特表-17073549IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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再表2017-73549ポリアリレート樹脂およびその製造方法ならびにポリアリレート樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年5月4日
【発行日】2017年11月2日
(54)【発明の名称】ポリアリレート樹脂およびその製造方法ならびにポリアリレート樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/19 20060101AFI20171006BHJP
   C08L 67/03 20060101ALI20171006BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20171006BHJP
【FI】
   C08G63/19
   C08L67/03
   C08L63/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】54
【出願番号】特願2017-513259(P2017-513259)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年10月25日
(11)【特許番号】特許第6152235号(P6152235)
(45)【特許公報発行日】2017年6月21日
(31)【優先権主張番号】特願2015-214425(P2015-214425)
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-162131(P2016-162131)
(32)【優先日】2016年8月22日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000228073
【氏名又は名称】日本エステル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100103115
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 康廣
(72)【発明者】
【氏名】村上 隆俊
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 穣
(72)【発明者】
【氏名】浅井 文雄
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002CD022
4J002CD032
4J002CD052
4J002CD062
4J002CD122
4J002CD132
4J002CD142
4J002CD152
4J002CD192
4J002CF161
4J002EF127
4J002EL137
4J002EN037
4J002EN047
4J002EN066
4J002EN077
4J002EU046
4J002EU116
4J002EW136
4J002FD010
4J002FD070
4J002FD130
4J002FD147
4J002FD156
4J002GH00
4J002GJ00
4J029AA04
4J029AB01
4J029AD01
4J029AD02
4J029AD03
4J029AD07
4J029AE01
4J029AE03
4J029BA03
4J029BA08
4J029BB12
4J029BB12B
4J029BB13
4J029BB13B
4J029BD03
4J029BD04
4J029BD09
4J029CA02
4J029CA06
4J029CB04
4J029CB05
4J029CB06
4J029CB10
4J029CC05
4J029CD03
4J029CF08
4J029EB04
4J029EC05
4J029JA091
4J029JA111
4J029JB131
4J029JB171
4J029JB233
4J029JC261
4J029JF041
4J029JF131
4J029JF181
4J029JF321
4J029JF371
4J029JF471
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
(57)【要約】
本発明は、耐熱性および誘電特性に十分に優れた硬化物を形成できる、流動性およびエポキシ樹脂との反応性に優れたポリアリレート樹脂およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であることを特徴とするポリアリレート樹脂を提供する。本発明はまた、アセチル化反応および脱酢酸重合反応を行い上記のポリアリレート樹脂を製造する方法であって、前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加するポリアリレート樹脂の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であることを特徴とするポリアリレート樹脂。
【請求項2】
アセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項3】
モノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項4】
ヒドロキシカルボン酸成分をさらに含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項5】
前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で含有される、請求項4に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項6】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【化1】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項7】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項6に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項8】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項6または7に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項9】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項8に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項10】
アセチル化反応および脱酢酸重合反応を行い請求項1〜9のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を製造する方法であって、
前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加することを特徴とするポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、前記脱酢酸重合反応のための温度および圧力に調整する予備段階を有し、
該予備段階において前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、請求項10に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記予備段階が、反応系を昇温した後、減圧を行う段階であり、
該予備段階において、昇温前に、かつ/または昇温後であって減圧前に、前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、請求項11に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含む被膜。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含むフィルム。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリアリレート樹脂および有機溶媒を含有する樹脂溶液。
【請求項17】
請求項16に記載の樹脂溶液が強化繊維クロスに含浸または塗布されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項18】
請求項17に記載のプリプレグが積層されていることを特徴とする積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアリレート樹脂およびその製造方法ならびにポリアリレート樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器は、情報処理量の増大に伴い、搭載される半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、多層化技術が急速に進展している。各種電子機器において用いられるプリント配線板等の絶縁材料には、優れた誘電特性が求められている。詳しくは、信号の伝達速度を高めるために、誘電率が低いこと、および信号伝送時の損失を低減させるために、誘電正接が低いことが求められている。また、プリント配線板等の絶縁材料には、ハンダ処理などの熱処理に耐えられるような優れた耐熱性も要求されている。
【0003】
プリント配線板等の絶縁材料にはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられるが、熱硬化性樹脂は耐熱性と比誘電率および誘電正接等の誘電特性との両立が困難である。一方で、熱可塑性樹脂であるポリアリレート樹脂は耐熱性および誘電特性が優れていることが知られている。このためエポキシ樹脂にポリアリレート樹脂を配合することで、エポキシ樹脂の耐熱性および誘電特性が向上することが期待される。
【0004】
例えば、特許文献1には、特定のポリアリレート樹脂に、活性エステル化合物、硬化促進剤およびエポキシ樹脂を配合した樹脂組成物をプリント配線板に用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004―224890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1において樹脂組成物に含まれるポリアリレート樹脂は、流動性が低いため、加工性に劣り、例えば、多層プリント配線板を製造する場合、プリプレグを多層化する際に、ボイドが発生し、多層プリント配線板として信頼性が高いものが得られないという問題があった。
【0007】
ポリアリレート樹脂は、界面重合法、溶融重合法で製造されることが一般的である。しかしながら、例えば界面重合法では通常、末端封鎖剤を用いるため、得られるポリアリレート樹脂の分子鎖末端には、エポキシ樹脂との反応に優れる極性基であるカルボキシル基およびヒドロキシル基がほとんど残らない。その為、ポリアリレート樹脂は、仮に比較的高いガラス転移温度を有していても、エポキシ樹脂に対する反応性が低いため、エポキシ樹脂とともに、ガラス転移温度が十分に高い硬化物を得ることはできず、耐熱性に問題が生じた。さらに、界面重合法では、ポリアリレート樹脂の製造に際して、多量の有機溶媒および水を使用するため、溶媒の回収および再生処理に、多大な電力をはじめとするエネルギーを必要とすることから、環境負荷が大きかった。
【0008】
また例えば、溶融重合法では原料の二価フェノールをアセチル化した後、アセチル化された二価フェノールとジカルボン酸とを脱酢酸重合する。このため、溶融重合法によって得られるポリアリレート樹脂の分子鎖末端には、やはり、ヒドロキシル基がほとんど残らない。その為、一般的な溶融重合法で製造されたポリアリレート樹脂は、仮に比較的高いガラス転移温度を有していても、エポキシ樹脂に対する反応性が低いため、エポキシ樹脂とともに、ガラス転移温度が十分に高い硬化物を得ることはできず、耐熱性に問題が生じることがあった。
【0009】
また、第三アミンおよび第四オニウム塩などの触媒存在下では、ポリアリレート樹脂の主鎖中のエステルとエポキシが反応することが知られている。しかしながら、エポキシ樹脂に対する反応性が低いため、反応速度が遅く、仮に反応が進んだとしても、エポキシ樹脂とともに、ガラス転移温度が十分に高い硬化物をやはり得ることはできなかった。
【0010】
一方、ポリアリレート樹脂は一般的に汎用溶媒への溶解性が低く、取り扱いが困難であり、汎用溶媒への溶解性に優れたポリアリレート樹脂が求められている。汎用溶媒への溶解性が低いと、高固形分濃度のワニスを調製することは難しく、ゲル化あるいは析出しやすい。またポリアリレート樹脂の製造には、所用時間の長い反応を要することがあり、製造効率が良好なポリアリレートも求められている。
【0011】
本発明は、耐熱性および誘電特性に十分に優れた硬化物を形成できる、流動性およびエポキシ樹脂との反応性に優れたポリアリレート樹脂およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
本発明はまた、耐熱性および誘電特性に十分に優れた硬化物を形成できる、汎用溶媒への溶解性、流動性およびエポキシ樹脂との反応性に優れたポリアリレート樹脂およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
本発明はまた、耐熱性および誘電特性に十分に優れた硬化物を形成できる、汎用溶媒への溶解性、流動性、エポキシ樹脂との反応性および製造効率に優れたポリアリレート樹脂およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
<1> 二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であることを特徴とするポリアリレート樹脂。
<2> アセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、<1>に記載のポリアリレート樹脂。
<3> モノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、<1>または<2>に記載のポリアリレート樹脂。
<4> ヒドロキシカルボン酸成分をさらに含有する、<1>〜<3>のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
<5> 前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で含有される、<4>に記載のポリアリレート樹脂。
<6> 前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、<1>〜<5>のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【化1】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
<7> 前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、<6>に記載のポリアリレート樹脂。
<8> 前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、<6>または<7>に記載のポリアリレート樹脂。
<9> 前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、<8>に記載のポリアリレート樹脂。
<10> アセチル化反応および脱酢酸重合反応を行い<1>〜<9>のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を製造する方法であって、
前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加することを特徴とするポリアリレート樹脂の製造方法。
<11> 前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、前記脱酢酸重合反応のための温度および圧力に調整する予備段階を有し、
該予備段階において前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、<10>に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
<12> 前記予備段階が、反応系を昇温した後、減圧を行う段階であり、
該予備段階において、昇温前に、かつ/または昇温後であって減圧前に、前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、<11>に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
<13> <1>〜<9>のいずれかに記載のポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
<14> <1>〜<9>のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含む被膜。
<15> <1>〜<9>のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含むフィルム。
<16> <1>〜<9>のいずれかに記載のポリアリレート樹脂および有機溶媒を含有する樹脂溶液。
<17> <16>に記載の樹脂溶液が強化繊維クロスに含浸または塗布されていることを特徴とするプリプレグ。
<18> <17>に記載のプリプレグが積層されていることを特徴とする積層体。
【発明の効果】
【0015】
本発明のポリアリレート樹脂はエポキシ樹脂との反応性および流動性に優れている。
本発明のポリアリレート樹脂はまた、エポキシ樹脂とともに、耐熱性および誘電特性に十分に優れた硬化物を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[ポリアリレート樹脂]
本発明のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分をモノマー成分として含有するポリエステルである。
【0017】
二価フェノール成分は、1分子中、2個のフェノール性ヒドロキシル基を含有するあらゆる有機化合物であってもよい。フェノール性ヒドロキシル基とは、芳香族環に直接的に結合したヒドロキシル基のことである。
【0018】
二価フェノール成分は、汎用溶媒への溶解性の向上およびポリアリレート樹脂とエポキシ樹脂との硬化物が有する耐熱性のさらなる向上の観点から、一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含むことが好ましい。
【0019】
【化2】
【0020】
式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す。炭素原子数1〜12の炭化水素基は飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基を包含する。飽和脂肪族炭化水素基は炭素原子数1〜12、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3のアルキル基を含み、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基は炭素原子数1〜6、好ましくは1〜3のアルケニル基を含み、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基は炭素原子数6〜10、好ましくは6のアリール基を含み、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子である。
【0021】
式(1)中、好ましいR、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜6(特に1〜3)のアルキル基、炭素原子数6〜10(特に6)のアリール基、またはハロゲン原子(特に塩素原子、臭素原子)を表す。より好ましいR、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜6(特に1〜3)のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは、一部または全部が相互に異なる基であってもよいし、または同じ基であってもよく、好ましくは同じ基を表す。
【0022】
式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す。炭素原子数1〜4の炭化水素基は飽和脂肪族炭化水素基および不飽和脂肪族炭化水素基を包含する。飽和脂肪族炭化水素基は炭素原子数1〜4、好ましくは1〜3のアルキル基を含み、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基は炭素原子数1〜4、好ましくは1〜3のアルケニル基を含み、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。RおよびRは後述のmの値に応じて複数個で存在し、当該複数のRおよび複数のRは、それぞれ独立して、上記範囲内から選択されればよい。
【0023】
式(1)中、好ましいRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基、特に水素原子を表す。
【0024】
式(1)中、mは4〜12の整数、好ましくは5〜11の整数を表す。
式(1)中、Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環(単環)を形成する炭素原子を表す。飽和脂肪族炭化水素環は、mの数に応じたシクロアルカン環を示す。飽和脂肪族炭化水素環の具体例として、例えば、シクロペンタン環(m=4)、シクロヘキサン環(m=5)、シクロヘプタン環(m=6)、シクロオクタン環(m=7)、シクロノナン環(m=8)、シクロデカン環(m=9)、シクロウンデカン環(m=10)、シクロドデカン環(m=11)、シクロトリデカン環(m=12)が挙げられる。
【0025】
一般式(1)で示される脂環式二価フェノールのうち、ポリアリレート樹脂とエポキシ樹脂との硬化物が有する耐熱性のさらなる向上の観点から、好ましい具体例として、一般式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)、(1g)、(1h)および(1i)、特に一般式(1b)〜(1h)で示される脂環式二価フェノールが挙げられる。
【0026】
【化3】
【0027】
式(1a)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)においてと同様である。
【0028】
式(1a)中、n1は0〜8の整数であり、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0029】
式(1a)中、R10は炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す。炭素原子数1〜4の炭化水素基は飽和脂肪族炭化水素基および不飽和脂肪族炭化水素基を包含する。飽和脂肪族炭化水素基は炭素原子数1〜4、好ましくは1〜3のアルキル基を含み、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基は炭素原子数1〜4、好ましくは1〜3のアルケニル基を含み、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。上記n1が2以上の整数のとき、複数のR10は、それぞれ独立して、上記範囲内から選択されればよい。シクロペンタン環におけるR10の結合位置は特に限定されないが、式(1a)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロペンタン環の炭素原子を一位としたとき、三位および四位の炭素原子から選択される炭素原子に各R10が結合していることが好ましい。
【0030】
好ましいR10は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいR10は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
【0031】
一般式(1a)で示される脂環式二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタンが挙げられる。
【0032】
【化4】
【0033】
式(1b)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)においてと同様である。
【0034】
式(1b)中、n2は0〜10の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは2〜4の整数である。
【0035】
式(1b)中、R20は上記式(1a)におけるR10と同様である。上記n2が2以上の整数のとき、複数のR20は、それぞれ独立して、上記R10と同様の範囲内から選択されればよい。シクロヘキサン環におけるR20の結合位置は特に限定されないが、式(1b)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロヘキサン環の炭素原子を一位としたとき、三位、四位および五位の炭素原子から選択される炭素原子、特に三位および五位の炭素原子に各R20が結合していることが好ましい。
【0036】
好ましいR20は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいR20は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
【0037】
一般式(1b)で示される脂環式二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン〔BisTMC〕、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサンが挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、BisTMCが特に好ましい。
【0038】
【化5】
【0039】
式(1c)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)においてと同様である。
【0040】
式(1c)中、n3は0〜12の整数であり、好ましくは0〜6の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0041】
式(1c)中、R30は上記式(1a)におけるR10と同様である。上記n3が2以上の整数のとき、複数のR30は、それぞれ独立して、上記R10と同様の範囲内から選択されればよい。シクロヘプタン環におけるR30の結合位置は特に限定されないが、式(1c)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロヘプタン環の炭素原子を一位としたとき、三位、四位、五位および六位の炭素原子から選択される炭素原子に各R30が結合していることが好ましい。
【0042】
好ましいR30は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいR30は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
【0043】
一般式(1c)で示される脂環式二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘプタンが挙げられる。
【0044】
【化6】
【0045】
式(1d)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)においてと同様である。
【0046】
式(1d)中、n4は0〜14の整数であり、好ましくは0〜7の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0047】
式(1d)中、R40は上記式(1a)におけるR10と同様である。上記n4が2以上の整数のとき、複数のR40は、それぞれ独立して、上記R10と同様の範囲内から選択されればよい。シクロオクタン環におけるR40の結合位置は特に限定されないが、式(1d)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロオクタン環の炭素原子を一位としたとき、四位、五位および六位の炭素原子から選択される炭素原子に各R40が結合していることが好ましい。
【0048】
好ましいR40は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいR40は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
【0049】
一般式(1d)で示される脂環式二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロオクタンが挙げられる。
【0050】
【化7】
【0051】
式(1e)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)においてと同様である。
【0052】
式(1e)中、n5は0〜16の整数であり、好ましくは0〜8の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0053】
式(1e)中、R50は上記式(1a)におけるR10と同様である。上記n5が2以上の整数のとき、複数のR50は、それぞれ独立して、上記R10と同様の範囲内から選択されればよい。シクロノナン環におけるR50の結合位置は特に限定されないが、式(1e)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロノナン環の炭素原子を一位としたとき、四位、五位、六位および七位の炭素原子から選択される炭素原子に各R50が結合していることが好ましい。
【0054】
好ましいR50は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいR50は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
【0055】
一般式(1e)で示される脂環式二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロノナンが挙げられる。
【0056】
【化8】
【0057】
式(1f)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)においてと同様である。
【0058】
式(1f)中、n6は0〜18の整数であり、好ましくは0〜9の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0059】
式(1f)中、R60は上記式(1a)におけるR10と同様である。上記n6が2以上の整数のとき、複数のR60は、それぞれ独立して、上記R10と同様の範囲内から選択されればよい。シクロデカン環におけるR60の結合位置は特に限定されないが、式(1f)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロデカン環の炭素原子を一位としたとき、四位、五位および六位の炭素原子から選択される炭素原子に各R60が結合していることが好ましい。
【0060】
好ましいR60は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいR60は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
【0061】
一般式(1f)で示される脂環式二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロデカンが挙げられる。
【0062】
【化9】
【0063】
式(1g)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)においてと同様である。
【0064】
式(1g)中、n7は0〜20の整数であり、好ましくは0〜10の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0065】
式(1g)中、R70は上記式(1a)におけるR10と同様である。上記n7が2以上の整数のとき、複数のR70は、それぞれ独立して、上記R10と同様の範囲内から選択されればよい。シクロウンデカン環におけるR70の結合位置は特に限定されないが、式(1g)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロウンデカン環の炭素原子を一位としたとき、四位、五位、六位および七位の炭素原子から選択される炭素原子に各R70が結合していることが好ましい。
【0066】
好ましいR70は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいR70は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
【0067】
一般式(1g)で示される脂環式二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロウンデカンが挙げられる。
【0068】
【化10】
【0069】
式(1h)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)においてと同様である。
【0070】
式(1h)中、n8は0〜22の整数であり、好ましくは0〜11の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0071】
式(1h)中、R80は上記式(1a)におけるR10と同様である。上記n8が2以上の整数のとき、複数のR80は、それぞれ独立して、上記R10と同様の範囲内から選択されればよい。シクロドデカン環におけるR80の結合位置は特に限定されないが、式(1h)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロドデカン環の炭素原子を一位としたとき、五位、六位、七位、八位および九位の炭素原子から選択される炭素原子に各R80が結合していることが好ましい。
【0072】
好ましいR80は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいR80は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
【0073】
一般式(1h)で示される脂環式二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)が挙げられる。
【0074】
【化11】
【0075】
式(1i)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)においてと同様である。
【0076】
式(1i)中、n9は0〜24の整数であり、好ましくは0〜12の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0077】
式(1i)中、R90は上記式(1a)におけるR10と同様である。上記n9が2以上の整数のとき、複数のR90は、それぞれ独立して、上記R10と同様の範囲内から選択されればよい。シクロトリデカン環におけるR90の結合位置は特に限定されないが、式(1i)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロトリデカン環の炭素原子を一位としたとき、六位、七位、八位および九位の炭素原子から選択される炭素原子に各R90が結合していることが好ましい。
【0078】
好ましいR90は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。より好ましいR90は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
【0079】
一般式(1i)で示される脂環式二価フェノールの具体例として、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロトリデカンが挙げられる。
【0080】
上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノールの含有比率は特に限定されず、通常は、全二価フェノール成分に対して15モル%以上(15〜100モル%)である。当該含有比率は、ポリアリレート樹脂の汎用溶媒への溶解性の向上の観点からは、全二価フェノール成分に対して15〜90モル%が好ましく、より好ましくは25〜75モル%である。当該含有比率は、ポリアリレート樹脂の硬化物の耐熱性)のさらなる向上の観点から、全二価フェノール成分に対して40〜100モル%が好ましく、より好ましくは55〜100モル%であり、さらに好ましくは90〜100モル%である。当該含有比率は、ポリアリレート樹脂の汎用溶媒への溶解性の向上と、ポリアリレート樹脂のエポキシ樹脂との反応性および硬化物の耐熱性のさらなる向上とのバランスの観点から、全二価フェノール成分に対して40〜90モル%が好ましく、50〜90モル%がより好ましい。上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノールで示される脂環式二価フェノールは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよく、その場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0081】
二価フェノール成分は、上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノール以外の二価フェノールを含有してもよい。ポリアリレート樹脂の汎用溶媒への溶解性の向上の観点からは、二価フェノール成分は、上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノール以外の二価フェノールを含有することが好ましい。
【0082】
上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノール以外の二価フェノールは、上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノールに包含されない二価フェノール成分であれば特に限定されず、例えば、以下の二価フェノールが挙げられる:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisA〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン〔BisAP〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン。中でも、汎用性および汎用溶媒への溶解性が高いことから、BisAおよび/またはBisAPが好ましい。上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノール以外の二価フェノールは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
【0083】
二価フェノール成分は、上記の二価フェノールを単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよいが、汎用溶媒への溶解性が高くなることから、複数種を用いることが好ましい。中でも、二価フェノール成分は、BisAおよび/またはBisAPと、BisTMCおよび/またはBisCDEとを組み合わせて含有することが好ましい。BisAおよび/またはBisAPと、BisTMCおよび/またはBisCDEとを用いる場合、BisAおよびBisAPの合計含有量とBisTMCおよびBisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))は、10/90〜90/10(モル比)とすることが好ましく、特にメチルエチルケトンへの溶解性が高くなることから、15/85〜85/15(モル比)とすることがより好ましく、30/70〜70/30(モル比)とすることがさらに好ましい。汎用溶媒への溶解性の観点から、BisA/BisTMCが30/70〜70/30(モル比)とすることがより好ましい。
【0084】
芳香族ジカルボン酸成分は、1分子中、芳香族環に直接的に結合した2個のカルボキシル基を含有するあらゆる有機化合物であってもよい。芳香族ジカルボン酸成分の具体例として、例えば、テレフタル酸〔TPA〕、イソフタル酸〔IPA〕、オルトフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸〔NDCA〕が挙げられる。
【0085】
芳香族ジカルボン酸成分は、上記のうち1種の化合物を単独で用いてもよいし、複数種の化合物を併用してもよい。中でも、ポリアリレート樹脂の汎用溶媒への溶解性およびエポキシ樹脂との反応性の観点から、IPA単独で用いるか、またはTPAおよび/またはNDCAとIPAとを併用して用いることが好ましい。IPAの含有比率は、全芳香族ジカルボン酸成分に対して、20モル%以上とすることが好ましく、40モル%以上とすることがより好ましく、50モル%以上とすることがさらに好ましく、60モル%以上とすることが最も好ましい。芳香族ジカルボン酸成分がTPAおよび/またはNDCAとIPAとを含有する場合、ポリアリレート樹脂の汎用溶媒特にメチルエチルケトンへの溶解性の観点から、(TPA+NDCA)/IPAの含有比率はモル比で、0/100〜80/20が好ましく、0/100〜60/40がより好ましく、0/100〜50/50がさらに好ましく、0/100〜40/60がさらに好ましく、10/90〜40/60が最も好ましい。
【0086】
本発明のポリアリレート樹脂はモノマー成分としてヒドロキシカルボン酸成分をさらに含有してもよい。ヒドロキシカルボン酸は1分子中、1個のヒドロキシル基および1個のカルボキシル基を含有するあらゆる有機化合物(特に芳香族化合物)であってもよい。ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸〔PHBA〕、m−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、PHBAが好ましい。
【0087】
ヒドロキシカルボン酸成分の含有比率は、全モノマー成分100モル%に対して、2〜50モル%とすることが必要で、ポリアリレート樹脂の汎用溶媒への溶解性の向上の観点からは2〜35、特に2〜30モル%とすることが好ましく、当該溶解性、ポリアリレート樹脂のエポキシ樹脂との反応性および硬化物の耐熱性のさらなる向上の観点から好ましくは5〜30モル%、より好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜25モル%である。ヒドロキシカルボン酸成分の含有比率が2モル%未満の場合、所定のヒドロキシル基濃度を有するポリアリレート樹脂を得ることが困難であるため好ましくない。ヒドロキシカルボン酸成分の含有量が50モル%を超える場合、汎用溶媒(特に非ハロゲン化溶媒)への溶解性および溶液安定性が低くなるので好ましくない。なお、全モノマー成分とは、ポリアリレート樹脂を構成する全てのモノマー成分という意味である。例えば、ポリアリレート樹脂が二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とヒドロキシカルボン酸成分のみからなる場合には、全モノマー成分は二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とヒドロキシカルボン酸成分の全て(合計量)である。また例えば、ポリアリレート樹脂が、二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とヒドロキシカルボン酸成分に加えて、他のモノマー成分を含む場合には、これらの成分の全て(合計量)である。
【0088】
ポリアリレート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した二価フェノール成分、芳香族ジカルボン酸成分およびヒドロキシカルボン酸成分以外の他のモノマー成分を含有してもよい。他のモノマー成分の具体例として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール等の脂環族ジオール;アジピン酸およびセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸は、その誘導体やその無水物であってもよい。他のモノマー成分の含有比率は、全モノマー成分100モル%に対して、通常は10モル%以下であり、好ましくは5モル%以下であり、より好ましくは0モル%である。
【0089】
本発明のポリアリレート樹脂のヒドロキシル基濃度は、100geq/トン以上とすることが必要で、汎用溶媒への溶解性の向上、エポキシ樹脂との反応性および硬化物の耐熱性のさらなる向上の観点から、200geq/トン以上とすることが好ましく、より好ましくは300geq/トン以上、さらに好ましくは500geq/トン以上である。ヒドロキシル基濃度が100geq/トン未満の場合、エポキシ樹脂との反応性および硬化物の耐熱性が低下する。また汎用溶媒への溶解性が低下するので好ましくない。ヒドロキシル基濃度の上限値は特に限定されるものではないが、二価フェノール成分のヒドロキシル基濃度を超えることはなく、ヒドロキシル基濃度は通常、2500geq/トン以下、より好ましくは1500geq/トン以下、さらに好ましくは1000geq/トン以下である。
【0090】
ヒドロキシル基濃度は、ヒドロキシル基を定量化することが出来れば当該基濃度を求める方法は特に限定されず、中和滴定法などの公知の方法で求めても良いが、後で詳述するH−NMR分析において、フェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位またはメタ位に位置するプロトンのピーク面積を算出して、当該基を定量化することにより求めることができる。
【0091】
本発明のポリアリレート樹脂は、反応時間短縮によるポリアリレート樹脂の製造の効率化の観点から、アセチル基濃度を10geq/トン以上とすることが好ましく、20geq/トン以上とすることがより好ましく、40geq/トン以上とすることがさらに好ましい。ポリアリレート樹脂のアセチル基は、ヒドロキシル基がアセチル化されたものであって、芳香族ジカルボン酸成分中のカルボキシル基とアセチル基との反応が進行するのに伴って重合反応が進行し、ポリアリレート樹脂中のアセチル基濃度は低下する。ポリアリレート樹脂のアセチル基濃度が10geq/トン未満であっても、本発明の効果に影響を与えないが、アセチル基濃度を10geq/トン未満とするためには、重合時間を長くしなければならず、ポリアリレート樹脂の製造の効率が低下するため好ましくない。アセチル基濃度の上限値は特に限定されるものではないが、アセチル基濃度は通常、2000geq/トン以下、より好ましくは1000geq/トン以下、さらに好ましくは500geq/トン以下である。
【0092】
アセチル基濃度は、アセチル基を定量化することが出来れば当該基濃度を求める方法は特に限定されないが、後で詳述するH−NMR分析において、アセチル基のメチル基のプロトンのピーク面積を算出して、当該基を定量化することにより求めることができる。
【0093】
本発明のポリアリレート樹脂中のモノマー濃度は、汎用溶媒への溶解性の向上ならびにエポキシ樹脂との反応性および硬化物の耐熱性のさらなる向上の観点から2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下である。当該モノマー濃度が2質量%を超えると、ポリアリレート樹脂を溶媒に溶解した際に、溶液中に不溶物の沈殿が発生するおよび/または溶液が濁るため、ポリアリレート樹脂の溶解性が低下する。このため、コーティング剤等の用途に用いた場合、品質が悪くなるので好ましくない。当該モノマー濃度の下限値は特に限定されるものではなく、モノマー濃度は通常、0.01質量%以上、特に0.1質量%以上である。
【0094】
本発明において、ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度とは、ポリアリレート樹脂の製造に使用されたが未反応のまま残留するモノマーおよびポリアリレート樹脂のポリマー鎖を構成したが当該ポリマー鎖から遊離(分解)および生成したモノマーの合計量の、ポリアリレート樹脂の全量に対する割合のことである。ポリアリレート樹脂中に含有されるモノマー成分は分離が困難で、ポリアリレート樹脂を溶媒に溶解する際に不溶物として析出する。ポリアリレート樹脂の汎用溶媒への溶解性は、ポリアリレート樹脂のポリマー自体の構造およびモノマー組成だけでなく、ポリアリレート樹脂に含まれるモノマーの存在にも依存しているものと考えられる。
【0095】
モノマー濃度は、ポリアリレート樹脂の溶液から高速液体クロマトグラフィにより測定可能である。具体的には、高速液体クロマトグラフィによる測定は後述の方法により行われる。
【0096】
本発明のポリアリレート樹脂の数平均分子量は、20000未満とすることが好ましく、10000未満とすることがより好ましく、6000未満とすることがさらに好ましく、3000未満とすることが特に好ましい。数平均分子量が20000以上の場合、ヒドロキシル基濃度が低くなり、エポキシ樹脂との反応性が低下する場合がある。ポリアリレート樹脂の数平均分子量の下限値は特に限定されないが、当該数平均分子量は通常、500以上、特に1000以上である。
【0097】
本発明のポリアリレート樹脂は、その特性を損なわない範囲で、ヒドロキシル基を、エポキシ基、アクリレート基、ビニル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、または、シラノール基を有する化合物で修飾してもよい。当該ヒドロキシル基を、エポキシ基、アクリレート基、ビニル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、または、シラノール基を有する化合物で修飾することで、熱硬化反応性または/および光硬化反応性が向上する。
【0098】
[ポリアリレート樹脂の製造方法]
本発明のポリアリレート樹脂の製造方法は、ヒドロキシル基濃度を所定の範囲内とすることができれば特に限定されないが、ヒドロキシル基濃度の制御が容易なことから、溶融重合時にヒドロキシカルボン酸成分用いて制御する方法が好ましい。
【0099】
ポリエステルのヒドロキシル基濃度を高くする方法としては、重縮合反応が完了した後に、多価グリコール成分を添加し、解重合反応を行う方法が広く知られている。しかし、ポリアリレート樹脂の場合、多価グリコール成分、二価フェノール成分、または、ヒドロキシカルボン酸成分による解重合反応の進行が遅く、反応全体の反応時間が長くなる。しかも、解重合反応時に添加したモノマー成分の一部が未反応のまま残る、並びに、解重合反応によってポリアリレート樹脂を構成するモノマー成分の一部がモノマーとして生成する。このため、解重合反応を行う方法は好ましくない。
【0100】
本発明において、溶融重合時にヒドロキシカルボン酸成分を用いてヒドロキシル基濃度を制御する方法とは、アセチル化反応および脱酢酸重合反応を行う方法において、アセチル化反応の後から脱酢酸重合反応の前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加する方法のことである。すなわち、アセチル化反応を行った後、脱酢酸重合反応を行うまでに、ヒドロキシカルボン酸成分を添加する。このような方法はポリアリレート樹脂の汎用溶媒への溶解性の観点からも好ましい。なお、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ヒドロキシカルボン酸成分の一部を添加してアセチル化反応を行った後、アセチル化反応の後から脱酢酸重合反応の前に、残りのヒドロキシカルボン酸成分を添加しても良い。
【0101】
アセチル化反応とは、二価フェノール成分、または、二価フェノール成分およびヒドロキシカルボン酸成分をアセチル化する反応のことである。アセチル化反応においては、反応容器に、芳香族ジカルボン酸成分と二価フェノール成分と無水酢酸を投入するか、または芳香族ジカルボン酸成分と二価フェノール成分とヒドロキシカルボン酸と無水酢酸を投入する。その後、窒素置換を行い、不活性雰囲気下、100〜240℃、好ましくは120〜180℃の温度で、5分〜8時間、好ましくは30分〜5時間、常圧または加圧下で攪拌する。二価フェノール成分のヒドロキシル基に対する無水酢酸のモル比は、1.00〜1.20とすることが好ましい。
【0102】
脱酢酸重合反応とは、アセチル化した二価フェノールと芳香族ジカルボン酸を反応させ、重縮合する反応である。脱酢酸重合反応においては、240℃以上、好ましくは260℃以上、より好ましくは280℃以上の温度、500Pa以下、好ましくは260Pa以下、より好ましくは130Pa以下の減圧度で、30分以上保持し、攪拌する。温度が240℃未満である場合、減圧度が500Paを超える場合、または保持時間が30分未満の場合、脱酢酸反応が不十分となり得られるポリアリレート樹脂中の酢酸量が高くなったり、全体の重合時間が長くなったり、ポリマー色調が悪化したりする場合がある。
【0103】
アセチル化反応を行った後、脱酢酸重合反応を行うまでの間には通常、反応系の温度および圧力を脱酢酸重合反応のための温度および圧力に調整する予備段階が存在する。本発明の製造方法においては、この予備段階においてヒドロキシカルボン酸成分を添加すればよい。具体的には、予備段階において、反応系を昇温した後、減圧を行うに際し、昇温前にヒドロキシカルボン酸成分を添加してもよいし、または昇温後であって減圧前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加してもよい。昇温前と、昇温後であって減圧前との両方の時に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加してもよい。
【0104】
本発明においては、無水酢酸を、二価フェノール成分に、または、二価フェノール成分およびヒドロキシカルボン酸成分に、反応させた後でヒドロキシカルボン酸成分を添加する。このため、アセチル化反応後に添加したヒドロキシカルボン酸成分のヒドロキシル基はアセチル化されない。その結果、ヒドロキシカルボン酸成分の末端基のうち、反応性に優れているカルボキシル基は、脱酢酸重合反応段階でポリアリレート樹脂との反応が進行するが、アセチル化されていないヒドロキシル基はポリアリレート樹脂との反応が進行しない。このため、得られるポリアリレート樹脂のヒドロキシル基濃度を所定の範囲とすることができると推測される。
【0105】
アセチル化反応および脱酢酸重合反応においては、必要に応じて、触媒を用いることが好ましい。触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート等の有機チタン酸化合物;酢酸亜鉛;酢酸カリウム等のアルカリ金属塩;酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;三酸化アンチモン;ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機錫化合物;N−メチルイミダゾール等のヘテロ環化合物が挙げられる。触媒の添加量は、得られるポリアリレート樹脂の全モノマー成分に対して、通常1.0モル%以下であり、より好ましくは0.5モル%以下であり、さらに好ましくは0.2モル%以下である。
【0106】
本発明のポリアリレート樹脂を製造する装置としては、公知の反応装置が挙げられ、例えば、回分式反応装置および連続式反応装置が挙げられる。
【0107】
[ポリアリレート樹脂組成物]
本発明はポリアリレート樹脂組成物も提供する。本発明のポリアリレート樹脂組成物は、少なくとも前記したポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含む。
【0108】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は1分子中、2個以上のエポキシ基を有する有機化合物である限り特に限定はされない。エポキシ樹脂の具体例として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンダジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、アクリル酸変性エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、リン変性エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0109】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は通常、100〜3000であり、好ましくは150〜300である。
【0110】
エポキシ樹脂の軟化点は通常、200℃以下であり、好ましくは100℃以下である。
【0111】
ポリアリレート樹脂の配合量は、ポリアリレート樹脂の官能基当量がエポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、好ましくは0.5〜1.5当量比、より好ましくは0.7〜1.3当量比となるような量であることが好ましい。ポリアリレート樹脂の官能基当量は、フェノール性ヒドロキシル基とエステル基の含有量から算出される当量に相当する。
そのようなポリアリレート樹脂の配合量は通常、エポキシ樹脂とポリアリレート樹脂との合計量100質量部に対して、20〜80質量部であり、好ましくは35〜65質量部、より好ましくは40〜50質量部である。
【0112】
本発明のポリアリレート樹脂組成物は通常、硬化促進剤を含む。硬化促進剤は特に限定はされないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類が挙げられる。硬化促進剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0113】
本発明の樹脂組成物には、硬化剤を併用することができる。硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトンラミンやテトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミン、アジピン酸ジヒドラジドおよびポリアミドポリアミン等の脂肪族ポリアミン化合物;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンおよびビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環族ポリアミン化合物;メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンおよびメタフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン化合物;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸等の1官能性酸無水物;無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキサンテトラカルボン酸無水物等の2官能性酸無水物;無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物等の遊離酸無水カルボン酸が挙げられる。硬化剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0114】
本発明の樹脂組成物は、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂をさらに含有してもよい。
【0115】
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂の代わりに、フェノール性ヒドロキシル基と好適に反応する末端基を1分子中に2個以上有する樹脂を含有してもよい。エポキシ樹脂の代わりに含有されてもよい樹脂として、例えば、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、マレイミド樹脂等が挙げられる。
【0116】
本発明の樹脂組成物は、高分子量樹脂に添加されて使用されてもよい。用途に応じて、成形物、フィルム、シート、接着剤、塗膜、導電性ペースト、フィルムインモールド成形の転写箔などに使用できる。本発明の樹脂組成物を高分子量樹脂に添加することで、高分子量樹脂の耐熱性を向上あるいは維持しつつ、流動性、塗工性を改良することができる。高分子量樹脂は重量平均分子量(Mw)が10000以上の高分子であれば特に限定されない。高分子量樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。高分子量樹脂は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0117】
本発明の樹脂組成物は無機充填材をさらに含有してもよい。無機充填材としては、シリカ、ガラス、アルミナ、タルク、マイカ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、窒化珪素、窒化ホウ素等が挙げられる。無機充填材は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、無機充填材はエポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理されたものが好ましい。
【0118】
本発明のポリアリレート樹脂およびポリアリレート樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲で、酸化防止剤を含有してもよい。例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリ(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノイック酸、ペンタエリトリチルテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−メチル−ベンゼンプロパノイック酸、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。リン系酸化防止剤として、3,9−ビス(p−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリ(モノノニルフェニル)フォスファイト、トリフェノキシフォスフィン、イソデシルフォスファイト、イソデシルフェニルフォスファイト、ジフェニル2−エチルヘキシルフォスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)エステルフォスフォラス酸、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ペンタエリスリトールビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルフォスファイト)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。チオエーテル系酸化防止剤として4,4’−チオビス[2−t−ブチル−5−メチルフェノール]ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、チオビス[2−(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン]ビス[3−(テトラデシルチオ)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス(3−n−ドデシルチオプロピオネート)、ビス(トリデシル)チオジプロピオネートが挙げられる。酸化防止剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0119】
本発明の樹脂組成物は難燃剤を含有してもよい。環境への影響の観点から非ハロゲン系難燃剤が好ましい。難燃剤としてはリン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤等が挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0120】
[ポリアリレート樹脂およびポリアリレート樹脂組成物の溶液およびその使用]
本発明のポリアリレート樹脂およびポリアリレート樹脂組成物は、有機溶媒に溶解し、樹脂溶液とすることができる。樹脂溶液の作製方法は特に限定されないが、ポリアリレート樹脂組成物の樹脂溶液を作製する場合、ポリアリレート樹脂とエポキシ樹脂を同時に有機溶媒に溶解するよりも、予めポリアリレート樹脂とエポキシ樹脂をそれぞれ有機溶媒に溶解した後それらを混合する方が、短時間で均一な樹脂溶液を得やすい。なお、後者の場合、両者の樹脂溶液の固形分濃度が近い方が、より短時間で均一な樹脂溶液を得やすい。
【0121】
本発明のポリアリレート樹脂の樹脂溶液に用いる有機溶媒は、ポリアリレート樹脂が均一に溶解できれば特に限定されず、環境への影響の観点から非ハロゲン化溶媒が好ましい。本発明のポリアリレート樹脂組成物の樹脂溶液に用いる有機溶媒は、エポキシ樹脂とポリアリレート樹脂が均一に溶解できれば特に限定されず、環境への影響の観点から非ハロゲン化溶媒が好ましい。このような非ハロゲン化溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド化合物;1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類が挙げられる。これらの非ハロゲン化溶媒はいずれも汎用溶媒として有用であり、ケトン化合物および芳香族炭化水素類、特にメチルエチルケトンおよびトルエンはより汎用的な溶剤として有用である。最も有用な汎用溶媒はメチルエチルケトンである。前記有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0122】
本発明のポリアリレート樹脂およびポリアリレート樹脂組成物は、非ハロゲン化溶媒への溶解性に非常に優れるため、それぞれの樹脂溶液の固形分濃度を高くすることができ、具体的には、20質量%以上とすることができ、より好ましくは40質量%モル%以上とすることができ、さらに好ましくは50質量%以上とすることができる。特にポリアリレート樹脂は、例えば、5〜40質量%、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは20〜40質量%、さらに好ましくは30〜40質量%の固形分濃度で非ハロゲン化溶媒に溶解させることができる。本発明の樹脂溶液の溶媒として用いるメチルエチルケトンおよびトルエンは、電気電子分野で、幅広く用いられており、入手しやすく、かつ、安価であることから、特に利便性が高い有機溶媒である。従来、ポリアリレート樹脂は、芳香環の濃度が高いため、前記溶媒には溶解しにくいと考えられていた。しかしながら、ポリアリレート樹脂を前記したような特定の樹脂組成とすることにより、前記溶媒に高濃度で溶解することがわかった。そのため、本発明のポリアリレート樹脂およびポリアリレート樹脂組成物は、被膜およびフィルムの形成ならびにプリプレグの作製において、非常に取扱い性が高く、その工業的意義は非常に高い。
【0123】
本発明の樹脂溶液を基材に塗布乾燥した後、被膜を形成し、基材から剥離することにより、フィルムを得ることができる。被膜およびフィルムを形成するときの樹脂溶液は、ポリアリレート樹脂を有機溶媒に溶解した樹脂溶液であってもよいし、またはポリアリレート樹脂組成物を有機溶媒に溶解した樹脂溶液、あるいはポリアリレート樹脂組成物と高分子量樹脂を有機溶媒に溶解した樹脂溶液であってもよい。
【0124】
基材としては、例えば、PETフィルム、ポリイミドフィルム、ガラス板、ステンレス板が挙げられる。塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーター塗り法、フィルムアプリケーター塗り法、はけ塗り法、スプレー塗り法、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング法、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法が挙げられる。
【0125】
本発明の樹脂溶液は、強化繊維クロスに含浸または塗布させた後、乾燥することにより、プリプレグを得ることができる。プリプレグを製造するときの樹脂溶液は、ポリアリレート樹脂組成物を有機溶媒に溶解した樹脂溶液である。
【0126】
強化繊維クロスを構成する強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、有機系繊維、セラミック系繊維が挙げられる。これらの強化繊維は、織布、不織布等いかなる形態のものも用いることができる。また、フィブリドを用いてこれらの繊維を短繊維の状態で混合抄紙した合成紙を用いてもよい。中でも、加工性に優れることから、ガラス繊維、炭素繊維が好ましい。強化繊維クロスの厚みは、5〜50μmとすることが好ましく、10〜45μmとすることがより好ましく、15〜40μmとすることがさらに好ましい。
【0127】
強化繊維クロスに樹脂溶液を含浸する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。前記含浸方法としては、例えば市販または自作の連続含浸装置を用いる方法、ポリアリレート樹脂からなる樹脂溶液に強化繊維を浸漬する方法、離型紙、ガラス板、ステンレス板等の板上に強化繊維をひろげ、ポリアリレート樹脂からなる樹脂溶液を塗工する方法が挙げられる。プリプレグは、前記塗工後、塗工した樹脂溶液から有機溶媒を蒸発乾燥させることで得られる。
【0128】
強化繊維クロスに樹脂溶液を塗工する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。前記塗工方法としては、例えば市販の塗工機を用いて塗工が可能である。両面塗工を行う場合は、片面塗工を行った後、一旦乾燥し再び反対面に塗工する方法、片面塗工を行った後乾燥を経ないで反対面に塗工する方法、同時に両面に塗工する方法が挙げられる。それら塗工方法は、作業性、得られるプリプレグの性能を加味して適宜選択することができる。プリプレグは、前記塗工後、塗工した樹脂溶液から有機溶媒を蒸発乾燥させることで得られる。
【0129】
プリプレグの厚みは、用いる強化繊維クロスの厚みによって異なるが、10〜150μmであることが好ましく、20〜140μmであることがより好ましく、30〜130μmであることがさらに好ましい。なお、プリプレグは強化繊維クロスに樹脂溶液を含浸または塗工後、乾燥することで得られるが、用いる強化繊維クロスの厚みの概ね3倍の厚みとなるように、プリプレグを得ることで耐熱性、機械特性、接着性さらに外観に優れたプリプレグとすることができる。
【0130】
本発明のプリプレグは硬化のための加熱処理等することなくそのままで用いることができる。また、プリプレグに含有するポリアリレート樹脂はそのガラス転移温度以上に加熱すると溶融し流動性を示すので、プリプレグをそのままあるいは何枚か積層し、加熱プレスすることにより、緻密化して、積層体とすることができる。前記積層体は、プリプレグ同士の接着性に優れるため、機械的強度が十分に向上し耐熱性にも優れている。また、前記積層体は高強度の板状成形体として用いることができる。さらに、この板状成形体は所望の形状に成形することもできる。成形性に関しては、用いる強化繊維クロスの材質、プリプレグ含有の固形分量によっても異なるが、所定金型に応じた賦型加工が可能である。機械特性を大きく損なわない範囲において、打ち抜き等を行ってもよい。本発明のプリプレグは、熱硬化性樹脂を用いていないため、特に、接着性、賦型加工性、打ち抜き性等の加工性に優れている。なお、賦型加工、打ち抜きは冷間加工も可能であるが、必要に応じて加温下加工を行うこともできる。
【0131】
本発明のポリアリレート樹脂組成物の溶液を用いて得られた被膜、フィルムならびにプリプレグおよびその積層体を加熱することにより、ポリアリレート樹脂とエポキシ樹脂とを反応させ、硬化を完全に達成することができる。加熱温度(硬化温度)は通常、110〜250℃であり、好ましくは130〜220℃である。加熱時間(硬化時間)通常、1分〜20時間であり、好ましくは5分〜10時間である。
【0132】
本発明のポリアリレート樹脂は、耐熱性、誘電特性を有しつつ、流動性およびエポキシ樹脂との反応性に優れているため、プリント配線板等の絶縁材料として好適に用いることができる。
【実施例】
【0133】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、ポリアリレート樹脂およびその樹脂組成物の物性測定は以下の方法により行った。
【0134】
(1)ポリアリレート樹脂の樹脂組成、ヒドロキシル基濃度およびアセチル基濃度
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製LA−400 NMR)を用いて、H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク面積から樹脂組成を求めた。また、H−NMR分析することにより、フェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位またはメタ位に位置するプロトンのピーク面積を算出して、ヒドロキシル基を定量化することによりヒドロキシル基濃度を求めた。また、アセチル基のメチル基のプロトンのピーク面積を算出して、アセチル基を定量化することによりアセチル基濃度を求めた。(分解能:400MHz、溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸と重水素化テトラクロロエタンとの容量比が1/11の混合溶媒、温度:50℃)。
【0135】
(2)ポリアリレート樹脂のガラス転移温度
示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて、昇温速度20℃/分で40℃から340℃まで昇温し、得られた昇温曲線中のガラス転移温度に由来する不連続変化の開始温度をガラス転移温度とした。
【0136】
(3)ポリアリレート樹脂の数平均分子量
クロロホルムを溶媒とし、ポリアリレート樹脂のペレットを濃度1000ppmとなるよう溶解させて溶液を得た。GPC分析により、ポリスチレン換算で数平均分子量を求めた。
【0137】
(4)製造時間
各実施例/比較例を、容量150Lの反応容器を用いて、得られるポリアリレート樹脂が45〜55kgとなるようにして実施した。脱酢酸重合反応における減圧開始から、ポリアリレート樹脂の抜き出し開始までの時間を「ポリアリレート樹脂の製造時間」として示し、評価した。
なお、「ポリアリレート樹脂の製造時間」は、実施例1〜21、24および比較例1〜6においては脱酢酸重合反応の反応時間を示し、実施例22および23においては脱酢酸重合反応の反応時間と解重合反応の反応時間(2時間)の合計時間を示す。
S(最良):4時間未満;
A(優良):4時間以上、5時間未満;
B(良):5時間以上、7時間未満;
C(合格):7時間以上、8時間未満;
D(不合格):8時間以上。
【0138】
(5)可溶固形分濃度
内容量50mLのガラス製ねじ口瓶に、合計量が30gで、溶液濃度が5、10、20、30質量%になるようにポリアリレート樹脂とトルエンを秤量した。その後、ガラス製ねじ口瓶を密封し、23℃の室温でミックスローターを使用して70rpmで24時間回転させ、23℃の室温下、48時間静置した。静置後、樹脂溶液を目視で観察し、以下の基準で溶液安定性を判断した。
良好:透明性が維持されており、増粘していなかった。
不良:透明性が維持されていなかったか、増粘していたか、あるいは溶け残りがあった。
溶液濃度が5、10、20、30質量%のうち、溶液安定性が良好で、かつ溶液濃度が最も高い溶液の溶液濃度を可溶固形分濃度とした。
なお、いずれの溶液濃度においても溶液安定性が良好な結果が得られなかった場合は、表には「0」と記載した。
また、溶媒がトルエンの場合と同様にして、溶媒がメチルエチルケトンの場合についても可溶固形分濃度を求めた。
本発明のポリアリレート樹脂は、トルエンおよびメチルエチルケトンの少なくとも一方の溶媒への溶解性が良好であれば、汎用溶媒への溶解性が良好である。本発明のポリアリレート樹脂は、これらの両方の溶媒への溶解性、特にメチルエチルケトンへの溶解性が良好であることが好ましい。上記溶液濃度が高いほど、当該溶媒への溶解性は良好である。
【0139】
(6)ポリアリレート樹脂の反応性(反応物のガラス転移温度)
エポキシ樹脂(EOCN−1020−55、日本化薬社製、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、軟化点55℃、エポキシ当量195)とポリアリレート樹脂を50/50の比率で計100質量部となるように混合し、さらに硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、東京化成工業社製)0.2質量部とトルエン100質量部を混合し、透明になるまで攪拌した。常温(25℃)下において、攪拌後、脱溶媒および乾燥し、樹脂組成物を得た。なお、トルエンに溶解しない場合は、塩化メチレンを用いた。
得られた樹脂組成物を、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて、昇温速度20℃/分で30℃から300℃まで昇温し、降温後、再度30℃から300℃まで昇温し、得られた昇温曲線中のガラス転移温度に由来する不連続変化の開始温度をガラス転移温度(Tga)とした。
S(最良):200℃≦Tga;
A(優良):190℃≦Tga<200℃;
B(良):180℃≦Tga<190℃;
C(合格):170℃≦Tga<180℃;
D(不合格):Tga<170℃。
【0140】
(7)ポリアリレート樹脂組成物の硬化物特性(ガラス転移温度、比誘電率、誘電正接)
ポリアリレート樹脂50質量部と、エポキシ樹脂(jER828、三菱化学社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量184〜194g/eq、粘度120〜150(25℃)、軟化点20℃以下)50質量部、硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、東京化成工業社製)0.2質量部と、テトラヒドロフラン100質量部とを混合し、透明になるまで攪拌し、樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液を、アルミカップに注ぎ、室温で2時間乾燥させた。その後、真空乾燥機を用いて、200Pa下、170℃で2時間、続いて、200Pa下、200℃で3時間乾燥して、脱溶媒および硬化を行い、硬化物を得た。なお、トルエンに溶解しない場合は、塩化メチレンを用いて、樹脂溶液を得て、硬化物を作製した。
得られた硬化物の板を切削し、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC7)を測定した。昇温速度20℃/分で30℃から300℃まで昇温し、降温後、再度30℃から300℃まで昇温し、得られた昇温曲線中のガラス転移温度に由来する不連続変化の開始温度をガラス転移温度Tgbとした。
S(最良):190℃≦Tgb;
A(優良):180℃≦Tgb<190℃;
B(良):170℃≦Tgb<180℃;
C(合格):160℃≦Tgb<170℃;
D(不合格):Tgb<160℃。
【0141】
また、以下の条件で比誘電率および誘電正接を測定した。
装置:アジレント・テクノロジー株式会社製、E4991A RFインピーダンス/マテリアル・アナライザ試料寸法:長さ60mm×幅60mm×厚み100μm
周波数:1GHz
測定温度:23℃
試験環境:23℃±1℃、50%RH±5%RH
【0142】
(8)ポリアリレート樹脂組成物の流動性
(7)で得られたポリアリレート樹脂組成物の硬化物の板を観察し、以下の基準でポリアリレート樹脂組成物の流動性の判断をした。
○:硬化物に気泡が見られなかった。
×:硬化物に気泡が見られた。
【0143】
(9)ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度
(試料溶液Aの調製)
凍結粉砕したポリアリレート樹脂0.2gをアセトニトリル3mLに浸漬し、室温で3日間静置抽出した。その後、抽出液を孔径0.45μmのフィルターで濾過し、アセトニトリルで希釈して測定用試料溶液を調製した。
(試料溶液Bの調製)
凍結粉砕したポリアリレート樹脂0.2gをメタノール3mLに浸漬し、室温で3日間静置抽出した。その後、抽出液を孔径0.45μmのフィルターで濾過して測定用試料溶液を調製した。
【0144】
(モノマー濃度の算出)
HPLC装置(HewlettPackard社製 HP1100)を用いて、試料溶液Aおよび試料溶液Bの測定を行った。試料溶液Aの測定結果より、二価フェノール成分およびヒドロキシカルボン酸成分のモノマー濃度を求めた。また、試料溶液Bの測定結果より、芳香族ジカルボン酸成分のモノマー濃度を求めた。二価フェノール成分、ヒドロキシカルボン酸成分および芳香族ジカルボン酸成分のモノマー濃度の合計から、ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度を求めた。(カラム:WatersAtlantis T3 5μmφ4.6×15mm、温度:40℃、検出器:UV275nm、溶離液A:0.1%ギ酸水溶液、溶離液B:アクリロニトリル/ギ酸=100/2、流量:0.5mL/min)
S(最良):ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が0.5質量%以下;
A(優良):ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が0.5質量%を超えて1.0質量%以下;
B(良):ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が1.0質量%を超えて1.5質量%以下;
C(合格):ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が1.5質量%を超えて2.0質量%以下;
D(不合格):ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が2.0質量%超。
【0145】
実施例1(溶融重合法)
撹拌装置を備えた反応容器に、TPA6.7質量部、IPA6.7質量部、BisTMC31.0質量部、無水酢酸20.4質量部を投入し(TPA:IPA:BisTMC:無水酢酸(モル比)=50:50:125:250)、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、140℃でPHBA5.5質量部を投入した後、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した。その後、280℃おいて90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌して、ポリアリレート樹脂を得た後、ポリアリレート樹脂を反応容器から抜き出した(脱酢酸重合反応)。
得られたポリアリレート樹脂の樹脂組成を分析したところ、TPA:IPA:BisTMC:PHBA=50:50:125:50(モル比)と、仕込みの組成と同一であった。
【0146】
実施例2(溶融重合法)
撹拌装置を備えた反応容器に、TPA6.7質量部、IPA6.7質量部、BisTMC31.0質量部、無水酢酸20.4質量部を投入し(TPA:IPA:BisTMC:無水酢酸(モル比)=50:50:125:250)、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した後、280℃でPHBA5.5質量部を投入した。その後、280℃において90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌して、ポリアリレート樹脂を得た後、ポリアリレート樹脂を反応容器から抜き出した(脱酢酸重合反応)。
【0147】
実施例3〜17および19〜21および比較例1〜6(溶融重合法)
表1、表2、表3または表4に記載のように原料の仕込の樹脂組成を変更したことおよび「ポリアリレート樹脂の製造時間」をこれらの表に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、ポリアリレート樹脂を得た。
【0148】
比較例7(界面重合法)
攪拌装置を備えた反応容器に、ビスフェノール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)51.1質量部、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール2.01質量部(PTBP)、アルカリとして水酸化ナトリウム36.5質量部、重合触媒としてトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド(TBBAC)の50質量%水溶液を0.56質量部仕込み、水1200質量部に溶解させた(水相)。また、これとは別に、塩化メチレン700質量部に、テレフタル酸クロライド23.4質量部とイソフタル酸クロライド23.4質量部を溶解させた(有機相)(TPC:IPC:PTBP:BisA(モル比)=50:50:7:97)。水相をあらかじめ攪拌しておき、有機相を水相中に強攪拌下で添加し、20℃で2時間、界面重合法で重合を行った。この後、攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、酢酸1質量部を添加して反応を停止した。その後、有機相を純水でpHが7前後になるまで洗浄を繰り返し、続いて、有機相を、ホモミキサーを装着した50℃の温水槽中に徐々に投入しながら塩化メチレンを蒸発させ、粉末状のポリマーを析出させた。得られたポリマーを、脱水、乾燥し、ポリアリレート樹脂を得た。
【0149】
実施例18(溶融重合法)
撹拌装置を備えた反応容器に、TPA5.5質量部、IPA12.8質量部、BisA15.7質量部、BisTMC21.3質量部、PHBA8.7質量部、無水酢酸22.6質量部を投入し(TPA:IPA:BisA:BisTMC:PHBA:無水酢酸(モル比)=30:70:62.5:62.5:57.7:307.5)、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、140℃でPHBA8.7質質量部を投入した後、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した。その後、280℃において90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌して、ポリアリレート樹脂を得た後、ポリアリレート樹脂を反応容器から抜き出した(脱酢酸重合反応)。
【0150】
実施例22(溶融重合法)
撹拌装置を備えた反応容器に、TPA5.0質量部、IPA11.6質量部、BisA14.3質量部、BisTMC19.4質量部、無水酢酸25.5質量部を投入し(TPA:IPA:BisA:BisTMC:無水酢酸(モル比)=30:70:62.5:62.5:250)、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した後、90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌した(脱酢酸重合反応)。その後、窒素雰囲気下で常圧とし、280℃でPHBA6.9質量部を投入し後、280℃で2時間撹拌して解重合反応を行い、ポリアリレート樹脂を得た後、ポリアリレート樹脂を反応容器から抜き出した(解重合反応)。
【0151】
実施例23(溶融重合法)
撹拌装置を備えた反応容器に、TPA5.0質量部、IPA11.6質量部、BisA8.6質量部、BisTMC19.4質量部、PHBA6.9質量部、無水酢酸25.5質量部を投入し(TPA:IPA:BisA:BisTMC:PHBA:無水酢酸(モル比)=30:70:37.5:62.5:50:250)、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した。その後、280℃おいて90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌して、ポリアリレート樹脂を得た(脱酢酸重合反応)。その後、窒素雰囲気下で常圧とし、280℃でBisA5.7質量部を投入し後、280℃で2時間撹拌して解重合反応を行い、ポリアリレート樹脂を得た後、ポリアリレート樹脂を反応容器から抜き出した(解重合反応)。
【0152】
実施例24(溶融重合法)
撹拌装置を備えた反応容器に、TPA5.5質量部、IPA12.8質量部、BisA15.7質量部、BisTMC21.3質量部、無水酢酸22.5質量部を投入し(TPA:IPA:BisA:BisTMC:無水酢酸(モル比)=30:70:62.5:62.5:200)、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した。その後、90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌して、ポリアリレート樹脂を得た後、ポリアリレート樹脂を反応容器から抜き出した(脱酢酸重合反応)。
【0153】
参考例
エポキシ樹脂(EOCN−1020−55、日本化薬社製、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、軟化点55℃、エポキシ当量195)100質量部と硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、東京化成工業社製)0.2質量部とトルエン100質量部を混合し、透明になるまで攪拌した。攪拌後、脱溶媒し、乾燥し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて、昇温速度20℃/分で30℃から300℃まで昇温し、降温後、再度30℃から300℃まで昇温し、得られた昇温曲線中のガラス転移温度に由来する不連続変化の開始温度の有無を調べた。
ガラス転移温度は30℃から300℃の範囲にはなかった。
【0154】
実施例および比較例で得られたポリアリレート樹脂およびその組成物について物性測定を行った。結果を表1〜表4に示す。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】
実施例1〜24で得られたポリアリレート樹脂は、耐熱性および誘電特性に十分に優れた硬化物を形成でき、流動性およびエポキシ樹脂との反応性に優れていた。
【0160】
比較例1〜7のポリアリレート樹脂はいずれも、ヒドロキシル基濃度が低かったため、エポキシ樹脂との反応性が低く、当該ポリアリレート樹脂とエポキシ樹脂との硬化物のガラス転移温度が低かった。
【0161】
実施例1〜21と実施例22〜24との比較により、ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度を所定の範囲内とすることにより、汎用溶媒への溶解性が向上することが明らかである。
【0162】
実施例1〜20と実施例21との比較により、ポリアリレート樹脂中のアセチル基濃度を所定の範囲内とすることにより、ポリアリレート樹脂の製造効率が向上することが明らかである。
【0163】
実施例より、メチルエチルケトンへの溶解性のさらなる向上の観点から、ポリアリレート樹脂はモノマー濃度が2質量%以下であって、さらに以下の組成条件を満たすことが好ましい。ポリアリレート樹脂は以下の組成条件(1)を満たすことが好ましく、組成条件(2)を満たすことがより好ましく、組成条件(3)を満たすことがさらに好ましく、組成条件(4)を満たすことが最も好ましい:
組成条件(1);全モノマー成分に対するヒドロキシカルボン酸成分の割合=2〜30モル%。
組成条件(2);全モノマー成分に対するヒドロキシカルボン酸成分の割合=5〜30モル%および(BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE)の含有比率=15/85〜85/15(モル比)。
組成条件(3);全モノマー成分に対するヒドロキシカルボン酸成分の割合=5〜25モル%、(BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE)の含有比率=30/70〜70/30(モル比)および(TPA+NDCA)/IPAの含有比率=0/100〜60/40(モル比)。
組成条件(4);全モノマー成分に対するヒドロキシカルボン酸成分の割合=10〜25モル%、(BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE)の含有比率=30/70〜70/30(モル比)および(TPA+NDCA)/IPAの含有比率=10/90〜40/60(モル比)。
【0164】
実施例1〜21は本発明のポリアリレート樹脂の好ましい製造方法によって得られたポリアリレート樹脂であり、ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度は2質量%以下であった。
【0165】
実施例22および23では、所定のヒドロキシル基濃度は得られたものの、以下の理由より、所望のモノマー濃度は得られなかった。ヒドロキシカルボン酸成分、または、二価フェノール成分による解重合反応を行ったが、解重合反応時に添加したモノマー成分の一部が未反応のまま残っていたか、または/並びに、解重合反応によってポリアリレート樹脂を構成するモノマー成分の一部がモノマーとして生成した。このため、ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が2質量%超となった。
【0166】
実施例24では、二価フェノール成分のヒドロキシル基の一部をアセチル化させることなく残すため、無水酢酸の添加量を減らして反応を行った。所定のヒドロキシル基濃度は得られたものの、アセチル化されなかった二価フェノール成分が未反応のまま残ったため、ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が2質量%超となった。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明のポリアリレート樹脂およびその樹脂組成物は、電子分野で使用されている絶縁材料として有用である。本発明のポリアリレート樹脂およびその樹脂組成物は特に、プリント配線板等の絶縁材料として有用である。

【手続補正書】
【提出日】2017年3月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であるポリアリレート樹脂であって、
ヒドロキシカルボン酸成分をさらに含有し、前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜35モル%の割合で含有され、
モノマー濃度が2質量%以下である、ポリアリレート樹脂
【請求項2】
アセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項3】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂。
【化1】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項4】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項5】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項またはに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項6】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載のポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含む被膜。
【請求項9】
請求項1〜のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含むフィルム。
【請求項10】
請求項1〜のいずれかに記載のポリアリレート樹脂および有機溶媒を含有する樹脂溶液。
【請求項11】
請求項10に記載の樹脂溶液が強化繊維クロスに含浸または塗布されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項12】
請求項11に記載のプリプレグが積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項13】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であり、
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、ポリアリレート樹脂。
【化2】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項14】
アセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項13に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項15】
モノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、請求項13または14に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項16】
ヒドロキシカルボン酸成分をさらに含有する、請求項13〜15のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項17】
前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で含有される、請求項16に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項18】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項13〜17のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項19】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項13〜18のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項20】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項19に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項21】
請求項13〜20のいずれかに記載のポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項22】
請求項13〜20のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含む被膜。
【請求項23】
請求項13〜20のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含むフィルム。
【請求項24】
請求項13〜20のいずれかに記載のポリアリレート樹脂および有機溶媒を含有する樹脂溶液。
【請求項25】
請求項24に記載の樹脂溶液が強化繊維クロスに含浸または塗布されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項26】
請求項25に記載のプリプレグが積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項27】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であるポリアリレート樹脂を製造する方法であって、
アセチル化反応および脱酢酸重合反応を行い、
前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加することを特徴とするポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項28】
前記ポリアリレート樹脂のアセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項27に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項29】
前記ポリアリレート樹脂のモノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、請求項27または28に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項30】
前記ポリアリレート樹脂がヒドロキシカルボン酸成分をさらに含有する、請求項27〜29のいずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項31】
前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で含有される、請求項30に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項32】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項27〜31のいずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【化3】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項33】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項32に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項34】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項32または33に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項35】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項34に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項36】
前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、前記脱酢酸重合反応のための温度および圧力に調整する予備段階を有し、
該予備段階において前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、請求項27〜35のいずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項37】
前記予備段階が、反応系を昇温した後、減圧を行う段階であり、
該予備段階において、昇温前に、かつ/または昇温後であって減圧前に、前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、請求項36に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項38】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であるポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項39】
前記ポリアリレート樹脂のアセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項38に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項40】
前記ポリアリレート樹脂のモノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、請求項38または39に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項41】
前記ポリアリレート樹脂がヒドロキシカルボン酸成分をさらに含有する、請求項38〜40のいずれかに記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項42】
前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で含有される、請求項41に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項43】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項38〜42のいずれかに記載のポリアリレート樹脂組成物。
【化4】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項44】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項43に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項45】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項43または44に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項46】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項45に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0157
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0157】
【表3】


【手続補正書】
【提出日】2017年4月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を共重合単位として含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であるポリアリレート樹脂であって、
ヒドロキシカルボン酸成分を共重合単位としてさらに含有し、前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜35モル%の割合で含有され、
モノマー濃度が2質量%以下である、ポリアリレート樹脂。
【請求項2】
アセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項3】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂。
【化1】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項4】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項3に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項5】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項3または4に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項6】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項5に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含む被膜。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含むフィルム。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリレート樹脂および有機溶媒を含有する樹脂溶液。
【請求項11】
請求項10に記載の樹脂溶液が強化繊維クロスに含浸または塗布されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項12】
請求項11に記載のプリプレグが積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項13】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を共重合単位として含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であり、
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、ポリアリレート樹脂。
【化2】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項14】
アセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項13に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項15】
モノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、請求項13または14に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項16】
ヒドロキシカルボン酸成分を共重合単位としてさらに含有する、請求項13〜15のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項17】
前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で含有される、請求項16に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項18】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項13〜17のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項19】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項13〜18のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項20】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項19に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項21】
請求項13〜20のいずれかに記載のポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項22】
請求項13〜20のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含む被膜。
【請求項23】
請求項13〜20のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含むフィルム。
【請求項24】
請求項13〜20のいずれかに記載のポリアリレート樹脂および有機溶媒を含有する樹脂溶液。
【請求項25】
請求項24に記載の樹脂溶液が強化繊維クロスに含浸または塗布されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項26】
請求項25に記載のプリプレグが積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項27】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を共重合単位として含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であるポリアリレート樹脂を製造する方法であって、
アセチル化反応および脱酢酸重合反応を行い、
前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加することを特徴とするポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項28】
前記ポリアリレート樹脂のアセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項27に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項29】
前記ポリアリレート樹脂のモノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、請求項27または28に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項30】
前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で共重合単位として含有される、請求項27〜29のいずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項31】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項27〜30のいずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【化3】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項32】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項31に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項33】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項31または32に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項34】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項33に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項35】
前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、前記脱酢酸重合反応のための温度および圧力に調整する予備段階を有し、
該予備段階において前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、請求項27〜34のいずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項36】
前記予備段階が、反応系を昇温した後、減圧を行う段階であり、
該予備段階において、昇温前に、かつ/または昇温後であって減圧前に、前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、請求項35に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項37】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を共重合単位として含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であるポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項38】
前記ポリアリレート樹脂のアセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項37に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項39】
前記ポリアリレート樹脂のモノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、請求項37または38に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項40】
前記ポリアリレート樹脂がヒドロキシカルボン酸成分を共重合単位としてさらに含有する、請求項3739のいずれかに記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項41】
前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で含有される、請求項40に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項42】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項3741のいずれかに記載のポリアリレート樹脂組成物。
【化4】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項43】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項42に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項44】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項42または43に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項45】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項44に記載のポリアリレート樹脂組成物。

【手続補正書】
【提出日】2017年5月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を共重合単位として含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であるポリアリレート樹脂であって、
ヒドロキシカルボン酸成分を共重合単位としてさらに含有し、前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜35モル%の割合で含有され、
モノマー濃度が2質量%以下である、ポリアリレート樹脂。
【請求項2】
アセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項3】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂。
【化1】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項4】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項3に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項5】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項3または4に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項6】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項5に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含む被膜。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含むフィルム。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリレート樹脂および有機溶媒を含有する樹脂溶液。
【請求項11】
請求項10に記載の樹脂溶液が強化繊維クロスに含浸または塗布されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項12】
請求項11に記載のプリプレグが積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項13】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を共重合単位として含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であり、
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、ポリアリレート樹脂。
【化2】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項14】
アセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項13に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項15】
モノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、請求項13または14に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項16】
ヒドロキシカルボン酸成分を共重合単位としてさらに含有する、請求項13〜15のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項17】
前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で含有される、請求項16に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項18】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項13〜17のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項19】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項13〜18のいずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項20】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項19に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項21】
ヒドロキシカルボン酸成分を共重合単位としてさらに含有し、前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜35モル%の割合で含有される、請求項13〜15、請求項18〜請求項20いずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項22】
請求項21のいずれかに記載のポリアリレート樹脂およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項23】
請求項21のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含む被膜。
【請求項24】
請求項21のいずれかに記載のポリアリレート樹脂を含むフィルム。
【請求項25】
請求項21のいずれかに記載のポリアリレート樹脂および有機溶媒を含有する樹脂溶液。
【請求項26】
請求項25に記載の樹脂溶液が強化繊維クロスに含浸または塗布されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項27】
請求項26に記載のプリプレグが積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項28】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を共重合単位として含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であるポリアリレート樹脂を製造する方法であって、
アセチル化反応および脱酢酸重合反応を行い、
前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加することを特徴とするポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項29】
前記ポリアリレート樹脂のアセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項28に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項30】
前記ポリアリレート樹脂のモノマー濃度が2質量%以下であることを特徴とする、請求項28または29に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項31】
前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜50モル%の割合で共重合単位として含有される、請求項2830のいずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項32】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項2831のいずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【化3】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項33】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項32に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項34】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項32または33に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項35】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項34に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項36】
前記アセチル化反応の後から前記脱酢酸重合反応の前に、前記脱酢酸重合反応のための温度および圧力に調整する予備段階を有し、
該予備段階において前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、請求項2835のいずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項37】
前記予備段階が、反応系を昇温した後、減圧を行う段階であり、
該予備段階において、昇温前に、かつ/または昇温後であって減圧前に、前記ヒドロキシカルボン酸成分を添加する、請求項36に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【請求項38】
二価フェノール成分および芳香族ジカルボン酸成分を共重合単位として含有し、ヒドロキシル基濃度が100geq/トン以上であるポリアリレート樹脂であって、ヒドロキシカルボン酸成分を共重合単位としてさらに含有し、前記ヒドロキシカルボン酸成分が全モノマー成分に対して2〜35モル%の割合で含有されるポリアリレート樹脂、およびエポキシ樹脂を含むことを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
【請求項39】
前記ポリアリレート樹脂のアセチル基濃度が10geq/トン以上であることを特徴とする、請求項38に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項40】
前記二価フェノール成分が一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有する、請求項3839のいずれかに記載のポリアリレート樹脂組成物。
【化4】
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の炭化水素基またはハロゲン原子を表す;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す;mは4〜12の整数を表す;Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表す]
【請求項41】
前記脂環式二価フェノールが全二価フェノール成分に対して15モル%以上の割合で含有される、請求項40に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項42】
前記二価フェノール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BisAP)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)および/または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン(BisCDE)とを含有する、請求項40または41に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【請求項43】
前記BisAおよび/または前記BisAPの合計含有量と、前記BisTMCおよび/または前記BisCDEの合計含有量との含有比率((BisA+BisAP)/(BisTMC+BisCDE))が、15/85〜85/15(モル比)である、請求項42に記載のポリアリレート樹脂組成物。
【国際調査報告】