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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月9日
【発行日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】水素吸蔵カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   F17C 11/00 20060101AFI20191122BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20191122BHJP
   C01B 3/50 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   F17C11/00 C
   C01B3/00 B
   C01B3/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】特願2018-565127(P2018-565127)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年1月31日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】502229565
【氏名又は名称】株式会社ジャパンブルーエナジー
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(71)【出願人】
【識別番号】519245840
【氏名又は名称】ノムラインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113033
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 精孝
(72)【発明者】
【氏名】堂脇 直城
(72)【発明者】
【氏名】亀山 光男
(72)【発明者】
【氏名】堂脇 清志
(72)【発明者】
【氏名】片山 昇
【テーマコード(参考)】
3E172
4G140
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA09
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB12
3E172BB18
3E172BC05
3E172BD03
3E172BD10
3E172FA01
3E172FA04
3E172FA27
4G140AA01
4G140AA14
4G140AA18
4G140AA32
4G140AA43
4G140AA44
4G140AA45
4G140AA46
4G140FA02
4G140FE01
(57)【要約】
本発明は、小型かつ軽量であるばかりではなく、低圧及び常温で水素の吸蔵及び放出が可能である、水素吸蔵カートリッジを提供する。好ましくは、水素の吸蔵及び放出の繰り返しにより生ずる水素吸蔵合金の微粉化に伴う体積膨張を、効果的に吸収することができることから、繰り返し使用による変形、とりわけ、不均一な変形が極めて起こり難いばかりではなく、水素吸蔵合金の水素吸蔵ムラを効果的に回避することができる水素吸蔵カートリッジ(A)を提供する。本発明は、バイオマス熱分解ガスに含まれる水素の吸蔵に使用される水素吸蔵カートリッジ(A)であって、該水素吸蔵カートリッジ(A)の材質が、純チタンであり、かつ、該水素吸蔵カートリッジ(A)が、その内部空間(1)に、水素吸蔵合金として、ランタンミッシュメタル・ニッケル系、チタン・鉄系、カルシウム・ニッケル系及びランタン・ニッケル系水素吸蔵合金より成る群から選ばれる一つ以上を含む、水素吸蔵カートリッジ(A)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス熱分解ガスから回収された水素の吸蔵に使用される水素吸蔵カートリッジであって、該水素吸蔵カートリッジの材質が、純チタンであり、かつ、該水素吸蔵カートリッジが、その内部空間に、水素吸蔵合金として、ランタンミッシュメタル・ニッケル系、チタン・鉄系及びカルシウム・ニッケル系水素吸蔵合金より成る群から選ばれる一つ以上を含む、水素吸蔵カートリッジ。
【請求項2】
上記水素吸蔵カートリッジの内部空間の形状が、略直方体であり、かつ、該内部空間が、その中に、仕切板により区切られた、上記水素吸蔵合金を収容する複数の室を備え、かつ、上記仕切板の長手方向の寸法が、該内部空間の、該仕切板の長手方向と同方向の寸法の全長の70〜80%であり、該仕切板の短手方向の寸法が、該内部空間の、該仕切板の短手方向と同方向の寸法の全長と同一である、請求項1記載の水素吸蔵カートリッジ。
【請求項3】
上記水素吸蔵カートリッジの内部空間の形状が、略直方体であり、かつ、該内部空間が、その中に、仕切板により区切られた、上記水素吸蔵合金を収容する複数の室を備え、かつ、上記仕切板の長手方向の寸法が、該内部空間の、該仕切板の長手方向と同方向の寸法の全長の70〜80%であり、該仕切板の短手方向の寸法が、該内部空間の、該仕切板の短手方向と同方向の寸法の全長と同一であり、かつ、該仕切板が、略平板状であって、該内部空間の各面に対して略垂直である、請求項1記載の水素吸蔵カートリッジ。
【請求項4】
上記複数の室が2〜10室である、請求項2又は3記載の水素吸蔵カートリッジ。
【請求項5】
上記水素吸蔵合金が、LmNi4.73Mn0.12Al0.15(ランタンミッシュメタル・ニッケル4.73系)、TiFe0.9Mn0.1(チタン・鉄0.9系)、Fe0.94Ti0.96Zr0.04Nb0.04(チタン・鉄0.94系)、CaNi(カルシウム・ニッケル系)及びLm‐Ni系合金(3)(ランタンミッシュメタル・ニッケル系)より成る群から選ばれる一つ以上である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス熱分解ガスから回収された水素の吸蔵に使用される水素吸蔵カートリッジに関し、更に詳しくは、水素を使用する装置に接続して、吸蔵した水素を放出することにより、これら装置の水素供給源として使用される水素吸蔵カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出抑制及び環境汚染の防止等の観点から、環境汚染源となる排気ガスを排出しない自動車が注目されてきている。その一つとして電気自動車が挙げられ、その他の例としては、燃料電池自動車が挙げられる。それに伴って、現在、電気自動車は普及段階にあり、また、燃料電池自動車は普及に向けた準備が進められている。
【0003】
一方、携帯電話及びスマートフォンのような携帯情報端末機器、並びに、ドローンのような簡易輸送機器も普及してきている。現在、電気自動車、ドローン及び携帯情報端末の電源としては、リチウムイオンバッテリーが使用されている。そして、電気自動車の走行距離の向上、及び、ドローンの飛行距離の向上、並びに、携帯端末機器の電池寿命の長寿命化を図るために、リチウムイオン電池の高性能化が推進されている。リチウムイオン電池の高性能化以外の方法として、燃料電池と水素貯蔵容器(例えば、カートリッジ)とを一体化した電源用機器も開発され、市場化されようとしている。また、このような水素貯蔵容器として、水素吸蔵合金、及び、炭素・多孔性材料、無機錯体系材料、有機ケミカルハイドライド等を使用する水素貯蔵容器が研究されている。このように、近年、燃料電池と水素貯蔵容器との一体型装置、及び、水素貯蔵容器としての水素カートリッジは、多方面の産業分野において注目されつつあり、その需要は大きく増大することが予想されている。
【0004】
水素の貯蔵技術及び輸送技術としては、水素吸蔵合金を備えたカートリッジによる方法以外に、高圧ガスボンベに充填して貯蔵、輸送する方法、及び、ナフタレン又はトルエン等の有機溶剤を水素化して、例えば、ナフタレンであればテトラリンとして、トルエンであればメチルシクロヘキサンとして輸送し、需要先で、夫々、ナフタレンと水素、又は、トルエンと水素とに化学的に分離して、水素を使用する方法等が提案されている。
【0005】
水素を高圧ガスボンベに充填する方法においては、通常20MPaという高い圧力で水素を充填する。最近では、燃料電池自動車用に35MPaや70MPaのものも開発され、35MPaのものは実用化されており、70MPaのものも実用化されつつある。この方法は、非常に高い圧力を必要とし、それらの充填機器及び容器は圧力容器として取り扱われ、厳格な管理の下で運用されなければならない。
【0006】
ナフタレン又はトルエン等の有機溶剤を水素化して貯蔵、輸送する方法では、ナフタレン又はトルエン等を水素化する設備が必要であり、更に、輸送した先で水素を離脱させる反応設備が必要となる。更には、離脱した水素を貯蔵及び充填する設備が必要となるので、貯蔵効率及び輸送効率は高いが、一般的な需要家向きではない。
【0007】
燃料電池等に水素を供給するための水素供給用カートリッジであって、該カートリッジ内に水素吸蔵合金を充填して、該水素吸蔵合金に水素を吸蔵させる装置が知られている。例えば、水素生成反応に関与する液状物質を収容する第1室と、水素排気口を備え、水素生成反応に関与する固体物質を収容し、かつ該固体物質と前記液状物質とを反応させるための第2室と、該第2室内に配置される水素吸蔵合金と、前記第1室から第2室へ液状物質を輸送する液体輸送媒体とからなることを特徴とする燃料電池用燃料カートリッジが知られている(特許文献1)。より具体的には、金属水素錯化合物、金属、酵素、微生物、触媒等の水素発生物質(固体物質)と、発生した水素を吸蔵して貯蔵する水素吸蔵合金と、水素発生物質(固体物質)と反応して水素を発生させるための液状物質、例えば、水、無機酸、有機酸、アルコール等とを一つのカートリッジに入れ、水素発生物質(固体物質)と液状物質とを反応させることにより水素を発生させ、その水素を小型の燃料電池に供給して発電し、例えば、携帯電子機器に電力を供給するものである。該発明においては、水素はカートリッジ内の水素発生物質から得られるものであり、水素吸蔵合金は、水素発生物質から得られた余剰水素を一時的に吸蔵するものであり、それにより、水素の放出ロスを少なくすることを目的とするものである。水素吸蔵合金に吸蔵された水素を、主たる水素供給源としているものではない。また、この装置では、水素供給終了後の装置の再生、即ち、水素発生物質(固体物質)及び液状物質の再充填が容易ではない。また、装置の小型化及び軽量化も容易ではなく、よって汎用性に乏しい。
【0008】
また、水素を用いる装置に接続が可能な水素供給用カートリッジであって、反応により水素を発生する水素発生物質を収容可能な収容容器と、発生した水素の余剰分を除去し外部への散逸を防止するための水素除去装置とを有することを特徴とする水素供給用カートリッジが知られている(特許文献2)。より具体的には、アルミニウム、ケイ素、亜鉛及びマグネシウム等の金属、これら金属元素を主体とする合金、金属水素化物等を水素発生物質とし、これらを水と反応させて水素を発生させ、発生した水素を燃料電池に供給すると同時に、余剰の水素を水素吸蔵合金に吸蔵して貯蔵する装置であり、水素発生物質と水素吸蔵合金とを一つのカートリッジに収納するものである。該発明においては、余剰水素を水素吸蔵合金に吸蔵させることで、余剰水素を排出せずに、水素ロスを減らすことを目的とするものである。水素吸蔵合金に吸蔵された水素を、主たる水素供給源としているものではない。また、この装置においても、水素供給終了後の装置の再生、即ち、水素発生物質と水との再充填に相当の作業を必要とし、また、小型化及び軽量化も容易ではなく、よって汎用性に乏しい。
【0009】
カートリッジ内に水素発生物質を充填せず、大量の水素を水素吸蔵合金又は炭素質材料等の水素吸蔵用材料に吸蔵させ、そして、該水素を放出させて使用する装置が知られている。例えば、鉄系金属、アルミニウム系金属、チタン系金属、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、耐圧ガラス、炭素繊維およびセラミックよりなる群から選ばれる材料によって形成された耐圧容器を備えた水素吸蔵放出装置であって、その外径が前記耐圧容器の内径よりも小さく、外周壁部および底壁部が多孔材料によって形成され、内部に水素吸蔵用材料を収容可能なカートリッジと、前記カートリッジを、前記カートリッジの前記底壁部が前記耐圧容器の底面と間隔を隔てて、位置するとともに、前記外周壁部が前記耐圧容器の内側面と間隔を隔てて、位置するように、前記耐圧容器内に保持する保持手段と、前記耐圧容器に接続されたガス通路と、前記ガス通路に設けられたバルブと、前記ガス通路によって、前記耐圧容器内と接続された水素ガス供給源とを備え、前記カートリッジの横断面が環状をなし、前記カートリッジの内周壁部が多孔材料によって形成された、水素吸蔵放出装置が知られている(特許文献3)。該発明は、大量の水素を運搬することを目的として、好ましくはステンレス鋼製の耐圧容器を備え、その中に、好ましくはカーボンナノチューブを収容したカートリッジを備えるものである。そして、予めカーボンナノチューブ表面に付着している不純物を除去するために、窒素ガス雰囲気下において800〜1000℃の温度で3時間程度に亘って加熱され、あるいは、別の態様では、減圧下において、400〜800℃の温度で3時間程度に亘って加熱された後に、耐圧容器内への水素供給及び貯蔵は100気圧という著しく高い圧力で実行される。このように、該発明では、水素の貯蔵に相当の高温及び高圧を必要とすることから、多大に装置コスト等を要するばかりではなく、小型化及び軽量化は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4261918号公報
【特許文献2】特開2009−221072号公報
【特許文献3】特開2002−228099号公報
【特許文献4】特許第4246456号公報
【特許文献5】特許第5463050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、小型かつ軽量であるばかりではなく、低圧及び常温で水素の吸蔵及び放出が可能である、水素吸蔵カートリッジを提供するものである。好ましくは、水素の吸蔵及び放出の繰り返しにより生ずる水素吸蔵合金の微粉化に伴う体積膨張を、効果的に吸収することができることから、繰り返し使用による変形、とりわけ、不均一な変形が極めて起こり難いばかりではなく、水素吸蔵合金の水素吸蔵ムラを効果的に回避することができる水素吸蔵カートリッジを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のように、従来、水素吸蔵合金を充填したカートリッジの多くは、水素吸蔵合金に吸蔵された水素を、主たる水素供給源としているものではなく、水素吸蔵合金は、カートリッジ内に充填された水素発生物質から放出された余剰の水素を、一時的に吸蔵して水素の放出ロスを低減するために使用されているものであった(特許文献1及び2)。また、カートリッジ内に水素発生物質を持たず、充填した水素を、主たる水素供給源として使用する装置も知られていた(特許文献3)。しかし、該装置によれば、水素の吸蔵及び放出に相当の高温及び高圧を必要とするものであった。これでは、小型機器、例えば、スマートフォンのような携帯情報端末機器の電源用として使用できず、かつ、電気自動車及びドローン等の電源用としても使用できないか、あるいは、著しく不向きであった。加えて、使用後のカートリッジ内への水素の再充填も容易ではなく、カートリッジの再使用にも問題が多かった。
【0013】
そこで、本発明者らは、如何にすれば、水素を充填するカートリッジを小型化及び軽量化することができ、かつ、水素の再充填も容易にすることができるかについて、種々検討を重ねた。その結果、カートリッジを構成する材料として純チタンを選び出し、かつ、水素吸蔵合金を使用し、該水素吸蔵合金として、下記所定のものを使用すれば、カートリッジ自体を極めて軽量かつ小型化することができると共に、低圧及び常温での水素の充填及び放出を可能にすることができるばかりではなく、使用後のカートリッジ内に容易に水素を再充填することができることから、カートリッジの再使用を可能にし得ることを見出した。
【0014】
また、水素吸蔵合金を充填したカートリッジを小型化及び軽量化して、それを、水素を用いる装置、例えば、スマートフォン等のような携帯情報端末機器、電気自動車及びドローン等に内蔵して、水素の吸蔵、放出、吸蔵、放出の繰り返し、即ち、水素の再充填を繰り返して、該カートリッジを使用すると、水素の放出及び吸蔵に伴って、該カートリッジ自体が、水素吸蔵合金の吸熱及び放熱作用を受けて加熱及び冷却を繰り返されることとなる。また、これにより、水素吸蔵合金が微粉化して体積膨張を起こす。その結果、該カートリッジ自体が、膨張及び収縮を繰り返され、かつ、充填されている水素吸蔵合金が体積膨張を起こすことから、それにより、該カートリッジ自体に変形、とりわけ、不均一な変形が生じ、時として、それにより、水素を用いる装置、例えば、携帯情報端末機器等の使用中の破壊を招く恐れがある。従って、該カートリッジは、水素の放出及び吸蔵に伴う温度変化に依存するカートリッジ自体の膨張及び収縮、並びに、水素吸蔵合金の体積膨張を効果的に吸収して、カートリッジ自体の変形、とりわけ、不均一な変形が生じないようにしなければならない。
【0015】
そこで、本発明者らは、更に検討を重ねたところ、好ましくは、カートリッジ内部に仕切板を設け、それにより複数の室を設け、かつ、該仕切板を所定の寸法にすることにより、カートリッジ自体の変形、とりわけ、不均一な変形を防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は、
(1)バイオマス熱分解ガスから回収された水素の吸蔵に使用される水素吸蔵カートリッジであって、該水素吸蔵カートリッジの材質が、純チタンであり、かつ、該水素吸蔵カートリッジが、その内部空間に、水素吸蔵合金として、ランタンミッシュメタル・ニッケル系、チタン・鉄系及びカルシウム・ニッケル系水素吸蔵合金より成る群から選ばれる一つ以上を含む、水素吸蔵カートリッジである。
【0017】
好ましい態様として、
(2)上記水素吸蔵合金が、 LmNi4.73Mn0.12Al0.15(ランタンミッシュメタル・ニッケル4.73系)、TiFe0.9Mn0.1(チタン・鉄0.9系)、Fe0.94Ti0.96Zr0.04Nb0.04(チタン・鉄0.94系)、CaNi(カルシウム・ニッケル系)及びLm‐Ni系合金(3)(ランタンミッシュメタル・ニッケル系)より成る群から選ばれる一つ以上である、上記(1)記載の水素吸蔵カートリッジ、
(3)上記水素吸蔵合金が、その粒度分布において0.1〜3.0mmの粒径の粒子を90%以上含有する、上記(1)又は(2)記載の水素吸蔵カートリッジ、
(4)上記水素吸蔵カートリッジの内部空間の形状が、略直方体である、上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ、
(5)上記水素吸蔵カートリッジの内部空間が、その中に、仕切板により区切られた、上記水素吸蔵合金を収容する複数の室を備えている、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ、
(6)上記複数の室が、2〜10室備えられている、上記(5)記載の水素吸蔵カートリッジ、
(7)上記複数の室が、2〜7室備えられている、上記(5)記載の水素吸蔵カートリッジ、
(8)上記複数の室が、2〜5室備えられている、上記(5)記載の水素吸蔵カートリッジ、
(9)上記複数の室が、3〜5室備えられている、上記(5)記載の水素吸蔵カートリッジ、
(10)上記仕切板の長手方向の寸法が、上記水素吸蔵カートリッジの内部空間の、該仕切板の長手方向と同方向の寸法の全長の70〜80%であり、かつ、上記仕切板の短手方向の寸法が、該水素吸蔵カートリッジの内部空間の、該仕切板の短手方向と同方向の寸法の全長と同一である、上記(5)〜(9)のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ、
(11)上記仕切板の長手方向の寸法が、上記水素吸蔵カートリッジの内部空間の、該仕切板の長手方向と同方向の寸法の全長の73〜77%であり、かつ、上記仕切板の短手方向の寸法が、該水素吸蔵カートリッジの内部空間の、該仕切板の短手方向と同方向の寸法の全長と同一である、上記(5)〜(9)のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ、
(12)上記仕切板が、略平板状であって、上記水素吸蔵カートリッジの内部空間の各面に対して略垂直である、上記(5)〜(11)のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ、
(13)上記水素吸蔵カートリッジにおける水素吸蔵圧力が、0.15〜0.6MPaである、上記(1)〜(12)のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ、
(14)上記水素吸蔵カートリッジにおける水素吸蔵温度が、−80〜30℃である、上記(1)〜(13)のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ、
(15)上記水素吸蔵カートリッジにおける水素放出温度が、0〜100℃である、上記(1)〜(14)のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ、
(16)携帯情報端末機器、電気自動車又はドローン用の、上記(1)〜(15)のいずれか一つに記載の水素吸蔵カートリッジ
を挙げることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水素吸蔵カートリッジは、小型かつ軽量であるばかりではなく、低圧及び常温で水素の吸蔵及び放出が可能であることから、持ち運びが容易であって取り扱い易く、かつ、安全である。加えて、繰り返し使用による変形が殆どないことから、カートリッジ自体長期間に亘っての繰り返し使用が可能であり、かつ、水素を用いる装置に内蔵して繰り返して使用した際、該装置を破壊するおそれながない。また、水素吸蔵ムラがないので、使用に際して常に一定の性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の水素吸蔵カートリッジの一実施態様の外観図である。
図2図2は、図1に示した水素吸蔵カートリッジを水素出入口側から見た正面図、I−I断面図及びII−II断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の水素吸蔵カートリッジの材質は純チタンであり、好ましくは、純チタン2種である。これにより、水素吸蔵及び放出時の発熱及び吸熱によるカートリッジ自体の変形及び歪みを少なくすることができる。また、本発明の水素吸蔵カートリッジは、その中に内部空間を備え、かつ、該内部空間に、水素吸蔵合金として、ランタンミッシュメタル・ニッケル系、チタン・鉄系及びカルシウム・ニッケル系水素吸蔵合金より成る群から選ばれる一つ以上を含む。好ましくは、LmNi4.73Mn0.12Al0.15(ランタンミッシュメタル・ニッケル4.73系)、TiFe0.9Mn0.1(チタン・鉄0.9系)、Fe0.94Ti0.96Zr0.04Nb0.04(チタン・鉄0.94系)、CaNi(カルシウム・ニッケル系)及びLm‐Ni系合金(3)(ランタンミッシュメタル・ニッケル系)より成る群から選ばれる一つ以上を含む。これらの水素吸蔵合金を使用することにより、比較的低圧及び常温(25℃)での水素の吸蔵及び放出を実現することができる。水素吸蔵圧力は、好ましくは0.15〜0.6MPaであり、より好ましくは0.3〜0.4MPaである。また、水素吸蔵温度は、好ましくは−80〜30℃であり、一方、水素放出温度は、好ましくは0〜100℃である。水素吸蔵及び水素放出は、いずれも、環境温度、例えば、常温(25℃)で実施することがより好ましい。しかし、水素吸蔵時には水素吸蔵合金は発熱する故に、水乃至氷浴により冷却しながら、上記温度範囲で実施することもできる。一方、水素放出時には水素吸蔵合金は吸熱する故に、湯浴、好ましくは80〜90℃の湯浴により加温しながら、上記温度範囲で実施することもできる。ここで、水素吸蔵温度及び水素放出温度は、水素吸蔵合金への水素の吸蔵速度及び水素吸蔵合金からの水素の放出速度に依存することから、水素の吸蔵速度及び水素の放出速度を適宜調節することにより、水素吸蔵温度及び水素放出温度を適切な温度に制御することができる。例えば、水素吸蔵合金への水素の吸蔵を工場等で一括して実施するに際しては、水素吸蔵カートリッジ自体を冷却しつつ、水素の吸蔵速度を大きくして効率よく実施することができる。一方、水素吸蔵カートリッジの使用において、例えば、スマートフォン等の携帯情報端末機器に使用するに際しては、水素吸蔵合金からの水素の放出速度は小さいことから、水素放出温度、即ち、水素吸蔵カートリッジ及びスマートフォン自体の温度に急激な低下はなく、常温(25℃)より多少低い程度の温度であり、むしろ、それにより、スマートフォン自体を冷却する効果を期待できることから有利である。また、該水素吸蔵合金の初期充填時の粒度は、粒子最大径が好ましくは1mm以下である。該水素吸蔵合金は、水素の吸蔵及び放出の繰り返しにより粉化する。
【0021】
以下、本発明の水素吸蔵カートリッジを、図1及び2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明の水素吸蔵カートリッジの一実施態様の外観図であり、図2は、図1に示した水素吸蔵カートリッジを水素出入口側から見た正面図、そのI−I断面図、及びそのII−II断面図である。図1に示した本発明の水素吸蔵カートリッジ(A)においては、2個の水素出入口(a,b)を備えている。該水素出入口(a,b)から水素が供給されて、水素吸蔵カートリッジ(A)内部に充填されている水素吸蔵合金に水素が吸蔵される。水素吸蔵合金への水素の吸蔵に際しては、通常、水素は、一方の水素出入口、例えば、出入口(a)から供給され、この際、もう一方の水素出入口、例えば、出入口(b)は閉じられている。そして、上記の水素吸蔵圧力及び温度に維持され、水素がカートリッジ(A)内に供給される。水素供給速度は、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間容積、水素吸蔵合金の量等に依存して決められるが、好ましくは0.1〜3リットル/分、より好ましくは0.5〜1リットル/分である。このようにして水素吸蔵合金に吸蔵された水素は、水素を用いる装置、例えば、携帯情報端末機器、電気自動車、ドローン等に使用するために接続され、上記の水素放出圧力及び温度に維持され、水素を用いる装置における夫々の水素使用量に依存して放出される。水素の放出に際しては、通常、水素を供給した出入口とは別の水素出入口、例えば、出入口(b)から放出される。もちろん、これに限定されるものではない。
【0022】
本発明の水素吸蔵カートリッジ(A)において、その外部形状及び内部空間(1)の形状は共に略直方体であることが好ましい。もちろん外部形状は、水素吸蔵カートリッジ(A)が取り付けられる水素を用いる装置の形状に依存して、種々変更され得る。また、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)は、仕切板(2)により区切られて、水素吸蔵合金を収容する複数の室(3)を備えている。複数の室(3)は、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)中に、好ましくは2〜10室、より好ましくは2〜7室、更に好ましくは2〜5室、更により好ましくは3〜5室備えられている。水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)が仕切板(2)により仕切られておらず、室(3)の数が1室のみであると、水素吸蔵合金が、水素の吸蔵及び放出の繰り返しにより、微粉化しかつ体積膨張を起こした際に、水素吸蔵合金が、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)内で片寄りを生じて、再度の水素充填の際に水素吸蔵ムラが生ずる可能性が高くなる。また、水素吸蔵合金に片寄りを生ずると、その部分での水素吸蔵合金の体積膨張により、水素吸蔵カートリッジ(A)の一部分に変形や歪みが生じ易くなり、しいては、水素を用いる装置、例えば、携帯情報端末機器等に該カートリッジを接続して使用している際に、該装置の変形及び破壊を招く恐れがある。室(3)を、上記のように複数、好ましくは2室以上、より好ましくは3室以上備えていることにより、水素吸蔵合金が複数の室(3)内に分散して存在し得、かつ、室(3)の間を自由に移動できることから、水吸蔵合金の片寄りを防止することができる。その結果、水素吸蔵合金の膨張による影響を効果的に吸収することができ、水素吸蔵カートリッジ(A)の変形や歪みを防止することができる。また、水素吸蔵合金の水素吸蔵ムラをも防止することができる。水素吸蔵合金を収容する室(3)の数が上記上限を超えると、水素吸蔵カートリッジ(A)の製作コストが増大するのみならず、場合によっては、水素吸蔵合金の片寄りを防止することができないことがあるため好ましくない。ここで、水素吸蔵合金の充填量は、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間全体の、好ましくは70〜95体積%、より好ましくは80〜90体積%である。水素吸蔵合金の充填量が多すぎると、水素吸蔵合金の膨張により、その片寄りを防止することができないことがある。該水素吸蔵合金は、複数の室(3)にほぼ均等に分散して存在していることが好ましく、通常、各室(3)の内部空間の、好ましくは70〜95体積%、より好ましくは80〜90体積%で存在する。
【0023】
仕切板(2)の長手方向の寸法(l)は、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)の、仕切板(2)の長手方向と同方向の寸法(L)の全長の好ましくは70〜80%、より好ましくは73〜77%である。仕切板(2)の長手方向の寸法(l)が、上記上限を超えては、粒状又は粉状の水素吸蔵合金が、仕切板(2)と水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)の面との間隙を良好に通過することができなくなり、内部空間(1)内での水素吸蔵合金の片寄りを防止することができなくなることがある。一方、上記下限未満では、仕切板(2)がその役目を十分に達成することができなくなり、同様に水素吸蔵合金の片寄りを防止することができなくなることがある。また、仕切板(2)の短手方向の寸法(m)は、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)の、仕切板(2)の短手方向と同方向の寸法(M)の全長と同一である。これにより、仕切板(2)の短手方向、即ち、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)の厚さ方向を完全に遮断して各室を形成している。また、仕切板(2)の形状は好ましくは略平板状であり、かつ、仕切板(2)は、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)の各面に対して略垂直であることが好ましい。仕切板(2)を複数備えている場合には、仕切板(2)は互いに略平行であることが好ましく、また、内部空間(1)の寸法(体積)が互いに略均等になるように配置されていることが好ましい。
【0024】
本発明の水素吸蔵カートリッジは、バイオマス熱分解ガスから回収された水素の吸蔵に使用される。ここで、バイオマスとは、特許文献4に記載されているものであれば特に制限されるものではないが、例えば、パームの木から発生する廃材(エンプティーフルーツバンチ:EFB、EFBファイバー、パームカーネルシェル)、ココナッツシェル、やし殻、ジャトロファの木から発生する廃材、森林から発生する未利用廃木材、製材工場から発生する製材所廃材、古紙、稲わら、もみ殻、食品工場から発生する食品残渣、藻類、下水汚泥、有機汚泥等が挙げられる。また、バイオマス熱分解ガスから回収された水素としては、上記バイオマスを熱分解して得られた熱分解ガスから回収された水素、及び、該熱分解ガスを更に改質して得られたガスから回収された水素等が挙げられる。また、上記バイオマスを熱処理して熱分解ガスを製造する方法及び装置は公知である。例えば、有機系廃棄物等のバイオマスを非酸化性雰囲気下において500〜600℃で加熱し、発生した熱分解ガスを900〜1,000℃でスチームと混合せしめ、次いで、得た改質ガスを精製して水素を回収する方法(特許文献4)、有機系廃棄物を非酸化性雰囲気下において400〜700℃で加熱し、発生した熱分解ガスを700〜1,000℃でスチームと混合せしめ、次いで、得た改質ガスを精製して水素含有ガスを製造する有機系廃棄物のガス化方法において、改質ガスの精製が、400〜700℃に保持された、アルミニウム酸化物及び/又はその成形体を含む層に改質ガスを通過させ、次いで、得られたガスを、更に、350〜500℃に保持された、亜鉛酸化物、鉄酸化物、カルシウム酸化物及びこれらの成形体より成る群から選ばれる一つ以上の物質を含む層に通過させることにより実施され、次いで、精製後の改質ガスが、200〜500℃でシフト反応触媒層を通過されることを特徴とする有機系廃棄物のガス化方法(特許文献5)等が挙げられる。更に、このようにして得られたガスから水素を分離して精製する方法も公知であり、上記のほか、例えば、PSA等を使用して水素を分離する方法等が知られている。
【0025】
本発明の水素吸蔵カートリッジは、水素を用いる装置に接続が可能な水素供給用カートリッジであり、カートリッジ内に充填した水素吸蔵合金に吸蔵された水素を放出して、水素を用いる装置、例えば、スマートフォンのような携帯情報端末機器の電源用として、又は、電気自動車及びドローン等の電源用として使用することができる。また、水素吸蔵カートリッジ内部の空間に小型の燃料電池又は電気キャパシタ等を設置して、小型のバッテリーとして使用することもできる。
【0026】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
図1及び2に示した形状及び寸法を有する純チタン(2種)製の水素吸蔵カートリッジ(A)を作製した。図2に示した通り、水素吸蔵カートリッジ(A)の形状は、外形及び内部空間(1)共に略直方体であり、該カートリッジ(A)の寸法は、縦41.80mm、横61.60mm、厚さ7.60mmであり、一般的なスマートフォンのリチウムイオン電池と略同一の寸法のものであった。また、該カートリッジ(A)の内部空間(1)の寸法は、縦36mm、横60mm、厚さ6mmであり、該内部空間(1)の横方向は、略平行な3枚の仕切板(2)により略均等に区切られており、水素吸蔵合金を収容する4個の室(3)が備えられていた。仕切板(2)はいずれも略平板状であり、水素吸蔵カートリッジ(A)の内部空間(1)の各面に対して略垂直であった。各仕切板(2)の長手方向の寸法(l)は27mmであり、また、カートリッジの内部空間(1)の、仕切板(2)の長手方向と同方向(内部空間(1)の縦方向)の寸法の全長(L)は36mmであった。このように、仕切板(2)の長手方向の寸法(l)は、カートリッジの内部空間(1)の、仕切板(2)の長手方向と同方向(内部空間(1)の縦方向)の寸法の全長(L)の75%であった。一方、仕切板(2)の短手方向の寸法(m)は6mmであり、カートリッジの内部空間(1)の、仕切板(2)の短手方向と同方向(内部空間(1)の厚さ方向)の寸法の全長(M)6mmと同一であった。仕切板(2)の幅(n)は、いずれも、その中央付近が2.2mmであり、両端に向かって多少広がっている形状のものであった。また、水素吸蔵合金を収納する各室(3)の内容積はほぼ同一であり、4室の合計で約8ccであった。該水素吸蔵カートリッジ(A)の総重量は約38グラムであった。これは、同一の形状及び寸法を有するステンレス鋼(SUS304)製の水素吸蔵カートリッジの重量(約133グラム)の約30%であった。
【0028】
上記の純チタン(2種)製の水素吸蔵カートリッジ(A)内の4個の室(3)に、水素吸蔵合金としてLmNi4.73Mn0.12Al0.15の約56グラムを、各室にほぼ均等になるように分散して充填した。
【0029】
該水素吸蔵カートリッジ(A)を氷水に浸し、カートリッジ全体の温度(水素吸蔵温度)を約0℃に保持した。別途、市販の水素ボンベ(内容積7m、圧力15MPa、純度99.9%)を用意した。次いで、該ボンベから、水素供給圧力を0.4MPa一定とし、かつ、水素供給速度を約1リットル/分として、水素吸蔵カートリッジ(A)に水素を供給して、水素吸蔵合金に水素を吸蔵せしめた。この際、水素供給速度は、水素吸蔵カートリッジ(A)内の圧力の上昇に伴って、開始時の約1リットル/分から、水素吸蔵操作の後半において徐々に減少した。水素吸蔵カートリッジ(A)内の圧力(水素吸蔵圧力)は、水素吸蔵開始時におけるほぼ大気圧の状態から、水素吸蔵終了時には約0.4MPaに上昇した。
【0030】
上記のようにして水素を吸蔵させた後、水素吸蔵カートリッジ(A)を気温約25℃の室内に放置し、カートリッジ(A)全体の温度を約25℃に保持した。次いで、該室内において、水素吸蔵カートリッジ(A)から水素を約1リットル/分の速度で放出させた。この際、水素放出速度は、開始時の約1リットル/分から、水素放出操作の後半において徐々に減少した。この際、水素吸蔵カートリッジ(A)内の圧力は、水素放出開始時における約0.4MPaから、水素放出終了時においてほぼ大気圧まで低下した。また、水素吸蔵カートリッジ(A)内の温度(水素放出温度)は、水素放出開始時における約25℃から、水素放出に伴って徐々に低下した。水素放出終了時には、カートリッジに手で触れた際に冷たいと感じる程度の温度となっていた。
【0031】
上記の水素吸蔵及び水素放出の操作を3回繰り返した。その際、各段階における水素吸蔵量及び水素放出量を、下記の表1に示した。表1中の数値の単位は、全てノルマルリットルである。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかなように、水素吸蔵及び水素放出の操作の3回の繰り返しによっても、水素吸蔵カートリッジ(A)への水素吸蔵量及び水素放出量はほぼ同一であり、一定の性能を有していることが分かった。また、3回の繰り返し後においても、水素吸蔵カートリッジ(A)自体の変形は認められなかった。このように、本発明の水素吸蔵カートリッジ(A)は小型かつ軽量であるにもかかわらず、大容量の水素を吸蔵することができ、また、吸蔵及び放出の繰り返しによっても、水素吸蔵及び水素放出の性能を損なうことはなく、加えて、カートリッジ自体に変形を生じないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の水素吸蔵カートリッジは、持ち運びが容易であって取り扱い易く、かつ、安全であり、加えて、長期間に亘る繰り返し使用が可能であるばかりではなく、水素を用いる装置に内蔵して繰り返して使用した際、該装置を破壊するおそれながなく、また、使用に際して常に一定の性能を発揮することが期待できることから、今後、携帯情報端末機器、例えば、スマートフォン等の極めて小型の装置に内蔵して使用することが、大いに期待されるのみならず、電気自動車及びドローン等に内蔵して使用することも期待される。
【符号の説明】
【0035】
A 本発明の水素吸蔵カートリッジ
a 水素出入口
b 水素出入口
L 水素吸蔵カートリッジの内部空間の、仕切板の長手方向と同方向の寸法
l 仕切板の長手方向の寸法
M 水素吸蔵カートリッジの内部空間の、仕切板の短手方向と同方向の寸法
m 仕切板の短手方向の寸法
n 仕切板の幅
1 水素吸蔵カートリッジの内部空間
2 仕切板
3 水素吸蔵合金を収容する室
図1
図2
【国際調査報告】