特表-17222019IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年12月28日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】車体前部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20181130BHJP
   B60R 19/04 20060101ALN20181130BHJP
   B60R 21/0136 20060101ALN20181130BHJP
【FI】
   B62D25/08 D
   B60R19/04 M
   B60R21/0136 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】34
【出願番号】特願2018-524161(P2018-524161)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年6月22日
(31)【優先権主張番号】特願2016-125678(P2016-125678)
(32)【優先日】2016年6月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-125680(P2016-125680)
(32)【優先日】2016年6月24日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 聖彦
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 知仁
(72)【発明者】
【氏名】仲西 勇
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 輝
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB16
3D203BB33
3D203BB43
3D203BB44
3D203CA23
3D203CA37
3D203CA53
3D203CA54
3D203CA57
3D203CB09
3D203DA05
3D203DA22
3D203DB02
(57)【要約】
変形容易性と保形性とを併せ持ち、車両の衝突を早期に検知することができると共に、スモールオーバーラップ衝突時におけるパワーユニットの前方移動を抑制することができる車体前部構造を提供する。車体前部構造は、左右一対のフロントサイドフレーム(11,11)と、フロントバルクヘッド(20)とを備えている。フロントバルクヘッド(20)は、上下一対の横枠部(30,30)と、左右一対の縦枠部(40,40)とを有する。縦枠部(40)は、下側に配置される下側縦枠部(40A)と、下側縦枠部(40A)の上側に配置される上側縦枠部(40B)とを互いに連結して構成される。下側縦枠部(40A)は、フロントサイドフレーム(11)の前端部(11a)に固定される。上側縦枠部(40B)には、上側縦枠部(40B)から車両前方へ延びる第2荷重伝達部材(90)と、第2荷重伝達部材(90)よりも上方に配置された衝突検知センサ(100)と、が固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレームと、
前記フロントサイドフレームの前端部に連結されたフロントバルクヘッドと、を備えた車体前部構造であって、
前記フロントバルクヘッドは、左右方向に延在する上下一対の横枠部と、前記横枠部の車幅方向外側の端部同士を繋ぐように上下方向に延在する左右一対の縦枠部と、を有しており、
前記縦枠部は、下側に配置される下側縦枠部と、前記下側縦枠部の上側に配置される上側縦枠部と、を互いに連結して構成されており、
前記下側縦枠部は、前記フロントサイドフレームの前端部に固定されており、
前記上側縦枠部には、前記上側縦枠部よりも車両前方へ突出する荷重伝達部材と、前記荷重伝達部材よりも上方に配置された衝突検知センサと、が固定されていることを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記縦枠部は、中空部材であり、
前記上側縦枠部の延在方向に直交する中空断面積は、前記下側縦枠部の延在方向に直交する中空断面積よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記荷重伝達部材は、上下方向に沿った断面視でハット状のハット断面部を備えており、
前記ハット断面部は、前記上側縦枠部に固定される上下一対の鍔部と、一対の前記鍔部の間に配置され前記上側縦枠部に対して離間する頂部と、を有しており、
前記ハット断面部は、車両前後方向に延在し、前記頂部が前記上側縦枠部の中空部の中心側を向くように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記荷重伝達部材は、平面視略L字状を呈しており、
前記荷重伝達部材の前端部には、車幅方向に延在し、他部品を取り付けるための取付座面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車体前部構造。
【請求項5】
側面視L字状のプロテクタをさらに備えており、
前記衝突検知センサは、前記上側縦枠部の車幅方向内側の側壁に固定されており、
前記プロテクタは、前記衝突検知センサの上方位置又は下方位置において、前記上側縦枠部の車幅方向内側の側壁に固定されると共に、前記衝突検知センサよりも車両前方に位置していることを特徴とする請求項4に記載の車体前部構造。
【請求項6】
前記下側縦枠部と前記フロントサイドフレームの前端部との間に介在する補強部材をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載の車体前部構造。
【請求項7】
前記縦枠部の下端部は、前記横枠部の車幅方向外側の端部の内部に挿入されて固定されていることを特徴とする請求項6に記載の車体前部構造。
【請求項8】
前記荷重伝達部材の車両前方に配置されるフロントバンパビームをさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の車体前部構造。
【請求項9】
前記フロントバルクヘッドの下端部には、前記フロントサイドフレームよりも車幅方向外側に位置する第1荷重受け面が設けられており、
前記フロントサイドフレームの前端部の外側面には、車幅方向外側に張り出す第2荷重受け面が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の車体前部構造。
【請求項10】
前記フロントバルクヘッドは、
前記フロントサイドフレームの前端部に取り付けられる左右一対の前記縦枠部と、
前記横枠部のうち左右一対の前記縦枠部の上端部間に着脱自在に架設されるとともに、下方に開口を有する切欠きである逃げ部が形成されている第一の横枠部と、
を備えており、
前記逃げ部の開口を開閉自在であるとともに、前記逃げ部との間にラジエータホース挿通孔を構成する架設部材と、
前記第一の横枠部に取り付けられているフードロックと、
前記第一の横枠部の前記逃げ部及び前記フードロックの取付部位を補強する補強部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項11】
前記第一の横枠部は、
上壁部と、当該上壁部の後端部から下方へ延設されている後壁部と、を一体に有する後側部材と、
前記後側部材とともに閉断面を構成する前側部材と、
によって構成されており、
前記前側部材には、当該前側部材の下方にラジエータが収容されるように凹部が形成されており、
前記フードロックは、前記後壁部に固定されており、
前記補強部材は、前記上壁部及び前記後壁部を補強する
ことを特徴とする請求項10に記載の車体前部構造。
【請求項12】
前記第一の横枠部は、
上壁部と、当該上壁部の後端部から下方へ延設されている後壁部と、を一体に有する後側部材と、
前記後側部材とともに閉断面を構成する前側部材と、
によって構成されており、
前記架設部材は、
前記逃げ部の開口の両端間に延設されている本体部と、
前記本体部の下端部から車両前後方向のいずれかに延設されているフランジ部と、
を一体に備え、
前記架設部材は、前記逃げ部の開口を閉じるように前記補強部材に架設されている
ことを特徴とする請求項10に記載の車体前部構造。
【請求項13】
前記横枠部のうち前記第一の横枠部よりも下方において左右一対の前記縦枠部間に架設されている第二の横枠部を備え、
前記第一の横枠部には、ラジエータの上端部が取り付けられる取付部が形成されており、
前記第二の横枠部には、ラジエータの下端部が取り付けられる取付部が形成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の車体前部構造。
【請求項14】
前記第一の横枠部は、
上壁部と、当該上壁部の後端部から下方へ延設されている後壁部と、を一体に有する後側部材と、
前記後側部材とともに閉断面を構成する前側部材と、
によって構成されており、
前記第一の横枠部の左右両端部において、前記前側部材と前記後側部材との間には、前記縦枠部の上端部が挿入される開口部が構成されており、
前記縦枠部の前壁部の上端部は、前記前側部材とボルト締結されており、
前記縦枠部の後壁部の上端部は、前記後側部材とボルト締結されている
ことを特徴とする請求項10に記載の車体前部構造。
【請求項15】
前記縦枠部には、車両の衝突を検知する衝突検知センサが取り付けられており、
前記フードロックは、当該フードロックの左右両端部において前記後側部材に固定されており、
前記補強部材は、
前記フードロックの左右の固定部位の一方を補強する第一の板部と、
前記フードロックの左右の固定部位の他方及び前記逃げ部周りを補強する第二の板部と、
に分割されており、
前記第一の板部及び前記第二の板部は、離間している
ことを特徴とする請求項11に記載の車体前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両には、前突時に乗員を保護するためのエアバッグ装置が搭載されている。エアバッグ装置は、車体前部に設置された衝突検知センサが衝突を検知すると、車室内のエアバッグを展開するように構成されている。衝突検知センサの設置位置は、車両の衝突を短時間で検知し、エアバッグを迅速に展開する上で重要となるため、種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車幅方向に延びるラジエタシュラウドアッパと、ラジエタシュラウドアッパの前斜め下方に配置されたバンパレインフォースメントとを連結する連結部材に衝突検知センサを設置した発明が開示されている。特許文献1の発明によれば、車両の前突時に連結部材が車両後方に変形し、衝突検知センサが車両後方へ移動することで車両の衝突を検知することができる。
【0004】
ところが、特許文献1の連結部材は、断面視コ字状の単一部材からなり比較的剛性が高いため、車両の前突時に変形しにくい虞がある。このため、連結部材に設置された衝突検知センサの車両後方への移動量も抑制され、衝突の早期検知を図る上で改善の余地が残されている。すなわち、センサの設置対象材が変形しやすいほど、衝突検知センサの後方移動を促進し、衝突の早期検知に繋がるため、設置対象材の変形容易性(低剛性)が必要となる。
【0005】
このような要求を満たすものとして、特許文献2には、正面視四角枠状のフロントバルクヘッドを構成する左右両側の縦枠部にパネル材を使用し、縦枠部に衝突検知センサを設置した発明が開示されている。特許文献2の発明によれば、縦枠部がパネル材からなり比較的剛性が低いため、車両の前突時に変形しやすくなり、衝突の早期検知を実現することができる。
【0006】
ところで、対向車等の衝突物がフロントサイドフレームよりも車幅方向外側の位置で衝突するスモールオーバーラップ衝突の際に、エンジン・トランスミッション等のパワーユニットが車両前方に移動し、フロントバルクヘッドを構成する下方の横枠部に当たる場合がある。この場合、横枠部に加わる前方荷重を支えるためには、下方の横枠部に連結する縦枠部の剛性を高める必要がある。すなわち、縦枠部の保形性(高剛性)が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−205820公報
【特許文献2】特開2003−063445公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の発明は、センサの設置対象材である連結部材の変形容易性が不十分であるため、衝突の早期検知が困難となる。
【0009】
一方、特許文献2の発明は、センサの設置対象材である縦枠部の変形容易性が十分であるものの、縦枠部の保形性が不十分となるため、スモールオーバーラップ衝突時に横枠部に加わる前方荷重を縦枠部により支え切れない。このため、パワーユニットの更なる前方移動を許してしまう虞がある。
【0010】
そこで、センサの設置対象材を容易に変形させることができる変形容易性と、横枠部に加わる前方荷重を好適に支えることができる保形性と、を併せ持つ車体前部構造の開発が希求されている。
【0011】
このような観点から、本発明は、変形容易性と保形性とを併せ持ち、車両の衝突を早期に検知することができると共に、スモールオーバーラップ衝突時におけるパワーユニットの前方移動を抑制することができる車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため本発明は、車両前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレームと、前記フロントサイドフレームの前端部に連結されたフロントバルクヘッドと、を備えた車体前部構造であって、前記フロントバルクヘッドは、左右方向に延在する上下一対の横枠部と、前記横枠部の車幅方向外側の端部同士を繋ぐように上下方向に延在する左右一対の縦枠部と、を有している。前記縦枠部は、下側に配置される下側縦枠部と、前記下側縦枠部の上側に配置される上側縦枠部と、を互いに連結して構成されている。前記下側縦枠部は、前記フロントサイドフレームの前端部に固定されている。前記上側縦枠部には、前記上側縦枠部よりも車両前方へ突出する荷重伝達部材と、前記荷重伝達部材よりも上方に配置された衝突検知センサと、が固定されている。
【0013】
本発明によれば、縦枠部が下側縦枠部と上側縦枠部とを互いに連結して構成されていることにより、両者の境界部の強度が低くなるため、縦枠部の途中に折れ部(脆弱部)を設定できる。また、下側縦枠部のみがフロントサイドフレームに固定されているため、衝突荷重に対する下側縦枠部の剛性を上側縦枠部よりも高めることができる。さらに、上側縦枠部には車両前方へ突出する荷重伝達部材が固定されるため、上側縦枠部に衝突荷重が伝達されやすくなる。これにより、車両の前突時には上側縦枠部が境界部を基点に車両後方へ変形しやすくなる。この結果、上側縦枠部に固定された衝突検知センサが車両後方へ円滑に移動可能となるため、車両の衝突を早期に検知することができる。
また、本発明によれば、下方の横枠部には高剛性の下側縦枠部が連結されるため、スモールオーバーラップ衝突時に下方の横枠部に加わる前方荷重を下側縦枠部により好適に支えることが可能となり、パワーユニットの更なる前方移動を抑制することができる。
つまり、本発明によれば、衝突検知センサの設置対象材である上側縦枠部が優れた変形容易性を備え、横枠部に連結される下側縦枠部が優れた保形性を備えるため、変形容易性と保形性とを併せ持つ車体前部構造を実現することができる。
【0014】
また、前記縦枠部は、中空部材であり、前記上側縦枠部の延在方向に直交する中空断面積は、前記下側縦枠部の延在方向に直交する中空断面積よりも小さく形成されていることが好ましい。
【0015】
このようにすると、上側縦枠部の延在方向に直交する中空断面積は下側縦枠部の中空断面積よりも小さく形成されているため、上側縦枠部の強度・剛性が下側縦枠部よりも低下して、上側縦枠部を変形させやすくなる。
【0016】
また、前記荷重伝達部材は、上下方向に沿った断面視でハット状のハット断面部を備えており、前記ハット断面部は、前記上側縦枠部に固定される上下一対の鍔部と、一対の前記鍔部の間に配置され前記上側縦枠部に対して離間する頂部と、を有していることが好ましい。前記ハット断面部は、車両前後方向に延在し、前記頂部が前記上側縦枠部の中空部の中心側を向くように配置されていることが好ましい。
【0017】
このようにすると、荷重伝達部材に入力された衝突荷重が上側縦枠部に伝達されやすくなり、上側縦枠部を変形させやすくなる。
【0018】
また、前記荷重伝達部材は、平面視略L字状を呈しており、前記荷重伝達部材の前端部には、車幅方向に延在し、他部品を取り付けるための取付座面が形成されていることが好ましい。
【0019】
このようにすると、車両前方から入力される衝突荷重を取付座面で広く受けることができる。
【0020】
また、本発明は、側面視L字状のプロテクタをさらに備えており、前記衝突検知センサは、前記上側縦枠部の車幅方向内側の側壁に固定されていることが好ましい。前記プロテクタは、前記衝突検知センサの上方位置又は下方位置において、前記上側縦枠部の車幅方向内側の側壁に固定されると共に、前記衝突検知センサよりも車両前方に位置していることが好ましい。
【0021】
このようにすると、車両の前突時に破損した車体前部が衝突検知センサよりも先にプロテクタに当たりやすくなるため、衝突検知センサの破損を抑制することができる。
【0022】
また、前記下側縦枠部と前記フロントサイドフレームの前端部との間に介在する補強部材をさらに備えていることが好ましい。
【0023】
スモールオーバーラップ衝突時には、パワーユニットが車両前方に移動して下方の横枠部に当たると、下側縦枠部がフロントサイドフレームとの固定部を中心に車両前方へ回動する状態(ブランコモード)となる。本発明では、固定部に補強部材を設けることで、ブランコモード発生時には補強部材に応力が集中するため、下側縦枠部の板切れを抑制することができる。
【0024】
また、前記縦枠部の下端部は、前記横枠部の車幅方向外側の端部の内部に挿入されて固定されていることが好ましい。
【0025】
このようにすると、縦枠部の下端部が横枠部の車幅方向外側の端部の内部に挿入されて固定されるため、横枠部と縦枠部との結合力が高まり、ブランコモードを抑制できる。
【0026】
また、前記荷重伝達部材の車両前方に配置されるフロントバンパビームをさらに備えていることが好ましい。
【0027】
このようにすると、車両の前突時にフロントバンパビームが後退すると、荷重伝達部材が車両後方に押されるため、荷重伝達部材が固定される上側縦枠部に衝突荷重を好適に伝達することができる。これにより、上側縦枠部を変形させやすくなるため、車両の衝突を早期に検知することができる。
【0028】
また、前記フロントバルクヘッドの下端部には、前記フロントサイドフレームよりも車幅方向外側に位置する第1荷重受け面が設けられており、前記フロントサイドフレームの前端部の外側面には、車幅方向外側に張り出す第2荷重受け面が設けられていることが好ましい。
【0029】
このようにすると、スモールオーバーラップ衝突にも対応可能な車体構造を実現することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る車体前部構造によれば、変形容易性と保形性とを併せ持ち、車両の衝突を早期に検知することができると共に、スモールオーバーラップ衝突時におけるパワーユニットの前方移動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第一実施形態に係る車体前部構造が適用された車両の車体前部の斜視図である。
図2】フロントバルクヘッドの左側を示す左斜め前方から見下ろした斜視図である。
図3】縦枠部の第1板体、第2板体及び第3板体を示す斜視図である。
図4図3に示す縦枠部に第4板体、第5板体及び第6板体を組み付けた状態を示す斜視図である。
図5】(a)は図4のVa−Va線断面図であり、(b)は図4のVb−Vb線断面図である。
図6】縦枠部と取付プレートと補強部材を示す分解斜視図である。
図7】車体前部の左側面図である。
図8図2のVIII−VIII線断面図である。
図9】第1荷重伝達部材及びインタークーラ取付ブラケットの拡大斜視図である。
図10図9のX-X線断面図である。
図11図9のXI-XI線断面図である。
図12】第2荷重伝達部材の拡大斜視図である。
図13図12のXIII-XIII線断面図である。
図14図12のXIV-XIV線断面図である。
図15図2の矢印Y方向から見た斜視図である。
図16】電柱に対してスモールオーバーラップ衝突したときの状態を示す底面図である。
図17】スモールオーバーラップ衝突したときの衝突荷重の伝達経路を模式的に示す左側面図である。
図18】パワーユニットが横枠部に当たったときの下側縦枠部の挙動を模式的に示す斜視図である。
図19】本発明の第二実施形態に係る車体前部構造を示す斜視図である。
図20】本発明の第二実施形態に係る車体前部構造を示す正面図である。
図21図20のXXI−XXI線断面図である。
図22図20のXXII−XXII線断面図である。
図23図19の第一の横枠部を後方から見た部分拡大図である。
図24図19の第一の横枠部からフードロックブラケット及び後側部材を外した状態を後方から見た部分拡大図である。
図25】フロントバルクヘッドを示す斜視図である。
図26】フロントバルクヘッドの上側の隅部を示す斜視図である。
図27】フロントバルクヘッドの上側の隅部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の第一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中に矢印で示される、「前後」及び「上下」は、車体前後方向及び車体上下方向を示し、「左右」は、運転席から見た左右方向(車幅方向)をそれぞれ示している。また、本実施形態において、縦断面とは、鉛直断面のことをいい、横断面とは、水平断面のことをいう。
【0033】
はじめに、本発明の車体前部構造が適用された車両10の全体構成について説明する。
図1に示すように、車両10は、車両前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレーム11,11と、左右のフロントサイドフレーム11,11の前端部に取付プレート17,17を介してそれぞれ設置されたバンパビームエクステンション12,12とを備えている。車両10は、左右のバンパビームエクステンション12,12に架設されたフロントバンパビーム13と、フロントサイドフレーム11,11よりも下方に配置されるフロントサブフレーム14とを備えている。
【0034】
また、車両10は、左右のバンパビームエクステンション12,12の内側に設置されたフロントバルクヘッド20と、フロントバルクヘッド20の上端部を支える左右のアッパメンバ15,15と、フロントサイドフレーム11の車外側でバンパビームエクステンション12の後端部に連結された左右のロアメンバ16,16とを備えている。
【0035】
フロントサイドフレーム11やフロントバルクヘッド20等に囲まれた空間は、エンジンやトランスミッション等を含むパワーユニット140(図16参照)が配置される動力搭載室18となる。フロントサイドフレーム11の前端部の外側面には、車幅方向外側に張り出すガセット19(図16参照)が設置されている。ガセット19は、フロントサイドフレーム11とバンパビームエクステンション12とを繋いでいる。ガセット19は、底面視三角形状を呈しており、車両前方へ向かうほど車幅方向外側に広がる形状となっている。ガセット19は、請求の範囲の第2荷重受け面を構成している。
【0036】
次に、フロントバルクヘッド20の構成について詳しく説明する。
フロントバルクヘッド20は、正面視矩形枠状を呈する金属製部材である。フロントバルクヘッド20は、左右方向に延在する上下一対の横枠部30,30と、横枠部30,30の車幅方向外側の端部同士を繋ぐように上下方向に延在する左右一対の縦枠部40,40とを有している。
【0037】
図2に示すように、縦枠部40の後端部には、補強部材50及び支持部材60が付設され、縦枠部40の下端部には、第1荷重伝達部材70及びインタークーラ取付ブラケット80が付設される。縦枠部40の上半部には、第2荷重伝達部材90、衝突検知センサ100及びプロテクタ110が付設されている。各部材については後に詳しく説明する。
【0038】
図3に示すように、横枠部30は、金属板を各々プレス加工して成形された下側部材31と蓋部材32とを溶接で接合することによって構成された部材である。下側部材31は、車両前後方向に沿った縦断面視で上向きに開口するハット状を呈する。下側部材31の車幅方向外側部位には、蓋部材32に閉塞されることなく上方に開口する開断面部33が形成されている。
【0039】
下側部材31は、車両前後方向及び車幅方向に延在する下壁部31aと、下壁部31aの前縁から上方へ延出する前壁部31bと、下壁部31aの後縁から上方へ延出する後壁部31cとを備えている。また、下側部材31は、前壁部31bの上縁から車両前方へ延出するフランジ部31dと、後壁部31cの上縁から車両後方へ延出するフランジ部31eとを備えている。
【0040】
蓋部材32は、下側部材31の上部開口の一部を上方から閉塞する部材である。蓋部材32は、上向きに開口するハット状を呈しており、下側部材31の形状に適合する形状となっている。すなわち、蓋部材32は、車両前後方向及び車幅方向に延在する上壁部32aと、上壁部32aの前縁から上方へ延出する前壁部32bと、上壁部32aの後縁から上方へ延出する後壁部32cと、前壁部32bの上縁から車両前方へ延出するフランジ部32dと、後壁部32cの上縁から車両後方へ延出するフランジ部32eとを備えている。
【0041】
フランジ部32dは、フランジ部31dの上面に溶接で接合されている。フランジ部32eは、フランジ部31eの上面に溶接で接合されている。蓋部材32の車幅方向外側の端部には、上方へ延出する接合フランジ32fが形成されている。接合フランジ32fは、縦枠部40の車内側壁42に溶接で接合されている。
【0042】
図3及び図4に示すように、縦枠部40は、金属板を各々プレス加工して成形された複数(本実施形態では6つ)の第1板体49a〜第6板体49fを溶接で接合することによって構成された中空部材である。各板体49a〜49fは、横断面視略L字状を呈する。各板体49a〜49fは、互いの壁部や縁部同士を接合して組み付けられている。縦枠部40は、後側壁41と、車内側壁42と、底壁43と、前側壁44と、車外側壁45と、前方延出部46と、車体取付座47と、中空部48とを備えている。
【0043】
図3に示すように、後側壁41は、主として第1板体49aと第2板体49bで構成されており、車幅方向及び上下方向に延在する壁状部位である。後側壁41の上端部は、車内側壁42よりも上方位置まで延びており、上方の横枠部30に溶接で接合されている。後側壁41の下端部は、開断面部33の内部まで延びている。後側壁41には、複数(本実施形態では3つ)の貫通孔41a〜41cが形成されている。貫通孔41a〜41cは、上下方向に間隔を空けて配置されている。
【0044】
車内側壁42は、主として第1板体49aと第2板体49bで構成されており、車両前後方向及び上下方向に延在する壁状部位である。車内側壁42の下端部は、接合フランジ32fと車幅方向で重なる位置まで延びている。
【0045】
底壁43は、主として第3板体49cで構成されており、車両前後方向及び車幅方向に延在する壁状部位である。底壁43は、開断面部33の内部に配置されている。底壁43は、下壁部31aの上面に溶接で接合されている。底壁43の前縁及び後縁には、上方に起立する前フランジ43a及び後フランジ43bがそれぞれ形成されている。前フランジ43aは、前壁部31bの後面に溶接で接合されている。後フランジ43bは、後側壁41を介して、後壁部31cの前面に溶接で接合されている。
【0046】
図4に示すように、前側壁44は、主として第4板体49dと第5板体49eと第6板体49fで構成されており、車幅方向及び上下方向に延在する壁状部位である。前側壁44の下端部には、車両前方へ延出する前フランジ44aが形成されている。前フランジ44aは、フランジ部31dの上面に溶接で接合されている。
【0047】
車外側壁45は、主として第4板体49dと第5板体49eと第6板体49fで構成されており、車両前後方向及び上下方向に延在する壁状部位である。車外側壁45の下端部は、開断面部33の内部まで延びている。車外側壁45の下端部には、車幅方向外側へ延出する外フランジ45aが形成されている。外フランジ45aは、底壁43を介して、下壁部31aの上面に溶接で接合されている。車外側壁45の下端部には、複数(本実施形態では2つ)の貫通孔45b,45cが形成されている。貫通孔45b,45cは、上下方向に間隔を空けて配置されている。
【0048】
前方延出部46は、縦枠部40の下端部に設けられ、車両前方へ向けて延出するように湾曲(屈曲)する部位である。前方延出部46は、前側壁44、車外側壁45及び後側壁41の下端部を全体的に上方から下方へ向かうにつれて車両前方に屈曲(湾曲)することで形成されている。前方延出部46は、縦枠部40の中で最も車両前方へ延出している。
【0049】
車体取付座47は、後側壁41の車外側部位に設けられ、フロントサイドフレーム11が取り付けられる部位である。車体取付座47には、後側壁41に形成された貫通孔41a〜41cのうち2つの貫通孔41a,41bが配置されている。
【0050】
車体取付座47についてより詳しく説明する。後側壁41の上下方向の中央部(取付プレート17と前後で重なる部位)は、略一定の幅で上下方向に延在している。前側壁44及び車外側壁45の上下方向の中央部(取付プレート17と前後で重なる部位)は、下方から上方へ向かうにつれて車幅方向内側に位置するように傾斜した後、略直線状に上方へ延びている。これにより、後側壁41の車外側部位には車外側壁45(中空部48)よりも車外側に延在して露呈する車体取付座47が形成される。また、中空部48の上下方向の中央部は、取付プレート17と前後で重なる位置において、車幅方向内側に偏って配置される。
【0051】
ここで、図2及び図5を参照して、縦枠部40についてさらに詳しく説明する。
図2に示すように、縦枠部40は、衝突荷重に対する剛性の強弱差から、下側に配置される下側縦枠部40Aと、下側縦枠部40Aの上側に配置される上側縦枠部40Bとに分けられる。すなわち、縦枠部40は、フロントサイドフレーム11に車両後方から支持されることで衝突荷重に対する剛性が高い下側縦枠部40Aと、フロントサイドフレーム11に支持されておらず衝突荷重に対する剛性が低い上側縦枠部40Bと、を互いに連結して構成されている。
【0052】
下側縦枠部40Aは、フロントサイドフレーム11に直に固定された第2板体49bと、第2板体49bと上下方向で略同位置に配置された第5板体49eと、第2板体49bよりも下方位置に配置された第3板体49c及び第6板体49fとからなる。上側縦枠部40Bは、第2板体49bよりも上方位置に配置された第1板体49aと第4板体49dとからなる。下側縦枠部40Aと上側縦枠部40Bとの境界部40Cは、車両10の前突時に折れ部(脆弱部)として機能する。
【0053】
図5(a),(b)に示すように、縦枠部40は、上下方向に連続する中空部48を有している。中空部48の形状は、四角筒状に形成されている。図5(a)に示す下側縦枠部40A側の中空部48は、第2板体49bと第5板体49eとによって囲まれて形成されている。下側縦枠部40A側の中空部48の車両前後方向に沿う寸法La1は、車幅方向に亘って略一定である。下側縦枠部40A側の中空部48の車幅方向に沿う寸法La2は、車両前後方向に亘って略一定である。
【0054】
図5(b)に示す上側縦枠部40B側の中空部48は、第1板体49aと第4板体49dとによって囲まれて形成されている。上側縦枠部40B側の中空部48の車両前後方向に沿う寸法Lb1は、車幅方向に亘って略一定である。上側縦枠部40B側の中空部48の車幅方向に沿う寸法Lb2は、車両前後方向に亘って略一定である。
【0055】
上側縦枠部40B側の中空部48の車両前後方向に沿う寸法Lb1は、下側縦枠部40A側の中空部48の車両前後方向に沿う寸法La1と同等乃至略同等に形成されている。上側縦枠部40B側の中空部48の車幅方向に沿う寸法Lb2は、下側縦枠部40A側の中空部48の車幅方向に沿う寸法La2よりも小さく形成されている。このため、上側縦枠部40Bの延在方向に直交する中空断面積は、下側縦枠部40Aの延在方向に直交する中空断面積よりも小さく形成されている。なお、車両前後方向に沿う寸法La1,Lb1及び車幅方向に沿う寸法La2,Lb2のうち少なくとも一方を調整することで上側縦枠部40Bの中空断面積を小さくしてもよい。
【0056】
次に、図6を参照して、取付プレート17及び補強部材50について詳しく説明する。
【0057】
取付プレート17は、フロントサイドフレーム11の前端部11aに設けられた板状部材である。取付プレート17は、金属板に折曲形状や切欠形状を施すことで所定の複雑形状に形成されている。取付プレート17には、車体取付座47の貫通孔41a,41bに連通する貫通孔17a,17bが形成されている。
【0058】
補強部材50は、取付プレート17と車体取付座47との間に介在する板状部材である。補強部材50は、金属板に折曲形状や切欠形状を施すことで所定の複雑形状に形成されている。補強部材50は、車体取付座47の貫通孔41bと取付プレート17の貫通孔17bとの周囲(周縁)に重ねて配置されている。補強部材50は、貫通孔41b,17bの周囲を補強する機能を備えている。
【0059】
補強部材50には、貫通孔41b,17bに連通する貫通孔51が形成されている。貫通孔41b,51,17bには、車体取付座47と補強部材50と取付プレート17とを結合するためのボルトBが挿入される。三者の固定部は、境界部40Cよりも下方位置であって、前方延出部46よりも上方位置に配置されている。固定部は、下側縦枠部40Aの上下方向の中間部付近に配置されている。
【0060】
次に、図7及び図8を参照して、フロントサブフレーム14及び支持部材60について詳しく説明する。
図7に示すように、フロントサブフレーム14は、車両前後方向に延設された前後フレーム14aを左右一対有している(図7では一方のみ図示)。前後フレーム14aは、前方延出部46及び開断面部33の車両後方に配置されている。前後フレーム14aは、フロントサイドフレーム11に対して下方に離間配置されている。
【0061】
支持部材60は、前後フレーム14aとフロントサイドフレーム11との間に介設された中空部材である。支持部材60は、フロントサイドフレーム11の前端部11aの下面に対して前後フレーム14aの前端部14bを支持する役割を果たしている。図示は省略するが、支持部材60は、金属板を各々プレス加工して成形された複数の板体を溶接で接合することによって構成されている。支持部材60は、縦枠部40の車両後方に配置されている。
【0062】
図8に示すように、縦枠部40に臨む支持部材60の前壁61には、車両前方に膨出する膨出部62が形成されている。膨出部62は、前方延出部46の後面(後側壁41)の形状に沿ったテーパ形状に形成されている。すなわち、膨出部62の膨出量は、上方から下方へ向かうにつれて漸増している。膨出部62は、前方延出部46の後面に当接している。
【0063】
支持部材60の前壁61には、後側壁41の貫通孔41cに連通する貫通孔61aが形成されている。貫通孔61a,41cには、支持部材60と後側壁41とを結合するためのボルトBが挿入される。支持部材60の底壁63は、前後フレーム14aにボルトBで結合されている。
【0064】
次に、図9乃至図11を参照して、第1荷重伝達部材70及びインタークーラ取付ブラケット80について詳しく説明する。
【0065】
図9に示すように、第1荷重伝達部材70は、フロントサイドフレーム11(図2等参照)よりも車幅方向外側に位置し、スモールオーバーラップ衝突の際に入力される衝突荷重を縦枠部40を介してフロントサイドフレーム11に伝達するための部材である。第1荷重伝達部材70は、金属板に折曲形状や切欠形状が施されることで所定の複雑形状に形成されている。第1荷重伝達部材70は、前方延出部46の外側面(車外側壁45)に固定されている。第1荷重伝達部材70は、請求の範囲の第1荷重受け面を構成している。
【0066】
第1荷重伝達部材70は、車両前後方向及び車幅方向に延在する上面71と、上面71の車外縁から下方へ延出する傾斜面72と、傾斜面72の下縁から車幅方向内側へ延出する下面73と、上面71と傾斜面72と下面73の前縁から構成されコ字状を呈する前端部74とを備えている。また、第1荷重伝達部材70は、上面71の車内縁から上方へ延出する上フランジ75と、下面73の車内縁から下方へ延出する下フランジ76(図11参照)と、傾斜面72及び下面73の後縁から車両後方へ延出する係止部77とを備えている。なお、前端部74の形状は特段限定されるものではなく、例えば上面71と傾斜面72と下面73の前縁開口を覆う矩形面状に形成されてもよい。
【0067】
図10に示すように、傾斜面72は、前端部74の車幅方向外側に連続し車両前方から後方へ向かうにつれて車幅方向外側へ傾斜している。前端部74と傾斜面72は、スモールオーバーラップ衝突時に衝突荷重を受ける当接面(荷重受け面)となる。係止部77は、傾斜面72及び下面73の後縁に亘って形成されており、車幅方向に沿った縦断面視L字状を呈する。係止部77は、前後フレーム14aの前端部14bの車幅方向外側に位置している。
【0068】
図11に示すように、上フランジ75には、車外側壁45の貫通孔45bに連通する貫通孔75aが形成されている。下フランジ76には、車外側壁45の貫通孔45cに連通する貫通孔76aが形成されている。上フランジ75及び下フランジ76は、車外側壁45にボルトB,Bでそれぞれ固定されている。
【0069】
図9に示すように、インタークーラ取付ブラケット80は、図示せぬインタークーラを取り付けるための部材であって、横枠部30の車幅方向外側の端部に固定されている。インタークーラ取付ブラケット80は、金属板に折曲形状や凹凸形状が施されることで所定の複雑形状に形成されている。インタークーラ取付ブラケット80は、車両前後方向及び車幅方向に延在しインタークーラが載置される載置面81と、載置面81の後縁から下方へ延出する後フランジ82とを備えている。
【0070】
載置面81の後方部位は、フランジ部31dの下面に溶接で接合されている(図8参照も併せて参照)。後フランジ82は、前壁部31bの前面に溶接で接合されている。すなわち、インタークーラ取付ブラケット80は、フランジ部31dと、フランジ部31dに隣接する前壁部31bとにそれぞれ固定されている。
【0071】
次に、図12乃至図14を参照して、第2荷重伝達部材90について詳しく説明する。
【0072】
図12に示すように、第2荷重伝達部材90は、車両10の衝突の際に入力される衝突荷重を上側縦枠部40Bに伝達するための部材である。第2荷重伝達部材90は、金属板に折曲形状や切欠形状が施されることで所定の複雑形状に形成されている。第2荷重伝達部材90は、上側縦枠部40Bの下端部(境界部40C付近)に設置されている。第2荷重伝達部材90は、上側縦枠部40Bよりも車両前方へ突出している。第2荷重伝達部材90は、フロントバンパビーム13の車両後方に配置されている(図7参照)。すなわち、第2荷重伝達部材90は、衝突時に後退したフロントバンパビーム13によって車両後方に押圧される位置に配置されている。
【0073】
第2荷重伝達部材90は、車両前後方向及び上下方向に延在するハット断面部91と、ハット断面部91の前縁から車幅方向内側へ延出する取付座面92とを備えており、平面視略L字状を呈する。
【0074】
図13に示すように、ハット断面部91は、車幅方向に沿った縦断面視でハット状を呈する。ハット断面部91は、上側縦枠部40Bに固定される上下一対の上鍔部91a及び下鍔部91bと、上鍔部91aと下鍔部91bとの間に配置され上側縦枠部40Bに対して車外側に離間する頂部91cとを有している。頂部91cは、車内側に開口する溝状を呈する。
【0075】
図14に示すように、ハット断面部91は、頂部91cが中空部48の中心C側を向くように配置されている。頂部91cは、中心Cを通る車両前後方向に沿う仮想平面上と車両前後方向で重なる位置に配置されている。上鍔部91a及び下鍔部91bは、車内側壁42に溶接でそれぞれ接合されている。
【0076】
取付座面92は、図示せぬラジエータを取り付けるための部位である。取付座面92は、車幅方向及び上下方向に延在する略鉛直状に形成されている。取付座面92は、ハット断面部91に対して交差(本実施形態では直交)している。
【0077】
次に、図15を参照して、衝突検知センサ100及びプロテクタ110について詳しく説明する。
【0078】
図15に示すように、衝突検知センサ100は、例えば、車両後方に移動して加速度を検知することにより、車両10の衝突を検知する加速度センサからなる。図示せぬ車室内のエアバッグは、衝突検知センサ100が検知した加速度に基づいて展開されるように構成されている。衝突検知センサ100は、上側縦枠部40B側の車内側壁42にブラケット120を介して固定されている。衝突検知センサ100は、第2荷重伝達部材90よりも上方に配置されている。
【0079】
プロテクタ110は、衝突検知センサ100の下方近傍位置において、上側縦枠部40B側の車内側壁42に固定されている。プロテクタ110は、金属板に折曲形状が施されることで所定の複雑形状に形成されている。プロテクタ110は、側面視L字状を呈する。プロテクタ110は、衝突検知センサ100よりも車両前方に位置している。プロテクタ110は、衝突時に破損した車体前部に衝突検知センサ100よりも先に当接可能に構成されている。
【0080】
プロテクタ110は、車両前後方向及び上下方向に延在するプロテクタ縦壁111と、プロテクタ縦壁111の上縁から車両後方へ延出し前後方向及び上下方向に延在するプロテクタ横壁112とを備えている。プロテクタ横壁112は、前後に並ぶ複数本(本実施形態では2本)のボルトB,Bで上側縦枠部40B側の車内側壁42に結合されている。プロテクタ縦壁111の前縁及びプロテクタ横壁112の上縁には、剛性を高めるための折返部113が折曲形成されている。折返部113は、プロテクタ縦壁111の前縁及びプロテクタ横壁112に直交する方向(車幅方向内側)に延在している。なお、プロテクタ110は、衝突検知センサ100の上方近傍位置に設置されてもよい。
【0081】
本実施形態に係る車体前部構造が適用された車両10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0082】
図16は、本発明の実施形態に係る車体前部構造が適用された車両10が、電柱130に対してスモールオーバーラップ衝突したときの状態を示す底面図である。図17は、スモールオーバーラップ衝突したときの衝突荷重の伝達経路を模式的に示す側面図である。
【0083】
図16に示すように、本実施形態に係る車両10が衝突物である電柱130とスモールオーバーラップ衝突した場合、電柱130は、第1荷重伝達部材70に衝突し、第1荷重伝達部材70が電柱130によって後方に押圧される。このとき、第1荷重伝達部材70の前端部74と傾斜面72の2面に電柱130が当接する。
【0084】
続いて、図17に示すように、第1荷重伝達部材70が結合された前方延出部46を通じて縦枠部40に衝突荷重が伝達される。縦枠部40に伝達された衝突荷重は、フロントサイドフレーム11に伝達される。
【0085】
また、縦枠部40に結合された支持部材60にも衝突荷重が伝達される。支持部材60に伝達された衝突荷重は、上方に位置するフロントサイドフレーム11と下方に位置するフロントサブフレーム14にそれぞれ伝達される。
【0086】
そして、フロントサイドフレーム11は、衝突荷重によって変形(曲げ変形又は軸圧壊)し、この変形によって衝突エネルギが吸収される。
【0087】
ところで、図16に示すように、スモールオーバーラップ衝突の際には、エンジン・トランスミッション等のパワーユニット140が車両前方に移動し、フロントバルクヘッド20の下方の横枠部30に当たる場合がある。
【0088】
この場合、図18の二点鎖線に示すように、下側縦枠部40Aがフロントサイドフレーム11に設けられた取付プレート17との固定部(貫通孔41b,貫通孔17b)を中心に車両前方へ回動する状態(ブランコモード)となる。
【0089】
この場合、本実施形態によれば、下方の横枠部30には高剛性の下側縦枠部40Aが連結されるため、スモールオーバーラップ衝突時に下方の横枠部30に加わる前方荷重を下側縦枠部40Aにより好適に支えることが可能となり、パワーユニット140の更なる前方移動を抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、フロントサイドフレーム11の取付プレート17と下側縦枠部40Aとの固定部(貫通孔41b,貫通孔17b)の周囲を補強部材50で補強することで、ブランコモード発生時には補強部材50に応力が集中するため、車体取付座47の板切れを抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、縦枠部40の下端部が横枠部30の開断面部33の内部に挿入されて固定されるため、横枠部30と縦枠部40との結合力が高まり、ブランコモードを抑制できる。
【0092】
本実施形態によれば、縦枠部40が下側縦枠部40Aと上側縦枠部40Bとを互いに連結して構成されていることにより、両者の境界部40Cの強度が低くなるため、縦枠部40の途中に折れ部(脆弱部)を設定できる。また、下側縦枠部40Aのみがフロントサイドフレーム11に固定(支持)されているため、衝突荷重に対する下側縦枠部40Aの剛性を上側縦枠部40Bよりも高めることができる。さらに、上側縦枠部40Bには車両前方へ突出する第2荷重伝達部材90が固定されるため、上側縦枠部40Bに衝突荷重が伝達されやすくなる。これにより、車両10の前突時(特にフルフラット衝突時)には上側縦枠部40Bが境界部40Cを基点に車両後方へ変形しやすくなる。この結果、上側縦枠部40Bに固定された衝突検知センサ100が車両後方へ円滑に移動可能となるため、車両10の衝突を早期に検知することができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、上側縦枠部40Bの延在方向に直交する中空断面積は下側縦枠部40Aの中空断面積よりも小さく形成されているため、上側縦枠部40Bの強度・剛性が下側縦枠部40Aよりも低下して、上側縦枠部40Bを変形させやすくなる。
【0094】
また、本実施形態によれば、第2荷重伝達部材90のハット断面部91は、車両前後方向に延在すると共に、頂部91cが上側縦枠部40B側の中空部48の中心C側を向くように配置されているため、第2荷重伝達部材90に入力された衝突荷重が上側縦枠部40Bに伝達されやすくなり、上側縦枠部40Bを変形させやすくなる。
【0095】
また、本実施形態によれば、第2荷重伝達部材90の前端部には、車幅方向に延在する取付座面92が形成されているため、車両前方から入力される衝突荷重を取付座面92で広く受けることができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、プロテクタ110が衝突検知センサ100の下方近傍位置において衝突検知センサ100よりも車両前方に位置していることにより、車両10の前突時に破損した車体前部が衝突検知センサ100よりも先にプロテクタ110に当たりやすくなるため、衝突検知センサ100の破損を抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、フロントバンパビーム13は、第2荷重伝達部材90の車両前方に配置されていることにより、車両10の前突時にフロントバンパビーム13が後退すると、第2荷重伝達部材90が車両後方に押されるため、第2荷重伝達部材90が固定される上側縦枠部40Bに衝突荷重を好適に伝達することができる。これにより、上側縦枠部40Bを変形させやすくなるため、車両10の衝突を早期に検知することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、フロントバルクヘッド20にはフロントサイドフレーム11よりも車幅方向外側に位置する第1荷重伝達部材70が付設されると共に、フロントサイドフレーム11の前端部の外側面には車幅方向外側に張り出すガセット19が付設されるため、スモールオーバーラップ衝突にも対応可能な車体構造を実現することができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0100】
本実施形態では、縦枠部40を6つの板体49a〜49fで構成したが、縦枠部40を構成する板体の数は適宜増減してもよい。
【0101】
本実施形態では、中空部48の形状を四角筒状に形成したが、例えば円筒状、四角筒状以外の多角筒状に形成してもよい。
【0102】
次に、本発明の第二実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図中に矢印で示される「前後」は、車体前後方向を示し、「上下」は、車体上下方向を示し、「左右」は、運転席から見た左右方向(車幅方向)を示している。また、各図において、ボルトB及びナットの記載を適宜省略している。また、以下の説明において、上下軸及び左右軸を含む平面(前後軸と直交する平面)を前額面、上下軸及び前後軸を含む平面(左右軸と直交する平面)を矢状面、前後軸及び左右軸を含む平面(上下軸と直交する平面)を水平面と称する。
【0103】
<車体前部構造>
図19に示すように、本発明の第二実施形態に係る車両の車体前部構造1は、左右一対のフロントサイドフレーム2,2と、左右一対のバンパビームエクステンション3,3と、フロントバンパビーム4と、フロントバルクヘッド5と、左右一対のロアメンバ6,6と、左右一対のアッパメンバ7,7と、左右一対の前後フレーム8,8と、を備える。
【0104】
<フロントサイドフレーム>
左右一対のフロントサイドフレーム(フロントサイドメンバともいう)2,2は、それぞれ前後方向に延設されている金属製の構造部材である。フロントサイドフレーム2,2は、例えば断面コ字形状を呈する圧延鋼板を組み合わせることによって、前額面において閉断面を呈する中空構造に形成されている。フロントサイドフレーム2,2の前端部は、フロントバルクヘッド5の左右一対の縦枠部5A,5Aの高さ方向中間部に取り付けられている。
【0105】
<バンパビームエクステンション>
左右一対のバンパビームエクステンション(クラッシュカンともいう)3,3は、それぞれ左右一対のフロントサイドフレーム2,2の前端部に取り付けられている金属製の部材である。バンパビームエクステンション3,3は、中空構造の箱形状を呈しており、材料、厚み等の選択によってフロントバンパビーム4及びフロントサイドフレーム2,2よりも脆弱に構成されている。車両の前突時において、バンパビームエクステンション3,3は、前突荷重によって前後方向に圧壊することによって衝撃を吸収する。
【0106】
<フロントバンパビーム>
フロントバンパビーム4は、左右一対のフロントサイドフレーム2,2の前端部と同じ高さにおいて、左右一対のバンパビームエクステンション3,3の前端部間に架設されている金属製部材である。
【0107】
<フロントバルクヘッド>
図20に示すように、フロントバルクヘッド5は、正面視で矩形枠形状を呈する金属製の構造部材である。フロントバルクヘッド5の後方は、車両の動力搭載室となっている。フロントバルクヘッド5は、左右一対の縦枠部5A,5Aと、左右一対の縦枠部5A,5Aの上端部間に架設されている第一の横枠部5Bと、左右一対の縦枠部5A,5Aの下端部間に架設されている第二の横枠部5Cと、を備える。
【0108】
<縦枠部>
左右一対の縦枠部5A,5Aは、それぞれ上下方向に延設されている金属製の構造部材である。縦枠部5A,5Aは、例えば複数の圧延鋼板を組み合わせることによって、水平面において閉断面を呈する中空構造に形成されている。
【0109】
<第一の横枠部>
第一の横枠部5Bは、左右方向に延設されている金属製の構造部材である。第一の横枠部5Bは、例えば複数の圧延鋼板を組み合わせることによって、矢状面において閉断面を呈する中空構造に形成されている。第一の横枠部5Bは、左右一対の縦枠部5A,5Aの上端部に着脱自在に架設されている。図21及び図22に示すように、第一の横枠部5Bは、後側部材150と、前側部材160と、を備える。
【0110】
≪後側部材≫
後側部材150は、第一の横枠部5Bの上壁部及び後壁部を構成する金属製部材である。後側部材150は、側面視で逆L字形状を呈する。後側部材150は、上壁部151と、後壁部152と、を一体に備える。
【0111】
上壁部151は、第一の横枠部5Bの上壁部を構成する部位であって、水平面内に延在している。後壁部152は、第一の横枠部5Bの後壁部を構成する部位であって、上壁部151の後端部から下方へ延設されており、前額面内に延在している。
【0112】
図23に示すように、後壁部152には、逃げ部152aが形成されている。逃げ部152aは、後壁部152の下端部に開口を有する切欠き部である。
【0113】
≪前側部材≫
図21及び図22に示すように、前側部材160は、第一の横枠部5Bの下壁部及び前壁部を構成する部材である。前側部材160は、下壁部161と、前壁部162と、フランジ部163,164と、を一体に備える。
【0114】
下壁部161は、第一の横枠部5Bの下壁部を構成する部位であって、水平面内に延在している。前壁部162は、第一の横枠部5Bの前壁部を構成する部位であって、下壁部161の前端部から上方へ延設されており、前額面内に延在している。
【0115】
フランジ部163は、下壁部161の後端部から下方へ延設されている部位であって、前額面内に延在している。フランジ部163は、後側部材150の後壁部152と溶接等によって接合されている。フランジ部164は、前壁部162の上端部から前方へ延設されている部位であって、水平面内に延在している。フランジ部164は、後側部材150の上壁部151と溶接等によって接合されている。
【0116】
前側部材160には、凹部165が形成されている。凹部165は、前側部材の下壁部161及び前壁部162を上方かつ後方へ凹ませた部位である。かかる凹部165には、ラジエータRの上端部が収容される。
【0117】
図24に示すように、また、前側部材160には、逃げ部160aが形成されている。逃げ部160aは、前記した後側部材150の逃げ部152aと正面視で重なる位置に当該逃げ部152aと同一形状に形成されている。
【0118】
<補強部材、フードロックブラケット及び架設部材>
図23及び図24に示すように、車体前部構造1は、第一の横枠部5Bの付属部品として、補強部材170と、フードロックブラケット180と、架設部材190と、を備える。なお、図23及び図24は、第一の横枠部5Bをやや上方から見た背面図である。
【0119】
≪補強部材≫
補強部材170は、第一の横枠部5Bを補強する金属製の板状部材である。補強部材170は、後側部材150と前側部材160との間に設けられている。補強部材170は、第一の板部171と、第二の板部172と、を備える。すなわち、補強部材170は、車幅方向において、第一の板部171と第二の板部172とに分割されている。第一の板部171と第二の板部172とは離間しており、第一の横枠部5Bにおける第一の板部171と第二の板部172との間は、脆弱部となっている。
【0120】
≪第一の板部≫
第一の板部171は、フードロックブラケット180の車幅方向一端部181を補強する部位である。第一の板部171は、第一の壁部171aと、第二の壁部171bと、を一体に備える。
【0121】
第一の壁部171aは、前額面内に延在しており、後壁部152の高さ方向の全体にわたる大きさに形成されている。第一の壁部171aは、前側部材160のフランジ部163と後側部材150の後壁部152との間に介設されている。第一の壁部171aは、溶接等によってフランジ部163及び後壁部152と接合されている。
【0122】
第二の壁部171bは、第一の壁部171aの上端部から前方へ延設されており、水平面内に延在している。第二の壁部171bは、後側部材150の上壁部151の下面に当接するように設けられている。第二の壁部171bは、溶接等によって上壁部151と接合されている。
【0123】
≪第二の板部≫
第二の板部172は、フードロックブラケット180の車幅方向他端部182及び逃げ部152a,160a周りを補強する部位である。第二の板部172は、後壁部152の高さ方向の全体にわたる第一の壁部172aと、第一の壁部172aの上端部から前方へ延設されている第二の壁部172bと、を一体に備える。
【0124】
第一の壁部172aは、前額面内に延在しており、後壁部152の高さ方向の全体にわたる大きさに形成されている。第一の壁部172aは、前側部材160のフランジ部163と後側部材150の後壁部152との間に介設されている。第一の壁部172aは、溶接等によってフランジ部163及び後壁部152と互いに接合されている。
【0125】
第二の壁部172bは、第一の壁部172aの上端部から前方へ延設されており、水平面内に延在している。第二の壁部172bは、後側部材150の上壁部151の下面に当接するように設けられている。第二の壁部172bは、溶接等によって上壁部151と接合されている。
【0126】
第二の板部172には、逃げ部172cが形成されている。逃げ部172cは、前記した後側部材150の逃げ部152a及び前側部材160の逃げ部160aと正面視で重なる位置に当該逃げ部152a,160aと同一形状に形成されている。
【0127】
第二の板部172には、一対の被取付部172d,172dが形成されている。一対の被取付部172d,172dは、逃げ部172cの車幅方向両端部となる第二の板部172の下縁部に形成されており、背面視で後側部材150の後壁部152から露出する。一対の被取付部172d,172dには、架設部材190が取り付けられる。
【0128】
≪フードロックブラケット≫
フードロックブラケット180は、動力搭載室の上部を開閉自在に覆うフード側のロック部材(図示せず)が係合される金属製のブラケットである。フードロックブラケット180は、逃げ部152a,160a,172cの近傍において、後側部材150の後壁部152の後面に取り付けられている。
【0129】
フードロックブラケット180の車幅方向一端部181は、後側部材150への固定部位である。車幅方向一端部181は、後側部材150の後壁部152及び第一の板部171の第一の壁部171aと重ね合わされており、後方からのボルトによって互いにボルト締結されている。
【0130】
フードロックブラケット180の車幅方向他端部182は、後側部材150への固定部位である。車幅方向他端部182は、後側部材150の後壁部152及び第二の板部172の第一の壁部172aと重ね合わされており、後方からのボルトによって互いにボルト締結されている。
【0131】
すなわち、フードロックブラケット180は、左右両端部181,182において後側部材150に固定されている。そして、車幅方向一端部181は、第一の板部171によって補強されており、車幅方向他端部182は、第二の板部172によって補強されている。
【0132】
≪架設部材≫
架設部材190は、逃げ部152a,160a,172cの両端部間に架設されている金属製の部材である。架設部材190は、本体部191と、フランジ部192と、を一体に備える。
【0133】
本体部191は、前額面内に延在しており、一対の被取付部172d,172d間に架設されている。本体部191の車幅方向両端部は、それぞれ一対の被取付部172d,172dに後方からのボルトによって互いにボルト締結されている。
【0134】
フランジ部192は、本体部191の下端部から後方へ延設されており、水平面内に延在している。
【0135】
また、本体部191の上縁部は、下に凸の曲線形状を呈する。本体部191は、逃げ部152a,160a,172cとともに正面視で略円形状を呈する孔部(ラジエータホース挿通孔)5Bbを構成する。かかる孔部5Bbには、ラジエータホースRHが挿通される。ラジエータホースRHは、ラジエータRにおいて冷却された冷却媒体を被冷却部品(エンジン等)へ供給する、又は、被冷却部品での熱交換によって加熱された冷却媒体をラジエータRへ供給するためのホースである。
【0136】
<第二の横枠部>
図25に示すように、第二の横枠部5Cは、左右方向に延設されている金属製の構造部材である。第二の横枠部5Cは、例えば複数の圧延鋼板を組み合わせることによって、矢状面において閉断面を呈する中空構造に形成されている。第二の横枠部5Cは、左右一対の縦枠部5A,5Aの下端部に架設されている。第二の横枠部5Cは、下側部材200と、蓋部材210と、を備える。
【0137】
≪下側部材≫
下側部材200は、第二の横枠部5Cの下壁部、前壁部及び後壁部を構成する金属製部材である。下側部材200は、側面視で上向き開口のハット形状を呈する。下側部材200は、下壁部201と、前壁部202と、後壁部203と、フランジ部204,205と、を一体に備える。
【0138】
下壁部201は、第二の横枠部5Cの下壁部を構成する部位であって、水平面内に延在している。前壁部202は、第二の横枠部5Cの前壁部を構成する部位であって、下壁部201の前端部から上方へ延設されており、前額面内に延在している。後壁部203は、第二の横枠部5Cの後壁部を構成する部位であって、下壁部201の後端部から上方へ延設されており、前額面内に延在している。
【0139】
フランジ部204は、前壁部202の上端部から前方へ延設されている部位であって、水平面内に延在している。フランジ部205は、後壁部203の上端部から後方へ延設されている部位であって、水平面内に延在している。
【0140】
≪蓋部材≫
蓋部材210は、下側部材200の上向き開口を塞ぎ、第二の横枠部5Cの上壁部を構成する金属製部材である。蓋部材210は側面視で下側部材200よりも小さい上向き開口のハット形状を呈する。蓋部材210は、上壁部211と、前壁部212と、後壁部213と、フランジ部214,215と、を一体に備える。
【0141】
上壁部211は、第二の横枠部5Cの上壁部を構成する部位であって、水平面内に延在している。前壁部212は、上壁部211の前端部から上方へ延設されている部位であって、前額面内に延在している。後壁部213は、上壁部211の後端部から上方へ延設されている部位であって、前額面内に延在している。
【0142】
フランジ部214は、前壁部212の上端部から前方へ延設されている部位であって、水平面内に延在している。フランジ部214は、下側部材200のフランジ部204と溶接等によって接合されている。フランジ部215は、後壁部213の上端部から後方へ延設されている部位であって、水平面内に延在している。フランジ部215は、下側部材200のフランジ部205と溶接等によって接合されている。
【0143】
<縦枠部の上部の構造>
ここで、図25図27を参照して、縦枠部5Aの上部の構造について説明する。縦枠部5Aの上部は、前側部材220と、後側部材230と、を備える。
【0144】
≪前側部材≫
図25に示すように、前側部材220は、縦枠部5Aの前壁部及び外壁部を構成する金属製部材である。前側部材220は、前壁部221と、外壁部222と、フランジ部223,224と、を一体に備える。
【0145】
前壁部221は、縦枠部5Aの前壁部を構成する部位であって、前額面内に延在している。外壁部222は、縦枠部5Aの外壁部を構成する部位であって、前壁部221の車幅方向外側端部から後方へ延設されており、矢状面内に延在している。
【0146】
フランジ部223は、前壁部221の車幅方向内側端部から前方へ延設されており、矢状面内に延在している。フランジ部223は、後記する後側部材230の内壁部232と溶接等によって接合されている。フランジ部224は、外壁部222の後端部から車幅方向外方へ延設されており、前額面内に延在している。フランジ部224は、後記する後側部材230の後壁部231と溶接等によって接合されている。
【0147】
≪後側部材≫
後側部材230は、縦枠部5Aの後壁部及び内壁部を構成する金属製部材である。後側部材230は、後壁部231と、内壁部232と、を一体に備える。
【0148】
後壁部231は、縦枠部5Aの後壁部を構成する部位であって、前額面内に延在している。内壁部232は、縦枠部5Aの内壁部を構成する部位であって、後壁部231の車幅方向内側端部から前方へ延設されており、矢状面内に延在している。また、一方の縦枠部5Aの内壁部232には、車両の前突を検知する衝突検知センサ250(図20参照)が取り付けられている。
【0149】
<ロアメンバ>
左右一対のロアメンバ6,6は、それぞれ左右一対のフロントサイドフレーム2,2よりも車幅方向外方において前後方向に延設されている金属製の構造部材である。ロアメンバ6,6は、例えば複数の圧延鋼板を組み合わせることによって、前額面において閉断面を呈する中空構造に形成されている。ロアメンバ6の前端部は、バンパビームエクステンション3の後端部に溶接等によって接合されている。また、ロアメンバ6は、後方にいくにつれて上方に向かうように屈曲形成されている。
【0150】
<アッパメンバ>
左右一対のアッパメンバ7,7は、前後方向に延設されている金属製の構造部材である。左右一対のアッパメンバ7,7は、それぞれフロントバルクヘッド5の上側の左右の隅部と左右一対のロアメンバ6,6との間に架設されている。本実施形態において、アッパメンバ7の後端部は、ブラケット部材260を介してロアメンバ6の上壁部に固定されている。アッパメンバ7は、上壁部7aと、外壁部7bと、内壁部7cと、を一体に備える。
【0151】
上壁部7aは、水平面内に延在している。外壁部7bは、上壁部7aの車幅方向外側端部から下方へ延設されており、矢状面内に延在している。内壁部7cは、上壁部7aの車幅方向内側端部から下方へ延設されており、矢状面内に延在している。なお、アッパメンバ7の前端部は車幅方向内側へ屈曲形成されているため、外壁部7b及び内壁部7cの前端部は、それぞれ前額面内に延在している。
【0152】
<前後フレーム>
左右一対の前後フレーム8,8は、フロントサブフレームの一部を構成するフレームであって、前後方向に延設されている金属製の構造部材である。左右一対の前後フレーム8,8の前端部は、それぞれ、フロントバルクヘッド5の下側の左右の隅部の後端部に溶接等によって接合されている。
【0153】
<第一の横枠部の縦枠部への組付構造>
図26に示すように、第一の横枠部5Bの車幅方向両端部には、下向きの開口部5Baが形成されている。かかる開口部5Baには、縦枠部5Aの上端部が挿入されている。
【0154】
第一の横枠部5Bの開口部5Baが形成されている部位において、当該第一の横枠部5Bの前壁部、後壁部及び上壁部は、ボルト締結座を構成する。すなわち、第一の横枠部5Bの前側部材160のフランジ部163とアッパメンバ7の外壁部7bと縦枠部5Aの前壁部221とは、前方からのボルトBによってボルト締結されている。また、第一の横枠部5Bの後側部材150の後壁部152と縦枠部5Aの後壁部231とは、後方からのボルトBによってボルト締結されている。また、第一の横枠部5Bの後側部材150の上壁部151とアッパメンバ7の上壁部7aとは、上方からのボルトBによってボルト締結されている。第一の横枠部5Bは、これらのボルト締結を解除することによって、左右一対の縦枠部5A,5Aから取り外されることが可能である。
【0155】
<ラジエータの組付構造>
図25に示すように、第二の横枠部5Cの蓋部材210の上壁部211には、取付部211aが形成されている。取付部211aには、ラジエータRの下端部が取り付けられる。本実施形態において、取付部211aに取り付けられたラジエータRの下端部は、下側部材200の下壁部201の下方からのボルトによってボルト締結されている。
【0156】
図27に示すように、第一の横枠部5Bの前側部材160のフランジ部164には、取付部164aが形成されている。取付部164aには、ラジエータRの上端部が取り付けられる。本実施形態において、取付部164aに取り付けられたラジエータRの上端部は、後側部材150の上壁部151及びブラケット部材240の上方からのボルトによってボルト締結されている。
【0157】
車体前部構造1は、複数のブラケット部材240を備える。複数のブラケット部材240のうち、第一の横枠部5Bの車幅方向両端部に設けられた一対のブラケット部材240は、下方へ延設されて前額面に延在する部位を有する。かかる部位には、ラジエータRの上端部の前面が取り付けられる。
【0158】
また、複数のブラケット部材240のうち、左右一対の縦枠部5A,5Aに設けられた左右一対のブラケット部材240は、車幅方向内方へ延設されて前額面に延在する部位を有する。かかる部位には、ラジエータRの車幅方向端部の前面が取り付けられる。
【0159】
本発明の実施形態に係る車体前部構造1は、ラジエータホースRHをラジエータR等に接続したままの状態で、架設部材190を第一の横枠部5Bから取り外すとともに第一の横枠部5Bを左右一対の縦枠部5A,5Aから取り外すことが可能である。
したがって、車体前部構造1は、ラジエータRのメンテナンスに際して冷却媒体を抜く必要がなくなり、ラジエータRのメンテナンスを容易化することができる。
また、車体前部構造1は、動力搭載室(エンジンルーム)のフードが閉められた際にフードロックブラケット180に作用する荷重を補強部材170及び架設部材190に分散させ、当該荷重が脆弱部である逃げ部152a,160aに集中することを防止することができる。
したがって、車体前部構造1は、当該荷重による第一の横枠部5Bの変形を防止することができる。
また、車体前部構造1は、補強部材170が第一の横枠部5Bの逃げ部152a,160a周りの剛性を補うので、逃げ部152a,160a及びラジエータホースRHの設計自由度を向上することができる。
【0160】
また、車体前部構造1は、第一の横枠部5Bの凹部165にラジエータRの上端部が収容されているので、ラジエータRを動力搭載室(エンジンルーム)側に寄せて配置することが可能である。
したがって、車体前部構造1は、ラジエータホースRHの設計自由度を向上するとともに、車両の前後方向の小型化を実現することができる。
【0161】
また、車体前部構造1は、補強部材170が第一の横枠部5Bの逃げ部152a,160a周りの剛性を補うので、逃げ部152a,160a及びラジエータホースRHの設計自由度を向上することができる。
また、車体前部構造1は、架設部材190がフランジ部192を有するので、逃げ部152a,160a周りの剛性を向上することができる。
また、車体前部構造1は、架設部材190が補強部材170に架設されているので、架設部材190の脱着を容易化することができる。
【0162】
また、車体前部構造1は、第一の横枠部5Bの下部の取付部164aにラジエータRの上端部が取り付けられるとともに、第二の横枠部5Cの上部の取付部211aにラジエータRの下端部が取り付けられる。
したがって、車体前部構造1は、ラジエータRを動力搭載室(エンジンルーム)側に寄せて配置することが可能であり、ラジエータホースRHの設計自由度を向上するとともに、車両の前後方向の小型化を実現することができる。
【0163】
また、車体前部構造1は、開口部5Baに挿入された縦枠部5Aの上端部が第一の横枠部5Bとボルト締結されているので、第一の横枠部5Bと縦枠部5Aとの連結部位の結合剛性を向上することができる。
【0164】
また、車体前部構造1は、補強部材170がフードロックブラケット180の左右の固定部位に応じて分割されている。
すなわち、第一の横枠部5Bにおける第一の板部171と第二の板部172との間は脆弱部となるので、車両の前突による縦枠部5Aの後方への倒れを第一の横枠部5Bが阻害することを抑制し、衝突検知センサ250を精度よく作動させることができる。
【符号の説明】
【0165】
10 車両(車体前部構造)
11 フロントサイドフレーム
11a 前端部
13 フロントバンパビーム
17b 貫通孔(固定部)
19 ガセット(第2荷重受け面)
20 フロントバルクヘッド
30 横枠部
40 縦枠部
40A 下側縦枠部
40B 上側縦枠部
40C 境界部
41b 貫通孔(固定部)
50 補強部材
70 第1荷重伝達部材(第1荷重受け面)
90 第2荷重伝達部材
91 ハット断面部
91a 上鍔部
91b 下鍔部
91c 頂部
100 衝突検知センサ
110 プロテクタ
140 パワーユニット
C 中心
1 車体前部構造
2 フロントサイドフレーム
5 フロントバルクヘッド
5A 縦枠部
5B 第一の横枠部
5Ba 開口部
5Bb 孔部(ラジエータホース挿通孔)
5C 第二の横枠部
150 後側部材
152a 逃げ部
160 前側部材
160a 逃げ部
165 凹部
170 補強部材
171 第一の板部
172 第二の板部
172c 逃げ部
180 フードロックブラケット(フードロック)
181 車幅方向一端部(固定部位)
182 車幅方向他端部(固定部位)
190 架設部材
191 本体部
192 フランジ部
200 下側部材
210 蓋部材
B ボルト
R ラジエータ
RH ラジエータホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図27
【国際調査報告】