特表-17221456IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年12月28日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20181130BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20181130BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H02M1/00 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
【出願番号】特願2018-523302(P2018-523302)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年2月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-122419(P2016-122419)
(32)【優先日】2016年6月21日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】北村 達也
(72)【発明者】
【氏名】恩田 航平
【テーマコード(参考)】
5H740
5H770
【Fターム(参考)】
5H740BA11
5H740MM08
5H740MM10
5H740PP02
5H740PP04
5H740PP06
5H740PP07
5H770AA05
5H770PA22
5H770PA42
5H770PA47
5H770QA01
5H770QA12
5H770QA28
(57)【要約】
半導体素子を内包するモジュール(1、2、3)を用いて負荷への電力を供給する電力変換装置(50、60、70、80、90、100)であって、モジュール(1、2、3)を冷却する金属筐体(8、13、16)に封止樹脂(10)を保持する封止壁(9)を設けると共に、前記半導体素子に流入出する電流経路となる配線部材の一方である帰還電流経路を金属筐体(8、13、16)とし、もう一方の配線部材を金属筐体(8、13、16)の封止壁(9)と近接して平行に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を内包するモジュールと、
前記半導体素子を駆動制御する回路を搭載する制御基板と、
前記モジュールと前記制御基板を接続する制御配線と、
前記モジュールおよび前記制御基板の一部もしくは全部を封止する封止材と、
前記モジュールが取り付けられ、前記モジュールの周囲に立設して前記封止材を保持する封止壁を有するとともに、基準電位に接続される金属筐体と、
前記モジュールの基準電位と前記金属筐体を接続する基準電位配線と、
前記モジュールへの電流経路となるバスバーと、
を備えた電力変換装置であって、
前記バスバーは、前記封止壁と近接して平行に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記金属筐体は、前記モジュールの取付面の対面に放熱用の突起状部を有することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記金属筐体は、前記モジュールの放熱用の流体を通過させる流路を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記バスバーと前記封止壁との間隔は、前記バスバーと前記金属筐体が有する電位差に対して電気的絶縁を確保する距離以上で、前記バスバーの断面の長辺方向寸法未満であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記金属筐体は、環状構造であって前記モジュールが少なくとも一つ以上、前記バスバーで直列に接続されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記金属筐体は、U字状構造であって前記モジュールが少なくとも一つ以上、前記バスバーで直列に接続されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記金属筐体は、環状構造であって前記モジュールが少なくとも一つ以上、前記バスバーで環状若しくは放射状に接続されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記金属筐体は、電気絶縁部材を介して前記バスバーの一部もしくは全部を格納する凹型形状部を有する封止壁を備えたことを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記金属筐体は、前記バスバーと近接して平行に配置される範囲において封止壁を有するとともに、前記範囲を除く前記封止壁は、前記金属筐体とは別部材で構成されたことを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記電力変換装置は、単一または複数のコンデンサを内包するコンデンサブロックを備え、前記コンデンサブロックの正端子が前記バスバーと接続されると共に、前記コンデンサブロックの負端子が前記金属筐体と接続されていることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電力変換装置に係り、特には電力変換装置の電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置を構成するパワーモジュールとパワー回路基板、及び冷却用フィンの基本的な構成として、例えば特開2002−325467号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この特許文献1に開示された電力変換装置は、半導体素子で構成されたインバータを内蔵し、このインバータとは電気絶縁されたパワーモジュールと、パワーモジュールが取り付けられる導電性材質で構成された冷却フィンとを有し、冷却フィンのモジュール取付面にモジュールを囲む壁を設けることにより、非導電性および熱伝導性の流動性樹脂でモジュールの封止を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−325467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された電力変換装置によれば、冷却フィンにモジュールを囲んで収納する壁を設け、冷却フィンと壁によって構成された槽にモジュールを封止する非導電性および熱伝導性の流動性樹脂を充填する構造であるため、冷却フィンと壁とを一体成形などで製造できて製造時の組み立て工数を削減でき、安価に出来る利点がある。
【0005】
しかしながら、この従来の電力変換装置では、半導体素子とモジュールは電気絶縁されており、電流の経路は外部電極端子を介してパワー回路基板上の配線で引き回すことになる。このため、特に大電流を通電する場合に、配線幅が広くなることでパワー回路基板が大きくなり、広い実装面積が必要となって電力変換装置全体が大型化する問題があった。
【0006】
また、パワー回路基板上の部品配置による配線の引き回し制約から、電流経路を形成するループが大きくなり、配線の寄生インダクタンスが増加し、共振現象による過電圧や過電流、ノイズが増加する問題があった。
【0007】
この発明は、このような問題を解決するためになされたもので、電力変換装置を小型化し、配線が形成する電流ループの寄生インダクタンスを低減することができる電力変換装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明における電力変換装置は、半導体素子を内包するモジュールと、前記半導体素子を駆動制御する回路を搭載する制御基板と、前記モジュールと前記制御基板を接続する制御配線と、前記モジュールおよび前記制御基板の一部もしくは全部を封止する封止材と、前記モジュールが取り付けられ、前記モジュールの周囲に立設して前記封止材を保持する封止壁を有すると共に、基準電位に接続される金属筐体と、前記モジュールの基準電位と前記金属筐体を接続する基準電位配線と、前記モジュールへの電流経路となるバスバーと、を備えた電力変換装置であって、前記バスバーは、前記封止壁と近接して平行に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の電力変換装置によれば、モジュールから引き出される配線部材の面積を低減すると共に、電流経路が形成するループを小さくして寄生インダクタンスを低減することができる。従って、回路上の共振現象を抑制し、過電圧、過電流の発生やノイズの増加防止に寄与できる。
この発明の前記以外の目的、特徴、観点及び効果は、図面を参照する以下のこの発明の詳細な説明から、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1による電力変換装置を示す平面図である。
図2】この発明の実施の形態1による電力変換装置を示す断面図である。
図3】この発明の実施の形態1によるインダクタンス低減効果を説明する概念図である。
図4】この発明の実施の形態1によるインダクタンス低減効果を簡素化モデルによって計算した結果を示す図である。
図5】この発明の実施の形態2による電力変換装置を示す平面図である。
図6】この発明の実施の形態2による電力変換装置の変形例を示す平面図である。
図7】この発明の実施の形態3による電力変換装置を示す平面図である。
図8】この発明の実施の形態4による電力変換装置を示す断面図である。
図9】この発明の実施の形態5による電力変換装置を示す断面図である。
図10】この発明の実施の形態6による電力変換装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明による電力変換装置の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1および図2は、この発明の実施の形態1による電力変換装置を示す平面図および断面図である。図1図2のA−A線断面図を示し、図2図1のB−B線断面図を示している。
実施の形態1による電力変換装置50は、モジュール1、2、3、制御基板4、制御配線5、基準電位配線6、バスバー7、導電性の金属筐体8、封止壁9および封止壁9により保持される封止材の封止樹脂10から構成されている。そして、金属筐体8に接続された電源(図示せず)の基準電位と、基準電位配線6を介してモジュール1、2、3が電気的に接続されると共に、モジュール1、2、3にモジュール1、2、3を駆動制御する制御基板4が制御配線5を介して電気的に接続されている。また、バスバー7は、電源等や複数のモジュール1、2、3同士の間に接続されている。
【0013】
金属筐体8は、金属筐体8に一体となっている壁状構造の封止壁9を有し、モジュール1、2、3の周囲に立設してモジュール1、2、3や制御基板4の一部もしくは全部が封止樹脂10で充填されている。また、金属筐体8にはモジュール1、2、3の取付面の対面に放熱用の突起状部が形成されている。
【0014】
このような構成を有する電力変換装置において、モジュール1、2、3が内包する半導体素子が動作すると、大きなものでは数百アンペアの電流が導通してバスバー7などの配線を通過する。配線には電気抵抗があり、発熱を勘案して安全に導通させることができる電流には制限がある。大電流を導通可能とするためには、配線の電気抵抗を小さくする必要があり、配線の断面積を大きくすることが有効である。配線の断面積を大きくする場合、断面の長辺方向を金属筐体8のモジュール取付面に対して水平方向に配置すると、配線が通る領域を確保するために金属筐体8のモジュール取付面を広げる必要が生じ、電力変換装置を大型化させる。
【0015】
また、モジュール1、2、3の基準電位は基準電位配線6を介して金属筐体8に電気的に接続されているため、電源からバスバー7を通ってモジュール1、2、3が内包する半導体素子を通過した電流の帰還経路は金属筐体8を流れ、電流ループを形成する。電流ループは配線により寄生インダクタンスを持ち、電流ループの面積が大きいほど寄生インダクタンスは大きくなり、電流の変化に応じてエネルギーを蓄積する。これにより回路内に共振現象を発生させて過電圧、過電流を発生させると共にノイズを増加させる。
【0016】
このため実施の形態1による電力変換装置50では、バスバー7が図2に示すように、モジュール1、2、3から引き出された後、金属筐体8のモジュール取付面に対して垂直方向が断面の長辺方向となるように配置されている。モジュール1、2、3の上部には制御基板4が制御配線5を介して接続、配置されているため、金属筐体8のモジュール取付面を広げる必要が無く、バスバー7の断面積を大きくするために確保される領域を抑制することが可能となる。
【0017】
さらに、金属筐体8のモジュール取付面に対して垂直方向が断面の長辺方向となるように配置したバスバー7を、金属筐体8と一体である封止壁9に対して近接して平行に配置する。例えば、電源からの電流はバスバー7を往路としてモジュール1に入り、モジュール1が基準電位配線6を介して金属筐体8に電気的に接続されているため、電源への電流は金属筐体8を復路として電源の基準電位へ流れる。この場合、往路電流は電流ループのインピーダンスが最も小さくなる経路で流れ、バスバー7と近接して平行に配置された封止壁9が復路となることにより、電流ループの寄生インダクタンスを抑制することが可能となる。
【0018】
図3は、この発明の原理を説明する概念図である。図3は、バスバー7、モジュール1、金属筺体8を通って帰還する電流経路の寄生インダクタンスを簡素化して示している。図中のLb1、Lb2は、例えばバスバー7の寄生インダクタンス要素を表し、一方でLh1およびLh2は金属筺体8の寄生インダクタンス要素を表している。ただし、簡素化のために、モジュール1の寄生インダクタンスは省略した。この発明を適用しなかった場合、この電流ループの寄生インダクタンスは、Lb1+Lh1+Lb2+Lh2となる。一方この発明は、金属筺体8にバスバー7と近接して平行に配置された封止壁9を設けたことにより、バスバー8の寄生インダクタンス要素Lb2は、金属筺体8の封止壁9の寄生インダクタンスLb2と結合係数khb(0<khb<1)で結合される。その結果、電流経路ループの寄生インダクタンスは、Lb1+Lh1+Lb2+Lh2―khb√(Lb2・Lh2)となり、この発明を適用しなかった場合に比べて、電流ループのインダクタンスを低減できる。
【0019】
望ましくは、バスバー7と封止壁9の間隔は、バスバー7と封止壁9との電位差に対して電気的絶縁を維持することができる距離以上で、かつバスバー7の断面の長辺寸法距離以下とすることで、バスバーが占有する領域を最少化すると共に、電流経路が形成するループのインダクタンスを最小にすることが可能となる。
以下、図4を参照して、バスバー7と封止壁9の間隔をバスバー7の断面の長辺寸法距離以下にすることでインダクタンスを低減できることを説明する。今、バスバー7を模擬した導体平板と封止壁9を模擬した導体平板を考える。これらの導体平板は共に、平板の断面の長辺寸法はW、平板の断面の短辺寸法(板厚)は無限小、平板の長さはL/2とする。この2つ平板を電気的に接続し、長さLの電流ループを形成し、その寄生インダクタンスを評価する。
【0020】
まず、この発明を適用しなかった極端な例として、バスバー7を模擬した導体平板と封止壁9を模擬した導体平板が同一直線状に配置される場合を考える。この場合の電流ループの寄生インダクタンスLssは、以下の長さL、幅Wの無限小平板の式1で与えられることが知られている。
Lss=(μ0・L/2π)[Ln(2L/W)+1/2+(W/3L)] (式1)
ここで、μ0は真空の透磁率である。次に、この発明を適用して、バスバー7を模擬した導体平板と封止壁9を模擬した導体平板が距離Dだけ離して対向して平行に配置された場合を考える。この場合の電流ループの寄生インダクタンスLspは以下の式2で与えられることが知られている。
Lsp=μ0・L(D/W) (式2)
【0021】
図4は、平板の長さL=100mm、かつ平板の幅W=10mmと、平板の長さL=100mm、かつ平板の幅W=20mmの2例において、平板間距離Dと平板の幅Wの比D/Wと、式1と式2の比Lsp/Lssの関係を図示したものである。図4の結果が示す通り、Lsp/Lssを1以下にするためには、概ねD/Wを1より小さくすれば良い。即ち、バスバー7と封止壁9の間隔をバスバー7の断面の長辺寸法距離以下にすることにより、電流ループのインダクタンス低減効果を得られる。例えば、この発明を適用してD/W=0.2程度にした場合は、電流ループのインダクタンスを8割程度削減できる。
【0022】
以上のように、この発明を適用することにより、大電流に対応するバスバー7が占有する領域を抑制して小型化すると共に、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減する効果がある。
【0023】
このように、実施の形態1による電力変換装置50は、基準電位である金属筐体8と一体である封止壁9と近接して平行にバスバー7を配置すると共に、バスバー7の垂直方向が断面の長辺方向となるように配置することにより、安価かつ組立性に優れた小型でノイズの発生を低減する電力変換装置50を実現することができる。
【0024】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2による電力変換装置について説明する。図5および図6は、実施の形態2による電力変換装置60を示す平面図であり、図1および図2に示した実施の形態1と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付すと共に、一部図示を省略している。
【0025】
実施の形態2による電力変換装置60は、バスバー11で直列に接続されたモジュール1、2、3が、図5では環状の金属筐体に環状もしくは放射状に配置され、また、図6ではU字状の金属筐体に環状もしくは放射状に配置されている。
【0026】
このような構成を有する電力変換装置60において、電源(図示せず)からモジュール1、2、3までの経路には配線による寄生インダクタンスが存在し、電源からの距離が遠いモジュールほど寄生インダクタンスが大きくなりやすい。モジュール1、2、3内の半導体素子が動作してスイッチングし、電流のオン、オフが繰り返されると寄生インダクタンスにエネルギーが蓄積されて回路で共振現象が発生する。特に、電源から遠いことで寄生インダクタンスが大きくなるモジュール3は、他のモジュールに比べて過電圧や過電流の発生およびノイズの増加が顕著に発生するおそれがある。
【0027】
そこで、実施の形態2は、バスバー11の引き回しが長くなる環状もしくは放射状のモジュール配置に対して、電源から遠くなるモジュール3に対してもバスバー7と封止壁9を近接して平行に配置している。この場合、バスバー11と封止壁9が近接して平行に配置されている範囲においては、電源からの電流の往路と復路が対向して流れるため電流ループのインダクタンスを低減することができ、モジュール1、2、3の配置によって発生する回路内の共振現象を抑制することが可能となる。寄生インダクタンス低減の原理は、図3で説明した通りである。
【0028】
つまり、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減する効果がある。
【0029】
このように、実施の形態2による電力変換装置60は、基準電位である環状もしくはU字状の金属筐体と一体である封止壁9と近接して平行にバスバー11を配置することにより、安価かつ組立性に優れた小型でノイズの発生を低減する電力変換装置60を実現することが可能となる。
【0030】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3による電力変換装置について説明する。図7は、実施の形態3による電力変換装置70を示す平面図であり、図5に示した実施の形態2と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付すと共に、一部図示を省略している。
【0031】
実施の形態3による電力変換装置70は、環状構造を有するバスバー12で接続されたモジュール1、2、3が、環状の金属筐体に環状もしくは放射状に配置されている。
【0032】
このような構成を有する電力変換装置70において、電源(図示せず)からモジュール1、2、3までの経路の配線による寄生インダクタンスは、モジュール1、2、3を直列に接続するより電流経路が並列化されることから配線インダクタンスが低減される。しかし、バスバー12自体が環状構造になることにより、外部磁束がバスバー12に鎖交した場合、誘起電流がバスバー12に流れて共振し、過電圧や過電流の発生およびノイズの増加に至る。
【0033】
しかし、実施の形態3の電力変換装置70は、環状構造を有するバスバー12と封止壁9を近接して平行に配置しており、この場合、バスバー12と封止壁9が近接して平行に配置されている範囲においては、電源からの電流の往路と復路が対向して流れるため電流ループのインダクタンスを低減することができ、バスバー12の環状構造によって発生する回路内の共振現象を抑制することが可能となる。つまり、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減する効果がある。寄生インダクタンス低減の原理は、図3で説明した通りである。
【0034】
このように、実施の形態3による電力変換装置70は、基準電位である環状の金属筐体と一体である封止壁9と近接して平行に環状構造を有するバスバー12を配置することにより、安価かつ組立性に優れた小型でノイズの発生を低減する電力変換装置70を実現することが可能となる。
【0035】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4による電力変換装置について説明する。図8は、実施の形態4による電力変換装置80を示す断面図であり、図2に示した実施の形態1と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付している。
【0036】
実施の形態4による電力変換装置80は、モジュール1、制御基板4、制御配線5、基準電位配線6、バスバー7、金属筐体13、封止壁14、封止樹脂10および電気絶縁部材15から構成されている。そして、金属筐体13に電源(図示せず)の基準電位と、基準電位配線6を介してモジュール1が電気的に接続されると共に、モジュール1を駆動制御する制御基板4が制御配線5を介して電気的に接続されている。また、バスバー7は、電源等や複数のモジュール同士の間に接続されている。
【0037】
金属筐体13は、金属筐体13と一体形成された封止壁14を有し、この封止壁14には、電気絶縁部材15を介して接触するバスバー7を格納する凹型形状部が設けられている。そして、封止壁14をモジュール1の周囲に立設させてモジュール1や制御基板4の一部もしくは全部を封止樹脂10で充填する。
【0038】
このような構成を有する電力変換装置において、バスバー7に大電流を流す場合、バスバー7の電気抵抗によるジュール熱が発生してバスバー7自体や周囲の部品の温度上昇を招く。また、電気抵抗を下げるためにバスバー7の断面積を大きくするとバスバー7の占有領域が増加して電力変換装置の大型化を招く。
しかし、実施の形態4による電力変換装置80は、バスバー7が電気絶縁部材15を介して凹型形状部を有する封止壁14に密着するように配置されている。この場合、封止壁14の凹型形状部にバスバー7を埋め込むように配置することによってバスバー7の占有領域が削減され、電力変換装置80の小型化が可能となる。
【0039】
さらに、バスバー7は封止壁14と電気絶縁部材15を介して密着することによって、電気絶縁部材15に良熱伝導性の材料を用いてバスバー7の熱を封止壁14へ伝達し、バスバー7の温度上昇を抑制してバスバー7自体の寸法を小型化することで、電力変換装置80の小型化が可能となる。
【0040】
つまり、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減しながら、バスバー7の占有領域を削減することで電力変換装置80を小型化する効果がある。寄生インダクタンス低減の原理は、図3で説明した通りである。
【0041】
このように、実施の形態4の電力変換装置80は、金属筐体13と一体の封止壁14に凹型形状部を設けて電気絶縁部材15を介しバスバー7を密着して配置することにより、ノイズの発生を低減しながら小型化する電力変換装置80を実現することが可能となる。
【0042】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5による電力変換装置について説明する。図9は、実施の形態5による電力変換装置90を示す断面図であり、図2に示した実施の形態1と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付している。
【0043】
実施の形態5による電力変換装置90は、モジュール1、制御基板4、制御配線5、基準電位配線6、バスバー7、金属筐体16、封止壁9、封止樹脂10および金属筐体16と別部材で構成された封止壁17を備えている。そして、金属筐体16に電源(図示せず)の基準電位と、基準電位配線6を介してモジュール1が電気的に接続されると共に、モジュール1を駆動制御する制御基板4が制御配線5を介して電気的に接続されている。また、バスバー7は、電源等や複数のモジュール同士の間に接続されている。
【0044】
金属筐体16は、一体となっている封止壁9を有し、金属筐体16とは別部材で構成された封止壁17と共にモジュール1の周囲に立設し、モジュール1や制御基板4の一部もしくは全部が封止樹脂10で充填される。
【0045】
このような構成を有する電力変換装置において、樹脂を封止する壁を金属筐体16と一体で構成する場合、金属の使用量が増加して電力変換装置の高コスト、重量化を招く。そこで、実施の形態5による電力変換装置90は、バスバー7に平行でない範囲の封止壁を金属筐体16とは別部材とし、安価な樹脂などで構成することにより、電力変換装置90の低廉化と軽量化を可能にしたものである。
【0046】
つまり、実施の形態5による電力変換装置90は、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減しながら、バスバー7と平行しない封止壁を金属筐体16と別部材で構成したので電力変換装置90を低廉化および軽量化する効果がある。寄生インダクタンス低減の原理は、図3で説明した通りである。
【0047】
このように、この実施の形態5の電力変換装置は、バスバー7と平行しない封止壁17を金属筐体16と別体に設けて配置することで、ノイズの発生を低減しながら低廉化および軽量化する電力変換装置を実現することが可能となる。
【0048】
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6による電力変換装置について説明する。図10は、実施の形態6による電力変換装置100を示す平面図であり、図5に示した実施の形態2と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付すと共に、一部図示を省略している。
【0049】
実施の形態6による電力変換装置100は、バスバー11で接続されたモジュール1、2、3、単一または複数のコンデンサで構成されるコンデンサブロック18、19が、環状の金属筐体に環状もしくは放射状に配置されている。コンデンサブロック18、19の正端子20、21はバスバーと接続され、一方で負端子22、23は金属筺体10と接続される。
【0050】
このような構成を有する電力変換装置100において、モジュール内の半導体素子がスイッチングする際には、コンデンサブロック18、19から電荷を供給することができる。従って、電源(本実施の形態ではコンデンサブロック18、19)からモジュール1、2、3までの経路の配線による寄生インダクタンスは、コンデンサブロック18、19が無い場合と比べて小さくなる。このような場合においても、この発明によれば、バスバー11と封止壁封止壁9が近接して平行に配置されることにより、コンデンサブロック18、19からモジュール1、2、3までの配線の寄生インダクタンスを一層低減する効果が得られる。さらに、この発明を適用しない場合に比べて、コンデンサブロック毎のリップル電流のアンバランスを低減する効果をもたらす。以下、この理由を説明する。
【0051】
本実施の形態において、モジュール1、2、3とコンデンサブロック18、19で形成されるループの寄生インダクタンスは、モジュールのインダクタンスとコンデンサのインダクタンス、およびその接続配線のインダクタンスの和となる。ここで、モジュール1、2、3、およびコンデンサブロック18、19は、それぞれを同一部品とすることにより、その寄生インダクタンスを同等にすることができる。一方で、モジュール1、2、3とコンデンサブロック18、19の互いの位置関係は、インバータの形状の制約で決まるため、一般にはモジュール1、2、3とコンデンサブロック18、19の接続配線の寄生インダクタンスに差異が生じる。しかしながら、この発明で接続配線のインダクタンスを低減したことにより、接続配線の寄生インダクタンスの差異は、モジュールのインダクタンスやコンデンサブロックのインダクタンスに比べて相対的に小さくなる。従って、モジュール1、2、3とコンデンサブロック18、19で形成されるループの寄生インダクタンスの差異を低減できるため、コンデンサブロック毎のリップル電流のアンバランスを低減することができる。
【0052】
このように、実施の形態6による電力変換装置100は、基準電位である環状の金属筐体と一体である封止壁9と近接して平行に環状構造を有するバスバー12を配置することにより、安価かつ組立性に優れた小型でノイズの発生を低減する電力変換装置100を実現することが可能となる。
【0053】
なお、前記実施の形態1から実施の形態6においては、モジュール1の電極とバスバー7を一体のものとして説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、モジュール1内の配線をリードフレームなどで構成し、外部配線のバスバー7と電気的に接続した構成などを用いることができることは言うまでもない。
【0054】
また、前記実施の形態1から実施の形態6におけるモジュール1は、内包する半導体素子の数量や種類を限定するものではなく、任意の数のMOSFETやIGBTやダイオードおよびこれらの組み合わせなどを用いることができることは言うまでもない。
【0055】
また、前記実施の形態1から実施の形態6におけるモジュール1は、外部に基準電位配線6となる電極を有する構成を例示して説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、モジュール1内のリードフレームやヒートスプレッダなどを介して金属筐体8、13、16と電気的に接続する構成などを用いることができることは言うまでもない。
【0056】
また、前記実施の形態6におけるコンデンサブロックは、その構造や数量および種類を限定するものではないことは言うまでもない。
【0057】
また、前記実施の形態1から実施の形態6において、封止材を樹脂として説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、電気絶縁性や熱伝導性から任意の材料を用いることができることは言うまでもない。
【0058】
また、前記実施の形態1から実施の形態6において、金属筐体8、13、16はモジュール1、2、3の取付面の対面に放熱用の突起状部を有する構造として図示説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、突起状部を有する金属筐体8、13、16の内部に流路を設けて流体による冷却と併用してもよく、また、金属筐体8、13、16に放熱用の突起状部を設けることなく、内部に流路を設けて流体による冷却を用いてもよいことは言うまでもない。
【0059】
以上、この発明の実施の形態1から実施の形態6による電力変換装置について説明したが、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10

【手続補正書】
【提出日】2018年8月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を内包するモジュールと、
前記半導体素子を駆動制御する回路を搭載する制御基板と、
前記モジュールと前記制御基板を接続する制御配線と、
前記モジュールおよび前記制御基板の一部もしくは全部を封止する封止材と、
前記モジュールが取り付けられ、前記モジュールの周囲に立設して前記封止材を保持する封止壁を有するとともに、基準電位に接続される金属筐体と、
前記モジュールの基準電位と前記金属筐体を接続する基準電位配線と、
前記モジュールへの電流経路となるバスバーと、
を備えた電力変換装置であって、
前記バスバーは、前記封止壁と近接して平行に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記金属筐体は、前記モジュールの取付面の対面に放熱用の突起状部を有することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記金属筐体は、前記モジュールの放熱用の流体を通過させる流路を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記バスバーと前記封止壁との間隔は、前記バスバーと前記金属筐体が有する電位差に対して電気的絶縁を確保する距離以上で、前記バスバーの断面の長辺方向寸法未満であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記金属筐体は、環状構造であって前記モジュールが一つ以上、前記バスバーで直列に接続されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記金属筐体は、U字状構造であって前記モジュールが一つ以上、前記バスバーで直列に接続されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記金属筐体は、環状構造であって前記モジュールが一つ以上、前記バスバーで環状若しくは放射状に接続されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記金属筐体は、電気絶縁部材を介して前記バスバーの一部もしくは全部を格納する凹型形状部を有する封止壁を備えたことを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記金属筐体は、前記バスバーと近接して平行に配置される範囲において封止壁を有するとともに、前記範囲を除く前記封止壁は、前記金属筐体とは別部材で構成されたことを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記電力変換装置は、単一または複数のコンデンサを内包するコンデンサブロックを備え、前記コンデンサブロックの正端子が前記バスバーと接続されると共に、前記コンデンサブロックの負端子が前記金属筐体と接続されていることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の電力変換装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電力変換装置に係り、特には電力変換装置の電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置を構成するパワーモジュールとパワー回路基板、及び冷却用フィンの基本的な構成として、例えば特開2002−325467号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この特許文献1に開示された電力変換装置は、半導体素子で構成されたインバータを内蔵し、このインバータとは電気絶縁されたパワーモジュールと、パワーモジュールが取り付けられる導電性材質で構成された冷却フィンとを有し、冷却フィンのモジュール取付面にモジュールを囲む壁を設けることにより、非導電性および熱伝導性の流動性樹脂でモジュールの封止を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−325467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された電力変換装置によれば、冷却フィンにモジュールを囲んで収納する壁を設け、冷却フィンと壁によって構成された槽にモジュールを封止する非導電性および熱伝導性の流動性樹脂を充填する構造であるため、冷却フィンと壁とを一体成形などで製造できて製造時の組み立て工数を削減でき、安価に出来る利点がある。
【0005】
しかしながら、この従来の電力変換装置では、半導体素子とモジュールは電気絶縁されており、電流の経路は外部電極端子を介してパワー回路基板上の配線で引き回すことになる。このため、特に大電流を通電する場合に、配線幅が広くなることでパワー回路基板が大きくなり、広い実装面積が必要となって電力変換装置全体が大型化する問題があった。
【0006】
また、パワー回路基板上の部品配置による配線の引き回し制約から、電流経路を形成するループが大きくなり、配線の寄生インダクタンスが増加し、共振現象による過電圧や過電流、ノイズが増加する問題があった。
【0007】
この発明は、このような問題を解決するためになされたもので、電力変換装置を小型化し、配線が形成する電流ループの寄生インダクタンスを低減することができる電力変換装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明における電力変換装置は、半導体素子を内包するモジュールと、前記半導体素子を駆動制御する回路を搭載する制御基板と、前記モジュールと前記制御基板を接続する制御配線と、前記モジュールおよび前記制御基板の一部もしくは全部を封止する封止材と、前記モジュールが取り付けられ、前記モジュールの周囲に立設して前記封止材を保持する封止壁を有すると共に、基準電位に接続される金属筐体と、前記モジュールの基準電位と前記金属筐体を接続する基準電位配線と、前記モジュールへの電流経路となるバスバーと、を備えた電力変換装置であって、前記バスバーは、前記封止壁と近接して平行に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の電力変換装置によれば、モジュールから引き出される配線部材の面積を低減すると共に、電流経路が形成するループを小さくして寄生インダクタンスを低減することができる。従って、回路上の共振現象を抑制し、過電圧、過電流の発生やノイズの増加防止に寄与できる。
この発明の前記以外の目的、特徴、観点及び効果は、図面を参照する以下のこの発明の詳細な説明から、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1による電力変換装置を示す平面図である。
図2】この発明の実施の形態1による電力変換装置を示す断面図である。
図3】この発明の実施の形態1によるインダクタンス低減効果を説明する概念図である。
図4】この発明の実施の形態1によるインダクタンス低減効果を簡素化モデルによって計算した結果を示す図である。
図5】この発明の実施の形態2による電力変換装置を示す平面図である。
図6】この発明の実施の形態2による電力変換装置の変形例を示す平面図である。
図7】この発明の実施の形態3による電力変換装置を示す平面図である。
図8】この発明の実施の形態4による電力変換装置を示す断面図である。
図9】この発明の実施の形態5による電力変換装置を示す断面図である。
図10】この発明の実施の形態6による電力変換装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明による電力変換装置の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1および図2は、この発明の実施の形態1による電力変換装置を示す平面図および断面図である。図1図2のA−A線断面図を示し、図2図1のB−B線断面図を示している。
実施の形態1による電力変換装置50は、モジュール1、2、3、制御基板4、制御配線5、基準電位配線6、バスバー7、導電性の金属筐体8、封止壁9および封止壁9により保持される封止材の封止樹脂10から構成されている。そして、金属筐体8に接続された電源(図示せず)の基準電位と、基準電位配線6を介してモジュール1、2、3が電気的に接続されると共に、モジュール1、2、3にモジュール1、2、3を駆動制御する制御基板4が制御配線5を介して電気的に接続されている。また、バスバー7は、電源等や複数のモジュール1、2、3同士の間に接続されている。
【0013】
金属筐体8は、金属筐体8に一体となっている壁状構造の封止壁9を有し、モジュール1、2、3の周囲に立設してモジュール1、2、3や制御基板4の一部もしくは全部が封止樹脂10で充填されている。また、金属筐体8にはモジュール1、2、3の取付面の対面に放熱用の突起状部が形成されている。
【0014】
このような構成を有する電力変換装置において、モジュール1、2、3が内包する半導体素子が動作すると、大きなものでは数百アンペアの電流が導通してバスバー7などの配線を通過する。配線には電気抵抗があり、発熱を勘案して安全に導通させることができる電流には制限がある。大電流を導通可能とするためには、配線の電気抵抗を小さくする必要があり、配線の断面積を大きくすることが有効である。配線の断面積を大きくする場合、断面の長辺方向を金属筐体8のモジュール取付面に対して水平方向に配置すると、配線が通る領域を確保するために金属筐体8のモジュール取付面を広げる必要が生じ、電力変換装置を大型化させる。
【0015】
また、モジュール1、2、3の基準電位は基準電位配線6を介して金属筐体8に電気的に接続されているため、電源からバスバー7を通ってモジュール1、2、3が内包する半導体素子を通過した電流の帰還経路は金属筐体8を流れ、電流ループを形成する。電流ループは配線により寄生インダクタンスを持ち、電流ループの面積が大きいほど寄生インダクタンスは大きくなり、電流の変化に応じてエネルギーを蓄積する。これにより回路内に共振現象を発生させて過電圧、過電流を発生させると共にノイズを増加させる。
【0016】
このため実施の形態1による電力変換装置50では、バスバー7が図2に示すように、モジュール1、2、3から引き出された後、金属筐体8のモジュール取付面に対して垂直方向が断面の長辺方向となるように配置されている。モジュール1、2、3の上部には制御基板4が制御配線5を介して接続、配置されているため、金属筐体8のモジュール取付面を広げる必要が無く、バスバー7の断面積を大きくするために確保される領域を抑制することが可能となる。
【0017】
さらに、金属筐体8のモジュール取付面に対して垂直方向が断面の長辺方向となるように配置したバスバー7を、金属筐体8と一体である封止壁9に対して近接して平行に配置する。例えば、電源からの電流はバスバー7を往路としてモジュール1に入り、モジュール1が基準電位配線6を介して金属筐体8に電気的に接続されているため、電源への電流は金属筐体8を復路として電源の基準電位へ流れる。この場合、往路電流は電流ループのインピーダンスが最も小さくなる経路で流れ、バスバー7と近接して平行に配置された封止壁9が復路となることにより、電流ループの寄生インダクタンスを抑制することが可能となる。
【0018】
図3は、この実施の形態の原理を説明する概念図である。図3は、バスバー7、モジュール1、金属筺体8を通って帰還する電流経路の寄生インダクタンスを簡素化して示している。図中のLb1、Lb2は、例えばバスバー7の寄生インダクタンス要素を表し、一方でLh1およびLh2は金属筺体8の寄生インダクタンス要素を表している。ただし、簡素化のために、モジュール1の寄生インダクタンスは省略した。この実施の形態を適用しなかった場合、この電流ループの寄生インダクタンスは、Lb1+Lh1+Lb2+Lh2となる。一方この実施の形態は、金属筺体8にバスバー7と近接して平行に配置された封止壁9を設けたことにより、バスバー8の寄生インダクタンス要素Lb2は、金属筺体8の封止壁9の寄生インダクタンスLb2と結合係数khb(0<khb<1)で結合される。その結果、電流経路ループの寄生インダクタンスは、Lb1+Lh1+Lb2+Lh2―khb√(Lb2・Lh2)となり、この実施の形態を適用しなかった場合に比べて、電流ループのインダクタンスを低減できる。
【0019】
望ましくは、バスバー7と封止壁9の間隔は、バスバー7と封止壁9との電位差に対して電気的絶縁を維持することができる距離以上で、かつバスバー7の断面の長辺寸法距離以下とすることで、バスバーが占有する領域を最少化すると共に、電流経路が形成するループのインダクタンスを最小にすることが可能となる。
以下、図4を参照して、バスバー7と封止壁9の間隔をバスバー7の断面の長辺寸法距離以下にすることでインダクタンスを低減できることを説明する。今、バスバー7を模擬した導体平板と封止壁9を模擬した導体平板を考える。これらの導体平板は共に、平板の断面の長辺寸法はW、平板の断面の短辺寸法(板厚)は無限小、平板の長さはL/2とする。この2つ平板を電気的に接続し、長さLの電流ループを形成し、その寄生インダクタンスを評価する。
【0020】
まず、この実施の形態を適用しなかった極端な例として、バスバー7を模擬した導体平板と封止壁9を模擬した導体平板が同一直線上に配置される場合を考える。この場合の電流ループの寄生インダクタンスLssは、以下の長さL、幅Wの無限小平板の式1で与えられることが知られている。
Lss=(μ0・L/2π)[Ln(2L/W)+1/2+(W/3L)] (式1)
ここで、μ0は真空の透磁率である。次に、この実施の形態を適用して、バスバー7を模擬した導体平板と封止壁9を模擬した導体平板が距離Dだけ離して対向して平行に配置された場合を考える。この場合の電流ループの寄生インダクタンスLspは以下の式2で与えられることが知られている。
Lsp=μ0・L(D/W) (式2)
【0021】
図4は、平板の長さL=100mm、かつ平板の幅W=10mmと、平板の長さL=100mm、かつ平板の幅W=20mmの2例において、平板間距離Dと平板の幅Wの比D/Wと、式1と式2の比Lsp/Lssの関係を図示したものである。図4の結果が示す通り、Lsp/Lssを1以下にするためには、概ねD/Wを1より小さくすれば良い。即ち、バスバー7と封止壁9の間隔をバスバー7の断面の長辺寸法距離以下にすることにより、電流ループのインダクタンス低減効果を得られる。例えば、この実施の形態を適用してD/W=0.2程度にした場合は、電流ループのインダクタンスを8割程度削減できる。
【0022】
以上のように、この実施の形態を適用することにより、大電流に対応するバスバー7が占有する領域を抑制して小型化すると共に、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減する効果がある。
【0023】
このように、実施の形態1による電力変換装置50は、基準電位である金属筐体8と一体である封止壁9と近接して平行にバスバー7を配置すると共に、バスバー7の垂直方向が断面の長辺方向となるように配置することにより、安価かつ組立性に優れた小型でノイズの発生を低減する電力変換装置50を実現することができる。
【0024】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2による電力変換装置について説明する。図5および図6は、実施の形態2による電力変換装置60を示す平面図であり、図1および図2に示した実施の形態1と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付すと共に、一部図示を省略している。
【0025】
実施の形態2による電力変換装置60は、バスバー11で直列に接続されたモジュール1、2、3が、図5では環状の金属筐体に環状もしくは放射状に配置され、また、図6ではU字状の金属筐体に環状もしくは放射状に配置されている。
【0026】
このような構成を有する電力変換装置60において、電源(図示せず)からモジュール1、2、3までの経路には配線による寄生インダクタンスが存在し、電源からの距離が遠いモジュールほど寄生インダクタンスが大きくなりやすい。モジュール1、2、3内の半導体素子が動作してスイッチングし、電流のオン、オフが繰り返されると寄生インダクタンスにエネルギーが蓄積されて回路で共振現象が発生する。特に、電源から遠いことで寄生インダクタンスが大きくなるモジュール3は、他のモジュールに比べて過電圧や過電流の発生およびノイズの増加が顕著に発生するおそれがある。
【0027】
そこで、実施の形態2は、バスバー11の引き回しが長くなる環状もしくは放射状のモジュール配置に対して、電源から遠くなるモジュール3に対してもバスバー11と封止壁9を近接して平行に配置している。この場合、バスバー11と封止壁9が近接して平行に配置されている範囲においては、電源からの電流の往路と復路が対向して流れるため電流ループのインダクタンスを低減することができ、モジュール1、2、3の配置によって発生する回路内の共振現象を抑制することが可能となる。寄生インダクタンス低減の原理は、図3で説明した通りである。
【0028】
つまり、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減する効果がある。
【0029】
このように、実施の形態2による電力変換装置60は、基準電位である環状もしくはU字状の金属筐体と一体である封止壁9と近接して平行にバスバー11を配置することにより、安価かつ組立性に優れた小型でノイズの発生を低減する電力変換装置60を実現することが可能となる。
【0030】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3による電力変換装置について説明する。図7は、実施の形態3による電力変換装置70を示す平面図であり、図5に示した実施の形態2と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付すと共に、一部図示を省略している。
【0031】
実施の形態3による電力変換装置70は、環状構造を有するバスバー12で接続されたモジュール1、2、3が、環状の金属筐体に環状もしくは放射状に配置されている。
【0032】
このような構成を有する電力変換装置70において、電源(図示せず)からモジュール1、2、3までの経路の配線による寄生インダクタンスは、モジュール1、2、3を直列に接続することにより電流経路が並列化されることから配線インダクタンスが低減される。しかし、バスバー12自体が環状構造になることにより、外部磁束がバスバー12に鎖交した場合、誘起電流がバスバー12に流れて共振し、過電圧や過電流の発生およびノイズの増加に至る。
【0033】
しかし、実施の形態3の電力変換装置70は、環状構造を有するバスバー12と封止壁9を近接して平行に配置しており、この場合、バスバー12と封止壁9が近接して平行に配置されている範囲においては、電源からの電流の往路と復路が対向して流れるため電流ループのインダクタンスを低減することができ、バスバー12の環状構造によって発生する回路内の共振現象を抑制することが可能となる。つまり、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減する効果がある。寄生インダクタンス低減の原理は、図3で説明した通りである。
【0034】
このように、実施の形態3による電力変換装置70は、基準電位である環状の金属筐体と一体である封止壁9と近接して平行に環状構造を有するバスバー12を配置することにより、安価かつ組立性に優れた小型でノイズの発生を低減する電力変換装置70を実現することが可能となる。
【0035】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4による電力変換装置について説明する。図8は、実施の形態4による電力変換装置80を示す断面図であり、図2に示した実施の形態1と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付している。
【0036】
実施の形態4による電力変換装置80は、モジュール1、制御基板4、制御配線5、基準電位配線6、バスバー7、金属筐体13、封止壁14、封止樹脂10および電気絶縁部材15から構成されている。そして、金属筐体13に電源(図示せず)の基準電位と、基準電位配線6を介してモジュール1が電気的に接続されると共に、モジュール1を駆動制御する制御基板4が制御配線5を介して電気的に接続されている。また、バスバー7は、電源等や複数のモジュール同士の間に接続されている。
【0037】
金属筐体13は、金属筐体13と一体形成された封止壁14を有し、この封止壁14には、電気絶縁部材15を介して接触するバスバー7を格納する凹型形状部が設けられている。そして、封止壁14をモジュール1の周囲に立設させてモジュール1や制御基板4の一部もしくは全部を封止樹脂10で充填する。
【0038】
このような構成を有する電力変換装置において、バスバー7に大電流を流す場合、バスバー7の電気抵抗によるジュール熱が発生してバスバー7自体や周囲の部品の温度上昇を招く。また、電気抵抗を下げるためにバスバー7の断面積を大きくするとバスバー7の占有領域が増加して電力変換装置の大型化を招く。
しかし、実施の形態4による電力変換装置80は、バスバー7が電気絶縁部材15を介して凹型形状部を有する封止壁14に密着するように配置されている。この場合、封止壁14の凹型形状部にバスバー7を埋め込むように配置することによってバスバー7の占有領域が削減され、電力変換装置80の小型化が可能となる。
【0039】
さらに、バスバー7は封止壁14と電気絶縁部材15を介して密着することによって、電気絶縁部材15に良熱伝導性の材料を用いてバスバー7の熱を封止壁14へ伝達し、バスバー7の温度上昇を抑制してバスバー7自体の寸法を小型化することで、電力変換装置80の小型化が可能となる。
【0040】
つまり、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減しながら、バスバー7の占有領域を削減することで電力変換装置80を小型化する効果がある。寄生インダクタンス低減の原理は、図3で説明した通りである。
【0041】
このように、実施の形態4の電力変換装置80は、金属筐体13と一体の封止壁14に凹型形状部を設けて電気絶縁部材15を介しバスバー7を密着して配置することにより、ノイズの発生を低減しながら小型化する電力変換装置80を実現することが可能となる。
【0042】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5による電力変換装置について説明する。図9は、実施の形態5による電力変換装置90を示す断面図であり、図2に示した実施の形態1と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付している。
【0043】
実施の形態5による電力変換装置90は、モジュール1、制御基板4、制御配線5、基準電位配線6、バスバー7、金属筐体16、封止壁9、封止樹脂10および金属筐体16と別部材で構成された封止壁17を備えている。そして、金属筐体16に電源(図示せず)の基準電位と、基準電位配線6を介してモジュール1が電気的に接続されると共に、モジュール1を駆動制御する制御基板4が制御配線5を介して電気的に接続されている。また、バスバー7は、電源等や複数のモジュール同士の間に接続されている。
【0044】
金属筐体16は、一体となっている封止壁9を有し、金属筐体16とは別部材で構成された封止壁17と共にモジュール1の周囲に立設し、モジュール1や制御基板4の一部もしくは全部が封止樹脂10で充填される。
【0045】
このような構成を有する電力変換装置において、樹脂を封止する壁を金属筐体16と一体で構成する場合、金属の使用量が増加して電力変換装置の高コスト、重量化を招く。そこで、実施の形態5による電力変換装置90は、バスバー7に平行でない範囲の封止壁17を金属筐体16とは別部材とし、安価な樹脂などで構成することにより、電力変換装置90の低廉化と軽量化を可能にしたものである。
【0046】
つまり、実施の形態5による電力変換装置90は、電流ループが形成する寄生インダクタンスを抑制して過電圧、過電流、ノイズの発生を低減しながら、バスバー7と平行しない封止壁17を金属筐体16と別部材で構成したので電力変換装置90を低廉化および軽量化する効果がある。寄生インダクタンス低減の原理は、図3で説明した通りである。
【0047】
このように、この実施の形態5の電力変換装置は、バスバー7と平行しない封止壁17を金属筐体16と別体に設けて配置することで、ノイズの発生を低減しながら低廉化および軽量化する電力変換装置を実現することが可能となる。
【0048】
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6による電力変換装置について説明する。図10は、実施の形態6による電力変換装置100を示す平面図であり、図5に示した実施の形態2と対応もしくは相当する部分には同一の符号を付すと共に、一部図示を省略している。
【0049】
実施の形態6による電力変換装置100は、バスバー12で接続されたモジュール1、2、3、単一または複数のコンデンサで構成されるコンデンサブロック18、19が、環状の金属筐体に環状もしくは放射状に配置されている。コンデンサブロック18、19の正端子20、21はバスバー12と接続され、一方で負端子22、23は金属筺体と接続される。
【0050】
このような構成を有する電力変換装置100において、モジュール1、2、3内の半導体素子がスイッチングする際には、コンデンサブロック18、19から電荷を供給することができる。従って、電源(本実施の形態ではコンデンサブロック18、19)からモジュール1、2、3までの経路の配線による寄生インダクタンスは、コンデンサブロック18、19が無い場合と比べて小さくなる。このような場合においても、この実施の形態によれば、バスバー12と封止壁9が近接して平行に配置されることにより、コンデンサブロック18、19からモジュール1、2、3までの配線の寄生インダクタンスを一層低減する効果が得られる。さらに、この実施の形態を適用しない場合に比べて、コンデンサブロック毎のリップル電流のアンバランスを低減する効果をもたらす。以下、この理由を説明する。
【0051】
本実施の形態において、モジュール1、2、3とコンデンサブロック18、19で形成されるループの寄生インダクタンスは、モジュールのインダクタンスとコンデンサのインダクタンス、およびその接続配線のインダクタンスの和となる。ここで、モジュール1、2、3、およびコンデンサブロック18、19は、それぞれを同一部品とすることにより、その寄生インダクタンスを同等にすることができる。一方で、モジュール1、2、3とコンデンサブロック18、19の互いの位置関係は、インバータの形状の制約で決まるため、一般にはモジュール1、2、3とコンデンサブロック18、19の接続配線の寄生インダクタンスに差異が生じる。しかしながら、この実施の形態で接続配線のインダクタンスを低減したことにより、接続配線の寄生インダクタンスの差異は、モジュールのインダクタンスやコンデンサブロックのインダクタンスに比べて相対的に小さくなる。従って、モジュール1、2、3とコンデンサブロック18、19で形成されるループの寄生インダクタンスの差異を低減できるため、コンデンサブロック18、19毎のリップル電流のアンバランスを低減することができる。
【0052】
このように、実施の形態6による電力変換装置100は、基準電位である環状の金属筐体と一体である封止壁9と近接して平行に環状構造を有するバスバー12を配置することにより、安価かつ組立性に優れた小型でノイズの発生を低減する電力変換装置100を実現することが可能となる。
【0053】
なお、前記実施の形態1から実施の形態6においては、モジュール1、2、3の電極とバスバー7、11、12を一体のものとして説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、モジュール1、2、3内の配線をリードフレームなどで構成し、外部配線のバスバー7、11、12と電気的に接続した構成などを用いることができることは言うまでもない。
【0054】
また、前記実施の形態1から実施の形態6におけるモジュール1、2、3は、内包する半導体素子の数量や種類を限定するものではなく、任意の数のMOSFETやIGBTやダイオードおよびこれらの組み合わせなどを用いることができることは言うまでもない。
【0055】
また、前記実施の形態1から実施の形態6におけるモジュール1、2、3は、外部に基準電位配線6となる電極を有する構成を例示して説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、モジュール1、2、3内のリードフレームやヒートスプレッダなどを介して金属筐体8、13、16と電気的に接続する構成などを用いることができることは言うまでもない。
【0056】
また、前記実施の形態6におけるコンデンサブロック18、19は、その構造や数量および種類を限定するものではないことは言うまでもない。
【0057】
また、前記実施の形態1から実施の形態6において、封止材を樹脂として説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、電気絶縁性や熱伝導性から任意の材料を用いることができることは言うまでもない。
【0058】
また、前記実施の形態1から実施の形態6において、金属筐体8、13、16はモジュール1、2、3の取付面の対面に放熱用の突起状部を有する構造として図示説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、突起状部を有する金属筐体8、13、16の内部に流路を設けて流体による冷却と併用してもよく、また、金属筐体8、13、16に放熱用の突起状部を設けることなく、内部に流路を設けて流体による冷却を用いてもよいことは言うまでもない。
【0059】
以上、この発明の実施の形態1から実施の形態6による電力変換装置について説明したが、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【国際調査報告】