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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月9日
【発行日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/26 20060101AFI20191018BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20191018BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20191018BHJP
【FI】
   H01M2/26 A
   H01M10/04 W
   H01M10/0585
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】特願2018-566030(P2018-566030)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年1月17日
(31)【優先権主張番号】特願2017-15654(P2017-15654)
(32)【優先日】2017年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 良徳
(72)【発明者】
【氏名】辻 智輝
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正信
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H028AA07
5H028BB04
5H028BB07
5H028CC05
5H028CC10
5H028CC12
5H028CC13
5H028CC26
5H028EE06
5H029AJ03
5H029AJ06
5H029AK03
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ03
5H029CJ07
5H029DJ01
5H029DJ05
5H029DJ12
5H029DJ13
5H029EJ12
5H029HJ12
5H043AA03
5H043AA05
5H043BA11
5H043BA12
5H043BA16
5H043BA17
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA04
5H043CA12
5H043DA03
5H043EA07
5H043HA05
5H043HA12
5H043JA21
5H043KA22
5H043KA23
5H043KA26
5H043KA30
5H043KA33
5H043KA34
5H043KA35
5H043KA44
5H043KA44E
5H043LA21
5H043LA22
(57)【要約】
非水電解質二次電池は、電極体と、非水電解液と、電極体及び非水電解液を収容する金属製の外装体と、電極体と外装体との間に設けられた押圧部材とを備える。電極体の外周面には、負極を構成する負極集電体の表面が露出した露出部が設けられている。そして、押圧部材は、非水電解液を吸液して膨張し、電極体の露出部を外装体の内面に押し付けている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体及び当該集電体上に形成された正極活物質層を含む正極と、負極集電体及び当該集電体上に形成された負極活物質層を含む負極と、セパレータとを有し、前記正極と前記負極が前記セパレータを介して渦巻状に巻回された電極体と、
電解液と、
前記電極体及び前記電解液を収容する金属製の外装体と、
前記電極体と前記外装体との間又は前記電極体内に設けられた押圧部材と、
を備え、
前記電極体の外周面には、前記正極集電体又は前記負極集電体の表面が露出した露出部が設けられ、
前記押圧部材は、前記電解液を吸液して膨張し、前記電極体の前記露出部を前記外装体の内面に押し付けている、二次電池。
【請求項2】
前記電極体の前記外周面には、前記負極集電体の表面が露出しており、
前記押圧部材は、前記負極集電体の表面を前記外装体の内面に押し付けている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記電解液を吸液して膨張するテープ基材と、前記テープ基材の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とで構成されたテープである、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記電極体は、前記押圧部材と径方向反対側に位置する前記露出部が前記外装体の内面に押し付けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記外装体は、有底円筒形状を有し、
前記電極体は、その中心軸が前記外装体の中心軸からずれた状態で前記外装体内に収容されている、請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記電極体内に設けられ、
前記電極体の前記露出部のうち、前記押圧部材と前記外装体の内面との間に位置する部分が当該内面に押し付けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記押圧部材は、導電材を含み、前記電極体の前記露出部及び前記外装体の内面に当接している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記電極体の径方向の断面において、前記露出部及び前記押圧部材、又は前記露出部の表面上の2点において、前記外装体の内面と当接する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、巻回型の電極体の外周面に負極集電体の表面が露出した露出部を設け、負極端子となる金属製の外装体の内面に当該露出部を接触させた構造を有する二次電池が開示されている。この場合、電極体の外側に負極リードを取り付ける必要がないため、電極体の体積を大きくして電池の高容量化を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−82646号公報
【特許文献2】国際公開第2012/042830号公報
【発明の概要】
【0004】
しかし、上記構造を有する特許文献1,2の電池では、電極体の外周面と外装体の内面との良好な接触状態を維持することは容易ではなく、集電性が低下して内部抵抗が上昇するといった問題がある。また、内部抵抗のばらつきも大きくなる。特許文献2の電池は、内部抵抗の上昇を抑制するために電極体の内側に負極リードを備えるが、内部抵抗のばらつきの抑制、高容量化等の観点から改良の余地がある。
【0005】
本開示の一態様である二次電池は、正極集電体及び当該集電体上に形成された正極活物質層を含む正極と、負極集電体及び当該集電体上に形成された負極活物質層を含む負極と、セパレータとを有する。そして、前記正極と前記負極が前記セパレータを介して渦巻状に巻回された電極体と、電解液と、前記電極体及び前記電解液を収容する金属製の外装体と、前記電極体と前記外装体との間又は前記電極体内に設けられた押圧部材とを備える。前記電極体の外周面には、前記正極集電体又は前記負極集電体の表面が露出した露出部が設けられ、前記押圧部材は、前記電解液を吸液して膨張し、前記電極体の前記露出部を前記外装体の内面に押し付けている。
【0006】
本開示の一態様によれば、高容量で、かつ内部抵抗及びそのばらつきが小さい二次電池を提供することができる。本開示の一態様である二次電池によれば、例えば負極リードを用いなくても良好な集電性を確保できるため、電池の高容量化を図りながら、内部抵抗の上昇を抑制でき、内部抵抗のばらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の一例である二次電池の軸方向断面図である。
図2】実施形態の一例である二次電池の径方向断面図である。
図3】実施形態の一例である二次電池において、電解液の注液前の状態を示す図である。
図4】実施形態の他の一例である二次電池を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の一例について詳細に説明する。
【0009】
実施形態の説明で参照する図面は模式的に記載されたものであるから、各構成要素の寸法比率等は以下の説明を参酌して判断されるべきである。本明細書において「略〜」との用語は、略全域を例に説明すると、全域はもとより、実質的に全域と認められるものを含む意図である。
【0010】
実施形態の一例として、電解液に非水電解液を、外装体に円筒形の金属製ケースを備えた非水電解質二次電池10を例示するが、本開示の二次電池はこれに限定されない。本開示の二次電池は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池等の水系の電解液を用いた二次電池であってもよく、また角形の金属製ケースを備えた角形電池であってもよい。
【0011】
図1は、非水電解質二次電池10の軸方向断面図である。図1に例示するように、非水電解質二次電池10は、巻回型の電極体14と、非水電解液(図示せず)と、電極体14及び非水電解液を収容する金属製の外装体15とを備える。電極体14は、正極11と、負極12と、セパレータ13とを有し、正極11と負極12がセパレータ13を介して渦巻状に巻回された巻回構造を有する。以下では、説明の便宜上、電極体14の軸方向一方側(正極リード20が引き出される側)を「上」、軸方向他方側を「下」とする。
【0012】
非水電解液は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水溶媒には、例えばエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等のエステル類、1,3−ジオキソラン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いることができる。非水溶媒は、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体、例えばフルオロエチレンカーボネート(FEC)、フルオロプロピオン酸メチル(FMP)等を含有していてもよい。
【0013】
電極体14を構成する正極11、負極12、及びセパレータ13は、いずれも帯状に形成され、渦巻状に巻回されることで電極体14の径方向に交互に積層された状態となる。正極11は、正極集電体30と、正極集電体30上に形成された正極活物質層31とを含む。負極12は、負極集電体35と、負極集電体35上に形成された負極活物質層36とを含む。セパレータ13には、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。電極体14では、正極11、負極12、及びセパレータ13の長手方向が巻回方向(周方向)となり、幅方向が軸方向となる。
【0014】
本実施形態では、負極12が電極体14の外周面14bを構成している。そして、電極体14の外周面14bには、負極集電体35の表面が露出した露出部37が設けられている。詳しくは後述するが、電極体14の露出部37は、押圧部材40によって負極端子として機能する外装体15の内面に押し付けられる。
【0015】
電極体14には、正極11と正極端子を接続するための正極リード20が取り付けられる。正極リード20は、例えば正極集電体30の長手方向中央部に接合され、電極体14の上端から引き出されている。正極リード20の厚みは、例えば正極集電体30の厚みの3倍〜30倍であって、一般的に100μm〜300μmである。
【0016】
他方、電極体14は、負極リードを有さないことが好ましい。押圧部材40により、負極集電体35の表面(露出部37)が外装体15の内面に強く当接するため、負極リードを用いなくても負極12と負極端子との良好な集電性を確保できる。負極リードを用いないことで、例えばリードの厚み分、電極体14の体積を大きくでき、電池の高容量化を図ることができる。
【0017】
正極11は、上述のように、正極集電体30と、正極活物質層31とで構成される。正極活物質層31は、例えばアルミニウムを主成分とする金属の箔からなる正極集電体30の両面において、正極リード20が接合される部分を除く全域に形成される。正極活物質層31は、正極活物質、導電材、及び結着材を含むことが好ましい。正極活物質としては、Co、Mn、Ni等の遷移金属元素を含有するリチウム含有遷移金属酸化物が例示できる。リチウム含有遷移金属酸化物は、特に限定されないが、一般式Li1+xMO2(式中、−0.2<x≦0.2、MはNi、Co、Mn、Alの少なくとも1種を含む)で表される複合酸化物であることが好ましい。
【0018】
負極12は、上述のように、負極集電体35と、負極活物質層36とで構成される。負極活物質層36は、例えば銅を主成分とする金属の箔からなる負極集電体35の両面において、上記露出部37を除く全域に形成される。負極活物質層36は、負極活物質及び結着材を含むことが好ましい。負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できるものであれば特に限定されず、例えば天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、Si、Sn等のリチウムと合金化する金属、又はこれらを含む合金、複合酸化物などを用いることができる。
【0019】
露出部37は、電極体14の外周面14bの一部に設けられてもよいが、好ましくは外周面14bの略全域に設けられる。つまり、外周面14bの略全域に負極活物質層36を形成しないことが好ましい。この場合、外周面14bのいずれが外装体15の内面に接触しても、負極集電体35と当該内面が直接触れることになる。露出部37は、例えば電極体14の外側に位置する負極集電体35の長手方向一端から電極体14の周長の1周〜2周分程度の長さの範囲に設けられる。
【0020】
負極12は、リチウムの析出を防止するため、正極11よりも長く、幅広に形成される。そして、少なくとも正極11の正極活物質層31が形成された部分は、セパレータ13を介して負極12の負極活物質層36が形成された部分に対向配置される。図1に示す例では、電極体14の外側において、負極活物質層36が形成されていない負極集電体35が1周以上にわたって巻回されている。
【0021】
電極体14及び非水電解液を収容する外装体15は、ケース本体16と封口体17によって構成される金属製ケースである。非水電解質二次電池10は、電極体14の上下にそれぞれ設けられた絶縁板18,19を備える。正極リード20は絶縁板18の貫通孔を通って封口体17側に延び、封口体17の底板であるフィルタ22の下面に溶接される。非水電解質二次電池10では、フィルタ22と電気的に接続された封口体17の天板であるキャップ26が正極端子となる。そして、ケース本体16が負極端子となる。ケース本体16の外周面には、図示しない絶縁フィルムが装着されていてもよい。
【0022】
ケース本体16は、電極体14及び非水電解液を収容する有底円筒形状の金属製容器である。ケース本体16と封口体17の間にはガスケット27が設けられ、外装体15内の密閉性が確保されると共に、ケース本体16と封口体17の電気的接続が防止される。ケース本体16は、例えば側面部を外側からプレスして形成された、封口体17を支持する張り出し部21を有する。張り出し部21は、ケース本体16の周方向に沿って環状に形成されることが好ましく、その上面で封口体17を支持する。本実施形態では、電極体14の露出部37が、押圧部材40によってケース本体16の内周面16bに押し付けられている。
【0023】
封口体17は、電極体14側から順に、フィルタ22、下弁体23、絶縁部材24、上弁体25、及びキャップ26が積層された構造を有する。封口体17を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材24を除く各部材は互いに電気的に接続されている。下弁体23と上弁体25は各々の中央部で互いに接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材24が介在している。下弁体23には通気孔が設けられているため、異常発熱で電池の内圧が上昇すると、上弁体25がキャップ26側に膨れて下弁体23から離れることにより両者の電気的接続が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体25が破断し、キャップ26の開口部からガスが排出される。
【0024】
以下、図1図3を参照しながら、非水電解質二次電池10の構成、特に押圧部材40及びこれに関連する構成について、さらに詳説する。図2は非水電解質二次電池10の径方向断面図、図3は電解液の注液前の状態を示す図である。
【0025】
図1及び図2に例示するように、非水電解質二次電池10は、電極体14と外装体15のケース本体16との間に設けられた押圧部材40を備える。押圧部材40は、電解液を吸液して膨張し、電極体14の外周面14bに設けられた負極集電体35の露出部37を負極端子として機能するケース本体16の内周面16bに押し付ける機能を有する。本実施形態では、電極体14の外周面14b及びケース本体16の内周面16bに押圧部材40が強く当接している。押圧部材40を用いて電極体14を押圧することで、露出部37とケース本体16の内周面16bが強く接触し、負極リードを用いなくとも良好な集電性を確保できる。
【0026】
図3に例示するように、非水電解質二次電池10の製造過程では、例えば押圧部材40が外周面14bに貼着された電極体14がケース本体16内に挿入される。このとき、押圧部材40は非水電解液を吸液していない状態であり、押圧部材40が貼着された部分の電極体14の直径はケース本体16の内径よりも小さい。非水電解液は、電極体14が収容されたケース本体16内に注液される。これにより、押圧部材40が非水電解液を吸液して膨張し、露出部37をケース本体16の内周面16bに押し付ける。このように、押圧部材40は非水電解液を吸液して膨張するため、ケース本体16内への電極体14のスムーズな挿入を可能としながら、上述の良好な集電性を確保できる。
【0027】
押圧部材40は、例えば電極体14とケース本体16との間に設けられたテープであって、好ましくは電極体14の外周面14b又はケース本体16の内周面16bに貼着されるテープである。当該テープは、電解液を吸液して膨張するテープ基材と、テープ基材の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とで構成されることが好ましい。なお、押圧部材40は、テープに限定されず、例えば電極体14の外周面14b又はケース本体16の内周面16bに塗布される塗膜、接着剤等であってもよい。
【0028】
上記テープ基材は、例えば30μm〜50μmの厚みを有する樹脂製シートであって、非水電解液との親和性が高い樹脂を主成分として構成されることが好ましい。好適な樹脂としては、ポリスチレン、スチレンとαオレフィンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂などが挙げられる。テープ基材は、非水電解液が浸透し易いように、多数の細孔を有する多孔質シート又は発泡シートであってもよい。
【0029】
上記粘着剤層は、電極体14等に対する接着性を押圧部材40に付与するための層である。粘着剤層は、例えばテープ基材の一方の面上に接着剤を塗工して形成される。粘着剤層の厚みは、例えば5μm〜30μmである。粘着剤層は、耐電解液性に優れた接着剤(樹脂)を主成分として構成されることが好ましい。接着剤は、加熱することで粘着性を発現するホットメルト型又は加熱により硬化する熱硬化型であってもよいが、生産性等の観点から、室温で粘着性を有するものが好ましい。粘着剤層は、例えばアクリル系接着剤又はゴム系接着剤によって構成される。
【0030】
押圧部材40は、複数設けられてもよいが、電極体14の径方向片側に偏在していることが好ましい。本実施形態では、1つの押圧部材40が電極体14の外周面14bに貼着されている。そして、電極体14は、外周面14bの露出部37のうち押圧部材40と電極体14の径方向反対側に位置する部分がケース本体16の内周面16bに押し付けられている。つまり、外周面14bの押圧部材40が貼着された部分と、外周面14bの内周面16bに接触する部分とが、電極体14の径方向に並んでいる。この場合、電極体14の径方向の断面において、露出部37及び押圧部材40の2点がケース本体16の内周面16bと当接している。
【0031】
一般的な従来の非水電解質二次電池では、電極体14の中心軸14aとケース本体16の中心軸16aとが略一致した状態となる。一方、非水電解質二次電池10では、図2に示すように、押圧部材40によって電極体14が径方向片側から押圧されるので、各々の中心軸14a,16aは一致していない。電極体14は、中心軸14aがケース本体16の中心軸16aからずれた状態でケース本体16内に収容されている。
【0032】
押圧部材40は、例えば電極体14の軸方向に長い帯状体である。押圧部材40の長さは、電極体14の軸方向長さの50%以上に相当することが好ましく、押圧部材40は電極体14の軸方向の略全長にわたって接合されていてもよい。
【0033】
電極体14の軸方向の両端部に電極構造を維持するためのテープが貼着される場合、押圧部材40は、当該テープと重なるように接合されてもよいし、重ならないように接合されてもよい。電極体14の軸方向の中央部に電極構造を維持するためのテープが貼着される場合も、押圧部材40は、当該テープと重なるように接合されてもよいし、重ならないように接合されてもよい。電極体14の最外周の端部に電極構造を維持するためのテープが貼着される場合にも、押圧部材40は、当該テープと重なるように接合されてもよいし、重ならないように接合されてもよい。ただし、押圧部材40が当該テープと重ならないように接合される場合、押圧部材40は、電極体14の中心軸14aと当該テープの周辺とを結んだ延長線上に含まれないように貼着されることが好ましい。
【0034】
押圧部材40の幅は、例えば略一定であり、電極体14の周長の3%〜30%とされる。押圧部材40の幅の好適な範囲は、電極体14の直径等によっても異なるが、例えば5mm〜30mmである。押圧部材40の厚みは、特に限定されないが、例えば電解液を吸液する前の状態で35μm〜80μm、好ましくは50μm〜60μmである。吸液前の押圧部材の厚みは、電極体14に押圧部材40を取り付けた状態であっても、電池ケースの直径と電極体14の直径との差分未満の厚みであることが好ましい(円筒形電池の場合)。これは、電池ケースに電極体14を挿入する際に、電池ケースと電極体14及び押圧部材40の接触を防ぐためである。押圧部材40は、吸液により電池ケースの直径と電極体14の直径との差分以上の厚みとなるように膨張することが好ましい。これは、負極12と電池ケースとの電気的接続を安定化させるためである。
【0035】
押圧部材40は、非水電解液を吸液することで、厚みが2倍以上に膨張することが好ましい。押圧部材40の吸液による厚み変化率は、2倍〜3倍が好ましく、2.4倍〜2.7倍がより好ましい。押圧部材40の厚み変化率は、非水電解液に3分間浸漬した押圧部材40の厚みを、非水電解液に浸漬する前の押圧部材40の厚みで除して算出される。押圧部材40の厚みは、膜厚計により測定される。押圧部材40の厚みは、例えば電解液の吸液前で50μm〜60μm、吸液後で130μm〜150μmである。なお、吸液後の厚みは、押圧部材40を電池ケース内に収容した状態で測定されるのではなく、ケース外で電解液に浸漬して測定される。
【0036】
押圧部材40は、非水電解液の吸液の前後で、長さと幅の変化量は小さく、厚みだけが大きく変化することが好ましい。押圧部材40の長さと幅の変化率は、例えば1.5倍未満が好ましく、1.2倍未満がより好ましい。押圧部材40の厚みの変化率は、2倍以上であることが好ましい。非水電解液の吸液により押圧部材40の厚みだけが大きく変化することで、電極体14を効率良く押圧することができる。
【0037】
押圧部材40は、導電材を含んでいてもよい。押圧部材40は、例えば金属、カーボン等の微粒子からなる導電性フィラーを含有していてもよく、テープ基材の表面に金属層、カーボン層等の薄膜からなる導電層を有していてもよい。かかる導電材を介して電極体14の外周面14bとケース本体16の内周面16bとが電気的に接続される構造とすれば、集電性のさらなる改善を図ることが可能である。
【0038】
図4は、実施形態の他の一例を示す図である。図4に例示する形態は、押圧部材40が電極体14内に設けられている点で、押圧部材40が電極体14と外装体15との間に設けられた上述の実施形態と異なる。押圧部材40は、例えば電極体14の外側において、負極12の間に介在している。そして、電極体14の露出部37のうち、押圧部材40とケース本体16の内周面16bとの間に位置する部分が内周面16bに押し付けられている。つまり、押圧部材40は、負極集電体35の外周面14bを構成する部分を電極体14の内側から押圧してケース本体16の内周面16bに押し付けている。この場合も、露出部37のうち押圧部材40と電極体14の径方向反対側に位置する部分は、ケース本体16の内周面16bに押し付けられていることが好適である。この場合、電極体14の径方向の断面において、露出部37の表面上の2点でケース本体16の内周面16bと当接している。
【0039】
なお、上述の実施形態では、外装体15が負極端子であったが、外装体15が正極端子であってもよい。この場合、電極体14の外周面14bには正極集電体30の表面が露出し、押圧部材40は正極集電体30の表面が露出した露出部を外装体15の内面に押し付ける。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
<実施例1>
[正極の作製]
LiNi0.88Co0.09Al0.032で表されるリチウム含有遷移金属酸化物を100重量部と、アセチレンブラックを1重量部と、ポリフッ化ビニリデンを1重量部とを混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量加えて、正極合材スラリーを調製した。次に、当該正極合材スラリーをアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、塗膜を乾燥させた。塗膜が形成された集電体をローラーを用いて圧縮した後、所定の電極サイズに切断し、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された正極を作製した。正極のサイズは、幅62mm、長さ903mmとした。なお、正極の長手方向中央部に集電体表面を露出させた部分を設け、当該部分に正極リードを超音波溶接した。
【0042】
[負極の作製]
黒鉛粉末を100重量部と、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を1重量部と、カルボキシメチルセルロースを1重量部とを混合し、さらに水を適量加えて、負極合材スラリーを調製した。次に、当該負極合材スラリーを銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、塗膜を乾燥させた。塗膜が形成された集電体をローラーを用いて圧縮した後、所定の電極サイズに切断し、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された負極を作製した。負極のサイズは、幅64mm、長さ982mmとした。負極の長手方向一端から長さ23mmの範囲に、集電体表面が露出した露出部を設けた。
【0043】
[非水電解液の調製]
エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを、3:7の体積比で混合した。当該混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させて非水電解液を調製した。
【0044】
[電池の作製]
上記正極と上記負極を、ポリエチレン製のセパレータを介して渦巻状に巻回することにより、巻回型の電極体を作製した。このとき、正極活物質層がセパレータを介して負極活物質層と対向するように、また負極の露出部が電極体の外周面を構成するように、各電極及びセパレータを巻回した。電極体の外周面は、その全域が負極集電体の表面が露出した露出部であった。なお、電極体の軸方向両端部に、テープを貼着して電極体の巻回構造を維持した。
【0045】
次に、帯状の押圧部材を上記電極体の外周面に貼着した。押圧部材には、ポリスチレンを主成分とするテープ基材と、アクリル系樹脂を主成分とする粘着剤層とで構成される粘着テープを用いた。粘着テープは、幅10mm、長さ60mm、厚み55μmであり、電極体の軸方向に沿って上記電極体の巻回構造を維持するためのテープと重ならない範囲に貼着した。粘着テープの体積膨張率は、上記非水電解液に1分間浸漬の条件で、2.7倍(厚みの増加率が略2.7倍)であった。
【0046】
上記粘着テープ付きの電極体を有底円筒形状の金属製のケース本体(外径21mm、高さ70mm)に収容した後、正極リードの上端部を封口体のフィルタに超音波溶接した。そして、ケース本体に上記非水電解液を注液し、封口体によりケース本体の開口部を塞いで、円筒形電池を作製した。非水電解液の注液により、押圧部材が膨張して厚みが増加し、押圧部材がケース本体の内周面に強く当接すると共に、電極体を押圧して、電極体の外周面(負極の露出部)のうち押圧部材と径方向反対側に位置する部分がケース本体の内周面に強く押し付けられた。電極体は、その中心軸がケース本体の中心軸からずれた状態でケース本体内に収容されている。
【0047】
<比較例1>
長さ872mmの正極と長さ951mmの負極を用いたこと、及び負極の電極体の外周面を構成する部分の一部に集電体の表面が露出した露出部を設け、この露出部にケース本体の底部内面に溶接される負極リードを溶接したこと以外は、実施例1と同様にして円筒形電池を作製した。比較例1における該露出部は、負極の長手方向一端から長さ23mmの範囲に設けた。負極リードの厚みは、100μmであった。負極リードの厚みが60μmの場合、厚みが100μmの負極リードよりも電気抵抗が高く、所定の電流にて充放電することができないおそれがある。
【0048】
<比較例2>
押圧部材を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして円筒形電池を作製した。
【0049】
実施例及び比較例の各二次電池について、以下の方法で性能評価を行い、評価結果を表1に示した。
【0050】
[抵抗値の測定(内部抵抗の評価)]
25℃の温度環境下において、各電池を0.3Itの定電流で電池電圧が3.7Vとなるまで充電し、その後、定電圧で充電した。次に、低抵抗計(測定周波数1kHzに設定した交流4端子法)を用いて、各電池の端子間抵抗を測定し、このときの抵抗値を各電池の内部抵抗とした。抵抗値の測定は各二次電池について2回ずつ行い、各二次電池の平均抵抗値の比率(抵抗比)、及び最大抵抗値と最小抵抗値との差の比率(レンジ比)を求めた。表1に示す抵抗比及びレンジ比は、実施例1の電池の平均抵抗値、最大抵抗値と最小抵抗値との差をそれぞれ100%としたときの比率である。
【0051】
[放電容量の測定(電池容量の評価)]
25℃の温度条件下において、0.2Itの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電を行った。1分間休止した後、0.2Itの定電流で電池電圧が2.5Vになるまで放電を行い、このときの放電容量を求めた。表1に示す容量比は、実施例1の電池の放電容量を100%としたときの比率である。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示すように、実施例1の電池は、比較例2の電池と比べて、抵抗値及びそのばらつきが小さく、また高容量であった。比較例1の電池では、電極体の露出部と外装体の内面との良好な接触状態を維持することが難しいのに対し、実施例1の電池では、押圧部材を用いて電極体を押圧することで電極体の露出部とケース本体の内周面が強く接触し、良好な集電性を確保できる。また、実施例1の電池は、負極リードを用いた比較例1と比べても抵抗値が小さかった。実施例1の電池は、負極リードを用いないため、比較例1の電池よりも高容量であった。比較例1の負極リードの厚みと実施例1の押圧部材の厚みとの差分だけ、実施例1の電池は、電極体の径方向の直径を大きくすることができる。つまり、実施例1の電池は、比較例1の電池と比較して正極と負極を大きくすることができ、比較例1の電池よりも高容量にすることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 非水電解質二次電池
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 電極体
14a 中心軸
14b 外周面
15 外装体
16 ケース本体
16a 中心軸
16b 内周面
17 封口体
18,19 絶縁板
20 正極リード
21 張り出し部
22 フィルタ
23 下弁体
24 絶縁部材
25 上弁体
26 キャップ
27 ガスケット
30 正極集電体
31 正極活物質層
35 負極集電体
36 負極活物質層
37 露出部
40 押圧部材
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】