特表-18154943IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧
<>
  • 再表WO2018154943-モータ 図000003
  • 再表WO2018154943-モータ 図000004
  • 再表WO2018154943-モータ 図000005
  • 再表WO2018154943-モータ 図000006
  • 再表WO2018154943-モータ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月30日
【発行日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20191122BHJP
   H02K 3/24 20060101ALI20191122BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20191122BHJP
   H02K 9/16 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   H02K3/28 M
   H02K3/24 Z
   H02K9/19 A
   H02K9/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2019-501081(P2019-501081)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年12月20日
(31)【優先権主張番号】特願2017-30158(P2017-30158)
(32)【優先日】2017年2月21日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康司
(72)【発明者】
【氏名】吉川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】山内 弘和
(72)【発明者】
【氏名】額田 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】菱田 光起
【テーマコード(参考)】
5H603
5H609
【Fターム(参考)】
5H603AA13
5H603AA14
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB12
5H603CA01
5H603CB02
5H603CC05
5H603CC07
5H603CC17
5H603CD02
5H603CE02
5H603CE12
5H603CE13
5H603CE14
5H603CE16
5H609BB01
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP09
5H609QQ05
5H609QQ08
5H609RR01
(57)【要約】
モータは、ステータコアと、ステータコアから突出したティースと、ティースにn(nは2以上の整数)ターン巻回さた第1〜第nターンからなるコイルとを備える。ティースがステータコアから突出する方向において、ティースにコイルが巻回された範囲のモータの中心側にコイルの第1ターンが位置し、モータの中心と反対側に、コイルの第k(kは整数であり、1<k≦n)ターンが位置している。コイルをティースのステータコアからの突出方向に沿って切断したときの第1ターンにおける断面積は、第kターン及び第nターンにおける断面積よりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、前記ステータコアから所定の突出方向に突出したティースとを有するステータと、
前記ティースにn(nは2以上の整数)ターン巻回された第1〜第nターンからなるコイルとを備えたモータであって、
前記ティースが前記突出方向において、前記ティースに前記コイルが巻回された範囲の前記モータの中心側に前記コイルの第1ターンが位置し、前記モータの中心と反対側に、前記コイルの第k(kは整数であり、1<k≦n)ターンが位置しており、
前記コイルを前記突出方向に沿って切断したときの前記第1ターンにおける断面積は、第kターン及び第nターンにおける断面積よりも大きいモータ。
【請求項2】
nは3以上の整数で、kはnよりも小さい整数であり、
前記コイルの第kターンにおける前記断面積は、第nターンにおける前記断面積よりも大きい請求項1記載のモータ。
【請求項3】
前記コイルの第1ターンにおける前記断面積は、第1〜第nターンにおける断面積の中で最大であり、
第1ターンから第nターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記コイルの第1ターンにおける前記断面積は、第1〜第nターンにおける断面積の中で最大であり、
第1ターンから第nターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている請求項2に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、モータにおけるコイルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業、車載用途で、モータの需要は高まっている。その中で、モータの効率向上、低コスト化が要望されている。
【0003】
モータの効率向上の一つの手法として、ステータのスロット内に配置されるコイルの占積率を向上させることが知られている。コイルの占積率を向上させることで、モータの駆動時に、コイルに流れる電流に起因する損失を抑制することができる。
【0004】
コイルの占積率を向上させる手法として、銅材を用いた鋳造コイルをスロット内に配置する構成が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0005】
従来、鋳造または成形などによってコイルを形成する場合、コイルの断面積は、抵抗均一化のために、均一にされていた。一方、モータ効率を低下させる要因の1つに熱があり、ジュール熱の発生により、コイルに熱が溜まりやすい。また、コイルで発生した熱の放散経路は、コイルに近接する部材の配置または冷媒の流路等により異なるため、コイル内での熱分布は一様ではない。ところが、コイルの断面積は均一であったので、コイルによる放熱効果はその断面積に律束されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012212637号明細書
【発明の概要】
【0007】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、コイルによる放熱効果をより高めて、高効率のモータを実現することにある。
【0008】
上記の目的を達成するために、ここに開示する技術のモータは、ステータコアと、ステータコアから所定の突出方向に突出したティースとを有するステータと、ティースにn(nは2以上の整数)ターン巻回された第1〜第nターンからなるコイルとを備える。ティースが突出方向において、ティースにコイルが巻回された範囲のモータの中心側にコイルの第1ターンが位置し、モータの中心と反対側に、コイルの第k(kは整数であり、1<k≦n)ターンが位置している。コイルをティースの突出方向に沿って切断したときの第1ターンにおける断面積は、第kターン及び第nターンにおける断面積よりも大きい。
【0009】
この構成によれば、コイルにおいて、モータの中心側に位置する部分の断面積が大きいので、モータの中心側を流れる冷媒またはモータの中心側の空間等に対してのコイルの放熱効果をより高めることによって、高効率のモータを実現することができる。
【0010】
また、モータにおいて、nは3以上の整数で、kはnよりも小さい整数であり、コイルの第kターンにおける断面積は、第nターンにおける断面積よりも大きい、としてもよい。
【0011】
また、モータにおいて、コイルの第1ターンにおける断面積は、第1〜第nターンにおける断面積の中で最大であり、第1ターンから第nターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている、としてもよい。
【0012】
本開示によれば、コイルによる放熱効果をより高めて、高効率のモータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】実施形態に係るモータを示す上面図である。
図1B】実施形態に係るモータを示す側面図である。
図1C図1Bにおける1C−1C線での断面図である。
図2図1Cの部分拡大図である。
図3】ティースとコイルの別の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0015】
(実施形態)
(モータ構造)
図1Aは、実施形態に係るモータ1を示す上面図である。図1Bは、実施形態に係るモータ1を示す側面図である。図1Cは、図1Bにおける1C−1C線での断面図である。ただし、いずれにおいても、カバーケース等は図示していない。なお、図1Cにおいては、要部の断面のみをハッチングで示す。モータ1は、カバーケース(図示せず)の内部に、シャフト2と、ロータ3と、ステータ4と、コイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41と、バスバー51〜54と、を備えている。
【0016】
ここで、シャフト2の長手方向(図1A紙面に対して垂直な方向)をZ軸方向と呼ぶ。これに直交する方向(図1A紙面に対して平行な方向)をX軸方向、Y軸方向と呼ぶ。X軸方向とY軸方向は直交する。
【0017】
「一体」あるいは「一体化」とは、複数の部品が、ボルト締め、または、かしめ等の機械的に接続されているだけでなく、共有結合、イオン結合、または、金属結合などの材料結合によって、部品が電気的に接続された1つの物体、または部品全体が溶融などによって材料結合され、電気的に接続された1つの物体の状態をいう。
【0018】
シャフト2は、Z軸方向に延びる中空部2aを内部に有している。シャフト2の側面には、複数の貫通孔2bが設けられている。中空部2aは、モータ1の内部を冷却するための冷媒Cの通路である。冷媒Cは、中空部2a内をZ軸方向に沿って流れている。外部に設けられたポンプ等(図示せず)により、冷媒Cは循環して、モータ1の内部を流れている。また、中空部2a内を流れる冷媒Cの一部は、複数の貫通孔2bから流れ出て、モータ1の中心側から外側、つまりロータ3からステータ4のある方向に向けても流れ、ロータ3及びステータ4を冷却する。
【0019】
ロータ3は、シャフト2の外周に接して設けられている。ロータ3は、ステータ4に対向して、N極、S極がシャフト2の外周方向に沿って交互に配置された磁石31を含んでいる。本実施形態で、ロータ3に用いられる磁石31として、ネオジム磁石を使用しているが、磁石31の材料、形状、及び材質については、モータの出力等に応じて、適宜変更しうる。
【0020】
ステータ4は、実質的に円環状のステータコア41と、ステータコア41の内周に沿って等間隔に設けられた複数のティース42と、ティース42間にそれぞれ設けられたスロット43とを有している。ステータ4は、Z軸方向から見て、ロータ3の外側に、ロータ3と一定の間隔を持って、離間して配置されている。
【0021】
ステータコア41は、例えば、ケイ素等を含有した電磁鋼板を積層した後に、打ち抜き加工して形成される。
【0022】
本実施形態において、ロータ3の磁極数は、ステータ4に対向するN極が5個、S極が5個の計10極である。スロット43の数は12個である。しかし、ロータ3の磁極数とスロット43の数は、特にこれに限定されるものではなく、その他の磁極数とスロット数との組合せについても適用される。
【0023】
ステータ4は、12個のコイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41を有している。コイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41の各々は、対応するティース42に対して装着されて、Z軸方向から見て、各スロット43内に配置されている。つまり、コイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41はティース42に対して集中巻になっている。さらに、コイルU11〜U41がバスバー51と、コイルV12〜V42はバスバー52と、コイルW11〜W41はバスバー53と、それぞれ一体化されて配置されている。
【0024】
ここで、コイルを表わす符号UPQ、VPQ、WPQのうち、最初の文字はモータ1の各相(本実施形態の場合は、U相、V相、W相)を表わす。2番目の文字は同相内のコイルの配列順を表わす。3番目の文字はコイルの巻回方向を表わし、本実施形態では、1は時計回り方向、2は反時計回り方向である。従って、コイルU11は、U相の配列順が1番目のコイルで、巻回方向が時計回り方向であることを表わす。コイルV42は、V相の配列順が4番目のコイルで、巻回方向が反時計回り方向であることを表わす。なお、時計回りとは、モータ1の中心から見て右回りをいい、「反時計回り」とはモータ1の中心から見て左回りをいう。
【0025】
厳密には、コイルU11,U41はU相のコイルであり、コイルU22,U32はUバー相(U相のコイルと発生する磁界の向きが逆)のコイルである。しかし、以降の説明では、特に断らない限り、U相のコイルと総称する。コイルV12〜V42及びコイルW11〜W41についても同様に、V相のコイル、W相のコイルとそれぞれ総称する。
【0026】
(コイル断面の特徴)
図2は、図1Cの部分拡大図である。図2は、ステータコア41から突出したティース42と、ティース42に巻回されたコイル5Aとを示している。ステータコア41はモータ1の外側に位置し、ティース42はモータ1の中心側に位置する。コイル5Aは、図1Cに示したコイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41のいずれかに対応する。コイル5Aは、例えば、銅、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、真鍮、鉄、及びSUS(Steel Use Stainless)などのいずれかを主たる材料として形成されている。
【0027】
ここでは、ティース42がステータコア41から突出する方向をR方向とする。図2は、R方向に沿った断面を示している。図2では、コイル5Aは、ティース42に6ターン巻回されている。A1〜A6はそれぞれ、第1ターンから第6ターンにおけるコイル5Aを断面で示している。また、符号A1〜A6はそれぞれ、当該ターンA1〜A6の断面積を表す場合もある。
【0028】
本実施形態では、コイル5Aの各ターンにおける断面積は均一ではなく、異なっている。R方向において、ティース42にコイル5Aが巻回された範囲を範囲Wとする。ここでは、範囲Wにおけるモータ1の中心側にコイル5Aの第1ターンA1が位置している。
【0029】
図2の構成では、コイル5Aの第1ターンA1は、第1〜第6ターンA1〜A6の中で、断面積が最大である。第1ターンから第6ターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている(A1>A2>A3>A4>A5>A6)。言い換えると、コイル5Aの断面積は、範囲Wにおいてモータ1の中心側から外側にかけて徐々に小さくなっている。
【0030】
このように、コイル5Aにおいて、モータ1の中心側に位置する部分の断面積を大きくすることによって、冷媒Cに対しての放熱量を増やし、コイル5Aに熱が溜まることを防止することができる。
【0031】
図2の構成において、コイル5Aの第1ターンA1の断面積のみを他のターンにおける断面積より大きくしてもよいし(A1>A2=A3=A4=A5=A6)、第1ターンから第6ターンにかけて段階的に断面積を小さくしてもよい(例えば、A1>A2=A3>A4=A5>A6)。
【0032】
また、実施形態において、コイルのターン数を6としたが、特にこれに限定されるものではなく、モータ1のサイズまたは性能等によって適宜変更しうる。
【0033】
図3は、ティースとコイルとの別の構成を示す断面図である。コイル5Bのターン数は2である。図3は、図2と同様に、ステータコア41から突出したティース42と、ティース42に巻回されたコイル5Bとを示している。コイル5Bは、コイル5Aと同様に、図1Cに示したコイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41のいずれかに対応する。コイル5Bは、例えば、銅、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、真鍮、鉄、及びSUSなどのいずれかを主たる材料として形成されている。
【0034】
図3の構成においても、第1ターンB1の断面積を第2ターンB2の断面積よりも大きくすることで(B1>B2)、冷媒Cに対しての放熱量を増やし、コイル5Bに熱が溜まるのを防止することができる。
【0035】
コイルのターン数が2及び6以外であっても、ここで説明したものと同様に構成すればよく、ターン数は奇数であってもよい。すなわち、ティース42にコイル5Aまたはコイル5Bがn(nは2以上の整数)ターン巻回された範囲に、コイル5Aまたはコイル5Bの第1ターンがモータ1の中心側に位置する。一方、モータ1の中心と反対側に、コイル5Aまたはコイル5Bの第k(kは整数であり、1<k≦n)ターンが位置しているとき、コイル5Aまたはコイル5Bをティース42のステータコア41からの突出方向に沿って切断したときの第1ターンにおける断面積を、第kターン及び第nターンにおける断面積よりも大きくすればよい。
【0036】
実施形態において、コイルの断面形状を実質的な台形形状としたが、特にこれに限定されるものではなく、矩形状であってもよい。また、円形形状または多角形状、あるいは円形と多角形とを複合した形状であってもよい。
【0037】
実施形態において、コイルU11〜U41がバスバー51と、コイルV12〜V42はバスバー52と、コイルW11〜W41はバスバー53とそれぞれ一体化されている例を示した。しかし、各々のコイル形状に対応する様に、ヒュージングまたは溶接処理等により、バスバーに取り付けられていてもよい。
【0038】
実施形態において、冷媒Cがシャフト2内の中空部2aを流れる構成とした。しかし、例えば、冷媒Cがロータ3とステータ4との間の空間を循環して流れるようにしてもよい。冷媒Cとして、例えば油等の液体、または空気等の気体を用いることができる。また、モータ1の仕様等によっては、モータ1の内部は自然空冷される構成であってもよい。この場合においても、ロータ3とステータ4との間の空間に、コイル5A,5Bの第1ターンから放熱されるため、この部分の断面積を大きくすることで、コイル5A,5Bによる放熱効果を高めることができる。
【0039】
以上のように、本実施形態のモータ1は、ステータコア41と、ステータコア41から突出したティース42とを有するステータ4と、ティース42にn(nは2以上の整数)ターン巻回された第1〜第nターンからなるコイル5Aとを備える。ティース42がステータコア41から突出する方向において、ティース42にコイル5Aが巻回された範囲のモータ1の中心側にコイル5Aの第1ターンが位置し、モータ1の中心と反対側に、コイル5Aの第k(kは整数であり、1<k≦n)ターンが位置している。コイル5Aをティース42のステータコア41からの突出方向に沿って切断したときの第1ターンにおける断面積は、第kターン及び第nターンにおける断面積よりも大きい。
【0040】
これにより、コイル5Aにおいて、モータ1の中心側に位置する部分の断面積が大きいので、モータ1の中心側を流れる冷媒またはモータ1の中心側の空間等に対してのコイル5Aの放熱効果をより高めることによって、高効率のモータ1を実現することができる。
【0041】
また、モータ1において、nは3以上の整数で、kはnよりも小さい整数であり、コイル5Aの第kターンにおける断面積は、第nターンにおける断面積よりも大きい、としてもよい。
【0042】
また、モータ1において、コイル5Aの第1ターンにおける断面積は、第1〜第nターンにおける断面積の中で最大であり、第1ターンから第nターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている、としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本開示に係るモータは、コイルによる放熱効果をより高めるので、高効率かつ低コストのモータを実現する上で、有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 モータ
2 シャフト
2a 中空部
2b 貫通孔
3 ロータ
4 ステータ
5A,5B コイル
31 磁石
41 ステータコア
42 ティース
43 スロット
51〜54 バスバー
A1〜A6 コイル5Aの各ターンにおける断面
B1,B2 コイル5Bの各ターンにおける断面
C 冷媒
U11,U22,U32,U41,V12,V21,V31,V42,W11,W22,W32,W41 コイル
図1A
図1B
図1C
図2
図3

【手続補正書】
【提出日】2019年5月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、モータにおけるコイルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業、車載用途で、モータの需要は高まっている。その中で、モータの効率向上、低コスト化が要望されている。
【0003】
モータの効率向上の一つの手法として、ステータのスロット内に配置されるコイルの占積率を向上させることが知られている。コイルの占積率を向上させることで、モータの駆動時に、コイルに流れる電流に起因する損失を抑制することができる。
【0004】
コイルの占積率を向上させる手法として、銅材を用いた鋳造コイルをスロット内に配置する構成が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0005】
従来、鋳造または成形などによってコイルを形成する場合、コイルの断面積は、抵抗均一化のために、均一にされていた。一方、モータ効率を低下させる要因の1つに熱があり、ジュール熱の発生により、コイルに熱が溜まりやすい。また、コイルで発生した熱の放散経路は、コイルに近接する部材の配置または冷媒の流路等により異なるため、コイル内での熱分布は一様ではない。ところが、コイルの断面積は均一であったので、コイルによる放熱効果はその断面積に律束されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012212637号明細書
【発明の概要】
【0007】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、コイルによる
放熱効果をより高めて、高効率のモータを実現することにある。
【0008】
上記の目的を達成するために、ここに開示する技術のモータは、ステータコアと、ステータコアから所定の突出方向に突出したティースとを有するステータと、ティースにn(nは2以上の整数)ターン巻回された第1〜第nターンからなるコイルとを備える。ティースが突出方向において、ティースにコイルが巻回された範囲のモータの中心側にコイルの第1ターンが位置し、モータの中心と反対側に、コイルの第k(kは整数であり、1<k≦n)ターンが位置している。コイルをティースの突出方向に沿って切断したときの第1ターンにおける断面積は、第kターン及び第nターンにおける断面積よりも大きい。
【0009】
この構成によれば、コイルにおいて、モータの中心側に位置する部分の断面積が大きいので、モータの中心側を流れる冷媒またはモータの中心側の空間等に対してのコイルの放熱効果をより高めることによって、高効率のモータを実現することができる。
【0010】
また、モータにおいて、nは3以上の整数で、kはnよりも小さい整数であり、コイルの第kターンにおける断面積は、第nターンにおける断面積よりも大きい、としてもよい。
【0011】
また、モータにおいて、コイルの第1ターンにおける断面積は、第1〜第nターンにおける断面積の中で最大であり、第1ターンから第nターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている、としてもよい。
【0012】
本開示によれば、コイルによる放熱効果をより高めて、高効率のモータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】実施形態に係るモータを示す上面図である。
図1B】実施形態に係るモータを示す側面図である。
図1C図1Bにおける1C−1C線での断面図である。
図2図1Cの部分拡大図である。
図3】ティースとコイルの別の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0015】
(実施形態)
(モータ構造)
図1Aは、実施形態に係るモータ1を示す上面図である。図1Bは、実施形態に係るモータ1を示す側面図である。図1Cは、図1Bにおける1C−1C線での断面図である。ただし、いずれにおいても、カバーケース等は図示していない。なお、図1Cにおいては、要部の断面のみをハッチングで示す。モータ1は、カバーケース(図示せず)の内部に、シャフト2と、ロータ3と、ステータ4と、コイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41と、バスバー51〜54と、を備えている。
【0016】
ここで、シャフト2の長手方向(図1A紙面に対して垂直な方向)をZ軸方向と呼ぶ。これに直交する方向(図1A紙面に対して平行な方向)をX軸方向、Y軸方向と呼ぶ。X軸方向とY軸方向は直交する。
【0017】
「一体」あるいは「一体化」とは、複数の部品が、ボルト締め、または、かしめ等の機械的に接続されているだけでなく、共有結合、イオン結合、または、金属結合などの材料結合によって、部品が電気的に接続された1つの物体、または部品全体が溶融などによって材料結合され、電気的に接続された1つの物体の状態をいう。
【0018】
シャフト2は、Z軸方向に延びる中空部2aを内部に有している。シャフト2の側面には、複数の貫通孔2bが設けられている。中空部2aは、モータ1の内部を冷却するための冷媒Cの通路である。冷媒Cは、中空部2a内をZ軸方向に沿って流れている。外部に設けられたポンプ等(図示せず)により、冷媒Cは循環して、モータ1の内部を流れている。また、中空部2a内を流れる冷媒Cの一部は、複数の貫通孔2bから流れ出て、モータ1の中心側から外側、つまりロータ3からステータ4のある方向に向けても流れ、ロータ3及びステータ4を冷却する。
【0019】
ロータ3は、シャフト2の外周に接して設けられている。ロータ3は、ステータ4に対向して、N極、S極がシャフト2の外周方向に沿って交互に配置された磁石31を含んでいる。本実施形態で、ロータ3に用いられる磁石31として、ネオジム磁石を使用しているが、磁石31の材料、形状、及び材質については、モータの出力等に応じて、適宜変更しうる。
【0020】
ステータ4は、実質的に円環状のステータコア41と、ステータコア41の内周に沿って等間隔に設けられた複数のティース42と、ティース42間にそれぞれ設けられたスロット43とを有している。ステータ4は、Z軸方向から見て、ロータ3の外側に、ロータ3と一定の間隔を持って、離間して配置されている。
【0021】
ステータコア41は、例えば、ケイ素等を含有した電磁鋼板を積層した後に、打ち抜き加工して形成される。
【0022】
本実施形態において、ロータ3の磁極数は、ステータ4に対向するN極が5個、S極が5個の計10極である。スロット43の数は12個である。しかし、ロータ3の磁極数とスロット43の数は、特にこれに限定されるものではなく、その他の磁極数とスロット数との組合せについても適用される。
【0023】
ステータ4は、12個のコイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41を有している。コイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41の各々は、対応するティース42に対して装着されて、Z軸方向から見て、各スロット43内に配置されている。つまり、コイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41はティース42に対して集中巻になっている。さらに、コイルU11〜U41がバスバー51と、コイルV12〜V42はバスバー52と、コイルW11〜W41はバスバー53と、それぞれ一体化されて配置されている。
【0024】
ここで、コイルを表わす符号UPQ、VPQ、WPQのうち、最初の文字はモータ1の各相(本実施形態の場合は、U相、V相、W相)を表わす。2番目の文字は同相内のコイルの配列順を表わす。3番目の文字はコイルの巻回方向を表わし、本実施形態では、1は時計回り方向、2は反時計回り方向である。従って、コイルU11は、U相の配列順が1番目のコイルで、巻回方向が時計回り方向であることを表わす。コイルV42は、V相の配列順が4番目のコイルで、巻回方向が反時計回り方向であることを表わす。なお、時計回りとは、モータ1の中心から見て右回りをいい、「反時計回り」とはモータ1の中心から見て左回りをいう。
【0025】
厳密には、コイルU11,U41はU相のコイルであり、コイルU22,U32はUバ
ー相(U相のコイルと発生する磁界の向きが逆)のコイルである。しかし、以降の説明では、特に断らない限り、U相のコイルと総称する。コイルV12〜V42及びコイルW11〜W41についても同様に、V相のコイル、W相のコイルとそれぞれ総称する。
【0026】
(コイル断面の特徴)
図2は、図1Cの部分拡大図である。図2は、ステータコア41から突出したティース42と、ティース42に巻回されたコイル5Aとを示している。ステータコア41はモータ1の外側に位置し、ティース42はモータ1の中心側に位置する。コイル5Aは、図1Cに示したコイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41のいずれかに対応する。コイル5Aは、例えば、銅、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、真鍮、鉄、及びSUS(Steel Use Stainless)などのいずれかを主たる材料として形成されている。
【0027】
ここでは、ティース42がステータコア41から突出する方向をR方向とする。図2は、R方向に沿った断面を示している。図2では、コイル5Aは、ティース42に6ターン巻回されている。A1〜A6はそれぞれ、第1ターンから第6ターンにおけるコイル5Aを断面で示している。また、符号A1〜A6はそれぞれ、当該ターンA1〜A6の断面積を表す場合もある。
【0028】
本実施形態では、コイル5Aの各ターンにおける断面積は均一ではなく、異なっている。R方向において、ティース42にコイル5Aが巻回された範囲を範囲Wとする。ここでは、範囲Wにおけるモータ1の中心側にコイル5Aの第1ターンA1が位置している。
【0029】
図2の構成では、コイル5Aの第1ターンA1は、第1〜第6ターンA1〜A6の中で、断面積が最大である。第1ターンから第6ターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている(A1>A2>A3>A4>A5>A6)。言い換えると、コイル5Aの断面積は、範囲Wにおいてモータ1の中心側から外側にかけて徐々に小さくなっている。
【0030】
このように、コイル5Aにおいて、モータ1の中心側に位置する部分の断面積を大きくすることによって、冷媒Cに対しての放熱量を増やし、コイル5Aに熱が溜まることを防止することができる。
【0031】
図2の構成において、コイル5Aの第1ターンA1の断面積のみを他のターンにおける断面積より大きくしてもよいし(A1>A2=A3=A4=A5=A6)、第1ターンから第6ターンにかけて段階的に断面積を小さくしてもよい(例えば、A1>A2=A3>A4=A5>A6)。
【0032】
また、実施形態において、コイルのターン数を6としたが、特にこれに限定されるものではなく、モータ1のサイズまたは性能等によって適宜変更しうる。
【0033】
図3は、ティースとコイルとの別の構成を示す断面図である。コイル5Bのターン数は2である。図3は、図2と同様に、ステータコア41から突出したティース42と、ティース42に巻回されたコイル5Bとを示している。コイル5Bは、コイル5Aと同様に、図1Cに示したコイルU11〜U41、V12〜V42、W11〜W41のいずれかに対応する。コイル5Bは、例えば、銅、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、真鍮、鉄、及びSUSなどのいずれかを主たる材料として形成されている。
【0034】
図3の構成においても、第1ターンB1の断面積を第2ターンB2の断面積よりも大きくすることで(B1>B2)、冷媒Cに対しての放熱量を増やし、コイル5Bに熱が溜まるのを防止することができる。
【0035】
コイルのターン数が2及び6以外であっても、ここで説明したものと同様に構成すればよく、ターン数は奇数であってもよい。すなわち、ティース42にコイル5Aまたはコイル5Bがn(nは2以上の整数)ターン巻回された範囲に、コイル5Aまたはコイル5Bの第1ターンがモータ1の中心側に位置する。一方、モータ1の中心と反対側に、コイル5Aまたはコイル5Bの第k(kは整数であり、1<k≦n)ターンが位置しているとき、コイル5Aまたはコイル5Bをティース42のステータコア41からの突出方向に沿って切断したときの第1ターンにおける断面積を、第kターン及び第nターンにおける断面積よりも大きくすればよい。
【0036】
実施形態において、コイルの断面形状を実質的な台形形状としたが、特にこれに限定されるものではなく、矩形状であってもよい。また、円形形状または多角形状、あるいは円形と多角形とを複合した形状であってもよい。
【0037】
実施形態において、コイルU11〜U41がバスバー51と、コイルV12〜V42はバスバー52と、コイルW11〜W41はバスバー53とそれぞれ一体化されている例を示した。しかし、各々のコイル形状に対応する様に、ヒュージングまたは溶接処理等により、バスバーに取り付けられていてもよい。
【0038】
実施形態において、冷媒Cがシャフト2内の中空部2aを流れる構成とした。しかし、例えば、冷媒Cがロータ3とステータ4との間の空間を循環して流れるようにしてもよい。冷媒Cとして、例えば油等の液体、または空気等の気体を用いることができる。また、モータ1の仕様等によっては、モータ1の内部は自然空冷される構成であってもよい。この場合においても、ロータ3とステータ4との間の空間に、コイル5A,5Bの第1ターンから放熱されるため、この部分の断面積を大きくすることで、コイル5A,5Bによる放熱効果を高めることができる。
【0039】
以上のように、本実施形態のモータ1は、ステータコア41と、ステータコア41から突出したティース42とを有するステータ4と、ティース42にn(nは2以上の整数)ターン巻回された第1〜第nターンからなるコイル5Aとを備える。ティース42がステータコア41から突出する方向において、ティース42にコイル5Aが巻回された範囲のモータ1の中心側にコイル5Aの第1ターンが位置し、モータ1の中心と反対側に、コイル5Aの第k(kは整数であり、1<k≦n)ターンが位置している。コイル5Aをティース42のステータコア41からの突出方向に沿って切断したときの第1ターンにおける断面積は、第kターン及び第nターンにおける断面積よりも大きい。
【0040】
これにより、コイル5Aにおいて、モータ1の中心側に位置する部分の断面積が大きいので、モータ1の中心側を流れる冷媒またはモータ1の中心側の空間等に対してのコイル5Aの放熱効果をより高めることによって、高効率のモータ1を実現することができる。
【0041】
また、モータ1において、nは3以上の整数で、kはnよりも小さい整数であり、コイル5Aの第kターンにおける断面積は、第nターンにおける断面積よりも大きい、としてもよい。
【0042】
また、モータ1において、コイル5Aの第1ターンにおける断面積は、第1〜第nターンにおける断面積の中で最大であり、第1ターンから第nターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている、としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本開示に係るモータは、コイルによる放熱効果をより高めるので、高効率かつ低コスト
のモータを実現する上で、有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 モータ
2 シャフト
2a 中空部
2b 貫通孔
3 ロータ
4 ステータ
5A,5B コイル
31 磁石
41 ステータコア
42 ティース
43 スロット
51〜54 バスバー
A1〜A6 コイル5Aの各ターンにおける断面
B1,B2 コイル5Bの各ターンにおける断面
C 冷媒
U11,U22,U32,U41,V12,V21,V31,V42,W11,W22,W32,W41 コイル
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、前記ステータコアから所定の突出方向に突出したティースとを有するステータと、
前記ティースにn(nは2以上の整数)ターン巻回された第1〜第nターンからなるコイルとを備えたモータであって、
前記ティースが前記突出方向において、前記ティースに前記コイルが巻回された範囲の前記モータの中心側に前記コイルの第1ターンが位置し、前記モータの中心と反対側に、前記コイルの第k(kは整数であり、1<k≦n)ターンが位置しており、
前記コイルを前記突出方向に沿って切断したときの前記第1ターンにおける断面積は、第kターン及び第nターンにおける断面積よりも大きいモータ。
【請求項2】
nは3以上の整数で、kはnよりも小さい整数であり、
前記コイルの第kターンにおける前記断面積は、第nターンにおける前記断面積よりも大きい請求項1記載のモータ。
【請求項3】
前記コイルの第1ターンにおける前記断面積は、第1〜第nターンにおける断面積の中で最大であり、
第1ターンから第nターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記コイルの第1ターンにおける前記断面積は、第1〜第nターンにおける断面積の中で最大であり、
第1ターンから第nターンにかけて、断面積は徐々に小さくなっている請求項2に記載の
モータ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1A
図1B
図1C
図2
図3
【国際調査報告】