(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年12月14日
【発行日】2019年4月4日
(54)【発明の名称】成型物の圧縮成型装置
(51)【国際特許分類】
B30B 11/00 20060101AFI20190308BHJP
B30B 11/18 20060101ALI20190308BHJP
B30B 11/28 20060101ALI20190308BHJP
【FI】
B30B11/00 G
B30B11/18
B30B11/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
【出願番号】特願2018-522450(P2018-522450)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年6月2日
(31)【優先権主張番号】特願2016-114181(P2016-114181)
(32)【優先日】2016年6月8日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】小田木 克明
(57)【要約】
[要約]
[課題]
押出機構を有することなく、簡単な構造で成型物を回収でき、かつ、清掃性の高い圧縮成型装置を提供すること。
[解決手段]
原料110を一対の回転する加圧ロール10、20により圧縮成型して成型物120を製造する圧縮成型装置1は、一対の加圧ロール10、20のうちの第1加圧ロール10であって、外周面16に成型用凹部12が形成された第1加圧ロール10と、一対の加圧ロール10、20のうちの第2加圧ロール20であって、第1加圧ロール10より速い周速度で回転する第2加圧ロール20と、成型用凹部12で圧縮成型された成型物120を吸引することにより成型用凹部12から引きはがす、第1吸引手段50とを備える。
[選択図]
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を一対の回転する加圧ロールにより圧縮成型して成型物を製造する圧縮成型装置であって、
前記一対の加圧ロールのうちの第1加圧ロールであって、外周面に成型用凹部が形成された第1加圧ロールと、
前記一対の加圧ロールのうちの第2加圧ロールであって、前記第1加圧ロールより速い周速度で回転する第2加圧ロールと、
前記成型用凹部で圧縮成型された成型物を吸引することにより前記成型用凹部から引きはがす、第1吸引手段とを備える、
成型物の圧縮成型装置。
【請求項2】
前記第2加圧ロールの外周面に第2成型用凹部が形成され、
前記第2成型用凹部で圧縮成型された成型物を吸引することにより前記第2成型用凹部から引きはがす、第2吸引手段をさらに備える、
請求項1に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項3】
前記第2加圧ロールの外周面に付着する原料をはぎ取るスクレーパをさらに備える、
請求項1に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項4】
前記第2加圧ロールの外周面に接して回転し、前記第2加圧ロールの外周面に付着する原料を巻き取る補助ロールと、該補助ロールの外周面に付着する原料をはぎ取るスクレーパとをさらに備える、
請求項2に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項5】
前記第1吸引手段は、前記第1加圧ロールの外周面に接する第1吸引ロールであって、回転する外周面に前記成型用凹部より小径の吸引穴が形成され、該吸引穴より吸引することにより前記成型物を前記成型用凹部から引きはがす、第1吸引ロールである、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項6】
前記第2吸引手段は、前記第2加圧ロールの外周面に接する第2吸引ロールであって、回転する外周面に前記第2成型用凹部より小径の吸引穴が形成され、該吸引穴より吸引することにより前記成型物を前記第2成型用凹部から引きはがす、第2吸引ロールである、
請求項2に従属する請求項5に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項7】
前記第1吸引ロールの表面が、金属、樹脂、ゴム、セラミックのいずれかで形成される、
請求項5に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項8】
前記第1吸引ロールの回転する外周面は、前記吸引穴から吸引して前記成型物を前記成型用凹部から引きはがす位置と、前記吸引穴からの吸引を止めて前記吸引した成型物を解放する位置とがあり、少なくとも前記第1加圧ロールに接する位置では前記吸引穴から吸引して、前記成型物を前記成型用凹部から引きはがす、
請求項5に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項9】
前記第1吸引ロールの回転する外周面は、前記吸引穴から空気を噴出する位置がさらにあり、該位置において前記吸引穴に詰った微粉を排出する、
請求項8に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項10】
前記第1吸引ロールは、前記外周面を有する円筒形の外輪を有し、前記外輪の内側に軸直角方向断面で3分割され、前記吸引穴と連通し、前記外周面とともに回転する3つの空間が形成され、
負圧発生装置と、
前記吸引穴から吸引して前記成型物を前記成型用凹部から引きはがす位置にある前記吸引穴と連通する前記空間を前記負圧発生装置と連通するように切り替える切替装置とをさらに備える、
請求項8に記載の圧縮成型装置。
【請求項11】
前記第1吸引ロールは、前記外周面を有する円筒形の外輪を有し、前記外輪の内側に軸直角方向断面で少なくとも2分割され、前記吸引穴と連通する空間が形成され、
前記吸引穴から吸引して前記成型物を前記成型用凹部から引きはがす位置にある前記吸引穴と連通する前記空間を負圧にする負圧発生装置をさらに備える、
請求項8に記載の圧縮成型装置。
【請求項12】
前記第1吸引手段は、前記第1加圧ロールの外周面に向けて開口する第1吸引口であって、該第1吸引口より吸引することにより前記成型物を前記成型用凹部から引きはがす、第1吸引口である、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項13】
前記第2吸引手段は、前記第2加圧ロールの外周面に向けて開口する第2吸引口であって、該第2吸引口より吸引することにより前記成型物を前記第2成型用凹部から引きはがす、第2吸引口である、
請求項2に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項14】
前記第1吸引口または前記第2吸引口で吸引した前記成型物を、前記吸引口または前記第2吸引口で吸引した微粉と分離するサイクロン式回収装置をさらに備える、
請求項12に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項15】
前記第1加圧ロールの直径と前記第2加圧ロールの直径は等しく、前記第2加圧ロールの回転速度は前記第1加圧ロールの回転速度より大きい;
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の成型物の圧縮成型装置。
【請求項16】
前記第2加圧ロールの直径は前記第1加圧ロールの直径より大きく、前記第1加圧ロールと前記第2加圧ロールの回転速度は等しい;
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の成型物の圧縮成型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型物の圧縮成型装置に関する。特に、押出機構を有することなく成型物を取り出すことができる圧縮成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉状物質を圧縮成型するロール圧縮式成型機の一つとしてブリケットマシンがある。ブリケットマシンでは、固定回転ロールと、油圧シリンダにより加圧作動される可動回転ロールとにより構成される一対の加圧ロールの間に、上方から粉体原料を供給して一対の加圧ロールによりブリケットと呼ばれる粒状の成型物に圧縮成型する。
【0003】
しかし、ブリケットマシンにて成型される成型物は、シート(バリ)と一体化した状態で成型され、成型物からバリを分離する必要があった。特に、成型物のサイズが、たとえば3mm以下というように小さくなると、バリを分離しにくくなり、きれいな成型物が得られないという問題があった。
【0004】
そこで、一対の内側方向へ回転する加圧ロールにより圧縮成型するロール圧縮式成型機を用いて粉状物質をタブレットに成型する方法において、一対の加圧ロールのうちの一方の加圧ロールの外周面に多数のタブレット成型用凹部を有する場合には、この凹部を有する加圧ロールの外周速度を対向する凹部のない加圧ロールの外周速度より遅くなるように回転させる。その結果、タブレットの外側先端部にせん断力を作用させて、タブレットのバリの発生を防止することが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、成型物を凹部から取り出すのにピストン式の押出機構を用いると、押出機構の部材の隙間に付着した粉状物質が押出機構の動作を阻害することがある。さらに、部品点数が多くなって装置コストが上昇し、また、清掃性が悪くなるという課題があった
【0006】
そこで本発明は、押出機構を有することなく、簡単な構造で成型物を回収でき、かつ、清掃性の高い圧縮成型装置を提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4380784号公報
【発明の開示】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図1に示すように、原料110を一対の回転する加圧ロール10、20により圧縮成型して成型物120を製造する圧縮成型装置1であって、一対の加圧ロール10、20のうちの第1加圧ロール10であって、外周面16に成型用凹部12が形成された第1加圧ロール10と、一対の加圧ロール10、20のうちの第2加圧ロール20であって、第1加圧ロール10より速い周速度で回転する第2加圧ロール20と、成型用凹部12で圧縮成型された成型物120を吸引することにより成型用凹部12から引きはがす、第1吸引手段50とを備える。
【0009】
このように構成すると、第2加圧ロールが第1加圧ロールより速い周速度で回転することにより、成型用凹部に入らなかった原料、すなわちバリは、第2加圧ロールの外周面に付着し、第1加圧ロールの成型用凹部にはバリのない成型物が圧縮成型される。また、第1加圧ロールの成型用凹部で圧縮成型された成型物は、第1吸引手段で吸引されて成型用凹部から引きはがされるので、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性が高い圧縮成型装置となる。
【0010】
また本発明の第2の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図5に示すように、第1の態様の成型物の圧縮成型装置3において、第2加圧ロール30の外周面36に第2成型用凹部32が形成され、第2成型用凹部32で圧縮成型された成型物122を吸引することにより第2成型用凹部32から引きはがす、第2吸引手段150をさらに備える。このように構成すると、第2加圧ロールの外周面の第2成型用凹部でも成型物を圧縮成型でき、第2吸引手段で吸引されて第2成型用凹部から引きはがされるので、より多くの成型物を圧縮成型できると共に、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性が高い圧縮成型装置となる。
【0011】
また本発明の第3の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図1に示すように、第1の態様の成型物の圧縮成型装置1において、第2加圧ロール20の外周面26に付着する原料130をはぎ取るスクレーパ80をさらに備える。このように構成すると、第2加圧ロールの外周面に付着する原料をスクレーパではぎ取るので、第2の加圧ロールの外周面を容易に清掃することができる。
【0012】
また本発明の第4の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図5に示すように、第2の態様の成型物の圧縮成型装置3において、第2加圧ロール30の外周面36に接して回転し、第2加圧ロール30の外周面36に付着する原料132を巻き取る補助ロール90と、補助ロール90の外周面91に付着する原料132をはぎ取るスクレーパ92とをさらに備える。このように構成すると、第2成型用凹部が形成された第2加圧ロールでも、第2加圧ロールの外周面に付着する原料を補助ロールで巻き取り、スクレーパではぎ取るので、第2の加圧ロールの外周面を容易に清掃することができる。
【0013】
また本発明の第5の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図1に示すように、第1ないし第4のいずれかの態様の成型物の圧縮成型装置1において、第1吸引手段50は、第1加圧ロール10の外周面16に接する第1吸引ロール50であって、回転する外周面51に成型用凹部12より小径の吸引穴59が形成され、吸引穴59より吸引することにより成型物120を成型用凹部12から引きはがす、第1吸引ロール50である。このように構成すると、成型用凹部より小径の吸引穴が形成され、吸引穴より吸引することにより成型物を成型用凹部から引きはがす第1吸引ロールを備えるので、成型物はしっかりと第1吸引ロールに付着し、簡単な構造で成型物を引きはがすことができる。
【0014】
また本発明の第6の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図5に示すように、第2または第2の態様を引用する第5の態様の成型物の圧縮成型装置3において、第2吸引手段150は、第2加圧ロール30の外周面36に接する第2吸引ロール150であって、回転する外周面151に第2成型用凹部32より小径の吸引穴159が形成され、吸引穴159より吸引することにより成型物122を第2成型用凹部32から引きはがす、第2吸引ロール150である。このように構成すると、第2成型用凹部より小径の吸引穴が形成され、吸引穴より吸引することにより成型物を第2成型用凹部から引きはがす第2吸引ロールを備えるので、成型物はしっかりと第1吸引ロールに付着し、簡単な構造で成型物を引きはがすことができる。
【0015】
また本発明の第7の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図1に示すように、第5の態様の成型物の圧縮成型装置1において、第1吸引ロール50の表面が、金属、樹脂、ゴム、セラミックのいずれかで形成される。このように構成すると、第1吸引ロールの表面が、金属、樹脂、ゴム、セラミックのいずれかで形成されるので、耐久性のある第1吸引ロールとなる。
【0016】
また本発明の第8の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図1に示すように、第5または第7の態様の成型物の圧縮成型装置1において、第1吸引ロール50の回転する外周面51は、吸引穴59から吸引して成型物120を成型用凹部12から引きはがす位置Aと、吸引穴59からの吸引を止めて吸引した成型物120を解放する位置Bとがあり、少なくとも第1加圧ロール10に接する位置では吸引穴59から吸引して、成型物120を成型用凹部12から引きはがす。このように構成すると、第1吸引ロールで、成型物を成型用凹部から引きはがし、所定の位置で吸引した成型物を解放するので、成型物の回収が行い易い。
【0017】
また本発明の第9の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図1に示すように、第8の態様の成型物の圧縮成型装置1において、第1吸引ロール50の回転する外周面51は、吸引穴59から空気を噴出する位置Cがさらにあり、位置Cにおいて吸引穴59に詰った微粉を排出する。このように構成すると、第1吸引ロールは吸引穴から空気を噴出し、吸引穴に詰まった微粉を排出するので、第1吸引ロールの清掃性も高くなる。
【0018】
また本発明の第10の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図1および
図3に示すように、第8または第9の態様の成型物の圧縮成型装置1において、第1吸引ロール50は、外周面51を有する円筒形の外輪52を有し、外輪52の内側に軸直角方向断面で3分割され、吸引穴59と連通し、外周面51とともに回転する3つの空間58が形成され、負圧発生装置40と、吸引穴59から吸引して成型物120を成型用凹部12から引きはがす位置にある吸引穴59と連通する空間58を負圧発生装置40と連通するように切り替える切替装置42とをさらに備える。このように構成すると、第1吸引ロールの外輪の内側に軸直角方向断面で3分割され、吸引穴と連通し、外周面と共に回転する3つの空間が形成され、少なくとも1つの空間が負圧発生装置と連通するので、簡単な構造で吸引穴から吸引して成型物を成型用凹部から引きはがすことができる。
【0019】
また本発明の第11の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図3および
図7に示すように、第8または第9の態様の成型物の圧縮成型装置5において、第1吸引ロール60は、外周面61を有する円筒形の外輪62を有し、外輪62の内側に軸直角方向断面で少なくとも2分割され、吸引穴69と連通する空間68が形成され、吸引穴69から吸引して成型物120を成型用凹部12から引きはがす位置にある吸引穴69と連通する空間68を負圧にする負圧発生装置40をさらに備える。このように構成すると、第1吸引ロールの外輪の内側に軸直角方向断面で少なくとも2分割され、吸引穴と連通する空間が形成され、少なくとも1つの空間が負圧発生装置と連通するので、吸引穴から吸引して成型物を成型用凹部から引きはがすことができる。
【0020】
また本発明の第12の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図4に示すように、第1ないし第4のいずれかの態様の成型物の圧縮成型装置2において、第1吸引手段70は、第1加圧ロール10の外周面16に向けて開口する第1吸引口70であって、第1吸引口70より吸引することにより成型物120を成型用凹部12から引きはがす、第1吸引口70である。このように構成すると、第1吸引口より吸引することにより成型物を成型用凹部から引きはがすので、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性が高い圧縮成型装置となる。
【0021】
また本発明の第13の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図6に示すように、第2の態様または第2の態様を引用する第12の態様の成型物の圧縮成型装置4において、第2吸引手段71は、第2加圧ロール30の外周面36に向けて開口する第2吸引口71であって、第2吸引口71より吸引することにより成型物122を第2成型用凹部32から引きはがす、第2吸引口71である。このように構成すると、第2吸引口より吸引することにより成型物を成型用凹部から引きはがすので、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性が高い圧縮成型装置となる。
【0022】
また本発明の第14の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図4および
図6に示すように、第12または第13の態様の成型物の圧縮成型装置2、4において、第1吸引口70または第2吸引口71で吸引した成型物120、122を、第1吸引口70または第2第1吸引口71で吸引した微粉と分離するサイクロン式回収装置74をさらに備える。このように構成すると、第1吸引口または第2吸引口で吸引した成型物と微粉とをサイクロン式回収装置で分離するので、成型物だけを回収することができる。
【0023】
また本発明の第15の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図1、4〜7に示すように、第1ないし第14の態様の成型物の圧縮成型装置1〜5において、第1加圧ロール10の直径D1と第2加圧ロール20の直径D2は等しく、第2加圧ロール20の回転速度は第1加圧ロール10の回転速度より大きい。このように構成すると、同径の加圧ロールを用いることができる。
【0024】
また本発明の第16の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図8に示すように、第1ないし第14の態様の成型物の圧縮成型装置1〜5において、第2加圧ロール21の直径D2は第1加圧ロール10の直径D1より大きく、第1加圧ロール10と第2加圧ロール20の回転速度は等しい。このように構成すると、構造が複雑な駆動系を簡素にすることができる。
【0025】
本発明の成型物の圧縮成型装置によれば、第2加圧ロールが第1加圧ロールより速い周速度で回転することにより、成型用凹部に入らなかった原料、すなわちバリは、第2加圧ロールの外周面に付着し、第1加圧ロールの成型用凹部にはバリのない成型物が圧縮成型される。また、第1加圧ロールの成型用凹部で圧縮成型された成型物は、第1吸引手段で吸引されて成型用凹部から引きはがされるので、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性が高い圧縮成型装置となる。
【0026】
この出願は、日本国で2016年6月8日に出願された特願2016−114181号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明により更に完全に理解できるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、当業者にとって明らかだからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
本明細書あるいは請求の範囲の記載において、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈すべきである。本明細書中で提供されたいずれの例示または例示的な用語(例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説明し易くするという意図であるに過ぎず、特に請求の範囲に記載しない限り本発明の範囲に制限を加えるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】圧縮成型装置の第1の実施の形態を示す概略図であり、第1加圧ロールと第1吸引ロール、および第2加圧ロールとスクレーパとを示す。
【
図2】加圧ロールの外周面と成型用凹部を示す概略図である。
【
図3】吸引ロールと吸引ロールを負圧にする負圧発生装置を示す概略図である。
【
図4】圧縮成型装置の第2の実施の形態を示す概略図であり、第1加圧ロールと第1吸引口、および第2加圧ロールとスクレーパとを示す。
【
図5】圧縮成型装置の第3の実施の形態を示す概略図であり、第1加圧ロールと第1吸引ロール、および第2加圧ロールと第2吸引ロールと補助ロールとを示す。
【
図6】圧縮成型装置の第4の実施の形態を示す概略図であり、第1加圧ロールと第1吸引口、および第2加圧ロールと第2吸引口と補助ロールとを示す。
【
図7】圧縮成型装置の第5の実施の形態を示す概略図であり、第1加圧ロールと第1吸引ロール、および第2加圧ロールとスクレーパとを示し、第1吸引ロールでは外輪の内側に軸直角方向断面で2分割された空間を有する内輪が配置される。
【
図8】圧縮成型装置の第6の実施の形態を示す概略図であり、第2加圧ロールの直径が第1加圧ロールの直径より大きな圧縮成型装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態としての成型物の圧縮成型装置を説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する装置あるいは部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施の形態の圧縮成型装置1を示す概略図である。圧縮成型装置1は、粉状の原料110を所定の形状の成型物120に圧縮成型する。圧縮成型装置1は、水平な回転軸14回りに回転する円柱状の第1加圧ロール10と、水平な回転軸24回りに回転する円柱状の第2加圧ロール20とを備える。第1加圧ロール10と第2加圧ロール20とは、平行に、かつ、その外周面16と外周面26が接するように配置される。ここで、「外周面16と外周面26が接するように」とは、外周面16、26が実際に接してもよいし、原料120の粉体が僅かに挟まる程度であってもよく、また「接する」と表現することもある。第1加圧ロール10と第2加圧ロール20とは、矢印で示すように、上部が互いに接近する方向(以降、「内側方向」ともいう)に回転する。第2加圧ロール20は、その周速度が第1加圧ロール10の周速度より速くなるように回転する。第1加圧ロール10と第2加圧ロール20とが接する位置の上方には、原料110を第1加圧ロール10と第2加圧ロール20との間に供給する原料供給装置としてのスクリューフィーダー100が配置される。スクリューフィーダー100は、円筒形のケーシング104の内部に、螺旋状の羽根を有するスクリュー102を備え、スクリュー102が軸回りに回転することでケーシング104内の原料110を下方に向けて、すなわち第1加圧ロール10と第2加圧ロール20との間に供給する。スクリューフィーダー100は、公知の装置でよい。なお、原料供給装置はスクリューフィーダー100に限られず、原料110に圧力を掛けて供給する装置、原料110を押して供給する装置など、他の装置であってもよい。
【0030】
図2に示すように、第1加圧ロール10の外周面16には、成型用凹部12が形成される。成型用凹部12は、原料110が押し込められ、第2加圧ロール20との間の加圧力により圧縮成型される空間である。外周面16には、多数の成型用凹部12が形成され、効率的に成型物120を成型できるが、成型用凹部12の数や配列の仕方は任意である。なお、第2加圧ロール20の外周面26は、平坦である。また、第2加圧ロール20は、第1加圧ロール10より速い周速度で回転する。第1加圧ロール10と第2加圧ロール20は、圧縮成型される原料120に応じて、金属、樹脂、ゴム、セラミックなどから選択した材料で形成される。例えば、圧縮成型するのに大きな加圧力が必要な場合には、金属、特にステンレス鋼などで形成するのがよい。
【0031】
図1に示すように、第1加圧ロール10と第2加圧ロール20との間に供給された原料110は、その一部が成型用凹部12に押し込められ、第2加圧ロール20との間の加圧力により圧縮成型される。一方、成型用凹部12に押し込められなかった原料110は、第1加圧ロール10の成型用凹部12以外の外周面16と第2加圧ロール20の外周面26との間で加圧され、板状の原料130となる。
【0032】
第2加圧ロール20の下部に接するようにスクレーパ80が配置される。ここで、第2吸引ロール20の下部とは、第1加圧ロール10との間で原料110を加圧する位置より回転の下流側であればよいが、最下点を越えない方が好ましい。ここで、「接するように」とは、第2加圧ロール20の外周面26に付着した板状の原料130をはぎ取ることができるだけ接近していればよい。スクレーパ80は、先端が鋭角の形状、または丸みを有する形状で、第2加圧ロール20の円柱の軸方向(
図1に垂直な方向)に長い部材である。スクレーパ80は、外周面26に付着した原料130をはぎ取るように配置される。
【0033】
第1加圧ロール10の下部に接するように第1吸引手段としての第1吸引ロール50が配置される。ここで、第1吸引ロール10の下部とは、スクリューフィーダー100から供給された原料110が第1加圧ロール10の成型用凹部12に押し込められ、第2加圧ロール20で圧縮成型された位置より回転の下流側であればよい。また、「接するように」とは、第1吸引ロールの吸引穴59からの吸引により、第1加圧ロール10の成型用凹部12の成型物120が吸引されればよく、「接する」と表現することもある。
【0034】
図3に第1吸引ロール50を拡大して示す。
図3(a)は第1吸引ロール50の断面と第1吸引ロール50の内部空間58を負圧にするための負圧発生装置40等も示す。
図3(b)は第1吸引ロール50の外周面51、負圧発生装置40および負圧にする位置を切り替える切替装置42等を示す。第1吸引ロール50は、第1加圧ロール10の回転軸14と平行に配置された回転軸56と、円筒状の外輪52と、回転軸56と外輪52を連結する仕切板54であって、外輪52内の空間58を3分割する仕切板54を有する。第1吸引ロール50は、円筒形の両端面を不図示の蓋板で封止される。仕切板54は両端面の蓋板とで、外輪52内の空間58、58、58、すなわち、外輪52と蓋板と回転軸56とで囲まれた空間58、58、58を、軸直角方向断面において扇形断面の3つの空間58に分割する。なお、外輪52内の空間58、58、58は等しい大きさ(中心角)に形成される必要はない。第1吸引ロール50の外輪52を貫通する吸引穴59が形成される。すなわち、外周面51に吸引穴59が開口する。吸引穴59は、第1加工ロール10の成型用凹部12、すなわち成型物120より小径の穴であって、多数が形成される。吸引穴59の数や配置は特に限定されないが、後述するように第1加圧ロール10の成型用凹部12中の成型物120を引きはがすことができればよい。なお、仕切板54が外輪52に接する位置の外周面51には、仕切板54で分割された両側の空間58の内のいずれかから貫通する吸引穴59が形成され、外周面51には均等に吸引穴59が形成されるのが好ましい。第1吸引ロール50は、金属、樹脂、ゴム、セラミックなどの材料で形成される。第1加圧ロール10の材料と同じである必要はない。
【0035】
外周面51の吸引穴59から吸引するために、第1吸引ロール50の外輪52内の空間58を負圧にする。第1吸引ロール50に切替装置42が接続され、負圧発生装置40は負圧用配管44を介して切替装置42に接続される。切替装置42は、負圧用配管44と3分割された各空間58とを分岐部を介して連通させ、分岐した後の負圧用チューブ(不図示)に開閉弁を備え、第1加圧ロール10に接近する位置Aの空間58を負圧にしてもよい。あるいは、負圧用配管44と第1加圧ロール10に接近する位置Aの空間58だけと連通する流路を有しても、第1加圧ロール10に接近する位置Aの空間58だけを負圧にする他の公知の構造であってもよい。なお、切替装置42は、3分割された空間58の内、第1加圧ロール10に接近する位置Aの空間58と、その上流側の位置C(第1吸引ロール50の回転により次に第1加圧ロール10に接近する位置に来る)の空間58とを負圧にしてもよい。第1吸引ロール50の回転により第1加圧ロール10に接近する位置Aではなくなった位置Bの空間58は、負圧から解放され、吸引穴59からの吸引も止まる。
【0036】
なお、3つの空間58、58、58の内、第1吸引ロール50の回転により次に第1加圧ロール10に接近する位置Aに来る位置Cの空間58を加圧してもよい。加圧される空間58と前述の切替装置42のような装置(不図示)とコンプレッサなどの加圧装置(不図示)を加圧用配管(不図示)で接続する。なお、空間58を加圧する方法は、特に限定されない。回転される第1吸引ロール50の外周面51(外周面51の成型用凹部12に対応する部分)は、位置Aから位置Bを経由して位置Cに到達し、その後に再び位置Aに到達する。すなわち、外周面51の成型用凹部12に対応する部分は、位置Aで成型用凹部12から成型物を引きはがし、その後、位置Bにくると成型物を開放し、その後、位置Cにくると、吸引穴59に詰まった微粉を排出する。なお、第1吸引ロール50の内部空間58が分割される数は、2つでも、3つでも、4つ以上でもよい。
【0037】
続いて、圧縮成型装置1の作用について説明する。スクリューフィーダー100には成型物120の原料110が収容されている。原料110は、たとえば錠剤の原料粉体でもよく、粒状の菓子等用の原料食品粉でもよく、その他、金属や樹脂の原料粉等でもよく、特に限定されるものではない。スクリューフィーダー100のスクリュー102の回転により、原料110が第1加圧ロール10と第2加圧ロール20との間に供給される。
【0038】
原料110は、第1加圧ロール10と第2加圧ロール20とに押し付けられ、第1加圧ロール10の外周面16の成型用凹部12に押し込まれる。第1加圧ロール10と第2加圧ロール20とが内側方向に回転すると、成型用凹部12に押し込まれた原料110は第2加圧ロール20に加圧され、圧縮成型され、成型物120となる。その際、成型用凹部12に押し込まれなかった原料110は、第1加圧ロール10の外周面16(成型用凹部12以外のところ)と第2加圧ロール20の外周面26と加圧されて、薄い板状130になる。ここで、第2加圧ロール20は、第1加圧ロール10より速い周速度で回転するので、成型用凹部12中の成型物120と板状の原料130の間に剪断力が作用する。そこで、板状の原料130は成型物120と分離する。すなわち、成型物120にバリが付かなくなる。板状の原料130は周速度の速い第2加圧ロール20に付着する。
【0039】
第1加圧ロール10が回転すると、成型用凹部12中の成型物120は、第1吸引ロール50に接近する位置に至る。第1吸引ロール50では、吸引穴59から吸引している。そのため、
図1に示すように、成型用凹部12中の成型物120が吸引され、成型用凹部12から引きはがされ、第1吸引ロール50の外周面51に付着する。成型物120が吸引されることにより成型用凹部12から引きはがされるので、第1加圧ロール10に成型物120を押し出す押出機構等を設ける必要がなく、構造が単純化され、コストが低減される。さらに、押出機構のような可動部がないので、隙間に原料110等の粉状物質が付着することがなく、メンテナンスも軽減できる。なお、第1加圧ロール10の外周面16も第1吸引ロール50の外周面51も円筒形であり、成型物120はその端部から第1吸引ロール50の吸引穴59に吸引され始めるので、成型物120は端から成型用凹部12から引きはがされ始める。よって、成型物120全体を成型用凹部12から一気に引きはがすよりも引きはがし易い。
【0040】
第1吸引ロール50の外周面51に付着した成型物120は第1吸引ロール50の回転と共に回転する。第1吸引ロール50が回転することにより、成型物120を吸引している吸引穴59が通ずる空間58も移動し、第1加圧ロール10と接近する位置Aではなくなり、位置Bに至る。すると、空間58が負圧ではなくなり、吸引穴59からの吸引も止まる。吸引穴59からの吸引が止まると、成型物120は第1吸引ロール50の外周面51に付着しなくなり、自由に落下する。よって、成型物120を所定の位置で回収できる。
【0041】
第1吸引ロール50がさらに回転して位置Cに至ると、成型物120を吸引していた吸引穴59が通ずる空間58が加圧されてもよい。空間58が加圧されることにより、吸引穴59から加圧された空気が噴出する。そのため、吸引穴59に原料110の粉体、粉じん等の微粉が詰ったとしても排出できる。よって、吸引穴59の清掃が不要になる。
【0042】
第2加圧ロール20が回転すると、第2加圧ロール20の外周面26に付着した板状の原料130も回転し、スクレーパ80により第2加圧ロール20から引きはがされる。よって、成型物120にならなかった原料130を所定の位置で回収することができる。回収した原料130は、再度スクリューフィーダー100に送られてもよい。
【0043】
これまで説明したように、圧縮成型装置1を用いれば、第2加圧ロール20が第1加圧ロール10より速い周速度で回転することにより、成型用凹部12に入らなかった原料130、すなわちバリは、第2加圧ロール20の外周面26に付着し、第1加圧ロール10の成型用凹部12にはバリのない成型物120が圧縮成型される。また、第1加圧ロール10の成型用凹部12で圧縮成型された成型物120は、第1吸引ロール50で吸引されて成型用凹部12から引きはがされるので、押出機構を備える必要がない。よって、簡単な構造で成型物120を回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性を高くできる。さらに、第1吸引ロール50が位置Cで吸引穴59から空気を噴出すると、吸引穴59に詰った微粉を排出することができるので、第1吸引ロール50の清掃性も高くなる。
【0044】
次に
図4を参照して、本発明の第2の実施の形態の圧縮成型装置2について説明する。
図4は、圧縮成型装置2を示す概略図である。圧縮成型装置2は、第1吸引手段として第1吸引ロール50を備えずに、第1吸引口70を備えている。スクリューフィーダー100、第1加圧ロール10、第2加圧ロール20およびスクレーパ80は、圧縮成型装置1のものと同じである。
【0045】
第1吸引口70は、たとえば矩形断面を有するノズルである。第1吸引口70は、その開口部を第1加圧ロール10の外周面16に向けて配置される。第1吸引口70は、第1吸引口70からの吸引により第1加圧ロール10の成型用凹部12中の成型物120を吸引できる程度に第1加圧ロール10に接近して配置される。第1吸引口70には吸引配管72を介して真空タンクなどの負圧発生装置(不図示)が接続する。吸引配管72には、サイクロン式回収装置74が配置される。サイクロン式回収装置74は、吸引した成型物120を空気や微粉と分離して、回収する装置である。サイクロン式回収装置74の構造は公知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0046】
圧縮成型装置2を用いれば、圧縮成型装置1と同様に、第2加圧ロール20が第1加圧ロール10より速い周速度で回転することにより、成型用凹部12に入らなかった原料130、すなわちバリは、第2加圧ロール20の外周面26に付着し、第1加圧ロール10の成型用凹部12にはバリのない成型物120が圧縮成型される。また、第1加圧ロール10の成型用凹部12で圧縮成型された成型物120は、第1吸引口70で吸引されて成型用凹部12から引きはがされるので、押出機構を備える必要がない。よって、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性を高くできる。さらに、サイクロン式回収装置74で吸引した微粉等を分離して成型物120を回収できる。そして、第1吸引口70もサイクロン式回収装置74も可動部がなく、メンテナンスが軽減され、清掃性も高い。
【0047】
次に
図5を参照して、本発明の第3の実施の形態の圧縮成型装置3について説明する。
図5は、圧縮成型装置3を示す概略図である。圧縮成型装置3は、下記の点を除いて、圧縮成型装置1と同じである。すなわち、第2加圧ロール30の外周面36に成型用凹部32が形成される点、第2加圧ロール30の下部に接するように第2吸引手段としての第2吸引ロール150が配置される点、および、第2加圧ロール30の第1加圧ロール10の外周面36が接する位置と第2吸引ロール150が接する位置との間に補助ロール90が配置される点で相違する。なお、「接するように」の意味は、圧縮成型装置1の場合と同じである。スクリューフィーダー100、第1加圧ロール10および第1吸引ロール50は、圧縮成型装置1のものと同じである。
【0048】
第2加圧ロール30は、水平な回転軸34回りに回転する円柱状のロールであり、その外周面36に成型用凹部32が形成される。成型用凹部32は、第1加圧ロール10の外周面16に形成される成型用凹部12と同様である。なお、成型用凹部32の大きさや数、配置は、成型用凹部12と異なっていてもよい。第2加圧ロール30は、圧縮成型される原料122に応じて、金属、樹脂、ゴム、セラミックなどから選択した材料で形成される。第1加圧ロール10の材料と同じであっても、異なっていてもよい。
【0049】
補助ロール90は、第2加圧ロール30と平行な軸回りに、第2加圧ロール30の外周面36の周速度より速い周速度で、第2加圧ロール30と内側方向に回転する円柱状のロールである。補助ロール90の外周面は、平坦であり、第2加圧ロール30の外周面36に接するようになされる。ここで、「接するように」とは、第2加圧ロール30の外周面36に付着した板状の原料132に接触する、または、原料132を押圧することをいい、「接する」と表現することもある。補助ロール90の第2加圧ロール30と接するようになされた位置より下方にスクレーパ92が外周面に接するように配置される。ここで、第2加圧ロール30と接するようになされた位置より下方とは、第2加圧ロール30に接するようになされた位置より回転の下流側であればよいが、最下点を越えない方が好ましい。スクレーパ92は、先端が鋭角の形状、または丸みを有する形状で、補助ロール90の円柱の軸方向に長い部材である。スクレーパ92は、補助ロール90の外周面91に付着した原料132をはぎ取るように配置される。
【0050】
第2吸引ロール150は、基本的に第1吸引ロール50と同様の構造である。なお、第1吸引ロール50用の負圧発生装置40(
図3参照)と接続されてもよいし、負圧発生装置40とは別の負圧発生装置(不図示)と接続されてもよい。
【0051】
圧縮成型装置3において、第2加圧ロール30では、成型用凹部32に原料100が押し込められると共に、その外周面36に板状の原料132が付着する。成型用凹部32に押し込められた原料100は、第1加圧ロール10にて加圧されて圧縮成型され、成型物122となる。なお、圧縮成型装置1と同様に、第1加圧ロール10の成型用凹部12に押し込められた原料100は第2加圧ロール30で加圧され成型物120になる。外周面36に付着した原料132は、補助ロール90に接する。すると、補助ロール90は、第2加圧ロール30より速い周速度で回転するので、板状の原料132と第2加圧ロール30の成型用凹部32の成型物122との間に剪断力が作用する。そこで、板状の原料132は成型用凹部32で圧縮成型された成型物122と分離する。すなわち、成型物122にバリが付かなくなる。板状の原料132は周速度の速い補助ロール90の外周面91に付着する。補助ロール90に付着した原料132は、スクレーパ92により外周面91からはぎ取られ、回収される。回収された原料132は、再度スクリューフィーダー100に送られてもよい。なお、第1加圧ロール10と第2加圧ロール30とが接するときの加圧力で板状の原料132は第2加圧ロール30の外周面36に付着されている。そのために、補助ロール90が第2加圧ロール30を加圧する力が弱すぎると、板状の原料132が補助ロール90に付着しないことがある。そこで、補助ロール90により第2加圧ロール30上の原料132に作用する圧力は、第1加圧ロール10と第2加圧ロール30との間で作用した圧力と同等か若干高くするのが好ましい。ただし、圧力を高くしすぎると、原料132の密度が変化して性状に差が生ずるので、好ましくない。
【0052】
第1加圧ロール10の成型用凹部12で圧縮成型された成型物120と同様に、第2加圧ロール30の成型用凹部32で圧縮成型された成型物122は、第2吸引ロール150で吸引され、回収される。すなわち、外周面151に吸引穴159が開口して、第2加圧ロール30と接する位置で吸引して成型用凹部32中の成型物122を吸引する。第2吸引ロール150が回転して吸引穴159からの吸引が止まると、成型物122は開放され、所定の位置で回収される。なお、第2吸引ロール150でも、吸引穴から空気を噴出する位置を設けるのが好ましい。
【0053】
圧縮成型装置3を用いれば、圧縮成型装置1と同様に、第1加圧ロール10の成型用凹部12で圧縮成型された成型物120は、第1吸引ロール50で吸引されて成型用凹部12から引きはがされるので、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性を高くできる。さらに、第1吸引ロール50が位置Cで吸引穴59から空気を噴出すると、吸引穴59に詰った微粉を排出することができるので、第1吸引ロール50の清掃性も高くなる。また、第2加圧ロール30が第1加圧ロール10より速い周速度で回転することにより、成型用凹部12に入らなかった原料132は、第2加圧ロール30の外周面36に付着するが、第2加圧ロール30より速い周速度で回転する補助ロール90の外周面91に付着し、第2加圧ロール30の成型用凹部32で圧縮成型された成型物122にも、バリが付かない。第2加圧ロール30の成型用凹部32で圧縮成型された成型物122は、第2吸引ロール150で吸引されて成型用凹部32から引きはがされるので、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性を高くできる。さらに、第1加圧ロール10と第2加圧ロール30の両外周面16、36に成型用凹部12、32が形成されるので、成型物120、122をより効率よく圧縮成型することができる。
【0054】
次に
図6を参照して、本発明の第4の実施の形態の圧縮成型装置4について説明する。
図6は、圧縮成型装置4を示す概略図である。圧縮成型装置4は、下記の点を除いて、圧縮成型装置2と同じである。すなわち、第2加圧ロール30の外周面36に成型用凹部32が形成される点、第2吸引手段としての第2吸引口71が第2加圧ロール30の向けて第2加圧ロール30に接近して配置される点、および、第2加圧ロール30の第1加圧ロール10の外周面36が接する位置と第2吸引口71が接近する位置との間に補助ロール90が配置される点で相違する。スクリューフィーダー100、第1加圧ロール10および第1吸引口70は、圧縮成型装置2のものと同じである。
【0055】
第2加圧ロール30は、圧縮成型装置3(
図5参照)のものと同じである。また、補助ロール90およびスクレーパ92も圧縮成型装置3のものと同じである。すなわち、圧縮成型装置3の第2吸引ロール150に代えて第2吸引口71を備えている。
【0056】
第2吸引口71は、基本的に第1吸引口70と同様の構造である。第1吸引口70は吸引用配管76で、第2吸引口71は吸引用配管78で、サイクロン式回収装置74に接続される。なお吸引用配管76と吸引用配管78とは、サイクロン式回収装置74より上流側(第1および第2吸引口70、71側)で分岐管により1本の吸引用配管とされるのが好ましい。サイクロン式回収装置74は、真空タンクなどの負圧発生装置(不図示)に接続される。
【0057】
圧縮成型装置4では、第2加圧ロール30の成型用凹部32で圧縮成型された成型物122は、第2吸引口71で吸引される。第2吸引口71で吸引された成型物122は、第1吸引口70で吸引された成型物120と共にサイクロン式回収装置74で吸引した空気や微粉と分離されて回収される。なお、第1吸引口70に接続するサイクロン式回収装置74とは別に、第2吸引口71用のサイクロン式回収装置を備えてもよい。また、負圧発生装置を別々に備えてもよい。
【0058】
圧縮成型装置4を用いれば、圧縮成型装置2と同様に、第2加圧ロール20が第1加圧ロール10より速い周速度で回転することにより、成型用凹部12に入らなかった原料132、すなわちバリは、第2加圧ロール20の外周面26に付着し、第1加圧ロール10の成型用凹部12にはバリのない成型物120が圧縮成型される。また、第1加圧ロール10の成型用凹部12で圧縮成型された成型物120は、第1吸引口70で吸引されて成型用凹部12から引きはがされるので、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性を高くできる。さらに、サイクロン式回収装置74で吸引した微粉等を分離して成型物120を回収できる。そして、第1吸引口70もサイクロン式回収装置74も可動部がなく、メンテナンスが軽減され、清掃性も高い。また、第2加圧ロール30が第1加圧ロール10より速い周速度で回転することにより、成型用凹部12に入らなかった原料132は、第2加圧ロール30の外周面36に付着するが、第2加圧ロール30より速い周速度で回転する補助ロール90の外周面91に付着し、第2加圧ロール30の成型用凹部32で圧縮成型された成型物122にも、バリが付かない。第2加圧ロール30の成型用凹部32で圧縮成型された成型物122は、第2吸引口71で吸引されて成型用凹部32から引きはがされるので、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性を高くできる。さらに、第1加圧ロール10と第2加圧ロール30の両外周面16、36に成型用凹部12、32が形成されるので、成型物120、122をより効率よく圧縮成型することができる。
【0059】
次に
図7を参照して、本発明の第5の実施の形態の圧縮成型装置5について説明する。
図7は、圧縮成型装置5を示す概略図である。圧縮成型装置5では、第1吸引ロール60の構造が圧縮成型装置1の第1吸引ロール50と異なり、他は圧縮成型装置1と同じである。第1吸引ロール60は、第1加圧ロール10の回転軸14と平行に配置された支持軸66と、円筒状の外輪62と、外輪62に内接する円筒状の内輪63と、支持軸66と内輪63を連結する仕切板64であって、内輪63内の空間68を2分割する仕切板64を有する。第1吸引ロール60の内輪63は、円筒形の両端面を不図示の蓋板で封止される。仕切板64は両端面の蓋板とで、内輪63内の空間68、68、すなわち、内輪63と蓋板と支持軸66とで囲まれた空間68、68を、扇形断面の2つの空間68に分割する。なお、内輪63内の空間68、68は等しい大きさ(中心角)に形成される必要はない。
図7の圧縮成型装置5では、第1吸引ロール60は2枚の水平な仕切板64を有するが、水平である必要はなく、また3枚以上の仕切板64を有していてもよい。外輪62には、外輪62を貫通する吸引穴69が形成される。すなわち、外周面61に吸引穴69が開口する。また、内輪63には、内輪63を貫通し、空間68と外輪62の吸引穴69とを連通する連絡穴65が形成される。連絡穴65は内輪63の全周囲に形成される必要はなく、吸引穴69から吸引して成型物120を第1吸引ロール60の外周面61に付着させる位置、すなわち、第1吸引ロール60の外周面61が第1加圧ロール10の外周面11に接する位置から、成型物120を解放する位置までの間に形成されればよい。吸引穴69は、第1加工ロール10の成型用凹部12、すなわち成型物120より小径の穴であって、多数が形成される。
【0060】
第1吸引ロール60の内輪63および支持軸66は回転せず、固定されている。外輪62は、内輪63と摺動しながら回転する。そして、内輪63内の空間68、68の内、成型物120を吸引する吸引穴69に連通する連絡穴65が形成されている空間68には、負圧発生装置が接続される。第1吸引ロール60では、空間68は回転しないので、第1吸引ロール50に接続する切替装置42(
図3参照)は不要となり、構造が簡単になる。しかし、外輪62と内輪63とが摺動するので、その摺動面を滑らかに形成することや、摺動に伴う摩耗に対処することが要求される。吸引穴69や連絡穴65の数や配置は特に限定されない。第1加圧ロール10の成型用凹部12中の成型物120を引きはがすことができればよい。第1吸引ロール60の外輪62や内輪63は、金属、樹脂、ゴム、セラミックなどの材料で形成されるが、摩耗性の高い金属、樹脂などで形成されるのが好ましい。第1加圧ロール10と同じ材料である必要はなく、また、外輪62の材料と内輪63の材料が同じである必要はない。
【0061】
外周面61の吸引穴69から吸引するように、第1吸引ロール60の内輪63内の空間68を負圧にする。すなわち、負圧にした空間68と吸引穴69が連絡穴65を介して連通する。なお、内輪63内を3つ以上の空間68に分割し、外輪62が成型物120を落下させた位置より下流側で、空間68を加圧し、連絡穴65を介して吸引穴69から空気を噴出するように構成してもよい。吸引穴69から空気を噴出するようにすると、吸引穴69に原料110の粉体、粉じん等の微粉が詰ったとしても排出できる。よって、吸引穴69の清掃が不要になる。
【0062】
圧縮成型装置5を用いれば、第2加圧ロール20が第1加圧ロール10より速い周速度で回転することにより、成型用凹部12に入らなかった原料130、すなわちバリは、第2加圧ロール20の外周面26に付着し、第1加圧ロール10の成型用凹部12にはバリのない成型物120が圧縮成型される。また、第1加圧ロール10の成型用凹部12で圧縮成型された成型物120は、第1吸引ロール60で吸引されて成型用凹部12から引きはがされるので、押出機構を備える必要がないため、簡単な構造で成型物120を回収でき、かつ、隙間に粉状物質が付着することもなく、清掃性を高くできる。さらに、第1吸引ロール50では、外輪62だけが回転するので、負圧発生装置40(
図3参照)との接続が簡単になる。
【0063】
次に、
図8を参照して、本発明の第6の実施の形態の圧縮成型装置6について説明する。
図8は、圧縮成型装置6を示す概略図である。圧縮成型装置6では、第2加圧ロール21の直径D2を第1加圧ロール10の直径D1より大きく形成する。なお、第1〜5の実施の形態の圧縮成型装置1〜5においては、第1加圧ロール10の直径D1と第2加圧ロール21の直径D2は等しく形成されていた。そのために第2加圧ロール20を第1加圧ロール10より大きな回転速度で回転して、第2加圧ロール20を第1加圧ロール10より速い周速度で回転する。このように回転速度を調整することにより同径の加圧ロール10、20を用いることができる。
【0064】
圧縮成型装置6では、第2加圧ロール21の直径D2を第1加圧ロール10の直径D1より大きく形成するので、第1加圧ロール10と第2加圧ロール21と同じ回転速度で回転しても、第2加圧ロール21を第1加圧ロール10より大きな周速度で回転することができる。よって、成型用凹部12に入らなかった原料であるバリ130は第2加圧ロール21の表面に付着し、第1加圧ロール10の成型用凹部12にはバリのない成型物120が圧縮成型される。圧縮成型装置6を用いることにより、最も構造が複雑でコストが掛かる駆動系を簡素にすることができるので、好ましい。特に既存の設備を本発明の設備に改良する場合に、駆動系の改造が不要となり、そのメリットは大きい。なお、圧縮成型装置6においても、第1加圧ロール10と第2加圧ロール21の回転速度を違えてもよい。
【0065】
これまで説明した圧縮成型装置1〜6においては、それぞれの特徴を互いに組み合わせたものとしてもよい。例えば、
図4の圧縮成型装置2において、
図8の圧縮成型装置6のように、第1加圧ロール10と第2加圧ロール20の直径を変えてもよい。
【0066】
これまで説明したように、本発明による圧縮成型装置を用いると、押出機構が不要となり、加圧ロールの成型用凹部の数を増加させても構成部品が増加することがない。よって、成型用凹部の数を増加させ易い。特に、たとえば直径3mm以下のような、小さなサイズの成型物を製造する際に、その効果は大きい。
【0067】
本明細書および図面で用いた主な符号を、以下にまとめて示す。
1、2、3、4、5、6 圧縮成型装置
10 第1加圧ロール
12 成型用凹部
14 回転軸
16 外周面
20、21 第2加圧ロール
24 回転軸
26 外周面
30 第2加圧ロール
32 成型用凹部
34 回転軸
36 外周面
40 負圧発生装置
42 切替装置
44 負圧用配管
50、60 第1吸引ロール(第1吸引手段)
51、61 外周面
52、62 外輪
54、64 仕切板
56 回転軸
58、68 空間
59、69 吸引穴
63 内輪
65 連絡穴
66 支持軸
70 第1吸引口(第1吸引手段)
71 第2吸引口(第2吸引手段)
72 吸引用配管
74 サイクロン式回収装置
76、78 吸引用配管
80 スクレーパ
90 補助ロール
92 スクレーパ
100 スクリューフィーダー
102 スクリュー
104 ケーシング
110 原料
120、122 成型物
130 外周面に付着する原料
150 第2吸引ロール(第2吸引手段)
151 外周面
159 吸引穴
A 吸引穴から吸引して成型物を成型用凹部から引きはがす位置
B 吸引穴からの吸引を止めて吸引した成型物を解放する位置
C 吸引穴から空気を噴出する位置
D1 第1加圧ロールの直径
D2 第2加圧ロールの直径
【手続補正書】
【提出日】2018年9月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項14】
前記第1吸引口または前記第2吸引口で吸引した前記成型物を、前記吸引口または前記第2吸引口で吸引した微粉と分離するサイクロン式回収装置をさらに備える、
請求項12または13に記載の成型物の圧縮成型装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また本発明の第6の態様の成型物の圧縮成型装置は、たとえば
図5に示すように、第2または第2の態様を引用する第5の態様の成型物の圧縮成型装置3において、第2吸引手段150は、第2加圧ロール30の外周面36に接する第2吸引ロール150であって、回転する外周面151に第2成型用凹部32より小径の吸引穴159が形成され、吸引穴159より吸引することにより成型物122を第2成型用凹部32から引きはがす、第2吸引ロール150である。このように構成すると、第2成型用凹部より小径の吸引穴が形成され、吸引穴より吸引することにより成型物を第2成型用凹部から引きはがす第2吸引ロールを備えるので、成型物はしっかりと第
2吸引ロールに付着し、簡単な構造で成型物を引きはがすことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
図1は、本発明の第1の実施の形態の圧縮成型装置1を示す概略図である。圧縮成型装置1は、粉状の原料110を所定の形状の成型物120に圧縮成型する。圧縮成型装置1は、水平な回転軸14回りに回転する円柱状の第1加圧ロール10と、水平な回転軸24回りに回転する円柱状の第2加圧ロール20とを備える。第1加圧ロール10と第2加圧ロール20とは、平行に、かつ、その外周面16と外周面26が接するように配置される。ここで、「外周面16と外周面26が接するように」とは、外周面16、26が実際に接してもよいし、原料1
10の粉体が僅かに挟まる程度であってもよく、また「接する」と表現することもある。第1加圧ロール10と第2加圧ロール20とは、矢印で示すように、上部が互いに接近する方向(以降、「内側方向」ともいう)に回転する。第2加圧ロール20は、その周速度が第1加圧ロール10の周速度より速くなるように回転する。第1加圧ロール10と第2加圧ロール20とが接する位置の上方には、原料110を第1加圧ロール10と第2加圧ロール20との間に供給する原料供給装置としてのスクリューフィーダー100が配置される。スクリューフィーダー100は、円筒形のケーシング104の内部に、螺旋状の羽根を有するスクリュー102を備え、スクリュー102が軸回りに回転することでケーシング104内の原料110を下方に向けて、すなわち第1加圧ロール10と第2加圧ロール20との間に供給する。スクリューフィーダー100は、公知の装置でよい。なお、原料供給装置はスクリューフィーダー100に限られず、原料110に圧力を掛けて供給する装置、原料110を押して供給する装置など、他の装置であってもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
図2に示すように、第1加圧ロール10の外周面16には、成型用凹部12が形成される。成型用凹部12は、原料110が押し込められ、第2加圧ロール20との間の加圧力により圧縮成型される空間である。外周面16には、多数の成型用凹部12が形成され、効率的に成型物120を成型できるが、成型用凹部12の数や配列の仕方は任意である。なお、第2加圧ロール20の外周面26は、平坦である。また、第2加圧ロール20は、第1加圧ロール10より速い周速度で回転する。第1加圧ロール10と第2加圧ロール20は、圧縮成型される原料1
10に応じて、金属、樹脂、ゴム、セラミックなどから選択した材料で形成される。例えば、圧縮成型するのに大きな加圧力が必要な場合には、金属、特にステンレス鋼などで形成するのがよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
第2加圧ロール20の下部に接するようにスクレーパ80が配置される。ここで、第2
加圧ロール20の下部とは、第1加圧ロール10との間で原料110を加圧する位置より回転の下流側であればよいが、最下点を越えない方が好ましい。ここで、「接するように」とは、第2加圧ロール20の外周面26に付着した板状の原料130をはぎ取ることができるだけ接近していればよい。スクレーパ80は、先端が鋭角の形状、または丸みを有する形状で、第2加圧ロール20の円柱の軸方向(
図1に垂直な方向)に長い部材である。スクレーパ80は、外周面26に付着した原料130をはぎ取るように配置される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
第1加圧ロール10の下部に接するように第1吸引手段としての第1吸引ロール50が配置される。ここで、第1
加圧ロール10の下部とは、スクリューフィーダー100から供給された原料110が第1加圧ロール10の成型用凹部12に押し込められ、第2加圧ロール20で圧縮成型された位置より回転の下流側であればよい。また、「接するように」とは、第1吸引ロールの吸引穴59からの吸引により、第1加圧ロール10の成型用凹部12の成型物120が吸引されればよく、「接する」と表現することもある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
図3に第1吸引ロール50を拡大して示す。
図3(a)は第1吸引ロール50の断面と第1吸引ロール50の内部空間58を負圧にするための負圧発生装置40等も示す。
図3(b)は第1吸引ロール50の外周面51、負圧発生装置40および負圧にする位置を切り替える切替装置42等を示す。第1吸引ロール50は、第1加圧ロール10の回転軸14と平行に配置された回転軸56と、円筒状の外輪52と、回転軸56と外輪52を連結する仕切板54であって、外輪52内の空間58を3分割する仕切板54を有する。第1吸引ロール50は、円筒形の両端面を不図示の蓋板で封止される。仕切板54は両端面の蓋板とで、外輪52内の空間58、58、58、すなわち、外輪52と蓋板と回転軸56とで囲まれた空間58、58、58を、軸直角方向断面において扇形断面の3つの空間58に分割する。なお、外輪52内の空間58、58、58は等しい大きさ(中心角)に形成される必要はない。第1吸引ロール50の外輪52を貫通する吸引穴59が形成される。すなわち、外周面51に吸引穴59が開口する。吸引穴59は、第1加
圧ロール10の成型用凹部12、すなわち成型物120より小径の穴であって、多数が形成される。吸引穴59の数や配置は特に限定されないが、後述するように第1加圧ロール10の成型用凹部12中の成型物120を引きはがすことができればよい。なお、仕切板54が外輪52に接する位置の外周面51には、仕切板54で分割された両側の空間58の内のいずれかから貫通する吸引穴59が形成され、外周面51には均等に吸引穴59が形成されるのが好ましい。第1吸引ロール50は、金属、樹脂、ゴム、セラミックなどの材料で形成される。第1加圧ロール10の材料と同じである必要はない。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
次に
図5を参照して、本発明の第3の実施の形態の圧縮成型装置3について説明する。
図5は、圧縮成型装置3を示す概略図である。圧縮成型装置3は、下記の点を除いて、圧縮成型装置1と同じである。すなわち、第2加圧ロール30の外周面36に成型用凹部32が形成される点、第2加圧ロール30の下部に接するように第2吸引手段としての第2吸引ロール150が配置される点、および、第2加圧ロール30の第1加圧ロール10の外周面
16が接する位置と第2吸引ロール150が接する位置との間に補助ロール90が配置される点で相違する。なお、「接するように」の意味は、圧縮成型装置1の場合と同じである。スクリューフィーダー100、第1加圧ロール10および第1吸引ロール50は、圧縮成型装置1のものと同じである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
圧縮成型装置3において、第2加圧ロール30では、成型用凹部32に原料100が押し込められると共に、その外周面36に板状の原料132が付着する。成型用凹部32に押し込められた原料100は、第1加圧ロール10にて加圧されて圧縮成型され、成型物122となる。なお、圧縮成型装置1と同様に、第1加圧ロール10の成型用凹部12に押し込められた原料1
10は第2加圧ロール30で加圧され成型物120になる。外周面36に付着した原料132は、補助ロール90に接する。すると、補助ロール90は、第2加圧ロール30より速い周速度で回転するので、板状の原料132と第2加圧ロール30の成型用凹部32の成型物122との間に剪断力が作用する。そこで、板状の原料132は成型用凹部32で圧縮成型された成型物122と分離する。すなわち、成型物122にバリが付かなくなる。板状の原料132は周速度の速い補助ロール90の外周面91に付着する。補助ロール90に付着した原料132は、スクレーパ92により外周面91からはぎ取られ、回収される。回収された原料132は、再度スクリューフィーダー100に送られてもよい。なお、第1加圧ロール10と第2加圧ロール30とが接するときの加圧力で板状の原料132は第2加圧ロール30の外周面36に付着されている。そのために、補助ロール90が第2加圧ロール30を加圧する力が弱すぎると、板状の原料132が補助ロール90に付着しないことがある。そこで、補助ロール90により第2加圧ロール30上の原料132に作用する圧力は、第1加圧ロール10と第2加圧ロール30との間で作用した圧力と同等か若干高くするのが好ましい。ただし、圧力を高くしすぎると、原料132の密度が変化して性状に差が生ずるので、好ましくない。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
次に
図6を参照して、本発明の第4の実施の形態の圧縮成型装置4について説明する。
図6は、圧縮成型装置4を示す概略図である。圧縮成型装置4は、下記の点を除いて、圧縮成型装置2と同じである。すなわち、第2加圧ロール30の外周面36に成型用凹部32が形成される点、第2吸引手段としての第2吸引口71が第2加圧ロール30
に向けて第2加圧ロール30に接近して配置される点、および、第2加圧ロール30の第1加圧ロール10の外周面36が接する位置と第2吸引口71が接近する位置との間に補助ロール90が配置される点で相違する。スクリューフィーダー100、第1加圧ロール10および第1吸引口70は、圧縮成型装置2のものと同じである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
次に
図7を参照して、本発明の第5の実施の形態の圧縮成型装置5について説明する。
図7は、圧縮成型装置5を示す概略図である。圧縮成型装置5では、第1吸引ロール60の構造が圧縮成型装置1の第1吸引ロール50と異なり、他は圧縮成型装置1と同じである。第1吸引ロール60は、第1加圧ロール10の回転軸14と平行に配置された支持軸66と、円筒状の外輪62と、外輪62に内接する円筒状の内輪63と、支持軸66と内輪63を連結する仕切板64であって、内輪63内の空間68を2分割する仕切板64を有する。第1吸引ロール60の内輪63は、円筒形の両端面を不図示の蓋板で封止される。仕切板64は両端面の蓋板とで、内輪63内の空間68、68、すなわち、内輪63と蓋板と支持軸66とで囲まれた空間68、68を、扇形断面の2つの空間68に分割する。なお、内輪63内の空間68、68は等しい大きさ(中心角)に形成される必要はない。
図7の圧縮成型装置5では、第1吸引ロール60は2枚の水平な仕切板64を有するが、水平である必要はなく、また3枚以上の仕切板64を有していてもよい。外輪62には、外輪62を貫通する吸引穴69が形成される。すなわち、外周面61に吸引穴69が開口する。また、内輪63には、内輪63を貫通し、空間68と外輪62の吸引穴69とを連通する連絡穴65が形成される。連絡穴65は内輪63の全周囲に形成される必要はなく、吸引穴69から吸引して成型物120を第1吸引ロール60の外周面61に付着させる位置、すなわち、第1吸引ロール60の外周面61が第1加圧ロール10の外周面1
6に接する位置から、成型物120を解放する位置までの間に形成されればよい。吸引穴69は、第1加
圧ロール10の成型用凹部12、すなわち成型物120より小径の穴であって、多数が形成される。
【国際調査報告】