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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年5月18日
【発行日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】積層体および積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/01 20060101AFI20180803BHJP
   B32B 15/02 20060101ALI20180803BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20180803BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20180803BHJP
   B22F 9/08 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
   B32B15/01 Z
   B32B15/02
   B32B15/20
   B22F1/00 L
   B22F9/08 A
   B22F1/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2017-550402(P2017-550402)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年11月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-221265(P2015-221265)
(32)【優先日】2015年11月11日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相川 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】平野 智資
(72)【発明者】
【氏名】山内 雄一郎
【テーマコード(参考)】
4F100
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4F100AB01B
4F100AB17C
4F100AB31B
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100DE01C
4F100EC16
4F100GB41
4F100JA02
4F100JA03
4F100JG04A
4F100JK14
4F100YY00C
4K017AA01
4K017BA05
4K017BB14
4K017EK01
4K017FA17
4K018BA02
4K018BB04
4K018BC02
4K018BD09
4K018CA50
4K018KA33
(57)【要約】
放熱効果が高く、熱負荷が加わった際にも絶縁基材の割れ等の問題がないとともに、金属皮膜のボイド等がない積層体および積層体の製造方法を提供すること。本発明にかかる積層体は、絶縁性を有する基材10と、基材10の表面に形成された金属又は合金を主成分とする中間層50と、含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末からなり、中間層50上に積層されてなる金属皮膜である回路層20と、を備え、中間層50と回路層20との界面が塑性変形していることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有する基材と、
前記基材の表面に形成された金属又は合金を主成分とする中間層と、
含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末からなり、前記中間層上に積層されてなる金属皮膜と、
を備え、前記中間層と前記金属皮膜との界面が塑性変形していることを特徴とする積層体。
【請求項2】
金属または合金からなる基材と、
含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末からなり、前記基材上に積層されてなる金属皮膜と、
を備え、前記基材と前記金属皮膜との界面が塑性変形していることを特徴とする積層体。
【請求項3】
前記銅粉末の酸素含有量は、0.03質量%以上0.15質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記銅粉末のリン含有量は、0.002質量%以上0.028質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の積層体。
【請求項5】
金属又は合金を主成分とする中間層が形成された絶縁性を有する基材の表面に、含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末をガスと共に加速し、前記中間層の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって金属皮膜層を形成する皮膜形成工程、を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項6】
金属又は合金からなる基材の表面に、含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末をガスと共に加速し、前記基材の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって金属皮膜層を形成する皮膜形成工程、を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項7】
前記銅粉末の酸素含有量は、0.03質量%以上0.07質量%以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の積層体の製造方法。
【請求項8】
溶融した銅に、0.002質量%以上0.028質量%以下の割合でリンまたはリン銅地金を添加し、アトマイズして銅粉末を形成する銅粉末形成工程を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の積層体の製造方法。
【請求項9】
前記銅粉末形成工程は、銅粉末の水素雰囲気下での還元熱処理を含まないことを特徴とする請求項8に記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
前記銅粉末形成工程は、水アトマイズ法により銅粉末を形成することを特徴とする請求項8または9に記載の積層体の製造方法。
【請求項11】
前記銅粉末形成工程は、紛体化した銅粉末を真空雰囲気下で熱処理することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一つに記載の積層体の製造方法。
【請求項12】
前記中間層は、板状の金属又は合金部材を前記基材にろう付することにより形成されていることを特徴とする請求項5、7〜11のいずれか一つに記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に金属皮膜を積層してなる積層体および積層体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、産業用、自動車用などの電力制御からモータ制御まで、幅広い分野に使用される省エネルギー化のキーデバイスとして、パワーモジュールが知られている。パワーモジュールは、基材である絶縁基材(例えばセラミックス基材)の一方の面に、金属皮膜による回路パターンを介してチップ(トランジスタ)を配設し、他方の面に、金属皮膜を介して冷却部を配設した装置である(例えば、特許文献1参照)。冷却部としては、例えば金属又は合金の部材に冷却用の熱媒体の移動経路を設けたものが用いられる。このようなパワーモジュールにおいては、チップから発生した熱を、金属皮膜を介して冷却部に移動させ外部に放熱することにより、冷却を行うことができる。
【0003】
絶縁基材に金属皮膜を形成した積層体の作製方法としては、例えば、溶射法やコールドスプレー法が挙げられる。溶射法は、溶融又はそれに近い状態に加熱された材料(溶射材)を基材に吹き付けることによって皮膜を形成する方法である。
【0004】
一方、コールドスプレー法は、材料の粉末を、融点又は軟化点以下の状態の不活性ガスとともに末広(ラバル)ノズルから噴射し、固相状態のまま基材に衝突させることにより、基材の表面に皮膜を形成する方法である(例えば、特許文献2参照)。コールドスプレー法においては、溶射法と比較して低い温度で加工が行われるので、熱応力の影響が緩和される。そのため、相変態がなく酸化も抑制された金属皮膜を得ることができる。特に、基材及び皮膜となる材料がともに金属である場合、金属材料の粉末が基材(又は先に形成された皮膜)に衝突した際に粉末と基材との間で塑性変形が生じてアンカー効果が得られると共に、互いの酸化皮膜が破壊されて新生面同士による金属結合が生じるので、密着強度の高い積層体を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−108999号公報
【特許文献2】特許5548167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなパワーモジュールにおいて、チップの容量が大容量となると発熱量も大きくなるため、発生した熱を、金属皮膜等を介して速やかに冷却部に伝熱し、放熱することが重要である。伝熱効率を向上させるには、金属皮膜の厚さが厚いほど熱抵抗を低減できるのでより好ましい。しかしながら、金属皮膜を厚くすると、パワーモジュールに熱負荷が加えられた場合、金属皮膜と絶縁基材の熱膨張率の相違により、金属皮膜の絶縁基材からの剥離や、絶縁基材の割れ等の問題が発生するおそれが高くなる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、放熱効果が高く、熱負荷が加わった際にも絶縁基材の割れ等の問題が生じることがない上、金属皮膜のボイド等が生じない積層体および積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる積層体は、絶縁性を有する基材と、前記基材の表面に形成された金属又は合金を主成分とする中間層と、含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末からなり、前記中間層上に積層されてなる金属皮膜と、を備え、前記中間層と前記金属皮膜との界面が塑性変形していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる積層体は、金属または合金からなる基材と、含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末からなり、前記基材上に積層されてなる金属皮膜と、を備え、前記基材と前記金属皮膜との界面が塑性変形していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる積層体は、上記発明において、前記銅粉末の酸素含有量は、0.03質量%以上0.15質量%以下であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる積層体は、上記発明において、前記銅粉末のリン含有量は、0.002質量%以上0.028質量%以下であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる積層体の製造方法は、金属又は合金を主成分とする中間層が形成された絶縁性を有する基材の表面に、含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末をガスと共に加速し、前記中間層の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって金属皮膜層を形成する皮膜形成工程、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる積層体の製造方法は、金属又は合金からなる基材の表面に、含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末をガスと共に加速し、前記基材の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって金属皮膜層を形成する皮膜形成工程、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる積層体の製造方法は、上記発明において、前記銅粉末の酸素含有量は、0.03質量%以上0.07質量%以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる積層体の製造方法は、上記発明において、溶融した銅に、リン含有量が0.002質量%以上0.028質量%以下となるようリンまたはリン銅地金を添加し、アトマイズして銅粉末を形成する銅粉末形成工程を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる積層体の製造方法は、上記発明において、前記銅粉末形成工程は、銅粉末の水素雰囲気下での還元熱処理を含まないことを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる積層体の製造方法は、上記発明において、前記銅粉末形成工程は、水アトマイズ法により銅粉末を形成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる積層体の製造方法は、上記発明において、前記銅粉末形成工程は、紛体化した銅粉末を真空雰囲気下で熱処理することを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる積層体の製造方法は、上記発明において、前記中間層は、板状の金属又は合金部材を前記基材にろう付することにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、放熱効果が高く、熱負荷が加わった際にも絶縁基材の割れ等の問題がないとともに、金属皮膜のボイド等がない積層体を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る積層体であるパワーモジュールの構成を示す模式図である。
図2図2は、図1に示す積層体の要部を拡大して示す断面図である。
図3図3は、コールドスプレー装置の概要を示す模式図である。
図4図4は、本発明の実施の形態の変形例1に係る積層体であるパワーモジュールの構成を示す模式図である。
図5図5は、本発明の実施例および比較例にかかる積層体の製造工程を説明する図である。
図6図6は、本発明の実施例および比較例にかかる積層体における熱負荷が加えられた際の熱膨張特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る積層体であるパワーモジュールの構成を示す模式図である。また、図2は、図1に示す積層体の要部を拡大して示す断面図である。図1に示すパワーモジュール1は、絶縁基板であるセラミックス基材10と、セラミックス基材10の一方の面に形成された回路層20と、回路層20上に半田C1によって接合されたチップ30と、セラミックス基材10の回路層20とは反対側の面に設けられた冷却フィン40とを備える。
【0024】
基材10は、絶縁性材料からなる略板状の部材である。絶縁性材料としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物系セラミックスや、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、ステアタイト、フォルステライト、ムライト、チタニア、シリカ、サイアロン等の酸化物系セラミックス、無機フィラーを配合した樹脂層等が用いられる。
【0025】
回路層20は、後述するコールドスプレー法によって形成された金属皮膜層であり、含有する水素量が0.002質量%以下の銅からなる。この回路層20には、チップ30等に対して電気信号を伝達するための回路パターンが形成されている。銅からなる金属皮膜の水素含有量を0.002質量%以下とすることにより、熱負荷が加えられた際に金属皮膜からの水素の放出に伴う特異的な金属皮膜の熱膨張を防止することができる。
【0026】
チップ30は、ダイオード、トランジスタ、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の半導体素子によって実現される。なお、チップ30は、使用の目的に合わせて基材10上に複数個設けられても良い。
【0027】
冷却フィン40は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の良好な熱伝導性を有する金属又は合金からなり、鋳造、機械加工等により製造されたもののほか、後述するコールドスプレー法によって形成されたものも使用可能である。このような冷却フィン40を介して、チップ30から発生した熱が基材10を介して外部に放出される。
【0028】
図2に示すように、基材10と回路層20との間、及び基材10と冷却フィン40との間には、金属又は合金を主成分とする中間層50が設けられている。この中間層50は、ろう材を用いて板状の金属又は合金部材(以下、これらをまとめて金属部材という)を基材10に接合することにより形成されている。
【0029】
ろう材の種類は、基材10の種類や板状の金属部材の種類に応じて選択することができる。本実施の形態においては、アルミニウムを主成分とし、ゲルマニウム、マグネシウム、珪素、銅の内の少なくとも1種を含有するアルミニウムろう材、銀を主成分とし、銅、スズのうち少なくとも1種を含有し、かつ、活性金属であるチタンを含有する銀ろう材を用いることができる。
【0030】
また、板状の金属部材としては、基材10に対してろう付による接合が可能であり、且つ、コールドスプレー法による皮膜形成が可能な程度の硬度を有する金属又は合金が用いられる。この硬度の範囲はコールドスプレー法における成膜条件等によっても異なるため、一概には定められないが、概ね、ビッカース硬度が100HV以下の金属部材であれば適用することができる。具体的には、アルミニウム、銀、金、銅、又はこれらの金属を含む合金等が挙げられる。
【0031】
本実施の形態において、中間層50表面に形成される回路層20は、含有する水素量は0.002質量%以下の銅からなる。回路層20を形成する銅に含有される水素量を0.002質量%以下とするためには、水素含有量が0.002質量%以下の銅粉末を用いて回路層20を形成すればよい。水素含有量が0.002質量%以下の銅粉末は、アトマイズ法、好ましくは水アトマイズ法により粉末化したものであって、水素雰囲気下での還元熱処理を行わないものを使用すればよい。
【0032】
一般に、アトマイズ法により製造された銅粉末は、湿式還元法に比べて、得られる粉末中の不純物濃度を小さくすることができるため、導電性材料として広く使用されている。導電性材料として用いられる銅粉末は、水素雰囲気下で還元熱処理が行われ、粉末中に含まれる酸素量を低減することにより電気導電性がさらに向上する。しかしながら、このような銅粉末を用いて、コールドスプレー法により基材10上に中間層50を介して金属皮膜である回路層20を形成し、半田C1によるチップ30の接続等により熱負荷が加えられた場合、回路層20が基材10から剥離したり、基材10の割れ、金属皮膜(回路層20)のボイド等が発生することがあった。本発明者らが基材10の割れ等の原因を調査したところ、熱により金属皮膜層である回路層20に特異的な熱膨張が発生すること、回路層20の特異的な熱膨張は、銅粉末の水素雰囲気下での還元熱処理により増加した粉末中の水素が、熱により回路層20から揮散する際に引き起こされるものであることを見出した。本実施の形態では、水素雰囲気下での還元熱処理を行わない銅粉末を使用して回路層20を形成するため、熱負荷による回路層20の基材10からの剥離や基材10の割れ、金属皮膜(回路層20)のボイドの発生を防止することができる。
【0033】
また、回路層20は、コールドスプレー法により低い温度で成膜が行われるので、熱応力の影響が緩和される。そのため、相変態がなく酸化も抑制された金属皮膜を得ることができる。特に、銅粉末が中間層50に衝突した際に銅粉末と中間層50の材料である金属又は合金部材との間で塑性変形が生じてアンカー効果が得られると共に、互いの酸化皮膜が破壊されて新生面同士による金属結合が生じるので、密着強度の高い積層体を得ることができる。
【0034】
本実施の形態において、回路層20を形成する銅粉末の酸素含有量は、0.03質量%以上0.15質量%以下であることが好ましい。銅粉末の酸素含有量が上記範囲であることにより、回路層20の電気伝導性が向上し、熱負荷による回路層20の特異膨張を防止できる。
【0035】
銅粉末の酸素含有量が0.07質量%より多い場合、銅粉末を真空雰囲気下で熱処理することが好ましい。熱処理は、400℃以上800℃以下で、1〜2時間程度行うことが好ましい。あるいは、真空溶解炉にてアトマイズ処理等を行うことにより、銅粉末の酸素含有量を低減することができる。なお、本実施の形態で使用する銅粉末は、水素雰囲気下での還元熱処理を行わないものが好ましいが、水素雰囲気下での還元熱処理を行った銅粉末を、真空雰囲気下で熱処理し、水素含有量が0.002質量%以下、酸素含有量が0.03質量%以上0.07質量%以下とした銅粉末を使用してもよい。
【0036】
また、銅粉末は、溶湯の流動性向上、および脱酸素を目的として、溶融した銅中にリンまたはリン銅地金が添加される場合がある。リンの添加により、含有する酸素量を低減し、溶湯流動性を向上できるものの、リンの添加量が多くなると熱負荷後の残留伸びが大きくなる。したがって、銅粉末にリンを添加する場合、銅粉末中のリン含有量は、0.002質量%以上0.028質量%以下とすることが好ましい。銅粉末中のリン含有量を、上記範囲とすることにより、回路層20に熱負荷が加えられた際の残留伸びを抑制することができる。また、リンの含有量を上記範囲とすることにより、コールドスプレー法を用いて成膜した際に生じる熱によって、回路層20中で再結晶が起こって転位が減少し、熱伝導性、電気伝導性に優れた回路層20を得ることができる。銅粉末中のリン含有量は、0.005質量%以上0.018質量%以下とすることが特に好ましい。
【0037】
銅粉末は、平均粒径が5μm〜80μmのものを使用できる。平均粒径が20μm〜50μmのものが取扱い性、および回路層20の緻密さの観点から特に好ましい。
【0038】
次に、パワーモジュール1の作製方法について説明する。図3は、コールドスプレー装置の概要を示す模式図である。
【0039】
まず、表面に中間層50が形成された基材10を用意する。中間層50は、基材10の表面にアルミニウム(Al)系ろう材、およびアルミニウム(Al)等の金属箔を配置、又は銀系ろう材および銅等の金属箔を設置した後、真空中において熱処理を施すことにより形成することができる。
【0040】
基材10に、図3に示すコールドスプレー装置60により、含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末をガスと共に加速し、中間層50の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させて回路層20となる金属皮膜層を形成する。
【0041】
コールドスプレー装置60は、圧縮ガスを加熱するガス加熱器61と、回路層20の材料の銅粉末を収容し、スプレーガン63に供給する粉末供給装置62と、加熱された圧縮ガス及びそこに供給された材料粉末を基材に噴射するガスノズル64と、ガス加熱器61及び粉末供給装置62に対する圧縮ガスの供給量をそれぞれ調節するバルブ65及び66とを備える。
【0042】
圧縮ガスとしては、ヘリウム、窒素、空気などが使用される。ガス加熱器61に供給された圧縮ガスは、例えば50℃以上であって、回路層20の材料である銅粉末の融点よりも低い範囲の温度に加熱された後、スプレーガン63に供給される。圧縮ガスの加熱温度は、好ましくは300〜900℃である。一方、粉末供給装置62に供給された圧縮ガスは、粉末供給装置62内の銅粉末をスプレーガン63に所定の吐出量となるように供給する。
【0043】
加熱された圧縮ガスは末広形状をなすガスノズル64により超音速流(約340m/s以上)にされる。この際の圧縮ガスのガス圧力は、1〜5MPa程度とすることが好ましい。圧縮ガスの圧力をこの程度に調整することにより、中間層50に対する回路層20の密着強度の向上を図ることができるからである。より好ましくは、2〜4MPa程度の圧力で処理すると良い。スプレーガン63に供給された銅粉末は、この圧縮ガスの超音速流の中への投入により加速され、固相状態のまま、基材10上の中間層50に高速で衝突して堆積し、金属皮膜を形成する。なお、材料粉末を基材10に向けて固相状態で衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、図3に示すコールドスプレー装置60に限定されるものではない。回路層20は、中間層50の上層に回路パターンが形成されたメタルマスク等を配置し、皮膜形成を行えば良い。
【0044】
冷却フィン40は、所望の形状に切削加工したものを基材10の回路層20が形成される面と反対側の面に伝熱シートやグリースなどで接着するほか、例えばアルミニウムの粉末を用いて、コールドスプレー装置60により所望の厚さの皮膜(堆積層)を形成し、その後、この皮膜(堆積層)に対してレーザ切削等により所望の流路パターンを形成したものであってもよい。
【0045】
上述した実施の形態によれば、水素含有量が0.002質量%以下の銅粉末を用いて、コールドスプレー法により回路層20を作製するため、熱負荷が加えられた際にも特異的な熱膨張による基材10の割れ等の問題がないとともに、回路層20のボイド等がないパワーモジュール1を得ることができる。また、回路層20は、中間層50を介して基材10の表面に形成されるため、密着性に優れる回路層20を得ることができる。
【0046】
なお、本発明の実施の形態の積層体は、図4に示すパワーモジュールに適用することも可能である。図4は、本発明の実施の形態の変形例1に係るパワーモジュールの構成を示す模式図である。
【0047】
図4に示す変形例1に係るパワーモジュール1Aは、基材10と、基材10の一方の面に形成された中間層50Aと、基材10の他方の面に形成された中間層50A’と、中間層50A’の表面に形成された緩衝層60と、中間層50Aの表面に形成された熱拡散層70と、熱拡散層70に半田C1を介して配設されたチップ30と、緩衝層60に図示しない伝熱シートを介して配設された冷却フィン40とを備える。
【0048】
中間層50Aは、例えば銅等の良好な電気伝導度を有する金属からなり、ろう材を介して基材10に接合されている。中間層50Aは、回路層としても機能し、中間層50Aの回路パターンはエッチング等により形成されている。
【0049】
中間層50A’は、例えば銅等の良好な電気伝導度を有する金属からなり、ろう材を介して基材10に接合されている。中間層50A’は、チップ30や中間層50Aにおいて発生した熱を緩衝層60及び冷却フィン40に伝熱する。
【0050】
熱拡散層70は、水素含有量が0.002質量%以下の銅粉末を用いて、コールドスプレー法により中間層50A上に直接形成された金属皮膜である。熱拡散層70は、チップ30において発生した熱を基材10の厚み方向だけでなく、該厚み方向と直交する面内にも拡散させることで、熱抵抗を低減することができる。
【0051】
緩衝層60は、熱伝導率が高く、熱膨張率が基材10と冷却フィン40に用いる材料の中間となる材料から形成される。例えば、銅と、鉄ニッケル合金、チタン、クロム、タングステン、及びモリブデンのいずれかの金属(以下、添加材ともいう)とを含む複合材や、アルミニウムと、銅、ニッケル、鉄ニッケル合金、チタン、クロム、タングステン及びモリブデンのいずれかの金属(以下、添加材ともいう)とを含む複合材であり、コールドスプレー法により中間層50A’の表面に直接形成されている。
【0052】
緩衝層60は、チップ30及び中間層50Aにおいて発生した熱を効率良く冷却フィン40に伝導させるための良好な伝熱性と、基材10における熱応力を緩和するための低い熱膨張率とを備えている。具体的には、緩衝層60における熱伝導率は75W/mK以上220W/mK以下であることが好ましく、熱膨張率(CTE)は7.1×10-6/K以上11×10-6/K以下であることが好ましい。
【0053】
熱拡散層70の厚みは、チップ30が実装される領域の面積にもよるが、0.5mm〜1.5mm程度にすることが好ましい。また、緩衝層60との関係では、熱拡散層70の厚みを、緩衝層60の厚みの1/2倍以上1倍以下にすると良い。
【0054】
本発明の実施の形態の変形例1によれば、中間層50Aとチップ30との間に、水素含有量が0.002質量%以下の銅粉末を用いて、コールドスプレー法により熱拡散層70を設けるので、中間層50A及び基材10における熱抵抗を低減するとともに、基材10にかかる熱応力を緩和することができる。また、緩衝層60をコールドスプレー法により中間層50A’の表面に形成するので、基材10にかかる熱応力をさらに緩和することができる。さらに、緩衝層60を構成する材料を調整することで、緩衝層60における良好な伝熱性を維持することができる。従って、チップ30及び中間層50Aにおいて発生した熱を、冷却フィン40を介して効率良く外部に放出することができると共に、耐久性に優れたパワーモジュール1Aを実現することが可能となる。
【0055】
なお、上記の実施の形態ではパワーモジュールを例として説明したが、金属または合金からなる基材上に、金属皮膜を直接形成する場合にも本発明の実施の形態を適用することができる。金属または合金からなる基材上に、コールドスプレー装置60により、含有する水素量が0.002質量%以下の銅粉末をガスと共に加速し、基材の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させて金属皮膜を形成した積層体は、金属皮膜を構成する銅粉末の水素含有量が小さいため、金属皮膜のボイドが少なく、熱伝導率、導電率および強度に優れるものである。
【実施例】
【0056】
本実施の形態にかかる積層体の製造方法により、基材上に、水素量が所定値以下の銅皮膜を形成した積層体を作製し、熱処理後の銅皮膜の熱膨張収縮特性およびボイド、ならびに積層体の割れ等について評価を行った。基材としては、窒化ケイ素からなる基材の両面にろう材を介して中間層となる金属箔を貼り付けたAMC基板を使用した。
【0057】
(実施例1)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の実施例1として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末とし、真空雰囲気下で600℃、2時間熱処理したものである。この銅粉末の水素含有量は0.002質量%以下である。金属皮膜は、調製した銅粉末を、コールドスプレー装置60により、作動ガス:窒素、作動ガス温度:800℃、作動ガス圧力:3MPa、ワーキングディスタンス(WD):25mm、トラバース速度:200mm/s、パス回数:1回で、AMC基板に吹付けて作製した。
【0058】
(実施例2)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の実施例2として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末としたものである。この銅粉末の水素含有量は0.002質量%以下である。金属皮膜のコールドスプレー装置60による吹付条件は実施例1と同様である。
【0059】
(実施例3)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の実施例3として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、リンを0.006質量%となるよう添加し、水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末とし、真空雰囲気下で600℃、2時間熱処理したものである。この銅粉末の水素含有量は0.002質量%以下である。金属皮膜のコールドスプレー装置60による吹付条件は実施例1と同様である。
【0060】
(実施例4)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の実施例4として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、リンを0.006質量%となるよう添加し、水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末としたものである。この銅粉末の水素含有量は0.002質量%以下である。金属皮膜のコールドスプレー装置60による吹付条件は実施例1と同様である。
【0061】
(比較例1)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の比較例1として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、リンを0.01質量%となるよう添加し、水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末とし、水素雰囲気下で400℃、1時間還元熱処理したものである。この銅粉末の水素含有量は0.01質量%であり、酸素含有量は0.07質量%である。金属皮膜のコールドスプレー装置60による吹付条件は実施例1と同様である。
【0062】
(比較例2)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の比較例2として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、リンを添加しないで水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末とし、水素雰囲気下で400℃、1時間還元熱処理した後、さらに、700℃、1時間還元熱処理したものである。この銅粉末の水素含有量は0.005質量%であり、酸素含有量は0.07質量%である。金属皮膜のコールドスプレー装置60による吹付条件は実施例1と同様である。
【0063】
(比較例3)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の比較例3として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、リンを0.01質量%となるよう添加し、水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末とし、水素雰囲気下で400℃、1時間還元熱処理したものである。この銅粉末の水素含有量は0.01質量%であり、酸素含有量は0.07質量%である。比較例3では、この銅粉末を用いて、実施例1と同様にしてコールドスプレー装置60にて金属皮膜を成膜した後、真空雰囲気下で600℃、2時間熱処理した。
【0064】
(比較例4)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の比較例4として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、リンを添加しないで水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末とし、水素雰囲気下400℃、1時間還元熱処理した後、さらに、700℃、1時間還元熱処理したものである。この銅粉末の水素含有量は0.005質量%であり、酸素含有量は0.07質量%である。比較例4では、この銅粉末を用いて、実施例1と同様にしてコールドスプレー装置60にて金属皮膜を成膜した後、真空雰囲気下で600℃、2時間熱処理した。
【0065】
(比較例5)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の比較例5として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、リンを0.01質量%となるよう添加し、水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末としたものである。この銅粉末の水素含有量は0.001質量%であり、酸素含有量は0.14質量%である。比較例5では、この銅粉末を用いて、実施例1と同様にしてコールドスプレー装置60にて金属皮膜を成膜した後、真空雰囲気下で600℃、2時間熱処理した。
【0066】
(比較例6)
AMC基板(絶縁基材:窒化ケイ素(厚み0.32mm)、中間層:純銅(厚み0.5mm))に、図5の比較例6として示す工程により金属皮膜を成膜した。銅粉末は、銅を溶融して溶湯とした後、リンを添加せずに水アトマイズ法により平均粒径:約35μmの銅粉末としたものである。この銅粉末の水素含有量は0.001質量%であり、酸素含有量は0.15質量%である。比較例6では、この銅粉末を用いて、実施例1と同様にしてコールドスプレー装置60にて金属皮膜を成膜した後、真空雰囲気下で600℃、2時間熱処理した。
【0067】
表1に、実施例1〜4および比較例1〜6の積層体における金属皮膜の特徴、および熱処理後の金属皮膜の熱膨張収縮特性、ボイド、および基材の割れや皮膜の剥離等についてまとめた。また、図6に、実施例1〜4および比較例1の積層体について、熱処理を行った際の時間と金属皮膜の伸び(TMA)との相関を示す。図6のグラフは、左の目盛が金属皮膜の伸び(TMA、μm)、右の目盛が温度(℃)であり、グラフの中に示す実線が熱処理条件である。熱処理は、10℃/分で800℃まで温度を上昇し、800℃で120分間保持した後、5℃/分で75℃まで冷却した。なお、TMAは積層体から5mm×5mm×15mmの金属皮膜を切り出して、RIGAKU社TMA測定装置 ThermoPlusTG8120にて測定した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示すように、水素雰囲気下での還元熱処理を行わない実施例1〜4、比較例5、6および水素雰囲気下で還元熱処理を行った銅粉末により金属皮膜を形成し、成膜後真空雰囲気下で熱処理を行った比較例3および4は、金属皮膜中の水素量は低い。積層体に熱処理を行うと、実施例1〜4は金属皮膜中の水素量が低いため、特異的な熱膨張収縮がなく、金属皮膜の剥離や基材の割れも発生しない。リンを添加しない実施例1および2は金属皮膜のボイドがほとんどなく、リンを添加した実施例3および4ではボイドが少し発生するとともに、金属皮膜の熱膨張が実施例1および2より大きくなり、冷却後にも残留伸びが大きくなった。
【0070】
銅粉末について水素雰囲気下で還元熱処理を行った比較例1および2は、金属皮膜の水素量が多いため、特異的な熱膨張収縮(図6での比較例1で60分から90分に生じる金属皮膜の膨張と収縮)が生じ、この特異的な膨張収縮により、積層体の基材に割れを生じた。
【0071】
比較例3および4は、水素雰囲気下で還元熱処理を行った銅粉末により金属皮膜を形成するが、金属皮膜形成後、真空雰囲気下で熱処理を行うため金属皮膜中の水素量が少ないが、成膜後の熱処理により金属皮膜から水素が放出する際にボイドが多く発生し、積層体とした後に熱処理を行うため、基材の割れが生じやすい。
【0072】
以上のように、本発明にかかる積層体および積層体の製造方法は、絶縁基材の割れ等の発生がなく、金属皮膜のボイドがない積層体を得るのに有用である。
【符号の説明】
【0073】
1、1A パワーモジュール
10 基材
20 回路層
30 チップ
40 冷却フィン
50、50A、50A’ 中間層
60 緩衝層
70 熱拡散層
60 コールドスプレー装置
61 ガス加熱器
62 粉末供給装置
63 スプレーガン
64 ガスノズル
65、66 バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】