特表-18163591IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2018-163591電力変換装置、モータ駆動ユニットおよび電動パワーステアリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年9月13日
【発行日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】電力変換装置、モータ駆動ユニットおよび電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20191129BHJP
   H02P 25/22 20060101ALI20191129BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H02P27/06
   H02P25/22
   B62D5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】特願2019-504350(P2019-504350)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年1月10日
(31)【優先権主張番号】特願2017-43630(P2017-43630)
(32)【優先日】2017年3月8日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】アハマッド ガデリー
【テーマコード(参考)】
3D333
5H505
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB15
3D333CC06
3D333CD53
3D333CD58
3D333CE30
3D333CE36
5H505AA16
5H505BB10
5H505CC04
5H505DD03
5H505EE41
5H505EE49
5H505GG04
5H505HA01
5H505HA03
5H505HA05
5H505HA06
5H505HA09
5H505HA10
5H505HA16
5H505HB02
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505JJ26
5H505LL10
5H505LL22
5H505LL55
5H505LL56
5H505LL58
5H505MM13
5H505PP01
(57)【要約】

電力変換装置100は、第1および第2コイル群210、220の少なくとも1つに接続可能な第1および第2インバータ110、140と、第1インバータと接続された第1分離リレー回路120と、第2インバータと接続された第2分離リレー回路150と、第1分離リレー回路と第1コイル群との間に接続された第3分離リレー回路130と、第2分離リレー回路と第2コイル群との間に接続された第4分離リレー回路160と、第1および第3分離リレー回路の間のn個(nは3以上の整数)のノードと、第2および第4分離リレー回路の間のn個のノードと、を相毎に接続するn本の接続線と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電力を、第1コイル群および第2コイル群を有するn相(nは3以上の整数)のモータに供給する電力に変換する電力変換装置であって、

前記第1および第2コイル群の少なくとも1つに接続可能な第1インバータと、

前記第1および第2コイル群の少なくとも1つに接続可能な第2インバータと、

前記第1インバータと接続された第1分離リレー回路であって、前記第1インバータと、前記第1および第2コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替える第1分離リレー回路と、

前記第2インバータと接続された第2分離リレー回路であって、前記第2インバータと、前記第1および第2コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替える第2分離リレー回路と、

前記第1分離リレー回路と前記第1コイル群との間に接続され、かつ、前記第1および第2インバータと、前記第1コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替える第3分離リレー回路と、

前記第2分離リレー回路と前記第2コイル群との間に接続され、かつ、前記第1および第2インバータと、前記第2コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替える第4分離リレー回路と、

前記第1および第3分離リレー回路の間のn個のノードと、前記第2および第4分離リレー回路の間のn個のノードと、を相毎に接続するn本の接続線と、

を有する電力変換装置。
【請求項2】
前記第1分離リレー回路は、前記第1インバータと、前記第1および第2コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替えるn個の第1分離リレーを有し、

前記第2分離リレー回路は、前記第2インバータと、前記第1および第2コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替えるn個の第2分離リレーを有し、

前記第3分離リレー回路は、前記第1および第2インバータと、前記第1コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替えるn個の第3分離リレーを有し、

前記第4分離リレー回路は、前記第1および第2インバータと、前記第2コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替えるn個の第4分離リレーを有する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記n個の第1分離リレーおよび前記n個の第2分離リレーの各々は、双方向スイッチであり、前記n個の第3分離リレーおよび前記n個の第4分離リレーの各々は、一方向スイッチである、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記電源と前記第1インバータとの間に接続された第1ヒューズと、

前記電源と前記第2インバータとの間に接続された第2ヒューズと、

をさらに有する、請求項1から3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記n本の接続線に接続され、前記第1および第2コイル群の少なくとも1つに接続可能な第3インバータをさらに有する、請求項1から4のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記n本の接続線と前記第3インバータとの接続・非接続を相毎に切替える第5分離リレー回路をさらに有する、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第5分離リレー回路は、前記第3インバータと前記n本の接続線との接続・非接続を相毎に切替えるn個の第5分離リレーを有する、請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記n本の接続線に配置された第6分離リレー回路であって、前記第1および第3分離リレー回路の間の前記n個のノードと、前記第2および第4分離リレー回路の間の前記n個のノードとの接続・非接続を相毎に切替える第6分離リレー回路をさらに有する、請求項1から7のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第6分離リレー回路は、前記第1および第3分離リレー回路の間の前記n個のノードと、前記第2および第4分離リレー回路の間の前記n個のノードとの接続・非接続を相毎に切替えるn個の第6分離リレーを有する、請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記n個の第6分離リレーの各々は、双方向スイッチである、請求項9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記第1インバータが故障したとき、前記第1分離リレー回路がオフして、前記第2、第3および第4分離リレー回路がオンする、請求項1から10のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記第1および第2インバータの各ブリッジ回路は、各々がハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子を有するn個のレグを備え、

前記第1インバータのブリッジ回路が、n相のうちの一相のレグに故障したスイッチ素子を含み、かつ、前記第2インバータのブリッジ回路が、n相のうちの他の一相のレグに故障したスイッチ素子を含むとき、

n個の第1分離リレーのうちの、前記故障したスイッチ素子を含むレグに接続された第1分離リレーはオフし、他のn−1個の第1分離リレーはオンし、

n個の第2分離リレーのうちの、前記故障したスイッチ素子を含むレグに接続された第2分離リレーはオフし、他のn−1個の第2分離リレーはオンし、

前記第3および第4分離リレー回路はオンする、請求項2または3に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記第1および第2インバータの各ブリッジ回路は、各々がハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子を有するn個のレグを備え、

前記第1インバータのブリッジ回路が、n相のうちの一相のレグに故障したスイッチ素子を含むとき、n個の第1分離リレーのうちの、前記故障したスイッチ素子を含むレグに接続された第1分離リレーはオフし、他のn−1個の第1分離リレーはオンし、かつ、前記第2、第3および第4分離リレー回路はオンする、請求項2または3に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記第1インバータおよび前記第1コイル群が故障したとき、前記第1および第3分離リレー回路がオフし、前記第2および第4分離リレー回路がオンする、請求項1から10のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記第1インバータおよび前記第2コイル群が故障したとき、前記第1および第4分離リレー回路がオフし、前記第2および第3分離リレー回路がオンする、請求項1から10のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項16】
前記第1コイル群の中のn相のコイルのうちの一相のコイルが故障したとき、n個の第3分離リレーうちの、前記故障したコイルに接続された第3分離リレーはオフし、他のn−1個の第3分離リレーはオンし、かつ、前記第1、第2および第4分離リレー回路はオンする、請求項2または3に記載の電力変換装置。
【請求項17】
前記第1コイル群の中のn相のコイルのうちの一相のコイルが故障し、かつ、前記第2コイル群の中のn相のコイルのうちの、前記一相とは異なる他の一相のコイルが故障したとき、

n個の第3分離リレーのうちの、前記故障したコイルに接続された第3分離リレーはオフし、他のn−1個の第3分離リレーはオンし、

n個の第4分離リレーのうちの、前記故障したコイルに接続された第4分離リレーはオフし、他のn−1個の第4分離リレーはオンし、

前記第1および第2分離リレー回路はオンする、請求項2または3に記載の電力変換装置。
【請求項18】
前記モータと、 請求項1から17のいずれかに記載の電力変換装置と、

前記電力変換装置を制御する制御回路と、

を有するモータ駆動ユニット。
【請求項19】
請求項18に記載のモータ駆動ユニットを有する電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置、モータ駆動ユニットおよび電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動モータ(以下、単に「モータ」と表記する。)、電力変換装置およびECUが一体化された機電一体型モータが開発されている。特に車載分野において、安全性の観点から高い品質保証が要求される。そのため、部品の一部が故障した場合でも安全動作を継続できる冗長設計が取り入れられている。冗長設計の一例として、1つのモータに対して2つの電力変換装置を設けることが検討されている。他の一例として、メインのマイクロコントローラにバックアップ用マイクロコントローラを設けることが検討されている。
【0003】
特許文献1は、第1系統および第2系統を有するモータ駆動装置を開示する。第1系統は、モータの第1巻線組に接続され、第1インバータ部、電源リレーおよび逆接続保護リレーなどを有する。第2系統は、モータの第2巻線組に接続され、第2インバータ部、電源リレーおよび逆接続保護リレーなどを有する。モータ駆動装置に故障が生じていないとき、第1系統および第2系統の両方を用いてモータを駆動することが可能である。これに対し、第1系統および第2系統の一方、または、第1巻線組および第2巻線組の一方に故障が生じたとき、電源リレーは、電源から、故障した系統、または、故障した巻線組に接続された系統への電力供給を遮断する。故障していない他方の系統を用いてモータ駆動を継続させることが可能である。
【0004】
特許文献2および3も、第1系統および第2系統を有するモータ駆動装置を開示する。一方の系統または一方の巻線組が故障したとしても、故障していない系統によってモータ駆動を継続させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−34204号公報
【特許文献2】特開2016−32977号公報
【特許文献3】特開2008−132919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の技術では、異常時におけるモータ駆動のさらなる向上が求められていた。例えば、特許文献1のモータ駆動装置において、一方の系統が故障した場合、それに接続された、故障していない巻線組も、その故障した系統と共にモータ駆動に関与しなくなる。故障パターンに応じた適切なモータ駆動が望まれる。
【0007】
本開示の実施形態は、モータ駆動を故障パターンに応じて適切に行うことが可能な電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の例示的な電力変換装置は、電源からの電力を、第1コイル群および第2コイル群を有するn相(nは3以上の整数)のモータに供給する電力に変換する電力変換装置であって、前記第1および第2コイル群の少なくとも1つに接続可能な第1インバータと、前記第1および第2コイル群の少なくとも1つに接続可能な第2インバータと、前記第1インバータと接続された第1分離リレー回路であって、前記第1インバータと、前記第1および第2コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替える第1分離リレー回路と、前記第2インバータと接続された第2分離リレー回路であって、前記第2インバータと、前記第1および第2コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替える第2分離リレー回路と、前記第1分離リレー回路と前記第1コイル群との間に接続され、かつ、前記第1および第2インバータと、前記第1コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替える第3分離リレー回路と、前記第2分離リレー回路と前記第2コイル群との間に接続され、かつ、前記第1および第2インバータと、前記第2コイル群と、の接続・非接続を相毎に切替える第4分離リレー回路と、前記第1および第3分離リレー回路の間のn個のノードと、前記第2および第4分離リレー回路の間のn個のノードと、を相毎に接続するn本の接続線と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の例示的な実施形態によると、第1から第4分離リレー回路および接続線によって、モータ駆動を故障パターンに応じて適切に行うことが可能な電力変換装置、当該電力変換装置を有するモータ駆動ユニット、および、当該モータ駆動ユニットを有する電動パワーステアリング装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、例示的な実施形態1によるモータ駆動ユニット1000の典型的なブロック構成を示すブロック図である。
図2図2は、例示的な実施形態1による電力変換装置100の典型的な回路構成を示す回路図である。
図3A図3Aは、双方向スイッチSW_2Wの構成を示す模式図である。
図3B図3Bは、一方向スイッチSW_1Wの構成を示す模式図である。
図4図4は、制御回路300の典型的なブロック構成を示すブロック図である。
図5図5は、第1および第2コイル群210、220の各々の中のU相、V相およびW相の巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形(正弦波)を例示するグラフである。
図6図6は、故障パターン1によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する図である。
図7図7は、故障パターン2によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する図である。
図8図8は、故障パターン3によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する図である。
図9A図9Aは、故障パターン4によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する図である。
図9B図9Bは、故障パターン4によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の他の様子を例示する図である。
図10図10は、故障パターン5によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する図である。
図11図11は、故障パターン6によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する図である。
図12図12は、例示的な実施形態2による電力変換装置100Aの典型的な回路構成を示す回路図である。
図13図13は、例示的な実施形態2による電力変換装置100Aの他の回路構成を示す回路図である。
図14図14は、例示的な実施形態3による電力変換装置100Bの典型的な回路構成を示す回路図である。
図15図15は、例示的な実施形態4による電動パワーステアリング装置2000の典型的な構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の電力変換装置、モータ駆動ユニットおよび電動パワーステアリング装置の実施形態を詳細に説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0012】
本願明細書において、電源からの電力を、三相(U相、V相、W相)の巻線を有する三相モータに供給する電力に変換する電力変換装置を例にして、本開示の実施形態を説明する。ただし、電源からの電力を、四相または五相などのn相(nは4以上の整数)の巻線を有するn相モータに供給する電力に変換する電力変換装置も本開示の範疇である。
【0013】
(実施形態1)

〔モータ駆動ユニット1000および電力変換装置100の構造〕

図1は、本実施形態によるモータ駆動ユニット1000の典型的なブロック構成を模式的に示す。
【0014】
モータ駆動ユニット1000は、典型的に、電力変換装置100、モータ200、制御回路300および角度センサ500を有する。モータ制御手法(例えばセンサレス制御)によっては、角度センサ500は不要な場合がある。
【0015】
モータ駆動ユニット1000は、モジュール化され、例えば、モータ、センサ、ドライバおよびコントローラを有するモータモジュールとして製造および販売され得る。本明細書では、構成要素としてモータ200を有するシステムを例に、モータ駆動ユニット1000を説明する。ただし、モータ駆動ユニット1000は、構成要素としてモータ200を有しない、モータ200を駆動するためのシステムであってもよい。
【0016】
電力変換装置100は、第1インバータ110、第1分離リレー回路120、第3分離リレー回路130、第2インバータ140、第2分離リレー回路150、第4分離リレー回路160および電流センサ400を有する。電力変換装置100は、電源101からの電力をモータ200に供給する電力に変換することが可能である。例えば、第1および第2インバータ110、140は、直流電力を、U相、V相およびW相の擬似正弦波である三相交流電力に変換することが可能である。
【0017】
第1インバータ110は、第1コイル群210および第2コイル群220の少なくとも1つに接続可能であり、第2インバータ140は、第1コイル群210および第2コイル群220の少なくとも1つに接続可能である。本願明細書において、部品(構成要素)同士の間の「接続」とは、主に電気的な接続を意味する。
【0018】
モータ200は、例えば三相交流モータである。モータ200は、第1コイル群210および第2コイル群220を有する。第1コイル群210および第2コイル群220の各々は、U相、V相およびW相の巻線を有する。各コイル群において、巻線の結線は、例えば、スター結線またはデルタ結線である。
【0019】
制御回路300は、マイクロコントローラなどから構成される。制御回路300は、電流センサ400および角度センサ500からの入力信号に基づいて電力変換装置100を制御する。その制御手法として、例えばベクトル制御、パルス幅変調(PWM)および直接トルク制御(DTC)がある。
【0020】
角度センサ500は、例えばレゾルバまたはホールICである。角度センサ500は、磁気抵抗(MR)素子を有するMRセンサとセンサマグネットとの組み合わせによっても実現される。角度センサ500は、モータ200のロータの回転角(以下、「回転信号」と表記する。)を検出し、回転信号を制御回路300に出力する。
【0021】
図2を参照して、電力変換装置100の具体的な回路構成を説明する。
【0022】
図2は、本実施形態による電力変換装置100の典型的な回路構成を模式的に示す。
【0023】
電源101は所定の電源電圧(例えば12V)を生成する。電源101として、例えば直流電源が用いられる。ただし、電源101は、AC−DCコンバータまたはDC―DCコンバータであってもよいし、バッテリー(蓄電池)であってもよい。電源101は、第1および第2インバータ110、140に共通の単一電源であってもよいし、第1インバータ110用の第1電源および第2インバータ140用の第2電源を有していてもよい。
【0024】
第1ヒューズ102が、電源101と第1インバータ110との間に接続される。第1ヒューズ102は、電源101から第1インバータ110に流れ得る大電流を遮断することができる。第2ヒューズ103が、電源101と第2インバータ140との間に接続される。第2ヒューズ103は、電源101から第2インバータ140に流れ得る大電流を遮断することができる。ヒューズの代わりにリレーなどを用いてもよい。
【0025】
図示されていないが、電源101と電力変換装置100との間にコイルが設けられる。コイルは、ノイズフィルタとして機能し、各インバータに供給する電圧波形に含まれる高周波ノイズ、または各インバータで発生する高周波ノイズを電源101側に流出させないように平滑化する。また、各インバータの電源端子には、コンデンサが接続される。コンデンサは、いわゆるバイパスコンデンサであり、電圧リプルを抑制する。コンデンサは、例えば電解コンデンサであり、容量および使用する個数は設計仕様などによって適宜決定される。
【0026】
第1インバータ110は、3個のレグから構成されるブリッジ回路を有する。各レグは、ハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子を有する。U相用レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_A1Hおよびローサイドスイッチ素子SW_A1Lを有する。V相用レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_B1Hおよびローサイドスイッチ素子SW_B1Lを有する。W相用レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_C1Hおよびローサイドスイッチ素子SW_C1Lを有する。スイッチ素子として、例えば電界効果トランジスタ(典型的にはMOSFET)または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いることができる。
【0027】
第1インバータ110は、例えば、U相、V相およびW相の各相の巻線に流れる電流を検出するための電流センサ400(図1を参照)として、シャント抵抗(不図示)を各レグに有する。電流センサ400は、各シャント抵抗に流れる電流を検出する電流検出回路(不図示)を有する。例えば、シャント抵抗は、各レグにおいて、ローサイドスイッチ素子とグランドとの間に接続され得る。シャント抵抗の抵抗値は、例えば0.5mΩ〜1.0mΩ程度である。
【0028】
シャント抵抗の数は3つに限られない。例えば、U相、V相用の2つのシャント抵抗、V相、W相用の2つのシャント抵抗、および、U相、W相用の2つのシャント抵抗を用いることが可能である。使用するシャント抵抗の数およびシャント抵抗の配置は、製品コストおよび設計仕様などを考慮して適宜決定される。
【0029】
第2インバータ140は、3個のレグから構成されるブリッジ回路を有する。U相用レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_A2Hおよびローサイドスイッチ素子SW_A2Lを有する。V相用レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_B2Hおよびローサイドスイッチ素子SW_B2Lを有する。W相用レグは、ハイサイドスイッチ素子SW_C2Hおよびローサイドスイッチ素子SW_C2Lを有する。第1インバータ110と同様に、第2インバータ140は、例えば、シャント抵抗を各レグに有する。
【0030】
第1分離リレー回路120は、第1インバータ110と接続され、第1インバータ110と、第1コイル群210および第2コイル群220と、の接続・非接続を相毎に切替えることができる。第1分離リレー回路120は、第1インバータ110と、第1コイル群210および第2コイル群220と、の接続・非接続を相毎に切替える3個の第1分離リレーを有する。具体的に説明すると、第1分離リレー回路120は、U相用の第1分離リレー120A、V相用の第1分離リレー120B、および、W相用の第1分離リレー120Cを有する。
【0031】
第1分離リレー120Aは、第1インバータ110のU相用レグ(ハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子の間のノード)に接続される。第1分離リレー120Bは、第1インバータ110のV相用レグに接続される。第1分離リレー120Cは、第1インバータ110のW相用レグに接続される。分離リレーとして、例えば、MOSFETまたはIGBTなどの半導体スイッチを用いてことができる。アナログスイッチICなどの他の半導体スイッチまたはメカニカルリレーを用いても構わない。
【0032】
第2分離リレー回路150は、第2インバータ140と接続され、第2インバータ140と、第1コイル群210および第2コイル群220と、の接続・非接続を相毎に切替えることができる。第2分離リレー回路150は、第2インバータ140と、第1コイル群210および第2コイル群220と、の接続・非接続を相毎に切替える3個の第2分離リレーを有する。具体的に説明すると、第2分離リレー回路150は、U相用の第2分離リレー150A、V相用の第2分離リレー150B、および、W相用の第2分離リレー150Cを有する。
【0033】
第2分離リレー150Aは、第2インバータ140のU相用レグに接続される。第2分離リレー150Bは、第2インバータ140のV相用レグに接続される。第2分離リレー150Cは、第2インバータ140のW相用レグに接続される。
【0034】
第3分離リレー回路130は、第1分離リレー回路120と第1コイル群210との間に接続され、第1インバータ110および第2インバータ140と、第1コイル群210と、の接続・非接続を相毎に切替えることができる。第3分離リレー回路130は、第1インバータ110および第2インバータ140と、第1コイル群210と、の接続・非接続を相毎に切替える3個の第3分離リレーを有する。具体的に説明すると、第3分離リレー回路130は、U相用の第3分離リレー130A、V相用の第3分離リレー130B、および、W相用の第3分離リレー130Cを有する。
【0035】
第3分離リレー130Aは、第1分離リレー120Aと、第1コイル群210の中のU相巻線211と、に接続される。第3分離リレー130Bは、第1分離リレー120Bと、第1コイル群210の中のV相巻線212と、に接続される。第3分離リレー130Cは、第1分離リレー120Cと、第1コイル群210の中のW相巻線213と、に接続される。
【0036】
第4分離リレー回路160は、第2分離リレー回路150と第2コイル群220との間に接続され、第1インバータ110および第2インバータ140と、第2コイル群220と、の接続・非接続を相毎に切替えることができる。第4分離リレー回路160は、第1インバータ110および第2インバータ140と、第2コイル群220と、の接続・非接続を相毎に切替える3個の第4分離リレーを有する。具体的に説明すると、第4分離リレー回路160は、U相用の第4分離リレー160A、V相用の第4分離リレー160B、および、W相用の第4分離リレー160Cを有する。
【0037】
第4分離リレー160Aは、第2分離リレー150Aと、第2コイル群220の中のU相巻線221と、に接続される。第4分離リレー160Bは、第2分離リレー150Bと、第2コイル群220の中のV相巻線222と、に接続される。第4分離リレー160Cは、第2分離リレー150Cと、第2コイル群220の中のW相巻線223と、に接続される。
【0038】
3本の接続線170が、第1および第3分離リレー回路120、130の間の3個のノードと、第2および第4分離リレー回路150、160の間の3個のノードと、を相毎に接続する。具体的に説明すると、第1分離リレー120Aと第3分離リレー130Aとの間のノードと、第2分離リレー150Aと第4分離リレー160Aとの間のノードとが、U相用の接続線170によって接続される。第1分離リレー120Bと第3分離リレー130Bとの間のノードと、第2分離リレー150Bと第4分離リレー160Bとの間のノードとが、V相用の接続線170によって接続される。第1分離リレー120Cと第3分離リレー130Cとの間のノードと、第2分離リレー150Cと第4分離リレー160Cとの間のノードとが、W相用の接続線170によって接続される。
【0039】
図3Aは、双方向スイッチSW_2Wの構成を模式的に示す。図3Bは、一方向スイッチSW_1Wの構成を模式的に示す。
【0040】
例えば、3個の第1分離リレー120A、120B、120C、3個の第2分離リレー150A、150Bおよび150Cとして、図3Aに示される双方向スイッチを用いることができる。例えば、3個の第3分離リレー130A、130B、130C、3個の第4分離リレー160A、160Bおよび160Cとして、図3Bに示される一方向スイッチを用いることができる。
第1分離リレー回路120、第2分離リレー回路150、第3分離リレー回路130および第4分離リレー回路160の全ての分離リレーは、双方向スイッチであってもよい。
【0041】
図4は、制御回路300の典型的なブロック構成を示す。
【0042】
制御回路300は、例えば、電源回路310と、入力回路320と、マイクロコントローラ330と、駆動回路340と、ROM350とを備える。制御回路300は、電力変換装置100に接続される。制御回路300は、電力変換装置100を、具体的には、第1インバータ110、第1分離リレー回路120、第3分離リレー回路130、第2インバータ140、第2分離リレー回路150および第4分離リレー回路160(図1を参照)を制御することにより、モータ200を駆動する。制御回路300は、目的とするモータトルクおよび回転速度を制御してクローズドループ制御を行うことができる。
【0043】
電源回路310は、回路内の各ブロックに必要なDC電圧(例えば3V、5V)を生成する。
【0044】
入力回路320は、電流センサ400によって検出されたモータ電流値(以下、「実電流値」と表記する。)を受け取る。入力回路320は、マイクロコントローラ330の入力レベルに実電流値のレベルを必要に応じて変換し、実電流値をマイクロコントローラ330に出力する。入力回路320は、アナログデジタル変換回路である。
【0045】
マイクロコントローラ330は、角度センサ500によって検出されたロータの回転信号を受信する。マイクロコントローラ330は、実電流値およびロータの回転信号などに従って目標電流値を設定してPWM信号を生成し、それを駆動回路340に出力する。
【0046】
例えば、マイクロコントローラ330は、電力変換装置100の第1および第2インバータ110、140における各スイッチ素子のスイッチング動作(ターンオンまたはターンオフ)を制御するためのPWM信号を生成する。マイクロコントローラ330は、電力変換装置100の各分離リレー回路内の各分離リレーのオン・オフの状態を決定する信号を生成する。
【0047】
駆動回路340は、典型的にはゲートドライバである。駆動回路340は、第1および第2インバータ110、140における各スイッチ素子のスイッチング動作を制御する制御信号(例えば、ゲート制御信号)をPWM信号に従って生成し、各スイッチ素子に制御信号を与える。さらに、駆動回路340は、マイクロコントローラ330からの、各分離リレーのオン・オフの状態を決定する信号に従って、各分離リレーをオン・オフする制御信号(アナログ信号)を生成し、各分離リレーにその制御信号を与えることが可能である。マイクロコントローラ330は、駆動回路340の機能を有していてもよい。その場合、駆動回路340は必要とされない。
【0048】
ROM350は、例えば書き込み可能なメモリ(例えばPROM)、書き換え可能なメモリ(例えばフラッシュメモリ)または読み出し専用のメモリである。ROM350は、マイクロコントローラ330に電力変換装置100を制御させるための命令群を含む制御プログラムを格納する。例えば、制御プログラムはブート時にRAM(不図示)に一旦展開される。
【0049】
電力変換装置100の制御に、正常時および異常時の制御がある。制御回路300(主としてマイクロコントローラ330)は、電力変換装置100の制御を正常時の制御から異常時の制御に切替えることができる。後述する故障パターンに応じて、第1分離リレー回路120、第2分離リレー回路150、第3分離リレー回路130および第4分離リレー回路160の各分離リレーのオン・オフの状態が決定される。
【0050】
以下、各分離リレー回路のオン・オフ状態、および、オン・オフ状態における、第1および第2インバータ110、140と、第1および第2コイル群210、220との電気的な接続関係を詳細に説明する。
【0051】
第1分離リレー120がオンし、かつ、第3分離リレー回路130がオンすると、第1インバータ110は、第1コイル群210に接続される。第1分離リレー120がオンし、かつ、第4分離リレー回路160がオンすると、第1インバータ110は、第2コイル群220に接続される。第1分離リレー120がオフすると、第1インバータ110は、第1および第2コイル群210、220から電気的に切り離される。本明細書において、「分離リレー回路がオンする」とは、その分離リレー回路内の全ての分離リレーがオンすることを意味し、「分離リレー回路がオフする」とは、その分離リレー回路内の全ての分離リレーがオフすることを意味する。
【0052】
第2分離リレー回路150がオンし、かつ、第3分離リレー回路130がオンすると、第2インバータ140は、第1コイル群210に接続される。第2分離リレー回路150がオンし、かつ、第4分離リレー回路160がオンすると、第2インバータ140は、第2コイル群220に接続される。第2分離リレー回路150がオフすると、第2インバータ140は、第1および第2コイル群210、220から電気的に切り離される。
【0053】
第3分離リレー回路130がオンし、かつ、第1分離リレー回路120がオンすると、第1コイル群210は、第1インバータ110に接続される。第3分離リレー回路130がオンし、かつ、第2分離リレー回路150がオンすると、第1コイル群210は、第2インバータ140に接続される。第3分離リレー回路130がオフすると、第1コイル群210は、第1および第2インバータ110、140から電気的に切り離される。
【0054】
第4分離リレー回路160がオンし、かつ、第1分離リレー回路120がオンすると、第2コイル群220は、第1インバータ110に接続される。第4分離リレー回路160がオンし、かつ、第2分離リレー回路150がオンすると、第2コイル群220は、第2インバータ140に接続される。第4分離リレー回路160がオフすると、第2コイル群220は、第1および第2インバータ110、140から電気的に切り離される。
【0055】
各分離リレー回路内の各分離リレーをオンまたはオフにすることにより、上述した第1および第2インバータ110、140と、第1および第2コイル群210、220との電気的な接続を相毎に切替えることが可能となる。
【0056】
〔モータ駆動ユニット1000の動作〕

以下、モータ駆動ユニット1000の動作の具体例を説明し、主として電力変換装置100の動作の具体例を説明する。
【0057】
(1.正常時の制御)

先ず、電力変換装置100の正常時の制御方法の具体例を説明する。
【0058】
本明細書において、「正常」とは、第1インバータ110、第2インバータ140、第1コイル群210および第2コイル群220に故障が生じていないことを指す。「異常」とは、インバータのブリッジ回路内のスイッチ素子において故障が発生すること、および、モータの巻線に故障が発生することを指す。スイッチ素子の故障は、主として半導体スイッチ素子(FET)の、オープン故障およびショート故障を指す。「オープン故障」は、FETのソース−ドレイン間が開放する故障(換言すると、ソース−ドレイン間の抵抗rdsがハイインピーダンスになること)を指し、「ショート故障」は、FETのソース−ドレイン間が短絡する故障を指す。巻線の故障とは、例えば巻線の断線である。
【0059】
正常時の制御において、制御回路300(主にマイクロコントローラ330)は、4つの第1分離リレー回路120、第2分離リレー回路150、第3分離リレー回路130および第4分離リレー回路160をオンにする。この制御により、第1インバータ110は、第1コイル群210および第2コイル群220に接続され、第2インバータ140は、第1コイル群210および第2コイル群220に接続される。
【0060】
正常時の制御において、例えば、U相に対し、第1分離リレー120Aと第3分離リレー130Aとの間のノードと、第2分離リレー150Aと第4分離リレー160Aとの間のノードとの間の電位差はゼロになる。他の二相の2つのノードの間の電位差もゼロになる。そのため、3本の接続線に電流は流れない。従って、実質的には、第1インバータ110は、第1コイル群210に接続され、第2インバータ140は、第2コイル群220に接続される。この接続状態において、第1インバータ110を用いて第1コイル群210を通電し、かつ、第2インバータ140を用いて第2コイル群220を通電することができる。
【0061】
図5は、第1および第2コイル群210、220の各々の中のU相、V相およびW相の巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形(正弦波)を例示する。横軸は、モータ電気角(deg)を示し、縦軸は電流値(A)を示している。この電流波形において、三相の巻線に流れる電流の総和はモータ電気角毎に「0」になる。
【0062】
制御回路300は、図5に示される擬似正弦波が得られるように第1インバータ110の各スイッチ素子のスイッチング動作を制御する。制御回路300は、さらに、図5に示される擬似正弦波が得られるように第2インバータ140の各スイッチ素子のスイッチング動作を制御する。図5に例示した正弦波以外に、例えば矩形波を用いてモータ200を駆動することは可能である。
【0063】
(2.異常時の制御)

電力変換装置100を長期間使用すると、各インバータのスイッチ素子またはモータ200の巻線に故障が起こる可能性がある。これらの故障は、製造時に発生し得る製造故障とは異なる。そのような故障が発生すると、上述した正常時の制御は不可能となる。
【0064】
故障検知の一例として、駆動回路340は、スイッチ素子(例えば、FET)のドレイン−ソース間の電圧Vdsを監視し、所定の閾値電圧とVdsとを比較することによって、スイッチ素子の故障を検知する。閾値電圧は、例えば外部IC(不図示)とのデータ通信および外付け部品によって駆動回路340に設定される。駆動回路340は、マイクロコントローラ330のポートと接続され、故障検知信号をマイクロコントローラ330に通知する。例えば、駆動回路340は、スイッチ素子の故障を検知すると、故障検知信号をアサートする。マイクロコントローラ330は、アサートされた故障検知信号を受信すると、駆動回路340の内部データを読み出して、2つのインバータにおける複数のスイッチ素子の中でどのスイッチ素子が故障しているのかを判別することが可能である。
【0065】
故障検知の他の一例として、マイクロコントローラ330は、モータの実電流値と目標電流値との差に基づいてスイッチ素子の故障を検知することも可能である。さらに、マイクロコントローラ330は、例えば、モータの実電流値と目標電流値との差に基づいて、モータ200の巻線が断線したかどうかを検知することも可能である。ただし、故障検知は、これらの手法に限られず、故障検知に関する公知の手法を広く用いることができる。
【0066】
マイクロコントローラ330は、故障検知信号がアサートされると、電力変換装置100の制御を正常時の制御から異常時の制御に切替える。例えば、正常時から異常時に制御を切替えるタイミングは、故障検知信号がアサートされてから10msec〜30msec程度である。
【0067】
電力変換装置100の故障には様々な故障パターンが存在する。以下、代表的な故障パターンを挙げ、各分離リレー回路内の各分離リレーの制御方法を故障パターン毎に説明する。
【0068】
〔故障パターン1〕

図6は、故障パターン1によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する。
【0069】
例えば、2つのインバータのうちの片側(第1インバータ110)において、全てのハイサイドスイッチ素子SW_A1H、SW_B1HおよびSW_C1Hが故障したとする。その場合、制御回路300は、第1分離リレー回路120をオフして、第2分離リレー回路150、第3分離リレー回路130および第4分離リレー回路160をオンする。これにより、故障した第1インバータ110は、モータ200から電気的に切り離される。当然に、第2インバータ140が故障した場合、上記と同様な制御が成立する。
【0070】
例えば、特許文献1のモータ駆動装置では、故障したインバータの電源リレーをオープンにすることによって、その故障したインバータに接続された巻線組への電流の供給は、突然に遮断される。その場合、三相の巻線の間の電圧の大小関係によって、モータ200に意図しない大電流が流れるおそれがある。これにより、ブレーキトルクが生じる可能性がある。
【0071】
上述した制御方法によると、第1インバータ110が三相のうちの少なくとも一相に故障したレグを含んでいても、第2インバータ140から接続線170を介して第1コイル群210に電力が継続して供給されるため、ブレーキトルクの発生を抑制することが可能となる。故障が生じても、モータ駆動ユニット1000を継続して駆動させることができる。
【0072】
例えば、特許文献1のモータ駆動装置では、両方の系統が正常であるときのモータトルクを故障時において維持しようとすると、故障していない系統に接続された巻線組に2倍の電流を流す必要がある。その結果、例えば、モータ全体の銅損が増大するといった問題が生じる。一方、本実施形態によると、第2インバータ140からの電流を、共通線170を介して分岐させることにより、第1および第2コイル群210、220を通電することができる。そのため、モータ200の銅損の増加を抑制することが可能となる。
【0073】
〔故障パターン2〕

図7は、故障パターン2によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する。
【0074】
例えば、第1インバータ110のU相用レグのハイサイドスイッチ素子SW_A1H、および、第2インバータ140のV相用レグのハイサイドスイッチ素子SW_B2Hが同時に故障したとする。その場合、制御回路300は、3個の第1分離リレーうちの、故障したハイサイドスイッチ素子SW_A1Hを含むレグに接続された第1分離リレー120Aをオフし、他の2個の第1分離リレー120B、120Cをオンし、かつ、3個の第2分離リレーうちの、故障したハイサイドスイッチ素子SW_B2Hを含むレグに接続された第2分離リレー150Bをオフし、他の2個の第2分離リレー150A、150Cをオンし、かつ、第3および第4分離リレー回路130、160をオンする。この制御により、第1および第2インバータ110、140の中の故障していないレグを用いて、第1および第2コイル群210、220に電力を供給し続けることが可能となる。故障したUおよびV相において、2つのインバータのうちの故障していないインバータから2つのコイル群に接続線170を通って電流が分岐するために、トルクは低下するものの、モータ駆動ユニット1000を継続して駆動させることができる。
【0075】
上述した制御方法によると、2つのインバータのうちの一方において、三相のうちの一相のスイッチ素子が故障し、かつ、他方のインバータにおいて、その故障した相とは異なる一相のスイッチ素子がさらに故障したとしても、モータ駆動ユニット1000を継続して駆動させることができる。従来技術では、故障パターン2が発生した場合、三相のうちの二相の巻線に電流が流れない状態となるので、モータ駆動装置は停止せざるを得ない。このように、従来技術は、2個のインバータにおいて同時に発生する2個の故障に対する耐性を有していないと言える。これに対し、上述したように、本開示による電力変換装置は、そのような耐性を有する。
【0076】
〔故障パターン3〕

図8は、故障パターン3によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する。
【0077】
例えば、第1インバータ110のU相用レグのハイサイドスイッチ素子SW_A1Hが故障したとする。その場合、制御回路300は、3個の第1分離リレーうちの、故障したハイサイドスイッチ素子SW_A1Hを含むレグに接続された第1分離リレー120Aをオフし、他の2個の第1分離リレー120B、120Cをオンし、かつ、第2分離リレー回路150、第3分離リレー回路130および第4分離リレー回路160をオンする。この制御により、第1インバータ110の故障していない2個のレグと、第2インバータ140を用いて、第1および第2コイル群210、220に電力を供給し続けることが可能となる。
【0078】
上述した制御方法によると、2つのインバータのうちの一方のブリッジ回路が、三相のうちの一相のレグに故障したスイッチ素子を含む場合であっても、モータ駆動ユニット1000を継続して駆動させることができる。
【0079】
〔故障パターン4〕

図9Aは、故障パターン4によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する。
【0080】
例えば、2つのインバータのうちの片側(第1インバータ110)において、全てのハイサイドスイッチ素子SW_A1H、SW_B1HおよびSW_C1Hが故障し、かつ、第1コイル群210、例えば、三相の巻線全てが同時に故障したとする。その場合、制御回路300は、第1および第3分離リレー回路120、130をオフし、かつ、第2および第4分離リレー回路150、160をオンする。この制御により、故障していない第2インバータ140と、故障していない第2コイル群220とを接続することができる。第2インバータ140を用いて、第2コイル群220に電力を供給し続けることが可能となる。
【0081】
図9Bは、故障パターン4によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の他の様子を例示する。
【0082】
例えば、2つのインバータのうちの片側(第1インバータ110)において、全てのハイサイドスイッチ素子SW_A1H、SW_B1HおよびSW_C1Hが故障し、かつ、第2コイル群220、例えば、三相の巻線全てが同時に故障したとする。その場合、制御回路300は、第1および第4分離リレー回路120、160をオフし、かつ、第2分離リレー回路150および第3分離リレー回路130をオンする。この制御により、故障していない第2インバータ140と、故障していない第1コイル群210とを接続することができる。第2インバータ140を用いて、第1コイル群210に電力を供給し続けることが可能となる。
【0083】
上述した制御方法によると、2つのインバータのうちの一方のブリッジ回路および2つのコイル群のうちの一方が、同時に故障した場合であっても、モータ駆動ユニット1000を継続して駆動させることができる。従来技術では、図9Bに示されるような故障パターン4が発生した場合、両方の巻線組に電力は供給されないため、モータ駆動装置は停止せざるを得ない。
【0084】
〔故障パターン5〕

図10は、故障パターン5によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する。
【0085】
例えば、第1コイル群210の中の三相の巻線211、212および213のうちのU相巻線211が断線したとする。その場合、制御回路300は、3個の第3分離リレーうちの、故障した巻線211に接続された第3分離リレー130Aをオフし、他の2個の第3分離リレー130B、130Cをオンし、かつ、第1、第2および第4分離リレー回路120、150および160をオンする。この制御により、第1および第2インバータ110、140を用いて、第1コイル群210の中の故障していないV相およびW相の巻線212、213と、第2コイル群220とに電力を供給し続けることが可能となる。
【0086】
上述した制御方法によると、2つのコイル群の一方の中の三相の巻線のうちの一相の巻線が故障したとしても、モータ駆動ユニット1000を継続して駆動させることができる。
【0087】
〔故障パターン6〕

図11は、故障パターン6によるブリッジ回路内のスイッチ素子の故障の様子を例示する。
【0088】
例えば、第1コイル群210の中の三相の巻線211、212および213のうちのU相巻線211が故障し、かつ、第2コイル群220の中の三相の巻線221、222および223のうちのV相巻線222が同時に故障したとする。その場合、制御回路300は、3個の第3分離リレーうちの、故障した巻線211に接続された第3分離リレー130Aをオフし、他の2個の第3分離リレー130B、130Cをオンし、かつ、3個の第4分離リレーうちの、故障した巻線222に接続された第4分離リレー160Bをオフし、他の2個の第4分離リレー160A、160Cをオンし、かつ、第1および第2分離リレー回路120、150をオンする。この制御により、第1および第2インバータ110、140を用いて、第1コイル群210の中の故障していないV相およびW相の巻線212、213と、第2コイル群220の中の故障していないU相およびW相の巻線221、223とに電力を供給し続けることが可能となる。
【0089】
上述した制御方法によると、第1コイル群の中の三相の巻線のうちの一相の巻線が故障し、かつ、第2コイル群の中の三相の巻線のうちの、その一相とは異なる他の一相の巻線が故障したとしても、モータ駆動ユニット1000を継続して駆動させることができる。
【0090】
(実施形態2)

本実施形態による電力変換装置100Aは、接続線170に接続された第3インバータ180をさらに有する点で第1実施形態による電力変換装置100とは異なる。以下、第1実施形態による電力変換装置100との差異点を主として説明する。
【0091】
図12は、本実施形態による電力変換装置100Aの典型的な回路構成を模式的に示す。
【0092】
電力変換装置100Aは、第3インバータ180をさらに有する。第3インバータ180は、第1および第2インバータ110、140と同じ構造を備える。第3インバータ180は、3本の接続線に接続される。第3インバータ180は、3本の接続線170を介して、第1および第2コイル群210、220に接続可能である。
【0093】
本実施形態によると、第1インバータ110または第2インバータ140が故障した場合においても、その故障したインバータの代わりに第3インバータ180を用いて、トルクを低下させることなくモータ駆動を継続することができる。
【0094】
図13は、本実施形態による電力変換装置100Aの他の回路構成を模式的に示す。
【0095】
電力変換装置100Aは、第3インバータ180に加え、第5分離リレー回路181をさらに有する。
【0096】
第5分離リレー回路181は、第3インバータ180と3本の接続線170との接続・非接続を相毎に切替える3個の第5分離リレーを有する。具体的に説明すると、第3インバータ180のU相用レグは、第5分離リレー181Aを介してU相用の接続線170に接続される。第3インバータ180のV相用レグは、第5分離リレー181Bを介してV相用の接続線170に接続される。第3インバータ180のW相用レグは、第5分離リレー181Cを介してW相用の接続線170に接続される。
【0097】
(実施形態3)

本実施形態による電力変換装置100Bは、3本の接続線170に配置された第6分離リレー回路190をさらに有する点で第1実施形態による電力変換装置100とは異なる。以下、第1実施形態による電力変換装置100との差異点を主として説明する。
【0098】
図14は、本実施形態による電力変換装置100Bの典型的な回路構成を模式的に示す。
【0099】
電力変換装置100Bは、3本の接続線170に配置された第6分離リレー回路190をさらに有する。
【0100】
第6分離リレー回路190は、3個のノードの間の接続・非接続を相毎に切替える3個の第6分離リレーを有する。第6分離リレー回路190は、第1および第3分離リレー回路120、130の間の3個のノードと、第2および第4分離リレー回路150、160の間の3個のノードとの接続・非接続を相毎に切替える。
【0101】
第6分離リレー190Aは、U相のノードの間の接続・非接続を切替える。第6分離リレー190Bは、V相のノードの間の接続・非接続を切替える。第6分離リレー190Cは、W相のノードの間の接続・非接続を切替える。第6分離リレー190A、190Bおよび190Cの各々は、双方向スイッチである。
【0102】
本実施形態によると、実施形態1による回路構成と比べて、接続線170を流れる電流をより適切に制御することが可能となる。
【0103】
(実施形態4)

図15は、本実施形態による電動パワーステアリング装置2000の典型的な構成を模式的に示す。
【0104】
自動車等の車両は一般に、電動パワーステアリング(EPS)装置を有する。本実施形態による電動パワーステアリング装置2000は、ステアリングシステム520、および補助トルクを生成する補助トルク機構540を有する。電動パワーステアリング装置2000は、運転者がステアリングハンドルを操作することによって発生するステアリングシステムの操舵トルクを補助する補助トルクを生成する。補助トルクにより、運転者の操作の負担は軽減される。
【0105】
ステアリングシステム520は、例えば、ステアリングハンドル521、ステアリングシャフト522、自在軸継手523A、523B、回転軸524、ラックアンドピニオン機構525、ラック軸526、左右のボールジョイント552A、552B、タイロッド527A、527B、ナックル528A、528B、および左右の操舵車輪529A、529Bから構成され得る。
【0106】
補助トルク機構540は、例えば、操舵トルクセンサ541、自動車用電子制御ユニット(ECU)542、モータ543および減速機構544などから構成される。操舵トルクセンサ541は、ステアリングシステム520における操舵トルクを検出する。ECU542は、操舵トルクセンサ541の検出信号に基づいて駆動信号を生成する。モータ543は、駆動信号に基づいて操舵トルクに応じた補助トルクを生成する。モータ543は、減速機構544を介してステアリングシステム520に、生成した補助トルクを伝達する。
【0107】
ECU542は、例えば、実施形態1によるマイクロコントローラ330および駆動回路340などを有する。自動車ではECUを核とした電子制御システムが構築される。電動パワーステアリング装置2000では、例えば、ECU542、モータ543およびインバータ545によって、モータ駆動ユニットが構築される。そのシステムに、実施形態1によるモータ駆動ユニット1000を好適に用いることができる。
【0108】
本開示の実施形態は、シフトバイワイヤ、ステアリングバイワイヤ、ブレーキバイワイヤなどのエックスバイワイヤおよびトラクションモータなどのモータ制御システムにも好適に用いられる。例えば、本開示の実施形態によるモータ制御システムは、日本政府および米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によって定められたレベル0から4(自動化の基準)に対応した自動運転車に搭載され得る。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本開示の実施形態は、掃除機、ドライヤ、シーリングファン、洗濯機、冷蔵庫および電動パワーステアリング装置などの、各種モータを備える多様な機器に幅広く利用され得る。
【符号の説明】
【0110】
100、100A、100B:電力変換装置、101:電源、102、103:ヒューズ、110:第1インバータ、120:第1分離リレー回路、120A、120B、120C:第1分離リレー、130:第3分離リレー回路、130A、130B、130C:第3分離リレー、140:第2インバータ、150:第2分離リレー回路、150A、150B、150C:第2分離リレー、160:第3分離リレー回路、160A、160B、160C:第4分離リレー、200:モータ、300:制御回路、310:電源回路、320:入力回路、330:マイクロコントローラ、340:駆動回路、350:ROM、400:電流センサ、500:角度センサ、1000:モータ駆動ユニット、2000:電動パワーステアリング装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】