特表-17029928IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年2月23日
【発行日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】湿度検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20171124BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   G01N27/22 A
   B60H1/00 101P
   B60H1/00 101K
   B60H1/00 101U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
【出願番号】特願2017-535300(P2017-535300)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年7月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-160641(P2015-160641)
(32)【優先日】2015年8月17日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆太
(72)【発明者】
【氏名】岡部 翔
(72)【発明者】
【氏名】熊田 辰己
(72)【発明者】
【氏名】竹元 和明
(72)【発明者】
【氏名】山本 恭一郎
【テーマコード(参考)】
2G060
3L211
【Fターム(参考)】
2G060AA01
2G060AB02
2G060AE19
2G060AF10
2G060BB08
2G060BD08
2G060HC01
2G060HC02
2G060HC13
2G060KA04
3L211BA05
3L211CA04
3L211DA03
3L211DA13
3L211DA22
3L211DA42
3L211EA12
3L211EA13
3L211GA03
3L211GA11
3L211GA29
(57)【要約】
湿度検出装置は、車室内に配置るセンサケース(82)と、センサケース内の空気の相対湿度を検出する湿度センサ(86)とを備える。センサケースの外側から空気取り入れ部を通してセンサケース内の湿度センサの周囲に車室内の空気が流れる。湿度検出装置は、湿度センサの周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報を取得する(S40)。湿度検出装置は、湿度センサの周囲に流れる空気流の風向と相関関係がある風向情報を取得する(S50)。湿度検出装置は、センサケースに起因して発生し、かつ湿度センサの周囲の風量と風向によって変化する湿度センサの応答遅れを補償する動的補償器を構成する補正係数を、風量情報と風向情報とに基づいて設定する(S60、S60B)。湿度検出装置は、センサケースの外側の車室内の空気の相対湿度を求めるために、設定部によって設定された動的補償器によって湿度センサの検出値を補正する(S90)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配置されて空気取り入れ部(82a)を形成するセンサケース(82)と、前記センサケース内に収納されて、前記センサケース内の空気の相対湿度を検出する湿度センサ(86)と、を備え、前記センサケースの外側から前記空気取り入れ部を通して前記センサケース内の前記湿度センサの周囲に前記車室内の空気が流れるように構成されている湿度検出装置であって、
前記湿度センサの周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報を取得する風量取得部(S40)と、
前記湿度センサの周囲に流れる空気流の風向と相関関係がある風向情報を取得する風向取得部(S50)と、
前記センサケースに起因して発生し、かつ前記湿度センサの周囲の風量および前記湿度センサの周囲の風向によって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償する動的補償器を構成する補正係数を、前記風量情報と前記風向情報とに基づいて設定する設定部(S60、S60B)と、
前記センサケースの外側の前記車室内の空気の相対湿度を求めるために、前記設定部によって設定された前記動的補償器によって前記湿度センサの検出値を補正する補正部(S90)と、
を備える湿度検出装置。
【請求項2】
前記湿度センサの周囲の温度を検出する温度センサ(87)の検出値を取得する温度取得部(S30)を備え、
前記設定部は、前記湿度センサの周囲の風量と、前記湿度センサの周囲の風向と、前記湿度センサの周囲の温度とによって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償するために、前記動的補償器を、前記温度センサの検出値、前記風量情報、および前記風向情報に基づいて設定する請求項1に記載の湿度検出装置。
【請求項3】
前記動的補償器は、複素数であるSを変数とし、前記湿度センサの検出値を入力とし、前記補正部によって補正された補正後の前記湿度センサの検出値を出力とする関数であって、前記湿度センサの応答遅れを補償しつつ、前記湿度センサの検出値をローパスフィルタによってフィルタリングする関数である請求項1または2に記載の湿度検出装置。
【請求項4】
前記湿度センサの検出値をRHnowとし、前記補正後の前記湿度センサの検出値をRHoutとし、Nを2以上の整数で、かつSの次数である値とし、Pを、前記ローパスフィルタの遮断周波数を定めるための定数とし、T1、T2、・・・TN、K1.K2・・・KNのそれぞれを前記補正係数とし、RHout/RHnowを次の数1の式で表したとき、
【数1】
前記設定部は、前記湿度センサの周囲の温度によって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償するために、前記補正係数であるT2を前記温度センサの検出値に基づいて設定し、
さらに前記設定部は、前記湿度センサの周囲に流れる空気流の風量および風向によって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償するために、前記補正係数であるT1、T2、・・・TN、K1.K2・・・KNのうち前記T2以外の補正係数を前記風量情報と前記風向情報に基づいて設定する請求項3に記載の湿度検出装置。
【請求項5】
前記動的補償器を構成する複数の前記補正係数を算出する算出部(S120)と、
前記算出部により算出された複数の補正係数のうちいずれかの補正係数を変更する要求があるか否かを判定する判定部(S130)と、を備え、
前記複数の補正係数のうちいずれかの補正係数を変更する要求があると前記判定部が判定した場合には、前記設定部(S60B)は、前記変更が要求されている前記いずれかの補正係数を前記要求に沿って変更し、この変更した前記いずれかの補正係数を含む前記複数の補正係数を前記動的補償器に設定する請求項4に記載の湿度検出装置。
【請求項6】
前記車室内に向けて送風する送風機(37)と、前記送風機からの送風空気の温度を調整する熱交換器(38、44)と、前記熱交換器により温度調節された送風空気を空調風として前記車室内に向けて吹き出す複数の吹出開口部(48、49、50)をそれぞれ形成する複数の開口形成部(48a、49a、50a)と、前記複数の吹出開口部をそれぞれ開閉する複数のドア(51、52、53)と、前記送風機の送風量を制御するとともに、前記複数のドアを制御して前記複数の吹出開口部のうちいずれかの吹出開口部から前記空調風を吹き出させる吹出モードを実施する空調制御部(26)と、を有する車室内空調装置を備える車両に搭載され、
前記風量取得部は、前記送風機から送風される送風量を示す前記風量情報を前記空調制御部から取得し、
前記風向取得部は、前記実施されている吹出モードを示す前記風向情報を前記空調制御部から取得する請求項1ないし5のいずれか1つに記載の湿度検出装置。
【請求項7】
前記センサケース内の前記湿度センサの周囲を流れる空気流の風速を検出する風速センサ(100)を備え、
前記風量取得部は、前記風速センサの検出値を前記風量情報として取得する請求項1ないし6のいずれか1つに記載の湿度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2015年8月17日に出願された日本特許出願番号2015−160641号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、湿度検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、窓ガラスの曇り除去装置が、車室内のフロント側の窓ガラス表面の湿度を検出する湿度センサを備え、デフロスタ吹出口から窓ガラス表面に空調風を吹き出して窓ガラスの曇りを除去する防曇制御を湿度センサの検出値に応じて実行することが知られている。このような技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
曇り除去装置は、湿度センサの周囲の温度を検出する温度センサと、湿度センサの周囲の温度と湿度センサの応答遅れ時間との関係を予め関数として記憶するメモリと、温度センサの検出値に基づいて湿度センサの応答遅れ時間を演算する制御ユニットとを備える。
【0005】
制御ユニットは、この演算された応答遅れ時間と湿度センサの出力の変化割合とに基づいて湿度センサの応答遅れを補償し、この応答遅れが補償された湿度センサの検出値に応じて防曇制御を実行する。
【0006】
これにより、湿度センサの周囲の温度に起因する湿度センサの応答遅れは、温度センサの検出値によって補償される。このため、湿度センサの検出精度を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許2526872号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明者等は、上記湿度センサの応答遅れに着目して、複数の通風スリットを形成するセンサケースに湿度センサを収納した湿度検出装置を、前側窓ガラスの内面のうち例えばルームミラーの上側に装着する場合について検討した。
【0009】
まず、窓ガラスの曇り除去制御は、前側窓ガラスの内面の運転者の良好な視野を確保するために行われる。このため、湿度検出装置により検出された湿度を曇り除去制御に用いる場合には、湿度検出装置としては、前側窓ガラス内面のうちルームミラーの上側の空気の相対湿度ではなく、前側窓ガラスの内面のうち運転者の視野に重なる中央側領域の空気の相対湿度を求めることが要求される。
【0010】
したがって、湿度検出装置は、センサケース内の湿度センサによってセンサケースの外側の車室内空気の相対湿度を求めることが必要になる。
【0011】
センサケースには、複数の通風スリットが設けられているので、複数の通風スリットを通してセンサケースの外側と内側との間で空気流が流通して湿度センサの周囲に空気流が流れる。
【0012】
湿度センサには、湿度センサの周囲に流れる空気流の風量および風向によって応答遅れが変化する固有の特性がある。
【0013】
例えば、湿度センサの周囲を流れる空気流の風量が多いと、湿度センサの出力信号の応答遅れ時間は短くなる。一方、湿度センサの周囲を流れる空気流の風量が少ないと、湿度センサの出力信号の応答遅れ時間が長くなる。
【0014】
これに加えて、センサケースは、センサケースの外側の車室内空気が湿度センサ側に到達することを妨げることなる。このため、センサケースにも起因して、湿度センサの応答遅れが生じることになる。
【0015】
つまり、湿度センサの応答遅れは、センサケース、および湿度センサの周囲の空気流の風量、風向に起因して発生することになる。
【0016】
本開示は上記点に鑑みて、センサケース、および湿度センサ周囲の空気流の風向、風量に起因する湿度センサの応答遅れを補償するようにした湿度検出装置を提供することを目的とする。
【0017】
本開示の1つの観点によれば、車室内に配置されて空気取り入れ部を形成するセンサケースと、センサケース内に収納されて、センサケース内の空気の相対湿度を検出する湿度センサと、を備え、センサケースの外側から空気取り入れ部を通してセンサケース内の湿度センサの周囲に車室内の空気が流れるように構成されている湿度検出装置は、湿度センサの周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報を取得する風量取得部と、湿度センサの周囲に流れる空気流の風向と相関関係がある風向情報を取得する風向取得部と、センサケースに起因して発生し、かつ湿度センサの周囲の風量および風向によって変化する湿度センサの応答遅れを補償する動的補償器を構成する補正係数を、風量情報と風向情報とに基づいて設定する設定部と、センサケースの外側の車室内の空気の相対湿度を求めるために、設定部によって設定された動的補償器によって湿度センサの検出値を補正する補正部と、を備える。
【0018】
以上により、湿度検出装置において、湿度センサの応答遅れを補償することができる。したがって、センサケースの外側の車室内の空気の相対湿度を精度良く求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態における車両用空調装置の全体構成を示す図である。
図2図1の湿度検出装置の内部構成を示す断面図である。
図3図1の湿度検出装置の分解図である。
図4図1のエアコンECUにおける空調制御処理を示すフローチャートである。
図5図1の演算回路の演算処理を示すフローチャートである。
図6図1の演算回路の演算処理で補正係数の算出に用いられる特性表を示す図である。
図7図1の演算回路の演算処理で補正係数の算出に用いられる関数を示す図である。
図8】従来の湿度センサの検出値の特性を示すタイミングチャートである。
図9図1の湿度センサの補正後の検出値の特性を示すタイミングチャートである。
図10】第2実施形態における演算回路の演算処理を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態における演算回路の演算処理で補正係数の算出に用いられる特性表を示す図である。
図12】第3実施形態における演算回路の演算処理を示すフローチャートである。
図13】他の実施形態における演算回路の演算処理で補正係数の算出に用いられる特性表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0021】
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態に係る車両用空調装置の第1実施形態の概略構成を示す。車両用空調装置は、車両に搭載される車室内空調装置でもある。
【0022】
車両用空調装置は、室内空調ユニット30を備える。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(すなわちインストルメントパネル)内側部等に配設される。この室内空調ユニット30はケース31を有し、このケース31内に車室内へ向かって空気が送風される空気通路を構成する。
【0023】
このケース31の空気通路の最上流部に内外気切替箱32を配置し、内気導入口33および外気導入口34を内外気切替ドア35により切替開閉するようになっている。この内外気切替ドア35はサーボモータ36によって駆動される。
【0024】
内外気切替箱32の下流側には車室内に向かって空気を送風する電動式の送風機37を配置している。この送風機37は、遠心式の送風ファン37aをモータ37bにより駆動するようになっている。送風機37の下流側には送風空気を冷却する冷房用熱交換器をなす蒸発器38を配置している。
【0025】
この蒸発器38は、冷凍サイクル装置39を構成する要素の一つであり、低温低圧の冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気を冷却する。なお、冷凍サイクル装置39は周知のものであり、圧縮機40の吐出側から、凝縮器41、受液器42および減圧部をなす膨張弁43を介して蒸発器38に冷媒が循環するように構成されている。凝縮器41には電動式の冷却ファン41aによって室外空気(すなわち冷却空気)が送風される。この冷却ファン41aはモータ41bによって駆動される。
【0026】
冷凍サイクル装置39において、圧縮機40は電磁クラッチ40aを介して不図示の走行用エンジンにより駆動される。従って、電磁クラッチ40aの通電の断続により圧縮機40の作動を断続制御できる。
【0027】
一方、室内空調ユニット30において、蒸発器38の下流側にはケース31内を流れる空気を加熱するヒータコア44を配置している。このヒータコア44は車両エンジンの温水(すなわち、エンジン冷却水)を熱源として、蒸発器38通過後の空気(すなわち冷風)を加熱する加熱用熱交換器である。ヒータコア44の側方にはバイパス通路45が形成され、このバイパス通路45をヒータコア44のバイパス空気が流れる。
【0028】
蒸発器38とヒータコア44との間に温度調整部をなすエアミックスドア46を回転自在に配置してある。このエアミックスドア46はサーボモータ47により駆動されて、その回転位置(すなわち開度)が連続的に調整可能になっている。
【0029】
このエアミックスドア46の開度によりヒータコア44を通る空気量(すなわち温風量)と、バイパス通路45を通過してヒータコア44をバイパスする空気量(すなわち冷風量)との割合を調節し、これにより、車室内に吹き出す送風空気の温度調節を行うようになっている。
【0030】
ケース31の空気通路の最下流部には、車両の前側の窓ガラス92に向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ吹出開口部48、乗員の顔部に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出開口部49、および乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すためのフット吹出口50の計3種類の吹出口が設けられている。
【0031】
つまり、ケース31には、デフロスタ吹出開口部48、フェイス吹出開口部49、およびフット吹出口50をそれぞれ形成する開口形成部48a、49a、50aが設けられている。
【0032】
これら吹出開口部48、49、50の上流部にはデフロスタドア51、フェイスドア52およびフットドア53が回転自在に配置されている。これらの吹出モードドア51〜53は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ54によって開閉操作される。
【0033】
エアコンECU26は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される電子制御装置である。エアコンECU26は、そのROM内に空調制御のためのコンピュータプログラムを記憶しており、そのコンピュータプログラムに基づいて各種演算、処理を行う。ROMおよびRAMは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。
【0034】
エアコンECU26には、後述する湿度検出装置10の出力信号以外に、周知の空調用センサ群61〜65からの検出信号、および空調操作パネル70からの各種操作信号が入力される。
【0035】
空調用センサ群としては、具体的には、外気温(すなわち車室外温度)Tamを検出する外気センサ61、内気温(すなわち車室内温度)Trを検出する内気センサ62、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサ63、蒸発器38の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する蒸発器温度センサ64、ヒータコア44に流入する温水(すなわちエンジン冷却水)の温度Twを検出する水温センサ65等が設けられる。
【0036】
また、空調操作パネル70には各種空調操作部材として、車室内温度を設定する温度設定部をなす温度設定スイッチ71、吹出モードドア51〜53により切り替わる吹出モードをマニュアル設定する吹出モードスイッチ72、内外気切替ドア35による内外気吸込モードをマニュアル設定する内外気切替スイッチ73、圧縮機40の作動指令信号(すなわち電磁クラッチ40aのON信号)を出すエアコンスイッチ74、送風機37の風量をマニュアル設定する送風機作動スイッチ75、空調自動制御状態の指令信号を出すオートスイッチ76等が設けられる。
【0037】
本実施形態の吹出モードとしては、フェイスモード(すなわちFACE)、フットモード(すなわちFOOT)、バイレベルモード、フットデフモード(すなわちF/D)、デフロスタモード(すなわちDEF)等が用いられる。
【0038】
フェイスモードは、フェイス吹出開口部49を開け、かつフット吹出口50およびデフロスタ吹出開口部48をそれぞれ閉じるモード、フットモードは、フェイス吹出開口部49を閉じて、かつフット吹出口50を開け、さらにデフロスタ吹出開口部48を若干開けるモードである。バイレベルモードは、フェイス吹出開口部49およびフット吹出口50をそれぞれ開け、かつデフロスタ吹出開口部48を閉じるモードである。フットデフモードは、フェイス吹出開口部49を閉じて、かつフット吹出口50を開け、さらにデフロスタ吹出開口部48を若干開けるモードである。デフロスタモードは、フェイス吹出開口部49を閉じて、かつフット吹出口50を若干開け、さらにデフロスタ吹出開口部48を開けるモードである。
【0039】
エアコンECU26の出力側には、圧縮機40の電磁クラッチ40a、各機器の電気駆動部をなすサーボモータ36、47、54、送風機37のモータ37b、凝縮器冷却用の冷却ファン41aのモータ41b等が接続され、これらの機器の作動がエアコンECU26の出力信号により制御される。
【0040】
エアコンECU26には、タッチパネル110が接続されている。タッチパネル110は、使用者からタッチ操作を受ける透明のスイッチパネルに表示画像パネルを組み合わせたものである。
【0041】
次に、本実施形態の湿度検出装置10の構成について図2図3を用いて説明する。
【0042】
図2は湿度検出装置10を車両の窓ガラス(具体的には、フロント側窓ガラス)の内面に装着した状態を示す概略断面図で、図3は、湿度検出装置10の分解図である。
【0043】
湿度検出装置10は、センサケース82、ブラケット83、およびストッパ93によってセンサケースが形成されている。センサケース82は、樹脂からなり、高さの低い薄型の略直方体状である。センサケース82の側壁部には、図2に示すように、設置環境の車室内空気が内部に流通するよう複数の通風スリット82aが形成されている。ブラケット83は、金属からなり、平板状であって中央が開口している。
【0044】
窓ガラス92は、たとえば車両のフロントガラスであり、図2の上面側が車室内に面する内面であり、図2の下面側が車室外に面する外面である。湿度検出装置10は、フロント側の窓ガラス92の内面のうち、例えばルームミラー12の上側部などに、接着シート83aにて貼り付け固定されている。接着シート83aは、厚さ0.5mm程度の両面接着シートで、ブラケット83と窓ガラス92とを接着する。つまり、湿度検出装置10は、フロント側の窓ガラス92の内面のうち上端側に配置されている。
【0045】
センサケース82は、窓ガラス92の内面に配置され、内部に湿度センサ86、空気温度センサ87、およびガラス温度センサ88を収容する。センサケース82の内には、回路基板80が窓ガラス92の内面と平行に配置されている。回路基板80は、センサケース82内にて、たとえば螺子にてベース85に締結固定されている。回路基板80は、絶縁基板上に導体回路部を構成する一般にプリント基板と称される部材である。回路基板80には、センサ類、素子および回路部が実装されている。
【0046】
回路基板80の窓ガラス92側の面、すなわちブラケット83側の表面には、ガラス温度センサ88が実装されている。回路基板80の窓ガラス92とは反対側の面、すなわちセンサケース82側の表面には、湿度センサ86、空気温度センサ87、コネクタ84、演算回路89、および風速センサ100などが実装されている。
【0047】
湿度センサ86は、回路基板80に実装されて、湿度センサ86の周囲の相対湿度を検出する。本実施形態の湿度センサ86の周囲の相対湿度とは、センサケース82の内部の空気の相対湿度である。本実施形態では湿度センサ86として、感湿膜の誘電率が空気の相対湿度に応じて変化し、それにより、静電容量が空気の相対湿度に応じて変化する容量変化型のものを用いている。
【0048】
空気温度センサ87は、回路基板80のうち表面(すなわち図2中上側)に実装されて、湿度センサ86の周囲の空気温度を検出する。ガラス温度センサ88は、回路基板80のうち表面(すなわち図2中下側)に実装されて、窓ガラス92の温度を検出する。空気温度センサ87とガラス温度センサ88は、極力、湿度センサ86に近づけるようにして、回路基板80の中央部に配置されている。これは、窓ガラス92内面周囲の代表的な空気の温度、相対湿度と、窓ガラス92内面の代表的な温度とを、極力同じ環境条件の下で検出できるようにするためである。なお、両温度センサ87、88には、温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタを用いている。風速センサ100は、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風速を検出する。本実施形態の風速センサ100は、例えば、電熱線を環境中に露出させて通電し、その発熱と風による冷却とが平衡したときの温度から風速を求める熱線式風速計を用いることができる。
【0049】
また窓ガラス92とガラス温度センサ88とに接触するように、回路基板80を支持する熱伝導部材90が設けられている。熱伝導部材90は、熱伝導シート、熱伝導ゲルおよび熱伝導グリスなどの部材である。
【0050】
そして、センサケース82内には、弾性部材91が設けられている。弾性部材91は、例えば板ばねであって、両端がセンサケース82とベース85とに接触し、回路基板80を窓ガラス92側に弾性力によって間接的に押圧する。弾性部材91と回路基板80が接触する部分は、回路基板80の外周側である。回路基板80は、外周に設けられるベース85によって保持される。ベース85は、回路基板80の外周を保護する部分である。このベース85に弾性部材91が接触する。これによって弾性部材91が回路基板80に直接、応力を与えることを抑制している。
【0051】
また弾性部材91がセンサケース82と接触する部分は、回路基板80の中央部の上方にある部分である。したがって弾性部材91は、略L字状であって、屈曲している部分がセンサケース82の上方に接触している。弾性部材91とセンサケース82とは、嵌合させることによって係止している。
【0052】
センサケース82は、前述のように弾性部材91を介して回路基板80を押えながらブラケット83と嵌合され、センサケース82の側方の挿入開口部82bに挿入されるストッパ93によって係止固定される。具体的には、センサケース82とブラケット83を組み付けた状態で、センサケース82の挿入開口部82b内にストッパ93をスライドして挿入すると、ブラケット83の爪にストッパ93が係合するとともに、センサケース82の挿入開口部82bにストッパ93が係合する。これによってブラケット83とセンサケース82が固定される。
【0053】
コネクタ84は、螺子にてベース85に締結固定されている。コネクタ84の端子が回路基板80と半田接合されている。
【0054】
弾性部材91によって押圧した状態では、ガラス温度センサ88は、熱伝導部材90に若干めり込む程度に押し当たる構造となっている。熱伝導部材90は、接着シート83aとブラケット83との厚みの合計よりも厚くなっている。これによって湿度検出装置10を窓ガラス92内面に貼り付けた際、熱伝導部材90が弾性部材91によって確実にガラス面に押し付けられるようになっている。したがって窓ガラス92の温度は、熱伝導部材90を介してガラス温度センサ88に伝熱して検出されるようになっている。
【0055】
次に、湿度検出装置10の電気的構成について説明する。
【0056】
演算回路89は、マイクロコンピュータやメモリ等から構成されている。演算回路89は、メモリに予め記憶されたコンピュータプログラムにしたがって、窓ガラス表面相対湿度RHwの演算処理を実行する。
【0057】
窓ガラス表面相対湿度RHwの演算処理は、エアコンECU26から取得した風向情報、風量情報、およびセンサ86、87、88の出力信号に基づいて窓ガラス室内側表面の相対湿度である窓ガラス表面相対湿度RHwを演算する処理である。
【0058】
ここで、センサ86、87、88は、空気温度センサ87、湿度センサ86、およびガラス温度センサ88を総称したものである。本実施形態の風向情報は、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風向と相関関係がある情報であって、実施中である吹出口モードが用いられる。さらに、本実施形態の風量情報は、送風機37の送風量であるブロアレベルを示す情報であって、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風量と相関関係がある情報である。
【0059】
次に、本実施形態のエアコンECU26の空調制御処理について図4を参照して説明する。図4はエアコンECU26による基本的な空調制御処理を示したフローチャートである。
【0060】
先ず、イグニッションスイッチがONされてバッテリからエアコンECU26に直流電力が供給されると、エアコンECU26は図4のルーチンを起動し、ステップS1で各イニシャライズを行う。続いてエアコンECU26は、ステップS2で、温度設定スイッチ71等の各スイッチからスイッチ信号を読み込む。
【0061】
続いて、ステップS3で、内気センサ62、外気センサ61、日射センサ63、蒸発器温度センサ64および水温センサ65からセンサ信号をA/D変換した信号を読み込む。
【0062】
続いてステップS4で、予めROMに記憶された下記の数式Aに基づいて車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを算出する。
【0063】
TAO=Kset×Tset−KR×TR
−KAM×TAM−KS×TS+C…(数式A)
目標吹出温度TAOは、車室内温度が設定温度Tsetを維持するために、吹出開口部48、49、50から吹き出すことが必要になる空気温度である。
【0064】
なお、Tsetは温度設定スイッチ71にて設定した設定温度、TRは内気センサ62にて検出した内気温度、TAMは外気センサ61にて検出した外気温度、TSは日射センサ63にて検出した日射量である。Kset、KR、KAMおよびKSはゲインで、Cは補正用の定数である。
【0065】
続いて、ステップS5で、予めメモリに記憶された特性図から、水温センサ65にて検出した冷却水温TWに対応するブロワ電圧を決定するウォームアップ制御(すなわちブロワ遅動制御)を行う。このウォームアップ制御は、外気温度の低い冬期や、吹出口モードがB/LモードまたはFOOTモード時に実行される。ブロワ電圧は、送風ファン37a用のモータ37bに印加される電圧である。
【0066】
そして、冷却水温TWが例えば60℃以上に上昇したら、予めメモリに記憶された特性図から、目標吹出温度TAOに対応するブロワ電圧(すなわち、送風ファン37a用のモータ37bに印加する電圧)を決定する。
【0067】
このように決定されるブロワ電圧と送風機37から吹き出される送風量(以下、ブロアレベルという)とは1対1で特定される関係になる。
【0068】
続いてステップS6で、目標吹出温度TAOや吹出モードスイッチ72の出力信号によって吹出口モードを決定する。
【0069】
使用者が吹出モードスイッチ72に対してマニュアル設定していない場合には、予めメモリに記憶された特性図から、目標吹出温度TAOに基づいてフェイスモード、バイレベルモード、およびフットモードのうち1つのモードを実施すべき吹出口モードとして決定する。
【0070】
一方、使用者が吹出モードスイッチ72に対して吹出口モードをマニュアル設定した場合には、このマニュアル設定した1つのモードを実施すべき吹出口モードとして決定する。
【0071】
このように、エアコンECU26は、吹出モードスイッチ72に対するマニュアル設定や目標吹出温度TAOに基づいて、実施すべき吹出口モードとして決定する。
【0072】
続いて、ステップS7で、予めROMに記憶された下記の数式Bに基づいてエアミックスドア46の目標ドア開度SWを算出する。
【0073】
SW={(TAO−TE)/(TW−TE)}×100[%]…(数式B)
TE、TWは蒸発器温度センサ64にて検出したエバ後温度および水温センサ65にて検出した冷却水温である。エバ後温度TEは、蒸発器38を通過した直後の空気温度である。
【0074】
そして、SW≦0[%]として算出されたとき、エアミックスドア46は、蒸発器38からの冷風の全てをヒータコア44から迂回させる位置(すなわちMAXCOOL位置)に制御される。また、SW≧100[%]として算出されたとき、エアミックスドア46は、蒸発器38からの冷風の全てをヒータコア44へ通す位置(すなわちMAXHOT位置)に制御される。
【0075】
さらに、0[%]<SW<100[%]として算出されたとき、エアミックスドア46は、蒸発器38からの冷風の一部をヒータコア44に通し、冷風の残部をヒータコア44から迂回させる位置に制御される。
【0076】
続いてステップS8で、内外気吸込モードを空調操作パネル70の内外気切替スイッチ73の設定や窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて決定する。内外気吸込モードの説明の詳細については後述する。
【0077】
続いてステップS9で、エアコンスイッチ74がONされている時に、圧縮機40の運転状態を決定する。すなわち、蒸発器温度センサ64にて検出したエバ後温度TEに基づいて、圧縮機40の起動および停止を決定する。具体的には、蒸発器温度センサ64にて検出したエバ後温度TEが第1着霜温度(例えば4℃)以上のときには、圧縮機40が起動(すなわちON)するように電磁クラッチ40aを通電制御(すなわちON)して冷凍サイクル装置39を作動させる。つまり、蒸発器38を作動させる。また、蒸発器温度センサ64にて検出したエバ後温度TEが第1着霜温度よりも低温の第2着霜温度(例えば3℃)以下のときには、圧縮機40の作動が停止(すなわちOFF)するように電磁クラッチ40aを通電制御(すなわちOFF)して冷凍サイクル装置39の作動を停止させる。つまり、蒸発器38の空気冷却作用を停止させる。
【0078】
続いて、ステップS9Aで、各ステップS5、S6、S7、S8、S9にて算出または決定した各制御状態が得られるように、アクチュエータ36、47、54、送風ファン37a用のモータ37bおよび電磁クラッチ40aに対して制御信号を出力する。
【0079】
そして、ステップS9Bで、ステップS2の読み込み処理を開始してから経過した時間(以下、経過時間という)が制御サイクル時間t(例えば0.5秒間以上2.5秒間以下)以上経過したか否かを判定する。
【0080】
経過時間が制御サイクル時間t未満であるときには、ステップS9BでNOと判定して、ステップS9Bに戻る。このため、経過時間が制御サイクル時間t未満である限り、ステップS9BのNO判定を繰り返す。その後、経過時間が制御サイクル時間t以上になると、ステップS9BでYESと判定して、ステップS2に戻る。その後、ステップS2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S9A、S9Bのそれぞれの処理を繰り返す。
【0081】
次に、湿度検出装置10の演算回路89の演算処理について図5図6図7を参照して説明する。
【0082】
演算回路89は、図5のフローチャートにしたがって、演算処理を実行する。演算処理は、イグニッションスイッチがONされてバッテリから演算回路89に直流電力が供給されると、実行が開始される。
【0083】
まず、ステップS10において、湿度センサ86の出力信号を取得する。湿度センサ86の出力信号は、センサケース82のうち湿度センサ86の周囲の相対湿度を示している。このことにより、湿度センサ86の周囲の相対湿度を取得することになる。
【0084】
次に、ステップS20において、上記ステップS10で取得した相対湿度をセンサ周囲湿度であるRHold(m)として設定する。括弧内のmは、ステップS20の実行回数を示す。
【0085】
次に、ステップS30において、空気温度センサ87の出力信号を取得する。空気温度センサ87の出力信号は、センサケース82のうち湿度センサ86の周囲の温度Tsenを示している。このことにより、湿度センサ86の周囲の温度Tsenを取得することになる。
【0086】
次に、ステップS40において、送風機37のブロアレベルをエアコンECU26から取得する。ブロアレベルは、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報である。
【0087】
次に、ステップS50において、エアコンECU26が現在、実施している吹出口モードをエアコンECU26から取得する。吹出口モードは、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風向と相関関係がある風向情報である。
【0088】
本実施形態の湿度検出装置10は、窓ガラス92の内面のうち、例えばルームミラー12の上側部などの端側に装着されている。しかし、窓ガラス92の曇り止め制御を行うためには、図1に示すように、窓ガラス92の内面のうち、運転者の視野と重なる中央領域92aの空気の相対湿度を求めることが必要になる。このため、湿度検出装置10としては、センサケース82の外側の空気の相対湿度を求めることが必要になる。
【0089】
センサケース82には、複数の通風スリット82aが形成されているので、複数の通風スリット82aを通してセンサケース82の外側と内側との間で空気流が流通して湿度センサ86の周囲に空気流が流れる。
【0090】
ここで、湿度センサ86は、センサケース82のうち湿度センサ86の周囲に流れる空気流の風量や風向きによって応答遅れが変化する固有の特性を有する。
【0091】
湿度センサ86の周囲の風量は、ブロアレベルによって変わる。湿度センサ86の周囲の空気流の風向は、吹出モードによって変わる。このため、センサケース82に起因して湿度センサ86に発生する応答遅れは、ブロアレベル、吹出モードによって変わる。
【0092】
しかも、センサケース82の外側の空気が湿度センサ86側に到達することをセンサケース82が妨げることになる。このため、センサケース82にも起因して湿度センサ86には応答遅れが発生する。
【0093】
これに加えて、本実施形態の湿度センサ86には、湿度センサ86の周囲の温度によって変化する応答遅れが発生する。湿度センサ86の周囲の温度によって変化する湿度センサ86の応答遅れは、湿度センサ86固有の原因に基づくものであると考えられる。
【0094】
このように、湿度センサ86の温度、湿度センサ86の周囲の空気流の風量、風向き、およびセンサケース82に起因して、湿度センサ86には応答遅れが発生する。
【0095】
そこで、本実施形態では、次の数2の式に示す動的補償器を用いて湿度センサ86の応答遅れを補正する。
【0096】
【数2】
【0097】
本実施形態の動的補償器は、複素数であるSを変数とする関数である。
【0098】
動的補償器は、湿度センサ86の応答遅れを補償するための関数〔(T1・S+1)×(T2・S+1)/(K1・S+1)〕と、湿度センサ86の出力信号をフィルタリングするローパスフィルタ{1/(P・S+1)〕とから構成されている。
【0099】
以下、説明の便宜上、動的補償器を用いて湿度センサ86の応答遅れを補正した湿度センサ86の出力信号を補正後の湿度センサ86の出力信号という。ローパスフィルタは、湿度センサ86の出力信号のうち所定周波数以上となる周波数成分を減衰し、かつ湿度センサ86の出力信号のうち所定周波数未満となる周波数成分を通過させるフィルタである。つまり、ローパスフィルタは、湿度センサ86の出力信号をフィルタリングして所定周波数以上の高周波ノイズ成分を減衰するフィルタである。Pは、予め決められた定数であって、ローパスフィルタの遮断周波数である上記所定周波数を定めるための値である。
【0100】
補正係数K1、T1は、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風向、風量によって変化する補正係数である。補正係数T2は、湿度センサ86の温度によって変化する補正係数である。
【0101】
このように設定される動的補償器によって補正された補正後の湿度センサの出力信号をRHout(m)とし、動的補償器で補正される前の湿度センサの出力信号をRHnow(m)とすると、RHnow(m)、およびRHout(m)の関係を次の数3の式で示すことができる。
【0102】
【数3】
【0103】
ここで、次に、ステップS60において、動的補償器を構成する補正係数K1、T1、T2を設定する。
【0104】
まず、予めメモリに記憶された図6に示す特性表を参照して、ステップS50で取得したブロアレベル(図6中ではBLE_LEVと記す)および吹出口モード(図6中ではMODEと記す)に対応する補正係数K1、T1を求める。
【0105】
図6の特性表は、ブロアレベル、吹出口モード、補正係数K1、および補正係数T1が1対1対1対1で特定される関係にある。図6中のブロアレベルとしては、ローレベル(すなわちLo)、中間レベル(すなわちMid)、ハイレベル(すなわちHi)が用いられる。ローレベル、中間レベル、ハイレベルの順にブロアレベルが大きくなるように設定されている。吹出口モードとしては、フェイスモード(すなわちFACE)、フットモード(すなわちFOOT)、フットデフモード(すなわちF/D)、デフロスタモード(すなわちDEF)が用いられる。
【0106】
例えば、吹出口モードがデフロスタモード(すなわちDEF)であり、ブロアレベルが中間レベル(すなわちMid)である場合には、補正係数K1がK1−11であり、補正係数T1がT1−11である。
【0107】
次に、予めメモリに記憶された図7の特性表を参照して、上記ステップS30で取得した湿度センサ86の周囲の温度Tsenに対応する補正係数T2を求める。
【0108】
図7の特性表は、湿度センサ86の温度Tsenと補正係数T2との関係を示す関数であって、補正係数T2と湿度センサ86の周囲の温度Tsenと1対1で特定される関係にある。図7では、湿度センサ86の温度Tsenが大きくなるほど、補正係数T2が小さくなっている。
【0109】
このような図6の特性表で求められた補正係数K1、T1と図7の特性表で求められた補正係数T2とを動的補償器に設定する。
【0110】
次に、ステップS80において、湿度センサ86の周囲の相対湿度として湿度センサ86の出力信号を取得する。次に、ステップS80において、湿度センサ86の周囲の相対湿度が変化したか否かを判定する。
【0111】
具体的には、今回に取得した湿度センサ86の周囲の相対湿度をRHnow(m)とする。そして、上記ステップS20で設定されたRHold(m)とRHnow(m)が一致するか否かを判定する。そして、RHold(m)とRHnow(m)とが不一致であるときには、湿度センサ86の周囲の相対湿度が変化したとしてステップS80においてNOと判定し、ステップS90に進む。
【0112】
次に、ステップS90において、RHnow(m)を上記数3の式に代入して、補正後の相対湿度であるRHout(m)を求める。この求められたRHout(m)は、複素数Sを変数とする関数である。このため、「複素数Sを変数とするRHout(m)」を、「時間を変数とする関数であるRHout(m)」にラプラス変換等により変換する。
【0113】
次に、ステップS100において、RHout(m)、空気温度センサ87の検出温度、およびガラス温度センサ88の検出温度に基づいて、窓ガラス室内側表面の相対湿度である窓ガラス表面相対湿度RHwを演算する。すなわち、湿り空気線図を用いることにより、相対湿度RHと空気温度と窓ガラス温度とから窓ガラス表面相対湿度RHwを演算できる。演算回路89は、このように演算した窓ガラス表面相対湿度RHwをエアコンECU26に出力する。このことにより、エアコンECU26が湿度制御を行うことになる。なお、湿度制御の詳細については後述する。
【0114】
演算回路89は、次に、ステップS110において、上記ステップS70で取得した湿度センサ86の周囲の相対湿度であるRHnow(m)を、次回のステップS80の判定で用いるRHold(m+1)とする。その後、ステップS30に戻る。
【0115】
演算回路89は、上記ステップS70において、RHold(m)とRHnow(m)とが一致するときには、湿度センサ86の周囲の相対湿度が変化していないとしてYESと判定する。この場合、ステップS90、ステップS100、ステップS110の各処理をスキップして、ステップS30に戻る。
【0116】
このようにステップS30に戻ると、その後、ステップS30のセンサ周囲温度取得処理、ステップS40のブロアレベル取得処理、ステップS50の吹出モード取得処理、ステップS60の補正係数の設定処理、ステップS70のセンサ周囲湿度の取得処理、ステップS80の湿度変化判定、ステップS90のセンサ出力演算処理、ステップS100の湿度制御処理、およびステップS110のセンサ周囲湿度設定処理をそれぞれ繰り返す。
【0117】
このため、ステップS80で、湿度センサ86の周囲の相対湿度が変化したとしてNOと判定する毎に、RHnow(m+r)を上記数3の式に代入して、補正後の相対湿度であるRHout(m+r)を求める。括弧内のrは、ステップS30〜ステップS110の繰り返し回数に応じた整数である。
【0118】
次に、ステップS100において、RHout(m+r)、空気温度センサ87の検出温度、およびガラス温度センサ88の検出温度に基づいて、窓ガラス室内側表面の相対湿度である窓ガラス表面相対湿度RHwを演算する。演算回路89は、このように演算した窓ガラス表面相対湿度RHwをエアコンECU26に出力する。このことにより、エアコンECU26が湿度制御を行うことになる。
【0119】
次に、図4のステップS8におけるエアコンECU26の湿度制御の詳細について説明する。
【0120】
まず、内外気切替スイッチ73に対して内外気吸込モードがマニュアル設定されている場合には、エアコンECU26は、マニュアル設定された内外気吸込モードを実行するための制御信号をサーボモータ36に出力する。これにより、内外気切替ドア35の位置がサーボモータ36によって制御されて、内外気吸込モードが実行される。
【0121】
内外気吸入モードとしては、内気導入口33を開けて外気導入口34を閉じる内気モード、内気導入口33を閉じて外気導入口34を開ける外気モード、および内気導入口33および外気導入口34をそれぞれ開ける内外気導入モード等がある。
【0122】
一方、内外気切替スイッチ73に対して内外気吸込モードはマニュアル設定されていない場合には、エアコンECU26は、湿度検出装置10から窓ガラス表面相対湿度RHWを取得し、この取得した窓ガラス表面相対湿度RHW等に基づいて内気導入口33から導入される内気と外気導入口34から導入される外気との比率を決めるための内外気制御指令値Sを算出する。
【0123】
ここで、内外気制御指令値Sは、内外気切替ドア35の位置、すなわち、内外気吸入モードを示す情報である。
【0124】
ステップS8の後、エアコンECU26は、ステップS9Aで、内外気制御指令値Sに基づく制御信号をサーボモータ36に出力する。これにより、内外気切替ドア35の位置がサーボモータ36によって制御される。このようにして、内気導入口33を介してケース31に導入される内気と外気導入口34を介してケース31に導入される外気との比率が制御される。これにより、吹出開口部48、49、50から車室内へ吹き出される空気の湿度が制御される。この湿度の制御は、特許第5152355号明細書に記載の湿度制御(すなわち防曇制御)と同じである。このため、湿度制御の詳細の説明を省略し、当該明細書に記載された内容を参照により引用する。また例えば、エアコンECU26は、湿度検出装置10から取得した窓ガラス表面相対湿度RHWが高いほど、内気導入口33を介してケース31に導入される内気の風量に対する外気導入口34を介してケース31に導入される外気の風量の比率を、上昇させる。
【0125】
次に、上記構成における本実施形態の概略作動を説明する。最初に、室内空調ユニット30の作動の概要を説明する。送風機37が作動することにより、内気導入口33および外気導入口34の一方または両方より導入された空気がケース31内を車室内に向かって送風される。また、電磁クラッチ40aに通電されて電磁クラッチ40aが接続状態となり、圧縮機40が車両エンジンにて駆動されることにより、冷凍サイクル装置39内を冷媒が循環する。
【0126】
送風機37の送風空気は、先ず蒸発器38を通過して冷却、除湿され、この冷風は次にエアミックスドア46の回転位置(すなわち開度)に応じてヒータコア44を通過する流れ(すなわち温風)とバイパス通路45を通過する流れ(すなわち冷風)とに分けられる。
【0127】
従って、エアミックスドア46の開度によりヒータコア44を通る空気量(すなわち温風量)と、バイパス通路45を通過する空気量(すなわち冷風量)との割合を調整することにより、車室内に吹き出す空気の温度を調整できる。
【0128】
そして、この温度調整された空調風が、ケース31の空気通路の最下流部に位置するデフロスタ吹出開口部48、フェイス吹出開口部49およびフット吹出口50のうち、いずれか1つまたは複数の吹出口から車室内へ吹き出して、車室内の空調および車両のフロント側の窓ガラス92の曇り止めを行う。
【0129】
以上説明した本実施形態によれば、湿度検出装置10は、湿度センサ86を収納し、かつ複数の通風スリット82aを形成するセンサケース82を備える。しかし、本来、湿度センサ86により湿度を検出するべき部位(以下、被検出箇所という)は、窓ガラス92のうちルームミラー12よりも下側であって運転者の視野に重なる中央領域92aである。このため、湿度検出装置10は、センサケース82の外側の空気の相対湿度を検出することが求められる。
【0130】
ここで、複数の通風スリット82aを通してセンサケース82の外側と内側との間で空調風が流通するものの、センサケース82の外側の空調風が湿度センサ86に到達することをセンサケース82が妨げる。
【0131】
この場合、吹出開口部48、49、50から吹き出される空調風によって湿度センサ86の検出湿度が変化するものの、被検出箇所の湿度を基準値とするならば、湿度センサ86の出力信号には、応答遅れが生じる。したがって、センサケース82内の湿度センサ86の周囲を流れる空調風の風向や風量によって、湿度センサ86の応答遅れが変化する。
【0132】
そこで、本実施形態の演算回路89は、車室内の空気の相対湿度を検出する湿度センサ86の検出値を動的補償器によって補正する。演算回路89は、湿度センサ86の周囲に流れる空調風の風量と相関関係がある送風機37のブロアレベルを取得し、湿度センサ86の周囲に流れる空調風の風向と相関関係がある吹出モードを取得する。演算回路89は、湿度センサ86の周囲を流れる空調風の風量および風向によって変化する湿度センサ86の応答遅れを補償するために、ブロアレベルや吹出モードに基づいて動的補償器の補正係数K1、T1を設定する。演算回路89は、湿度センサ86の周囲の温度によって変化する湿度センサ86の応答遅れを補償するために、空気温度センサ87の検出温度に基づいて動的補償器の補正係数T2を設定する。演算回路89は、このように補正係数K1、T1、T2が設定された動的補償器によって湿度センサ86の検出値を補正する。
【0133】
以上により、湿度検出装置10において、湿度センサ86の応答遅れを高精度に補償することができる。このため、窓ガラス92の内面のうち、運転者の視野と重なる図1の中央領域92aにおける空気の相対湿度を精度良く求めることができる。
【0134】
図8中、(a)は車室内の湿度RH_REFの変化を示し、(b)は従来の湿度センサ86の出力信号RH_SNの変化を示し、(c)は、空調制御状態を示している。湿度RH_REFが上昇すると、従来の湿度センサ86の出力信号RH_SNは、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風量によって、(b)に示すように、変化する。風量が強の場合には、湿度センサ86の出力信号RH_SNにハンチングが生じて、空調制御が不安定になる。一方、風量が弱の場合には、湿度センサ86の出力信号RH_SNに大きな応答遅れ時間が生じる。
【0135】
図9中、(a)は車室内の湿度RH_REFの変化を示し、(b)は本実施形態の補正後の湿度センサ86の出力信号RHoutの変化を示し、(c)は、空調制御状態を示している。風量が強の場合には、補正後の湿度センサ86の出力信号RHoutにハンチングがなくなり、空調制御が安定する。補正後の湿度センサ86の出力信号RHoutにおいて、応答遅れ時間Ta、Tbが短くなる。
【0136】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、動的補償器を2次遅れ系の関数とした例について説明したが、これに代えて、動的補償器を3次遅れ系の関数とする第2実施形態について説明する。
【0137】
図10は、本実施形態の演算回路89の演算処理を示すフローチャートである。
【0138】
図10において、図5と同一符号は、同一ステップを示し、その説明を省略する。図10は、図5において、ステップS60に代わるステップS60Aを備えたものである。
【0139】
ステップS60Aでは、演算回路89は、次の数4の式の動的補償器を用いて補正後の湿度センサ86の出力信号であるRHout(m)を求める。
【0140】
【数4】
【0141】
本実施形態の動的補償器は、湿度センサ86の応答遅れを補償するための関数〔(T1・S+1)×(T2・S+1)×(T3・S+1)/(K1・S+1)×(K2・S+1)〕と、この関数により応答遅れが補償された湿度センサ86の出力信号をフィルタリングするローパスフィルタ{1/(P・S+1)〕とから構成されている。
【0142】
まず、予めメモリに記憶された図11の特性表を参照して、ステップS50で取得したブロアレベル(図11中ではBLE_LEVと記す)および吹出口モード(図11中ではMODEと記す)に対応する補正係数K1、K2、T1、T3を求める。
【0143】
図11の特性表は、ブロアレベル、吹出口モード、K1、K2、T1、T3が1対1対1対1対1対1で特定される関係にある。すなわち、ブロアレベル、および吹出口モードによってK1、K2、T1、T3を求めることができる。
【0144】
補正係数T2は、上記第1実施形態と同様に、図7の特性表を参照して、湿度センサ86の周囲の温度Tsenに基づいて求められる。
【0145】
このような図11の特性表で求められた補正係数K1、K2、T1、T3と図7の特性表で求められた補正係数T2とをそれぞれ動的補償器に設定する。
【0146】
その後、ステップS70の処理を経てから、ステップS80において、RHold(m)とRHnow(m)とが不一致であるとして、YESと判定すると、ステップS90で、上記の如く設定した動的補償器を用いて補正後の相対湿度であるRHout(m)を求める。その後、上記第1実施形態と同様に、ステップS100、S110の処理を実行する。
【0147】
以上説明した本実施形態によれば、動的補償器を3次遅れ系の関数とした場合には、ブロアレベル、および吹出口モードに基づいて求められる補正係数K1、K2、T1、T3と湿度センサ86の周囲の温度によって求められる補正係数T2とをそれぞれ動的補償器に設定する。この設定した動的補償器を用いて、補正後の相対湿度であるRHout(m)を求める。これにより、例えば、センサケース82を覆うように形成されて複数の通風孔を有するセンサケースが追加されている場合などでも、湿度センサ86の応答遅れを高精度に補償するようにした湿度検出装置10を提供することができる。
【0148】
(第3実施形態)
本第3実施形態では、上記第1実施形態において、使用者の指令により補正係数K1、T1、T2のうちいずれかを変更するようにした例について説明する。
【0149】
図12は本実施形態の演算回路89の演算処理を示すフローチャートである。
【0150】
図12において、図5と同一符号は、同一ステップを示し、その説明を省略する。図12は、図5において、ステップS60に代わるステップS60Bを備え、かつステップS120、S130、S140を追加したものである。
【0151】
ステップS120、S130、S140は、ステップS50とステップS60Bの間に配置されている。
【0152】
演算回路89は、ステップS120で、上記第1実施形態と同様に、予めメモリに記憶された図6の特性表を参照して、ブロアレベルおよび吹出口モードに対応する補正係数K1、T1を求める。また、予めメモリに記憶された図7の特性表を参照して、湿度センサ86の周囲の温度Tsenに対応する補正係数T2を算出する。
【0153】
このように算出した補正係数T1、T2、K1をタッチパネル110に表示して、使用者に対して補正係数の変更を要求するか否かを問い合わせるとともに、使用者が要求している補正係数をタッチパネル110に設定させるように促す。
【0154】
例えば、「表示した補正係数T1、T2、K1のうち、変更の希望する補正係数を指定して希望の係数の値を設定してください」といった表示内容をタッチパネル110に表示させる。
【0155】
ここで、演算回路89は、ステップS130において、使用者が補正係数の変更を要求しているか否かを判定する。
【0156】
このとき、使用者が補正係数T1、T2、K1のうちいずれかの補正係数を変更するためにタッチパネル110にタッチ操作する。これにより、使用者が変更を要求している変更後の補正係数がタッチパネル110に対して入力される。以下、説明の便宜上、使用者が変更を要求している変更後の補正係数を変更後補正係数という。
【0157】
このとき、演算回路89は、使用者が補正係数の変更を要求しているとして、ステップS130において、YESと判定する。この場合、ステップS140において、タッチパネル110に入力された変更後補正係数をタッチパネル110から取得する。そして、ステップS60Bで、この取得した変更後補正係数と、上記ステップS120で求めた補正係数T1、T2、K1のうち、上記変更後補正係数以外の他の補正係数とを、それぞれ動的補償器に設定する。
【0158】
例えば、上記ステップS120で求めた補正係数T1、T2、K1のうち補正係数T1を使用者がタッチ操作により変更する。この場合、演算回路89は、この使用者がタッチ操作により変更した変更後補正係数としての補正係数T1と他の補正係数T2、K1とをそれぞれ動的補償器に設定する。つまり、上記ステップS120で算出した補正係数T1、T2、K1のうち、使用者が変更を要求しているいずれかの補正係数を使用者の要求に沿って変更し、この変更した補正係数を含む補正係数T1、T2、K1を動的補償器に設定する。
【0159】
また、使用者が補正係数T1、T2、K1を変更することを要求していない旨を応答するためにタッチパネル110にタッチ操作した場合には、次のようになる。
【0160】
すなわち、演算回路89は、ステップS130において、使用者が補正係数の変更を要求していないとして、ステップS130において、NOと判定する。この場合、ステップS60Bで、上記ステップS120で算出した補正係数T1、T2、K1を動的補償器に設定する。
【0161】
このように使用者の要求に応じて補正係数T1、T2、K1が動的補償器に設定されることになる。その後、ステップS70の処理を経てから、ステップS80において、RHold(m)とRHnow(m)とが不一致であるとして、YESと判定すると、上記の如く設定した動的補償器を用いて補正後の相対湿度であるRHout(m)を求める(ステップS90)。その後、上記第1実施形態と同様にステップS100、S110の処理を実行する。
【0162】
以上説明した本実施形態によれば、補正係数T1、T2、K1のうちいずれかの補正係数を使用者が設定すると、演算回路89は、ステップS60Bで、補正係数T1、T2、K1のうち変更後補正係数以外の他の補正係数と変更後補正係数とを動的補償器に設定する。演算回路89は、このように設定された動的補償器を用いて補正後の相対湿度であるRHout(m)を求める。これにより、湿度センサ86の応答遅れを高精度に補償するようにした湿度検出装置10を提供することができる。
【0163】
(他の実施形態)
(1)上記1実施形態では、2次遅れ系の関数である動的補償器を用いた例について説明し、上記2実施形態では、3次遅れ系の関数である動的補償器を用いた例について説明したが、これに代えて、次の数5の式に示すN次遅れ系の関数である動的補償器を用いてもよい。
【0164】
【数5】
【0165】
この場合の動的補償器は、湿度センサ86の応答遅れを補償するための関数〔(T1・S+1)×(T2・S+1)×(T3・S+1)×・・・・・・×(TN・S+1)/(K1・S+1)×(K2・S+1)×・・・・×(KN・S+1)〕と、ローパスフィルタとから構成されている。ローパスフィルタは、{1/(P・S+1)〕であって、前記関数により応答遅れが補償された湿度センサ86の出力信号をフィルタリングするフィルタである。
【0166】
この場合、Sの次数であるNは、4以上の整数である。演算回路89は、予めメモリに記憶された図13の特性表を参照して、ステップS50で取得したブロアレベル(図13中ではBLE_LEVと記す)および吹出口モード(図13中ではMODEと記す)に対応する補正係数T1、T3・・・TN、K1、K2、K3・・・TNを求める。演算回路89は、湿度センサ86の温度Tsenと図7の特性表とに基づいて補正係数T2を求める。
【0167】
このように求められた補正係数T1、T2、T3・・・TN、K1、K2、K3・・・TNを動的補償器に設定する。このように設定された動的補償器を用いて補正後の相対湿度であるRHout(m)を求める。これにより、湿度センサ86の応答遅れを高精度に補償することができる。
【0168】
なお、図13では、ブロアレベル、吹出口モード、および補正係数T1、T3・・・TN、K1、K2、K3・・・TNの対応関係を示す特性表である。
【0169】
(2)上記第1〜第3実施形態では、湿度センサ86の周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報としてブロアレベルを用いた例について説明した。しかし、これに代えて、湿度センサ86の周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報を風速センサ100の検出値としてもよい。風速センサ100は、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風速を検出する。
【0170】
(3)上記第1〜第3実施形態では、湿度センサ86の周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報をブロアレベルとし、湿度センサ86の周囲に流れる空気流の風向と相関関係がある風向情報を吹出口モードとした例について説明した。しかし、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0171】
すなわち、センサケース82の外側を流れる空気流の風量を測定する風量センサを配置して、風量センサにより検出される風量を、湿度センサ86の周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報とする。
【0172】
また、センサケース82の外側を流れる空気流の風向を測定する風向センサを配置して、風向センサにより検出される風量を、湿度センサ86の周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風向情報とする。
【0173】
(4)上記第3実施形態では、タッチパネル110に対する使用者によるタッチ操作によって、補正係数T1、T2、K1のうち変更を希望する補正係数が設定される例について説明した。しかし、これに限らず、使用者の音声入力により、補正係数T1、T2、K1のうち変更を希望する補正係数が設定されてもよい。
【0174】
(5)上記第1〜第3実施形態では、湿度検出装置10を前側の窓ガラス92に配置した例について説明した。しかし、これに限らず、車室内のうち前側の窓ガラス92以外の箇所に湿度検出装置10を配置してもよい。
【0175】
(6)上記第1〜第3実施形態では、動的補償器の入力を、湿度センサ86の出力信号(すなわち、検出値)とした例について説明した。しかし、湿度センサ86の出力信号を各種のフィルタ等により信号処理した結果を動的補償器の入力としてもよい。
【0176】
(7)上記第3実施形態では、動的補償器を構成する複数の補正係数のうちいずれかの補正係数を使用者の要求に沿って変更した例について説明した。しかし、動的補償器を構成する複数の補正係数のうちいずれかの補正係数を各種の制御処理に沿って変更してもよい。
【0177】
(8)上記第1〜第3実施形態では、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報をブロアレベルとした例について説明した。しかし、これに限らず、ブロアレベル以外の情報を風量情報としてもよい。例えば、湿度検出装置10の周囲に流れる空気流の風量を検出する風量センサを採用して、風量センサの検出値を風量情報としてもよい。
【0178】
また、湿度センサ86の周囲を流れる空気流の風向と相関関係がある風向情報として、吹出口モード以外の情報を用いてもよい。例えば、湿度検出装置10の周囲に流れる空気流の風向を検出する風向センサ採用して、風量センサの検出値を風向情報としてもよい。
【0179】
(9)上記第1〜第3実施形態では、センサケース82において空気取り入れ部として通風スリット82aを設けた例について説明した。しかし、これに代えて、センサケース82において、空気取り入れ部として開口部を形成し、この開口部を透湿膜によって覆うようにしてもよい。ここで、透湿膜は、防水性と透湿性を兼ね備えるものであって、水は透過しないが、水蒸気を透過させるものである。
【0180】
(10)なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0181】
上記実施形態において、ステップS40が風量取得部を構成し、ステップS50が風向取得部を構成し、ステップS60が設定部を構成し、ステップS90が補正部を構成し、ステップS30が温度取得部を構成する。また、ステップS120が算出部を構成し、ステップS130が判定部を構成する。ステップS60Bが設定部を構成し、蒸発器38とヒータコア44が熱交換器に対応する。また、デフロスタ吹出開口部48、フェイス吹出開口部49、およびフット吹出口50が複数の吹出開口部に対応し、デフロスタドア51、フェイスドア52およびフットドア53が複数のドアに対応する。また、エアコンECU26が空調制御部に対応し、センサケース82、ブラケット83、およびストッパ93がセンサケースを構成する。
【0182】
本開示の1つの観点によれば、動的補償器は、複素数であるSを変数として湿度センサの応答遅れを補償する関数であり、補正係数は、動的補償器において、Sに掛けられる係数である。
【0183】
本開示の他の観点によれば、以下の通りである。湿度センサの検出値をRHnowとし、補正後の湿度センサの検出値をRHoutとし、Nを2以上の整数で、かつSの次数である値とし、Pを、ローパスフィルタの遮断周波数を定めるための定数とする。また、T1、T2、・・・TN、K1.K2・・・KNのそれぞれを補正係数とし、RHout/RHnowを次の数1の式で表す。
【0184】
【数1】
【0185】
このとき、設定部は、湿度センサの周囲の温度によって変化する湿度センサの応答遅れを補償するために、補正係数であるT2を温度センサの検出値に基づいて設定する。さらに設定部は、湿度センサの周囲に流れる空気流の風量および風向によって変化する湿度センサの応答遅れを補償するために、補正係数であるT1、T2、・・・TN、K1.K2・・・KNのうちT2以外の補正係数を風量情報と風向情報に基づいて設定する。
【0186】
但し、数1において、Nが2であるときには、T3およびTNをそれぞれ「0」とし、K2およびKNをそれぞれ「0」とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13

【手続補正書】
【提出日】2017年9月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配置されて空気取り入れ部(82a)を形成するセンサケース(82)と、前記センサケース内に収納されて、前記センサケース内の空気の相対湿度を検出する湿度センサ(86)と、を備え、前記センサケースの外側から前記空気取り入れ部を通して前記センサケース内の前記湿度センサの周囲に前記車室内の空気が流れるように構成されている湿度検出装置であって、
前記湿度センサの周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報を取得する風量取得部(S40)と、
前記湿度センサの周囲に流れる空気流の風向と相関関係がある風向情報を取得する風向取得部(S50)と、
前記センサケースに起因して発生し、かつ前記湿度センサの周囲の風量および前記湿度センサの周囲の風向によって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償する動的補償器を構成する補正係数を、前記風量情報と前記風向情報とに基づいて設定する設定部(S60、S60B)と、
前記センサケースの外側の前記車室内の空気の相対湿度を求めるために、前記設定部によって設定された前記動的補償器によって前記湿度センサの検出値を補正する補正部(S90)と、を備え
前記動的補償器は、複素数であるSを変数とし、前記湿度センサの検出値を入力とし、前記補正部によって補正された補正後の前記湿度センサの検出値を出力とする関数であって、前記湿度センサの応答遅れを補償しつつ、前記湿度センサの検出値をローパスフィルタによってフィルタリングする関数であり、
前記湿度センサの検出値をRHnowとし、前記補正後の前記湿度センサの検出値をRHoutとし、Nを2以上の整数で、かつSの次数である値とし、Pを、前記ローパスフィルタの遮断周波数を定めるための定数とし、T1、T2、・・・TN、K1.K2・・・KNのそれぞれを前記補正係数とし、RHout/RHnowを次の数1の式で表したとき、
【数1】
前記設定部は、前記湿度センサの周囲の温度によって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償するために、前記補正係数であるT2を前記温度センサの検出値に基づいて設定し、
さらに前記設定部は、前記湿度センサの周囲に流れる空気流の風量および風向によって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償するために、前記補正係数であるT1、T2、・・・TN、K1.K2・・・KNのうち前記T2以外の補正係数を前記風量情報と前記風向情報に基づいて設定する湿度検出装置。
【請求項2】
前記湿度センサの周囲の温度を検出する温度センサ(87)の検出値を取得する温度取得部(S30)を備え、
前記設定部は、前記湿度センサの周囲の風量と、前記湿度センサの周囲の風向と、前記湿度センサの周囲の温度とによって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償するために、前記動的補償器を、前記温度センサの検出値、前記風量情報、および前記風向情報に基づいて設定する請求項1に記載の湿度検出装置。
【請求項3】
前記動的補償器を構成する複数の前記補正係数を算出する算出部(S120)と、
前記算出部により算出された複数の補正係数のうちいずれかの補正係数を変更する要求があるか否かを判定する判定部(S130)と、を備え、
前記複数の補正係数のうちいずれかの補正係数を変更する要求があると前記判定部が判定した場合には、前記設定部(S60B)は、前記変更が要求されている前記いずれかの補正係数を前記要求に沿って変更し、この変更した前記いずれかの補正係数を含む前記複数の補正係数を前記動的補償器に設定する請求項1または2に記載の湿度検出装置。
【請求項4】
前記車室内に向けて送風する送風機(37)と、前記送風機からの送風空気の温度を調整する熱交換器(38、44)と、前記熱交換器により温度調節された送風空気を空調風として前記車室内に向けて吹き出す複数の吹出開口部(48、49、50)をそれぞれ形成する複数の開口形成部(48a、49a、50a)と、前記複数の吹出開口部をそれぞれ開閉する複数のドア(51、52、53)と、前記送風機の送風量を制御するとともに、前記複数のドアを制御して前記複数の吹出開口部のうちいずれかの吹出開口部から前記空調風を吹き出させる吹出モードを実施する空調制御部(26)と、を有する車室内空調装置を備える車両に搭載され、
前記風量取得部は、前記送風機から送風される送風量を示す前記風量情報を前記空調制御部から取得し、
前記風向取得部は、前記実施されている吹出モードを示す前記風向情報を前記空調制御部から取得する請求項1ないしのいずれか1つに記載の湿度検出装置。
【請求項5】
前記センサケース内の前記湿度センサの周囲を流れる空気流の風速を検出する風速センサ(100)を備え、
前記風量取得部は、前記風速センサの検出値を前記風量情報として取得する請求項1ないしのいずれか1つに記載の湿度検出装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本開示の1つの観点によれば、車室内に配置されて空気取り入れ部を形成するセンサケースと、センサケース内に収納されて、センサケース内の空気の相対湿度を検出する湿度センサと、を備え、センサケースの外側から空気取り入れ部を通してセンサケース内の湿度センサの周囲に車室内の空気が流れるように構成されている湿度検出装置は、湿度センサの周囲に流れる空気流の風量と相関関係がある風量情報を取得する風量取得部と、湿度センサの周囲に流れる空気流の風向と相関関係がある風向情報を取得する風向取得部と、センサケースに起因して発生し、かつ湿度センサの周囲の風量および風向によって変化する湿度センサの応答遅れを補償する動的補償器を構成する補正係数を、風量情報と風向情報とに基づいて設定する設定部と、センサケースの外側の車室内の空気の相対湿度を求めるために、設定部によって設定された動的補償器によって湿度センサの検出値を補正する補正部と、を備え、前記動的補償器は、複素数であるSを変数とし、前記湿度センサの検出値を入力とし、前記補正部によって補正された補正後の前記湿度センサの検出値を出力とする関数であって、前記湿度センサの応答遅れを補償しつつ、前記湿度センサの検出値をローパスフィルタによってフィルタリングする関数であり、前記湿度センサの検出値をRHnowとし、前記補正後の前記湿度センサの検出値をRHoutとし、Nを2以上の整数で、かつSの次数である値とし、Pを、前記ローパスフィルタの遮断周波数を定めるための定数とし、T1、T2、・・・TN、K1.K2・・・KNのそれぞれを前記補正係数とし、RHout/RHnowを後述する[数5]の式で表したとき、前記設定部は、前記湿度センサの周囲の温度によって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償するために、前記補正係数であるT2を前記温度センサの検出値に基づいて設定し、さらに前記設定部は、前記湿度センサの周囲に流れる空気流の風量および風向によって変化する前記湿度センサの応答遅れを補償するために、前記補正係数であるT1、T2、・・・TN、K1.K2・・・KNのうち前記T2以外の補正係数を前記風量情報と前記風向情報に基づいて設定する。
【国際調査報告】