し水可溶分が増加するため、表面架橋の均一性、吸収特性の観点等から好ましくない。好ましい剤としては、リン酸(c1)、亜リン酸、タングストリン酸、ポリリン酸、トリリン酸、シクロリン酸及びそれらの塩が更に好ましく、特に好ましくはリン酸(c1)、亜リン酸及びそれらの塩、最も好ましくはリン酸(c1)及びその塩(c2)である。リン酸(c1)はオルトリン酸であり、リン酸塩(c2)としては、リン酸アルカリ金属塩(リン酸三リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム及びリン酸三カリウム等)、リン酸アルカリ土類金属塩(リン酸一マグネシウム、リン酸二マグネシウム、リン酸三マグネシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸一水素カルシウム及びリン酸三カルシウム等)、リン酸アンモニウム(NH
4)塩(リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウム等)等が挙げられ、吸収特性の観点等から、リン酸アルカリ金属及びリン酸アンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはリン酸アルカリ金属塩、特に好ましくはリン酸ナトリウム塩である。
【0031】
第一の本発明の吸水性樹脂粒子に含まれる無機酸(c)の含有量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)、及び内部架橋剤(b)の合計重量に基づいて、0.004〜2.4であり、さらに好ましくは0.01〜1.2である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
第一の本発明の吸水性樹脂粒子に含まれる無機酸(c)の含有量(重量%)は、用いた無機酸(c)の合計重量と架橋重合体(A)の重量または架橋重合体(A)を得るために用いた単量体組成物の重量とを用いて計算することが出来る。
なお、無機酸(c)の水和物を用いた場合、無機酸(c)の重量には水和水を含まないものとする。
【0032】
吸水性樹脂粒子にリン酸(c1)及びリン酸塩(c2)を含有する場合、リン酸(c1)及びリン酸塩(c2)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)に用いた水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)、及び内部架橋剤(b)の合計重量に基づいて、0.008〜1.4が好ましく、さらに好ましくは0.01〜1.2である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
なお、吸水性樹脂粒子に含まれるリン酸(c1)及びリン酸塩(c2)の含有量(重量%)は、上述と同様にして計算することが出来る。また、上述と同様に、水和物を用いた場合、リン酸(c1)及びリン酸塩(c2)の重量には水和水を含まないものとする。
【0033】
第一の本発明の吸水性樹脂粒子は、前記の架橋重合体(A)と無機酸(c)とを含んでいれば制限はなく、吸水性樹脂粒子を得るための好ましい方法としては、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)を必須構成成分とする単量体組成物を無機酸(c)の存在下で重合する方法(以下、重合法ともいう。)、及び前記の架橋重合体(A)を含む含水ゲルと無機酸(c)とを混合する方法等(以下、混合法ともいう。)が挙げられる。
前記の重合法及び混合法により得られた吸水性樹脂粒子は、無機酸(c)が架橋重合体(A)の内部に偏在することなく存在するため吸収特性の観点から好ましい。
【0034】
前記重合法は、無機酸(c)を前記の単量体組成物と共存させて前記の方法で重合することで行うことができる。なかでも無機酸(c)の存在下で水溶液重合する方法が好ましい。
無機酸(c)を前記の単量体組成物と共存させて前記の方法で重合する場合、無機酸(c)としては、その水和物を用いることが出来る。
【0035】
前記混合法は、前記の単量体組成物を水溶液重合して得られた前記の含水ゲルに無機酸(c)を混合することで行うことができる。
含水ゲルと無機酸(c)との混合は、含水ゲルと無機酸(c)とを公知の撹拌混合装置(ヘンシェルミキサー、プラネタリミキサー及び万能混合装置等)で混合することで行うことができる。また、含水ゲルを裁断装置で裁断する場合、含水ゲルと無機酸(c)とを同時に裁断装置にいれることでも行うことができる。
前記の含水ゲルに無機酸(c)を混合する場合、無機酸(c)としては、その水和物を用いることが出来る。
【0036】
重合法又は混合法で得られた産物(含水ゲル)は、乾燥後に粉砕して吸水性樹脂粒子の製造に用いることができる。粉砕方法については、特に限定はなく、粉砕装置(たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕した後、更に必要によりふるい分け等により粒度調整して用いることができる。
【0037】
ふるい分けして粒度調整を行った場合、ふるい分けを行った後に得られた吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜700、次に好ましくは250〜600、特に好ましくは300〜500、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0038】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75m及び45μm、並びに受け皿の順に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙(横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率)にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0039】
また、吸水性樹脂粒子に含まれる微粒子の含有量は、吸収性能の観点から、吸水性樹脂粒子に含まれる106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は吸水性樹脂粒子の合計重量に基づいて3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0040】
吸水性樹脂粒子の見掛け密度(単位はg/ml。以下同様。)は、0.54〜0.70が好ましく、さらに好ましくは0.56〜0.65、特に好ましくは0.58〜0.60である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0041】
吸水性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0042】
第一の本発明の吸水性樹脂粒子は、好ましくは、表面架橋剤(d)による表面架橋構造を有する。
【0043】
表面架橋剤(d)としては、公知のもの(特開昭59−189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン及び多価イソシアネート等)が使用できる。これらの表面架橋剤(d)のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル化合物が好ましく、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0044】
表面架橋剤(d)の使用量(重量%)は、表面架橋剤(d)の種類、架橋させる条件及び目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、架橋重合体(A)に用いた水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(b)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)の、合計重量に基づいて、0.03〜0.5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.3、特に好ましくは0.08〜0.2である。
【0045】
本発明において、吸水性樹脂粒子は、内部架橋剤添加量及び、該当する場合は表面架橋前の、水分量を調整することで水溶性重合体である水可溶分の量が低減されていることが望ましい。第一の本発明において、吸水性樹脂粒子は、水可溶分の量が20%以下に低減されている。第一の本発明において、水可溶分が20%を超えると吸水時に可溶分が溶出していまい、ゲルブロッキングが生じ、通液性や吸水倍率に悪影響を与えることとなる。通液性の観点から、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。水可溶分は以下の方法で測定することができる。
【0046】
<水可溶分量>
300mlのプラスチック容器に0.9重量%食塩水100gをはかり取り、その食塩水に吸水性樹脂組成物1.2gを加え、ラップでシールして3時間、500rpmでスターラーを回転させ攪拌して、吸水性樹脂組成物の水可溶分が抽出された水可溶分抽出液を調製する。そして、この水可溶分抽出液を、ADVANTEC東洋株式会社製の濾紙(品名;JIS P 3801、No.2、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて、濾過する。そして、得られた濾液の20gをはかり取り、イオン交換水30gを加えて測定溶液とする。以下、測定溶液について、吸水性樹脂組成物の水可溶分量を測定する方法を説明する。
【0047】
まず、0.9重量%食塩水20gにイオン交換水30gを加えた空試験溶液について、該食塩水のpHが10になるまで、N/50のKOH水溶液の滴定を行う。そして、0.9重量%食塩水のpHが10になるのに必要な、N/50のKOH水溶液の滴定量([W
KOH,b]ml)を得る。その後、該食塩水のpHが2.7になるまで、N/20のHCl水溶液の滴定を行う。そして、そして、0.9重量%食塩水のpHが2.7になるのに必要な、N/10のHCl水溶液の滴定量([W
HCl,b]ml)を得る。
【0048】
次に、上記測定溶液について、上記の滴定操作と同様な操作を行い、測定溶液のpHが10になるのに必要な、N/50のKOH水溶液の滴定量([W
KOH,S]ml)、及び、測定溶液のpHが2.7になるのに必要な、N/10のHCl水溶液の滴定量([W
HCl,S]ml)を得る方法を具体的に説明する。
【0049】
例えば、アクリル酸とそのナトリウム塩とからなる吸水性樹脂組成物の場合、未中和アクリル酸物質量n
COOHは、
n
COOH(mol)=(W
KOH,S−W
KOH,b)×(1/50)/1000×5
また、総アクリル酸物質量n
totは、
n
tot(mol)=(W
HCl,S−W
HCl,b)×(1/10)/1000×5
また、中和アクリル酸物質量n
COONaは、
n
COONa(mol)=n
tot−n
COOH
さらに、未中和アクリル酸重量m
COOHは、
m
COOH(g)=n
COOH×72
また、中和アクリル酸物質量m
COONaは、
m
COONa(g)=n
COONa×94
以上及び試料として用いた吸水性樹脂組成物の水分量([W
H2O]重量%)をもとに、以下の計算式により、吸水性樹脂組成物の水可溶分量を算出することができる。
水可溶分量(重量%)={(m
COOH+m
COONa)×100}/{1.2×(100−W
H2O)}
【0050】
本発明の吸水性樹脂粒子において、生理食塩水の遠心保持量(Centrifuge Retention Capacity:以下、CRCともいう。)(g/g)は、吸水特性及び他の物性との関係の観点から、25以上が好ましく、27以上が更に好ましく、29以上がより更に好ましい。また、上限値は、40以下が好ましく、38以下が更に好ましい。CRC(g/g)は、後述する方法で測定することができる。
【0051】
本発明の吸水性樹脂粒子において、吸収性樹脂粒子の0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率(以下、GBPともいう。)(darcies)は、吸水特性及び他の物性との関係の観点から、5以上が好ましく、30以上が更に好ましく、40以上がより更に好ましい。GBP(darcies)は、後述する方法で測定することができる。
【0052】
本発明の吸水性樹脂粒子において、吸収性樹脂粒子のDemand Wettability試験法(以下、DW試験ともいう。)で測定された無荷重下での吸収速度(以下、吸収速度(T1)ともいう。)は、吸水特性及び他の物性との関係の観点から、15秒以下である。吸収速度(T1)は、後述する方法で測定することができる。
【0053】
本発明の吸水性樹脂粒子において、吸収性樹脂粒子のVortex試験法で測定された吸収速度(以下、吸収速度(Vortex)ともいう。)は、後述する方法で測定することができ、吸水特性及び他の物性との関係の観点から、50秒以下である。
【0054】
第二の本発明である、上記樹脂粒子の製造方法において、前記架橋重合体(A)と前記無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)を、その水分量3〜8重量%で、表面架橋剤(d)で表面架橋する工程を有する。表面架橋剤(d)による表面架橋は、好ましくは、例えば、架橋重合体(A)と、無機酸(c)、例えば、リン酸(c1)及び/又はリン酸塩(c2)、とを含有する樹脂粒子(B)を、表面架橋剤(d)により表面架橋する工程で行うことができる。表面架橋時に無機酸(c)を添加すると、通液性やブロッキング性等の吸収特性が劣ることとなるため好ましくない。
【0055】
表面架橋する工程は、樹脂粒子(B)と表面架橋剤(d)とを混合し、更に加熱することで行うことができ、公知(たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報に記載の表面架橋処理方法)の方法で行うことができる。
【0056】
表面架橋する工程として好ましい方法としては、樹脂粒子(B)を撹拌しながら、表面架橋剤(d)の水溶液を樹脂粒子(B)の表面に噴霧し、その後撹拌した状態または静置した状態で100〜200℃(好ましくは120℃〜160℃)に加熱する方法が挙げられる。
表面架橋剤(d)の水溶液を樹脂粒子(B)の表面に噴霧する場合、噴霧する水溶液に含まれる表面架橋剤(d)の濃度は、表面架橋剤(d)の種類により調整することができるが、吸収特性の観点等から、0.1〜10重量%であることが好ましい。
噴霧する水溶液の液量は、表面架橋の均一性の観点から、樹脂粒子(B)の重量に基づいて、0.5〜15重量%であることが好ましい。
表面架橋する工程のうち、撹拌下にある樹脂粒子(B)に表面架橋剤(d)の水溶液を噴霧することは、公知の流動式加湿混合造粒装置[フレキソミックス(ホソカワミクロン社製)及びシュギフレキソミックス((株)パウレック製)等]及び公知の粉体混合機[V型混合機、ヘンシェルミキサー及びタービュライザー(ホソカワミクロン(株)製)等]に公知の噴霧装置を取り付けた混合装置等を用いて行うことができる。
【0057】
表面架橋する工程のうち、撹拌した状態で100〜200℃に加熱することは、表面架橋剤を噴霧した樹脂粒子(B)を、加熱装置を付属した公知の撹拌装置(双腕型ニーダー等)を用いて加熱しながら撹拌することで行うことができる。
表面架橋する工程のうち、静置した状態で100〜200℃に加熱することは、公知の加熱乾燥装置(循風乾燥機等)を用いて行うことができる。
100〜200℃に加熱する場合の加熱時間は、通常3〜60分であり、好ましくは10〜40分である。
【0058】
なお、樹脂粒子(B)と表面架橋剤(d)とを混合する方法としては、表面架橋剤(d)の水溶液を噴霧する方法以外に、樹脂粒子(B)を表面架橋剤(d)の水溶液に浸漬する方法を用いることもできる。樹脂粒子(B)を表面架橋剤(d)の水溶液に浸漬した場合、その後撹拌しながら加熱する方法で表面架橋を行うことができる。
【0059】
本発明の製造方法においては、表面架橋する工程を行った後、更に篩別して粒度調整しても良い。粒度調整して得られた粒子の平均粒経は、好ましくは100〜600μm、更に好ましくは200〜500μmである。微粒子の含有量は少ない方が好ましく、100μm以下の粒子の含有量は3重量%以下であることが好ましく、150μm以下の粒子の含有量が3重量%以下であることが更に好ましい。
【0060】
上記本発明の製造方法においては、表面架橋工程前に、架橋重合体(A)と無機酸(c)とを含有する樹脂粒子(B)の水分量を3〜8重量%に調整する工程を有することができる。適当な水分量を有する樹脂粒子を無機酸(c)の存在下で表面架橋することで、高い吸水特性を示す吸水性樹脂粒子をえることができる。水分調整工程後における樹脂粒子の水分量は、樹脂粒子(B)の重量に基づいて、吸水特性の観点から好ましくは4〜8重量%、特に好ましくは、6〜8重量%である。
【0061】
水分量の調整は、乾燥工程、粉砕工程時の温度条件や工程時間を調整することで行うことが好ましい。更に好ましくは、生産性の観点から乾燥工程において乾燥温度、乾燥速度を調整することで、目的となる水分量に調整することである。
【0062】
本発明の吸水性樹脂粒子は、更に多価金属塩(e)を含有してもよく、このために、本発明の製造方法は、更に多価金属塩(e)と混合する工程を含んでも良い。多価金属塩(e)を含有することで、吸水性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液性が向上する。多価金属塩(e)としては、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、アルミニウム及びチタニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と前記の無機酸又は有機酸との塩が挙げられる。
多価金属塩(e)としては、入手の容易性や溶解性の観点から、アルミニウムの無機酸塩及びチタニウムの無機酸塩が好ましく、更に好ましいのは硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、特に好ましいのは硫酸アルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、最も好ましいのは硫酸ナトリウムアルミニウムである。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0063】
多価金属塩(e)の使用量(重量%)は、吸収性能及び耐ブロッキング性の観点から吸水性樹脂100重量部に対して、0.05〜5が好ましく、更に好ましくは0.1〜3、特に好ましくは0.2〜2である。
【0064】
本発明の製造方法が多価金属塩(e)と混合する工程を含む場合、多価金属塩(e)と混合する工程は、前記の表面架橋する工程の前、表面架橋する工程の後、及び表面架橋する工程と同時のいずれにおいても行うことができる。
【0065】
多価金属塩(e)の混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の公知の混合装置を用いて均一混合する方法が挙げられる。
表面架橋する工程の前又は後に混合する場合、混合する際の温度は特に限定されないが、10〜150℃が好ましく、更に好ましくは20〜100℃、特に好ましくは25〜80℃である。
表面架橋する工程と同時に混合する場合、混合する際の温度は特に限定されないが、前記の表面架橋剤(d)により表面架橋する工程と同様の条件で行うことができる。
本発明の製造方法において、多価金属塩(e)と混合する工程を行った後、更に粒度調整を行っても良い。
【0066】
本発明の吸水性樹脂粒子は、更に水不溶性無機粒子(f)を含有してもよく、このために、本発明の製造方法は、更に水不溶性無機粒子(f)と吸水性樹脂粒子を混合する工程を含んでも良い。水不溶性無機粒子(f)を混合することで吸水性樹脂粒子の表面が水不溶性無機粒子(f)で表面処理されることにより、吸水性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液性が向上する。
【0067】
水不溶性無機粒子(f)としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、クレー及びタルク等が挙げられ、入手の容易性や扱いやすさ、吸収性能の観点から、コロイダルシリカ及びシリカが好ましく、更に好ましいのはコロイダルシリカである。水不溶性無機粒子(f)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0068】
水不溶性無機粒子(f)の使用量(重量%)は、吸収性能の観点から吸水性樹脂100重量部に対して、0.01〜5が好ましく、更に好ましくは0.05〜1、特に好ましくは0.1〜0.5である。
【0069】
水不溶性無機粒子(f)を含む場合、吸水性樹脂粒子と水不溶性無機粒子(f)とを混合することが好ましく、混合は、前記の多価金属塩(e)の混合と同様の方法で行うことができ、その条件も同様である。
【0070】
水不溶性無機粒子(f)を混合する工程を行った後、吸水性樹脂粒子を粒度調整する工程を行っても良い。粒度調整は樹脂粒子(B)の粒度調整と同様に行うことができ、粒度調整後の粒径も同様である。
【0071】
本発明の製造方法は、生理食塩水の遠心保持量(Centrifuge Retention Capacity:以下、CRCともいう。)が29〜40g/gであり、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率(以下、GBPともいう。)が40darcies以上であり、Demand Wettability試験法(以下、DW試験ともいう。)で測定された無荷重下での吸収速度(以下、吸収速度(T1)ともいう。)が15秒以下であり、Vortex試験法で測定された吸収速度(以下、吸収速度(Vortex)ともいう。)が50秒以下である吸水性樹脂粒子を製造することができる。
【0072】
遠心保持容量、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率、Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度及びVortex試験方で測定された吸収速度は、25±2℃、湿度50±10%の室内でそれぞれ以下の方法で測定される。なお、使用する生理食塩水の温度は予め25℃±2℃に調整して使用する。
【0073】
<生理食塩水の遠心保持量>
特許第5236668号明細書に記載されたCRC試験方法に準じて測定され、吸水性樹脂粒子0.200gを、生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)に無加圧下で30分間、自由膨潤させ、次いで、遠心分離機で水切りし、水切り後においても吸水性樹脂粒子が保持する生理食塩水の量(単位;[g/g])を測定する。なお、CRCが高いほど吸水性樹脂粒子の吸水性能が高いことを意味する。
【0074】
<0psiでの膨潤圧力でのゲルベッド透過率試験>
特許第5236668号明細書に記載された0psi膨潤圧力でのGBP試験方法に準じて測定される(単位;[darcies])。なお、GBPが高いほど吸水性樹脂粒子の吸収速度と膨潤ゲル間の通液性に優れることを意味する。
【0075】
<Demand Wettability試験で測定された無荷重下での吸収速度>
吸水性樹脂粒子0.50gと生理食塩水とを用いて特開2014−005472号明細書に記載されたDW法で測定した場合に、吸水開始からの吸収量(ml/g)が2.0となるまでに要する時間をDemand Wettability試験で測定された無荷重下での吸収速度とする。なお、DW試験はビュレットと導管とに接続された測定台上で、無荷重下における吸水性樹脂の吸い上げ能力を判断するものである。
【0076】
<Vortex試験で測定される吸収速度>
吸水性樹脂粒子2.000gが、JIS R 3503に規定する底面が平らな100mlのトールビーカー内で毎分600回の回転数で撹拌されている生理食塩水50gを吸収し終わるまでに必要とした時間(単位:秒)をJIS K7224−1996に準拠して測定し、Vortex試験で測定される吸収速度とする。
【0077】
本発明の吸水性樹脂粒子は、必要に応じて、添加剤(例えば、公知(特開2003−225565号及び特開2006−131767号等に記載)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、通液性向上剤及び有機質繊維状物等)を使用することもできる。これらの添加剤を使用する場合、添加剤の含有量(重量%)は、樹脂粒子(B)の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、更に好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.05〜1、最も好ましくは0.1〜0.5である。
【0078】
本発明の吸水性樹脂粒子は、吸水性樹脂粒子を、生理食塩水の重量に基づいて0.5重量%含有させた場合の生理食塩水のpHが5.80〜7.20であることが好ましく、5.80〜6.50であることがより好ましい。この範囲内であると、弱酸性となり、よりカブレが生じにくくなるため好ましい。
【0079】
本発明の吸水性樹脂粒子である吸水性樹脂粒子は、荷重下非荷重下を問わずどのような状態においても安定して優れた吸収性能(液拡散性、吸収速度、及び吸収量)を発揮し、吸収性物品の耐カブレ性が良好となる。
【0080】
本発明の吸水性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、0.54〜0.70が好ましく、さらに好ましくは0.56〜0.65、特に好ましくは0.58〜0.60である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。なお、見掛け密度は樹脂粒子(B)の場合と同様にして測定できる。
【0081】
吸水性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0082】
本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法で得られる吸水性樹脂粒子又は本発明の吸水性樹脂粒子(以下、両者を区別することなく、単に吸水性樹脂粒子又は本発明の吸水性樹脂粒子ともいう)は、単独で吸収体として用いても良く、他の材料と共に用いて吸収体としても良い。
他の材料として好ましくは繊維状物が挙げられる。繊維状物と共に用いた場合の吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの(特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等)と同様である。
【0083】
上記繊維状物として好ましいのは、セルロース系繊維、有機系合成繊維及びセルロース系繊維と有機系合成繊維との混合物である。
【0084】
セルロース系繊維としては、例えばフラッフパルプ等の天然繊維、ビスコースレーヨン、アセテート及びキュプラ等のセルロース系化学繊維が挙げられる。このセルロース系天然繊維の原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、メカニカルパルプ及びCTMP等)及び漂白方法等は特に限定されない。
【0085】
有機系合成繊維としては、例えばポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維及び熱融着性複合繊維(融点の異なる上記繊維の少なくとも2種を鞘芯型、偏芯型、並列型等に複合化された繊維、上記繊維の少なくとも2種をブレンドした繊維及び上記繊維の表層を改質した繊維等)が挙げられる。
【0086】
これらの繊維状物の内で好ましいのは、セルロース系天然繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエステル系繊維、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維であり、更に好ましいのは、得られた吸水剤の吸水後の形状保持性に優れるという点で、フラッフパルプ、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維である。
【0087】
上記繊維状物の長さ、太さについては特に限定されず、長さは1〜200mm、太さは0.1〜100デニールの範囲であれば好適に使用することができる。形状についても繊維状であれば特に限定されず、細い円筒状、スプリットヤーン状、ステープル状、フィラメント状及びウェブ状等が例示される。
【0088】
前記の吸水性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体の場合、吸水性樹脂粒子と繊維状物の重量比率(吸水性樹脂粒子の重量/繊維状物の重量)は40/60〜90/10が好ましく、更に好ましくは70/30〜80/20である。
【0089】
本発明の吸収体は、前記の吸水性樹脂粒子を含有してなる。本発明の吸収体は、吸水性樹脂粒子を単独で含有してなる吸収体であってもよく、あるいは吸水性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体であってもよい。本発明の吸収体は、吸収性物品として用いることができる。吸収性物品としては、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品のみならず、各種水性液体の吸収や保持剤用途、ゲル化剤用途等の各種用途(例えば、ペット尿吸収剤、携帯トイレの尿ゲル化剤、青果物の鮮度保持剤、肉類や魚介類のドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物や土壌の保水剤、結露防止剤、止水材、パッキン材、人工雪など)に使用されるものとして適用可能である。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの(特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等に記載のもの)と同様である。
【実施例】
【0090】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
<実施例1>
アクリル酸(三菱化学株式会社製、純度100%、以下同様である)135部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソ−株式会社製、以下同様である)0.68部、亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬株式会社製、純度66%、以下同様である)0.02部及び脱イオン水363部を撹拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.3部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
【0092】
次に得られた含水ゲル(1)全量をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部を添加して混合・中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機(140℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、水分量が6%の樹脂粒子(B1)を得た。
【0093】
得られた樹脂粒子(B1)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の2%水溶液4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、本発明の吸水性樹脂粒子(1)を得た。
【0094】
<実施例2>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」を「ペンタエリスリトール0.2部」に変更し、「亜硫酸水素ナトリウム0.02部」を「リン酸(関東化学株式会社製、純度85%、以下同様である)1.9部」に変更し、「水分量が6%」を「水分量が8%」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテルの3%水溶液6.6部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(2)を得た。
【0095】
<実施例3>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」を「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.82部」に変更し、「亜硫酸水素ナトリウム0.02部」を「亜硫酸水素ナトリウム0.008部」に変更し、「水分量が6%」を「水分量が4%」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテルの1%水溶液5部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(3)を得た。
【0096】
<実施例4>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」を「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.14部」に変更し、「リン酸1.9部」を「リン酸3.8部」に変更し、「水分量が6%」を「水分量が3%」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテルの4%水溶液7.4部」に変更したこと以外は実施例2と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(4)を得た。
【0097】
<実施例5>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」を「ペンタエリスリトール0.95部」に変更し、「亜硫酸水素ナトリウム0.02部」を添加していないこと以外は実施例1と同様にして、含水ゲル(2)を得た。
【0098】
次にこの含水ゲル(2)をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部を添加して混合・中和し、続いてフルオロリン酸(Sigma−Aldrich社製、純度70%、以下同様である)1%水溶液1.9部を添加して混合し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機(140℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、水分量が6%の樹脂粒子(B2)を得た。
【0099】
得られた樹脂粒子(B2)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社、デナコールEX−512)の0.7%水溶液4.3部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、本発明の吸水性樹脂粒子(5)を得た。
【0100】
<実施例6>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.95部」を「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.068部」に変更し、「フルオロリン酸(Sigma−Aldrich社製、純度70%、以下同様である)1%水溶液1.9部」を「ケイ酸(Sigma−Aldrich社製、以下同様である)1%水溶液1.3部」に変更し、「ポリグリセロールポリグリシジルエーテルの0.7%水溶液4.3部」を「ポリグリセロールポリグリシジルエーテルの5.5%水溶液9.1部」に変更したこと以外は実施例5と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(6)を得た。
【0101】
<実施例7>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」を「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.4部」に変更し、「亜硫酸水素ナトリウム0.02部」を「リン酸二水素ナトリウム二水和物(東北化学工業株式会社製、以下同様である)0.088部」に変更し、「水分量が6%」を「水分量が7%」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2.5%水溶液5.6部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(7)を得た。
【0102】
<実施例8>
「亜硫酸水素ナトリウム0.08部」を「亜硫酸水素ナトリウム0.05部」に変更したこと以外は実施例3と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(8)を得た。
【0103】
<実施例9>
「リン酸3.8部」を「リン酸4.0部」に変更したこと以外は実施例3と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(9)を得た。
【0104】
<比較例1>
「亜硫酸水素ナトリウム0.02部」を添加していないこと以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(B3)を得た。
【0105】
得られた樹脂粒子(B3)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらリン酸(c1)(リン酸、関東化学株式会社製、純度85%)の1%水溶液1.2部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、続いてエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の2%水溶液4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、比較用の吸水性樹脂粒子(1)を得た。
【0106】
<比較例2>
比較例1と同様にして得られた樹脂粒子(B3)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、ナトリウムミョウバン(昭和化学株式会社製)2%含むエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の2%水溶液5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、比較用の吸水性樹脂粒子(2)を得た。
【0107】
<比較例3>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」を「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.068部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテルの4%水溶液0.75部」に変更した以外は比較例1と同様にして、比較用の吸水性樹脂粒子(3)を得た。
【0108】
<実施例10>
アクリル酸(三菱化学株式会社製、純度100%、以下同様である)135部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソ−株式会社製、以下同様である)0.68部、リン酸(関東化学株式会社製、純度85%、以下同様である)0.016部及び脱イオン水363部を撹拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.3部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(3)を得た。
【0109】
次に得られた含水ゲル(3)全量をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部を添加して混合・中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機(140℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、樹脂粒子(B4)を得た。
【0110】
得られた樹脂粒子(B4)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の2%水溶液4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、本発明の吸水性樹脂粒子(10)を得た。
【0111】
<実施例11>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」をから「ペンタエリスリトール0.2部」に変更し、「リン酸(関東化学株式会社製、純度85%0.016部」を「リン酸二水素ナトリウム二水和物(東北化学工業株式会社製、以下同様である)2.1部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテルの3%水溶液6.6部」に変更したこと以外は実施例10と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(11)を得た。
【0112】
<実施例12>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.82部」に変更し、「リン酸0.016部」を「リン酸0.013部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液4部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテルの1%水溶液5部」に変更したこと以外は実施例10と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(12)を得た。
【0113】
<実施例13>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.2部」を「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.14部」に変更し、「リン酸二水素ナトリウム二水和物2.1部」を「リン酸二水素ナトリウム二水和物2.5部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテルの3%水溶液6.6部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテルの4%水溶液7.4部」に変更したこと以外は実施例11と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(13)を得た。
【0114】
<実施例14>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」を「ペンタエリスリトール0.95部」に変更し、「リン酸0.016部」を添加していないこと以外は実施例10と同様にして、含水ゲル(4)を得た。
【0115】
次にこの含水ゲル(4)をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部を添加して混合・中和し、続いてリン酸の1%水溶液1.6部添加して混合し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機(140℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、樹脂粒子(B5)を得た。
【0116】
得られた樹脂粒子(B5)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社、デナコールEX−512)の0.7%水溶液4.3部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、本発明の吸水性樹脂粒子(14)を得た。
【0117】
<実施例15>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.95部」を「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.068部」に変更し、「ポリグリセロールポリグリシジルエーテルの0.7%水溶液4.3部」を「ポリグリセロールポリグリシジルエーテルの5.5%水溶液9.1部」に変更したこと以外は実施例14と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(15)を得た。
【0118】
<実施例16>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.2部」を「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.4部」に変更し、「リン酸二水素ナトリウム二水和物2.1部」を「リン酸二水素ナトリウム二水和物0.88部」に変更し、「エチレングリコールジグリシジルエーテルの3%水溶液6.6部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2.5%水溶液5.6部」に変更したこと以外は実施例11と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(16)を得た。
【0119】
<比較例4>
「リン酸0.016部」を添加していないこと以外は実施例10と同様にして、樹脂粒子(B6)を得た。
【0120】
得られた樹脂粒子(B6)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらリン酸(c1)(リン酸、関東化学株式会社製、純度85%)の1%水溶液1.2部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、続いてエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の2%水溶液4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、比較用の吸水性樹脂粒子(4)を得た。
【0121】
<比較例5>
比較例4と同様にして得られた樹脂粒子(B6)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、ナトリウムミョウバン(昭和化学株式会社製)2%含むエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の2%水溶液5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、比較用の吸水性樹脂粒子(5)を得た。
【0122】
実施例1〜16及び比較例1〜5で得たそれぞれの吸水性樹脂粒子について、生理食塩水の遠心保持容量(CRC)、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率[GBP(0psi膨潤圧力)]、DW試験法で測定された無荷重下での吸収速度[吸収速度(T1)]、Vortex試験法で測定された吸収速度[吸収速度(Vortex)]を以下の方法で測定し、表1、2に記載した。また、実施例1〜9、比較例1〜3で得たそれぞれの吸水性樹脂粒子について、水可溶分量を上述の方法で測定し、表1に記載した。
【0123】
<生理食塩水の遠心保持容量>
実施例1〜16及び比較例1〜5で得た吸水性樹脂粒子0.200gを用いて、上述の方法で測定した。この値が高いほど吸水性樹脂の吸水性能が高いことを意味する。
【0124】
<0psiでの膨潤圧力でのゲルベッド透過率試験>
実施例1〜16及び比較例1〜5で得た吸水性樹脂粒子を用いて、上述の方法で測定した。この値が高いほど吸収体の吸収速度と膨潤ゲル間の通液性に優れることを意味する。
【0125】
<DW試験で測定された無荷重下での吸収速度>
実施例1〜16及び比較例1〜5で得たそれぞれの吸水性樹脂粒子0.50gと生理食塩水とを用いて、上述の方法で測定した。DW試験はビュレットと導管とに接続された測定台上で、無荷重下における吸水性樹脂の吸い上げ能力を判断するものである。
【0126】
<Vortex試験で測定される吸収速度>
実施例1〜16及び比較例1〜5で得たそれぞれの吸水性樹脂粒子を用いて、上述の方法で測定した。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
表1、2から、本発明における吸水性樹脂粒子は、生理食塩水の遠心保持量が高く、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上であり、Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度が15秒以下であり、Vortex試験法で測定された吸収速度が50秒以下であった。そして、比較例の樹脂粒子に比べて、生理食塩水の遠心保持量(CRC)及びVortex試験の吸収速度において有意な差が無い場合であっても、膨潤ゲル間の通液性(GBP)において有意に優れていた。また、比較例3によれば、水可溶分量が、20%を超えると、通液性や吸水倍率に悪影響を与え、吸収性能が悪い。DW試験の吸収速度(この値が小さいほど、吸収性能に優れる)も高い性能であることを示していた。従って、吸収速度が速く、かつ、膨潤ゲル
間の通液性が非常に優れているにもかかわらず高い吸水性能も同時に有することが判った。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の吸水性樹脂組成物は、膨潤したゲル間の通液性及び荷重下での吸収性能の両立が可能であり、かつ保管時のブロッキングや変色が起こりにくいという特長がある。以上の効果を奏することから、本発明の吸水性樹脂組成物は、各種の吸収体に適用することにより、吸収量が多く、逆戻り性や表面ドライ感に優れた吸収性物品に利用でき、衛生用品に好適に用いられる。
【国際調査報告】