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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年10月4日
【発行日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】無線センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/18 20060101AFI20191025BHJP
   G01K 1/02 20060101ALI20191025BHJP
   G01K 1/14 20060101ALI20191025BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20191025BHJP
   G08C 17/02 20060101ALI20191025BHJP
【FI】
   G01K7/18 A
   G01K1/02 E
   G01K1/14 L
   G08C15/00 E
   G08C17/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2019-508100(P2019-508100)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年3月31日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】梶田 徹矢
(72)【発明者】
【氏名】加藤 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】田辺 樹
【テーマコード(参考)】
2F056
2F073
【Fターム(参考)】
2F056AE03
2F056AE05
2F056AE07
2F056CL03
2F056CL08
2F056NA07
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA12
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073CD27
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE12
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG05
(57)【要約】
電子回路(100)を搭載した電子回路モジュール(10)から計測棒(11)を延ばす。計測棒(11)に温度センサ(14)を配置する。計測棒(11)が延ばされた電子回路モジュール(10)をセンサ本体(15)とし、このセンサ本体(15)を複数の支持棒(12,13)で自立させ、無線センサ(1)とする。この無線センサ(1)を試料瓶(2)の中に入れて試料(3)の温度を計測する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサと、
電子回路を搭載した電子回路モジュールと、
前記温度センサが配置された計測棒と、
前記計測棒が延ばされた前記電子回路モジュールをセンサ本体として自立させる自立部材とを備え、
前記電子回路は、
外部から送られてくるエネルギーから電力を生成するように構成された電力生成部と、
前記温度センサの計測値を温度データとして取得するように構成されたセンサインタフェース回路と、
前記センサインタフェース回路によって取得された前記温度データを無線によって外部へ送信するように構成された無線部とを含む
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項2】
請求項1に記載された無線センサにおいて、
前記温度センサは、
前記計測棒の長手方向に複数配置されている
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項3】
請求項1に記載された無線センサにおいて、
前記自立部材は、
1つあるいは複数の部材である
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項4】
請求項1に記載された無線センサにおいて、
前記自立部材は、
前記無線部および前記電力生成部の少なくとも一方に接続されるアンテナを兼ねている
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項5】
請求項1に記載された無線センサにおいて、
前記自立部材は、
前記計測棒と略同じ長さの複数の支持棒であり、
前記複数の支持棒には、
前記温度センサが異なる垂直位置で配置されている
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項6】
請求項1に記載された無線センサにおいて、
前記無線センサの高さは、
前記無線センサを容器の中に入れ、前記計測棒の下端を前記容器の底面に接触させて前記自立部材によって前記センサ本体を自立させたとき、前記電子回路モジュールの上面が前記容器の開口部よりも下に位置するような高さとされている
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項7】
請求項6に記載された無線センサにおいて、
前記自立部材は、
前記容器の内周面に接触して前記無線センサを自立させる
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項8】
請求項1に記載された無線センサにおいて、
前記電力生成部および前記無線部は、
同一のアンテナに接続されている
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項9】
請求項1に記載された無線センサにおいて、
前記温度センサに加えて湿度センサを備える
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項10】
請求項1に記載された無線センサにおいて、
前記温度センサに加えて水分量センサを備える
ことを特徴とする無線センサ。
【請求項11】
請求項1に記載された無線センサにおいて、
前記温度センサに加えて圧力センサを備える
ことを特徴とする無線センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試料瓶の中に入れられた試料の温度計測に用いて好適な無線センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用薬品の製造工程の中には、試料瓶の中に液体試薬を試料として入れ、この試料瓶の中で試料を凍結乾燥させる工程がある。この凍結乾燥の工程は30時間〜40時間を必要とするのが通常である。1つの試料瓶は直径20mm、高さ40mm程度の小さなものであるが、凍結乾燥炉を用いた1回の工程処理で約10万個を同時に処理する。
【0003】
凍結乾燥のプロセスでは、温度と圧力を制御することで、試料瓶内部の水分(アルコール分)を昇華させる。このとき試料瓶の蓋は半開きにしておき、凍結乾燥処理が完了した後に、凍結乾燥炉内部で蓋を押し込むことで試料瓶内部を密封する。
【0004】
凍結乾燥のプロセスにおいて、温度と圧力の制御パラメータを決める際には、試料瓶の中に熱電対などの温度センサを挿入することで温度計測を行う。凍結乾燥炉では、1回の工程処理で約10万個の試料を同時に処理するため、試料の配置場所によっては温度に差が生じる場合がある。このため、複数の試料に対して、温度計測が必要になる。この場合、有線で温度計測を行うと、配線作業が複雑となる。また、凍結乾燥炉の内部のスペースにも制約がある。
【0005】
そこで、本願に関連する技術として、無線センサを用いて温度計測を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この関連する技術では、試料瓶の蓋に無線送受信機を内蔵し、この無線送受信機を内蔵した蓋から試料瓶の内部へ向けて1本の棒を計測棒として延ばしている。試料瓶内の試料の凍結は表面から徐々に深さ方向に進むため、蓋から試料瓶の内部へ向けて延ばされた計測棒に、試料瓶の深さ方向に複数の温度センサを配置している。また、蓋には、試料瓶の外側に向けてアンテナを設けている。これにより、試料瓶内の試料の温度が無線によって外部へ送信され、試料瓶の中の試料の凍結状態をモニタすることができる。
【0006】
凍結乾燥処理では、水面から徐々に凍結して行くため、試料瓶の底面に近いところの温度測定が極めて重要となる。しかし、上述した関連する技術では、凍結乾燥処理が完了した後に、半開きの蓋を押し込むために、すなわち蓋の移動量分のスペースを残しておくために、計測棒の下端を試料瓶の底面から離した状態としておく必要がある。このため、温度センサの配置が試料瓶の底面から離れた位置からとなり、極めて重要とされる試料瓶の底面近くの温度を計測することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2016/123062A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、試料瓶の底面近くの温度を計測することが可能な、また試料瓶内の正確な位置の温度を計測することが可能な無線センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために本発明は、温度センサ(14)と、電子回路(100)を搭載した電子回路モジュール(10)と、温度センサが配置された計測棒(11)と、計測棒が延ばされた電子回路モジュールをセンサ本体(15)として自立させる自立部材(12,13)とを備え、電子回路は、外部から送られてくるエネルギーから電力を生成するように構成された電力生成部(101)と、温度センサの計測値を温度データとして取得するように構成されたセンサインタフェース回路(102)と、センサインタフェース回路によって取得された温度データを無線によって外部へ送信するように構成された無線部(103)とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明において、センサ本体(計測棒が延ばされた電子回路モジュール)は、それ自体では自立することはできないが、自立部材が設けられることによって自立する。本発明において、電子回路モジュールには、電力生成部とセンサインタフェース回路と無線部とを含む電子回路が搭載されており、計測棒には、温度センサが配置されている。センサ本体を試料瓶の中で自立させると、計測棒の下端が試料瓶の底面に接触するものとなり、試料瓶の底面近くの温度を計測することが可能となる。また、計測棒に配置された温度センサの位置が試料瓶の底面からの位置として定まり、試料瓶内の正確な位置の温度を計測することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、温度センサを計測棒に配置し、この計測棒が延ばされた電子回路モジュールをセンサ本体として自立部材によって自立させるようにしたので、センサ本体を試料瓶の中で自立させるようにして、すなわち無線センサを試料瓶の中で自立させるようにして、凍結乾燥処理において極めて重要とされる試料瓶の底面近くの温度を計測することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る無線センサを試料瓶の中に入れた状態を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る無線センサを試料瓶の中に入れた状態を示す側断面図である。
図3図3は、この無線センサの電子回路モジュールに搭載されている電子回路の要部を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態2に係る無線センサの第1例を試料瓶の中に入れた状態を示す側断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係る無線センサの第1例を試料瓶の上から見た図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る無線センサの第2例を試料瓶の上から見た図である。
図7A図7Aは、本発明の実施の形態3に係る無線センサの第1例を示す斜視図である。
図7B図7Bは、本発明の実施の形態3に係る無線センサの第2例を示す斜視図である。
図8図8は、本発明の実施の形態4に係る無線センサを試料瓶の中に入れた状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
〔実施の形態1〕
図1は本発明の実施の形態1に係る無線センサ1(1A)を試料瓶(容器)2の中に入れた状態を示す斜視図である。この実施の形態において、試料瓶2には試料3として液体試薬が入れられており、試料瓶2の開口部2aには蓋4が半開きの状態で取り付けられている。
【0015】
この無線センサ1Aは、温度センサ14と、電子回路100を搭載した電子回路モジュール10と、温度センサ14が配置された計測棒11と、支持棒12,13とから構成されている。計測棒11および支持棒12,13は電子回路モジュール10から延ばされている。また、この無線センサ1Aにおいて、温度センサ14は計測棒11の長手方向に複数配置されており、最下端の温度センサ14は計測棒11の下端11aの近くに位置している。
【0016】
この無線センサ1Aにおいて、複数配置された温度センサ14は試料瓶2内の試料3の温度を計測する。この複数の温度センサ14を計測棒11の長手方向に配置することで、試料瓶2に温度変化をかけたときの試料3の温度分布を計測することが可能になる。
【0017】
たとえば凍結乾燥プロセスにおいては、試料瓶の周囲の温度と圧力を制御することで、凍結されて固体状態になっている試料を液化することなく乾燥状態にする(昇華させる)。温度制御は試料瓶が置かれているプレート温度を−50℃から+85℃の範囲で可変にする。試料の凍結後におこなう乾燥時は、炉内をほぼ真空になるように圧力制御して、プレート温度を40℃などに固定して行う。このとき試料液面上方から下方に向けて徐々に水分が昇華し乾燥状態になることが知られている。試料種類や圧力条件にも依存するが、乾燥するまでには数十時間から数日必要となる。この反応時間を短縮できれば生産性は向上する。しかし、中途半端な処理時間で終えてしまうと出来上がり品質の劣化につながる。
【0018】
前述したように凍結乾燥プロセスでの温度変化は、試料の上方から下方に向けて変化するため、プロセスの終了判断には、最下端の温度センサの計測結果が特に重要になる。すなわち最下端の温度センサの位置は、試験ごとに変動したり試料瓶ごとに不定であったりすると、凍結乾燥プロセスの制御パラメータの調整や、制御に大きく影響を与えてしまう。このため、図1に示すように、最下端の温度センサ14を計測棒11の下端近くに置くことが極めて重要になる。
【0019】
この実施の形態において、支持棒12,13は、計測棒11が延ばされた電子回路モジュール10をセンサ本体15として自立させる自立部材として設けられている。すなわち、センサ本体15は、それ自体では自立することはできない。このため、計測棒11と略同じ長さの支持棒12,13を設け、この支持棒12,13と計測棒11とで電子回路モジュール10を支えることによって、センサ本体15を自立させている。以下、センサ本体15を自立させた状態を無線センサ1Aを自立させた状態とも呼ぶ。
【0020】
なお、この実施の形態において、無線センサ1Aの高さHは(図2参照)、無線センサ1Aを試料瓶2の中に入れ、計測棒11の下端11aおよび支持棒12,13の下端12a,13aを試料瓶2の底面2bに接触させてセンサ本体15を自立させたとき(無線センサ1Aを自立させたとき)、電子回路モジュール10の上面10aが試料瓶2の開口部2aよりも下に位置するような高さとされている。また、試料瓶2内の試料3の量は、無線センサ1Aを試料瓶2の中で自立させた状態において、電子回路モジュール10に試料3が接触することがない量とする。また、電子回路モジュール10は、計測棒11の下端11aおよび支持棒12,13の下端12a,13aを試料瓶2の底面2bに押し付けるだけの自重を持ち、試料瓶2の中で浮くことはないものとする。
【0021】
図3に電子回路モジュール10に搭載されている電子回路100の要部を示す。電子回路100は、搬送波(外部から送られてくるエネルギー)から電力を生成する電力生成部101と、温度センサ14の計測値を温度データとして取得するセンサインタフェース回路102と、センサインタフェース回路102によって取得された温度データを無線によって外部へ送信する無線部103とを備えており、電力生成部101は電力生成用のアンテナ104に接続され、無線部103は通信用のアンテナ105に接続されている。また、無線部103は、外部より送信されてくる無線信号を受信する機能も備えている。
【0022】
図3では、簡略化のために、複数の温度数センサ14とセンサインタフェース回路102とを一本の線で結んでいる。温度センサ14がサーミスタ抵抗や白金測温抵抗体などのように温度に依存する抵抗変化を検出する2端子のセンサ素子であれば、複数の温度センサ14を配置した時には、基準電位を共通にしたとしても、各温度センサ14からセンサインタフェース回路102に対して少なくとも最低でも1本ずつの配線となることは言うまでもない。
【0023】
他にもトランジスタのベース・エミッタ電圧が約−2mV/℃の温度変化を持つことを利用した半導体センサも温度センサ14として利用することができる。この場合の温度センサ14は温度に比例した電圧出力をもつものが多い。この場合でも、各温度センサ14からの信号線は最低でも1本ずつの配線になることは言うまでもない。
【0024】
近年、温度センサのデバイスと信号処理回路組み合わせた集積化センサが用いられる場合もある。このようなときは、複数配置されている温度センサ14とセンサインタフェース回路102とは、温度センサ14の個々の温度出力を伝えるためにデジタル信号によるバス接続を利用できる。バスにはたとえばSPI(Simple Peripheral Interface)により3本線でセンサインタフェース回路102につなげてもよいが、I2C(Inter-Integrated Circuit)などのように抵抗でプルアップすることで双方向のオープンコレクタ接続される2本の信号線(SDA:シリアルデータ、SCL:シリアルクロック)を利用して少ない本数でつなげてもよい。
【0025】
センサインタフェース回路102の構成は、きわめて一般的なため詳細に記述するまでも無いが、以下の構成が考えられる。センサインタフェース回路102は温度センサ14が前述のような抵抗センサ、半導体センサであれば、それぞれ抵抗値、電圧値をデジタル値に変換するアナログ・デジタル変換器(ADC)と無線部103を制御するCPU、計測時間間隔を管理するタイマ回路、起動時のリセット回路、設定状態を記憶保持するメモリ回路、センサインタフェース回路102や無線部103などの電子回路に電源を供給するレギュレータ回路などから構成する。個々の温度センサ14に対してそれぞれADCを配置してもよいが、経済的な理由、小型化要求による理由から、マルチプレクサをADCと温度センサ14との間に配置して、決められた手順で順番に温度センサ14を選択してAD変換する方法が一般的であり、このADCやマルチプレクサの制御も上記のCPUで行う。
【0026】
一方、集積化センサの場合は、ADCはセンサと同一パッケージ内に置くことも可能であるため、センサインタフェース回路102はマルチプレクサやADCの代わりにバス制御の選択回路が使われる。
【0027】
無線部103は概して送信回路、受信回路から構成される。温度センサ14から取得した温度情報と、複数の温度センサ14のうちのどのセンサであるかの識別番号を送信する。複数の試料瓶2に無線センサ1を配置し、その試料瓶2において計測された温度データを送信するために、無線センサ1には個別の識別番号を付加する。その無線センサ1の識別番号も無線部103を経由して上位側に伝送する。
【0028】
温度センサ14の結果を無線で伝えるだけでなく、電子回路モジュール10内のさまざまな電気的状態、たとえば電力生成部101によって得られる電圧値や無線部103での受信強度など、さらには温度センサ14の短絡や断線などの異常状態を付加データとして上位側に伝達することも、センサインタフェース回路102に持たせてもよい。
【0029】
電力生成部101の構成も従来からあるRFID(radio frequency identifier)のような技術が利用できるため特筆するものはないが、以下のように考えられる。アンテナ104によって受信した電磁界または電波に対して、共振等を利用して電気エネルギーの取り出し効率を上げるためのマッチング回路、マッチング回路によって得られる電圧、電流を整流する整流回路、整流回路の出力を蓄積するキャパシタである。キャパシタに蓄えられた電圧はそのままでは変動が大きいので、安定化電圧回路(レギュレータ回路)を含めてもよい。なおセンサインタフェース回路102にはアナログ回路が多く含まれるため、センサインタフェース回路102にも別のレギュレータ回路があっても良い。
【0030】
ところでアンテナ104で受信した電磁界または電波はとても微小であるため、ダイオードとコンデンサを使った電圧ダブラ(Voltage Doubler(Voltage Multiplier))などで昇圧してもよい。コンデンサもセラミックコンデンサなどの素子を用いてもよいが、近年のスーパキャパシタ(Super Capacitor)といった大容量コンデンサを併用することでも良い。
【0031】
もちろん使用時に無線供給せずに使用前に充電しておいたスーパキャパシタを電源としても利用する方法もあるが、充電済みスーパキャパシタは相当の電気エネルギーを持っているため、無線センサの取り扱いに注意を有する。凍結乾燥プロセスは長時間であるため、計測中に充電された電気エネルギー(電荷)が十分でない場合は計測不能になってしまうため信頼性を損ねる恐れがある。
【0032】
もっと簡便に電池を利用することも考えられるが、電池交換が必要であるため実運用時には大きな手間とコストが必要になるため好ましくない。
そこで計測中は常時電子回路モジュール10に電気エネルギーの供給を行う上でも、無線による電力生成部101は重要である。
【0033】
無線部103は以下のとおりである。さまざまな通信規格に対して、さまざまな無線モジュールないしは無線ICが利用できる。これらを利用すれば特筆することはなく無線通信を行うことが可能である。
【0034】
なお、この例では、アンテナを電力生成用のアンテナ104と通信用のアンテナ105とに分けているが、電力生成部101と無線部103を同一のアンテナに接続するものとしてもよい。すなわち、アンテナは2本ではなく、1本としてもよい。
【0035】
1本のアンテナとする場合、電磁結合などにより、変調をかけた電磁波を外部から1つのアンテナにて受信して、ダイオードブリッジなどによる電力生成部101によって電子回路モジュール10の電源を生成するとともに、電磁波に重畳している信号を無線部103にて復調する。
【0036】
この無線センサ1Aを試料瓶2の中で自立させると、計測棒11の下端11aが試料瓶2の底面2bに接触する。計測棒11には、その長手方向すなわち試料3の深さ方向に、複数の温度センサ14が設置されており、この複数の温度センサ14によって試料3の各位置の温度が計測される。この温度計測に際して、計測棒11や支持棒12,13の熱容量は小さく、また接液中の体積も小さい。このため、計測棒11や支持棒12,13の温度計測への影響は抑えられる。
【0037】
本実施の形態において、温度センサ14は計測棒11の下端11aの近くまで配置されている。これにより、凍結乾燥処理において極めて重要とされる試料瓶2の底面近くの温度が計測されるものとなる。また、温度センサ14の位置が試料瓶2の底面2bからの位置として定まり、試料瓶2内の正確な位置の温度が計測されるものとなる。これにより、試料瓶2の底面からの試料3の正確な温度分布を取得することができる。
【0038】
この無線センサ1Aにおいて、アンテナ104,105は、電子回路100の一部として基板上の回路に形成されている。例えば、基板の配線パターンを利用したアンテナとしたり、チップ部品の形状のアンテナとしたりしている。このため、無線センサ1A全体が試料瓶2の中に入り、試料瓶2の外にアンテナが露出することがない。
【0039】
前述した関連する技術では、試料瓶の蓋にアンテナが設けられているが、このアンテナが試料瓶の外に露出していることによって各種の問題が生じる。例えば、凍結乾燥処理が完了した後、試料瓶の蓋を押し込む。この際、凍結乾燥炉内では、試料瓶が乗っている上段のトレイの底面を利用して、下段のトレイに乗っている試料瓶の蓋を一度に押し込む。このとき、アンテナが折れ曲がってしまう。
【0040】
この場合、アンテナが機械的に変形するため、耐久性にも問題が生じる。また、アンテナが折れ曲がった蓋を再利用する際には、データの信頼性を損ねる一因ともなる。また、折れ曲がったアンテナがトレイを傷つけることで不純物が凍結乾燥炉内部に発生し、試料の品質低下を招く原因ともなる。また、折れたアンテナが蓋から外れると、凍結乾燥炉内部の試料瓶を倒して破損するなどの問題も生じる。
【0041】
これに対して、本実施の形態では、無線センサ1A全体が試料瓶2の中に入り、試料瓶2の外にアンテナが露出することがないので、蓋4を締めたときにアンテナが折れ曲がるというような問題は生じない。これにより、試料の品質を損なうことなく、また試料や装置の破損を招くことなく、凍結乾燥処理の行程を完了させることが可能となる。
【0042】
なお、この実施の形態では、計測棒11に複数の温度センサ14を配置するようにしているが、温度センサ14は1つであっても構わない。また、計測棒11だけではなく、支持棒12や13にも温度センサ14を配置するようにしてもよい。例えば、支持棒12や13に異なる垂直位置で温度センサ14を設置するようにすると、試料3中の温度分布をより正確に把握することが可能となる。また、温度センサ14に加えて、湿度センサや水分量センサ,圧力センサなどを計測棒11や支持棒12,13に配置するようにしてもよい。また、傾斜センサを設けて、温度センサ14の高さを補正するようにしてもよい。
【0043】
また、この実施の形態では、センサ本体15を自立させる自立部材を支持棒12,13の2本としているが、すなわち計測棒11と支持棒12,13の3本で電子回路モジュール10を支えるようにしているが、支持棒12,13の数を増やしてセンサ本体15の自立を安定させるようにしてもよい。
【0044】
〔実施の形態2〕
実施の形態1の無線センサ1Aでは、センサ本体15を自立させる自立部材として2本の支持棒12,13を設けるようにしたが、試料瓶2の内周面2cに接触してセンサ本体15を自立させるような自立部材を設けるようにしてもよい。以下、この例を実施の形態2として説明する。
【0045】
図4に、実施の形態2の無線センサ1(1B)を例示する。この無線センサ1Bでは、電子回路モジュール10の側面に等角度間隔(この例では、120゜間隔)でコイル状のバネ16を設け(図5参照)、このコイル状のバネ16の遊端部16aを試料瓶2の内周面2cに圧接させることによって、センサ本体15を試料瓶2の中で自立させるようにしている。
【0046】
この無線センサ1Bを試料瓶2の中に入れる際には、コイル状のバネ16を縮めておき、試料瓶2の中で元の状態に復帰させるようにする。これにより、コイル状のバネ16の遊端部16aが試料瓶2の内周面2cに圧接し、センサ本体15が試料瓶2の中で自立する(無線センサ1Bが試料瓶2の中で自立する)。
【0047】
なお、この無線センサ1Bでは3つのコイル状のバネ16を用いたが、図6に無線センサ1B’として示すように、1つのゼンマイ状のバネ17を用いるようにしてもよい。この場合も、コイル状のバネ16と同様、試料瓶2の中に無線センサ1B’を入れる際に、ゼンマイ状のバネ17を縮めておき、試料瓶2の中で元の状態に復帰させるようにする。
【0048】
また、この実施の形態2の無線センサ1B(1B’)では、センサ本体15を自立させる自立部材としてバネ16(17)を用いるが、このバネ16(17)を電力生成用のアンテナ104と兼用させてもよい。すなわち、バネ16(17)をアンテナとして用いるものとした場合、アンテナ長を長くすることができる。これにより、バネ16(17)を電力生成用のアンテナ104と兼用させるようにして、電力供給の安定化を図ることが可能となる。
【0049】
また、バネ16(17)を通信用のアンテナ105と兼用させるものとしてもよい。通信用のアンテナ105と兼用させるものとした場合、通信距離を延ばしたり、アンテナゲインが高くなるため送受信電力を抑えたり、SN比を高めたりするなどの効果を得ることも可能となる。
【0050】
また、この実施の形態2の無線センサ1B(1B’)では、電子回路モジュール10を下から支える棒を計測棒11の1本としているが、複数本として無線センサ1B(1B’)の自立をさらに安定させるものとしてもよい。
【0051】
〔実施の形態3〕
実施の形態1の無線センサ1Aでは、自立部材として計測棒11とは別に支持棒12,13を設けるようにし、実施の形態2の無線センサ1B(1B’)では、自立部材として計測棒11とは別にバネ16(17)を設けるようしたが、計測棒11自体に自立部材を設けるようにしてもよい。以下、この例を実施の形態3として説明する。
【0052】
図7Aに、実施の形態3の第1例を示す。この無線センサ1(1C)では、計測棒11の下端11aに連続する部材として、とぐろ状に巻いた自立部材18を設け、この自立部材18によってセンサ本体15を自立させるようにしている。
【0053】
図7Bに、実施の形態3の第2例を示す。この無線センサ1(1C’)では、計測棒11の下端11aにリング状に骨組みされた自立部材19を結合し、この自立部材19によってセンサ本体15を自立させるようにしている。
【0054】
〔実施の形態4〕
実施の形態1の無線センサ1Aでは、センサ本体15を自立させる自立部材として2本の支持棒12,13を設けるようにしたが、1本の支持棒であっても構わない。以下、この例を実施の形態4として説明する。
【0055】
図8に、実施の形態4の無線センサ1(1D)を例示する。この無線センサ1Dでは、自立部材として計測棒11とは別に螺旋状に巻いた金属の棒を支持棒(以下、螺旋状の支持棒という。)20として設けている。
【0056】
この無線センサ1Dにおいて、計測棒11は螺旋状の支持棒20の真ん中に位置し、この螺旋状の支持棒20と計測棒11とで電子回路モジュール10を支えることによって、センサ本体15を自立させている。
【0057】
なお、この無線センサ1Dにおいて、自立部材として設けた螺旋状の支持棒20をアンテナ104やアンテナ105と兼用させるようにしてもよい。また、アンテナ104と105とを1本のアンテナとし、この1本のアンテナと支持棒20とを兼用させるようにしてもよい。
【0058】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る無線センサは、試料瓶の中に入れられた試料の温度計測以外にも利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1(1A、1B、1B’、1C、1C’、1D)…無線センサ、2…試料瓶、2a…開口部、2b…底面、2c…内周面、3…試料、4…蓋、10…電子回路モジュール、10a…上面、11…計測棒、11a…下端、12,13…支持棒、12a,13a…下端、14…温度センサ、15…センサ本体、16…コイル状のバネ、17…ゼンマイ状のバネ、18,19…自立部材、20…螺旋状の支持棒、100…電子回路、101…電力生成部、102…センサインタフェース回路、103…無線部、104…電力生成用のアンテナ、105…通信用のアンテナ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】