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再表2018-163509信号保安システム、地上管理装置、車上無線装置、及び、列車制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年9月13日
【発行日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】信号保安システム、地上管理装置、車上無線装置、及び、列車制御方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/14 20060101AFI20191115BHJP
   B60L 15/40 20060101ALI20191115BHJP
   B61L 27/00 20060101ALI20191115BHJP
   B61L 11/00 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   B61L23/14 Z
   B60L15/40 G
   B61L27/00 Z
   B61L11/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】特願2019-504316(P2019-504316)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年11月10日
(31)【優先権主張番号】特願2017-45607(P2017-45607)
(32)【優先日】2017年3月10日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 佑介
(72)【発明者】
【氏名】勝田 敬一
(72)【発明者】
【氏名】前川 景示
(72)【発明者】
【氏名】谷 浩行
【テーマコード(参考)】
5H125
5H161
【Fターム(参考)】
5H125AA05
5H125CA05
5H125CB09
5H125CC04
5H125CC05
5H125CD02
5H161AA01
5H161BB03
5H161BB06
5H161CC03
5H161CC05
5H161DD12
5H161DD21
5H161EE04
5H161EE07
5H161EE11
5H161GG04
5H161GG11
5H161JJ01
5H161JJ22
(57)【要約】
路線上の占有範囲情報を含む保安電文を用いて、列車の排他制御を行う信号保安システムへの乗り入れを行う場合、既存の車上保安装置の改造や多くの沿線設備の設置等が必要とならないように、地上管理装置は、乗り入れを行う列車に搭載された車上無線装置からの地上子通過情報に基づいて前記列車の在線区間を判定し、保安電文を受信時に保安電文の占有範囲情報を更新し、前記保安電文の占有範囲情報から前記列車の走行可能な区間を特定し、各地上子を基点とした列車制御情報を前記列車に搭載された車上無線装置に伝達し、車上無線装置は、地上子通過時に前記地上管理装置から伝達された前記列車制御情報の中から当該地上子を基点とした列車制御情報を抽出して前記第二の列車に搭載された車上信号装置に入力し、当該地上子の識別番号を前記地上管理装置に伝達するように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路を走行する列車の車上装置間で、前記列車が前記走行路を占有する範囲の情報である占有範囲情報を含む電文を回覧させて前記占有範囲情報を共有して前記列車の走行の安全性を確保する信号保安システムにおいて、
前記列車は、前記車上装置とは別の制御を行う車上信号装置と、前記車上信号装置に対する制御の情報である列車制御情報を生成する地上管理装置と通信を行う車上無線装置と、を備え、
前記地上管理装置は、前記走行路の近傍に設置された地上子の識別番号を含む情報であって前記車上信号装置が伝送する地上子通過情報に基づいて前記走行路における前記列車の在線区間の情報である在線区間情報を生成し、前記電文を受信した時に前記在線区間情報に基づいて前記占有範囲情報を更新し、前記占有範囲情報から前記列車の走行可能な範囲である走行可能範囲を算出し、前記走行可能範囲に基づいて前記列車の前方に存在する前記地上子を基点とした前記列車制御情報を生成して前記車上無線装置に伝達し、
前記車上無線装置は、前記地上子を通過した時に前記列車制御情報から前記地上子を基点とした前記列車制御情報を抽出して前記車上信号装置に入力し、通過した前記地上子の前記識別番号を含む前記地上子通過情報を生成して前記地上管理装置に伝達することを特徴とする信号保安システム。
【請求項2】
走行路を走行する列車の車上装置間、又は、転てつ器を制御する転てつ器制御装置と前記車上装置の間で、前記列車が前記走行路を占有する範囲の情報である占有範囲情報と前記転てつ器の転換を指示する転換指示情報と前記転てつ器の開通方向の情報である方向状態情報を含む電文を回覧させて、前記占有範囲情報と前記転換指示情報と前記方向状態情報を共有して前記列車の走行の安全性を確保し、
前記転てつ器制御装置は、前記電文の前記転換指示情報に従って前記転てつ器を転換し、前記転てつ器の状態に基づいて前記電文の前記方向状態情報を更新する信号保安システムにおいて、
前記列車は、前記車上装置とは別の制御を行う車上信号装置と、前記車上信号装置に対する制御の情報である列車制御情報を生成する地上管理装置又は前記転てつ器制御装置と通信を行う車上無線装置と、を備え、
前記地上管理装置は、前記走行路の近傍に設置された地上子の識別番号を含む情報であって前記車上信号装置が伝送する地上子通過情報に基づいて前記走行路における前記列車の在線区間の情報である在線区間情報を生成し、前記電文を受信した時に前記在線区間情報に基づいて前記占有範囲情報と前記転換指示情報を更新し、前記占有範囲情報と前記方向状態情報から前記列車の走行可能な範囲である走行可能範囲を算出し、前記走行可能範囲に基づいて前記列車の前方に存在する前記地上子を基点とした前記列車制御情報を生成して前記車上無線装置に伝達し、
前記車上無線装置は、前記地上子を通過した時に前記列車制御情報から前記地上子を基点とした前記列車制御情報を抽出して前記車上信号装置に入力し、通過した前記地上子の前記識別番号を含む前記地上子通過情報を生成して前記地上管理装置又は前記転てつ器制御装置に伝達することを特徴とする信号保安システム。
【請求項3】
請求項2に記載の信号保安システムであって、
前記転てつ器制御装置は、前記地上管理装置の機能を持つことを特徴とする信号保安システム。
【請求項4】
請求項2乃至請求項3のいずれか一つに記載の信号保安システムであって、
前記転てつ器制御装置と前記地上管理装置は一体の装置であることを特徴とする信号保安システム。
【請求項5】
請求項3乃至請求項4のいずれか一つに記載の信号保安システムであって、
前記転てつ器制御装置の内の一つのみが前記地上管理装置として機能することを特徴とする信号保安システム。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか一つに記載の信号保安システムであって、
前記車上無線装置は、前記転てつ器制御装置から前記列車制御情報が既定の時間以上伝達されない場合、前記地上子を通過する時に前記転てつ器制御装置とは異なる前記転てつ器制御装置に前記地上子の前記識別番号を伝達することを特徴とする信号保安システム。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のいずれか一つに記載の信号保安システムであって、
前記電文の回覧から除外された前記転てつ器制御装置が存在する場合、前記転てつ器制御装置によって制御される前記転てつ器を含むブロックを、走行可能な区間から除外することを特徴とする信号保安システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の信号保安システムであって、
前記車上無線装置は、既存の信号装置としての制御をする設定がされている場合、又は、前記地上管理装置から伝達された情報若しくは前記列車制御情報の中に通過した前記地上子を基点とした前記列車制御情報が無い場合、前記地上子からの信号を前記車上信号装置に入力することを特徴とする信号保安システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の信号保安システムであって、
前記電文は、前記列車を進入抑止又は緊急停止させる区間防護情報を含み、
前記地上管理装置は、前記区間防護情報に基づき前記走行可能範囲を算出することを特徴とする信号保安システム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載の信号保安システムであって、
前記列車制御情報を表示する表示器を備え、
前記車上無線装置は、前記地上子の通過を検知した時に前記地上子を基点とした前記列車制御情報を前記表示器に表示することを特徴とする信号保安システム。
【請求項11】
請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載の信号保安システムであって、
情報を表示する表示器を備え、
前記車上無線装置は、前記地上子を基点とした前記列車制御情報が前記地上子を通過した時点から変化していた場合、次の前記地上子を通過した時に停止点の位置が更新されることを前記表示器に表示することを特徴とする信号保安システム。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一つに記載の信号保安システムにおいて用いられる地上管理装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項11のいずれか一つに記載の信号保安システムにおいて用いられる車上無線装置。
【請求項14】
走行路を走行する列車の車上装置間で、前記列車が前記走行路を占有する範囲の情報である占有範囲情報を含む電文を回覧させて前記占有範囲情報を共有して前記列車の走行の安全性を確保する列車制御方法において、
前記列車は、前記車上装置とは別の制御を行う車上信号装置と、前記車上信号装置に対する制御の情報である列車制御情報を生成する地上管理装置と通信を行う車上無線装置と、を備え、
前記地上管理装置は、前記走行路の近傍に設置された地上子の識別番号を含む情報であって前記車上信号装置が伝送する地上子通過情報に基づいて前記走行路における前記列車の在線区間の情報である在線区間情報を生成し、前記電文を受信した時に前記在線区間情報に基づいて前記占有範囲情報を更新し、前記占有範囲情報から前記列車の走行可能な範囲である走行可能範囲を算出し、前記走行可能範囲に基づいて前記列車の前方に存在する前記地上子を基点とした前記列車制御情報を生成して前記車上無線装置に伝達し、
前記車上無線装置は、前記地上子を通過した時に前記列車制御情報から前記地上子を基点とした前記列車制御情報を抽出して前記車上信号装置に入力し、通過した前記地上子の前記識別番号を含む前記地上子通過情報を生成して前記地上管理装置に伝達することを特徴とする列車制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、鉄道システムの列車制御に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、信号保安システムに関して、「軌道回路装置は、レールを電気的に絶縁し、一端に電源を、反対側の一端にはリレーを接続して、列車によるレール間の短絡を検知する装置で、装置の維持保守費用が高い」こと等を課題とし、その解決手段として「予め決められた区間内を走行する列車の保安が電文に基づいて確保される信号保安システムにおいて、電文は、予め決められた区間内に存在する列車の車上装置や沿線機器を巡回し、区間内が複数分割されたブロック1つ1つに列車の占有権が設定可能なブロック占有権情報を有する構成とする」こと等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−232106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道システムの運用では、利便性向上のために異なる路線間で乗り入れを行う場合がある。例えば、信号保安システムが従来のATS−P形の自動列車停止装置である路線から背景技術で示した信号保安システムの路線への乗り入れを行う場合、背景技術で示した信号保安システムに対応した車上保安装置を追加で搭載、あるいはATS−P形の車上保安装置を改造、あるいは地上にATS−Pでの制御に必要な設備の設置を行う必要があり、これらの装置・設備の初期コスト、改造コスト・保守コストが高いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る信号保安システムは、走行路を走行する列車の車上装置間で、前記列車が前記走行路を占有する範囲の情報である占有範囲情報を含む電文を回覧させて前記占有範囲情報を共有して前記列車の走行の安全性を確保する信号保安システムにおいて、前記列車は、前記車上装置とは別の制御を行う車上信号装置と、前記車上信号装置に対する制御の情報である列車制御情報を生成する地上管理装置と通信を行う車上無線装置と、を備え、前記地上管理装置は、前記走行路の近傍に設置された地上子の識別番号を含む情報であって前記車上信号装置が伝送する地上子通過情報に基づいて前記走行路における前記列車の在線区間の情報である在線区間情報を生成し、前記電文を受信した時に前記在線区間情報に基づいて前記占有範囲情報を更新し、前記占有範囲情報から前記列車の走行可能な範囲である走行可能範囲を算出し、前記走行可能範囲に基づいて前記列車の前方に存在する前記地上子を基点とした前記列車制御情報を生成して前記車上無線装置に伝達し、前記車上無線装置は、前記地上子を通過した時に前記列車制御情報から前記地上子を基点とした前記列車制御情報を抽出して前記車上信号装置に入力し、通過した前記地上子の前記識別番号を含む前記地上子通過情報を生成して前記地上管理装置に伝達することを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る信号保安システムは、走行路を走行する列車の車上装置間、又は、転てつ器を制御する転てつ器制御装置と前記車上装置の間で、前記列車が前記走行路を占有する範囲の情報である占有範囲情報と前記転てつ器の転換を指示する転換指示情報と前記転てつ器の開通方向の情報である方向状態情報を含む電文を回覧させて、前記占有範囲情報と前記転換指示情報と前記方向状態情報を共有して前記列車の走行の安全性を確保し、前記転てつ器制御装置は、前記電文の前記転換指示情報に従って前記転てつ器を転換し、前記転てつ器の状態に基づいて前記電文の前記方向状態情報を更新する信号保安システムにおいて、前記列車は、前記車上装置とは別の制御を行う車上信号装置と、前記車上信号装置に対する制御の情報である列車制御情報を生成する地上管理装置又は前記転てつ器制御装置と通信を行う車上無線装置と、を備え、前記地上管理装置は、前記走行路の近傍に設置された地上子の識別番号を含む情報であって前記車上信号装置が伝送する地上子通過情報に基づいて前記走行路における前記列車の在線区間の情報である在線区間情報を生成し、前記電文を受信した時に前記在線区間情報に基づいて前記占有範囲情報と前記転換指示情報を更新し、前記占有範囲情報と前記方向状態情報から前記列車の走行可能な範囲である走行可能範囲を算出し、前記走行可能範囲に基づいて前記列車の前方に存在する前記地上子を基点とした前記列車制御情報を生成して前記車上無線装置に伝達し、前記車上無線装置は、前記地上子を通過した時に前記列車制御情報から前記地上子を基点とした前記列車制御情報を抽出して前記車上信号装置に入力し、通過した前記地上子の前記識別番号を含む前記地上子通過情報を生成して前記地上管理装置又は前記転てつ器制御装置に伝達することを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る列車制御方法は、走行路を走行する列車の車上装置間で、前記列車が前記走行路を占有する範囲の情報である占有範囲情報を含む電文を回覧させて前記占有範囲情報を共有して前記列車の走行の安全性を確保する列車制御方法において、前記列車は、前記車上装置とは別の制御を行う車上信号装置と、前記車上信号装置に対する制御の情報である列車制御情報を生成する地上管理装置と通信を行う車上無線装置と、を備え、前記地上管理装置は、前記走行路の近傍に設置された地上子の識別番号を含む情報であって前記車上信号装置が伝送する地上子通過情報に基づいて前記走行路における前記列車の在線区間の情報である在線区間情報を生成し、前記電文を受信した時に前記在線区間情報に基づいて前記占有範囲情報を更新し、前記占有範囲情報から前記列車の走行可能な範囲である走行可能範囲を算出し、前記走行可能範囲に基づいて前記列車の前方に存在する前記地上子を基点とした前記列車制御情報を生成して前記車上無線装置に伝達し、前記車上無線装置は、前記地上子を通過した時に前記列車制御情報から前記地上子を基点とした前記列車制御情報を抽出して前記車上信号装置に入力し、通過した前記地上子の前記識別番号を含む前記地上子通過情報を生成して前記地上管理装置に伝達することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記手段によれば、車上保安装置の追加、既存の車上保安装置の改造、地上への新規の設備の設置を行うとなく乗り入れを行うことが可能となる。上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】列車制御情報伝達システムの構成例を示す図
図2】転てつ器が無いエリアのブロックの区間の例を示す図
図3】保安電文の構成例を示す図
図4】速度照査パターンの一例を示す図
図5】転てつ器が無いエリアにおけるシステムと保安電文の構成例を示す図
図6】転てつ器が有るエリアのブロックの区間の例を示す図
図7】転てつ器が有るエリアにおけるシステムと保安電文の構成例を示す図
図8】車上無線装置の処理動作の例を示す図
図9】地上管理装置の処理動作の例を示す図
図10】転てつ器の転換指示の開始前の状況における保安電文情報の例を示す図
図11】転てつ器の転換が未完了である状況における保安電文情報の例を示す図
図12】転てつ器の転換が完了した状況における保安電文情報の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例の信号保安システムについて、図1を用いて説明する。図1は、背景技術で示した、保安電文によって列車の排他制御を行う信号保安システムの制御区間に、この信号保安システムに対応する車上保安装置を搭載していない列車が乗り入れを行う状況を示している。本実施例では、乗り入れを行う列車は、ATS−P形の車上保安装置を搭載した列車で説明を行うが、線路上に敷設された地上子等から伝達される列車制御情報に基づいて列車を制御する装置であれば、どのような装置を前提としても構わない。本システムは、保安電文1、列車2a、列車2b、列車2c、地上管理装置3、地上子4で構成される。
【0012】
まず、保安電文1に関して説明する。保安電文1を用いた信号保安システムでは、制御範囲内の列車が走行する路線を予め決められた複数の制御エリアに分割し、さらに1つの制御エリアを複数のブロックに分割する。本実施例では、図2に示すように、路線全体をエリア100、エリア200、エリア300の3つのエリアに分割し、エリア200をブロック201、ブロック202、ブロック203、ブロック204の4つのブロックに分割する。
【0013】
そして、エリア200を走行する全列車の占有範囲情報を1つの保安電文1で管理し、この保安電文1を、エリア内の装置間で回覧させる。保安電文1は上記の情報をどのような構成で管理してもよいが、本実施例では、図3に示すように、エリア識別欄11、メンバーリスト欄12、ブロック占有権欄13を使って説明する。
【0014】
エリア識別欄11には、保安電文1が管理するエリアの識別情報が記入される。
【0015】
メンバーリスト欄12には、保安電文を回覧させる装置の識別情報が記入される。各装置はこのメンバーリストに従って保安電文を回覧する。つまり、保安電文を受け取った装置は、保安電文をこのメンバーリスト上の次の装置に送信し、メンバーリストの最後の装置はメンバーリストの最初の装置に送信する。
【0016】
ブロック占有権欄13には、各列車の識別情報と各列車が確保している当該エリア内の占有範囲情報が記入される。占有範囲情報は、絶対位置もしくは予め決められた基準点からの相対位置で管理する等、どのような構成で管理してもよいが、本実施例では、ブロック毎の占有権を管理する構成とし、各ブロックに対し列車の識別情報を書込むことで占有権を確保する。つまり、ブロック占有権は、当該ブロックに進入するために必ず確保しなければならないもので、1ブロックに対して1列車だけが確保できるものであり、各列車は占有権を確保できている場合のみ当該ブロックに進入可能となる。
【0017】
次に列車2a、列車2bについて説明する。列車2a、列車2bは保安電文を使用した信号保安システムに対応した車上保安装置(以後、列車保安装置20と呼ぶ)を搭載し、無線機21a、21bを使用して、保安電文1の送受信を行う。列車保安装置20a,20bは、保安電文1を受信した時に、ブロック占有権欄13の進入するブロックに対応する欄に自列車を示す識別情報を記入し、その占有権を確保したブロック内を走行し、その外に進出することが無いように列車の制御を行う。
【0018】
次に列車2cについて説明する。列車2cは、ATS−P形の車上保安装置(以後、車上信号装置22と呼ぶ)、送受信部23、車上子24、表示器25を搭載し、保安電文を用いた列車保安システム用の車上無線装置26、第二の表示器27、無線機28が設置される。本発明では、ATS−P形の信号保安システム用の車上信号装置22を改造することなく活用することを目的としており、車上信号装置22、送受信部23、車上子24、表示器25は、乗り入れを行う前の信号保安システム用の装置、本実施例の場合であればATS−P形の車上保安装置を使い、その車上信号装置22と送受信部23との間に、車上無線装置26を接続する。
【0019】
まず、本システムの前提として、列車に搭載されている車上信号装置22、送受信部23について説明する。列車2cに搭載されている車上信号装置22は、入力された停止点までの距離情報等の列車制御情報に基づいて、指示された停止点を基点とする速度照査パターンを作成し、この速度照査パターンに基づいて、運転に必要となる情報を表示器25を介して運転士に表示するとともに、列車を制御する装置である。具体的には、列車に備える速度センサから入力される速度情報を積算して列車位置を算出し、列車の走行速度が速度照査パターンに接近した場合に、表示器25を介して運転士に警報を発し、列車の走行速度が速度照査パターンを超えた場合に、列車に備える継電器部を介して列車のブレーキを動作させる。速度照査パターンとは、列車が停止点までに止まることのできる許容速度を示すものであり、その一例として、図4に停止点5を基点とする列車2cの速度照査パターン6を示す。本実施例ではATS−P形の車上信号装置を前提としているが、ATS−P形の車上信号装置は、本来、送受信部から、地上子の識別番号やその地上子から停止点までの距離情報等を含むATS−P電文を受信して、これを制御に用いる。但し、本実施例では、同様の情報を車上無線装置26からATS−P電文と同じフォーマットで受信して、これを制御に用いる。この点が既存の自動列車停止システムとは異なる。
【0020】
送受信部23は、線路上に敷設された地上子と電磁結合する車上子24を介して、地上子4からの信号を受信する機器である。本実施例ではATS−P形の送受信部を前提としているが、ATS−P形の送受信器は、本来、地上子の識別番号やその地上子から停止点までの距離情報等を含むATS−P電文を受信して、この電文をATS−P車上装置に出力するものである。但し、本実施例では、地上子4から車上子24を介して受信したATS−P電文を車上無線装置26に出力する。この点が既存の自動列車停止システムとは異なる。
【0021】
車上無線装置26は、無線機30や無線機28を介して、地上管理装置3から、各地上子を基点とした停止点までの距離情報を受信し、この情報を記憶しておき、地上子通過を検知した時、つまり、地上子4から車上子24や送受信部23を介して信号が入力された時、その情報の中から当該地上子を基点とした停止点までの距離情報を抽出し、当該地上子の識別番号と合わせて車上信号装置22に出力する。この時、車上無線装置26は、予め地上管理装置3から伝達され、既に記憶している情報の中から通過した地上子を基点とした列車制御情報を抽出するのであり、列車が地上子を通過してから地上管理装置3と通信をして当該地上子を基点とした列車制御情報をもらうのではない。この仕組みにより、車上信号装置22は、地上子通過から時間差無く当該地上子を基点とした列車制御情報に基づく列車制御を実行することができる。
【0022】
また、その際、車上無線装置26は、無線機28や無線機30を介して、列車2cの識別番号と通過した地上子の識別番号を地上管理装置3に送信し、さらに、当該地上子から停止点までの距離情報を第二の表示器27を介して運転士に表示する。例えば、「停止点は地上子××から○○メートル」という情報を表示する。
【0023】
なお、車上無線装置26は、地上管理装置3から情報を受信した時、その情報に含まれる直前に通過した地上子に関する情報、つまり直前に通過した地上子を基点とした停止点までの距離情報が、地上子通過時に車上信号装置22に出力した時の情報から変化していた場合、先行列車の位置の変化などにより停止点の位置が更新されたことが分かる。そこで、そのような情報を受信した時には、次の地上子を通過した時に停止点の位置が更新されることを第二の表示器27を介して運転士に表示する。例えば、前段落で説明した情報の下に、「停止点は地上子××から○○メートル(次地上子通過時にパターン更新)」という情報を表示する。
【0024】
また、車上無線装置26に既存の信号装置としての制御をする設定がされている場合や、地上管理装置3から受信した情報の中に通過した地上子を基点とした列車制御情報が含まれていない場合などは、地上子4から車上子24や送受信部23を介して入力された信号をそのまま車上信号装置22に出力する。この時、車上信号装置22は既存の信号装置としての制御を行うことになるため、信号保安システムがATS−Pである区間でも安全に運転することができる。このようなATS−P形の車上保安装置としての制御をする設定はどのような方式でもよく、地上管理装置3から無線で指示してもよいし、スイッチ等の外部インタフェースを備えて運転士から設定できるようにしてもよい。
【0025】
次に地上管理装置3について説明する。地上管理装置3は、保安電文1の回覧に加わり、無線機30を介して保安電文を送受信する。また、車上無線装置26から、当該装置を搭載した列車2cの通過した地上子の識別番号を受信し、この情報に基づいて、保安電文を受信した際に、列車2cが在線しているブロック、及び列車2cの進行方向側のブロックのブロック占有権欄13に列車2cを記入する。
【0026】
具体的には、路線上の地上子の位置、各ブロックの接続関係とブロック長のデータを記憶しておき、列車2cが通過した地上子、列車2cの列車長、進行方向から、在線しているブロックを判定し、そのブロックの占有権を確保する。なお、列車長については、車上無線装置26から送信してもよいし、地上管理装置3が各列車の列車長を記憶しておき、車上無線装置26から送信された列車の識別番号を使って参照してもよいし、データを持たずに路線を走行する列車の最大長を使ってもよい。その際、列車先頭から車上子の取付け位置までの距離なども考慮しておくことが望ましい。列車の進行方向については、車上無線装置26から送信してもよいし、地上管理装置3が各列車の通過した地上子を記憶しておき、その地上子との位置関係から判定してもよいし、線路の運転方向が決まっている場合にはその方向を使えばよい。
【0027】
列車の進行方向側のブロックに関しては、保安電文1を受信した際に、ブロック占有権欄13を確認し、列車2c以外の他列車が占有権を確保していないブロックの占有権を確保する。この時、自動で確保してもよいし、運行管理装置といった外部装置からの指示に従って確保してもよいし、予めデータベースを持ち列車が通過する時刻に合わせて確保してもよい。
【0028】
そして、地上管理装置3は、ブロック占有権欄13で占有権を確保したブロックを走行可能なブロックと判定し、各地上子から進行方向に対する、占有権を確保したブロックの端点までの長さを計算し、さらにはその長さから所定の余裕距離を減算した距離を算出する。この余裕距離は、既存の自動列車停止システムの値に倣ってもよいし、列車のブレーキ性能や応答時間、天候などの外部条件を踏まえて決定してもよい。もちろん、余裕距離については、車上無線装置側で加味するようにしてもよい。全ての地上子に対してこの計算を行い、その結果を、各地上子を基点とした停止点までの距離情報として、路線上を走行する列車に搭載された車上無線装置26に、無線機30を介して送信する。
【0029】
次に地上子4について説明する。地上子4は無電源の地上子でよく、列車の在線位置を特定するための情報を、電磁結合した車上子に対して送信する。
【0030】
上記のように各装置が動作することで、例えば図5の状況であれば、地上管理装置3は、ブロック占有権欄13のブロック201、202の欄に列車2cを記入し、列車2cの車上信号装置22がその占有権を確保したブロックから進出することが無いように制御することで、列車2cが列車2a、列車2bが占有権を確保しているブロックに進入しないように制御できると共に、列車2cが占有権を確保し走行しているブロックに他列車が進入しないようにできる。
【0031】
本実施例では、地上管理装置3と車上無線装置26との通信に無線を使用しているが、その方式は問わない。また、人工衛星を利用した衛星通信や、携帯電話を利用した電話回線通信等を使用してもよい。
【0032】
また、保安電文1に、列車を進入抑止あるいは緊急停止させるための列車防護情報や線路閉鎖情報を追加し、地上管理装置3は、これらの情報も含めて走行可能なブロックを特定してもよい。
【0033】
本実施例では、転てつ器が存在していないエリアで説明したが、図6のように転てつ器を含むブロックが存在するエリア300でも同様の制御が可能である。図7のように、転てつ器を含むエリアでは、転てつ器の制御を行う転てつ器制御装置7が設置される。
【0034】
保安電文1には、転てつ器方向指示欄14と転てつ器方向状態欄15を設ける。転てつ器方向指示欄14には、転てつ器を含むブロックの占有権を確保した、列車あるいは地上管理装置3によって、当該転てつ器の転換指示(定位・反位への転換指示)が記入される。転てつ器制御装置7は、この転てつ器方向指示欄14の指示に従い転てつ器を転換する。
【0035】
転てつ器方向状態欄15には、転てつ器制御装置7によって、転てつ器の方向状態(定位鎖錠・反位鎖錠・非鎖錠)が記入される。列車及び地上管理装置は、この転てつ器方向状態欄15を確認することによって、転てつ器の開通方向を認識する。
【0036】
地上管理装置3は、転てつ器を含むブロックの占有権を確保した場合、転てつ器指示情報欄14を更新し、転てつ器制御装置7に転てつ器の転換を指示する。また、地上管理装置3は、ブロック占有権欄14、転てつ器指示状態欄15の状態から、列車2cの走行可能なブロックを判定する。具体的には、転てつ器の転換が完了していれば、転てつ器を含むブロックを走行可能なブロックとして判定する。以後は、転てつ器が存在しないエリアと同様の処理を行う。
【0037】
このようにすれば、転てつ器の有るエリアでも、転てつ器の無いエリアと同様に、保安電文を用いた信号保安システム用の車上保安装置を搭載していない列車2cを安全に走行させることができる。
【0038】
なお、地上管理装置3による転てつ器の転換指示は、運行管理装置といった外部装置からの指示に従って決定してもよいし、予めデータベースを持ち列車が通過する時刻に合わせて決定してもよいし、ブロック占有権欄13の状況から決定してもよい。
【0039】
また、地上管理装置3は常に保安電文の回覧に参加しているものとして説明したが、列車2cがエリアに進入しようとした時に保安電文の回覧に参加し、列車2cがエリアを進出した後に保安電文の回覧から離脱するようにしてもよい。保安電文の回覧への参加は、地上管理装置3が、そのエリア内を走行する可能性のある列車の車上保安装置とエリア内にある転てつ器制御装置に、そのエリアの保安電文のメンバーリストに自装置の識別情報を追記してほしいとの要求が記された追加要求電文を送信し、追加要求電文を受信した車上保安装置あるいは転てつ器制御装置が、メンバーリスト欄12に地上管理装置の識別情報を追加することで行う。また、保安電文の回覧からの離脱は、地上管理装置が、保安電文を受信した時に、メンバーリストから自装置を削除することで行う。このように保安電文の回覧への参加、回覧からの離脱を行うことで、エリア内に乗り入れを行っている列車がいない状態で、地上管理装置3が故障した場合に、保安電文の回覧が停止してしまうことを防ぐことができる。
【0040】
また、図7では、地上管理装置3と転てつ器制御装置7を別装置としているが、同一装置でもよい。この場合、ある転てつ器制御装置7が故障したとしても、故障していない他の転てつ器制御装置7と、地上子の識別番号や地上子を基点とした列車制御情報を送受信すれば、エリア内を走行することができる。
【0041】
また、地上管理装置3は、保安電文受信時に、転てつ器制御装置が故障等により保安電文の回覧から除外されていることを認識した場合、当該転てつ器制御装置が制御している転てつ器を含むブロックを進入不可と認識し、走行可能なブロックから除外してもよい。
【0042】
次に、本実施例の列車制御情報伝達システムの制御動作について説明する。図8は、車上無線装置26により実行される処理動作の例を示すフローチャートである。
【0043】
ステップ401:車上無線装置26に情報もしくは信号が入力される。
【0044】
ステップ402:無線機30や無線機28を介して、地上管理装置3からの情報が入力された時は、ステップ411に進む。列車2cが地上子4を通過して、地上子4からの信号が車上子24や送受信部23を介して入力された時は、ステップ421に進む。
【0045】
ステップ411:地上管理装置3から受信した、各地上子を基点とした停止点までの距離情報を記憶し、ステップ412に進む。既に記憶している場合には更新する。
【0046】
ステップ412:列車2cが既に地上子を通過していた場合、つまり、後述するステップ425で通過した地上子を基点とした停止点までの距離情報を車上信号装置22に出力していた場合には、ステップ413に進む。そうでない場合にはステップ401に戻る。
【0047】
ステップ413:ステップ411で記憶した各地上子を基点とした停止点までの距離情報から、直前に通過した地上子を基点とした停止点までの距離情報を抽出し、ステップ414に進む。
【0048】
ステップ414:ステップ413で抽出した情報と、後述するステップ425で車上信号装置11に出力した同じ地上子を基点とした停止点までの距離情報とを比較し、差分がある場合にはステップ415に進み、差分が無い場合にはステップ401に戻る。
【0049】
ステップ415:ステップ413で抽出した情報を第二の表示器27に表示する。例えば、後述するステップ426で表示した情報の下に、「停止点は地上子××から○○メートル(次地上子通過時にパターン更新)」という情報を表示し、ステップ401に戻る。
【0050】
ステップ421:地上子4からの信号を記憶し、ステップ422に進む。
【0051】
ステップ422:車上無線装置26に既存の信号装置としての制御をする設定がなされている場合はステップ424に進み、そうでなければステップ423に進む。
【0052】
ステップ423:地上子4からの信号から地上子の識別番号を認識して記憶する。ステップ411で記憶した情報を検索し、通過した地上子を基点とした停止点までの距離情報が含まれている場合にはステップ425に進み、そうでなければステップ424に進む。
【0053】
ステップ424:地上子4からの信号をそのまま車上信号装置22に出力し、ステップ401に戻る。
【0054】
ステップ425:通過した地上子の識別番号と、ステップ423で抽出した当該地上子を基点とした停止点までの距離情報とをATS−P電文と同じフォーマットで車上信号装置22に出力し、ステップ426に進む。
【0055】
ステップ426:ステップ423で抽出した当該地上子を基点とした停止点までの距離情報を第二の表示器27に表示する。例えば、「停止点は地上子××から○○メートル」という情報を表示し、ステップ427に進む。
【0056】
ステップ427:通過した地上子の識別番号を地上管理装置3に送信し、ステップ401に戻る。
【0057】
図9は、地上管理装置3により実行される処理動作の例を示すフローチャートである。本フローチャートは、地上管理装置3が転てつ器があるエリアに設置された場合を前提として説明する。
【0058】
ステップ501:地上管理装置3は、路線上の地上子の位置、各ブロックの接続関係とブロック長のデータを記憶しておく。
【0059】
ステップ502:無線機30を介して、車上無線装置26からの情報が入力された時、列車の識別番号、その列車が通過した地上子の識別番号、列車の進行方向を記憶し、ステップ503に進む。なお、ステップ503へは、一定時間周期で進むとしてもよい。その場合、その間に入力された複数の情報を合わせて処理することや、処理タイマーなどを設定して装置の健全性をチェックすることなどができる。
【0060】
ステップ503:ステップ501で記憶した路線上の地上子の位置、各ブロックの接続関係、ブロック長のデータと、ステップ502で記憶した列車の識別番号、通過した地上子の識別番号、列車の進行方向に基づいて、列車が在線しているブロックを決定する。このように計算した列車が在線しているブロックは列車ごとに更新管理する。ステップ504に進む。
【0061】
ステップ504:保安電文1を受信した時にブロック占有権欄13を更新し、列車が在線しているブロック、及び進行方向側のブロックのブロック占有権を確保する。ブロック上に転てつ器が存在する場合は、転てつ器方向指示欄14に対し、転てつ器の転換指示を書込む。
【0062】
ステップ505:自装置が送受信した最新の保安電文のブロック占有権欄13、転てつ器方向状態欄15に基づき、転てつ器の転換が完了し、走行可能となっているブロックを特定する。特定した走行可能なブロックに基づいて、各地上子から進行方向に走行可能な区間の長さを計算し、ステップ506に進む。
【0063】
ステップ506:ステップ505で計算した各地上子から進行方向に走行可能な区間の長さから、所定の余裕距離を減算した距離を算出する。これが、各地上子を基点とした停止点までの距離である。全ての地上子に対してこの計算を行い、ステップ507に進む。
【0064】
ステップ507:ステップ506で計算した各地上子を基点とした停止点までの距離を、路線上を走行する列車に搭載された車上無線装置26に、無線機を介して送信し、ステップ502に戻る。この情報は、全列車に全ての情報を送信してもよいし、列車ごとに通過すると想定される地上子に関係する情報だけを送信してもよい。
【0065】
以上に説明した制御動作が実行された場合のシステムの動作について、図10のようにATS−Pを用いた信号保安システムの路線から保安電文を用いた信号保安システムの路線への乗り入れを行う場合で説明する。列車2cが、保安電文を用いた信号保安システムへの進入口に設置される地上子4aを通過すると、列車2cの車上無線装置26から地上管理装置3へ、通過した地上子4aの識別情報を送信し、地上管理装置3は、ATS−P形の車上装置を搭載した列車が、保安電文を用いた信号保安システムへの乗り入れようとしていることを認識する。地上管理装置3は、保安電文を受信した時に、列車2cの進行方向側のブロックで他列車が占有権を確保していないブロックの占有権を確保し、転てつ器の転換指示を行う。図10の状況の場合、図11で示したように、ブロック占有権欄13のブロック401、ブロック402の占有権を新規に確保し、転てつ器方向指示欄14に定位への転換指示を書込む。次に、列車のそして、地上子4b、4cから進行方向に存在する走行可能な区間の長さを計算する。図11の状況であれば、転てつ器の転換が完了していないため、ブロック401への進入が不可となり、走行可能な区間の長さから所定の余裕距離9を減算した距離8b、8cを算出し、列車10の車上無線装置26に送信する。
【0066】
その後、保安電文が転てつ器制御装置7にも回覧され、転てつ器制御装置7は、転てつ器方向指示欄14の指示に従い、転てつ器の転換を開始する。転てつ器制御装置7は、転てつ器の転換が完了した後、保安電文を受信した際に、転てつ器方向状態欄15に転てつ器の転換完了後の状態を書込む。地上管理装置3は、保安電文を受信した際に、転てつ器の転換が完了したことを認識し、ブロック401、ブロック402を走行可能な区間として認識する。以後は、図12で示したように、走行可能な区間の長さから所定の余裕距離9を減算した距離8b’〜8i’を算出し、列車2cの車上無線装置26に送信する。
【0067】
列車10の車上無線装置17は、上記のように地上管理装置3から送信される情報を記憶しておき、列車2cが地上子4bを通過し、地上子4bからの信号が車上子24や送受信部23を介して入力された時、記憶しておいた情報から当該地上子を基点とした停止点までの距離の情報を抽出し、地上子の識別番号4bと停止点までの距離とをATS−P電文と同じフォーマットで車上信号装置22に出力する。図10の状況の場合、図11のように転てつ器の転換が完了していない時は8bを、図12のように転てつ器の転換が完了している場合は、8b’の距離をATS−P電文と同じフォーマットで車上信号装置22に出力することになる。これにより、車上信号装置22は、指示された停止点を基点とする速度照査パターンを作成し、この速度照査パターンに従って列車2cを制御することができる。
【0068】
本実施例では、車上信号装置がATS−P車上装置の場合を前提として説明したが、本来のATS−P形の自動列車停止システムは、各信号機が路線上の列車検知装置から閉塞区間の列車の在線・非在線を判定して進行や停止等の現示を表示し、この信号機に接続した符号処理器が、当該信号機の現示に基づいて停止点までの距離を判定し、この停止点までの距離情報と地上子の識別情報とを含むATS−P形の電文を、有電源地上子を介して車上側に送信し、そして、この電文を、ATS−P車上装置が、車上子と送受信器を介して受信し、この電文に含まれている情報に基づいて列車を制御するシステムである。
【0069】
これに対して、本実施例で説明したシステムは、地上管理装置が、各列車の車上無線装置から列車が通過した地上子の識別番号を受信し、この情報に基づいて保安電文のブロック占有権欄、転てつ器方向指示欄の更新を行い、ブロック占有権欄、転てつ器方向状態欄から各地上子から進行方向に走行可能な区間の長さを計算、さらにはその長さから所定の余裕距離を減算した距離を算出し、この情報を各地上子を基点とした停止点までの距離として車上無線装置に送信し、そして、車上無線装置が、地上子通過を検知した時に、当該地上子の識別番号とその地上子から停止点までの距離情報をATS−P車上装置に入力するものである。
【0070】
つまり、ATS−P車上装置を搭載する列車が、保安電文を用いた信号保安システムの路線に乗り入れを行う場合、保安電文を用いた信号保安システム用の列車保安装置を搭載するか、あるいはその路線に列車検知装置、信号機、符号処理器を設置する必要がある必要があったのが、本実施例によれば、地上管理装置が地上子を基点とする列車制御情報を作成し、無線を介して車上無線装置に伝達することにより、既存のATS−P車上装置は、その処理動作を変えることなく列車を制御することができ、最小限の追加装置で乗り入れを行うことが可能となる。
【0071】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
1 保安電文
2 列車
3 地上管理装置
4 無電源地上子
5 停止点
6 速度照査パターン
7 転てつ器制御装置
8 地上子から停止点までの距離
9 余裕距離
20 列車保安装置
21、28、30、70 無線機
22 車上信号装置
23 送受信器
24 車上子
25 表示器
26 車上無線装置
27 第二の表示器
100、200、300、400 エリア
201〜204、301〜304、401〜403 ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】