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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年12月14日
【発行日】2019年4月4日
(54)【発明の名称】穴内面処理装置及び穴内面処理方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 5/02 20060101AFI20190308BHJP
   B24C 3/16 20060101ALN20190308BHJP
【FI】
   B24C5/02 C
   B24C3/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2018-522329(P2018-522329)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】特願2016-112974(P2016-112974)
(32)【優先日】2016年6月6日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】後和 大輔
(72)【発明者】
【氏名】境 茂和
(57)【要約】
穴内面処理装置(10)は、有底円筒状に形成されていると共に、円筒内部に空気と共に送り込まれた投射材を外周面の一部に形成された投射孔から外部へ噴射する横穴ノズル(14)と、駆動軸(42)が設けられていると共に、駆動軸(42)を所定の角度範囲にて往復回転駆動させるサーボモータ(16)と、サーボモータ(16)の駆動軸(42)に取り付けられかつサーボモータ(16)の駆動軸(42)と共に回転するモータ側ギヤ(44)と、横穴ノズル(14)に取り付けられかつ横穴ノズル(14)と共に回転するノズル側ギヤ(28)とを有し、モータ側ギヤ(44)とノズル側ギヤ(28)とは直接的又は間接的に噛合うことで、サーボモータ(16)の駆動軸(42)の作動が横穴ノズル(14)に伝達されて横穴ノズル(14)を横穴ノズル(14)の円筒軸Lを中心に所定の角度範囲にて往復回転させるギヤ駆動部(18)と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒状に形成されていると共に、円筒内部に空気と共に送り込まれた投射材を外周面の一部に形成された投射孔から外部へ噴射する少なくとも1つの横穴ノズルと、
駆動軸が設けられていると共に、当該駆動軸を所定の角度範囲にて往復回転駆動させる少なくとも1つの往復回転駆動機構と、
前記往復回転駆動機構の駆動軸に取り付けられかつ前記往復回転駆動機構の駆動軸と共に回転するモータ側ギヤと、前記横穴ノズルに取り付けられかつ前記横穴ノズルと共に回転するノズル側ギヤとを有し、前記モータ側ギヤと前記ノズル側ギヤとは直接的又は間接的に噛合うことで、前記往復回転駆動機構の駆動軸の作動が前記横穴ノズルに伝達されて前記横穴ノズルを前記横穴ノズルの円筒軸中心に所定の角度範囲にて往復回転させる少なくとも1つのギヤ駆動部と、
を有する穴内面処理装置。
【請求項2】
前記往復回転駆動機構は、サーボモータであり、当該サーボモータは、前記駆動軸を往復回転駆動させる角度範囲を調整可能とされている、
請求項1に記載の穴内面処理装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの横穴ノズルは、複数の横穴ノズルを有し、当該複数の横穴ノズルが装置筐体にユニット化されている、
請求項1又は2に記載の穴内面処理装置。
【請求項4】
前記複数の横穴ノズルは、一つの前記往復回転駆動機構と駆動力伝達機構とによって各横穴ノズルの円筒軸中心に所定の角度範囲にて往復回転する、
請求項3に記載の穴内面処理装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの往復回転駆動機構は、複数の往復回転駆動機構を有し、
前記少なくとも1つのギヤ駆動部は、複数のギヤ駆動部を有し、
前記複数の横穴ノズルには、前記往復回転駆動機構と前記ギヤ駆動部とがそれぞれ設けられており、各横穴ノズルは、対応する前記往復回転駆動機構の作動によって円筒軸中心に所定の角度範囲にて往復回転する、
請求項3に記載の穴内面処理装置。
【請求項6】
有底円筒状に形成されていると共に、円筒内部に空気と共に送り込まれた投射材を外周面の一部に形成された投射孔から外部へ噴射する少なくとも1つの横穴ノズルと、
駆動軸が設けられていると共に、当該駆動軸を所定の角度範囲にて往復回転駆動させる少なくとも1つの往復回転駆動機構と、
前記往復回転駆動機構の駆動軸に取り付けられかつ前記往復回転駆動機構の駆動軸と共に回転するモータ側ギヤと、前記横穴ノズルに取り付けられかつ前記横穴ノズルと共に回転するノズル側ギヤとを有し、前記モータ側ギヤと前記ノズル側ギヤとは直接的又は間接的に噛合うことで、前記往復回転駆動機構の駆動軸の作動が前記横穴ノズルに伝達されて前記横穴ノズルを前記横穴ノズルの円筒軸中心に所定の角度範囲にて往復回転させる少なくとも1つのギヤ駆動部と、
を有する穴内面処理装置に適用され、
被処理対象物の穴の内部に前記横穴ノズルを挿入する第1工程と、
前記横穴ノズルを前記被処理対象物の穴内面における研掃目標範囲に対応して前記横穴ノズルの円筒軸中心に往復回転させながら前記投射材を投射する第2工程と、
を有する穴内面処理方法。
【請求項7】
前記穴内面処理装置には、前記少なくとも1つの横穴ノズルは複数の横穴ノズルを有し、かつ、当該複数の横穴ノズルが装置筐体にユニット化されており、
前記第1工程で複数の前記横穴ノズルを前記被処理対象物の穴の内部に同時に挿入して前記第2工程で複数の前記横穴ノズルから前記投射材を投射する、
請求項6に記載の穴内面処理方法。
【請求項8】
前記複数の横穴ノズルが挿入可能な前記被処理対象物の穴の内部において、それぞれの前記横穴ノズルに対応した部位同士が直接的に連通していないか又は当該部位同士が直接的に連通しかつ離間している場合は、前記被処理対象物の穴内面に前記複数の横穴ノズルを挿入して前記複数の横穴ノズルから同時に前記投射材を投射し、
前記複数の横穴ノズルが挿入可能な前記被処理対象物の穴の内部において、それぞれの前記横穴ノズルに対応した部位同士が直接的に連通しかつ近接している場合は、前記複数の横穴ノズルにおいて隣り合う前記横穴ノズルはそれぞれ異なるタイミングで前記被処理対象物の穴内面に前記投射材を投射する、
請求項7に記載の穴内面処理方法。
【請求項9】
前記横穴ノズルの投射孔から単位時間当たりに投射される前記投射材の質量Aと前記空気の質量Bとの質量比(A/B)が、0.3以上0.9以下である、
請求項6〜8のいずれか一項に記載の穴内面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、穴内面処理装置及び穴内面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、中子砂除去装置及び除去方法が開示されている。この中子砂除去装置及び除去方法では、被処理対象物(以下、「ワーク」と称する。)に形成された中空部(穴)に斜噴射ノズルが挿入され、この斜噴射ノズルに形成された噴射口から投射材を投射させながらワークを回転させる。これにより、ワークの穴内面の全周に投射材が当てられて、ワークの穴内面の研掃が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−314469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、ワークの穴内面のうち一部のみを研掃することができず、研掃が不要な範囲まで投射材を投射することになる。このため、特許文献1に開示された構成は、加工効率の向上という観点から改良の余地がある。
【0005】
本技術分野では、加工効率を向上させることができる穴内面処理装置及び穴内面処理方法を得ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る穴内面処理装置は、有底円筒状に形成されていると共に、円筒内部に空気と共に送り込まれた投射材を外周面の一部に形成された投射孔から外部へ噴射する少なくとも1つの横穴ノズルと、駆動軸が設けられていると共に、当該駆動軸を所定の角度範囲にて往復回転駆動させる少なくとも1つの往復回転駆動機構と、往復回転駆動機構の駆動軸に取り付けられかつ往復回転駆動機構の駆動軸と共に回転するモータ側ギヤと、横穴ノズルに取り付けられかつ横穴ノズルと共に回転するノズル側ギヤとを有し、モータ側ギヤとノズル側ギヤとは直接的又は間接的に噛合うことで、往復回転駆動機構の駆動軸の作動が横穴ノズルに伝達されて横穴ノズルを横穴ノズルの円筒軸中心に所定の角度範囲にて往復回転させる少なくとも1つのギヤ駆動部と、を有する。
【0007】
この装置においては、往復回転駆動機構の駆動軸の作動がギヤ駆動部を介して横穴ノズルへと伝達される。往復回転駆動機構は、所定の角度範囲にて往復回転駆動することから、横穴ノズルは横穴ノズルの円筒軸を中心に所定の角度範囲にて往復回転運動する。この際、モータ側ギヤとノズル側ギヤとが直接的又は間接的に噛合っていることから、往復回転駆動機構の駆動軸の動きに対する横穴ノズルの追従性が向上する。したがって、横穴ノズルの往復回転運動における角度範囲の管理が容易となる。ワークの穴内面のうち一部のみを研掃したい場合には、この装置は、横穴ノズルをワークの穴内面のうち研掃目標部分に対応した往復回転をさせて、研掃目標部分に投射材を投射させることができる。
【0008】
一実施形態においては、往復回転駆動機構は、サーボモータであってもよい。当該サーボモータは、駆動軸を往復回転駆動させる角度範囲を調整可能としてもよい。
【0009】
この装置においては、サーボモータの駆動軸は、往復回転駆動させる際の角度範囲を調整することができる。したがって、このサーボモータの駆動軸の作動により往復回転する横穴ノズルの往復回転時の角度範囲も、同様に調整することができる。このため、この装置は、ワークの穴内面における研掃目標範囲が異なるワークを加工する場合であっても、投射材を投射する範囲を容易に変更することが可能となる。これにより、この装置は、様々なワークに対応して加工効率を向上させることができる。
【0010】
一実施形態においては、少なくとも1つの横穴ノズルは複数の横穴ノズルを有してもよい。そして、当該複数の横穴ノズルは装置筐体にユニット化されていてもよい。
【0011】
この装置によれば、複数の横穴ノズルは装置筐体にユニット化されていることから、装置筐体を移動させることで複数の横穴ノズルを同時に移動させることができる。したがって、この装置は、ワークの穴内面における研掃目標範囲が広い場合でも、装置筐体を移動させて複数の横穴ノズルをワークの穴内面へと移動させて、複数の横穴ノズルから投射材を投射させることで、効率良く投射材をワークへ投射させることができる。これにより、この装置は、加工効率を更に向上させることができる。
【0012】
一実施形態においては、複数の横穴ノズルは、一つの往復回転駆動機構と駆動力伝達機構とによって各横穴ノズルの円筒軸中心に所定の角度範囲にて往復回転してもよい。
【0013】
この装置によれば、複数の横穴ノズルは、一つの往復回転駆動機構と駆動伝達機構とによって往復回転することから、装置を簡素な構造にすることができる。これにより、この装置は、装置のコストを抑制することができる。
【0014】
一実施形態においては、少なくとも1つの往復回転駆動機構は、複数の往復回転駆動機構を有してもよい。少なくとも1つのギヤ駆動部は、複数のギヤ駆動部を有してもよい。そして、複数の横穴ノズルには、往復回転駆動機構とギヤ駆動部とがそれぞれ設けられてもよい。各横穴ノズルは、対応する往復回転駆動機構の作動によって円筒軸中心に所定の角度範囲にて往復回転してもよい。
【0015】
この装置によれば、複数の横穴ノズルにはそれぞれ往復回転駆動機構とギヤ駆動部とが設けられていることから、それぞれの往復回転駆動機構の制御を変化させることで、各横穴ノズルの往復回転の角度範囲をそれぞれ調整することができる。したがって、この装置は、ワークに合わせたより細かな投射材の投射を行うことができる。これにより、この装置は、ワークの穴内面に合わせてより適切に加工を行うことができる。
【0016】
本開示の他の側面に係る穴内面処理方法は、有底円筒状に形成されていると共に、円筒内部に空気と共に送り込まれた投射材を外周面の一部に形成された投射孔から外部へ噴射する少なくとも1つの横穴ノズルと、駆動軸が設けられていると共に、当該駆動軸を所定の角度範囲にて往復回転駆動させる少なくとも1つの往復回転駆動機構と、往復回転駆動機構の駆動軸に取り付けられかつ往復回転駆動機構の駆動軸と共に回転するモータ側ギヤと、横穴ノズルに取り付けられかつ横穴ノズルと共に回転するノズル側ギヤとを有し、モータ側ギヤとノズル側ギヤとは直接的又は間接的に噛合うことで、往復回転駆動機構の駆動軸の作動が横穴ノズルに伝達されて横穴ノズルを横穴ノズルの円筒軸中心に所定の角度範囲にて往復回転させる少なくとも1つのギヤ駆動部と、を有する穴内面処理装置に適用され、被処理対象物の穴の内部に横穴ノズルを挿入する第1工程と、横穴ノズルを被処理対象物の穴内面における研掃目標範囲に対応して横穴ノズルの円筒軸中心に往復回転させながら投射材を投射する第2工程と、を有している。
【0017】
この方法においては、第1工程でワークの内部に横穴ノズルを挿入して第2工程で横穴ノズルを円筒軸中心に往復回転させながら投射材を投射する。この横穴ノズルの往復回転する角度範囲は、ワークの穴内面における研掃目標範囲に対応しているため、それ以外の範囲に投射材が投射されて研掃されるのを抑制することができる。これにより、この方法は、加工効率を向上させることができる。
【0018】
一実施形態においては、少なくとも1つの横穴ノズルは複数の横穴ノズルを有し、かつ、当該複数の横穴ノズルが装置筐体にユニット化されていてもよい。そして、第1工程で複数の横穴ノズルを被処理対象物の穴の内部に同時に挿入して第2工程で複数の横穴ノズルから投射材を投射してもよい。
【0019】
この方法においては、第1工程でワークの内部に複数の横穴ノズルを挿入して第2工程で複数の横穴ノズルを円筒軸中心に往復回転させながら投射材を投射する。したがって、ワークの穴内面における研掃目標範囲が広い場合でも、複数の横穴ノズルから投射材を投射させることで効率良く投射材を投射することができる。これにより、この方法は、加工効率を一層向上させることができる。
【0020】
一実施形態においては、複数の横穴ノズルが挿入可能な被処理対象物の穴の内部において、それぞれの横穴ノズルに対応した部位同士が直接的に連通していないか又は当該部位同士が直接的に連通しかつ離間している場合は、被処理対象物の穴内面に複数の横穴ノズルを挿入して複数の横穴ノズルから同時に投射材を投射してもよい。そして、複数の横穴ノズルが挿入可能な被処理対象物の穴の内部において、それぞれの横穴ノズルに対応した部位同士が直接的に連通しかつ近接している場合は、複数の横穴ノズルにおいて隣り合う横穴ノズルはそれぞれ異なるタイミングで被処理対象物の穴内面に投射材を投射してもよい。
【0021】
この方法によれば、ワークの穴内面において複数の横穴ノズルに対応した部位同士が直接的に連通していないか又は直接的に連通していても離間している場合は、ワークの穴内面に挿入された複数の横穴ノズルから同時に投射材を投射することで効率良くワークを研掃することができる。また、この方法においては、ワークの穴内面における複数の横穴ノズルに対応した部位同士が直接的に連通しかつ近接している場合は、複数の横穴ノズルにおいて隣り合う横穴ノズルはそれぞれ異なるタイミングで投射材をワークの穴内面に投射することから、複数の横穴ノズルから投射された投射材同士の干渉を抑制してワークの穴内面を研掃することができる。これにより、この方法は、ワークに合わせて適切に研掃することができる。
【0022】
ここで、「直接的に連通」とは、ワークの穴内面における横穴ノズルに対応した一方の部位と他方の部位とを連通する部位が、略直線状に形成されていることを示す。
【0023】
一実施形態においては、横穴ノズルの投射孔から単位時間当たりに投射される投射材の質量Aと空気の質量Bとの質量比(A/B)が、0.3以上0.9以下であってもよい。
【0024】
この方法によれば、横穴ノズルの投射口から投射される投射材の質量Aと空気の質量Bと質量比を0.3以上0.9以下とすることで、ワークの穴内面と横穴ノズルとの間が狭い箇所でも投射材が滞留することなく投射材を投射することができる。これにより、この方法は、ワークの穴内面と横穴ノズルとの間が狭い場合でも研掃することができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示に係る穴内面処理装置及び方法によれば、加工効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、第1実施形態に係る穴内面処理装置の要部を示す部分断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る穴内面処理装置の横穴ノズルにおける往復回転の作動例を示す概略図である。
図3図3は、ワークを説明する図である。
図4図4は、対比例に係る穴内面処理装置の要部を示す部分断面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る穴内面処理装置の要部を示す部分断面図である。
図6図6は、第3実施形態に係る穴内面処理装置の要部を示す部分断面図である。
図7図7は、実験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、図を用いて、本開示の第1実施形態に係る穴内面処理装置及び穴内面処理方法について説明する。図1は、第1実施形態に係る穴内面処理装置の要部を示す部分断面図である。
【0028】
図1に示されるように、穴内面処理装置10は、装置筐体12と、横穴ノズル14と、サーボモータ16(往復回転駆動機構の一例)と、ギヤ駆動部18と、角度調整装置20とを有している。装置筐体12は、穴内面処理装置10の図示しない躯体の一部を構成している。中空状に形成された装置筐体12には、横穴ノズル14が円筒軸Lを中心に回動自在に取り付けられている。また、装置筐体12における横穴ノズル14に隣り合った位置には、サーボモータ16が取り付けられている。
【0029】
横穴ノズル14は、有底円筒状を呈し、装置上下方向に沿って延設される。横穴ノズル14の下端部24の外周面の一部には、図示しない投射孔が形成されている。一例として、横穴ノズル14は、下端部24から長手方向略中央部までの部位における外径が8mmであり、かつ、内径は5mmである。また、投射孔は、横穴ノズル14の内部と外部とを連通するようにこの投射孔の面直視で略円形に形成されている。一例として、投射孔の内径は5mmである。横穴ノズル14の円筒内部に空気と共に送り込まれた投射材は、投射孔から横穴ノズル14の外部へ噴射される。
【0030】
横穴ノズル14の上端部26は、装置筐体12の内部に挿通されている。横穴ノズル14の上端部26における装置筐体12の内部に対応した部位には、ギヤ駆動部18の一部を構成するノズル側ギヤ28が取り付けられている。このノズル側ギヤ28は、円盤状に形成されかつ外周面に噛合い歯30が形成されている。ノズル側ギヤ28は、板厚方向が装置上下方向となるように設けられている。ノズル側ギヤ28は、駆動軸中心が横穴ノズル14の装置上下方向に延伸された円筒軸Lと同一の位置となるように設けられている。
【0031】
装置筐体12における横穴ノズル14の装置上方側には、ホルダ32が設けられている。このホルダ32は、下端部34が装置筐体12の上面36に取り付けられている。ホルダ32の上端部38には、ホース40の一端部が取り付けられている。このホース40の他端部は、図示しないエアブラストタンクに接続されている。投射材は、圧縮空気と共にホース40の内部を通ってホルダ32内に送り込まれる。また、ホルダ32の内部には、横穴ノズル14の上端部26の図示しない開口が配置されている。したがって、ホース40からの投射材及び圧縮空気は、横穴ノズル14の円筒内へと送られる。
【0032】
サーボモータ16は、装置筐体12の上面36に取り付けられている。サーボモータ16の駆動軸42は、装置筐体12の内部へと挿入されている。このサーボモータ16の駆動軸42には、ギヤ駆動部18の一部を構成するモータ側ギヤ44が取り付けられている。このモータ側ギヤ44は、円盤状に形成されかつ外周面に噛合い歯46が形成されている。モータ側ギヤ44は、板厚方向が装置上下方向となるように設けられている。モータ側ギヤ44は、その回転中心がサーボモータ16の駆動軸42の装置上下方向に延伸された軸L2と同一の位置となるように設けられている。そして、ギヤ駆動部18は、このモータ側ギヤ44と横穴ノズル14に設けられたノズル側ギヤ28とが直接噛合って構成されている。なお、ギヤ駆動部18は、モータ側ギヤ44とノズル側ギヤ28とが直接噛合って構成されているが、これに限らず、モータ側ギヤ44とノズル側ギヤ28との間に他のギヤを設けて間接的に噛合う構成としてもよい。
【0033】
サーボモータ16には、角度調整装置20が接続されている。この角度調整装置20は、一例として、往復回転させる角度範囲を入力するコントローラと、コントローラからの指示に基づいてサーボモータ16へ作動信号を送るサーボアンプと、サーボモータ16の作動状態を監視するエンコーダとを有している(いずれも不図示)。そして、角度調整装置20のコントローラに入力された角度範囲にてサーボモータ16の駆動軸42が往復回転駆動される。
【0034】
サーボモータ16の駆動軸42の作動は、ギヤ駆動部18を介して横穴ノズル14へと伝達される。サーボモータ16は、所定の角度範囲にて往復回転駆動することから、横穴ノズル14は横穴ノズル14の円筒軸Lを中心に所定の角度範囲にて往復回転運動する。図2は、第1実施形態に係る穴内面処理装置10の横穴ノズル14における往復回転の作動例を示す概略図である。横穴ノズル14は、図中の矢印で示される角度範囲において往復回転運動する。
【0035】
次に、上述の穴内面処理装置10に適用される穴内面処理方法について説明する。図3は、ワークを説明する図である。図3の記号(A)は、ワークの平面図であり、記号(B)は記号(A)で示されたワークの内部を示す横断面図である。図3の記号(A)及び記号(B)に示されるように、ワーク50は、被処理対象物であり、平面視で略矩形の立方体形状とされている。ワーク50は、その内部に内部経路52(被処理対象物の穴の一例)が形成されている。なお、ワーク50の上面51には、この内部経路52内と連通された挿入口54が複数(本実施形態では4つ)形成されている。また、内部経路52における挿入口54に対応したそれぞれの部位は、直接的に連通していない構成とされている。
【0036】
ワーク50は、予め別のショットブラスト装置により、上面51を含めた外周面が研掃されている。この際に、挿入口54から投射材が内部経路52に入り込むことで、挿入口54に比較的近い内部経路52の部分Aは研掃されている。しかし、内部経路52におけるそれ以外の箇所には、投射材が当たらないため、研掃されていない状態となる。
【0037】
穴内面処理を行うためには、まず、ワーク50の挿入口54のうち一つに、穴内面処理装置10の横穴ノズル14を挿入させる(第1工程の一例)。そして、ワーク50における研掃目標範囲に対応して、横穴ノズル14を、円筒軸Lを中心に往復回転(図2及び図3の記号(B)中の矢印参照)させながら投射材を投射させる(第2工程の一例)。研掃目標範囲とは、研掃の対象として予め設定された範囲である。本実施形態においては、研掃目標範囲は、内部経路52の部分A以外の研掃が行われていない範囲である。
【0038】
「第2工程」における横穴ノズル14から投射される投射材は、圧縮空気と共に横穴ノズル14から投射される。単位時間に投射される投射材の質量をAとし、このときの圧縮空気の質量をBとすると、圧縮空気に対する投射材の単位時間当たりの質量比A/Bは、0.3以上であってもよい。質量比A/Bが0.3より小さい場合、単位時間に投射される投射材が少ないため、研掃能力を十分に発揮できないおそれがある。また、質量比A/Bは、0.9以下であってもよい。質量比A/Bが0.9より大きい場合、投射材がワーク50の穴に滞留し、投射材同士が干渉するため、研掃能力を十分に発揮できないおそれがある。つまり、質量比A/Bは、0.3以上0.9以下の間に設定されてもよい。なお、一般的なショットブラスト装置では、この質量比A/Bは1.4〜3.3に設定されている。つまり、一般的なショットブラスト装置によるショットブラスト処理方法に比べて、本実施形態による穴内面処理方法は、投射材の質量比A/Bが低く設定されている。
【0039】
以上の処理を、その他の挿入口54においても同様に行うことで、内部経路52における部分A以外の範囲にも投射材が投射されるため、内部経路52内の広い範囲が研掃される。
【0040】
(第1実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。ここで、図4に示される対比例を用いながら、本実施形態の作用並びに効果を説明することにする。図4は、対比例に係る穴内面処理装置の要部を示す部分断面図である。なお、対比例の本実施形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図4に示されるように、装置筐体12の内部には、ベルト駆動部100が設けられている。このベルト駆動部100は、サーボモータ16の駆動軸42に取り付けられたモータ側プーリ102と、横穴ノズル14に取り付けられたノズル側プーリ104とを有しており、このモータ側プーリ102とノズル側プーリ104とにベルト106が架けられた構成とされている。そして、サーボモータ16の駆動軸42の作動がベルト駆動部100を介して横穴ノズル14へと伝達される。なお、対比例におけるサーボモータ16は、一方向に回転するよう設定されているため、横穴ノズル14は一方向に回転してワークの穴内面の全周に投射材が当てられる。
【0042】
対比例による構成の場合、ワークの穴内面の全周に投射材が当てられるため、ワークの穴内面のうち一部のみを研掃したい場合、研掃が不要な範囲まで投射材を投射することになる。したがって、サーボモータ16をワークの穴内面の研掃目標範囲に対応した角度範囲で往復回転駆動させることが考えられる。しかし、この場合、ベルト106と、モータ側プーリ102及びノズル側プーリ104との間で滑りが発生する可能性がある。また、ベルト106のテンションによっては、サーボモータ16の駆動軸42の作動が横穴ノズル14へと十分に伝達されない可能性がある。したがって、サーボモータ16の駆動軸42の動きに対して横穴ノズル14が追従せずに、ワークの研掃目標範囲に対応して設定したサーボモータ16における駆動軸42の往復回転する角度範囲と、横穴ノズル14の往復回転する角度範囲とが異なる可能性がある。つまり、ワークにおいて研掃目標範囲に十分に投射材を投射できない可能性や、研掃が不要な部位に投射材を投射する可能性があり、加工効率の向上という観点からは改良の余地がある。
【0043】
これに対し、本実施形態では、図1に示されるように、サーボモータ16の駆動軸42の作動がギヤ駆動部18を介して横穴ノズル14へと伝達される。サーボモータ16は、所定の角度範囲にて往復回転駆動することから、横穴ノズル14は横穴ノズル14の円筒軸Lを中心に所定の角度範囲にて往復運動する。この際、モータ側ギヤ44とノズル側ギヤ28とが直接的又は間接的に噛合っていることから、サーボモータ16の駆動軸42の動きに対する横穴ノズル14の追従性が向上する。したがって、横穴ノズル14の往復運動における角度範囲の管理が容易となる。穴内面処理装置10は、ワーク50の内部経路52の内面のうち一部のみを研掃したい場合に横穴ノズル14をワークの穴内面のうち研掃目標範囲に対応した往復回転をさせて、研掃目標範囲に投射材を投射することができる。これにより、穴内面処理装置10は、加工効率を向上させることができる。
【0044】
また、角度調整装置20によってサーボモータ16の駆動軸42を往復回転駆動させる角度範囲を調整することができる。したがって、このサーボモータ16の駆動軸42の作動により往復回転する横穴ノズル14の往復回転時の角度範囲も、同様に調整することができる。このため、ワークの穴内面における研掃目標範囲が異なるワークを加工する場合であっても、穴内面処理装置10は、角度調整装置20により投射材を投射する範囲を容易に変更することが可能となる。これにより、穴内面処理装置10は、様々なワークに対応して加工効率を向上させることができる。
【0045】
さらに、第1工程でワーク50の内部経路52に横穴ノズル14が挿入され、第2工程で円筒軸Lを中心に横穴ノズル14を往復回転させながら投射材を投射させる。この横穴ノズル14の往復回転する角度範囲は、ワーク50の内部経路52の内面における研掃目標範囲(部分A以外)に対応しているため、それ以外の範囲(部分A)に投射材が投射されて研掃されるのを抑制することができる。これにより、穴内面処理装置10は、加工効率を向上させることができる。さらに、穴内面処理装置10は、内部経路52の部分Aに必要以上の投射材の投射が行われることによる部分Aの損傷を抑制することができる。
【0046】
さらにまた、横穴ノズル14の投射口から投射される投射材の質量Aと空気の質量Bとを0.3以上0.9以下の関係を満たす質量比とすることで、ワーク50の内部経路52の内面と横穴ノズル14との間が狭い箇所でも投射材が滞留することなく投射材の投射を行うことができる。これにより、穴内面処理装置10は、ワーク50の内部経路52の内面と横穴ノズル14との間が狭い場合でも研掃することができる。
【0047】
上述した効果は、以下に説明する実験結果に顕れている。この実験では、内部の径が12mmとされたワークの穴内面へ図1に示される横穴ノズル14からスチールショットφ0.3の投射材を異なる質量比で投射した場合のショットブラスト処理状況についてそれぞれ調べた。なお、投射材の投射圧は0.5MPaとし、投射時間は16秒とした。
【0048】
実験結果は、図7に示される通りであった。図7は、実験結果を示す表である。図7に示されるように、混合比(質量比)0.3及び0.9の条件で研掃した場合にはワークの研磨に成功し、混合比1.3及び1.8の条件で研掃した場合にはワークが十分に研磨されなかった。補足説明すると、質量比が高くなる(投射材が多くなる)と、横穴ノズル14とワークの穴内面との間に投射材が滞留し易くなるため、滞留した投射材と投射された投射材とが干渉し易くなってショットブラスト処理によるワークの研掃が行われ難くなる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、図5を用いて、本開示の第2実施形態に係る穴内面処理装置及び穴内面処理方法について説明する。図5は、第2実施形態に係る穴内面処理装置の要部を示す部分断面図である。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図5に示されるように、この第2実施形態に係る穴内面処理装置56は、第1実施形態に係る穴内面処理装置10と比べて、横穴ノズル14が複数設けられてユニット化されている点、及び、一つのサーボモータ16と駆動力伝達機構60とによりそれぞれが作動する点が相違し、その他は同一である。
【0051】
すなわち、装置筐体58には、複数の横穴ノズル14が隣り合って設けられている(本実施形態では4つ)。この複数の横穴ノズル14同士の距離は、図3の記号(A)に示されるワーク50の複数の挿入口54同士の距離と略同一に設定されている。また、装置筐体58の内部には、駆動力伝達機構60が設けられている。この駆動力伝達機構60は、サーボモータ16の駆動軸62に複数設けられたウォームギヤ64(モータ側ギヤの一例)と、横穴ノズル14に設けられたノズル側ギヤ28とを含んで構成されている。
【0052】
サーボモータ16の駆動軸62は、装置上下方向と直交する方向かつ複数のノズル側ギヤ28の近傍に延設されている。この駆動軸62に設けられた複数のウォームギヤ64は、駆動軸62におけるノズル側ギヤ28に対応した位置にそれぞれ配置されている。そして、それぞれのウォームギヤ64は、対応したそれぞれのノズル側ギヤ28と噛合うように設定されている。サーボモータ16は図示しないブラケットにより装置筐体58に保持されている。サーボモータ16の駆動軸62は、装置筐体58の内部に設けられた図示しない軸受けにより軸支されている。駆動力伝達機構60は、ウォームギヤ64とノズル側ギヤ28とが直接噛合って構成されているが、これに限らず、ウォームギヤ64とノズル側ギヤ28との間に他のギヤを設けて間接的に噛合う構成としてもよい。
【0053】
次に、上述の穴内面処理装置56に適用される穴内面処理方法について説明する。実際に穴内面処理を行うには、まず装置筐体58を移動させて、図3の記号(A)及び記号(B)に示されるワーク50の複数の挿入口54に、穴内面処理装置56の複数の横穴ノズル14を同時に挿入させる(第1工程の一例)。そして、ワーク50における研掃目標範囲(すなわち、内部経路52の部分A以外の研掃が行われていない範囲)に対応して、それぞれの横穴ノズル14を、駆動力伝達機構60によりサーボモータ16から伝達される動力によって、円筒軸Lを中心に往復回転(図3の記号(B)中の矢印参照)させながら投射材を投射させる(第2工程の一例)。
【0054】
「第2工程」における横穴ノズル14から投射される投射材の圧縮空気に対する単位時間当たりの質量比A/Bは、第1実施形態と同様に、0.3以上0.9以下の間に設定されている。
【0055】
(第2実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。上記構成によっても、横穴ノズル14は複数設けられていると共に一つのサーボモータ16によりそれぞれが作動する点以外は、第1実施形態の穴内面処理装置10と同一に構成されているので、第1実施形態と同一の効果が得られる。すなわち、サーボモータ16の駆動軸62の動きへの横穴ノズル14の追従性が向上する。したがって、横穴ノズル14の往復運動における角度範囲の管理が容易となる。そして、穴内面処理装置56は、横穴ノズル14をワーク50の内部経路52の内面のうち一部のみに対応して往復回転させて投射材を投射することができる。これにより、穴内面処理装置56は、加工効率を向上させることができる。
【0056】
また、横穴ノズル14は、複数設けられかつ装置筐体58にユニット化されていることから、穴内面処理装置56は、装置筐体58を移動させることで複数の横穴ノズル14を同時に移動させることができる。したがって、ワーク50の穴内面における研掃目標範囲が広い場合でも、穴内面処理装置56は、装置筐体58を移動させて複数の横穴ノズル14をワーク50の穴内面へと移動させて、複数の横穴ノズル14から投射材を投射させることができる。よって、穴内面処理装置56は、効率良く投射材をワーク50へ投射させることができる。これにより、穴内面処理装置56は、加工効率を更に向上させることができる。
【0057】
さらに、複数の横穴ノズル14は、一つのサーボモータ16と駆動力伝達機構60とによって往復回転されることから、穴内面処理装置56を簡素な構造にすることができる。これにより、穴内面処理装置56は、装置のコストを抑制することができる。
【0058】
さらにまた、第1工程でワーク50の内部に複数の横穴ノズル14が挿入され、第2工程で円筒軸Lを中心に複数の横穴ノズル14を往復回転させながら投射材を投射させる。したがって、ワーク50の内部経路52の内面における研掃目標範囲が広い場合でも、穴内面処理装置56は、複数の横穴ノズル14から投射材を投射させることで、効率良く投射材を投射することができる。これにより、穴内面処理装置56は、加工効率を一層向上させることができる。
【0059】
また、横穴ノズル14の投射口から投射される投射材の質量Aと空気の質量Bとを0.3以上0.9以下の関係を満たす質量比(A/B)とすることで、穴内面処理装置56は、ワーク50の内部経路52の内面と横穴ノズル14との間が狭い箇所でも投射材が滞留することなく投射材の投射を行うことができる。これにより、穴内面処理装置56は、ワーク50の内部経路52の内面と横穴ノズル14との間が狭い場合でも研掃することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、横穴ノズル14は4つ設けられた構成とされているが、これに限らず、ワークに応じて横穴ノズル14の数を増減させてもよい。
【0061】
(第3実施形態)
次に、図6を用いて、本開示の第3実施形態に係る穴内面処理装置及び穴内面処理方法について説明する。図6は、第3実施形態に係る穴内面処理装置の要部を示す部分断面図である。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図6に示されるように、この第3実施形態に係る穴内面処理装置66は、第1実施形態に係る穴内面処理装置10と比べて、横穴ノズル14は複数設けられてユニット化されている点、及び、それぞれが個別に設けられたサーボモータ16とギヤ駆動部18とにより作動する点が相違し、その他は同一である。
【0063】
すなわち、装置筐体68には、複数の横穴ノズル14とサーボモータ16とが隣り合って設けられている(本実施形態では4つ)。この複数の横穴ノズル14同士の距離は、図3の記号(A)に示されるワーク50の複数の挿入口54同士の距離と略同一に設定されている。また、装置筐体68の内部には、それぞれの横穴ノズル14とサーボモータ16とに対応したギヤ駆動部18が設けられている。
【0064】
次に、上述の穴内面処理装置66に適用される穴内面処理方法について説明する。穴内面処理を行うには、まず、装置筐体68を移動させて、図3の記号(A)及び記号(B)に示されるワーク50の複数の挿入口54に、穴内面処理装置66の複数の横穴ノズル14を同時に挿入させる(第1工程の一例)。そして、ワーク50における研掃目標範囲(すなわち、内部経路52の部分A以外の研掃が行われていない範囲)に対応して、それぞれの横穴ノズル14を、それぞれのギヤ駆動部18を介して伝達される各サーボモータ16からの動力によって、円筒軸Lを中心に往復回転(図3の記号(B)中の矢印参照)させながら投射材を投射させる(第2工程の一例)。
【0065】
「第2工程」における横穴ノズル14から投射される投射材の圧縮空気に対する単位時間当たりの質量比A/Bは、第1実施形態と同様に、0.3以上0.9以下の間に設定されている。
【0066】
(第3実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。上記構成によっても、横穴ノズル14は複数設けられていると共に、それぞれが個別に設けられたサーボモータ16により作動する点以外は第1実施形態の穴内面処理装置と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、サーボモータ16の駆動軸42の動きへの横穴ノズル14の追従性が向上する。したがって、穴内面処理装置66は、横穴ノズル14の往復運動における角度範囲の管理が容易となる。そして、穴内面処理装置66は、横穴ノズル14をワーク50の内部経路52の内面のうち一部のみに対応して往復回転させて投射材を投射することができる。これにより、穴内面処理装置66は、加工効率を向上させることができる。
【0067】
また、横穴ノズル14は、複数設けられかつ装置筐体68にユニット化されていることから、穴内面処理装置66は、装置筐体68を移動させることで複数の横穴ノズル14を同時に移動させることができる。したがって、ワーク50の穴内面における研掃目標範囲が広い場合でも、穴内面処理装置66は、装置筐体68を移動させて複数の横穴ノズル14をワーク50の穴内面へと移動させて、複数の横穴ノズル14から投射材を投射させることができる。よって、穴内面処理装置66は、効率良く投射材をワーク50へ投射させることができる。これにより、穴内面処理装置66は、加工効率を更に向上させることができる。
【0068】
さらに、複数の横穴ノズル14にはそれぞれサーボモータ16とギヤ駆動部18とが設けられていることから、穴内面処理装置66は、それぞれのサーボモータ16の制御を変化させることで、各横穴ノズル14の往復回転の角度範囲をそれぞれ調整することができる。したがって、穴内面処理装置66は、ワーク50に合わせたより細かな投射材の投射を行うことができる。これにより、穴内面処理装置66は、ワーク50の内部経路52の内面に合わせてより適切に加工を行うことができる。
【0069】
また、穴内面処理装置66は、横穴ノズル14の投射口から投射される投射材の質量Aと空気の質量Bとを0.3以上0.9以下の関係を満たす質量比(A/B)とする。これにより、穴内面処理装置66は、ワーク50の内部経路52の内面と横穴ノズル14との間が狭い箇所でも投射材が滞留することなく投射材の投射を行うことができる。よって、穴内面処理装置66は、ワーク50の内部経路52の内面と横穴ノズル14との間が狭い場合でも研掃することができる。
【0070】
(第2、第3実施形態の変形例)
上述した第2、第3実施形態では、図3に示されるワーク50に設けられた複数の挿入口54に複数の横穴ノズル14を同時に挿入して投射材を投射する構成とされている。すなわち、図3の記号(A)及び記号(B)に示されるように、ワーク50の内部経路52における複数の横穴ノズル14に対応した部位(挿入口54)同士が直接的に連通していないか又は直接的に連通していても離間している場合(一例として50mm以上)は、複数の横穴ノズル14から同時に投射材を投射することで効率良くワーク50の内部経路52を研掃することができる。
【0071】
これに対し、ワーク50の内部経路52における複数の横穴ノズル14に対応した部位(挿入口54)同士が直接的に連通しかつ近接している場合(一例として50mm以下)は、例えば複数の横穴ノズル14を個別に装置上下方向に作動させる機構等を設けて隣り合う横穴ノズル14をそれぞれ異なるタイミングで挿入口54に挿入させて投射材を投射させる。なお、上述した構成以外に、複数の挿入口54のうち一つずつ挿入口54を飛ばした状態で複数の横穴ノズル14を同時に挿入して投射材を投射し、次に、先程飛ばした挿入口54に複数の横穴ノズル14を同時に挿入して隣り合う横穴ノズル14をそれぞれ異なるタイミングで投射材を投射する構成としてもよい。さらに、複数の横穴ノズル14を同時に挿入口54に挿入しかつ異なるタイミングで投射材を投射させてもよい。これらにより、複数の横穴ノズル14から投射された投射材同士の干渉を抑制してワーク50の内部を研掃することができる。
【0072】
なお、上述した第1〜3実施形態では、往復回転駆動機構としてサーボモータ16が設けられているが、これに限らず、モータにリンク機構を設けて横穴ノズル14を所定の角度範囲にて往復回転させる構成としてもよい。また、このリンク機構の関節等の位置を調整可能とすることで、横穴ノズル14の往復回転の角度範囲を調整可能としてもよい。
【0073】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0074】
10…穴内面処理装置、14…横穴ノズル、16…サーボモータ、18…ギヤ駆動部、28…ノズル側ギヤ、42…駆動軸、44…モータ側ギヤ、50…ワーク(被処理対象物)、52…内部経路(被処理対象物の穴)、64…ウォームギヤ(モータ側ギヤ)、L…円筒軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】