特表-17037870IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年3月9日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】アクチュエータとその調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20171201BHJP
   G01D 5/14 20060101ALI20171201BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20171201BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20171201BHJP
   H02P 7/06 20060101ALI20171201BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   G01D5/244 B
   G01D5/14 H
   H02K7/06 A
   H02K11/215
   H02P7/06 G
   G01B7/00 101H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2017-537120(P2017-537120)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2015年9月1日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
5H571
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063BA06
2F063CB05
2F063DA02
2F063DA05
2F063GA52
2F063KA05
2F077AA12
2F077JJ03
2F077JJ08
2F077JJ23
2F077TT26
2F077TT31
2F077TT41
2F077TT49
2F077TT66
5H571AA11
5H571BB09
5H571DD01
5H571EE02
5H571JJ03
5H571JJ13
5H571JJ17
5H571JJ25
5H571LL32
5H571MM18
5H607AA14
5H607BB01
5H607BB04
5H607BB14
5H607BB25
5H607CC07
5H607DD04
5H607EE53
5H607GG01
5H607GG08
5H607HH01
5H607HH09
5H611AA01
5H611BB03
5H611PP05
5H611QQ03
5H611RR02
5H611UA04
(57)【要約】
アクチュエータのホールICは、2方向の磁束密度を用いて相対角度を算出し、記憶部に記憶されている補正点ごとの補正値、および補正点間の補間補正値を算出するための関数を用いて当該相対角度の直線性誤差を補正する。この記憶部には、相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値として、当該補正値をパラメータに用いた関数から算出された補間補正値により補正されたときの相対角度の直線性誤差が示す複数の極値のうち、最も外側の極値である直線性誤差(L1,L3)がその1つ内側の極値である直線性誤差(L2,L4)以下になる補正値Lα,Lβが記憶されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に往復移動が可能なシャフトと、
前記シャフトを往復移動させる駆動部と、
前記シャフトの往復移動に連動して往復移動するマグネットと、
前記マグネットの往復移動に伴って変化する磁界の2方向の磁束密度を検出する磁気検出部と、
前記磁気検出部に対して前記マグネットが往復移動可能な相対角度範囲内に予め定められた3点以上の補正点ごとの補正値、および前記補正値をパラメータに用いて補正点間の補間補正値を算出する関数を記憶している記憶部と、
前記磁気検出部により検出された前記2方向の磁束密度を用いて前記磁気検出部に対する前記マグネットの相対角度を算出し、前記記憶部に記憶されている前記補正値または前記関数から算出した前記補間補正値を用いて当該相対角度の直線性誤差を補正する演算部とを備え、
前記記憶部は、前記相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値として、当該補正値をパラメータに用いた前記関数から算出された補間補正値により補正されたときの相対角度の直線性誤差が示す前記相対角度範囲における複数の極値のうち、最も外側の極値がその1つ内側の極値以下になる補正値を記憶していることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記相対角度範囲の一方側の最も外側の補正点の補正値として、前記相対角度範囲における前記複数の極値のうち、一方側の最も外側の極値がその1つ内側の極値以下になる第1の補正値と、
前記相対角度範囲のもう一方側の最も外側の補正点の補正値として、前記相対角度範囲における前記複数の極値のうち、もう一方側の最も外側の極値がその1つ内側の極値以下になる第2の補正値とを記憶していることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1の補正値と前記第2の補正値とは異なる値であることを特徴とする請求項2記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記シャフトが往復移動する範囲を規制する、金属製のストッパを備えることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1記載のアクチュエータが備える前記記憶部に補正値を書き込むアクチュエータの調整方法であって、
測定装置が、前記シャフトの位置を測定し、
制御装置が、前記アクチュエータを動作させて前記シャフトを一方向に移動させ、当該移動中に前記測定装置により測定された前記シャフトの位置と前記演算部により算出された相対角度とを用いて、前記相対角度範囲内に予め定められた3点以上の補正点ごとの補正値を演算し、
書き込み装置が、前記シャフトの移動が終了した後、前記制御装置により演算された前記補正点ごとの補正値を前記記憶部に一度に書き込むことを特徴とするアクチュエータの調整方法。
【請求項6】
前記制御装置が、前記シャフトを複数回移動させ、複数回分の前記シャフトの位置と前記相対角度とを用いて、前記相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値を演算することを特徴とする請求項5記載のアクチュエータの調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ホールIC(Integrated Circuit)を備えた直動式のアクチュエータ、および当該アクチュエータの調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の排出ガス規制は年々厳しくなる傾向にあり、将来は更に規制が進むと予想される。そのため、排出ガス規制対策としてエンジンとその周辺装置の電動化が進み、制御駆動部に電動アクチュエータが用いられることが多い(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
アクチュエータの駆動方式は回転式と直動式に分類される。回転式のアクチュエータは、ロータの回転方向にシャフトが回転する。直動式のアクチュエータは、ロータの回転方向に対して垂直な方向にシャフトが往復移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−13179号公報
【特許文献2】特表2014−509362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の直動式アクチュエータにおいては、シャフトの往復移動方向の位置を検出するために、例えばホールICなどの磁気センサが用いられる。シャフトの往復移動に伴って当該シャフトに固定されたセンサ用マグネットも往復移動することにより、磁気センサを流れる磁束密度が変化するため、磁気センサが検出した磁束密度はシャフトの往復移動方向の位置に変換することが可能である。
【0006】
アクチュエータは、エンジンルーム内で用いられる場合、排気ガス削減のために高精度な動作が求められる。例えば、ターボチャージャのウェイストゲートバルブを開閉制御するアクチュエータは、ECU(Engine Control Unit)からの指令開度に従ってバルブ開度を制御する必要があるため、ECUからの指令開度に従ったシャフトの理想的な動き方と実際の動き方とが同一であることが望ましい。しかしながら、実際には、磁気センサに対する温度の影響、当該磁気センサに対する外部磁界の影響、アクチュエータの製品ばらつき、およびアクチュエータ内部のがたつき等により、磁気センサが検出したシャフト位置と実際のシャフト位置とに誤差が生じ、ECUからの指令開度とはずれた、意図しない位置にシャフトが移動する場合があった。
ここで、磁気センサが検出したシャフト位置と実際のシャフト位置との誤差を、直線性誤差と呼ぶ。
【0007】
アクチュエータの直線性誤差が発生すると、車両に大きな影響を与える可能性があるという課題があった。例えば、前述のウェイストゲートバルブ用のアクチュエータにおいて、バルブ開度がECUからの指令開度より開方向にずれると、ブースト圧が低下し、必要な性能を得られなくなる。反対に、閉方向にずれると、ブースト圧が上昇するため、過給圧も上昇してタービンブレードに対する負荷が高まり、タービンブレードの破損を引き起こす。そのため、アクチュエータの仕様として、直線性誤差を如何に小さくするかが求められている。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、直線性誤差の小さいアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るアクチュエータは、軸方向に往復移動が可能なシャフトと、シャフトを往復移動させる駆動部と、シャフトの往復移動に連動して往復移動するマグネットと、マグネットの往復移動に伴って変化する磁界の2方向の磁束密度を検出する磁気検出部と、磁気検出部に対してマグネットが往復移動可能な相対角度範囲内に予め定められた3点以上の補正点ごとの補正値、および補正値をパラメータに用いて補正点間の補間補正値を算出する関数を記憶している記憶部と、磁気検出部により検出された2方向の磁束密度を用いて磁気検出部に対するマグネットの相対角度を算出し、記憶部に記憶されている補正値または関数から算出した前記補間補正値を用いて当該相対角度の直線性誤差を補正する演算部とを備え、記憶部は、相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値として、当該補正値をパラメータに用いた関数から算出された補間補正値により補正されたときの相対角度の直線性誤差が示す相対角度範囲における複数の極値のうち、最も外側の極値がその1つ内側の極値以下になる補正値を記憶しているものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値として、当該補正値をパラメータに用いた関数から算出された補間補正値により補正されたときの相対角度の直線性誤差が示す相対角度範囲における複数の極値のうち、最も外側の極値がその1つ内側の極値以下になる補正値を記憶しているようにしたので、この補正値およびこの補正値をパラメータとする関数から算出される補間補正値を用いて、直線性誤差が大きい相対角度範囲内の外側の相対角度を補正することにより、直線性誤差の小さいアクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施の形態1に係るアクチュエータの構成例を示す断面図である。
図2】実施の形態1におけるホールICとセンサ用マグネットの簡易モデルを説明する図である。
図3】実施の形態1におけるホールICの構成例を示すブロック図である。
図4】実施の形態1において、センサ用マグネットが移動したときの2方向の磁束密度の波形を示すグラフである。
図5図4における2方向の磁束密度を合成した合成値の波形を示すグラフである。
図6】2方向の磁束密度の検出値から算出される相対角度とストロークとの対応関係を示す理想線と実測線とを説明するグラフであり、実測線は2点補正されている。
図7図6に示した2点補正された実測線に残る直線性誤差を示すグラフである。
図8】2方向の磁束密度の検出値から算出される相対角度とストロークとの対応関係を示す理想線と実測線とを説明するグラフであり、実測線は多点補正されている。
図9図8に示した多点補正された実測線に残る直線性誤差のグラフである。
図10図2に示したホールICとセンサ用マグネットの簡易モデルにおいて、相対角度の等分補正を説明する図である。
図11】多点補正された実測線に残る直線性誤差を示すグラフである。
図12】実施の形態1において相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値の算出方法を説明するグラフである。
図13】実施の形態1において算出した相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値を用いて、図8に示した実測線を多点補正した例を示すグラフである。
図14】実施の形態1におけるホールICのハードウェア構成例を示す図である。
図15】実施の形態1に係る書き込みシステムの構成例を示す図である。
図16】実施の形態1に係る書き込みシステムによる補正値の書き込みタイミングを説明する図である。
図17】実施の形態1に係る書き込みシステムによるアクチュエータの調整方法の一例を示すフローチャートである。
図18】実施の形態1に係る書き込みシステムによるアクチュエータの調整方法の別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るアクチュエータ1の構成例を示す断面図である。アクチュエータ1は、直動式であって、シャフト2をその軸方向に往復移動させる。実施の形態1では、シャフト2の軸方向をX軸と呼び、X軸に直交する方向をY軸およびZ軸と呼ぶ。図1の紙面上では、X軸が上下方向になり、Y軸が奥行き方向になり、Z軸が左右方向になる。
【0013】
以下では、直動式のアクチュエータ1を、ターボチャージャのウェイストゲートバルブを開閉する用途に用いるものとして説明する。なお、アクチュエータ1の用途は、ウェイストゲートに限定されるものではなく、どのような用途に用いてもよい。
【0014】
モータ部3は駆動部である。駆動部は、シャフト2をX軸方向に往復移動させる駆動力を発生可能なものであれば、どのようなものを用いてもよい。図1では、モータ部3としてブラシ付きモータを用いた例を示している。モータハウジング4に2箇所の軸受5,6が設置され、パイプ7が回転自在に支持されている。パイプ7の外周面に、ロータとなるロータコア8とロータ巻線9とが固定されている。また、パイプ7の一端側にコンミテータ10が固定され、ロータ巻線9がコンミテータ10に接続されている。モータハウジング4の内周面には、ロータを取り囲むように、ステータとなるマグネット11とバックヨーク12とが固定されている。
【0015】
パイプ7の中にはシャフト2が配置されている。パイプ7の内周面には雌ねじ部13が形成されている。また、シャフト2の外周面には雄ねじ部14が形成されており、この雄ねじ部14が雌ねじ部13にねじ込まれて結合される。シャフト2の一端側は、モータハウジング4を貫通して、不図示のウェイストゲートバルブに連結される。シャフト2の他端側であってコンミテータ10の先には、磁気センサであるホールIC20と、センサ用シャフト21と、センサ用マグネット22とが配置されている。ホールIC20等の詳細は後述する。
【0016】
コネクタ端子15に電圧が印加されると、電流がブラシ16を流れ、コンミテータ10を介して、ロータ巻線9に通電される。ロータ巻線9に通電されることにより、ロータコア8が磁化され、極を形成する。磁化されたロータコア8がマグネット11に引き付けられることにより、ロータが回転し、ロータに一体化されたパイプ7とコンミテータ10も回転する。コンミテータ10の回転に伴いロータ巻線9に流れる電流の相が切り替わることにより、ロータコア8の極も切り替わり、ロータが回転し続ける。ロータの回転運動は、パイプ7の雌ねじ部13とシャフト2の雄ねじ部14との結合によってX軸方向の直線運動に変換され、シャフト2がモータハウジング4の外へ押し出される。ロータ巻線9に流れる電流が逆転すると、ロータが逆向きに回転し、シャフト2がモータハウジング4の内へ引き込まれる。シャフト2の往復移動に伴い、ウェイストゲートバルブが開閉する。
【0017】
パイプ7の下端部およびモータハウジング4の内周面には、シャフト2が往復移動する範囲を規制するストッパ18a,19aが設けられている。また、シャフト2には、ストッパ18aに当接する当接部18bと、ストッパ19aに当接する当接部19bとが設けられている。シャフト2が往復移動するストローク範囲は、当接部18bがストッパ18aに当接する位置から、当接部19bがストッパ19aに当接する位置までである。当接部18b,19bがストッパ18a,19aに当接する際、モータ部3の駆動力によりある程度の面圧が掛かるため、ストッパ18a,19aおよび当接部18b,19bには、変形しやすい樹脂などの材料を避け、変形しにくい金属部材を用いることが望ましい。
【0018】
センサハウジング17の内部には、2方向の磁束密度を検出するホールIC20が固定されている。また、センサハウジング17の内部には、シャフト2の端面に接するセンサ用シャフト21が配置され、このセンサ用シャフト21にはセンサ用マグネット22が固定されている。よって、シャフト2のX軸方向の往復移動に連動して、センサ用シャフト21とセンサ用マグネット22も往復移動する。なお、センサハウジング17とセンサ用シャフト21は、非磁性体である。
【0019】
図2は、実施の形態1におけるホールIC20とセンサ用マグネット22の簡易モデルを説明する図である。シャフト2がストッパ19aと当接部19bの当接位置に移動すると、連動してセンサ用マグネット22が位置P1に移動する。シャフト2がストッパ18aと当接部18bの当接位置に移動すると、連動してセンサ用マグネット22が位置P3に移動する。位置P2は、センサ用マグネット22がホールIC20に最も近づく位置であり、位置P1,P3から略等距離である。
シャフト2のストローク範囲である位置P1から位置P3までの範囲に対応する、ホールIC20に対してセンサ用マグネット22が往復移動可能な相対角度の範囲を、「相対角度範囲」と呼ぶ。
また、センサ用マグネット22が発生する磁界について、X軸、Y軸、Z軸に平行なBx軸、By軸、Bz軸が設定されているものとする。
【0020】
図3は、実施の形態1におけるホールIC20の構成例を示すブロック図である。
ホールIC20は、センサ用マグネット22の往復移動に伴って変化する磁界の2方向の磁束密度を検出する磁気検出部201と、磁気検出部201とセンサ用マグネット22との相対角度範囲内に予め定められた3点以上の補正点ごとの補正値、および前記補正値をパラメータに用いて補正点間の補間補正値を算出する関数を記憶している記憶部202と、磁気検出部201により検出された2方向の磁束密度を用いて磁気検出部201に対するセンサ用マグネット22の相対角度を算出し、記憶部202に記憶されている補正値または関数を用いて当該相対角度の直線性誤差を補正する演算部203とを備えている。
【0021】
図2の例では、磁気検出部201は、2方向の磁束密度として、Bx軸方向の磁束密度とBz軸方向の磁束密度とを検出する。なお、磁気検出部201は、2方向の磁束密度として、Bx軸方向の磁束密度とBy軸方向の磁束密度とを検出してもよい。
【0022】
演算部203は、式(1)により、Bx軸方向の磁束密度とBz軸方向の磁束密度とを用いて、Bz軸を基準としたホールIC20に対するセンサ用マグネット22の相対角度θを算出する。式(1)により算出される相対角度θは、X軸方向におけるシャフト2のストローク位置に変換可能な値である。また、式(1)および後述する式(2)において、Bxは、Bx軸方向の磁束密度であり、Bzは、Bz軸方向の磁束密度である。
θ=atan(Bx/Bz) (1)
【0023】
図4に、センサ用マグネット22が移動したときのBx軸方向の磁束密度およびBz軸方向の磁束密度の波形を示す。また、図5に、図4におけるBx軸方向の磁束密度およびBz軸方向の磁束密度を合成した合成値Bの波形を示す。図4および図5において、グラフの縦軸は磁束密度を示し、グラフの横軸はセンサ用マグネット22の位置、つまりシャフト2のストロークを示す。合成値Bは、式(2)により算出される。
【0024】
図2に示したように、Bz軸方向においてホールIC20とセンサ用マグネット22との間に一定量のエアギャップGが設けられている場合、センサ用マグネット22として、合成値Bが、位置P1から位置P3までの全ストローク範囲においてホールIC20で検出可能な最低磁束密度Pより大きくなるようなマグネットが選定されることが望ましい。さらに、この条件を満たす最小サイズのマグネットを選定することで、コストを抑制することができる。
【0025】
なお、自動車部品は高温環境下で使用されるため、ウェイストゲートバルブ開閉用のアクチュエータ1に用いるセンサ用マグネット22としては、基本的にはサマリウムコバルト焼結マグネットが望ましい。サマリウムコバルト焼結マグネットは、磁束密度の温度変化率が0.1mT/℃以下と小さいため、高温使用に適している。ただし、アクチュエータ1の使用環境によっては、センサ用マグネット22として、ネオジムマグネットまたはフェライトマグネット等を用いてもよい。
【0026】
図6は、2方向の磁束密度の検出値から算出される相対角度θとストロークとの対応関係を示す理想線と実測線とを説明するグラフであり、実測線は後述するように2点において補正されたものを示している。なお、式(1)により算出される相対角度θの単位はラジアンであるが、ここでは度で示す。グラフの縦軸はホールIC20に対するセンサ用マグネット22の相対角度θであり、横軸はシャフト2のストロークである。アクチュエータ1の特性、つまりホールIC20が算出する相対角度θと実際のシャフト2のストロークとの対応関係は、理想線として示すような直線であることが理想とされる。しかしながら、実際には、ホールIC20に対する温度の影響、当該ホールIC20に対する外部磁界の影響、アクチュエータ1の製品ばらつき、およびアクチュエータ1の内部のがたつき等により、ホールIC20が算出する相対角度θからなる実測線は理想線から乖離し、直線性誤差が生じる。
【0027】
直線性誤差は、理想線に対する実測線の乖離の度合いを表す。式(3)のように、直線性誤差Lは、ホールIC20が算出する相対角度θの最大値yと最小値−yとの差2yに対する、実測線が示す相対角度θと理想線が示す相対角度θとの差Δyの割合で表される。
L(%)=Δy/2y×100 (3)
【0028】
また、図6のグラフでは、位置P1から位置P3までの相対角度範囲において最大値と最小値の2点を補正点と定め、実測線が理想線に2点の補正点でそれぞれ一致するように補正されている。さらに、2点の補正点間の実測線は、例えば正弦波曲線または放物曲線等に近似するように補正されている。
具体的には、演算部203は、磁気検出部201により検出された磁束密度から算出した相対角度が、予め定められた2点の補正点のいずれか一方と一致する場合、一致する補正点の補正値を用いて当該相対角度を補正する。補正値は、前記算出した相対角度に含まれる直線性誤差に相当する値である。また、補正点は、シャフト2の理想のストローク位置に対応する、直線性誤差を含んだ相対角度を示すものとする。
また、演算部203は、磁気検出部201により検出された磁束密度から算出した相対角度が、予め定められた2点の補正点のいずれとも異なる場合、当該2点の補正点の補正値と算出した相対角度とをパラメータに用いて、正弦波曲線または放物曲線等の予め定められた関数により補間を行うことで補間補正値を算出し、算出した補間補正値を用いて当該相対角度を補正する。この場合の補間補正値は、前記算出した相対角度に含まれる直線性誤差に相当する値である。
なお、補間補正値は、前記算出した相対角度に含まれる直線性誤差に相当する値でなく、前記算出した相対角度に含まれる直線性誤差を補正した後の値に相当する値であってもよい。つまり、演算部203は、算出した相対角度が、予め定められた2点の補正点のいずれとも異なる場合、当該2点の補正点の補正値と算出した相対角度とをパラメータに用いて、正弦波曲線または放物曲線等の予め定められた関数により補間を行うことで、直線性誤差を補正した後の相対角度に相当する補間補正値を算出し、相対角度を当該算出した補間補正値に置き換えることにより補正を行う。
【0029】
図7は、図6に示した2点補正された実測線に残る直線性誤差を示すグラフである。グラフの縦軸は上式(3)により算出される直線性誤差を示し、横軸はストロークを示す。補正点数n=2の補正では、直線性誤差が大きい。
そこで、実施の形態1では、演算部203において補正点数n≧3として多点補正を行い、直線性誤差を小さくする。
【0030】
図8は、2方向の磁束密度の検出値から算出される相対角度θとストロークとの対応関係を示す理想線と実測線とを説明するグラフであり、実測線は多点補正されている。グラフの縦軸は相対角度θ、横軸はストロークである。また、参考として、図6に示した2点補正された実測線のグラフも示す。
図8のグラフにおいては、相対角度範囲内にn≧3の補正点を定め、実測線が理想線にn≧3の補正点でそれぞれ一致するように補正されている。また、隣り合う2点の補正点間の実測線は、例えば正弦波曲線または放物曲線等に近似するように補正されている。
【0031】
図9は、図8に示した多点補正された実測線に残る直線性誤差を示すグラフである。グラフの縦軸は上式(3)により算出される直線性誤差Lを示し、横軸はストロークを示す。また、参考として、図7に示した2点補正された実測線に残る直線性誤差のグラフも示す。
補正点数nが多いほど、直線性誤差が小さくなり、直線性が改善される。ただし、補正点数nが多いほど、各補正点に対応する補正値を記憶するための記憶部202の容量が大きくなる。そのため、ホールIC20のコストが上昇し、かつ、ホールIC20が大型化する。従って、補正点数nは、アクチュエータ1の仕様として要求される直線性を満たし、かつコストおよびサイズが製品として許容される程度にすることが望ましい。
【0032】
また、図10に示すように、相対角度θを等分補正する必要があるため、シャフト2のストロークに換算すると、ストローク位置は等間隔には補正されない。そのため、センサ用マグネット22が位置P2から遠ざかるほど、補正点間の間隔La〜Lcが長くなる。つまり、La>Lb>Lcとなる。従って、図9に示したように、多点補正された実測線において、センサ用マグネット22が位置P2から遠ざかるほど、直線性誤差が大きくなり、直線性が悪化する。そして、補正点間の間隔が最も長くなる位置P1側と位置P3側において、直線性誤差が最も大きくなる。そこで、実施の形態1では、位置P1側と位置P3側の直線性誤差を低減することにより、直線性誤差の小さいアクチュエータ1を提供する。
【0033】
図11に、多点補正された実測線に残る直線性誤差を示す。グラフの縦軸は上式(3)により算出される直線性誤差Lを示し、横軸はストロークを示す。
ここで、相対角度範囲において、相対角度を補正値および補間補正値により補正したときの当該相対角度に残る直線性誤差が示す、複数の山状の曲線のうち、位置P1側の最も外側の山を「第1の山」、この「第1の山」の1つ内側の山を「第2の山」と定義する。また、位置P3側の最も外側の山を「第3の山」、この「第3の山」の1つ内側の山を「第4の山」と定義する。
【0034】
例えば、第1の山の曲線は、位置P1の補正点における補正値と、位置P1の補正点より1つ内側の補正点における補正値とをパラメータとした関数により算出される補間補正値を用いて補正された相対角度の直線性誤差である。この関数は、例えば、正弦波曲線または放物曲線等の関数であり、補間情報として記憶部202に記憶されている。
第1の山以外の山の曲線も、その山を間に挟む2点の補正点における2つの補正値をパラメータとした関数により算出される補間補正値を用いて補正された相対角度の直線性誤差である。
【0035】
図11に示すように、第1の山>第2の山、および第3の山>第4の山が形成される。
本来、「補正」は、理想線と実測線の乖離をゼロにするため、補正点においては相対角度θを理想線に一致する値に補正すべきである。
しかし、実施の形態1では、位置P1,P3に対応する各補正点において、理想線に一致しないような値に相対角度θを補正することにより、直線性が最も悪化する第1の山と第3の山の直線性誤差を低減する。
【0036】
実施の形態1において、図12図13に示すグラフを参照して、相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値、つまり位置P1,P3に対応する補正点の補正値の算出方法を説明する。
図12は、実施の形態1において相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値の算出方法を説明するグラフである。図13は、実施の形態1において算出した相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値を用いて、図8に示した実測線を多点補正した例を示すグラフである。
【0037】
後述するPC(Personal Computer)ツール等は、位置P1の補正点における補正値と、位置P1の補正点より1つ内側の補正点における補正値とをパラメータに用いて、補間情報である関数により、補正点間の各相対角度の補間補正値を算出する。そして、PCツールは、当該補間補正値により補正された前記補正点間の各相対角度に残る直線性誤差を算出して第1の山を求め、その極大値を直線性誤差L1とする。
また、PCツールは、位置P1の補正点より1つ内側の補正点における補正値と、位置P1の補正点より2つ内側の補正点における補正値とをパラメータに用いて、上記同様に関数により補正点間の各相対角度の補間補正値を算出する。そして、PCツールは、当該補間補正値により補正された前記補正点間の各相対角度に残る直線性誤差を算出して第2の山を求め、その極大値を直線性誤差L2とする。
【0038】
PCツールは、式(4)により、第1の山の極大値である直線性誤差L1と第2の山の極大値である直線性誤差L2との差分αを算出する。そして、PCツールは、第1の山の極大値である直線性誤差L1が、当該L1から差分αを減算した値以下になるような、位置P1に対応する補正点の補正値Lαを算出する。図13に示すように、この補正値Lαにより補正された相対角度Yaは、直線の理想線上からずれた値となる。また、この補正値Lαは「第1の補正値」であり、記憶部202に記憶されることになる。
|L1−L2|=α (4)
【0039】
位置P1とは反対側の位置P3に対応する補正点の補正値Lβは、位置P1の補正値Lαをそのまま利用してもよい。しかし、アクチュエータ1の部品公差等により位置P1側と位置P3側の直線性誤差がばらついて補正値Lαと補正値Lβとが一致しない場合もあるため、補正値Lβを補正値Lαとは別に算出してもよい。
例えば、PCツールは、式(5)により、第3の山の極小値である直線性誤差L3と第4の山の極小値である直線性誤差L4との差分βを算出する。そして、PCツールは、第3の山の極小値である直線性誤差L3が、当該L3から差分βを減算した値以下になるような、位置P3に対応する補正点の補正値Lβを算出する。図13に示すように、この補正値Lβにより補正された相対角度Ybは、直線の理想線上からずれた値となる。また、この補正値Lβは「第2の補正値」であり、記憶部202に記憶されることになる。ここでは、アクチュエータ1の部品公差等により、α≠β、かつ、Lα≠Lβである。
|L3−L4|=β (5)
【0040】
以上のように、位置P1,P3に対応する補正点において、補正後の相対角度が理想線に一致するような補正値ではなく、上記のようにして演算した補正値Lα,Lβに変更することにより、図12に示すように、第1の山と第3の山の直線性誤差を低減することができる。
【0041】
次に、補正値を用いた補正方法を説明する。
記憶部202には、相対角度範囲内に予め定められた3点以上の補正点ごとの補正値が記憶されている。補正点は、シャフト2の理想のストローク位置に対応する、直線性誤差を含んだ相対角度を示すものである。補正点ごとの補正値は、磁気検出部201により検出された磁束密度から算出された相対角度に含まれている直線性誤差を補正するための値であり、補正後の相対角度は理想線に一致する値になる。ただし、上述したように、相対角度範囲の最も外側に位置する補正点の補正値は、補正後の相対角度が理想線に一致しないLα,Lβである。また、記憶部202には、補正値をパラメータに用いて補正点間の補間補正値を算出する関数等が、補間情報として記憶されている。
【0042】
演算部203は、磁気検出部201により検出されたBx軸方向の磁束密度とBz軸方向の磁束密度とを用いて、上式(1)により相対角度θを算出する。
続いて演算部203は、算出した相対角度θが、記憶部202に記憶されている3点以上の補正点のうちのいずれか1点と一致する場合、一致する補正点の補正値を用いて相対角度θを補正する。
また、演算部203は、算出した相対角度θが、記憶部202に記憶されている3点以上の補正点のいずれとも異なる場合、相対角度θを間に挟んで隣り合う2点の補正点に対応する2つの補正値をパラメータに用いて、記憶部202に記憶されている補間情報の関数により補間を行うことで補間補正値を算出する。そして、演算部203は、補間補正値を用いて相対角度θを補正する。
なお、上述したように、関数により算出される補間補正値は、相対角度θに含まれる直線性誤差に相当する値でなく、直線性誤差を補正した後の相対角度に相当する値であってもよい。
【0043】
図13は、2方向の磁束密度の検出値から算出される相対角度θとストロークとの対応関係を示す理想線と実測線とを説明するグラフであり、実測線は多点補正されている。相対角度範囲の両端2点の補正点において、相対角度が理想線と一致するように補正した場合に比べ、補正値Lα,Lβによって理想線と一致しない相対角度Ya,Ybになるように補正した場合の方が、全体としてみれば理想線と実測線との乖離が小さく、直線性が改善されている。
【0044】
次に、ホールIC20のハードウェア構成を説明する。
図14は、実施の形態1におけるホールIC20のハードウェア構成例を示す図である。
ホール素子211は、Bx軸方向の磁束密度を検出して、マルチプレクサ213へ出力する。ホール素子212は、Bz軸方向の磁束密度を検出して、マルチプレクサ213へ出力する。これらホール素子211,212は、磁気検出部201である。
【0045】
ホール素子211,212から出力された2方向の磁束密度の検出値であるアナログ信号は、マルチプレクサ213を介してアンプ214に入力され、アンプ214においてゲインが変更された後、AD(Analog−Digital)コンバータ215によりデジタル信号に変換され、CPU(Central Processing Unit)216へ入力される。CPU216は、2方向の磁束密度を用いて相対角度を算出し、当該相対角度の直線性誤差を補正した後、補正した相対角度であるデジタル信号を出力する。このデジタル信号は、DA(Digital−Analog)コンバータ217によりアナログ信号に変換され、ホールIC20外部へ出力される。なお、補正した相対角度をデジタル信号のままホールIC20から外部へ出力する場合には、DAコンバータ217は不要である。
【0046】
演算部203の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、ROM(Read Only Memory)218に格納される。CPU216は、ROM218に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、演算部203の機能を実現する。即ち、ホールIC20は、CPU216により実行されるときに、2方向の磁束密度を用いて相対角度を算出し、当該相対角度の直線性誤差を補正するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。また、このプログラムは、演算部203の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。RAM(Random Access Memory)219は、CPU216に入出力されるデータまたはROM218から読み出されたプログラムを一時的に記憶するワークエリアである。
【0047】
また、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)220は、相対角度範囲に予め定められた3点以上の補正点ごとの補正値、および当該補正値をパラメータに用いて補正点間の補間補正値を算出する関数を記憶する記憶部202である。このEEPROM220内のデータは、後述する書き込みツール等によって書き換えが可能である。補間補正値を算出するための関数等の補間情報は、EEPROM220に記憶されていてもよいし、上記プログラムの一部としてROM218に記憶されていてもよい。
ROM218、RAM219およびEEPROM220は、記憶部202である。
【0048】
なお、図14の例では、磁気検出部201、記憶部202および演算部203の機能を持つ1つのICチップとして構成したが、一部の機能を専用の回路として構成してもよい。
【0049】
次に、アクチュエータ1の調整方法を説明する。アクチュエータ1の調整は、アクチュエータ1の製造工程においてアクチュエータ1を組み立てた後に実施される。
図15は、ホールIC20のEEPROM220に補正値を書き込むための書き込みシステム30の構成例を示す図である。書き込みシステム30は、リニアゲージ31、カウンタ32、PCツール33および書き込みツール34を備えている。
【0050】
リニアゲージ31は、アクチュエータ1のシャフト2の先端の位置を測定し、測定信号をカウンタ32へ出力する。カウンタ32は、リニアゲージ31からの測定信号を受け取り、PCツール33が受け取り可能な電気信号に変換して、PCツール33へ出力する。
これらのリニアゲージ31とカウンタ32は、シャフト2のストローク位置を測定する測定装置である。なお、測定装置は、リニアゲージ31とカウンタ32を組み合わせた構成に限定されるものではなく、シャフト2のストローク位置を測定可能な装置であれば何でもよい。
【0051】
PCツール33は、アクチュエータ1のコネクタ端子15を通じてロータ巻線9への通電を制御し、アクチュエータ1のシャフト2をスイープ、つまり一定速度で一方向に移動させる。PCツール33は、シャフト2をスイープ動作させている期間、コネクタ端子15を通じてホールIC20から出力される相対角度を読み込むと共に、カウンタ32から出力されるシャフト2のストローク位置を読み込む。カウンタ32からのストローク位置は、ホールIC20に対するセンサ用マグネット22の相対角度に変換可能な値である。そして、変換された相対角度とストローク位置との対応関係は、上述した理想線に相当する。カウンタ32からのストローク位置とホールIC20からの相対角度との対応関係は、上述した実測線に相当する。
【0052】
PCツール33は、カウンタ32からのストローク位置が予め定められた3点以上の補正点に一致するごとに、当該ストローク位置とそのときのホールIC20からの相対角度とをリンクさせ、一時保持する。
また、PCツール33は、リンクさせた1組のストローク位置とホールIC20からの相対角度とについて、当該ストローク位置を相対角度に変換して、理想線上の理想値とする。そして、PCツール33は、演算した理想値とホールIC20からの相対角度との差分を演算し、当該差分を補正値とする。なお、ストローク位置から相対角度への変換に必要な情報は、予めPCツール33に与えられているものとする。また、PCツール33は、ホールIC20からの相対角度を、補正時に使用するための補正点とする。つまり、PCツール33は、ホールIC20からの相対角度である補正点と、カウンタ32からのストローク位置を用いて演算した補正値とをリンクさせ、1組のデータにする。
また、PCツール33は、相対角度範囲において最も外側となる、位置P1と位置P3の2点の補正点については、上述した補正値Lα,Lβを演算する。
そして、PCツール33は、3点以上の補正点のすべてについて補正点と補正値とをリンクさせたデータを、書き込みツール34へ出力する。
このPCツール33は、PC、マイクロコンピュータまたはDSP(Digital Signal Processor)等の制御装置である。
【0053】
書き込みツール34は、PCツール33からのデータを受け取り、ホールIC20が受け取り可能な電気信号に変換して、アクチュエータ1のコネクタ端子15を通じてホールIC20のEEPROM220へ書き込む。
この書き込みツール34は、ホールIC20のEEPROM220へデータを書き込む書き込み装置であり、専用の回路等により構成されている。
【0054】
なお、補間補正値を算出するための関数等の補間情報は、ホールIC20が予め保持していてもよいし、PCツール33が書き込みツール34を介してホールIC20へ書き込んでもよい。
【0055】
図16は、補正値の書き込みタイミングを説明する図である。横軸は、位置P1から位置P3までのシャフト2のストロークを示す。二重丸印(◎)は、PCツール33がホールIC20からの相対角度とカウンタ32からのストローク位置とを読み込む作業を行うタイミングを示す。星印(☆)は、PCツール33が書き込みツール34を介してホールIC20に、補正点と補正値とを書き込む行を行うタイミングを示す。
【0056】
参考例として示す作業例では、PCツール33は、カウンタ32からのストローク位置が最初の補正点に一致するようにシャフト2を移動させ、そのときのホールIC20からの相対角度を読み込んで補正値を演算し、位置P1に対応する補正点と補正値とをホールIC20に書き込む。続いて、PCツール33は、シャフト2を次の補正点まで移動させ、そのときのホールIC20からの相対角度を読み込み、補正点と補正値としてホールIC20に書き込む。PCツール33は、位置P3までこの作業を補正点ごとに繰り返し行う。
一方、実施の形態1の作業例では、PCツール33は、シャフト2を位置P1から位置P3まで停止することなくスイープ動作させ、その動作中に、補正点ごとにホールIC20からの相対角度とカウンタ32からのストローク位置とを読み込んでいく。PCツール33は、スイープ後に補正点ごとの補正値を演算し、補正点ごとの補正値を一度にホールIC20に書き込む。これにより、参考例と比較して、通信工程の削減による書き込み時間の短縮が可能となり、工程能力が向上し、生産ラインにおいてタクト短縮が可能となる。
【0057】
図17は、アクチュエータ1の調整方法を示すフローチャートである。
ステップST1において、PCツール33は、シャフト2の移動を制御して、当接部19bをストッパ19aに当接させる。ストッパ19aと当接部19bの当接位置は、位置P1に相当する。
【0058】
ステップ2において、PCツール33は、カウンタ32からストローク位置またはホールIC20からの相対角度が所定時間変化しなければ、ストッパ19aと当接部19bが当接していると判定して(ステップST2“YES”)、ステップST3へ進む。一方、PCツール33は、カウンタ32からストローク位置またはホールIC20からの相対角度が所定時間内に変化した場合、ストッパ19aと当接部19bは当接していないと判定して(ステップST2“NO”)、ステップST1へ戻る。
【0059】
ステップST3において、PCツール33は、シャフト2を位置P1側から位置P3側へとスイープ動作させる。また、PCツール33は、スイープ動作中に、ホールIC20からの相対角度とカウンタ32からのストローク位置とを読み込み、補正点ごとにストローク位置と相対角度とをリンクさせ、一時保持する。
【0060】
ステップST4において、PCツール33は、シャフト2が位置P3まで移動したか否かを判定する。具体的には、PCツール33は、カウンタ32からストローク位置またはホールIC20からの相対角度が所定時間変化しなければ、ストッパ18aと当接部18bが当接していると判定して(ステップST4“YES”)、ステップST5へ進む。一方、PCツール33は、カウンタ32からストローク位置またはホールIC20からの相対角度が所定時間内に変化した場合、ストッパ19aと当接部19bは当接していないと判定して(ステップST4“NO”)、ステップST3へ戻る。
【0061】
ステップST5において、PCツール33は、予め定められた3点以上の補正点すべてにおいてストローク位置と相対角度とを取得できた場合(ステップST5“YES”)、ステップST6へ進む。一方、PCツール33は、ストローク位置と相対角度とを取得できなかった補正点があった場合(ステップST5“NO”)、ステップST1へ戻り、ステップST1〜ST5の処理をやり直す。
【0062】
ステップST6において、PCツール33は、位置P1,P3に対応する補正点の補正値Lα,Lβを演算し、それ以外の補正点の補正値としては、ステップST3で取得したストローク位置から変換した相対角度に基づく補正値を演算する。
ステップST7において、PCツール33は、すべての補正点と補正値とを、書き込みツール34を介してホールIC20に書き込む。
【0063】
なお、上記説明では、位置P1側から位置P3側へシャフト2をスイープ動作させる例を示したが、反対に位置P3側から位置P1側へシャフト2をスイープ動作させてもよい。
相対角度範囲の両端に相当する位置P1と位置P3は、金属製のストッパ18a,19aと当接部18b,19bとの当接により規定されるため、当接部分に面圧が掛ったとしても変形し難く、位置精度が高い。そのため、アクチュエータ1の製品ごとに、ホールIC20の相対角度範囲とシャフト2のストローク範囲とを調整する必要がない。また、ストッパ18a,19aと当接部18b,19bとが当接する時の塑性変形を最小に抑えることができ、演算部203による補正時の直線性を高精度にすることができる。
【0064】
さらに、上記スイープ動作における読み込み作業を複数回繰り返して、複数組の補正値Lα,Lβを演算することにより、ホールIC20の測定ばらつきを抑制するようにしてもよい。この一例を、図18のフローチャートを用いて説明する。
【0065】
図18のフローチャートにおいて、PCツール33は、図17と同様にステップST1〜ST5の処理を行う。
ステップST11において、PCツール33は、ステップST1〜ST5のスイープ動作をm回行ったか否かを判定する。mは予め定められた値であり、例えばm=3〜5とする。PCツール33は、スイープ動作をm回行ったと判定した場合(ステップST11“YES”)、ステップST12へ進み、m回未満であれば(ステップST11“NO”)、ステップST1へ戻ってスイープ動作を行う。
【0066】
ステップST12において、PCツール33は、位置P1,P3に対応する補正点で取得したm回分のストローク位置と相対角度とを用いて、m個の補正値Lαとm個の補正値Lβを演算する。
【0067】
ステップST13において、PCツール33は、m個の補正値Lαのばらつきを考慮した1個の最終的な補正値Lαを演算すると共に、m個の補正値Lβのばらつきを考慮した1個の最終的な補正値Lβを演算する。例えば、PCツール33は、m個の補正値Lαのばらつきを演算し、このばらつきの中央値を最終的な補正値Lαとする。また、例えば、PCツール33は、m個の補正値Lαの平均値を演算し、この平均値を最終的な補正値Lαとする。PCツール33は、補正値Lβも同様の方法により演算する。
位置P1,P3以外の補正点の補正値は、m回のうちの1回のスイープ動作により取得したストローク位置を用いてもよいし、補正値Lα,Lβと同様にm回のばらつきを考慮した値を演算して用いてもよい。
【0068】
ステップST7において、PCツール33は、すべての補正点と補正値とを、書き込みツール34を介してホールIC20に書き込む。
【0069】
なお、上記説明では、位置P1側から位置P3側へシャフト2をスイープ動作させる例を示したが、反対に位置P3側から位置P1側へシャフト2をスイープ動作させてもよい。また、1回のスイープ動作ごとにシャフト2を移動させる方向を逆向きにしてもよい。
【0070】
以上より、実施の形態1によれば、アクチュエータ1は、軸方向に往復移動が可能なシャフト2と、シャフト2を往復移動させるモータ部3と、シャフト2の往復移動に連動して往復移動するセンサ用マグネット22と、センサ用マグネット22の往復移動に伴って変化する磁界の2方向の磁束密度を検出する磁気検出部201と、磁気検出部201に対してセンサ用マグネット22が往復移動可能な相対角度範囲内に予め定められた3点以上の補正点ごとの補正値、および補正値をパラメータに用いて補正点間の補間補正値を算出する関数を記憶している記憶部202と、磁気検出部201により検出された2方向の磁束密度を用いて磁気検出部201に対するセンサ用マグネット22の相対角度を算出し、記憶部202に記憶されている補正値または関数から算出した補間補正値を用いて相対角度の直線性誤差を補正する演算部203とを備える構成である。そして、記憶部202は、相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値として、当該補正値をパラメータに用いた関数から算出された補間補正値により補正されたときの相対角度の直線性誤差が示す前記相対角度範囲における複数の極値のうち、最も外側の極値がその1つ内側の極値以下になる補正値を記憶している構成である。そのため、この補正値およびこの補正値をパラメータに用いた関数から算出される補間補正値を用いて、直線性誤差が大きい相対角度範囲内の外側の相対角度を補正することにより、直線性誤差の小さいアクチュエータ1を提供することができる。
【0071】
また、実施の形態1によれば、記憶部202は、相対角度範囲の一方側の最も外側の補正点の補正値として、相対角度範囲における複数の極値のうち、一方側の最も外側の極値がその1つ内側の極値以下になる第1の補正値と、相対角度範囲のもう一方側の最も外側の補正点の補正値として、相対角度範囲における複数の極値のうち、もう一方側の最も外側の極値がその1つ内側の極値以下になる第2の補正値とを記憶している構成である。そのため、相対角度範囲の両側それぞれにおいて、アクチュエータ1の部品公差等を吸収できる。よって、アクチュエータ1に製品ばらつきがある場合でも、同一の直線性を得ることが可能となる。
【0072】
また、実施の形態1によれば、アクチュエータ1は、シャフト2が往復移動する範囲を規制するストッパとして、金属製のストッパ18a,19a,と当接部18b,19bとを備える構成である。そのため、当接時の塑性変形を最小に抑えることができ、補正時の直線性を高精度にすることができる。
【0073】
また、実施の形態1によれば、アクチュエータ1の調整方法として、リニアゲージ31およびカウンタ32がシャフト2の位置を測定し、PCツール33がアクチュエータ1を動作させてシャフト2を一方向に移動させ、当該移動中にリニアゲージ31およびカウンタ32により測定されたシャフト2の位置と演算部203により算出された相対角度とを用いて、相対角度範囲内に予め定められた3点以上の補正点ごとの補正値を演算し、書き込みツール34が、シャフト2の移動が終了した後、PCツール33により演算された補正点ごとの補正値を記憶部202に一度に書き込むようにした。そのため、書き込み時間の短縮が可能である。
【0074】
また、実施の形態1によれば、アクチュエータ1の調整方法として、PCツール33がシャフト2を複数回移動させ、複数回分のシャフト2の位置と相対角度とを用いて、相対角度範囲の最も外側の補正点の補正値を演算するようにした。そのため、ホールIC20の測定ばらつきを抑制でき、補正時の直線性を高精度にすることができる。
【0075】
また、実施の形態1では、ホールIC20が相対角度を出力する構成例を説明したが、この相対角度をシャフト2のストローク位置に変換して出力する構成であってもよい。この構成の場合、例えば、記憶部202が相対角度とストローク位置の変換に必要な関数等の情報を記憶しており、演算部203は記憶部202に記憶されている当該情報を用いて相対角度をストローク位置に変換して出力する。
【0076】
なお、本発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
この発明に係るアクチュエータは、等角度間隔で多点補正が可能なホールICを用いる場合に、直線性が最も悪化する相対角度範囲内の外側の直線性を改善するようにしたので、ターボチャージャのウェイストゲートバルブを開閉制御するアクチュエータ等のような、高精度な動作が求められるアクチュエータに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0078】
1 アクチュエータ、2 シャフト、3 モータ部、4 モータハウジング、5,6 軸受、7 パイプ、8 ロータコア、9 ロータ巻線、10 コンミテータ、11 マグネット、12 バックヨーク、13 雌ねじ部、14 雄ねじ部、15 コネクタ端子、16 ブラシ、17 センサハウジング、18a,19a ストッパ、18b,19b 当接部、20 ホールIC、21 センサ用シャフト、22 センサ用マグネット、30 書き込みシステム、31 リニアゲージ(測定装置)、32 カウンタ(測定装置)、33 PCツール(制御装置)、34 書き込みツール(書き込み装置)、201 磁気検出部、202 記憶部、203 演算部、211,212 ホール素子、213 マルチプレクサ、214 アンプ、215 ADコンバータ、216 CPU、217 DAコンバータ、218 ROM、219 RAM、220 EEPROM。
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【国際調査報告】