(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年9月27日
【発行日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】濃度補正プロファイル生成方法及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/40 20060101AFI20191025BHJP
B41J 2/52 20060101ALI20191025BHJP
【FI】
H04N1/40
B41J2/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
【出願番号】特願2019-507596(P2019-507596)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2017-57432(P2017-57432)
(32)【優先日】2017年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】稲川 博敬
【テーマコード(参考)】
2C262
5C077
【Fターム(参考)】
2C262AA02
2C262AA05
2C262AA16
2C262AA26
2C262AB05
2C262BB34
2C262BC11
2C262FA13
5C077LL04
5C077MM01
5C077MP08
5C077PP02
5C077PQ18
5C077TT02
(57)【要約】
濃度分布測定用のテストパターンから各画素の濃度を特定して、特定した濃度の画素毎の分布を示す濃度プロファイルを取得し、取得した濃度プロファイルから、周辺画素との濃度差が一定以上ある「注目ノズル」とその両側の画素域を注目ノズル域として抽出する。注目ノズル域に属さない画素の濃度の平滑化処理に適用するフィルタAを除くフィルタB〜Eを、注目ノズル域の画素の濃度の平滑化処理に適用する。平滑化処理後の濃度プロファイルに基づいて、各画素の濃度差をなくす濃度補正値のプロファイルを生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に入力された印刷ジョブにより複数の記録素子を有する記録ヘッドが記録媒体に記録する画像から得られる印刷画像の、前記各記録媒体の記録特性に起因する濃度ムラを補正する濃度補正プロファイルを生成する方法であって、
前記各記録素子の記録特性に基づいて、前記記録媒体の画像の前記各記録素子に対応する各画素の濃度を示す濃度プロファイルを取得する濃度プロファイル取得ステップと、
前記濃度プロファイルに基づいて、前記記録媒体の画像中の周辺画素との濃度差が一定以上である注目画素を抽出する注目画素抽出ステップと、
前記濃度プロファイルに基づいて生成した前記記録媒体の画像の各画素の濃度補正内容を定義する補正プロファイル、又は、前記濃度プロファイルに基づいて、
前記注目画素からの距離が近い画素ほど適用対象画素の範囲が狭くピーク強度が大きい波形のフィルタの関数が前記補正プロファイルに畳み込まれた前記濃度補正プロファイルを生成するフィルタリングステップと、
を含む濃度補正プロファイル生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の濃度補正プロファイル生成方法であって、
前記注目画素抽出ステップにおいて、前記注目画素を周辺画素との濃度差パターンに応じて複数に分類し、
前記フィルタリングステップにおいて、各分類の濃度差パターンに応じた波形の前記フィルタを各分類の前記注目画素と周辺画素の濃度又は濃度補正内容にそれぞれ適用する畳み込みを行うこと
を特徴とする濃度補正プロファイル生成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の濃度補正プロファイル生成方法であって、
前記濃度プロファイル取得ステップは、
前記記録ヘッドが前記記録媒体に記録する濃度分布測定用のテストパターンの画像から前記テストパターンの印刷画像を得るテストパターン印刷ステップと、
前記テストパターンの印刷画像をスキャナにより読み取って前記テストパターンの印刷画像の各画素の濃度を特定する画素濃度特定ステップと
を含んでおり、
前記濃度プロファイル取得ステップは、前記画素濃度特定ステップで特定した前記テストパターンの印刷画像の各画素の濃度から前記濃度プロファイルを取得すること
を特徴とする濃度補正プロファイル生成方法。
【請求項4】
入力された印刷ジョブにより記録ヘッドの複数の記録素子が記録媒体に記録する画像から印刷画像を得る画像形成装置であって、
前記記録ヘッドが前記記録媒体に記録する濃度分布測定用のテストパターンの画像から前記テストパターンの印刷画像を得るテストパターン取得部と、
前記記録媒体の画像の前記各記録素子に対応する各画素の濃度を示す濃度プロファイルを取得する指令をトリガとしてスキャナにより読み取った、前記テストパターンの印刷画像の画像信号から、前記テストパターンの印刷画像の各画素の濃度を特定する画素濃度特定部と、
前記テストパターンの印刷画像の濃度分布に基づいて、前記記録媒体の画像の各画素の濃度を示す濃度プロファイルを取得する濃度プロファイル取得部と、
前記濃度プロファイルに基づいて、前記印刷画像における周辺画素との濃度差が一定以上となる注目画素を抽出する注目画素抽出部と、
前記濃度プロファイルに基づいて生成した前記記録媒体の画像の各画素の濃度補正内容を定義する補正プロファイル又は、前記濃度プロファイルに基づいて、前記注目画素からの距離が近い画素ほど適用対象画素の範囲が狭くピーク強度が大きい波形のフィルタの関数が前記補正プロファイルに畳み込まれた濃度補正プロファイルを生成するフィルタリング部と、
前記濃度補正プロファイルを記憶するプロファイル記憶部と
を備え、
前記記録ヘッドの各記録素子は、前記記録媒体の各画素に記録する記録内容を前記プロファイル記憶部の前記濃度補正プロファイルの濃度補正内容により補正すること
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度補正プロファイル生成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の一つとして、搬送経路上を搬送される記録媒体にインクジェットヘッドの複数のノズルからインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置がある。インクジェット記録装置では、各ノズル間にインク吐出特性のばらつきがあると、印刷用紙等の記録媒体上に形成されるドットのサイズや位置のずれによって、画像の濃度にムラが生じる。
【0003】
そこで、ノズル毎のインク吐出特性を測定し、ノズル間のインク吐出特性のばらつきをキャンセルする濃度補正値を算出して、算出した補正値により各ノズルに対応する画素の濃度階調値を補正することが知られている。
【0004】
濃度補正値は、例えば、各ノズルから吐出させたインク液滴により記録媒体に形成したテストパターン画像をスキャナで読み取り、読み取り結果からノズル間のインク吐出特性のばらつきを数値化することで、算出することができる。
【0005】
但し、テストパターン画像をスキャナで読み取る際には、例えば、印刷用紙に漉き込まれた濃い色の繊維や読み取り原稿が載置されるガラス製の載置台の汚れがテストパターン画像と共に読み込まれる等して、ノイズが画像信号に重畳されることがある。そこで、スキャナによる読み取り結果の画像信号に対して移動平均等の平滑化処理を施して、画像信号中のノイズ成分を除去することが行われる。
【0006】
テストパターン画像のスキャナによる読み取り結果の画像信号に対する平滑化処理は、ノズルのインク吐出特性が急峻に変化することで隣接する画素間に生じた濃度の高周波成分のばらつきが、テストパターン画像のスキャナによる読み取り結果の画像信号に含まれている場合にも、同じように施される。濃度の高周波成分のばらつきは、例えば、あるノズルのインク吐出特性が両隣のノズルのインク吐出特性に対して大きく異なる場合に出現する。
【0007】
濃度の高周波成分のばらつきが、テストパターン画像のスキャナによる読み取り結果の画像信号に含まれていると、平滑化処理後のスキャナによる読み取り結果の画像信号から算出した濃度補正値で各ノズルに対応する画素の濃度階調値を補正しても、高周波成分のインク吐出特性のばらつきによる画像の濃度ムラを十分には解消できない。
【0008】
そこで、特許文献1によれば、スキャナによる読み取り結果の画像信号に平滑化処理を施す代わりに、スキャナによる読み取り結果の画像信号から高周波帯域を抽出して、抽出した画像信号の高周波帯域からフィルタ等によってノイズ成分を除去することが提案されている。
【0009】
特許文献1に開示される提案では、ノイズ成分を除去した画像信号の高周波帯域を画像信号の他の周波数帯域と合成した後、合成した画像信号から、各ノズルに対応する画素の濃度階調値の濃度補正値を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−72851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上述した従来の提案では、スキャナによる読み取り結果の画像信号に平滑化処理を施さないことから、ノイズ成分を除去した画像信号の高周波帯域と、画像信号の他の周波数帯域との接続部分において、画像信号中に現れるノズルのインク吐出特性のばらつきの波形が滑らかに接続されない場合がある。
【0012】
上述のような場合には、合成した画像信号から算出した濃度補正値により各ノズルに対応する画素の濃度階調値を補正した場合に、スキャナによる読み取り結果の画像信号の高周波帯域と他の周波数帯域との接続部分に対応する画素とその周辺の画素との間に、不自然な濃度差が発生する。接続部分に対応する画素とその周辺の画素との間に発生した濃度差は、記録媒体上に形成される画像の濃度ムラを適切に解消することの妨げとなってしまう。
【0013】
なお、上述した問題は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における描画用光源による感光ドラムへの描画特性のばらつきや、孔版印刷方式の画像形成装置におけるサーマルヘッドによる孔版原紙への穿孔特性のばらつき等が原因で発生することもある。
【0014】
即ち、上述した問題は、印刷する画像を記録媒体に記録する記録ヘッドの複数の記録素子間に存在する記録特性のばらつきに起因して、各種の記録方式を用いる画像形成装置において共通して発生するものである。
【0015】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、記録ヘッドの複数の記録素子により画像を記録媒体に記録する際の記録素子間に存在する記録特性のばらつきに起因する印刷画像の濃度ムラを補正する濃度補正プロファイルを適切な内容で生成することができる濃度補正プロファイルの生成方法と、当該生成方法により生成した濃度補正プロファイルを用いて画像を印刷する際に用いて好適な画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る濃度補正プロファイル生成方法及び画像形成装置は、各記録素子の記録特性に基づいて、記録媒体の画像の各記録素子に対応する各画素の濃度を示す濃度プロファイルを取得し、濃度プロファイルに基づいて、記録媒体の画像中の周辺画素との濃度差が一定以上である注目画素を抽出し、濃度プロファイルに基づいて生成した記録媒体の画像の各画素の濃度補正内容を定義する補正プロファイル、又は、濃度プロファイルに基づいて、注目画素からの距離が近い画素ほど適用対象画素の範囲が狭くピーク強度が大きい波形のフィルタの関数が補正プロファイルに畳み込まれた濃度補正プロファイルを生成する。
【0017】
また、本発明の一態様に係る濃度補正プロファイル生成方法及び画像形成装置は、注目画素を抽出する際に、注目画素を周辺画素との濃度差パターンに応じて複数に分類し、濃度補正プロファイルを生成する際に、各分類の濃度差パターンに応じた波形のフィルタを各分類の注目画素と周辺画素の濃度又は濃度補正内容にそれぞれ適用する畳み込みを行うものであってもよい。
【0018】
さらに、本発明の一態様に係る濃度補正プロファイル生成方法及び画像形成装置は、濃度プロファイルを取得する際に、記録ヘッドが記録媒体に記録する濃度分布測定用のテストパターンの画像からテストパターンの印刷画像を得て、テストパターンの印刷画像をスキャナにより読み取ってテストパターンの印刷画像の各画素の濃度を特定し、特定したテストパターンの印刷画像の各画素の濃度から濃度プロファイルを取得するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るライン型インクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すプリンタ部を側方から示す説明図である。
【
図3】
図3は、
図2のヘッドホルダを下方から示す説明図である。
【
図4】
図4は、
図1のプリンタ部により単色で印刷された濃度分布測定用のテストパターンの印刷画像からスキャナ部で読み取った画像信号による各ノズルの吐出インクによる各画素の濃度分布を示すグラフである。
【
図5】
図5は、
図4の濃度分布を有する各ノズルのインク吐出量の濃度補正値に対して適用するフィルタの波形例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、
図5に示す各フィルタのフィルタ関数を一般式で示す説明図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す一般式の変数と適用対象の画素とを
図5に示す各フィルタ毎に示す説明図である。
【
図8】
図8は、
図5に示す各フィルタを注目ノズルの画素からの距離に応じて使い分けた場合の各画素における濃度補正値の濃度補正の強さの分布を各画素における濃度補正前の濃度の分布と共に一部のノズルの範囲について模式的に示す説明図である。
【
図9】
図9は、平滑化処理後の濃度プロファイルから生成した濃度補正プロファイルを適用して濃度補正した、吐出インクの濃度分布を示すグラフである。
【
図10】
図10は、
図1のライン型インクジェット記録装置のCPUがROMに格納されたプログラムを実行することで上述した濃度補正プロファイルを生成する際の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の他の実施形態に係る孔版印刷装置の内部構成を示す概略断面図である。
【
図12】
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るレーザビームプリンタの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0021】
[ライン型インクジェット記録装置と周辺機器の電気的構成]
図1は本発明の一実施形態に係るライン型インクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のライン型インクジェット記録装置(以下、「インクジェット記録装置」と略記する。)1は、原稿上の原稿画像を読み取って画像信号を出力するスキャナ部101と、スキャナ部101から出力された画像信号に基づいて印刷用紙(片面又は両面)に原稿画像を印刷(記録)するプリンタ部102と、各種表示入力用のディスプレイ103と、全体制御用の制御ユニット10とを備えている。
【0023】
制御ユニット10には、外部インタフェース部11を介して、後述するクライアント端末14の外部インタフェース部15が接続されている。外部インタフェース部11と外部インタフェース部15の間は、無線あるいは有線による通信路SLによって接続されている。
【0024】
制御ユニット10は、通信路SLを介して、原稿画像の印刷ジョブをクライアント端末14から受け取り、受け取った印刷ジョブによる原稿画像の画像データを印刷用階調データに変換し、これに基づいて、原稿画像の印刷用紙に対する印刷をプリンタ部102において実行する。
【0025】
また、制御ユニット10のCPU90には、ディスプレイ103が接続されている。ディスプレイ103は、タッチパネルと複数のキーボタンとを有しており、ディスプレイ103に表示されたキーにタッチパネル上でタッチしたり、キーボタンを押圧操作したりすることによって、各種の入力を行うことができる。
【0026】
ディスプレイ103は、スキャナ部101によって印刷用紙から読み取った画像を電子データ化するモードや、読み取った画像のデータを利用する自己診断等のモードを、ユーザが選択入力する入力操作部として利用することもできる。
【0027】
上述したプリンタ部102に印刷動作を行わせるインクジェット記録装置1の制御ユニット10は、CPU90を備える。CPU90は、ROM91に格納されているプログラム及び設定情報に基づいて、ディスプレイ103から入力設定される内容に応じたスキャナ部101やプリンタ部102の動作を制御する。
【0028】
なお、制御ユニット10には、CPU90のワーキングエリアとして機能するRAM92と、各種ファームウェアやデータの格納に用いられるフラッシュメモリ93とが設けられている。
【0029】
クライアント端末14は、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成されるものであり、ROM17に格納された制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するCPU16と、CPU16のワーキングエリアとして機能するRAM18と、キーボードやマウス等から構成される入力部19と、液晶ディスプレイ等から構成される出力部20とを備えている。
【0030】
CPU16には、上述した外部インタフェース部15の他に、各種アプリケーションプログラムやデータ等が格納される外部記憶装置21と、ディスク状記録媒体50から各種プログラムやデータを読み取るディスクドライブ22とが接続されている。
【0031】
CPU16は、アプリケーションプログラムの起動中に入力部19から印刷指令が入力された場合に、印刷対象の原稿画像のデータを外部記憶装置21から読み出す等して印刷ジョブを生成し、制御ユニット10に出力する。印刷ジョブは、外部記憶装置21に格納されたプリンタドライバプログラムを実行したCPU16がプリンタドライバとして機能することによって、制御ユニット10に出力することができる。
【0032】
図2は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1のプリンタ部102において、画像形成が行われる画像形成経路CR1を側方から示す説明図であり、
図3は、画像形成経路CR1の上方に配置される
図2のヘッドホルダ500を下方から示す説明図である。
【0033】
図2に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1のプリンタ部102は、画像形成経路CR1と、画像形成部であるラインヘッド110を有している。
【0034】
画像形成経路CR1は、無端状の搬送ベルトであるプラテンベルト160、プラテンベルト160の駆動機構である駆動ローラ161及び従動ローラ162等から構成される。画像形成経路CR1では、プラテンベルト160によって、印刷条件により定められる速度で印刷用紙が搬送される。プラテンベルト160の上方にはラインヘッド110が対向配置されている。
【0035】
[ラインヘッドの構成と配置]
ラインヘッド110は、C(シアン)、K(ブラック)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色別に設けられている。各色のラインヘッド110は、印刷用紙の搬送方向(TD)である副走査方向と直交する主走査方向に、複数のヘッドモジュール110aを並べて構成されている。
【0036】
各ヘッドモジュール110aは、
図3中のK(ブラック)のヘッドモジュール110aの一つに代表して模式的に示すように、ノズル列110bをそれぞれ有している。各ノズル列110bは、主走査方向に並んだ複数のノズル110c(請求項中の記録素子に相当)で構成されている。各ノズル110cは、プラテンベルト160上の印刷用紙に対し、ライン単位で各色のインクを吐出し、複数の画像を互いに重なり合うように形成する。
【0037】
各色のラインヘッド110のヘッドモジュール110aは、
図2に示すように、プラテンベルト160の上方に配置したヘッドホルダ500に保持されている。ヘッドホルダ500は、
図3に示すように、ヘッドホルダ面500aを底面に有する函体であり、ヘッドホルダ面500aには、ヘッドモジュール110aを挿通する複数の取付開口部500bが、各ラインヘッド110単位で複数列形成されている。
【0038】
各ラインヘッド110に対応する複数の取付開口部500bは千鳥状に配列されており、各取付開口部500bは、ヘッドモジュール110aの水平断面と同形状に形成されている。各ラインヘッド110のヘッドモジュール110aは、対応する列の各取付開口部500bにそれぞれ挿通されて、ノズル列110b側を
図2に示すようにヘッドホルダ面500aから突出させている。
【0039】
ヘッドホルダ500に保持された各色のラインヘッド110のヘッドモジュール110aは、
図3に示すように、主走査方向に並べて配置されており、かつ、1つおきに副走査方向の位置をずらして配置されている。これにより、隣り合う2つのヘッドモジュール110aの最端部のノズル(図示せず)どうしの間隔が、各ヘッドモジュール110aの隣り合うノズルの間隔と一致するようにしている。
【0040】
各ヘッドモジュール110aの内部には、各ノズル110cにそれぞれ連通する複数のインク室(図示せず)が形成されている。各インク室にはインクが供給され、例えばピエゾ素子を用いて各インク室の容積を変化させることで、各インク室内のインクが各ノズル110cから吐出される。
【0041】
[ノズル間のインク吐出特性のばらつきと濃度変化]
ところで、
図2を参照して説明したように、各色のラインヘッド110のヘッドモジュール110aには、複数のノズル110cが形成されている。これらのノズル110cには、許容された範囲内であっても、インクの吐出特性にばらつきがある場合がある。吐出特性のばらつきは、例えば、インク室のピエゾ素子の特性や、公差内のノズル110cの製造誤差等によって生じる。
【0042】
図4は、1つのヘッドモジュール110aの各ノズル110cによる吐出インクで印刷用紙上に形成される画像の各画素の濃度分布を示すグラフである。
図4のグラフに示す濃度分布は、
図1のプリンタ部102により単色で印刷した濃度分布測定用のテストパターンの印刷画像からスキャナ部101で読み取ったテストパターンの画像信号から得たものである。
【0043】
なお、濃度分布測定用のテストパターンは、各ノズル110cに対応する各画素の濃度階調値を同一にした画像(テストパターン)である。1つのラインヘッド110の全てのヘッドモジュール110aの各ノズル110cからの吐出インクにより、濃度分布測定用のテストパターンを印刷する印刷ジョブを、CPU90が生成して実行することで、テストパターンの印刷画像を得ることができる。
【0044】
各画素の濃度に
図4に示す分布のようなばらつきがあると、印刷用紙の同じ濃度階調値の画素に対して対応する各ノズル110cがそれぞれインクを吐出しても、印刷用紙に印刷される画像(印刷画像)上では両画素間に濃度差が生じてしまう。
【0045】
そのため、
図4に示す濃度分布のばらつきをなくすために、各画素に対応する各ノズル110cがそれぞれ吐出するインクの吐出量を、各画素の濃度に応じて補正する必要がある。
【0046】
[ノズルのインク吐出量補正と補正プロファイル]
濃度分布のばらつきをなくすために行う濃度補正には、1つのラインヘッド110の全てのヘッドモジュール110aの各ノズル110cに関する補正プロファイルを用いることができる。補正プロファイルは、各画素が同じ濃度となるようにするための、各画素に対応する各ノズル110cのインク吐出量の補正値(濃度補正値)を示すもので、
図4の濃度分布に基づいて生成される。
【0047】
補正プロファイルは、濃度プロファイルの各画素の濃度差をキャンセルする濃度の補正量を求めることで生成することができる。濃度プロファイルは、印刷用紙に印刷された印刷画像上での各画素の濃度を定義するもので、テストパターンの印刷画像からスキャナ部101で読み取ったテストパターンの画像信号における各画素の濃度から生成することができる。
【0048】
補正プロファイルの濃度補正値(請求項中の濃度補正内容に相当)を用いて各ノズル110cによるインクの吐出量を補正することで、各ノズル110cに対応する画素間の濃度のばらつきをキャンセルすることができる。
【0049】
ところで、各ノズル110cの吐出インクによる各画素間の濃度のばらつきを濃度補正によりキャンセルするために、テストパターンの印刷画像をスキャナ部101により読み取る際には、スキャナ部101から出力されるテストパターンの画像信号にノイズが重畳されることがある。
【0050】
例えば、テストパターンの印刷画像をスキャナ部101で読み取る際に、印刷用紙に漉き込まれた濃い色の繊維や読み取り原稿が載置されるガラス製の載置台の汚れが、テストパターンと共に読み込まれる等して、ノイズが画像信号に重畳される。
【0051】
そこで、スキャナ部101によるテストパターンの読み取り結果の画像信号から取得した濃度プロファイルの各画素の濃度に対して、画像信号中のノイズ成分を除去するために、移動平均等の平滑化処理が施される。
【0052】
[濃度プロファイルの平滑化処理]
ところで、
図4の「注目ノズル」の矢印で示す画素のように、周辺の画素の濃度に対して大きい濃度差が存在する場合に、スキャナ部101によるテストパターンの読み取り結果の画像信号から取得した濃度プロファイルの各画素の濃度に平滑化処理を施すと、「注目ノズル」の画素(請求項中の注目画素に相当)と周辺画素との濃度差が平滑化処理によって圧縮される。
【0053】
すると、「注目ノズル」の画素に対する補正プロファイルの濃度補正値も圧縮されて小さい値となってしまい、濃度補正を行っても印刷画像の周辺画素との間に濃度差が残ってしまう。
【0054】
そこで、本実施形態のインクジェット記録装置1では、濃度補正を行う画素と「注目ノズル」の画素との距離に応じて、平滑化処理に用いるフィルタの波形を変えるようにしている。
【0055】
図5は、
図4の濃度分布を有する各ノズル110cのインク吐出量の濃度補正値に対して適用するフィルタの波形例を示すグラフである。
【0056】
図5には、タップ数及びピーク値が互いに異なる5種類のフィルタA〜Eの波形が示されている。各フィルタA〜Eは、濃度補正を行う画素と「注目ノズル」の画素との距離に応じて使い分けられる。
【0057】
図6は、
図5に示す各フィルタA〜Eのフィルタ関数を一般式で示す説明図である。各フィルタA〜Eは、
図6に示す一般式で表されるフィルタ関数(Int.(pixel))の変数であるタップ数(tap)とピーク強度(AP)の値を、それぞれ異なる値としたものである。
【0058】
図7は、
図6に示す一般式の変数と適用対象の画素とをフィルタA〜E毎に示す説明図である。
【0059】
図7に示すように、フィルタAはタップ数をtap=11、ピーク強度をAP=0.0805とし、フィルタBはタップ数をtap=9、ピーク強度をAP=0.0990とし、フィルタCはタップ数をtap=7、ピーク強度をAP=0.1296とし、フィルタDはタップ数をtap=5、ピーク強度をAP=0.1896とし、フィルタEはタップ数をtap=3、ピーク強度をAP=0.3613としている。
【0060】
そして、フィルタAは、「注目ノズル」の画素からの距離が4ピクセル(pixel)以上の画素に適用され、フィルタBは、「注目ノズル」の画素からの距離が3ピクセルの画素に適用される。同様に、フィルタC〜Eは、「注目ノズル」の画素からの距離がそれぞれ2ピクセル、1ピクセル、0ピクセルである各画素に適用される。
【0061】
図8は、各フィルタA〜Eを「注目ノズル」の画素からの距離に応じて使い分けた場合の各画素における重みの分布を、各画素における濃度補正前の濃度の分布と共に、一部のノズル110cの範囲について模式的に示す説明図である。
【0062】
図8からも明らかなように、本実施形態のインクジェット記録装置1では、「注目ノズル」の画素からの距離が近い画素ほど、タップ数が少なくピーク強度が大きい波形のフィルタ、つまり、その画素の濃度に対する重みが強いフィルタが、
図4の濃度プロファイルにおける各画素の濃度の平滑化処理に用いられる。
【0063】
[濃度補正プロファイルを用いた濃度補正]
図8の重み分布を有するフィルタで、
図4の濃度プロファイルにおける各画素の濃度を平滑化処理すると、平滑化した後の濃度プロファイルから、補正プロファイルと同様の手順で濃度補正プロファイルを生成することができる。
【0064】
そのようにして生成される濃度補正プロファイルの濃度補正値は、周辺画素との濃度差が大きい「注目ノズル」の画素では、濃度プロファイルの濃度を大きく下げる値となり、他の画素では、周辺画素の濃度との濃度差を小さくする値となる。
【0065】
図9は、平滑化処理後の濃度プロファイルから生成した濃度補正プロファイルを適用して濃度補正した、各ノズル110cの吐出インクの濃度分布を示すグラフである。
【0066】
なお、
図9中の破線は、
図5に示すピーク強度が一番小さいフィルタAを適用して
図4の濃度プロファイルにおける各画素の濃度を平滑化処理した場合を示している。また、実線は、
図8のフィルタを適用して
図4の濃度プロファイルにおける各画素の濃度を平滑化処理した場合をそれぞれ示している。
【0067】
まず、
図5に示すピーク強度が一番小さいフィルタAを適用して
図4の濃度プロファイルにおける各画素の濃度を平滑化処理すると、「注目ノズル」の画素と周辺画素との濃度差が平滑化処理によって圧縮される。そのため、平滑化処理後の濃度プロファイルから生成した濃度補正プロファイルを適用して濃度補正した「注目ノズル」の吐出インクの濃度は、
図9の破線に示すように、濃度補正前とほとんど変わりのない濃さのままとなる。
【0068】
一方、
図8のフィルタを適用して
図4の濃度プロファイルにおける各画素の濃度を平滑化処理すると、「注目ノズル」の画素と周辺画素との濃度差が平滑化処理によっても圧縮されない。そのため、平滑化処理後の濃度プロファイルから生成した濃度補正プロファイルを適用して濃度補正した「注目ノズル」の吐出インクの濃度は、
図9の実線に示すように、濃度補正前と比べると、周辺画素との濃度差が縮小する濃度となる。
【0069】
[インクジェット記録装置による処理例]
次に、本実施形態のインクジェット記録装置1のCPU90がROM91に格納されたプログラムを実行することで上述した濃度補正プロファイルを生成する際の手順について、
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
図10に示すように、CPU90は、まず、濃度分布測定用のテストパターンを印刷させる印刷ジョブを生成し、プリンタ部102においてテストパターンを印刷用紙に印刷させる(ステップS1)。例えば、ディスプレイ103の入力操作によってCPU90に指示し、テストパターンの印刷を実行させることができる。
【0071】
次に、CPU90は、テストパターンを印刷した印刷用紙からテストパターンの印刷画像をスキャナ部101により読み取り(スキャン)させる(ステップS3)。そして、CPU90は、スキャナ部101に読み取らせたテストパターンの印刷画像から、各画素の濃度を特定して、特定した濃度の画素毎の分布を示す濃度プロファイルを取得する(ステップS5)。
【0072】
続いて、CPU90は、取得した濃度プロファイルから、周辺画素との濃度差が一定以上ある「注目ノズル」の画素とその両側の3ピクセルずつの、合計7ピクセルの画素域を、注目ノズル域として抽出する(ステップS7)。注目ノズル域では、画素の濃度の平滑化処理のために、他の画素の濃度の平滑化処理に適用する
図5のフィルタA以外のフィルタB〜Eが適用される。
【0073】
そこで、CPU90は、注目ノズル域の各画素に、「注目ノズル」の画素からの距離に応じて
図5のフィルタB〜Eを適用し、他の各画素に、
図5のフィルタAを適用して、各画素の濃度を平滑化するフィルタリングを行う(ステップS9)。フィルタリングは、具体的には、濃度プロファイルに各画素に適用するフィルタA〜Eの関数を畳み込むことで行われる。
【0074】
そして、CPU90は、フィルタリング後の濃度プロファイル(平滑化処理後の濃度プロファイル)に基づいて、補正プロファイルと同様の手順で濃度補正プロファイルを生成し、フラッシュメモリ93の濃度補正プロファイル格納領域(請求項中のプロファイル記憶部に相当)に記憶させた後(ステップS11)、一連の処理を終了する。
【0075】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、
図10のフローチャートにおけるステップS1が、請求項中のテストパターン印刷ステップ及びテストパターン取得部に対応する処理となっている。また、本実施形態では、
図10中のステップS3及びステップS5が、請求項中における画素濃度特定ステップ及び濃度プロファイル取得ステップと、画素濃度特定部及び濃度プロファイル取得部に対応する処理となっている。
【0076】
さらに、本実施形態では、
図10中のステップS7が、請求項中の注目画素抽出ステップ及び注目画素抽出部に対応する処理となっている。また、本実施形態では、
図10中のステップS9が、請求項中のフィルタリングステップ及びフィルタリング部に対応する処理となっている。
【0077】
なお、本実施形態のインクジェット記録装置1では、例えばクライアント端末14からの印刷ジョブが外部インタフェース部11に入力されると、CPU90が印刷ジョブから生成した印刷データの各画素に関する濃度階調値が、フラッシュメモリ93の濃度補正プロファイル格納領域に記憶されている濃度補正プロファイルの濃度補正値によって補正される。そして、濃度階調値が補正された印刷データを用いて印刷ジョブが実行される。
【0078】
以上に説明した本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、「注目ノズル」の画素からの距離に応じて、タップ数及びピーク強度が異なる
図5のフィルタA〜Eを使い分けて、各画素の濃度の平滑化処理を行うようにした。具体的には、「注目ノズル」の画素からの距離が近い画素ほど、タップ数が少なくピーク強度が大きい波形のフィルタを用い、「注目ノズル」の画素からの距離が遠い画素ほど、タップ数が多くピーク強度が小さい波形のフィルタを用いて、各画素の濃度の平滑化処理を行うようにした。
【0079】
そのため、「注目ノズル」の画素からの距離が近い画素ほど、周辺画素との濃度差が補正プロファイルの濃度補正値に反映される度合いが徐々に連続的に大きくなり、補正プロファイルの濃度補正値の平滑化が抑制される度合いが滑らかに増加する。
【0080】
よって、「注目ノズル」の画素については平滑化が抑制された
図5のフィルタEを用いた濃度プロファイルの濃度に基づいて生成した濃度補正プロファイルの濃度補正値によって、印刷画像の濃度ムラを適切に減らすことができる。
【0081】
また、「注目ノズル」の画素以外の画素については、平滑化処理に用いるフィルタを、平滑化が抑制される「注目ノズル」の画素の平滑化処理に用いるフィルタと波形が異なるフィルタとしても、平滑化された濃度補正値によって注目画素と周辺画素との間に不自然な濃度差が生じないよう滑らかに印刷画像の濃度ムラを補正できる。
【0082】
したがって、本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、適切な内容の濃度補正プロファイルを生成することができる。
【0083】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、ディスプレイ103からの入力により濃度分布測定用のテストパターンを印刷用紙に印刷するテストパターン印刷を行い、印刷されたテストパターンの印刷画像をスキャナ部101に読み取らせて、読み取り結果の画像データから各画素の濃度プロファイルを生成し、これを基に濃度補正プロファイルを生成して、フラッシュメモリ93の濃度補正プロファイル格納領域に記憶するようにした。
【0084】
そのため、例えばヘッドモジュール110aの交換等により各ノズル110cのインク吐出特性に変化が生じた場合に、新しい濃度補正プロファイルを生成してフラッシュメモリ93の濃度補正プロファイル格納領域の古い濃度補正プロファイルを更新することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、濃度プロファイルの濃度を「注目ノズル」の画素からの距離に応じたフィルタA〜Eにより平滑化処理し、平滑化処理後の濃度プロファイルの濃度から、濃度補正プロファイルの濃度補正値を生成するものとした。
【0086】
しかし、濃度プロファイルの濃度から補正プロファイルの濃度補正値を先に求め、求めた濃度補正値を「注目ノズル」の画素からの距離に応じたフィルタA〜Eにより平滑化処理して、濃度補正プロファイルの濃度補正値を生成するようにしてもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、インクジェット方式で印刷を行うインクジェット記録装置1を例に取って説明したが、本発明は、インクジェット方式以外の画像形成装置にも適用可能である。
【0088】
図11は、本発明の他の実施形態に係る孔版印刷装置の内部構成を示す概略断面図である。
【0089】
[孔版印刷装置の全体構成]
図11に示す孔版印刷装置2では、外部の機器から入力された印刷ジョブや原稿読取機構32(スキャナ)による原稿画像の読み取りにより発生した印刷ジョブの画像データが、印刷ジョブの印刷設定情報により制御部38で加工される。
【0090】
そして、加工された画像データに基づいて、製版機構33のサーマルヘッド42(請求項中の記録ヘッドに相当)が、原紙ロール40からガイドローラ41を介してプラテンローラ43に繰り出された孔版原紙45を、原稿画像に応じたパターンで穿孔する。
【0091】
穿孔により製版された孔版原紙45は、原紙カッタ44により切断された後に、印刷機構34の版胴46に巻装される。版胴46の孔版原紙45には、プレスロール47に対向する版胴46内のスキージロール48により版胴46の外部に供給されたインクが、穿孔を通じて裏面側から表面側に供給される。
【0092】
そして、孔版原紙45の表面側に供給されたインクが、給紙機構35の給紙台51からスクレーパ52及びピックアップロール53により繰り出されてガイドロール54及びタイミングロール55により版胴46に搬送された印刷用紙31に転写されることで、印刷用紙31に原稿画像(請求項中の印刷画像に相当)が印刷される。
【0093】
なお、サーマルヘッド42は多数の発熱体42a(請求項中の記録素子に相当)を有しており、各発熱体42aが制御部38の制御により加熱されて、孔版原紙45における原稿画像の各画素に対応する箇所をそれぞれ穿孔する。
【0094】
印刷後の印刷用紙31は、排紙機構36の用紙剥取爪56により版胴46から剥ぎ取られて用紙搬送機構57によりスタッカ部58に搬送されて積層される。また、印刷後の孔版原紙45は、版胴46の原紙クランプ部49から解放された後に、排版機構37の排版誘導ベルト59に導かれて版胴46から引き剥がされ、排版ローラ60により排版ボックス61に回収される。
【0095】
なお、汚染防止ガイド62は、版胴46に巻装される新しい孔版原紙45が排版ローラ60と接触するのを防ぐ。
【0096】
[サーマルヘッドの穿孔特性のばらつきと濃度変化]
上述のように構成された孔版印刷装置2では、サーマルヘッド42の各発熱体42aによる孔版原紙45の穿孔特性にばらつきがあると、孔版原紙45の同じ濃度階調値の画素に対応する箇所に異なる径の穿孔が形成されてしまい、穿孔後の孔版原紙45を用いて印刷用紙31に原稿画像を印刷すると、印刷用紙31上で原稿画像の両画素間に濃度差が生じてしまう。
【0097】
そのため、孔版印刷装置2においても、印刷用紙31上で印刷画像の画素間に濃度差が生じるのを防ぐために、孔版原紙45の各画素に対応する箇所をそれぞれ穿孔するサーマルヘッド42の対応する各発熱体42aの発熱量を、画素間の濃度差に応じて補正する必要がある。
【0098】
[濃度補正プロファイルを用いた濃度補正と孔版印刷装置による処理例]
そのためには、先の実施形態と同様に、制御部38の制御の下に、サーマルヘッド42の全ての発熱体42aにより穿孔した孔版原紙45を使って印刷用紙31に印刷したテストパターンの印刷画像を(
図10のステップS1に相当)、原稿読取機構32で読み取る(
図10のステップS3に相当)。
【0099】
そして、読み取ったテストパターンの画像信号における各画素の濃度から、印刷用紙31上に形成される画像の各画素の濃度を特定し、特定した濃度の画素毎の分布を示す濃度プロファイルを取得する(
図10のステップS5に相当)。
【0100】
さらに、取得した濃度プロファイルから、周辺画素との濃度差が一定以上ある注目画素とその両側の3ピクセルずつの、合計7ピクセルの画素域を、注目画素域として抽出する(
図10のステップS7に相当)。注目画素域では、画素の濃度の平滑化処理に、他の画素の濃度の平滑化処理に適用する
図5のフィルタA以外のフィルタB〜Eを適用する。
【0101】
そこで、制御部38は、注目画素域の各画素に、注目画素からの距離に応じて
図5のフィルタB〜Eを適用し、他の各画素に、
図5のフィルタAを適用して、各画素の濃度を平滑化するフィルタリングを行う(
図10のステップS9に相当)。
【0102】
そして、制御部38は、フィルタリング後の濃度プロファイル(平滑化処理後の濃度プロファイル)に基づいて、補正プロファイルと同様の手順で濃度補正プロファイルを生成し、制御部38に設けた不図示の不揮発性メモリ(請求項中のプロファイル記憶部に相当)に記憶させた後(
図10のステップS11に相当)、一連の処理を終了する。
【0103】
なお、補正プロファイルは、印刷用紙31上で原稿画像の各画素が同じ濃度となるようにするための、各画素に対応するサーマルヘッド42の各発熱体42aの発熱量の補正値(発熱量補正値)を示すものである。
【0104】
上述の補正プロファイルは、濃度プロファイルの各画素の濃度差をキャンセルする濃度の補正量を求めることで生成することができる。濃度プロファイルは、印刷用紙に印刷された印刷画像上での各画素の濃度を定義するもので、テストパターンの印刷画像から原稿読取機構32で読み取ったテストパターンの画像信号における各画素の濃度から生成することができる。
【0105】
上述の補正プロファイルの発熱量補正値(請求項中の濃度補正内容に相当)を用いてサーマルヘッド42の各発熱体42aの発熱量を補正することで、各発熱体42aに対応する画素間の濃度のばらつきをキャンセルすることができる。
【0106】
また、
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るレーザビームプリンタの概略構成を示す説明図である。
【0107】
[電子写真方式の画像形成装置の概略構成]
図12に示す電子写真方式の画像形成装置3では、印刷部71において、帯電ローラ73により帯電させた感光体ドラム72に書き込みユニット74の描画光により潜像を形成する。
【0108】
なお、書き込みユニット74は多数のLED(発光ダイオード)74a(請求項中の記録素子に相当)を描画光源として有しており、各LED74aが制御部83の制御により点灯されて、感光体ドラム72における原稿画像の各画素に対応する箇所をそれぞれ露光させる。
【0109】
そして、現像ローラ75により潜像にトナーを吸着させて顕像化させ、顕像化したトナー像を、給紙トレイ77(第1〜第3給紙トレイ77a〜77c)やストレート給紙台78から循環搬送路79により印刷部71に搬送した印刷用紙31上に、転写ローラ76によって転写させる。潜像の形成から転写までの一連の工程は、CKMYの各色についてそれぞれ個別に行われる。
【0110】
トナー像が転写されて原稿画像が印刷された印刷用紙31は、片面印刷の場合、循環搬送路79により排紙トレイ80に搬送されて排紙される。両面印刷の場合は、排紙トレイ80の裏側の反転部81で表裏反転されて、循環搬送路79により再び印刷部71に搬送される。
【0111】
また、不図示の後処理装置で後処理(製本、封入封緘、ステープル処理、パンチ処理等)を施す場合、印刷後の印刷用紙31は、連絡搬送路82を経て不図示の後処理装置に搬送される。
【0112】
なお、画像形成装置3の上部には、画像読み取り用のスキャナユニット84(自動原稿送り装置付き)が設けられている。
【0113】
[書き込みユニットの描画特性のばらつきと濃度変化]
上述のように構成された画像形成装置3では、書き込みユニット74の各LED74aによる感光体ドラム72の描画特性にばらつきがあると、感光体ドラム72の同じ濃度階調値の画素に対応する箇所に異なる径の潜像(ドット)が形成されてしまい、潜像の現像後にトナー像を転写して印刷用紙31に原稿画像を印刷すると、印刷用紙31上で原稿画像の両画素間に濃度差が生じてしまう。
【0114】
そのため、電子写真方式の画像形成装置3においても、印刷用紙31上で印刷画像の画素間に濃度差が生じるのを防ぐために、感光体ドラム72の各画素に対応する箇所をそれぞれ露光させる書き込みユニット74の対応する各LED74aの発光強度を、画素間の濃度差に応じて補正する必要がある。
【0115】
[濃度補正プロファイルを用いた濃度補正と画像形成装置による処理例]
そのためには、先の実施形態と同様に、制御部83の制御の下に、書き込みユニット74の全てのLED74aにより潜像(ドット)を形成した感光体ドラム72のトナー像を転写して印刷用紙31に印刷したテストパターンの印刷画像を(
図10のステップS1に相当)、スキャナユニット84で読み取る(
図10のステップS3に相当)。
【0116】
そして、読み取ったテストパターンの画像信号における各画素の濃度から、印刷用紙31上に形成される画像の各画素の濃度を特定し、特定した濃度の画素毎の分布を示す濃度プロファイルを取得する(
図10のステップS5に相当)。
【0117】
さらに、取得した濃度プロファイルから、周辺画素との濃度差が一定以上ある注目画素とその両側の3ピクセルずつの、合計7ピクセルの画素域を、注目画素域として抽出する(
図10のステップS7に相当)。注目画素域では、画素の濃度の平滑化処理に、他の画素の濃度の平滑化処理に適用する
図5のフィルタA以外のフィルタB〜Eを適用する。
【0118】
そこで、制御部83は、注目画素域の各画素に、注目画素からの距離に応じて
図5のフィルタB〜Eを適用し、他の各画素に、
図5のフィルタAを適用して、各画素の濃度を平滑化するフィルタリングを行う(
図10のステップS9に相当)。
【0119】
そして、制御部83は、フィルタリング後の濃度プロファイル(平滑化処理後の濃度プロファイル)に基づいて、補正プロファイルと同様の手順で濃度補正プロファイルを生成し、制御部83に設けた不図示の不揮発性メモリ(請求項中のプロファイル記憶部に相当)に記憶させた後(
図10のステップS11に相当)、一連の処理を終了する。
【0120】
なお、濃度補正プロファイルは、印刷用紙31上で原稿画像の各画素が同じ濃度となるようにするための、各画素に対応する書き込みユニット74の各LED74aの発光強度の補正値(発光強度補正値)を示すものである。
【0121】
上述の補正プロファイルは、濃度プロファイルの各画素の濃度差をキャンセルする濃度の補正量を求めることで生成することができる。濃度プロファイルは、印刷用紙に印刷された印刷画像上での各画素の濃度を定義するもので、テストパターンの印刷画像からスキャナユニット84で読み取ったテストパターンの画像信号における各画素の濃度から生成することができる。
【0122】
上述の補正プロファイルの発光強度補正値(請求項中の濃度補正内容に相当)を用いて書き込みユニット74の各LED74aの発光強度を補正することで、各LED74aに対応する画素間の濃度のばらつきをキャンセルすることができる。
【0123】
以上に説明した
図11の孔版印刷装置2や
図12の電子写真方式の画像形成装置3でも、先に説明したインクジェット記録装置1と同様の効果を得ることができる。
【0124】
なお、以上に説明した各実施形態では、周辺画素との濃度差が一定以上ある画素を、「注目ノズル」の画素や注目画素として抽出するものとした。しかし、その代わりに、周辺画素との濃度差が、予め定められた濃度差パターン(例えば、画素間の濃度変化の波形、濃度変化の加速度等)に該当する画素を、「注目ノズル」の画素や注目画素として抽出するようにしてもよい。
【0125】
また、以上に説明した各実施形態では、「注目ノズル」の画素や注目画素からの距離に応じて適用するフィルタの波形を、各距離についてそれぞれ1パターンとした。しかし、例えば、「注目ノズル」の画素や注目画素であると判定する基準が複数ある場合に、該当した基準毎に、「注目ノズル」の画素や注目画素からの距離に応じて適用するフィルタの波形を異ならせるようにしてもよい。
【0126】
そのようにすれば、「注目ノズル」の画素や注目画素と判定した際の基準がどれかによって、濃度の平滑化処理に異なる波形のフィルタを、「注目ノズル」の画素や注目画素からの距離に応じて適用して、両画素間の濃度差パターンに適した波形のフィルタで滑らかな平滑化処理が行えるようにすることができる。
【0127】
さらに、以上に説明した各実施形態では、「注目ノズル」の画素からの距離が近い画素ほどタップ数が小さい波形のフィルタA〜Eを平滑化処理に用いるものとした。しかし、「注目ノズル」の画素からの距離が近い画素ほどフィルタを適用する対象画素の範囲が狭いのであれば、タップ数以外の要素によってフィルタの適用対象画素の範囲が定まる波形のフィルタを用いてもよい。
【0128】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る濃度補正プロファイル生成方法及び画像形成装置によれば、記録ヘッドの複数の記録素子により画像を記録媒体に記録する際の記録素子間に存在する記録特性のばらつきに起因する印刷画像の濃度ムラを補正する濃度補正プロファイルを適切な内容で生成することができる。
【0129】
即ち、画像形成装置に入力された印刷ジョブにより記録ヘッドが記録媒体に記録する画像から印刷画像を得る場合、記録ヘッドの複数の記録素子が記録媒体の各画素に記録する記録内容には、各画素の記録に使われた記録素子の記録特性が反映される。
【0130】
そのため、記録ヘッドの各記録素子の記録特性にばらつきがあると、記録ヘッドが記録媒体に記録した画像の各画素の記録内容にもばらつきが生じ、この記録内容のばらつきに起因して、記録媒体の画像から得られる印刷画像の各画素間に濃度のばらつきが生じる。
【0131】
このように、記録ヘッドの各記録素子の記録特性と、記録ヘッドが記録媒体に記録する画像の各画素の記録内容と、記録媒体の画像から得られる印刷画像の各素子の濃度との間には、相関関係が存在する。
【0132】
したがって、記録ヘッドの各記録素子の記録特性に基づいて、記録ヘッドが記録媒体に記録する画像の各記録素子に対応する各画素の濃度を示す濃度プロファイルを取得することができる。
【0133】
そして、取得した濃度プロファイルを用いて、各記録素子の記録特性のばらつきに起因する記録媒体の画像における各画素の濃度のばらつきを補正するための濃度補正内容を定義する補正プロファイルを生成することができる。
【0134】
即ち、記録ヘッドの各記録素子による記録媒体の各画素への記録内容を、補正プロファイルの各画素の濃度補正内容にしたがって補正することで、記録媒体の画像から得られる印刷画像の各画素の濃度のばらつきを減らし、印刷画像の濃度ムラを補正することができる。
【0135】
ところで、濃度プロファイル中に周辺画素との濃度差が一定以上となる注目画素が存在する場合、本発明の第1の態様による画像形成装置の濃度補正プロファイル生成方法では、注目画素からの距離が近いほど適用対象画素の範囲が狭くピーク強度が大きい波形のフィルタの関数が補正プロファイルに畳み込まれた濃度補正プロファイルが生成される。
【0136】
濃度補正プロファイルの生成は、フィルタによって平滑化した濃度プロファイルから補正プロファイルを生成することで行ってもよく、濃度プロファイルから生成した補正プロファイルをフィルタによって平滑化することで行ってもよい。
【0137】
このようにして生成される濃度補正プロファイルでは、注目画素からの距離が近い画素ほど、周辺画素との濃度差が補正プロファイルの濃度補正内容に反映される度合いが徐々に連続的に大きくなり、補正プロファイルの濃度補正内容の平滑化が抑制される度合いが滑らかに増加する。
【0138】
よって、注目画素については、平滑化が抑制された濃度プロファイルの濃度又は補正プロファイルの濃度補正内容に基づいて生成した濃度補正プロファイルの濃度補正内容によって、印刷画像の濃度ムラを適切に減らすことができる。
【0139】
また、注目画素以外の画素については、平滑化処理に用いるフィルタを、平滑化が抑制される注目画素の平滑化処理に用いるフィルタと波形が異なるフィルタとしても、平滑化された濃度補正内容によって注目画素と周辺画素との間に不自然な濃度差が生じないよう滑らかに印刷画像の濃度ムラを補正できる。
【0140】
したがって、適切な内容の濃度補正プロファイルを生成することができる。
【0141】
また、本実施形態に係る画像形成装置の濃度補正プロファイル生成方法及び画像形成装置によれば、周辺画素との濃度差パターン(例えば、画素間の濃度変化の波形、濃度変化の加速度等)毎に注目画素が分類される。
【0142】
そして、各分類の注目画素とその周辺画素の補正プロファイルに定義された濃度補正内容か、あるいは、各分類の注目画素とその周辺画素の濃度プロファイルに示された濃度に、その分類に対応する波形のフィルタが適用される。
【0143】
そのため、補正プロファイルにフィルタの関数を畳み込んだ内容となる濃度補正プロファイルにおいて、周辺画素との濃度差が一定以上である注目画素とその周辺画素に、両画素間の濃度差パターンに応じた波形のフィルタを用いて、注目画素と周辺画素との濃度差が濃度補正プロファイルの濃度補正内容に反映される度合いを、両画素間の濃度差パターン毎に個別に設定することができる。
【0144】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置の濃度補正プロファイル生成方法及び画像形成装置によれば、濃度分布測定用のテストパターンの印刷画像をスキャナにより読み取って各画素の濃度を特定することで、特定した画素の濃度と因果関係を有する記録媒体の画像の各画素の濃度を示す濃度プロファイルを、容易に取得することができる。
【0145】
また、本実施形態に係る画像形成装置の濃度補正プロファイル生成方法及び画像形成装置によれば、濃度分布測定用のテストパターンの印刷画像を印刷してスキャナにより読み取り各画素の濃度を特定することで、本発明の第1の態様による画像形成装置の濃度補正プロファイル生成方法によって得られる効果を、単体の画像形成装置によって得ることができる。
【0146】
しかも、濃度補正プロファイルをプロファイル記憶部に記憶し、その濃度補正プロファイルの濃度補正内容によって、記録媒体の各画素に記録する記録内容を補正することから、例えば記録ヘッドの交換等により各記録素子の記録特性に変化が生じた場合に、新しい濃度補正プロファイルを生成してプロファイル記憶部の古い濃度補正プロファイルを更新することができる。
【0147】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0148】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0149】
上述の各実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理装置は、また、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。
【0150】
本出願は、2017年3月23日に出願された日本国特許願第2017−057432に基づく優先権を主張しており、この出願の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明によれば、記録ヘッドの複数の記録素子により画像を記録媒体に記録する際の記録素子間に存在する記録特性のばらつきに起因する印刷画像の濃度ムラを補正する濃度補正プロファイルを適切な内容で生成することができる。
【符号の説明】
【0152】
1 ライン型インクジェット記録装置(画像形成装置)
2 孔版印刷装置(画像形成装置)
3 画像形成装置
10 制御ユニット
11 外部インタフェース部
14 クライアント端末
15 外部インタフェース部
16,90 CPU
17,91 ROM
18,92 RAM
19 入力部
20 出力部
21 外部記憶装置
22 ディスクドライブ
31 印刷用紙
32 原稿読取機構
33 製版機構
34 印刷機構
35 給紙機構
36 排紙機構
37 排版機構
38 制御部
40 原紙ロール
41 ガイドローラ
42 サーマルヘッド
42a 発熱体(記録素子)
43 プラテンローラ
44 原紙カッタ
45 孔版原紙
46 版胴
47 プレスロール
48 スキージロール
49 原紙クランプ部
50 ディスク状記録媒体
51 給紙台
52 スクレーパ
53 ピックアップロール
54 ガイドロール
55 タイミングロール
56 用紙剥取爪
57 用紙搬送機構
58 スタッカ部
59 排版誘導ベルト
60 排版ローラ
61 排版ボックス
62 汚染防止ガイド
71 印刷部
72 感光体ドラム
73 帯電ローラ
74 書き込みユニット
74a LED(発光ダイオード、記録素子)
75 現像ローラ
76 転写ローラ
77 給紙トレイ
77a 第1給紙トレイ
77b 第2給紙トレイ
77c 第3給紙トレイ
78 ストレート給紙台
79 循環搬送路
80 排紙トレイ
81 反転部
82 連絡搬送路
83 制御部
84 スキャナユニット
93 フラッシュメモリ(プロファイル記憶部)
101 スキャナ部
102 プリンタ部
103 ディスプレイ
110 ラインヘッド
110a ヘッドモジュール
110b ノズル列
110c ノズル(記録素子)
160 プラテンベルト
161 駆動ローラ
162 従動ローラ
500 ヘッドホルダ
500a ヘッドホルダ面
500b 取付開口部
CR1 画像形成経路
【手続補正書】
【提出日】2019年7月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
画像形成装置に入力された印刷ジョブにより複数の記録素子を有する記録ヘッドが記録媒体に記録する画像から得られる印刷画像の、前記各記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する濃度補正プロファイルを生成する方法であって、
前記各記録素子の記録特性に基づいて、前記記録媒体の画像の前記各記録素子に対応する各画素の濃度を示す濃度プロファイルを取得する濃度プロファイル取得ステップと、
前記濃度プロファイルに基づいて、前記記録媒体の画像中の周辺画素との濃度差が一定以上である注目画素を抽出する注目画素抽出ステップと、
前記濃度プロファイルに基づいて生成した前記記録媒体の画像の各画素の濃度補正内容を定義する補正プロファイル、又は、前記濃度プロファイルに基づいて、
前記注目画素からの距離が近い画素ほど適用対象画素の範囲が狭くピーク強度が大きい波形のフィルタの関数が前記補正プロファイルに畳み込まれた前記濃度補正プロファイルを生成するフィルタリングステップと、
を含む濃度補正プロファイル生成方法。
【国際調査報告】