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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年7月5日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20181130BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20181130BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   G02B13/04 D
   G02B17/08 A
   G02B23/24 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
【出願番号】特願2018-520205(P2018-520205)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年12月22日
(11)【特許番号】特許第6363818号(P6363818)
(45)【特許公報発行日】2018年7月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-251392(P2016-251392)
(32)【優先日】2016年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123962
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】片倉 正弘
【テーマコード(参考)】
2H040
2H087
【Fターム(参考)】
2H040CA23
2H040CA24
2H040CA25
2H040GA02
2H087KA10
2H087PA06
2H087PA20
2H087PB09
2H087QA01
2H087QA07
2H087QA18
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA45
2H087RA32
2H087RA41
2H087RA42
2H087RA43
2H087TA03
(57)【要約】
倍率色収差補正を良好に補正し、軸外収差、特に像面湾曲を良好に補正することができる対物光学系を有する内視鏡システムを提供すること。
対物光学系OBLと、2つのピントの異なる光学像を得る光路分割部20と、光学像を取得する撮像素子22と、画像合成処理部23cと、を有し、対物光学系OBLは、物体側から順に、固定の負の第1レンズ群G1と、可動の正の第2レンズ群G2と、固定の正の第3レンズ群G3と、から構成され、第2レンズ群G2を像側へ移動させることによって通常観察と近接観察を切り替え可能な光学系において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の第1レンズL1と、少なくとも1つの正レンズL4と、を有し、以下の条件式(1)、(2)を満足する対物光学系を有する。
1.3<D_2T/fw<5 …(1)
1.01<ω(wide)/ω(tele)<3.0 …(2)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物光学系と、前記対物光学系で得られた被写体像を2つのピントの異なる光学像に2つのプリズムを用いて分割する光路分割部と、前記光学像を取得する撮像素子と、取得した2つの光学像を相対的にコントラストが高い画像を所定領域において選択し、合成画像を生成する画像合成処理部と、を有し、
前記対物光学系は、物体側から順に、固定の負屈折力の第1レンズ群と、可動の正屈折力の第2レンズ群と、固定の正屈折力の第3レンズ群と、から構成され、
前記第2レンズ群を像側へ移動させることによって通常観察と近接観察を切り替え可能な光学系において、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズと、少なくとも1つの正レンズと、を有し、
以下の条件式(1)、(2)を満足する前記対物光学系を有することを特徴とする内視鏡システム。
1.3<D_2T/fw<5 …(1)
1.01<ω(wide)/ω(tele)<3.0 …(2)
ここで、
D_2Tは、前記負屈折力の第1レンズ群の最も像側の前記正レンズの光軸上の肉厚、
fwは、通常観察状態における前記対物光学系の焦点距離、
ω(wide)は、通常観察状態における前記対物光学系の画角、
ω(tele)は、近接観察状態における前記対物光学系の画角、
である。
【請求項2】
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
1.5<D_1G/D_2T<3.21 …(3)
ここで、
D_1Gは、前記負屈折力の第1レンズ群の光軸上の厚み、
D_2Tは、前記負屈折力の第1レンズ群の最も像側の前記正レンズの光軸上の肉厚、である。
【請求項3】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡システム。
0.8<D_3G/D_2T<3.3 …(4)
ここで、
D_3Gは、前記正屈折力の第3レンズ群の光軸上の厚み、
D_2Tは、前記負屈折力の第1レンズ群の最も像側の前記正レンズの光軸上の肉厚、である。
【請求項4】
前記負屈折力の第1レンズ群は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズと、負屈折力のレンズと正屈折力のレンズの接合レンズと、から構成されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、内視鏡システムをはじめ、撮像素子を備えた機器において、撮像素子の高画素化に伴い、被写界深度が狭くなることが知られている。すなわち、撮像素子において、画素数を増やすために画素ピッチ(1画素の縦横の寸法)を小さくすると、これに伴って許容錯乱円も小さくなるため、撮像装置の被写界深度が狭くなる。
【0003】
被写界深度を拡大するために、例えば、光路分割プリズムを用いて、自画像を分割して結像させ、取得した画像を画像処理で合成し深度を拡大する構成が知られている。光路分割プリズムを配置するためには、長い後側焦点距離(バックフォーカス、以下適宜「fb」という。))が必要である。
【0004】
長いfbを有する光学系として、例えば、特許文献1、2に開示された光学系が知られている。
【0005】
特許文献1に開示されている光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群と、正屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、を有している。これにより、少ないレンズ枚数ながらも、光学系全長を短縮し、長いfbを得ることができる点で優れている。さらに、この光学系は、正屈折力の第2レンズ群を光軸方向に移動することによって近接観察と通常観察が可能な点でも優れている。
【0006】
特許文献2に開示されている光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群と、正屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、を有している。これにより、少ないレンズ枚数ながらも、光学系全長を短縮し、長いfbを得ることができる点で優れている。さらに、変倍時に第1レンズ群を固定しているため、部品点数の削減や製造バラツキなどにも強くなっている点で好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許6006464号公報
【特許文献2】特開2007−093961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1の光学系は、第1レンズ群の正レンズの肉厚が厚くないため、像面湾曲が良好に補正できていないため好ましくない。
また、特許文献2の光学系では、第1レンズ群の正レンズの肉厚が焦点距離に比べて小さい。このため、特に像面湾曲の補正が不十分であるため好ましくない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、負屈折力の第1レンズ群に接合レンズを用いることで倍率色収差補正を良好に補正し、正屈折力のレンズの肉厚を厚くすることで軸外収差、特に像面湾曲を良好に補正することができる対物光学系を有する内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡システムは、対物光学系と、対物光学系で得られた被写体像を2つのピントの異なる光学像に2つのプリズムを用いて分割する光路分割部と、光学像を取得する撮像素子と、取得した2つの光学像を相対的にコントラストが高い画像を所定領域において選択し、合成画像を生成する画像合成処理部と、を有し、対物光学系は、物体側から順に、固定の負屈折力の第1レンズ群と、可動の正屈折力の第2レンズ群と、固定の正屈折力の第3レンズ群と、から構成され、第2レンズ群を像側へ移動させることによって通常観察と近接観察(拡大観察)を切り替え可能な光学系において、第1レンズ群は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズと、少なくとも1つの正レンズと、を有し、以下の条件式(1)、(2)を満足する対物光学系を有することを特徴とする。
1.3<D_2T/fw<5 …(1)
1.01<ω(wide)/ω(tele)<3.0 …(2)
ここで、
D_2Tは、負屈折力の第1レンズ群の最も像側の正レンズの光軸上の肉厚、
fwは、通常観察状態における対物光学系の焦点距離、
ω(wide)は、通常観察状態における対物光学系の画角、
ω(tele)は、近接観察状態における対物光学系の画角、
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、負屈折力の第1レンズ群に接合レンズを用いることで倍率色収差補正を良好に補正し、正屈折力のレンズの肉厚を厚くすることで軸外収差、特に像面湾曲を良好に補正することができる対物光学系を有する内視鏡システムを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る内視鏡システムが有する対物光学系、光路分割部及び撮像素子の断面構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1に係る内視鏡システムが有する対物光学系、光路分割部及び撮像素子の断面構成を示す図であり、(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図3】(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例1の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示し、(e)、(f)、(g)、(h)は、それぞれ近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図4】本発明の実施例2に係る内視鏡システムが有する対物光学系、光路分割部及び撮像素子の断面構成を示す図であり、(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図5】(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例2の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示し、(e)、(f)、(g)、(h)は、それぞれ近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図6】本発明の実施例3に係る内視鏡システムが有する対物光学系、光路分割部及び撮像素子の断面構成を示す図であり、(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図7】(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例3の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示し、(e)、(f)、(g)、(h)は、それぞれ近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図8】本発明の実施形態に係る内視鏡システムが有する光路分割部と撮像素子との概略構成図である。
図9】本発明の実施形態に係る内視鏡システムが有する撮像素子の概略構成図である。
図10】本発明の実施形態に係る内視鏡システムの構成を示す機能ブロック図である。
図11】本発明の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、2つの光学像を合成する場合の流れを示すフローチャートである。
図12】本発明の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、ビームスプリッタにより奇数回の反射後に撮像素子に結像される場合の結像状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態に係る内視鏡システム10(図10)について、図面を用いて、このような構成をとった理由と作用を説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
本実施形態に係る内視鏡システムは、図1に示すように、対物光学系OBLと、対物光学系OBLで得られた被写体像を2つのピントの異なる光学像に2つのプリズムを用いて分割する光路分割部20と、光学像を取得する撮像素子22と、取得した2つの光学像を相対的にコントラストが高い画像を所定領域において選択し、合成画像を生成する画像合成処理部23c(図10)と、を有し、
対物光学系OBLは、物体側から順に、固定の負屈折力の第1レンズ群G1と、可動の正屈折力の第2レンズ群G2と、固定の正屈折力の第3レンズ群G3と、から構成され、
第2レンズ群G2を像側へ移動させることによって通常観察(遠方観察)と近接観察(拡大観察)を切り替え可能な光学系において、
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズL1と、少なくとも1つの正レンズL4と、を有し、
以下の条件式(1)、(2)を満足する対物光学系を有することを特徴とする。
1.3<D_2T/fw<5 …(1)
1.01<ω(wide)/ω(tele)<3.0 …(2)
ここで、
D_2Tは、負屈折力の第1レンズ群G1の最も像側の正レンズL4の光軸AX上の肉厚、
fwは、通常観察状態における対物光学系OBLの焦点距離、
ω(wide)は、通常観察状態における対物光学系OBLの画角、
ω(tele)は、近接観察状態における対物光学系OBLの画角、
である。
【0015】
本実施形態では、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群G1と、フォーカシング時に移動可能な正屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群と、から構成される。これにより、通常観察と近接観察が切り替え可能であり、長いバックフォーカスを確保できる。また、フォーカシング時の収差変動が小さく、製造誤差に強い光学系を得られる。さらに、後述するように、2つのピントの異なる光学像を取得して、合成画像を生成することで、被写界深度の広い画像を得ることが可能になる。
【0016】
条件式(1)は、D_2Tとfwの適切な比に関する。条件式(1)は、負屈折力の第1レンズ群G1における、少なくとも1枚の正レンズに関する条件式である。条件式(1)を満足する範囲内であれば、長いバックフォーカスを確保しながらも、像面湾曲を良好に補正可能になるため好ましい。
【0017】
条件式(1)の上限値を上回る、または下限値を下回ると、像面湾曲が大きく発生してしまうため好ましくない。
【0018】
条件式(2)は、ω(wide)とω(tele)の適切な比に関する。条件式(2)は、フォーカシング時における画角の変化を表した条件式である。条件式(2)を満足する範囲内であれば、適切な画角変化である。
【0019】
条件式(2)の下限値を下回ると、フォーカシング時の許容画角変化が少なくなり、負屈折力の第1レンズ群G1と、正屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、の構成では、所望の光学系として成り立たないため好ましくない。
【0020】
条件式(2)の上限値を上回ると、画角の変化が大きすぎる。このため、正屈折力の第2レンズ群G2に大きなパワー(屈折力)を付与する必要がある。この結果、製造誤差に弱くなるため好ましくない。
【0021】
条件式(1)に代えて、以下の条件式(1)’を満足することが好ましい。
1.6<D_2T/fw<2.5 …(1)’
さらに、条件式(1)に代えて、以下の条件式(1)”を満足することがより好ましい。
1.9<D_2T/fw<2.0 …(1)”
【0022】
条件式(2)に代えて、以下の条件式(2)’を満足することが好ましい。
1.01<ω(wide)/ω(tele)<2.0 …(2)'
さらに条件式(2)に代えて、以下の条件式(2)”を満足することがより好ましい。
1.01<ω(wide)/ω(tele)<1.1 …(2)”
【0023】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
1.5<D_1G/D_2T<3.21 …(3)
ここで、
D_1Gは、負屈折力の第1レンズ群G1の光軸AX上の厚み、
D_2Tは、負屈折力の第1レンズ群G1の最も像側の正レンズL4の光軸AX上の肉厚、
である。
【0024】
条件式(3)は、D_1GとD_2Tの適切な比に関する。条件式(3)は、負屈折力の第1レンズ群G1の光軸AX上の厚みと、第1レンズ群G1の最も像側の正レンズL4の肉厚の比に関する条件式である。
【0025】
条件式(3)を満足する範囲内にあれば、D_1GとD_2Tは、適切な比率であるために、光学系の全長を著しく長くすることがない。このため、正レンズL4の肉厚を確保することが可能になる。
【0026】
条件式(3)の上限値を上回ると、像面湾曲を十分に補正できず、かつ負屈折力の第1レンズ群G1の長さが長くなる。このため、光学系の全長が長くなりすぎるため好ましくない。
【0027】
条件式(3)の下限値を下回ると、負屈折力の第1レンズ群G1のレンズ間隔が著しく短くなる。このため、特に負屈折力の第1レンズL1のパワーを大きくする必要がある。その結果、軸外の諸収差が発生しやすくなるため好ましくない。
【0028】
条件式(3)に代えて、以下の条件式(3)’を満足することが好ましい。
1.8<D_1G/D_2T<3.0 …(3)'
さらに、条件式(3)に代えて、以下の条件式(3)”を満足することがより好ましい。
2.0<D_1G/D_2T<2.8 …(3)”
【0029】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
0.8<D_3G/D_2T<3.3 …(4)
ここで、
D_3Gは、正屈折力の第3レンズ群G3の光軸AX上の厚み、
D_2Tは、負屈折力の第1レンズ群G1の最も像側の正レンズL4の光軸AX上の肉厚、
である。
【0030】
条件式(4)は、D_3GとD_2Tの適切な比に関する。条件式(4)は、正屈折力の第3レンズ群G3の光軸AX上の厚みと、負屈折力の第1レンズ群G1の正レンズL4の肉厚の比を規定する条件式である。
【0031】
条件式(4)を満足する範囲内であれば、光学系の全長を著しく長くすることなく、軸上収差および軸外収差の補正が可能になる。
【0032】
上限式(4)の上限値を上回ると、負屈折力の第1レンズ群G1の正レンズL4の肉厚が薄くなりすぎてしまうため、特に軸外収差の補正ができなくなるため好ましくない。
【0033】
条件式(4)の下限値を下回ると、正屈折力の第3レンズ群G3の光軸AX上の厚みが少なくなりすぎ、特に軸上収差が補正できなくなるため好ましくない。
【0034】
条件式(4)に代えて、以下の条件式(4)’を満足することが好ましい。
1.2<D_3G/D_2T<3 …(4)'
さらに、条件式(4)に代えて、以下の条件式(4)”を満足することがより好ましい。
1.5<D_3G/D_2T<2 …(4)”
【0035】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、負屈折力の第1レンズ群G1は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズL1と、負屈折力のレンズL3と正屈折力のレンズL4の接合レンズと、から構成されることが好ましい。
【0036】
負屈折力の第1レンズ群G1は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズL1と、負屈折力のレンズL3と正屈折力のレンズL4の接合レンズCL1と、から構成する。これにより、長いバックフォーカスを得るために必要な負のパワーを確保しながらも、色収差を良好に補正することが可能になるため好ましい。なお、図1における平行平板L2は、フィルターである。
【0037】
以下、実施例について説明する。
【0038】
(実施例1)
次に、実施例1に係る内視鏡システム10が有する対物光学系OBLについて説明する。
図2(a)、(b)は、対物光学系OBLの断面構成を示す図である。ここで、図2(a)は、通常観察状態(遠距離物点)における対物光学系OBLの断面構成を示す図である。図2(b)は、近接観察状態(近距離物点)における対物光学系OBLの断面構成を示す図である。
【0039】
本実施例に係る対物光学系OBLは、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3と、から構成されている。また、明るさ絞りSは、第3レンズ群G3内に配置されている。第2レンズ群G2は、光軸AX上を像側に移動して、通常観察状態から近接観察状態への変化に伴う焦点位置の変化を補正する。
【0040】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹負レンズL1と、平行平板L2と、両凹負レンズL3と、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL4と、からなる。ここで、負レンズL3と正メニスカスレンズL4とは接合されて接合レンズCL1を構成する。第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、明るさ絞りSと、両凸正レンズL6と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL7と、物体側に平面を向けた平凸正レンズL8と、両凸正レンズL9と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL10と、からなる。ここで、正レンズL6と負メニスカスレンズL7とは接合されている。正レンズL9と負メニスカスレンズL10とは接合されている。
【0041】
第3レンズ群G3の像側に、後述する光路分割部20を配置している。光学系中のプリズムでは、光路が折り曲げられる。なお、平行平板L2は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのコーティングが施されたフィルターである。Iは、像面(撮像面)である。
【0042】
図3(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
図3(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0043】
各収差図において、横軸は収差量を表している。球面収差、非点収差及び倍率収差については、収差量の単位はmmである。また、歪曲収差については、収差量の単位は%である。また、FNOはFナンバーである。また、収差曲線の波長の単位はnmである。これら、諸収差図は、656.27nm(C線)、587.56nm(d線)、及び435.84nm(g線)の各波長について示されている。以下の実施例の収差図において同様である。
【0044】
(実施例2)
次に、実施例2に係る内視鏡システム10が有する対物光学系OBLについて説明する。
図4(a)、(b)は、対物光学系OBLの断面構成を示す図である。ここで、図4(a)は、通常観察状態(遠距離物点)における対物光学系OBLの断面構成を示す図である。図4(b)は、近接観察状態(近距離物点)における対物光学系OBLの断面構成を示す図である。
【0045】
本実施例に係る対物光学系OBLは、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3と、から構成されている。また、明るさ絞りSは、第3レンズ群G3内に配置されている。第2レンズ群G2は、光軸AX上を像側に移動して、通常観察状態から近接観察状態への変化に伴う焦点位置の変化を補正する。
【0046】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹負レンズL1と、平行平板L2と、両凹負レンズL3と、両凸正レンズL4と、からなる。ここで、負レンズL3と正レンズL4とは接合されて接合レンズCL1を構成する。第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸正レンズL6と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL7と、明るさ絞りSと、物体側に平面を向けた平凸正レンズL8と、両凸正レンズL9と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL10と、からなる。ここで、正レンズL6と負メニスカスレンズL7とは接合されている。正レンズL9と負メニスカスレンズL10とは接合されている。
【0047】
第3レンズ群G3の像側に、後述する光路分割部20を配置している。光学系中のプリズムでは、光路が折り曲げられる。なお、平行平板L2は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのコーティングが施されたフィルターである。Iは、像面(撮像面)である。
【0048】
図5(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
図5(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0049】
(実施例3)
次に、実施例3に係る内視鏡システム10が有する対物光学系OBLについて説明する。
図6(a)、(b)は、対物光学系OBLの断面構成を示す図である。ここで、図6(a)は、通常観察状態(遠距離物点)における対物光学系OBLの断面構成を示す図である。図6(b)は、近接観察状態(近距離物点)における対物光学系OBLの断面構成を示す図である。
【0050】
本実施例に係る対物光学系OBLは、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3と、から構成されている。また、明るさ絞りSは、第3レンズ群G3内に配置されている。第2レンズ群G2は、光軸AX上を像側に移動して、通常観察状態から近接観察状態への変化に伴う焦点位置の変化を補正する。
【0051】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹負レンズL1と、平行平板L2と、両凹負レンズL3と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL4と、からなる。ここで、負レンズL3と正メニスカスレンズL4とは接合されて接合レンズCL1を構成する。第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸正レンズL6と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL7と、明るさ絞りSと、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL8と、両凸正レンズL9と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL10と、からなる。ここで、正レンズL6と負メニスカスレンズL7とは接合されている。正レンズL9と負メニスカスレンズL10とは接合されている。
【0052】
第3レンズ群G3の像側に、後述する光路分割部20を配置している。光学系中のプリズムでは、光路が折り曲げられる。なお、平行平板L2は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのコーティングが施されたフィルターである。Iは、像面(撮像面)である。
【0053】
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
図7(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0054】
以下に、上記各実施例の数値データを示す。記号は、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面間の間隔、ndは各レンズのd線の屈折率、νdは各レンズのアッベ数、FNOはFナンバー、ωは半画角である。また、バックフォーカスfbは、最も像側の光学面から近軸像面までの距離を空気換算して表したものである。全長は、最も物体側のレンズ面から最も像側の光学面までの距離(空気換算しない)にバックフォーカスfbを加えたものである。
【0055】
数値実施例1
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 ∞ 0.48 1.88300 40.76
2 1.654 1.20
3 ∞ 0.55 1.52100 65.12
4 ∞ 0.52
5 -8.076 0.69 1.88300 40.76
6 1.959 1.98 1.84666 23.78
7 ∞ 可変
8 1.959 0.87 1.48749 70.23
9 2.065 可変
10(絞り) ∞ 0.07
11 3.824 1.07 1.64769 33.79
12 -1.556 0.41 2.00330 28.27
13 -7.495 0.04
14 ∞ 0.69 1.69895 30.13
15 -2.931 0.04
16 17.462 0.92 1.48749 70.23
17 -2.333 0.41 1.92286 18.90
18 -4.985 4.44
19(像面) ∞

ズームデータ
通常観察 近接観察
焦点距離 1.00 1.00
FNO. 3.60 3.56
画角2ω 145.13 138.11
全長 (in air) 16.43 16.43

d7 0.45 1.17
d9 1.59 0.88

各群焦点距離
f1=-1.23 f2=21.18 f3=3.27
【0056】
数値実施例2
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 ∞ 0.49 1.88300 40.76
2 1.742 0.89
3 ∞ 0.84 1.52100 65.12
4 ∞ 0.34
5 -4.963 0.77 1.88300 40.76
6 2.138 1.96 1.84666 23.78
7 -59.859 可変
8 1.999 0.84 1.48749 70.23
9 2.121 可変
10 3.457 1.12 1.64769 33.79
11 -1.805 0.32 2.00330 28.27
12 -7.816 0.04
13(絞り) ∞ 0.56
14 138.547 0.95 1.69895 30.13
15 -4.718 0.24
16 19.967 0.94 1.48749 70.23
17 -1.933 0.39 1.92286 18.90
18 -3.202 4.53
19(像面) ∞

ズームデータ
通常観察 近接観察
焦点距離 1.00 1.01
FNO. 3.58 3.53
画角2ω 144.56 138.16
全長 (in air) 17.24 17.24

d7 0.46 1.19
d9 1.56 0.83

各群焦点距離
f1=-1.19 f2=21.82 f3=3.60
【0057】
数値実施例3
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 ∞ 0.42 1.88300 40.76
2 1.805 0.96
3 ∞ 0.84 1.52100 65.12
4 ∞ 0.51
5 -8.465 0.37 1.88300 40.76
6 1.614 1.40 1.84666 23.78
7 9.296 可変
8 2.036 0.67 1.48749 70.23
9 2.255 可変
10 3.940 1.09 1.64769 33.79
11 -1.532 0.32 2.00330 28.27
12 -3.309 0.04
13(絞り) ∞ 0.23
14 -3.767 1.41 1.77250 49.60
15 -3.239 0.07
16 7.254 1.55 1.48749 70.23
17 -2.390 0.42 1.92286 18.90
18 -4.506 4.52
19(像面) ∞

ズームデータ
通常観察 近接観察
焦点距離 1.00 1.01
FNO. 3.58 3.52
画角2ω 145.20 139.33
全長 (in air) 16.74 16.74

d7 0.45 1.20
d9 1.47 0.72

各群焦点距離
f1=-1.01 f2=21.36 f3=3.33
【0058】
以下に各実施例の条件式対応値を示す。
実施例1 実施例2 実施例3
(1) D_2T/fw 1.98 1.96 1.40
(2) ω(wide)/ω(tele) 1.05 1.05 1.04
(3) D_1G / D_2T 2.74 2.70 3.21
(4) D_3G / D_2T 1.85 2.33 3.66

以下にパラメータの値を示す。
実施例1 実施例2 実施例3
D_2T 1.98 1.96 1.40
D_1G 5.42 5.29 4.51
D_3G 3.66 4.56 5.13
fw 1.00 1.00 1.00
ω(wide) 72.57 72.28 72.60
ω(tele) 69.06 69.08 69.67
【0059】
光路分割部20の構成を説明する。図8は、光路分割部20と撮像素子22の概略構成を示す図である。
【0060】
対物光学系OBLを射出した光は、光路分割部20に入射する。
【0061】
光路分割部20は、被写体像をピントの異なる2つの光学像に分割する偏光ビームスプリッタ21と、2つの光学像を撮像して2つの画像を取得する撮像素子22と、を有する。
【0062】
偏光ビームスプリッタ21は、図8に示すように、物体側のプリズム21b、像側のプリズム21e、ミラー21c、及びλ/4板21dを備えている。物体側のプリズム21b(物体側のプリズム)及び像側のプリズム21e(像側のプリズム)は共に光軸AXに対して45度の斜度であるビームスプリット面を有する。
【0063】
物体側のプリズム21bのビームスプリット面には偏光分離膜21fが形成されている。そして、物体側のプリズム21b及び像側のプリズム21eは、互いのビームスプリット面を偏光分離膜21fを介して当接させて偏光ビームスプリッタ21を構成している。
【0064】
また、ミラー21cは、物体側のプリズム21bの端面近傍にλ/4板21dを介して設けられている。像側のプリズム21eの端面には、カバーガラスCGを介して撮像素子22が取り付けられている。Iは、像面(撮像面)である、
【0065】
対物光学系OBLからの被写体像は、物体側のプリズム21bにおいてビームスプリット面に設けられた偏光分離膜21fによりP偏光成分(透過光)とS偏光成分(反射光)とに分離され、反射光側の光学像と透過光側の光学像との2つの光学像に分離される。
【0066】
S偏光成分の光学像は、偏光分離膜21fで撮像素子22に対して対面側に反射されA光路を通り、λ/4板21dを透過後、ミラー21cで反射され、撮像素子22側に折り返される。折り返された光学像は、λ/4板21dを再び透過する事で偏光方向が90°回転し、偏光分離膜21fを透過して撮像素子22に結像される。
【0067】
P偏光成分の光学像は、偏光分離膜21fを透過してB光路を通り、撮像素子22に向かって垂直に折り返す像側のプリズム21eのビームスプリット面と反対側に設けられたミラー面によって反射され、撮像素子22に結像される。この際、A光路とB光路で、例えば、数十μm程度の所定の光路差を生じさせるように、プリズム硝路を設定しておき、ピントが異なる2つの光学像を撮像素子22の受光面に結像させる。
【0068】
すなわち、物体側のプリズム21b及び像側のプリズム21eを、被写体像をピント位置が異なる2つの光学像に分離できるように、物体側のプリズム21bにおける撮像素子22に至る透過光側の光路長(硝路長)に対して反射光側の光路長が短く(小さく)なるように配置する。
【0069】
図9は、撮像素子22の概略構成図である。撮像素子22は、図9に示すように、ピント位置が異なる2つの光学像を各々個別に受光して撮像するために、撮像素子22の全画素領域の中に、2つの受光領域(有効画素領域)22a、22bが設けられている。
【0070】
受光領域22a、22bは、2つの光学像を撮像するために、これらの光学像の結像面と各々一致するように配置されている。そして、撮像素子22において、受光領域22aは受光領域22bに対してそのピント位置が相対的に近点側にシフトしており(ずれており)、受光領域22bは受光領域22aに対してそのピント位置が相対的に遠点側にシフトしている。これにより、ピントが異なる2つの光学像を撮像素子22の受光面に結像させるように構成されている。
【0071】
なお、物体側のプリズム21bと像側のプリズム21eにおける両者の硝材の屈折率を異ならせることにより、撮像素子22に至る光路長を変えて受光領域22a、22bに対するピント位置を相対的にずらすようにしても良い。
【0072】
また、受光領域22a、22bの周囲には、2つに分割された光学像の幾何的なズレを補正するための補正画素領域22cが設けられている。補正画素領域22c内において製造上の誤差を抑え、後述する画像補正処理部23b(図10)にて画像処理による補正を行なうことで、上記した光学像の幾何学的なズレを解消するようになっている。
【0073】
また、図1に示すように、上述の本実施形態の第2レンズ群G2は、フォーカシングレンズであり、光軸の方向における2つの位置に選択的に移動可能である。不図示のアクチュエータにより、第2レンズ群G2は、2つの位置間で一方の位置から他方の位置、他方の位置から一方の位置に移動するように駆動される。
【0074】
第2レンズ群G2を、前方側(物体側)の位置に設定した状態においては遠方観察(通常観察)する場合の観察領域の被写体にピントが合うように設定される。また、第2レンズ群G2を後方側の位置に設定した状態においては近接観察(拡大観察)する場合の観察領域の被写体にピントが合うように設定されている。
【0075】
なお、本実施形態のように、偏光ビームスプリッタ21を適用して偏光分離をする場合、分離する光の偏光状態が円偏光でないと分離した像の明るさに差が生じてしまう。規則的な明るさの差異は画像処理での補正が比較的容易であるが、局所的に且つ観察条件で明るさの差異が生じた場合、補正しきれなくなり、合成画像に明るさムラが生じてしまう場合がある。
【0076】
内視鏡で観察する被写体は、合成画像の比較的視野周辺部で明るさムラが生じてしまう可能性がある。尚、この偏光状態が崩れた明るさムラは、被写体が比較的飽和気味の明るさ分布であると顕著に生じる。
【0077】
視野の周辺部において、内視鏡では比較的近接して被写体像の血管走行や粘膜構造を見る事が多く、ユーザーにとって非常に煩わしい画像になる可能性が高い。
そこで、例えば、図8に示すように、この偏光状態が崩れた状態を円偏光に戻す様にλ/4板21aを、光路分割部20の偏光分離膜21fより物体側に配置することが好ましい。
【0078】
なお、上述のような偏光ビームスプリッタ21の代わりに、入射光を強度分割するハーフミラーを用いることもできる。
【0079】
本実施形態では、2つのピントの異なる光学像を取得し合成画像を生成することで、被写界深度の広い画像を得ることが可能になる。また、光路分割部20は、2つのプリズム21b、21eから構成される。プリズム21b、21eを用いて光学像を2つの像に分割し、その2つの像を一つの撮像素子22で取り込んでいる。これにより、撮像素子22が一つですむためコストが安くなり好ましい。
【0080】
次に、図10を参照して、取得した2つの画像の合成に関して説明する。図10は、内視鏡システム10の機能ブロック図である。
【0081】
画像プロセッサ23は、撮像素子22により撮像されたピント位置が異なる2つの光学像に係る画像を各々読み出す画像読出部23aと、画像読出部23aにより読み出された2つの画像に対する画像補正を行う画像補正処理部23bと、補正された2つの画像を合成する画像合成処理を行う画像合成処理部23cと、画像合成処理部23cで合成された画像を出力する画像出力部23dと、を有する。
【0082】
画像補正処理部23bは、撮像素子22の受光領域22a、22bにそれぞれ結像される2つの光学像に係る画像に対し、互いのピント以外の差異が略同一となるように補正する。すなわち、2つの画像の各光学像における相対的な位置、角度及び倍率が略同一となるように2つの画像に対して補正を行う。
【0083】
被写体像を2つに分離して撮像素子22に各々結像させる場合、幾何的な差異が生じる場合がある。すなわち、撮像素子22の受光領域22a、22b(図9)にそれぞれ結像される各々の光学像は、相対的に倍率ズレ、位置ズレ、角度すなわち回転方向のズレ等が発生する場合がある。
【0084】
これらの差異を製造時などにおいて、完全に解消することは困難であるが、それらのズレ量が大きくなると、合成画像が2重画像となったり、不自然な明るさムラ等を生じたりする。このため、画像補正処理部23bにて上述した幾何的な差異、明るさ差異を補正する。
【0085】
2つの画像間における明るさの差異を補正する場合、2つの像または画像のうち輝度の低い方の像または画像、もしくは2つの像または画像の相対的に同一位置における輝度の低い方を基準にして補正を行うことが望ましい。
【0086】
画像合成処理部23cは、画像補正処理部23bにより補正された2つの画像間の対応する所定領域において、相対的にコントラストが高い画像を選択して合成画像を生成する。つまり、2つの画像における空間的に同一の画素領域それぞれにおけるコントラストを比較し、相対的にコントラストが高い方の画素領域を選択することにより、2つの画像から合成された1つの画像としての合成画像を生成する。
【0087】
なお、2つの画像の同一の画素領域におけるコントラスト差が小さい又は略同一である場合は、その画素領域に所定の重み付けして加算する合成画像処理により、合成画像を生成する。
【0088】
また、画像プロセッサ23は、画像合成処理部23cにより合成された1つの画像に対して、色マトリクス処理、輪郭強調、ガンマ補正等の後段画像処理を行う。画像出力部23dは、後段画像処理された画像を出力する。画像出力部23dから出力される画像は画像表示部24に出力される。
【0089】
また、撮像素子22に至る近点光路と遠点光路とに応じて、物体側のプリズム21bと像側のプリズム21eとを異なる硝材で構成し、屈折率を異ならせることにより、相対的にピント位置をずらしても良い。
【0090】
これにより、ピントの異なる2つの光学像に係る画像を取得し、これら画像を画像合成処理部23cで合成して合成被写界深度を得ることができる。内視鏡検査で広い範囲を俯瞰してスクリーニングする際には遠方観察(通常観察)が適しており、病変の詳細を観察したり、診断したりする際には、近接観察(拡大観察)が適している。
【0091】
このような構成をとることで、より多画素化した撮像素子を使用しても解像力を落とすことなく被写界深度を拡大する事が可能となる。更にフォーカシング機構があるので自在に観察範囲を切り替えて高画質の内視鏡観察や診断を行うことができる。
【0092】
次に本実施形態において、2つの光学像を合成する場合の流れを図11のフローチャートに従って説明する。
【0093】
ステップS101において、撮像素子22において取得された、ピントの異なる遠点像に係る画像と近点像に係る画像とが、画像補正処理部23bにおいて、遠近2画像の補正処理が行なわれる。すなわち、予め設定された補正パラメータに従って、2つの画像の各光学像における相対的な位置、角度及び倍率が略同一となるように2つの画像に対して補正を行い、補正後の画像を画像合成処理部23cに出力する。なお、必要に応じて2画像の明るさや色の差異を補正してもよい。
【0094】
ステップS102において、補正処理が行なわれた2つの画像が画像合成処理部23cにて合成される。この際、遠近2画像の各々対応する画素領域において、コントラスト値が各々算出され、比較される。
【0095】
ステップS103において、比較されたコントラスト値に差があるか否か判断し、コントラストに差がある場合、ステップS105に進み、コントラスト値の高い領域を選択して合成される。
【0096】
ここで、比較するコントラスト値の差が小さい乃至はほぼ同じである場合には、遠近2画像のどちらを選択するか処理上の不安定要因となる。例えば、ノイズ等の信号の揺らぎがあると、合成画像に不連続領域が生じたり、本来は解像している被写体像がボケてしまうといった不具合を生じさせたりする。
【0097】
そこで、ステップS104に進み、重み付けを行う。ステップS104において、コントラス比較を行なう画素領域において、2画像でコントラスト値がほぼ同一である場合には、重み付けを行い、次のステップS105で重み付けを行った画像の加算処理を行う事で、画像選択の不安定さを解消している。
【0098】
このように、本実施形態によれば、近接観察及び遠方観察の何れにおいても、ノイズ等によって合成画像において不連続領域が発生したり、光学像がぼけたりすることを防止しながら、被写界深度を拡大させた画像を取得することができる。
【0099】
また、2つの画像は、同一の撮像素子により撮像されているので、撮像素子を複数備えるものに比して、製造コストを低減し、装置を大型化することなく被写界深度を拡大させた画像を取得することができる。
【0100】
また、所望とする被写界深度を得られ、解像力の劣化を防止できる。
【0101】
図12は、偏光ビームスプリッタ21により奇数回の反射後に撮像素子に結像される場合の結像状態を示す図である。上述した図8の偏光ビームスプリッタ21の場合には、1回、つまり奇数回の反射後に撮像素子22に光学像が結像される。このため、何れか一方の画像が図12のような結像状態(鏡像)となり、画像プロセッサ23において鏡像を反転させて像方向を一致させる画像処理が施される。
【0102】
光学的な偶数回の反射による鏡像の補正は、対物光学系の大型化やプリズムのコスト高となる場合があるので、奇数回の反射による鏡像の補正は、画像補正処理部23bにて鏡像反転により行なうことが好ましい。
【0103】
なお、撮像素子22が、内視鏡長手方向に長尺な形状となっている場合には、画像表示部24のアスペクト比を考慮して合成画像を適宜回転させることが好ましい。
【0104】
なお、上述の対物光学系は、複数の構成を同時に満足してもよい。このようにすることが、良好な対物光学系、及び内視鏡システムを得る上で好ましい。また、好ましい構成の組み合わせは任意である。また、各条件式について、より限定した条件式の数値範囲の上限値あるいは下限値のみを限定しても構わない。
【0105】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態のみに限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、これら実施形態の構成を適宜組合せて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように、本発明は、負屈折力の第1レンズ群に接合レンズを用いることで倍率色収差補正を良好に補正し、正屈折力のレンズの肉厚を厚くすることで軸外収差、特に像面湾曲を良好に補正することができる対物光学系を有する内視鏡システムに有用である。
【符号の説明】
【0107】
10 内視鏡システム
20 光路分割部
21 偏光ビームスプリッタ
21a λ/4板
21b 物体側のプリズム
21c ミラー
21d λ/4板
21e 像側のプリズム
21f 偏光分離膜
22 撮像素子
22a、22b 受光領域
22c 補正画素領域
23 画像プロセッサ
23a 画像読出部
23b 画像補正処理部
23c 画像合成処理部
23d 画像出力部
24 画像表示部
CG カバーガラス
OBL 対物光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
S 明るさ絞り
L1−L10 レンズ
I 像面(撮像面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12

【手続補正書】
【提出日】2018年4月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物光学系と、前記対物光学系で得られた被写体像を2つのピントの異なる光学像に2つのプリズムを用いて分割する光路分割部と、前記光学像を取得する撮像素子と、取得した2つの光学像を相対的にコントラストが高い画像を所定領域において選択し、合成画像を生成する画像合成処理部と、を有し、
前記対物光学系は、物体側から順に、固定の負屈折力の第1レンズ群と、可動の正屈折力の第2レンズ群と、固定の正屈折力の第3レンズ群と、から構成され、
前記第2レンズ群を像側へ移動させることによって通常観察と近接観察を切り替え可能な光学系において、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズと、少なくとも1つの正レンズと、を有し、
以下の条件式(1)’’’、(2)、(3)’’’を満足する前記対物光学系を有することを特徴とする内視鏡システム。
1.40≦D_2T/fw<5 …(1)’’’
1.01<ω(wide)/ω(tele)<3.0 …(2)
2.70≦D_1G/D_2T<3.21 …(3)’’’
ここで、
D_2Tは、前記負屈折力の第1レンズ群の最も像側の前記正レンズの光軸上の肉厚、
fwは、通常観察状態における前記対物光学系の焦点距離、
ω(wide)は、通常観察状態における前記対物光学系の画角、
ω(tele)は、近接観察状態における前記対物光学系の画角、
D_1Gは、前記負屈折力の第1レンズ群の光軸上の厚み、
D_2Tは、前記負屈折力の第1レンズ群の最も像側の前記正レンズの光軸上の肉厚、
である。
【請求項2】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
0.8<D_3G/D_2T<3.3 …(4)
ここで、
D_3Gは、前記正屈折力の第3レンズ群の光軸上の厚み、
D_2Tは、前記負屈折力の第1レンズ群の最も像側の前記正レンズの光軸上の肉厚、である。
【請求項3】
前記負屈折力の第1レンズ群は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズと、負屈折力のレンズと正屈折力のレンズの接合レンズと、から構成されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡システムは、対物光学系と、対物光学系で得られた被写体像を2つのピントの異なる光学像に2つのプリズムを用いて分割する光路分割部と、光学像を取得する撮像素子と、取得した2つの光学像を相対的にコントラストが高い画像を所定領域において選択し、合成画像を生成する画像合成処理部と、を有し、対物光学系は、物体側から順に、固定の負屈折力の第1レンズ群と、可動の正屈折力の第2レンズ群と、固定の正屈折力の第3レンズ群と、から構成され、第2レンズ群を像側へ移動させることによって通常観察と近接観察(拡大観察)を切り替え可能な光学系において、第1レンズ群は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズと、少なくとも1つの正レンズと、を有し、以下の条件式(1)’’’、(2)、(3)’’’を満足する対物光学系を有することを特徴とする。
1.40≦D_2T/fw<5 …(1)’’’
1.01<ω(wide)/ω(tele)<3.0 …(2)
2.70≦D_1G/D_2T<3.21 …(3)’’’
ここで、
D_2Tは、負屈折力の第1レンズ群の最も像側の正レンズの光軸上の肉厚、
fwは、通常観察状態における対物光学系の焦点距離、
ω(wide)は、通常観察状態における対物光学系の画角、
ω(tele)は、近接観察状態における対物光学系の画角、
D_1Gは、負屈折力の第1レンズ群の光軸上の厚み、
D_2Tは、負屈折力の第1レンズ群の最も像側の正レンズの光軸上の肉厚、
である。
【国際調査報告】