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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年3月30日
【発行日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】作業機械の油圧システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20171027BHJP
【FI】
   E02F9/22 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2017-541217(P2017-541217)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2015年9月25日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森木 秀一
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
(72)【発明者】
【氏名】泉 枝穂
(72)【発明者】
【氏名】天野 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】石川 広二
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AC09
2D003BA01
2D003BA05
2D003BB02
2D003BB03
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
旋回ブーム上げ操作時の分流損失を抑制すると共に、燃費悪化を抑制しつつ良好な複合操作性を実現する。
作業機械の油圧システムにおいて、旋回用油圧モータ3を駆動する第1油圧ポンプ2aと、ブームシリンダ4を駆動する第2油圧ポンプ2b,2cと、第1油圧ポンプ2aの容積を制御する第1ポンプ容積増加弁51aと、旋回操作量を検出する旋回パイロット圧センサ12と、ブーム上げ操作量を検出するブーム上げパイロット圧センサ13と、旋回操作量及びブーム上げ操作量に基づいて第1ポンプ容積増加弁51aに対する制御信号を制御するコントローラ100とを備え、旋回ブーム上げ操作時、コントローラにより、旋回操作量が大きいほど第1油圧ポンプ2aの吐出流量が大きくなると共に、ブーム上げ操作量が大きいほど第1油圧ポンプ2aの吐出流量の増加速度が小さくなるように上記制御信号を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体、前記走行体上に旋回可能に搭載された旋回体、前記旋回体に取り付けたブームを含む作業装置を備えた作業機械の油圧システムであって、
前記旋回体を旋回させる旋回用油圧モータと、
前記ブームを駆動するブームシリンダと、
前記旋回用油圧モータを駆動する圧油を吐出する第1油圧ポンプと、
前記ブームシリンダを駆動する圧油を吐出する第2油圧ポンプと、
前記旋回用油圧モータの動作を指示する旋回用操作装置と、
前記ブームシリンダの動作を指示するブーム用操作装置と、
前記第1油圧ポンプの容積を制御する第1ポンプ容積増加弁と、
前記旋回用操作装置による旋回操作量を検出する旋回操作量検出器と、
前記ブーム用操作装置によるブーム上げ操作量を検出するブーム上げ操作量検出器と、
前記旋回操作量検出器で検出した旋回操作量及び前記ブーム上げ操作量検出器で検出したブーム上げ操作量に基づいて前記第1ポンプ容積増加弁に対する指令信号である第1ポンプ流量制御信号を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記旋回用操作装置による旋回操作と前記ブーム用操作装置によるブーム上げ操作が同時になされた場合、前記旋回用操作装置による旋回操作量が大きいほど前記第1油圧ポンプの吐出流量が大きくなると共に、前記ブーム用操作装置によるブーム上げ操作量が大きいほど前記第1油圧ポンプの吐出流量の増加速度が小さくなるように前記第1ポンプ流量制御信号を制御する
ことを特徴とする作業機械の油圧システム。
【請求項2】
前記第1ポンプ流量制御信号を制御するポンプ流量制御弁を備え、
前記コントローラは、前記旋回用油圧モータの目標パワーである旋回目標パワーを演算する旋回目標パワー演算部と、前記第1油圧ポンプの目標流量である旋回目標流量を演算する旋回目標流量演算部と、前記ポンプ流量制御弁に対する指令信号であるポンプ流量制御弁指令を演算し出力するポンプ流量制御部とを備え、
前記旋回目標パワー演算部は、前記旋回用操作装置による旋回操作量が大きいほど前記旋回目標パワーを大きくする一方で、前記ブーム用操作装置によるブーム上げ操作量が大きいほど前記旋回目標パワーを小さくする補正をし、
前記旋回目標流量演算部は、前記旋回用操作装置による旋回操作量が大きいほど前記旋回目標流量を大きくする一方で、前記旋回目標パワーが小さいほど前記旋回目標流量の増加速度を小さくする補正をし、
前記ポンプ流量制御部は、前記旋回目標流量演算部から入力された前記旋回目標流量に基づいて前記ポンプ流量制御弁指令を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業機械の油圧システム。
【請求項3】
前記第2油圧ポンプから吐出された圧油で駆動される、前記ブームシリンダ以外の油圧アクチュエータである他の油圧アクチュエータと、
前記他の油圧アクチュエータの動作を指示する他の操作装置と、
前記ブーム用操作装置によるブーム上げ操作量及び前記他の操作装置の操作量の最大値である最大操作量を検出する最大操作量検出器と、
前記ブーム上げ操作量検出器の故障を判定する判定器と、
前記判定器の出力により切り換わり、前記ブーム上げ操作量検出器が故障中であると判定された場合に前記最大操作量を前記ブーム用操作装置によるブーム上げ操作量として前記旋回目標パワー演算部に出力するスイッチと
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の作業機械の油圧システム。
【請求項4】
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプの吐出圧力により駆動され、前記第1油圧ポンプの吸収トルクを制限するように作動する第1ポンプ容積減少弁を備えていることを特徴とする請求項3に記載の作業機械の油圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械の油圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の作業機械においては、同一のポンプラインにブーム用方向制御弁と旋回用方向制御弁とをパラレルに接続し、共通のポンプで旋回モータとブームシリンダを駆動することで、良好な複合操作性が得られる。「良好な複合操作性」とは、例えば、旋回とブーム上げを同時にするいわゆる旋回ブーム上げ等の操作をする場合に、旋回単独動作時と比較してブーム上げ操作量が大きいほど旋回加速度が遅くなる特性をいう。この特性は、ブームの慣性よりも旋回体の慣性が大きいことに起因しており、旋回初動時はブーム負荷圧力より旋回負荷圧力が高くブームシリンダに圧油の多くが流入することで得られる。この特性下では、例えば放土位置の高さに対して旋回距離が短い場合、ブーム上げ操作量が大きいほどブーム上げ速度が上昇する一方で旋回の増加速度が低下し、砂利積み作業等における放土位置が調整し易くなるメリットがある。その反面、ブーム負荷圧力と旋回負荷圧力が異なると、その負荷圧力の差異に応じて分流損失が発生し得る。
【0003】
それに対し、旋回モータとブームシリンダを異なるポンプで駆動する構成において旋回ブーム上げ操作時に旋回速度が低下するようにしたものがある(特許文献1等参照)。具体的には、ポンプの吐出流量を制御する吐出量制御弁を用い、ブームシリンダに対応するポンプの吐出圧を、ブーム上げ操作を検出した場合に旋回モータに対応するポンプの吐出量制御弁に作用させ、旋回ブーム上げ操作時に旋回モータに対する供給流量を減少させる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−36865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の油圧システムでは、上記の良好な複合操作性と損失低減とを必ずしも両立できる訳ではない。同油圧システムは、ブーム上げ操作の有無によって吐出流量制御弁への指令圧を単に入り切りする構成に過ぎず、旋回ブーム上げ操作時にブーム上げ操作量に比例して旋回速度が低下する訳ではないないからである。同油圧システムにおいて良好な複合操作性を得るには、例えば吐出量制御弁を制御して、ブーム上げの操作量が大きくなるほど旋回モータに供給する流量を抑えると共に、ブームシリンダに大きな流量を供給する必要がある。しかしながら、この場合には油圧ポンプとブームシリンダの間の圧損が大きくなり、燃費悪化の要因となる。
【0006】
本発明の目的は、旋回ブーム上げ操作時の分流損失を抑制すると共に、燃費悪化を抑制しつつ良好な複合操作性を実現することができる作業機械の油圧システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る作業機械の油圧システムは、走行体、前記走行体上に旋回可能に搭載された旋回体、前記旋回体に取り付けたブームを含む作業装置を備えた作業機械の油圧システムであって、前記旋回体を旋回させる旋回用油圧モータと、前記ブームを駆動するブームシリンダと、前記旋回用油圧モータを駆動する圧油を吐出する第1油圧ポンプと、前記ブームシリンダを駆動する圧油を吐出する第2油圧ポンプと、前記旋回用油圧モータの動作を指示する旋回用操作装置と、前記ブームシリンダの動作を指示するブーム用操作装置と、前記第1油圧ポンプの容積を制御する第1ポンプ容積増加弁と、前記旋回用操作装置による旋回操作量を検出する旋回操作量検出器と、前記ブーム用操作装置によるブーム上げ操作量を検出するブーム上げ操作量検出器と、前記旋回操作量検出器で検出した旋回操作量及び前記ブーム上げ操作量検出器で検出したブーム上げ操作量に基づいて前記第1ポンプ容積増加弁に対する指令信号である第1ポンプ流量制御信号を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記旋回用操作装置による旋回操作と前記ブーム用操作装置によるブーム上げ操作が同時になされた場合、前記旋回用操作装置による旋回操作量が大きいほど前記第1油圧ポンプの吐出流量が大きくなると共に、前記ブーム用操作装置によるブーム上げ操作量が大きいほど第1油圧ポンプの吐出流量の増加速度が小さくなるように前記第1ポンプ流量制御信号を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、旋回ブーム上げ操作時の分流損失を抑制すると共に、燃費悪化を抑制しつつ良好な複合操作性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る油圧システムを適用する作業機械の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る油圧システムの要部を表す回路図である。
図3図2に示した油圧システムを構成するポンプ駆動装置の回路図である。
図4図2に示した油圧システムを構成するコントローラの機能ブロック図である。
図5図4に示したコントローラを構成するブーム上げパイロット圧選択部の回路図である。
図6図4に示したコントローラを構成する旋回目標パワー演算部の回路図である。
図7図4に示したコントローラを構成する旋回目標流量演算部の回路図である。
図8図4に示したコントローラを構成するポンプ流量制御部の回路図である。
図9図4に示したコントローラを構成するブーム目標パワー演算部の回路図である。
図10図4に示したコントローラを構成するアーム目標パワー演算部の回路図である。
図11図4に示したコントローラを構成するバケット目標パワー演算部の回路図である。
図12図4に示したコントローラを構成するポンプトルク制御部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
1.作業機械
図1は本発明の一実施形態に係る油圧システムを適用する作業機械の一例を示す斜視図である。以下の説明において断り書きのない場合は運転席の前方(同図中では左上方向)を機体の前方とする。但し、油圧ショベルの例示は本発明に係る油圧システムの適用対象を限定するものではなく、他種の作業機械であっても同じような事情がある場合には本発明に係る油圧システムは必要に応じて適用され得る。
【0012】
図1に例示した作業機械は油圧ショベルであり、走行体8、走行体8上に旋回可能に搭載された旋回体9、及び旋回体9に取り付けた作業装置10を備えている。
【0013】
走行体8は、本実施形態では無限軌道履帯を有する左右のクローラ31を備えており、左右の走行モータ32により左右のクローラ31をそれぞれ駆動することで走行する。走行モータ32には例えば油圧アクチュエータが用いられる。
【0014】
旋回体9の前部には、操作者が搭乗する運転室33が設けられている。旋回体9における運転室33の後側には、エンジンや油圧駆動装置等を収容した動力室34が設けられている。旋回体9を走行体8に対して連結する旋回フレームには旋回用油圧モータ3が設けられている。運転室33には、旋回体9の旋回動作や作業装置10の動作を指示する左右の操作レバー1a,1bが設けられている。また、動力室34には、油圧アクチュエータを駆動する圧油を吐出する油圧ポンプ装置2や、油圧ポンプ装置2から油圧アクチュエータに供給される圧油の流れを制御するコントロールバルブ装置20等が収容されている。
【0015】
作業装置10は、旋回体9の前部(本実施形態では運転室33の右側)に連結されている。作業装置10は、ブーム35、アーム36、及びバケット7を備えた多関節型の作業装置である。ブーム35は旋回体9のフレームに上下に回動可能に連結されると共に、ブームシリンダ4を介して旋回体9のフレームと連結されている。アーム36はブーム35の先端に回動可能に連結されると共に、アームシリンダ5を介してブーム35に連結されている。バケット7はアーム36の先端に回動可能に連結されると共に、バケットシリンダ6を介してアーム36に連結されている。ブームシリンダ4、アームシリンダ5及びバケットシリンダ6は、油圧アクチュエータである。
【0016】
図1の作業機械においては、左右の操作レバー1a,1bの操作に応じ、旋回用油圧モータ3、ブームシリンダ4、アームシリンダ5及びバケットシリンダ6に対して油圧ポンプ装置2から吐出された圧油がコントロールバルブ装置20を介して供給される。言うまでもないが、旋回用油圧モータ3は旋回体9を旋回させ、ブームシリンダ4、アームシリンダ5及びバケットシリンダ6はそれぞれブーム35、アーム36及びバケット7を駆動する。ブームシリンダ4、アームシリンダ5及びバケットシリンダ6が圧油によって伸縮することでバケット7の位置と姿勢が変化する。また、旋回用油圧モータ3が圧油によって回転することで走行体8に対して旋回体9が旋回する。走行体8の動作に関しては、本発明と直接関係しないため説明を省略する。
【0017】
2.油圧システム
図2は本発明の一実施形態に係る油圧システムの要部を表す回路図である。図2に示した油圧システムは、油圧ポンプ装置2、コントロールバルブ装置20、左右の操作レバー1a,1b、油圧アクチュエータ(旋回用油圧モータ3やブームシリンダ4等)の他、パイロット油圧源17、シャトル弁群、操作量検出器、ポンプ制御弁、ポンプ駆動装置50及びコントローラ100を備えている。以下に各構成要素について説明する。
【0018】
・油圧ポンプ装置
油圧ポンプ装置2は、第1油圧ポンプ2a、第2油圧ポンプ2b,2c及びパイロット油圧源17を含み、例えば図示しないエンジンで駆動される。第1油圧ポンプ2a及び第2油圧ポンプ2b,2cは容量可変型の油圧ポンプである。本実施形態では斜板式の油圧ポンプを例に説明するが、斜軸式の油圧ポンプを用いても良い。また、第2油圧ポンプが2つある場合を例示するが、1つの場合もある。第1油圧ポンプ2aは、旋回用油圧モータ3を駆動する圧油を第1ポンプライン21aに吐出する。第2油圧ポンプ2b,2cは、ブームシリンダ4、アームシリンダ5及びバケットシリンダ6を駆動する圧油をそれぞれ第2ポンプライン21b,21cに吐出する。図2においてアームシリンダ5及びバケットシリンダ6は図示省略してあるが、バケットシリンダ6に対しては第2油圧ポンプ2bから吐出された圧油が、アームシリンダ5に対しては第2油圧ポンプ2cから吐出された圧油が供給される。ブームシリンダ4に対しては第2油圧ポンプ2b,2cから吐出された圧油が合流して供給される。
【0019】
・コントロールバルブ装置
コントロールバルブ装置20は、ブーム用方向制御弁22,23、旋回用方向制御弁24、バケット方向制御弁25及びアーム方向制御弁26を含む。本実施形態では第2油圧ポンプ2b,2cの圧油を合流させてブームシリンダ4に供給する構成であるため2つのブーム用方向制御弁22,23を備えた構成を例示しているが、ブーム用方向制御弁は1つの場合もある。
【0020】
ブーム用方向制御弁22及びバケット方向制御弁25は、第2ポンプライン21bに直列に設けられている。ブーム用方向制御弁22はバケット方向制御弁25の下流側に位置する。同様に、ブーム用方向制御弁23及びアーム方向制御弁26は第2ポンプライン21cに直列に設けられている。ブーム用方向制御弁23はアーム方向制御弁26の下流側に位置する。旋回用方向制御弁24は第1ポンプライン21aに設けられている。ブーム用方向制御弁22,23はブームシリンダ4に供給される圧油の流れを制御する。アーム方向制御弁26はアームシリンダ5に供給される圧油の流れを、バケット方向制御弁25はバケットシリンダ6に供給される圧油の流れを、旋回用方向制御弁24は旋回用油圧モータ3に供給される圧油の流れをそれぞれ制御する。
【0021】
なお、本実施形態では第2ポンプライン21bにバケット方向制御弁25、第2ポンプライン21cにアーム方向制御弁26を設けた場合を例に挙げたが、逆でも良い。また、第2ポンプライン21b,21cに対し、ブーム用方向制御弁22,23の他にバケット方向制御弁25やアーム方向制御弁26を設けた場合を例に挙げたが、例えば走行モータ32(図1)に供給する圧油の流れを制御する走行方向制御弁(不図示)をバケット方向制御弁25やアーム方向制御弁26の代わりに設けても良い。つまり、ブームシリンダ4及び走行モータ32を第2油圧ポンプ2b,2cで駆動する構成である。
【0022】
・操作レバー
操作レバー1a,1bは、旋回体9及び作業装置10の動作を指示する操作装置であり、電気レバーを用いることもあるが本実施形態ではパイロット式のレバー装置を例示する。
【0023】
左操作レバー1aは旋回用油圧モータ3の動作を指示する旋回用操作装置であり、例えば左右方向に操作されると操作方向(操作方向が左か右か)に応じて左旋回パイロット圧Pl又は右旋回パイロット圧Prを吐出し、旋回用方向制御弁24のパイロット受圧部に出力する。左旋回パイロット圧Plが入力されると旋回用方向制御弁24は図中左側のポジションに切り換わり、第1ポンプライン21aが旋回用油圧モータ3の図中左側の供給ラインに接続して旋回体9が左方向に旋回する。反対に、右旋回パイロット圧Prが入力されると旋回用方向制御弁24は図中右側のポジションに切り換わり、旋回用油圧モータ3が逆転して旋回体9が右方向に旋回する。また、左操作レバー1aは、第2油圧ポンプ2cにより駆動されるブームシリンダ4の他の油圧アクチュエータ(本実施形態ではアームシリンダ5)の動作を指示する他の操作装置を兼ね、例えば前後方向に操作されると操作方向(操作方向が前か後か)に応じてアームダンプパイロット圧又はアームクラウドパイロット圧を吐出し、アーム方向制御弁26のパイロット受圧部に出力する。左旋回パイロット圧Pl、右旋回パイロット圧Pr、アームダンプパイロット圧及びアームクラウドパイロット圧は、左操作レバー1aの操作量に応じた大きさの圧力信号である。旋回操作とアーム操作の操作方向は入れ換えても良い。
【0024】
右操作レバー1bはブームシリンダ4の動作を指示するブーム用操作装置であり、例えば前後方向に操作されると操作方向(操作方向が前か後か)に応じてブーム下げパイロット圧Pd又はブーム上げパイロット圧Puを出力し、ブーム用方向制御弁22,23のパイロット受圧部に出力する。ブーム上げパイロット圧Puが入力されるとブーム用方向制御弁22,23は図中右側のポジションに切り換わり、第2ポンプライン21b,21cがブームシリンダ4のボトム側油室に接続し、ブームシリンダ4が伸長してブーム35が上がる。反対に、ブーム下げパイロット圧Pdが入力されるとブーム用方向制御弁22,23は図中左側のポジションに切り換わり、ブームシリンダ4が収縮してブーム35が下がる。また、右操作レバー1bは、第2油圧ポンプ2bにより駆動されるブームシリンダ4の他の油圧アクチュエータ(本実施形態ではバケットシリンダ6)の動作を指示する他の操作装置を兼ね、例えば左右方向に操作すると操作方向(操作方向が左か右か)に応じてバケットダンプパイロット圧又はバケットクラウドパイロット圧を吐出し、バケット方向制御弁25のパイロット受圧部に出力する。ブーム下げパイロット圧Pd、ブーム上げパイロット圧Pu、バケットダンプパイロット圧及びバケットクラウドパイロット圧は、右操作レバー1bの操作量に応じた大きさの圧力信号である。ブーム操作とバケット操作の操作方向は入れ換えても良い。
【0025】
また、操作レバー1a,1bから吐出されたパイロット圧は、対応する方向制御弁の他、シャトル弁群を介してポンプ駆動装置50に出力される。ポンプ駆動装置50は、操作レバー1a,1bからのパイロット圧等によって第1油圧ポンプ2a及び第2油圧ポンプ2b,2cの傾転角を制御する。ポンプ駆動装置50については後述する。
【0026】
・シャトル弁群
シャトル弁群は、シャトル弁11a−11fから構成される。シャトル弁11aは、右旋回パイロット圧Prと左旋回パイロット圧Plの高い方を第1ポンプ流量制御圧Pf1としてポンプ駆動装置50へ供給する。シャトル弁11bはアームダンプパイロット圧とアームクラウドパイロット圧の高い方をシャトル弁11cへ供給する。シャトル弁11dはブーム上げパイロット圧Puとブーム下げパイロット圧Pdの高い方をシャトル弁11c,11eへ供給する。シャトル弁11cはシャトル弁11bとシャトル弁11dから供給されるパイロット圧の高い方を第2ポンプ流量制御圧Pf3としてポンプ駆動装置50へ供給する。シャトル弁11fはバケットダンプパイロット圧とバケットクラウドパイロット圧の高い方をシャトル弁11eへ供給する。シャトル弁11eはシャトル弁11dとシャトル弁11fから供給されるパイロット圧の高い方を第2ポンプ流量制御圧Pf2としてポンプ駆動装置50へ供給する。第1ポンプ流量制御圧Pf1は第1ポンプ容積増加弁51a(図3)に対する指令信号(ポジコン圧)である。同様に、第2ポンプ流量制御圧Pf3は第2ポンプ容積増加弁51c(図3)に対する指令信号(ポジコン圧)、第2ポンプ流量制御圧Pf2は第2ポンプ容積増加弁51b(図3)に対する指令信号(ポジコン圧)である。
【0027】
・操作量検出器
操作量検出器は、旋回パイロット圧センサ12、ブーム上げパイロット圧センサ13及び第2ポンプ流量制御圧センサ14a,14bを含む。旋回パイロット圧センサ12は、左操作レバー1aによる旋回操作量(この例では左旋回パイロット圧Pl又は右旋回パイロット圧Pr)を検出する旋回操作量検出器であり、シャトル弁11aとポンプ駆動装置50の間の油路に設けられている。ブーム上げパイロット圧センサ13は、右操作レバー1bによるブーム上げ操作量(この例ではブーム上げパイロット圧Pu)を検出するブーム上げ操作量検出器であり、ブーム上げパイロット圧の出力ラインにおける右操作レバー1bとシャトル弁11dの間の油路に設けられている。第2ポンプ流量制御圧センサ14aは、ブーム操作量及びバケット操作量の最大値(第1最大操作量、この例では第2ポンプ流量制御圧Pf2)を検出する第1の最大操作量検出器であり、シャトル弁11eとポンプ駆動装置50の間の油路に設けられている。第2ポンプ流量制御圧センサ14bは、ブーム操作量及びアーム操作量の最大値(第2最大操作量、この例では第2ポンプ流量制御圧Pf3)を検出する第2の最大操作量検出器であり、シャトル弁11cとポンプ駆動装置50の間の油路に設けられている。
【0028】
・ポンプ制御弁
ポンプ制御弁は、ポンプ流量制御弁15及びポンプトルク制御弁16a,16bを含む。ポンプ流量制御弁15は第1ポンプ流量制御圧Pf1を制御する制御弁である。このポンプ流量制御弁15は、第1油圧ポンプ2aの吐出流量を制御する役割を果たし、シャトル弁11aとポンプ駆動装置50の間の油路に設けられている。ポンプトルク制御弁16aはポンプ駆動装置50に入力される第1ポンプトルク制御圧Pt1(後述)及び第2ポンプトルク制御圧Pt2(後述)を制御する制御弁である。このポンプトルク制御弁16aは、第1油圧ポンプ2a及び第2油圧ポンプ2bの吸収トルクを制御する役割を果たし、パイロット油圧源17とポンプ駆動装置50の間の油路に設けられている。ポンプトルク制御弁16bは、ポンプ駆動装置50に入力される第2ポンプトルク制御圧Pt3を制御する制御弁である。このポンプトルク制御弁16bは、第2油圧ポンプ2cの吸収トルクを制御する役割を果たし、パイロット油圧源17とポンプ駆動装置50の間の油路に設けられている。本実施形態におけるポンプ流量制御弁15、ポンプトルク制御弁16a,16bはいずれも減圧方式のノーマルオープン弁で構成されている。
【0029】
・コントローラ
コントローラ100は、旋回パイロット圧センサ12、ブーム上げパイロット圧センサ13及び第2ポンプ流量制御圧センサ14a,14bから入力された旋回パイロット圧、ブーム上げパイロット圧及び第2ポンプ流量制御圧Pf2,Pf3に基づき、ポンプ流量制御弁指令Sf1及びポンプトルク制御弁指令St12,St3を演算して出力し、ポンプ流量制御弁15及びポンプトルク制御弁16a,16bを駆動する。コントローラ100の詳細については後述する。
【0030】
3.ポンプ駆動装置
図3はポンプ駆動装置50の回路図である。図3に示したポンプ駆動装置50は、第1ポンプ容積増加弁51a、第2ポンプ容積増加弁51b,51c、第1ポンプ容積減少弁52a、第2ポンプ容積減少弁52b,52c、第1ストローク抑制弁53a及び第2ストローク抑制弁53b,53cを備えている。第1ポンプ容積増加弁51a、第1ポンプ容積減少弁52a及び第1ストローク抑制弁53aは、第1油圧ポンプ2aの斜板にリンクを介して機械的に連結されていて、第1油圧ポンプ2aの容積を制御する役割を果たす。同様に第2ポンプ容積増加弁51b、第2ポンプ容積減少弁52b及び第2ストローク抑制弁53bは、第2油圧ポンプ2bの斜板にリンクを介して機械的に連結されていて、第2油圧ポンプ2bの容積を制御する役割を果たす。第2ポンプ容積増加弁51c、第2ポンプ容積減少弁52c及び第2ストローク抑制弁53cは、第2油圧ポンプ2cの斜板にリンクを介して機械的に連結されていて、第2油圧ポンプ2cの容積を制御する役割を果たす。
【0031】
第1ポンプ容積増加弁51a及び第2ポンプ容積増加弁51b,51cは、一方側(図中右側)からバネで付勢され、他方側(図中左側)にパイロット受圧部を有している。第1ポンプ容積増加弁51aのパイロット受圧部には第1ポンプ流量制御圧Pf1が入力され、これにより第1ポンプ容積増加弁51aが図中右側に付勢されると第1油圧ポンプ2aの容積が増加して吐出流量が増加する。同様に第2ポンプ容積増加弁51b,51cのパイロット受圧部には第2ポンプ流量制御圧Pf2,Pf3が入力され、これにより第2ポンプ容積増加弁51b,51cが図中右側に付勢されると第2油圧ポンプ2b,2cの吐出流量が増加する。
【0032】
第1ポンプ容積減少弁52a及び第2ポンプ容積減少弁52b,52cは、一方側(図中右側)にパイロット受圧部を有し、他方側(図中左側)からバネで付勢されている。第1ポンプ容積減少弁52aのパイロット受圧部には第1ポンプトルク制御圧Pt1、第1油圧ポンプ2aの吐出圧Pd1及び第2油圧ポンプ2bの吐出圧Pd2が入力され、これにより駆動される。これら圧力による合計の付勢力によって第1ポンプ容積減少弁52aが図中左側に付勢されると、第1油圧ポンプ2aの吐出流量が減少し、第1油圧ポンプ2aの吸収トルクが制限される。同様に第2ポンプ容積減少弁52bのパイロット受圧部には第2ポンプトルク制御圧Pt2、第1油圧ポンプ2aの吐出圧Pd1及び第2油圧ポンプ2bの吐出圧Pd2が入力され、これにより駆動される。これら圧力による合計の付勢力によって第2ポンプ容積減少弁52bが図中左側に付勢されると、第2油圧ポンプ2bの吐出流量が減少し、第2油圧ポンプ2bの吸収トルクが制限される。第2ポンプ容積減少弁52cのパイロット受圧部には第2ポンプトルク制御圧Pt3及び第2油圧ポンプ2cの吐出圧Pd3が入力され、これら圧力による合計の付勢力により第2ポンプ容積減少弁52cが図中左側に付勢されると第2油圧ポンプ2cの吸収トルクが制限される。
【0033】
また、第2ストローク抑制弁53bの図中右側にはパイロット油圧源17の圧力が直接作用し、図中左側には第2ポンプ容積増加弁51b及び第2ポンプ容積減少弁52bで減圧されたパイロット油圧源17のパイロット圧が作用する。第2ポンプ容積増加弁51b、第2ポンプ容積減少弁52b及び第2ストローク抑制弁53bが図中右側へ移動すると第2ストローク抑制弁53bの図中左側に作用する圧力が下がり、第2ポンプ容積増加弁51b、第2ポンプ容積減少弁52b及び第2ストローク抑制弁53bが図中左側へ移動すると第2ストローク抑制弁53bの図中右側に作用する圧力が下がる。つまり、第2ストローク抑制弁53bには、両側に作用する圧力の差に応じた復元力が働き、第2ポンプ容積増加弁51b、第2ポンプ容積減少弁52b及び第2ストローク抑制弁53bの移動が抑制され、同一の圧力条件下では第2油圧ポンプ2bの吐出流量が一定に維持される。第1ストローク抑制弁53a及び第2ストローク抑制弁53cも第2ストローク抑制弁53bと同様の構成であり、同様の働きをする。
【0034】
4.コントローラ
図4はコントローラ100の機能ブロック図である。同図に示したコントローラ100は、ブーム上げパイロット圧選択部101、旋回目標パワー演算部102、旋回目標流量演算部103、ポンプ流量制御部104、ブーム目標パワー演算部105、アーム目標パワー演算部106、バケット目標パワー演算部107及びポンプトルク制御部108を含む。以下、各機能部について説明する。
【0035】
4−1.ブーム上げパイロット圧選択部
図5はブーム上げパイロット圧選択部101の回路図である。同図に示したように、ブーム上げパイロット圧選択部101は、判定器101a−101c、スイッチ101d及び選択器101eを備えている。判定器101a−101cは、ブーム上げパイロット圧センサ13の故障を判定する機能部である。具体的には、ブーム上げパイロット圧センサ13で検出されたブーム上げパイロット圧Puが所定の下限閾値S0よりも小さいかどうかを判定器101aによって、所定の上限閾値S1(<S0)よりも大きいかどうかを判定器101bによって判定し、更に判定器101cによっていずれか一方が真である場合に(つまりS1<Pu<S0ではない場合に)ブーム上げパイロット圧センサ13が故障中であると判定する。スイッチ101dは判定器101cの出力によって切り換わり、ブーム上げパイロット圧センサ13正常であると判定された場合(S1<Pu<S0である場合)にはブーム上げパイロット圧Puを選択してブーム上げパイロット圧Pusとして出力する。反対に、ブーム上げパイロット圧センサ13が故障中であると判定された場合(Pu≦S1又はS0≦Puである場合)には、スイッチ101dが切り換わって選択器101eの出力がブーム上げパイロット圧Pusとして出力される。選択器101eの出力は、第2ポンプ流量制御圧Pf2,Pf3のいずれか大きい方である。ブーム上げパイロット圧Pusは、旋回目標パワー演算部102及びブーム目標パワー演算部105に出力される。
【0036】
4−2.旋回目標パワー演算部
図6は旋回目標パワー演算部102の回路図である。旋回目標パワー演算部102は、旋回パイロット圧Pl又はPr、及びブーム上げパイロット圧Pusから旋回用油圧モータ3の目標パワー(以下、旋回目標パワーHsという)を演算する機能部である。この旋回目標パワー演算部102は、旋回パイロット圧Pl又はPrが大きいほど旋回目標パワーHsを大きくする一方で、ブーム上げパイロット圧Pusが大きいほど旋回目標パワーHsを小さくする補正をする。具体的には、旋回目標パワー演算部102は、旋回パイロット圧Pl又はPrからマップ102aを用いて旋回目標パワーHsを演算する。マップ102aにおける旋回パイロット圧Pl,Prと旋回目標パワーHsとの関係はブーム上げパイロット圧Pusに応じて複数用意されており、ブーム上げパイロット圧Pusが高くなるほど演算される旋回パイロット圧Pl又はPrに対する旋回目標パワーHsが小さくなる。旋回目標パワーHsは旋回目標流量演算部103及びポンプトルク制御部108に出力される。
【0037】
4−3.旋回目標流量演算部
図7は旋回目標流量演算部103の回路図である。旋回目標流量演算部103は、旋回パイロット圧Pl又はPr、及び旋回目標パワーHsから第1油圧ポンプ2aの目標流量(以下、旋回目標流量Ftsという)を演算する機能部である。この旋回目標流量演算部103は、旋回パイロット圧Pl又はPrが大きいほど旋回目標流量Ftsを大きくする一方で、旋回目標パワー演算部102から入力された旋回目標パワーHsが小さいほど旋回目標流量Ftsの増加速度を小さくする補正をする。具体的には、旋回目標流量演算部103は、マップ103a,103c及びレート制限器103bを備えている。旋回パイロット圧Pl又はPrが入力されると、マップ103aを用いて旋回パイロット圧Pl又はPrに応じた旋回基準流量が生成される。この旋回基準流量の増加速度は、レート制限器103bにより制限されて旋回目標流量Ftsとして演算される。レート制限器103bで用いられる増加速度の制限値は、旋回目標パワーHsからマップ103cを用いて演算された値である。マップ103cは、旋回目標パワーHsが大きいほど旋回目標流量Ftsの増加速度が大きくなるように設定してある。旋回目標パワー演算部102ではブーム上げパイロット圧Pusが高いほど旋回目標パワーHsが小さくなるので、ブーム上げパイロット圧Pusが高いほど旋回目標流量Ftsの増加速度が小さくなる。旋回目標流量演算部103で演算された旋回目標流量Ftsは、ポンプ流量制御部104及びブーム目標パワー演算部105に出力される。
【0038】
4−4.ポンプ流量制御部
図8はポンプ流量制御部104の回路図である。ポンプ流量制御部104は、旋回目標流量演算部103から入力された旋回目標流量Ftsに応じて第1油圧ポンプ2aの吐出流量を制御する機能部である。具体的には、ポンプ流量制御部104は、旋回目標流量Ftsからマップ104aを用いて前述したポンプ流量制御弁指令Sf1を演算してポンプ流量制御弁15に出力する。マップ104aは旋回目標流量Ftsが大きいほどポンプ流量制御弁指令Sf1を小さくし、ポンプ流量制御弁15の吐出圧が高くなるように設定してある。
【0039】
4−5.ブーム目標パワー演算部
図9はブーム目標パワー演算部105の回路図である。ブーム目標パワー演算部105は、ブーム上げパイロット圧選択部101で演算されたブーム上げパイロット圧Pus、及び旋回目標流量演算部103で演算された旋回目標流量Ftsからブーム目標パワーHbo1,Hbo2を演算する機能部であり、マップ105a,105b、乗算器105c及び減算器105dを備えている。ブーム上げパイロット圧Pus及び旋回目標流量Ftsが入力されると、これらを基にマップ105aに従ってブーム目標パワーHboが生成される。マップ105aは、ブーム上げパイロット圧Pusが大きいほどブーム目標パワーHboが大きくなり、旋回目標流量Ftsが大きいほどブーム目標パワーHboが小さくする補正がされるように設定してある。例えば、マップ105aにおけるブーム上げパイロット圧Pusとブーム目標パワーHboとの関係は旋回目標流量Ftsに応じて複数用意されており、旋回目標流量Ftsが大きいほど演算されるブーム上げパイロット圧Pusに対するブーム目標パワーHboが小さくなるように設定してある。同時に、ブーム上げパイロット圧Pusからマップ105bを用いてブーム目標パワー比率Rが演算される。ブーム目標パワー比率Rは、乗算器105cでブーム目標パワーHboに乗じられ、ブーム目標パワーHboにブーム目標パワー比率Rを乗じた値が、第2油圧ポンプ2cに振り分けるブームシリンダ4の目標トルクであるブーム目標パワーHbo2として演算される。そして、減算器105dでブーム目標パワーHboからブーム目標パワーHbo2を差し引かれた値が、第2油圧ポンプ2bに振り分けるブームシリンダ4の目標トルクであるブーム目標パワーHbo1として演算される。マップ105bの特性は、例えばブーム上げパイロット圧Pusに対するブーム用方向制御弁22,23の開口面積の比を基に、ブーム用方向制御弁23の開口面積が大きいほどブーム目標パワー比率Rが大きくなるように定めても良い。ブーム目標パワーHbo1,Hbo2はポンプトルク制御部108に出力される。
【0040】
4−6.アーム目標パワー演算部
図10はアーム目標パワー演算部106の回路図である。アーム目標パワー演算部106は、第2ポンプ流量制御圧センサ14bからの第2ポンプ流量制御圧Pf3の検出信号を基にアーム目標パワーHarを演算する機能部である。本実施形態のアーム目標パワー演算部106では、マップ106aを用いて第2ポンプ流量制御圧Pf3に応じたアーム目標パワーHarが演算される。演算されたアーム目標パワーHarはポンプトルク制御部108に出力される。
【0041】
4−7.バケット目標パワー演算部
図11はバケット目標パワー演算部107の回路図である。バケット目標パワー演算部107は、第2ポンプ流量制御圧センサ14aからの第2ポンプ流量制御圧Pf2の検出信号を基にバケット目標パワーHbuを演算する機能部である。本実施形態のバケット目標パワー演算部107では、マップ107aを用いて第2ポンプ流量制御圧Pf2に応じたバケット目標パワーHbuが演算される。演算されたバケット目標パワーHbuはポンプトルク制御部108に出力される。
【0042】
4−8.ポンプトルク制御部
図12はポンプトルク制御部108の回路図である。ポンプトルク制御部108は、選択器108a,108d、加算器108b及びマップ108c,108eを備えている。このポンプトルク制御部108は、先に演算された旋回目標パワーHs、ブーム目標パワーHbo1及びバケット目標パワーHbuに基づいてポンプトルク制御弁16aに対するポンプトルク制御弁指令St12を演算する機能部である。同時に、ポンプトルク制御部108は、ブーム目標パワーHbo2及びアーム目標パワーHarに基づいてポンプトルク制御弁16bに対するポンプトルク制御弁指令St3を演算する機能部でもある。
【0043】
ブーム目標パワーHbo1及びバケット目標パワーHbuが入力されると、選択器108aで大きい方が選択され、これが加算器108bで旋回目標パワーHsに足し合わせられてポンプ目標パワーHp12が演算される。ポンプ目標パワーHp12が演算されると、マップ108cを用いてポンプ目標パワーHp12に応じたポンプトルク制御弁指令St12が演算され、ポンプ値トルク制御弁16aに出力される。
【0044】
一方、ブーム目標パワーHbo2とアーム目標パワーHarが入力されると、選択器108dで大きい方がポンプ目標パワーHp3として選択される。ポンプ目標パワーHp3が定まると、マップ108eを用いてポンプ目標パワーHp3に応じたポンプトルク制御弁指令St3が演算され、ポンプトルク制御弁16bに出力される。
【0045】
マップ108c,108eは、ポンプ目標パワーHp12,Hp3が大きいほどポンプトルク制御弁指令St12,St3が大きくなり、ポンプトルク制御弁16a,16bの吐出圧(つまり第1ポンプトルク制御圧Pt1及び第2ポンプトルク制御圧Pt2,Pt3)が低くなるように設定してある。先にポンプ駆動装置50の構成を説明した通り、ポンプトルク制御弁16aの吐出圧が低くなると第2油圧ポンプ2b及び第1油圧ポンプ2aの吐出流量が増加し、ポンプトルク制御弁16bの吐出圧が低くなると第2油圧ポンプ2cの吐出流量が増加する。
【0046】
5.効果
(1)良好な複合操作性
上記構成の油圧システムによれば、旋回目標パワー演算部102で演算される旋回目標パワーHsは、旋回操作量(つまり旋回パイロット圧Pl又はPr)が大きいほど大きくなる。このとき、旋回ブーム上げ操作時(つまり旋回パイロット圧Pl又はPrとブーム上げパイロット圧Puとがコントローラ100に同時に入力された場合)には、前述した通りブーム上げ操作量(つまりブーム上げパイロット圧Pus)が大きいほど、旋回目標パワーHsは旋回操作量に応じた値よりも小さく補正されて算出される。旋回目標流量演算部103で演算される旋回目標流量Ftsは、旋回目標パワーHsが小さいほど旋回操作量に応じた値よりも増加速度が小さく補正される。これにより、旋回ブーム上げ時には、旋回単独動作時と比較してブーム上げ操作量が大きいほど旋回加速度が遅くなる。従って、旋回ブーム上げ操作時の「良好な複合操作性」が得られる。
【0047】
(2)エネルギー効率
旋回用油圧モータ3とブームシリンダ4とを異なる油圧ポンプ(第1油圧ポンプ2a及び第2油圧ポンプ2b,2c)で駆動するので、共通の油圧ポンプで駆動する構成で発生するような分流損失を抑制することができる。また、旋回操作量のみならずブーム上げ操作量に応じて第1油圧ポンプ2aの吐出流量が制御されるので、旋回速度を調節するのに第1及び第2油圧ポンプ2b,2cとブームシリンダ4の間の圧損が増大することがなく、燃費悪化を抑制することができる。
【0048】
(3)信頼性
判定器101a−101cでブーム上げパイロット圧センサ13が故障していると判定された場合、前述した通り第2ポンプ流量制御圧Pf2,Pf3の大きい方の信号がブーム上げパイロット圧Puの代替信号としてブーム上げパイロット圧選択部101から出力される。シャトル弁11b−11fの接続関係から分かる通り、ブーム上げパイロット圧Puが第2ポンプ流量制御圧Pf2,Pf3の候補の一つであるため、ブーム上げ操作が行われれば第2ポンプ流量制御圧Pf2,Pf3も立ち上がる。従って、第2ポンプ流量制御圧Pf2,Pf3をブーム上げパイロット圧選択部101に入力することにより、ブーム上げパイロット圧センサ13が故障していても、ブーム上げ操作がなされた可能性があることを検出できる。そのため、ブーム上げパイロット圧センサ13が故障した場合であっても、第2ポンプ流量制御圧Pf2又はPf3を代替的にブーム上げパイロト圧Pusとすることによって旋回ブーム上げ操作時の良好な複合操作性が確保され得る。
【0049】
また、第2油圧ポンプ2bの吐出圧Pd2が第1ポンプ容積減少弁52aに作用する構成としてある。つまり、ブーム上げ操作がなされブームシリンダ4と第2油圧ポンプ2bが連通すると、ブームシリンダ4の負荷圧が第2油圧ポンプ2bの吐出圧Pd2として第1ポンプ容積減少弁52aに作用する。従って、ブーム上げパイロット圧センサ13の故障の有無によらず、旋回ブーム上げ操作時にはブームシリンダ4の負荷圧が第1ポンプ容積減少弁52aに作用することによって第1油圧ポンプ2aの吐出流量が抑えられ、旋回加速度が抑えられる。この点においても良好な複合操作性が確保され得る。
【0050】
(4)その他
ブーム目標パワー演算部105におけるマップ105aは、前述した通り旋回目標流量Ftsが大きいほどブーム上げパイロット圧Pusに対して演算されるブーム目標パワーHboが小さくなるように設定されている。これにより、旋回ブーム上げ操作の際に旋回速度が大きくなって旋回負荷圧が下がった場合にブーム上げ速度を遅くすることができる。これも良好な複合操作性に寄与し得る。
【0051】
6.その他
本実施形態ではパイロット式の操作レバー1a,1bを用いた場合を例に挙げたが、旋回用操作装置やブーム用操作装置等の各種操作装置に電気レバーを用いても良い。旋回用操作装置やブーム用操作装置に電気レバーを用いた場合、ポンプ流量制御弁15やポンプトルク制御弁16a,16bは省略可能である。また、操作量検出器には、旋回パイロット圧センサ12やブーム上げパイロット圧センサ13等に代えて、例えば電気レバー操作量を直接検出するポテンショメータを用いることができる。この場合、例えば第1ポンプトルク制御圧Pt1、第2ポンプトルク制御圧Pt2,Pt3と同じように、パイロット油圧源17(又は別のパイロット油圧源)のパイロット圧を電磁弁で減圧する構成とし、ポテンショメータの信号を基にコントローラ100で演算された指令信号で電磁弁を制御して、第1ポンプ流量制御圧Pf1、第2ポンプ流量制御圧Pf2,Pf3に相当する制御圧信号を生成するようにすれば、上記実施形態と同様の機能を実現することができる。
【0052】
また、旋回用操作装置やブーム用操作装置に電気レバーを用いる場合、ポンプ流量制御弁15やポンプトルク制御弁16a,16bを省略すると共に、第1ポンプ容積増加弁51a及び第2ポンプ容積増加弁51b,51cは電磁駆動式、第1ポンプ容積減少弁52a及び第2ポンプ容積減少弁52b,52cは電磁パイロット式とする構成も考えられる。この場合、第1ポンプ流量制御圧Pf1、第2ポンプ流量制御圧Pf2,Pf3、第1ポンプトルク制御圧Pt1、第2ポンプトルク制御圧Pt2,Pt3に相当する制御圧信号をポテンショメータの信号を基にコントローラ100で演算し、それぞれ第1ポンプ容積増加弁51a、第2ポンプ容積増加弁51b,51c、第1ポンプ容積減少弁52a及び第2ポンプ容積減少弁52b,52cのソレノイド駆動部に出力する構成とすることで上記実施形態と同様の機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0053】
1a…左操作レバー(旋回用操作装置、他の操作装置)、1b…右操作レバー(ブーム用操作装置、他の操作装置)、2a…第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプ2b,2c、3…旋回用油圧モータ、4…ブームシリンダ、5…アームシリンダ(他の油圧アクチュエータ)、6…バケットシリンダ(他の油圧アクチュエータ)、8…走行体、9…旋回体、10…作業装置、12…旋回パイロット圧センサ(旋回操作量検出器)、13…ブーム上げパイロット圧センサ(ブーム上げ操作量検出器)、14a,14b…第2ポンプ流量制御圧センサ(最大操作量検出器)、15…ポンプ流量制御弁、35…ブーム、51a…第1ポンプ容積増加弁、52a…第1ポンプ容積減少弁、100…コントローラ、101a−101c…判定器、101d…スイッチ、102…旋回目標パワー演算部、103…旋回目標流量演算部、104…ポンプ流量制御部、Fts…旋回目標流量、Hs…旋回目標パワー、Pf1…第1ポンプ流量制御圧(第1ポンプ流量制御信号)、Pf2,Pf3…第2ポンプ流量制御圧(最大操作量)、Pl,Pr…旋回パイロット圧(旋回操作量)、Pu,Pus…ブーム上げパイロット圧(ブーム上げ操作量)、Sf1…ポンプ流量制御弁指令
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】