再表2018-190063IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年10月18日
【発行日】2019年11月7日
(54)【発明の名称】温度検出装置及びそれを備えた電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/01 20060101AFI20191011BHJP
   G01K 7/25 20060101ALI20191011BHJP
【FI】
   G01K7/01 C
   G01K7/25 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2019-512392(P2019-512392)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2017-80131(P2017-80131)
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112003
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 裕司
(72)【発明者】
【氏名】大橋 英知
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056JT01
2F056JT08
2F056RA10
(57)【要約】
対象物の温度の検出精度をさらに向上させるとともに、より柔軟に温度検出を可能にする。温度センサから入力される温度信号をもとに当該温度信号に対応する電気信号を出力する温度検出装置であって、前記温度信号の変化量に対する出力の変化量である温度傾斜を所定の温度閾値で変更する。この温度検出装置1は、異なる二以上の温度傾斜で前記温度信号に対する出力をそれぞれ演算する出力演算部2と、前記温度閾値をもとに前記出力演算部から出力された二以上の出力のうち一の出力を選択する出力選択部(マルチプレクサ)3と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサから入力される温度信号をもとに当該温度信号に対応する電気信号を出力する温度検出装置であって、
前記温度信号の変化量に対する出力の変化量である温度傾斜を所定の温度閾値で変更することを特徴とする温度検出装置。
【請求項2】
前記温度閾値を複数有することを特徴とする請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項3】
異なる二以上の温度傾斜で前記温度信号に対する出力をそれぞれ演算する出力演算部と、前記温度閾値をもとに前記出力演算部から出力された二以上の出力のうち一の出力を選択する出力選択部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項4】
前記出力演算部は複数の演算増幅器を備え、各演算増幅器は帰還抵抗器と入力抵抗器の各抵抗値の比が異なるように設定され、
前記出力選択部は、前記複数の演算増幅器の出力が入力され、前記温度閾値をもとに一の演算増幅器の出力を選択するマルチプレクサを備えていることを特徴とする請求項3に記載の温度検出装置。
【請求項5】
前記マルチプレクサは、前記複数の演算増幅器の出力が交差する点を前記温度閾値とすることを特徴とする請求項4に記載の温度検出装置。
【請求項6】
対象物の温度が取り得る値の温度領域において、前記温度閾値を基準として前記温度閾値よりも温度の高い高温領域と前記温度閾値よりも温度の低い低温領域とが定められ、前記温度傾斜は、前記低温領域よりも前記高温領域で大きいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の温度検出装置。
【請求項7】
対象物の温度が取り得る値の温度領域において、前記温度閾値を基準として前記温度閾値よりも温度の高い高温領域と前記温度閾値よりも温度の低い低温領域とが定められ、前記温度傾斜は、前記高温領域よりも前記低温領域で大きいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の温度検出装置。
【請求項8】
前記温度センサは、電力変換に用いるパワー半導体スイッチング素子のチップ内に形成されたダイオードから構成されることを特徴とする請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項9】
前記温度センサは、電力変換に用いるパワー半導体スイッチング素子を駆動する集積回路内に形成されたダイオードから構成されることを特徴とする請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項10】
前記温度センサは、電力変換に用いるパワー半導体スイッチング素子の温度を検出するサーミスタから構成されることを特徴とする請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項11】
電力変換に用いるパワー半導体スイッチング素子と、
請求項1に記載の温度検出装置であって、前記パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度を検出する温度検出装置と、
を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項12】
前記温度検出装置は、
駆動する負荷の動作状況に応じて、前記閾値を境界として前記選択すべき変化量を変更し、
前記パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度が取り得る値の温度領域において、前記温度閾値を基準として前記温度閾値よりも温度の高い高温領域と前記温度閾値よりも温度の低い低温領域とを定め、前記温度傾斜は、前記低温領域よりも前記高温領域で大きい、
ことを特徴とする請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記温度検出装置は、
駆動する負荷の動作状況に応じて、前記閾値を境界として前記選択すべき変化量を変更し、
前記パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度が取り得る値の温度領域において、前記温度閾値を基準として前記温度閾値よりも温度の高い高温領域と前記温度閾値よりも温度の低い低温領域とを定め、前記温度傾斜は、前記高温領域よりも前記低温領域で大きい、
ことを特徴とする請求項11に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度検出装置及びそれを備えた電力変換装置に関し、より具体的には、電力変換に用いるパワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度を直接的あるいは間接的に検出する温度検出装置及びそれを備えた電力変換装置
【背景技術】
【0002】
検出対称物やその用途に応じて、温度の変化量に対する出力電圧の変化量を変更可能にする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の温度検出は、パワー半導体スイッチング素子を用いた電力変換装置においても重要である。この種の温度検出を行うための回路構成の一例を、図9に示す。図示する温度検出装置は、特に、電力変換に用いるパワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度を検出するものである。図示するように、この温度検出装置は、定電圧電源Vccと、この定電圧電源Vccに接続された定電流源Idと、この定電流源Idに直列に接続され、温度センサとして機能するダイオードDと、非反転入力端が基準電圧源Vrefに接続され、反転入力端が抵抗器Raを介してダイオードDに接続されるとともに、抵抗器Rbを介して閉ループを形成するオペアンプAmpと、を備える。
【0004】
この温度検出装置において、ダイオードDからの電圧信号Vfは、パワー半導体スイッチング素子の温度(動作ジャンクション温度)を表すものであり、負の温度係数を有し、オペアンプAmpの反転入力端に抵抗器Raを介して入力される。オペアンプAmpは、この電圧信号Vfに反転増幅を行い、得られた出力電圧Voutをマイコン等に入力し、このマイコン等が、パワー半導体スイッチング素子の温度を検出する。ここで、抵抗器Ra,Rbの抵抗値、基準電圧源Vrefおよび電圧信号Vfの電圧値をそれぞれ同一符合Ra,Rb,Vref,Vfを用いて表すと、この出力電圧Voutは、
Vout=Vref+Rb/Ra×(Vref−Vf)の電圧値となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−208051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
出力電圧Voutはマイコン等のデジタルICで電圧検出の対象となるため、一般に、温度センサの検出温度、すなわち、パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度Tjが−40から150℃の範囲において、デジタルICの電源電圧の範囲である0から5V、あるいは0から3.3Vの範囲で変化する。上述したオペアンプAmpの出力電圧Voutは、一般的には、図10に示すように、検出した動作ジャンクション温度Tjに対して線形に変化する。そこで、出力電圧Voutが0から5Vの範囲で、すべての温度範囲において出力電圧Voutが線形に変化した場合、出力電圧Voutの検出温度に対する変化量は、26mV/℃となる。この変化量に基づき、例えば、出力電圧の精度ΔVoutが±0.104Vに設定された場合、検出温度の精度ΔTjは±4℃となる。
【0007】
一般に、電力変換装置において、温度検出装置はパワー半導体スイッチング素子の過熱保護の目的で用いられる。そのため、パワー半導体スイッチング素子が高温で動作する高温領域における温度検出、すなわち、出力電圧Voutの精度向上が求められている。出力電圧Voutの精度の向上については、従来は基準電圧源Vrefのトリミング等が行われているが、上述のような線形の特性では検出精度の向上に限界があった。そこで、更なる検出精度の向上を達成できる技術が求められていた。
【0008】
本発明はの実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、対象物の温度の検出精度をさらに向上させることが可能な温度検出装置及びそれを備えた電力変換装置を提供することである。
【0009】
また、本発明の別の目的は、より柔軟に温度検出が可能な温度検出装置及びそれを備えた電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る温度検出装置は、
温度センサから入力される温度信号をもとに当該温度信号に対応する電気信号を出力する温度検出装置であって、
前記温度信号の変化量に対する出力の変化量である温度傾斜を所定の温度閾値で変更することを特徴とする。
【0011】
このような構成を採用することで、本発明による温度検出装置によれば、対象物の温度の変化に伴う出力信号の変化量を変更することが可能となる。変化量(温度傾斜)が大きくなるようにすることで、変化が線形な場合と比較して、温度に応じて変化する出力信号がより精度良く温度を表すことになるので、温度検出の精度が向上する。温度検出の精度が向上することで、対象物、例えば電力変換に用いられるパワー半導体スイッチング素子を従来よりも精度良く過熱から保護することが可能となる。
【0012】
また、の目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る電力変換装置は、
電力変換に用いるパワー半導体スイッチング素子と、
の温度検出装置であって、前記パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度を検出する温度検出装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
温度検出の精度が向上した温度検出装置を備えることで、高温動作時における電力変換装置の温度マージンを広くすることができ、出力容量を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、対象物の温度の検出精度をさらに向上させることが可能となる。また、より柔軟に温度検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る、温度検出装置の構成の一例を示す回路図である。
【図2】図1における出力演算部の構成の一例を示す図である。
【図3】図1に示す温度検出装置の出力特性を示すグラフである。
【図4】図1におけるマルチプレクサの構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る、温度検出装置の構成の一例を示す回路図である。
【図6】図5におけるマルチプレクサの構成の一例を示す図である。
【図7】図5に示す温度検出装置の出力特性を示すグラフである。
【図8】本発明の温度検出装置を備えた電力変換装置の構成の一例を示す図である。
【図9】従来の温度検出装置の構成の一例を示す回路図である。
【図10】図9に示す温度検出装置の出力特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る温度検出装置及びそれを備えた電力変換装置について、添付の図面を参照して詳細に説明する。同一または同様の構成については、図中で同一の参照番号を付す。
【0017】
(第1の実施の形態)
(構成)
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る温度検出装置1は、特に、電力変換に用いられるパワー半導体スイッチング素子の温度(動作ジャンクション温度Tj)を検出するものであり、例えば、低電圧電源Vccと、この定電圧電源Vccに接続された定電流源Idと、この定電流源Idに直列に接続され、温度センサとして機能するダイオードDと、このダイオードDならびに定電流源Idの間に接続された出力演算部2と、出力演算部2からの出力が入力され、この出力を選択的に出力する出力選択部3と、を備える。出力選択部3から選択的に出力された電圧信号Voutは、例えば、図示しないマイコン等に入力され、このマイコン等が入力された電圧信号Voutに基づいてパワー半導体スイッチング素子の温度を検出する。本実施の形態の温度検出装置1は、例えば、ディスクリート型のパワー半導体スイッチング素子(IGBT等)の同一チップ内に形成されるものであるが、パワー半導体スイッチング素子の外部、例えばパワー半導体スイッチング素子を駆動するICに形成されるものであってもよい。しかしその場合であっても、パワー半導体スイッチング素子と同一の放熱板や同一のパッケージ内に配置されることが望ましい。また、温度検出装置1は、ダイオードDの代わりに、例えばサーミスタを用いてもよい。
【0018】
定電圧電源Vccは、定電流源Idに所定の電圧を印加する。定電流源Idは、ダイオードDに所定の定電流を供給する。ダイオードDは、例えば、アノード側が定電流源Idならびに出力演算部2に接続され、カソード側が接地されている。
【0019】
出力演算部2には、ダイオードDからの電圧信号であって、パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度Tjに応じた電圧値を有する電圧信号Vfが入力される。この出力演算部2の構成の一例を、図2に示す。図2に示すように、この実施の形態に係る出力演算部2は、演算増幅器(以下、オペアンプと称する)Amp1、Amp2を備える。
【0020】
より詳細には、オペアンプAmp1は、非反転入力端が基準電圧源Vref1に接続され、反転入力端が抵抗器Ra1を介してダイオードDならびに定電流源Idに接続される。また、オペアンプAmp1の出力端と反転入力端とは、抵抗器Rb1を介して閉ループ、すなわち、負帰還回路を形成する。このような構成の場合、ダイオードDから出力される電圧信号Vfは、上述のように、パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度Tjに応じた電圧値を有し、負の温度係数を有する。この電圧信号Vfは、オペアンプAmp1に入力されて反転増幅される。反転増幅によって得られた出力電圧Vo1は、出力選択部3に入力される。オペアンプAmp2についても、同様であり、反転増幅によって得られた出力電圧Vo2が、出力選択部3に入力される。なお、基準電圧源Vref1と基準電圧源Vref2とは、例えば同一の電位であってよい。
【0021】
ここで、図示する抵抗器Ra1、Ra2、Rb1、Rb2に関し、各抵抗器の抵抗値を同一符合Ra1、Ra2、Rb1、Rb2で表したとき、オペアンプAmp1側の抵抗器Rb1,Ra1の抵抗値の比[Rb1/Ra1]と、オペアンプAmp2側の抵抗器Rb2,Ra2の抵抗値の比[Rb2/Ra2]とが、異なる値となるように抵抗値が設定、選択される。ここで、出力電圧Vo1と、Vo2とは、それぞれ、Vo1=Vref1+Rb1/Ra1×(Vref1−Vf)、Vo2=Vref2+Rb2/Ra2×(Vref2−Vf)で示される。従って、抵抗値の比[Rb1/Ra1]と、抵抗値の比[Rb2/Ra2]とを異なる値とすることで、オペアンプAmp1の出力電圧Vo1と、オペアンプAmp2の出力電圧Vo2とは、同一の入力から得られるものであるが、異なる値となる。すなわち、抵抗値の比[Rb1/Ra1]と、抵抗値の比[Rb2/Ra2]とを適宜選択、設計することで、図3に示すように、ダイオードDにて検出した動作ジャンクション温度Tjの上昇に伴う出力電圧Vo1、Vo2の変化量を適宜変更、調整することが可能となる。例えば、本実施の形態においては、オペアンプAmp1の出力電圧Vo1の変化量が、比較的小さく、オペアンプAmp2の出力電圧Vo2の変化量が、比較的急峻となるように設定する。以下、この変化量を、温度傾斜とも称する。
【0022】
本実施の形態においては、例えば、オペアンプAmp1の出力電圧Vo1を、パワー半導体スイッチング素子の温度、すなわち動作中のパワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度Tjが比較的低い場合の出力とし、オペアンプAmp2の出力電圧Vo2を、動作ジャンクション温度Tjが比較的高い場合の出力として採用する。
【0023】
図1に戻り、出力選択部3は、例えばマルチプレクサ(以下、理解を容易とするためマルチプレクサ3と称す)であり、オペアンプAmp1、Amp2から入力された出力電圧Vo1、Vo2のいずれかを選択的に図示しないマイコン等に出力する。このマルチプレクサ3の構成の一例を、図4に示す。
【0024】
図4に示すように、マルチプレクサ3は、例えばロジックICを含んで構成され、コンパレータ31と、NOTゲート(以下、インバータと称す)32と、半導体スイッチ(以下、スイッチと称す)SW1、SW2と、を備える。
【0025】
コンパレータ31は、一端(例えば、Vin−側)がオペアンプAmp1の出力端に接続され、オペアンプAmp1の出力電圧Vo1が入力される。また、コンパレータ31は、他端(例えば、Vin+側)がオペアンプAmp2の出力端に接続され、オペアンプAmp2の出力電圧Vout2が入力される。コンパレータ31は、入力された二つの電圧Vo1、Vo2の大きさを比較し、その大小関係をハイレベル(Hレベル)、ローレベル(Lレベル)の2値で出力する。例えば、コンパレータ31は、入力された出力電圧Vo2が入力された出力電圧Vo1よりも大きい場合、Hレベルの信号を出力する。また、コンパレータ31は、入力された出力電圧Vo1が入力された出力電圧Vo2よりも大きい場合、Lレベルの信号を出力する。コンパレータ31の動作の更なる詳細については、後述して説明する。
【0026】
インバータ32は、入力端がコンパレータ31の出力端に接続され、出力端がスイッチSw1、Sw2に接続されている。インバータ32は、コンパレータ31からの出力(HレベルまたはLレベル)を反転してスイッチSw1、Sw2に出力する。
【0027】
スイッチSw1、Sw2は、それぞれ、例えばnチャネルMOSFETとpチャネルMOSFETとを並列に接続したCMOSスイッチから構成される。スイッチSw1が、例えば、出力電圧Vo1が出力電圧Vo2よりも大きい場合に導通し、スイッチSw2が、出力電圧Vo2が出力電圧Vo1よりも大きい場合に導通するように、スイッチSw1における一方のMOSFETのゲートがコンパレータ31の出力端に接続され、他方のMOSFETのゲートがインバータ32の出力端に接続される。同様に、スイッチSw2における一方のMOSFETのゲートがインバータ32の出力端に接続され、他方のMOSFETのゲートがコンパレータ31の出力端に接続される。スイッチSw1、Sw2の導通、非導通動作の切り替えについても、後述して詳細に説明する。
【0028】
(動作)
次に、上述した温度検出装置1の動作について、図1乃至4を参照して詳細に説明する。
温度センサであるダイオードDの電圧、すなわち、半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度Tjに応じた電圧信号Vfは、負の温度係数を有し、図1及び図2に示すように、オペアンプAmp1、Amp2のそれぞれの反転入力端に抵抗器Ra1、Ra2を介して入力される。
【0029】
オペアンプAmp1、Amp2は、それぞれ、入力された電圧信号に対して反転増幅を行う。従って、オペアンプAmp1、Amp2の出力電圧Vo1、Vo2とは、反転増幅によって正の値となる。また、上述したように、オペアンプAmp1側の抵抗値の比[Rb1/Ra1]と、オペアンプAmp2側の抵抗値の比[Rb2/Ra2]とが、異なる値となるように抵抗値が選択、設定されているので、検出した動作ジャンクション温度Tjの上昇に伴う出力電圧Vo1、Vo2の変化量は、図3に示すように互いに異なり、ある閾値までは出力電圧Vo1の方が大きく、この閾値以降は出力電圧Vo2の方が大きい、という大小関係が成立する。図4に示すように、出力電圧Vo1、Vo2は、マルチプレクサ3内のコンパレータ31に入力される。以下、この閾値を適宜温度閾値とも称する。
【0030】
コンパレータ31は、入力された出力電圧Vo1、Vo2の大きさを比較する。出力電圧Vo1が出力電圧Vo2よりも大きい場合、コンパレータ31は、Lレベルの信号を出力する。このLレベルの信号は、スイッチSw1の一方のMOSFETのゲートに与えられ、スイッチSw2の他方のMOSFETのゲートに与えられる。また、このLレベルの信号は、インバータ32に入力される。
【0031】
インバータ32は、入力されたLレベルの信号を反転し、Hレベルの信号を出力する。このHレベルの信号は、スイッチSw1の他方のMOSFETのゲート及びスイッチSw2の一方のMOSFETのゲートに与えられる。
【0032】
この場合、スイッチSw1のpチャネルMOSFETのゲートには、Lレベルの信号が与えられ、nチャネルMOSFETのゲートにはHレベルの信号(論理においては反転なしの1の値)が与えられるので、スイッチSw1が導通する。一方、スイッチSw2のpチャネルMOSFETのゲートには、Hレベルの信号が与えられ、nチャネルMOSFETのゲートにはLレベルの信号が与えられるので、スイッチSw2は非導通状態を維持する。従って、オペアンプAmp1と図示しないマイコン等との間が導通し、このマイコン等には、パワー半導体スイッチング素子のジャンクション温度Tjが比較的低い場合に対応するVo1が入力される。
【0033】
また、図3に示すように、出力電圧Vo1と出力電圧Vo2とは、動作ジャンクション温度Tjが上昇するにつれてある閾値において交差し、以降は出力電圧Vo2が出力電圧Vo1よりも大きくなる。この場合、マルチプレクサ3内のコンパレータ31は、Hレベルの信号を出力する。このHレベルの信号は、スイッチSw1の一方のMOSFETのゲートに与えられ、スイッチSw2の他方のMOSFETのゲートに与えられる。また、このHレベルの信号は、インバータ32に入力される。
【0034】
インバータ32は、入力されたHレベルの信号を反転し、Lレベルの信号を出力する。このLレベルの信号は、スイッチSw1の他方のMOSFETのゲート及びスイッチSw2の一方のMOSFETのゲートに与えられる。
【0035】
この場合、スイッチSw1のpチャネルMOSFETのゲートには、Hレベルの信号が与えられ、nチャネルMOSFETのゲートにはLレベルの信号が与えられるので、スイッチSw1は非導通状態を維持する。一方、スイッチSw2のpチャネルMOSFETのゲートには、Lレベルの信号が与えられ、nチャネルMOSFETのゲートにはHレベルの信号が与えられるので、スイッチSw2は導通する。従って、オペアンプAmp2と図示しないマイコン等との間が導通し、このマイコン等には、パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度Tjが比較的高い場合に対応するVo2が入力される。
【0036】
(作用及び効果)
以上説明したように、本発明の温度検出装置1によれば、温度センサであるダイオードDの電圧を、それぞれ異なる変化量となる出力を有するように抵抗値の比が選択されたオペアンプAmp1、Amp2で反転増幅を行う。オペアンプAmp1、Amp2の出力電圧Vo1、Vo2は、それぞれ、オペアンプAmp1側の抵抗値の比[Rb1/Ra1]と、オペアンプAmp2側の抵抗値の比[Rb2/Ra2]とを適宜選択することで、ダイオードDにて検出した動作ジャンクション温度Tjの上昇に伴う変化量が異なる。そして、出力電圧Vo1と、出力電圧Vo2とは、ある温度閾値において交差する。この温度閾値を基準として、低温領域では変化量(温度傾斜)が比較的小さいオペアンプAmp1の出力電圧Vo1を図示しないマイコン等に入力し、温度閾値における出力電圧Voutの連続性を維持しながら、高温領域では変化量(温度傾斜)が比較的急峻なオペアンプAmp2の出力電圧Vo2をマイコン等に入力するようにした。
【0037】
これにより、温度検出装置1の出力電圧Voutの動作ジャンクション温度Tjに対する変化量を増加させることが可能となり、高温領域における温度での出力電圧Voutの精度の向上を図ることができる。ひいては、パワー半導体スイッチング素子の過熱保護に適切な温度検出能を得ることができる。
【0038】
本発明の温度検出装置1によれば、温度検出装置1の出力電圧Voutの、動作ジャンクション温度Tjの上昇に伴う変化量(温度傾斜)が単一の場合における測定精度による限界を超えて過熱保護のための温度検出精度の向上が達成できるため、電力変換装置においてパワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度Tjのマージンを拡大させる効果が期待できる。
【0039】
例えば、従来の温度検出装置において、その出力電圧の温度に対する変化量が26mV/℃、出力電圧の精度ΔVoutが±0.104Vの測定精度の場合、検出温度の精度ΔTjは±4℃である。この場合、最適な過熱保護動作点を設定したとしても、パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度Tjの定格値が例えば150℃の場合には、動作ジャンクション温度の上限値は142℃(=150℃−ΔTj×2)となり、プリント基板の温度上限が100℃の場合、動作ジャンクション温度TjのマージンはΔT=42℃となる。
【0040】
一方、本発明の温度検出装置1では、例えば、高温領域における出力電圧Voutの動作ジャンクション温度Tjに対する変化量を52mV/℃に選択した場合、検出温度の精度ΔTjは±2℃に半減する。そのため、動作ジャンクション温度の上限を146℃に拡大できる。この場合、動作ジャンクション温度のマージンをΔT=±46℃に拡大できる。これは、従来の温度検出装置を用いた場合と比較して、動作ジャンクション温度のマージンが約10パーセント拡大されているので、電力変換装置においても、出力電力容量を約10%拡大できる可能性をもたらすものである。
【0041】
また、ダイオードD(温度センサ)に接続されたオペアンプAmp1、Amp2の出力電圧Vo1、Vo2の、動作ジャンクション温度Tjの上昇に伴う変化量、すなわち、動作ジャンクション温度Tjに応じた出力電圧Vo1、Vo2が交差する温度閾値は、各オペアンプの帰還抵抗器と入力抵抗器の抵抗値の比を適宜選択することで柔軟に動作ジャンクション温度Tjに対して低温または高温側にシフトさせることができる。そのため、実際の用途に応じて適切に低温領域、高温領域を設定することが可能となり、パワー半導体スイッチング素子を過熱からさらに適切に保護することができる。
【0042】
このような効果は、対象物の温度検出の精度をさらに向上させることが可能であり、より柔軟に温度検出が可能な本発明の温度検出装置及びそれを備えた電力変換装置によって達成できるものである。
【0043】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、ある温度閾値を境界として、温度領域をシンプルに低温領域、高温領域と設定した。しかし、例えば、温度検出対象の半導体スイッチング素子が用いられる三相交流インバータの負荷が、エアコンのコンプレッサ用のモータである場合、半導体スイッチング素子のジャンクション温度が低いとき、エアコンは運転を開始した直後であることが多く、モータの潤滑油の温度が比較的低く、モータに高負荷がかかる場合がある。モータの寿命という観点からは、できる限りモータに高負荷をかけないことが望ましい。このような場合において、単純に第1の実施の形態を適用すると、モータに高負荷がかかることを回避できない場合が考えられる。そこで、このような場合には、オペアンプの出力が交差する温度閾値の数を変更し、温度領域をより区分化し、それによってより柔軟に温度検出が行えるようにするとよい。
【0044】
以下、本発明の第2の実施の形態について、図5乃至7を参照して詳細に説明する。なお、第1の実施の形態と同一または同様の構成については、同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
図5に示すように、第2の実施の形態においては、例えば、出力演算部2は、オペアンプAmp1、Amp2に加え、オペアンプAmp3をさらに備える。
オペアンプAmp3は、オペアンプAmp1、Amp2と同様に、非反転入力端が基準電圧源Vref3に接続され、反転入力端が抵抗器Ra3を介してダイオードDならびに定電流源Idに接続される。また、オペアンプAmp3の出力端と反転入力端とは、抵抗器Rb3を介して閉ループ、すなわち、負帰還回路を形成する。ダイオードDから出力される電圧信号Vfは、上述のように、パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度Tjに応じた電圧値を有し、負の温度係数を有する。この電圧信号Vfは、オペアンプAmp3に入力されて反転増幅される。反転増幅によって得られた出力電圧Vo3は、オペアンプAmp1、Amp2の出力電圧Vo1、Vo2と同様に、マルチプレクサ3に入力される。ここで、抵抗器Ra3,Rb3の抵抗値、基準電圧源Vref3および電圧信号Vfの電圧値をそれぞれ同一符合Ra3,Rb3,Vref3,Vfを用いて表すと、オペアンプAmp3の出力電圧Vo3についても、Vo3=Vref3+Rb3/Ra3×(Vref3−Vf)で示すことができる。なお、基準電圧源Vref3は、例えば、基準電圧源Vref1、Vref2と同電位であってよい。
【0046】
ここで、図示する抵抗器Ra1、Ra2、Rb1、Rb2、並びにRa3、Rb3に関し、各抵抗器の抵抗値をそれぞれ同一符合Ra1、Ra2、Rb1、Rb2、並びにRa3、Rb3で表したとき、オペアンプAmp1側の抵抗器Rb1,Ra1の抵抗値の比[Rb1/Ra1]と、オペアンプAmp2側の抵抗器Rb2,Ra2の抵抗値の比[Rb2/Ra2]と、さらにオペアンプAmp3側の抵抗器Rb3,Ra3の抵抗値の比[Rb3/Ra3]とが、第1の実施の形態と同様にそれぞれ異なる値となるように抵抗値が設定、選択される。すなわち、抵抗値の比[Rb1/Ra1]と、抵抗値の比[Rb2/Ra2]と、さらに抵抗値の比[Rb3/Ra3]とを適宜選択、設計することで、図6に示すように、ダイオードDにて検出した動作ジャンクション温度Tjの上昇に伴う出力電圧Vo1、Vo2ならびにVo3の変化量を、温度に応じた変化量に適宜変更、調整することが可能となる。例えば、本実施の形態においては、動作ジャンクション温度Tjの領域を、各出力電圧が交差する複数の温度閾値をそれぞれの境界として、低温領域、中温領域、及び高温領域に区分化している。
【0047】
高温領域は、例えば、パワー半導体スイッチング素子の過熱保護を目的として設定される温度領域であり、本実施の形態では、出力電圧Vo1が出力電圧Vo2よりも大きく、また出力電圧Vo3が出力電圧Vo2よりも大きくなるように、各オペアンプの帰還抵抗器と入力抵抗器の抵抗値の比を適宜設定、選択する。
【0048】
また、低温領域は、例えば、コンプレッサ用のモータが低温起動時に高負荷が加わることを防止することを目的として設定される温度領域であり、本実施の形態では、出力電圧Vo2が出力電圧Vo1よりも大きく、また出力電圧Vo2が出力電圧Vo3よりも大きくなるように、各抵抗値の比を適宜設定、選択する。なお、低温領域での温度検出については、あらかじめその旨を図示しない外部インターフェイス等から、マルチプレクサ3の接続先であるマイコン等に報知するような構成とするとよい。
【0049】
さらに、中温領域は、例えば低温領域での動作から高温領域への動作への遷移を円滑にするような領域であり、高温領域と比較して、パワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度の検出精度が求められない領域である。換言すると、本実施の形態では、中温領域よりも検出精度が求められる高温領域においてマルチプレクサ3からの出力電圧Voutの変化量がより大きくなるように設定して温度の変化に伴う出力電圧Voutの変化量を大きくし、ひいては、高温領域での検出精度の向上を図っている。本実施の形態では、出力電圧Vo1が出力電圧Vo2よりも大きく、また、出力電圧Vo2が出力電圧Vo3よりも大きくなるように、各抵抗値の比を適宜設定、選択する。
【0050】
次に、本実施の形態におけるマルチプレクサ3の構成について、説明する。図5に示すマルチプレクサ3は、図7に示すように、例えば、コンパレータ31、スイッチSw1、スイッチSw2、インバータ32に加え、コンパレータ33と、ANDゲート34乃至36と、インバータ37,38と、スイッチSw3と、をさらに備える。
【0051】
第1の実施の形態と異なり、コンパレータ31の一端(例えば、Vin−側)がオペアンプAmp2の出力端に接続され、オペアンプAmp2の出力電圧Vo2が入力される。また、コンパレータ31の他端(例えば、Vin+側)がオペアンプAmp1の出力端に接続され、オペアンプAmp1の出力電圧Vo1が入力される。コンパレータ31は、第1の実施の形態と異なり、出力電圧Vo1が出力電圧Vo2よりも大きい場合にHレベルの信号を出力し、出力電圧Vo2が出力電圧Vo1よりも大きい場合、Lレベルの信号を出力する。
同様に、コンパレータ33は、一端(例えば、Vin−側)がオペアンプAmp3の出力端に接続され、オペアンプAmp3の出力電圧Vo3が入力される。また、コンパレータ33は、他端(例えば、Vin+側)がオペアンプAmp2の出力端に接続され、オペアンプAmp2の出力電圧Vo2が入力される。コンパレータ33は、例えば、出力電圧Vo2が出力電圧Vo3よりも大きい場合、Hレベルの信号を出力する。また、コンパレータ33は、出力電圧Vo3が出力電圧Vo2よりも大きい場合、Lレベルの信号を出力する。コンパレータ33の動作の更なる詳細については、後述して説明する。
【0052】
ANDゲート34は、ローアクティブ化された一入力端がコンパレータ31の出力端に接続され、他の入力端がコンパレータ33の出力端に接続される。また、ANDゲート35は、一入力端がコンパレータ31の出力端に接続され、他の入力端がコンパレータ33の出力端に接続される。さらに、ANDゲート36は、一端がコンパレータ31の出力端に接続され、ローアクティブ化された他端がコンパレータ33の出力端に接続される。
【0053】
インバータ32は、その入力端がANDゲート34の出力端に接続され、その出力端がスイッチSw1の一方のMOSFETのゲートに接続される。また、インバータ37は、その入力端がANDゲート35の出力端に接続され、その出力端がスイッチSw2の一方のMOSFETのゲートに接続される。さらに、インバータ38は、その入力端がANDゲート36の出力端に接続され、その出力端がスイッチSw3の一方のMOSFETのゲートに接続される。
【0054】
スイッチSw1は、オペアンプAmp1の出力端に接続されるとともに、他方のMOSFETのゲートがANDゲート34の出力端に接続される。また、スイッチSw2は、オペアンプAmp2の出力端に接続されるとともに、他方のMOSFETのゲートがANDゲート35の出力端に接続される。さらに、スイッチSw3は、オペアンプAmp3の出力端に接続されるとともに、他方のMOSFETのゲートがANDゲート36の出力端に接続される。
【0055】
(動作)
次に、本実施の形態に係る温度検出装置1の動作について、図5乃至7を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、理解を容易とするため、動作ジャンクション温度Tjの上昇に関連して、低温領域、中温領域、高温領域の順で説明する。
まず、低温領域においては、出力電圧Vo2が、出力電圧Vo1よりも大きくなるように、前段の出力演算部2における各抵抗値の比が設定、選択されている。従って、図6に示すマルチプレクサ3におけるコンパレータ31は、Lレベルの信号を出力する。このLレベルの信号は、ローアクティブ化されたANDゲート34の一端に入力される。また、低温領域においては、前段において出力電圧Vo2が、出力電圧Vo3よりも大きくなるように各抵抗値の比が設定、選択されている。従って、コンパレータ33は、Hレベルの信号を出力する。このHレベルの信号は、ANDゲート34の他端に入力される。
【0056】
ANDゲート34は、入力された2つの信号に基づいて、Hレベルの信号を出力する。このHレベルの信号は、スイッチSw1の他方のMOSFET、例えばnチャネルMOSFETのゲートに与えられるとともに、インバータ32に入力される。インバータ32は、入力されたHレベルの信号を反転して出力し、Lレベルの信号をスイッチSw1の一方のMOSFET、例えばpチャネルMOSFETのゲートに与える。従って、スイッチSw1が導通し、オペアンプAmp1と図示しないマイコン等との間が導通し、出力電圧Vo1がこのマイコン等に入力される。
【0057】
次に、中間領域においては、出力電圧Vo1が、出力電圧Vo2よりも大きくなるように、前段における各抵抗値の比が設定、選択されている。従って、コンパレータ31は、Hレベルの信号を出力する。このHレベルの信号は、ANDゲート35の一端に入力される。また、中温領域においては、前段において出力電圧Vo2が、出力電圧Vo3よりも大きくなるように各抵抗値の比が設定、選択されている。従って、コンパレータ33は、Hレベルの信号を出力する。このHレベルの信号は、ANDゲート35の他端に入力される。
【0058】
ANDゲート35は、入力された2つの信号に基づいて、Hレベルの信号を出力する。このHレベルの信号は、スイッチSw2のnチャネルMOSFETのゲートに与えられるとともに、インバータ37に入力される。インバータ37は、入力されたHレベルの信号を反転して出力し、Lレベルの信号をスイッチSw2のpチャネルMOSFETのゲートに与える。従って、スイッチSw2が導通し、オペアンプAmp2と図示しないマイコン等との間が導通し、出力電圧Vo2がこのマイコン等に入力される。
【0059】
そして、高温領域においては、出力電圧Vo1が、出力電圧Vo2よりも大きくなるように前段において各抵抗値の比が設定、選択されている。従って、コンパレータ31は、Hレベルの信号を出力する。このHレベルの信号は、ANDゲート36の一端に入力される。また、高温領域においては、出力電圧Vo3が、出力電圧Vo2よりも大きな値となるように前段において各抵抗値の比が設定、選択されている。従って、コンパレータ33はLレベルの信号を出力する。このLレベルの信号は、ANDゲート36のローアクティブ化された他端に入力される。
【0060】
ANDゲート36は、入力された2つの信号に基づいて、Hレベルの信号を出力する。このHレベルの信号は、スイッチSw3のnチャネルMOSFETのゲートに与えられるとともに、インバータ38に入力される。インバータ38は、入力されたHレベルの信号を反転して出力し、Lレベルの信号をスイッチSw3のpチャネルMOSFETのゲートに与える。従って、スイッチSw3が導通し、オペアンプAmp3と図示しないマイコン等との間が導通し、出力電圧Vo3がこのマイコン等に入力される。
【0061】
(作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態によれば、温度検出装置1は、オペアンプの出力電圧が交差する複数の温度閾値を境界として、各温度閾値における出力電圧Voutの連続性を担保して、検出温度領域を低温領域、中温領域、高温領域に区分化した。低温領域での出力電圧Voutの変化量を適宜設定することで、この変化量(温度傾斜)が単純に線形な場合と比較して、温度検出の精度向上を図りつつも例えばコンプレッサ用のモータに低温起動時の高負荷が加わることを抑制することが可能となる。
【0062】
また高温領域での出力電圧Voutの変化量を適宜設定することで、この変化が単純に線形な場合と比較して、温度に対する変化量(温度傾斜)を増大させることが可能となり、高温領域での動作ジャンクション温度Tjの検出精度の向上を図るとともに、パワー半導体スイッチング素子の過熱保護に最適な温度検出特性を得ることができる。
【0063】
これらの変化量は、上述のように、各オペアンプの帰還抵抗器と入力抵抗器の抵抗値の比[Rb1/Ra1]、[Rb2/Ra2]、[Rb3/Ra3]を適宜設定、選択することで、目的とする温度領域のみならず用途に応じても最適化することができる。
【0064】
上述した第1及び第2の実施の形態の温度検出装置1は、例えば、図8に示す三相インバータモジュールに適用することができる。この例では、温度検出装置1は、三相インバータモジュールのローサイド駆動回路内に設けられ、このローサイド駆動回路に接続されたパワー半導体スイッチング素子の動作ジャンクション温度を検出する。そして、検出した動作ジャンクション温度を外部のMPU(マイコン等)に伝達する。MPUは、この動作ジャンクション温度に応じた指示をローサイド駆動回路に与える。ローサイド駆動回路は、与えられた指示に応じてパワー半導体スイッチング素子を駆動する。
【0065】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、その技術的範囲から逸脱しない限りにおいて、様々な応用、変更、置換が可能である。そのような態様も、本発明の技術的範囲に含まれるものであり、添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲及びその均等の範囲に含まれるものである。
【0066】
例えば、上述した実施の形態においては、オペアンプの数を変更することで、ある温度閾値を境界として複数の温度領域を設定したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、単一のオペアンプを採用して、その負帰還における抵抗値及び非反転入力側の基準電圧を可変とすることで、ある温度閾値を境界として複数の温度領域を設定することも可能である。
【0067】
また、上述した実施の形態においては、ある温度閾値を境界として、温度傾斜が低温領域よりも高温領域で大きい場合を例にして説明をした。しかしながら、本発明はこのような場合に限定されない。温度検出装置1の用途によっては、温度傾斜が高温領域よりも低温領域で大きいほうが望ましい場合もある。この場合、上述した実施の形態において例示したように、例えば、オペアンプの各抵抗値の比を適宜設定、選択したり、その出力が入力されるマルチプレクサ3内において、コンパレータ周辺の接続関係等を適宜変更することで、温度傾斜が高温領域よりも低温領域で大きくなるようにすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 温度検出装置
2 出力演算部
3 マルチプレクサ(出力選択部)
31、33 コンパレータ
32、37、38 インバータ(NOTゲート)
34−36 ANDゲート
Amp1、Amp2、Amp3 オペアンプ(演算増幅器)
D ダイオード(温度センサ)
Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3 抵抗器
Sw1、Sw2、Sw3 スイッチ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【国際調査報告】

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