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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年7月26日
【発行日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】塗料組成物、光学部材及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/04 20060101AFI20191122BHJP
   C09D 201/06 20060101ALI20191122BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20191122BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20191122BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20191122BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20191122BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20191122BHJP
【FI】
   C09D201/04
   C09D201/06
   C09D7/61
   C09D7/65
   C09D7/63
   B32B27/30 D
   G02B1/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】特願2018-563297(P2018-563297)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年1月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-7259(P2017-7259)
(32)【優先日】2017年1月19日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】重野 紘輝
【テーマコード(参考)】
2K009
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
2K009CC09
2K009CC26
2K009CC42
2K009DD02
2K009EE05
4F100AA20A
4F100AH06A
4F100AK17A
4F100AK25B
4F100AK51A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CC00A
4F100DE01A
4F100EH46
4F100EJ42
4F100GB41
4F100JA07A
4F100JB05A
4F100JB06A
4F100YY00A
4J038CD091
4J038DF012
4J038DG262
4J038HA446
4J038JC33
4J038MA14
4J038NA05
4J038NA07
4J038PB08
(57)【要約】
塗料組成物は、撥水性を付与し、かつ、水酸基を有するフッ素樹脂と、親水性を付与し、かつ、水酸基を有する親水材料とを含有する。さらに塗料組成物は、水酸基と結合する複数の官能基を有し、フッ素樹脂と親水材料とを連結する連結材料を含有する。光学部材10は、塗料組成物より得られる塗膜2を少なくとも表面の一部に備える。照明装置100は、光学部材からなる導光板10Aと、導光板に入射される光を放出する光源20とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水性を付与し、かつ、水酸基を有するフッ素樹脂と、
親水性を付与し、かつ、水酸基を有する親水材料と、
水酸基と結合する複数の官能基を有し、前記フッ素樹脂と前記親水材料とを連結する連結材料と、
を含有する、塗料組成物。
【請求項2】
前記親水材料がシリカ微粒子であり、前記連結材料がシラノール化合物及びアルコキシシランの少なくとも一方である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記シリカ微粒子の平均粒子径が1nm〜100nmである、請求項2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記親水材料がポリエチレングリコール誘導体であり、前記連結材料がイソシアナート化合物である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記ポリエチレングリコール誘導体の平均分子量が200〜600である、請求項4に記載の塗料組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗料組成物より得られる塗膜を少なくとも表面の一部に備える、光学部材。
【請求項7】
請求項6に記載の光学部材からなる導光板と、
前記導光板に入射される光を放出する光源と、
を備える、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物、光学部材及び照明装置に関する。詳細には本発明は、油分と埃の両方に対する防汚性を長期に亘り付与することができる塗料組成物、当該塗料組成物から得られる塗膜によって防汚性を付与した光学部材、及び当該光学部材を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、照明装置に使われる照明カバーに汚れが付着して、外観を損ねたり光学特性が低下したりすることを防ぐため、当該照明カバーに防汚性を付与する技術が知られている。例えば、埃や異物の付着を低減するために、照明カバーに帯電防止性を付与することが知られている。さらに、埃等の静電的な汚れだけでなく、親水系の汚れや油類等の疎水系の汚れも低減するために、帯電防止性に加えて撥水性及び撥油性を付与することが知られている。
【0003】
特許文献1では、陰イオンと陽イオンとの塩からなる帯電防止剤と、水酸基を有するフッ素系樹脂と、水酸基を有するシリコーン変性アクリル樹脂と、有機溶剤とを含有する防汚用塗料組成物を開示している。また、当該防汚用塗料組成物と、架橋剤とを付与することにより、防汚性を有する層が形成されている防汚積層体も開示している。このような防汚用塗料組成物は、水酸基を有するフッ素系樹脂を含有するので、脂汚れ等に対する防汚性に優れる層を形成することが可能となる。さらに当該塗料組成物は、陰イオンと陽イオンとの塩からなる帯電防止剤を含有するので、埃の付着に対する防汚性にも優れる層とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/084356号
【発明の概要】
【0005】
特許文献1では、帯電防止性を付与するために陰イオンと陽イオンとの塩を含有しているが、この塩はフッ素系樹脂やシリコーン変性アクリル樹脂との結合を持たない。そのため、水や環境変化によって、防汚用塗料組成物から得られる層より塩が遊離する場合があり、その際には帯電防止性が低下してしまう。そのため、特許文献1の塗料組成物から得られる層は、防汚性の長期持続性が不十分であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、得られる塗膜の防汚性を長期に亘り持続することが可能な塗料組成物、塗料組成物より得られる塗膜を有する光学部材、及び光学部材を用いた照明装置を提供することにある。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係る塗料組成物は、撥水性を付与し、かつ、水酸基を有するフッ素樹脂と、親水性を付与し、かつ、水酸基を有する親水材料とを含有する。さらに塗料組成物は、水酸基と結合する複数の官能基を有し、フッ素樹脂と親水材料とを連結する連結材料を含有する。
【0008】
本発明の第二の態様に係る光学部材は、上述の塗料組成物より得られる塗膜を少なくとも表面の一部に備える。
【0009】
本発明の第三の態様に係る照明装置は、上述の光学部材からなる導光板と、導光板に入射される光を放出する光源とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る光学部材、及び光学部材に入射される光を放出する光源を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る照明装置を適用したペンダントライトを概略的に示す断面図である。
図3図3は、図2のペンダントライトを下面側から見た平面図である。
図4図4は、図2における符号Aの部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係る塗料組成物、塗料組成物より得られる塗膜を有する光学部材、及び光学部材を用いた照明装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
[塗料組成物]
本実施形態の塗料組成物は、基板に塗布して硬化させることにより、油分と埃の両方に対する防汚性が持続する塗膜を得ることができる。そして、塗料組成物は、得られる塗膜に対して撥水性を付与するためのフッ素樹脂と、塗膜に対して親水性を付与するための親水材料とを含有している。
【0013】
塗料組成物がフッ素樹脂を含有することにより、塗膜に対して高い撥水性及び撥油性、並びに低付着性、易除去性を付与することが可能となる。そのため、塗膜に水汚れや油汚れが付着し難く、また付着したとしても容易に除去することが可能となる。また、塗料組成物が親水材料を含有することにより、塗膜に対して帯電防止性を付与することが可能となる。つまり、例えば、親水材料に起因して大気中の水分が塗膜の表面に付着することにより、塗膜の表面に静電気の導電パスが形成される。これにより、塗膜の帯電が抑制されるため、埃等の静電的な汚れの付着を低減することが可能となる。
【0014】
塗料組成物に含まれるフッ素樹脂としては、塗膜に対して撥水性を付与し、かつ、水酸基を有するものを用いる。このようなフッ素樹脂としては、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に水酸基を付加したフッ素樹脂を使用することができる。また、水酸基が付加されるフッ素樹脂は特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。なお、上市されている水酸基含有フッ素樹脂としては、旭硝子株式会社製のルミフロン(登録商標)、セントラル硝子株式会社製のセフラルコート(登録商標)、東亜合成株式会社製のザフロン、ダイキン工業株式会社製のゼッフル(登録商標)、DIC株式会社製のフルオネート(登録商標)、関東電化工業株式会社製のエフクリア(登録商標)などが挙げられる。
【0015】
塗料組成物に含まれる親水材料としては、塗膜に対して親水性を付与し、かつ、水酸基を有するものを用いる。このような親水材料としては、ポリエチレングリコール誘導体及びシリカ(SiO)の少なくとも一方を用いることができる。ポリエチレングリコール誘導体は、分子中のエーテル基が水と親和性を有するため、塗膜に対して親水性を付与することができる。また、シリカは、分子中のシロキサン結合(−Si−O−Si−)及び表面の水酸基が水と親和性を有するため、塗膜に対して親水性を付与することができる。ポリエチレングリコール誘導体としては、例えば数平均分子量が200〜20000であるポリエチレングリコールを用いることができる。また、シリカとしては、粒子状のシリカ微粒子を用いることができる。
【0016】
本実施形態の塗料組成物は、上述のフッ素樹脂と親水材料とを連結する連結材料を含有している。具体的には、フッ素樹脂に含まれる水酸基及び親水材料に含まれる水酸基と結合する複数の官能基を有し、フッ素樹脂と親水材料とを連結する連結材料を含有している。このような連結材料を含有することにより、得られる塗膜中で、フッ素樹脂と親水材料が連結材料を介して間接的に結合することが可能となる。つまり、塗料組成物を基材に塗布した後に、フッ素樹脂の水酸基及び親水材料の水酸基と連結材料の官能基とを反応させることにより、フッ素樹脂と親水材料が連結材料を介して結合した塗膜を得ることができる。これにより、塗膜周辺の環境が変化したり、塗膜に水分が付着した場合でも、塗膜から親水材料が溶出し難くなる。そのため、塗膜の帯電防止性を長期間に亘り維持し、静電的な汚れの付着を低減することが可能となる。同様に、塗膜周辺の環境が変化した場合でも、塗膜からフッ素樹脂が溶出し難くなる。そのため、塗膜の撥水性及び撥油性を長期間に亘って維持し、水汚れや油汚れの付着を低減することが可能となる。
【0017】
連結材料としては、水酸基と結合する複数の官能基を有し、塗膜を形成した際にフッ素樹脂と親水材料とを連結することが可能な材料を用いることができる。このような連結材料としては、アルコキシシラン及びシラノール化合物の少なくとも一方を用いることができる。アルコキシシランは加水分解によりシラノール基(Si−OH)を生成し、さらに当該シラノール基はフッ素樹脂及び親水材料の水酸基と脱水縮合する。そのため、連結材料としてアルコキシシランを用いることにより、脱水縮合反応によりフッ素樹脂と親水材料とを連結することが可能となる。同様に、シラノール化合物もシラノール基を有しているため、脱水縮合反応によりフッ素樹脂と親水材料とを連結することが可能となる。
【0018】
連結材料であるアルコキシシランは、複数のアルコキシ基を有するものを使用することが好ましい。アルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。また、シラノール化合物は、上述のアルコキシシランにおけるアルコキシ基の一部が加水分解し、シラノール基となったものを使用することができる。
【0019】
連結材料としては、複数のイソシアナート基(−NCO)を有するイソシアナート化合物を用いることができる。イソシアナート基は水酸基と反応することにより、ウレタン結合(−NH−CO−O−)を形成する。そのため、連結材料としてイソシアナート化合物を用いることにより、ウレタン結合を介してフッ素樹脂と親水材料とを連結することが可能となる。
【0020】
複数のイソシアナート基を有するイソシアナート化合物としては、脂肪族イソシアナート、脂環族イソシアナート、芳香族イソシアナートからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。脂肪族イソシアナートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、リジンジイソシアナートなどの炭素数6〜10のジイソシアナートが挙げられる。脂環族イソシアナートとしては、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、4,4′− ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート(NBDI)などを挙げることができる。また、ヘキサメチレンジイソシアナートやイソホロンジイソシアナートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体のような変性体も挙げることができる。芳香族イソシアナートとしては、トリレンジイソシアナート(TDI)、フェニレンジイソシアナート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)、カルボジイミド変性のMDIなどを挙げることができる。
【0021】
上述のように、連結材料は、フッ素樹脂に含まれる水酸基及び親水材料に含まれる水酸基と結合することにより、フッ素樹脂と親水材料とを連結することができる。ただ、連結材料は、隣接するフッ素樹脂の水酸基と反応して、フッ素樹脂同士を連結してもよい。同様に、連結材料は、隣接する親水材料の水酸基と反応して、親水材料同士を連結してもよい。この場合でも、得られる塗膜からフッ素樹脂及び親水材料が溶出し難くなるため、埃等の静電的な汚れの付着及び水汚れや油汚れの付着を低減することが可能となる。
【0022】
本実施形態の塗料組成物において、親水材料がシリカ微粒子であり、連結材料がシラノール化合物及びアルコキシシランの少なくとも一方であることが好ましい。フッ素樹脂は水酸基を有し、さらに親水材料であるシリカ微粒子も表面に水酸基を有するため、これらの材料は相溶性が高い。そのため、塗料組成物において、これらは略均一に混ざり合うことができ、その結果、得られる塗膜の透明性及び平滑性を高めることが可能となる。また、シラノール化合物及びアルコキシシランは、脱水縮合によりフッ素樹脂及びシリカ微粒子と強固に結合するため、硬くて透明な塗膜を容易に得ることが可能となる。
【0023】
親水材料がシリカ微粒子の場合、シリカ微粒子の平均粒子径は1nm〜100nmであることが好ましい。この場合、シリカ微粒子とフッ素樹脂とが微視的に複合化するため、塗膜を透過する可視光の散乱が小さくなり、塗膜の透明性をより高めることが可能となる。なお、シリカ微粒子の平均粒子径(メジアン径、D50)は、動的光散乱法により測定することができる。
【0024】
塗料組成物において、親水材料であるシリカ微粒子の表面に、連結材料であるシラノール化合物及び/又はアルコキシシランが結合した状態で存在していてもよい。つまり、シリカ微粒子とシラノール化合物及び/又はアルコキシシランとが分離した状態で塗料組成物中に分散している必要は無く、これらの材料が予め結合した状態で塗料組成物中に分散していてもよい。シラノール化合物及び/又はアルコキシシランが表面に結合したシリカ微粒子を用いることにより、水酸基を有するフッ素樹脂との反応性を高め、より効率的に塗膜を形成することが可能となる。
【0025】
本実施形態の塗料組成物において、親水材料がポリエチレングリコール誘導体であり、連結材料がイソシアナート化合物であることも好ましい。フッ素樹脂は水酸基を有し、さらに親水材料であるポリエチレングリコール誘導体も水酸基を有するため、これらの材料は相溶性が高い。そのため、塗料組成物において、これらは略均一に混ざり合うことができ、その結果、得られる塗膜の透明性及び平滑性を高めることが可能となる。また、イソシアナート化合物は、ウレタン結合によりフッ素樹脂及びポリエチレングリコール誘導体と強固に結合するため、硬くて透明な塗膜を容易に得ることが可能となる。
【0026】
塗料組成物において、ポリエチレングリコール誘導体の平均分子量が200〜600であることが好ましい。平均分子量が上記範囲のポリエチレングリコール誘導体は、連結材料との反応性が高いため、塗膜の硬度と親水性をより高めることが可能となる。なお、ポリエチレングリコール誘導体の平均分子量は数平均分子量(Mn)とすることができ、例えば水酸基価から求めることができる。
【0027】
次に、本実施形態の塗料組成物の製造方法について説明する。塗料組成物は、上述のフッ素樹脂、親水材料及び連結材料を混合することにより調製することができる。混合条件は特に限定されず、大気中、常温で混合することができる。また、フッ素樹脂、親水材料及び連結材料の混合順序も特に限定されない。
【0028】
フッ素樹脂、親水材料及び連結材料を混合する際、塗料組成物に溶媒を添加して、塗布しやすいように粘度を調整してもよい。粘度調整用の溶媒としては、例えば水や有機溶剤を使用することが好ましい。有機溶剤は特に限定されないが、塗膜作成時に容易に揮発し、かつ、塗膜形成時に硬化阻害などを生じないものを適宜選択することが好ましい。有機溶剤としては、例えば芳香族炭化水素類(トルエン及びキシレン等)、アルコール類(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等)を挙げることができる。さらに、脂肪族炭化水素類(ヘキサン及びヘプタン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン等)、アミド系溶剤(N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルアセトアミド(DMAc)等)、酢酸メチル、酢酸ブチルが挙げられる。これらの有機溶剤は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
なお、上述のように、シラノール化合物及び/又はアルコキシシランが表面に結合したシリカ微粒子を用いる場合には、シラノール化合物が結合したシリカ微粒子とフッ素樹脂とを混合することにより、塗料組成物が得られる。そのため、製造工程の簡略化を図ることが可能となる。
【0030】
このように、本実施形態に係る塗料組成物は、撥水性を付与し、かつ、水酸基を有するフッ素樹脂と、親水性を付与し、かつ、水酸基を有する親水材料とを含有する。さらに塗料組成物は、水酸基と結合する複数の官能基を有し、フッ素樹脂と親水材料とを連結する連結材料を含有する。これにより、塗料組成物より得られる塗膜において、フッ素樹脂と親水材料が連結材料を介して間接的に結合することできる。そのため、塗膜から親水材料が溶出し難くなることから、塗膜の帯電防止性を長期間に亘り維持し、静電的な汚れの付着を低減することが可能となる。同様に、塗膜からフッ素樹脂が溶出し難くなることから、塗膜の撥水性及び撥油性を長期間に亘って維持し、水汚れや油汚れの付着を低減することが可能となる。
【0031】
なお、本実施形態の塗料組成物は、得られる塗膜に静電気の導電パスを形成するために、親水材料を添加している。そのため、当該塗料組成物は、導電パスを形成するための金属粒子及び金属酸化物粒子を含有しないことが好ましい。金属粒子及び金属酸化物粒子を含有しないことにより、得られる塗膜において透過光の散乱及び吸収が抑制されることから、塗膜の透明性をより高めることが可能となる。
【0032】
また、本実施形態の塗料組成物は、光拡散性を付与する粒子も含有しないことが好ましい。このような粒子を含有しないことにより、得られる塗膜において透過光の散乱が抑制されることから、塗膜の透明性をより高めることが可能となる。光拡散性を付与する粒子としては、平均粒子径が1μm〜1mm程度の粒子を挙げることができる。このような粒子としては、例えば、ベンゾグアナミン系樹脂粒子、スチレン系微粒子、メラミン樹脂粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子、硫酸バリウム粒子、炭酸カルシウム粒子などがある。
【0033】
[光学部材]
次に、本実施形態に係る光学部材について、図面に基づき詳細に説明する。本実施形態に係る光学部材10は、図1に示すように、基板1と、基板1の少なくとも一面に設けられ、上述の塗料組成物より得られる塗膜2を備えるものである。
【0034】
基板1は特に限定されないが、380nm〜780nmの可視光線に対して透過性を有していることが好ましい。光学部材10にこのような透光性の高い基板1を用いることにより、光学部材10を照明装置100に用いた場合、光学部材10が透明となり、開放感のあるデザインを備えた照明装置100とすることができる。
【0035】
基板1としては、可視光線に対して透過性を有するものであれば特に限定されない。基板1としては、例えば、アクリル樹脂(アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体)、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも一つで形成されたものを用いることができる。なかでもアクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂は光線透過率が高い。そのため、基板1は、アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂の少なくともいずれか一方で形成されていることが好ましい。なお、基板1における可視光線の全光線透過率は90〜100%であることが好ましく、全光線透過率は分光ヘーズメーターを用いて測定することができる。
【0036】
基板1の厚さは特に限定されないが、例えば0.1mm〜10mmであることが好ましい。強度や透光性を考慮すると、基板1の厚さは1mm〜5mmであることがより好ましい。なお、基板1は、ガラスキャスト製法、連続キャスト製法、押出し製法等のシート成型方法により得たものを使用することができる。
【0037】
本実施形態の光学部材10は、基板1の少なくとも一面に塗膜2を備えている。塗膜2は、上述の塗料組成物が硬化してなるものであり、フッ素樹脂及び親水材料が連結材料を介して連結している。これにより、塗膜2からフッ素樹脂及び親水材料が溶出し難くなるため、埃等の静電的な汚れの付着及び水汚れや油汚れの付着を低減することが可能となる。
【0038】
塗膜2の厚みtは特に限定されないが0.1μm〜100μmであることが好ましく、0.5μm〜10μmであることが特に好ましい。塗膜2の厚みtがこの範囲内であることにより、防汚性を有しつつも、高い硬度を有する塗膜2を得ることが可能となる。
【0039】
本実施形態の光学部材10の用途は特に限定されないが、例えば導光板10Aとして用いることが好ましい。上述のように、基板1は可視光線に対して透過性を有していることが好ましく、さらに塗膜2も可視光線の透過性を有しているため、導光板10Aとして好適に用いることができる。
【0040】
ここで図1では、光学部材10を導光板10Aとして用いた例を示している。図1に示すように、導光板10Aの一端面1aに面して光源20を設置した場合、光源20から発せられた可視光線が一端面1aを通じて基板1の内部に入射する。入射した可視光線3は、基板1の主面で反射し、この反射を繰り返すことにより、一端面1aの反対側にある他端面1bに向けて伝播する。このとき、伝播する光の一部は、基板1の主面からY軸方向及びY軸方向の反対方向に向けて出射することができる。そのため、光源20が点灯している場合には、一枚の導光板10Aの全体から可視光線が出射されるため、導光板全体の意匠性を高めることが可能となる。また、上述のように、基板1及び塗膜2は可視光線に対して透過性を有しているため、光源20が消灯している場合には透明性が高い。そのため、消灯時には、導光板本来の透明で開放感のあるデザインを得ることができる。
【0041】
次に、本実施形態の光学部材10の製造方法について説明する。まず、上述の塗料組成物を基板1の表面に塗布する。この際、塗料組成物の塗布方法は特に限定されない。塗料組成物を基板1の主面に塗布する方法としては、塗工法や印刷法を用いることができる。塗工法においては、エアスプレー、ハケ、バーコーター、メイヤーバー、エアナイフ等を用いて塗料組成物を塗布することができる。また、印刷法では、グラビア印刷、リバースグラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の方法を用いることができる。
【0042】
次に、基板1に塗布した塗料組成物において、フッ素樹脂に含まれる水酸基及び親水材料に含まれる水酸基と連結材料に含まれる官能基とを反応させ、フッ素樹脂及び親水材料と連結材料とを結合させる。これらの反応条件は特に限定されず、必要に応じて加熱処理を行ってもよい。例えば、連結材料がシラノール化合物からなる場合には、常温でも脱水縮合反応が進行するため、硬化するまで常温で放置すればよい。また、連結材料がイソシアナート化合物の場合には加熱処理を行うことが好ましく、例えば50〜100℃で加熱することが好ましい。このようにして、基板1の表面に塗膜2が形成された光学部材10を得ることができる。
【0043】
なお、図1では、基板1の一方の主面にのみ塗膜2が形成されているが、このような態様に限定されず、例えば基板1の両方の主面に塗膜2を形成してもよい。また、基板1の一端面1aや他端面1bに塗膜2を形成してもよい。
【0044】
このように、本実施形態の光学部材10は、塗料組成物より得られる塗膜2を少なくとも表面の一部に備えている。これにより、長期持続性があり、油と埃の両方の汚れに対して防汚機能があり、さらに光学特性に影響を与えない塗膜を備えた光学部材を得ることが可能となる。なお、上述の塗料組成物と同様に、塗膜2の透明性をより高める観点から、塗膜2は導電パスを形成するための金属粒子及び金属酸化物粒子を含有しないことが好ましく、さらに光拡散性を付与する粒子も含有しないことが好ましい。
【0045】
本実施形態の光学部材は上述の導光板に限定されず、例えばLED(Light Emitting Diode)などの光源を覆い、光源からの光を拡散させる照明カバーとして用いてもよい。この場合、光学部材の基板は、十分な光拡散性を付与するために、光拡散剤を分散した樹脂板を使用することができる。
【0046】
[照明装置]
次に、本実施形態に係る照明装置について、図面に基づき詳細に説明する。本実施形態の照明装置100は、上述の光学部材10からなる導光板10Aと、導光板10Aに入射される光を放出する光源20とを備える。
【0047】
図1に示すように、光源20は、基板1の一端面1aを通じて基板1の内部に可視光線を入射させることができるものならば特に限定されない。光源20としては、例えば発光ダイオード(LED)などの点光源や、蛍光灯など線状の光源を用いることができる。
【0048】
図1に示すように、光源20は、導光板10Aの一端面1aに面しており、光源20から発せられた可視光線が一端面1aを通じて基板1の内部に入射する。そのため、本実施形態の照明装置100において、光源20は、導光板10Aの端部に位置することが好ましい。また、導光板10Aが平板状の場合、光源20を導光板10Aの一端面1aに設けることにより、導光板10Aの主面からY軸方向及びY軸方向の反対方向に光が放出される。その結果、照明装置の省スペース化を図りつつも、効率的に光を照射することが可能となる。
【0049】
図2乃至図4は照明装置100の適用例を示しており、照明装置100を、天井から吊り下げられて用いられるペンダントライトに適用した例を示している。図2に示すように、照明装置100Aは、装置本体30と、装置本体30から導出され、装置本体30に給電するための給電線41とを備える。さらに照明装置100Aは、給電線41の端部に取り付けられ、天井Cに設けられた引掛シーリングC1に係合するコネクタ42を備える。装置本体30は、光源20と、光源20から出射された光を導光して外部に出射する導光板10Aと、光源20及び導光板10Aを保持する筐体50とを有する。
【0050】
図2に示すように、筐体50は、光源20を保持する光源保持部51と、光源保持部51の上側に配置され、導光板10Aを保持する第1の導光板保持部52と、光源保持部51の下側に配置され、導光板10Aを保持する第2の導光板保持部53とを有する。光源保持部51は、円筒状に形成され、その円筒軸が鉛直方向と一致するように配置されている。第1の導光板保持部52及び第2の導光板保持部53は、それぞれ円板状に形成され、それらの中心が光源保持部51の円筒軸と交差するように配置されている。筐体50は、軽量で放熱性及び光反射性に優れた材料、例えば、白色のポリブチレンテレフタレート樹脂により形成されている。
【0051】
導光板10Aは、第1の導光板保持部52及び第2の導光板保持部53よりも大きい円板状に形成されている。そして、導光板10Aの中心が光源保持部51の円筒軸と交差した状態で、導光板10Aは、第1の導光板保持部52と第2の導光板保持部53との間に挟持されている。導光板10Aは、天井Cに相対して配置され、外部に露出している。導光板10Aは中央に円形状の開口11を有し、開口11には、光源20を保持した光源保持部51が配置されている。
【0052】
図4に示すように、光源20は、光源保持部51の外周面に亘って取り付けられた配線基板21と、配線基板21上において所定間隔毎に実装された複数のLED22と、LED22の点灯を制御する点灯回路23とを有する。配線基板21は、フレキシブル回路基板により構成され、熱伝導性及び電気絶縁性に優れた絶縁シートを介して光源保持部51に取り付けられている。複数のLED22は、それぞれの光軸Axが配線基板21に直交するように配置され、導光板10Aの内端面13と対向している。LED22は、例えば白色光を出射する白色LEDにより構成される。点灯回路23は、光源保持部51の内部に収納され、配電線及び配線基板21に設けられた配線パターンを介して、各々のLED22と電気的に接続されている。
【0053】
LED22から出射された光は、図2の破線矢印で示すように、内端面13から導光板10Aに入射する。入射された光は、表面4及び裏面2aで反射されることにより、導光板10Aの内部を外端面12の方向に導光される。そして、導光された光は、導光板10Aの外端面12から外部に出射される。
【0054】
そして、照明装置100Aにおいて、光源20が点灯している場合には、導光板10Aの外端面12から可視光線が出射されるため、意匠性に優れたペンダントライトとすることが可能となる。また、光源20が点灯していない場合には導光板10Aが透明となるため、開放感のあるデザインとすることができる。つまり、図2に示すように、導光板10Aと天井Cの間には隙間があるため、開放感のある空間演出を行うことが可能となる。
【実施例】
【0055】
以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
【0056】
[実施例1]
本例において、水酸基を有するフッ素樹脂として、関東電化工業株式会社製エフクリア(登録商標)KD270Rを用いた。水酸基を有する親水材料として、和光純薬工業株式会社製の、平均分子量が約400であるポリエチレングリコールを用いた。連結材料として、東京化成工業株式会社製のイソホロンジイソシアナートを用いた。
【0057】
まず、固形分100質量部のフッ素樹脂に対して、ポリエチレングリコール100質量部を混合した。次に、フッ素樹脂の水酸基及びポリエチレングリコールの水酸基の合計のモル数とイソシアナート基のモル数とが同じとなるように、当量のイソホロンジイソシアナートを添加した。そして、この混合物の固形分が10質量%になるように、メチルエチルケトン−シクロヘキサノン混合溶媒で希釈することにより、塗料組成物を得た。
【0058】
この塗料組成物を基板に塗布した後、80℃で20分間加熱することにより、フッ素樹脂の水酸基及びポリエチレングリコールの水酸基と、イソホロンジイソシアナートのイソシアナート基とを反応させた。これにより、塗膜を備えた本例の光学部材を得た。なお、得られた塗膜の膜厚は1μmであった。また、基板としては、アクリル樹脂で形成され、縦50mm横70mm厚さ2mmのアクリル板を用いた。
【0059】
[実施例2]
水酸基を有する親水材料として、和光純薬工業株式会社製の、平均分子量が約200であるポリエチレングリコールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、本例の光学部材を得た。
【0060】
[実施例3]
水酸基を有する親水材料として、和光純薬工業株式会社製の、平均分子量が約600であるポリエチレングリコールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、本例の光学部材を得た。
【0061】
[実施例4]
本例において、水酸基を有するフッ素樹脂として、関東電化工業株式会社製エフクリアKD270Rを用いた。水酸基を有する親水材料及び連結材料として、中央自動車工業株式会社製の、エクセルピュアBD−P01を用いた。なお、エクセルピュアBD−P01は、親水材料であるシリカ微粒子と連結材料であるシラノール化合物が混合した化合物であり、シリカ微粒子の平均粒子径は10nm〜100nmである。
【0062】
そして、固形分100質量部のフッ素樹脂に対して、エクセルピュアBD−P01を固形分が900質量部となるように混合することにより、塗料組成物を得た。
【0063】
この塗料組成物を実施例1と同じ基板に塗布し、室温で20分間放置することにより、フッ素樹脂の水酸基とシリカ微粒子及びシラノール化合物の水酸基とを脱水縮合させた。これにより、塗膜を備えた本例の光学部材を得た。なお、得られた塗膜の膜厚は0.3μmであった。
【0064】
[比較例1]
水酸基を有するフッ素樹脂であるエフクリアKD270Rの代わりに、アクリルポリオール樹脂である三菱レイヨン株式会社製LR2634を使用したこと以外は実施例1と同様にして、本例の光学部材を得た。なお、当該アクリルポリオール樹脂は、水酸基を有するが撥水性を付与しない樹脂である。
【0065】
[比較例2]
水酸基を有するフッ素樹脂であるエフクリアKD270Rの代わりに、関東電化工業株式会社製のエフクリアMD1700を使用したこと以外は実施例1と同様にして、本例の光学部材を得た。なお、エフクリアMD1700は撥水性を付与するフッ素樹脂であるが水酸基を有しないため、連結材料と結合することができない樹脂である。
【0066】
[比較例3]
水酸基を有する親水材料であるポリエチレングリコールの代わりに、アクリルポリオール樹脂である三菱レイヨン株式会社製LR2634を使用したこと以外は実施例1と同様にして、本例の光学部材を得た。なお、当該アクリルポリオール樹脂は、水酸基を有するが親水性を付与しない樹脂である。
【0067】
[比較例4]
水酸基を有するフッ素樹脂であるエフクリアKD270Rの代わりに、アクリルポリオール樹脂である三菱レイヨン株式会社製LR2634を使用したこと以外は実施例4と同様にして、本例の光学部材を得た。なお、当該アクリルポリオール樹脂は、水酸基を有するが撥水性を付与しない樹脂である。
【0068】
[比較例5]
水酸基を有するフッ素樹脂であるエフクリアKD270Rの代わりに、関東電化工業株式会社製のエフクリアMD1700を使用したこと以外は実施例4と同様にして、本例の光学部材を得た。なお、エフクリアMD1700は撥水性を付与するフッ素樹脂であるが水酸基を有しないため、連結材料と結合することができない樹脂である。
【0069】
なお、実施例1〜4及び比較例1,3〜4の光学部材を目視で観察した結果、いずれも略無色透明で均一な塗膜であることを確認した。また、実施例1〜4及び比較例1,3〜4の光学部材における塗膜を指で触れた結果、硬化した膜であることを確認した。
【0070】
しかし、比較例2及び5の光学部材を目視で観察した結果、いずれも透明ではなく、不均一な塗膜であることを確認した。つまり、比較例2及び5では、水酸基を有しないフッ素樹脂であるエフクリアMD1700の相溶性が悪く、懸濁状の塗料組成物となったため、得られた塗膜は不均一なものとなった。
【0071】
[評価]
均一な塗膜が得られた実施例1〜4及び比較例1,3〜4の光学部材に対して、撥水撥油性を評価する油付着性試験と、帯電防止性を評価する埃付着性試験とを行った。
【0072】
(油付着性試験(撥水撥油性試験))
実施例1〜4及び比較例1,3〜4の塗膜に対して、2μLのオレイン酸を滴下させた後、5秒後の静的接触角を測定した。なお、静的接触角の測定は、接触角計(協和界面科学株式会社製CA−W150)を用いて行った。測定結果を表1に示す。なお、オレイン酸接触角については、油汚れの除去しやすさの観点から、40°以上を「良好」と評価し、40°未満を「不良」と評価した。
【0073】
表1に示すように、実施例1〜4の光学部材は、オレイン酸接触角が40°以上であるため、油分の濡れ性が低い。そのため、油分に対する防汚性に優れ、さらにたとえ油汚れが付着したとしても容易に除去できることが分かる。これに対して、撥水性を付与するフッ素樹脂を含有しない比較例1及び4の光学部材は、撥水撥油性が低下するため、オレイン酸接触角が40°未満となった。そのため、これらの光学部材は油分に対する防汚性に劣り、油汚れが付着した場合でも容易に除去できないことが分かる。
【0074】
(埃付着性試験(帯電防止性試験))
実施例1〜4及び比較例1,3〜4の塗膜に対して、表面抵抗値を測定した。具体的には、株式会社三菱化学アナリテック製の表面抵抗測定器(ハイレスタ(登録商標)IP MCP−HT260型)を用い、印加電圧100Vで表面抵抗値を測定した。この表面抵抗値は、日本工業規格JIS K6911−1995に基づく値である。
【0075】
表面抵抗率については、埃汚れの除去しやすさの観点から、1×1014Ω/sq未満を「良好」と評価し、1×1014Ω/sq以上を「不良」と評価した。
【0076】
表1に示すように、実施例1〜4の光学部材は、表面抵抗率が1×1014Ω/sq未満である。そのため、埃に対する防汚性に優れ、さらにたとえ埃汚れが付着したとしても容易に除去できることが分かる。
【0077】
これに対して、親水性を付与する親水材料を含有しない比較例3の光学部材は、親水性が低下するため、表面抵抗率が1×1014Ω/sq以上となった。そのため、これらの光学部材は埃に対する防汚性に劣り、埃汚れが付着した場合でも容易に除去できないことが分かる。
【0078】
【表1】
【0079】
上記の実施例1〜4より、本実施形態によれば、油付着性と埃付着性が低く、さらに硬くて透明な塗膜が容易に得られることが分かる。
【0080】
以上、実施例に沿って本実施形態の内容を説明したが、本実施形態はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0081】
特願2017−007259号(出願日:2017年1月19日)の全内容は、ここに援用される。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、得られる塗膜の防汚性を長期に亘り持続することが可能な塗料組成物、塗料組成物より得られる塗膜を有する光学部材、及び光学部材を用いた照明装置を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0083】
2 塗膜
10 光学部材
10A 導光板
20 光源
100,100A 照明装置
図1
図2
図3
図4

【手続補正書】
【提出日】2018年5月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水性を付与し、かつ、水酸基を有するフッ素樹脂と、
親水性を付与し、かつ、水酸基を有する親水材料と、
水酸基と結合する複数の官能基を有し、前記フッ素樹脂と前記親水材料とを連結する連結材料と、
を含有し、
前記親水材料は、平均粒子径が1nm〜100nmであるシリカ微粒子であり、前記連結材料がシラノール化合物及びアルコキシシランの少なくとも一方であり、
導電パスを形成するための金属含有粒子を含有しない、塗料組成物。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
請求項1に記載の塗料組成物より得られる塗膜を少なくとも表面の一部に備える、光学部材。
【請求項7】
請求項6に記載の光学部材からなる導光板と、
前記導光板に入射される光を放出する光源と、
を備える、照明装置。

【手続補正書】
【提出日】2019年7月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水性を付与し、かつ、水酸基を有するフッ素樹脂と、
親水性を付与し、かつ、水酸基を有する親水材料と、
水酸基と結合する複数の官能基を有し、前記フッ素樹脂と前記親水材料とを連結する連結材料と、
を含有し、
前記親水材料は、平均粒子径が1nm〜100nmであるシリカ微粒子であり、前記連結材料がシラノール化合物及びアルコキシシランの少なくとも一方であり、
導電パスを形成するための金属含有粒子を含有しない、塗料組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の塗料組成物より得られる塗膜を少なくとも表面の一部に備える、光学部材。
【請求項3】
請求項に記載の光学部材からなる導光板と、
前記導光板に入射される光を放出する光源と、
を備える、照明装置。
【国際調査報告】