特表-17022626IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2017-22626電動圧縮機の制御装置および冷凍サイクル装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年2月9日
【発行日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】電動圧縮機の制御装置および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/10 20060101AFI20171124BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20171124BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   F25B1/10 C
   F25B1/00 311B
   B60H1/32 623B
   B60H1/32 623Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
【出願番号】特願2017-532546(P2017-532546)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年7月28日
(31)【優先権主張番号】特願2015-151927(P2015-151927)
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 慎二
(72)【発明者】
【氏名】酒井 剛志
(72)【発明者】
【氏名】井村 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】山仲 章友
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA02
3L211CA04
3L211DA03
3L211DA05
3L211DA22
3L211DA24
3L211DA30
3L211DA42
3L211EA38
3L211EA87
3L211FA11
3L211FA23
3L211GA34
(57)【要約】
二段圧縮式の冷凍サイクル装置を構成する車載用の電動圧縮機(11)の制御装置は、電動圧縮機が中間圧冷媒を中間圧ポートに導入する二段圧縮モードで駆動している際において、電動圧縮機の駆動停止要求がある場合に、電動モータへ出力される交流電流を制御して、電動モータの回転を減速させる減速制御部(S23)と、減速制御部によって電動モータの回転を減速させた後に、電動モータの駆動を停止させる駆動停止部(S25)と、駆動停止要求が解除された場合に、駆動停止部によって駆動停止された圧縮機を再起動させる再起動部(S27)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二段圧縮式の冷凍サイクル装置を構成する車載用の電動圧縮機(11)の制御装置であって、
前記電動圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構(111)、前記圧縮機構を駆動する電動モータ(112)、吸入ポート(11b)、吐出ポート(11c)および中間圧ポート(11d)を有し、前記吸入ポートから吸入した低圧冷媒を前記圧縮機構で圧縮して高圧冷媒として、前記吐出ポートから前記高圧冷媒を吐出するとともに、前記低圧冷媒の圧力と前記高圧冷媒の圧力の間の圧力である中間圧冷媒を前記中間圧ポートから流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させるものであり、
前記電動モータは、交流電流を用いる交流モータであり、
前記電動圧縮機が、前記中間圧冷媒を前記中間圧ポートに導入する二段圧縮モードで駆動している際において、前記電動圧縮機の駆動停止要求がある場合に、前記電動モータへ出力される交流電流を制御して、前記電動モータの回転を減速させる減速制御部(S23)と、
前記減速制御部によって前記電動モータの回転を減速させた後に、前記電動モータの駆動を停止させる駆動停止部(S25)と、
前記駆動停止要求が解除された場合に、前記駆動停止部によって駆動停止された前記圧縮機を再起動させる再起動部(S27)とを備える電動圧縮機の制御装置。
【請求項2】
前記減速制御部によって前記電動モータの回転を減速させた後であって、前記駆動停止部によって前記電動モータの駆動を停止させる前に、前記電動モータへ出力される交流電流を制御して、前記二段圧縮モード時の前記電動モータの回転方向とは逆の逆回転方向に前記電動モータを回転させる逆回転方向制御部(S24)を備える請求項1に記載の電動圧縮機の制御装置。
【請求項3】
前記電動圧縮機は、前記電動モータに供給される電流がしきい値を超えた場合に、電動モータへの給電が停止されるようになっており、
さらに、前記駆動停止要求がある場合であって、前記減速制御部によって前記電動モータの回転を減速させる前に、前記しきい値を現在の値よりも高い値に変更するしきい値変更部(S31)を備える請求項1または2に記載の電動圧縮機の制御装置。
【請求項4】
前記電動モータは、ステータコイル(112b、112c、112d)を有しており、
前記減速制御部は、第1減速制御部(S23−1)を構成し、
前記第1減速制御部によって前記電動モータの回転を減速させた後であって、前記駆動停止部によって前記電動モータの駆動を停止させる前に、前記ステータコイルに直流電流を供給して励磁させることにより、前記電動モータの回転を減速させる第2減速制御部(S23−2)を備える請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電動圧縮機の制御装置。
【請求項5】
さらに、前記駆動停止要求がある場合に、前記電動圧縮機による電力の使用が可能か否かを判定する判定部(S22)を備え、
前記判定部が前記電動圧縮機による電力の使用が可能であると判定した場合に、前記減速制御部は、前記電動モータの回転を減速させる請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電動圧縮機の制御装置。
【請求項6】
二段圧縮式の冷凍サイクル装置を構成する車載用の電動圧縮機(11)の制御装置であって、
前記電動圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構(111)、前記圧縮機構を駆動する電動モータ(112)、吸入ポート(11b)、吐出ポート(11c)および中間圧ポート(11d)を有し、前記吸入ポートから吸入した低圧冷媒を前記圧縮機構で圧縮して高圧冷媒として、前記吐出ポートから前記高圧冷媒を吐出するとともに、前記低圧冷媒の圧力と前記高圧冷媒の圧力の間の圧力である中間圧冷媒を前記中間圧ポートから流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させるものであり、
前記電動モータは、交流電流を用いる交流モータであり、
前記電動圧縮機が、前記中間圧冷媒を前記中間圧ポートに導入する二段圧縮モードで駆動している際において、前記電動圧縮機へ供給する供給電力量を現在の前記供給電力量よりも減少させる電力量減少要求がある場合に、前記電動モータへ出力される交流電流を制御して、前記電動モータの回転を減速させる減速制御部(S23)と、
前記減速制御部によって前記電動モータの回転を減速させた後に、前記電動モータへ出力される交流電流を制御して、前記電動モータの回転速度をゼロ速度に制御するゼロ速度制御部(S41)と、
前記電力量減少要求が解除された場合に、前記ゼロ速度制御部によってゼロ速度に制御された前記圧縮機を再起動させる再起動部(S27)とを備える電動圧縮機の制御装置。
【請求項7】
車両に搭載される二段圧縮式の冷凍サイクル装置であって、
冷媒を圧縮する圧縮機構(111)、前記圧縮機構を駆動する電動モータ(112)、吸入ポート(11b)、吐出ポート(11c)および中間圧ポート(11d)を有し、前記吸入ポートから吸入した低圧冷媒を前記圧縮機構で圧縮して高圧冷媒として、前記吐出ポートから前記高圧冷媒を吐出するとともに、前記低圧冷媒の圧力と前記高圧冷媒の圧力の間の圧力である中間圧冷媒を、前記中間圧ポートから流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させる電動圧縮機(11)と、
車室内に向かって送風される室内送風空気との熱交換により、前記吐出ポートから吐出された冷媒を放熱する放熱器(12)と、
前記放熱器から流出した冷媒を前記中間圧冷媒となるまで減圧させる第1減圧器(13)と、
前記第1減圧器から流出した前記中間圧冷媒の気液を分離する気液分離器(14)と、
前記気液分離器で分離された液相冷媒を前記低圧冷媒となるまで減圧させる第2減圧器(17)と、
車室外空気との熱交換により、前記第2減圧器から流出した冷媒を蒸発させて前記吸入ポート側へ流出させる室外熱交換器(18)と、
前記気液分離器で分離された気相冷媒を前記中間圧ポートへ導く中間圧冷媒流路(15)と、
前記電動圧縮機を制御する制御装置(40、113)とを備え、
前記電動モータは、交流電流を用いる交流モータであり、
前記制御装置は、
前記電動圧縮機が、前記中間圧冷媒を前記中間圧ポートに導入する二段圧縮モードで駆動している際において、前記電動圧縮機の駆動停止要求がある場合に、前記電動モータへ出力される交流電流を制御して、前記電動モータの回転を減速させる減速制御部(S23)と、
前記減速制御部によって前記電動モータの回転を減速させた後に、前記電動モータの駆動を停止させる駆動停止部(S25)と、
前記駆動停止要求が解除された場合に、前記駆動停止部によって駆動停止された前記圧縮機を再起動させる再起動部(S27)とを有する冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記制御装置は、さらに、前記駆動停止要求がある場合に、前記電動圧縮機による電力の使用が可能か否かを判定する判定部(S22)を備え、
前記判定部が前記電動圧縮機による電力の使用が可能であると判定した場合に、前記減速制御部は、前記電動モータの回転を減速させる請求項7に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
車両に搭載される二段圧縮式の冷凍サイクル装置であって、
冷媒を圧縮する圧縮機構(111)、前記圧縮機構を駆動する電動モータ(112)、吸入ポート(11b)、吐出ポート(11c)および中間圧ポート(11d)を有し、前記吸入ポートから吸入した低圧冷媒を前記圧縮機構で圧縮して高圧冷媒として、前記吐出ポートから前記高圧冷媒を吐出するとともに、前記低圧冷媒の圧力と前記高圧冷媒の圧力の間の圧力である中間圧冷媒を、前記中間圧ポートから流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させる電動圧縮機(11)と、
車室内に向かって送風される室内送風空気との熱交換により、前記吐出ポートから吐出された冷媒を放熱する放熱器(12)と、
前記放熱器から流出した冷媒を前記中間圧冷媒となるまで減圧させる第1減圧器(13)と、
前記第1減圧器から流出した前記中間圧冷媒の気液を分離する気液分離器(14)と、
前記気液分離器で分離された液相冷媒を前記低圧冷媒となるまで減圧させる第2減圧器(17)と、
車室外空気との熱交換により、前記第2減圧器から流出した冷媒を蒸発させて前記吸入ポート側へ流出させる室外熱交換器(18)と、
前記気液分離器で分離された気相冷媒を前記中間圧ポートへ導く中間圧冷媒流路(15)と、
前記電動圧縮機を制御する制御装置(40、113)とを備え、
前記電動モータは、交流電流を用いる交流モータであり、
前記制御装置は、
前記電動圧縮機が、前記中間圧冷媒を前記中間圧ポートに導入する二段圧縮モードで駆動している際において、前記電動圧縮機へ供給する供給電力量を現在の前記供給電力量よりも減少させる電力量減少要求がある場合に、前記電動モータへ出力される交流電流を制御して、前記電動モータの回転を減速させる減速制御部(S23)と、
前記減速制御部によって前記電動モータの回転を減速させた後に、前記電動モータへ出力される交流電流を制御して、前記電動モータの回転速度をゼロ速度に制御するゼロ速度制御部(S41)と、
前記電力量減少要求が解除された場合に、前記ゼロ速度制御部によってゼロ速度に制御された前記圧縮機を再起動させる再起動部(S27)とを有する冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2015年7月31日に出願された日本特許出願番号2015−151927号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、車載用の電動圧縮機の制御装置および車載用の冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
特許文献1に、ガスインジェクションサイクル、すなわち、二段圧縮式の冷凍サイクルを備える車載用の冷凍装置が開示されている。この冷凍装置は、エンジンの駆動力を利用して冷媒を圧縮する圧縮機を用いている。
【0004】
これに対し、近年、電気自動車やハイブリッド車両等の電動車両の普及により、車両に搭載される車両用空調装置では、電動モータで駆動する電動圧縮機が採用されている。例えば、ハイブリッド車両の場合、電動圧縮機が採用されることで、エンジンが停止していても空調装置を作動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−117072号公報
【発明の概要】
【0006】
ところで、電気自動車やハイブリッド車両等の電動車両に搭載され、二段圧縮式の冷凍サイクルを備える車両用空調装置において、電動モータによって駆動する電動圧縮機を用いると、下記の問題が発生する。
【0007】
ガスインジェクションサイクルを構成する電動圧縮機は、二段圧縮モード時に、吸入ポートから吸入した低圧冷媒を圧縮機構で圧縮して高圧冷媒として、吐出ポートから高圧冷媒を吐出する。さらに、この電動圧縮機は、中間圧ポートからサイクル内の中間圧冷媒を流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させる。二段圧縮モードは、二段圧縮式の冷凍サイクルでの運転モードである。
【0008】
電動圧縮機は、車両に搭載された車両電源から給電されるため、車両電源から主機等の他の車両搭載機器へ供給する電力の確保を目的として、一時停止を要求される場合がある。
【0009】
しかし、二段圧縮モード時に、電動圧縮機を一時停止させると、中間圧冷媒と吸入冷媒の圧力差によって冷媒が逆流し、電動圧縮機が長時間逆回転し続けてしまう。逆回転中は電動圧縮機の再起動ができないため、逆回転が終了するまで、電動圧縮機の再起動を待たなければならない。また、逆回転中に電動圧縮機の再起動を試みると、電動圧縮機は再起動に失敗し、自己保護のために一定時間が経過するまで次回の起動を試みないよう待機時間が生じる。
【0010】
このため、電動圧縮機の停止要求が解除された場合であっても、電動圧縮機の逆回転が終了するまで、または、上記した待機時間が経過するまで、電動圧縮機を再起動させることができない。この結果、圧縮機が停止した状態のまま、室内送風機によって車室内へ室内送風空気が吹き出されるので、吹き出される室内送風空気の温度が著しく低下し、乗員の快適性を損なうという問題が生じてしまう。
【0011】
なお、このような問題は、上記した特許文献1に記載されていない。
【0012】
本開示は、二段圧縮モード時に電動圧縮機の回転を停止させた後、電動圧縮機を再起動させる場合に、早期に電動圧縮機を再起動させることができる電動圧縮機の制御装置および冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
【0013】
本開示の1つの観点によれば、二段圧縮式の冷凍サイクル装置を構成する車載用の電動圧縮機の制御装置は、以下の構成を有する。
【0014】
この制御装置が制御する電動圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構、圧縮機構を駆動する電動モータ、吸入ポート、吐出ポートおよび中間圧ポートを有する。電動圧縮機は、吸入ポートから吸入した低圧冷媒を圧縮機構で圧縮して高圧冷媒として、吐出ポートから高圧冷媒を吐出するとともに、低圧冷媒の圧力と高圧冷媒の圧力の間の圧力である中間圧冷媒を中間圧ポートから流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させる。電動モータは、交流電流を用いる交流モータである。
【0015】
そして、この制御装置は、
電動圧縮機が、中間圧冷媒を中間圧ポートに導入する二段圧縮モードで駆動している際において、電動圧縮機の駆動停止要求がある場合に、電動モータへ出力される交流電流を制御して、電動モータの回転を減速させる減速制御部と、
減速制御部によって電動モータの回転を減速させた後に、電動モータの駆動を停止させる駆動停止部と、
駆動停止要求が解除された場合に、駆動停止部によって駆動停止された圧縮機を再起動させる再起動部とを備える。
【0016】
この制御装置は、二段圧縮モードでの電動圧縮機の駆動時において、電動圧縮機の駆動停止要求がある場合に、電動モータを減速させてから停止させる。これにより、電動モータを減速させずに停止させる場合と比較して、中間圧ポート側の冷媒と吸入ポート側の冷媒の差圧を小さくすることができる。このため、電動モータの駆動停止時に、差圧に起因する逆回転の発生時間を短縮することができる。したがって、圧縮機の駆動停止が要求されてから電動モータのロータが停止するまでの時間を短縮することができる。
【0017】
この結果、圧縮機の駆動停止要求が解除された場合に、速やかに圧縮機を再起動させることができる。
【0018】
本開示の別の観点によれば、二段圧縮式の冷凍サイクル装置を構成する車載用の電動圧縮機の制御装置は、以下の構成を有する。
【0019】
この制御装置が制御する電動圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構、圧縮機構を駆動する電動モータ、吸入ポート、吐出ポートおよび中間圧ポートを有する。電動圧縮機は、吸入ポートから吸入した低圧冷媒を圧縮機構で圧縮して高圧冷媒として、吐出ポートから高圧冷媒を吐出するとともに、低圧冷媒の圧力と高圧冷媒の圧力の間の圧力である中間圧冷媒を中間圧ポートから流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させる。電動モータは、交流電流を用いる交流モータである。
【0020】
そして、この制御装置は、
電動圧縮機が、中間圧冷媒を中間圧ポートに導入する二段圧縮モードで駆動している際において、電動圧縮機へ供給する供給電力量を現在の供給電力量よりも減少させる電力量減少要求がある場合に、電動モータへ出力される交流電流を制御して、電動モータの回転を減速させる減速制御部と、
減速制御部によって電動モータの回転を減速させた後に、電動モータへ出力される交流電流を制御して、電動モータの回転速度をゼロ速度に制御するゼロ速度制御部と、
電力量減少要求が解除された場合に、ゼロ速度制御部によってゼロ速度に制御された圧縮機を再起動させる再起動部とを備える。
【0021】
このように、本観点の制御装置は、二段圧縮モードでの電動圧縮機の駆動時において、電動圧縮機への供給電力量を減少させる電力量減少要求がある場合に、電動モータを減速させた後、電動モータの回転速度をゼロ速度に制御している。このため、電力量減少要求が解除された場合に、ゼロ速度制御において行われるロータの位置推定を利用して、速やかに圧縮機を再起動させることができる。
【0022】
本開示のさらに別の観点によれば、車両に搭載される二段圧縮式の冷凍サイクル装置は、
冷媒を圧縮する圧縮機構、圧縮機構を駆動する電動モータ、吸入ポート、吐出ポートおよび中間圧ポートを有し、吸入ポートから吸入した低圧冷媒を圧縮機構で圧縮して高圧冷媒として、吐出ポートから高圧冷媒を吐出するとともに、低圧冷媒の圧力と高圧冷媒の圧力の間の圧力である中間圧冷媒を、中間圧ポートから流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させる電動圧縮機と、
車室内に向かって送風される室内送風空気との熱交換により、吐出ポートから吐出された冷媒を放熱する放熱器と、
放熱器から流出した冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる第1減圧器と、
第1減圧器から流出した中間圧冷媒の気液を分離する気液分離器と、
気液分離器で分離された液相冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる第2減圧器と、
車室外空気との熱交換により、第2減圧器から流出した冷媒を蒸発させて吸入ポート側へ流出させる室外熱交換器と、
気液分離器で分離された気相冷媒を中間圧ポートへ導く中間圧冷媒流路と、
電動圧縮機を制御する制御装置とを備え、
電動モータは、交流電流を用いる交流モータであり、
制御装置は、
電動圧縮機が、中間圧冷媒を中間圧ポートに導入する二段圧縮モードで駆動している際において、電動圧縮機の駆動停止要求がある場合に、電動モータへ出力される交流電流を制御して、電動モータの回転を減速させる減速制御部と、
減速制御部によって電動モータの回転を減速させた後に、電動モータの駆動を停止させる駆動停止部と、
駆動停止要求が解除された場合に、駆動停止部によって駆動停止された圧縮機を再起動させる再起動部とを有する。
【0023】
これによれば、電動圧縮機の駆動停止要求が解除された場合に、速やかに圧縮機を再起動させることができる。このため、電動圧縮機が一時停止した場合において、車室内に吹き出される室内送風空気の温度低下量を小さく抑えることができる。
【0024】
本開示のさらに別の観点によれば、車両に搭載される二段圧縮式の冷凍サイクル装置は、
冷媒を圧縮する圧縮機構、圧縮機構を駆動する電動モータ、吸入ポート、吐出ポートおよび中間圧ポートを有し、吸入ポートから吸入した低圧冷媒を圧縮機構で圧縮して高圧冷媒として、吐出ポートから高圧冷媒を吐出するとともに、低圧冷媒の圧力と高圧冷媒の圧力の間の圧力である中間圧冷媒を、中間圧ポートから流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させる電動圧縮機と、
車室内に向かって送風される室内送風空気との熱交換により、吐出ポートから吐出された冷媒を放熱する放熱器と、
放熱器から流出した冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる第1減圧器と、
第1減圧器から流出した中間圧冷媒の気液を分離する気液分離器と、
気液分離器で分離された液相冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる第2減圧器と、
車室外空気との熱交換により、第2減圧器から流出した冷媒を蒸発させて吸入ポート側へ流出させる室外熱交換器と、
気液分離器で分離された気相冷媒を中間圧ポートへ導く中間圧冷媒流路と、
電動圧縮機を制御する制御装置とを備え、
電動モータは、交流電流を用いる交流モータであり、
制御装置は、
電動圧縮機が、中間圧冷媒を中間圧ポートに導入する二段圧縮モードで駆動している際において、電動圧縮機へ供給する供給電力量を現在の供給電力量よりも減少させる電力量減少要求がある場合に、電動モータへ出力される交流電流を制御して、電動モータの回転を減速させる減速制御部と、
減速制御部によって電動モータの回転を減速させた後に、電動モータへ出力される交流電流を制御して、電動モータの回転速度をゼロ速度に制御するゼロ速度制御部と、
電力量減少要求が解除された場合に、ゼロ速度制御部によってゼロ速度に制御された圧縮機を再起動させる再起動部とを有する。
【0025】
これによれば、電力量減少要求が解除された場合に、ゼロ速度制御において行われるロータの位置推定を利用して、速やかに圧縮機を再起動させることができる。このため、電動圧縮機が一時停止した場合において、車室内に吹き出される室内送風空気の温度低下量を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態における車両用空調装置の全体構成を示す図であって、冷房運転モード時の冷媒流れを示す図である。
図2】第1実施形態における車両用空調装置の全体構成を示す図であって、第1暖房運転モード(すなわち、二段圧縮モード)時の冷媒流れを示す図である。
図3】第1実施形態における車両用空調装置の全体構成を示す図であって、第2暖房運転モード時の冷媒流れを示す図である。
図4】第1実施形態における圧縮機の構成を示す断面図である。
図5】第1実施形態における電動モータの構成を示す図である。
図6】第1実施形態における電子制御装置のブロック図である。
図7】第1実施形態における空調ECUが実行する制御のフローチャートである。
図8】第1実施形態における空調ECUが実行する一時停止制御のフローチャートである。
図9】比較例1における電動モータのモータ電圧(すなわち、UVW相)の波形を示す図である。
図10】第1実施形態におけるステップS23の減速制御を行った場合の電動モータのモータ電圧(すなわち、UVW相)の波形を示す図である。
図11】第2実施形態における空調ECUが実行する一時停止制御のフローチャートである。
図12】第3実施形態における空調ECUが実行する一時停止制御のフローチャートである。
図13】第3実施形態における第2減速制御を説明するためのモータ回転数と時間との関係を示す図である。
図14】比較例2の電動モータの駆動制御を説明するためのモータ回転数と時間との関係を示す図である。
図15】第4実施形態における空調ECUが実行する一時停止制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0028】
(第1実施形態)
図1〜3に示す本実施形態の車両用空調装置1は、内燃機関(すなわち、エンジン)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両に適用されている。車両用空調装置1は、ヒートポンプサイクル10と室内空調ユニット30とを備えている。
【0029】
ヒートポンプサイクル10は、車両用空調装置1において、空調対象空間である車室内へ送風される室内送風空気を冷却あるいは加熱する機能を果たす。このため、ヒートポンプサイクル10は、図1に示すように、室内送風空気を冷却して車室内を冷房する冷房運転モードの冷媒回路と、図2、3に示すように、室内送風空気を加熱して車室内を暖房する第1、第2暖房運転モードの冷媒回路とを切替可能に構成されている。第1暖房運転モードの冷媒回路が二段圧縮式の冷凍サイクル装置を構成している。第1暖房運転モードは、外気温が極低温時、例えば、0℃以下の時に実行される暖房運転モードである。第2暖房モードは、通常の暖房運転モードである。
【0030】
また、ヒートポンプサイクル10は、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用しており、高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。
【0031】
本実施形態のヒートポンプサイクル10は、圧縮機11と、室内凝縮器12と、第1減圧器13と、気液分離器14と、中間圧冷媒流路15と、中間圧開閉弁16と、第2減圧器17と、室外熱交換器18と、第3減圧器20と、三方弁21と、室内蒸発器22と、アキュムレータ23と、第2迂回流路24とを備えている。
【0032】
圧縮機11は、車両のボンネット内に配置され、ヒートポンプサイクル10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出する車載用の電動圧縮機である。
【0033】
圧縮機11は、圧縮室11aと、圧縮室11aへ低圧冷媒を吸入させる吸入ポート11bと、圧縮室11aから高圧冷媒を吐出する吐出ポート11cと、ヒートポンプサイクル10の中間圧冷媒を圧縮室11aへ導くと共に、圧縮過程途中の冷媒に合流させる中間圧ポート11dとを有する。なお、中間圧冷媒とは、圧縮室11aに吸入される低圧冷媒の圧力と圧縮室11aから吐出される高圧冷媒の圧力との間の圧力を有する冷媒を意味する。
【0034】
より詳細には、図4に示すように、圧縮機11は、圧縮室11a内の冷媒を圧縮する圧縮機構111と、圧縮機構111を回転駆動する電動モータ112と、電動モータ112の駆動制御回路であるインバータ装置(以下、インバータという)113とを有している。圧縮機構111と電動モータ112は、ハウジング114の内部に収容されている。インバータ113は、ハウジング114の外部にハウジング114に隣接して設置されている。
【0035】
圧縮機構111としては、スクロール型圧縮機構が採用される。なお、圧縮機構111としては、回転型の圧縮機構であれば、スクロール型圧縮機構に限らず、ベーン型圧縮機構等の他の圧縮機構を採用することができる。
【0036】
電動モータ112は、インバータ113から出力される三相交流の電力、すなわち、交流電流によって、その回転数が制御される三相交流同期モータである。電動モータ112は、図5に示すように、ロータ112aと、ステータコイル112b、112c、112dを備えている。ロータ112aは、圧縮機構111に回転動力を伝える図示しない回転軸に固定されている。ロータ112aは、ステータコイル112b、112c、112dから発生される回転磁界に基づいて、図示しない回転軸とともに回転する。ステータコイルは、U相コイル112b、V相コイル112cおよびW相コイル112dがスター結線されている。U相コイル112b、V相コイル112cおよびW相コイル112dは、それぞれ、インバータ113に接続されている。インバータ113は、走行用電動モータ等の主機に給電する高電圧電源と接続され、後述する空調ECU40より出力された目標回転数を示した制御信号に基づき、交流電流を出力する。
【0037】
ハウジング114には、吸入ポート11bと、吐出ポート11cと、中間圧ポート11dが設けられており、吸入ポート11bから吐出ポート11cに向かって、ハウジング114の内部を気相冷媒が流れる。中間圧ポート11dは、圧縮室11aの圧縮過程途中の箇所と連通している。
【0038】
このように、本実施形態の圧縮機11は、吸入ポート11bから吸入した低圧冷媒を圧縮機構111で圧縮して高圧冷媒として、吐出ポート11cから高圧冷媒を吐出する。さらに、圧縮機11は、中間圧ポート11dからサイクル内の中間圧冷媒を流入させて圧縮過程途中の冷媒に合流させるように構成されている。
【0039】
室内凝縮器12は、その冷媒入口側が圧縮機11の吐出ポート11c側に接続されており、後述する室内空調ユニット30のケーシング31内に配置されている。室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧の吐出冷媒(すなわち、高圧冷媒)と室内送風空気とを熱交換させて、吐出冷媒を放熱させるとともに、後述する室内蒸発器22を通過した室内送風空気を加熱する放熱器である。
【0040】
第1減圧器13は、その冷媒入口側が室内凝縮器12の冷媒出口側に接続されている。第1減圧器13は、第1暖房運転モード時に、室内凝縮器12から流出した冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる。第1減圧器13は、第2暖房モード時に、室内凝縮器12から流出した冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる。第1減圧器13は、電気式膨張弁である。すなわち、第1減圧器13は、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させる電動アクチュエータとを有して構成される電気式の可変絞り機構である。第1減圧器13は、減圧作用を発揮する絞り状態と減圧作用を発揮しない全開状態とに設定可能に構成されている。
【0041】
気液分離器14は、その冷媒入口側が第1減圧器13の冷媒出口側に接続されている。気液分離器14は、第1減圧器13を通過した冷媒の気液を分離する。本実施形態の気液分離器14は、遠心力の作用によって冷媒の気液を分離する遠心分離方式のものである。気液分離器14の気相冷媒出口側に、中間圧冷媒流路15が接続されている。気液分離器14の液相冷媒出口側に、第2減圧器17の冷媒入口側が接続されている。
【0042】
中間圧冷媒流路15は、気液分離器14で分離された気相冷媒を、圧縮機11の中間圧ポート11dへ導くための冷媒流路である。中間圧冷媒流路15は、冷媒配管151とマフラ152とによって構成されている。マフラ152は、中間圧冷媒流路15内の冷媒の脈動を低減するための流路形成部材であり、冷媒配管151よりも容量が大きいものである。
【0043】
中間圧開閉弁16は、中間圧冷媒流路15に設けられており、中間圧冷媒流路15を開閉する開閉弁である。本実施形態の中間圧開閉弁16は、後述する空調ECU40から出力される制御信号によって、その開閉作動が制御される電磁弁である。後述の通り、中間圧開閉弁16は、第1暖房運転モード時に、中間圧冷媒を中間圧ポート11dに導入する二段圧縮モードの冷媒回路を形成するために、開弁状態とされる。
【0044】
第2減圧器17は、第1暖房運転モード時に、気液分離器14にて分離された中間圧の液相冷媒を低圧冷媒になるまで減圧させる。第2減圧器17は、冷房運転モード時や第2暖房モード時では冷媒に対して減圧作用を発揮しない。このため、第2減圧器17は、減圧作用を発揮する絞り状態と減圧作用を発揮しない全開状態とに設定可能に構成されている。
【0045】
本実施形態の第2減圧器17は、固定絞り171と、第1迂回流路172と、開閉弁173とによって構成されている。固定絞り171は、冷媒を減圧させる。固定絞り17としては、絞り開度が固定されたノズル、オリフィス等を採用することができる。第1迂回流路172は、気液分離器14から流出した冷媒を、固定絞り171を迂回させて、室外熱交換器18側に導く冷媒流路である。開閉弁173は、第1迂回流路172を開閉する電磁弁であり、空調ECU40から出力される制御信号によって、その開閉作動が制御される。本実施形態の第2減圧器17では、開閉弁173の開閉により、減圧作用を発揮する絞り状態と、減圧作用を発揮しない全開状態とに変更することが可能となっている。
【0046】
室外熱交換器18は、その冷媒入口側が第2減圧器17の冷媒出口側に接続されている。室外熱交換器18は、車両ボンネット内、すなわち、車室外に配置され、その内部を流通する冷媒と送風ファン19によって送風された車室外空気(すなわち、外気)とを熱交換させる。この室外熱交換器18は、第1、第2暖房運転モード時に低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器として機能する。この室外熱交換器18は、冷房運転モード時に高圧冷媒を放熱させる放熱器として機能する。
【0047】
第3減圧器20は、その冷媒入口側が室外熱交換器18の冷媒出口側に接続されている。第3減圧器20は、冷房運転モード時に、室外熱交換器18から流出し、室内蒸発器22へ流入する冷媒を減圧させる。第3減圧器20は、第1減圧器13と同様の構成の電気式膨張弁である。
【0048】
三方弁21は、その冷媒入口側が第3減圧器20の冷媒出口側に接続されており、2つの冷媒出口のそれぞれが室内蒸発器22の冷媒入口側およびアキュムレータ23の冷媒入口側に接続されている。三方弁21は、第3減圧器20から流出した冷媒を室内蒸発器22に導く冷媒流路と、第3減圧器20から流出した冷媒を室内蒸発器22を迂回させてアキュムレータ23に導く第2迂回流路24とを切り替える冷媒流路切替装置である。三方弁21は、空調ECU40から出力される制御信号によって、その作動が制御される電気式三方弁である。
【0049】
室内蒸発器22は、室内空調ユニット30のケーシング31内の室内凝縮器12よりも空気流れ上流側に配置されている。室内蒸発器22は、冷房運転モード時に、内部を流通する冷媒と室内送風空気との熱交換により、冷媒を吸熱させて蒸発させるとともに、その吸熱作用により室内送風空気を冷却する熱交換器である。
【0050】
アキュムレータ23は、その冷媒入口側が室内蒸発器22の冷媒出口側および第2迂回流路24に接続されている。アキュムレータ23は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰冷媒を蓄える気液分離器である。アキュムレータ23の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入ポート11b側が接続されている。
【0051】
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、温度調整された室内送風空気を車室内に送風する。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(すなわち、インストルメントパネル)の内側に配置される。室内空調ユニット30は、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、前述の室内凝縮器12、室内蒸発器22等を収容することによって構成されている。
【0052】
ケーシング31は、内部に室内送風空気の空気通路を形成している。ケーシング31内の室内送風空気の空気流れ最上流側には、車室内空気(すなわち、内気)と外気とを切替導入する内外気切替装置33が配置されている。
【0053】
内外気切替装置33の空気流れ下流側には、内外気切替装置33を介して吸入された空気を車室内へ向けて送風する送風機32が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。
【0054】
送風機32の空気流れ下流側には、室内蒸発器22および室内凝縮器12が、室内送風空気の流れに対して、この順に配置されている。また、ケーシング31内には、室内蒸発器22を通過した室内送風空気を、室内凝縮器12を迂回させて流すバイパス通路34が形成されている。
【0055】
さらに、室内蒸発器22の空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の空気流れ上流側には、空気通路切替ドア35が配置されている。空気通路切替ドア35は、室内蒸発器22通過後の室内送風空気が流れる空気通路として、室内凝縮器12を通過する空気通路と、バイパス通路34とを切り替える。
【0056】
図示しないが、ケーシング31の空気流れ最下流部には、車室内に設けられた吹出口に連なる開口部が設けられている。室内蒸発器22もしくは室内凝縮器12で温度調節された室内送風空気は、開口部を介して、吹出口から車室内へ吹き出される。
【0057】
また、車両用空調装置1は、図6に示す空調ECU40を備えている。空調ECU40は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成された電子制御装置である。
【0058】
空調ECU40の出力側には、圧縮機11のインバータ113、第1減圧器13、中間圧開閉弁16、開閉弁173、送風ファン19、第3減圧器20、三方弁21、送風機32、空気通路切替ドア35等の各種機器が接続されている。
【0059】
一方、空調ECU40の入力側には、各種空調制御用のセンサ群41が接続されている。センサ群41としては、車室内温度を検出する内気センサ、外気温を検出する外気センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、室内蒸発器22の温度を検出する蒸発器温度センサ、圧縮機11から吐出された高圧冷媒圧力を検出する吐出圧センサ等が挙げられる。
【0060】
さらに、空調ECU40の入力側には、計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続されている。空調ECU40は、この操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチ42からの操作信号が入力される。操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチ42としては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ、冷房運転モードと暖房運転モードの選択スイッチ等が挙げられる。
【0061】
空調ECU40は、ROM等に記憶された空調制御プログラムに基づいて、入力されたセンサ群41のセンサ信号および各種空調操作スイッチ42の操作信号を用いて、各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
【0062】
例えば、空調ECU40は、圧縮機11の目標回転数を示す制御信号をインバータ113へ出力する。インバータ113は、その制御信号に応じた周波数の交流電流を出力する。このようにして、圧縮機11の回転数が制御される。なお、本実施形態のインバータ113は、複数のインバータ素子(すなわち、スイッチング素子)を含んで構成され、電動モータ112に三相交流電流を出力する電流出力回路と、複数のインバータ素子の駆動を制御する駆動ECUとを含んでいる。駆動ECUは、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成された電子制御装置である。駆動ECUが、空調ECU40からの目標回転数を示した制御信号に基づいて、電流出力回路を制御する。これにより、U、V、W相コイル112b−112dのそれぞれに流される電流が制御される。本実施形態では、空調ECU40およびインバータ113が電動圧縮機の電子制御装置に相当する。
【0063】
また、駆動ECUは、ロータ112aの回転位置(すなわち、電気角)を検出するための回転センサを用いないセンサレスで電動モータ112の駆動制御を行う。このセンサレスでの駆動制御では、ロータ112aの回転位置の推定方法として、第1の推定方法または第2の推定方法が用いられる。第1の推定方法は、誘起電圧を利用する方法であり、三相の各相の誘起電圧に基づいて、ロータ112aの回転位置を推定する。第2の推定方法は、外乱注入法であり、ステータコイル112b、112c、112dに対してセンシング信号を注入し、このセンシング信号に対する電動モータ112の応答に基づいて、ロータ112aの回転位置を推定する。センシング信号は、三次高調波である。なお、第1の推定方法は、電動モータ112(具体的には、ロータ112a)の回転速度が所定速度よりも高い場合に用いられる。第2の推定方法は、電動モータ112(具体的には、ロータ112a)の回転速度が前記所定速度よりも低い場合、すなわち、極低速回転時や停止時に用いられる。
【0064】
また、空調ECU40は、上位ECU50と電気的に接続されており、空調ECU40および上位ECU50は互いに電気的に通信可能に構成されている。このため、上位ECU50は、空調ECU40を介して、空調ECU40の出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。上位ECU50は、走行系を制御する電子制御装置である。より具体的には、上位ECU50は、図示しないアクセルペダルの踏み込み量等に基づいて、モータ、エンジン等の主機を制御するとともに、車両に搭載された電源から主機への電力供給を制御する。
【0065】
上位ECU50は、車両加速時の電力確保が必要な場合、空調ECU40へ圧縮機11の停止要求信号を出力することにより、圧縮機11の作動を停止させることができる。この場合、上位ECU50が圧縮機11の停止要求信号を出力しないことにより、圧縮機11の作動を再開させることができる。また、車両加速時の電力確保が必要な場合とは、本実施形態では、エンジンと走行用電動モータのうち走行用電動モータのみの駆動力による車両走行中に、車両加速のためにエンジンを起動させる場合である。
【0066】
次に、空調ECU40が実施する各種機器の制御処理について説明する。
【0067】
空調ECU40は、冷房運転モード、第1暖房運転モードまたは第2暖房運転モードの運転モードに応じて各種機器を制御する通常運転制御を行う。空調ECU40は、上位ECU50からの圧縮機11の停止要求がある場合、通常運転制御よりも優先して、圧縮機11の一時停止制御を行う。
【0068】
具体的には、空調ECU40は、図7、8に示す制御処理を行う。なお、図7、8に示す制御処理は、イグニッションスイッチがオンの状態のとき、すなわち、車両が走行可能な走行状態のときであって、操作パネルの作動スイッチがオンとされているときに実施される。また、各図中に示したステップは、各種処理を実行する構成部に対応する。
【0069】
図7に示すように、空調ECU40は、ステップS11で、上位ECU50からの圧縮機11の停止要求信号があるか否かを判定する。このとき、上位ECU50から圧縮機11の停止要求信号の入力が無い場合、空調ECU40は、NO判定して、ステップS12に進み、通常運転制御の実施を決定する。一方、上位ECU50からの圧縮機11の停止要求信号の入力がある場合、空調ECU40は、YES判定して、ステップS13に進み、一時運転制御の実施を決定する。そして、この決定に基づいて、空調ECU40は、通常運転制御もしくは一時運転制御を実施する。
【0070】
続いて、通常運転制御について説明する。通常運転制御では、空調ECU40は、ヒートポンプサイクル10を各運転モードの冷媒回路に切り替えて、各運転モードで所望の空調状態が得られるように、各種機器の作動を制御する。
【0071】
(A)冷房運転モード
冷房運転モードは、例えば、操作パネルの作動スイッチがオンされた状態で、選択スイッチによって冷房運転モードが選択されると開始される。
【0072】
冷房運転モードでは、空調ECU40は、第1減圧器13を全開状態(すなわち、減圧作用を発揮しない状態)、第3減圧器20を絞り状態(すなわち、減圧作用を発揮する状態)とする。また、空調ECU40は、開閉弁173を開弁状態として第2減圧器17を全開状態(すなわち、減圧作用を発揮しない状態)とする。さらに、空調ECU40は、中間圧開閉弁16を閉弁状態とし、三方弁21の第2迂回流路24側を閉弁状態とする。
【0073】
また、空調ECU40は、センサ群41の検出信号および操作パネルの操作信号に基づいて、車室内へ吹き出す空気の目標温度である目標吹出温度TAOを算出する。そして、算出した目標吹出温度TAOおよびセンサ群の検出信号に基づいて、圧縮機11、送風機32、空気通路切替ドア35等の各種機器の作動状態を決定し、決定した作動状態となるように、制御信号を出力する。これにより、例えば、圧縮機11と送風機32のそれぞれが、所望の回転数で作動する。内外気切替装置33のドア位置、空気通路切替ドア35の位置が所望の位置となる。空気通路切替ドア35の具体的な位置は、室内凝縮器12の空気通路が閉塞され、室内蒸発器22通過後の送風空気の全流量がバイパス通路34を通過する位置である。
【0074】
これにより、ヒートポンプサイクル10は、図1の太線および矢印で示すように冷媒が流れる冷房運転モードの冷媒回路に切り替えられる。すなわち、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された冷媒が、室内凝縮器12、全開状態の第1減圧器13、気液分離器14、全開状態の第2減圧器17、室外熱交換器18、絞り状態の第3減圧器20、室内蒸発器22、アキュムレータ23の順に流れた後、圧縮機11の吸入ポート11bに流入する冷媒回路が形成される。
【0075】
この冷房運転モードでは、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒が、室外熱交換器18にて外気と熱交換して放熱する。室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3減圧器20にて低圧冷媒となるまで減圧膨脹され、室内蒸発器22にて送風機32から送風された室内送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内送風空気が冷却される。このとき、空気通路切替ドア35により室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12に流入した高圧冷媒は、実質的に室内送風空気へ放熱せず、室内凝縮器12から流出する。このため、室内蒸発器22にて冷却された室内送風空気が、車室内へ吹き出される。
【0076】
(B)暖房運転モード
暖房運転モードは、例えば、操作パネルの作動スイッチが投入(すなわち、ON)された状態で、選択スイッチによって暖房運転モードが選択されると開始される。このとき、外気温が極低温の場合に、第1暖房運転モードが実行される。外気温が極低温以外の場合に、第2暖房運転モードが実行される。例えば、空調ECU40は、外気センサの検出温度が基準温度、例えば、0℃以下の場合に、第1暖房運転モードを実行する。空調ECU40は、外気センサの検出温度が基準温度を超える場合に、第2暖房運転モードを実行する。
【0077】
(B1)第1暖房運転モード
第1暖房運転モードでは、空調ECU40は、第1減圧器13を絞り状態、第3減圧器20を全開状態とする。また、空調ECU40は、開閉弁173を閉弁状態として第2減圧器17を絞り状態とする。さらに、空調ECU40は、中間圧開閉弁16を開弁状態とし、三方弁21の第2迂回流路24側を開弁状態とする。
【0078】
また、空調ECU40は、冷房運転モードと同様に、目標吹出温度TAO等に基づいて、各種機器の作動状態を決定し、決定した作動状態となるように、制御信号を出力する。これにより、例えば、空気通路切替ドア35の位置が、バイパス通路34が閉塞され、室内蒸発器22通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12を通過する位置となる。
【0079】
これにより、ヒートポンプサイクル10は、図2の太線および矢印で示すように冷媒が流れる第1暖房運転モードの冷媒回路に切り替えられる。すなわち、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒が、室内凝縮器12で凝縮され、凝縮された高圧冷媒が第1減圧器13により中間圧冷媒にまるまで減圧される。第1減圧器13から流出した中間圧冷媒は、気液分離器14にて気相冷媒と液相冷媒に分離される。気液分離器14にて分離された中間圧の液相冷媒は、第2減圧器17により低圧冷媒になるまで減圧された後、室外熱交換器18にて蒸発され、アキュムレータ23を介して、圧縮機11の吸入ポート11bに吸入される。一方、気液分離器14にて分離された中間圧の気相冷媒は、中間圧冷媒流路15を介して、圧縮機11の中間圧ポート11dに導かれ、圧縮過程途中の冷媒に合流する。
【0080】
このように、第1暖房モードでは、固定絞り17にて減圧された低圧冷媒を圧縮機11へ吸入させると共に、第1減圧器13にて減圧された中間圧冷媒を圧縮機11の圧縮過程途中の冷媒と合流させるガスインジェクションサイクル(すなわち、二段圧縮式の冷凍サイクル)を構成することができる。したがって、本実施形態では、この第1暖房モードが二段圧縮モードである。
【0081】
この第1暖房運転モードでは、室内蒸発器22には冷媒が流れないので、室内送風空気は室内蒸発器22で冷却されない。室内蒸発器22を通過した室内送風空気が、室内凝縮器12で高圧冷媒との熱交換により加熱されて、車室内に吹き出される。
【0082】
(B2)第2暖房運転モード
第2暖房運転モードでは、空調ECU40は、第1減圧器13を絞り状態、第3減圧器20を全開状態とする。また、空調ECU40は、開閉弁173を開弁状態として第2減圧器17を全開状態とする。さらに、空調ECU40は、中間圧開閉弁16を閉弁状態とし、三方弁21の第2迂回流路24側を開弁状態とする。
【0083】
また、空調ECU40は、第1暖房運転モードと同様に、目標吹出温度TAO等に基づいて、各種機器の作動状態を決定し、決定した作動状態となるように、制御信号を出力する。
【0084】
これにより、ヒートポンプサイクル10は、図3の太線および矢印で示すように冷媒が流れる第2暖房運転モードの冷媒回路に切り替えられる。すなわち、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒が、室内凝縮器12で凝縮され、凝縮された高圧冷媒が第1減圧器13により低圧冷媒にまるまで減圧される。第1減圧器13から流出した低圧冷媒は、気液分離器14に流入する。このとき、中間圧開閉弁16が閉弁状態なので、気液分離器14に流入した低圧冷媒は、中間圧冷媒流路15に流入せず、室外熱交換器18に流入する。室外熱交換器18に流入した冷媒は、外気との熱交換により蒸発され、アキュムレータ23を介して、圧縮機11の吸入ポート11bに吸入される。
【0085】
第2暖房運転モードにおいても、室内蒸発器22には冷媒が流れないので、室内送風空気は室内蒸発器22で冷却されない。室内蒸発器22を通過した室内送風空気が、室内凝縮器12で高圧冷媒との熱交換により加熱されて、車室内に吹き出される。
【0086】
続いて、図7のステップS13の圧縮機11の一時停止制御について説明する。圧縮機11の一時停止制御は、通常運転制御での圧縮機11の運転中に、圧縮機11を停止させた後、圧縮機11を再起動させる制御である。
【0087】
図8に示すように、空調ECU40は、ステップS21で、現在の運転モードが二段圧縮モードであるか否かを判定する。二段圧縮モードとは、上述の第1暖房運転モードである。現在の運転モードが第1暖房運転モードであれば、空調ECU40は、YES判定して、ステップS22に進む。
【0088】
ステップS22では、空調ECU40は、電力が使用可能か否かを判定する。この電力の使用可否は、上位ECU50からの命令から判断する。例えば、圧縮機11の停止要求信号として、圧縮機11による電力の使用を許可しない不許可信号と、通常運転制御時よりも少ない電力量での圧縮機11による電力の使用を許可する許可信号とがある。このため、許可信号であれば、空調ECU40は、電力が使用可能であると判定する。このように、空調ECU40は、電力が使用可能であれば、YES判定して、ステップS23に進む。
【0089】
ステップS23では、電動モータ112の減速制御を行う。この減速制御は、電動モータ112へ出力される交流電流を制御して、電動モータ112の回転を減速させるという電動モータ112の駆動制御である。したがって、この減速制御中は、0よりも大きな電流値であって許容される電力量である交流電流が電動モータ112へ出力される。この減速制御では、電動モータ112を通常運転状態から停止状態に向かわせるように、電動モータ112へ出力される交流電流の実行値を徐々に低下させる。この駆動制御では、ロータ112aの回転位置を推定する方法として第1の推定方法を用いる。また、このときの減速レートは、通常の制御では実施しない程のなるべく大きな減速レートが好ましい。また、減速レートは、一定でも、一定でなくてもよい。なお、なるべく大きな減速レートで、電動モータ112を減速させると、電動モータ112が脱調する可能性がある。そこで、電動モータ112の構造として、電動モータ112が瞬間停止しても、強度的に問題がない構造を採用することが好ましい。空調ECU40は、この減速制御を所定時間行った後、ステップS24に進む。
【0090】
続いて、ステップS24では、空調ECU40は、電動モータ112の逆回転方向制御を行う。この逆回転方向制御は、電動モータ112へ出力される交流電流を制御して、電動モータ112を逆回転方向に回転させる電動モータ112の駆動制御である。この駆動制御では、ロータの回転位置を推定する方法として第2の推定方法が用いられる。また、このとき設定される回転数は、一定とされたり、回転数が0に近づくように減少されたりする。また、このとき設定される回転数を、電動モータ112の逆回転によって発生する誘起電圧が所定電圧以下となるような回転数とすることが好ましい。所定電圧は、例えば、60Vである。これにより、電動モータ112の逆回転による誘起電圧の発生が原因の入力電圧上昇を抑制することができる。また、このステップS24での電動モータ112の駆動制御では、電動モータ112の回転数が低いため、外乱注入法を用いたロータの位置検出が行われる。
【0091】
ステップS24の制御を所定時間行った後、ステップS25に進む。この所定時間は、後述する中間圧ポート11d側の冷媒と吸入ポート11b側の冷媒の差圧が0もしくは0に近づくように設定される。なお、モータ電流、モータ電圧の検出値が所定値よりも低くなった場合等に、ステップS24を終了してもよい。
【0092】
ステップS25では、空調ECU40は、電動モータ112の駆動を停止する。すなわち、空調ECU40は、電動モータ112への給電を停止する。
【0093】
続いて、ステップS26では、空調ECU40は、圧縮機11の再起動が可能か否かを判定する。この判定は、例えば、上位ECU50からの圧縮機11の停止要求信号の有無によって行われる。圧縮機11の停止要求信号の入力が無ければ、圧縮機の再起動が可能であるので、空調ECU40は、YES判定して、ステップS27に進む。一方、圧縮機11の停止要求信号の入力があれば、圧縮機の再起動が可能ではないので、空調ECU40は、NO判定して、ステップS26を再び行う。そして、空調ECU40は、YES判定するまでステップS26を繰り返し行う。
【0094】
ステップS27では、空調ECU40は、圧縮機11の再起動を行う。このとき、空調ECU40は、外乱注入法を用いたロータの位置検出を行うことにより、電動モータ112の駆動制御を行う。
【0095】
一方、ステップS21の判定において、現在の運転モードが第1暖房運転モード以外であれば、空調ECU40は、NO判定して、ステップS28に進み、圧縮機11の駆動を停止する。このときの圧縮機11の駆動停止は、上記したステップS23、S24の制御を行わずに、電動モータ112への給電停止により行われる。
【0096】
また、ステップS22の判定において、電力が使用できない状態であれば、空調ECU40は、NO判定して、ステップS28に進み、圧縮機11の駆動を停止する。
【0097】
ステップS28の後、ステップS29で、ステップS26と同様に、空調ECU40は、再起動可能か否かを判定する。再起動可能であれば、空調ECU40は、YES判定して、ステップS27に進み、圧縮機11を再起動させる。一方、再起動可能でなければ、空調ECU40は、NO判定して、ステップS29を行い、YES判定するまでステップS29を繰り返し行う。
【0098】
このようにして、圧縮機11の一時停止制御が行われる。その後、空調ECU40は、上述の通常運転制御を行う。
【0099】
本実施形態では、ステップS22が、電動圧縮機による電力の使用が可能か否かを判定する判定部に相当する。ステップS23が、電動モータの回転を減速させる減速制御部に相当する。ステップS24が、二段圧縮モード時の電動モータの回転方向とは逆の逆回転方向に電動モータを回転させる逆回転方向制御部に相当する。ステップS25が、電動モータの駆動を停止させる駆動停止部に相当する。ステップS27が、駆動停止部によって駆動停止された圧縮機を再起動させる再起動部に相当する。
【0100】
ここで、本実施形態の特徴を比較例1と対比して説明する。比較例1は、図8に示す一時停止制御において、ステップS23、S24を行わずに、ステップS25を行うものである。すなわち、比較例1は、第1暖房運転モード時に圧縮機11の停止要求があったときに、電動モータ112への給電を停止して、圧縮機11の駆動を停止させる制御である。
【0101】
比較例1では、図9に示すように、空調ECU40が停止要求信号を受信すると、電動モータ112への給電を停止する。このため、中間圧ポート11d側の冷媒と吸入ポート11b側の冷媒の圧力差によって、冷媒が逆流し、圧縮機11が長時間逆回転し続けてしまう。逆回転中は圧縮機11の再起動ができないため、逆回転が終了して電動モータ112が停止するまで、圧縮機11の再起動を待たなければならない。このため、圧縮機11の停止要求が解除された場合であっても、速やかに圧縮機11を再起動させることができない。この結果、車室内に吹き出される室内送風空気の温度が著しく低下し、乗員の快適性を損なうという問題が生じてしまう。
【0102】
ちなみに、特許文献1のように、エンジンの駆動力を利用する圧縮機は、圧縮機が逆回転中であっても、クラッチをつなげば、再起動できるが、電動圧縮機は、逆回転中に再起動ができない。この理由は次の通りである。
【0103】
電動圧縮機の電動モータを起動させる場合、ロータの電気角の位置を確認してから、電動モータを起動しなければならない。このため、ロータの電気角の位置検出が必要となるが、電動モータは、圧縮機の内部に設けられており、圧縮機の内部は冷媒が流れるため、ロータの電気角の位置検出のためのセンサを設置できない。そこで、通常では、ロータ停止時に電動モータに印加した電圧と電動モータに流れた電流とロータの電気角の位置との関係に基づいて、ロータの電気角の位置を推定している。このロータの電気角の位置検出は、圧縮機が逆回転していると、ロータの電気角の検出位置と起動時の電気角の位置がずれてしまう。この場合に、圧縮機の起動に失敗する。このため、逆回転中に電動圧縮機を起動できない。なお、ロータの電気角の検出位置と起動時の電気角の位置がずれていない場合、電動圧縮機を起動できる。
【0104】
これに対して、本実施形態では、上述の説明の通り、ステップS23の如く、空調ECU40は、第1暖房運転モード時に上位ECU50からの圧縮機11の駆動停止要求がある場合に、電動モータ112の回転を減速させる減速制御を行う。その後、ステップS24、S25の如く、空調ECU40は、電動モータ112を逆回転方向に回転させる逆回転方向制御を行った後、電動モータ112の駆動を停止させる。そして、ステップS27の如く、空調ECU40は、上位ECU50からの圧縮機11の駆動停止要求が解除された場合に、圧縮機11を再起動させる制御を行うこととしている。
【0105】
これによれば、空調ECU40は、電動モータ112の駆動停止前(すなわち、給電停止前)に、電動モータ112を減速させる。これにより、比較例1のように電動モータ112を減速させずに、電動モータ112への給電を停止する場合と比較して、中間圧ポート11d側の冷媒と吸入ポート11b側の冷媒の差圧を小さくすることができる。このため、図10に示すように、前記差圧による逆回転の発生時間を、図9に示す比較例1よりも短縮することができる。なお、図10は、本実施形態の減速制御と逆回転方向制御のうち減速制御のみを行った後に給電停止した場合の電動モータ112のモータ電圧(すなわち、UVW相)の波形を示している。
【0106】
さらに、空調ECU40は、電動モータ112を減速させた後に、電動モータ112を逆回転方向に回転させる。これにより、中間圧ポート11d側の冷媒と吸入ポート11b側の冷媒の差圧をより小さくすることができる。このため、図10に示される差圧による逆回転の発生時間をより短縮することができる。
【0107】
したがって、本実施形態によれば、比較例1と比較して、圧縮機11の駆動停止が要求されてから電動モータ112が停止するまでの時間を短縮することができる。この結果、圧縮機11の駆動停止要求が解除された場合に、速やかに圧縮機11を再起動させることができる。よって、車室内に吹き出される室内送風空気の温度低下量を小さく抑えることができる。
【0108】
なお、本実施形態では、ステップS24の電動モータ112の逆回転方向制御において、ロータ112aの回転位置の推定が行われていたが、ロータ112aの回転位置の推定がおこなわれなくてもよい。この場合、電動モータ112が逆回転方向に回転するような周波数の交流電流をステータコイル112b、112c、112dに出力することで、電動モータ112を逆回転方向に回転させることができる。
【0109】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、図7のステップS13の圧縮機11の一時停止制御を変更したものである。具体的には、本実施形態では、図11に示すように、図8に示すフローチャートに対して、ステップS31を追加している。
【0110】
すなわち、ステップS22でYES判定のとき、空調ECU40は、ステップS23の前に、ステップS31を行う。ステップS31では、空調ECU40は、過電流停止制御に用いるしきい値を、現在のしきい値よりも高い値に変更する。したがって、このステップS31が、しきい値を現在の値よりも高い値に変更するしきい値変更部に相当する。
【0111】
ここで、過電流停止制御は、電動モータ112の保護制御である。過電流停止制御は、モータ電流が増大して過電流となったときに、電動モータ112への給電を停止して、電動モータ112の駆動を停止する制御である。これにより、モータ電流が過電流となって、電動モータ112の温度が上昇することを防止することができる。
【0112】
空調ECU40が、ステップS31を実施せずに、ステップS23を実施した場合、減速制御期間の途中に、中間圧冷媒の圧力が上昇することにより、電動モータ112に対する負荷が大きくなる。このため、モータ電流が上昇して過電流となり、すなわち、モータ電流の値がしきい値を超えてしまい、電動モータ112への給電が停止されてしまう。電動モータ112への給電が停止されると、中間圧ポート11d側の冷媒と吸入ポート11b側の冷媒の圧力差によって、冷媒が逆流し、圧縮機11が長時間逆回転し続けてしまうという問題を解決できない。
【0113】
これに対して、本実施形態では、空調ECU40は、過電流停止制御のしきい値を高い値に変更した後に、ステップS23の減速制御を実施する。これにより、インバータ113を構成するスイッチング素子の定格や体格をアップすることなく、作動領域を拡大することができ、減速制御時に過電流によって電動モータ112への給電が停止されることを回避することができる。
【0114】
なお、変更後のしきい値は、中間圧冷媒の圧力上昇によって上昇したモータ電流値よりも高い値となるように、予め実験や計算等によって定められる。また、空調ECU40が停止要求信号を受信した時は、圧縮機11の駆動中である。このため、インバータ113等の冷却対象物は、圧縮機11に吸入される低圧冷媒によって十分に冷却されている状態である。したがって、モータ電流が上昇して過電流の状態となっても、冷却対象物が冷却された状態を維持できるので、一時的にしきい値を上げることができる。
【0115】
(第3実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、図7のステップS13の圧縮機11の一時停止制御を変更したものである。具体的には、本実施形態では、図12に示すように、図8に示すフローチャートにおけるステップS23を、ステップS23−1とステップS23−2に変更している。
【0116】
すなわち、ステップS22でYES判定のとき、ステップS23−1で、空調ECU40は、電動モータ112の第1減速制御を行う。第1減速制御は、第1実施形態で説明した図8のステップS23と同様に、電動モータ112の回転を減速させるという電動モータ112の駆動制御である。換言すると、第1減速制御は、ステータコイル112b、112c、112dに供給する交流電流の周波数を制御して、電動モータ112の回転数を減少させる制御である。
【0117】
また、第1減速制御では、ロータ112aの回転位置を推定する方法として第1の推定方法が用いられる。第1減速制御は、ロータ112aの回転位置の推定ができないほど、電動モータ112が減速したときに終了する。例えば、第1減速制御の開始からロータ112aの回転位置の推定ができないほど、電動モータ112が減速するときの所定時間を、予め実験等によって求めておく。そして、第1減速制御の開始からその所定時間を経過したときに、空調ECU40は、第1減速制御を終了する。その後、空調ECU40は、ステップS23−2に進む。
【0118】
ステップS23−2では、空調ECU40は、電動モータ112の第2減速制御を行う。第2減速制御は、インバータ113からステータコイル112b、112c、112dのいずれかに直流電流を供給して励磁させる直流励磁により、ロータ112aに対して減速方向にトルクを発生させる制御である。ステップS23−2
このとき、図13に示すように、直流電流を供給しない無制御と直流励磁を繰り返すことが好ましい。また、特定のステータコイルのみを直流励磁させるのではなく、直流励磁させるステータコイルを3相のステータコイル112b、112c、112dのいずれかに切り替えることが好ましい。これらにより、特定のステータコイルのみに直流励磁を行い続ける場合と比較して、インバータ素子の発熱を抑制できる。なお、ステータコイル112b、112c、112dに供給する直流電流の向きを切り替える場合、その切り替えの周期は、交流電流の周波数よりも長い。
【0119】
ここで、図14は、比較例2の電動モータ112の駆動制御を示している。比較例2では、空調ECU40は、第1減速制御の後に、第2減速制御を行わずに、電動モータ112の駆動を停止させる(すなわち、電動モータ112への給電停止を行う)。この場合、第1減速制御の後、なりゆきで電動モータが減速する。
【0120】
本実施形態では、空調ECU40は、第1減速制御の後に、第2減速制御を行う。これにより、比較例2の場合と比較して、電動モータ112をより速く減速することができ、中間圧ポート11d側の冷媒と吸入ポート11b側の冷媒の差圧を小さくすることができる。このため、圧縮機11の駆動停止が要求されてから電動モータ112が停止するまでの時間を短縮することができる。この結果、圧縮機11の駆動停止要求が解除された場合に、速やかに圧縮機11を再起動させることができる。
【0121】
なお、本実施形態では、ステップS23−1が、電動モータへ出力される交流電流を制御して、電動モータの回転を減速させる第1減速制御部に相当する。ステップS23−2が、ステータコイルに直流電流を供給して励磁させることにより、電動モータの回転を減速させる第2減速制御部に相当する。
【0122】
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、図7のステップS13の圧縮機11の一時停止制御を変更したものである。具体的には、本実施形態では、図15に示すように、図8に示すフローチャートにおけるステップS24、S25を、ステップS41に変更している。
【0123】
すなわち、空調ECU40は、ステップS23の減速制御の後、ステップS41で、電動モータ112へ出力される交流電流を制御して、電動モータ112の回転速度をゼロ速度に制御するゼロ速度制御を行う。したがって、ステップS41が、電動モータの回転速度をゼロ速度に制御するゼロ速度制御部に相当する。
【0124】
このゼロ速度制御は、ステップS23の減速制御停止後に、中間圧ポート11d側の冷媒と吸入ポート11b側の冷媒の差圧によって、逆回転方向に回転しようとするロータ112aに対して、正回転方向のトルクを与える制御である。このゼロ速度制御では、ロータ112aを正回転方向に回転させるための磁界をステータコイル112b、112c、112dに発生させる。また、このゼロ速度制御では、外乱注入法を用いたロータ112aの位置推定が行われる。ス空調ECU40は、テップS41の制御開始から所定時間経過後に、ステップS26に進む。なお、ステップS41のゼロ速度制御は、ステップS27の圧縮機11の再起動まで継続されるものである。このため、圧縮機11の再起動の前に、圧縮機11は駆動停止されない。
【0125】
ステップS26では、空調ECU40は、圧縮機11の再起動が可能か否かを判定する。ステップS26でYES判定のとき、空調ECU40は、ステップS27に進み、圧縮機11の再起動を行う。ステップS26、S27は、第1実施形態での説明と同じである。したがって、本実施形態では、ステップS27が、ゼロ速度制御部によってゼロ速度に制御された前記圧縮機を再起動させる再起動部に相当する。
【0126】
本実施形態では、空調ECU40は、ステップS23の減速制御後に、ステップS41のゼロ速度制御を行う。これにより、ゼロ速度制御において行われるロータ112aの位置推定を利用して、速やかに再起動することができる。すなわち、速やかに通常運転制御に戻ることができる。
【0127】
なお、本実施形態では、空調ECU40は、図7のステップS11で、圧縮機11の停止要求があると判定(すなわち、YES判定)し、ステップS22で、電力が使用可能と判定(すなわち、YES判定)した場合に、ステップS23、S24を行っている。ステップS22では、通常運転制御時よりも少ない電力量での圧縮機11による電力の使用を許可する許可信号が、上位ECU50から空調ECU40に対して出力されている場合に、YES判定される。上位ECU50が空調ECU40に対してこの許可信号を出力することは、上位ECU50が空調ECU40に対して、圧縮機11への給電停止を要求しているのではない。上位ECU50が空調ECU40に対して、圧縮機11へ供給する供給電力量を現在の供給電力量よりも減少させる電力量減少を要求していることを意味する。
【0128】
したがって、本実施形態は、上位ECU50から空調ECU40に対して、電力量減少の要求がある場合に、空調ECU40が、ステップS23の減速制御と、ステップSS41のゼロ速度制御とを行うものである。このため、本実施形態のステップS23が、電動圧縮機へ供給する供給電力量を現在の供給電力量よりも減少させる電力量減少要求がある場合に、電動モータの回転を減速させる減速制御部に相当する。また、ステップS23の減速制御およびステップSS41のゼロ速度制御は、通常運転時よりも供給電力量が少ない制御である。
【0129】
(他の実施形態)
本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0130】
(1)第1実施形態では、空調ECU40は、ステップS26の再起動が可能か否かの判定を、ステップS25の電動モータ112の駆動停止後に行ったが、ステップS25の前に行ってもよい。ステップS25の前とは、例えば、ステップS24の制御中や、ステップS23の制御中が挙げられる。この場合、ステップS26でYES判定されたとき、空調ECU40は、電動モータ112の駆動停止まで再起動を行わず、電動モータ112の駆動停止後に、再起動を直ちに行う。第2、第3実施形態においても同様である。
【0131】
(2)第1、第2実施形態では、空調ECU40は、ステップS23の後に、ステップS24を行ったが、ステップS24を実施しなくてもよい。第3実施形態では、空調ECU40は、ステップS23−1、S23−2の後に、ステップS24を実施しなくてもよい。これらの場合でも、空調ECU40が、ステップS23の減速制御またはステップS23−1、23−2の第1、第2減速制御を行うことで、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0132】
(3)第1〜第3実施形態の一時停止制御を、圧縮機11の非常停止や緊急停止時に実施してもよい。ただし、この場合は、再起動は不要である。この場合においても、ステップS24による逆回転方向制御を行うことで、車両衝突時に,逆回転による誘起電圧の発生が原因の入力電圧上昇を抑制でき、車両衝突時の電圧に関する法規制を満たすことができる。
【0133】
(4)第1〜第4実施形態では、第1暖房運転モード時に圧縮機11の一時停止が必要な場合、空調ECU40が図7中のステップS13の圧縮機11の一時停止制御を行ったが、上位ECU50がこの圧縮機11の一時停止制御を行ってもよい。この場合、上位ECU50が、空調ECU40を介さずに、インバータ113を直接制御できるようにする。また、インバータ113に対する制御を、空調ECU40と上位ECU50が同時に行う場合、上位ECU50の制御を優先させる。なお、この場合、空調ECU40、上位ECU50およびインバータ113が電動圧縮機の制御装置に相当する。
【0134】
(5)上記した各実施形態では、中間圧開閉弁16が、中間圧冷媒流路15への中間圧冷媒の流入と流入禁止とを切り替えていたが、これに限定されない。中間圧開閉弁16の機能とヒートポンプサイクル10を構成する他の機器の機能とを統合した統合弁が、中間圧冷媒流路15への中間圧冷媒の流入と流入禁止とを切り替えてもよい。この統合弁としては、例えば、中間圧開閉弁16の機能と、気液分離器14の機能と、固定絞り171と、第1迂回流路172の開閉弁173の機能とを統合した統合弁が挙げられる。
【0135】
(6)上記した各実施形態では、車両用空調装置1が、暖房運転モードを実行する際に、第1暖房運転モードと第2暖房運転モードとを切り替えて実行するものであったが、第1暖房運転モードのみを実行するものであってもよい。また、車両用空調装置1が、暖房運転モードと冷房運転モードのうち暖房運転モードのみを実行するものであってもよい。
【0136】
(7)上記した各実施形態では、本開示の車両用空調装置を、ハイブリッド車両に適用したが、電動圧縮機を搭載する車両であれば、電気自動車、燃料電池車等の他の車両に適用してもよい。
【0137】
(8)上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】