特表-17082260IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2017-82260非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年5月18日
【発行日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/16 20060101AFI20171020BHJP
【FI】
   H01M2/16 L
   H01M2/16 P
   H01M2/16 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
【出願番号】特願2017-516535(P2017-516535)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年11月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-221601(P2015-221601)
(32)【優先日】2015年11月11日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-221602(P2015-221602)
(32)【優先日】2015年11月11日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】西川 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 孝
(72)【発明者】
【氏名】藏谷 理佳
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE04
5H021EE10
5H021EE15
5H021EE21
5H021EE22
5H021EE23
5H021EE32
5H021HH01
5H021HH03
5H021HH07
(57)【要約】
本開示の非水系二次電池用セパレータは、多孔質基材と、多孔質基材の片面又は両面に設けられ、フッ化ビニリデン単量体単位と全単量体単位に対する比率が1.5モル%以上5モル%以下のヘキサフルオロプロピレン単量体単位とを有し、重量平均分子量が60万以上300万以下であるポリフッ化ビニリデン系樹脂、及びチタン酸バリウムの粒子を含む接着性多孔質層と、を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基材と、
前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、フッ化ビニリデン単量体単位と全単量体単位に対する比率が1.5モル%以上5モル%以下のヘキサフルオロプロピレン単量体単位とを有し、重量平均分子量が60万以上300万以下であるポリフッ化ビニリデン系樹脂、及びチタン酸バリウムの粒子を含む接着性多孔質層と、
を備えた非水系二次電池用セパレータ。
【請求項2】
前記チタン酸バリウムの粒子の接着性多孔質層中における含有量は、接着性多孔質層の固形分に対して、5質量%以上である請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
【請求項3】
前記チタン酸バリウムの粒子は、平均粒子径が0.1μm以上1μm以下である請求項1又は請求項2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
【請求項4】
前記接着性多孔質層は、更に、金属水酸化物及びチタン酸バリウム以外の金属酸化物より選ばれる無機フィラーを含み、前記無機フィラーの含有量に対する前記チタン酸バリウムの粒子の含有量の質量比率が5質量%以上40質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
【請求項5】
前記無機フィラーは、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種のフィラーである請求項4に記載の非水系二次電池用セパレータ。
【請求項6】
正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラ、カムコーダなどの携帯用電子機器の電源として広く利用されている。携帯用電子機器の小型化・軽量化に伴い、非水系二次電池において外装の簡素化がなされている。具体的には、外装として当初使用されたステンレス製の電池缶に代えてアルミ缶製の電池缶が提案され、さらに近年では、電池缶に代えてアルミラミネートパック等のソフトパックが開発されている。
ところが、アルミラミネートパック等のソフトパックでは、外装が柔らかいため、外部からの衝撃又は充放電時の電極の膨張もしくは収縮により、電極とセパレータとの間に隙間が形成される場合があり、サイクル寿命を悪化させることがある。
【0003】
接着性に関連する技術としては、二次電池における電極とセパレータとの接着性を高める技術が種々検討されている。その技術の1つとして、ポリオレフィン系微多孔膜の上にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる接着性多孔質層が形成されたセパレータを用いる技術が提案されている(例えば、特許第4127989号公報及び国際公開第2014/021293号参照)。このセパレータは、電解液を含んだ状態で電極に重ねて熱プレスすると、接着性多孔質層を介して電極とセパレータとの間の接着性が向上し、ソフトパックを用いたソフトパック電池のサイクル寿命を改善することができる。
また、テフロンシート基材上にPVdF−HFPとBaTiOを含む混合溶液が塗工された有機/無機複合多孔性フィルムが開示されている(例えば、特許第5889271号公報参照)。
更に、耐熱性に関連する技術として、例えば、水酸化アルミニウム等のフィラー及びメタ型全芳香族ポリアミド等の耐熱性樹脂を含有する多孔質層が形成されたセパレータ、及び水酸化マグネシウム及びポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層が形成されたセパレータ等が提案されている(例えば、国際公開第2008/062727号、国際公開第2008/156033号、及び国際公開第2014/021293号参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、エネルギー密度が高いといった特徴から、電力貯蔵用又は電気自動車等の車両用等の電池としての適用が検討されている。例えば、携帯用電子機器の小型化に伴って薄型で広面積の形状の電池が求められる状況に加え、車両用等に適した電池においても、容量を確保するために電池の大面積化が図られる傾向にある。しかしながら、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を備えたセパレータであっても、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を形成する単量体単位の組成によっては、電極とセパレータとの間の接着性が不足し、イオン伝導性を安定に保持できないことによる電池容量の低下、充放電特性(サイクル特性)の低下、及び電池の膨れ、電池強度の不足等を引き起こすことがある。
【0005】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を備えたセパレータを備えた電池は、一般に、電極とセパレータを重ね合わせて巻回する過程又は電極とセパレータを交互にスタックする過程を経て電極及びセパレータの積層体を製造し、この積層体を外装材に収容して電解液を注入した状態で熱プレス処理(以下、「ウェットヒートプレス」ともいう。)を行うことで製造することができる。ウェットヒートプレスによると、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が電解液と接触して膨潤した状態で熱プレスされるので、電極とセパレータとの間の接着性が良くなり、良好な充放電特性が得られやすい。
セパレータにおける接着性多孔質層には、一般に、耐熱性を高め、層の剛性を高めて電池全体の強度を向上させる観点から、フィラーが含有される。各種フィラーのうち、特に無機フィラーは、電解液が含浸された層内で電解質に作用して液の安定性を損なう傾向がある。
上記のように、ウェットヒートプレスを経て電池を作製する場合、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が膨潤した状態で熱プレスされることで接着性が高められる利点があるものの、温度が上昇するに伴って、無機フィラーによる液の安定性はより低下し、無機フィラーによって電解液及び電解質の分解がより誘発されやすくなる。電解液及び電解質の分解が誘発されることで、電池内に発生するガスが増え、電池が膨れる現象を招きやすい。特に、ジェリーロール電池等において電池を大面積化する場合、又はセパレータに残存する内部応力が高い場合に、このような現象が生じやすい。
【0006】
さらに、非水系二次電池に対する更なる高容量化及び高エネルギー密度化の要求から水系バインダを使用した負極が普及しており、水系バインダを含む負極とポリフッ化ビニリデン系樹脂を含むセパレータとの間の接着性の向上が望まれている。
【0007】
本開示は、上記に鑑みなされたものであり、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を備えたセパレータであって、耐熱性、及びウェットヒートプレスによる電極との接着性に優れ、電池を作製した際の電池強度を高め、膨れに伴う変形を抑制する非水系二次電池用セパレータ、並びに、充放電特性(サイクル特性)に優れ、膨れに伴う変形が抑えられた非水系二次電池を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の単量体単位とフィラーとに着目し、特定の単量体単位の含有比率及びフィラーの種類が上記目的を達成するために重要であるとの知見に基づいて、上記課題を解決するものである。
上記の課題を達成するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
【0009】
<1> 多孔質基材と、前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、フッ化ビニリデン単量体単位と全単量体単位に対する比率が1.5モル%以上5モル%以下のヘキサフルオロプロピレン単量体単位とを有し、重量平均分子量が60万以上300万以下であるポリフッ化ビニリデン系樹脂、及びチタン酸バリウムの粒子を含む接着性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータである。
<2> 前記チタン酸バリウムの粒子の接着性多孔質層中における含有量は、接着性多孔質層の固形分に対して、5質量%以上である前記<1>に記載の非水系二次電池用セパレータである。
<3> 前記チタン酸バリウムの粒子は、平均粒子径が0.1μm以上1μm以下である前記<1>又は前記<2>に記載の非水系二次電池用セパレータである。
<4> 前記接着性多孔質層は、更に、金属水酸化物及びチタン酸バリウム以外の金属酸化物より選ばれる無機フィラーを含み、前記無機フィラーの含有量に対する前記チタン酸バリウムの粒子の含有量の質量比率が5質量%以上40質量%以下である前記<1>〜前記<3>のいずれか一つに記載の非水系二次電池用セパレータである。
<5> 前記無機フィラーは、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種のフィラーである前記<4>に記載の非水系二次電池用セパレータである。
<6> 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を備えたセパレータであって、耐熱性及びウェットヒートプレスによる電極との接着性に優れ、電池を作製した際の電池強度を高め、膨れに伴う変形を抑制する非水系二次電池用セパレータが提供される。
また、本開示によれば、充放電特性(サイクル特性)に優れ、膨れに伴う変形が抑えられた非水系二次電池が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態についての説明及び実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
また、本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0012】
<非水系二次電池用セパレータ>
本開示の非水系二次電池用セパレータは、少なくとも、多孔質基材と、前記多孔質基材の片面又は両面に設けられた接着性多孔質層と、を備えている。多孔質基材に設けられた接着性多孔質層は、フッ化ビニリデン単量体単位とヘキサフルオロプロピレン単量体単位とを有し、前記ヘキサフルオロプロピレン単量体単位の全単量体単位に対する比率が1.5モル%以上5モル%以下であり、かつ、重量平均分子量が60万以上300万以下であるポリフッ化ビニリデン系樹脂と、チタン酸バリウムの粒子と、を含有している。本開示の非水系二次電池用セパレータは、他の層を更に有していてもよく、接着性多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びチタン酸バリウムの粒子以外の他の成分を含んでもよい。
【0013】
従来から、セパレータと電極との接着性については、種々の検討がなされており、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を備えたセパレータも提案されているところ、ソフトパックに代表される最近の外装材を使用した電池に求められる電極及びセパレータ間の接着性、又は水系バインダを使用した負極とセパレータ間に求められる接着性は高く、更なる改善が求められている。かかる点で、電池強度も改善すべき技術課題の一つである。
また、電池内には、耐熱性、電池の剛性を高める等の目的でフィラーが含まれているが、例えば金属酸化物等の無機フィラーは、電解液が含浸された層内で電解質に作用して液の安定性を損ない、電解液及び電解質の分解を誘発してガスを発生させる一因となっている。
上記の状況に鑑みて、本開示の非水系二次電池用セパレータでは、電極と接する接着性多孔質層を、特定の構造と分子量を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂と特定のフィラーとを用いた組成にして形成する。これにより、電極との間のウェットヒートプレスによる接着性が飛躍的に向上し、電池強度も増して例えばソフトパック電池等に必要とされる強度(セル強度)も確保され、品質安定性にも優れたものとなる。更には、無機フィラーに起因した電解液及び電解質の分解に伴うガスの発生が抑えられ、電池の膨れ(電池の変形)が抑制される。また、無機フィラーを含むので、耐熱性にも優れる。
【0014】
以下、本開示の非水系二次電池用セパレータについて詳述する。
[多孔質基材]
非水系二次電池用セパレータは、多孔質基材を備えている。多孔質基材とは、内部に空孔ないし空隙を有する基材を意味する。
多孔質基材としては、微多孔膜、及び繊維状物からなる、不織布、紙等の多孔性シート、並びに、微多孔膜又は多孔性シートに他の多孔性の層を1層以上積層した複合多孔質シートなどが挙げられる。ここで、微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、微細孔が互いに連結された構造であることにより一方面から他方面へと気体又は液体が通過可能となっている膜のことを指す。
【0015】
多孔質基材には、電気絶縁性を有する有機材料及び/又は無機材料が含まれる。
多孔質基材は、多孔質基材にシャットダウン機能を付与する観点から、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。シャットダウン機能とは、電池温度が高まった場合に、材料が溶解して多孔質基材の孔を閉塞することによりイオンの移動を遮断し、電池の熱暴走を防止する機能をいう。熱可塑性樹脂としては、融点200℃未満の熱可塑性樹脂が好ましく、特にポリオレフィンが好ましい。
【0016】
多孔質基材としては、ポリオレフィンを含む微多孔膜(本明細書において、「ポリオレフィン微多孔膜」という。)が好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜としては、従来の非水系二次電池用セパレータに適用されているポリオレフィン微多孔膜の中から、十分な力学特性とイオン透過性を有するものを選択すればよい。
【0017】
ポリオレフィン微多孔膜は、シャットダウン機能を発現する観点から、ポリエチレンを含むこと(すなわちポリエチレン微多孔膜)が好ましく、ポリエチレンの含有量としては95質量%以上が好ましい。
【0018】
ポリオレフィン微多孔膜は、高温に曝されたときに容易に破膜しない程度の耐熱性を付与するという観点では、ポリエチレンとポリプロピレンとを含むポリオレフィン微多孔膜が好ましい。このようなポリオレフィン微多孔膜としては、ポリエチレンとポリプロピレンが1つの層において混在している微多孔膜が挙げられる。このような微多孔膜においては、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点から、95質量%以上のポリエチレンと5質量%以下のポリプロピレンとを含むことが好ましい。また、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点では、ポリオレフィン微多孔膜が2層以上の積層構造を備えており、少なくとも1層はポリエチレンを含み、少なくとも1層はポリプロピレンを含む構造のポリオレフィン微多孔膜も好ましい。
【0019】
ポリオレフィン微多孔膜に含まれるポリオレフィンは、重量平均分子量が10万〜500万のポリオレフィンが好ましい。重量平均分子量が10万以上であると、良好な力学特性を確保できる。一方、重量平均分子量が500万以下であると、シャットダウン特性が良好であるし、膜の成形がしやすい。
【0020】
ポリオレフィン微多孔膜は、例えば以下の方法で製造可能である。すなわち、溶融したポリオレフィン樹脂をT−ダイから押し出してシート化し、これを結晶化処理した後延伸し、さらに熱処理をして微多孔膜とする方法、又は流動パラフィンなどの可塑剤と一緒に溶融したポリオレフィン樹脂をT−ダイからシート状に押し出し、押出された樹脂を冷却し、延伸した後、可塑剤を抽出し熱処理をして微多孔膜とする方法である。
【0021】
繊維状物からなる多孔性シートとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド等の耐熱性樹脂;などの繊維状物からなる、不織布、紙等が挙げられる。
耐熱性樹脂とは、融点が200℃以上のポリマー、又は融点を有さず分解温度が200℃以上のポリマーをいう。
【0022】
複合多孔質シートとしては、微多孔膜又は繊維状物からなる多孔性シートに機能層を積層したシートが挙げられる。このような複合多孔質シートは、機能層によってさらなる機能付加が可能となる点で好ましい。機能層としては、例えば耐熱性を付与するという観点では、耐熱性樹脂を含有する多孔性の層、又は耐熱性樹脂及び無機フィラーを含有する多孔性の層が好ましい。耐熱性樹脂としては、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルイミドから選ばれる1種又は2種以上の耐熱性樹脂が挙げられる。無機フィラーとしては、アルミナ等の金属酸化物、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物などが挙げられる。微多孔膜又は多孔性シートに機能層を設ける方法としては、微多孔膜又は多孔性シートに機能層を塗工する方法、微多孔膜又は多孔性シートと機能層とを接着剤で接合する方法、微多孔膜又は多孔性シートと機能層とを熱圧着する方法等が挙げられる。
【0023】
多孔質基材の平均孔径としては、20nm以上100nm以下の範囲が好ましい。多孔質基材の平均孔径が20nm以上であると、イオンが移動しやすく、良好な電池性能が得やすくなる。このような観点では、多孔質基材の平均孔径は、30nm以上がより好ましく、40nm以上が更に好ましい。一方、多孔質基材の平均孔径が100nm以下であると、多孔質基材と多孔質層との間の剥離強度が向上し、良好なシャットダウン機能を発現し得る。このような観点では、多孔質基材の平均孔径は、90nm以下がより好ましく、80nm以下が更に好ましい。
なお、多孔質基材の平均孔径は、パームポロメーターを用いて測定される値であり、例えば、ASTM E1294−89に準拠し、パームポロメーター(PMI社製のCFP−1500−A)を用いて測定できる。
【0024】
多孔質基材の厚さは、良好な力学物性と内部抵抗を得る観点から、3μm以上25μm以下の範囲が好ましい。特に、多孔質基材の厚さは、5μm以上20μm以下の範囲がより好ましい。
【0025】
多孔質基材のガーレ値(JIS P8117:2009)は、電池の短絡防止や十分なイオン透過性を得る観点から、50秒/100ml以上400秒/100ml以下の範囲が好ましい。
【0026】
多孔質基材の空孔率は、適切な膜抵抗やシャットダウン機能を得る観点から、20%以上60%以下の範囲が好ましい。
【0027】
多孔質基材の突刺強度は、製造歩留まりを向上させる観点から、200g以上であることが好ましい。
【0028】
多孔質基材は、各種の表面処理が施されていることが好ましい。表面処理を施すことで、後述する接着性多孔質層を形成するための塗工液との濡れ性を向上させることができる。表面処理の具体的な例としては、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理等が挙げられ、多孔質基材の性質を損なわない範囲で処理することができる。
【0029】
[接着性多孔質層]
非水系二次電池用セパレータは、多孔質基材の上に接着性多孔質層を備えている。
接着性多孔質層は、多孔質基材の片面又は両面に配置され、特定の構造及び分子量を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂と、フィラーであるチタン酸バリウムの粒子と、を含む多孔質層である。接着性多孔質層は、内部に多数の微細孔を有し、微細孔が互いに連結された構造をなして一方面から他方面へと気体あるいは液体が通過可能となっている。
【0030】
接着性多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びチタン酸バリウムの粒子以外の他の樹脂やフィラー等を含んでいてもよい。
【0031】
また、接着性多孔質層は、多孔質基材の片面又は両面において、セパレータの最外層として配置されることで、セパレータと電極とを重ねて熱プレスした場合に電極と接着される層である。
【0032】
接着性多孔質層は、多孔質基材の片面のみに配置される場合よりも両面に配置されている場合が、電池のサイクル特性(容量維持率)に優れる。これは、接着性多孔質層が多孔質基材の両面に配置されていると、セパレータは、両面において接着性多孔質層を介して正極及び負極の双方と良好に接着するためと考えられる。
【0033】
(ポリフッ化ビニリデン系樹脂)
接着性多孔質層は、フッ化ビニリデン単量体単位(VDF単位)と、全単量体単位に対する比率が1.5モル%以上5モル%以下のヘキサフルオロプロピレン単量体単位(HFP単位)と、を有し、かつ、重量平均分子量が60万以上300万以下である、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(以下、VDF−HFP共重合体ともいう。)の少なくとも一種を含有する。
接着性多孔質層が、特定のVDF−HFP共重合体を、後述するチタン酸バリウムの粒子とともに含んでいることにより、耐熱性及びウェットヒートプレスによる電極との接着性に優れ、電池を作製した場合に例えばソフトパック電池にも適した良好な強度(セル強度)が得られ、かつ、電池内での電解液及び電解質の分解に伴うガス発生に起因する膨れ(電池の変形)が抑制される。
【0034】
上記のうち、ウェットヒートプレスによる接着性は、VDF−HFP共重合体の重量平均分子量とHFP単位の含有量との影響を受けやすい。
すなわち、ウェットヒートプレス時の接着性を向上するには、適度の流動性、すなわち適当な重量平均分子量を有していることが重要である。また、樹脂に柔軟さを与え、かつ、電解液がセパレータを溶解しない範囲で膨潤させるためには、HFP単位の比率が適度の範囲にあることが重要となる。
【0035】
また、VDF−HFP共重合体は、ヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとを共重合し、フッ化ビニリデン(VDF)由来のVDF単位、及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来のHFP単位を含むことから、樹脂の結晶性と耐熱性を適度な範囲に制御することができる。これにより、セパレータを電極と接着させる際のヒートプレス処理時に接着性多孔質層が流動してしまうのを抑制することができる。
【0036】
本開示では、特に適当な温度でのヒートプレスによる接着性を向上させる観点から、VDF−HFP共重合体の共重合成分に着目し、特にポリフッ化ビニリデン系樹脂におけるHFP単位の共重合比を、全単量体単位に対して、1.5モル%以上5モル%以下の範囲とする。
VDF−HFP共重合体におけるHFP単位の共重合比が1.5モル%未満であると、電解液が含浸された際に膨潤しにくいため、適当な温度でのウェットヒートプレスによる接着性が低下しやすく、電池に求められる強度(セル強度)を確保できない。一方、HFP単位の共重合比が5モル%を超えると、電解液に溶解しやすく、接着性多孔質層に適用することが困難である。
上記同様の観点から、VDF−HFP共重合体におけるHFP単位の含有量は、好ましくは2.0モル%以上4.0モル%以下である。
【0037】
VDF−HFP共重合体としては、VDF単位及びHFP単位のみからなる共重合体に加えて、フッ化ビニリデンと共重合可能な他の共重合成分が含まれていてもよい。ヘキサフルオロプロピレン以外にフッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリクロロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、60万以上300万以下の範囲である。重量平均分子量が60万以未満であると、電極との接着時における熱プレス処理に耐え得る力学物性を有する接着性多孔質層が得られにくく、電極と接着性多孔質層との間の接着性が低下し、特にウェットヒートプレスによる接着性に劣るものとなる。熱プレス処理に耐え得る力学物性を有する接着性多孔質層が得られやすく、電極及び接着性多孔質層間のウェットヒートプレスによる接着性に特に優れたものとなる観点から、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、80万以上がより好ましく、100万以上がさらに好ましい。
一方、重量平均分子量が300万を超えると、成形時の粘度が高くなり過ぎて成形性及び結晶形成が悪化し、多孔化が難しくなる。したがって、成形性及び結晶形成性が良好になり、かつ、電極との接着性(特にドライヒートプレスによる接着性)を高める観点から、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、250万以下が好ましく、200万以下がより好ましい。
【0039】
なお、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCともいう。)により下記の条件で測定し、ポリスチレン換算して表した分子量である。
<条件>
・GPC:GPC−900(日本分光社製)
・カラム:TSKgel Super AWM-H×2本(東ソー社製)
・移動相溶媒:ジメチルホルムアミド(DMF)
・標準試料 :単分散ポリスチレン(東ソー社製)
・カラム温度:140℃
・流量:10ml/分
【0040】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、乳化重合又は懸濁重合により得ることができる。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の酸価としては、3mgKOH/g以上20mgKOH/g以下の範囲が好ましい。
酸価は、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂にカルボキシル基を導入することにより制御できる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂へのカルボキシル基の導入及び導入量は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂であるVDF−HFP共重合体の重合成分としてカルボキシル基を有する単量体(例えば、カルボン酸エステル、マレイン酸、無水マレイン酸)を用い、その重合比を調整することにより制御できる。
【0041】
〜ポリフッ化ビニリデン系樹脂以外の樹脂〜
本開示の接着性多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂以外の他の樹脂を含んでもよい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂以外の他の樹脂としては、例えば、フッ素系ゴム、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ビニルニトリル化合物(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)の単独重合体又は共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)などが挙げられる。
【0042】
接着性多孔質層における、ポリフッ化ビニリデン系樹脂以外の他の樹脂の総含有量は、接着性多孔質層に含まれる樹脂の全量に対して、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、検出限界以下であることが特に好ましい。すなわち、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が、接着性多孔質層に含まれる全樹脂の95質量%以上(より好ましくは97質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、特に好ましくは100質量%)を占めることが好ましい。
【0043】
(チタン酸バリウムの粒子)
接着性多孔質層は、フィラーとして、チタン酸バリウム(BaTiO)の粒子(以下、BaTiO粒子という。)を含有する。フィラーとして選択的にBaTiO粒子を含有することで、セパレータの滑り性及び耐熱性が向上するだけでなく、電解液及び電解質の分解に伴うガスの発生による膨れ(電池の変形)が特異的に抑制される。膨れの抑制効果は、BaTiOが電池内でガス発生の要因となるフッ化水素のような化学種をトラップする機能があるためと考えられる。このような化学種はサイクル劣化の要因にもなるので、BaTiOの添加はサイクル特性向上の効果もある。
【0044】
BaTiO粒子の平均粒子径としては、0.1μm以上1μm以下の範囲が好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、ガス発生に対する抑制効果に優れる。また、平均粒子径が1μm以下であると、接着性多孔質層の薄膜化しやすい。BaTiO粒子の平均粒子径は、0.1μm以上0.5μm以下の範囲がより好ましい。
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される値であり、例えばシスメックス社製のマスターサイザー2000を用いて測定される。具体的には、BaTiO粒子と水(分散媒)と非イオン性界面活性剤(Triton X−100;分散剤)とを混合し分散させた分散液の、体積粒度分布における中心粒子径(D50)を平均粒子径とする。
【0045】
また、BaTiO粒子の粒度分布は、0.1<d90−d10<3μmであることが好ましい。ここで、「d10」は、レーザー回折式における粒度分布において、小さな粒子側から起算した重量累計10質量%での粒子直径(μm)を表し、「d90」は、重量累計90質量%での粒子直径(μm)を表す。粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される値であり、例えばシスメックス社製のマスターサイザー2000を用いて測定される。測定は、分散媒として水を用い、水とBaTiO粒子と非イオン性界面活性剤(Triton X−100;分散剤)とを混合して分散した分散液を用いて行える。
【0046】
BaTiO粒子の形態は、いずれの形態でもよく、例えば、球状、板状、又は針状の形状でもよい。BaTiO粒子の形態は、凝集していない一次粒子が好ましい。
【0047】
BaTiO粒子の接着性多孔質層中における含有量としては、接着性多孔質層の固形分に対して、5質量%以上であることが好ましい。BaTiO粒子の含有量が5質量%以上であることで、耐熱性が付与され、例えばソフトパック電池等に適した良好な強度が得られることに加え、電解液及び電解質の分解に伴うガス発生の抑制効果により優れたものとなる。
BaTiO粒子の含有量としては、接着性多孔質層の固形分に対し、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、50質量%超が特に好ましく、70質量%以上が最も好ましい。更には、チタン酸バリウムの粒子の含有量は、接着性多孔質層の固形分に対し、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
【0048】
また、接着性多孔質層には、本発明の効果を損なわない範囲において、BaTiO粒子に加え、無機物又は有機物からなる他のフィラーを含有してもよい。他のフィラーを適宜含有することで、セパレータの滑り性及び耐熱性をより改善させることが可能である。他のフィラーを併用する場合、本発明の効果を損なわない範囲で含有量及び粒子径で含有されることが好ましい。
【0049】
他のフィラーには、無機フィラー及び有機フィラーが含まれる。無機フィラーの例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化セリウム、水酸化ニッケル、水酸化ホウ素などの金属水酸化物;アルミナ、チタニア、マグネシア、シリカ、ジルコニア等の金属酸化物(チタン酸バリウムを除く);炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、タルク等の粘土鉱物などが挙げられる。
中でも、接着性多孔質層は、BaTiO粒子に加え、金属酸化物(チタン酸バリウムを除く)及び金属水酸化物からなる群より選ばれる無機フィラーを含むことが好ましい。接着性多孔質層は、特定の無機フィラーを含有することで、より優れた耐熱効果が期待できる。一方、一般に金属水酸化物及び金属酸化物より選ばれる無機フィラーは、電解液が含浸された層内で電解質に作用して液の安定性を損ないやすく、電解液及び電解質の分解を誘発してガスを発生させる一因ともなりやすい。無機フィラーと所定量のBaTiO粒子とが併用されると、電解液及び電解質の分解に伴うガスの発生が抑えられ、ガスによる膨れ(電池の変形)が抑制される。
また、有機フィラーの例としては、架橋ポリメタクリル酸メチル等の架橋アクリル樹脂、又は架橋ポリスチレンが挙げられ、架橋ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
他のフィラーのうち、耐熱性及び電池強度の向上効果を安価に図れる観点から、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ベーマイト(アルミナ1水和物)、及び酸化マグネシウムから選ばれるフィラーが好ましい。また、特に難燃性の付与及び除電効果の観点からは、金属水酸化物が好ましく、水酸化マグネシウムが好ましい。
なお、他のフィラーは、一種単独で用いるほか、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、シランカップリング剤等により表面修飾されたフィラーを用いてもよい。
【0050】
BaTiO粒子とともに他のフィラーを含む場合、他のフィラーの接着性多孔質層中における含有量は、接着性多孔質層の固形分に対して、70質量%以下の範囲が好ましく、60質量%以下の範囲がより好ましい。
また、BaTiO粒子及び他のフィラーを含む場合の、BaTiO粒子の含有比率としては、電極との接着性を確保し、かつ、他のフィラーに起因する電解液及び電解質の分解に伴うガスの発生を抑制する観点から、BaTiO粒子及び他のフィラーの合計質量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
BaTiO粒子及び他のフィラーを含む場合、BaTiO粒子及び他のフィラーの総量としては、耐熱性を向上させる観点から、全樹脂(ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む)とBaTiO粒子と他のフィラーとの合計質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。
【0051】
更には、BaTiO粒子及び他のフィラーを含む場合の、BaTiO粒子以外の他のフィラーの含有量に対するBaTiO粒子の含有比率としては、5質量%以上40質量%以下の範囲が好ましい。
BaTiO粒子の質量比率が5質量%以上であると、無機フィラーによって誘発される電解液及び電解質の分解に伴うガスの発生に対する抑制効果が良好になる。また、BaTiO粒子の質量比率が40質量%以下であると、金属水酸化物及び金属酸化物より選ばれる無機フィラーを使用することによる耐熱効果がより効果的に奏される。
無機フィラーに対するBaTiO粒子の含有量比としては、上記と同様の理由から、10質量%以上40質量%以下の範囲が好ましく、15質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましい。
本開示における接着性多孔質層は、フィラーとして、金属水酸化物及び金属酸化物(チタン酸バリウムを除く)より選ばれる無機フィラーをチタン酸バリウムの粒子とともに用い、チタン酸バリウムの粒子の含有比率を上記の特定範囲として形成された場合、金属水酸化物及び金属酸化物に起因して誘発される電解液及び電解質の分解に伴うガスの発生が抑制され、発生ガスによる膨れ(電池の変形)がより抑えられる。また、本開示の非水系二次電池用セパレータはフィラーを含有するので、耐熱性により優れたものとなる。
【0052】
一般に接着性多孔質層にフィラーを含む場合は、電極との接着性が悪化しやすくなる傾向があるが、樹脂成分として特定の構造及び分子量を有するVDF−HFP共重合体をBaTiO粒子と併用するので、電極との接着力を良好に維持することができる。
【0053】
(他の成分)
接着性多孔質層は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて分散剤等の他の添加物が含有されていてもよい。
接着性多孔質層は、界面活性剤等の分散剤を含んでいてもよい。分散剤を含むことで、分散性、塗工性、及び保存安定性を向上させることができる。
また、接着性多孔質層には、多孔質基材との馴染みを良くするための湿潤剤、塗工液へのエア噛み込みを抑制するための消泡剤、酸又はアルカリを含むpH調整剤などの各種添加剤が含まれていてもよい。添加剤は、リチウムイオン二次電池の使用範囲において電気化学的に安定で電池内反応を阻害しないものであれば、残存するものであってもよい。
【0054】
接着性多孔質層を塗工により形成する場合、塗工量としては、多孔質基材の両面の合計として、1.0g/m以上10.0g/m以下であることが好ましい。
「多孔質基材の両面の合計」とは、接着性多孔質層が多孔質基材の片面に設けられている場合は、片面の塗工量を指し、接着性多孔質層が多孔質基材の両面に設けられている場合は、両面の塗工量の合計を指す。
塗工量が1.0g/m以上であると、電極との接着性がより良好になり、電池のサイクル特性がより向上する点で好ましい。一方、塗工量が10.0g/m以下であると、イオン透過性がより良好になり、電池の負荷特性がより向上する点で好ましい。塗工量としては、多孔質基材の両面の合計として、1.5g/m以上8.0g/m以下であることがより好ましい。
また、多孔質基材の片面における塗工量としては、0.5g/m以上5.0g/m以下であることが好ましく、0.75g/m以上4.0g/m以下であることがより好ましい。
【0055】
接着性多孔質層が多孔質基材の両面に設けられている場合、一方面の塗工量と他方面の塗工量との差は、両面合計の塗工量に対して20質量%以下であることが好ましい。塗工量の差が20質量%以下であると、セパレータがカールしにくいので、ハンドリング性により優れたものとなる。
【0056】
接着性多孔質層の厚さは、多孔質基材の片面において、0.5μm以上6μm以下であることが好ましい。接着性多孔質層の厚さが0.5μm以上であると、電極との接着性がより良好になり、電池のサイクル特性がより向上する。このような観点では、接着性多孔質層の厚さは、多孔質基材の片面において1μm以上であることがより好ましい。一方、接着性多孔質層の厚さが6μm以下であると、イオン透過性がより良好になり、電池の負荷特性により優れたものとなる。このような観点では、接着性多孔質層の厚さは、多孔質基材の片面において、5.5μm以下がより好ましく、5.0μm以下が更に好ましい。
【0057】
接着性多孔質層の空孔率としては、30%以上80%以下の範囲が好ましい。空孔率が80%以下であると、電極と接着させる熱プレス時に耐え得る力学物性の確保が容易であり、表面開口率が高くなり過ぎず、接着力を確保するのに適している。一方、空孔率が30%以上であると、イオン透過性がより良好になる。
なお、空孔率(ε)は、下記式より求められる値である。
ε={1−Ws/(ds・t)}×100
式中、εは空孔率(%)を、Wsは目付(g/m)を、dsは真密度(g/cm)を、tは膜厚(μm)をそれぞれ表す。
【0058】
接着性多孔質層の平均孔径としては、10nm以上200nm以下の範囲が好ましい。平均孔径が200nm以下であると、孔の不均一性が抑えられ、接着点が比較的均等に散在し、接着性がより向上する。また、平均孔径が200nm以下であると、イオンの移動の均一性が高く、サイクル特性及び負荷特性がより向上する。一方、平均孔径が10nm以上であると、接着性多孔質層に電解液を含浸させた場合に、接着性多孔質層を構成する樹脂が膨潤して孔を閉塞することでイオン透過性が阻害される現象が生じにくい。
【0059】
なお、接着性多孔質層の平均孔径(直径、単位:nm)は、窒素ガス吸着量から算出されるポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる接着性多孔質層の空孔表面積Sと、空孔率から算出される接着性多孔質層の空孔体積Vと、を用い、全ての孔が円柱状であると仮定して下記式より算出される。
d=4・V/S
式中、dは接着性多孔質層の平均孔径(nm)を表し、Vは接着性多孔質層の1m当たりの空孔体積を表し、Sは接着性多孔質層の1m当たりの空孔表面積を表す。
また、接着性多孔質層の1m当たりの空孔表面積Sは、以下の方法で求められる。
窒素ガス吸着法でBET式を適用することにより、多孔質基材の比表面積(m/g)と、多孔質基材及び接着性多孔質層を積層した複合膜の比表面積(m/g)と、を測定する。それぞれの比表面積にそれぞれの目付(g/m)を乗算し、それぞれの1m当たりの空孔表面積を算出する。次いで、多孔質基材1m当たりの空孔表面積をセパレータ1m当たりの空孔表面積から減算して、接着性多孔質層1m当たりの空孔表面積Sを算出する。
【0060】
〜非水系二次電池用セパレータの諸特性〜
非水系二次電池用セパレータの空孔率は、本発明の効果とセパレータの力学物性を良好にする観点から、30%以上60%以下の範囲が好ましい。
【0061】
非水系二次電池用セパレータの、日本工業規格(JIS P8117:2009)に準拠したガーレ値は、機械強度と膜抵抗のバランスに優れる点で、50秒/100ml〜800秒/100mlの範囲が好ましい。
【0062】
非水系二次電池用セパレータは、イオン透過性の観点から、多孔化された構造であることが好ましい。具体的には、接着性多孔質層を形成した状態の非水系二次電池用セパレータのガーレ値から多孔質基材のガーレ値を減算した値(以下、ガーレ値差)が、300秒/100ml以下であることが好ましく、150秒/100ml以下であることがより好ましく、さらに好ましくは100秒/100ml以下である。ガーレ値差が300秒/100ml以下であることで、接着性多孔質層が緻密になり過ぎず、イオン透過性が良好に保たれ、優れた電池特性が得られる。一方、ガーレ値差は、0秒/100ml以上が好ましく、接着性多孔質層と多孔質基材との接着力を高める上では10秒/100ml以上が好ましい。
【0063】
非水系二次電池用セパレータの膜抵抗は、電池の負荷特性の観点から、1ohm・cm以上10ohm・cm以下の範囲が好ましい。膜抵抗とは、セパレータに電解液を含浸させた際の抵抗値であり、交流法にて測定される。膜抵抗の値は、電解液の種類、温度によって異なるため、膜抵抗の値は、電解液として1M(mol/L) LiBF−プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(=1/1;質量比)の混合溶媒を用いて20℃にて測定される値である。
【0064】
非水系二次電池用セパレータの曲路率は、イオン透過性の観点から、1.5以上2.5以下の範囲が好ましい。
【0065】
非水系二次電池用セパレータに含まれる水分量としては、1000ppm以下が好ましい。非水系二次電池用セパレータの水分量が少ないほど、電池を構成した場合において、電解液と水との反応が抑えられ、電池内でのガス発生をより効果的に抑えることができる。これにより、電池のサイクル特性がより向上する。
このような観点では、非水系二次電池用セパレータに含まれる水分量は、800ppm以下がより好ましく、500ppm以下が更に好ましい。
【0066】
非水系二次電池用セパレータの膜厚は、電池のエネルギー密度及び出力特性の観点から、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。
【0067】
非水系二次電池用セパレータの突き刺し強度は、250g以上1000g以下の範囲が好ましく、300g以上600g以下の範囲がより好ましい。
【0068】
〜非水系二次電池用セパレータの製造方法〜
非水電解質電池用セパレータは、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、BaTiO粒子と、必要に応じて金属水酸化物及びチタン酸バリウム以外の金属酸化物より選ばれる無機フィラーと、を含む塗工液を多孔質基材上に塗工し塗工層を形成し、次いで塗工層の樹脂を固化させることで、接着性多孔質層を多孔質基材上に一体的に形成する方法で製造される。
具体的には、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びBaTiO粒子を含む接着性多孔質層は、例えば以下の湿式塗工法によって形成することができる。
【0069】
湿式塗工法は、(i)ポリフッ化ビニリデン系樹脂を適切な溶媒に溶解し、BaTiO粒子及び必要に応じて無機フィラーを分散させて塗工液を調製する工程、(ii)この塗工液を多孔質基材に塗工する工程、(iii)当該多孔質基材を適切な凝固液に浸漬させることで、相分離を誘発しつつポリフッ化ビニリデン系樹脂を固化させる工程、(iv)水洗工程、及び(v)乾燥工程を行って、多孔質基材上に接着性多孔質層を形成する製膜法である。本発明の実施形態に好適な湿式塗工法の詳細は、以下のとおりである。
【0070】
塗工液の調製に用いる、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解し、BaTiO粒子及び必要に応じて無機フィラーを分散させる溶媒(以下、「良溶媒」ともいう。)としては、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の極性アミド溶媒が好適に用いられる。
【0071】
良好な多孔構造を形成する観点からは、良溶媒に加えて相分離を誘発させる相分離剤を混合させることが好ましい。相分離剤としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。相分離剤は、塗工に適切な粘度が確保できる範囲で添加することが好ましい。
【0072】
溶媒としては、良好な多孔構造を形成する観点から、良溶媒を60質量%以上、相分離剤を40質量%以下含む混合溶媒が好ましい。
【0073】
塗工液における樹脂の濃度は、良好な多孔構造を形成する観点から、塗工液の合計質量に対して1質量%〜20質量%であることが好ましい。接着性多孔質層にフィラー、その他の成分を含有させる場合は、塗工液中に混合あるいは溶解させればよい。
【0074】
凝固液は、塗工液の調製に用いた良溶媒と相分離剤、及び水から構成されるのが一般的である。良溶媒と相分離剤の混合比は樹脂の溶解に用いた混合溶媒の混合比に合わせるのが生産上好ましい。水の濃度は40質量%〜90質量%であることが、多孔構造の形成及び生産性の観点から適切である。また、水の濃度を制御することで相分離速度を調節することができ、接着性多孔質層におけるポリフッ化ビニリデン系樹脂の結晶構造を制御することができる。
【0075】
多孔質基材への塗工液の塗工は、マイヤーバー、ダイコーター、リバースロールコーター、グラビアコーターなど従来の塗工方式を適用してよい。接着性多孔質層を多孔質基材の両面に形成する場合、塗工液を両面同時に基材へ塗工することが生産性の観点から好ましい。
【0076】
接着性多孔質層は、上述した湿式塗工法以外にも、乾式塗工法でも製造し得る。乾式塗工法とは、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂とBaTiO粒子と溶媒を含んだ塗工液を多孔質基材に塗工し、この塗工層を乾燥させて溶媒を揮発除去することにより、多孔層を得る方法である。ただし、乾式塗工法は湿式塗工法と比べて塗工層が緻密になり易いので、良好な多孔質構造を得られる点で湿式塗工法のほうが好ましい。
【0077】
<非水系二次電池>
本発明の実施態様に係る非水系二次電池は、既述の非水系二次電池用セパレータを備えている。具体的には、非水系二次電池は、正極と、負極と、正極及び負極の間に配置された既述の本開示の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力が得られるようになっている。
【0078】
非水系二次電池は、正極及び負極の間にセパレータが配置され、これらの電池素子が電解液とともに外装内に封入されている。非水系二次電池としては、リチウムイオン二次電池が好適である。
【0079】
なお、ドープとは、吸蔵、担持、吸着、又は挿入を意味し、正極等の電極の活物質にリチウムイオンが入る現象を意味する。
【0080】
正極は、正極活物質及びバインダ樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造としてもよい。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。
正極活物質としては、例えばリチウム含有遷移金属酸化物等が挙げられ、具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3、LiMn、LiFePO、LiCo1/2Ni1/2、LiAl1/4Ni3/4等が挙げられる。
バインダ樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。
導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末といった炭素材料が挙げられる。
【0081】
集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、アルミ箔、チタン箔、ステンレス箔等が挙げられる。
【0082】
非水系二次電池において、セパレータの接着性多孔質層を正極側に配置した場合、接着性多孔質層は耐酸化性に優れるので、4.2V以上の高電圧で作動可能なLiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3等の正極活物質を適用しやすく、有利である。
【0083】
負極は、負極活物質及びバインダ樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造としてもよい。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。
負極活物質としては、リチウムを電気化学的に吸蔵し得る材料が挙げられ、例えば、炭素材料;ケイ素、スズ、アルミニウム等とリチウムとの合金;などが挙げられる。
バインダ樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどが挙げられる。
導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末等の炭素材料が挙げられる。
【0084】
集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等が挙げられる。また、上記の負極に代えて、金属リチウム箔を負極として用いてもよい。
【0085】
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した溶液である。リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フロロエチレンカーボネート、ジフロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル;などが挙げられる。非水系溶媒は、一種単独で用いても混合して用いてもよい。
電解液としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを20/80〜40/60の質量比(=環状カーボネート/鎖状カーボネート)で混合し、リチウム塩を0.5モル〜1.5モルの範囲で溶解したものが好適である。
【0086】
外装材としては、金属缶のほか、アルミラミネートフィルム等のソフトパック等が挙げられる。既述の非水系二次電池用セパレータは、特定の構造及び分子量を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂及びBaTiO粒子を含む接着性樹脂層を有するので、電極との接着性、具体的にはウェットヒートプレスによる接着性に優れている。これにより、作製される電池の強度が改善され、外部からの衝撃、充放電に伴う電極の膨張及び収縮、充放電に伴う帯電などに起因した、電極及びセパレータ間における接着不良に伴う隙間形成が抑制され、充放電特性(サイクル特性)に優れる。また、非水系二次電池用セパレータは、電池内で発生するガスによる膨れ(電池の変形)が抑制されるので、ソフトパック(例えばアルミラミネートフィルム製パック)を外装材とするソフトパック電池に好適である。また、非水系二次電池用セパレータは、適当な熱プレス温度条件にて良好に電極と接着されるので、かかる観点でもソフトパック電池の品質安定性の向上に寄与する。
【0087】
電池の形状は、角型、円筒型、コイン型等があるが、既述の非水系二次電池用セパレータはいずれの形状にも好適である。
【0088】
本開示の非水系二次電池は、正極と負極との間に本開示のセパレータを配置した積層体を製造した後、この積層体を用いて、例えば下記の1)〜2)の製造方法により製造できる。
1)積層体に熱プレス(ドライヒートプレス)して電極とセパレータとを接着した後、外装材(例えばアルミラミネートフィルム製パック。以下同じ)に収容し、そこに電解液を注入し、外装材の上からさらに積層体を熱プレス(ウェットヒートプレス)し、電極とセパレータとの接着と、外装材の封止とを行う。
2)積層体を外装材に収容し、そこに電解液を注入し、外装材の上から積層体を熱プレス(ウェットヒートプレス)し、電極とセパレータとの接着と、外装材の封止とを行う。
【0089】
上記1)の製造方法によれば、積層体の外装材への収容に先立って電極とセパレータとが接着しているので、外装材に収容するための搬送時に起こる積層体の変形が抑制され、電池の強度及び寸法安定性、並びに電池特性に優れる。
また、ウェットヒートプレスは、電解液の含浸によっていくらか減弱した電極−セパレータ間の接着を回復させる程度の穏やかな条件でよく、つまりウェットヒートプレスの温度を比較的低温に設定できる。よって、電池製造時における電池内での電解液及び電解質の分解に起因するガス発生がより抑制され、電池の強度及び寸法安定性、並びに電池特性に優れる。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が電解液に膨潤した状態でさらに積層体が熱プレスされるので、電極とセパレータの接着がより強固になり、電池の強度及び電池特性に優れる。
【0090】
上記2)の製造方法によれば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が電解液に膨潤した状態で積層体が熱プレスされるので、電極とセパレータがよく接着し、セル強度、及び電池特性に優れる。
【0091】
本開示のセパレータは、電極との接着性に優れており、特にウェットヒートプレスによる接着性に優れるので、本開示のセパレータを適用した非水系二次電池は、例えば上記した製造方法のいずれも選択することができる。電池の大面積化に対応して、積層体の変形を抑制する観点、及び電極とセパレータの剥がれをより抑制する観点からは、上記1)の製造方法が好ましい。
【0092】
上記1)〜2)の製造方法におけるウェットヒートプレスの条件としては、プレス圧は0.5MPa〜2MPaの範囲が好ましく、温度は70℃〜110℃の範囲が好ましい。また、ドライヒートプレスの条件は、プレス圧は0.5MPa〜5MPaの範囲が好ましく、温度は20〜100℃の範囲が好ましい。
【0093】
本開示のセパレータは、電極と重ねることによって接着し得る。したがって、電池製造においてプレスは必須の工程ではないが、電極とセパレータとの接着をより強固にする観点からは、プレスを行うことが好ましい。更に、電極とセパレータとの接着をより強固にする観点から、プレスは加熱しながらのプレス(熱プレス)が好ましい。
【0094】
積層体を製造する場合、正極と負極との間にセパレータを配置する方式は、正極、セパレータ、負極をこの順に少なくとも1層ずつ積層する方式(いわゆるスタック方式)でもよく、正極、セパレータ、負極、セパレータをこの順に重ね、長手方向に捲き回す方式でもよい。なお、「長手方向」とは、長尺状に製造されるセパレータの長手方向を意味し、セパレータの長手方向と直交する方向が「幅方向」である。
【実施例】
【0095】
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0096】
[測定及び評価]
以下の実施例及び比較例において、下記の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記の表1に示す。
【0097】
(ポリフッ化ビニリデン系樹脂のHFP含有量)
ポリフッ化ビニリデン系樹脂におけるヘキサフルオロプロピレン単量体単位(HFP単位)の含有比率(HFP含有量)をNMRスペクトルから求めた。具体的には、ポリフッ化ビニリデン系樹脂20mgを重ジメチルスルホキシド0.6mlに100℃にて溶解し、100℃で19F−NMRスペクトルを測定して求めた。
【0098】
(ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量)
ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により下記の条件で測定し、ポリスチレン換算して求めた。
<条件>
・GPC:GPC−900(日本分光社製)
・カラム:TSKgel Super AWM-H(2本)(東ソー社製)
・移動相溶媒:ジメチルホルムアミド(DMF)
・標準試料 :単分散ポリスチレン(東ソー社製)
・カラム温度:40℃
・流量:10ml/分
【0099】
(接着性多孔質層の塗工量)
セパレータを10cm×10cmに切り出し質量を測定し、この質量を面積で除することで、セパレータの目付を求めた。また、セパレータの作製に用いた多孔質基材を10cm×10cmに切り出し質量を測定し、この質量を面積で除することで、多孔質基材の目付を求めた。そして、セパレータの目付から多孔質基材の目付を減算することで、接着性多孔質層の両面の合計の塗工量を求めた。
【0100】
(膜厚)
接触式の厚み計(LITEMATIC,ミツトヨ社製)を用い、セパレータの膜厚を測定した。測定端子は、直径5mmの円柱状のものを用い、測定中には7gの荷重が印加されるように調整して行い、20点の厚みの平均値を求めた。
【0101】
(耐熱性)
セパレータに先端径φ2mm、先端温度260℃の半田ごてを当て、半田ごてを当てた際に生じたホールの面積(mm)を測定することで、セパレータの耐熱性を評価した。
【0102】
(ガス発生試験)
セパレータを600cmの大きさに切り出してサンプル片とし、サンプル片をアルミラミネートフィルムパック中に入れ、パック中に電解液を注入してセパレータに電解液を含浸させた後、封止することで試験セルを作製した。ここで、電解液は、1mol/L LiPF−エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート[質量比3:7]とした。
作製した試験セルを85℃の温度環境下に置き、一定の期間熱処理を行った。そして、熱処理前後の試験セルの体積を測定し、熱処理後の試験セルの体積V2から熱処理前の試験セルの体積V1を減ずることでガス発生量V(=V2−V1,単位:ml)を求めた。
なお、熱処理の期間は、後記の実施例1〜4及び比較例1〜5では3日間とし、後記の実施例5〜12及び比較例6〜7では20日間とした。
【0103】
(電極とのウェット接着力)
正極活物質であるコバルト酸リチウム粉末91g、導電助剤であるアセチレンブラック3g、及びバインダであるポリフッ化ビニリデン3gを、ポリフッ化ビニリデンの濃度が5質量%となるようにN−メチル−ピロリドンに溶解し、双腕式混合機にて攪拌し、正極用スラリーを調製した。この正極用スラリーを厚さ20μmのアルミ箔の片面に塗布し、乾燥後プレスして、正極活物質層を有する正極(片面塗工)をセパレータと電極とのウェット接着力評価用電極として得た。
上記で得た電極及びアルミ箔(厚さ20μm)をそれぞれ幅1.5cm、長さ7cmにカットし、以下の実施例及び比較例で得た各セパレータを幅1.8cm、長さ7.5cmにカットした。電極−セパレータ−アルミ箔の順に積層して積層体を作製し、積層体に電解液(1mol/L LiBF−エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート[質量比1:1])を浸み込ませて、アルミラミネートフィルム製パック中に収容した。次に、真空シーラーを用いてパック内を真空状態にし、熱プレス機を用いてパックごと積層体を熱プレスして、電極とセパレータを接着した。熱プレスの条件は、圧力1MPa、温度90℃、プレス時間2分間とした。その後、パックを開封して積層体を取り出し、積層体からアルミ箔を取り除いたものを測定試料とした。
測定試料の電極の無塗工面を金属板に両面テープで固定し、金属板をテンシロン(エー・アンド・デイ製、STB−1225S)の下部チャックに固定した。この際、測定試料の長さ方向が重力方向になるように、金属板をテンシロンに固定した。セパレータを下部の端から2cm程度電極から剥がして、その端部を上部チャックに固定し、引張角度(測定試料に対するセパレータの角度)が180°になるようにした。引張速度20mm/minでセパレータを引っ張り、電極からセパレータが剥離する際の荷重を測定した。測定開始10mmから40mmまでの荷重を0.4mm間隔で採取した。同様の測定を3回行い、平均を算出し、電極とのウェット接着力(N/15mm、ウェットヒートプレスによる電極とセパレータの間の接着力)とした。
【0104】
(電池強度)
正極活物質であるコバルト酸リチウム粉末91g、導電助剤であるアセチレンブラック3g、及びバインダであるポリフッ化ビニリデン3gを、ポリフッ化ビニリデンの濃度が5質量%となるようにN−メチル−ピロリドンに溶解し、双腕式混合機にて攪拌し、正極用スラリーを調製した。この正極用スラリーを厚さ20μmのアルミ箔の片面に塗布し、乾燥後プレスして、正極活物質層を有する正極を得た。
負極活物質である人造黒鉛300g、バインダであるスチレン−ブタジエン共重合体の変性体を40質量%含む水溶性分散液7.5g、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3g、及び適量の水を双腕式混合機にて攪拌して混合し、負極用スラリーを作製した。この負極用スラリーを負極集電体である厚さ10μmの銅箔に塗布し、乾燥後プレスして、負極活物質層を有する負極を得た。
【0105】
以下の実施例及び比較例で得た各セパレータを介して上記の正極、負極を重ねて捲回し、リードタブを溶接して電池素子を得た。この電池素子をアルミラミネートフィルム製パック中に収容し、電解液を含浸させた後、圧力1MPa、温度90℃、時間2分間にてヒートプレス(ウェットヒートプレス)を実施し、外装を封止して試験用二次電池(長さ65mm、幅35mm、厚さ2.5mm:容量700mAh)を得た。ここで、電解液は1mol/L LiPF−エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(質量比3:7)を用いた。
上記で得た試験用二次電池について、ISO−178に準拠して3点曲げ試験を行い、セル強度を求めた。
【0106】
(サイクル特性)
上記の「電池強度」での製造方法と同様にして試験用二次電池を作製した。
作製した試験用二次電池を用い、25℃の環境下、1Cにて4.2V定電流、定電圧充電を2時間、及び1Cにて3Vカットオフの定電流放電という条件にて充放電サイクルを所定のサイクル繰り返し、初回サイクルで得られた放電容量を基準として所定のサイクル終了後に得られた放電容量の比率を百分率で求め(%;=所定のサイクル終了後の放電容量/初回サイクル時の放電容量×100)、求めた値をサイクル特性を評価する指標とした。
なお、充放電サイクルは、後記の実施例1〜4及び比較例1〜5では300サイクルとし、後記の実施例5〜12及び比較例6〜7では500サイクルとした。
【0107】
[実施例1]
接着性樹脂であるポリフッ化ビニリデン系樹脂として、フッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフロロプロピレン(HFP)との共重合体(VDF−HFP共重合体,VDF/HFP(モル比)=97.6/2.4、重量平均分子量=113万)を用意した。このVDF−HFP共重合体を、濃度が5質量%となるように混合溶媒(ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=80/20[質量比])に溶解し、さらにフィラーとしてチタン酸バリウム粒子(BaTiO,BT−05、堺化学工業社製、平均粒子径:0.2μm)を添加して均一に攪拌し、VDF−HFP共重合体とBaTiOとの質量比が15:85(=VDF−HFP共重合体:BaTiO)である塗工液を作製した。
作製した塗工液を、多孔質基材であるポリエチレン微多孔膜(膜厚:9μm、空孔率:40%、ガーレ値:152秒/100ml)の両面に塗工し、凝固液(ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール/水=30/8/62[質量比]、温度40℃)に浸漬して固化させた。
次いで、塗工されたポリエチレン微多孔膜を水洗し、さらに乾燥させることで、ポリエチレン微多孔膜の両面に厚み4μmの接着性多孔質層が形成されたセパレータを得た。ここで、接着性多孔質層の固形成分はVDF−HFP共重合体及びBaTiOであるので、VDF−HFP共重合体及びBaTiOの合計に対するBaTiOの比率は、85質量%である。
得られたセパレータに対して上記の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
【0108】
[実施例2]
実施例1において、VDF−HFP共重合体におけるヘキサフロロプロピレン(HFP)の共重合比を2.4モル%から2.0モル%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
【0109】
[実施例3]
実施例1において、VDF−HFP共重合体におけるヘキサフロロプロピレン(HFP)の共重合比を2.4モル%から4.5モル%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
【0110】
[実施例4]
実施例1において、VDF−HFP共重合体の重量平均分子量を113万から200万に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
【0111】
[比較例1]
実施例1において、VDF−HFP共重合体の重量平均分子量を113万から38万に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成された比較用のセパレータを得た。得られたセパレータに対して、実施例1と同様に上記の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
【0112】
[比較例2]
実施例1において、VDF−HFP共重合体を、重量平均分子量が150万であり、かつ、ヘキサフロロプロピレン(HFP)の共重合比が0モル%であるVDF−HFP共重合体に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成された比較用のセパレータを得た。得られたセパレータに対して、実施例1と同様に上記の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
【0113】
[比較例3]
実施例1において、VDF−HFP共重合体を、重量平均分子量が89万であり、かつ、ヘキサフロロプロピレン(HFP)の共重合比が5.8モル%であるVDF−HFP共重合体に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成された比較用のセパレータを得た。得られたセパレータに対して、実施例1と同様に上記の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
【0114】
[比較例4]
実施例1において、無機フィラーとして用いたチタン酸バリウム粒子を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成された比較用のセパレータを得た。得られたセパレータに対して、実施例1と同様に上記の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
【0115】
[比較例5]
実施例1において、無機フィラーとして用いたチタン酸バリウム粒子を、同量のAlの粒子(平均一次粒子径0.5μm)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成された比較用のセパレータを得た。得られたセパレータに対して、実施例1と同様に上記の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
表1に示すように、ヘキサフルオロプロピレン単量体単位を特定比率で含み、かつ、重量平均分子量が60万以上であるポリフッ化ビニリデン系樹脂と、チタン酸バリウムと、を選択的に含有する実施例のセパレータでは、ウェットヒートプレスによる接着性に優れ、電池とした場合の強度にも優れていた。また、接着性多孔質層は、フィラーとしてチタン酸バリウムを含有するので、良好な耐熱性を示した。更に、チタン酸バリウムの含有により、電解液の分解に伴うガス発生が確認されず、サイクル特性も良好であった。
これに対して、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量が60万を下回る比較例1では、良好な電極との接着力が得られず、チタン酸バリウムと併用したことによる効果が低下した。
また、ヘキサフルオロプロピレン単量体単位の共重合比が所定の範囲(1.5モル%以上5モル%以下)から外れる比較例2〜3では、ウェットヒートプレスによる接着性に劣る結果となり、電池の強度も極めて低い結果であった。
チタン酸バリウムをポリフッ化ビニリデン系樹脂と併用しない比較例4では、耐熱性が低く、電池の強度、サイクル特性にも劣っていた。また、チタン酸バリウム以外の無機フィラーのみで構成されている比較例5では、電解液との反応によるガス発生が認められるという結果がみられた。
【0118】
[実施例5]
バインダ樹脂であるポリフッ化ビニリデン系樹脂として、フッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフロロプロピレン(HFP)との共重合体(VDF−HFP共重合体,VDF:HFP(モル比)=97.6:2.4、重量平均分子量=113万)を用意した。このVDF−HFP共重合体を、濃度が5質量%となるように混合溶媒(ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=80/20[質量比])に溶解し、更にフィラーとして、チタン酸バリウム粒子(BaTiO,BT−05、堺化学工業社製、平均粒子径:0.2μm)、及び水酸化マグネシウム(Mg(OH),協和化学工業社製キスマ5P、平均一次粒子径0.8μm)を添加して均一に攪拌し、VDF−HFP共重合体とBaTiOとMg(OH)との質量比が40:12:48(=VDF−HFP共重合体:BaTiO:Mg(OH))である塗工液を作製した。無機フィラーであるMg(OH)の含有量に対するBaTiO粒子の含有量の比率は、20質量%である。
【0119】
作製した塗工液を、多孔質基材であるポリエチレン微多孔膜(膜厚:9μm、空孔率:40%、ガーレ値:152秒/100ml)の両面に塗工し、凝固液(ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール/水=30/8/62[質量比]、温度40℃)に浸漬して固化させた。
次いで、塗工されたポリエチレン微多孔膜を水洗し、さらに乾燥させることで、ポリエチレン微多孔膜の両面に厚み5μmの耐熱性多孔質層が形成されたセパレータを得た。形成された耐熱性多孔質層において、BaTiO及びMg(OH)の耐熱性多孔質層中に占める合計の体積比率は50体積%とした。
また、得られたセパレータに対して、上記の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表2に示す。
【0120】
[実施例6]
実施例5において、水酸化マグネシウム(Mg(OH))を酸化マグネシウム(MgO,タテホ化学工業社製のPUREMAG(登録商標)FNM−G、平均一次粒子径0.5μm)に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表2に示す。
【0121】
[実施例7]
実施例5において、無機フィラーである水酸化マグネシウム(Mg(OH))の含有量に対するBaTiO粒子の含有量の比率を20質量%から7質量%へ変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表2に示す。
【0122】
[実施例8]
実施例5において、無機フィラーである水酸化マグネシウム(Mg(OH))の含有量に対するBaTiO粒子の含有量の比率を20質量%から32質量%へ変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表2に示す。
【0123】
[実施例9]
実施例5において、VDF−HFP共重合体の重量平均分子量を113万から200万へ変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表2に示す。
【0124】
[実施例10]
実施例5において、BaTiO粒子及び水酸化マグネシウム(Mg(OH))の耐熱性多孔質層中に占める合計の体積比率を50体積%から45体積%に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表2に示す。
【0125】
[実施例11]
実施例5において、BaTiO粒子及び水酸化マグネシウム(Mg(OH))の耐熱性多孔質層中に占める合計の体積比率を50体積%から73体積%に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表2に示す。
【0126】
[実施例12]
実施例5において、無機フィラーである水酸化マグネシウム(Mg(OH))の含有量に対するBaTiO粒子の含有量の比率を20質量%から83質量%へ変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表2に示す。
【0127】
[比較例6]
実施例5において、無機フィラーとして用いたチタン酸バリウム粒子を添加しなかったこと以外は、実施例5と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層が形成された比較用のセパレータを得た。得られたセパレータに対して、実施例5と同様に上記の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表2に示す。
【0128】
[比較例7]
実施例5において、VDF−HFP共重合体を、同様のメタ型全芳香族ポリアミド(メタアラミド樹脂)であるコーネックス(登録商標;帝人テクノプロダクツ社製)に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層が形成されたセパレータを得、得られたセパレータに対して測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表2に示す。
【0129】
【表2】

【0130】
表2に示すように、金属水酸化物及び金属酸化物より選ばれる無機フィラーとBaTiO粒子とを所定の比率で併用した実施例のセパレータでは、良好な耐熱性を示し、電解液の分解に伴うガスの発生が抑えられ、膨れに伴う電池形状の変化(変形)も抑制されていた。また、バインダ樹脂としてVDF−HFP共重合体を含有する実施例では、他の樹脂であるアラミドを含有する比較例7に比べ、ウェットヒートプレスによる接着性がより良好となり、作製された電池の強度にも優れていた。
また、水酸化マグネシウムの含有量に対するBaTiO粒子の含有量の比率が40質量%以下である実施例5等は、BaTiO粒子の含有量の比率が40質量%を上回る実施例12に比べて、耐熱性の点でより優れていた。
これに対して、比較例6のように、BaTiO以外の無機フィラーのみを含有し、BaTiO粒子を含まない組成では、フィラーによる耐熱性及び電池強度の向上効果は現れるものの、電解液の分解に伴う発生ガスが多く確認された。また、バインダ樹脂として特定のVDF−HFP共重合体を含まない比較例7では、ウェットヒートプレスによる接着性及び電池強度の点で著しく劣っていた。
【0131】
日本出願2015−221601及び日本出願2015−221602の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【国際調査報告】