再表2017-47286IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年3月23日
【発行日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20171117BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
   H01L29/78 652D
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 653C
   H01L29/78 652S
   H01L29/78 652F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2017-539774(P2017-539774)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-183480(P2015-183480)
(32)【優先日】2015年9月16日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】星 保幸
(72)【発明者】
【氏名】大月 正人
(72)【発明者】
【氏名】山田 昭治
(72)【発明者】
【氏名】椎木 崇
(57)【要約】
ドレイン領域であるn+型SiC基板(1)のおもて面に、n-型ドリフト層(2)、p型ベース層(3)およびn+型ソース層(4)が順にエピタキシャル成長されている。n+型ソース層(4)の内部に、p+型コンタクト領域(5)が選択的に設けられている。n+型ソース層(4)およびp型ベース層(3)を深さ方向(z)に貫通してn-型ドリフト層(2)に達するトレンチ(6)が設けられ、トレンチ(6)の内部には、ゲート絶縁膜(7)を介してゲート電極(8)が設けられている。隣り合うトレンチ(6)間の幅(w1)は例えば1μm以下であり、トレンチ(6)の深さ(d)は例えば1μm以下である。幅(w1)が狭いことでp型ベース層(3)のほぼ全体にチャネルが形成される。セル(10)は、1つのチャネルを両側面からMOSゲート(9)で挟み込むFinFETの構造を備える。このようにすることで、オン抵抗を低減させることができ、かつ信頼性の低下を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンよりもバンドギャップの広いワイドバンドギャップ半導体からなる第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板よりも不純物濃度の低いワイドバンドギャップ半導体からなる第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に設けられたワイドバンドギャップ半導体からなる第2導電型の第2半導体層と、
前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に設けられたワイドバンドギャップ半導体からなる第1導電型の第3半導体層と、
前記第3半導体層の内部に選択的に設けられ、前記第3半導体層を深さ方向に貫通して前記第2半導体層に達する、前記第2半導体層よりも不純物濃度の高い第2導電型半導体領域と、
前記第3半導体層および前記第2半導体層を貫通して前記第1半導体層に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記第3半導体層および前記第2導電型半導体領域に接する第1電極と、
前記半導体基板の裏面に接する第2電極と、
を備え、
隣り合う前記トレンチ間の幅、および、前記トレンチの深さは、シリコンの材料限界で所定の電流能力を達成する最小寸法未満であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
隣り合う前記トレンチ間の幅は1μm以下であり、
前記トレンチの深さは1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板のおもて面に平行にストライプ状に前記トレンチを配置した平面レイアウトを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板のおもて面に平行に格子状に前記トレンチを配置した平面レイアウトを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3半導体層および前記第2導電型半導体領域の、前記半導体基板側に対して反対側の表面から所定深さで設けられた溝をさらに備え、
前記第1電極は、前記溝の内壁で前記第3半導体層および前記第2導電型半導体領域に接することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置
【背景技術】
【0002】
従来、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置の構成材料として、シリコン(Si)が用いられている。パワー半導体装置は、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)など複数種類あり、これらは用途に合わせて使い分けられている。
【0003】
例えば、バイポーラトランジスタやIGBTは、MOSFETに比べて電流密度は高く大電流化が可能であるが、高速にスイッチングさせることができない。具体的には、バイポーラトランジスタは数kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界であり、IGBTは数十kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界である。一方、パワーMOSFETは、バイポーラトランジスタやIGBTに比べて電流密度が低く大電流化が難しいが、数MHz程度までの高速スイッチング動作が可能である。
【0004】
市場では大電流と高速性とを兼ね備えたパワー半導体装置への要求が強く、IGBTやパワーMOSFETはその改良に力が注がれ、現在ではほぼ材料限界に近いところまで開発が進んでいる。パワー半導体装置の観点からシリコンに代わる半導体材料が検討されており、低オン電圧、高速特性、高温特性に優れた次世代のパワー半導体装置を作製(製造)可能な半導体材料として炭化珪素(SiC)が注目を集めている(例えば、下記非特許文献1参照)。
【0005】
炭化珪素は、化学的に非常に安定した半導体材料であり、バンドギャップが3eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用することができる。また、炭化珪素は、最大電界強度もシリコンより1桁以上大きいため、オン抵抗を十分に小さくすることができる半導体材料として期待される。このような炭化珪素の特長は、例えば窒化ガリウム(GaN)などシリコンよりもバンドギャップの広いすべての半導体(以下、ワイドバンドギャップ半導体とする)にも同様にあてはまる。このため、ワイドバンドギャップ半導体を用いることにより、半導体装置の高耐圧化が可能となる(例えば、下記非特許文献2参照)。
【0006】
従来の半導体装置の構造について、炭化珪素を用いて作製されたスイッチングデバイスであるプレーナゲート構造のnチャネル型MOSFETを例に説明する。図9は、従来の半導体装置の活性領域の構造を示す斜視図である。図9に示すように、従来の半導体装置では、炭化珪素からなるn+型支持基板(以下、n+型SiC基板とする)101のおもて面上に、炭化珪素からなるn-型半導体層(以下、n-型SiC層とする)102が設けられている。n+型SiC基板101は、ドレイン領域として機能する。n-型SiC層102の、n+型SiC基板101側に対して反対側の表面層には、p型ベース領域103が選択的に設けられている。n-型SiC層102の、p型ベース領域103以外の部分がドリフト領域である。
【0007】
n-型SiC層102の、n+型SiC基板101側に対して反対側の表面には、炭化珪素からなるp型半導体層(以下、p型SiC層とする)104が積層されている。p型SiC層104の内部には、深さ方向にp型ベース領域103に対向する部分に、n+型ソース領域105およびp+型コンタクト領域106がそれぞれ選択的に設けられている。p型SiC層104を深さ方向に貫通してn-型SiC層102に達するn型半導体領域107が設けられている。n型半導体領域107は、n+型ソース領域105に対してp+型コンタクト領域106の反対側にn+型ソース領域105と離して配置されている。
【0008】
p型SiC層104の、n+型ソース領域105、p+型コンタクト領域106およびn型半導体領域107以外の部分(以下、第2p型ベース領域とする)104aは、p型ベース領域(以下、第1p型ベース領域とする)103とともにベース領域として機能する。n型半導体領域(以下、n型JFET領域とする)107は、隣り合うベース領域間に挟まれたJFET(Junction FET)領域であり、n-型SiC層102とともにドリフト領域として機能する。n型JFET領域107の不純物濃度をn-型SiC層102の不純物濃度よりも高くすることで、ドリフト領域の、隣り合うベース領域間に挟まれた部分のn型不純物濃度を高くしてJFET抵抗の低減を図っている。
【0009】
第2p型ベース領域104aの、n+型ソース領域105とn型JFET領域107とに挟まれた部分の表面上には、n+型ソース領域105からn型JFET領域107にわたってゲート絶縁膜108を介してゲート電極109が設けられている。ソース電極110は、n+型ソース領域105およびp+型コンタクト領域106に接するとともに、層間絶縁膜111によりゲート電極109と電気的に絶縁されている。図9では、n+型ソース領域105、p+型コンタクト領域106およびゲート電極109の配置を明確にするために、ソース電極110の図面手前側の部分を図示省略する。ソース電極110上には、ソース電極パッド112が設けられている。n+型SiC基板101の裏面には、ドレイン電極113が設けられている。
【0010】
図9に示す構成のMOSFETでは、ソース電極110に対して正の電圧がドレイン電極113に印加された状態で、ゲート電極109にしきい値電圧以下の電圧が印加されているときには、第2p型ベース領域104aとn型JFET領域107との間のpn接合が逆バイアスされた状態となるため、活性領域の逆方向耐圧が確保され電流は流れない。それに対して、ゲート電極109にしきい値電圧以上の電圧が印加されると、第2p型ベース領域104aの、ゲート電極109直下(ドレイン側)の部分の表面層にn型の反転層(チャネル)が形成される。それによって、n+型SiC基板101、n-型SiC層102、n型JFET領域107、第2p型ベース領域104aの表面反転層およびn+型ソース領域105の経路で電流が流れる。このように、ゲート電圧を制御することによって、周知のMOSFETのスイッチング動作を行うことができる。
【0011】
しかしながら、炭化珪素の特長を活かすため炭化珪素を用いて上述したようにMOSゲート(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)構造を形成したとしても(図9参照)、チャネルの移動度や、n型JFET領域107の抵抗(JFET抵抗)が高く、オン抵抗を小さくすることができない。このため、オン抵抗を低減させるために、チャネル抵抗を低減させる必要がある。低オン抵抗を低減させた半導体装置として、JFET領域の幅を0.8μm以上3μm以下とする、また、JFET領域の不純物密度をドリフト層の不純物密度以上であって1×1016/cm3以上とする装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。下記特許文献1では、チャネル抵抗やJFET抵抗を低減させる構造とすることで、オン抵抗を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−159797号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ケイ・シェナイ(K.Shenai)、外2名、オプティウム セミコンダクターズ フォー ハイパワー エレクトロニクス(Optimum Semiconductors for High−Power Electronics)、アイ・トリプル・イー トランザクションズ オン エレクトロン デバイシズ(IEEE Transactions on Electron Devices)、1989年9月、第36巻、第9号、p.1811−1823
【非特許文献2】ビー・ジャヤン・バリガ(B.Jayant Baliga)著、シリコン カーバイド パワー デバイシズ(Silicon Carbide Power Divices)、(米国)、ワールド サイエンティフィック パブリッシング カンパニー(World Scientific Publishing Co.)、2006年3月30日、p.61
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の半導体装置では、オン抵抗を低減させるために上述したように特にチャネル抵抗を小さくする必要があるが、チャネル抵抗を小さくした場合、短チャネル効果により、ゲート電圧の低い動作領域(線形領域の、遮断領域との境界付近の動作領域)においてドレイン−ソース間に電流(ドレイン電流)が流れやすく、素子がオフしにくくなる。すなわち、しきい値電圧が変動して低くなる。かつ、ピンチオフ後、ドレイン−ソース間電圧の高い動作領域(飽和領域)においてもドレイン電流が流れやすく飽和しにくくなる。このように、ドレイン電流をゲート電圧で制御することが難しく、信頼性が低下するという問題がある。
【0015】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、オン抵抗を低減させることができ、かつ信頼性の低下を防止することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。シリコンよりもバンドギャップの広いワイドバンドギャップ半導体からなる第1導電型の半導体基板のおもて面に、前記半導体基板よりも不純物濃度の低いワイドバンドギャップ半導体からなる第1導電型の第1半導体層が設けられている。前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に、ワイドバンドギャップ半導体からなる第2導電型の第2半導体層が設けられている。前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に、ワイドバンドギャップ半導体からなる第1導電型の第3半導体層が設けられている。前記第3半導体層の内部に、前記第2半導体層よりも不純物濃度の高い第2導電型半導体領域が選択的に設けられている。前記第2導電型半導体領域は、前記第3半導体層を深さ方向に貫通して前記第2半導体層に達する。前記第3半導体層および前記第2半導体層を貫通して前記第1半導体層に達するトレンチが設けられている。前記トレンチの内部に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられている。第1電極は、前記第3半導体層および前記第2導電型半導体領域に接する。前記第2電極は、前記半導体基板の裏面に接する。隣り合う前記トレンチ間の幅、および、前記トレンチの深さは、シリコンの材料限界で所定の電流能力を達成する最小寸法未満である。
【0017】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、隣り合う前記トレンチ間の幅は1μm以下であり、前記トレンチの深さは1μm以下であることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記半導体基板のおもて面に平行にストライプ状に前記トレンチを配置した平面レイアウトを有することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記半導体基板のおもて面に平行に格子状に前記トレンチを配置した平面レイアウトを有することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第3半導体層および前記第2導電型半導体領域の、前記半導体基板側に対して反対側の表面から所定深さで設けられた溝をさらに備える。前記第1電極は、前記溝の内壁で前記第3半導体層および前記第2導電型半導体領域に接することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いたことを特徴とする。
【0022】
上述した発明によれば、JFET抵抗をなくすことができ、かつチャネル抵抗を小さくすることができる。また、上述した発明によれば、短チャネル効果を抑制することができるため、ゲート電圧の低い動作領域で第1,2電極間の電流を流れにくくすることができる。また、ピンチオフ後、第1,2電極間の電圧の高い動作領域においても第1,2電極間の電流を流れにくくすることができる。したがって、第1,2電極間の電流をゲート電圧のみで完全に制御することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる半導体装置によれば、オン抵抗を低減させることができ、かつ信頼性の低下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2の切断線A−Aにおける平面レイアウトを示す平面図である。
【図4】図4は、実施の形態3にかかる半導体装置の構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4の切断線B−B'における断面構造を示す平面図である。
【図6】図6は、図4の切断線C−C'における断面構造を示す平面図である。
【図7】図7は、実施例にかかる半導体装置の電流特性を示す特性図である。
【図8】図8は、実施例にかかる半導体装置の電流−電圧特性を示す特性図である。
【図9】図9は、従来の半導体装置の活性領域の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書では、ミラー指数の表記において、"−"はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に"−"を付けることで負の指数を表している。
【0026】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体装置は、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成されるMOS(金属−酸化膜−半導体)型半導体装置である。実施の形態1にかかる半導体装置の構造について、シリコン(Si)よりもバンドギャップの広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体)として例えば炭化珪素(SiC)を用いたMOSFETを例に説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す斜視図である。図1には、活性領域のみを図示し、活性領域の周囲を囲むエッジ終端構造部を図示省略する。活性領域は、オン状態のときに電流が流れる領域である。エッジ終端構造部は、ドリフト領域の基体おもて面側の電界を緩和し耐圧を保持する領域である。
【0027】
図1に示す実施の形態1にかかる半導体装置は、炭化珪素半導体基体(半導体チップ)を用いたnチャネル型MOSFETである。炭化珪素半導体基体は、例えば、炭化珪素からなるn+型支持基板(以下、n+型SiC基板とする)1のおもて面上に炭化珪素からなるn-型ドリフト層2、p型ベース層3およびn+型ソース層4を順にエピタキシャル成長させてなる。なお、n-型ドリフト層2、p型ベース層3およびn+型ソース層4をエピタキシャル成長の代わりにイオン注入で形成してもよい。n+型SiC基板1は、ドレイン領域として機能する。基体おもて面(n+型ソース層4側の面)の表面層に、深さ方向zにp型ベース層3およびn+型ソース層4を貫通するようにMOSゲート(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)9を凹状に選択的に埋め込んだ構成のトレンチゲート型のMOSゲート構造が設けられている。
【0028】
p型ベース層3およびn+型ソース層4は、例えば活性領域におけるn-型ドリフト層2上にのみ堆積されている。p型ベース層3およびn+型ソース層4の総厚さは、n-型ドリフト層2と後述するゲート電極8とがトレンチ6の側壁のゲート絶縁膜7を挟んで対向するように、トレンチ6の深さよりも薄い寸法となっている。これは、p型ベース層3およびn+型ソース層4の総厚さが薄いとチャネルの囲みがしやすくなるためであり、チャンネルの囲みができるならば厚い寸法としてもよい。n+型ソース層4の内部には、p+型コンタクト領域5が選択的に設けられている。p+型コンタクト領域5は、基体おもて面(n+型ソース層4の表面)からn+型ソース層4を深さ方向zに貫通してp型ベース層3に達する。p+型コンタクト領域5は、後述するMOSゲート9と離して配置してもよいし、MOSゲート9と接していてもよい。図1には、p+型コンタクト領域5をMOSゲート9と離して配置した場合を示す。
【0029】
また、p+型コンタクト領域5は、MOSゲート9がストライプ状に延びる方向(以下、第1方向)xに所定間隔で配置され、かつ第1方向xと直交する、基体おもて面に平行な方向(以下、第2方向とする)yにMOSゲート9を挟んで隣り合うマトリクス状の平面レイアウトに配置されている。n+型ソース層4およびp型ベース層3を深さ方向zに貫通してn-型ドリフト層2に達するトレンチ6が設けられている。p+型コンタクト領域5がMOSゲート9に接する場合には、トレンチ6は、n+型ソース層4、p型ベース層3およびp+型コンタクト領域5を深さ方向zに貫通する。トレンチ6は、第1方向xにストライプ状に延びる平面レイアウトで複数配置されている。隣り合うトレンチ6(メサ部分)間の幅w1、および、トレンチ6の深さdは、シリコンの材料限界で所定の電流能力を達成する最小寸法未満(例えば10μm未満程度)である。具体的には、隣り合うトレンチ6間の幅w1は例えば1μm以下であり、トレンチ6の深さdは例えば1μm以下である。
【0030】
トレンチ6の内部には、トレンチ6の内壁に沿ってゲート絶縁膜7が設けられ、ゲート絶縁膜7の内側にゲート電極8が設けられている。ゲート電極8の上端(ソース側端部)は、基体おもて面の高さ位置まで達していなくてもよい。すなわち、トレンチ6の内部において、ゲート電極8上に、後述する層間絶縁膜11が埋め込まれていてもよい。このトレンチ6、ゲート絶縁膜7およびゲート電極8によりMOSゲート9が構成される。隣り合うトレンチ6の中心間に設けられたp型ベース層3、n+型ソース層4およびp+型コンタクト領域5と、これらの領域を挟んで対向するMOSゲート9と、により1つのセル(素子の機能単位)10のMOSゲート構造が構成される。隣り合うトレンチ6間の幅w1が狭いことでp型ベース層3のほぼ全体にチャネル(n型の反転層)が形成される。このため、セル10のMOSゲート構造は、1つのチャネルを両側面(第2方向yの両側面)からMOSゲート9で挟み込む、いわゆるダブルゲート構造となっている。すなわち、セル10は、FinFET(フィンFET)の構造を備える。図1には、複数のセル10を並列に配置した状態を示す。
【0031】
ゲート電極8を覆うように層間絶縁膜11が設けられている。層間絶縁膜11を深さ方向に貫通するコンタクトホール11aには、n+型ソース層4およびp+型コンタクト領域5が露出されている。コンタクトホール11aは、例えば、第1方向xにストライプ状に延びる平面レイアウトで設けられている。バリアメタル12は、層間絶縁膜11の表面およびコンタクトホール11aの内壁に沿って設けられ、n+型ソース層4およびp+型コンタクト領域5に接する。バリアメタル12は、後述するおもて面電極13から炭化珪素半導体基体および層間絶縁膜11側への金属原子の拡散を防止したり、バリアメタル12を挟んで対向する領域間での相互反応を防止したりする機能を有する。
【0032】
バリアメタル12は、例えば、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜およびチタン膜を順に積層した3層構造であってもよい。バリアメタル12は、ソース電極として機能する。おもて面電極13は、コンタクトホール11aに埋め込まれるようにバリアメタル12上に設けられている。おもて面電極13は、バリアメタル12を介してn+型ソース層4およびp+型コンタクト領域5に電気的に接続され、バリアメタル12とともにソース電極として機能する。おもて面電極13は、例えば、アルミニウム(Al)でできていてもよいし、1%の割合でシリコンを含むアルミニウム(Ai−Si)でできていてもよい。
【0033】
おもて面電極13およびバリアメタル12は、層間絶縁膜11によりゲート電極8と電気的に絶縁されている。図1では、n+型ソース層4、p+型コンタクト領域5およびMOSゲート9の平面レイアウトを明確にするために、バリアメタル12およびおもて面電極13の図面手前側の部分を図示省略する(図2においても同様)。おもて面電極13上には、おもて面電極パッド14が設けられている。また、基体おもて面には、おもて面電極パッド14と離して、ゲート電極パッド(不図示)が設けられている。基体裏面(n+型SiC基板1の裏面)には、ドレイン電極として機能する裏面電極15が設けられている。
【0034】
次に、実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法について、例えば1200Vの耐圧クラスのnチャネル型MOSFETを作製する場合を例に説明する。まず、例えば、2×1019/cm3程度の不純物濃度で窒素(N)がドーピングされたn+型SiC基板1を用意する。n+型SiC基板1は、主面が例えば<11−20>方向に4度程度のオフ角を有する(000−1)面であってもよい。次に、n+型SiC基板1の主面上に、例えば、1.0×1016/cm3の不純物濃度で窒素がドーピングされた厚さ10μmの炭化珪素からなるn-型ドリフト層2をエピタキシャル成長させる。次に、活性領域におけるn-型ドリフト層2上に、例えばアルミニウムがドーピングされた炭化珪素からなるp型ベース層3をエピタキシャル成長させる。
【0035】
次に、活性領域におけるp型ベース層3上に、例えば窒素がドーピングされた炭化珪素からなるn+型ソース層4をエピタキシャル成長させる。ここまでの工程により、n+型SiC基板1のおもて面上にn-型ドリフト層2、p型ベース層3およびn+型ソース層4を順に積層した炭化珪素半導体基体が作製される。n-型ドリフト層2、p型ベース層3およびn+型ソース層4をエピタキシャル成長に代えてイオン注入で形成してもよい。次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入により、n+型ソース層4の内部にp+型コンタクト領域5を選択的に形成する。次に、熱処理(アニール)によりp+型コンタクト領域5を活性化させる。活性化のための熱処理は、例えば、1620℃程度の温度で2分間程度行ってもよい。
【0036】
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、n+型ソース層4およびp型ベース層3を深さ方向zに貫通してn-型ドリフト層2に達するトレンチ6を形成する。隣り合うトレンチ6間の幅w1およびトレンチ6の深さdは上述した通りである。p+型コンタクト領域5およびトレンチ6の形成順序は入れ換え可能である。次に、基体おもて面(n+型ソース層4側の面)およびトレンチ6の内壁を熱酸化し、基体おもて面およびトレンチ6の内壁に沿って例えば50nm以上100nm以下程度の厚さのゲート絶縁膜7を形成する。ゲート絶縁膜7を形成するための熱酸化は、例えば、酸素(O2)と窒素(N2)とを含む混合ガス雰囲気中において1000℃以上1300℃以下程度の温度での熱処理であってもよい。
【0037】
次に、基体おもて面上に、トレンチ6の内部に埋め込むように例えばリン(P)またはボロン(B)をドーピングしたポリシリコン(poly−Si)層を堆積(形成)する。次に、基板おもて面上のゲート絶縁膜7が露出するまでポリシリコン層をエッチバックし、トレンチ6の内部にゲート電極8となるポリシリコン層を残す。次に、ゲート電極8をマスクとして、基板おもて面上のゲート絶縁膜7を除去する。次に、ゲート電極8を覆うように、層間絶縁膜11として例えばリンガラス(PSG:Phospho Silicate Glass)を1.0μmの厚さで成膜(形成)する。次に、層間絶縁膜11をパターニングして選択的に除去し、層間絶縁膜11を深さ方向zに貫通するコンタクトホール11aを形成し、n+型ソース層4およびp+型コンタクト領域5を露出させる。次に、層間絶縁膜11を平坦化するための熱処理(リフロー)を行う。
【0038】
次に、例えばスパッタ法により、層間絶縁膜11の表面およびコンタクトホール11aの内壁に沿って、n+型ソース層4およびp+型コンタクト領域5に接するバリアメタル12を成膜(形成)する。次に、例えばスパッタ法により、バリアメタル12上に、コンタクトホール11aの内部を埋め込むようにおもて面電極13を形成した後、おもて面電極13およびバリアメタル12をパターニングする。おもて面電極13の厚さは、例えば5μmであってもよい。次に、例えばスパッタ法により、基体裏面(n+型SiC基板1の裏面)全面に、裏面電極15として例えばニッケル(Ni)膜を成膜する。そして、例えば970℃程度の温度で熱処理し、n+型SiC基板1とニッケル膜とが反応してなるニッケルシリサイド膜を形成し、n+型SiC基板1と裏面電極15とのオーミックコンタクト(電気的接触部)を形成する。
【0039】
次に、例えばスパッタ法によりおもて面電極13上に金属層を堆積してパターニングすることで、おもて面電極パッド14およびゲート電極パッドを形成する。次に、エッジ終端構造部(不図示)に露出する基体おもて面を覆うように、例えばポリイミドからなるパッシベーション膜などの保護膜(不図示)を形成する。次に、例えばスパッタ法により、ニッケル膜の表面(オーミックコンタクトを形成するための熱処理条件によってはニッケルシリサイド膜の表面)に、裏面電極15として例えばチタン、ニッケルおよび金(Au)を順に成膜することにより、図1に示すnチャネル型MOSFETが完成する。
【0040】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、トレンチゲート構造とすることでJFET抵抗をなくすことができるとともに、トレンチの深さを浅くしてチャネル長を短くすることでチャネル抵抗を小さくすることができる。また、シリコンを用いた通常の半導体装置では、シリコンの材料限界からトレンチの深さが例えば10μm程度であるが、本発明においては、シリコンより最大電界強度が1桁以上大きいワイドバンドギャップ半導体を用いる。このため、実施の形態1によれば、ワイドバンドギャップ半導体の特長を活かして、シリコンを用いた通常の半導体装置の1/10程度にトレンチの深さを浅くしてチャネル長を短くした場合においても、シリコンを用いた通常の半導体装置と同程度以上の電流能力を得ることができる。したがって、シリコンを用いた通常の半導体装置と同程度以上の電流能力を維持した状態で、オン抵抗を低減させることができる。
【0041】
また、実施の形態1によれば、隣り合うトレンチ間の幅を狭くしたFinFETの構造とすることで、ゲート電圧の低い動作領域(線形領域の、遮断領域との境界付近の動作領域)でp型ベース層を完全に空乏化することができる。これにより、短チャネル効果を抑制することができるため、ゲート電圧の低い動作領域でドレイン電流を流れにくくすることができる。また、ピンチオフ後、ドレイン−ソース間電圧の高い動作領域(飽和領域)においてもドレイン電流を流れにくくすることができる。したがって、ドレイン電流をゲート電圧のみで完全に制御することができ、スイッチング動作の信頼性が低下することを防止することができる。
【0042】
また、実施の形態1によれば、FinFETの構造とすることで、セルピッチを縮小化してサイズを縮小することができる。また、実施の形態1によれば、FinFETの構造とすることで、チャネルの不純物濃度を低くして、チャネル抵抗を小さくすることも可能である。
【0043】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる半導体装置の構造について説明する。図2は、実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す斜視図である。図3は、図2の切断線A−Aにおける平面レイアウトを示す平面図である。図3には、基体おもて面に平行な方向にゲート電極28を切断する切断線A−A‘における平面レイアウトを示す。実施の形態2にかかる半導体装置が実施の形態1にかかる半導体装置と異なる点は、MOSゲート29を格子状の平面レイアウトに配置した点である。すなわち、トレンチ26は、第1方向xにストライプ状に延び、かつ第2方向yにストライプ状に延びる格子状の平面レイアウトに配置されている。このトレンチ26の内部に、ゲート絶縁膜27を介してゲート電極28が設けられている。
【0044】
p型ベース層3は、トレンチ26間にゲート絶縁膜27に接するように配置され、第1方向xにMOSゲート29を挟んで隣り合い、かつ第2方向yにMOSゲート29を挟んで隣り合うマトリクス状の平面レイアウトを有する。n+型ソース層4は、p型ベース層3上に配置されている。すなわち、n+型ソース層4も、p型ベース層3と同様にトレンチ26間にゲート絶縁膜27に接するように配置されている。n+型ソース層4は、第1方向xにMOSゲート29を挟んで隣り合い、かつ第2方向yにMOSゲート29を挟んで隣り合うマトリクス状の平面レイアウトを有する。p+型コンタクト領域5は、トレンチ26により分離された各n+型ソース層4にそれぞれ1つずつ配置されている。
【0045】
実施の形態2にかかる半導体の製造方法は、実施の形態1にかかる半導体の製造方法において、トレンチ26を形成するためのエッチングを、格子状の平面レイアウトになるように行えばよい。すなわち、トレンチ26を形成するためのエッチングマスクを格子状の平面レイアウトにパターニングし、このエッチングマスクをマスクとしてトレンチ26を形成すればよい。実施の形態2にかかる半導体の製造方法のトレンチ26の形成工程以外の工程は、実施の形態1と同様である。
【0046】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2によれば、ゲート電極を格子状の平面レイアウトに配置することで、チップ内部においてゲート電極の配線抵抗差を均等にすることができる。これにより、ゲート抵抗の大きくなるポリシリコン層でゲート電極を形成したとしても、ゲート電極の、ゲート電極パッドから離れた部分でのゲート遅延による配線遅延差を小さくすることができる。これにより、配線遅延時間をほぼ安定させることができるため、過渡的な動作状態にある場合においても安定した素子特性を維持することができる。
【0047】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる半導体装置の構造について説明する。図4は、実施の形態3にかかる半導体装置の構造を示す斜視図である。図4では、n+型ソース層4、p+型コンタクト領域5、MOSゲート9および溝31の平面レイアウトおよび断面形状を明確にするために、バリアメタル32およびおもて面電極33の図面手前側の部分を図示省略する。図5は、図4の切断線B−B'における断面構造を示す平面図である。図6は、図4の切断線C−C'における断面構造を示す平面図である。実施の形態3にかかる半導体装置が実施の形態1にかかる半導体装置と異なる点は、炭化珪素半導体基体のコンタクトホール11aに露出する部分に溝31を設けることで、ソース電極(バリアメタル32およびおもて面電極33)と炭化珪素半導体基体とのオーミックコンタクトの面積を増やした点である。
【0048】
具体的には、図4〜6に示すように、炭化珪素半導体基体のコンタクトホール11aに露出する部分(すなわちn+型ソース層4およびp+型コンタクト領域5)に、溝31が設けられている。溝31は、例えば、第1方向xに直線状に延びる平面レイアウトに配置されている。溝31の深さは、n-型ドリフト層2に達しない深さで設けられていればよく、例えばn+型ソース層4の深さよりも浅くてもよいし深くてもよい。溝31の第2方向yの幅w2は、隣り合うトレンチ6間の幅w1よりも狭く(w2<w1)、例えばコンタクトホール11aとほぼ同じである。この溝31内にバリアメタル32を介しておもて面電極33が埋め込まれている。溝31の内壁でバリアメタル32と炭化珪素半導体基体とが接触し、オーミックコンタクトが形成されている。
【0049】
実施の形態3にかかる半導体の製造方法は、実施の形態1にかかる半導体の製造方法において、層間絶縁膜11のリフロー後、バリアメタル32を形成する前に、層間絶縁膜11をマスクとしてエッチングを行い、炭化珪素半導体基体のコンタクトホール11aに露出する部分に溝31を形成する。そして、層間絶縁膜11の表面、コンタクトホール11aの側壁および溝31の内壁に沿って、n+型ソース層4およびp+型コンタクト領域5に接するバリアメタル32を成膜する。その後、コンタクトホール11aおよび溝31の内部を埋め込むようにおもて面電極33を形成すればよい。すなわち、実施の形態3にかかる半導体の製造方法の溝31の形成工程を追加する以外は、実施の形態1と同様である。
【0050】
以上、説明したように、実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態3によれば、ソース電極と炭化珪素半導体基体とのオーミックコンタクトの面積が増えるため、コンタクト抵抗を低減させることができ、オン抵抗をさらに低減させることができる。このため、セルピッチを縮小化してチップサイズを縮小したとしても、炭化珪素半導体基体のコンタクトホールに露出する部分に溝を設けない場合と同程度にコンタクト面積を維持することができ、コンタクト抵抗が高くなることを防止することができる。したがって、セルピッチを狭くしても、オン抵抗を維持することができる。
【0051】
(実施例)
次に、本発明にかかる半導体装置の静特性について検証した。図7は、実施例にかかる半導体装置の電流特性を示す特性図である。図7のD点はしきい値電圧である。上述した実施の形態1にかかる半導体装置(以下、実施例とする、図1参照)に印加するゲート電圧(ゲート−ソース間電圧)Vgsを増加させたときのドレイン電流(ドレイン−ソース間電流)Idの特性をシミュレーションした結果を図7に示す。また、図7には、比較として、従来のプレーナゲート構造のnチャネル型MOSFET(以下、従来例とする、図9参照)についても同様にドレイン電流Idの特性をシミュレーションした結果を示す。従来例のチャネル長(n+型ソース領域105とn型JFET領域107との間の幅)L100を、実施例のチャネル長(p型ベース層3の厚さ)L1と等しくした。
【0052】
図7に示す結果より、従来例では、ゲート電圧Vgsの増加に比例してドレイン電流Idが増加することが確認された。従来例のようなプレーナゲート構造のMOSゲートでは、低オン抵抗化を図るためにチャネル長L100を短くする必要がある。チャネル長L100が短いことで第2p型ベース層104aの表面反転層の電荷量が少なくなるため、電子と正孔(ホール)との再結合が起こりにくく、ゲート電圧Vgsの低い動作領域でドレイン電流Idが流れやすい。それに対して、実施例においては、ゲート電圧Vgsの低い動作領域(線形領域の、遮断領域との境界付近の動作領域)において、ゲート電圧Vgsの増加に対するドレイン電流Idの増加率が従来例よりも小さいことが確認された。すなわち、実施例は、従来例に比べて、ゲート電圧の低い動作領域においてドレイン電流Idが流れにくいことがわかる。その理由は、次の通りである。
【0053】
本発明においては、トレンチ6の深さdを浅くしてチャネル長L1を短くし、かつ隣り合うトレンチ6間の幅w1を狭くすることで、p型ベース層3とn-型ドリフト層2との間の寄生容量が小さくなっている。そして、寄生容量の小さいp型ベース層3に第2方向yの両側面側からゲート電圧Vgsが印加されることで、p型ベース層3のn型の反転層の電荷量が多いため、電子と正孔とが再結合して平衡状態に戻りやすい。これにより、p型ベース層3を完全に空乏化することができるからである。このため、ゲート電圧Vgsの低い動作領域においてドレイン−ソース間電圧Vdsの悪影響を受けにくく、ドレイン電流を抑制することができる。したがって、ドレイン電流をゲート電圧Vgsのみで完全に制御することができる。
【0054】
また、実施例および従来例ともに電流−電圧特性をシミュレーションした結果を図8に示す。図8は、実施例にかかる半導体装置の電流−電圧特性を示す特性図である。図8のE点はピンチオフ電圧である。図8に示す結果より、従来例では、ピンチオフ後、ドレイン−ソース間電圧Vdsの高い動作領域(飽和領域)においてもドレイン電流Idが流れやすく飽和しにくいことが確認された。それに対して、実施例においては、ピンチオフ後、ドレイン−ソース間電圧Vdsの高い動作領域においてもドレイン−ソース間電圧Vdsの悪影響を受けにくく、ドレイン電流Idの増加を抑制して飽和させることができることが確認された。
【0055】
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、上述した実施の形態では、ドリフト領域となるn-型半導体層上にエピタキシャル成長させたp型半導体層およびn+型半導体層をそれぞれベース領域およびソース領域とする場合を例に説明しているが、ドリフト領域となるn-型半導体層にイオン注入によりp型ベース領域およびn+型ソース領域を形成してもよい。この場合、n-型半導体層のp型ベース領域、n+型ソース領域およびp+型コンタクト領域以外の部分がドリフト領域となる。また、炭化珪素からなる半導体基板(SiC基板)をドリフト領域として用い、当該SiC基板にp型ベース領域、n+型ソース領域およびn+型ドレイン領域をイオン注入により形成してもよい。この場合、SiC基板のp型ベース領域、n+型ソース領域、p+型コンタクト領域およびn+型ドレイン領域以外の部分がドリフト領域となる。
【0056】
また、上述した実施の形態では、MOSFETを例に説明したが、スイッチングデバイスとして用いられるバイポーラトランジスタやIGBTに適用した場合においても同様の効果が得られる。また、上述した実施の形態では、炭化珪素でできた炭化珪素基板の(0001)面を主面とした場合を例に説明したが、これに限らず、基板主面の面方位や、基板を構成するワイドバンドギャップ半導体材料などを種々変更可能である。例えば、基板主面を(000−1)面としてもよいし、窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体でできた半導体基板を用いてもよい。また、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、スイッチングデバイスとして用いられる半導体装置に有用であり、特に炭化珪素半導体基体上に作製した縦型MOSFETに適している。
【符号の説明】
【0058】
1 n+型SiC基板
2 n-型ドリフト層
3 p型ベース層
4 n+型ソース層
5 p+型コンタクト領域
6,26 トレンチ
7,27 ゲート絶縁膜
8,28 ゲート電極
9,29 MOSゲート
10 セル
11 層間絶縁膜
11a コンタクトホール
12,32 バリアメタル
13,33 おもて面電極
14 おもて面電極パッド
15 裏面電極
31 溝
L1 チャネル長
d トレンチの深さ
w1 隣り合うトレンチ間の幅
w2 溝の第2方向の幅
x 第1方向(基体主面に平行な方向)
y 第2方向(基体主面に平行な方向)
z 深さ方向
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】

【手続補正書】
【提出日】2017年1月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンよりもバンドギャップの広いワイドバンドギャップ半導体からなる第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板よりも不純物濃度の低いワイドバンドギャップ半導体からなる第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に設けられたワイドバンドギャップ半導体からなる第2導電型の第2半導体層と、
前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に設けられたワイドバンドギャップ半導体からなる第1導電型の第3半導体層と、
前記第3半導体層の内部に選択的に設けられ、前記第3半導体層を深さ方向に貫通して前記第2半導体層に達する、前記第2半導体層よりも不純物濃度の高い第2導電型半導体領域と、
前記第3半導体層および前記第2半導体層を貫通して前記第1半導体層に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記第3半導体層および前記第2導電型半導体領域に接する第1電極と、
前記半導体基板の裏面に接する第2電極と、
を備え、
隣り合う前記トレンチ間の幅、および、前記トレンチの深さは、シリコンの材料限界で所定の電流能力を達成する最小寸法未満であり、
耐圧クラスが1200V以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
隣り合う前記トレンチ間の幅は1μm以下であり、
前記トレンチの深さは1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板のおもて面に平行にストライプ状に前記トレンチを配置した平面レイアウトを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板のおもて面に平行に格子状に前記トレンチを配置した平面レイアウトを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3半導体層および前記第2導電型半導体領域の、前記半導体基板側に対して反対側の表面から所定深さで設けられた溝をさらに備え、
前記第1電極は、前記溝の内壁で前記第3半導体層および前記第2導電型半導体領域に接することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。

【手続補正書】
【提出日】2017年9月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図4】
【国際調査報告】

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