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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年6月7日
【発行日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】包装容器及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20181109BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
   B65D83/08 D
   B65D83/08 G
   A47K7/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2017-513833(P2017-513833)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年12月1日
(11)【特許番号】特許第6152931号(P6152931)
(45)【特許公報発行日】2017年6月28日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】517080706
【氏名又は名称】中島 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】中島 真美
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014MC06
3E014MC08
(57)【要約】
【課題】防腐剤等の刺激性のある薬剤を用いることなく、衛生的に内容物を保管する。
【解決手段】液体が含浸される吸水性の内容物11を収容する包装容器であって、開閉可能な開閉部を有する容器本体10と、容器本体10内に配置され液体が封入された溶液封入部50aと、内容物11が封入された状態で容器本体10内に収容される袋体30と、袋体30の一部であって、シール部材42から引き出される引出部31と、袋体30の一部に形成され、袋体30を破断させる破断部30bとを備える。シール部材は、容器本体10内に連通する開口部41と、容器本体10の外表面において開口部41を塞ぐ部材であって再接着可能なシール状をなすシール部材42とを備えている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が含浸される吸水性の内容物を収容する包装容器であって、
開閉可能な開閉部を有する容器本体と、
前記容器本体内に配置され液体が封入された溶液封入部と、
前記内容物が封入された状態で前記容器本体内に収容される袋体と、
前記袋体の一部であって、前記開閉部から引き出される引出部と、
前記袋体の一部に形成され、前記袋体を破断させる破断部と
を備えることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記包装容器内において、前記袋体の外部に配置され、前記溶液封入部に封入された液体に混合される混合剤をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記容器本体には、切取線に沿って開封する開封部が形成されるとともに、前記開封部には開閉可能に前記開封部の開口を閉止する封止部が設けられ、
前記引出部には、前記開口部を塞ぐ部材に対して接離可能に固着されている
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の包装容器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の包装容器の使用方法であって、
前記容器本体の前記開閉部を閉止した状態で、前記容器本体内に配置された溶液封入部を破断させ、前記溶液封入部内の液体を、前記袋体外であって前記容器本体内に行き渡らせた後に、前記開閉部を開放し、前記開閉部から前記引出部を引っ張って前記袋体を前記破断部にて破断させ、前記内容物に前記液体を含浸させる
ことを特徴とする包装容器の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用ウエットシートなど、水や化粧水などの液体が含浸される吸水性の内容物を収容する包装容器及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体が含浸される吸水性の内容物を収容する包装容器としては、薬液等を染みこませたウエットシートを内容物として収容するようなものがある。この薬液等を染みこませたウエットシートは、化粧用、皮膚の汚れや汗、口回り、口腔用、排便の後始末など、育児、医療・介護の場面の他、動物ペットの飼育、床や机、車の清掃など種々の用途に便利であり、一般の家庭や医療の現場などで好んで用いられている。このようなウエットシートは、乾燥した通常のシート等と比べると、付着した化粧や汚れを簡易かつ迅速に拭うことができ、確実に除去できて極めて有益である。
【0003】
従来のウエットシートは、袋状、箱状又は筒状の収容体に収容したウエットシートを取り出すための開口部が形成され、その開口部を塞ぐ蓋体又は再剥離可能なシール部材を有する構成となっており、この開口部を密閉することによりウエットシートの乾燥を防いでいた。このような構成のウエットシートでは、使用するたびに蓋体又はシール部材を大きく開けて、開口部からウエットシートを取り出すようになっているため、そのたびにウエットシートの薬液が蒸発し、乾燥し易いという問題があった。特に携帯用などの軟質性のある包装袋については、硬質な箱型又は筒型のウエットシート容器に比べて、開口部をしっかりと密封するように蓋体又はシール部材を再貼着することは困難である。
【0004】
このような課題を解決するため、特許文献1のように、蓋体を開けないでもウエットシートを取り出せる包装体が提案されている。すなわち、包装袋上に複数の第一の開口部及び第二の開口部を設け、ウエットシートが二つの開口部を連続して通過させることによって、シール部材を剥離しなくても、ウエットシートを取り出せるようになっている。さらに、特許文献1は、ウエットシートを引き抜いた際、取り出し口から次のウエットシートの頭だけが出るようにし、その頭を摘んでウエットシートを順次引き抜くことができる。従って、ウエットシートを取り出すための開口面積がより小さくなって、ウエットシートの乾燥を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−112443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された包装体では、開封前のウエットシートが包装体内に収納されている間は、ウエットシートに液体が含浸された湿潤状態にあり、このような湿潤状態においては、乾燥状態と比べると、雑菌・ウィルスが付着、繁殖しやすくなり衛生面が低下する惧れがある。これに対して、従来では、防腐剤や殺菌剤・防菌剤等の成分を配合する方法が採用されているが、ウエットシートなどは皮膚に直接接触させるものであることから、防腐剤等の刺激性のある薬剤を配合すると、体質によってはアレルギーや肌荒れ等のトラブルを招く可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するものであり、液体が含浸される吸水性の内容物を収容する包装容器において、防腐剤等の刺激性のある薬剤を用いることなく、衛生的に内容物を保管できる包装容器及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、液体が含浸される吸水性の内容物を収容する包装容器であって、
開閉可能な開閉部を有する容器本体と、
前記容器本体内に配置され液体が封入された溶液封入部と、
前記内容物が封入された状態で前記容器本体内に収容される袋体と、
前記袋体の一部であって、前記開閉部から引き出される引出部と、
前記袋体の一部に形成され、前記袋体を破断させる破断部と
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、吸水性の内容物を乾燥させた状態で袋体に収容し、この袋体をさらに容器本体内に配置させる。この袋体を収容した状態で、袋体とは別に、液体が封入された溶液封入部を容器本体内に配置して、開閉部を封止することにより製品として完成される。そして、製品の使用時には、先ず、開閉部を開封する前に、液体が封入された溶液封入部を容器本体内で潰すなどの刺激を加えることによって破断させ溶液封入部内の液体を容器本体内に流出させる。このとき内容物は乾燥した状態で袋体内に収容されており、流出された液体が含浸することはない。この状態で容器本体を揉んだり振ったりすることにより、容器本体内に液体が行き渡るようにした後、開閉部を開放して容器本体内部の引出部を引き出す。これにより、袋体の破断部が破断して、袋体内の吸水性の内容物が袋体外に露出され、周囲の液体が吸収され含浸されることとなる。引き出し部を開閉部から引き出すことによって、破断した袋体を容器本体内に内容物を残したまま取り出してもよい。
【0010】
このような本発明によれば、開封前には、吸水性の内容物が乾燥された状態で袋体に収容されているとともに、この袋体とは別に、液体が封入された溶液封入部を容器本体内に配置しているため、内容物に液体が含浸することがなく、開封前の内容物が包装体内に収納されている間に、雑菌・ウィルスが付着、繁殖しやすくなるのを回避して、衛生面を向上させることができる。また、液体は溶液封入部に封入され、外気から遮断されている状態とすることができることから、防腐剤や殺菌剤・防菌剤等の刺激性のある成分を配合する必要がない。このため、本発明によれば、内容物がウエットシートなどの皮膚に直接接触させるものであっても、アレルギーや肌荒れ等のトラブルを防止できる。
【0011】
なお、本発明における上記液体としては、アレルギーや肌荒れ等のトラブルが生じ難い液状成分であれば種々のものを用いることができる。例えば、水道水、蒸留水、硬水、中硬水、軟水、超硬水の他、水素水、還元水、天然水、純水、原水、電解水、酸素水、海洋深層水、アルカリイオン水、炭酸水、発泡水、無発泡水等の機能水或いは機能性水が挙げられる。
【0012】
また、このような発明によれば、内容物の使用に際して開閉部を開封する前に溶液封入部を潰すなどの刺激を加えることによって破断させて、溶液封入部内の液体を容器本体内に流出させることができる。これにより、容器本体を揉んだり振ったりすることによって、容器本体内に液体が行き渡るようにした後に、袋体を破断させて内容物を袋体外に露出させることができ、周囲の液体を内容物に十分に含浸させることができる。
【0013】
上記発明では、前記包装容器内において、前記袋体の外部に配置され、前記溶液封入部に封入された液体に混合される混合剤をさらに備えることが好ましい。この混合剤としては、例えば、香料、薬剤、界面活性剤、保湿剤、消臭剤、保存剤・殺菌剤、発熱剤、冷却剤等が含まれ、これらの成分を溶解或いは配合させた水や有機系の溶液や溶剤であったり、これらの成分をカプセルに充填したり、フリーズドライ製法等でパウダー状にしたり、固化させてフィルム状にしたりなど、公知の形態が好適に使用可能であり、これらを上述した水等の液状成分と混合させて使用する。
【0014】
この場合には、未開封の状態にあっては、液体に混合される成分を、液体と分けて保存することができるため、成分の劣化や雑菌・ウィルスの繁殖等を抑制するとともに、成分の鮮度を維持でき、衛生面をさらに向上させることができる。特に、本発明では、開閉部を開封する直前に溶液封入部内の液体を容器本体内に流出させることから、容器本体を揉んだり振ったりすることによって、容器本体内の液体と混合剤とを十分に混合させ、混合された溶液が内容物の周囲に十分に行き渡るようにしたうえで内容物に含浸させることができ、混合剤が混合した溶液を均一に内容物に吸収させることができる。
【0015】
上記発明において前記開閉部は、前記容器本体内に連通する開口部と、前記容器本体の外表面において前記開口部を塞ぐ部材であって、再接着可能なシール状をなすシール部材とから構成されることが好ましい。この場合には、再接着可能なシール部材で開口部を塞ぐため、繰り返し開閉しても内部の湿潤状態を維持することができるとともに、雑菌・ウィルス等の混入を防ぐとことができる。
【0016】
上記発明において前記開閉部は、前記容器本体内に連通する開口部と、前記容器本体の外表面において前記開口部を塞ぐ部材であって、前記開口部に螺合されるキャップ状をなすキャップ部材とから構成されることが好ましい。この場合には、開口部に螺合されるキャップ部材で開口部を塞ぐため、繰り返し開閉しても内部の湿潤状態を維持することができるとともに、雑菌・ウィルス等の混入を防ぐとことができる。
【0017】
さらに、上記発明において、容器本体には、切取線に沿って開封する開封部が形成されるとともに、前記開封部には開閉可能に前記開封部の開口を閉止する封止部が設けられ、前記引出部には、前記開口部を塞ぐ部材に対して接離可能に固着されていることが好ましい。この場合には、上述したシール部材やキャップ部材を開ける動作により、容器本体内の袋体の引出部を引き出すことができるため、引出部を開口部からつまみ出すような煩雑な操作を不要とすることができ、製品の利便性を向上させることができる。また、切取線に沿って開封する開封部を設けることにより、開封部を開放することによって内容物を取り出しやすくなり、開口を閉止する封止部を設けることにより、開封部を開封しても内部の湿潤状態を維持することができるとともに、雑菌・ウィルス等の混入を防ぐとことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上述べたように、本発明に係る包装容器によれば、開封前にあっては、内容物に液体を含浸させないため、開封前の内容物に、雑菌・ウィルスが付着、繁殖しやすくなるのを回避して、衛生面を向上させることができ、また、液体は溶液封入部に封入されて外気から遮断されている状態にできるため、防腐剤や殺菌剤・防菌剤等の刺激性のある成分を配合する必要がない。このため、本発明によれば、内容物がウエットシートなどの皮膚に直接接触させるものであっても、アレルギーや肌荒れ等のトラブルを防止しつつ、衛生的に内容物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る包装容器の全体構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る包装容器の側断面図である。
図3】第1実施形態に係る包装容器の使用例を示す側断面図である。
図4】第1実施形態に係る包装容器の使用態様を示す説明図である。
図5】(a)は第2実施形態に係る包装容器の全体構成を示す透過正面図であり、(b)はその変形例を示す。
図6】第2実施形態に係る包装容器の全体構成を示す斜視図である。
図7】第2実施形態に係る包装容器の使用方法1を示す説明図である。
図8】第2実施形態に係る包装容器の使用方法2を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
(包装容器の全体構成)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る包装容器の第1実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る包装容器の全体構成を示す斜視図であり、図2はその側断面図である。
【0021】
本実施形態に係る包装容器1は、薬液等を染みこませたウエットシートなどが収容可能であり、化粧用、皮膚の汚れや汗、口回り、口腔用、排便の後始末など、育児、医療・介護の場面の他、動物ペットの飼育、床や机、車の清掃など種々の分野で利用可能である。具体的に包装容器1は、図1及び図2に示すように、全体構成の基体となり開閉部としてのシール部材42を有する内部中空の容器本体10と、容器本体10内に配置される溶液封入部50aと、袋体30とから概略構成される。
【0022】
容器本体10は、開閉可能なシール部材42を有する矩形状のパックであり、アルミやビニール等の耐水性の高い素材で形成されたシートを、周縁及び端部10aを熱溶着により固着することにより、矩形状で内部中空の容器を形成している。
【0023】
容器本体10に収納される内容物11としては、パルプ、綿、麻などの植物繊維、毛、絹などの動物繊維、レーヨン、キュプラのような再生繊維、アセテート、プロミックスのような半合成繊維、合成繊維などからなる不織布、天然パルプ、合成パルプなどからなる紙、あるいはガーゼ等の布など湿潤強度を有する、乾燥状態のシート状物である。
【0024】
袋体30は、内容物11が封入された状態で容器本体10内に収容される気密性の袋体であり、例えば、薄いビニールやアルミ箔等で形成される。この袋体30は、本実施形態では、吸水性のウエットシート等の内容物11を乾燥させた状態で収容し、内容物を収容した状態でさらに容器本体10内に配置される。
【0025】
本実施形態において、この袋体30は、開口部41から引き出される引出部31と、袋体30を破断させる破断部30bとを備えている。引出部31は、例えば袋体30の角部など突起状をなしている部分でもよく、袋体30に貼り合わせた際に形成される溶着部分などであってもよい。破断部30bは、例えば袋体の底面側に形成されたミシン目などの破断線や切り込み厚みが薄くなった部位などであってもよい。
【0026】
さらに、本実施形態では、袋体30には、引出部31を切除するための切取線30aが形成されている。図3に示すように、引出部31を引き出して底面側の破断部30bを破断させた後に、袋体30本体を、容器本体10内に残したまま、引出部31を切取線30aに沿って引き千切って切除する。このように引出部31を切除することにより、袋体30上部に開口部が形成され、この開口部からも袋体の底面側内に液体を流入させることができるとともに、袋体30を取り除く作業をしなくても、引出部を切除した開口部から内容物を取り出すことができる。
【0027】
開閉部であるシール部材42は、容器本体10の上面に設けられた開閉可能な可撓性のある部材であり、本実施形態では、容器本体10内に連通する開口部41と、容器本体10の外表面において開口部41を塞ぐ部材であって再接着可能なシール状をなすシール部材42とから構成される。なお、容器本体が袋状である場合、この開閉部としては袋体の上部開口とすることができ、この袋体の上部開口には例えばチャックやジッパー(商標)などにより開閉可能に塞ぐことができる。
【0028】
開口部41は、矩形状や楕円などの形状の孔であり、液体が含浸した状態の内容物11をつまみ出せる程度の面積を有している。シール部材42は、例えば再接着が可能な接着剤が塗布されたビニール等のシール部材で形成され、開口部41の周縁に剥離可能に接着されて開口部41を塞ぐため、繰り返し開閉しても内部の湿潤状態を維持できるとともに、雑菌・ウィルス等の混入を防ぐとことができるようになっている。
【0029】
また、引出部31がシール部材42に対して接離可能に固着されていてもよい。この場合には、シール部材42を開ける動作により、容器本体10内の袋体30の引出部31を引き出すことができるため、引出部31を開口部41からつまみ出すような煩雑な操作を不要とすることができ、製品の利便性を向上させることができる。
【0030】
溶液封入部50aは、容器本体10内に配置された簡易容器であり、内部に液体が封入され、外気から遮断されている状態とする。この溶液封入部50aとしては、液体を密封できる容器であれば、ビニール袋や真空パック、カプセル、プラスチック容器等を採用することができる。この溶液封入部50aは、容器本体10内に袋体30を収容した状態で、袋体とは別に配置されている。この溶液封入部50aは、開封する前に容器本体10内で潰すなどの刺激を加える操作により、押圧力で破裂されたり破断されたりして、内部の液体が容器本体10内に流出されるように、構成されている。
【0031】
さらに、本実施形態では、包装容器1内且つ袋体30の外部に混合剤50bが配置されている。この混合剤50bとしては、例えば、美容剤、医薬、香料、薬剤、界面活性剤、保湿剤、消臭剤、保存剤・殺菌剤、発熱剤、冷却剤等が含まれ、これらの成分を溶解或いは配合させた水や有機系の溶液や溶剤であったり、これらの成分をカプセルに充填したり、フリーズドライ製法等でパウダー状にしたり、固化させてフィルム状にしたりなど、公知の形態が好適に使用可能であり、これらを上述した水等の液状成分と混合させて使用する。
【0032】
(使用方法)
次いで、上述した包装容器の使用方法について説明する。図4は、本実施形態に係る包装容器の使用状態を示す側断面図である。本実施例における包装容器1は、図4(a)に示すように、開封前にあっては、吸水性の内容物11が乾燥された状態で袋体30に収容されているとともに、この袋体30とは別に、液体12が封入された溶液封入部50aが容器本体10内に配置され、開閉部を封止することにより製品として完成されている。
【0033】
そして、製品の使用時には、図4(b)に示すように、先ず、開閉部を開封する前に、乾燥した内容物11を容器本体10内に収納した状態において、溶液封入部50aを外部から圧力をかけて潰す等の刺激を加える方法によって破断させ、溶液封入部50a内の液体12を容器本体10内に流出させる。このとき内容物は乾燥した状態で袋体内に収容されており、流出された液体が含浸することはない。なお混合剤50bを使用する場合は、容器本体10を揉んだり振ったりすることによって、混合剤50bと液体12とを十分に混合させ、混合された溶液が内容物11の周囲によく行き渡るようにする。
【0034】
次に、図4(c)に示すように、シール部材42を剥がして開口部41を開口させ、露出した引出部31を指で摘まんで引っ張る。すると、容器本体10内部では、袋体30の一部又は全体が開口部41から外部へ引き出されることによって破断部30bが破断し、内容物11が袋体30外に露出され、周囲の液体が吸収され含浸される。引出部31を開口部41から引き出すことによって、破断した袋体30を容器本体10内に内容物11を残したまま取り出してもよい。
【0035】
このとき、図3に示すように、引出部31を引き出して底面側の破断部30bを破断させた後に、袋体30本体を、容器本体10内に残したまま、引出部31を切取線30aに沿って引き千切って切除するようにしてもよい。このように引出部31を切除することにより、袋体30上部に開口部が形成され、この開口部からも袋体の底面側内に液体を流入させることができるとともに、袋体30を取り除く作業をしなくても、引出部を切除した開口部から内容物11を取り出すことができる。その後の保管時にあっては、図4(d)に示すように、シール部材42を閉止して、内部の液体が蒸発するのを防止する。
【0036】
(作用効果)
このような本実施形態によれば、開封前には、吸水性の内容物11が乾燥された状態で袋体30に収容されているとともに、この袋体30とは別に、液体12が封入された溶液封入部50aを容器本体10内に配置しているため、内容物11に液体12が含浸することがなく、開封前の内容物11が容器本体10内に収納されている間に、雑菌・ウィルスが付着、繁殖しやすくなるのを回避して、衛生面を向上させることができる。また、液体12は溶液封入部50aに封入され、外気から遮断されている状態とすることができることから、防腐剤や殺菌剤・防菌剤等の刺激性のある成分を配合する必要がなく、内容物11がウエットシートなどの皮膚に直接接触させるものであっても、アレルギーや肌荒れ等のトラブルを防止できる。
【0037】
また、内容物11の使用に際してシール部材42を開封する前に溶液封入部50aを潰すなどの刺激を加えることによって破断させて、溶液封入部50a内の液体12を容器本体10内に流出させることができる。これにより、容器本体10を揉んだり振ったりすることによって、容器本体10内に液体12が行き渡るようにした後に、袋体30を引き出して除去して内容物11を袋体30外に露出させることができ、周囲の液体12を内容物11に十分に含浸させることができる。
【0038】
また、このような本実施形態によれば、包装容器1内において、袋体30の外部に配置され、溶液封入部50aに封入された液体12に混合される混合剤50bをさらに備えることによって、未開封の状態にあっては、液体12に混合される成分を、液体12と分けて保存することができるため、成分の劣化や雑菌・ウィルスの繁殖等を抑制するとともに、成分の鮮度を維持できるため、衛生面をさらに向上させることができる。特に、本発明では、シール部材42を開封する直前に溶液封入部50a内の液体12を容器本体10内に流出させることから、容器本体10を揉んだり振ったりすることによって、容器本体10内の液体と混合剤50bとを十分に混合させ、混合された溶液が内容物11の周囲に十分に行き渡るようにしたうえで内容物11に含浸させることができ、混合剤50bが混合した溶液を均一に内容物に吸収させることができる。
【0039】
[第2実施形態]
次いで、添付図面を参照して、本発明に係る包装容器の第2実施形態を詳細に説明する。図5は、第2実施形態に係る包装容器の全体構成を示す透過正面図であり、図6は、第2実施形態に係る包装容器の全体構成を示す透過斜視図である。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0040】
(包装容器の構成)
図5(a)及び図6に示すように、本実施形態では、容器本体がキャップによって閉止されるパック容器60であり、開閉部は、パック容器60内部の中空部63に連通する開口部41と、容器本体10の外表面において開口部41を塞ぐ部材であって、開口部41に螺合されるキャップ状をなすキャップ部材43とから構成される。
【0041】
キャップ部材43は、開口部41を開閉可能とし、この開口部41から混合剤や薬剤・美容剤等を追加投入できるようになっている。これにより、容器内の液体の成分をカスタマイズすることもできる。なお、開口部41やキャップ部材43は、同図(a)に示した位置に限らず、例えば同図(b)に示すような、パック容器60上部片側に傾斜させて配置するようにしてもよい。
【0042】
上記引出部31は、キャップ部材43に対して接離可能に固着されていてもよい。この場合には、キャップ部材43を開ける動作により、容器本体10内の袋体30の引出部31を引き出すことができるため、引出部31を開口部41からつまみ出すような煩雑な操作を不要とすることができ、製品の利便性を向上させることができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、パック容器60には、切欠部64aから切取線64bに沿って引き千切られることにより開放される開封部64が形成されるとともに、この開封部64には開閉可能に開口を閉止するジッパー(商標)やチャック等の封止部44が設けられている。この封止部は、開封部の開口をチャックなどにより気密状に封止するものである。
【0044】
(使用方法1)
以上の構成を有する包装容器は本発明の使用方法によって用いることができる。本実施形態に係る包装容器の使用方法1を示す説明図である。本使用法における包装容器1は、図7(a)に示すように、開封前にあっては、吸水性の内容物11が乾燥された状態で袋体30に収容されているとともに、この袋体30とは別に、液体12が封入された溶液封入部50aが容器本体10内に配置され、開閉部をキャップ部材43によって封止することにより製品として完成されている。
【0045】
そして、製品の使用時には、図7(b)に示すように、先ず、開閉部を開封する前に、乾燥した内容物11を容器本体10内に収納した状態において、溶液封入部50aを外部から圧力をかけて潰す等の刺激を加える方法によって破断させ、溶液封入部50a内の液体12を容器本体10内に流出させる。このとき内容物は乾燥した状態で袋体内に収容されており、流出された液体が含浸することはない。なお混合剤50bを使用する場合は、容器本体10を揉んだり振ったりすることによって、混合剤50bと液体12とを十分に混合させ、混合された溶液が内容物11の周囲によく行き渡るようにする。このとき、キャップ部材43を開口部41から外して開口部41から混合剤や薬剤・美容剤等を追加投入してもよく、これにより容器内の液体の成分をカスタマイズできる。
【0046】
次に、図7(c)に示すように、キャップ部材43を外して、開口部41を開口させ、露出した引出部31を指で摘まんで引き出す。すると、容器本体10内部では、袋体30全体が開口部41から外部へ引き抜かれことによって破断部30bが破断し、内容物11が袋体30外に露出され、図7(d)に示すように、周囲の液体が吸収され含浸される。
【0047】
その後は、図7(e)に示すように、切取線64bから上部を引き千切って切除することにより、開封部を開放させ、破断した袋体30を開封部から引き出すことによって、容器本体10内に内容物11を残したまま取り出す。この開封部64はチャック等の封止部44により開閉が可能となっており、封止部44を開けることで、内容物11を適宜取り出して使用することができる。保管時にあっては、開封部64の封止部44を閉止して、内部の液体が蒸発するのを防止する。
【0048】
(使用方法2)
次いで、他の使用方法について説明する。本実施形態に係る包装容器の使用方法2を示す説明図である。図8(a)に示すように、本使用法における開封前にあっては、吸水性を有し且つ凝縮された内容物14が乾燥された状態で、キャップ部材43に糸14aで吊されて袋体30に収容されているとともに、この袋体30とは別に、液体12が封入された溶液封入部50aが容器本体10内に配置され、開閉部をキャップ部材43によって封止することにより製品として完成されている。なお、内容物14は、顔や首、身体の全部又は部分的なマスクやシートでもよい。
【0049】
そして、製品の使用時には、図8(b)に示すように、先ず、開閉部を開封する前に、乾燥した内容物14を容器本体10内に収納した状態において、溶液封入部50aを外部から圧力をかけて潰す等の刺激を加える方法によって破断させ、溶液封入部50a内の液体12を容器本体10内に流出させる。このとき内容物は乾燥した状態で袋体内に収容されており、流出された液体が含浸することはない。なお混合剤50bを使用する場合は、容器本体10を揉んだり振ったりすることによって、混合剤50bと液体12とを十分に混合させ、混合された溶液が内容物11の周囲によく行き渡るようにする。このとき、キャップ部材43を開口部41から外して開口部41から混合剤や薬剤・美容剤等を追加投入してもよく、これにより容器内の液体の成分をカスタマイズできる。
【0050】
次に、図8(c)に示すように、キャップ部材43を外して、開口部41を開口させ、露出した引出部31を指で摘まんで引き出す。すると、容器本体10内部では、袋体30全体が開口部41から外部へ引き抜かれことによって破断部30bが破断し、内容物11が袋体30外に露出され、図8(c)に示すように、周囲の液体が吸収され含浸される。これにより、内容物14は、液体を吸収することにより膨張して元のフェイスマスクの大きさとなる。
【0051】
その後は、図8(e)に示すように、切取線64bから上部を引き千切って切除することにより、開封部を開放させ、破断した袋体30を開封部から引き出すことによって、容器本体10内に内容物11を残したまま取り出す。この開封部64は、チャック等の封止部44により開閉が可能となっており、封止部44を開けることで、内容物11を適宜取り出して使用することができる。保管時にあっては、開封部の封止部44を閉止して、内部の液体が蒸発するのを防止する。
【0052】
なお、ここで説明した使用方法1では、袋体30内に内容物14を糸14aで吊す構成としたが、糸14aによって開封前の液体12との接触を回避できることから、袋体30を省略するようにしてもよい。一方、袋体30により開封前の液体12との接触を回避できる場合には、糸14aを省略するようにしてもよい。
【0053】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態によれば、開口部41に螺合されるキャップ部材43で開口部41を塞ぐため、繰り返し開閉しても内部の湿潤状態を維持することができるとともに、雑菌・ウィルス等の混入を防ぐとことができる。また、キャップ部材43は、開口部41を開閉可能とし、この開口部41から混合剤や薬剤・美容剤等を追加投入できるようになっているため、容器内の液体の成分をカスタマイズすることもできる。
【0054】
さらに、本実施形態によれば、上述したキャップ部材43を開ける動作により、容器本体10内の袋体30の引出部31を引き出すことができるため、引出部31を開口部41からつまみ出すような煩雑な操作を不要とすることができ、製品の利便性を向上させることができる。
【0055】
[変更例]
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。例えば、上記実施携帯では、キャップやシールを使用したが、これを省略して単に引き千切って除去して開封する使い捨てタイプとしたり、開封にチャックやジッパー等で再封止可能なタイプとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…包装容器
10…容器本体
10a…端部
11,14…内容物
12…液体
14a…糸
30…袋体
30a…切取線
30b…破断部
31…引出部
41…開口部
42…シール部材
43…キャップ部材
44…密着部
50a…溶液封入部
50b…混合剤
60…パック容器
63…中空部
64…開封部
64a…切欠部
64b…切取線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8

【手続補正書】
【提出日】2017年3月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が含浸される吸水性の内容物を収容する包装容器であって、
開閉可能な開閉部を有する容器本体と、
前記容器本体内に配置され液体が封入された溶液封入部と、
前記内容物が封入された状態で前記容器本体内に収容される袋体と、
前記袋体の一部であって、前記開閉部から引き出される引出部と、
前記袋体の一部に形成され、前記袋体を破断させる破断部と
を備えることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記包装容器内において、前記袋体の外部に配置され、前記溶液封入部に封入された液体に混合される混合剤をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記容器本体には、切取線に沿って開封する開封部が形成されるとともに、前記開封部には開閉可能に前記開封部の開口を閉止する封止部が設けられ、
前記引出部には、前記開口部を塞ぐ部材に対して接離可能に固着されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の包装容器の使用方法であって、
前記容器本体の前記開閉部を閉止した状態で、前記容器本体内に配置された溶液封入部を破断させ、前記溶液封入部内の液体を、前記袋体外であって前記容器本体内に行き渡らせた後に、前記開閉部を開放し、前記開閉部から前記引出部を引っ張って前記袋体を前記破断部にて破断させ、前記内容物に前記液体を含浸させる
ことを特徴とする包装容器の使用方法。
【国際調査報告】