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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年6月7日
【発行日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】全芳香族液晶ポリエステル樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/60 20060101AFI20181109BHJP
   C08L 67/03 20060101ALI20181109BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20181109BHJP
【FI】
   C08G63/60
   C08L67/03
   C08K3/013
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
【出願番号】特願2018-533277(P2018-533277)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年11月27日
(11)【特許番号】特許第6411702号(P6411702)
(45)【特許公報発行日】2018年10月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-234293(P2016-234293)
(32)【優先日】2016年12月1日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】JXTGエネルギー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】秋山 希望
(72)【発明者】
【氏名】松浦 洋
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002CF161
4J002DJ057
4J002DL006
4J002FA046
4J002FD016
4J002FD017
4J002GQ00
4J029AA06
4J029AD06
4J029BB05A
4J029BB10A
4J029CB06A
4J029EB05A
4J029EC06A
4J029HA03A
4J029HB01
4J029JB171
4J029JF041
4J029JF131
(57)【要約】
[課題]耐熱性および成形性に優れる全芳香族液晶ポリエステル樹脂の提供。
[解決手段]
本発明に係る全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、
必須の構成単位として下記式(I)〜(V)で表される構成単位を含んでなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂であって、

前記全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
50モル%≦構成単位(I)≦75モル%
6モル%≦構成単位(II)≦20モル%
1モル%≦構成単位(III)≦21.5モル%
0.5モル%≦構成単位(IV)≦10.5モル%
2.5モル%≦構成単位(V)≦22モル%
構成単位(III)>構成単位(IV)
を満たすことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必須の構成単位として、下記式(I)、下記式(II)、下記式(III)、下記式(IV)、下記式(V)で表される構成単位を含んでなる全芳香族液晶ポリエステルであって、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
前記全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
50モル%≦構成単位(I)≦75モル%
6モル%≦構成単位(II)≦20モル%
1モル%≦構成単位(III)≦21.5モル%
0.5モル%≦構成単位(IV)≦10.5モル%
2.5モル%≦構成単位(V)≦22モル%
構成単位(III)>構成単位(IV)
を満たすことを特徴とする、全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項2】
前記全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
55モル%≦構成単位(I)≦70モル%
7モル%≦構成単位(II)≦17モル%
3モル%≦構成単位(III)≦18モル%
1モル%≦構成単位(IV)≦9モル%
4モル%≦構成単位(V)≦19モル%
を満たす、請求項1に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項3】
融点が、320℃以上355℃以下である、請求項1または2に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項4】
過冷却度が、35℃以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂と、無機充填剤とを含んでなる、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
前記無機充填剤が、繊維状充填剤および/または板状充填剤である、請求項5に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
前記無機充填剤の含有量が、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物に含まれる全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、100重量部以下である、請求項5または6に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなる、成形品。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなる、電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全芳香族液晶ポリエステル樹脂に関する。さらに、本発明は、該全芳香族液晶ポリエステル樹脂を含む全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物、該組成物を含んでなる成形品および電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は成形性や耐熱性に優れているため、全芳香族液晶ポリエステル樹脂を使用して製造した成形品(例えば、射出成形品)は、各種電子部品に用いられている。
近年、パーソナル・コンピューターやスマートフォンなどの小型化から電子部品の高集積化、薄肉化、低背化が進んでおり、非常に薄い肉厚部を有する成形品の需要が高まっている。そのため、全芳香族液晶ポリエステル樹脂には、より優れた成形性(薄肉部充填性)や耐熱性が求められている。例えば、特許文献1には、オキシベンゾイル部分を主要な構成部分とする溶融加工可能な全芳香族液晶ポリエステル樹脂が提案されている。
【0003】
また、全芳香族液晶ポリエステル樹脂などの液晶ポリマーの充填性、すなわち流動性を改善する方法として、例えば、液晶ポリマーの分子量を下げ、低粘度化させる方法が実施されている。しかしながら、液晶ポリマーの分子量を下げることにより、成形品の機械的強度などの物性低下が生じるほか、成形品をコネクタなどの電子部品に適用する際に行われるリフロー処理により成形品表面に膨れ(ブリスター)が生じることがあった。例えば、特許文献2には、ブリスターの発生を抑制することのできる全芳香族液晶ポリエステル樹脂が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−225024号公報
【特許文献2】特開2012−126842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、好ましい態様として、58〜62モル%のオキシベンゾイル部分、2〜5モル%の6−オキシ−2−ナフトイル部分、1.5〜11モル%の1,4−ジオキシフェニレン部分、11.5〜22モル%の4,4’−ジオキシフェニル部分、および16.5〜20モル%のジカルボキシアリール部分からなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂であって、1,4−ジオキシフェニレン部分のモル濃度が4,4’−ジオキシフェニル部分のモル濃度を超えないことを特徴とする樹脂が記載されている。しかしながら、本発明者等は、特許文献1に記載の組成比の全芳香族液晶ポリエステル樹脂では、耐熱性を維持したまま、成形性を改善するという観点においては十分でないことを知見した。
【0006】
特許文献2には、好ましい態様として、30〜45モル%のオキシベンゾイル部分、3〜9モル%の6−オキシ−2−ナフトイル部分、13〜20モル%の1,4−ジオキシフェニレン部分、10〜17モル%の4,4’−ジオキシフェニル部分、および25〜25モル%のジカルボキシアリール部分からなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂であって、1,4−ジオキシフェニレン部分のモル濃度が4,4’−ジオキシフェニル部分のモル濃度よりも高いことを特徴とする樹脂が記載されている。しかしながら、本発明者等は、特許文献2に記載の組成比の全芳香族液晶ポリエステル樹脂では、耐熱性および成形性のいずれにも不十分であり、改善が必要であることを知見した。
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、全芳香族液晶ポリエステル樹脂に含まれる構成単位を、特定の構成単位および組成比することにより、上記問題を解決することができるとの知見を得た。本発明は、かかる知見によるものである。
【0008】
したがって、本発明の目的は、優れた成形性および耐熱性を両立できる全芳香族液晶ポリエステル樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、
必須の構成単位として下記式(I)〜(V)で表される構成単位を含んでなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂であって、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
前記全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
50モル%≦構成単位(I)≦75モル%
6モル%≦構成単位(II)≦20モル%
1モル%≦構成単位(III)≦21.5モル%
0.5モル%≦構成単位(IV)≦10.5モル%
2.5モル%≦構成単位(V)≦22モル%
構成単位(III)>構成単位(IV)
を満たすことを特徴とする、全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【0010】
上記態様においては、前記全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
55モル%≦構成単位(I)≦70モル%
7モル%≦構成単位(II)≦17モル%
3モル%≦構成単位(III)≦18モル%
1モル%≦構成単位(IV)≦9モル%
4モル%≦構成単位(V)≦19モル%
を満たすことが好ましい。
【0011】
上記態様においては、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、融点が、320℃以上355℃以下であることが好ましい。
【0012】
上記態様においては、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、過冷却度が、35℃以上であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、上記全芳香族液晶ポリエステル樹脂と、無機充填剤とを含んでなる。
【0014】
上記態様においては、無機充填剤が、繊維状充填剤および/または板状充填剤であることが好ましい。
【0015】
上記態様においては、無機充填剤の含有量が、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物に含まれる全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る成形品は、上記全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなる。
【0017】
本発明に係る電子部品は、上記全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、優れた成形性および耐熱性を両立できる全芳香族液晶ポリエステル樹脂を提供することができる。また、該全芳香族液晶ポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂組成物を用いることで、非常に薄い肉厚部を有する成形品を製造することができ、電子部品の高集積化、薄肉化、低背化を実現することができる。
【0019】
電子部品の薄肉化により、リフロー工程時にソリが生じやすくなり、不良が発生することが問題となっているが、本発明に係る成形品は、リフロー工程など高温で加熱された場合のソリの発生も抑制することができる。さらに加えて、薄肉化したことでコネクタなどの成形品の組立工程においては、成形品のウェルド部に力が加わると、ウェルド部で割れが発生するといった問題が生じているが、本発明に係る成形品はウェルド部の強度が高くなり、割れの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例で製造したソリ量測定用の成形品の上面図および側面図である。
図2】実施例で製造したソリ量測定用の成形品の下面図である。
図3】実施例で製造したウェルド強度測定用の試験片である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<全芳香族液晶ポリエステル樹脂>
本発明による全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、必須の構成単位として下記式(I)〜(V)で表される構成単位を含んでなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂であって、全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)は、下記の条件を満たす。このような全芳香族液晶ポリエステル樹脂によれば、優れた成形性および耐熱性を両立することができる。さらに、該樹脂を使用し製造した成形品に対し、高い機械的強度、および耐ブリスター性ならびに低ソリ性を付与することができる。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
50モル%≦構成単位(I)≦75モル%
6モル%≦構成単位(II)≦20モル%
1モル%≦構成単位(III)≦21.5モル%
0.5モル%≦構成単位(IV)≦10.5モル%
2.5モル%≦構成単位(V)≦22モル%
構成単位(III)>構成単位(IV)
【0022】
全芳香族液晶ポリエステル樹脂において、構成単位(III)および構成単位(IV)の合計の組成比は、構成単位(V)の組成比と実質的に当量(構成単位(III)+構成単位(IV)=構成単位(V))となる。また、全芳香族液晶ポリエステル樹脂全体の構成単位に対して、構成単位(I)〜(V)の合計は、95モル%以上100モル%以下であることが好ましく、99モル%以上100モル%以下であることがより好ましい。
【0023】
全芳香族液晶ポリエステル樹脂の融点は、好ましくは320℃以上355℃以下であり、より好ましくは325℃以上350℃以下である。融点が320℃以上であれば、電子部品等の成形品の加熱加工時に求められる耐熱性を満たすことができる。また、融点が355℃以下であれば、溶融し易いため、成形品を製造し易くなる。
融点は、ISO11357−3、ASTM D3418に準拠するものであり、例えば、セイコー電子工業(株)製の示差走査熱量計(DSC)を用いることにより測定することができる。
なお、昇温速度20℃/分で室温から370℃まで昇温し、全芳香族液晶ポリエステル樹脂を完全に融解させたあと、速度10℃/分で50℃まで降温し、更に20℃/分の速度で420℃まで昇温するときに得られる吸熱ピークの頂点を融点(℃)とする。
【0024】
全芳香族液晶ポリエステル樹脂の過冷却度は、好ましくは35℃以上であり、より好ましくは35℃以上60℃以下である。過冷却度が上記範囲程度であれば、成形品を製造する際の全芳香族液晶ポリエステル樹脂の硬化速度が緩やかであり、成形性に優れる。特に射出成形により成形品を製造する際には、金型の薄肉部の充填性に優れる。
過冷却度は、例えば、セイコー電子工業(株)製の示差走査熱量計(DSC)を用いることにより測定することができる。
なお、昇温速度20℃/分で室温から370℃まで昇温し、全芳香族液晶ポリエステル樹脂を完全に融解させたあと、速度10℃/分で50℃まで降温した時に得られる発熱ピークの頂点を結晶化温度Tc(℃)とし、更に20℃/分の速度で420℃まで昇温するときに得られる吸熱ピークの頂点を融点Tm(℃)とし、「Tm(℃)−Tc(℃)」を過冷却度(℃)とした。
【0025】
以下、全芳香族液晶ポリエステル樹脂に含まれる各構成単位について説明する。
【0026】
(構成単位(I))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記の構成単位(I)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(I)の組成比(モル%)は、50モル%以上75モル%以下である。構成単位(I)の組成比は、好ましくは55モル%以上70モル%以下であり、より好ましくは57モル%以上67モル%以下であり、さらに好ましくは60モル%以上65モル%以下である。
【0027】
構成単位(I)を与えるモノマーとしては、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA、下記式(1))、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などが挙げられる。
【化11】
【0028】
(構成単位(II))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記した構成単位(II)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(II)の組成比(モル%)は、6モル%以上20モル%以下である。構成単位(II)の組成比は、好ましくは7モル%以上17モル%以下であり、より好ましくは9モル%以上16モル%以下であり、さらに好ましくは10モル%以上15モル%以下である。
【0029】
構成単位(II)を与えるモノマーとしては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(HNA、下記式(2))、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などが挙げられる。
【化12】
【0030】
(構成単位(III))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記した構成単位(III)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(III)の組成比(モル%)は、1モル%以上21.5モル%以下である。構成単位(III)の組成比は、好ましくは3モル%以上18モル%以下であり、より好ましくは5モル%以上15モル%以下であり、さらに好ましくは7モル%以上12モル%以下である。
【0031】
構成単位(III)を与えるモノマーとしては、ハイドロキノン(HQ,下記式(3))、そのアシル化物などが挙げられる。
【化13】
【0032】
(構成単位(IV))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記した構成単位(IV)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(IV)の組成比(モル%)は、0.5モル%以上10.5モル%以下である。構成単位(IV)の組成比は、好ましくは1モル%以上9モル%以下であり、より好ましくは2モル%以上8モル%以下であり、さらに好ましくは3モル%以上7モル%以下である。
【0033】
構成単位(IV)を与えるモノマーとしては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(BP、下記式(4))、そのアシル化物などが挙げられる。
【化14】
【0034】
(構成単位(V))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記した構成単位(V)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(V)の組成比(モル%)は、2.5モル%以上22モル%以下である。構成単位(V)の組成比は、好ましくは4モル%以上19モル%以下であり、より好ましくは7モル%以上17モル%以下であり、さらに好ましくは10モル%以上15モル%以下である。
【0035】
構成単位(V)を与えるモノマーとしては、テレフタル酸(TPA、下記式(5))、そのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などが挙げられる。
【化15】
【0036】
<全芳香族液晶ポリエステル樹脂の製造方法>
本発明に係る全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記式(1)〜(5)で表されるモノマーを、従来公知の方法で重合することにより製造することができる。
例えば、本発明に係る全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、溶融重合のみによって製造することができる。また、溶融重合によりプレポリマーを作製し、これをさらに固相重合することによっても製造することができる。
【0037】
溶融重合は、本発明に係る全芳香族ポリエステル化合物が効率よく得られる観点から、上記式(1)〜(5)で表されるモノマーを、所定の配合で合わせて100モル%として、上記式(1)〜(4)で表されるモノマーが有する全水酸基に対し、1.05〜1.15モル当量の無水酢酸を存在させて酢酸還流下において行うことが好ましい。
【0038】
溶融重合とこれに続く固相重合の二段階により重合反応を行う場合は、溶融重合により得られたプレポリマーを冷却固化後に粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法、例えば、窒素などの不活性雰囲気下、または真空下において200〜350℃の温度範囲で1〜30時間プレポリマー樹脂を熱処理するなどの方法が好ましくは選択される。固相重合は、攪拌しながら行ってもよく、また攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。
【0039】
重合反応において触媒は使用してもよいし、また使用しなくてもよい。使用する触媒としては、ポリエステルの重合用触媒として従来公知のものを使用することができ、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N−メチルイミダゾールなどの窒素含有複素環化合物等、有機化合物触媒等が挙げられる。触媒の使用量は、とくに限定されるものではないが、モノマーの総量100重量部に対して、0.0001〜0.1重量部であることが好ましい。
【0040】
溶融重合における重合反応装置は特に限定されるものではないが、一般の高粘度流体の反応に用いられる反応装置が好ましく使用される。これらの反応装置の例としては、例えば、錨型、多段型、螺旋帯型、螺旋軸型等、あるいはこれらを変形した各種形状の攪拌翼をもつ攪拌装置を有する攪拌槽型重合反応装置、又は、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー等の、一般に樹脂の混練に使用される混合装置などが挙げられる。
【0041】
<全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物>
本発明による全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、上記全芳香族液晶ポリエステル樹脂と、無機充填剤とを含んでなる。
【0042】
全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物における無機充填剤の含有量は、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物に含まれる全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましく、10〜70重量部であることがより好ましく、20〜55重量部であることがさらに好ましい。無機充填剤の含有量を上記数値範囲内とすることにより、成形時の充填性を阻害することなく、かつ成形品製造時におけるソリの発生を防止することができる。
【0043】
また、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物に含まれる無機充填剤としては、例えば、繊維状、板状、粉末状のものを使用することができ、これらを合わせて使用してもよい。
中でも、繊維状充填剤および板状充填剤を合わせて使用することが好ましい。
無機充填剤としては、例えば、ガラス繊維、ミルドガラス、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウイスカ、ホウ酸アルミニウムウイスカ、ウォラストナイト、タルク、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウムおよび酸化チタンなどが挙げられ、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、これらを1種または2種以上含んでいてもよい。
【0044】
本発明による全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、全芳香族液晶ポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられ、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、これらを1種または2種以上含んでいてもよい。
【0045】
本発明による全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤、例えば、着色剤、分散剤、可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤を含んでいてもよい。
【0046】
<全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法>
全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物は、全芳香族液晶ポリエステル樹脂に、充填剤などを配合したものを、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機などを用いて、溶融混練することにより得ることができる。
【0047】
上記全芳香族ポリエステル樹脂100重量部に対して、融点が280℃〜360℃で、融点+20℃とした時のせん断速度1000sec−1での溶融粘度が1×10Pa・s以下である、上記全芳香族液晶ポリエステル樹脂以外の液晶ポリエステル樹脂を1〜100重量部ブレンドしてもよい。上記全芳香族ポリエステル樹脂以外の液晶ポリエステル樹脂をブレンドすることにより、耐熱性を維持したまま成形性および機械強度のバランスを制御可能である。
【0048】
<成形品>
本発明による成形品は、上記の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなるものである。本発明の成形品は、形状安定性に優れるものであり、例えば、リフロー工程において熱が加わる場合であっても、成形品のソリを抑制することができる。
【0049】
本発明による成形品は、上記の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を射出成形や押出成形することにより製造することができる。また、本発明による成形品は、フィルム状やシート状、糸状、ナノファイバー、および不織布であってもよい。具体的なフィルム化方法としては、インフレーション成形、溶融押出成形、溶液キャスト成形などが挙げられる。このようにして得られたフィルムは、全芳香族ポリエステル樹脂組成物からなる単層フィルムであってもよく、異種材料との多層フィルムであってもよい。なお、溶融押出成形、溶液キャスト成形したフィルムを形状安定性、機械特性を改良する目的で、単軸、または二軸にて延伸処理をしてもよい。また、これらフィルムの異方性を除去する目的で熱処理を行ってもよい。
【0050】
<電子部品>
本発明による電子部品は、上記全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなる。電子部品としては、例えば、高速伝送用コネクタ、CPUソケット、Board to Boardコネクタ、回路基板、フレキシブル回路基板、積層用回路基板、衝突防止用レーダー、RFIDタグ、コンデンサー、インバーター部品、絶縁フィルム、リチウムイオン電池などの二次電池の絶縁材、スピーカー振動板、カメラモジュールなどが挙げられる。具体的には、これら電子部品は、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形品(例えば、射出成形品)やフィルムなどを備えてなる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0052】
<全芳香族液晶ポリエステル樹脂の製造>
[実施例1:全芳香族液晶ポリエステル樹脂A]
攪拌翼を有する重合容器にp−ヒドロキシ安息香酸(HBA)62モル%、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(HNA)10モル%、ハイドロキノン(HQ)8モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(BP)6モル%、テレフタル酸(TPA)14モル%を加え、触媒として酢酸カリウムおよび酢酸マグネシウムを仕込み、重合容器の減圧−窒素注入を3回行って窒素置換を行った後、無水酢酸(全水酸基に対して1.08モル当量)を更に添加し、150℃まで昇温し、還流状態で2時間アセチル化反応を行った。
【0053】
アセチル化終了後、酢酸留出状態にした重合容器を0.5℃/分で昇温して、槽内の溶融体温度が310℃になったところで重合物を抜き出し、冷却固化した。得られた重合物を粉砕し目開き1.0mmの篩を通過する大きさに粉砕してプレポリマーを得た。
【0054】
次に、上記で得られたプレポリマーを柴田科学製ガラスチューブオーブンに充填し、回転させながらヒーター温度を室温から12時間かけて290℃まで昇温した後、290℃で温度を1時間保持して固相重合を行った。その後槽を回転させながら室温で自然放熱し、全芳香族液晶ポリエステル樹脂Aを得た。メトラー製の顕微鏡用ホットステージFP82HTを備えたオリンパス(株)製の偏光顕微鏡BH−2を用い、ポリエステル試料を顕微鏡加熱ステージ上にて加熱溶融させ、光学異方性の有無から液晶性を確認した。
【0055】
[実施例2:全芳香族液晶ポリエステル樹脂B]
モノマー仕込みを、HBA62モル%、HNA10モル%、HQ10モル%、BP4モル%、TPA14モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂Bを得て、上記と同様にして液晶性を確認した。
【0056】
[実施例3:全芳香族液晶ポリエステル樹脂C]
モノマー仕込みを、HBA60モル%、HNA10モル%、HQ8モル%、BP7モル%、TPA15モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂Cを得て、上記と同様にして液晶性を確認した。
【0057】
[実施例4:全芳香族液晶ポリエステル樹脂D]
モノマー仕込みを、HBA62モル%、HNA10モル%、HQ8.5モル%、BP5.5モル%、TPA14モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂Dを得て、上記と同様にして液晶性を確認した。
【0058】
[実施例5:全芳香族液晶ポリエステル樹脂E]
モノマー仕込みを、HBA62モル%、HNA15モル%、HQ10.5モル%、BP1モル%、TPA11.5モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂Eを得て、上記と同様にして液晶性を確認した。
【0059】
[比較例1:全芳香族液晶ポリエステル樹脂F]
モノマー仕込みを、HBA62モル%、HNA4モル%、HQ5モル%、BP12モル%、TPA17モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂Fを得て、上記と同様にして液晶性を確認した。
【0060】
[比較例2:全芳香族液晶ポリエステル樹脂G]
モノマー仕込みを、HBA62モル%、HNA10モル%、HQ7モル%、BP7モル%、TPA14モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂Gを得て、上記と同様にして液晶性を確認した。
【0061】
[比較例3:全芳香族液晶ポリエステル樹脂H]
モノマー仕込みを、HBA62モル%、HNA10モル%、HQ4モル%、BP10モル%、TPA14モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂Hを得て、上記と同様にして液晶性を確認した。
【0062】
[比較例4:全芳香族液晶ポリエステル樹脂I]
モノマー仕込みを、HBA62モル%、HNA4モル%、HQ5モル%、BP12モル%、TPA17モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂Iを得て、上記と同様にして液晶性を確認した。
【0063】
[参考例1:全芳香族液晶ポリエステル樹脂J]
モノマー仕込みを、HBA60モル%、BP20モル%、TPA15モル%、イソフタル酸5モル%に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂Jを得て、上記と同様にして液晶性を確認した。
【0064】
<融点および過冷却度の測定>
実施例および比較例において得られた液晶ポリエステル樹脂の融点は、セイコー電子工業(株)製の示差走査熱量計(DSC)により測定した。このとき、昇温速度20℃/分で室温から370℃まで昇温してポリマーを完全に融解させた後、速度10℃/分で50℃まで降温するときに得られる発熱ピークの頂点を結晶化温度(Tc)とし、更に20℃/分の速度で420℃まで昇温するときに得られる吸熱ピークの頂点を融点(Tm)とし、「Tm(℃)−Tc(℃)」を過冷却度(℃)とした。測定結果を表1にまとめた。
【0065】
【表1】
【0066】
<全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物の製造>
実施例1と同じモノマー組成比のモノマー混合物に、触媒として酢酸カリウムおよび酢酸マグネシウムを加え、SUS316を材質とし、ダブルヘリカル攪拌翼を有する内容積6Lの重合槽へ仕込み、実施例1と同様の条件にてプレポリマーを得た。
次に、上記で得られたプレポリマーを固相重合装置に充填し、窒素を流通しながら、回転速度5rpmでヒーター温度を室温から150℃まで1時間かけて昇温した後、200℃まで2時間半かけて昇温し、更に250℃まで3時間半かけて昇温した。250℃で2時間保持した後、 更に290℃まで6時間半かけて昇温し、290℃で1時間保持し固相重合を行った。その結果、全芳香族液晶ポリエステル樹脂Aを得た。
上記のようにして得られた全芳香族液晶ポリエステル樹脂A100重量部に対し、繊維状充填剤(セントラルグラスファイバー(株)製、商品名:EFH150−01)7重量部および板状充填剤(マイカ、(株)ヤマグチマイカ製、商品名:AB−25S)36重量部を配合し、二軸押出機にて溶融混練したものをペレット化し、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物Aを得た。
また、全芳香族液晶ポリエステル樹脂Aを参考例1で得られた全芳香族液晶ポリエステル樹脂Jに変更した以外は、同様にして全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物Jを得た。
【0067】
<機械的強度試験(曲げ強度の測定)>
上記のようにして得られた樹脂組成物Aのペレットを射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名:SG−25)を用いて、シリンダー温度を融点+10℃とし、金型温度を80℃とし、射出速度100mm/secで射出成形し、ASTM D790に準じた曲げ試験片(幅13mm、長さ130mm、厚さ3mm)を作製し曲げ強度を測定した。
また、樹脂組成物Jを用いて、同様に試験片を作製し、曲げ強度を測定した。測定結果を表2にまとめた。
【0068】
<耐ブリスター性試験(耐ブリスター温度の測定)>
上記のようにして得られた樹脂組成物Aのペレットを、射出成形機(Sodick製、商品名:LD10EH2)にて、シリンダー温度を融点+10℃とし、金型温度を80℃とし、射出速度150mm/secで射出成形し、JIS K7160 2形に準じた試験片(幅10mm、長さ60mm、厚さ0.4mm)を作製した。
また、樹脂組成物Jを用いて、同様に試験片を作製した。上記のようにして得られた試験片を所定の温度に保持したエアーオーブン中に30分間放置して、試験片表面にブリスターおよび変形の発生しない最高温度を耐ブリスター温度とした。測定結果を表2にまとめた。
【0069】
<ソリ量の測定>
上記のようにして得られた樹脂組成物Aのペレットを、射出成形機(Sodick製、商品名:LP20)にて、シリンダー温度を融点+10℃、金型温度100℃とし、射出速度150mm/secで、インサート成形により樹脂と金属部とを一体化して、図1および2に示す形状の成形品を得た。また、樹脂組成物Jを用いて、同様に成形品を得た。なお、図1には、得られた成形品の上面図と側面図を示し、図2には下面図を示す。寸法の数値の単位はmmである。
上記のようにして得られた成形品を260℃に保持したエアーオーブン中に10分間放置し、加熱後の成形品のソリ量をワンショット3Dマクロスコープ((株)キーエンス社製、商品名:VR−3100)を用いて測定した。ソリの測定は、成形品を下面(ソリを測定する面)を上向きにして置いた時の、図2に示した矢印部を3Dマイクロスコープにて上から、最も高い位置と低い位置を測定し、その差をソリ量とした。測定結果を表2にまとめた。なお、形状安定性が良いほどソリ量は小さくなり、ソリ量は40μm以下であることが好ましい。
【0070】
【表2】
【0071】
<ウェルド強度の測定>
上記のようにして得られた樹脂組成物Aのペレットを、射出成形機(住友重機械工業製、商品名:SE30DU)にて、シリンダー温度を融点+10℃とし、金型温度を100℃とし、射出速度250mm/secで射出成形し、図3に示す試験片(幅14.6mm、長さ48.0mm、厚さ0.35mm)を作製した。また、樹脂組成物Jを用いて、同様に試験片を作製した。
上記のようにして得られた試験片のウェルド部を、下記の3点曲げ試験の条件で上側から押圧し、ウェルド部が破断するときの応力を測定した。測定結果を表3にまとめた。
(3点曲げ試験の条件)
・スパン間距離=25mm
・治具R=10mm
・降下速度=1.27mm/min
【表3】
図1
図2
図3

【手続補正書】
【提出日】2018年7月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必須の構成単位として、下記式(I)、下記式(II)、下記式(III)、下記式(IV)、下記式(V)で表される構成単位を与えるモノマーの共重合体からなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂であって、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
前記全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
50モル%≦構成単位(I)≦75モル%
6モル%≦構成単位(II)≦20モル%
1モル%≦構成単位(III)≦21.5モル%
0.5モル%≦構成単位(IV)≦10.5モル%
2.5モル%≦構成単位(V)≦22モル%
構成単位(III)>構成単位(IV)
を満たすことを特徴とする、全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項2】
前記全芳香族液晶ポリエステル中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
55モル%≦構成単位(I)≦70モル%
7モル%≦構成単位(II)≦17モル%
3モル%≦構成単位(III)≦18モル%
1モル%≦構成単位(IV)≦9モル%
4モル%≦構成単位(V)≦19モル%
を満たす、請求項1に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項3】
融点が、320℃以上355℃以下である、請求項1または2に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項4】
過冷却度が、35℃以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂と、無機充填剤とを含んでなる、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
前記無機充填剤が、繊維状充填剤および/または板状充填剤である、請求項5に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
前記無機充填剤の含有量が、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物に含まれる全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、100重量部以下である、請求項5または6に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなる、成形品。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなる、電子部品。

【手続補正書】
【提出日】2018年8月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、
必須の構成単位として下記式(I)〜(V)で表される構成単位を与えるモノマーの共重合体からなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂であって、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
50モル%≦構成単位(I)≦75モル%
6モル%≦構成単位(II)≦20モル%
1モル%≦構成単位(III)≦21.5モル%
0.5モル%≦構成単位(IV)≦10.5モル%
2.5モル%≦構成単位(V)≦22モル%
構成単位(III)>構成単位(IV)
を満たすことを特徴とする、全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記態様においては、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
55モル%≦構成単位(I)≦70モル%
7モル%≦構成単位(II)≦17モル%
3モル%≦構成単位(III)≦18モル%
1モル%≦構成単位(IV)≦9モル%
4モル%≦構成単位(V)≦19モル%
を満たすことが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
<全芳香族液晶ポリエステル樹脂>
本発明による全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、必須の構成単位として下記式(I)〜(V)で表される構成単位を与えるモノマーの共重合体からなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂であって、全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)は、下記の条件を満たす。このような全芳香族液晶ポリエステル樹脂によれば、優れた成形性および耐熱性を両立することができる。さらに、該樹脂を使用し製造した成形品に対し、高い機械的強度、および耐ブリスター性ならびに低ソリ性を付与することができる。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
50モル%≦構成単位(I)≦75モル%
6モル%≦構成単位(II)≦20モル%
1モル%≦構成単位(III)≦21.5モル%
0.5モル%≦構成単位(IV)≦10.5モル%
2.5モル%≦構成単位(V)≦22モル%
構成単位(III)>構成単位(IV)
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
(構成単位(I))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記の構成単位(I)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(I)の組成比(モル%)は、50モル%以上75モル%以下である。構成単位(I)の組成比は、好ましくは55モル%以上70モル%以下であり、より好ましくは57モル%以上67モル%以下であり、さらに好ましくは60モル%以上65モル%以下である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
(構成単位(II))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記した構成単位(II)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(II)の組成比(モル%)は、6モル%以上20モル%以下である。構成単位(II)の組成比は、好ましくは7モル%以上17モル%以下であり、より好ましくは9モル%以上16モル%以下であり、さらに好ましくは10モル%以上15モル%以下である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
(構成単位(III))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記した構成単位(III)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(III)の組成比(モル%)は、1モル%以上21.5モル%以下である。構成単位(III)の組成比は、好ましくは3モル%以上18モル%以下であり、より好ましくは5モル%以上15モル%以下であり、さらに好ましくは7モル%以上12モル%以下である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
(構成単位(IV))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記した構成単位(IV)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(IV)の組成比(モル%)は、0.5モル%以上10.5モル%以下である。構成単位(IV)の組成比は、好ましくは1モル%以上9モル%以下であり、より好ましくは2モル%以上8モル%以下であり、さらに好ましくは3モル%以上7モル%以下である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
(構成単位(V))
全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、上記した構成単位(V)を含んでなるものであり、全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(V)の組成比(モル%)は、2.5モル%以上22モル%以下である。構成単位(V)の組成比は、好ましくは4モル%以上19モル%以下であり、より好ましくは7モル%以上17モル%以下であり、さらに好ましくは10モル%以上15モル%以下である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
【表1】
【手続補正10】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必須の構成単位として、下記式(I)、下記式(II)、下記式(III)、下記式(IV)、下記式(V)で表される構成単位を与えるモノマーの共重合体からなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂であって、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
50モル%≦構成単位(I)≦75モル%
6モル%≦構成単位(II)≦20モル%
1モル%≦構成単位(III)≦21.5モル%
0.5モル%≦構成単位(IV)≦10.5モル%
2.5モル%≦構成単位(V)≦22モル%
構成単位(III)>構成単位(IV)
を満たすことを特徴とする、全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項2】
前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂中における構成単位(I)〜(V)の組成比(モル%)が、下記の条件:
55モル%≦構成単位(I)≦70モル%
7モル%≦構成単位(II)≦17モル%
3モル%≦構成単位(III)≦18モル%
1モル%≦構成単位(IV)≦9モル%
4モル%≦構成単位(V)≦19モル%
を満たす、請求項1に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項3】
融点が、320℃以上355℃以下である、請求項1または2に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項4】
過冷却度が、35℃以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂と、無機充填剤とを含んでなる、全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
前記無機充填剤が、繊維状充填剤および/または板状充填剤である、請求項5に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
前記無機充填剤の含有量が、前記全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物に含まれる全芳香族液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、100重量部以下である、請求項5または6に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなる、成形品。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の全芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を含んでなる、電子部品。
【国際調査報告】