特表-17033589IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年3月2日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】電動式流量制御弁、アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20171201BHJP
   F16K 11/048 20060101ALI20171201BHJP
   F16K 1/32 20060101ALI20171201BHJP
   F25B 41/06 20060101ALI20171201BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   F16K31/04 A
   F16K11/048 Z
   F16K1/32 B
   F25B41/06 H
   F25B41/06 U
   B60H1/32 613B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】43
【出願番号】特願2017-536664(P2017-536664)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年7月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-168145(P2015-168145)
(32)【優先日】2015年8月27日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 康裕
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 幸克
(72)【発明者】
【氏名】松田 三起夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鬼丸 貞久
(72)【発明者】
【氏名】石井 弘樹
【テーマコード(参考)】
3H052
3H062
3H067
3L211
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA25
3H052BA35
3H052CC03
3H052CD02
3H052CD03
3H052EA01
3H052EA11
3H062AA02
3H062AA13
3H062BB30
3H062BB33
3H062CC01
3H062DD01
3H062EE06
3H062GG01
3H062HH04
3H062HH08
3H067AA03
3H067AA32
3H067AA38
3H067BB03
3H067BB12
3H067CC32
3H067CC41
3H067DD05
3H067DD12
3H067DD32
3H067DD43
3H067ED01
3H067ED02
3H067FF12
3H067GG01
3H067GG23
3H067GG24
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA02
3L211BA21
3L211BA51
3L211DA23
(57)【要約】
アクチュエータ(70)は、ロッド(71)、通電により回転駆動力を発生さえる電動モータ(72)、電動モータの回転駆動力をロッドに出力する出力軸(73)、送りネジ機構(70a、70b)、および自転防止機構(75)を備える。送りネジ機構は、出力軸およびロッドのうち、一方の部材に設けられた雌ネジ部(731a〜731c)、および他方の部材に設けられて雌ネジ部と噛み合う雄ネジ部(711a、716a、718a)で構成される。自転防止機構は、電動モータの回転駆動力によるロッドの回転を規制するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式流量制御弁であって、
第1流入口(30a)から流入した流体を外部へ流出させる流出口(30c)に導く第1流体流路(411)、および第2流入口(30b)から流入した流体を前記流出口に導く第2流体流路(412)が内部に形成されたハウジング(40)と、
前記ハウジングにおける前記第1流体流路を形成する部位に形成された第1弁座部(411c)に対向配置され、前記第1弁座部に当接する際に前記第1流体流路を閉じ、前記第1弁座部から離間する際に前記第1流体流路を開く第1弁部材(50)と、
前記ハウジングにおける前記第2流体流路を形成する部位に形成された第2弁座部(412c)に対向配置され、前記第2弁座部に当接する際に前記第2流体流路を閉じ、前記第2弁座部から離間する際に前記第2流体流路を開く第2弁部材(60)と、
前記第2流体流路を閉じた状態で前記第1流体流路を開いて前記第1流体流路を流れる流体の流量を調整する第1弁部材調整領域、前記第1流体流路を閉じた状態で前記第2流体流路を開いて前記第2流体流路を流れる流体の流量を調整する第2弁部材調整領域、前記第1流体流路および前記第2流体流路の双方を閉じる両弁全閉領域となる範囲で、前記第1弁部材および前記第2弁部材を変位させる駆動部(70)と、を備え、
前記第1弁部材および前記第2弁部材は、前記ハウジングの内部に同軸となるように配置されており、
前記駆動部は、
前記第1弁部材および前記第2弁部材の軸線(CL1)に沿って移動することで、前記第1弁部材調整領域、前記第2弁部材調整領域、および前記両弁全閉領域となる範囲で前記第1弁部材および前記第2弁部材を変位させるロッド(71)と、
通電により回転駆動力を発生させる電動モータ(72)と、
前記電動モータの回転駆動力を前記ロッドに出力する出力軸(73)と、
前記出力軸および前記ロッドのうち、一方の部材に設けられた雌ネジ部(731a〜731c)、および他方の部材に設けられて前記雌ネジ部と噛み合う雄ネジ部(711a、716a、718a)で構成され、前記電動モータの回転駆動力を前記ロッドの軸方向の推力に変換する送りネジ機構(70a、70b)と、
前記電動モータの回転駆動力による前記ロッドの回転を規制する自転防止機構(75)と、
を含んで構成されている電動式流量制御弁。
【請求項2】
前記自転防止機構は、
前記ハウジングにおける前記ロッドの外周側部位に対向する内周側部位に、前記ロッドの軸方向に延びるように形成されたハウジング側溝部(432)と、
前記ロッドにおける前記外周側部位に、前記ロッドの軸方向に延びるように形成されたロッド側溝部(714)と、
前記ハウジング側溝部および前記ロッド側溝部の間に形成される空間に配置された回転規制部材(715)と、
を有する請求項1に記載の電動式流量制御弁。
【請求項3】
前記駆動部は、前記電動モータからの回転出力を減速して前記出力軸に伝達する減速機構(74)を備える請求項1または2に記載の電動式流量制御弁。
【請求項4】
前記減速機構は、外周側に円弧状の外歯が複数形成された外歯車(742)、前記外歯車の外歯に噛み合う円弧状の内歯が複数形成された内歯車(433)を含んで構成されている請求項3に記載の電動式流量制御弁。
【請求項5】
前記第1弁座部の開口径(D1)は、前記第2弁座部の開口径(D2)よりも小さくなっており、
前記出力軸には、前記雌ネジ部として、互いに異なるネジピッチに設定された第1雌ネジ(731b)および前記第2雌ネジ(731c)が形成されており、
前記ロッドは、
前記第1弁部材調整領域となる範囲において前記第1弁部材に当接して前記第1弁部材を変位させる第1押圧部(712)、および前記第2弁部材調整領域となる範囲において前記第2弁部材に当接して前記第2弁部材を変位させる第2押圧部(713)が設けられた主軸部(710)と、
前記主軸部の外周側を囲むように筒状に形成され、前記ロッドの軸方向において前記主軸部に当接して前記主軸部を前記ロッドの軸方向に変位させる筒状部(718)と、を有しており、
前記主軸部は、前記第1雌ネジに噛み合う第1雄ネジ(716a)が形成されており、
前記筒状部は、前記第2雌ネジに噛み合う第2雄ネジ(718a)が形成されており、
前記第1雄ネジおよび前記第1雌ネジは、前記第2雄ネジおよび前記第2雌ネジよりもネジピッチが大きくなっており、
前記送りネジ機構は、
前記第1弁部材調整領域および前記両弁全閉領域となる範囲、並びに、前記第2弁部材調整領域のうち、流体の流量を所定流量以下に調整する低流量領域となる範囲において、前記第2雌ネジと前記第2雄ネジとの噛み合いにより前記電動モータの回転駆動力を前記ロッドの軸方向の推力に変換し、
前記第2弁部材調整領域のうち、流体の流量を前記所定流量より多い流量に調整する高流量領域となる範囲において、前記第1雌ネジと前記第1雄ネジとの噛み合いにより前記電動モータの回転駆動力を前記ロッドの軸方向の推力に変換する構成となっている請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電動式流量制御弁。
【請求項6】
前記主軸部における前記筒状部と当接する部位と間には、弾性変形可能に構成された弾性部材(719)が配置されている請求項5に記載の電動式流量制御弁。
【請求項7】
アクチュエータであって、
ロッド(71)と、
偏心軸(723)を有するロータ(722)、および前記ロータに与える回転磁界を発生させるステータ(721)を有し、通電により回転駆動力を発生させる電動モータ(72)と、
前記電動モータの回転駆動力を前記ロッドに出力する出力軸(73)と、
前記出力軸に設けられた雌ネジ部(731a〜731c)、および前記ロッドに設けられて前記雌ネジ部と噛み合う雄ネジ部(711a、716a、718a)で構成され、前記電動モータの回転駆動力を前記ロッドの軸方向の推力に変換する送りネジ機構(70a、70b)と、
前記電動モータの回転駆動力による前記ロッドの回転を規制する自転防止機構(75)と、
前記電動モータからの回転出力を減速して前記出力軸に伝達する減速機構(74)と、を備え、
前記電動モータは、偏心軸(723)を有するロータ(722)と、前記ロータに与える回転磁界を発生させるステータ(721)と、を有しており、
前記減速機構は、
ハウジング(40)のうち、前記ロータの外周側を覆う部位の内側に形成された内歯車(433)と、
外周側に前記内歯車の内歯に噛み合う外歯が複数形成されると共に、前記偏心部と同期して公転する際に前記内歯の数と前記外歯の数との差分に応じて自転する外歯車(742)と、を含んで構成されており、
前記外歯車は、前記偏心軸の外側に配置されると共に、自転成分が前記出力軸に伝達されるように、回転伝達ピン(732a)を介して前記出力軸に連結されているアクチュエータ。
【請求項8】
前記回転伝達ピンは、前記ロッドの軸方向において前記ロータと重なり合わないように、前記ロータの外側に配置されている請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記出力軸は、前記雌ネジ部の少なくとも一部が前記ロータの内側に位置するように配置されている請求項7または8に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記出力軸、前記ロータ、および前記減速機構は、前記雌ネジ部、前記偏心軸、前記内歯車、および前記外歯車が前記ロッドの径方向に互いに重なり合うように配置されている請求項7ないし9のいずれか1つに記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記電動モータは、前記ステータが、前記ロータを密閉状態で収容するカバー(720)の外側に配置されている請求項7ないし10のいずれか1つに記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記電動モータは、ステッピングモータで構成されている請求項7ないし11のいずれか1つに記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記自転防止機構は、
前記ハウジングにおける前記ロッドの外周側部位に対向する内周側部位に、前記ロッドの軸方向に延びるように形成されたハウジング側溝部(432)と、
前記ロッドにおける前記外周側部位に、前記ロッドの軸方向に延びるように形成されたロッド側溝部(714)と、
前記ハウジング側溝部および前記ロッド側溝部の間に形成される空間に配置された回転規制部材(715)と、
を有する請求項7ないし12のいずれか1つに記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2015年8月27日に出願された日本出願番号2015−168145号に基づくものであって、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、2つの流入口および1つの流出口を有し、一方の流入口から流入した流体の流量を制御する電動式流量制御弁、およびアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0003】
この種の流量制御弁として、2つの流入路から流出路に臨む開口部に、対向する2つの弁体を設け、電気的駆動装置によりスラスト方向に駆動する弁軸によって、各弁体を単独で変位させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載の流量制御弁は、電気的駆動装置としてギアードモータを用いると共に、弁軸とハウジング側に固定したプラグにネジ部を構成し、ギアードモータの正逆回転を2つの歯車を介して弁軸を回転しつつスラスト駆動させる構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−215258号公報
【発明の概要】
【0006】
ところで、特許文献1に記載された流量制御弁の駆動部の如く、弁軸であるロッドを回転しつつスラスト駆動させる構成では、ロッドが回転する分、ロッドをスラスト駆動する際にモータ側の動力が余分に必要となってしまう。
【0007】
また、ロッドが回転しながらスラスト駆動する構成では、ロッドが弁部材を押し上げる際に、ロッドと弁部材との間に摩擦ロスが生ずる。このことは、モータ側に必要とされる動力の増加を招く要因となることから好ましくない。
【0008】
このように、特許文献1に記載の流量制御弁の如く、ロッドが回転しながらスラスト駆動する構成では、駆動部によって各弁部材を変位させる際の動力の伝達効率が悪いといった課題がある。
【0009】
また、特許文献1に記載された流量制御弁は、ロッドの軸方向の一端側に設けられたアクチュエータによってロッドを駆動する構成となっており、軸方向の体格が大きくなってしまう。このため、アクチュエータの小型化が望まれている。なお、アクチュエータの小型化は、流量制御弁に限らず、他の機器においても要求される課題である。
【0010】
本開示は、駆動部によって弁部材を変位させる際の動力の伝達効率を向上させることが可能な電動式流量制御弁を提供することを1つの目的とする。
【0011】
本開示は、軸方向の体格の小型化を図ることが可能なアクチュエータを提供することを別の目的とする。
【0012】
本開示の1つの観点によれば、電動式流量制御弁は、
第1流入口から流入した流体を外部へ流出させる流出口に導く第1流体流路、および第2流入口から流入した流体を流出口に導く第2流体流路が内部に形成されたハウジングと、
ハウジングにおける第1流体流路を形成する部位に形成された第1弁座部に対向配置され、第1弁座部に当接する際に第1流体流路を閉じ、第1弁座部から離間する際に第1流体流路を開く第1弁部材と、
ハウジングにおける第2流体流路を形成する部位に形成された第2弁座部に対向配置され、第2弁座部に当接する際に第2流体流路を閉じ、第2弁座部から離間する際に第2流体流路を開く第2弁部材と、
第2流体流路を閉じた状態で第1流体流路を開いて第1流体流路を流れる流体の流量を調整する第1弁部材調整領域、第1流体流路を閉じた状態で第2流体流路を開いて第2流体流路を流れる流体の流量を調整する第2弁部材調整領域、第1流体流路および第2流体流路の双方を閉じる両弁全閉領域となる範囲で、第1弁部材および第2弁部材を変位させる駆動部と、を備える。
【0013】
第1弁部材および第2弁部材は、ハウジングの内部に同軸となるように配置されている。
【0014】
駆動部は、
第1弁部材および第2弁部材の軸線に沿って摺動することで、第1弁部材調整領域、第2弁部材調整領域、および両弁全閉領域となる範囲で第1弁部材および第2弁部材を変位させるロッドと、
通電により回転駆動力を発生させる電動モータと、
電動モータの回転駆動力をロッドに出力する出力軸と、
出力軸およびロッドのうち、一方の部材に設けられた雌ネジ部、および他方の部材に設けられて雌ネジ部と噛み合う雄ネジ部で構成され、電動モータの回転駆動力をロッドの軸方向の推力に変換する送りネジ機構と、
電動モータの回転駆動力によるロッドの回転を規制する自転防止機構と、
を含んで構成されている。
【0015】
このように、出力軸およびロッドに設けた雄ネジ部および雌ネジ部によって送りネジ機構を構成すると共に、自転防止機構によってロッドの回転を規制する構成とすれば、ロッドの回転による動力損失を抑えることができる。すなわち、本開示の構成によれば、ロッドが回転しながら軸方向に移動する構成に比べて、駆動部によって各弁部材を変位させる際の動力の伝達効率を向上させることが可能となる。
【0016】
本開示の別の観点によれば、アクチュエータは、
ロッドと、
偏心軸を有するロータ、およびロータに与える回転磁界を発生させるステータを有し、通電により回転駆動力を発生させる電動モータと、
電動モータの回転駆動力をロッドに出力する出力軸と、
出力軸に設けられた雌ネジ部、およびロッドに設けられて雌ネジ部と噛み合う雄ネジ部で構成され、電動モータの回転駆動力をロッドの軸方向の推力に変換する送りネジ機構と、
電動モータの回転駆動力によるロッドの回転を規制する自転防止機構と、
電動モータからの回転出力を減速して出力軸に伝達する減速機構と、を備える。
【0017】
電動モータは、偏心軸を有するロータと、ロータに与える回転磁界を発生させるステータと、を有している。
【0018】
減速機構は、ハウジングにおけるロータの外周側を覆う部位の内側に形成された内歯車と、外周側に内歯車の内歯に噛み合う外歯が複数形成されると共に、偏心部と同期して公転する際に内歯の数と外歯の数との差分に応じて自転する外歯車と、を含んで構成されている。そして、外歯車は、偏心軸の外側に配置されると共に、自転成分が出力軸に伝達されるように、回転伝達ピンを介して出力軸に連結されている。
【0019】
本開示のアクチュエータは、出力軸およびロッドに設けた雄ネジ部および雌ネジ部によって送りネジ機構が構成されると共に、自転防止機構によってロッドの回転が規制されているので、ロッドを回転させることなく、軸方向に移動させることが可能となる。
【0020】
特に、本開示の減速機構では、減速機構を構成する内歯車および外歯車をロータの外周側に配置する構成とすれば、減速機構とロータとが軸方向に重なり合わない配置構成となるので、アクチュエータにおける軸方向の体格の小型化を図ることが可能となる。
【0021】
さらに、本開示の減速機構では、内歯車の内径および外歯車の外径を大きくすることができるので、遊星歯車のように小径位置で力を伝達する構成に比べて、回転トルクを伝達する際に各歯に作用する力が小さくなる。このため、内歯車および外歯車の厚み等を小さくして、減速機構の軸方向の体格を小さくすることができる。この結果、アクチュエータにおける軸方向の体格の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る統合弁を適用した車両用空調装置の全体構成図である。
図2】冷凍サイクルにおける暖房運転時の冷媒の流れを示す車両用空調装置の全体構成図である。
図3】冷凍サイクルにおける除湿暖房運転時の冷媒の流れを示す車両用空調装置の全体構成図である。
図4】冷凍サイクルにおける冷房運転時の冷媒の流れを示す車両用空調装置の全体構成図である。
図5】第1実施形態に係る統合弁の各運転モードにおける各流量調整部の作動を示す図である。
図6】第1実施形態に係る統合弁の軸方向の断面図である。
図7】第1実施形態に係る統合弁の要部を示す軸方向の断面図である。
図8】第1実施形態に係る統合弁の要部を示す軸方向の断面図である。
図9図6のIX−IX断面図である。
図10】第1実施形態に係る統合弁の電動モータの回転角度に対するロッドの移動量を示す図である。
図11】第2実施形態に係る統合弁の軸方向の断面図である。
図12図11に示す統合弁の要部を拡大した断面図である。
図13図11に示す統合弁の要部を拡大した断面図である。
図14図11に示す統合弁の要部を拡大した断面図である。
図15】第2実施形態に係る統合弁の第1弁部材の変位量と第1流体流路の流量との関係を示す図である。
図16】第3実施形態に係る統合弁の軸方向の断面図である。
図17】第4実施形態に係る統合弁の電動モータの回転角度に対するロッドの移動量を示す図である。
図18】第4実施形態に係る統合弁の軸方向の断面図である。
図19図17に示す統合弁の要部を拡大した断面図である。
図20】第4実施形態に係る統合弁の第1弁部材調整領域における状態を示す断面図である。
図21】第4実施形態に係る統合弁の両弁全閉領域における状態を示す断面図である。
図22】第4実施形態に係る統合弁の第2弁部材調整領域の低流量領域における状態を示す断面図である。
図23】第4実施形態に係る統合弁の第2弁部材調整領域の高流量領域における状態を示す断面図である。
図24】第5実施形態に係る統合弁の軸方向の断面図である。
図25図24に示す統合弁の要部を拡大した断面図である。
図26】第6実施形態に係る流量制御弁の軸方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、各実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0024】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について、図1図10を参照して説明する。本実施形態では、図1に示すように、本開示の電動式流量制御弁である統合弁30を、車室内の空調を行う車両用空調装置1に適用した例について説明する。なお、本実施形態では、本開示のアクチュエータを統合弁30に適用している。
【0025】
本実施形態の車両用空調装置1は、図示しない内燃機関および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド自動車に搭載されている。
【0026】
ここで、ハイブリッド自動車や電気自動車は、内燃機関だけで車両走行用の駆動力を得る車両に比べて、車両における廃熱が小さいことから、室内空調ユニット20による車室内の暖房用の熱源を確保し難い。
【0027】
そこで、本実施形態の車両用空調装置1では、蒸気圧縮式の冷凍サイクル10の圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒を熱源として、室内空調ユニット20で車室内の暖房を実施する構成としている。
【0028】
本実施形態の冷凍サイクル10は、冷媒としてHFC系冷媒(例えば、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。勿論、冷媒としては、HFO系冷媒(例えば、R1234yf)や二酸化炭素等が採用されていてもよい。なお、冷媒には、圧縮機11を潤滑するための冷凍機油(すなわち、潤滑油)が混入されている。この冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクル内を循環している。
【0029】
冷凍サイクル10は、冷媒の流路を切り替えることで、車室内を暖房する暖房運転時の冷媒回路、車室内を除湿しながら暖房する除湿暖房運転時の冷媒回路、車室内を冷房する冷房運転時の冷媒回路に設定可能に構成されている。
【0030】
ここで、図2は、暖房運転時の冷媒回路に切り替えた際の冷凍サイクル10を示している。また、図3は、除湿暖房運転時の冷媒回路に切り替えた際の冷凍サイクル10を示している。さらに、図4は、冷房運転時の冷媒回路に切り替えた際の冷凍サイクル10を示している。なお、図2図4に図示する太線矢印は、各運転時における冷媒の流れを示している。
【0031】
本実施形態の冷凍サイクル10は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、室外熱交換器14、蒸発器15、蒸発圧力制御弁16、開閉弁17、アキュムレータ18、統合弁30等を備えている。
【0032】
圧縮機11は、エンジンルーム内に配置されている。圧縮機11は、冷媒吸入口11bから吸入した冷媒を圧縮して、冷媒吐出口11aから吐出する。本実施形態の圧縮機11は、図示しない電動モータによって駆動される電動圧縮機として構成されている。圧縮機11は、電動モータの回転数に応じて冷媒の吐出能力(例えば、吐出流量、吐出圧力)が変更可能となっている。なお、圧縮機11の電動モータは、後述する制御装置90から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0033】
圧縮機11の冷媒吐出口11aには、凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。凝縮器12は、室内空調ユニット20の空調ケース21内に配置されている。凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を放熱させて、後述する蒸発器15を通過した空気を加熱する放熱器である。
【0034】
凝縮器12の冷媒出口側には、第1冷媒通路101を介して膨張弁13の冷媒入口側が接続されている。膨張弁13は、凝縮器12から流出した冷媒を減圧する減圧機構である。膨張弁13は、絞り開度が変更可能に構成された弁体、および弁体を駆動するアクチュエータを有する。
【0035】
本実施形態の膨張弁13は、減圧作用を発揮する絞り状態と減圧作用を発揮しない全開状態とに設定可能な可変絞り機構で構成されている。また、膨張弁13は、後述する制御装置90から出力される制御信号によって制御される電気式の可変絞り機構で構成されている。
【0036】
膨張弁13の冷媒出口側には、室外熱交換器14の冷媒入口側が接続されている。室外熱交換器14は、エンジンルーム内に配置されて、膨張弁13を通過した冷媒と外気(すなわち、車室外空気)とを熱交換させる熱交換器である。
【0037】
本実施形態の室外熱交換器14は、暖房運転時に冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器として機能する。また、室外熱交換器14は、少なくとも冷房運転時に、冷媒を放熱させる放熱用熱交換器として機能する。
【0038】
室外熱交換器14の冷媒出口側には、第2冷媒通路102を介して統合弁30の第2流入口30bが接続されると共に、第3冷媒通路103を介して開閉弁17が接続されている。
【0039】
ここで、本実施形態の冷凍サイクル10には、第1冷媒通路101において凝縮器12から流出した冷媒の一部を統合弁30の第1流入口30aに導く第4冷媒通路104が接続されている。第4冷媒通路104は、凝縮器12から流出した冷媒を、前述の膨張弁13および室外熱交換器14を迂回して統合弁30に導く冷媒通路である。
【0040】
統合弁30は、2つの流量制御部301、302を統合した統合型の電動式流量制御弁である。統合弁30は、後述する制御装置90から出力される制御信号によりその作動が制御される。
【0041】
具体的には、統合弁30は、第1流入口30aから流入した冷媒の流量を調整する第1流量制御部301、第2流入口30bから流入した冷媒の流量を調整する第2流量制御部302を有している。統合弁30は、第1流量制御部301、および第2流量制御部302の双方を、冷媒流れを遮断する遮断状態、すなわち、全閉状態にすることが可能に構成されている。これにより、統合弁30は、第1流入口30aから流入した冷媒、および第2流入口30bから流入した冷媒が、同時に冷媒が流出口30cから流出しないようになっている。統合弁30の詳細については後述する。
【0042】
統合弁30の流出口30cには、蒸発器15の冷媒入口側が接続されている。蒸発器15は、後述する室内空調ユニット20の空調ケース21内のうち、凝縮器12の空気流れ上流側に配置されている。蒸発器15は、統合弁30から流出した冷媒と熱交換対象流体である送風空気とを熱交換させて、冷媒を蒸発させることにより、送風空気を冷却する熱交換器である。
【0043】
蒸発器15の冷媒出口側には、蒸発圧力制御弁16の冷媒入口側が接続されている。蒸発圧力制御弁16は、蒸発器15の冷媒出口側からアキュムレータ18へ至る冷媒通路において第3冷媒通路103が接続される接続点よりも上流側に配設されている。
【0044】
蒸発圧力制御弁16は、蒸発器15から流出した冷媒を減圧する機械式の減圧機構である。具体的には、蒸発圧力制御弁16は、蒸発器15の冷媒出口側における冷媒圧力が所定圧力に保持されるように、蒸発器15から流出した冷媒を減圧する。なお、蒸発圧力制御弁16の入口側の冷媒圧力は、蒸発器15の霜付きを防止できるように設定される。
【0045】
ここで、第3冷媒通路103は、室外熱交換器14から流出した冷媒を、前述の統合弁30および蒸発器15を迂回してアキュムレータ18に導く冷媒通路である。第3冷媒通路103に配設された開閉弁17は、第3冷媒通路103を開閉する電動式の開閉弁である。開閉弁17は、後述する制御装置90から出力される制御信号によりその作動が制御される。
【0046】
アキュムレータ18は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、分離した液相冷媒を冷凍サイクル10内における余剰冷媒として蓄える装置である。また、アキュムレータ18は、分離された気相冷媒、および冷媒中に含まれる潤滑油を圧縮機11の冷媒吸入口11b側に流出させる気液分離装置としても機能する。
【0047】
続いて、室内空調ユニット20について説明する。室内空調ユニット20は、車室内最前部の計器盤(すなわち、インストルメントパネル)の内側に配置されている。室内空調ユニット20は、外殻を形成すると共に、その内部に車室内に送風される室内送風空気の空気通路を形成する空調ケース21を有している。
【0048】
空調ケース21の空気流れ最上流側には、内気(すなわち、車室内空気)と外気とを切替導入する内外気切替装置22が配置されている。内外気切替装置22は、空調ケース21内に内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口の開口面積を調整する内外気切替ドア22aを有している。
【0049】
内外気切替装置22の空気流れ下流側には、内外気切替装置22を介して導入された空気を車室内へ向けて送風する送風機23が配置されている。送風機23は、遠心多翼ファン(すなわち、シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機で構成されている。送風機23は、後述する制御装置90から出力される制御信号によって回転数が制御される。
【0050】
送風機23の空気流れ下流側には、蒸発器15、ヒータコア24、凝縮器12が配置されている。蒸発器15、ヒータコア24、および凝縮器12は、送風空気の流れに対して、蒸発器15→ヒータコア24→凝縮器12の順に配置されている。
【0051】
ここで、ヒータコア24は、車両走行用の駆動力を出力する内燃機関の廃熱を利用して、送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。具体的には、ヒータコア24は、内燃機関の冷却水を送風空気と熱交換させることで、送風空気を加熱するように構成されている。
【0052】
本実施形態の空調ケース21は、蒸発器15の空気流れ下流側に、ヒータコア24および凝縮器12を配置する温風通路21aと、温風通路21aを迂回して空気を流すバイパス通路21bとが設定されている。
【0053】
また、空調ケース21内には、蒸発器15を通過した後の送風空気のうち、温風通路21aに流入する風量とバイパス通路21bに流入する風量を調整するエアミックスドア25が配置されている。エアミックスドア25は、後述する制御装置90から出力される制御信号により、その作動が制御される。
【0054】
空調ケース21の空気流れ最下流部には、空調対象空間である車室内へ連通する図示しない開口穴が形成されている。蒸発器15、ヒータコア24、凝縮器12により温度調整された空気は、図示しない開口穴を介して車室内へ吹き出される。
【0055】
次に、車両用空調装置1の電気制御部である制御装置90について説明する。制御装置90は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。なお、制御装置90の記憶部は、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
【0056】
制御装置90は、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された圧縮機11、膨張弁13、統合弁30、開閉弁17、送風機23、エアミックスドア25等の各制御機器の作動を制御する。
【0057】
ここで、制御装置90は、その出力側に接続された各制御機器の作動を制御する制御部が一体に構成されている。例えば、本実施形態では、制御装置90における統合弁30の作動を制御する構成(例えば、ハードウェア、ソフトウェア)が、駆動制御部90aとして構成されている。なお、駆動制御部90aは、制御装置90とは別体に構成されていてもよい。
【0058】
次に、本実施形態の車両用空調装置1の作動を説明する。本実施形態の車両用空調装置1は、制御装置90による各制御機器の制御により、暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転が切り替え可能に構成されている。以下、車両用空調装置1の暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転における各作動を説明する。
【0059】
(暖房運転)
制御装置90は、暖房運転を実施する条件が成立すると、開閉弁17を開状態として第3冷媒通路103を開く。また、制御装置90は、膨張弁13を、凝縮器12から流出した冷媒を減圧してから室外熱交換器14へ流す絞り状態とする。さらに、制御装置90は、図5に示すように、統合弁30の第1流量制御部301および第2流量制御部302の双方を全閉状態にして、第2冷媒通路102および第4冷媒通路104を閉じる。
【0060】
これにより、暖房運転時の冷凍サイクル10は、図2に示す冷媒回路となる。すなわち、冷凍サイクル10は、圧縮機11から吐出された冷媒が、凝縮器12、膨張弁13、室外熱交換器14、開閉弁17、アキュムレータ18の順に流れ、再び圧縮機11に吸入される構成となる。
【0061】
また、制御装置90は、バイパス通路21bを閉じる位置にエアミックスドア25を制御する。これにより、暖房運転時の室内空調ユニット20は、蒸発器15を通過後の送風空気の全流量が温風通路21aを通過する構成となる。
【0062】
図2に示す車両用空調装置1では、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒が、凝縮器12に流入し、高温高圧の冷媒が有する熱が、凝縮器12にてヒータコア24を通過した空気に放熱される。
【0063】
凝縮器12を通過した冷媒は、膨張弁13にて減圧された後、室外熱交換器14に流入する。室外熱交換器14に流入した冷媒は、外気から吸熱して蒸発し、開閉弁17およびアキュムレータ18を介して再び圧縮機11に吸入される。
【0064】
以上の如く、暖房運転時には、冷凍サイクル10における高温高圧の冷媒が有する熱が、室内空調ユニット20で空気に放熱されて、送風空気が加熱される。そして、室内空調ユニット20で加熱された送風空気が車室内に吹き出される。これにより、車両用空調装置1は、車室内の暖房を実現している。
【0065】
(除湿暖房運転)
制御装置90は、除湿暖房運転を実施する条件が成立すると、開閉弁17を開状態として第3冷媒通路103を開く。また、制御装置90は、膨張弁13を、凝縮器12から流出した冷媒を減圧してから室外熱交換器14へ流す絞り状態とする。
【0066】
制御装置90は、図5に示すように、統合弁30の第2流量制御部302を全閉状態にして第2冷媒通路102を閉じる。一方、制御装置90は、統合弁30の第1流量制御部301を絞り開度を調整する流量制御状態として、第4冷媒通路104を開く。
【0067】
これにより、暖房運転時の冷凍サイクル10は、図3に示す冷媒回路となる。すなわち、除湿暖房運転時の冷凍サイクル10は、圧縮機11から吐出された冷媒が、凝縮器12、膨張弁13、室外熱交換器14、開閉弁17、アキュムレータ18の順に流れ、再び圧縮機11に吸入される構成となる。また、除湿暖房運転時には、第4冷媒通路104が開いている。このため、除湿暖房運転時の冷凍サイクル10は、凝縮器12から流出した冷媒の一部が、第1流量制御部301、蒸発器15、蒸発圧力制御弁16、アキュムレータ18の順に流れ、再び圧縮機11に吸入される構成となる。
【0068】
また、制御装置90は、温風通路21aを開く位置にエアミックスドア25を制御する。これにより、除湿暖房運転時の室内空調ユニット20は、蒸発器15にて除湿冷却された送風空気の少なくとも一部が温風通路21aを通過する構成となる。
【0069】
図5に示す車両用空調装置1では、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒が、凝縮器12に流入し、高温高圧の冷媒が有する熱が、凝縮器12にてヒータコア24を通過した空気に放熱される。
【0070】
凝縮器12を通過した冷媒の一部は、膨張弁13にて減圧された後、室外熱交換器14に流入する。室外熱交換器14に流入した冷媒は、外気から吸熱して蒸発し、開閉弁17およびアキュムレータ18を介して再び圧縮機11に吸入される。
【0071】
凝縮器12を通過した冷媒の残りは、統合弁30の第1流量制御部301にて減圧された後、蒸発器15に流入する。蒸発器15に流入した低温低圧の冷媒は、送風空気から吸熱して蒸発し、蒸発圧力制御弁16およびアキュムレータ18を介して再び圧縮機11に吸入される。
【0072】
ここで、蒸発器15に流入する送風空気に含まれる水分は、蒸発器15を通過する際に蒸発器15の表面で結露する。これにより、蒸発器15を通過した送風空気は、空気中に含まれる水蒸気量の割合が低い乾いた空気となる。
【0073】
以上の如く、除湿暖房運転時には、冷凍サイクル10の蒸発器15にて送風空気が除湿される。その後、冷凍サイクル10における高温高圧の冷媒が有する熱で送風空気が加熱され、車室内に吹き出される。これにより、車両用空調装置1は、車室内の除湿暖房を実現している。
【0074】
(冷房運転)
制御装置90は、冷房運転を実施する条件が成立すると、開閉弁17を閉状態として第3冷媒通路103を閉じる。また、制御装置90は、膨張弁13を、凝縮器12から流出した冷媒を減圧することなく室外熱交換器14へ流す全開状態とする。
【0075】
制御装置90は、図5に示すように、統合弁30の第1流量制御部301を全閉状態にして第4冷媒通路104を閉じる。一方、制御装置90は、統合弁30の第2流量制御部302を絞り開度を調整する流量制御状態として、第2冷媒通路102を開く。
【0076】
これにより、冷房運転時の冷凍サイクル10は、図4に示す冷媒回路となる。すなわち、冷房運転時の冷凍サイクル10は、圧縮機11から吐出された冷媒が、凝縮器12、膨張弁13、室外熱交換器14、第2流量制御部302、蒸発器15、蒸発圧力制御弁16、アキュムレータ18の順に流れ、再び圧縮機11に吸入される構成となる。
【0077】
また、制御装置90は、温風通路21aを閉じる位置にエアミックスドア25を制御する。これにより、冷房運転時の室内空調ユニット20は、蒸発器15にて冷却された送風空気の全流量がバイパス通路21bを通過する構成となる。
【0078】
図3に示す車両用空調装置1では、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒が、凝縮器12に流入する。この際、エアミックスドア25により温風通路21aが閉鎖されているので、凝縮器12では、冷媒が空気と熱交換することなく、膨張弁13に流入する。
【0079】
冷房運転時には、膨張弁13が全開状態となっているので、膨張弁13に流入した冷媒は、膨張弁13で殆ど減圧されることなく、室外熱交換器14に流入する。室外熱交換器14に流入した冷媒は、外気に放熱した後、統合弁30の第2流量制御部302にて減圧される。
【0080】
第2流量制御部302にて減圧された冷媒は、蒸発器15に流入し、送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却される。蒸発器15から流出した冷媒は、蒸発圧力制御弁16およびアキュムレータ18を介して再び圧縮機11に吸入される。
【0081】
以上の如く、冷房運転時には、冷凍サイクル10の蒸発器15にて送風空気が冷却された後、冷凍サイクル10における高温高圧の冷媒と熱交換することなく、車室内に吹き出される。これにより、車両用空調装置1は、車室内の冷房を実現している。
【0082】
次に、統合弁30の詳細について、図6図10を参照して説明する。図6は、本実施形態の統合弁30の各弁部材50、60の中心軸である弁軸心CL1を含む断面で統合弁30を切断した断面図である。図6では、弁軸心CL1に沿って延びる方向を軸方向ADとし、弁軸心CL1に直交する方向を径方向RDとしている。このことは、図6以降の図面においても同様である。
【0083】
図6に示すように、統合弁30は、主たる構成要素として、ハウジング40、第1弁部材50、第2弁部材60、およびアクチュエータである駆動部70を備えている。
【0084】
ハウジング40は、流路形成部41、閉塞部42、および連結部43を備えている。ハウジング40は、閉塞部42、流路形成部41、連結部43の順に、弁軸心CL1の軸方向ADに並んで配置されている。すなわち、流路形成部41は、軸方向ADにおいて閉塞部42と連結部43との間に位置するように配置されている。また、流路形成部41の内部には、冷媒が流れることから、流路形成部41は、閉塞部42および連結部43の両方に対して気密および液密となるように接合されている。
【0085】
流路形成部41は、耐熱性および耐圧性に優れた金属で形成されたブロック状の部材で構成されている。流路形成部41には、第1流入口30aおよび第2流入口30b、流出口30c、第1流体流路411、第2流体流路412、第1弁収容部413、第2弁収容部414が形成されている。
【0086】
第1流入口30aは、外部から冷媒を導入する開口部であり、径方向RDに向けて開口している。第1流入口30aには、第4冷媒通路104が管継手等の連結部材により連結されている。これにより、第1流入口30aには、冷凍サイクル10における凝縮器12から流出した冷媒が流入する。
【0087】
第2流入口30bは、外部から冷媒を導入する開口部であり、径方向RDにおいて第1流入口30aと同じ方向に向いて開口している。第2流入口30bは、第1流入口30aに対して軸方向ADにずれた位置に開口している。第2流入口30bには、第2冷媒通路102が管継手等の連結部材により連結されている。これにより、第2流入口30bには、冷凍サイクル10における室外熱交換器14から流出した冷媒が流入する。
【0088】
流出口30cは、径方向RDにおいて第1流入口30aおよび第2流入口30bの反対の方向に向いて開口している。流出口30cは、軸方向ADにおいて、第1流入口30aと第2流入口30bとの間に開口している。流出口30cには、流出口30cと蒸発器15の冷媒入口側とをつなぐ配管が管継手等の連結部材により連結されている。これにより、流路形成部41の内部の冷媒は、流出口30cから蒸発器15側に流出する。
【0089】
第1流体流路411は、流路形成部41の内部に形成され、第1流入口30aから流入した冷媒を流出口30cに導く流路である。第1流体流路411は、第1導入流路411a、第1中間流路411b、出口側流路411dを有している。第1導入流路411aは、第1流入口30aから径方向RDに沿って延びる有底穴で構成されている。第1中間流路411bは、第1導入流路411aに連通する連通路であって、弁軸心CL1を中心として軸方向ADに沿って延びる貫通穴で構成されている。出口側流路411dは、第1中間流路411bに連通する連通路であって、流出口30cから径方向RDに沿って延びる有底穴で構成されている。
【0090】
第1中間流路411bには、第1弁部材50のシール部511aが当接する第1弁座部411cが形成されている。本実施形態の第1弁座部411cは、第1導入流路411aと出口側流路411dを繋ぐ円形状に開口する開口縁部で構成されている。
【0091】
第2流体流路412は、流路形成部41の内部に形成され、第2流入口30bから流入した冷媒を流出口30cに導く流路である。第2流体流路412は、第2導入流路412a、第2中間流路412b、出口側流路411dを有している。第2導入流路412aは、第2流入口30bから径方向RDに沿って延びる有底穴で構成されている。第2中間流路412bは、第2導入流路412a、および出口側流路411dに連通する連通路であって、弁軸心CL1を中心として軸方向ADに沿って延びる貫通穴で構成されている。
【0092】
第2中間流路412bには、第2弁部材60のシール部611aが当接する第2弁座部412cが形成されている。本実施形態の第2弁座部412cは、第2導入流路412aと出口側流路411dを繋ぐ円形状に開口する開口縁部で構成されている。
【0093】
ここで、第1流入口30aには、冷凍サイクル10における凝縮器12から流出した冷媒の一部が流入する。そして、第2流入口30bには、冷凍サイクル10における室外熱交換器14から流出した冷媒の全てが流入する。つまり、本実施形態の冷凍サイクル10は、第1流体流路411を全開した際に第1流体流路411を流れる冷媒の流量が、第2流体流路412を全開した際に第2流体流路412を流れる冷媒の流量よりも少なくなる。このため、第1流体流路411には、第2流体流路412に比べて、高精度な冷媒の流量調整が要求される。
【0094】
そこで、本実施形態では、第1弁座部411cの開口径D1が第2弁座部412cの開口径D2よりも小さくなっている。なお、第1弁座部411cの開口径D1および第2弁座部412cの開口径D2としては、各弁座部411c、412cの開口の大きさを円相当径に換算した換算値を適用してもよい。
【0095】
続いて、第1弁収容部413は、後述する第1弁部材50の第1弁支持部512を収容する空間を形成する部位である。第1弁収容部413は、流路形成部41の軸方向ADの端部に形成された穴で構成されている。第1弁収容部413は、第1弁部材50の第1弁体部511を第1中間流路411bに突き出すことができるように、第1中間流路411bに連通している。
【0096】
また、第2弁収容部414は、後述する第2弁部材60の第2弁支持部612を収容する空間を形成する部位である。第2弁収容部414は、軸方向ADにおける第1弁収容部413と反対側の端部に形成された穴で構成されている。第2弁収容部414は、第2弁部材60の第2弁体部611を第2中間流路412bに突き出すことができるように、第2中間流路412bに連通している。
【0097】
続いて、ハウジング40を構成する閉塞部42は、第1弁収容部413の内部に形成される空間を閉塞する部材である。閉塞部42は、流路形成部41に対して気密および液密となるように接合されている。
【0098】
また、ハウジング40を構成する連結部43は、第2弁収容部414の内部に形成される空間を閉塞すると共に、後述する駆動部70をハウジング40に対して連結する部材である。
【0099】
連結部43には、弁軸心CL1を中心として軸方向ADに沿って延びる貫通穴431が形成されている。この貫通穴431は、後述する駆動部70のロッド71の一部をハウジング40の内部に導入するために設けられている。
【0100】
そして、連結部43の貫通穴431におけるロッド71の外周側部位に対向する内周側部位には、後述する自転防止機構75を構成するハウジング側溝部432が形成されている。ハウジング側溝部432は、連結部43にて後述する駆動部70のロッド71に対向する貫通穴431の内周面に対して、軸方向ADに沿って延びるように形成されている。
【0101】
また、連結部43には、駆動部70を連結する部位に、円弧状の内歯が複数形成された内歯車433が設けられている。連結部43における内歯車433の詳細については、後述する。
【0102】
第1弁部材50は、流路形成部41に形成された第1弁座部411cに対向配置され、第1弁座部411cに当接する際に第1流体流路411を閉じ、第1弁座部411cから離間する際に第1流体流路411を開く部材である。本実施形態の第1弁部材50は、第1弁体部511、第1弁支持部512、第1付勢部材513を備えている。
【0103】
第1弁体部511は、軸状の部材で構成され、その中心が弁軸心CL1に一致するように、第1中間流路411bに配置されている。
【0104】
第1弁体部511は、第1弁座部411cに対向する外側部位に、第1流体流路411を閉じる際に第1弁座部411cに当接するシール部511aが形成されている。シール部511aは、軸方向ADにおいて第1弁座部411c側に向かうに従って細くなるテーパ状の形状となっている。
【0105】
また、第1弁体部511には、第1弁座部411c側の先端部に、後述する駆動部70のロッド71に設けられた第1押圧部712を受け入れるロッド受入部511bが形成されている。ロッド受入部511bは、弁軸心CL1を中心として軸方向ADに沿って延びると共に、ロッド71の第1押圧部712の外径よりも大きい有底穴で構成されている。
【0106】
第1流体流路411は、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cに当接することで閉塞される。また、第1流体流路411の絞り開度は、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cからの距離が離れるに伴って大きくなる。すなわち、第1流体流路411の通路断面積は、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cからの距離が離れるに伴って大きくなる。なお、第1流体流路411の通路断面積とは、冷媒流れに直交する断面の面積であって、冷媒が流れるのに有効な通路断面積である。
【0107】
また、第1弁支持部512は、第1弁収容部413に収容され、第1弁体部511が軸方向ADに変位するように第1弁体部511を支持するガイド部材である。本実施形態の第1弁支持部512は、第1弁体部511におけるシール部511aの反対側の部位に連結されている。
【0108】
第1弁支持部512には、均圧通路512aが形成されている。この均圧通路512aは、第1流体流路411を流れる冷媒を第1弁収容部413に導入して、第1弁体部511側に作用する冷媒の圧力と第1弁支持部512側に作用する冷媒の圧力を均圧するための冷媒通路である。
【0109】
第1付勢部材513は、第1弁収容部413に収容され、第1流体流路411を閉塞するように第1弁体部511および第1弁支持部512を付勢するコイルバネ等で構成される付勢部材である。
【0110】
本実施形態の第1付勢部材513は、第1弁体部511のシール部511aを第1弁座部411cに近づく方向に押し付ける付勢力が第1弁部材50に対して作用するように配置されている。具体的には、第1付勢部材513は、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cに当接している際にも、付勢力が作用するように配置されている。
【0111】
続いて、第2弁部材60は、流路形成部41に形成された第2弁座部412cに対向配置され、第2弁座部412cに当接する際に第2流体流路412を閉じ、第2弁座部412cから離間する際に第2流体流路412を開く部材である。
【0112】
第2弁部材60は、ハウジング40の内部において、前述の第1弁部材50と同軸となるように配置されている。本実施形態の第2弁部材60は、第2弁体部611、第2弁支持部612、第2付勢部材613を備えている。
【0113】
第2弁体部611は、軸状の部材で構成され、その中心が弁軸心CL1に一致するように、第2中間流路412bに配置されている。
【0114】
第2弁体部611は、第2弁座部412cに対向する外側部位に、第2流体流路412を閉じる際に第2弁座部412cに当接するシール部611aが形成されている。シール部611aは、軸方向ADにおいて第2弁座部412c側に向かうに従って細くなるテーパ状の形状となっている。
【0115】
また、第2弁体部611には、後述する駆動部70のロッド71を受け入れるロッド貫通部611bが形成されている。ロッド貫通部611bは、弁軸心CL1を中心として軸方向ADに沿って延びると共に、ロッド71の外径よりも大きい貫通穴で構成されている。ロッド貫通部611bには、ロッド71とロッド貫通部611bとの間に形成される隙間からの冷媒漏れを抑えるOリング等で構成されるシール部材614が設けられている。
【0116】
第2流体流路412は、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cに当接することで閉塞される。また、第2流体流路412の絞り開度は、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cからの距離が離れるに伴って大きくなる。すなわち、第2流体流路412の通路断面積は、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cからの距離が離れるに伴って大きくなる。なお、第2流体流路412の通路断面積とは、冷媒流れに直交する断面の面積であって、冷媒が流れるのに有効な通路断面積である。
【0117】
また、第2弁支持部612は、第2弁収容部414に収容され、第2弁体部611が軸方向ADに変位するように第2弁体部611を支持するガイド部材である。本実施形態の第2弁支持部612は、第2弁体部611におけるシール部611aの反対側の部位に連結されている。
【0118】
第2弁支持部612には、均圧通路612aが形成されている。この均圧通路612aは、第2流体流路412を流れる冷媒を第2弁収容部414に導入して、第2弁体部611側に作用する冷媒の圧力と第2弁支持部612側に作用する冷媒の圧力を均圧するための冷媒通路である。
【0119】
第2付勢部材613は、第2弁収容部414に収容され、第2流体流路412を閉塞するように第2弁体部611および第2弁支持部612を付勢するコイルバネ等で構成される付勢部材である。
【0120】
本実施形態の第2付勢部材613は、第2弁体部611のシール部611aを第2弁座部412cに近づく方向に押し付ける付勢力が第2弁部材60に対して作用するように配置されている。具体的には、第2付勢部材613は、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cに当接している際にも、付勢力が作用するように配置されている。
【0121】
駆動部70は、回転運動を直線運動(すなわち、スライド運動)に変換して出力する直動型のアクチュエータで構成されている。本実施形態の統合弁30は、駆動部70によって第1弁部材50および第2弁部材60をロッド71の軸方向に変位させる構成となっている。本実施形態の駆動部70は、第1弁部材調整領域、第2弁部材調整領域、および両弁全閉領域となる範囲で、第1弁部材50および第2弁部材60を変位させる。第1弁部材調整領域は、第2流体流路412を閉じた状態で第1流体流路411を開いて第1流体流路411を流れる流体の流量を調整する作動領域である。また、第2弁部材調整領域は、第1流体流路411を閉じた状態で第2流体流路412を開いて第2流体流路412を流れる流体の流量を調整する作動領域である。さらに、両弁全閉領域は、第1流体流路411および第2流体流路412の双方を閉じる作動領域である。
【0122】
本実施形態の駆動部70は、主たる構成要素として、ロッド71、電動モータ72、出力軸73、減速機構74、自転防止機構75を備えている。
【0123】
ロッド71は、軸方向ADに移動することにより第1弁部材50および第2弁部材60を軸方向ADに変位させる部材である。ロッド71は、軸方向ADに沿って延びる棒状の部材で構成されており、その中心が弁軸心CL1に一致するように配置されている。ロッド71は、第1中間流路411bおよび第2中間流路412bの双方を貫通するように配置されている。
【0124】
ロッド71には、連結部43の貫通穴431を貫通する部位よりも先端側の部位、すなわち、後述する出力軸73の内周面に対向する出力側端部711に、雄ネジ711aが形成されている。雄ネジ711aは、後述する出力軸73のロッド受入穴731に形成された雌ネジ731aに噛み合う雄ネジ部を構成している。
【0125】
ロッド71は、軸方向ADにおいて出力側端部711の反対側の端部に、第1弁部材50を押圧する第1押圧部712が形成されている。第1押圧部712は、第1付勢部材513の付勢力に対抗する押圧力を第1弁部材50に作用させる部位である。
【0126】
また、ロッド71には、軸方向ADにおいて出力側端部711と第1押圧部712との間に、第2弁部材60を押圧する第2押圧部713が設けられている。具体的には、第2押圧部713は、ロッド71における第2弁体部611のロッド貫通部611bに対向する部位と第1弁体部511のロッド受入部511bに対向する部位との間に設けられている。
【0127】
第2押圧部713は、第2付勢部材613の付勢力に対抗する押圧力を第2弁部材60に作用させる部位である。第2押圧部713は、ロッド71の径方向RDに突出するように円盤状に形成されている。
【0128】
さらに、ロッド71の外周側部位におけるハウジング側溝部432に対向する部位には、ロッド側溝部714が形成されている。ロッド側溝部714は、ロッド71の外周面に軸方向ADに沿って延びるように形成されている。
【0129】
そして、ハウジング側溝部432とロッド側溝部714との間に形成される空間には、回転規制部材715が配置されている。本実施形態では、ハウジング側溝部432、ロッド側溝部714、回転規制部材715が、電動モータ72の回転駆動力によるロッド71の回転を規制する自転防止機構75を構成している。
【0130】
続いて、電動モータ72は、通電により回転駆動力を発生させる部材である。図7に示すように、電動モータ72は、ハウジング40の連結部43に連結されている。本実施形態の電動モータ72は、入力信号(例えば、パルス信号)に応じて回転角度を制御するステッピングモータで構成されている。電動モータ72は、主たる構成要素として、カバー720、ステータ721、ロータ722を備えている。
【0131】
カバー720は、ロータ722を覆う部材であり、ハウジング40の連結部43に対して気密および液密に接合されている。カバー720は、軸方向ADにおける断面形状がU字状に形成されている。
【0132】
ステータ721は、図示しない複数のコイルで構成されており、ロータ722に与える回転磁界を発生させる部材である。ステータ721は、図示しない配線を介して給電される構成となっている。
【0133】
ここで、ステータ721をカバー720の内側に配置すると、ステータ721への通電用の配線を通す穴等をカバー720に設ける必要がある。カバー720に対して穴を設けることは、カバー720の内部の密封性を低下させる要因となることから好ましくない。
【0134】
そこで、本実施形態では、ステータ721をカバー720の外周側を囲むように配置している。すなわち、本実施形態の電動モータ72は、ステータ721が、ロータ722を密閉状態で収容するカバー720の外側に配置されている。
【0135】
ロータ722は、ステータ721で発生した回転磁界に同期して回転する円環状の部材である。ロータ722は、カバー720の内側に配置されている。ロータ722には、連結部43側の端部に、弁軸心CL1に対して偏心した偏心軸723が設けられている。
【0136】
出力軸73は、電動モータ72の回転駆動力をロッド71に対して出力する部材である。出力軸73には、図8に示すように、ロッド71の出力側端部711を受け入れるロッド受入穴731が形成されている。
【0137】
ロッド受入穴731は、弁軸心CL1に沿って延びる有底穴で構成されている。ロッド受入穴731には、雌ネジ731aが形成されている。本実施形態の雌ネジ731aは、ロッド71の出力側端部711に形成された雄ネジ711aに噛み合う雌ネジ部を構成している。
【0138】
出力軸73は、雌ネジ731aの少なくとも一部がロータ722の内側に位置するように、ロッド受入穴731が形成された部位がロータ722の内側に配置されている。すなわち、雌ネジ731aは、出力軸73におけるロータ722の内側に位置する部位に形成されている。
【0139】
ここで、本実施形態のロッド71は、出力軸73が回転する際に、ロッド71の雄ネジ711aと出力軸73の雌ネジ731aが噛み合うことで、軸方向ADに移動する。本実施形態では、ロッド71の雄ネジ711aおよび出力軸73の雌ネジ731aが、電動モータ72の回転駆動力をロッド71の軸方向の推力に変換する送りネジ機構70aを構成している。
【0140】
本実施形態の駆動部70は、送りネジ機構70aが電動モータ72のロータ722の内側に構成されており、送りネジ機構70aと電動モータ72とが軸方向ADに重なり合わない配置構成となっている。
【0141】
出力軸73は、図6および図7に示すように、減速ギア740を介してロータ722の偏心軸723に接続される構成となっている。本実施形態の出力軸73には、軸方向ADにおける連結部43側の端部に、径方向RDに延びる円盤状のフランジ部732が形成されている。フランジ部732には、軸方向ADにおける連結部43と反対側に突出する回転伝達ピン732aが周方向に並んで複数形成されている。
【0142】
本実施形態の回転伝達ピン732aは、ロッド71の軸方向ADにおいてロータ722と重なり合わないように、ロータ722の外側に配置されている。具体的には、本実施形態の回転伝達ピン732aは、ロッド71の径方向RDにおいてロータ722の偏心軸723と重なり合うように配置されている。
【0143】
減速ギア740は、連結部43の内歯車433と共に、電動モータ72からの回転出力を減速して出力軸73に伝達する減速機構74を構成する部材である。
【0144】
本実施形態の減速機構74は、ハウジング40のうち、ロータ722の外周側を覆う部位の内側に形成された内歯車433と、外周側に内歯車433の内歯に噛み合う外歯が複数形成された外歯車742とを含んで構成されている。
【0145】
本実施形態の駆動部70は、減速機構74が電動モータ72のロータ722の外側に構成されており、減速機構74と電動モータ72とが軸方向ADに重なり合わない配置構成となっている。
【0146】
具体的には、減速機構74の外歯車742は、ロータ722よりも大きい外径を有すると共に、ロータ722の偏心軸723の外径よりも大きい内径を有する歯車で構成されている。
【0147】
これにより、本実施形態の駆動部70は、出力軸73の雌ネジ731a、ロータ722の偏心軸723、減速機構74の内歯車433および外歯車742が、ロッド71の径方向RDに互いに重なり合うように配置されている。
【0148】
減速ギア740は、図9に示すように、偏心軸723の軸線CL2の中心に偏心軸723が嵌る貫通穴741が形成されている。また、減速ギア740には、外側に円弧状の外歯が複数形成された外歯車742が設けられている。本実施形態の外歯車742および内歯車433は、それぞれの歯形状がサイクロイド曲線によって構成されており、外歯車742と内歯車433とが噛み合うようになっている。
【0149】
本実施形態の外歯車742は、外歯の歯数が内歯車433の歯数よりも1つ少ない歯車で構成されている。また、減速ギア740には、回転伝達ピン732aに対応する部位に、回転伝達ピン732aの外径よりも大きい径に形成されたピン穴743が形成されている。減速ギア740の自転成分は、ピン穴743に嵌った回転伝達ピン732aを介して出力軸73に伝達される。
【0150】
ここで、図1に示す統合弁30の第1流量制御部301は、流路形成部41の第1流体流路411、第1弁部材50、駆動部70で構成されている。また、第2流量制御部302は、流路形成部41の第2流体流路412、第2弁部材60、駆動部70で構成されている。従って、本実施形態の統合弁30は、第1流量制御部301と第2流量制御部302とで、駆動部70を共有する構成となっている。
【0151】
次に、統合弁30の作動について説明する。統合弁30は、駆動部70の電動モータ72の回転駆動力により、ロッド71が軸方向ADに移動することで、第1弁部材50および第2弁部材60が変位する。
【0152】
具体的には、電動モータ72のステータ721に通電されると、ステータ721で生ずる回転磁界によりロータ722が所定角度分だけ回転する。この際、ロータ722の偏心軸723は、弁軸心CL1の周りを公転する。
【0153】
ロータ722の偏心軸723に接続された減速ギア740は、外歯車742が、連結部43の内歯車433に噛み合った状態で、偏心軸723と共に弁軸心CL1の周りを公転する。
【0154】
ここで、本実施形態では、外歯車742の歯数が内歯車433の歯数よりも少ない。具体的には、本実施形態では、外歯車742の歯数が内歯車433の歯数よりも1つ少ない。また、内歯車433は、連結部43に設けられた固定歯車である。
【0155】
このため、減速ギア740は、公転するだけでなく、ロータ722の回転出力を大幅に減速しながら自転する。すなわち、減速ギア740の外歯車742は、ロータ722の偏心部723と同期して公転する際に、内歯の数と外歯の数との差分に応じて自転する。この減速ギア740の自転成分は、回転伝達ピン732aを介して出力軸73に伝達されることで、出力軸73が回転する。
【0156】
そして、出力軸73の回転に伴って、出力軸73の雌ネジ731aとロッド71の雄ネジ711aとが噛み合うことで、ロッド71が軸方向ADに移動する。この際、ロッド71は、自転防止機構75により回転が規制されているので、回転することなく、軸方向ADに移動する。
【0157】
本実施形態の統合弁30は、図10に示すように、電動モータ72の回転角度に応じて、ロッド71の移動量が変化することで、第1弁部材調整領域、両弁全閉領域、および第2弁部材調整領域となる範囲に設定可能となっている。なお、図10では、ロッド71が第1流体流路411を全開した位置におけるロッド71の位置を基準位置として、当該基準位置からの距離を、ロッド71の移動量としている。
【0158】
ここで、第1弁部材調整領域となる範囲では、ロッド71が図6に示す位置から閉塞部42側に近づく方向に移動することで、ロッド71の第1押圧部712が第1弁部材50に当接する。そして、第1弁部材50に対して第1付勢部材513の付勢力に対抗する押圧力が作用する。これにより、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cから離間して、第1流体流路411が開放される。
【0159】
また、第1弁部材調整領域となる範囲では、ロッド71の第2押圧部713が第2弁部材60から離間する。このため、第2弁部材60に対して第2付勢部材613の付勢力に対抗する押圧力が作用しない。これにより、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cに当接して、第2流体流路412が閉鎖される。
【0160】
このように、第1弁部材調整領域となる範囲では、第2流体流路412が閉鎖された状態で、第1流体流路411が開いて第1流体流路411を流れる流体の流量が調整されることになる。
【0161】
続いて、両弁全閉領域となる範囲では、ロッド71が図6に示す位置に移動することで、ロッド71の第1押圧部712が第1弁部材50から離間すると共に、ロッド71の第2押圧部713が第2弁部材60から離間する。このため、第1弁部材50に対して第1付勢部材513の付勢力に対抗する押圧力が作用せず、第2弁部材60に対して第2付勢部材613の付勢力に対抗する押圧力が作用しない。これにより、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cに当接すると共に、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cに当接し、第1流体流路411および第2流体流路412の双方が閉鎖される。
【0162】
このように、両弁全閉領域となる範囲では、第1流体流路411および第2流体流路412の双方が閉鎖された状態となる。
【0163】
また、第2弁部材調整領域となる範囲では、ロッド71が図6に示す位置から連結部43側に近づく方向に移動することで、ロッド71の第2押圧部713が第2弁部材60に当接する。そして、第2弁部材60に対して第2付勢部材613の付勢力に対抗する押圧力が作用する。これにより、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cから離間して、第2流体流路412が開放される。
【0164】
また、第2弁部材調整領域となる範囲では、ロッド71の第1押圧部712が第1弁部材50から離間する。このため、第1弁部材50に対して第1付勢部材513の付勢力に対抗する押圧力が作用しない。これにより、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cに当接して、第1流体流路411が閉鎖される。
【0165】
このように、第2弁部材調整領域となる範囲では、第1流体流路411が閉鎖された状態で、第2流体流路412が開いて第2流体流路412を流れる流体の流量が調整されることになる。
【0166】
以上説明した本実施形態の統合弁30は、電動モータ72の回転駆動力をロッド71の軸方向ADの推力に変換する送りネジ機構70a、および電動モータ72の回転駆動力によるロッド71の回転を規制する自転防止機構75を備えている。
【0167】
このように、ロッド71および出力軸73に設けた雄ネジ711aおよび雌ネジ731aによって送りネジ機構70aを構成すると共に、自転防止機構75によってロッド71の回転を規制する構成とすれば、ロッド71の回転による動力損失を抑えることができる。すなわち、本実施形態の統合弁30によれば、ロッド71が回転しながら軸方向ADに移動する構成に比べて、駆動部70によって各弁部材50、60を変位させる際の動力の伝達効率を向上させることが可能となる。
【0168】
また、本実施形態の統合弁30は、自転防止機構75が、ハウジング側溝部432、ロッド側溝部714、および回転規制部材715で構成されている。これによれば、電動モータ72の回転駆動力が出力軸73を介してロッド71に作用しても、ロッド71の回転を確実に防止することができる。
【0169】
特に、本実施形態の統合弁30は、ハウジング40およびロッド71の双方に設けた各溝部432、714の間に回転規制部材715が配置される構成となっているので、統合弁30におけるロッド71の径方向RDの体格増大を抑えることが可能となる。
【0170】
また、本実施形態の統合弁30は、電動モータ72からの回転出力を減速して出力軸73に伝達する減速機構74を備えている。このように、減速機構74を介して電動モータ72と出力軸73とを連結する構成とすれば、電動モータ72の回転駆動力に応じた各弁部材50、60の変位量が小さくなるので、各弁部材50、60による冷媒の流量制御の精度向上を図ることができる。
【0171】
特に、本実施形態の統合弁30は、減速機構74が、外周側に円弧状の外歯が複数形成された外歯車742、外歯車742の外歯に噛み合う円弧状の内歯が複数形成された内歯車433を含んで構成されている。
【0172】
これによれば、減速機構74における減速ギア740および内歯車433における滑りを抑えることができるので、減速機構74における動力損失を抑えることができる。従って、駆動部70における各弁部材50、60を変位させる際の動力の伝達効率を向上させることが可能となる。
【0173】
ここで、本実施形態の統合弁30のアクチュエータは、減速機構74を構成する内歯車433および外歯車742をロータ722の外周側に配置する構成となっている。これによれば、減速機構74とロータ722とが軸方向ADに重なり合わない配置構成となるので、駆動部70における軸方向ADの体格の小型化を図ることが可能となる。
【0174】
特に、本実施形態の統合弁30のアクチュエータでは、内歯車433の内径および外歯車742の外径を大きくすることができるので、遊星歯車のように小径位置で力を伝達する構成に比べて、回転トルクを伝達する際に各歯に作用する力が小さくなる。
【0175】
このため、内歯車433および外歯車742の厚みを小さくすることで、減速機構74の軸方向ADの体格を小さくすることができる。この結果、アクチュエータにおける軸方向ADの体格の小型化を図ることが可能となる。また、本実施形態の減速機構74は、内歯車433および外歯車742を強度の低い樹脂で構成することができるので、アクチュエータのコスト低減を図ることができる。
【0176】
また、本実施形態の統合弁30のアクチュエータは、ロッド71の軸方向ADにおいてロータ722と重なり合わないように、回転伝達ピン732aがロータ722の外側に配置されている。これによれば、アクチュエータにおける軸方向ADの体格の小型化を図ることが可能となる。
【0177】
特に、本実施形態の統合弁30のアクチュエータは、出力軸73の雌ネジ731a、ロータ722の偏心軸723、減速機構74の内歯車433および外歯車742が、ロッド71の径方向RDに互いに重なり合うように配置されている。これによれば、アクチュエータにおける軸方向ADの体格を充分に小型化させることが可能となる。
【0178】
ここで、本実施形態の統合弁30のアクチュエータは、電動モータ72のステータ721が、ロータ722を密閉状態で収容するカバー720の外側に配置されている。このように、ステータ721をカバー720の外側に配置する構成とすれば、ステータ721に接続する配線等によって、カバー720の内部の密封性が低下してしまうことを防止することができる。
【0179】
また、本実施形態の統合弁30のアクチュエータは、電動モータ72がステッピングモータで構成されている。
【0180】
ステッピングモータは、センサ類を必要としないオープンループ制御が可能であり、フィードバック用のエンコーダ等が必要なるサーボモータ等に比べて部品点数が少ない簡素な構造で実現できる。このため、ステッピングモータは、本開示のアクチュエータの電動モータ30として特に好適である。
【0181】
さらに、本実施形態の統合弁30のアクチュエータは、自転防止機構74を備えているので、電動モータ72の回転駆動力が出力軸73を介してロッド71に作用しても、ロッド71の回転を確実に防止することができる。
【0182】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図11図15を参照して説明する。本実施形態の統合弁30は、第1弁部材50における第1弁座部411cに接触するシール部511cを球面状の形状としている点が第1実施形態と相違している。
【0183】
第1実施形態で説明したように、統合弁30は、第1流体流路411を全開した際に第1流体流路411を流れる流体の流量が、第2流体流路412を全開した際に第2流体流路412を流れる流体の流量よりも少なくなる冷凍サイクル10に適用されている。このような装置では、第2流体流路412よりも第1流体流路411の絞り開度の誤差が流量に大きく影響する。このため、第1流体流路411における流量調整には高い精度が求められ易い。
【0184】
そこで、本実施形態では、図11に示すように、第1弁部材50の第1弁体部511のシール部511cを球面状の形状としている。また、第1弁座部411cにおけるシール部511cに対応する部位は、シール部511cと線接触となるようにC面取りによって円錐状の形状となっている。なお、第1弁座部411cにおけるシール部511cに対応する部位は、シール部511cと第1弁座部411cとが接触となる形状であればよく、例えば、円筒状の形状となっていてもよい。
【0185】
具体的には、本実施形態では、第1弁体部511とシール部511cとを別部材で構成している。そして、シール部511cについては、球体で構成している。また、第1弁体部511の径方向RDへの移動を制限する円筒状のガイド部514が設けられている。
【0186】
このように、第1弁部材50のシール部511cを球面状の形状とすることで、シール部511cの軸ズレ等が生じても、第1弁部材50におけるシール性を確保することができる。この結果、第1流体流路411の全閉時における冷媒の漏れを抑えることができ、第1流体流路411における流量調整の精度向上を図ることができる。
【0187】
ここで、第1弁部材50のシール部511cを球面状の形状とする場合、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の絞り開度に対する冷媒の流量の変化度合いが大きくなり過ぎてしまうといった背反がある。
【0188】
そこで、本実施形態では、第1流体流路411のうち、第1流入口30aから第1弁座部411cに至る流路に、第1弁部材50の第1弁体部511に近接する低クリアランス部515を設けている。具体的には、低クリアランス部515は、第1弁体部511のガイド部514の外壁と、第1中間流路411bの内壁との間に設定されている。
【0189】
ここで、図12は、第1弁体部511が第1弁座部411cに当接している状態を示す断面図である。図13は、第1弁体部511が、第1弁座部411cから僅かに離間した状態を示す断面図である。図14は、第1弁体部511が、第1弁座部411cから大幅に離間した状態を示す断面図である。
【0190】
第1弁体部511が図12に示す状態から図13に示す状態に変位すると、第1弁体部511の変位量δ1の分だけ、低クリアランス部515の流路長さが短くなる。すなわち、第1弁体部511が図12に示す状態から図13に示す状態に変位すると、低クリアランス部515の流路長さがLからL−δ1になる。
【0191】
さらに、第1弁体部511が図12に示す状態から図14に示す状態に変位すると、第1弁体部511の変位量δ2の分だけ、低クリアランス部515の流路長さが短くなる。すなわち、第1弁体部511が図12に示す状態から図14に示す状態に変位すると、低クリアランス部515の流路長さがLからL−δ2になる。なお、変位量δ2は、変位量δ1よりも大きくなっている(δ2>δ1)。
【0192】
このように、低クリアランス部515は、第1弁体部511が第1弁座部411cから離れるに伴って流路長さが短くなると共に、第1弁体部511が第1弁座部411cに近づくに伴って流路長さが長くなるように構成されている。すなわち、低クリアランス部515は、第1弁体部511が第1弁座部411cから離れるに伴って流路抵抗が小さくなり、第1弁体部511が第1弁座部411cに近づくに伴って流路抵抗が大きくなるように構成されている。
【0193】
低クリアランス部515は、第1流体流路411の流量を所定流量以下に調整する低流量領域において、低クリアランス部515の流通抵抗が、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の流通抵抗よりも小さくなるように設定されている。
【0194】
また、低クリアランス部515は、第1流体流路411の流量を所定流量より多い流量に調整する高流量領域において、低クリアランス部515の流通抵抗が、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の流通抵抗よりも大きくなるように設定されている。
【0195】
図15は、第1弁部材50を変位させた際に、低クリアランス部515の流路長さに対する第1流体流路411の流量の変化と、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の絞り開度に対する第1流体流路411の流量の変化を個別に試算した試算結果である。なお、図15に示す一点鎖線が、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の絞り開度に対する第1流体流路411の流量の変化を示している。また、図15に示す二点鎖線が、低クリアランス部515の流路長さに対する第1流体流路411の流量の変化を示している。
【0196】
図15に示すように、低クリアランス部515の流路長さに対する第1流体流路411の流量の変化度合いは、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の絞り開度に対する第1流体流路411の流量の変化度合いよりも小さくなっている。
【0197】
そして、第1弁部材調整領域のうち、低流量領域では、低クリアランス部515を流れる冷媒の流量が、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間を流れる冷媒の流量よりも多くなっている。
【0198】
一方、第1弁部材調整領域のうち、高流量領域では、低クリアランス部515を流れる冷媒の流量が、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間を流れる冷媒の流量よりも少なくなっている。
【0199】
図15の試算結果によれば、第1弁部材50を軸方向ADに変位させると、図15の実線で示すように、第1流体流路411の流量が変化する。すなわち、第1弁部材調整領域の低流量領域では、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の絞り開度に応じて第1流体流路411の流量が変化する。一方、第1弁部材調整領域の高流量領域では、低クリアランス部515の流路長さに応じて第1流体流路411の流量が変化する。
【0200】
その他の構成は、第1実施形態と同様であり、本実施形態の構成においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0201】
特に、本実施形態では、第1弁部材50のシール部511cの形状を球面状としているので、軸ズレ等が生じても、第1弁部材50におけるシール性を確保することができる。この結果、第1流体流路411の全閉時における冷媒漏れを抑えることができる。
【0202】
また、本実施形態では、第1流体流路411に低クリアランス部515を設けている。そして、第1弁部材調整領域のうち、低流量領域では、低クリアランス部515の流通抵抗が、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の流通抵抗よりも小さくなるように設定されている。第1弁部材調整領域のうち、高流量領域では、低クリアランス部515の流通抵抗が、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の流通抵抗よりも大きくなるように設定されている。
【0203】
これによれば、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間だけでは、冷媒の流量調整が困難となる場合でも、低クリアランス部515にて冷媒の流量を微調整することが可能となる。この結果、第1流体流路411における冷媒の流量調整を高精度に実施可能となる。
【0204】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図16を参照して説明する。本実施形態の統合弁30は、第1弁体部511におけるシール部511dを平坦状の形状としている点が第2実施形態と相違している。
【0205】
図16に示すように、本実施形態では、第1弁部材50の第1弁体部511のシール部511dを平坦状の形状とすると共に、第1弁座部411cにおけるシール部511dに対応する部位についても平坦状の形状としている。
【0206】
具体的には、本実施形態では、第1弁体部511とシール部511dとを別部材で構成している。そして、シール部511dについては、第1弁座部411cに接触する部位を平坦形状とし、第1弁体部511に接触する部位を第1弁体部511側に向かって突き出る曲面形状となるように構成している。
【0207】
その他の構成は、第2実施形態と同様である。本実施形態では、第2実施形態と同様に第1流体流路411に低クリアランス部515を設けている。このため、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間だけでは、冷媒の流量調整が困難となる場合でも、低クリアランス部515にて冷媒の流量を微調整することが可能となる。
【0208】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図17図23を参照して説明する。本実施形態の統合弁30は、第2弁体調整領域の範囲において、電動モータ72の回転角度に対するロッド71の移動量を変更可能な構成としている点が第1実施形態と相違している。
【0209】
統合弁30には、絞り開度が微小なときに流量の誤差が大きくなることから、絞り開度が微小なときに低速で制御し、ある程度絞り開度が大きくなると全開まで高速で制御することが要求されることがある。
【0210】
本実施形態の統合弁30は、第1実施形態と同様に、第1弁座部411cの開口径D1が第2弁座部412cの開口径D2よりも小さくなっている。そして、第1流体流路411を流れる流量は、第2流体流路412を流れる流量よりも少ない。このため、第1弁部材50と第1弁座部411cとの間の絞り開度については、低速で制御することが望ましい。
【0211】
一方、第2弁部材60と第2弁座部412cとの間の絞り開度については、第2流体流路412を流れる流体の流量が所定流量よりも多い流量となる高流量領域の範囲において、全開まで高速で制御することが望ましい。
【0212】
そこで、本実施形態の統合弁30は、図17に示すように、第2弁部材調整領域のうち、高流量領域における電動モータ72の回転角度に対するロッド71の移動量の増加度合いが、第2弁部材調整領域における低流量領域に比べて大きくなる構成としている。以下、本実施形態の統合弁30の具体的な構成について、図18図19を参照して説明する。
【0213】
図18図19に示すように、本実施形態のロッド71は、第1押圧部712および第2押圧部713が設けられた主軸部710と、主軸部710の外周側を囲むように筒状に形成された筒状部718で構成されている。
【0214】
ロッド71の主軸部710には、出力軸73の内周面に対向する部位に、外周側に第1雄ネジ716aが形成された出力側端部716、および出力側端部716に比べて径が縮小された縮径部717が設けられている。主軸部710に形成された第1雄ネジ716aは、後述する出力軸73のロッド受入穴731Aに形成された第1雌ネジ731bに噛み合う雄ネジ部を構成している。
【0215】
縮径部717は、筒状部718を軸方向ADに摺動可能に支持する部位である。縮径部717には、筒状部718に対向する部位に、軸方向ADに沿って延びる縮径側溝部717aが形成されている。
【0216】
筒状部718は、ロッド71の軸方向ADにおいて主軸部710に当接して主軸部710をロッドADの軸方向に変位させる部材である。筒状部718は、主軸部710の出力側端部716と縮径部717との間に形成される段部に当接するように、その内周径が縮径部717の外周径よりも大きく、出力側端部716の外周径よりも小さくなっている。
【0217】
筒状部718は、出力軸73の内周面に対向する外周側部位に、第2雄ネジ718aが形成されている。第2雄ネジ718aは、後述する出力軸73のロッド受入穴731Aに形成された第2雌ネジ731cに噛み合う雄ネジ部を構成している。
【0218】
また、筒状部718は、縮径側溝部717aに対向する内周側部位に、筒側溝部718bが形成されている。筒側溝部718bは、ロッド71の軸方向ADに沿って延びるように形成されている。
【0219】
そして、縮径側溝部717aと筒側溝部718bとの間に形成される空間には、筒状部718の回転を規制する規制部材718cが配置されている。本実施形態では、縮径側溝部717a、筒側溝部718b、および規制部材718cによって、筒状部718が出力軸73と共に回転することを阻止されている。
【0220】
続いて、本実施形態の出力軸73には、主軸部710の出力側端部716、および筒状部718を受け入れるロッド受入穴731Aが形成されている。本実施形態のロッド受入穴731Aは、弁軸心CL1に沿って延びる貫通穴で構成されている。本実施形態のロッド受入穴731Aには、互いに異なるネジピッチに設定された第1雌ネジ731bおよび第2雌ネジ731cが形成されている。
【0221】
第1雌ネジ731bは、主軸部710の出力側端部716に形成された第1雄ネジ716aに噛み合う雌ネジ部を構成している。本実施形態では、第1雄ネジ716aおよび第1雌ネジ731bにより第1の送りネジ機構70aが構成されている。
【0222】
第1の送りネジ機構70aは、第2弁部材調整領域の高流量領域となる範囲で、第1雄ネジ716aと第1雌ネジ731bとの噛み合いにより、電動モータ72の回転駆動力をロッド71の軸方向ADの推力に変換する。
【0223】
第2雌ネジ731cは、筒状部718に形成された第2雄ネジ718aに噛み合う雌ネジ部を構成している。本実施形態では、第2雄ネジ718aおよび第2雌ネジ731cにより第2の送りネジ機構70bが構成されている。
【0224】
第2の送りネジ機構70bは、第1弁部材調整領域、両弁全閉領域、並びに、第2弁部材調整領域の低流量領域となる範囲で、第2雄ネジ718aと第2雌ネジ731cとの噛み合いにより、電動モータ72の回転駆動力をロッド71の軸方向ADの推力に変換する。
【0225】
そして、本実施形態の第1雄ネジ716aおよび第1雌ネジ731bは、第2雄ネジ718aおよび第2雌ネジ731cよりもネジピッチが大きくなっている。
【0226】
また、本実施形態では、第1弁部材調整領域、両弁全閉領域、並びに、第2弁部材調整領域の低流量領域となる範囲で、第1雄ネジ716aと第1雌ネジ731bとが噛み合わないように主軸部710を付勢する第3付勢部材76が設けられている。第3付勢部材76は、主軸部710における第1押圧部712の反対側の端部とカバー720との間に配置されている。
【0227】
これらの構成によって、本実施形態では、第2弁部材調整領域の高流量領域における電動モータ72の回転角度に対するロッド71の移動量の増加度合いを、第2弁部材調整領域の低流量領域に比べて大きくしている。
【0228】
次に、本実施形態の統合弁30の作動について、図20図23を参照して説明する。ここで、図20は、図17に示すプロットA1における統合弁30の断面図である。図21は、図17に示すプロットA2における統合弁30の断面図である。図22は、図17に示すプロットA3における統合弁30の断面図である。図23は、図17に示すプロットA4における統合弁30の断面図である。
【0229】
まず、第1弁部材調整領域となる範囲では、第2雄ネジ718aと第2雌ネジ731cとの噛み合いにより、図20に示すように、ロッド71の主軸部710が閉塞部42側に近づく方向に移動する。そして、主軸部710の第1押圧部712が第1弁部材50に当接して、第1弁部材50に対して第1付勢部材513の付勢力に対抗する押圧力が作用する。
【0230】
これにより、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cから離間して、第1流体流路411が開放される。
【0231】
また、第1弁部材調整領域となる範囲では、主軸部710の第2押圧部713が第2弁部材60から離間する。このため、第2弁部材60に対して第2付勢部材613の付勢力に対抗する押圧力が作用しない。これにより、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cに当接して、第2流体流路412が閉鎖される。
【0232】
このように、第1弁部材調整領域となる範囲では、第2流体流路412が閉鎖された状態で、第1流体流路411が開いて第1流体流路411を流れる流体の流量が調整されることになる。
【0233】
続いて、両弁全閉領域となる範囲では、第2雄ネジ718aと第2雌ネジ731cとの噛み合いにより、主軸部710が図20に示す位置から図21に示す位置に移動する。そして、第1押圧部712が第1弁部材50から離間すると共に、第2押圧部713が第2弁部材60から離間する。このため、第1弁部材50に対して第1付勢部材513の付勢力に対抗する押圧力が作用せず、第2弁部材60に対して第2付勢部材613の付勢力に対抗する押圧力が作用しない。これにより、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cに当接すると共に、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cに当接し、第1流体流路411および第2流体流路412の双方が閉鎖される。
【0234】
このように、両弁全閉領域となる範囲では、第1流体流路411および第2流体流路412の双方が閉鎖された状態となる。
【0235】
また、第2弁部材調整領域の低流量領域となる範囲では、第2雄ネジ718aと第2雌ネジ731cとの噛み合いにより、主軸部710が図21に示す位置から図22に示す位置に移動する。そして、主軸部710の第2押圧部713が第2弁部材60に当接して、第2弁部材60に対して第2付勢部材613の付勢力に対抗する押圧力が作用する。これにより、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cから離間して、第2流体流路412が開放される。
【0236】
また、第2弁部材調整領域となる範囲では、主軸部710の第1押圧部712が第1弁部材50から離間する。このため、第1弁部材50に対して第1付勢部材513の付勢力に対抗する押圧力が作用しない。これにより、第1弁体部511のシール部511aが第1弁座部411cに当接して、第1流体流路411が閉鎖される。
【0237】
このように、第2弁部材調整領域の低流量領域となる範囲では、第1流体流路411が閉鎖された状態で、第2流体流路412が開いて第2流体流路412を流れる流体の流量が調整されることになる。
【0238】
続いて、第2弁部材調整領域の高流量領域となる範囲では、第1雄ネジ716aと第1雌ネジ731bとが噛み合うことで、主軸部710が図22に示す位置から図23に示す位置まで移動する。
【0239】
本実施形態の第1雄ネジ716aおよび第1雌ネジ731bは、第2雄ネジ718aおよび第2雌ネジ731cよりもネジピッチが大きくなっている。このため、第2弁部材調整領域の高流量領域では、電動モータ72の回転角度に対するロッド71の移動量の増加度合いが、第2弁部材調整領域の低流量領域に比べて大きくなる。これにより、第2弁体部611のシール部611aが第2弁座部412cから大幅に離間することで、第2流体流路412を流れる冷媒の流量が増大する。
【0240】
ところで、第2弁部材調整領域の高流量領域となる範囲では、第1雄ネジ716aと第1雌ネジ731bとが噛み合うことで主軸部710が移動すると共に、第2雄ネジ718aと第2雌ネジ731cとの噛み合いにより、筒状部718も移動する。
【0241】
本実施形態では、第1雄ネジ716aおよび第1雌ネジ731bは、第2雄ネジ718aおよび第2雌ネジ731cよりもネジピッチが大きくなっている。このため、第2弁部材調整領域の高流量領域となる範囲では、主軸部710と筒状部718との接触が解除された状態で、主軸部710および筒状部718それぞれが移動する。すなわち、第2弁部材調整領域の高流量領域となる範囲では、主軸部710に対して筒状部718からの押圧力が作用しない状態で、主軸部710および筒状部718それぞれが移動することになる。
【0242】
その他の構成は、第1実施形態と同様であり、本実施形態の構成においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0243】
特に、本実施形態では、第2弁体調整領域の低流量領域となる範囲において、ネジピッチの小さい第2雄ネジ718aおよび第2雌ネジ731cの噛み合いにより電動モータ72の回転駆動力をロッド71の軸方向ADの推力に変換する構成としている。
【0244】
さらに、本実施形態では、第2弁体調整領域の高流量領域となる範囲において、ネジピッチの大きい第1雄ネジ716aおよび第1雌ネジ731bの噛み合いにより電動モータ72の回転駆動力をロッド71の軸方向ADの推力に変換する構成としている。
【0245】
これによれば、第2流体流路412における第2弁部材60と第2弁座部412cとの間の絞り開度が微小なときに低速で制御し、ある程度絞り開度が大きくなると全開まで高速で制御することが可能となる。
【0246】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図24図25を参照して説明する。本実施形態では、主軸部710における筒状部718と当接する部位に弾性部材719を設けている点が第4実施形態と相違している。
【0247】
ここで、第2弁体調整領域では、低流量領域から高流量領域に移行するタイミングで、主軸部710の第1雄ネジ716aと出力軸73の第1雌ネジ731bとが噛み合い始めることが理想である。
【0248】
しかしながら、実際には、第2弁体調整領域において、低流量領域から高流量領域に移行するタイミングに対して、主軸部710の第1雄ネジ716aと出力軸73の第1雌ネジ731bとが噛み合い始めるタイミングが遅れてしまうことがある。
【0249】
第2弁体調整領域における低流量領域から高流量領域に移行するタイミングでは、主軸部710と筒状部718とが接触する。このため、第1雄ネジ716aが第1雌ネジ731bに噛み合っていないと、筒状部718からの押圧力により主軸部710が移動して、第1雄ネジ716aおよび第1雌ネジ731bが潰れてしまうことが懸念される。
【0250】
そこで、本実施形態では、図24図25に示すように、主軸部710における筒状部718に接触する部位に、弾性変形可能に構成された弾性部材719を配置している。この弾性部材719は、主軸部710に対して筒状部718から過度の押圧力が作用した際に当該押圧力を低減する緩衝部材として機能する。本実施形態では、弾性部材719として、軸方向ADに貫通する貫通穴を有する弾性ワッシャを採用している。なお、弾性部材719としては、弾性ワッシャに限らず、他の部材を採用してもよい。
【0251】
その他の構成は、第4実施形態と同様であり、本実施形態の構成においても第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0252】
特に、本実施形態では、主軸部710と筒状部718との間に弾性部材719を介在させる構成としている。これによれば、主軸部710に対して筒状部718から過度の押圧力が作用しても、当該押圧力を弾性部材719で低減することができる。このため、主軸部710に対する筒状部718から過度の押圧力に起因して、第1雄ネジ716aおよび第1雌ネジ731bが潰れてしまうことを防止可能となる。
【0253】
(第6実施形態)
上述の各実施形態では、アクチュエータである駆動部70を2つの流入口30a、30bおよび1つの流出口30cを有し、一方の流入口30a、30bから流入した流体の流量を制御する統合弁30に適用する例について説明したが、これに限定されない。すなわち、上述の各実施形態で駆動部70の適用対象は、流量制御弁の流入口の数および流出口の数に依存するものではない。
【0254】
例えば、上述の各実施形態で説明した駆動部70は、図26に示すように、ハウジング110に対して単一の流入口111および流出口112が形成された流量制御弁100における弁部材120の駆動手段として用いることができる。
【0255】
このように構成される流量制御弁100は、第1実施形態で説明した駆動部70と同様のアクチュエータを備えているので、第1実施形態の駆動部70と同様に、軸方向ADの体格の小型化を図ることが可能となる。
【0256】
(他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。本開示の電動式流量制御弁およびアクチュエータは、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0257】
上述の各実施形態では、送りネジ機構70a、70bとして、ロッド71側に雄ネジ部が設けられ、出力軸73側に雌ネジ部が設けられた電動式流量制御弁について説明したが、これに限定されない。送りネジ機構70a、70bは、例えば、ロッド71側に雌ネジ部が設けられ、出力軸73側に雄ネジ部が設けられる構成となっていてもよい。
【0258】
上述の各実施形態では、自転防止機構75をハウジング側溝部432、ロッド側溝部714、および回転規制部材715で構成する例について説明したが、これに限定されない。自転防止機構75は、例えば、ロッド71およびハウジング40の一方の部材に径方向RDに突出するピンを設けると共に、他方の部材に一方の部材のピンに対応する溝部を設けることでも実現可能である。
【0259】
上述の各実施形態の如く、統合弁30の駆動部70に減速機構74を追加することが望ましいが、これに限定されず、減速機構74を設けなくてもよい。また、減速機構74は、遊星歯車等により構成してもよい。
【0260】
上述の各実施形態では、統合弁30の駆動部70を構成する電動モータ72としてステッピングモータを採用する例について説明したが、これに限定されない。駆動部70の電動モータ72としては、例えば、サーボモータを採用してもよい。
【0261】
上述の各実施形態では、車両用空調装置1の冷凍サイクル10に統合弁30を適用する例について説明したが、これに限定されない。統合弁30は、車両以外の空調装置や給湯機等に用いられる冷凍サイクルに適用してもよい。また、統合弁30は、冷凍サイクルに限らず、例えば、冷却水回路等に適用してもよい。
【0262】
上述の各実施形態では、流体の流量を制御する機器に対して、アクチュエータである駆動部70を適用する例について説明したが、これに限定されない。アクチュエータである駆動部70の適用対象は、流体の流量を制御する機器以外の機器に適用することができる。
【0263】
上述の各実施形態の如く、アクチュエータは、出力軸73の雌ネジ731a、ロータ722の偏心軸723、減速機構74の内歯車433および外歯車742が、ロッド71の径方向RDに互いに重なり合う配置形態とすることが望ましいが、これに限定されない。例えば、アクチュエータは、ロータ722の偏心軸723と出力軸73の雌ネジ731aとがロッド71の径方向RDに互いに重なり合わない配置形態となっていてもよい。
【0264】
上述の各実施形態の如く、アクチュエータは、回転伝達ピン732aが、ロッド71の軸方向ADにおいてロータ722と重なり合わないように、ロータ722の外側に配置され形態とすることが望ましいが、これに限定されない。例えば、アクチュエータは、回転伝達ピン732aとロータ722の偏心軸723とがロッド71の軸方向ADにおいて重なり合う配置形態となっていてもよい。
【0265】
上述の各実施形態の如く、カバー720の内部の密封性を確保する上では、ステータ721をカバー720の外側に配置することが望ましいが、これに限定されない。例えば、ステータ721は、カバー720の内側に配置されていてもよい。このような構成とする場合は、気密性および液密性に優れたハーメチックコネクタ等を介してステータ721を外部の配線等に接続すればよい。
【0266】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0267】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0268】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0269】
(本開示の技術的思想)
上述の各実施形態から把握できる技術的思想には、以下の事項が含まれる。すなわち、上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、電動式流量制御弁は、第1流体流路を全開した際に第1流体流路を流れる流体の流量が、第2流体流路を全開した際に第2流体流路を流れる流体の流量よりも少ない装置に適用されている。
【0270】
第1流体流路のうち、第1流入口から第1弁座部に至る流路には、第1弁部材に対して近接する低クリアランス部が設けられている。低クリアランス部は、第1弁部材が第1弁座部から離れるに伴って低クリアランス部の流路長さが短くなると共に、第1弁部材が第1弁座部に近づくに伴って低クリアランス部の流路長さが長くなるように構成されている。
【0271】
そして、第1弁部材調整領域のうち、流体の流量を所定流量以下に調整する低流量領域となる範囲では、低クリアランス部における流体の流通抵抗が、第1弁部材と第1弁座部との間における流体の流通抵抗によりも小さなっている。また、第1弁部材調整領域のうち、流体の流量を所定流量より多い流量に調整する高流量領域となる範囲では、低クリアランス部における流体の流通抵抗が、第1弁部材と第1弁座部との間における流体の流通抵抗よりも大きくなっている。
【0272】
第2の観点によれば、電動式流量制御弁は、第1弁部材における第1弁座部に接触するシール部が球面状の形状となっている。
【0273】
第3の観点によれば、電動式流量制御弁は、第1弁部材における第1弁座部に接触するシール部が平坦状の形状となっている。そして、第1弁座部は、第1弁部材のシール部に対応する部位が平坦状の形状となっている。
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【国際調査報告】