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再表2017-38985立体造形物の製造方法及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成方法、並びに立体造形物の製造装置及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年3月9日
【発行日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】立体造形物の製造方法及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成方法、並びに立体造形物の製造装置及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20180525BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20180525BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20180525BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20180525BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20180525BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20180525BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20180525BHJP
【FI】
   B29C64/40
   B33Y50/00
   B33Y30/00
   B33Y10/00
   B29C64/386
   B29C64/118
   B29C64/264
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
【出願番号】特願2017-538134(P2017-538134)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年9月2日
(31)【優先権主張番号】特願2015-174937(P2015-174937)
(32)【優先日】2015年9月4日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-125643(P2016-125643)
(32)【優先日】2016年6月24日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
【住所又は居所】東京都港区東新橋一丁目9番2号
(71)【出願人】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
【住所又は居所】山形県山形市小白川町1丁目4−12
(71)【出願人】
【識別番号】390001487
【氏名又は名称】サンアロー株式会社
【住所又は居所】東京都中央区八丁堀4丁目10番4号
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 大造
【住所又は居所】東京都港区東新橋一丁目9番2号 JSR株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慈
【住所又は居所】東京都港区東新橋一丁目9番2号 JSR株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】古川 英光
【住所又は居所】山形県山形市小白川町1丁目4−12 山形大学 大学院理工学研究科内
(72)【発明者】
【氏名】川上 勝
【住所又は居所】山形県山形市小白川町1丁目4−12 山形大学 大学院理工学研究科内
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 梓
【住所又は居所】山形県山形市小白川町1丁目4−12 山形大学 大学院理工学研究科内
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 慶
【住所又は居所】東京都中央区八丁堀4丁目10番4号 サンアロー株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】田中 正隆
【住所又は居所】東京都中央区八丁堀4丁目10番4号 サンアロー株式会社内
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AB03
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL24
4F213WL62
4F213WL95
(57)【要約】
軟質部分を有する立体造形物の造形精度及び造形速度を向上させることができる立体造形物の製造方法及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成方法、並びに立体造形物の製造装置及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成プログラムを提供する。硬質立体造形用材料(20)をノズルからステージ上に吐出して、立体造形物(1)の外殻(2)の一部となる外殻壁部(21)を形成する工程と、軟質立体造形用材料(30)をノズルから外殻壁部(21)に囲まれた内側領域に吐出して、立体造形物(1)の内核(3)の一部となる内核部(31)を形成する工程とを繰り返す。そして、複数段に積層された外殻壁部(21)による外殻(2)と、複数段に積層された内核部(31)による内核(3)とを有する立体造形物(1)を成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体造形用材料を、ノズルからステージ上に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、成形する立体造形物の外殻の一部となる外殻壁部を形成する工程と、
立体造形用材料をノズルから前記外殻壁部に囲まれた内側領域に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、前記立体造形物の内核の一部となる内核部を形成する工程と、を含む、立体造形物の製造方法。
【請求項2】
立体造形用材料をノズルから前記外殻壁部上に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、前記外殻壁部を更に形成する工程と、
立体造形用材料をノズルから前記内核部上に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、前記内核部を更に形成する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項3】
前記外殻壁部を形成するための立体造形用材料と、前記内核部を形成するための立体造形用材料とは互いに異なる、請求項2に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項4】
前記外殻壁部が固化して形成される前記外殻の硬度は、前記内核部が固化して形成される前記内核の硬度よりも高い、請求項2又は3に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項5】
前記外殻壁部を形成するための立体造形用材料は、光硬化性を有するものであり、
前記外殻壁部を形成する工程及び前記外殻壁部を更に形成する工程においては、ノズルから吐出される立体造形用材料に光を照射して前記立体造形用材料を固化させる、請求項2〜4のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項6】
前記内核部を形成するための立体造形用材料は、光硬化性を有するものであり、
前記内核部を形成する工程及び前記内核部を更に形成する工程においては、ノズルから吐出される立体造形用材料に光を照射して前記立体造形用材料を固化させる、請求項2〜5のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項7】
前記外殻壁部を形成する工程の後であって前記内核部を形成する工程の前には、立体造形用材料をノズルから前記外殻壁部による底部分上に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、前記内核に埋め込まれる芯材の一部となる芯材部を形成する工程を行い、
前記内核部を形成する工程においては、立体造形用材料をノズルから前記外殻壁部と前記芯材部とに囲まれた内側領域に吐出し、
前記外殻壁部を更に形成する工程の後であって前記内核部を更に形成する工程の前には、立体造形用材料をノズルから前記芯材部上に更に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、前記芯材部を更に形成する工程を行う、請求項2〜6のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項8】
前記芯材部を形成する工程及び前記芯材部を更に形成する工程においては、立体造形用材料によって格子状又はハニカム状の前記芯材を形成する、請求項7に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項9】
前記芯材部が固化して形成される前記芯材の硬度は、前記内核部が固化して形成される前記内核の硬度よりも高い、請求項7又は8に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項10】
立体造形物を成形した後には、前記立体造形物における前記外殻を除去する工程を行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項11】
立体造形用材料が、重合体及び重合性モノマーから選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項12】
立体造形用材料が、光ラジカル発生剤及び光酸発生剤から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項11に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項13】
前記重合性モノマーは、ラジカル重合性不飽和化合物及びカチオン重合性化合物から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項11又は12に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項14】
立体造形用材料が、溶媒を含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項15】
立体造形用材料全体における溶媒の含有量は、1質量%以上99質量%以下である、請求項14に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項16】
立体造形用材料全体における溶媒の含有量は、20質量%以上80質量%以下である、請求項14に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項17】
前記溶媒が、極性溶媒及びイオン液体から選ばれる少なくとも一種である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項18】
前記極性溶媒は、水、アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類及び非プロトン性極性溶媒から選ばれる少なくとも一種である、請求項17に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法に用いられるノズル移動経路のデータを作成する方法であって、
造形しようとする前記立体造形物の立体表面データを、設計又は読取りを行って作成し、
前記立体表面データを、所定の方向に一定の間隔でスライスして、前記所定の方向に複数に積み重なる線状の外形層データに加工し、
前記外形層データに基づき、前記ノズルから内核部造形用材料を吐出させるための内核部用移動経路のデータを作成し、
前記内核部用移動経路の外側に所定の距離だけ補正した位置を、前記ノズルから外殻壁部造形用材料を吐出させるための外殻壁部用移動経路のデータとする、立体造形物の製造方法に用いられるノズル移動経路のデータ作成方法。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の立体造形物の製造方法に用いられるノズル移動経路のデータを作成する方法であって、
造形しようとする前記立体造形物の立体表面データを、設計又は読取りを行って作成し、
前記立体表面データを、所定の方向に一定の間隔でスライスして、前記所定の方向に複数に積み重なる線状の外形層データに加工し、
前記外形層データに基づき、前記ノズルから外殻壁部造形用材料を吐出させるための外殻壁部用移動経路のデータを作成し、
前記ノズルから内核部造形用材料を吐出させるための内核部用移動経路のデータを作成するに当たり、前記外殻壁部用移動経路の内側に所定の距離だけ補正した位置を、前記内核部用移動経路の全体における外形の位置とする、立体造形物の製造方法に用いられるノズル移動経路のデータ作成方法。
【請求項21】
外殻及び前記外殻内に配置される内核による立体造形物を製造する装置であって、
外殻を形成するための外殻壁部造形用材料を吐出する外殻用ノズルと、
内核を形成するための内核部造形用材料を吐出する内核用ノズルと、
前記外殻用ノズルから吐出される前記外殻壁部造形用材料及び前記内核用ノズルから吐出される前記内核部造形用材料が積層されるステージと、
前記ステージと前記外殻用ノズル及び前記内核用ノズルとを相対移動させる相対移動機構と、
前記外殻用ノズル、前記内核用ノズル及び前記相対移動機構の動作を制御する制御コンピュータと、を備え、
前記制御コンピュータは、前記外殻用ノズルから吐出される前記外殻壁部造形用材料によって前記外殻の一部となる外殻壁部を前記ステージ上に形成するとともに、前記内核用ノズルから、前記外殻壁部に囲まれた内側領域に吐出される前記内核部造形用材料によって前記内核の一部となる内核部を前記ステージ上に形成するよう構成されている、立体造形物の製造装置。
【請求項22】
請求項21に記載の立体造形物の製造装置に用いられる前記外殻用ノズル及び前記内核用ノズルの移動経路のデータを作成するための設計コンピュータのプログラムであって、
前記設計コンピュータに、
造形しようとする前記立体造形物の立体表面データを所定の方向に一定の間隔でスライスしたときに、前記所定の方向に複数に積み重なる線状の外形層データに基づいて、前記内核用ノズルの移動経路のデータを作成するステップと、
前記内核用ノズルの移動経路の外側に所定の距離だけ補正した位置に、前記外殻用ノズルの移動経路のデータを作成するステップと、を実行させる、立体造形物の製造装置に用いられるノズル移動経路のデータ作成プログラム。
【請求項23】
請求項21に記載の立体造形物の製造装置に用いられる前記外殻用ノズル及び前記内核用ノズルの移動経路のデータを作成するための設計コンピュータのプログラムであって、
前記設計コンピュータに、
造形しようとする前記立体造形物の立体表面データを所定の方向に一定の間隔でスライスしたときに、前記所定の方向に複数に積み重なる線状の外形層データに基づいて、前記外殻用ノズルの移動経路のデータを作成するステップと、
前記外殻用ノズルの移動経路の内側に所定の距離だけ補正した位置に、前記内核用ノズルの移動経路のデータを作成するステップと、を実行させる、立体造形物の製造装置に用いられるノズル移動経路のデータ作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからステージ上に吐出される立体造形用材料によって成形する立体造形物の製造方法及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成方法、並びに立体造形物の製造装置及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高機能ゲル、ソフトマテリアル等といった軟質の立体造形物は、人体器官モデル、医療機器パーツ、人工皮膚、人口血管、自動車部品等への応用が期待される新しい有機材料である。
例えば、特許文献1の人体患部実体モデル及びその製造方法においては、患者本人のMRI又はCTスキャンで得た断層データに基づいて光硬化性樹脂硬化体からなる外殻部分を形成するとともに、外殻部分の内部に位置する内部空洞部分に、流動化可能な固体からなる心材部分を充填することが記載されている。この製造方法においては、光造形法によって外殻部分を形成している。光造形法においては、液槽内に貯留された光硬化性樹脂の表面に紫外線レーザーを走査して、この光硬化性樹脂を硬化させ、液槽の表面を段階的に上昇させて、硬化された光硬化性樹脂を複数積層することによって、立体造形物を成形している。
【0003】
また、樹脂製の立体造形物を造形する方法の一つとして、熱溶解積層法が知られている。熱溶解積層法においては、駆動ローラ等の送り部によってフィラメントと呼ばれる長尺状の固形樹脂を、ヒータを備えたノズル部まで送り出し、ノズル部から吐出される溶融した固形樹脂をステージ上に積層して、立体造形物を造形している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−78604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光造形法、熱溶解積層法等によって立体造形物を成形する場合には、造形時に立体造形用材料が流動又は変形をしてしまうことがある。そのため、立体造形物を成形する場合には、造形精度を向上させるために造形速度を低下させるか、造形速度を向上させるために造形精度を低下させるかの選択をする必要が生じ、造形精度及び造形速度の両方を向上させることが困難であった。特に軟質部分を有する立体造形物を造形する場合には、造形時に立体造形用材料が流動又は変形をしやすいことから、造形精度及び造形速度の両方を向上させることが特に困難であった。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、立体造形物の造形精度及び造形速度を向上させることができる立体造形物の製造方法及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成方法、並びに立体造形物の製造装置及びこれに用いられるノズル移動経路のデータ作成プログラムを提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の一態様は、立体造形用材料を、ノズルからステージ上に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、成形する立体造形物の外殻の一部となる外殻壁部を形成する工程と、
立体造形用材料をノズルから前記外殻壁部に囲まれた内側領域に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、前記立体造形物の内核の一部となる内核部を形成する工程と、を含む、立体造形物の製造方法にある。
【0008】
第2発明の一態様は、立体造形物の製造方法に用いられるノズル移動経路のデータを作成する方法であって、
造形しようとする前記立体造形物の立体表面データを、設計又は読取りを行って作成し、
前記立体表面データを、所定の方向に一定の間隔でスライスして、前記所定の方向に複数に積み重なる線状の外形層データに加工し、
前記外形層データに基づき、前記ノズルから内核部造形用材料を吐出させるための内核部用移動経路のデータを作成し、
前記内核部用移動経路の外側に所定の距離だけ補正した位置を、前記ノズルから外殻壁部造形用材料を吐出させるための外殻壁部用移動経路のデータとする、立体造形物の製造方法に用いられるノズル移動経路のデータ作成方法にある。
【0009】
第2発明の他の態様は、立体造形物の製造方法に用いられるノズル移動経路のデータを作成する方法であって、
造形しようとする前記立体造形物の立体表面データを、設計又は読取りを行って作成し、
前記立体表面データを、所定の方向に一定の間隔でスライスして、前記所定の方向に複数に積み重なる線状の外形層データに加工し、
前記外形層データに基づき、前記ノズルから外殻壁部造形用材料を吐出させるための外殻壁部用移動経路のデータを作成し、
前記ノズルから内核部造形用材料を吐出させるための内核部用移動経路のデータを作成するに当たり、前記外殻壁部用移動経路の内側に所定の距離だけ補正した位置を、前記内核部用移動経路の全体における外形の位置とする、立体造形物の製造方法に用いられるノズル移動経路のデータ作成方法にある。
【0010】
第3発明の一態様は、外殻及び前記外殻内に配置される内核による立体造形物を製造する装置であって、
外殻を形成するための外殻壁部造形用材料を吐出する外殻用ノズルと、
内核を形成するための内核部造形用材料を吐出する内核用ノズルと、
前記外殻用ノズルから吐出される前記外殻壁部造形用材料及び前記内核用ノズルから吐出される前記内核部造形用材料が積層されるステージと、
前記ステージと前記外殻用ノズル及び前記内核用ノズルとを相対移動させる相対移動機構と、
前記外殻用ノズル、前記内核用ノズル及び前記相対移動機構の動作を制御する制御コンピュータと、を備え、
前記制御コンピュータは、前記外殻用ノズルから吐出される前記外殻壁部造形用材料によって前記外殻の一部となる外殻壁部を前記ステージ上に形成するとともに、前記内核用ノズルから、前記外殻壁部に囲まれた内側領域に吐出される前記内核部造形用材料によって前記内核の一部となる内核部を前記ステージ上に形成するよう構成されている、立体造形物の製造装置にある。
【0011】
第4発明の一態様は、立体造形物の製造装置に用いられる前記外殻用ノズル及び前記内核用ノズルの移動経路のデータを作成するための設計コンピュータのプログラムであって、
前記設計コンピュータに、
造形しようとする前記立体造形物の立体表面データを所定の方向に一定の間隔でスライスしたときに、前記所定の方向に複数に積み重なる線状の外形層データに基づいて、前記内核用ノズルの移動経路のデータを作成するステップと、
前記内核用ノズルの移動経路の外側に所定の距離だけ補正した位置に、前記外殻用ノズルの移動経路のデータを作成するステップと、を実行させる、立体造形物の製造装置に用いられるノズル移動経路のデータ作成プログラムにある。
【0012】
第4発明の他の態様は、立体造形物の製造装置に用いられる前記外殻用ノズル及び前記内核用ノズルの移動経路のデータを作成するための設計コンピュータのプログラムであって、
前記設計コンピュータに、
造形しようとする前記立体造形物の立体表面データを所定の方向に一定の間隔でスライスしたときに、前記所定の方向に複数に積み重なる線状の外形層データに基づいて、前記外殻用ノズルの移動経路のデータを作成するステップと、
前記外殻用ノズルの移動経路の内側に所定の距離だけ補正した位置に、前記内核用ノズルの移動経路のデータを作成するステップと、を実行させる、立体造形物の製造装置に用いられるノズル移動経路のデータ作成プログラムにある。
【発明の効果】
【0013】
第1発明の一態様としての立体造形物の製造方法においては、ノズルから吐出させる立体造形用材料によって、外殻及び内核を有する立体造形物を成形する。また、この立体造形物は、外殻の一部となる外殻壁部と、外殻壁部に囲まれた内側領域における内核の一部となる内核部とによって成形する。
ここで、外殻壁部は、環形状に形成されていることが好ましい。また、外殻壁部は、必ずしも完全な環形状に形成されていなくても、一部が解放された環形状に形成されていてもよい。
【0014】
外殻壁部及び内核部によって立体造形物を造形することにより、内核部を外殻壁部によって保持することができる。そのため、内核部を形成する際にステージへ吐出された立体造形用材料が流動又は変形をしにくくすることができ、立体造形用材料による内核部の造形精度及び造形速度を向上させることができる。さらに、内核部が軟質の立体造形用材料である場合においても、立体造形用材料による内核部の造形精度及び造形速度を向上させることができる。
【0015】
それ故、前記立体造形物の製造方法によれば、立体造形物の造形精度及び造形速度を向上させることができる。
【0016】
第2発明の一態様としてのノズル移動経路のデータ作成方法によれば、立体造形物の製造方法の実施に適したノズル移動経路を作成することができる。また、外殻壁部用移動経路を内核部用移動経路に基づいて作成することにより、外殻壁部用移動経路の作成を容易にすることができる。
【0017】
第2発明の他の態様としてのノズル移動経路のデータ作成方法によっても、立体造形物の製造方法の実施に適したノズル移動経路を作成することができる。また、内核部用移動経路を外殻壁部用移動経路に基づいて作成することにより、内核部用移動経路の作成を容易にすることができる。
【0018】
第3発明の一態様としての立体造形物の製造装置によれば、立体造形物の製造方法の場合と同様に、立体造形物の造形精度及び造形速度を向上させることができる。
【0019】
第4発明の一態様としてのノズル移動経路のデータ作成プログラムによれば、立体造形物の製造装置の制御コンピュータに適したノズル移動経路のデータ作成プログラムを提供することができる。
【0020】
第4発明の他の態様としてのノズル移動経路のデータ作成プログラムによっても、立体造形物の製造装置の制御コンピュータに適したノズル移動経路のデータ作成プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1にかかる、第1外殻壁部形成工程を行う状態を示す説明図。
図2】実施形態1にかかる、第1外殻壁部形成工程を行った状態を示す説明図。
図3】実施形態1にかかる、第1内核部形成工程を行った状態を示す説明図。
図4】実施形態1にかかる、第2外殻壁部形成工程を行った状態を示す説明図。
図5】実施形態1にかかる、第2内核部形成工程を行った状態を示す説明図。
図6】実施形態1にかかる、外殻除去工程を行った立体造形物を示す説明図。
図7】実施形態1にかかる、立体造形物の製造装置を示す説明図。
図8】実施形態1にかかる、立体造形物の製造装置の要部を示す説明図。
図9】実施形態1にかかる、立体造形物の製造方法を示すフローチャート。
図10a】実施形態1にかかる、立体造形物の他の製造方法を示す図で、第1外殻壁部形成工程及び第1内核部形成工程を行った状態を示す説明図。
図10b】実施形態1にかかる、立体造形物の他の製造方法を示す図で、第2外殻壁部形成工程を複数回行った状態を示す説明図。
図10c】実施形態1にかかる、立体造形物の他の製造方法を示す図で、第2内核部形成工程を行った状態を示す説明図。
図11a】実施形態1にかかる、立体造形物の他の製造方法を示す図で、第1外殻壁部形成工程を行った状態を示す説明図。
図11b】実施形態1にかかる、立体造形物の他の製造方法を示す図で、第2外殻壁部形成工程を複数回行った状態を示す説明図。
図11c】実施形態1にかかる、立体造形物の他の製造方法を示す図で、第1内核部形成工程を行った状態を示す説明図。
図12a】実施形態1にかかる、立体造形物の他の製造方法を示す図で、第1外殻壁部形成工程及び第1内核部形成工程を行った状態を示す説明図。
図12b】実施形態1にかかる、立体造形物の他の製造方法を示す図で、第2外殻壁部形成工程及び第2内核部形成工程を複数回行った状態を示す説明図。
図12c】実施形態1にかかる、立体造形物の他の製造方法を示す図で、第2外殻壁部形成工程及び第2内核部形成工程をさらに複数回行った状態を示す説明図。
図13】実施形態2にかかる、外殻を除去して製造する立体造形物を示す説明図。
図14】実施形態2にかかる、立体造形物の製造方法を示すフローチャート。
図15】実施形態3にかかる、外殻用ノズル及び内核用ノズルとステージとを相対移動させるときの外殻壁部用移動経路及び内核部用移動経路を示す説明図。
図16】実施形態3にかかる、設計コンピュータ内における、立体表面データ及び外形層データと、外形層データに基づく外殻壁部用移動経路及び内核部用移動経路を示す説明図。
図17】実施形態3にかかる、設計コンピュータ内における、外殻壁部用移動経路及び内核部用移動経路を示す説明図。
図18】実施形態3にかかる、設計コンピュータ内における、外殻壁部用移動経路及び他の内核部用移動経路を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
前述した立体造形物の製造方法における好ましい実施の形態について説明する。
立体造形物の製造方法は、立体造形用材料をノズルから前記外殻壁部上に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、前記外殻壁部を更に形成する工程と、立体造形用材料をノズルから前記内核部上に吐出しながら、前記ノズルと前記ステージとを相対移動させて、前記内核部を更に形成する工程と、をさらに含んでいてもよい。
【0023】
立体造形物の製造方法においては、ノズルから吐出させる立体造形用材料によって外殻壁部と内核部とを形成するため、外殻壁部と内核部とを交互に形成することが容易である。従来の光造形法等によると、立体造形物における硬質部分の全体を先に成形した後、この硬質部分の内部に軟質部分を充填している。これに対し、立体造形物の製造方法においては、外殻壁部と内核部とのいずれか一方である硬質部分の一部と、外殻壁部と内核部との他方である軟質部分の一部とを順次繰り返し形成することにより、外殻及び内核を有する立体造形物の造形速度を向上させることができる。
【0024】
なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属する。
【0025】
(実施形態1)
立体造形物1の製造方法においては、図6に示すように、複数段に積層された外殻壁部21からなる外殻2と、複数段に積層された内核部31からなる内核3とを有する立体造形物1を成形する。そして、外殻壁部21を形成する工程(以下、第1外殻壁部形成工程X1という。)、内核部31を形成する工程(以下、第1内核部形成工程Y1という。)、外殻壁部21を更に形成する工程(以下、第2外殻壁部形成工程X2という。)、内核部31を更に形成する工程(以下、第2内核部形成工程Y2という。)を順次行って、立体造形物1を成形する。
【0026】
第1外殻壁部形成工程X1においては、図1図2に示すように、外殻壁部造形用材料20を外殻用ノズル5Aからステージ6上に吐出しながら、外殻用ノズル5Aとステージ6とを相対移動させて、成形する立体造形物1の外殻2の一部となる外殻壁部21を形成する。第1内核部形成工程Y1においては、図3に示すように、内核部造形用材料30を内核用ノズル5Bから外殻壁部21に囲まれた内側領域に吐出しながら、内核用ノズル5Bとステージ6とを相対移動させて、成形する立体造形物1の内核3の一部となる内核部31を形成する。
【0027】
第2外殻壁部形成工程X2においては、図4に示すように、外殻壁部造形用材料20を外殻用ノズル5Aから外殻壁部21上に吐出しながら、外殻用ノズル5Aとステージ6とを相対移動させて、外殻壁部21を更に形成する。第2内核部形成工程Y2においては、図5に示すように、内核部造形用材料30を内核用ノズル5Bから内核部31上に吐出しながら、内核用ノズル5Bとステージ6とを相対移動させて、内核部31を更に形成する。
そして、第2外殻壁部形成工程X2及び第2内核部形成工程Y2を更に繰り返して、図6に示すように、複数段に積層された外殻壁部21による外殻2と、複数段に積層された内核部31による内核3とを有する立体造形物1を成形する。
【0028】
<製造装置>
まず、立体造形物1の製造方法に用いる製造装置10について説明する。
立体造形物1の製造方法においては、図1図8に示すように、外殻用ノズル5A、内核用ノズル5B、ステージ6、相対移動機構7及び制御コンピュータ8を有する製造装置10を用いる。製造装置10は、熱溶解積層成形を行うものである。
外殻用ノズル5Aは、外殻2を形成するための外殻壁部造形用材料20を吐出するものである。内核用ノズル5Bは、内核3を形成するための内核部造形用材料30を吐出するものである。ステージ6は、外殻用ノズル5Aから吐出される外殻壁部造形用材料20及び内核用ノズル5Bから吐出される内核部造形用材料30が積層されるものである。相対移動機構7は、ステージ6と外殻用ノズル5A及び内核用ノズル5Bとを、ステージ6の平面方向X,Yに二次元的に相対移動させるとともに、ステージ6の平面方向に直交する高さ方向Zに相対移動させるものである。制御コンピュータ8は、外殻用ノズル5A、内核用ノズル5B及び相対移動機構7の動作を制御するよう構成されている。
【0029】
図7図8に示すように、外殻用ノズル5Aは、線状の外殻壁部造形用材料20を加熱しながら送り出す外殻用吐出装置(ディスペンサ)50Aに設けられている。内核用ノズル5Bは、線状の内核部造形用材料30を加熱しながら送り出す内核用吐出装置(ディスペンサ)50Bに設けられている。各吐出装置50A,50Bは、流動性を有する各造形用材料20,30を加圧して押し出すものである。なお、各吐出装置50A,50Bは、フィラメント状の各造形用材料20,30を加熱しながら押し出すものとすることもできる。
【0030】
各吐出装置50A,50Bは、スクリューを用いて各造形用材料20,30を押し出すスクリュー式、スクリューを用いて各造形用材料20,30を押し出すピストン式、ポンプを用いて各造形用材料20,30を押し出すポンプ式等の種々の構成とすることもできる。
なお、外殻用ノズル5A及び内核用ノズル5Bには、別々のノズルを用いる以外にも、1つのノズルを共通して用いることもできる。
【0031】
各ノズル5A,5Bには、各造形用材料20,30の吐出及び吐出の停止を制御するために、各ノズル5A,5Bの吐出口を開閉させることが可能な開閉機構(図示略)が設けられている。開閉機構は、各ノズル5A,5Bの吐出口を開閉するピン、バルブ等の開閉部と、開閉部を可動させるアクチュエータとによって構成することができる。制御コンピュータ8は、各ノズル5A,5Bの開閉機構の動作を制御するよう構成されている。
【0032】
各吐出装置50A,50B及び各ノズル5A,5Bは、ヘッド部51に一体的に設けられている。本形態のヘッド部51の位置は固定されており、本形態の相対移動機構7は、ヘッド部51に対してステージ6を相対移動させるよう構成されている。ステージ6は、立体造形物1を形成するための外殻壁部造形用材料20及び内核部造形用材料30が載置されるテーブルである。本形態の相対移動機構7は、ステージ6を、平面方向X,Yとしての水平方向の互いに直交する2方向へ移動させるとともに、ステージ6を、高さ方向Zとしての鉛直方向へ移動させるよう構成されている。相対移動機構7は、ステージ6を3つの方向にそれぞれ移動させる3つのサーボモータを有している。各ノズル5A,5Bとステージ6とは、種々の立体造形物1の三次元形状を形成するよう、三次元的に相対移動することができる。
【0033】
制御コンピュータ8は、外殻用ノズル5Aから吐出される外殻壁部造形用材料20によって外殻2の一部となる外殻壁部21をステージ6上に形成するとともに、内核用ノズル5Bから、外殻壁部21に囲まれた内側領域に吐出される内核部造形用材料30によって内核3の一部となる内核部31をステージ6上に形成するよう構成されている。制御コンピュータ8には、ステージ6に対して外殻用ノズル5Aを相対移動させるための移動経路のデータと、ステージ6に対して内核用ノズル5Bを相対移動させるための移動経路のデータとが設定される。制御コンピュータ8に設定される各移動経路のデータは、成形する立体造形物1の形状に応じて任意に変更することができる。
【0034】
外殻用ノズル5A及び内核用ノズル5Bの2つのノズルを用いることにより、外殻2及び内核3を有する立体造形物1の造形速度を容易に向上させることができる。
実施形態1においては、外殻用ノズル5A及び内核用ノズル5Bの2つのノズルを用いた例について説明する。すなわち、第1外殻壁部形成工程X1及び第2外殻壁部形成工程X2においては外殻用ノズル5Aを用い、第1内核部形成工程Y1及び第2内核部形成工程Y2においては内核用ノズル5Bを用いる。
【0035】
また、相対移動機構7は、各ノズル5A,5Bをステージ6に対して移動させるよう構成してもよい。この場合、各ノズル5A,5Bは、別々に移動させることができ、一体的に移動させることもできる。また、各ノズル5A,5Bは、別々に同じタイミングで同時に移動させることもできる。
【0036】
また、外殻壁部造形用材料20及び内核部造形用材料30は、光硬化性を有するものである。そして、外殻用ノズル5Aから吐出される外殻壁部造形用材料20、及び内核用ノズル5Bから吐出される内核部造形用材料30には、紫外線等の光Hが照射され、これらの造形用材料20,30における重合性モノマーの重合反応が行われるとともに、これらの造形用材料20,30が固化する。立体造形物1の製造装置10は、各造形用材料20,30に紫外線等の光Hを照射するための光照射装置100を有している。光照射装置100は、各吐出装置50A,50B及び各ノズル5A,5Bとともにヘッド部51に一体的に設けられている。
【0037】
<立体造形用材料>
次に、立体造形用材料(外殻壁部造形用材料20及び内核部造形用材料30)について説明する。
外殻壁部21を形成するための外殻壁部造形用材料20、及び内核部31を形成するための内核部造形用材料30は、重合体、重合性モノマー及び溶媒を含有している。また、重合性モノマーは、ラジカル重合性不飽和化合物及びカチオン重合性化合物から選ばれる少なくとも一種を含んでいる。溶媒は、極性溶媒及びイオン液体から選ばれる少なくとも一種である。外殻壁部造形用材料20及び内核部造形用材料30は、重合性モノマーの重合反応を促進するために、光ラジカル発生剤及び光酸発生剤から選ばれる少なくとも一種を含んでいる。
【0038】
<重合体>
立体造形用材料は、重合体及び重合性モノマーから選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。
重合体としては、特に限定されるものではないが、ビニルアルコール系重合体、アクリル系重合体、フッ化ビニリデン系重合体、アクリロニトリル系重合体、多糖類などが挙げられる。前記重合体の中でも、特に、溶媒の質量M1を重合体の質量M2で除したM1/M2として表される含溶媒率に対する強度が高い点で、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール、多糖類を用いることが好ましい。
【0039】
また、前記重合体の中でも、後述する重合性モノマーと重合して架橋する場合には、重合性官能基を有する重合体を用いることが好ましい。重合性官能基を有する重合体としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラジカル重合性官能基を有する重合体、カチオン重合性官能基を有する重合体を挙げることができる。
ここで、ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基等が挙げられるが、光開始重合反応速度の点で好ましいのはアクリロイル基である。
また、カチオン重合性官能基としては、プロペニルエーテル基、ビニルエーテル基、脂環式エポキシ基、グリシジル基、ビニル基、ビニリデン基等が挙げられ、プロペニルエーテル基、ビニルエーテル基、脂環式エポキシ基及びグリシジル基が好ましい。
【0040】
ラジカル重合性官能基を有する重合体としては、イソシアネート基と反応性を有する官能基が導入された重合体を、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸誘導体又はビニル誘導体により変性した重合体等を挙げることができる。
イソシアネート基と反応性を有する重合体としては、イソシアネート基と反応性を有する官能基が導入されているポリマーが好ましい。このような官能基の例としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、メルカプト基等が挙げられる。ポリマーとしては、水酸基を有するポリマー、カルボキシル基を有するポリマー、アミノ基を有するポリマー、アミド基を有するポリマー、メルカプト基を有するポリマー等が挙げられる。
【0041】
水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ビニルアルコール系重合体、多糖類等を挙げることができる。多糖類としては、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、酢酸セルロース、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、あるいは側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、あるいはポリビニルアルコール、デキストラン、アルキルセルロース、アガロース、プルラン、イヌリン、キトサンなどが挙げられる。また、ビニルアルコール系重合体としては、ポリ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
カルボキシル基を有するポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステ及び(メタ)アクリル酸を共重合成分とする共重合体等が挙げられる。
【0043】
アミノ基を有するポリマーとしては、例えば、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリ3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、ポリ3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、キトサン、ジアリルアミン酢酸塩・二酸化イオウ共重合物、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物等が挙げられる。
【0044】
アミド基を有するポリマーとしては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリN,N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合物、ビニルピロリドン/ビニルイミダゾール共重合物、ビニルピロリドン/アクリル酸共重合物、ビニルピロリドン/メタクリル酸共重合物、ビニルピロリドン/3−メチル−1−ビニルイミダゾリウム塩共重合物、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド等が挙げられる。
【0045】
メルカプト基を有するポリマーとしては、例えば、末端にチオール基を有するポリスルフィド等が挙げられる。
【0046】
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸誘導体又はビニル誘導体としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナートを挙げることができる。なお、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸誘導体又はビニル誘導体としては、ブロック化されたイソシアネート基を有するものも挙げられる。このブロック化されたイソシアネート基としては、例えば、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレートを挙げることができる。
【0047】
また、カチオン重合性官能基を有する重合体としては、1分子中に、重合性ビニル基(エチレン性不飽和結合を有する基)と、1個以上のエポキシ基とを有するエポキシ基含有ビニル単量体由来の構造単位を有する重合体を挙げることができる。
エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、α−(メタ)アクリル−ω−グリシジルポリエチレングリコール等のヒドロキシ基非含有(メタ)アクリル酸エステル類、あるいはグリセリンモノ(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類、あるいはビニルベンジルグリシジルエーテル等の芳香族モノビニル化合物、あるいはアリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。
【0048】
これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、エポキシ基含有モノビニル単量体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類、エポキシ基含有芳香族モノビニル化合物が好適であり、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類がより好適であり、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルがさらに好適であり、グリシジル(メタ)アクリレートが特に好適である。
【0049】
また、エポキシ基含有ビニル単量体由来の構造単位を有する重合体は、エポキシ基含有ビニル単量体以外の単量体由来の構造単位を含む共重合体であってもよい。エポキシ基含有ビニル単量体以外の単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類、あるいは(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される、重合体における、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、5千以上20万以下であることが好ましく、1万以上10万以下であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が5千より小さいと、成形して得られる立体造形物の高い強度が得られない場合がある。重量平均分子量(Mw)が20万より大きいと、粘度の増大により成形に困難を伴う場合がある。
【0051】
<重合性モノマー>
次に、重合性モノマーについて説明する。重合性モノマーとしては、特に限定されるものではないが、ラジカル重合性不飽和化合物とカチオン重合性化合物を挙げることができる。
【0052】
<ラジカル重合性不飽和化合物>
ラジカル重合性不飽和化合物としては、ラジカル種により重合を開始し得る重合性不飽和化合物を意味し、例えば、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和化合物、水酸基含有ラジカル重合性不飽和化合物、水酸基含有ラジカル重合性不飽和化合物とラクトン類化合物との反応物、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和化合物等を挙げることができる。
【0053】
カルボキシル基含有不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0054】
また、水酸基含有ラジカル重合性不飽和化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸、メタクリル酸のC2〜C8のヒドロキシアルキルエステル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0055】
また、水酸基含有ラジカル重合性不飽和化合物とラクトン類化合物との反応物としては、水酸基含有ラジカル重合性不飽和化合物と、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウリロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトン等のラクトン類化合物との反応物を挙げることができる。
【0056】
また、(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ポリメタクリル酸メチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0057】
ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができる。
【0058】
また、(メタ)アクリルアミド類としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0059】
アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン、ビニルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン等を挙げることができる。
【0060】
また、ラジカル重合性不飽和化合物として、1分子中に1個のラジカル重合性不飽和結合を有する化合物を例示した。ただし、特にこれに限定されるものではなく、1分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する化合物を用いることもできる。具体的には、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、グリセロールアリロキシジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0061】
<カチオン重合性化合物>
カチオン重合性化合物は、カチオン種により重合を開始し得る重合性化合物を意味し、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0062】
エポキシ化合物としては、脂肪族エポキシ及び脂環式エポキシのいずれも用いることができる。脂肪族エポキシとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。より具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールGジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、ビスフェノールCジグリシジルエーテル、ジブロモメチルフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ブロモメチルフェニルグリシジルエーテル、ブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモメタクレシジルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪族エポキシの市販品としては、例えば共栄社化学株式会社製エポライト100MF(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル)、ナガセケムテックス社製EX−411、EX−313、EX−614B、日油株式会社製エピオールE400などが挙げられる。
【0063】
脂環式エポキシとしては、例えばビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2:8,9ジエポキシリモネン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル、3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂環式エポキシの市販品としては、例えばダイセル化学工業株式会社製CEL2000、CEL3000、CEL2021Pなどが挙げられる。
【0064】
オキセタン化合物は、分子内に4員環エーテル、即ちオキセタン環を有する化合物である。
オキセタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス〔{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン)、3−エチル−3−[{(3−トリエトキシシリル)プロポキシ}メチル]オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
オキセタニルシルセスキオキサンは、オキセタニル基を有するシラン化合物であり、例えば、3−エチル−3−〔{(3−トリエトキシシリル)プロポキシ}メチル〕オキセタンを加水分解縮合させることにより得られる、オキセタニル基を複数有するネットワーク状ポリシロキサン化合物である。
【0065】
ビニル化合物としては、カチオン重合可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスチレン化合物、ビニルエーテル化合物などが挙げられる。これらの中でも、カチオン重合のしやすさの点で、ビニルエーテル化合物が特に好ましい。スチレン化合物とは、スチレン、スチレンの芳香環の水素原子がアルキル基、アルキルオキシ基又はハロゲン原子によって置換された構造の化合物を意味する。スチレン化合物としては、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、α−メチル−p−メトキシスチレン、α−メチル−m−メトキシスチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
ビニルエーテル化合物としては、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、メチルブテニルエーテル、エチルブテニルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
<重合性モノマーの含有量>
立体造形用材料における重合性モノマーの含有量は、1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、5質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以上70質量%以下であることが特に好ましい。重合性モノマーの含有量が1質量%未満であると、十分な柔軟性を有する立体造形物が得られないことがある。重合性モノマーの含有量が95質量%を超えると、十分な機械的強度を有する立体造形物が得られないことがある。
【0068】
重合性モノマーの含有量は、重合体100質量部に対して、10質量部以上10,000質量部以下であることが好ましく、20質量部以上5,000質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上3,000質量部以下であることがさらに好ましく、100質量部以上2,000質量部以下であることが特に好ましい。重合性モノマーの含有量が10質量部未満であると、十分な柔軟性を有する立体造形物が得られないことがある。重合性モノマーの含有量が10,000質量部を超えると、十分な機械的強度を有する立体造形物が得られないことがある。
【0069】
<溶媒>
また、立体造形用材料は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、あるいはテトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、あるいはエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、あるいはトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、あるいはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、あるいは酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)及びトリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)等の非プロトン性極性溶媒、水、イオン性液体が挙げられる。
【0070】
イオン性液体としては、カチオン成分とアニオン成分とから構成され、融点が200℃以下のものが好ましく、100℃以下のものがより好ましく、50℃以下のものがさらに好ましい。また、融点の下限としては、限定されるものではないが、−100℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましい。
カチオン成分としては、具体的には、N−メチルイミダゾリウムカチオン、N−エチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムカチオン及び1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、N−プロピルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオン、1,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン及び1−ブチル−2,4−ジメチルピリジニウムカチオン、トリメチルアンモニウムカチオン、エチルジメチルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
【0071】
また、アニオン成分としては、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、I-等)、カルボン酸アニオン(例えば総炭素数1〜3のC25CO2−、CH3CO2−、HCO2−等)、擬ハロゲン化物イオン(例えば、一価でありハロゲン化物に類似した特性を有するCN-、SCN-、OCN-、ONC-、N3−等)、スルホン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン(メタンスルホン酸アニオン等)、リン酸アニオン(エチルリン酸アニオン、メチルリン酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等)、ホウ酸アニオン(テトラフルオロホウ酸アニオン等)、過塩素酸アニオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオン、カルボン酸アニオンを用いることが好ましい。
【0072】
立体造形用材料に含まれる溶媒としては、前述した化合物のうち、取扱い性、立体造形物の成形性等の観点から、アルキルエーテル類、アルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類、水等の極性溶媒、イオン性液体を用いることが好ましい。
【0073】
立体造形用材料における溶媒の含有量は、立体造形用材料全体に対して、1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、5質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以上80質量%以下であることが特に好ましい。溶媒の含有量が1質量%未満であると、十分な柔軟性を有する立体造形物が得られないことがある。溶媒の含有量が99質量%を超えると、十分な機械的強度を有する立体造形物が得られないことがある。
また、溶媒の含有量は、重合体及び重合性モノマーの合計質量100質量部に対して、1質量部以上10,000質量部以下であることが好ましく、5質量部以上5,000質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上1,000質量部以下であることがさらに好ましく、20質量部以上400質量部以下であることが特に好ましい。溶媒の含有量が1質量部未満であると、十分な柔軟性を有する立体造形物が得られないことがある。溶媒の含有量が10,000質量部を超えると、十分な機械的強度を有する立体造形物が得られないことがある。
【0074】
<光ラジカル発生剤及び光酸発生剤>
また、立体造形用材料としては、ラジカル重合性不飽和化合物やカチオン重合性化合物等の重合性モノマーを含む場合には、強度に優れた立体造形物を得る観点から、光ラジカル発生剤及び光酸発生剤から選ばれる少なくとも一つ以上を含むことが好ましい。なお、光ラジカル発生剤又は光酸発生剤を用いることにより、立体造形用材料に光が照射されたときに、立体造形用材料における重合性モノマーが重合することとなる。
【0075】
光ラジカル発生剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上述の重合性モノマーの重合を開始しうるラジカルを発生する化合物である。
【0076】
このような光ラジカル発生剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ホスフィン系化合物等の公知の化合物を挙げることができる。
【0077】
好ましい光ラジカル発生剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等を挙げることができる。
【0078】
また、前記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン等を挙げることができる。
【0079】
また、前記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0080】
前記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0081】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0082】
また、α−ジケトン系化合物の具体例としては、α−ケトグルタル酸等を挙げることができる。
また、ホスフィン系化合物としてはジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0083】
光ラジカル発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、本発明における光ラジカル発生剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、α‐ジケトン系化合物、ホスフィン系化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0084】
光酸発生剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上述の重合性モノマーの重合を開始しうる酸を発生する化合物である。
このような光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等の公知の化合物を挙げることができる。また、前記光ラジカル発生剤として例示したトリアジン系化合物は、光酸発生剤としても機能する化合物である。
【0085】
好ましい光酸発生剤のうち、オニウム塩化合物としては、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールホスホニウム塩等を挙げることができる。
前記ジアリールヨードニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート等を挙げることができる。
【0086】
前記トリアリールスルホニウム塩の具体例としては、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート等を挙げることができる。
【0087】
前記トリアリールホスホニウム塩の具体例としては、トリフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルホスホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルホスホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルホスホニウム−p−トルエンスルホナート等を挙げることができる。
【0088】
また、前記スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシミド等を挙げることができる。
【0089】
また、前記ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
【0090】
本発明において、光酸発生剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。本発明における光酸発生剤としては、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、特に、オニウム塩化合物を含有することが好ましい。
【0091】
光ラジカル発生剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、通常、重合体及び重合性モノマーの合計質量に対して、0.01質量%以上10重量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上5重量%以下である。
光酸発生剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、通常、重合体及び重合性モノマーの合計質量に対して、0.01質量%以上10重量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上5重量%以下である。
【0092】
<その他の成分>
本発明で用いられる立体造形用材料は、用途に応じた機能を付与する目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、充填剤、可塑剤、安定剤、着色剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、難燃化剤、加硫剤、加硫助剤、防菌・防カビ剤、分散剤、着色防止剤、発泡剤、防錆剤などの添加剤を配合してもよい。
本発明の立体造形物を生体器官模型用に用いる場合には、生体器官模型と近似させるために、立体造形物を所望の色に着色剤で着色することが好ましい。
【0093】
添加剤の含有量は、目的の機能を付与するためにその種類により区々であるが、立体造形用材料の流動性を維持できる含有量であることが望ましい。
【0094】
添加剤の含有量は、立体造形用材料100質量%に対して、0.01質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上40質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。立体造形用材料に対して目的の機能を付与する観点からは、1質量%以上が特に好ましく、流動性を保ち、立体造形用材料の成形性を維持するという観点からは、30質量%以下が特に好ましい。
【0095】
<立体造形用材料の物性>
また、ノズルから吐出する際の立体造形用材料の粘度は、特に限定されるものではないが、1000Poise以下であることが好ましく、100Poise以下であることがより好ましい。
【0096】
図1図5に示すように、外殻壁部造形用材料20と内核部造形用材料30としては、重合体及び重合性モノマーの含有比率は互いに異なるものを用いることができる。そして、外殻壁部造形用材料20による外殻壁部21が固化して形成される外殻2の硬度は、内核部造形用材料30による内核部31が固化して形成される内核3の硬度よりも高くすることができる。外殻2の硬度を内核3の硬度よりも高くするためには、例えば、外殻壁部造形用材料20の全体における重合体及び重合性モノマーの含有量を、内核部造形用材料30の全体における重合体及び重合性モノマーの含有量よりも多くすることができる。また、外殻2の硬度を内核3の硬度よりも高くするためには、外殻壁部造形用材料20の全体における溶媒の含有量を、内核部造形用材料30の全体における溶媒の含有量よりも少なくすることができる。
【0097】
<立体造形物の製造方法>
次に、立体造形物1の製造方法について、図1図8を参照して詳説する。
本形態の製造装置10における外殻用ノズル5A及び内核用ノズル5Bの位置は固定されており、各ノズル5A,5Bに対してステージ6を平面方向X,Yに移動させて、ステージ6上に1層分の外殻壁部21及び内核部31の平面形状を形成し、さらにステージ6を高さ方向Zに1層分下降させて、ステージ6上に他の1層分の外殻壁部21及び内核部31の平面形状を形成して、外殻2及び内核3を形成していく。
本形態においては、説明を簡単にするため、四角柱の形状を有する立体造形物1を形成する。これ以外にも、立体造形物1の形状は、外殻2の内側領域に内核3を有する種々の形状とすることができる。
【0098】
まず、図1図9のステップS1に示すように、第1外殻壁部形成工程X1として、硬質の外殻壁部造形用材料20を外殻用ノズル5Aからステージ6上に吐出しながら、外殻用ノズル5Aに対してステージ6を平面的に移動させて、成形する立体造形物1の外殻2の一部であって底部分211となる第1層目の外殻壁部21Aを形成する。また、外殻用ノズル5Aから吐出させる外殻壁部造形用材料20には光照射装置100から光Hを照射し、この外殻壁部造形用材料20を固化させる。なお、光照射装置100による光Hの照射は、外殻用ノズル5Aから吐出された外殻壁部造形用材料20及び内核用ノズル5Bから吐出された内核部造形用材料30の全体に対して、立体造形物1が成形される間継続される。
【0099】
また、図2に示すように、第1層目の外殻壁部21Aを形成した後には、引き続き、外殻壁部造形用材料20を外殻用ノズル5Aから吐出しながら、外殻用ノズル5Aに対してステージ6を平面的に移動させる。そして、第1層目の外殻壁部21Aの上における外縁の全周に外殻壁部造形用材料20による第2層目の外殻壁部21Bが形成され、光照射装置100からの光Hの照射を受けて、この外殻壁部造形用材料20も固化する。
【0100】
次いで、図3図9のステップS2に示すように、第1内核部形成工程Y1として、軟質の内核部造形用材料30を内核用ノズル5Bから第2層目の外殻壁部21Bに囲まれた内側領域に吐出しながら、内核用ノズル5Bに対してステージ6を平面的に移動させる。このとき、内核部造形用材料30は、第2層目の外殻壁部21Bに囲まれた内側領域の全体を埋めるように吐出される。そして、第2層目の外殻壁部21Bの内側領域に、内核部造形用材料30による第1層目の内核部31Aが形成され、光照射装置100からの光Hの照射を受けて、この内核部造形用材料30も固化する。
【0101】
次いで、図4図9のステップS3に示すように、第2外殻壁部形成工程X2として、外殻壁部造形用材料20を外殻用ノズル5Aから第2層目の外殻壁部21B上に吐出しながら、外殻用ノズル5Aに対してステージ6を平面的に移動させる。そして、第2層目の外殻壁部21Bの上に外殻壁部造形用材料20による第3層目の外殻壁部21Cが形成され、光照射装置100からの光Hの照射を受けて、この外殻壁部造形用材料20も固化する。
【0102】
次いで、図5図9のステップS4に示すように、第2内核部形成工程Y2として、内核部造形用材料30を内核用ノズル5Bから第3層目の外殻壁部21Cに囲まれた内側領域に吐出しながら、内核用ノズル5Bに対してステージ6を平面的に移動させる。このとき、内核部造形用材料30は、第3層目の外殻壁部21Cに囲まれた内側領域の全体を埋めるように吐出される。そして、第3層目の外殻壁部21Cの内側領域に、内核部立体造形用材料30による第2層目の内核部31Bが形成され、光照射装置100からの光Hの照射を受けて、この内核部造形用材料30も固化する。
【0103】
以降同様にして、図9のステップS5に示すように、立体造形物1の高さに応じた回数で、第2外殻壁部形成工程X2及び第2内核部形成工程Y2が繰り返し行われ、複数段に積層された外殻壁部21による外殻2と、複数段に積層された内核部31による内核3とを有する立体造形物1が成形される。
【0104】
また、本形態においては、図6図9のステップS6に示すように、外殻2及び内核3を有する立体造形物1を成形し、外殻2及び内核3の全体が固化した後には、立体造形物1における外殻2を除去する工程を行う。図6においては、除去する外殻2を二点鎖線で示す。この外殻2の除去は、剥離させる方法、削る方法等の種々の方法によって行うことができる。そして、最終的な製品としての立体造形物1は、内核部造形用材料30から成形された内核3のみによって構成される。
また、特に、最終的な製品としての立体造形物1が外殻2及び内核3を有する場合には、最後の外殻壁部21を形成する工程において、天井部分となる外殻壁部21を形成して、内核3の全体が外殻2に包まれるようにすることができる。
【0105】
なお、本形態においては、第2外殻壁部形成工程X2及び第2内核部形成工程Y2を順次、繰り返し行う場合について示した。これ以外にも、例えば、図10(a)に示すように、第1外殻壁部形成工程X1及び第1内核部形成工程Y1を行い、図10(b)に示すように、第2外殻壁部形成工程X2を複数回繰り返した後には、図10(c)に示すように、第2内核部形成工程Y2を1回だけ行うこともできる。この場合には、複数段に積層された外殻壁部21による外殻2と、内核部31による内核3とを有する立体造形物1を成形することができる。
【0106】
また、前記以外にも、例えば、図11(a)に示すように、第1外殻壁部形成工程X1を行い、図11(b)に示すように、第2外殻壁部形成工程X2を複数回繰り返した後には、図11(c)に示すように、第1内核部形成工程Y1を行い、複数段に積層された外殻壁部21に囲まれた内側領域の全体に、内核部31を形成することもできる。この場合、内核部31は、外殻壁部21と同じ高さに形成するだけでなく(図11(c)において、二点鎖線によって示す。)、外殻壁部21の1段分の高さの範囲内で外殻壁部21よりも低く形成することができる。
【0107】
図11(c)に示すように、内核部31の形成高さ(内核部31の上面位置312)を外殻壁部21の形成高さ(外殻壁部21の上面位置212)よりも低くすることにより、特に、成形した立体造形物1から外殻2を除去することが容易になる。この内核部31の形成高さを外殻壁部21の形成高さよりも低くする工夫は、前述した本形態においても同様に採用することができる。
【0108】
また、例えば、図12(a)に示すように、第1外殻壁部形成工程X1及び第1内核部形成工程Y1を行った後には、図12(b)、図12(c)に示すように、第2外殻壁部形成工程X2と第2内核部形成工程Y2とを複数回ずつ交互に行うこともできる。この場合、内核部31の形成高さが、外殻壁部21の形成高さよりも少しずつ低くなるように、内核部31を順次積層することができる。
【0109】
得られる立体造形物1は、柔軟性及び機械的強度に優れ、医療シミュレーションに用いられる人間や動物の生体器官模型、マウス吸入パットや関節固定器具といった医療機器部品、人工関節等の生体材料、細胞培養シート、ソフトコンタクトレンズ、ドラッグデリバリーシステムや創傷被覆材等の医療材料、部屋や自動車の内装用の柔軟部品、各種衝撃吸収・制振材料等として好適に用いることができる。
【0110】
なお、立体造形物1の硬度は、特に限定されるものではなく、例えば、硬度(Duro−00)は、0以上100以下であってもよい。なお、この硬度は、下記の実施例に示す測定方法で測定されるものである。
また、立体造形物1の破断強度は、特に限定されるものではなく、例えば、0.01MPa以上20.0MPa以下であってもよい。なお、この破断強度は、下記の実施例に示す測定方法で測定されるものである。
また、立体造形物1の破断伸びは、特に限定されるものではなく、例えば、10%以上2,000%以下であってもよい。なお、この破断伸びは、下記の実施例に示す測定方法で測定されるものである。
また、立体造形物1の引張弾性率は、特に限定されるものではなく、例えば、0.01N/m2以上10N/m2以下であってもよい。なお、この引張弾性率は、下記の実施例に示す測定方法で測定されるものである。
【0111】
<立体造形物の製造方法による作用効果>
次に、立体造形物1の製造方法による作用効果について説明する。
立体造形物1の製造方法において、各内核部形成工程Y1,Y2を行う際には、内核用ノズル5Bからステージ6へ吐出された内核部造形用材料30を、外殻壁部造形用材料20から形成された外殻壁部21によって保持することができる。そのため、ステージ6へ吐出された内核部造形用材料30が流動又は変形しにくくすることができ、内核部造形用材料30による内核3の造形精度及び造形速度を向上させることができる。
【0112】
また、外殻用ノズル5Aから吐出させる外殻壁部造形用材料20によって外殻壁部21を形成し、内核用ノズル5Bから吐出させる内核部造形用材料30によって内核部31を形成するため、外殻壁部21と内核部31とを交互に形成することが容易である。そして、外殻壁部21と内核部31とを順次繰り返し形成することにより、外殻2及び内核3を有する立体造形物1の造形速度を向上させることができる。
【0113】
また、本形態においては、外殻2及び内核3を有する立体造形物1を一旦成形した後、外殻2は不要な部分として除去する。これにより、内核部造形用材料30として軟質材料を用いる場合においては、材料が柔らかくて成形が困難な立体造形物1であっても、これを容易に成形することができる。
それ故、本形態の立体造形物1の製造方法によれば、立体造形物1が軟質部分を有する場合においても造形精度及び造形速度を向上させることができる。
【0114】
(実施形態2)
本形態においては、図13に示すように、複数段に積層された外殻壁部21からなる外殻2と、複数段に積層された芯材部41からなる芯材4と、複数段に積層された内核部31からなる内核3とを有する立体造形物1を成形する。芯材4は、内核3に埋め込まれる骨部分であり、本形態においては、複数の芯材部41の積層方向Lに開口する格子状に形成される。芯材4は、格子状とする以外にも、複数の芯材部41の積層方向Lに開口を有するハニカム状、又は種々の多角形状とすることもできる。
【0115】
芯材部41を形成する工程は、外殻壁部21を形成する工程の後であって内核部31を形成する工程の前に行う。本形態の製造装置10は、芯材部造形用材料40を吐出する芯材用ノズル5Cを有している。
そして、図14のフローチャートに示すように、実施形態1に示した第1外殻壁部形成工程X1(ステップS11)の後であって第1内核部形成工程Y1(S13)の前には、第1芯材部形成工程Z1(S12)を行い、芯材部造形用材料40を芯材用ノズル5Cから第1層目の外殻壁部21Aによる底部分211上に吐出しながら、芯材用ノズル5Cに対してステージ6を平面的に相対移動させる。そして、第1層目の外殻壁部21Aの底部分211の上に、芯材部造形用材料40による第1層目の芯材部41が形成され、光照射装置100からの光Hの照射を受けて、この芯材部造形用材料40が固化する。
【0116】
また、実施形態1に示した第2外殻壁部形成工程X2(S14)の後であって第2内核部形成工程Y2(S16)の前には、第2芯材部形成工程Z2(S15)として、芯材部造形用材料40を芯材用ノズル5Cから芯材部41上に吐出しながら、芯材用ノズル5Cに対してステージ6を平面的に相対移動させる。そして、第1層目の芯材部41の上に、芯材部造形用材料40による第2層目の芯材部41が形成され、光照射装置100からの光Hの照射を受けて、この芯材部造形用材料40が固化する。
【0117】
以降同様にして、図14のステップS17に示すように、立体造形物1の高さに応じた回数で、第2外殻壁部形成工程X2、第2芯材部形成工程Z2及び第2内核部形成工程Y2が繰り返し行われ、複数段に積層された外殻壁部21による外殻2と、複数段に積層された芯材部41による芯材4と、複数段に積層された内核部31による内核3とを有する立体造形物1が成形される。
【0118】
また、本形態においては、図14のステップS18に示すように、外殻2、芯材4及び内核3を有する立体造形物1を成形し、外殻2、芯材4及び内核3の全体が固化した後には、立体造形物1における外殻2を除去する工程を行う。そして、最終的な製品としての立体造形物1は、内核部造形用材料30から成形された内核3と、芯材部造形用材料40から成形されて内核3に埋め込まれた芯材4とによって構成される。
【0119】
本形態においては、芯材4を成形する芯材部造形用材料40の組成と、外殻2を成形する外殻壁部造形用材料20の組成とを異ならせている。芯材4を成形する芯材部造形用材料40は、外殻2を成形する外殻壁部造形用材料20よりも軟質又は硬質のいずれにすることもできる。また、芯材部41が固化して形成される芯材4の硬度は、内核部31が固化して形成される内核3の硬度よりも高い。
また、芯材4を成形する芯材部造形用材料40の組成と、外殻2を成形する立体造形用材料20の組成とを同じにする場合には、各芯材部形成工程Z1,Z2においては、芯材用ノズル5Cを用いずに、外殻用ノズル5Aによって芯材4を成形するための芯材部造形用材料40を吐出させることができる。
【0120】
立体造形物1の製造方法において、各内核部形成工程Y1,Y2を行う際には、内核用ノズル5Bからステージ6へ吐出された内核部造形用材料30を、外殻壁部造形用材料20及び芯材部造形用材料40から形成された外殻壁部21及び芯材部41によって保持することができる。そのため、ステージ6へ吐出された内核部造形用材料30が流動又は変形をしにくくすることができ、内核部造形用材料30による内核3の造形精度及び造形速度を向上させることができる。
また、外殻壁部21と芯材部41と内核部31とを順次繰り返し形成することにより、外殻2、芯材4及び内核3を有する立体造形物1の造形速度を向上させることができる。
【0121】
また、本形態においては、外殻2、芯材4及び内核3を有する立体造形物1を一旦成形した後、外殻2は不要な部分として除去する。そして、最終的な製品としての立体造形物1においては、内核部造形用材料30からなる内核3の輪郭形状を、芯材部造形用材料40からなる芯材4によって保持することができる。これにより、内核部造形用材料30による内核3が軟質材料であることによって立体造形物1が柔らかくなり過ぎる場合には、硬質の芯材4によって、この立体造形物1に適度な硬度を与えることができる。
【0122】
本形態の立体造形物1の製造方法によれば、内核部造形用材料30及び芯材部造形用材料40から成形される立体造形物1の造形精度及び造形速度を向上させることができる。また、本形態においても、その他の構成及び図中の符号が示す構成要素は実施形態1と同様であり、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0123】
(実施形態3)
本形態は、実施形態1,2に示した立体造形物1の製造方法及び製造装置10において、ステージ6に対して外殻用ノズル5A及び内核用ノズル5Bを相対移動させる際に用いられるノズル移動経路のデータ作成方法及びデータ作成プログラムについて示す。ノズル移動経路のデータは、図7に示すように、設計コンピュータ80において作成された後、制御コンピュータ8に送信され、制御コンピュータ8によって立体造形物1が造形される際に利用される。
【0124】
図15に示すように、ノズル移動経路のデータは、制御コンピュータ8に設定されるものであり、具体的には、ステージ6に対する外殻用ノズル5A及び内核用ノズル5Bを相対移動させるときの移動経路のデータとして作成される。この移動経路のデータは、設計コンピュータ80において、制御コンピュータ8によって使用される制御コード(Gコード)として作成される。また、本形態のノズル移動経路のデータは、ステージ6に対して外殻用ノズル5Aを相対移動させるときに用いられる外殻壁部用移動経路K1のデータと、ステージ6に対して内核用ノズル5Bを相対移動させるときに用いられる内核部用移動経路K2のデータとして作成される。なお、外殻壁部用移動経路K1のデータは、外殻用ノズル5Aの移動経路のデータを示し、内核部用移動経路K2のデータは、内核用ノズル5Bの移動経路のデータを示す。
【0125】
図16に示すように、ノズル移動経路のデータを作成するに当たっては、まず、造形しようとする立体造形物1の立体表面データD1を、設計又は読取りを行って作成する。樹脂等の種々の立体造形用材料によって形成する立体造形物1の立体形状は、例えば、設計コンピュータ80内において人工的に設計を行った立体形状とすることができる。また、立体造形物1の立体形状は、生体等の自然物又は種々のマスターモデルの立体形状を、カメラ、スキャナ等によって設計コンピュータ80に読取りを行ったものとすることもできる。
【0126】
次いで、立体表面データD1を、設計コンピュータ80における3D−CADの、スライサー等と呼ばれるソフトウェアに読み込み、ソフトウェアにおいて立体表面データD1を加工する。具体的には、ソフトウェアにおいて、立体表面データD1を、高さ方向Zに一定の間隔でスライスして、高さ方向Zに複数に積み重なる線状の外形層データD2に加工する。ここで、高さ方向Zとは、外殻壁部造形用材料20及び内核部造形用材料30をステージ6上に積層する方向のことをいう。外形層データD2は、立体表面データD1が高さ方向Zに複数に切断されたときの各切断面における二次元形状のデータである。
【0127】
本形態の外形層データD2は、所定の方向としての高さ方向Zに積み重なるものである。外形層データD2が積み重なる所定の方向は、高さ方向Zに傾斜する方向とすることもできる。
【0128】
次いで、図17に示すように、外形層データD2に基づき、内核用ノズル5Bから内核部造形用材料30を吐出させるための内核部用移動経路K2のデータを作成する。内核部用移動経路K2のデータは、内核部31を形成する際に、内核用ノズル5Bをステージ6に対して相対移動させるためのものである。このとき、内核用ノズル5Bから吐出される内核部造形用材料30の直径又は断面外形を考慮して、形成する内核部31の外形位置が、外形層データD2が示す位置になるようにする。内核部造形用材料30は、必ずしも内核用ノズル5Bから断面円形状に吐出される必要はなく、種々の断面形状に吐出されてもよい。外殻壁部造形用材料20についても同様である。
【0129】
作成された内核部用移動経路K2のデータは、制御コンピュータ8における制御コードの位置制御用のデータとして用いられる。内核部用移動経路K2のデータは、制御コンピュータ8によって内核用ノズル5B及び相対移動機構7の動作を制御する際に、ステージ6に対して相対移動する内核用ノズル5Bから内核部造形用材料30を吐出させる位置を決定するデータとなる。また、内核部用移動経路K2のデータは、複数の外形層データD2のそれぞれに対応して複数作成される。
【0130】
次いで、図17に示すように、内核部用移動経路K2のデータを利用して、外殻用ノズル5Aから外殻壁部造形用材料20を吐出させるための外殻壁部用移動経路K1のデータを作成する。外殻壁部用移動経路K1のデータは、外殻壁部21を形成する際に、外殻用ノズル5Aをステージ6に対して相対移動させるためのものである。具体的には、外殻壁部用移動経路K1は、内核部用移動経路K2の外側に所定の距離だけ補正した位置として作成する。外側とは、内核部用移動経路K2の中心側を示す内側とは反対側のことをいう。外殻壁部用移動経路K1を内核部用移動経路K2の外側に補正する所定の距離は、外殻用ノズル5Aから吐出される外殻壁部造形用材料20の直径又は断面外形を考慮し、外殻壁部21と内核部31の外形部とが隣接するように決定する。なお、内核部用移動経路K2の外側に補正する距離は、内核部31を形成する各場所に応じて適宜、異なる値とすることもできる。
【0131】
作成された外殻壁部用移動経路K1のデータは、制御コンピュータ8における制御コードの位置制御用のデータとして用いられる。外殻壁部用移動経路K1のデータは、制御コンピュータ8によって外殻用ノズル5A及び相対移動機構7の動作を制御する際に、ステージ6に対して相対移動する外殻用ノズル5Aから外殻壁部造形用材料20を吐出させる位置を決定するデータとなる。また、外殻壁部用移動経路K1のデータは、複数の外形層データD2のそれぞれに対応して複数作成される。
【0132】
このようにして、制御コンピュータ8によって使用される内核部用移動経路K2及び外殻壁部用移動経路K1の各データを含む制御コードが構築される。この制御コードは、内核部用移動経路K2及び外殻壁部用移動経路K1の各位置のデータを含むものであればよく、外殻壁部21と内核部31とを形成する順序は、造形する立体造形物1に応じて適宜決定することができる。
本形態においては、外殻壁部用移動経路K1を内核部用移動経路K2に基づいて作成しており、外殻壁部用移動経路K1の作成を容易にすることができる。
【0133】
内核部用移動経路K2及び外殻壁部用移動経路K1の各データは、設計コンピュータ80において、ソフトウェアとして動作するデータ作成プログラムによって自動的に作成することもできる。この場合、設計コンピュータ80において動作するデータ作成プログラムは、内核用ノズル5Bの内核部用移動経路K2のデータを作成するステップと、外殻用ノズル5Aの外殻壁部用移動経路K1のデータを作成するステップとを実行する。外殻用ノズル5Aの外殻壁部用移動経路K1のデータの作成は、データ作成プログラムに設けられた位置の補正機能を利用して行うことができる。
また、本形態においても、その他の構成及び図中の符号が示す構成要素は実施形態1と同様であり、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0134】
本形態の立体造形物1における外殻2を形成する厚みは、外殻用ノズル5Aから吐出される外殻壁部造形用材料20の1層分の厚みとする。ただし、外殻2を形成する厚みは、外殻用ノズル5Aから吐出される外殻壁部造形用材料20の2層分以上の厚みとすることもできる。この場合には、外殻壁部造形用材料20は、ステージ6の平面方向X,Yに2層分以上重なるように外殻用ノズル5Aから吐出される。
【0135】
本形態の内核3は、立体造形物1の内部を充満するように中実状に形成される。また、内核3は、立体造形物1の内部に空洞を形成するように中空状に形成することもできる。内核用ノズル5Bによる内核部用移動経路K2は、外殻壁部用移動経路K1の内側に隣接する外形位置経路K20が決まっていれば、どのようなパターンにすることもできる。例えば、図17に示すように、内核部用移動経路K2は、外殻壁部用移動経路K1の内側に隣接する外形位置経路K20の全体が連続して含まれる状態で形成することができる。また、図18に示すように、内核部用移動経路K2は、外殻壁部用移動経路K1の内側に隣接する外形位置経路K20が断続して含まれる状態で形成することもできる。
内核部用移動経路K2の作成においては、外形層データD2に基づいて外形位置経路K20が決定されればよく、外形位置経路K20を除く内核部用移動経路K2の部分は、任意に決定することができる。
【0136】
(実施形態4)
本形態も、実施形態1,2に示した立体造形物1の製造方法及び製造装置10において、ステージ6に対して外殻用ノズル5A及び内核用ノズル5Bを相対移動させる際に用いられるノズル移動経路のデータ作成方法及びデータ作成プログラムについて示す。本形態のノズル移動経路のデータ作成方法及びデータ作成プログラムは、実施形態3に示した場合と比較して、外殻壁部用移動経路K1と内核部用移動経路K2とを作成する順序が異なるものである。
【0137】
本形態においても、立体造形物1の立体表面データD1の作成及び線状の外形層データD2の加工については、実施形態3と同様である。
本形態においては、外形層データD2に基づき、外殻壁部21を形成する際にステージ6に対して相対移動する外殻用ノズル5Aから外殻壁部造形用材料20を吐出させるための外殻壁部用移動経路K1のデータを作成する。作成された外殻壁部用移動経路K1のデータは、制御コンピュータ8における制御コードの位置制御用のデータとして用いられる。また、外殻壁部用移動経路K1のデータは、複数の外形層データD2のそれぞれに対応して複数作成される。
【0138】
次いで、外殻壁部用移動経路K1のデータに基づいて、内核部用移動経路K2のデータを作成する。このとき、外殻壁部用移動経路K1の内側に所定の距離だけ補正した位置を、内核部用移動経路K2の全体における外形の位置としての外形位置経路K20とする。内側とは、環状に形成される外殻壁部用移動経路K1の環状の中心側としての内側のことをいう。内核部用移動経路K2を外殻壁部用移動経路K1の内側に補正する所定の距離は、内核用ノズル5Bから吐出される内核部造形用材料30の直径又は断面外形を考慮し、外殻壁部21と内核部31の外形部とが隣接するように決定する。なお、外殻壁部用移動経路K1の内側に補正する距離は、外殻壁部21を形成する各場所に応じて適宜、異なる値とすることもできる。
【0139】
作成された内核部用移動経路K2のデータは、制御コンピュータ8における制御コードの位置制御用のデータとして用いられる。また、内核部用移動経路K2のデータは、複数の外形層データD2のそれぞれに対応して複数作成される。
本形態においては、内核部用移動経路K2を外殻壁部用移動経路K1に基づいて作成しており、内核部用移動経路K2の作成を容易にすることができる。
【0140】
外殻壁部用移動経路K1及び内核部用移動経路K2の各データは、設計コンピュータ80において、ソフトウェアとして動作するデータ作成プログラムによって自動的に作成することもできる。この場合、設計コンピュータ80において動作するデータ作成プログラムは、外殻用ノズル5Aの外殻壁部用移動経路K1のデータを作成するステップと、内核用ノズル5Bの内核部用移動経路K2のデータを作成するステップとを実行する。内核用ノズル5Bの内核部用移動経路K2のデータの作成は、データ作成プログラムに設けられた位置の補正機能を利用して行うことができる。
また、本形態においても、その他の構成及び図中の符号が示す構成要素は実施形態3と同様であり、実施形態3と同様の作用効果を得ることができる。
【実施例】
【0141】
以下、本発明の立体造形物1の製造方法を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0142】
外殻2を構成するための外殻壁部造形用材料20は、ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー20gをテトラエチレングリコールジアクリレート100gに溶解させ、これに、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン1gをさらに溶解させることによって得た。
内核3を構成するための内核部造形用材料30は、次のようにして得た。まず、N,N−ジメチルアクリルアミド77gに、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース、HPC、水中20g/L・25℃における粘度:150〜400mPa・s)4.284gを加え、セルロース誘導体が溶解するまで撹拌する。次いで、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナートを、セルロース誘導体の構成単位モノマーであるピラノース環1モルに対し、0.3モル量を加え、60℃の温度で1時間撹拌する。次いで、純水140mLを加え、さらに光ラジカル開始剤であるα−ケトグルタル酸0.22gを加えて攪拌することによって、内核部造形用材料30を得た。
【0143】
実施形態1において説明した製造方法によって、外殻壁部造形用材料20を外殻用ノズル5Aから吐出させて外殻壁部21を形成するとともに、内核部造形用材料30を内核用ノズル5Bから吐出させて内核部31を形成して、外殻2及び内核3を有する立体造形物1を成形した。そして、この立体造形物1から外殻2を除去し、内核部造形用材料30による内核3のみからなる立体造形物1を得た。
【0144】
また、得られた立体造形物1の評価を下記の通り行った。
(硬度測定)
ASTM D 2240規格に準拠し、成形した立体造形物1のサンプル片をテクロック社製デュロメータ(Duro−00タイプ)で測定した結果、硬度は20であった。
(強度測定)
JIS K625規格に準拠し、成形した立体造形物1のサンプル片をダンベル形状(6号サイズ)に打ち抜いた後、島津製作所製材料強度試験機(EZ Graph)を用いて引張強度試験を実施した結果、破断強度が0.23MPa、破断伸びが300%、引張弾性率が0.06N/m2であった。
【0145】
[比較例]
外殻壁部造形用材料20を使用せず、内核部造形用材料30のみを内核用ノズル5Bから吐出させて内核部31を形成して、内核3を有する立体造形物を成形した。しかし、この立体造形物は、柔らかくて形状が不安定であり、きれいに造形することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明の立体造形物1の製造方法により得られる立体造形物1は、柔軟性及び機械的強度に優れ、医療シミュレーションに用いられる人間や動物の生体器官模型や生体組織模型、マウス吸入パットや関節固定器具といった医療機器部品、人工関節等の生体材料、細胞培養シート、ソフトコンタクトレンズ、ドラッグデリバリーシステムや創傷被覆材等の医療材料、部屋や自動車の内装用の柔軟部品、各種衝撃吸収・制振材料等の種々の分野での利用が期待できる。生体器官模型としては、胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓等の消化器官、心臓、血管等の循環器官、前立腺等の生殖器官、腎臓等の泌尿器官等の模型を挙げることができ、生体組織模型としては、これらの生体器官を構成する生体組織の模型が挙げられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図12c
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】