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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年4月13日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】回転子および回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   H02K1/27 501G
   H02K1/27 501A
   H02K1/27 501K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2017-544461(P2017-544461)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年9月27日
(31)【優先権主張番号】特願2015-200640(P2015-200640)
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(72)【発明者】
【氏名】中野 愛子
(72)【発明者】
【氏名】坂上 篤史
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CA14
5H622CB01
5H622PP19
(57)【要約】
軸方向Yに貫通する挿入孔(7)が周方向(X)に間隔を隔てて複数個形成された回転子鉄心(30)と、挿入孔(7)にそれぞれ配設された磁石(6)とを有する回転子(3)において、挿入孔(7)の孔内側周面(81)と磁石(6)の磁石内側周面(91)とは接触せず空間(51、52)を形成し、挿入孔(7)の孔外側周面(80)と磁石(6)の磁石外側周面(90)との間には接着層部(11、12)が形成されるとともに、接着層部(11、12)が接している挿入孔(7)の孔外側周面(80)および磁石(6)の磁石外側周面(90)は平面形状にて形成され、空間(51、52)の径方向(X)の幅(T1、T3)が、接着層部(11、12)の径方向(X)の幅(T2、T4)より長く形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に貫通する挿入孔が周方向に間隔を隔てて複数個形成された回転子鉄心と、
前記挿入孔にそれぞれ配設された磁石とを有する回転子において、
前記挿入孔の孔内側周面と前記磁石の磁石内側周面とは接触せず空間を形成し、
前記挿入孔の孔外側周面と前記磁石の磁石外側周面との間には接着層部が形成されるとともに、前記接着層部が接している前記挿入孔の孔外側周面および前記磁石の磁石外側周面は平面形状にて形成され、
前記空間の径方向の幅が、前記接着層部の径方向の幅より長く形成されている回転子。
【請求項2】
前記挿入孔の前記孔内側周面および前記磁石の前記磁石内側周面は、径方向の内側凸となる円弧面形状にて形成されている請求項1に記載の回転子。
【請求項3】
前記磁石の前記磁石外側周面と、前記磁石の周方向側端面との成す角が90°にて形成されている請求項1または請求項2に記載の回転子。
【請求項4】
前記磁石は、前記挿入孔の磁極中心軸に対して近い側の径方向の幅が、前記挿入孔の磁極中心軸に対して離れている側の径方向の幅より長く形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項5】
前記挿入孔の前記孔内側周面には、径方向の外側に突出する第一突起部が形成されており、前記第一突起部は前記磁石の周方向側端面と接触して形成されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項6】
各前記挿入孔の内、ブリッジ部にて分割されている挿入孔を備えた回転子において、
前記ブリッジ部にて分割されている前記挿入孔は、前記挿入孔の磁極中心軸に対して左右対称に前記磁石が配置されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項7】
前記ブリッジ部にて分割されている前記挿入孔の前記ブリッジ部には、前記挿入孔の前記磁石側に突出し前記磁石と接触する第二突起部が形成されている請求項6に記載の回転子。
【請求項8】
前記挿入孔の孔周方向側端面は、円弧形状にて形成されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項9】
前記挿入孔は、径方向において複数層にて形成されている請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の回転子と、
前記回転子鉄心を回転する回転軸と、
前記回転子とエアギャップを介して配設されるとともにコイルを有する固定子とを備えた
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トルク性能の低下を抑え、安定的に磁石を保持することができる回転子および回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機や発電機として使用される回転電機において、小型化、高速回転化および高出力化が求められている。小型、高速回転化、および高出力の回転電機を実現するための1つの方法として、回転子に磁石を埋め込んだ形状で、リラクタンストルクを活用し、磁石によるマグネットトルクと合わせることで発生トルクを高める方法がある。
【0003】
しかし、回転電機の小型化、高速回転化および高出力化を達成しようとした場合、回転子に埋め込む磁石の形状によって発生トルクが大きく変化する恐れが生じるといった問題があった。これに対し、従来、磁石の形状を矩形形状から半径方向の内径側に凸となる形状にて形成することでリラクタンストルクを活用し、発生トルクを向上させるものが提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−6124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の回転子および回転電機において、磁石の形状は、半径方向の内径側に凸となる形状にて形成し、トルクの向上を図っていた。しかし、半径方向の内径側に凸となるような磁石の形状は、磁石を成形しにくく、磁石挿入孔に挿入するための位置決めをしにくく、磁石を挿入時に磁石を保持しにくく、磁石に接着剤を塗布しにくいという問題点があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、トルク性能の低下を抑えるとともに、安定的に磁石を保持することができる回転子および回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の回転子は、
軸方向に貫通する挿入孔が周方向に間隔を隔てて複数個形成された回転子鉄心と、
前記挿入孔にそれぞれ配設された磁石とを有する回転子において、
前記挿入孔の孔内側周面と前記磁石の磁石内側周面とは接触せず空間を形成し、
前記挿入孔の孔外側周面と前記磁石の磁石外側周面との間には接着層部が形成されるとともに、前記接着層部が接している前記挿入孔の孔外側周面および前記磁石の磁石外側周面は平面形状にて形成され、
前記空間の径方向の幅が、前記接着層部の径方向の幅より長く形成されているものである。
【0008】
この発明の回転電機は、
上記のように構成された回転子と、
前記回転子鉄心を回転する回転軸と、
前記回転子とエアギャップを介して配設されるとともにコイルを有する固定子とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の回転子および回転電機によれば、
トルク性能の低下を抑えるとともに、安定的に磁石を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1の回転子の構成を示す平面図である。
図2図1に示した回転子の構成を示す部分拡大平面図である。
図3図2に示した回転子の構成を示す部分拡大平面図である。
図4図1に示した回転子を用いた回転電機の構成を示す斜視図である。
図5図3に示した回転電機の構成を示す平面図である。
図6】この発明の回転電機と、比較例の回転電機との磁石の利用率を示す図である。
図7】この発明の実施の形態2の回転子の構成を示す平面図である。
図8図7に示した回転子の構成を示す部分拡大平面図である。
図9図8に示した回転子の構成を示す部分拡大平面図である。
図10】この発明の回転電機と、比較例の回転電機との磁石の利用率を示す図である。
図11】この発明の実施の形態3の回転子の構成を示す平面図である。
図12図11に示した回転子の構成を示す部分拡大平面図である。
図13図12に示した回転子の構成を示す部分拡大平面図である。
図14】この発明の回転電機と、比較例の回転電機との磁石の利用率を示す図である。
図15】この発明の実施の形態4の回転子の構成を示す平面図である。
図16図15に示した回転子の構成を示す部分拡大平面図である。
図17図16に示した回転子の構成を示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態1の回転子の構成を示す平面図である。図2図1に示した回転子の1/8モデルの構成を示す部分拡大平面図である。図3図2に示した回転子のさらに半分の構成を示す部分拡大平面図である。図4図1に示した回転子を用いた回転電機の構成を示す斜視図である。図5図4に示した回転電機の構成を示す平面図である。図6はこの発明の回転電機と、比較例の回転電機との磁石の利用率を示す図である。尚、図2においてのみ、構造物を理解するためのハッチングを付して示している。他の図においては、同様の構造物から構成されているものであり、ハッチングは省略して示している。
【0012】
また、本実施の形態においては、8極48スロットの永久磁石型の回転電機1の例を用いて説明する。但し、回転電機1の極数およびスロット数は適宜増減可能であり、本実施の形態および以下の実施の形態においても同様に構成することができるため、その説明は適宜省略する。
【0013】
図4および図5において、回転電機1は、固定子2と、回転子3と、シャフト4にて構成される。回転電機1の外周側から、固定子2、回転子3、シャフト4の順番に配設されている。固定子2は回転子3と空隙であるエアギャップ5を有して配設されている。このエアギャップ5は、径方向Xの間隔Lが0.1mm〜2.5mmにて形成される。
【0014】
固定子2は、固定子鉄心20とコイル21とを有している。固定子鉄心20は、円環状に形成されている。そして、固定子鉄心20は、例えば、電磁鋼板が軸方向Yに複数枚積層されて構成されている。そして、1枚の電磁鋼板の厚さは、0.1mmから1.0mmの間を使用する場合が多い。尚、本実施の形態では、固定子鉄心20を電磁鋼板にて構成する例を示したが、これに限られることなく、電磁鋼板以外にて構成することも可能であり、以下の実施の形態においても同様に構成することができるため、その説明は適宜省略する。また、固定子鉄心20に巻回されているコイル21は、分布巻き、または、集中巻きのどちらで形成されていてもよい。
【0015】
回転子3は、回転子鉄心30が軸心位置に挿通されたシャフト4に固定され形成されている。回転子3は、回転子鉄心30が固定子2の内側に配置されるとともに、永久磁石6を備えた永久磁石型回転子である。そして、シャフト4は、例として焼きばめまたは圧入等にて回転子鉄心30に固定されている。
【0016】
次に、図1から図3において、回転子3の構成の詳細について説明する。図1に示すように、回転子3は、軸方向Yに貫通する挿入孔7が周方向Zに間隔を隔てて複数個形成された回転子鉄心30と、各挿入孔7にそれぞれ配設された各永久磁石6(以下、永久磁石は磁石として示す)と、回転子鉄心30を回転するためのシャフト4とから構成されている。
【0017】
よって、各磁石6は、各挿入孔7に挿入することが可能な大きさおよび形状にて形成されている。尚、以下の説明において、磁石6および挿入孔7と示すときは、回転子3における、全ての磁石6および挿入孔7を指すものとして示している。
【0018】
図2に示すように、挿入孔7は、回転子鉄心30の周方向Zに間隔を隔てて複数個形成されるとともに、径方向Xに複数層にて形成されている。本実施の形態においては、挿入孔7が径方向Xに二層に並んだ場合について説明する。挿入孔7は、第一挿入孔71と第二挿入孔72との2層を有している。また、第一挿入孔71は、第一ブリッジ部41を磁極中心軸上に形成し、当該中心軸上において、左右線対称な形状にて第一挿入孔71Aおよび第一挿入孔71Bが分割して形成されている。そして、第二挿入孔72は、第二ブリッジ部42を磁極中心軸上に形成し、当該中心軸上において、左右線対称な形状にて第二挿入孔72Aおよび第二挿入孔72Bが分割して形成されている。
【0019】
そして、第一挿入孔71Aおよび第一挿入孔71Bには、第一磁石61Aおよび第一磁石61Bが、第二挿入孔72Aおよび第二挿入孔72Bには、第二磁石62Aおよび第二磁石62Bがそれぞれ挿入されている。よって、第一磁石61は、第一磁石61Aおよび第一磁石61Bにて構成されることとなる。そして、第二磁石62は、第二磁石62Aおよび第二磁石62Bにて構成されることとなる。また、各磁石6は、特に図3に示すように、各挿入孔7の磁極中心軸に対して近い側の径方向Xの幅H1が、各挿入孔7の磁極中心軸に対して離れている側の径方向Xの幅H2より長く形成されている。
【0020】
そして、図3に示すように、第一挿入孔71の孔外側周面80と、第一磁石61の磁石外側周面90との間には、第一接着層部11が形成され固定されている。また、第二挿入孔72の孔外側周面80と、第二磁石62の磁石外側周面90との間には、第二接着層部12が形成され固定されている。
【0021】
そして、この第一接着層部11が形成されている、第一挿入孔71の径方向Xの外側の周方向Zの側面である孔外側周面80は、平面状にてそれぞれ形成されている。さらに、この第一接着層部11が形成されている、第一磁石61の径方向Xの外側の周方向Zの面である磁石外側周面90は、平面状にてそれぞれ形成されている。また同様に、第二接着層部12が形成されている、第二挿入孔72の径方向Xの外側の周方向Zの側面である孔外側周面80は、平面状にてそれぞれ形成されている。さらに、この第二接着層部12が形成されている、第二磁石62の径方向Xの外側の周方向Zの面である磁石外側周面90は、平面状にてそれぞれ形成されている。
【0022】
また、各挿入孔71、72の径方向Xの内側の周方向Zの側面である孔内側周面81は、回転子3の径方向Xの内側凸の円弧面形状にてそれぞれ形成されている。また、各磁石61、62の径方向Xの内側の周方向Zの面である磁石内側周面91は、回転子3の径方向Xの内側凸の円弧面形状にてそれぞれ形成されている。
【0023】
そして、挿入孔7および磁石6は各接着層部11、12にて接着されているとともに、第一挿入孔71の孔内側周面81と、第一磁石61の磁石内側周面91とは接触せず、空間が設けられており第一空隙部51が形成されている。また、第二挿入孔72の孔内側周面81と、第二磁石62の磁石内側周面91とは接触せず、空間が設けられており第二空隙部52が形成されている。
【0024】
そして、第一空隙部51の径方向Xにおける幅T1は、第一接着層部11の径方向Xにおける幅T2より長く形成されている。同様に、第二空隙部52の径方向Xにおける幅T3は、第二接着層部12の径方向Xにおける幅T4より長く形成されている。具体的には、幅T2、T4は、0.03mm〜0.15mm程度である。また、幅T1、T3は、幅T2、T4より長いものの、1mm以下程度にて形成されている。
【0025】
また、第一挿入孔71A、71Bの孔内側周面81には、径方向Xの外側に突出するとともに第一磁石61A、61Bの周方向Zの第一ブリッジ部41が形成されている側と反対側の周方向側端面93に接触する第一突起部82がそれぞれ形成されている。第一挿入孔71の第一ブリッジ部41には、第一挿入孔71の第一磁石61側に突出するとともに第一磁石61に接触する第二突起部83が形成されている。これら各突起部82、83は、第一挿入孔71に挿入された第一磁石61が、回転子鉄心30の回転時に移動しないための当て止めの役目を果たしている。
【0026】
さらに、第一挿入孔71A、71Bの孔周方向側端面84は、円弧形状にて形成されている。そして、第一挿入孔71A、71Bには第一磁石61A、61Bが配置されていない空隙があり、この部分がフラックスバリア部8となる。
【0027】
また、第二挿入孔72A、72Bの孔内側周面81には、径方向Xの外側に突出するとともに第二磁石62A、62Bの周方向Zの第二ブリッジ部42が形成されている側と反対側の周方向側端面93に接触する第一突起部82がそれぞれ形成されている。第二挿入孔72の第二ブリッジ部42には、第二挿入孔72の第二磁石62側に突出するとともに第二磁石62に接触する第二突起部83が形成されている。これら各突起部82、83は、第二挿入孔72に挿入された第二磁石62が、回転子鉄心30の回転時に移動しないための当て止めの役目を果たしている。
【0028】
さらに、第二挿入孔72A、72Bの孔周方向側端面84は、円弧形状にて形成されている。そして、第二挿入孔72A、72Bには第二磁石62A、62Bが配置されていない空隙があり、この部分がフラックスバリア部8となる。
【0029】
次に、上記のように構成された実施の形態1の回転電機の回転子の製造方法について説明する。まず、磁石6の磁石外側周面90上に接着剤を塗布する。尚、接着剤は、磁石6と挿入孔7とを固定するために可能な材料であれば、どの材料を使用してもよい。例えば、0.03mm〜0.15mm程度の厚み(幅T2、T4に相当)にて塗布されている。次に、磁石6を挿入孔7内に挿入する。この際、接着剤が必要箇所以外に付着しないように、磁石6の接着剤が塗布されている側の磁石外側周面90が挿入孔7の孔外側周面80に沿うようにして挿入する。
【0030】
次に、磁石6をそれぞれ径方向Xの外側に移動させて、磁石6上の接着剤を孔外側周面80に押し当て接着剤を硬化する。尚、この押し当てる工程は、磁石6または挿入孔7が割れたり、欠けたりすることない条件であればいずれの条件でもよく、磁石6を挿入孔7に押し当てる手段および回数は問わないものである。そして、磁石6の磁石外側周面90と挿入孔7の孔外側周面80との間には第一接着層部11、および第二接着層部12がそれぞれ形成される。また、磁石6の周方向側端面93は、第一突起部82、および、第二突起部83にそれぞれ接触している。
【0031】
この際、第一接着層部11および第二接着層部12が接着されている、磁石6の磁石外側周面90と挿入孔7の孔外側周面80とは平面状にて形成されているため、それぞれが曲面状にて形成されている場合と比較して、磁石6の位置決めが容易となり、磁石6と挿入孔7とが面接触となるため強固に安定的に固着することができる。さらに、磁石6の周方向側端面93は、第一突起部82、および、第二突起部83にそれぞれ接触しているため、磁石6の位置は安定的となる。
【0032】
そしてこの際、磁石6の磁石内側周面91と、挿入孔7の孔内側周面81とを接触せず、磁石6の磁石内側周面91と、挿入孔7の孔内側周面81との間には、空間が設けられており第一空隙部51、および第二空隙部52がそれぞれ形成される。
【0033】
次に、上記のようにして製造された回転子3を用いて回転電機1を組み立てる方法について説明する。固定子2は、主な材料である電磁鋼板を打ち抜いて固定子鉄心20を形成する。尚、固定子鉄心20の形成方法は、電磁鋼板の打ち抜きに限らない。次に、円環状に組み立てたコイル21に、絶縁シートを取り付け固定子鉄心20に挿入する。尚、コイル21および固定子鉄心20の組み立て方法はこの方法に限らなくてもよい。次に、上記のようにして製造された回転子3の回転子鉄心30にシャフト4を固定する。次に、固定子2にエアギャップ5を介して回転子3を挿入して組み立て回転電機1を製造する。尚、回転電機1の構成は、以下の実施の形態においても同様に構成することが可能なため、その説明および図示は省略する。
【0034】
上記のように構成された実施の形態1によれば、回転子が、挿入孔の孔内側周面と磁石の磁石内側周面とは接触せず空間を形成し、挿入孔の孔外側周面と磁石の磁石外側周面との間には接着層部が形成されるとともに、接着層部が接している挿入孔の孔外側周面および磁石の磁石外側周面は平面形状にて形成され、挿入孔と磁石との空間の径方向の幅が、接着層部の径方向の幅より長く形成されており、さらに当該回転子と、回転子鉄心を回転する回転軸と、回転子とエアギャップを介して配設されるとともにコイルを有する固定子とを備えた回転電機において、トルク性能の低下を抑えるとともに、安定的に磁石を保持することができる。
【0035】
具体的に、比較例として、挿入孔の孔内側周面と磁石の磁石内側周面との空間の径方向の幅が、挿入孔の孔外側周面と磁石の磁石外側周面との間の接着層部の径方向の幅より短く形成されている回転子と、本願発明に相当するとして、挿入孔の孔内側周面と磁石の磁石内側周面との空間の径方向の幅が、挿入孔の孔外側周面と磁石の磁石外側周面との間の接着層部の径方向の幅より長く形成されている回転子とにおける、それぞれの磁石の利用率を図6に示す。磁石の利用率の算出はどちらも同じ条件で実施した。尚、今回はトルクの指標となる、磁石の単位面積あたりのトルクの大きさとなる、磁石の利用率の結果を示している。図6から明らかなように、本発明は比較例と比べると磁石の利用率が大きいことが分かる。これより、本発明により、磁石の利用率の低下を抑えることが確認できた。
【0036】
また、磁石は、挿入孔の磁極中心軸に対して近い側の径方向の幅が、挿入孔の磁極中心軸に対して離れている側の径方向の幅より長く形成されているため、磁石の突極比を大きくすることができ、トルクを発生させるためのq軸インダクタンスLqとd軸インダクタンスLdの差を大きくし、トルクを増加させることができる。
【0037】
また、挿入孔の孔内側周面には、径方向の外側に突出する第一突起部が形成されており、第一突起部は磁石の周方向側端面と接触して形成されているため、回転子が回転した時に、磁石がはがれたとしても、磁石が第一突起部に接触しているため、回転子鉄心に加わる応力集中を緩和と位置精度の向上が可能となる。さらに、磁石の位置ずれによる磁束の向きのばらつきを低減することができる。
【0038】
また、ブリッジ部にて分割されている挿入孔は、挿入孔の磁極中心軸に対して左右対称に磁石が配置されているため、ラジアルに配向するのではなく、平行に配向しても、磁極の中心に配向を集めることができる。ここでのラジアル配向とは、磁石の成形工程内の磁場を印加する時に放射状に配向磁場を加えて成形した磁石を指し、平行配向とは、磁石の成形工程内の磁場を印加する時に平行に配向磁場を加えて成形した磁石を指す。配向磁場を均一に調整するにはラジアル配向よりも平行配向の方が調整しやすい。
【0039】
また、ブリッジ部にて分割されている挿入孔のブリッジ部には、挿入孔の磁石側に突出し磁石と接触する第二突起部が形成されているため、回転子が回転した時に、磁石がはがれたとしても、磁石が第二突起部に接触しているため、回転子鉄心に加わる応力集中を緩和と位置精度の向上が可能となる。さらに、磁石の位置ずれによる磁束の向きのばらつきを低減することができる。
【0040】
また、挿入孔の孔周方向側端面は、円弧形状にて形成されているため、回転子が回転した際に挿入孔以外の回転子鉄心に加わる応力集中を緩和できる。
【0041】
また、挿入孔は、径方向において複数層にて形成されているため、さまざまなバリエーションの磁石配置に対応することができる。
【0042】
また、挿入孔と磁石と両端側にはフラックスバリア部が形成されているため、回転電機が作動した時の磁束の漏れを少なくすることができる。
【0043】
尚、本実施の形態では磁石および挿入孔を磁極中心軸に対して、左右対称に1つずつ配置する例を示しているが、これに限られることはなく、配置する数は、磁極中心軸に対して左右対称であれば2つ以上でも同様に構成でき同様の効果を奏することができる。
【0044】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2の回転子の構成を示す平面図である。図8図7に示した回転子の1/8モデルの構成を示す部分拡大平面図である。図9図8に示した回転子のさらに半分の構成を示す部分拡大平面図である。図10はこの発明の回転電機と、比較例の回転電機との磁石の利用率を示す図である。尚、図8においてのみ、構造物を理解するためのハッチングを付して示している。他の図においては、同様の構造物から構成されているものであり、ハッチングは省略して示している。
【0045】
図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施の形態2においては、磁石6の周方向側端面93と、磁石外側周面90との成す角θ1およびθ2が90°にて形成されている。他の構成は上記実施の形態1と同様であり、同様に製造することができる。
【0046】
上記のように構成された実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、磁石の前記磁石外側周面と、磁石の周方向側端面との成す角が90°にて形成されているので、磁石の両周方向側端面を保持しやすく、磁石の挿入孔への挿入性と、挿入時の磁石の位置精度を向上させることができる。また、本発明の磁石の磁石外側周面と、磁石の周方向側端面との成す角が90°にて形成されている場合と、比較例としての異なる角度にて形成されている場合とにおける、それぞれの磁石の利用率を図10に示す。磁石の利用率の算出はどちらも同じ条件で実施した。図10から明らかなように、本発明は比較例と比べると磁石の利用率が大きいことが分かる。これより、本発明により、磁石の利用率の低下を抑えることが確認できた。
【0047】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3の回転子の構成を示す平面図である。図12図11に示した回転子の1/8モデルの構成を示す部分拡大平面図である。図13図11に示した回転子のさらに半分の構成を示す部分拡大平面図である。図14はこの発明の回転電機と、比較例の回転電機との磁石の利用率を示す図である。尚、図12においてのみ、構造物を理解するためのハッチングを付して示している。他の図においては、同様の構造物から構成されているものであり、ハッチングは省略して示している。
【0048】
図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施の形態3においては、挿入孔7を径方向Xにおいて1層のみに形成されている例を示したものである。他の構成は上記各実施の形態と同様であり、同様に製造することができる。
【0049】
上記のように構成された実施の形態3によれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。具体的に、比較例として挿入孔が径方向に1層のみに形成されており、挿入孔の孔内側周面と磁石の磁石内側周面との空間の径方向の幅が、挿入孔の孔外側周面と磁石の磁石外側周面との間の接着層部の径方向の幅より短く形成されている回転子と、本願発明に相当するとして、挿入孔の孔内側周面と磁石の磁石内側周面との空間の径方向の幅が、挿入孔の孔外側周面と磁石の磁石外側周面との間の接着層部の径方向の幅より長く形成されている回転子とにおける、それぞれの磁石の利用率を図14に示す。磁石の利用率の算出はどちらも同じ条件で実施した。図14から明らかなように、本発明は比較例と比べると磁石の利用率が大きいことが分かる。これより、本発明により、磁石の利用率の低下を抑えることが確認できた。
【0050】
実施の形態4.
図15はこの発明の実施の形態4の回転子の構成を示す平面図である。図16図15に示した回転子の1/8モデルの構成を示す部分拡大平面図である。図17図16に示した回転子のさらに半分の構成を示す部分拡大平面図である。尚、図16においてのみ、構造物を理解するためのハッチングを付して示している。他の図においては、同様の構造物から構成されているものであり、ハッチングは省略して示している。
【0051】
図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施の形態4においては、挿入孔7を径方向Xにおいて3層にて形成されている例を示したものである。他の構成は上記各実施の形態と同様であり、同様に製造することができる。挿入孔7は、第一挿入孔71と第二挿入孔72と第三挿入孔73の3層を有している。また、第三挿入孔73は、第三ブリッジ部43を磁極中心軸上に形成し、当該中心軸上において、左右線対称な形状にて第三挿入孔73Aおよび第三挿入孔73Bが分割して形成されている。
【0052】
そして、第三挿入孔73Aおよび第三挿入孔73Bには、第三磁石63Aおよび第三磁石63Bがそれぞれ挿入されている。よって、第三磁石63は、第三磁石63Aおよび第三磁石63Bにて構成されることとなる。そして、図17に示すように、第三挿入孔73の孔外側周面80と、第三磁石63の磁石外側周面90との間には、第三接着層部13が形成され固定されている。そして、この第三接着層部13が形成されている、第三挿入孔73の径方向Xの外側の周方向Zの側面である孔外側周面80は、平面状にてそれぞれ形成されている。さらに、この第三接着層部13が形成されている、第三磁石63の径方向Xの外側の周方向Zの面である磁石外側周面90は、平面状にてそれぞれ形成されている。
【0053】
また、第三挿入孔73の径方向Xの内側の周方向Zの側面である孔内側周面81は、回転子3の径方向Xの内側凸の円弧面形状にてそれぞれ形成されている。また、第三磁石63の径方向Xの内側の周方向Zの面である磁石内側周面91は、回転子3の径方向Xの内側凸の円弧面形状にてそれぞれ形成されている。
【0054】
そして、第三挿入孔73の孔内側周面81と、第三磁石63の磁石内側周面91とは接触せず、空間が設けられており第三空隙部53が形成されている。そして、第三空隙部53の径方向Xにおける幅T5は、第三接着層部13の径方向Xにおける幅T6より長く形成されている。具体的には、幅T6は、0.03mm〜0.15mm程度である。また、幅T5は、幅T6より長いものの、1mm以下程度にて形成されている。
【0055】
また、第三挿入孔73A、73Bの孔内側周面81には、径方向Xの外側に突出するとともに第三磁石63A、63Bの周方向Zの第三ブリッジ部43が形成されている側と反対側の周方向側端面93に接触する第一突起部82がそれぞれ形成されている。第三挿入孔73の第三ブリッジ部43には、第三挿入孔73の第三磁石63側に突出するとともに第三磁石63に接触する第二突起部83が形成されている。これら各突起部82、83は、第三挿入孔73に挿入された第三磁石63が、回転子鉄心30の回転時に移動しないための当て止めの役目を果たしている。
【0056】
さらに、第三挿入孔73A、73Bの孔周方向側端面84は、円弧形状にて形成されている。そして、第三挿入孔73A、73Bには第三磁石63A、63Bが配置されていない空隙があり、この部分がフラックスバリア部8となる。
【0057】
上記のように構成された実施の形態4によれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、挿入孔および磁石を3層にて構成することにより、磁石の起磁力で発生させるマグネットトルクを大きくすることができる。
【0058】
尚、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】