特表-18142876IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2018-142876グラファイト複合フィルム及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月9日
【発行日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】グラファイト複合フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20191018BHJP
   C01B 32/20 20170101ALI20191018BHJP
【FI】
   B32B9/00 A
   C01B32/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】45
【出願番号】特願2018-566017(P2018-566017)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年1月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-15757(P2017-15757)
(32)【優先日】2017年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-15758(P2017-15758)
(32)【優先日】2017年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】津田 康裕
(72)【発明者】
【氏名】平塚 純一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 千尋
【テーマコード(参考)】
4F100
4G146
【Fターム(参考)】
4F100AB01C
4F100AB10D
4F100AB10E
4F100AB12D
4F100AB12E
4F100AB13D
4F100AB13E
4F100AB16D
4F100AB16E
4F100AB17C
4F100AB18D
4F100AB18E
4F100AB24D
4F100AB24E
4F100AB33D
4F100AB33E
4F100AD11A
4F100AK01D
4F100AK01E
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00B
4F100EH66C
4F100GB41
4F100JB02D
4F100JB02E
4F100JD08
4F100JG01B
4F100YY00D
4F100YY00E
4G146AA02
4G146AB07
4G146AC19B
4G146AC30B
4G146AD17
4G146AD21
4G146AD40
(57)【要約】
熱対策及び電磁ノイズ対策を同時に実現できるとともに、電磁波シールド性が劣化しにくいグラファイト複合フィルムを提供する。グラファイト複合フィルム(1)は、グラファイト層(50)と、第一の導電性接着層(40)と、第一の金属を含む金属層(20)とがこの順に配置されてなる。そして、第一の防錆処理層(30)が、第一の導電性接着層(40)と金属層(20)との間に介在し、第二の防錆処理層(80)が、金属層(20)の第一の防錆処理層(30)が配置されている側の面とは反対側の面に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイト層と、第一の導電性接着層と、第一の金属を含む金属層とがこの順に配置されてなり、
第一の防錆処理層が、前記第一の導電性接着層と前記金属層との間に介在し、
第二の防錆処理層が、前記金属層の前記第一の防錆処理層が配置されている側の面とは反対側の面に配置される
グラファイト複合フィルム。
【請求項2】
前記第一の金属は銅である
請求項1に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項3】
前記第一の防錆処理層は有機皮膜である
請求項1又は2に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項4】
前記有機被膜はベンゾトリアゾール皮膜である
請求項3に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項5】
前記第一の防錆処理層は亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つの第一の防錆用金属を含む金属皮膜である
請求項1又は2に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項6】
前記第二の防錆処理層は有機皮膜である
請求項1〜5のいずれか一項に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項7】
前記有機皮膜はベンゾトリアゾール皮膜である
請求項6に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項8】
前記第二の防錆処理層は亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つの第二の防錆用金属を含む金属皮膜である
請求項1〜5のいずれか一項に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項9】
前記第一の防錆処理層の厚さは前記金属層の厚さ以下であり、
前記第二の防錆処理層の厚さは前記金属層の厚さ以下である
請求項1〜8のいずれか一項に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項10】
前記金属層の厚さは0.10μm以上5.00μm以下であり、
前記第一の防錆処理層の厚さは0.002μm以上0.100μm以下であり、
前記第二の防錆処理層の厚さは0.002μm以上0.100μm以下である
請求項9に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項11】
第一面及び第二面を有する保護フィルムの前記第一面に第一の金属を蒸着して金属層を形成し、前記金属層の表面に第一の防錆処理を施して第一の防錆処理層を形成し、前記第一の防錆処理層の表面に第一の導電性接着シートを配置してラミネートし、前記保護フィルムを剥離して、前記金属層の前記第一の防錆処理層が配置されている側の面とは反対側の表面に第二の防錆処理を施して第二の防錆処理層を形成することにより導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程と、
第一面及び第二面を有するグラファイトフィルムの前記第一面に第二の導電性接着シートを配置してラミネートすることにより導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程と、
前記導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び前記導電性接着シート付きグラファイトフィルムを、前記第一の導電性接着シートの表面と前記グラファイトフィルムの前記第二面とが重なるように配置してラミネートする工程とを含む
グラファイト複合フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記第一の金属は銅である
請求項11に記載のグラファイト複合フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記第一の防錆処理層は、亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つの第一の防錆用金属を含む金属皮膜又は有機皮膜である
請求項11又は12に記載のグラファイト複合フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記第二の防錆処理層は、亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つの第二の防錆用金属を含む金属皮膜又は有機皮膜である
請求項11〜13のいずれか一項に記載のグラファイト複合フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記有機皮膜はベンゾトリアゾール皮膜である
請求項13又は14に記載のグラファイト複合フィルムの製造方法。
【請求項16】
第一面及び第二面を有する保護フィルムの前記第一面に第二の金属と第一の金属とをこの順に蒸着して、前記第二の金属を含む第二の防錆処理層と前記第一の金属を含む金属層とを形成し、前記金属層の表面に防錆処理を施して第一の防錆処理層を形成し、前記第一の防錆処理層の表面に第一の導電性接着シートを配置してラミネートし、前記保護フィルムを剥離することにより導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程と、
第一面及び第二面を有するグラファイトフィルムの前記第一面に第二の導電性接着シートを配置してラミネートすることにより導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程と、
前記導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び前記導電性接着シート付きグラファイトフィルムを、前記第一の導電性接着シートの表面と前記グラファイトフィルムの前記第二面とが重なるように配置してラミネートする工程とを含む
グラファイト複合フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記第一の金属は銅であり、
前記第二の金属は亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つの防錆用金属である、
請求項14に記載のグラファイト複合フィルムの製造方法。
【請求項18】
グラファイト層と、第一の導電性接着層と、第一の金属を含む金属層と、保護フィルムとがこの順に配置されてなり、
防錆処理層が、前記第一の導電性接着層と前記金属層との間に介在している
グラファイト複合フィルム。
【請求項19】
前記第一の金属は銅であり、
前記防錆処理層は有機皮膜である
請求項18に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項20】
前記有機皮膜はベンゾトリアゾール皮膜である
請求項19に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項21】
前記第一の金属は銅であり、
前記防錆処理層は亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つの第二の金属を含む
請求項18に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項22】
前記防錆処理層の厚さは前記金属層の厚さ以下である
請求項18に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項23】
前記金属層の厚さは0.10μm以上5.00μm以下であり、
前記防錆処理層の厚さは0.002μm以上0.100μm以下である
請求項22に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項24】
前記グラファイト層の前記第一の導電性接着層が配置されている側の面とは反対側の面に、さらに第二の導電性接着層を有する
請求項18に記載のグラファイト複合フィルム。
【請求項25】
第一面及び第二面を有する保護フィルムの第一面に第一の金属を蒸着して金属層を形成し、前記金属層の表面に防錆処理を施して防錆処理層を形成し、前記防錆処理層の表面に第一の導電性接着シートを配置してラミネートすることにより導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程と、
第一面及び第二面を有するグラファイトフィルムの第一面に第二の導電性接着シートを配置してラミネートすることにより導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程と、
前記導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び前記導電性接着シート付きグラファイトフィルムを、前記第一の導電性接着シートの表面と前記グラファイトフィルムの第二面とが重なるように配置してラミネートする工程とを含む
グラファイト複合フィルムの製造方法。
【請求項26】
前記第一の金属は銅であり、
前記防錆処理は前記金属層の表面にベンゾトリアゾール皮膜を形成する処理である
請求項25に記載のグラファイト複合フィルムの製造方法。
【請求項27】
前記第一の金属は銅であり、
前記防錆処理は前記金属層の表面に第二の金属を蒸着する処理であり、
前記第二の金属は亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウムおよびこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つである請求項25に記載のグラファイト複合フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グラファイト複合フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器、パーソナルコンピューターなどの電子機器の高性能化、小型化、薄型化の要求に伴い、電子機器の筐体内部の限られたスペースに、数多くの電子部品が隙間なく配置されている。これら電子部品が熱源や電磁ノイズ源となり、電子機器の誤作動を引き起こすおそれがある。そのため、熱対策及び電磁ノイズ対策が重要な課題となっている。
【0003】
このような熱対策及び電磁ノイズ対策として、特許文献1には、グラファイトフィルムと、表面抵抗が所定範囲内である導電性粘着層と、銅からなる金属薄膜と、保護フィルム層とがこの順に積層されたグラファイト複合フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−280433号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のようなグラファイト複合フィルムを、電子機器の筐体内部に配置された電子部品に貼り合わせて使用すると、高周波帯(例えば、500MHz帯)の電磁波に対する電磁波シールド性が経時的に劣化するおそれがあった。
【0006】
そこで、本開示は、熱対策及び電磁ノイズ対策を同時に実現できるとともに、電磁波シールド性が経時的に劣化しにくいグラファイト複合フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
第一の態様に係るグラファイト複合フィルムは、グラファイト層と、第一の導電性接着層と、第一の金属を含む金属層とがこの順に配置されてなる。そして、第一の防錆処理層が、第一の導電性接着層と金属層との間に介在し、第二の防錆処理層が、金属層の第一の防錆処理層が配置されている側の面とは反対側の面に配置されている。
【0008】
第二の態様に係るグラファイト複合フィルムの製造方法は、第一面及び第二面を有する保護フィルムの第一面に第一の金属を蒸着して金属層を形成し、金属層の表面に第一の防錆処理を施して第一の防錆処理層を形成し、第一の防錆処理層の表面に第一の導電性接着シートを配置してラミネートし、保護フィルムを剥離して、金属層の第一の防錆処理層が配置されている側の面とは反対側の表面に第二の防錆処理を施して第二の防錆処理層を形成することにより導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を含む。この製造方法は、さらに、第一面及び第二面を有するグラファイトフィルムの第一面に第二の導電性接着シートを配置してラミネートすることにより導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程を含む。この製造方法は、さらに、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び導電性接着シート付きグラファイトフィルムを、第一の導電性接着シートの表面とグラファイトフィルムの第二面とが重なるように配置してラミネートする工程とを含む。
【0009】
第三の態様に係るグラファイト複合フィルムの製造方法は、第一面及び第二面を有する保護フィルムの第一面に第二の金属と第一の金属とをこの順に蒸着して、第二の金属を含む第二の防錆処理層と第一の金属を含む金属層とを形成し、金属層の表面に防錆処理を施して第一の防錆処理層を形成し、第一の防錆処理層の表面に第一の導電性接着シートを配置してラミネートし、保護フィルムを剥離することにより導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を含む。この製造方法は、さらに、第一面及び第二面を有するグラファイトフィルムの第一面に第二の導電性接着シートを配置してラミネートすることにより導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程を含む。この製造方法は、さらに、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び導電性接着シート付きグラファイトフィルムを、第一の導電性接着シートの表面とグラファイトフィルムの第二面とが重なるように配置してラミネートする工程とを含む。
【0010】
第四の態様に係るグラファイト複合フィルムは、グラファイト層と、第一の導電性接着層と、第一の金属を含む金属層と、保護フィルムとがこの順に配置されてなり、防錆処理層が、第一の導電性接着層と金属層との間に介在している。
【0011】
第五の態様に係るグラファイト複合フィルムの製造方法は、第一面及び第二面を有する保護フィルムの第一面に第一の金属を蒸着して金属層を形成し、金属層の表面に防錆処理を施して防錆処理層を形成し、防錆処理層の表面に第一の導電性接着シートを配置してラミネートすることにより導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を含む。この製造方法は、さらに、第一面及び第二面を有するグラファイトフィルムの第一面に第二の導電性接着シートを配置してラミネートすることにより導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程を含む。この製造方法は、さらに、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び導電性接着シート付きグラファイトフィルムを、第一の導電性接着シートの表面とグラファイトフィルムの第二面とが重なるように配置してラミネートする工程とを含む。
【0012】
本開示は、熱対策及び電磁ノイズ対策を同時に実現できるとともに、電磁波シールド性が劣化しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本開示の実施形態に係るグラファイト複合フィルムの本体部の概略断面図である。
図1B】本開示の実施形態に係るグラファイト複合フィルムの端部の概略断面図である。
図2A】本開示の第一実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図2B】本開示の第一実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図2C】本開示の第一実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図2D】本開示の第一実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図2E】本開示の第一実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図2F】本開示の第一実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図2G】本開示の第一実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図3A】本開示の第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図3B】本開示の第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図3C】本開示の第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図3D】本開示の第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図3E】本開示の第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図3F】本開示の第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図3G】本開示の第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程の一例を説明する概略断面図である。
図4A】本開示の第一及び第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程を説明する概略断面図である。
図4B】本開示の第一及び第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程を説明する概略断面図である。
図4C】本開示の第一及び第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び導電性接着シート付きグラファイトフィルムをラミネートする工程を説明する概略断面図である。
図4D】本開示の第一及び第二実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び導電性接着シート付きグラファイトフィルムをラミネートする工程を説明する概略断面図である。
図5A】比較例のグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には比較例の導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明する概略断面図である。
図5B】比較例のグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には比較例の導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明する概略断面図である。
図5C】比較例のグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には比較例の導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明する概略断面図である。
図5D】比較例のグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には比較例の導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明する概略断面図である。
図5E】比較例のグラファイト複合フィルムの製造方法の一部、具体的には比較例の導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明する概略断面図である。
図6A】本開示の第三実施形態に係るグラファイト複合フィルムの本体部の概略断面図である。
図6B】本開示の第三実施形態に係るグラファイト複合フィルムの端部の概略断面図である。
図7A】本開示の第三実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明するための概略断面図である。
図7B】本開示の第三実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明するための概略断面図である。
図7C】本開示の第三実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明するための概略断面図である。
図7D】本開示の第三実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明するための概略断面図である。
図7E】本開示の第三実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルムを準備する工程を説明するための概略断面図である。
図7F】本開示の第三実施形態にグラファイト複合フィルムの製造方法、具体的には導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程を説明するための概略断面図である。
図7G】本開示の第三実施形態にグラファイト複合フィルムの製造方法、具体的には導電性接着シート付きグラファイトフィルムを準備する工程を説明するための概略断面図である。
図7H】本開示の第三実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び導電性接着シート付きグラファイトフィルムをラミネートする工程を説明するための概略断面図である。
図7I】本開示の第三実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法、具体的には導電性接着シート付き金属蒸着フィルム及び導電性接着シート付きグラファイトフィルムをラミネートする工程を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る発明の実施形態を説明する。
【0015】
(第一実施形態)
[グラファイト複合フィルム1]
図1Aは、第一実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の本体部の概略断面図である。図1Bは、グラファイト複合フィルム1の端部の概略断面図である。
【0016】
本実施形態に係るグラファイト複合フィルム1は、図1Aに示すように、第二の導電性接着層60と、グラファイト層50と、第一の導電性接着層40と、金属層20と、第一の防錆処理層30と、第二の防錆処理層80と、第一の剥離シート70とを有する。金属層20は、第一の金属を含む。第二の導電性接着層60と、グラファイト層50と、第一の導電性接着層40と、金属層20とは、この順に積層されている。第一の防錆処理層30は、第一の導電性接着層40と金属層20との間に介在する。第二の防錆処理層80は、金属層20の第一の防錆処理層30が配置されている側の面とは反対側の面に配置されている。さらに、第一の剥離シート70が第二の導電性接着層60の表面60Aに取り付けられている。
【0017】
グラファイト複合フィルム1はこのような構成であるので、被着体に貼り付けるだけで、電磁機器の熱対策及び電磁ノイズ対策を同時に実現できる。すなわち、熱伝導性に優れるグラファイト層50を有するので、被着体の熱をグラファイト複合フィルム1の面方向に放散させて、被着体の温度を低下させることができる。面方向とは、グラファイト層50の厚さ方向に対して垂直な方向をいう。また、金属層20を有するので、金属層20に当たる電磁波を反射させることができる。これは、金属層20に電磁波が当たると、金属層20内に電磁誘導により渦電流が生じ、この渦電流が電磁波を反射するためと推測される。特に、被着体が導電性を有する場合、金属層20は被着体と電気的に接続されて接地されるので、金属層20内に生じた渦電流は被着体へ解放(グランド)され、より優れた電磁波シールド性を発現する。
【0018】
さらに、第一の防錆処理層30が、第一の導電性接着層40と金属層20との間に介在しているので、金属層20の第一の防錆処理層30が配置される側の第一面20Aが変色(以下、腐食という)しにくく、電磁波シールド性が劣化しにくい。さらに、第二の防錆処理層80が、金属層20の第一面20Aとは反対側の面(第二面20B)に配置されているので、金属層20の第二面20Bが変色(腐食)しにくく、電磁波シールド性が劣化しにくい。これは、第一の防錆処理層30及び第二の防錆処理層80が金属層20の腐食の進行を抑制することで、金属層20のシート抵抗が経時的に上昇しにくくなり、発生した渦電流のエネルギーが熱エネルギーに変換されにくくなるためと推測される。
【0019】
グラファイト複合フィルム1の端面1Eにおいて、図1Bに示すように、グラファイト層50の端面50Eは露出していない。すなわち、グラファイト層50の端面50Eは第一の導電性接着層40及び第二の導電性接着層60で覆われている。これにより、グラファイト層50内の層間剥離に起因するグラファイト複合フィルム1の断裂を防ぐと同時に、グラファイト層50の粉落ちを防ぐことができる。
【0020】
グラファイト複合フィルム1の厚さは好ましくは15μm以上800μm以下である。グラファイト複合フィルム1の厚さは、グラファイト複合フィルム1の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得られた画像に基づいて測定することができる。以下のグラファイト複合フィルム1を構成する各層の厚さも同様に測定することができる。
【0021】
グラファイト複合フィルム1は、例えば、使用直前に第一の剥離シート70をグラファイト複合フィルム1から剥離して、被着体に貼り付けて使用することができる。被着体としては、例えば、電子機器の筐体内部に配置された電子部品などが挙げられる。電子部品としては、例えば、液晶ユニットの背面シャーシ、液晶画像表示装置のバックライトなどに使用される発光ダイオード(LED)光源を備えたLED基板、パワーアンプ、大規模集積回路(LSI)などが挙げられる。第一の剥離シート70としては、紙、樹脂フィルム、紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、または紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面又は両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したものなどを用いることができる。紙としては、クラフト紙、グラシン紙、上質紙などがあげられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP(Oriented Polypropylene)、CPP(Cast Polypropylene))、ポリエチレンテレフタレート(PET)などがあげられる。
【0022】
本実施形態に係るグラファイト複合フィルム1は、第二の導電性接着層60、グラファイト層50、第一の導電性接着層40、第一の防錆処理層30、金属層20、及び第二の防錆処理層80がこの順に積層されている。しかし、本開示はこれに限定されず、グラファイト層50、第一の導電性接着層40、第一の防錆処理層30、金属層20、及び第二の防錆処理層80がこの順に配置された構成であればよい。そしてこれらの層の間には、本発明の効果を阻害しない層が積層されていてもよい。
【0023】
また、本実施形態に係るグラファイト複合フィルム1は、グラファイト層50の端面50Eが第一の導電性接着層40及び第二の導電性接着層60で覆われているが、本開示はこれに限定されず、グラファイト層50の端面50Eが露出していてもよい。
【0024】
また、本実施形態に係るグラファイト複合フィルム1では、図1Bに示すように、金属層20の端面が露出しているが、本開示はこれに限定されず、金属層20の端面は第二の防錆処理層80で覆われていてもよい。金属層20の端面が第二の防錆処理層80で覆われることで、金属層20の端面は腐食しにくくなり、グラファイト複合フィルム1の電磁波シールド性がより劣化しにくくなる。
【0025】
(金属層20)
グラファイト複合フィルム1は、金属層20を備える。これにより、グラファイト複合フィルム1は電磁波シールド性を有する。
【0026】
金属層20は、第一の金属を含む。第一の金属としては、グラファイト複合フィルム1の原料に応じて適宜選択すればよく、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、黄銅、カリウム、リチウム、鉄、白金、スズ、クロム、鉛、チタンなどを用いることができる。なかでも、第一の金属は、グラファイト複合フィルム1の電磁波シールド性を向上させるなどの点から、グラファイト複合フィルム1の原料の中で体積固有抵抗が低い原料であることが好ましく、コストの観点から、銅であることがより好ましい。
【0027】
金属層20の厚さは、好ましくは0.10μm以上5.00μm以下、より好ましくは0.50μm以上2.00μm以下である。
【0028】
本実施形態では、グラファイト複合フィルム1の厚さ方向Tから見た金属層20の表面形状はベタ状であるが、本発明はこれに限定されない。その例として、メッシュ状、ワイヤー状などをさらに挙げることができる。なお、ベタ状とは、グラファイト複合フィルム1の厚さ方向Tから見て、一面に隙間なく設けられた状態である。
【0029】
(第一の防錆処理層30及び第二の防錆処理層80)
グラファイト複合フィルム1は、第一の防錆処理層30と第二の防錆処理層80とを備える。第一の防錆処理層30は、第一の導電性接着層40と金属層20との間に介在している。第二の防錆処理層80は、金属層20の第二面20Bに配置されている。すなわち、金属層20の両面に第一の防錆処理層30及び第二の防錆処理層80がそれぞれ配置されている。
【0030】
グラファイト複合フィルム1が第一の防錆処理層30を備えることで、金属層20の第一面20Aが腐食しにくくなる。これは、第一の防錆処理層30により、主として、第一の導電性接着層40中に含まれる水分及び酸素の成分などが金属層20の表面に到達しにくくなり、金属層20の原料と、第一の導電性接着層40中の成分との電気化学反応が進行しにくいためと推測される。
【0031】
グラファイト複合フィルム1が第二の防錆処理層80を備えることで、金属層20の第二面20Bが腐食しにくくなる。これは、第二の防錆処理層80により、主として、外からの水分及び酸素の成分などが金属層20の表面に到達しにくくなり、金属層20の原料と、外からの成分との電気化学反応が進行しにくいためと推測される。さらに、第二の防錆処理層80は、金属層20の第二面20Bに傷が付くことなどを防止することができる。
【0032】
第一の防錆処理層30及び第二の防錆処理層80としては、例えば、有機皮膜、金属皮膜などを用いることができる。
【0033】
第一の防錆処理層30と第二の防錆処理層80とは、同じ種類の皮膜であってよく、異なる種類の皮膜であってもよい。すなわち、第一の防錆処理層30と第二の防錆処理層80との両方が有機皮膜であってよく、第一の防錆処理層30と第二の防錆処理層80との両方が金属皮膜であってもよい。また、第一の防錆処理層30と第二の防錆処理層80とのうちの一方が有機皮膜であり他方が金属皮膜であってよい。
【0034】
有機皮膜としては、金属層20の原料に応じて適宜調整すればよく、例えば、ベンゾトリアゾール皮膜、トリアジンアミン皮膜、メルカプトベンゾイミダゾール皮膜、チオジプロピオン酸エステル皮膜、ベンゾイミダゾール皮膜などが挙げられる。なかでも、第一の金属が銅である場合、すなわち金属層20が銅からなる場合、有機皮膜はベンゾトリアゾール皮膜であることが好ましい。有機皮膜がベンゾトリアゾール皮膜であれば、銅からなる金属層20は腐食しにくくなる。
【0035】
ベンゾトリアゾール皮膜は、主に銅イオンと、ベンゾトリアゾールアニオン又はベンゾトリアゾール誘導体アニオンとの重合錯体皮膜であると推測される。ベンゾトリアゾール皮膜の原料としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体などを用いることができる。ベンゾトリアゾールの誘導体としては、例えば、ベンゾトリアゾール、2−(5−メチルー2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、1、2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールなどを用いることができる。トリアジンアミン皮膜の原料としては、例えば、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンなどを用いることができる。メルカプトベンゾイミダゾール皮膜の原料としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾールなどを用いることができる。チオジプロピオン酸エステル皮膜の原料としては、例えば、ジステアリル−3、3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネートなどを用いることができる。ベンゾイミダゾール皮膜の原料としては、例えば、2−メチルベンゾイミダゾール、5−メチルベンゾイミダゾール、1−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−メチルベンゾイミダゾール−3−オキシド、2−アミノベンゾイミダゾールなどを用いることができる。
【0036】
金属皮膜の原料としては、例えば、亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウムなどの純金属を用いることができる。また、これら純金属を含んでなる合金などの防錆用金属を用いることができる。
【0037】
第一の防錆処理層30が金属皮膜である場合、金属皮膜は亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つの第一の防錆用金属を含むことが好ましい。金属皮膜が第一の防錆用金属を含む場合、銅からなる金属層20は腐食しにくくなる。
【0038】
第一の防錆処理層30が金属皮膜である場合、金属皮膜は、ニッケルを含むことがより好ましい。ニッケルは、防錆性が高いため、銅からなる金属層20はさらに腐食しにくくなる。また、ニッケルは銅との密着性が高いため、ニッケルを含む第一の防錆処理層30の、銅からなる金属層20との密着性を向上することができる。このため、図1Bに示すように、金属層20の端面が露出している場合でも、第一の防錆処理層30と金属層20との界面20Aから水分及び酸素の成分などが金属層20の表面に到達しにくくなる。
【0039】
第二の防錆処理層80が金属皮膜である場合、金属皮膜は亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つの第二の防錆用金属を含むことが好ましい。金属皮膜が第一の防錆用金属を含む場合、銅からなる金属層20は腐食しにくくなる。
【0040】
第二の防錆処理層80が金属皮膜である場合、金属皮膜は、ニッケルを含むことがより好ましい。ニッケルは、防錆性が高いため、銅からなる金属層20はさらに腐食しにくくなる。また、ニッケルは銅との密着性が高いため、ニッケルを含む第二の防錆処理層80の、銅からなる金属層20との密着性を向上することができる。このため、図1Bに示すように、金属層20の端面が露出している場合でも、第二の防錆処理層80と金属層20との界面から水分及び酸素の成分などが金属層20の表面に到達しにくくなる。
【0041】
第二の防錆処理層80が金属皮膜である場合、第二の防錆処理層80の金属層20が配置されている側の面20Bとは反対側の面1Bに、ショート不良を防止するための絶縁層が配置されてもよい。この場合、絶縁層の一部に穴を開け、そこからグラファイト層50のグランドを取ることができる。金属層20上に直接絶縁層を配置し、絶縁層に穴を開けてグランドを取る場合には、金属層20が外からの水分及び酸素の成分などと電気化学反応を起こして腐食してしまう。このため、グラファイト複合フィルム1が、金属皮膜である第二の防錆処理層80を有することで、金属層20の腐食を防ぐとともに、グラファイト層50のグランドを取ることが可能になる。
【0042】
第一の防錆処理層30の厚さT30は、金属層20の厚さT20以下であることが好ましい。これにより、グラファイト複合フィルム1のフレキシブル性を確保できると同時に、グラファイト複合フィルム1を軽量化することができる。具体的に、第一の防錆処理層30の厚さT30は、好ましくは0.002μm以上0.100μm以下、より好ましくは0.002μm以上0.040μm以下である。グラファイト複合フィルム1の厚さ方向Tから見た第一の防錆処理層30の表面形状はベタ状である。すなわち、グラファイト複合フィルム1の厚さ方向Tから見て、第一の防錆処理層30が金属層20の第一面20Aの全領域に隙間なく設けられており、金属層20の第一面20Aは露出していない。
【0043】
第二の防錆処理層80の厚さT80は、金属層20の厚さT20以下であることが好ましい。これにより、グラファイト複合フィルム1のフレキシブル性を確保できると同時に、グラファイト複合フィルム1を軽量化することができる。具体的に、第二の防錆処理層80の厚さT80は、好ましくは0.002μm以上0.100μm以下、より好ましくは0.002μm以上0.040μmである。グラファイト複合フィルム1の厚さ方向Tから見た第二の防錆処理層80の表面形状はベタ状である。すなわち、グラファイト複合フィルム1の厚さ方向Tから見て、第二の防錆処理層80が金属層20の第二面20Bの全領域に隙間なく設けられており、金属層20の第二面20Bは露出していない。
【0044】
(第一の導電性接着層40)
グラファイト複合フィルム1は、第一の導電性接着層40を備える。これにより、第一の防錆処理層30と、グラファイト層50とを、接着固定できると同時に電気的に接続できる。
【0045】
第一の導電性接着層40は、図1Aに示すように、第一の粘着層41、第一の金属基材42及び第二の粘着層43がこの順で積層された構成である。第一の導電性接着層40は、第一の金属基材42を含むので、第一の導電性接着層40は導電性に優れる。第一の導電性接着層40の厚さは、好ましくは2μm以上300μm以下である。グラファイト複合フィルム1の厚さ方向Tから見た第一の導電性接着層40の表面形状はベタ状である。
【0046】
第一の粘着層41は、導電性及び粘着性を有する導電性粘着剤からなる。導電性粘着剤としては、例えば、重合体及び導電性フィラーを含有し、必要に応じて、架橋剤、添加剤、溶剤をさらに含有してもよい。重合体としては、アクリル系重合体、ゴム系重合体、シリコーン系重合体、ウレタン系重合体などを用いることができる。なかでも、グラファイト複合フィルム1を発熱材に貼付した場合であっても熱の影響による剥がれを起こしにくい点で、アクリル系重合体及びゴム系重合体を用いることが好ましい。アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル単量体などのビニル単量体を重合して得られるものを用いることができる。導電性フィラーとしては、例えば、金属系フィラー、カーボン系フィラー、金属複合系フィラー、金属酸化物系フィラー、チタン酸カリウム系フィラーなどを用いることができる。金属系フィラーの原料としては、銀、ニッケル、銅、スズ、アルミニウム、ステンレスなどが挙げられる。カーボン系フィラーの原料としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛などを用いることができる。金属複合系フィラーの原料としては、アルミニウムコートガラス、ニッケルコートガラス、銀コートガラス、ニッケルコート炭素などを用いることができる。金属酸化物系フィラーの原料としては、アンチモンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アルミニウムドープ酸化亜鉛などを用いることができる。導電性フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、粉末、フレーク、繊維などが挙げられる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤などを用いることができる。添加剤としては、第一の粘着層41の粘着力をより一層向上させることを目的として、粘着付与樹脂を使用することができる。粘着付与樹脂としては、例えばロジン系樹脂;テルペン系樹脂;脂肪族(C5系)又は芳香族(C9系)などの石油樹脂;スチレン系樹脂フェノール系樹脂;キシレン系樹脂;メタクリル系樹脂などを用いることができる。第一の粘着層41の厚さは、好ましくは0.2μm以上50μm以下、より好ましくは2μm以上20μm以下である。
【0047】
第一の金属基材42の原料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、錫、これらの合金などを用いることができる。なかでも、第一の金属基材42の原料は、柔軟性、熱導電性などの点で、アルミニウム又は銅であることが好ましく、金属の不動態化により腐食が進行しにくいなどの点でアルミニウムであることがさらに好ましい。アルミニウムからなる金属基材としては、硬質アルミニウムからなる硬質アルミニウム基材、軟質アルミニウムからなる軟質アルミニウム基材を用いることができる。硬質アルミニウム基材は、アルミニウムを圧延して得たアルミ箔からなる。軟質アルミニウム基材は、アルミニウムを圧延し、焼鈍処理をして得られたアルミニウム箔からなる。銅からなる金属基材としては、例えば電解銅からなる基材、圧延銅からなる基材を用いることができる。第一の金属基材42の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
【0048】
第二の粘着層43は、導電性及び粘着性を有し、例えば、重合体及び導電性フィラーを含有する。第二の粘着層43は、第一の粘着層41と同様の構成である。
【0049】
本実施形態では、第一の導電性接着層40は、図1Aに示すように、第一の粘着層41、第一の金属基材42及び第二の粘着層43がこの順で積層されてなるが、本開示はこれに限定されない。その例として、第一の導電性接着層40は導電性樹脂からなる単層であってもよい。また、本実施形態では、第二の粘着層43は第一の粘着層41と同じ構成であるが、本開示ではこれに限定されず、導電性及び粘着性を有すれば、第一の粘着層41と異なる構成であってもよい。
【0050】
(グラファイト層50)
グラファイト複合フィルム1は、グラファイト層50を備える。これにより、被着体の熱を効率良く伝導し放散することができると同時に、グラファイト複合フィルム1の電磁シールド性を向上させることができる。
【0051】
グラファイト層50は、面方向において優れた電気伝導性及び熱伝導性を有する。グラファイト層50の原料としては、例えば、炭素の層状結晶体グラファイト(黒鉛);黒鉛を母体とし、その層間に化学種が侵入して形成された黒鉛層間化合物(Graphite Intercalation Compound)などを用いることができる。化学種としては、例えば、カリウム、リチウム、臭素、硝酸、塩化鉄(III)、六塩化タングステン、五フッ化ヒ素などが挙げられる。また、グラファイト層50は、例えば、グラファイトフィルムを1枚又は複数枚を積層したものであってもよい。グラファイトフィルムとしては、例えば、高分子フィルムを高温で焼成して生成された熱分解性グラファイトシートや、膨張グラファイト法により生成された膨張グラファイトシートなどを用いることができる。なかでも、熱伝導率が高く、軽量で柔軟性があり、加工が容易であるなどの点で、グラファイトフィルムとして、高分子フィルムを高温で焼成して生成された熱分解性グラファイトシートを用いることが好ましい。高分子フィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなどの耐熱性の芳香族高分子などを用いることができる。高分子フィルムを焼成する温度は、好ましくは2600℃以上3000℃以下である。膨張グラファイト法は、天然グラファイト鉛を硫酸などの強酸で処理することで層間化合物を形成させ、これを加熱及び膨張させた際に生じる膨張グラファイトを圧延してシート状にする方法である。グラファイトフィルムの厚さは、好ましくは10μm以上100μm以下である。
【0052】
熱分解性グラファイトシートの熱伝導率は、a−b面方向が好ましくは700W/(m・K)以上1950W/(m・K)以下、c軸方向が好ましくは8W/m・K以上15W/(m・K)以下である。熱分解性グラファイトシートの密度は、好ましくは0.85g/cm以上2.13g/cm以下である。このような熱分解性グラファイトシートとしては、例えば、パナソニック株式会社製の「PGS(登録商標)グラファイトシート」を用いることができる。
【0053】
グラファイト層50の厚さは、好ましくは5μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上200μm以下である。グラファイト複合フィルム1の厚さ方向Tから見たグラファイト層50の表面形状はベタ状である。
【0054】
(第二の導電性接着層60)
グラファイト複合フィルム1は、第二の導電性接着層60を備える。これにより、グラファイト複合フィルム1を被着体に密着させることができ、グラファイト複合フィルム1の優れた放熱性を発現させやすくなると同時に、グラファイト層50と被着体とを電気的に接続することができる。このように、金属層20と被着体とは電気的に接続されるので、被着体が導電性を有する場合、グラファイト複合フィルム1の電磁波シールド性はより優れる。
【0055】
第二の導電性接着層60は、図1Aに示すように、第三の粘着層61、第二の金属基材62及び第四の粘着層63がこの順で積層された構成である。第二の導電性接着層60の構成は、第一の導電性接着層40と同様の構成である。
【0056】
本実施形態では、第二の導電性接着層60は、図1Aに示すように、第三の粘着層61、第二の金属基材62及び第四の粘着層63がこの順で積層された構成であるが、本開示はこれに限定されない。その例として、第二の導電性接着層60は導電性樹脂からなる単層であってもよい。また、本実施形態では、第二の導電性接着層60の構成は、第一の導電性接着層40と同様の構成であるが、本開示はこれに限定されず、導電性及び粘着性を有すれば、第一の導電性接着層40と異なる構成であってもよい。
【0057】
[第一実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法]
図2A図2Gは、本開示の第一実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の製造方法の一部を説明するための概略断面図である。具体的に、図2A図2Gは、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する工程(A)を説明するための概略断面図である。
【0058】
図4A図4Dは、本開示の第一実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の製造方法の一部を説明するための概略断面図である。具体的に、図4A及び図4Bは、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を準備する工程(B)を説明するための概略断面図である。図4C及び図4Dは、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200をラミネートする工程(C)を説明するための概略断面図である。図2A図2G及び図4A図4Dにおいて、図1Aに示す実施形態の構成部材と同一の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。具体的に、グラファイトフィルム50はグラファイト層50に対応し、第一の導電性接着シート40は第一の導電性接着層40に対応し、第二の導電性接着シート60は第二の導電性接着層60に対応する。
【0059】
第一実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の製造方法は、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する工程(1A)と、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を準備する工程(1B)と、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200をラミネートする工程(1C)とを含み、工程(1A)、工程(1B)及び工程(1C)をこの順で行う。これにより、熱対策及び電磁ノイズ対策を同時に実現できるとともに、電磁波シールド性が劣化しにくいグラファイト複合フィルム1が得られる。
【0060】
工程(1A):第一面10A及び第二面10Bを有する保護フィルム10の第一面10Aに第一の金属を蒸着して金属層20を形成し、金属層20の第一面20Aに第一の防錆処理を施して第一の防錆処理層30を形成して第一の積層体111を準備する(以下、工程(1a1))。この第一の積層体111の第一の防錆処理層30の表面30Aに、第一の導電性接着シート40を配置しラミネートして第二の積層体112を準備する(以下、工程(1a2))。この第二の積層体112の保護フィルム10を剥離して、金属層20の第二面20Bに第二の防錆処理を施して第二の防錆処理層80を形成して(以下、工程(1a3))、金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とを有する導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する。
【0061】
工程(1B):第一面50A及び第二面50Bを有するグラファイトフィルム50の第一面50Aに、第二の導電性接着シート60を配置してラミネートする。
【0062】
工程(1C):導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を、第一の導電性接着シート40の表面43Aとグラファイトフィルム50の第二面50Bとが重なるように配置してラミネートする。
【0063】
本実施形態では、工程(1A)、工程(1B)及び工程(1C)をこの順で行うが、本開示はこれに限定されない。その例として、工程(1B)、工程(1A)及び工程(1C)をこの順に行ってもよい。
【0064】
〔工程(1A)〕
工程(1A)では、金属層20及び第一の防錆処理層30を形成して第一の積層体111を準備する工程(1a1)と、第一の積層体111と第一の導電性接着シート40とをラミネートして第二の積層体112を準備する工程(1a2)と、保護フィルム10を剥離して第二の防錆処理層80を形成する工程(1a3)とをこの順で行う。これにより、第一の防錆処理層30、金属層20、及び第二の防錆処理層80の積層体である金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とを有する導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する。
【0065】
(工程(1a1))
工程(1a1)では、図2Aに示す保護フィルム10の第一面10Aに第一の金属を蒸着して、図2Bに示すような金属層20を形成し、金属層20の第一面20Aに第一の防錆処理を施して図2Cに示すような第一の防錆処理層30を形成する。この工程(1a1)を経て、図2Cに示す保護フィルム10と金属層20と第一の防錆処理層30とを有する第一の積層体111が得られる。
【0066】
保護フィルム10の原料としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、オレフィン系樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリアクリロニトリル、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド、ポリスルフィド、ポリウレタン、酢酸ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、脂肪族ポリアミド、合成ゴム、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコールなどを用いることができる。必要に応じて、保護フィルム10は、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、可塑剤、滑剤などをさらに含有してもよい。保護フィルム10の厚さは、好ましくは0.5μm以上200μm以下である。
【0067】
保護フィルム10は、離型フィルムであることが好ましい。離型フィルムとしては、例えば、フィルムに離型剤を塗布したものを用いることができる。離型フィルムに用いるフィルムの原料としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、オレフィン系樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリアクリロニトリル、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド、ポリスルフィド、ポリウレタン、酢酸ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、脂肪族ポリアミド、合成ゴム、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコールなどを用いることができる。離型剤としては、例えば、シリコーン等を用いることができる。保護フィルム10が離型フィルムであることで、保護フィルム10の剥離が容易になる。
【0068】
第一の金属を蒸着する方法は、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法の処理条件は、第一の金属の種類、金属層20の厚さなどに応じて、適宜調整すればよい。
【0069】
金属層20の第一面20Aに第一の防錆処理を施す方法としては、第一の防錆処理層30の原料に応じて、次のように適宜調整すればよい。
【0070】
第一の防錆処理層30が有機皮膜である場合、金属層20の第一面20Aに第一の防錆処理を施す方法としては、例えば、上述した有機皮膜の原料を溶媒に添加して防錆処理液を得、この防錆処理液を金属層20の第一面20Aに塗装し、乾燥させる方法などが挙げられる。有機皮膜の原料の添加量は、第一の防錆処理層30の厚さなどに応じて適宜調整すればよい。溶媒としては、有機皮膜の原料に応じて、適宜調整すればよく、例えば、水、イソプロプレンアルコールなどが挙げられる。防錆処理液は、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えばカルボン酸無水物などが挙げられる。カルボン酸無水物としては、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水プロピオン酸、無水フタル酸を用いることができる。防錆処理液の塗装方法としては、特に限定されず、例えば、ローラー塗装、ロールコーター塗装、スピンコーター塗装、カーテンロールコーター塗装、スリットコーター塗装、スプレー塗装、浸漬塗装などが挙げられる。防錆処理液を乾燥させる際、必要に応じて加熱してもよい。
【0071】
第一の防錆処理層30が金属皮膜である場合、金属層20の第一面20Aに第一の防錆処理を施す方法としては、金属皮膜の原料、第一の防錆処理層30の厚さなどに応じて適宜調整すればよく、例えば、電気めっき法、無電解めっき法、物理蒸着法、化学蒸着法などが挙げられる。物理的蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。防錆処理を施す際の処理条件などは、金属皮膜の原料、第一の防錆処理層30の厚さなどに応じて適宜調整すればよい。
【0072】
工程(1a1)では、例えば、長尺状の保護フィルム10を第一の金属を蒸着する製造工程へ連続的に繰り出し、第一の金属を蒸着する製造工程及び第一の防錆処理を施す製造工程をこの順に経由させ、第一の積層体111を連続的に製造してもよい。
【0073】
(工程(1a2))
工程(1a2)では、図2Dに示すように、第一の積層体111の表面30Aに第一の導電性接着シート40を配置してラミネートする。この際、図2Dに示すように、取扱い性に優れるなどの点で、第一の導電性接着シート40の表面43Aに、第二の剥離シート120が取り付けられている。この工程(1a2)を経て、図2Eに示す、第一の積層体111と第一の導電性接着シート40とを有する第二の積層体112が得られる。
【0074】
図2Dに示す第二の剥離シート120が取り付けられた第一の導電性接着シート40の製造方法としては、例えば、以下の工程を含む方法などが挙げられる。
・第三の剥離シートの表面上に、導電性粘着剤を塗布して第一の粘着層41を形成する工程。
・第二の剥離シート120の表面120A上に、導電性粘着剤を塗布し、乾燥して第二の粘着層43を形成する工程。
・第一面42A及び第二面42Bを有する第一の金属基材42の第一面42Aに第一の粘着層41を、第二面42Bに第二の粘着層43をそれぞれ貼り合わせて積層フィルムとし、養生させた後、この積層フィルムから第三の剥離シートを剥離する工程。
【0075】
導電性粘着剤の塗布方法としては、ロールコーター、ダイコーターなどを用いる方法などが挙げられる。導電性粘着剤が溶剤を含有する場合には、50℃〜120℃程度の環境下で乾燥して溶媒を除去することが好ましい。養生の処理条件は、処理温度が好ましくは15℃以上50℃以下、処理時間が好ましくは48時間以上168時間以内である。第二の剥離シート120及び第三の剥離シートの構成は、第一の剥離シート70と同様の構成である。
【0076】
第一の積層体111と、第一の導電性接着シート40とをラミネートする方法としては、例えば、第一の積層体111の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとが対向するように、第一の積層体111及び第一の導電性接着シート40を配置する。その後、第一の積層体111の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとを接触加圧して密着させる方法などが挙げられる。
【0077】
工程(1a2)では、例えば、長尺状の第一の積層体111及び長尺状の第一の導電性接着シート40を一対のロール間に繰り出し、一対のロール間に挟み込んで第一の積層体111及び第一の導電性接着シート40を面接触させることでラミネートしてもよい。
【0078】
本実施形態では、第一の導電性接着シート40の表面43Aに第二の剥離シート120が取り付けられているが、本開示はこれに限定されず、第一の導電性接着シート40の表面43Aに第二の剥離シート120が取り付けられていなくてもよい。
【0079】
(工程(1a3))
工程(1a3)では、図2Fに示すように第二の積層体112から保護フィルム10を剥離し、金属層20の第二面20Bに第二の防錆処理を施して図2Gに示すような第二の防錆処理層80を形成する。この工程(1a3)を経て、図2Gに示す金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とを有する導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100が得られる。
【0080】
第二の防錆処理を施す方法は、本実施形態の工程(1a1)における第一の防錆処理を施す方法と同様の方法を用いることができる。
【0081】
本実施形態では、工程(1A)は、工程(1a1)、工程(1a2)、及び工程(1a3)を含むが、本開示はこの工程順に限定されず、例えば、工程(1a1)の後に、保護フィルム10を剥離して第二の防錆処理層80を形成することにより金属蒸着フィルム110を作製してから金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とをラミネートする方法でもよい。また、工程(1a1)の後に保護フィルム10を剥離し、金属層20と第一の防錆処理層30との積層体と第一の導電性接着シート40とをラミネートしてから第二の防錆処理層80を形成する方法などによって導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を作製してもよい。
【0082】
〔工程(1B)〕
工程(1B)では、図4Aに示すように、第一面50A及び第二面50Bを有するグラファイトフィルム50の第一面50Aに第二の導電性接着シート60を配置してラミネートする。この際、図4Aに示すように、取扱い性に優れるなどの点で、第二の導電性接着シート60の表面63Aに、第一の剥離シート70が取り付けられている。この工程(1B)を経て、図4Bに示す、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200が得られる。
【0083】
図4Aに示す第一の剥離シート70が取り付けられた第二の導電性接着シート60の製造方法としては、例えば、上述した図2Dに示す第二の剥離シート120が取り付けられた第一の導電性接着シート40の製造方法と同様の方法が挙げられる。
【0084】
グラファイトフィルム50と第二の導電性接着シート60とをラミネートする方法としては、例えば、図4Aに示すように、第二の導電性接着シート60の表面61Aが上向きとなるように第二の導電性接着シート60を配置する。そして、所定の寸法にカットされたグラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61A上に置く方法などが挙げられる。カットされたグラファイトフィルム50の寸法は、図4Dに示すように、グラファイトフィルム50の全体が導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200で覆われる寸法であればよい。グラファイトフィルム50の全体を導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200で覆うことで、グラファイト層50内の層間剥離に起因するグラファイト複合フィルム1の断裂を防ぐとともに、グラファイト層50の粉落ちを防ぐことができる。
【0085】
工程(1B)では、例えば、第二の導電性接着シート60を連続的にラミネート製造工程へ繰り出し、カットされたグラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61Aに所定間隔を空けて連続的に置くことで、連続的に導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を製造してもよい。
【0086】
本実施形態では、本開示はこれに限定されず、カットされたグラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61A上に置いてラミネートするが、本開示はこれに限定されず、長尺状のグラファイトフィルム50及び長尺状の第二の導電性接着シート60をそれぞれ連続的に一対のロール間へ繰り出し、一対のロール間に挟み込んでグラファイトフィルム50及び第二の導電性接着シート60を面接触させることでラミネートしてもよい。
【0087】
〔工程(1C)〕
工程(1C)では、図4Cに示すように、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を、第一の導電性接着シート40の表面43Aとグラファイトフィルム50の第二面50Bとが重なるように配置してラミネートする。この際、図4Cに示すように、第二の剥離シート120は剥離されており、第一の剥離シート70はグラファイト複合フィルム1の取扱い性に優れるなどの点で、取り付けられたままである。この工程(1C)を経て、図4Dに示す、グラファイト複合フィルム1が得られる。
【0088】
導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100と、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200とをラミネートする方法としては、例えば、図4Cに示すように、グラファイトフィルム50が配置された側の面200Aが上向きとなるように導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を配置する。その後、グラファイトフィルム50全体を覆うように導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を導電性接着シート付きグラファイトフィルム200の表面200A上に置く方法などが挙げられる。
【0089】
工程(1C)では、例えば、長尺状の導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び長尺状の導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を一対のロール間に繰り出す。その後、一対のロール間に挟み込んで導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を面接触させることでラミネートし、必要なサイズにカットすることで、グラファイト複合フィルム1を連続的に製造してもよい。
【0090】
本実施形態では、工程(1A)、工程(1B)及び工程(1C)を含むが、本開示はこの積層順に限定されず、以下のような方法が挙げられる。例えば、第一の積層体111、第一の導電性接着シート40、グラファイトフィルム50、及び第二の導電性接着シート60を同時にラミネートした後に、保護フィルム10を剥離して第二の防錆処理層80を形成することで、グラファイト複合フィルム1を製造する方法が挙げられる。また、第一の導電性接着シート40、グラファイトフィルム50、及び第二の導電性接着シート60をラミネートすることで積層フィルムを得、得られた積層フィルムと金属蒸着フィルム110とをラミネートすることで、グラファイト複合フィルム1を製造する方法が挙げられる。また、金属蒸着フィルム110、第一の導電性接着シート40及びグラファイトフィルム50をラミネートすることで積層フィルムを得、得られた積層フィルムと、第二の導電性接着シート60とをラミネートすることで、グラファイト複合フィルム1を製造する方法などが挙げられる。
【0091】
(第二実施形態)
[グラファイト複合フィルムの製造方法]
図3A図3Gは、本開示明の第二実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の製造方法の一部を説明するための概略断面図である。具体的に、図3A図3Gは、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する工程(1A)を説明するための概略断面図である。
【0092】
図4A図4Dは、本発明の第二実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の製造方法の一部を説明するための概略断面図である。具体的に、図4A及び図4Bは、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を準備する工程(1B)を説明するための概略断面図である。図4C及び図4Dは、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200をラミネートする工程(1C)を説明するための概略断面図である。図3A図3G及び図4A図4Dにおいて、図1Aに示す実施形態の構成部材と同一の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。具体的に、グラファイトフィルム50はグラファイト層50に対応し、第一の導電性接着シート40は第一の導電性接着層40に対応し、第二の導電性接着シート60は第二の導電性接着層60に対応する。
【0093】
第二実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の製造方法は、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する工程(1A)と、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を準備する工程(1B)と、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200をラミネートする工程(1C)とを含み、工程(1A)、工程(1B)及び工程(1C)をこの順で行う。これにより、熱対策及び電磁ノイズ対策を同時に実現できるとともに、電磁波シールド性が劣化しにくいグラファイト複合フィルム1が得られる。
【0094】
工程(1A):第一面10A及び第二面10Bを有する保護フィルム10の第一面10Aに第二の金属と第一の金属とをこの順に蒸着して、第二の金属を含む第二の防錆処理層80と第一の金属を含む金属層20とを形成する(以下、工程(1a1))。金属層20の第一面20Aに防錆処理を施して第一の防錆処理層30を形成して保護フィルム10と金属蒸着フィルム110との積層体113を準備する(以下、工程(1a2))。この積層体113の第一の防錆処理層30の表面30Aに、第一の導電性接着シート40を配置してラミネートしてから、保護フィルム10を剥離し(以下、工程(1a3))、金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とを有する導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する。
【0095】
工程(1B):第一面50A及び第二面50Bを有するグラファイトフィルム50の第一面50Aに、第二の導電性接着シート60を配置してラミネートする。
【0096】
工程(1C):導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を、第一の導電性接着シート40の表面43Aとグラファイトフィルム50の第二面50Bとが重なるように配置してラミネートする。
【0097】
本実施形態では、工程(1A)、工程(1B)及び工程(1C)をこの順で行うが、本開示はこれに限定されない。その例として、工程(1B)、工程(1A)及び工程(1C)をこの順に行ってもよい。
【0098】
なお、本実施形態における工程(1B)及び工程(1C)は、第一実施形態における工程(1B)及び工程(1C)と同様の工程であるため、説明を省略する。
【0099】
〔工程(1A)〕
工程(1A)では、第二の防錆処理層80及び金属層20を形成する工程(1a1)と、第一の防錆処理層30を形成して積層体113を準備する工程と(1a2)、積層体113と第一の導電性接着シート40とをラミネートしてから保護フィルム10を剥離する工程(1a3)とをこの順で行う。これにより、第一の防錆処理層30、金属層20、及び第二の防錆処理層80の積層体である金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とを有する導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する。
【0100】
(工程(1a1))
工程(1a1)では、図3Aに示す保護フィルム10の第一面10Aに第二の金属を蒸着して、図3Bに示すような第二の防錆処理層80を形成する。そして、第二の防錆処理層80の表面80Aに第一の金属を蒸着して、図3Cに示すような金属層20を形成する。
【0101】
本実施形態で使用される保護フィルム10は、第一実施形態で使用される保護フィルム10と同じであってよい。
【0102】
第一の金属を蒸着する方法は、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法の処理条件は、第一の金属の種類、金属層20の厚さなどに応じて、適宜調整すればよい。
【0103】
第二の金属を蒸着する方法は、第二の金属の種類、第二の防錆処理層80の厚さなどに応じて適宜調整すればよく、例えば、電気めっき法、無電解めっき法、物理蒸着法、化学蒸着法などが挙げられる。物理的蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。第二の金属を蒸着する方法は、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法の処理条件は、第二の金属の種類、第二の防錆処理層80の厚さなどに応じて、適宜調整すればよい。
【0104】
工程(1a1)では、例えば、長尺状の保護フィルム10を第二の金属を蒸着する製造工程へ連続的に繰り出し、第二の金属を蒸着する製造工程及び第一の金属を蒸着する製造工程をこの順に経由させ、第二の防錆処理層80及び金属層20を連続的に製造してもよい。
【0105】
(工程(1a2))
工程(1a2)では、金属層20の第一面20Aに防錆処理を施して図3Dに示すような第一の防錆処理層30を形成する。この工程(1a2)を経て、図3Dに示す保護フィルム10と金属蒸着フィルム110とを有する積層体113が得られる。
【0106】
本実施形態の工程(1a2)における金属層20の第一面20Aに防錆処理を施す方法は、第一実施形態の工程(1a1)における第一の防錆処理を施す方法と同じ方法を用いることができる。
【0107】
工程(1a2)は、例えば、連続的な製造工程(1a1)をさらに第一の防錆処理層を形成する工程に経由させることで、工程(1a1)と連続させることができる。
【0108】
(工程(1a3))
工程(1a3)では、積層体113の第一の防錆処理層30の表面30Aに第一の導電性接着シート40を配置してラミネートする。この際、図3Eに示すように、取扱い性に優れるなどの点で、第一の導電性接着シート40の表面43Aに、第二の剥離シート120が取り付けられている。その後、保護フィルム10を剥離し、図3Gに示す金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とを有する導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100が得られる。
【0109】
図3Eに示す第二の剥離シート120が取り付けられた第一の導電性接着シート40の製造方法としては、図2Dに示す第一の導電性接着シート40の製造方法を同じであってよい。
【0110】
積層体113と、第一の導電性接着シート40とをラミネートする方法としては、例えば、積層体113の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとが対向するように、積層体113及び第一の導電性接着シート40を配置する。その後、積層体113の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとを接触加圧して密着させる方法などが挙げられる。
【0111】
工程(1a3)では、例えば、積層体113及び長尺状の第一の導電性接着シート40を一対のロール間に繰り出し、一対のロール間に挟み込んで積層体113及び第一の導電性接着シート40を面接触させることでラミネートしてもよい。
【0112】
本実施形態では、第一の導電性接着シート40の表面43Aに第二の剥離シート120が取り付けられているが、本発明はこれに限定されず、第一の導電性接着シート40の表面43Aに第二の剥離シート120が取り付けられていなくてもよい。
【0113】
本実施形態では、工程(1A)は、工程(1a1)、工程(1a2)、及び工程(1a3)を含むが、本発明はこの工程順に限定されず、例えば、工程(1a1)及び工程(1a2)の後に、積層体113から保護フィルム10を剥離することにより金属蒸着フィルム110を作製してから金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とをラミネートする方法でもよい。また、工程(1a1)の後に保護フィルム10を剥離してから工程(1a2)によって第一の防錆処理層30を形成し、その後、金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とをラミネートする方法などによって導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を作製してもよい。
【0114】
本実施形態では、工程(1A)、工程(1B)及び工程(1C)を含むが、本開示はこの積層順に限定されず、以下の方法が挙げられる。例えば、積層体113、第一の導電性接着シート40、グラファイトフィルム50、及び第二の導電性接着シート60を同時にラミネートした後に、保護フィルム10を剥離することで、グラファイト複合フィルム1を製造する方法が挙げられる。また、第一の導電性接着シート40、グラファイトフィルム50、及び第二の導電性接着シート60をラミネートすることで積層フィルムを得、得られた積層フィルムと、金属蒸着フィルム110とをラミネートすることで、グラファイト複合フィルム1を製造する方法法が挙げられる。また、金属蒸着フィルム110、第一の導電性接着シート40及びグラファイトフィルム50をラミネートすることで積層フィルムを得、得られた積層フィルムと、第二の導電性接着シート60とをラミネートすることで、グラファイト複合フィルム1を製造する方法などが挙げられる。
【0115】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0116】
[実施例1]
〔工程(1A)〕
(工程(1a1))
保護フィルム10として、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製の「CX40」、主な原料:PET、厚さ:6μm)を準備した。第一の金属として銅(日立マテリアル社製の無酸素銅)を用いて真空蒸着法により、保護フィルム10の第一面10Aに蒸着して図2Bに示すような金属層20(厚さ:1μm)を形成した。次いで、防錆剤(東栄化成株式会社製のシーアイガード「GW−172P」)を金属層20の第一面20Aにローラー塗装して、乾燥し、図2Cに示すような第一の防錆処理層30(厚さ:4nm)を形成した。これにより、図2Cに示す第一の積層体111を得た。
【0117】
(工程(1a2))
第二の剥離シート120が取り付けられた第一の導電性接着シート40として、導電性両面接着シート(DIC株式会社製のDAITAC(登録商標)「#8506ADW−10−H2」、金属基材:アルミニウムからなる基材、厚さ:10μm)の一方の面41Aから剥離シートを剥離したシートを準備した。
【0118】
図2Dに示すように、第一の積層体111の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとが対向するように、第一の積層体111及び第一の導電性接着シート40を配置し、第一の積層体111の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとを接触加圧して密着させた。これにより、図2Eに示す第二の積層体112を得た。
【0119】
(工程(1a3))
第二の積層体112から保護フィルム10であるポリエステルフィルムを剥離ローラーに押しあてて剥離した。次いで、防錆剤(東栄化成株式会社製のシーアイガード「GW−172P」)を金属層20の第二面20Bにローラー塗装して、乾燥し、図2Gに示すような第二の防錆処理層80(厚さ:4nm)を形成した。これにより、図2Gに示す導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を得た。
【0120】
〔工程(1B)〕
第一の剥離シート70が取り付けられた第二の導電性接着シート60として、第一の導電性接着シート40と同じ製品である導電性両面接着シートの一方の面61Aから剥離シートを剥離したシートを準備した。グラファイトフィルム50として、10cm×12cmのサイズカットしたグラファイトフィルム(パナソニック株式会社製の「PGS(登録商標)グラファイトシート」、厚さ:25μm)を準備した。
【0121】
図4Aに示すように、第二の導電性接着シート60の表面61Aが上向きとなるように第二の導電性接着シート60を配置し、グラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61A上に置いた。これにより、図4Bに示す導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を得た。
【0122】
〔工程(1C)〕
図4Cに示すように、グラファイトフィルム50が配置された側の面200Aが上向きとなるように導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を配置し、グラファイトフィルム50全体を覆うように導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を導電性接着シート付きグラファイトフィルム200の表面200A上に置き、10cm×12cmのサイズにカットした。これにより、図4Dに示すグラファイト複合フィルム1を得た。
【0123】
[実施例2]
(工程(1a1))
保護フィルム10として、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製の「CX40」、主な原料:PET、厚さ:6μm)を準備した。第二の金属としてニッケル(住友金属鉱山製の電解ニッケル)を用いて真空蒸着法により、保護フィルム10の第一面10Aに蒸着して図3Bに示すような第二の防錆処理層80(厚さ:40nm)を形成した。次いで、第一の金属として銅(日立マテリアル社製の無酸素銅)を用いて真空蒸着法により、第二の防錆処理層80の表面80Aに蒸着して図3Cに示すような金属層20(厚さ:1μm)を形成した。
【0124】
(工程(1a2))
防錆剤(東栄化成株式会社製のシーアイガード「GW−172P」)を金属層20の第一面20Aにローラー塗装して、乾燥し、図3Dに示すような第一の防錆処理層30(厚さ:4nm)を形成した。これにより、図3Dに示す積層体113を得た。
【0125】
(工程(1a3))
第二の剥離シート120が取り付けられた第一の導電性接着シート40として、導電性両面接着シート(DIC株式会社製のDAITAC(登録商標)「#8506ADW−10−H2」、金属基材:アルミニウムからなる基材、厚さ:10μm)の一方の面41Aから剥離シートを剥離したシートを準備した。
【0126】
図3Eに示すように、積層体113の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとが対向するように、積層体113及び第一の導電性接着シート40を配置し、積層体113の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとを接触加圧して密着させた。次いで、保護フィルム10であるポリエステルフィルムを剥離ローラーに押しあてて剥離した。これにより、図3Gに示す導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を得た。
【0127】
〔工程(1B)〕
第一の剥離シート70が取り付けられた第二の導電性接着シート60として、第一の導電性接着シート40と同じ製品である導電性両面接着シートの一方の面61Aから剥離シートを剥離したシートを準備した。グラファイトフィルム50として、10cm×12cmのサイズカットしたグラファイトフィルム(パナソニック株式会社製の「PGS(登録商標)グラファイトシート」、厚さ:25μm)を準備した。
【0128】
図4Aに示すように、第二の導電性接着シート60の表面61Aが上向きとなるように第二の導電性接着シート60を配置し、グラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61A上に置いた。これにより、図4Bに示す導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を得た。
【0129】
〔工程(1C)〕
図4Cに示すように、グラファイトフィルム50が配置された側の面200Aが上向きとなるように導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を配置し、グラファイトフィルム50全体を覆うように導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を導電性接着シート付きグラファイトフィルム200の表面200A上に置き、10cm×12cmのサイズにカットした。これにより、図4Dに示すグラファイト複合フィルム1を得た。
【0130】
[比較例1]
〔工程(1A)〕
(工程(1a1))
図5Aに示す保護フィルム10として、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製の「CX40」、主な原料:PET、厚さ:6μm)を準備した。第一の金属として銅(日立マテリアル社製の無酸素銅)を用いて真空蒸着法により、保護フィルム10の第一面10Aに蒸着して図5Bに示すような金属層20(厚さ:1μm)を形成した。次いで、防錆剤(東栄化成株式会社製のシーアイガード「GW−172P」)を金属層20の第一面20Aにローラー塗装して、乾燥し、図5Cに示すような防錆処理層30(厚さ:4nm)を形成した。これにより、図5Cに示す金属蒸着フィルム110を得た。
【0131】
(工程(1a2))
第二の剥離シート120が取り付けられた第一の導電性接着シート40として、導電性両面接着シート(DIC株式会社製のDAITAC(登録商標)「#8506ADW−10−H2」、金属基材:アルミニウムからなる基材、厚さ:10μm)の一方の面41Aから剥離シートを剥離したシートを準備した。
【0132】
図5Dに示すように、金属蒸着フィルム110の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとが対向するように、金属蒸着フィルム110及び第一の導電性接着シート40を配置し、金属蒸着フィルム110の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとを接触加圧して密着させた。これにより、図5Eに示す導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を得た。
【0133】
〔工程(1B)〕
第一の剥離シート70が取り付けられた第二の導電性接着シート60として、第一の導電性接着シート40と同じ製品である導電性両面接着シートの一方の面61Aから剥離シートを剥離したシートを準備した。グラファイトフィルム50として、10cm×12cmのサイズカットしたグラファイトフィルム(パナソニック株式会社製の「PGS(登録商標)グラファイトシート」、厚さ:25μm)を準備した。
【0134】
図4Aに示すように、第二の導電性接着シート60の表面61Aが上向きとなるように第二の導電性接着シート60を配置し、グラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61A上に置いた。これにより、図4Bに示す導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を得た。
【0135】
〔工程(1C)〕
図4Cに示すように、グラファイトフィルム50が配置された側の面200Aが上向きとなるように導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を配置し、グラファイトフィルム50全体を覆うように導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を導電性接着シート付きグラファイトフィルム200の表面200A上に置き、10cm×12cmのサイズにカットした。これにより、図4Dに示すグラファイト複合フィルム1を得た。
【0136】
[比較例2]
工程(1a1)において、第一の防錆処理層30を形成しなかった他は、比較例1と同様にしてグラファイト複合フィルム1を得た。
【0137】
[電磁波シールド性試験]
得られたグラファイト複合フィルム1から第一の剥離シート70を剥離し、グラファイト複合フィルム1の表面1Aと被着体の表面とを接触加圧して密着し、サンプル1を得た。このサンプル1に、40℃、95%RH、250時間の暴露条件で暴露処理を実施し、実施例1〜2及び比較例1〜2の各々のグラファイト複合フィルム1についてサンプル2を得た。
【0138】
暴露処理を105℃とした他は、サンプル2と同様にして、サンプル3を得た。
【0139】
[電磁波シールド性の測定]
被着体から剥離した各サンプル1、2、3の、500MHzの周波数帯域での電界シールド性能と磁界シールド性能とを、それぞれ一般社団法人KEC関西電子工業振興センターのKEC法に準拠して測定した。
【0140】
サンプル1、2及び3の電界シールド性能及び磁界シールド性能の測定結果を表1に示す。
【0141】
【表1】
【0142】
(第三実施形態)
[グラファイト複合フィルム1]
図6Aは、本実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の本体部の概略断面図である。図6Bは、グラファイト複合フィルム1の端部の概略断面図である。
【0143】
本実施形態に係るグラファイト複合フィルム1は、図6Aに示すように、第二の導電性接着層60と、グラファイト層50と、第一の導電性接着層40と、金属層20と、保護フィルム10と、防錆処理層31とを有する。金属層20は、第一の金属を含む。第二の導電性接着層60と、グラファイト層50と、第一の導電性接着層40と、金属層20と、保護フィルム10とがこの順に積層されている。防錆処理層31は、第一の導電性接着層40と金属層20との間に介在している。さらに、第一の剥離シート70が第二の導電性接着層60の表面60Aに取り付けられている。
【0144】
グラファイト複合フィルム1はこのような構成であるので、被着体に貼り付けるだけで、電磁機器の熱対策及び電磁ノイズ対策を同時に実現できる。すなわち、熱伝導性に優れるグラファイト層50を有するので、被着体の熱をグラファイト複合フィルム1の面方向に放散させて、被着体の温度を低下させることができる。面方向とは、グラファイト層50の厚み方向に対して垂直な方向をいう。また、金属層20を有するので、金属層20に当たる電磁波を反射させることができる。これは、金属層20に電磁波が当たると、金属層20内に電磁誘導により渦電流が生じ、これが電磁波を反射するためと推測される。特に、被着体が導電性を有する場合、金属層20は被着体と電気的に接続されて接地されるので、金属層20内に生じた渦電流は被着体へ解放(グランド)され、より優れた電磁波シールド性を発現する。
【0145】
さらに、防錆処理層31が、第一の導電性接着層40と金属層20との間に介在しているので、金属層20の防錆処理層31が配置される側の第一面20Aが変色(以下、腐食)しにくく、電磁波シールド性が劣化しにくい。これは、防錆処理層31が金属層20の腐食の進行を抑制することで、金属層20のシート抵抗が経時的に上昇しにくくなり、発生した渦電流のエネルギーが熱エネルギーに変換されにくくなるためと推測される。
【0146】
グラファイト複合フィルム1の端面1Eにおいて、図6Bに示すように、グラファイト層50の端面50Eは露出していない。すなわち、グラファイト層50の端面50Eは第一の導電性接着層40及び第二の導電性接着層60で覆われている。これにより、グラファイト層50内の層間剥離に起因するグラファイト複合フィルム1の断裂を防ぐと同時に、グラファイト層50の粉落ちを防ぐことができる。
【0147】
グラファイト複合フィルム1の厚みは好ましくは15μm以上800μm以下である。グラファイト複合フィルム1の厚さは、グラファイト複合フィルム1の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得られた画像に基づいて測定することができる。以下のグラファイト複合フィルム1を構成する各層の厚さも同様に測定することができる。
【0148】
グラファイト複合フィルム1は、例えば、使用直前に第一の剥離シート70をグラファイト複合フィルム1から剥離して、被着体に貼り付けて使用することができる。被着体としては、例えば、電子機器の筐体内部に配置された電子部品などが挙げられる。電子部品としては、例えば、液晶ユニットの背面シャーシ、液晶画像表示装置のバックライトなどに使用される発光ダイオード(LED)光源を備えたLED基板、パワーアンプ、大規模集積回路(LSI)などが挙げられる。第一の剥離シート70としては、紙、樹脂フィルム、紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面又は両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したものなどを用いることができる。ここで、紙としては、クラフト紙、グラシン紙、上質紙などが挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。
【0149】
本実施形態に係るグラファイト複合フィルム1は、第二の導電性接着層60、グラファイト層50、第一の導電性接着層40、防錆処理層31、金属層20、及び保護フィルム10がこの順に積層された構成を有する。しかし、本開示はこれに限定されず、グラファイト層50、第一の導電性接着層40、防錆処理層31、金属層20、及び保護フィルム10がこの順に配置された構成であればよく、これらの層の間には、本発明の効果を阻害しない層が積層されていてもよい。本実施形態は、グラファイト層50の端面50Eは第一の導電性接着層40及び第二の導電性接着層60で覆われているが、本開示はこれに限定されず、グラファイト層50の端面50Eは露出していてもよい。また、本実施形態では、図6Bに示すように、金属層20の端面は露出しているが、本開示はこれに限定されず、金属層20の端面は保護フィルム10で覆われていてもよい。金属層20の端面が保護フィルム10で覆われることで、金属層20の端面は腐食しにくくなり、グラファイト複合フィルム1の電磁波シールド性がより劣化しにくくなる。
【0150】
(保護フィルム10)
グラファイト複合フィルム1は、保護フィルム10を備える。これにより、金属層20の保護フィルム10が配置される側の第二面20Bの酸化の進行を抑止することができるとともに、金属層20の第二面20Bに傷が付くことなどを防止することができる。さらに、グラファイト複合フィルム1の表面1Bに電気的絶縁性を付与することができる。
【0151】
保護フィルム10の原料としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、オレフィン系樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリアクリロニトリル、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド、ポリスルフィド、ポリウレタン、酢酸ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、脂肪族ポリアミド、合成ゴム、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコールなどを用いることができる。必要に応じて、保護フィルム10は、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、可塑剤、滑剤などをさらに含有してもよい。保護フィルム10の厚さは、好ましくは0.5μm以上200μm以下である。
【0152】
グラファイト複合フィルム1の厚み方向Tから見た保護フィルム10の表面形状はベタ状である。すなわち、保護フィルム10の厚み方向Tから見て、保護フィルム10がグラファイト複合フィルム1の表面の全領域に隙間なく設けられた状態であり、金属層20は露出していない。
【0153】
(金属層20)
グラファイト複合フィルム1は、金属層20を備える。これにより、グラファイト複合フィルム1は電磁波シールド性を有する。
【0154】
金属層20は、第一の金属を含む。第一の金属としては、グラファイト複合フィルム1の原料に応じて適宜選択すればよく、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、黄銅、カリウム、リチウム、鉄、白金、スズ、クロム、鉛、チタンなどを用いることができる。なかでも、第一の金属は、グラファイト複合フィルム1の電磁波シールド性を向上させるなどの点から、グラファイト複合フィルム1の原料の中で体積固有抵抗が低い原料であることが好ましく、銅であることがより好ましい。
【0155】
金属層20の厚さは、好ましくは0.10μm以上5.00μm以下、より好ましくは0.50μm以上2.00μm以下である。
【0156】
本実施形態では、金属層20の厚み方向Tから見た表面形状はベタ状であるが、本開示はこれに限定されない。その例として、メッシュ状、ワイヤー状などをさらに挙げることができる。
【0157】
(防錆処理層31)
グラファイト複合フィルム1は、防錆処理層31を備える。防錆処理層31は、第一の導電性接着層40と金属層20との間に介在している。これにより、金属層20の第一面20Aが腐食しにくくなる。これは、防錆処理層31により、主として、第一の導電性接着層40中に含まれる水分及び酸素の成分などが金属層20の表面に到達しにくくなり、金属層20の原料と、第一の導電性接着層40中の成分との電気化学反応が進行しにくいためと推測される。
【0158】
防錆処理層31としては、例えば、有機皮膜、金属皮膜などを用いることができる。
【0159】
有機皮膜としては、金属層20の原料に応じて適宜調整すればよく、例えば、ベンゾトリアゾール皮膜、トリアジンアミン皮膜、メルカプトベンゾイミダゾール皮膜、チオジプロピオン酸エステル皮膜、ベンゾイミダゾール皮膜などが挙げられる。なかでも、第一の金属が銅である場合、有機皮膜はベンゾトリアゾール皮膜であることが好ましい。有機皮膜がベンゾトリアゾール皮膜であれば、銅からなる金属層20は腐食しにくくなる。
【0160】
ベンゾトリアゾール皮膜は、主に銅イオンと、ベンゾトリアゾールアニオン又はベンゾトリアゾール誘導体アニオンとの重合錯体皮膜であると推測される。ベンゾトリアゾール皮膜の原料としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体などを用いることができる。ベンゾトリアゾールの誘導体としては、例えば、ベンゾトリアゾール、2−(5−メチルー2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、1、2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールなどを用いることができる。トリアジンアミン皮膜の原料としては、例えば、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンなどを用いることができる。メルカプトベンゾイミダゾール皮膜の原料としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾールなどを用いることができる。チオジプロピオン酸エステル皮膜の原料としては、例えば、ジステアリル−3、3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネートなどを用いることができる。ベンゾイミダゾール皮膜の原料としては、例えば、2−メチルベンゾイミダゾール、5−メチルベンゾイミダゾール、1−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−メチルベンゾイミダゾール−3−オキシド、2−アミノベンゾイミダゾールなどを用いることができる。
【0161】
金属皮膜の原料としては、例えば、亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウムなどの純金属;これら純金属を含んでなる合金などを用いることができる。なかでも、第一の金属が銅である場合、金属皮膜は亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選択された少なくとも一つの第二の金属を含むことが好ましい。金属皮膜が第二の金属からなれば、銅からなる金属層20は腐食しにくくなる。
【0162】
防錆処理層31の厚さT30は、金属層20の厚さT20以下であることが好ましい。これにより、グラファイト複合フィルム1のフレキシブル性を確保できると同時に、グラファイト複合フィルム1を軽量化することができる。具体的に、防錆処理層31の厚さT30は、好ましくは0.002μm以上0.100μm以下、より好ましくは0.002μm以上0.040μm以下である。グラファイト複合フィルム1の厚み方向Tから見た防錆処理層31の表面形状はベタ状である。
【0163】
(第一の導電性接着層40)
グラファイト複合フィルム1は、第一の導電性接着層40を備える。これにより、防錆処理層31と、グラファイト層50とを、接着固定できると同時に電気的に接続できる。
【0164】
第一の導電性接着層40は、図6Aに示すように、第一の粘着層41、第一の金属基材42及び第二の粘着層43がこの順で積層された構成を有する。第一の導電性接着層40は、第一の金属基材42を含むので、第一の導電性接着層40は導電性に優れる。第一の導電性接着層40の厚みは、好ましくは2μm以上300μm以下である。グラファイト複合フィルム1の厚み方向Tから見た第一の導電性接着層40の表面形状はベタ状である。
【0165】
第一の粘着層41は、導電性及び粘着性を有する導電性粘着剤からなる。導電性粘着剤としては、例えば、重合体及び導電性フィラーを含有し、必要に応じて、架橋剤、添加剤、溶剤をさらに含有してもよい。重合体としては、アクリル系重合体、ゴム系重合体、シリコーン系重合体、ウレタン系重合体などを用いることができる。なかでも、グラファイト複合フィルム1を発熱材に貼付した場合であっても熱の影響による剥がれを起こしにくい点で、アクリル系重合体及びゴム系重合体を用いることが好ましい。アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル単量体などのビニル単量体を重合して得られるものを用いることができる。導電性フィラーとしては、例えば、金属系フィラー、カーボン系フィラー、金属複合系フィラー、金属酸化物系フィラー、チタン酸カリウム系フィラーなどを用いることができる。金属系フィラーの原料としては、銀、ニッケル、銅、スズ、アルミニウム、ステンレスなどが挙げられる。カーボン系フィラーの原料としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛などを用いることができる。金属複合系フィラーの原料としては、アルミニウムコートガラス、ニッケルコートガラス、銀コートガラス、ニッケルコート炭素などを用いることができる。金属酸化物系フィラーの原料としては、アンチモンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アルミニウムドープ酸化亜鉛などを用いることができる。導電性フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、粉末、フレーク、繊維などが挙げられる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤などを用いることができる。添加剤としては、第一の粘着層41の粘着力をより一層向上させることを目的として、粘着付与樹脂を使用することができる。粘着付与樹脂としては、例えばロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族(C5系)又は芳香族(C9系)などの石油樹脂、スチレン系樹脂フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、メタクリル系樹脂などを用いることができる。第一の粘着層41の厚みは、好ましくは0.2μm以上50μm以下、より好ましくは2μm以上20μm以下である。
【0166】
第一の金属基材42の原料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、錫、これらの合金などを用いることができる。なかでも、第一の金属基材42の原料は、柔軟性、熱導電性などの点で、アルミニウム又は銅であることが好ましく、金属の不動態化により腐食が進行しにくいなどの点でアルミニウムがさらに好ましい。アルミニウムからなる金属基材としては、硬質アルミニウムからなる硬質アルミニウム基材、軟質アルミニウムからなる軟質アルミニウム基材を用いることができる。硬質アルミニウム基材は、アルミニウムを圧延して得たアルミ箔からなる。軟質アルミニウム基材は、アルミニウムを圧延し、焼鈍処理をして得られたアルミニウム箔からなる。銅からなる金属基材としては、例えば電解銅からなる基材、圧延銅からなる基材を用いることができる。第一の金属基材42の厚みは、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
【0167】
第二の粘着層43は、導電性及び粘着性を有し、例えば、重合体及び導電性フィラーを含有する。第二の粘着層43は、第一の粘着層41と同様の構成である。
【0168】
本実施形態では、第一の導電性接着層40は、図6Aに示すように、第一の粘着層41、第一の金属基材42及び第二の粘着層43がこの順で積層された構成を有するが、本開示はこれに限定されない。その例として、第一の導電性接着層40は導電性樹脂からなる単層であってもよい。また、本実施形態では、第二の粘着層43は第一の粘着層41と同じ構成であるが、本開示ではこれに限定されず、導電性及び粘着性を有すれば、第一の粘着層41と異なる構成であってもよい。
【0169】
(グラファイト層50)
グラファイト複合フィルム1は、グラファイト層50を備える。これにより、被着体の熱を効率良く伝導し放散することができると同時に、グラファイト複合フィルム1の電磁シールド性を向上させることができる。
【0170】
グラファイト層50は、面方向において優れた電気伝導性及び熱伝導性を有する。グラファイト層50の原料としては、例えば、炭素の層状結晶体グラファイト(黒鉛);黒鉛を母体とし、その層間に化学種が侵入して形成された黒鉛層間化合物(Graphite Intercalation Compound)などを用いることができる。化学種としては、例えば、カリウム、リチウム、臭素、硝酸、塩化鉄(III)、六塩化タングステン、五フッ化ヒ素などが挙げられる。また、グラファイト層50は、例えば、グラファイトフィルムを1枚又は複数枚を積層したものであってもよい。グラファイトフィルムとしては、例えば、高分子フィルムを高温で焼成して生成された熱分解性グラファイトシートや、膨張グラファイト法により生成された膨張グラファイトシートなどを用いることができる。なかでも、熱伝導率が高く、軽量で柔軟性があり、加工が容易であるなどの点で、グラファイトフィルムとして、高分子フィルムを高温で焼成して生成された熱分解性グラファイトシートを用いることが好ましい。高分子フィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなどの耐熱性の芳香族高分子などを用いることができる。高分子フィルムを焼成する温度は、好ましくは2600℃以上3000℃以下である。膨張グラファイト法は、天然グラファイト鉛を硫酸などの強酸で処理することで層間化合物を形成させ、これを加熱及び膨張させた際に生じる膨張グラファイトを圧延してシート状にする方法である。グラファイトフィルムの厚みは、好ましくは10μm以上100μm以下である。
【0171】
熱分解性グラファイトシートの熱伝導率は、a−b面方向が好ましくは700W/(m・K)以上1950W/(m・K)以下、c軸方向が好ましくは8W/m・K以上15W/(m・K)以下である。熱分解性グラファイトシートの密度は、好ましくは0.85g/cm以上2.13g/cm以下である。このような熱分解性グラファイトシートとしては、例えば、パナソニック株式会社製の「PGS(登録商標)グラファイトシート」を用いることができる。
【0172】
グラファイト層50の厚みは、好ましくは5μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上200μm以下である。グラファイト複合フィルム1の厚み方向Tから見たグラファイト層50の表面形状はベタ状である。
【0173】
(第二の導電性接着層60)
グラファイト複合フィルム1は、第二の導電性接着層60を備える。これにより、グラファイト複合フィルム1を被着体に密着させることができ、グラファイト複合フィルム1の優れた放熱性を発現させやすくなると同時に、グラファイト層50と被着体とを電気的に接続することができる。このように、金属層20と被着体とは電気的に接続されるので、被着体が導電性を有する場合、グラファイト複合フィルム1の電磁波シールド性はより優れる。
【0174】
第二の導電性接着層60は、図6Aに示すように、第三の粘着層61、第二の金属基材62及び第四の粘着層63がこの順で積層されてなる。第二の導電性接着層60の構成は、第一の導電性接着層40と同様の構成である。
【0175】
本実施形態では、第二の導電性接着層60は、図6Aに示すように、第三の粘着層61、第二の金属基材62及び第四の粘着層63がこの順で積層されてなるが、本開示はこれに限定されない。その例として、第二の導電性接着層60は導電性樹脂からなる単層であってもよい。また、本実施形態では、第二の導電性接着層60の構成は、第一の導電性接着層40と同様の構成であるが、本開示はこれに限定されず、導電性及び粘着性を有すれば、第一の導電性接着層40と異なる構成であってもよい。
【0176】
[本実施形態に係るグラファイト複合フィルムの製造方法]
図7A図7Iは、本実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の製造方法を説明するための概略断面図である。具体的に、図7A図7Eは、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する工程(2A)を説明するための概略断面図である。図7F及び図7Gは、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を準備する工程(2B)を説明するための概略断面図である。図7H及び図7Iは、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200をラミネートする工程(2C)を説明するための概略断面図である。図7A図7Iにおいて、図6Aに示す実施形態の構成部材と同一の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。具体的に、グラファイトフィルム50はグラファイト層50に対応し、第一の導電性接着シート40は第一の導電性接着層40に対応し、第二の導電性接着シート60は第二の導電性接着層60に対応する。
【0177】
本実施形態に係るグラファイト複合フィルム1の製造方法は、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する工程(2A)と、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を準備する工程(2B)と、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200をラミネートする工程(2C)とを含み、工程(2A)、工程(2B)及び工程(2C)をこの順で行う。これにより、熱対策及び電磁ノイズ対策を同時に実現できるとともに、電磁波シールド性が劣化しにくいグラファイト複合フィルム1が得られる。
【0178】
工程(2A):第一面10A及び第二面10Bを有する保護フィルム10の第一面10Aに第一の金属を蒸着して金属層20を形成し、金属層20の第一面20Aに防錆処理を施して防錆処理層31を形成して金属蒸着フィルム110を準備する(以下、工程(2a1))。その後、この金属蒸着フィルム110の防錆処理層31の表面30Aに、第一の導電性接着シート40を配置してラミネートする(以下、工程(2a2))。
【0179】
工程(2B):第一面50A及び第二面50Bを有するグラファイトフィルム50の第一面50Aに、第二の導電性接着シート60を配置してラミネートする。
【0180】
工程(2C):導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を、第一の導電性接着シート40の表面43Aとグラファイトフィルム50の第二面50Bとが重なるように配置してラミネートする。
【0181】
本実施形態は、工程(2A)、工程(2B)及び工程(2C)をこの順で行うが、本開示はこれに限定されない。その例として、工程(2B)、工程(2A)及び工程(2C)をこの順に行ってもよい。
【0182】
〔工程(2A)〕
工程(2A)では、金属蒸着フィルム110を準備する工程(2a1)と、金属蒸着フィルム110と第一の導電性接着シート40とをラミネートする工程(2a2)とをこの順で行う。これにより、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を準備する。
【0183】
(工程(2a1))
工程(2a1)では、図7Aに示す保護フィルム10の第一面10Aに第一の金属を蒸着して、図7Bに示すような金属層20を形成し、金属層20の第一面20Aに防錆処理を施して図7Cに示すような防錆処理層31を形成する。この工程(2a1)を経て、図7Cに示す金属蒸着フィルム110が得られる。
【0184】
第一の金属を蒸着する方法は、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法の処理条件は、第一の金属の種類、金属層20の厚みなどに応じて、適宜調整すればよい。
【0185】
金属層20の第一面20Aに防錆処理を施す方法としては、防錆処理層31の原料に応じて、次のように適宜調整すればよい。
【0186】
防錆処理層31が有機皮膜である場合、金属層20の第一面20Aに防錆処理を施す方法としては、例えば、上述した有機皮膜の原料を溶媒に添加して防錆処理液を得、この防錆処理液を金属層20の第一面20Aに塗装し、乾燥させる方法などが挙げられる。有機皮膜の原料の添加量は、防錆処理層31の厚みなどに応じて適宜調整すればよい。溶媒としては、有機皮膜の原料に応じて、適宜調整すればよく、例えば、水、イソプロプレンアルコールなどが挙げられる。防錆処理液は、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えばカルボン酸無水物などが挙げられる。カルボン酸無水物としては、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水プロピオン酸、無水フタル酸を用いることができる。防錆処理液の塗装方法としては、特に限定されず、例えば、ローラー塗装、ロールコーター塗装、スピンコーター塗装、カーテンロールコーター塗装、スリットコーター塗装、スプレー塗装、浸漬塗装などが挙げられる。防錆処理液を乾燥させる際、必要に応じて加熱してもよい。
【0187】
防錆処理層31が金属皮膜である場合、金属層20の第一面20Aに防錆処理を施す方法としては、金属皮膜の原料、防錆処理層31の厚みなどに応じて適宜調整すればよく、例えば、電気めっき法、無電解めっき法、物理蒸着法、化学蒸着法などが挙げられる。物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。防錆処理を施す際の処理条件などは、金属皮膜の原料、防錆処理層31の厚みなどに応じて適宜調整すればよい。
【0188】
工程(2a1)では、例えば、長尺状の保護フィルム10を第一の金属を蒸着する製造工程へ連続的に繰り出し、第一の金属を蒸着する製造工程及び防錆処理を施す製造工程をこの順に経由させ、金属蒸着フィルム110を連続的に製造してもよい。
【0189】
(工程(2a2))
工程(2a2)では、図7Dに示すように、金属蒸着フィルム110の防錆処理層31の表面30Aに第一の導電性接着シート40を配置してラミネートする。この際、図7Dに示すように、取扱い性に優れるなどの点で、第一の導電性接着シート40の表面43Aに、第二の剥離シート120が取り付けられている。この工程(2a2)を経て、図7Eに示す、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100が得られる。
【0190】
図7Dに示す第二の剥離シート120が取り付けられた第一の導電性接着シート40の製造方法としては、例えば、以下の工程を含む方法などが挙げられる。
・第三の剥離シートの表面上に、導電性粘着剤を塗布して第一の粘着層41を形成する工程。
・第二の剥離シート120の表面120A上に、導電性粘着剤を塗布し、乾燥して第二の粘着層43を形成する工程。
・第一面42A及び第二面42Bを有する第一の金属基材42の第一面42Aに第一の粘着層41を、第二面42Bに第二の粘着層43をそれぞれ貼り合わせて積層フィルムとし、養生させた後、この積層フィルムから第三の剥離シートを剥離する工程。
【0191】
導電性粘着剤の塗布方法としては、ロールコーター、ダイコーターなどを用いる方法などが挙げられる。
【0192】
導電性粘着剤が溶剤を含有する場合には、50℃〜120℃程度の環境下で乾燥して溶媒を除去することが好ましい。養生の処理条件は、処理温度が好ましくは15℃以上50℃以下、処理時間が好ましくは48時間以上168時間以内である。第二の剥離シート120及び第三の剥離シートの構成は、第一の剥離シート70と同様の構成である。
【0193】
金属蒸着フィルム110と、第一の導電性接着シート40とをラミネートする方法としては、例えば、金属蒸着フィルム110の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとが対向するように、金属蒸着フィルム110及び第一の導電性接着シート40を配置する。そして、金属蒸着フィルム110の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとを接触加圧して密着させる方法などが挙げられる。
【0194】
工程(2a2)では、例えば、長尺状の金属蒸着フィルム110及び長尺状の第一の導電性接着シート40を一対のロール間に繰り出し、一対のロール間に挟み込んで金属蒸着フィルム110及び第一の導電性接着シート40を面接触させることでラミネートし、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を連続的に製造してもよい。
【0195】
本実施形態では、第一の導電性接着シート40の表面43Aに第二の剥離シート120が取り付けられているが、本開示はこれに限定されず、第一の導電性接着シート40の表面43Aに第二の剥離シート120が取り付けられていなくてもよい。
【0196】
〔工程(2B)〕
工程(2B)では、図7Fに示すように、第一面50A及び第二面50Bを有するグラファイトフィルム50の第一面50Aに第二の導電性接着シート60を配置してラミネートする。この際、図7Fに示すように、取扱い性に優れるなどの点で、第二の導電性接着シート60の表面63Aに、第一の剥離シート70が取り付けられている。この工程(2B)を経て、図7Gに示す、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200が得られる。
【0197】
図7Fに示す第一の剥離シート70が取り付けられた第二の導電性接着シート60の製造方法としては、例えば、上述した図7Dに示す第二の剥離シート120が取り付けられた第一の導電性接着シート40の製造方法と同様の方法が挙げられる。
【0198】
グラファイトフィルム50と第二の導電性接着シート60とをラミネートする方法としては、例えば、図7Fに示すように、第二の導電性接着シート60の表面61Aが上向きとなるように第二の導電性接着シート60を配置し、所定の寸法にカットされたグラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61A上に置く方法などが挙げられる。カットされたグラファイトフィルム50の寸法は、図7Iに示すように、グラファイトフィルム50の全体が導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200で覆われる寸法であればよい。グラファイトフィルム50の全体を導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200で覆うことで、グラファイト層50内の層間剥離に起因するグラファイト複合フィルム1の断裂を防ぐとともに、グラファイト層50の粉落ちを防ぐことができる。
【0199】
工程(2B)では、例えば、第二の導電性接着シート60を連続的にラミネート製造工程へ繰り出し、カットされたグラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61Aに所定間隔を空けて連続的に置くことで、連続的に導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を製造してもよい。
【0200】
本実施形態では、カットされたグラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61A上に置いてラミネートするが、本開示はこれに限定されず、長尺状のグラファイトフィルム50及び長尺状の第二の導電性接着シート60をそれぞれ連続的に一対のロール間へ繰り出し、一対のロール間に挟み込んでグラファイトフィルム50及び第二の導電性接着シート60を面接触させることでラミネートしてもよい。
【0201】
〔工程(2C)〕
工程(2C)では、図7Hに示すように、導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を、第一の導電性接着シート40の表面43Aとグラファイトフィルム50の第二面50Bとが重なるように配置してラミネートする。この際、図7Hに示すように、第二の剥離シート120は剥離されており、第一の剥離シート70はグラファイト複合フィルム1の取扱い性に優れるなどの点で、取り付けられたままである。この工程(2C)を経て、図7Iに示す、グラファイト複合フィルム1が得られる。
【0202】
導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100と、導電性接着シート付きグラファイトフィルム200とをラミネートする方法としては、例えば、図7Hに示すように、グラファイトフィルム50が配置された側の面200Aが上向きとなるように導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を配置する。その後、グラファイトフィルム50全体を覆うように導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を導電性接着シート付きグラファイトフィルム200の表面200A上に置く方法などが挙げられる。
【0203】
工程(2C)では、例えば、長尺状の導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び長尺状の導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を一対のロール間に繰り出す。その後、一対のロール間に挟み込んで導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100及び導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を面接触させることでラミネートし、必要なサイズにカットすることで、グラファイト複合フィルム1を連続的に製造してもよい。
【0204】
本実施形態では、工程(2A)、工程(2B)及び工程(2C)を含むが、本開示はこの積層順に限定されず、例えば、以下の方法が挙げられる。金属蒸着フィルム110、第一の導電性接着シート40、グラファイトフィルム50、及び第二の導電性接着シート60を同時にラミネートすることで、グラファイト複合フィルム1を製造する方法が挙げられる。第一の導電性接着シート40、グラファイトフィルム50、及び第二の導電性接着シート60をラミネートすることで積層フィルムを得、得られた積層フィルムと、金属蒸着フィルム110とをラミネートすることで、グラファイト複合フィルム1を製造する方法が挙げられる。また、金属蒸着フィルム110、第一の導電性接着シート40及びグラファイトフィルム50をラミネートすることで積層フィルムを得、得られた積層フィルムと、第二の導電性接着シート60とをラミネートすることで、グラファイト複合フィルム1を製造する方法などが挙げられる。
【0205】
以下、本開示を実施例によって具体的に説明する。
【0206】
[実施例3]
〔工程(2A)〕
(工程(2a1))
保護フィルム10として、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製の「CX40」、主な原料:PET、厚み:6μm)を準備した。第一の金属として銅(日立マテリアル社製の無酸素銅)を用いて真空蒸着法により、保護フィルム10の第一面10Aに蒸着して図7Bに示すような金属層20(厚み:1μm)を形成した。次いで、防錆剤(東栄化成株式会社製のシーアイガード「GW−172P」)を金属層20の第一面20Aにローラー塗装して、乾燥し、図7Cに示すような防錆処理層31(厚み:4nm)を形成した。これにより、図7Cに示す金属蒸着フィルム110を得た。
【0207】
(工程(2a2))
第二の剥離シート120が取り付けられた第一の導電性接着シート40として、導電性両面接着シート(DIC株式会社製のDAITAC(登録商標)「#8506ADW−10−H2」、金属基材:アルミニウムからなる基材、厚み:10μm)の一方の面41Aから剥離シートを剥離したシートを準備した。
【0208】
図7Dに示すように、金属蒸着フィルム110の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとが対向するように、金属蒸着フィルム110及び第一の導電性接着シート40を配置し、金属蒸着フィルム110の表面30Aと、第一の導電性接着シート40の表面41Aとを接触加圧して密着させた。これにより、図7Eに示す導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を得た。
【0209】
〔工程(2B)〕
第一の剥離シート70が取り付けられた第二の導電性接着シート60として、第一の導電性接着シート40と同じ製品である導電性両面接着シートの一方の面61Aから剥離シートを剥離したシートを準備した。グラファイトフィルム50として、10cm×12cmのサイズカットしたグラファイトフィルム(パナソニック株式会社製の「PGS(登録商標)グラファイトシート」、厚み:25μm)を準備した。
【0210】
図7Fに示すように、第二の導電性接着シート60の表面61Aが上向きとなるように第二の導電性接着シート60を配置し、グラファイトフィルム50を第二の導電性接着シート60の表面61A上に置いた。これにより、図7Gに示す導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を得た。
【0211】
〔工程(2C)〕
図7Hに示すように、グラファイトフィルム50が配置された側の面200Aが上向きとなるように導電性接着シート付きグラファイトフィルム200を配置し、グラファイトフィルム50全体を覆うように導電性接着シート付き金属蒸着フィルム100を導電性接着シート付きグラファイトフィルム200の表面200A上に置き、10cm×12cmのサイズにカットした。これにより、図7Iに示すグラファイト複合フィルム1を得た。
【0212】
[比較例3]
工程(2a1)において、防錆処理層31を形成しなかった他は、実施例3と同様にしてグラファイト複合フィルム1を得た。
【0213】
[電磁波シールド性試験]
得られたグラファイト複合フィルム1から第一の剥離シート70を剥離し、グラファイト複合フィルム1の表面1Aと被着体の表面とを接触加圧して密着し、サンプル1を得た。このサンプル1に、40℃、95%RH、250時間の暴露条件で暴露処理を実施し、実施例3及び比較例の各々のグラファイト複合フィルムについてサンプル2を得た。
【0214】
暴露処理を105℃とした他は、サンプル2と同様にして、サンプル3を得た。
【0215】
〔電磁波シールド性の測定〕
被着体から剥離した各サンプル1,2,3の、500MHzの周波数帯域での電界シールド性能と磁界シールド性能とを、それぞれ一般社団法人KEC関西電子工業振興センターのKEC法に準拠して測定した。
【0216】
サンプル1,2及び3の電界シールド性能及び磁界シールド性能の測定結果を表2に示す。
【0217】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0218】
本開示にかかる発明によれば、熱対策及び電磁ノイズ対策を同時に実現できるとともに、電磁波シールド性が劣化しにくいグラファイト複合フィルムを得ることができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0219】
1 グラファイト複合フィルム
10 保護フィルム
20 金属層
30 第一の防錆処理層
31 防錆処理層
40 第一の導電性接着層(第一の導電性接着シート)
41 第一の粘着層
42 第一の金属基材
43 第二の粘着層
50 グラファイト層(グラファイトフィルム)
60 第二の導電性接着層(第二の導電性接着シート)
61 第三の粘着層
62 第二の金属基材
63 第四の粘着層
70 第一の剥離シート
80 第二の防錆処理層
100 導電性接着シート付き金属蒸着フィルム
110 金属蒸着フィルム
120 第二の剥離シート
200 導電性接着シート付きグラファイトフィルム
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
【国際調査報告】