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再表2017-29907医療用観察装置および医療用観察システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年2月23日
【発行日】2018年5月31日
(54)【発明の名称】医療用観察装置および医療用観察システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/25 20160101AFI20180427BHJP
【FI】
   A61B90/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2017-535294(P2017-535294)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年7月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-163066(P2015-163066)
(32)【優先日】2015年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 秀
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 憲志
(57)【要約】
本発明に係る医療用観察装置は、顕微鏡部と、顕微鏡部を移動可能に支持する支持部であって、複数のアーム部と、二つのアーム部を連結し、一方のアーム部に対して他方のアーム部を所定の軸部のまわりに回動可能に保持する複数の関節部を有する支持部と、支持部の内部に挿通される1または複数のケーブルと、を備え、軸部は、1または複数のケーブルを挿通可能な筒状をなしており、複数の関節部のうち、一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部は、軸部の回転動力に応じて回転可能な回転部と、中心軸が軸部の中心軸とオフセットした位置に設けられており、回転部の回転を規制可能な規制部と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被観察体の微小部位を拡大して撮像することによって撮像信号を出力する顕微鏡部と、
前記顕微鏡部を移動可能に支持する支持部であって、複数のアーム部と、二つの前記アーム部を連結し、一方のアーム部に対して他方のアーム部を所定の軸部のまわりに回動可能に保持する複数の関節部を有する支持部と、
前記顕微鏡部に接続されてなり、前記支持部の内部に挿通される1または複数のケーブルと、
を備え、
前記軸部は、前記1または複数のケーブルを挿通可能な筒状をなしており、
前記複数の関節部のうち、一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部は、
前記軸部の回転動力に応じて回転可能な回転部と、
中心軸が前記軸部の中心軸とオフセットした位置に設けられており、回転部の回転を規制可能な規制部と、
を有することを特徴とする医療用観察装置。
【請求項2】
前記規制部は、通電により磁界を発生する電磁石であり、
前記回転部は、磁性を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用観察装置。
【請求項3】
前記回転部は、前記軸部の前記中心軸の方向の端部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の医療用観察装置。
【請求項4】
前記一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部は、
前記軸部の前記中心軸の方向の端部に取り付けられており、前記軸部の中心軸のまわりに回転可能な第1ギアと、
前記第1ギアと歯合する第2ギアと、
をさらに有し、
前記回転部は、前記第2ギアの回転に連動して回転可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の医療用観察装置。
【請求項5】
前記一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部は、
前記軸部の前記中心軸の方向の端部に取り付けられており、前記軸部の中心軸のまわりに回転可能な第1ギアと、
前記第1ギアと離間し、所定の軸のまわりに回転可能な第2ギアと、
前記第1および第2ギアをかけ渡して連結するベルトと、
をさらに有し、
前記回転部は、前記第2ギアの回転に連動して回転可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の医療用観察装置。
【請求項6】
前記電磁石は、筒状をなしており、
前記電磁石の中空部の径は、前記軸部の中空部の径よりも小さい
ことを特徴とする請求項2に記載の医療用観察装置。
【請求項7】
前記規制部は、前記軸部から延びる領域であって前記軸部の外周に応じて該軸部の中心軸の方向に延びる領域外に配置されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の医療用観察装置。
【請求項8】
前記一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部は、
前記顕微鏡部を保持する第1アーム部と、前記第1アーム部の延伸方向に対して直交する方向に延伸する第2アーム部とを連結する関節部である
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用観察装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の医療用観察装置と、
前記医療用観察装置が生成した画像データに対応する画像を表示する表示装置と、
を備えたことを特徴とする医療用観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用観察装置および医療用観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被観察体である患者の脳や心臓等における微小部位の手術を行う際に該微小部位を観察するための医療用観察システムとして、該微小部位を拡大する拡大光学系を備えた光学式の顕微鏡システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1が開示する顕微鏡システムは、撮像部を内蔵した顕微鏡部と、互いに回転自在に設けられる複数のアームを有し、顕微鏡部を支持する支持手段とを備える。この顕微鏡システムは、各アームを回動させることによって、顕微鏡部を三次元的に所望の位置へ移動または傾斜させることができる。
【0004】
複数のアームには、各々の回動をそれぞれ禁止する電磁ブレーキが設けられている。電磁ブレーキは、例えば、回転軸の軸方向に設けられ、アームの回転軸に取り付けられたアーマチャを引き付けて当該電磁ブレーキに固着させることにより、アーマチャを介して回転軸の回転を規制する。また、電磁ブレーキは、例えば、操作スイッチが押下された状態でアーマチャの引き付けを解除し、各アームの回転軸の回動を許容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−242386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、顕微鏡システムにおいて、支持手段の小型化のために、撮像部の動作等を制御する信号を伝送するための複数の伝送線を含むケーブルを、アームの内部に挿通することが望まれている。ケーブルをアームの内部に挿通する場合、回転軸および電磁ブレーキにケーブルを挿通する孔を形成する必要がある。この場合、電磁ブレーキは必要以上に大型化してしまい、その結果、支持手段の小型化の障害となっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電磁ブレーキを設けても小型化を実現することができる医療用観察装置および医療用観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る医療用観察装置は、被観察体の微小部位を拡大して撮像することによって撮像信号を出力する顕微鏡部と、前記顕微鏡部を移動可能に支持する支持部であって、複数のアーム部と、二つの前記アーム部を連結し、一方のアーム部に対して他方のアーム部を所定の軸部のまわりに回動可能に保持する複数の関節部を有する支持部と、前記顕微鏡部に接続されてなり、前記支持部の内部に挿通される1または複数のケーブルと、を備え、前記軸部は、前記1または複数のケーブルを挿通可能な筒状をなしており、前記複数の関節部のうち、一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部は、前記軸部の回転動力に応じて回転可能な回転部と、中心軸が前記軸部の中心軸とオフセットした位置に設けられており、回転部の回転を規制可能な規制部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る医療用観察装置は、上記発明において、前記規制部は、通電により磁界を発生する電磁石であり、前記回転部は、磁性を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る医療用観察装置は、上記発明において、前記回転部は、前記軸部の前記中心軸の方向の端部に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る医療用観察装置は、上記発明において、前記一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部は、前記軸部の前記中心軸の方向の端部に取り付けられており、前記軸部の中心軸のまわりに回転可能な第1ギアと、前記第1ギアと歯合する第2ギアと、をさらに有し、前記回転部は、前記第2ギアの回転に連動して回転可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る医療用観察装置は、上記発明において、前記一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部は、前記軸部の前記中心軸の方向の端部に取り付けられており、前記軸部の中心軸のまわりに回転可能な第1ギアと、前記第1ギアと離間し、所定の軸のまわりに回転可能な第2ギアと、前記第1および第2ギアをかけ渡して連結するベルトと、をさらに有し、前記回転部は、前記第2ギアの回転に連動して回転可能であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る医療用観察装置は、上記発明において、前記電磁石は、筒状をなしており、前記電磁石の中空部の径は、前記軸部の中空部の径よりも小さいことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る医療用観察装置は、上記発明において、前記規制部は、前記軸部から延びる領域であって前記軸部の外周に応じて該軸部の中心軸の方向に延びる領域外に配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る医療用観察装置は、上記発明において、前記一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部は、前記顕微鏡部を保持する第1アーム部と、前記第1アーム部の延伸方向に対して直交する方向に延伸する第2アーム部とを連結する関節部であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る医療用観察システムは、上記の発明に係る医療用観察装置と、前記医療用観察装置が生成した画像データに対応する画像を表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電磁ブレーキを設けても小型化を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る医療用観察システムの外観構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図である。
図4図4は、従来の医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態2の変形例に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。また、図面はあくまで模式的なものであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る医療用観察システムの外観構成を示す斜視図である。同図に示す医療用観察システム1は、被観察体の微細構造を拡大して撮像する顕微鏡としての機能を有する医療用観察装置(以下、観察装置という)2と、観察装置2が生成した画像データに対応する画像を表示する表示装置3と、を備える。
【0021】
観察装置2は、当該観察装置2の土台をなし、床面上を移動可能なベース部4と、ベース部4に支持される支持部5と、支持部5の先端に設けられて被観察体の微小部位を拡大して撮像する柱状の顕微鏡部6と、を備える。ベース部4には、顕微鏡部6が撮像した撮像信号に基づいて画像データを生成するとともに、医療用観察システム1の動作を統括して制御する制御部や、被観察体を照明するための照明光を出射する光源部が設けられる。観察装置2において、例えば、制御部と顕微鏡部6との間の信号伝送を行うための信号線を含む伝送ケーブルや、光源部から顕微鏡部6までの照明光の導光を行うためのライトガイドケーブル等を含むケーブル群が、ベース部4から顕微鏡部6にわたって配設されている。ケーブル群は、支持部5に沿って配設されている。
【0022】
支持部5は、第1関節部11、第1アーム部21、第2関節部12、第2アーム部22、第3関節部13、第3アーム部23、第4関節部14、第4アーム部24、第5関節部15、第5アーム部25、および第6関節部16を有する。
【0023】
支持部5は、二つのアーム部および二つのアーム部の一方(先端側)を他方(基端側)に対して回動可能に連結する関節部からなる組を四組有する。この四組は、具体的には、(第1アーム部21、第2関節部12、第2アーム部22)、(第2アーム部22、第3関節部13、第3アーム部23)、(第3アーム部23、第4関節部14、第4アーム部24)、(第4アーム部24、第5関節部15、第5アーム部25)である。
【0024】
第1関節部11は、先端側で顕微鏡部6を回動可能に保持するとともに、基端側で第1アーム部21の先端部に固定された状態で第1アーム部21に保持される。第1関節部11は円筒状をなし、高さ方向の中心軸である第1軸O1のまわりに回動可能に顕微鏡部6を保持する。第1アーム部21は、第1関節部11の側面から第1軸O1と直交する方向に延びる形状をなす。
【0025】
第2関節部12は、先端側で第1アーム部21を回動可能に保持するとともに、基端側で第2アーム部22の先端部に固定された状態で第2アーム部22に保持される。第2関節部12は筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第1軸O1と直交する軸である第2軸O2のまわりに回動可能に第1アーム部21を保持する。第2アーム部22は略L字状をなし、L字の一方の端部(縦線部分の端部)で第2関節部12に連結する。第2関節部12の詳細については、後述する。
【0026】
第3関節部13は、先端側で第2アーム部22のL字の他方の端部(横線部分の端部)を回動可能に保持するとともに、基端側で第3アーム部23の先端部に固定された状態で第3アーム部23に保持される。第3関節部13は、円筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第2軸O2と直交する軸であり、かつ第2アーム部22が延びる方向と平行な軸である第3軸O3のまわりに回動可能に第2アーム部22を保持する。第3アーム部23は先端側が円筒状をなしており、基端側には先端側の円筒の高さ方向と直交する方向に貫通する孔部が形成されている。第3関節部13は、この孔部を介して第4関節部14に回動可能に保持される。
【0027】
第4関節部14は、先端側で第3アーム部23を回動可能に保持するとともに、基端側で第4アーム部24に固定された状態で第4アーム部24に保持される。第4関節部14は円筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第3軸O3と直交する軸である第4軸O4のまわりに回動可能に第3アーム部23を保持する。
【0028】
第5関節部15は、先端側で第4アーム部24を回動可能に保持するとともに、基端側で第5アーム部25に固定して取り付けられる。第5関節部15は円筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第4軸O4と平行な軸である第5軸O5のまわりに回動可能に第4アーム部24を保持する。第5アーム部25は、L字状をなして屈曲した屈曲部251と、屈曲部251の底面部から下方へ棒状に延びる棒状部252とからなる。第5関節部15は、基端側で屈曲部251の棒状部252が延びる側と反対側の端部に取り付けられる。
【0029】
第6関節部16は、先端側で第5アーム部25を回動可能に保持するとともに、基端側でベース部4の上面に固定して取り付けられる。第6関節部16は円筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第5軸O5と直交する軸である第6軸O6のまわりに第5アーム部25を回動可能に保持する。第6関節部16の先端側には、第5アーム部25の棒状部252の基端部が取り付けられる。
【0030】
以上説明した構成を有する支持部5は、顕微鏡部6における並進3自由度および回転3自由度の計6自由度の動きを実現する。また、上述したケーブルは、第1関節部11〜第6関節部16、および第1アーム部21〜第5アーム部25の内部に挿通されることによって、ベース部4と顕微鏡部6とを接続する。
【0031】
第1関節部11〜第6関節部16は、顕微鏡部6および第1アーム部21〜第5アーム部25の回動をそれぞれ禁止する電磁ブレーキを有する。各電磁ブレーキは、顕微鏡部6に設けられる後述する操作スイッチが押下された状態で解除され、顕微鏡部6および第1アーム部21〜第5アーム部25の回動を許容する。
【0032】
顕微鏡部6は、円筒状をなし、被観察体の像を拡大して撮像する撮像部が内部に設けられるとともに、第1関節部11〜第6関節部16における電磁ブレーキを解除して各関節部の回動を許容する操作入力を受け付ける操作スイッチ、撮像部における拡大倍率および被観察体までの焦点距離を変更可能な操作レバーなどが設けられている。撮像部の光軸は、例えば第1軸O1と一致している。
【0033】
撮像部は、制御部による制御のもと、被観察体を撮像して撮像信号を出力する。この撮像部は、被観察体像を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いて構成されている。
【0034】
図2は、本実施の形態1に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図であって、後述する電磁石214が非通電状態の第2関節部12、第1アーム部21および第2アーム部22の要部の構成を示す部分断面図である。なお、以下の説明では、支持部5を挿通するケーブル群7が、例えば、ライトガイドケーブルや伝送ケーブルを含んでいるものとして説明する。
【0035】
観察装置2では、第1関節部11から第1アーム部21に延びてきた複数の細線同軸ケーブルからなるケーブル群7が、第1アーム部21から第2関節部12を介して第2アーム部22の内部まで延びる。第1アーム部21は、第1関節部11に固定して取り付けられる外郭211と、外郭211の基端側で第2軸O2に沿って延び、外郭211の基端部に形成された中空部211bに連通する中空部212aが形成された中空円筒状の軸部212と、を有する。
【0036】
第2関節部12は、軸部212を回動可能に軸支する2つの軸支部121,122と、第2アーム部22の外郭221に固定して取り付けられ、軸支部121,122の外周を固定して保持する保持部123と、を有する。
【0037】
また、第2関節部12は、軸部212から第2軸O2の方向に延びる支持部215に支持されたアーマチャ213(回転部)と、軸部212に対して離間して設けられ、通電により磁界を発生する電磁石214(規制部)とを有する。アーマチャ213と電磁石214とによって電磁ブレーキを構成している。
【0038】
アーマチャ213は、磁性材料を用いて形成され、中空円板状をなし、支持部215によって第2軸O2の方向に進退自在に支持されている。アーマチャ213の中空部の径は、中空部212aの径とほぼ同等であり、ケーブル群7の外周のなす径よりも大きければよい。
【0039】
電磁石214は、図示しない固定手段、例えば、第2アーム部22の内部壁面に取り付けられた固定部材によって第2アーム部22の内部に固定されている。電磁石214は、円筒状をなしており、当該電磁石214の中心軸O7が、第2軸O2に対して平行であり、かつオフセットされた位置に配置されている。電磁石214は、径方向の長さが軸部212の外周の径より小さく、かつ中心軸O7の方向の長さが軸部212の第2軸O2の方向の長さよりも小さい。また、電磁石214の中空部の径は、中空部212aの径よりも小さい。なお、中空部の径とは、第2軸O2および中心軸O7と直交する方向の長さである。電磁石214は、軸部212から延びる領域であって該軸部212の外周に応じて軸部212の中心軸(ここでは第2軸O2)の方向に延びる領域外に配置されていることが、ケーブル群7を屈曲させて軸部212に挿通した際のケーブル群7の曲率半径を大きくできる点で好ましい。また、「オフセット」とは、第2軸O2の方向からみて、該第2軸O2と中心軸O7とが異なる位置に配置されていることをいう。
【0040】
ケーブル群7は、第1アーム部21の中空部212a、およびアーマチャ213の中空部を通過して第2アーム部22の内部へ延びる。
【0041】
電磁石214が非通電状態の場合、アーマチャ213は、電磁石214には引き付けられないため、軸部212の回転に連動して回転する。このため、電磁石214が非通電状態の場合は、第1アーム部21は、第2アーム部22に対し、第2軸O2のまわりに回転可能である。
【0042】
図3は、本実施の形態1に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図であって、電磁石214が通電状態の第2関節部12、第1アーム部21および第2アーム部22の要部の構成を示す部分断面図である。電磁石214が通電状態となり、電磁石214から磁界が発生すると、アーマチャ213は、電磁石214に引き付けられ、アーマチャ213の第2軸O2のまわりの回転が規制される。これにより、アーマチャ213を支持する軸部212の回転も規制されることになる。
【0043】
図4は、従来の医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図である。従来のように、電磁石2140の中心軸と軸部212の中心軸(第2軸O2)とを揃えて配置した場合、ケーブル群7を挿通するため、電磁石2140の中空部の径を軸部212の中空部212aの径とほぼ同等に設計する必要があり、図2に示す電磁石214と比して大型化してしまう。
【0044】
上述した実施の形態1によれば、軸部212に支持されたアーマチャ213と、該アーマチャ213を磁力によって引き付けることで軸部212の回転を規制する電磁石214と、を備えた電磁ブレーキにおいて、電磁石214の中心軸O7を、第2軸O2に対して平行であり、かつオフセットされた位置に配置して、電磁石214を軸部212に対して第2アーム部22の長手方向にずらして配置するようにしたので、電磁石214を必要以上に大きくすることなく、第2アーム部22に配置することができる。これにより、アーム部に電磁ブレーキを設けても、支持部5の小型化を実現することができる。支持部5を小型化すると、アーム等が術者の視界を遮る領域を縮小することができるため、術者の作業領域を拡大することが可能である。
【0045】
なお、上述した実施の形態1において、アーマチャ213の端部から第2軸O2と直交する方向に延び、磁性を有する部材、例えば鉄板を設けて、当該部材によって電磁石214への引き付けを補助するようにしてもよい。
【0046】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図5は、本実施の形態2に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図であって、電磁石214が非通電状態の第2関節部12、第1アーム部21および第2アーム部22の要部の構成を示す部分断面図である。なお、上述した構成と同一の構成には同一の符号を付して説明する。上述した実施の形態1では、アーマチャ213が直接軸部212に取り付けられているものとして説明したが、本実施の形態2では、アーマチャ213がギアを介して軸部212に取り付けられている。
【0047】
本実施の形態2において、第2関節部12は、第1ギア216、第2ギア217およびアーマチャ218(回転部)と、上述した電磁石214(規制部)とを有する電磁ブレーキを備えている。
【0048】
第1ギア216は、軸部212の回転に連動して第2軸O2のまわりに回転可能な中空円板状をなしている。第1ギア216の中空部の径は、中空部212aの径とほぼ同等であり、ケーブル群7の外周のなす径よりも大きければよい。
【0049】
第2ギア217は、第1ギア216と歯合し、該第1ギア216の回転により軸O8のまわりに回転可能な中空円板状をなし、支持部217aを介して保持部123に支持されている。
【0050】
アーマチャ218は、磁性材料を用いて形成され、中空円板状をなしている。アーマチャ218は、第2ギア217から軸O8の方向に延びる支持部218aによって軸O8の方向に進退自在に支持されている。軸O8は、第2軸O2に対して平行であり、かつオフセットされた位置に配置されている。
【0051】
電磁石214は、図示しない固定手段、例えば、第2アーム部22の内部壁面に取り付けられた固定部材によって第2アーム部22の内部に固定されている。電磁石214は、円筒状をなしており、当該電磁石214の中心軸が上述した軸O8と一致している。すなわち、電磁石214の中心軸は、第2軸O2に対して平行であり、かつオフセットされた位置に配置されている。電磁石214は、径方向の長さが軸部212の外周の径より小さく、かつ中心軸(軸O8)の方向の長さが軸部212の第2軸O2の方向の長さよりも小さい。また、電磁石214の中空部の径は、中空部212aの径よりも小さい。
【0052】
第2関節部12では、軸部212が回転すると、該軸部212の回転に連動して第1ギア216が第2軸O2のまわりに回転する。第1ギア216が第2軸O2のまわりに回転すると、該第1ギア216と歯合している第2ギア217が軸O8のまわりに回転する。この際、第2ギア217の回転に連動して、アーマチャ218が回転している。
【0053】
電磁石214が非通電状態の場合、アーマチャ218は電磁石214には引き付けられないため、軸部212の回転に応じて回転することが可能である。このため、電磁石214が非通電状態の場合は、第1アーム部21は、第2アーム部22に対し、第2軸O2のまわりに回転可能である。
【0054】
図6は、本実施の形態2に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図であって、電磁石214が通電状態の第2関節部12、第1アーム部21および第2アーム部22の要部の構成を示す部分断面図である。電磁石214が通電状態となり、電磁石214から磁界が発生すると、アーマチャ218は電磁石214に引き付けられ、アーマチャ218の軸O8のまわりの回転が規制される。この際、アーマチャ218を支持する第2ギア217の回転も規制されることになる。第2ギア217の回転が規制されると、第1ギア216の回転も規制され、その結果、軸部212の第2軸O2のまわりの回転が規制されることになる。
【0055】
上述した実施の形態2によれば、軸部212に支持された第1ギア216と、保持部123に支持され、第1ギア216と歯合する第2ギア217と、第2ギア217に支持されたアーマチャ218と、該アーマチャ218を磁力によって引き付けることで軸部212の回転を規制する電磁石214と、を備えた電磁ブレーキにおいて、電磁石214の中心軸(軸O8)を、第2軸O2に対して平行であり、かつオフセットされた位置に配置して、電磁石214を軸部212に対して第2アーム部22の長手方向にずらして配置するようにしたので、電磁石214を必要以上に大きくすることなく、第2アーム部22に配置することができる。これにより、アーム部に電磁ブレーキを設けても、支持部5の小型化を実現することができる。支持部5を小型化すると、アーム等が術者の視界を遮る領域を縮小することができるため、術者の作業領域を拡大することが可能である。
【0056】
(実施の形態2の変形例)
続いて、本発明の実施の形態2の変形例について説明する。図7は、本実施の形態2の変形例に係る医療用観察システムの要部の構成を示す部分断面図であって、電磁石214が非通電状態の第2関節部12、第1アーム部21および第2アーム部22の要部の構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態2では、二つのギア(第1ギア216および第2ギア217)を歯合させて、第1ギア216から第2ギア217へ軸部212の回転動力を伝達するものとして説明したが、本変形例では、二つのギア(第1ギア216および第2ギア219)をベルトにより連結し、該ベルトを介して第1ギア216から第2ギア219へ軸部212の回転動力を伝達する。
【0057】
本変形例において、第2関節部12は、第2ギア219、ベルト220およびアーマチャ218(回転部)と、上述した第1ギア216および電磁石214(規制部)とを有する電磁ブレーキを備えている。
【0058】
第2ギア219は、第1ギア216に対して離間して設けられて軸O9のまわりに回転可能な支持部219aを介して保持部123に支持されている。このため、第2ギア219は、軸O9のまわりに回転可能である。アーマチャ218は、第2ギア219から軸O9の方向に延びる支持部218aによって軸O9の方向に進退自在に支持されている。軸O9は、第2軸O2に対して平行であり、かつオフセットされた位置に配置されている。
【0059】
第1ギア216および第2ギア219は、各々と歯合可能なベルト220によって連結されている。すなわち、第1ギア216が第2軸O2のまわりに回転すれば、ベルト220を介して第2ギア219に回転動力が伝達され、第2ギア219が軸O9のまわりに回転する。反対に、第2ギア219が軸O9のまわりに回転すれば、ベルト220を介して第1ギア216に回転動力が伝達され、第1ギア216が第2軸O2のまわりに回転する。
【0060】
電磁石214は、図示しない固定手段、例えば、第2アーム部22の内部壁面に取り付けられた固定部材によって第2アーム部22の内部に固定されている。電磁石214は、円筒状をなしており、当該電磁石214の中心軸が上述した軸O9と一致している。すなわち、電磁石214の中心軸は、第2軸O2に対して平行であり、かつオフセットされた位置に配置されている。電磁石214は、径方向の長さが軸部212の外周の径より小さく、かつ中心軸(軸O9)の方向の長さが軸部212の第2軸O2の方向の長さよりも小さい。
【0061】
第2関節部12では、軸部212が回転すると、該軸部212の回転に連動して第1ギア216が第2軸O2のまわりに回転する。第1ギア216が第2軸O2のまわりに回転すると、ベルト220を介して第2ギア219に回転動力が伝達され、第2ギア219が軸O9のまわりに回転する。この際、第2ギア219の回転に連動して、アーマチャ218が回転している。
【0062】
電磁石214が非通電状態の場合、アーマチャ218は電磁石214には引き付けられないため、軸部212の回転に応じて回転することが可能である。このため、電磁石214が非通電状態の場合は、第1アーム部21は、第2アーム部22に対し、第2軸O2のまわりに回転可能である。
【0063】
これに対して、電磁石214が通電状態の場合、アーマチャ218は電磁石214に引き付けられ、アーマチャ218の軸O9のまわりの回転が規制される。この際、アーマチャ218を支持する第2ギア219の回転も規制されることになる。第2ギア219の回転が規制されると、ベルト220の周回移動が規制されて第1ギア216の回転も規制され、その結果、軸部212の第2軸O2のまわりの回転が規制されることになる。
【0064】
本変形例によれば、上述した実施の形態2にかかる効果を得ることができるとともに、第1ギア216および第2ギア219をかけ渡して連結するベルト220によって第1ギア216と第2ギア219との間の距離を調整することができ、電磁石214の配置の自由度を向上することができる。特に、第2アーム部22は、長手方向に空間的な余裕があるため、ベルト220の調整により電磁石214を長手方向に沿って変更させることが可能である。
【0065】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。上述した実施の形態1,2では、第2関節部12における電磁ブレーキの構成を例に説明したが、他の関節部、具体的に、複数の関節部のうち、一方のアーム部の延伸方向と他方のアーム部の延伸方向とが直交する二つのアーム部を連結する関節部に適用することも可能である。
【0066】
また、上述した実施の形態1,2では、電磁石とアーマチャとを少なくとも備えた電磁ブレーキを例に説明したが、電磁ブレーキに代えてエアブレーキを適用してもよい。エアブレーキの場合は、アーマチャに相当する部材をエアにより吸引して引き付けることによって軸部212の回転を規制することが可能である。
【0067】
また、上述した実施の形態1,2では、信号を伝送する伝送ケーブルと、照明光を導光するライトガイドケーブルとを含むケーブル群を有するものとして説明したが、外部の光源装置を用いる等によりライトガイドケーブルを有しない場合は、伝送ケーブルのみを有するもの等、一本のケーブルであってもよい。
【0068】
また、上述した実施の形態1,2において、顕微鏡部6が複数の撮像素子を有する場合、ケーブル群の伝送ケーブルの本数は、撮像素子の数に応じて増大する。伝送ケーブルの本数が増えれば、ケーブル群7の外周のなす径も大きくなる。従来の構成では、ケーブル群の径の増大に応じて電磁石の中空部の径を大きくする必要があったが、本発明の構成では、ケーブル群の径の増大によらず、同一の電磁石を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明に係る医療用観察装置および医療用観察システムは、電磁ブレーキを設けても小型化を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 医療用観察システム
2 医療用観察装置
3 表示装置
4 ベース部
5 支持部
6 顕微鏡部
11 第1関節部
12 第2関節部
13 第3関節部
14 第4関節部
15 第5関節部
16 第6関節部
21 第1アーム部
22 第2アーム部
23 第3アーム部
24 第4アーム部
25 第5アーム部
121,122 軸支部
123 保持部
211 外郭
212 軸部
213,218 アーマチャ
214 電磁石
215,217a,219a 支持部
216 第1ギア
217,219 第2ギア
220 ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】