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再表2018-193771電池及びその製造方法、組電池、並びに電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年10月25日
【発行日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】電池及びその製造方法、組電池、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20191129BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20191129BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20191129BHJP
【FI】
   H01M10/0587
   H01M2/02 F
   H01M4/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
【出願番号】特願2019-513272(P2019-513272)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年3月16日
(31)【優先権主張番号】特願2017-82187(P2017-82187)
(32)【優先日】2017年4月18日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】湊屋 理佳子
(72)【発明者】
【氏名】堀越 吉一
(72)【発明者】
【氏名】中井 秀樹
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011AA02
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H029AJ05
5H029AJ11
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL04
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL16
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029DJ07
5H029HJ04
5H029HJ12
5H050AA07
5H050AA14
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA05
5H050CA08
5H050CA11
5H050CB01
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB20
5H050CB22
5H050CB25
5H050DA04
5H050FA05
5H050FA08
5H050HA04
5H050HA12
(57)【要約】
正極と、負極と、セパレータを有する略円柱状の巻回電極体と、巻回電極体を外装する可撓性を有する外装材とを備え、巻回電極体の巻回の最外周から少なくとも1周において、正極、負極、正極集電体又は負極集電体の少なくとも1つが、少なくとも1つ以上の外周方向に突出する凸部を備える電池である。
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、セパレータを有する略円柱状の巻回電極体と、
前記巻回電極体を外装する可撓性を有する外装材と
を備え、
前記巻回電極体の巻回の最外周から少なくとも1周において、正極、負極、正極集電体又は負極集電体の少なくとも1つが、少なくとも1つ以上の外周方向に突出する凸部を備える電池。
【請求項2】
正極、負極、正極集電体又は負極集電体を円近似して求めた曲線を基準線として、正極、負極、正極集電体又は負極集電体の前記凸部の高さが10μm以上で1mm以下とされた請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記巻回電極体の巻回の最外周から少なくとも1周において、外装材を円近似して求めた曲線と、正極、負極、正極集電体又は負極集電体の少なくとも1つが交差している請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記外装材は、前記巻回電極体を収容する略円柱状の収容部と前記収容部の周囲の4方に設けられた周縁部を有する二つの外装材を、前記周縁部においてシールした構成である請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記外装材は、前記巻回電極体を収容する略円柱状の収容部と、前記収容部の周囲のうち周面側にある折り曲げ部を除く3方に設けられた周縁部を有する一つの外装材を、前記周縁部においてシールした構成である請求項1に記載の電池。
【請求項6】
前記収容部の端面側に設けられた周縁部が前記端面の中心位置からずれている請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記周縁部をシールした接合部の内面に形成された凹部に対して前記凸部の少なくとも一部が嵌合されている請求項1に記載の電池。
【請求項8】
請求項1に記載の電池が複数接続された組電池。
【請求項9】
請求項1に記載の電池を備える電子機器。
【請求項10】
略部分円柱状の第1収容部を有する第1のフィルム状外装材と、略部分円柱状の第2収容部を有する第2のフィルム状外装材を形成し、
前記第1収容部及び前記第2収容部に略円柱状の巻回電極体を収容し、
前記巻回電極体を熱融着によって加熱成型する時に、角が斜めに切り落とされた又は適度なR形状が施された金型を使用し、
前記巻回電極体の外周面に少なくとも1つ以上の外周方向に突出する凸部を形成する
電池の製造方法。
【請求項11】
熱融着の接合面の内面に、前記凸部の少なくとも一部が嵌合する凹部を形成する請求項10に記載の電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、フィルム状外装材を備える電池及びその製造方法、組電池、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話又は携帯用コンピューターなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。これに伴い、電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池の開発が活発に進められている。中でも、リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を実現できるものとして注目されている。
【0003】
上記リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンと可逆的に電気化学反応する活物質よりなる正極と、炭素材料、リチウム金属又はリチウムを含む負極と、非水電解液とから構成される。上述したような電子機器は、比較的消費電流が大きいものが多く、電池構造としては渦巻式電極構造が有効である。これは、帯状正極と帯状負極とをセパレータを介して渦巻状に巻いたもので、電極面積が大きくとれることから重負荷に耐えられる(例えば、特許文献1参照)。さらに、本願出願人は、先に、巻回電極体と外装材とを備える電池を小型化する技術を提案している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−47419号公報
【特許文献2】特開2015−115293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにして巻回した渦巻式電極は、巻きが緩まないように、最外周最終端部の中央付近を、粘着テープにより固定する方法が一般的に採られる。最終端部を粘着テープにより固定されてはいるものの、充電により渦巻式電極は膨張する。その結果、充電後の出荷状態において、体積エネルギー密度が低下するという欠点を有していた。更に、サイクル時に、活物質と活物質の間、活物質とセパレータの間、活物質と金属集電体の間で密着性が悪くなり、充放電サイクル特性を低下させるという欠点を有していた。また、充電・放電による変形により、特に、円柱形の電極体をフィルム等の柔軟性を有する外装材で封止した電池においては電極の一部で緩みが生じることがあり、その結果、電極表面全体に対して均一な充放電反応が行われず、電池特性に悪影響を及ぼしていた。
【0006】
したがって、本技術の目的は、渦巻状に巻回された渦巻式電極の充電に伴う膨張が抑制され、電極の緩みが防止され、電池特性を改善することができる電池及びその製造方法、組電池、並びに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の技術は、正極と、負極と、セパレータを有する略円柱状の巻回電極体と、
巻回電極体を外装する可撓性を有する外装材と
を備え、
巻回電極体の巻回の最外周から少なくとも1周において、正極、負極、正極集電体又は負極集電体の少なくとも1つが、少なくとも1つ以上の外周方向に突出する凸部を備える電池である。
【0008】
第2の技術は、第1の技術の電池が複数接続された組電池とするものである。
【0009】
第3の技術は、第1の技術の電池を備える電子機器とするものである。
【0010】
第4の技術は、略部分円柱状の第1収容部を有する第1のフィルム状外装材と、略部分円柱状の第2収容部を有する第2のフィルム状外装材を形成し、
第1収容部及び第2収容部に略円柱状の巻回電極体を収容し、
巻回電極体を熱融着によって加熱成型する時に、角が斜めに切り落とされた金型又は角に適度なR形状を施した金型を使用し、
巻回電極体の外周面に少なくとも1つ以上の外周方向に突出する凸部を形成する
電池の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
少なくとも一つの実施形態によれば、本技術は、外装材内部での巻回電極体の変位や電極の緩みが抑制され、電池特性を改善することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果又はそれらと異質な効果であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aは、本技術の第1の実施形態に係る電池の外観の一例を示す斜視図である。図1Bは、本技術の第1の実施形態に係る電池の構成の一例を示す分解斜視図である。
図2図2Aは、本技術の第1の実施形態に係る電池の形状の一例を示す上面図である。図2Bは、図2AのI−I線に沿った断面構造の一例を示す断面図である。図2Cは、図2AのII−II線に沿った断面構造の一例を示す断面図である。
図3図3は、第1、第2の外装材の構成の一例を示す断面図である。
図4図4Aは、巻回電極体の形状の一例を示す上面図である。図4Bは、図4Aに示した巻回電極体の断面構造の一例を拡大して表す断面図である。
図5図5Aは、巻き解かれた状態の正極の構成の一例を示す平面図である。図5Bは、図5AのI−I線に沿った断面構造の一例を示す断面図である。
図6図6Aは、巻き解かれた状態の負極の構成の一例を示す平面図である。図6Bは、図10AのI−I線に沿った断面構造の一例を示す断面図である。
図7図7A図7Dは、本技術の第1の実施形態に係る電池の製造方法の一例を説明するための工程図である。
図8図8A図8Bは、本技術の第1の実施形態に係る電池の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
図9図9A図9Bは、本技術の第1の実施形態に係る電池の巻回電極体を説明するための断面図である。
図10図10A図10Bは、本技術を説明するための参考例の断面図である。
図11図11は、本技術の第1の実施形態に係る電池の巻回電極体の他の例を説明するための断面図である。
図12図12は、本技術の効果を説明するための全巻回の電極間距離の最頻値を示すグラフである。
図13図13は、本技術の効果を説明するための出荷状態における負極とセパレータとの間の融着強度の測定結果を示すグラフである。
図14図14は、本技術の効果を説明するための全巻回の電極間距離の最頻値の増加量を示すグラフである。
図15図15A図15Dは、本技術の第1の実施形態に係る電池の加熱成型工程の一例を説明するための略線図である。
図16図16(1)〜図16(7)は、本技術の第1の実施形態に係る電池の加熱成型工程の他の例を説明するための略線図である。
図17図17A図17Bは、本技術の第2の実施形態に係る電子機器の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術の実施の形態等について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.第1の実施の形態>
<2.第2の実施の形態>
<3.変形例>
以下に説明する実施の形態等は本技術の好適な具体例であり、本技術の内容がこれらの実施の形態等に限定されるものではない。
【0014】
<1.第1の実施の形態>
[電池の構成]
図1Aは、本技術の第1の実施の形態に係る電池の外観の一例を示す。図1Bは、本技術の第1の実施の形態に係る電池の構成の一例を示す。電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池であり、中心に中空部を有する略円柱状の巻回電極体1と、巻回電極体1を外装する、可撓性を有する外装材2と、巻回電極体1の外周部に電気的に接続された正極リード3a及び負極リード4aとを備える。外装材2は、略円柱状の空間部を有し、この空間部に巻回電極体1が収容されている。そして、空間部に収容された巻回電極体1の四方を囲むように、熱融着部などの接合部23が設けられている。
【0015】
正極リード3a、負極リード4aは、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。シーラント材3b、4bはそれぞれ、正極リード3a、負極リード4aに対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン又は変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0016】
外装材2は、第1の外装材21と、第2の外装材22とを備える。第1、第2の外装材21、22は、例えば、可撓性を有する矩形状のフィルムからなる。フィルムとしては、ラミネートフィルムを用いることが好ましい。第1の外装材21、第2の外装材22は、略同一の形状を有している。具体的には、第1の外装材21は、一方の主面に設けられた略半円柱状の第1の空間部21aと、この第1の空間部21aの四方を囲むように設けられた周縁部21bとを有する。一方、第2の外装材22は、一方の主面に設けられた略半円柱状の第2の空間部22aと、この第2の空間部22aの四方を囲むように設けられた周縁部22bとを有する。以下では、第1の外装材21、第2の外装材22の両主面のうち、巻回電極体1が収容される側の主面、すなわち第1の空間部21a、第2の空間部22aが設けられた側の主面を収容面と適宜称する。
【0017】
第1の外装材21と第2の外装材22の収容面同士が対向するように両者を重ね合わせた状態において、それらの周縁部21b、22bが巻回電極体1の四方を囲むようにして熱融着などにより接合されている。これにより、第1の外装材21と第2の外装材22の間に略円柱状の空間部が形成されている。空間部には、上述したように略円柱状の巻回電極体1が収容される。空間部は、巻回電極体1と略同一の大きさを有していることが好ましい。巻回電極体1を外装材2に収容した状態において、両者の密着性を高めることができるからである。
【0018】
図2Aは、本技術の第1の実施の形態に係る電池の形状の一例を示す。図2Bは、図2Aに示したI−I線に沿った断面構造の一例を示す。図2Cは、図2Aに示したII−II線に沿った断面構造の一例を示す。正極リード3aは、巻回電極体1に含まれる正極の最外周部のうち、第1の空間部21a、第2の空間部22aのいずれかの底部に対向する位置に設けられている。一方、負極リード4aは、巻回電極体1に含まれる負極の最外周部のうち、第1の空間部21a、第2の空間部22aのいずれかの底部に対向する位置に設けられている。
【0019】
巻回電極体1の周囲に設けられた接合部23は、巻回電極体1の両端側に設けられた短辺側接合部24Wa、24Wbと、巻回電極体1の周面側に設けられた周面側接合部25La、25Lbとを備える。周面側接合部25La、25Lbは、巻回電極体1の中心軸に対して対向な位置に設けられている。図1A図1Bでは、短辺側接合部24Wa、24Wbがそれぞれ、端面1Sa、1Sbに対して略垂直に立設するとともに、周面側接合部25La、25Lbが周面に対してほぼ垂直に立設されている例が示されているが、短辺側接合部24Wa、24Wb、及び周面側接合部25La、25Lbの形状はこれに限定されるものではない。例えば、短辺側接合部24Wa、24Wb、及び周面側接合部25La、25Lbが屈曲や湾曲などして変形されていてもよい。正極リード3a、負極リード4aは、例えば、巻回電極体1の周面上のうち、周面側接合部25La、25Lbが設けられている位置を基準として時計回りに又は反時計周りに90度の位置に設けられている。
【0020】
図3は、第1の外装材21、第2の外装材22の構成の一例を示す断面図である。第1の外装材21、第2の外装材22は、例えば、防湿性及び絶縁性を有するラミネートフィルムであり、第1の樹脂層である熱融着樹脂層51、金属層52、第2の樹脂層である表面保護層53がこの順序で積層された積層構造体を有している。外装材2が、必要に応じて、熱融着樹脂層51と金属層52との間に接着層54をさらに備えるようにしてもよい。また、金属層52と表面保護層53との間に接着層55をさらに備えるようにしてもよい。なお、熱融着樹脂層51側の面が、巻回電極体1を収容する側の収容面となる。
【0021】
熱融着樹脂層51の材料としては、熱や超音波で溶融可能な樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂が用いることが好ましく、例えば、無延伸ポリプロピレン(CPP)が用いられる。第1の外装材21、第2の外装材22に熱を加えて巻回電極体1の周縁を封止する場合には、この熱融着樹脂層51が溶けて第1の外装材21、第2の外装材22の周縁が接合される。
【0022】
金属層52は、水分、酸素及び光などの進入を防ぎ、内容物である巻回電極体1を守る役割を担うものである。この金属層52の材料としては、軽さ、伸び性、価格及び加工のしやすさなどの点から、例えば、アルミニウム(Al)又はアルミニウム合金などからなる金属箔が用いられる。
【0023】
表面保護層53は、第1の外装材21と第2の外装材22の表面を保護するためのものである。この表面保護層53の材料としては、外観の美しさや強靱さや柔軟性などの点から、例えば、ナイロン(Ny)又はポリエチレンテレフタレート(PET)などが用いられる。
【0024】
接着層54、55の材料としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂などの接着剤が用いられる。
【0025】
なお、第1の外装材21、第2の外装材22は、上述した構成を有するものに限定されるわけではない。例えば、第1の外装材21、第2の外装材22として、上述の構成とは異なる構成を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルム又は金属フィルムを用いるようにしてもよい。また、第1の外装材21、第2の外装材22としては、外観の美しさの点から、有色層をさらに備えるもの、及び/又は、熱融着層51、表面保護層53、接着層54及び接着層55のうちから選ばれる少なくとも一種の層に着色材を含むものを用いてもよい。より具体的には、表面保護層53の表面に有色層をさらに備えるもの、金属層52と表面保護層53との間の接着層54に着色剤を含むもの、表面保護層54自体に着色剤を含むものなどを用いてもよい。
【0026】
巻回電極体1の端面側における第1の外装材21、第2の外装材22の厚さと、巻回電極体1の周面側における第1の外装材21、第2の外装材22の厚さとが異なっていてもよい。より具体的には例えば、巻回電極体1の端面側における第1の外装材21、第2の外装材22の厚さは、巻回電極体1の周面側における第1の外装材21、第2の外装材22の厚さに比して薄くなっていてもよい。
【0027】
第1の外装材21、第2の外装材22が金属層を含む積層構造を有する場合には、巻回電極体1の端面側における金属層の厚さと、巻回電極体1の周面側における金属層の厚さとが異なっていてもよい。より具体的には例えば、巻回電極体1の端面側における金属層の厚さは、巻回電極体1の周面側における金属層の厚さに比して薄くなっていてもよい。
【0028】
図4Aは、巻回電極体1の形状の一例を示す。巻回電極体1の周面には、巻回電極体1の巻止をするための巻止部5a、5bが設けられている。巻止部5a、5bは、巻回電極体1の周面を1周以上覆っているとともに、巻回電極体1の周面のうちの少なくとも両端部を覆っていることが好ましい。充放電に伴う巻回電極体1の変形などを抑制することができるからである。巻止部5a、5bとしては、例えば矩形状のテープなどが用いられるが、これに限定されるものではない。図4Aでは、2つの巻止部5a、5bにより巻回電極体1の周面の両端を巻止している例が示されているが、巻止部の数及び巻止部の配置位置はこれに限定されるものではない。例えば、巻止部の数を1つ又は3つ以上としてもよい。また、巻止部の配置位置を巻回電極体1の周面の中央部としてもよい。また、巻回電極体1の周面に巻かれる巻止部5a、5bの巻数は、1周以上に限定されるものではなく、1周未満とすることも可能である。
【0029】
図4Bは、図4Aに示した巻回電極体1の断面構造の一例を拡大して表す。巻回電極体1は、正極11と、負極12と、セパレータ13と、電解質層14とを備え、正極11、負極12及びセパレータ13は、例えば、細長い矩形状を有している。巻回電極体1は、正極11と負極12とをセパレータ13を介して、それらの長手方向に巻回した巻回構造を有している。巻回電極体1は、例えば、最内周電極及び最外周電極の両方が負極12となるように巻回されている。正極11とセパレータ13との間、及び負極12とセパレータ13との間には、電解質層14が設けられている。
【0030】
図5Aは、巻き解かれた状態の正極11の構成の一例を示す。図5Bは、図5Aに示したI−I線に沿った断面構造の一例を示す。正極11は、例えば、正極集電体11Aと、正極集電体11Aの両面に設けられた正極活物質層11Bとを備える。なお、図示はしないが、正極集電体11Aの片面のみに正極活物質層11Bを設けるようにしてもよい。
【0031】
正極11の長手方向の一端が巻回電極体1の内周側となり、正極11の長手方向の他端が巻回電極体1の外周側となる。外周側となる正極11の他端には正極集電体露出部11Cが設けられ、内周側となる正極11の一端には正極集電体露出部11Cが設けられず、正極活物質層11Bが先端まで設けられている。正極集電体露出部11Cは、例えば、正極11の他端の両面に設けられている。その両面に設けられた正極集電体露出部11Cのうち、外周側となる面の露出部には、正極リード3aが設けられている。シーラント材3bは、正極集電体露出部11Cとは重ならないように、正極11の長辺から離して設けられていることが好ましい。
【0032】
図6Aは、巻き解かれた状態の負極12の構成の一例を示す。図6Bは、図6Aに示したI−I線に沿った断面構造の一例を示す。負極12は、例えば、負極集電体12Aと、負極集電体12Aの両面に設けられた負極活物質層12Bとを備える。なお、図示はしないが、負極集電体12Aの片面のみに負極活物質層12Bを設けるようにしてもよい。
【0033】
負極12の長手方向の一端が巻回電極体1の内周側となり、負極12の長手方向の他端が巻回電極体1の外周側となる。外周側となる負極12の他端には正極集電体露出部12Cが設けられ、内周側となる負極12の一端には正極集電体露出部12Cが設けられず、負極活物質層12Bが先端まで設けられている。負極集電体露出部12Cは、例えば、負極12の他端の両面に設けられている。その両面に設けられた負極集電体露出部12Cのうち、外周側となる面の露出部には、負極リード4aが設けられている。負極集電体露出部12Cにも、正極集電体露出部11Cと同様に保護層をさらに設けることが好ましい。シーラント材4bは、負極集電体露出部12Cとは重ならないように、負極12の長辺から離して設けられていることが好ましい。
【0034】
上述したように、正極11、負極12それぞれの最外周に正極リード3a、負極リード4aを設けることで、巻回電極体1のサイズを小型化することができる。また、正極集電体露出部11C、負極集電体露出部12Cをそれぞれ正極11、負極12の最外周側の端部にのみ設けることで、巻回電極体1のサイズをさらに小型化することができる。
【0035】
正極集電体11Aは、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層11Bは、例えば、正極活物質として、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料の1種又は2種以上を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤及びポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。
【0036】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(A)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(B)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられる。リチウム含有化合物としては、遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及び鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(C)、式(D)もしくは式(E)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(F)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、又は式(G)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22(c1≒1,0<c2<1)、LidMn24(d≒1)あるいはLieFePO4(e≒1)などがある。
【0037】
LipNi(1-q-r)MnqM1r(2-y)z ・・・(A)
(但し、式(A)中、M1は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)を除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素(O)以外の16族元素及び17族元素のうち少なくとも1種を示す。p、q、y、zは、0≦p≦1.5、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、−0.10≦y≦0.20、0≦z≦0.2の範囲内の値である。)
【0038】
LiaM2bPO4 ・・・(B)
(但し、式(B)中、M2は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a、bは、0≦a≦2.0、0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。)
【0039】
LifMn(1-g-h)NigM3h(2-j)k ・・・(C)
(但し、式(C)中、M3は、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f、g、h、j及びkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0.5、0≦h≦0.5、g+h<1、−0.1≦j≦0.2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
【0040】
LimNi(1-n)M4n(2-p)q ・・・(D)
(但し、式(D)中、M4は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。m、n、p及びqは、0.8≦m≦1.2、0.005≦n≦0.5、−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
【0041】
LirCo(1-s)M5s(2-t)u ・・・(E)
(但し、式(E)中、M5は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。r、s、t及びuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
【0042】
LivMn2-wM6wxy ・・・(F)
(但し、式(F)中、M6は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、x及びyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
【0043】
LizM7PO4 ・・・(G)
(但し、式(G)中、M7は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)及びジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
【0044】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料としては、これらの他にも、MnO2、V25、V613、NiS、MoSなどのリチウムを含まない無機化合物も挙げられる。
【0045】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記で例示した正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
【0046】
負極集電体12Aは、例えば、銅箔、ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。負極活物質層12Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料のいずれか1種又は2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層11Bと同様の結着剤を含んで構成されている。
【0047】
なお、この電池では、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料の電気化学当量が、正極11の電気化学当量よりも大きくなっており、充電の途中において負極12にリチウム金属が析出しないようになっている。
【0048】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。黒鉛としては、球形化処理などを施した天然黒鉛、略球状の人造黒鉛を用いることが好ましい。人造黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を黒鉛化した人造黒鉛、又はコークス原料を黒鉛化、粉砕した人造黒鉛が好ましい。コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素又は易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどがある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れた特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
【0049】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、リチウムを吸蔵及び放出することが可能であり、金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。ここでは、このような負極材料を含む負極12を合金系負極と称する。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本技術において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0050】
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0051】
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素(Si)及びスズ(Sn)の少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素(Si)及びスズ(Sn)は、リチウム(Li)を吸蔵及び放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
【0052】
スズ(Sn)の合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、及びクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素(Si)の合金としては、例えば、ケイ素(Si)以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)及びクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【0053】
スズ(Sn)の化合物あるいはケイ素(Si)の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)又はケイ素(Si)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
【0054】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、MnO2、V25、V613などの酸化物、NiS、MoSなどの硫化物、あるいはLiN3などのリチウム窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン、ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
【0055】
セパレータ13は、正極11と負極12とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ13は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、又はセラミック製の多孔質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は短絡防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特にポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ13を構成する材料として好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも、化学的安定性を備えた樹脂であればポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたり、又はブレンド化させたりすることで用いることができる。
【0056】
電解質層14は、非水電解液と、この非水電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、高分子化合物は非水電解液により膨潤されている。高分子化合物の含有比率は適宜調整可能である。特にゲル状の電解質とする場合には、高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。
【0057】
非水電解液は、例えば、溶媒と電解質塩とを含んでいる。溶媒としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、エチレンサルファイト、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドトリメチルヘキシルアンモニウムなどの常温溶融塩が挙げられる。中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル及びエチレンサルファイトからなる群のうちの少なくとも1種を混合して用いるようにすれば、優れた充放電容量特性及び充放電サイクル特性を得ることができるので好ましい。電解質層14が、電池特性を向上するために、公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0058】
電解質塩は、1種又は2種以上の材料を混合して含んでいてもよい。電解質塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C25SO22)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSO3CF3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3SO22N)、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(SO2F)2)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルリチウム(LiC(SO2CF33)、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)が挙げられる。
【0059】
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン又はポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
【0060】
[電池の製造方法]
(第1の製造方法)
以下、図5A図5B図6A図6B図7A図7D図8A図8Bを参照して、本技術の実施の形態に係る電池の製造方法の一例について説明する。
【0061】
まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体11Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより正極活物質層11Bを形成し、正極11を形成する。
【0062】
また、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体12Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより負極活物質層12Bを形成し、負極12を作製する。
【0063】
次に、正極11及び負極12のそれぞれの活物質層上に、溶媒と電解質塩と高分子化合物と混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層14を形成する。次に、図5A及び図5Bに示すように、正極11の正極集電体露出部11Cに対して正極リード3aを電気的に接続する。次に、図6A及び図6Bに示すように、負極12の負極集電体露出部12Cに対して負極リード4aを電気的に接続する。接続の方法としては、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、半田付けなどが挙げられるが、熱による接続部のダメージを考慮すると、超音波溶接、抵抗溶接などの熱影響の少ない方法を用いることが好ましい。
【0064】
次に、図7Aに示すように、セパレータ13の長手方向の略中央位置を、巻芯101の隙間101aに差し込む、又は、中空円柱状の巻き芯101に吸着するなどしたのち、図7Bに示すように、矢印102aに示す方向に巻芯101を回転させて、巻芯101の周面にセパレータ13を巻きつける。次に、略中央位置から折返されたセパレータ13の間に、負極12を供給する。これにより、巻芯101の回転に伴って負極12がセパレータ13の間に巻き込まれる。
【0065】
次に、図7Cに示すように、正極11と負極12とがセパレータ13を介して重なりあうように、矢印102cに示す方向からセパレータ13の間に正極11を供給する。これにより、巻芯101の回転に伴って正極11がセパレータ13の間に巻き込まれる。次に、図7Dに示すように、巻芯101の回転を持続し、正極11、負極12及びセパレータ13を所定回数巻回する。最外周部に保護テープを接着して、これにより、巻回電極体1が得られる。
【0066】
次に、図8Aに示すように、第1の外装材21の第1の空間部21aと第2の外装材22の第2の空間部22aとに巻回電極体1を収容するようにして、第1の外装材21と第2の外装材22との収容面同士を重ねあわせる。次に、図8Bに示すように、第1の外装材21の周縁部21bと第2の外装材22の周縁部22bとを、真空雰囲気下で熱融着などにより接合する。これにより、巻回電極体1の周囲に接合部23が形成されて、巻回電極体1が第1の外装材21と第2の外装材22とにより封止される。続いて、外装材2に加重をかけながら加熱して、電解質層14を介してセパレータ13を正極11及び負極12に密着させる。これにより、電解質の一部がセパレータに含浸される。以上により目的とする電池が得られる。
【0067】
(第2の製造方法)
第1の実施の形態に係る電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述のようにして正極11及び負極12を作製し、正極11及び負極12に正極リード3a及び負極リード4aを取り付ける。
次に、正極11と負極12とをセパレータ13を介して巻回し、最外周部に保護テープを接着して、巻回電極体1を形成する。次に、この巻回電極体1を外装材2に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装材2の内部に収納する。次に、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装材2の内部に注入する。
【0068】
次に、外装材2の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることにより電解質層14を形成する。以上により、目的とする電池が得られる。
【0069】
(第3の製造方法)
第1の実施の形態に係る電池は、次のようにして作製してもよい。この作製方法は、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ13を用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様にして巻回電極体1を作製し、袋状の外装材2の内部に収納する。このセパレータ13に塗布する高分子化合物は、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体又は多元共重合体)などである。具体的には、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体、又はフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン及びクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、フッ化ビニリデンを成分とする重合体と一緒に、他の1種類又は2種類以上の高分子化合物を用いてもよい。
【0070】
次に、電解液を調製して外装材2の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装材2の開口部を密封する。続いて、外装材2に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ13を正極11及び負極12に密着させる。これにより、電解液が正負極に含浸するとともに高分子化合物に含浸するため、その高分子化合物がゲル化して電解質層14が形成される。
【0071】
(第4の製造方法)
第1の実施の形態に係る電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述のようにして正極11及び負極12を作製し、正極11及び負極12に正極リード3a及び負極リード4aを取り付ける。
次に、正極11と負極12とをセパレータ13を介して巻回し、最外周部に保護テープを接着して、巻回電極体1を形成する。次に、この巻回体を外装材2に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装材2の内部に収納する。次に、溶媒と、電解質塩とを含む電解質用組成物を用意し、外装材2の内部に注入する。次に、外装材2の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。以上により、目的とする電池が得られる。
【0072】
〔凸部を有する巻回電極体〕
第1の実施の形態に係る電池において、図4AのI−I線に沿って得られたX線CT像断面の概略図を図9Aに示し、また、その拡大像を図9Bに示す。巻回電極体の最外周集電体部分等に外周方向へ突出する凸部が無い電池において、図4AのI−I線に沿って得られたX線CT像断面の概略図を図10Aに示し、また、その拡大像を図10Bに示す。簡単のため、図9及び図10においては、外装材2及びセパレータ13を省略している。また、正極11及び負極12の巻回構造の理解を容易とするために、電解質層14の図示を省略している。
【0073】
例えば、この電池断面の撮影は、以下のX線CT解析法により行う。撮影条件は、画像横サイズ2048[pixel],画像縦サイズ1124[pixel]、X線管電圧は、140〔kV〕、X線管電流は、40〔μA〕、検出器サイズは横40cm、縦30cm、X線源からスクリーンまでの距離は900〔mm〕、X線源から電池までの距離は、28〔mm〕、ビュー数は1440〔View〕である。再構成条件は、voxel pitchを3μmとし、2048×2048×96voxelである。この断面画像は、FIB−SEM又は電子線トモグラフィ等によっても取得することができる。
【0074】
図9Aに示すように、第1の実施の形態においては、巻回電極体1の巻回の最外周から少なくとも1周において、正極11、負極12、正極集電体11A又は負極集電体12Aの少なくとも1つが、凸部を形成している。この凸部は、例えば先端に向かって幅が狭くなるほぼ三角形状の断面を有し、巻回電極体1の長手方向に連続して形成された尾根状のものである。曲線RC1は、外装材2の金属層52の厚み方向中央部を円近似して求めたものである。例えば外装材2上の3点の座標を円の方程式(x−a)2 +(y−b)2 =r2 に代入して求めることができる。
【0075】
巻回電極体1の巻回の最外周から少なくとも1周において、外装材を円近似して求めた曲線RC1と、正極11、負極12、正極集電体11A又は負極集電体12Aの少なくとも1つが交差している。このように、交差している最外周正極集電体、最外周負極集電体、最外周正極活物質層は、アンカー効果が高く、ラミネート外装材2の内部での巻回電極体1の移動を抑制することができる。すなわち、巻回電極体1の凸部が外装材2の内面の凹部に巻回電極体1の凸部が入り込むことによって、外装材2の内部で巻回電極体1が回転する等の変位が抑制される。これにより、巻回電極体1の膨張や巻回電極体1の巻き緩みを抑制することができる。これにより、出荷前に行われる初回充電による膨れを抑制することができる。更に、その後のサイクルにおいては、サイクルによる膨れを抑制又はサイクル特性を向上させることができる。
【0076】
また、巻回電極体1の凸部の突出量としては、最外周面に位置する正極11、負極12、正極集電体11A又は負極集電体12Aを円近似して求めた曲線を基準線として、正極11、負極12、正極集電体11A又は負極集電体12Aの凸部の高さが10μm以上で1mm以下とされる。
【0077】
図10に示すような外周方向へ凸部が形成されていない巻回電極体の場合では、外装材2を円近似して求めた曲線RC1と、最外周正極集電体11A、最外周負極集電体12A、最外周正極活物質層11Bが交差していない。このように、交差していない最外周正極集電体11A、最外周負極集電体12A、最外周正極活物質層11Bはアンカー効果が低く、ラミネート外装材内部での巻回電極体1の変位を抑制することができない。
【0078】
さらに、図11に示すように、断面が楕円形状の巻回電極体1'に対しても本技術を適用することができる。断面が楕円の形状の巻回電極体1'も、略円柱状の巻回電極体1の概念に含まれるものとする。図11は、凸部を省略している図であり、また、図11における破線は、外装材2を示している。例えば巻回電極体1'の両側の半円状のほぼ中央位置(点Rの位置)に凸部が形成される。巻回電極体1'の凸部の突出量を例えば負極集電体12Aを円近似して求めた曲線を基準とする場合、この曲線は、以下のように求められる。
【0079】
最内周の負極集電体12Aaの折り返し位置において垂線を引く。この垂線と最外周負極集電体12Abとの二つの交点をそれぞれ点O及び点Pとする。点Oと点Pを結ぶ辺OPの中点をQとする。点Qを通り辺OPに垂直な線を引き、この線と最外周の負極集電体12Abの交点をRとする。点O,P,Rの座標を円の方程式(x−a)2 +(y−b)2 =r2 に代入して近似曲線を求めることができる。
【0080】
〔凸部を有することによる効果〕
図12は、外周方向に突出する凸部無しの電池と、本技術が適用された凸部ありの電池とに関して、電極間距離の最頻値を示すグラフである。ここでいう電極間距離とは、隣接する負極集電体の周回間距離を示す。最頻値とは、全巻回にわたって一定間隔(例えば4μmピッチ)で求めた電極間距離の度数分布表において度数が最大となる階級値である。本技術の実施の形態に係る巻回電極体の最外周集電体部分等が外周方向へ突出する凸部を有する電池は、凸部の無い電池よりも、出荷状態における電極間距離の最頻値が小さくなっている。この最頻値が小さいことは、出荷前の初回充電における巻回電極の膨張が抑制されたことを示している。これにより、電池の直径が細くなり、高い体積エネルギー密度を有する電池を提供することができる。
【0081】
図13は、負極とセパレータの融着強度〔mN/mm〕を示すグラフである。横軸のストローク〔mm〕は、固定された負極から剥離されたセパレータの長さである。本技術の実施の形態に係る巻回電極体の最外周集電体部分等が外周方向へ凸の形状を有する電池の融着強度(実線のグラフ)は、凸部の無い電池の融着強度(破線のグラフ)よりも、負極とセパレータとの間の融着強度が高くなっている。融着強度が高いことは巻回電極体1の負極12とセパレータ13の密着性が高いことを示している。これにより、サイクル時の膨れを抑制又はサイクル特性を向上させることができる。
【0082】
図14は、出荷状態から100サイクル充放電後の次の充電状態までの電極間距離の最頻値の増加量を表している。図12と同様に、電極間距離とは銅箔から銅箔までの1周期の距離であり、最頻値とは、全巻回にわたって一定間隔(例えば4μmピッチ)で求めた電極間距離の度数分布表において度数が最大となる階級値である。本技術の実施の形態に係る巻回電極体の最外周集電体部分等が外周方向へ凸の形状を有する電池は、凸部の無い電池よりも、最頻値の増加量が小さい。このことは、サイクルによる膨れが抑制されたことを示している。
【0083】
上述したように、巻回電極体の最外周集電体部分等が外周方向へ突出する凸部が外装材2の熱融着部分(接合部23)の近傍にあることから、巻回電極体1が凸部で固定化されることで、巻回電極体1の膨張や巻回電極体1の巻き緩みを抑制し、また、負極12とセパレータ13の間の融着強度を高くすることができる。これにより、高い体積エネルギー密度を有する電池を提供し、サイクル時の膨れを抑制又はサイクル特性を向上させることができる。
【0084】
〔凸部の形成方法〕
上述した凸部は、例えば加圧成型時における金型の形状や条件等により、形状の調整が可能である。図15は、電極塗布ゲル電解質仕様の場合の加圧成型などの工程の一例を示す。図15Aに示すように、外装材21及び22の空間部内に巻回電極体1が収納される。外装材21の周縁部21bと外装材22の周縁部22bが重ねられている。支持金型31a及び31bによって支持した状態で、加熱金型32a及び32bによって、周縁部21b及び22bが熱融着される。この場合、図15Bに示すように、加熱金型32a及び32b、並びに加熱金型33a及び33bを使用して周縁部の両側を同時に熱融着してもよい。さらに、周縁部の4辺を同時に熱融着してもよい。
【0085】
次に、ゲル浸透、又はゲル架橋及びゲル浸透の処理がなされる。従来では、図15Cに示すように、加熱金型34a及び34bによって巻回電極体1を適度に加圧しながら加熱して正極とセパレータと負極の密着化を行っていた。本技術でも同様の処理を行うが、図15Dに示すように、熱融着部分(周縁部21b及び22bの少なくとも一方の側)を挟んで対向する加熱金型35a及び35bのそれぞれの端面の角を斜めに切り落とす又は適度なR形状を施すなどして、巻回電極体1の若干の変形を許す傾斜面36a及び36bを形成する。すなわち、巻回電極体1の長手方向に延びる角のうちで、周縁部21a及び21bと空間部22a及び22bの境界に近い側の角を斜めに切り落とす又は適度なR形状を施す。
【0086】
傾斜面又はR面36aを有する加熱金型35aの端面と傾斜面又はR面36bを有する加熱金型35bの端面が周縁部21b及び22bを挟んで対向した場合、傾斜面又はR面36aと傾斜面又はR面36bによって断面が三角形状の凹部(又は溝)が形成される。加熱金型35a及び35bが巻回電極体1を加圧するので、巻回電極体1の周面の一部が前記凹部(又は溝)内に入り込み、凸部が形成される。
【0087】
図16は注液型仕様の場合の工程の一例を示す。最初に外装材21の周縁部21b及び外装材22の周縁部22bの4辺のうちの3辺を加熱金型41a及び41bによって熱融着する。巻回電極体1が収納された外装材21及び22は、支持金型42a及び42bによって支持される。
【0088】
次に、支持金型43a及び43bによって、巻回電極体1が収納された外装材21及び22が支持され、熱融着されていない周縁部の1辺から電解質用組成物を外装材21及び22の内部に注入する。
【0089】
次に、注入に使用した周縁部の先端側の一部を加熱金型44a及び44bによって熱融着する(仮封止)。CA(電池の活性化充電(又は活性化充放電))を行った後に、仮封止した周縁部を切断し、外装材21及び22を開封する。
【0090】
内部のガスを排出するデガス工程を経て外装材21及び22の周縁部が加熱金型45a及び45bによって熱融着される。このようにして封止工程がなされる。なお、架橋型電解質の仕様の場合では、三番目の仮封止工程と四番目のCA工程の間に加熱工程(架橋化促進工程)が入る。
【0091】
従来では、加熱金型45a及び45bの対向する端面の角の角度が90度とされていた。本技術は、加熱金型46a及び46bの対向する端面の下側の角を斜めに切り落とす又は適度なR形状を施すなどして傾斜面又はR面47a及び47bをそれぞれ形成する。加熱金型46aの端面と加熱金型46bの端面が周縁部21b及び22bを挟んで対向した場合、傾斜面又はR面47aと傾斜面又はR面47bによって断面が三角形状の凹部(又は溝)が形成される。加熱金型46a及び46bが巻回電極体1を多少加圧することによって、巻回電極体1の周面の一部が前記凹部(又は溝)内に入り込み、凸部が形成される。
【0092】
<2.第2の実施形態>
図17Aは、本技術の第2の実施形態に係る電子機器の構成の一例を示すブロック図である。電子機器400は、電子機器本体の電子回路401と、電池パック300とを備える。電池パック300は、電子回路401に対して電気的に接続されている。電子機器400は、例えば、ユーザにより電池パック300を着脱自在な構成を有している。なお、電子機器400の構成はこれに限定されるものではなく、ユーザにより電池パック300を電子機器400から取り外しできないように、電池パック300が電子機器400内に内蔵されている構成を有していてもよい。
【0093】
電池パック300の充電時には、電池パック300の正極端子331a、負極端子331bがそれぞれ、充電器(図示せず)の正極端子、負極端子に接続される。一方、電池パック300の放電時(電子機器400の使用時)には、電池パック300の正極端子331a、負極端子331bがそれぞれ、電子回路401の正極端子、負極端子に接続される。
【0094】
電子機器400は、例えば、携帯型の電子機器である。電子機器400がウェアラブルな電子機器であってもよい。
【0095】
電子回路401は、例えば、CPU、周辺ロジック部、インターフェース部および記憶部などを備え、電子機器400の全体を制御する。
【0096】
電池パック300は、二次電池301と、充放電回路302とを備える。二次電池301としては、上述の第1の実施形態による電池を用いることができる。
【0097】
充電時には、充放電回路302は、二次電池301に対する充電を制御する。一方、放電時(すなわち電子機器400の使用時)には、充放電回路302は、電子機器400に対する放電を制御する。
【0098】
図17Bは、本技術の第2の実施形態の変形例に係る電子機器の構成の一例を示すブロック図である。第2の実施形態において、組電池310を用いるようにしてもよい。組電池310は、複数の二次電池301を並列および直列の少なくとも一方で電気的に接続して構成されている。複数の二次電池301は、例えばn並列m直列(n、mは正の整数)に接続される。複数の二次電池301の電気的な接続には、例えば、正極、負極リード3a、4aが用いられる(例えば図1A参照)。なお、図17Bでは、6つの二次電池301が2並列3直列(2P3S)に接続された例が示されている。
【0099】
<3.変形例>
以上、本技術の実施の形態について具体的に説明したが、本技術は、上述の一実施の形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。また、上述の実施の形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などを用いてもよい。例えば外装材2は、二つの外装材が分離された構成に限らず、周縁部の一つで折り曲げ可能に連結されている構成でもよい。また、収容部の端面側に設けられたシール部が端面の中心位置からずれていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1・・・巻回電極体、2・・・外装材、3a・・・正極リード、
4a・・・負極リード、11・・・正極、11A・・・正極集電体、
11B・・・正極活物質層 、12・・・負極、12A・・・負極集電体、
12B・・・負極活物質層、13・・・セパレータ、14・・・電解質層
21・・・第1の外装材、21a・・・第1の空間部、21b・・・周縁部、
22・・・第2の外装材、22a・・・第2の空間部、22b・・・周縁部、
23・・・接合部、RC1・・・外装材を円近似して求めた曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】