特表-18225410IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧
再表2018-225410電力変換装置および三相電力変換装置
<>
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000003
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000004
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000005
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000006
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000007
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000008
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000009
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000010
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000011
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000012
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000013
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000014
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000015
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000016
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000017
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000018
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000019
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000020
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000021
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000022
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000023
  • 再表WO2018225410-電力変換装置および三相電力変換装置 図000024
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年12月13日
【発行日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】電力変換装置および三相電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20191129BHJP
【FI】
   H02M7/48 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】39
【出願番号】特願2019-523390(P2019-523390)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年4月24日
(31)【優先権主張番号】特願2017-111364(P2017-111364)
(32)【優先日】2017年6月6日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 充弘
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 尊衛
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770BA01
5H770CA02
5H770CA05
5H770DA03
5H770DA11
5H770DA18
5H770DA24
5H770DA26
5H770DA30
5H770DA31
5H770DA41
5H770FA11
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Y
5H770HA06X
5H770JA09X
5H770JA11W
5H770JA13W
5H770JA17W
5H770JA17Y
5H770LA02Y
5H770LA08W
(57)【要約】
複数の電力変換セル101と、電力変換セルを制御する制御装置300と、を備え、電力変換セルは、トランス131と、1次側変換器111と2次側変換器121と、1次側バイパス手段141と、2次側バイパス手段151とを有し、電力変換セルの入力端子と出力端子のうち少なくとも一方がそれぞれ直列に接続され、制御装置は、1次側変換器を停止させる場合、1次側バイパス手段をオン状態とし、2次側変換器に発生する2次側直流リンク電圧を所定の値に2次側変換器を制御し、2次側変換器を停止させる場合、2次側バイパス手段をオン状態とし、1次側変換器に発生する1次側直流リンク電圧を所定の値に前記1次側変換器を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力変換セルと、
前記複数の電力変換セルを制御する制御装置と、
を備え、
前記電力変換セルは、
トランスと、
前記トランスの1次側に配置される1次側変換器と、
前記トランスの2次側に配置される2次側変換器と、
前記電力変換セルの入力端子間を短絡するための1次側バイパス手段と、
前記電力変換セルの出力端子間を短絡するための2次側バイパス手段と、
を有し、
前記複数の電力変換セルにおいて、電力変換セルの入力端子と出力端子のうち少なくとも一方がそれぞれ直列に接続され、
前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記1次側変換器を停止させる場合、前記1次側バイパス手段をオン状態として、前記2次側変換器に発生する2次側直流リンク電圧が所定の値となるように前記2次側変換器を制御し、
前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記2次側変換器を停止させる場合、前記2次側バイパス手段をオン状態として、前記1次側変換器に発生する1次側直流リンク電圧が所定の値となるように前記1次側変換器を制御する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記1次側変換器を停止させる場合、他の電力変換セルにおいて前記1次側直流リンク電圧を通常状態と比べて増大させるように前記1次側変換器を制御し、
前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記2次側変換器を停止させる場合、他の電力変換セルにおいて前記2次側直流リンク電圧を通常状態と比べて増大させるように前記2次側変換器を制御する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記複数の電力変換セルにおける入力端子と出力端子の両方がそれぞれ直列に接続されている、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記電力変換装置は、リアクトルを備え、
前記電力変換装置は、前記リアクトルを介して外部の電源から交流電力を入力し、入力した交流電力を可変の周波数と可変の電圧の交流電力に変換して、外部の負荷に出力し、
前記1次側変換器は、
該1次側変換器に入力される電圧を前記1次側直流リンク電圧に変換する1次側コンバータと、
前記1次側直流リンク電圧を平滑するコンデンサと、
前記1次側直流リンク電圧を交流電圧に変換して前記トランスの1次巻線に印加する1次側インバータと、
を有し、
前記2次側変換器は、
前記トランスの2次巻線に誘起した電圧を前記2次側直流リンク電圧に変換する2次側コンバータと、
前記2次側直流リンク電圧を平滑するコンデンサと、
前記2次側直流リンク電圧を交流電圧に変換する2次側インバータと、
を有する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記1次側変換器を停止させる場合、電力変換セルにおいて前記2次側直流リンク電圧を平滑するコンデンサを充放電することで前記2次側直流リンク電圧が所定の値となるように前記2次側インバータを制御し、
前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記2次側変換器を停止させる場合、電力変換セルにおいて前記1次側直流リンク電圧を平滑するコンデンサを充放電することで前記1次側直流リンク電圧が所定の値となるように前記1次側コンバータを制御する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
複数の電力変換セルと、
前記複数の電力変換セルを制御する制御装置と、
を備え、
前記電力変換セルは、
トランスと、
前記トランスの1次側に配置される1次側変換器と、
前記トランスの2次側に配置される2次側変換器と、
前記電力変換セルの出力端子間を短絡するための2次側バイパス手段と、
を有し、
前記複数の電力変換セルにおいて、電力変換セルの出力端子がそれぞれ直列に接続され、
前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記1次側変換器を停止させる場合、前記2次側変換器に発生する2次側直流リンク電圧が所定の値となるように前記2次側変換器を制御し、
前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記2次側変換器を停止させる場合、前記2次側バイパス手段をオン状態とし、他の電力変換セルにおいて前記2次側直流リンク電圧を通常状態と比べて増大させるように前記2次側変換器を制御する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記電力変換装置は、外部の電源から直流電力を入力し、前記直流電力を可変の周波数と可変の電圧の交流電力に変換して、外部の負荷に出力し、
前記1次側変換器は、該1次側変換器に入力される直流電圧を交流電圧に変換して前記トランスの1次巻線に印加する1次側インバータを有し、
前記2次側変換器は、
前記トランスの2次巻線に誘起した電圧を前記2次側直流リンク電圧に変換する2次側コンバータと、
前記2次側直流リンク電圧を平滑するコンデンサと、
前記2次側直流リンク電圧を交流電圧に変換する2次側インバータと、
を有する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記1次側変換器を停止させる場合、電力変換セルにおいて前記2次側直流リンク電圧を平滑するコンデンサを充放電することで前記2次側直流リンク電圧が所定の値となるように前記2次側インバータを制御する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電力変換装置を3台備え、
三相交流電力の各相の交流電力をそれぞれ3台の前記電力変換装置に入力し、
3台の前記電力変換装置によって出力される可変の周波数の三相交流電力で三相負荷を駆動する、
ことを特徴とする三相電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置および三相電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧または大容量の電力変換においては、複数の電力変換セルを直列または並列に接続した電力変換装置が用いられる。例えば、高電圧モータの駆動には,複数のインバータ(インバータセル、電力変換セル)の出力端子を直列に接続し、各インバータの出力電圧を合成して高電圧を出力する方式が利用されている。
また、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギー発電の導入が世界的に拡大している。自然エネルギーから得られる電力を変換して電力系統に出力するための電力変換装置として、PCS(パワーコンディショニングシステム)がある。このPCSにおいても、高電圧化や大容量化に対応する際には、前記のように複数の電力変換セルを用いる構成が有効である。
【0003】
複数の電力変換セルを備えた電力変換装置では、信頼性の確保が重要である。信頼性に関する機能として、従来の電力変換装置には故障や保全などの理由によって一部の電力変換セルを停止させる場合でも、残りのセルを用いて運転を継続する機能がある。このような機能を備えた電力変換装置として、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−033943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電力変換装置では、一つの単相インバータに故障が発生した場合に備えて、予備インバータを設けておく必要がある。
【0006】
本発明は、前記した課題に鑑みて創案されたものであって、予備の電力変換セルを設けることなく、電力変換セルの故障や保全に対して、適切に対応できる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の電力変換装置は、複数の電力変換セルと、前記複数の電力変換セルを制御する制御装置と、を備え、前記電力変換セルは、トランスと、前記トランスの1次側に配置される1次側変換器と、前記トランスの2次側に配置される2次側変換器と、前記電力変換セルの入力端子間を短絡するための1次側バイパス手段と、前記電力変換セルの出力端子間を短絡するための2次側バイパス手段と、を有し、前記複数の電力変換セルにおいて、電力変換セルの入力端子と出力端子のうち少なくとも一方がそれぞれ直列に接続され、前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記1次側変換器を停止させる場合、前記1次側バイパス手段をオン状態として、前記2次側変換器に発生する2次側直流リンク電圧が所定の値となるように前記2次側変換器を制御し、前記制御装置は、前記複数の電力変換セルのうち一部の電力変換セルが有する前記2次側変換器を停止させる場合、前記2次側バイパス手段をオン状態として、前記1次側変換器に発生する1次側直流リンク電圧が所定の値となるように前記1次側変換器を制御する、ことを特徴とする。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、予備の電力変換セルを設けることなく、電力変換セルの故障や保全に対して、適切に対応できる電力変換装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の回路構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルにおける1次側変換器の回路構成例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルにおける2次側変換器の回路構成例を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置における各電力変換セルの出力電圧の波形、および、これらを合成した合成出力電圧の波形の一例を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置における各電力変換セルの通常状態における入力電圧の波形、および、これらを合成した合成入力電圧ViSの波形の一例を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置における1次側変換器を停止させる場合の各電力変換セルの出力電圧の波形、および、これらを合成した合成出力電圧の波形の一例を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルにおける2次側インバータの図6の期間aにおける回路動作の一例を示す図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルにおける2次側インバータの図6の期間b1における回路動作の一例を示す図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルにおける2次側インバータの図6の期間cにおける回路動作の一例を示す図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の出力電流が負で、電力変換セルのコンデンサを充電する場合における2次側インバータの回路動作の一例を示す図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置における1次側変換器を停止させる場合の各電力変換セルの出力電圧の波形、および、これらを合成した合成出力電圧の波形の他の例を示す図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合の各電力変換セルの入力電圧の波形、および、これら入力電圧を合成した合成入力電圧ViSの波形の一例を示す図である。
図13】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合の各電力変換セルの入力電圧Vの波形、および、これら入力電圧を合成した合成入力電圧の波形の一例を示す図である。
図14】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルにおける1次側コンバータの図13の期間Aにおける回路動作の一例を示す図である。
図15】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルにおける1次側コンバータの図13の期間B1における回路動作の一例を示す図である。
図16】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルにおける1次側コンバータの図13の期間Cにおける回路動作の一例を示す図である。
図17】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルにおいて、入力電流が負であり、かつ、コンデンサを放電する場合における1次側コンバータの回路動作の一例を示す図である。
図18】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合の各電力変換セルの入力電圧の波形、および、これら入力電圧を合成した合成入力電圧の波形の別の例を示す図である。
図19】本発明の第1実施形態に係る電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合の各電力変換セルの出力電圧の波形、および、これら出力電圧を合成した合成出力電圧の波形の一例を示す図である。
図20】本発明の第2実施形態に係る三相電力変換装置の回路構成例を示すブロック図である。
図21】本発明の第3実施形態に係る電力変換装置の回路構成例を示すブロック図である。
図22】本発明の第4実施形態に係る三相電力変換装置の回路構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
【0011】
≪第1実施形態≫
図1は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置10の回路構成例を示すブロック図である。図1において、電力変換装置10は、外部の交流電源500から入力端子401,402を介して入力される電力を可変の周波数と可変の電圧の交流電力に変換する。そして、電力変換装置10は、前記の交流電力を出力端子411,412を介して出力し、外部の負荷600に供給する。
また、図1において、電力変換装置10は、交流電源500を入力する入力端子401にリアクトル400を備えている。
また、電力変換装置10は、複数の電力変換セル101〜104と制御装置300を備える。また、電力変換装置10では、電力変換セル101〜104のそれぞれの入力端子が直列に接続されている。同様に電力変換セル101〜104のそれぞれの出力端子が直列に接続されている。
【0012】
《電力変換セル》
電力変換セル101〜104は、それぞれ1次側変換器111〜114と、2次側変換器121〜124と、トランス131〜134と、1次側バイパス手段141〜144と、2次側バイパス手段151〜154とを備える。
1次側変換器111〜114は、それぞれ入力した交流電力(電圧)を可変の周波数と可変の電圧の交流電力(電圧)に変換する。
トランス131〜134は、それぞれ所定の変圧比を基に、入力した交流電圧を変圧して出力した交流電圧を2次側変換器121〜124に供給する。
2次側変換器121〜124は、それぞれ入力した交流電力(電圧)を可変の周波数と可変の電圧の交流電力(電圧)に変換する。
1次側バイパス手段141〜144は、それぞれ電力変換セル101〜104の入力端子間を短絡する。
2次側バイパス手段151〜154は、それぞれ電力変換セル101〜104の出力端子間を短絡する。なお、1次側バイパス手段141〜144と2次側バイパス手段151〜154の例として、スイッチング素子によるバイパス回路やリレーがある。
【0013】
1次側変換器111〜114は、それぞれ1次側コンバータ161〜164と、コンデンサ171〜174と、1次側インバータ181〜184とを備える。
1次側コンバータ161〜164は、電力変換セル101〜104のそれぞれの入力電圧Vi1〜Vi4を変換して、1次側直流リンク電圧Vd11〜Vd14を生成する。
コンデンサ171〜174は、それぞれ1次側直流リンク電圧Vd11〜Vd14を平滑(平滑化)する。
1次側インバータ181〜184は、それぞれ1次側直流リンク電圧Vd11〜Vd14を交流電圧に変換してトランス131〜134の1次巻線に印加する。
【0014】
2次側変換器121〜124は、それぞれ2次側コンバータ191〜194と、コンデンサ201〜204と、2次側インバータ211〜214とを備える。
2次側コンバータ191〜194は、それぞれトランス131〜134の2次巻線に誘起された交流電圧を変換して2次側直流リンク電圧Vd21〜Vd24を生成する。
コンデンサ201〜204は、それぞれ2次側直流リンク電圧Vd21〜Vd24を平滑する。
2次側インバータ211〜214は、それぞれ2次側直流リンク電圧Vd21〜Vd24を交流電圧に変換して電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4を生成する。
【0015】
《制御装置》
制御装置300は、電力変換セル101〜104のそれぞれ1次側変換器111〜114と、2次側変換器121〜124と、1次側バイパス手段141〜144と、2次側バイパス手段151〜154とに対して、制御信号を出力して統括的に制御する。
また、制御装置300は、電力変換セル101〜104おける電圧、電流、温度などの物理量を検出する。また、制御装置300に入力される電力変換セル101〜104の物理量や状態に関する信号を検出信号と定義する。
制御装置300は、検出信号を制御に利用するだけでなく、検出信号から「目標値通りの電圧が出力されていない」、「過電流が発生した」などの現象を把握して、電力変換セルの正常または異常を判定する。
【0016】
また、図1においては、図面の煩雑化を防ぐため、制御装置300と電力変換セル101の間の制御信号、検出信号のみを示した。実際には、制御装置300は、電力変換セル102〜104とも同様に信号の入出力を行う。
また、図1では、後記する電力変換セル101の具体的な構成を踏まえて、1次側コンバータ161と2次側インバータ211が制御装置300に検出信号を出力し、制御装置300が1次側コンバータ161、1次側インバータ181、2次側インバータ211、1次側バイパス手段141、2次側バイパス手段151に制御信号を出力する構成を示している。
ただし、後記するように、電力変換セルの具体的な構成が変われば、制御装置300が信号の入出力を行う対象も変わる。また、図1では各信号を1本の矢印として表現したが、1本の矢印は複数の情報を含んでいてもよい。
また、制御装置300のすべての要素が、1枚の基板上に実装される必要はない。各電力変換セル101〜104の1次側変換器111〜114や2次側変換器121〜124が実装される基板上に、制御装置300の要素が実装されてもよい。
【0017】
図1の電力変換装置の回路構成の補足》
図1に示すように、電力変換装置10では、各電力変換セル101〜104の入力端子が直列に接続されている。また、同様に各電力変換セル101〜104の出力端子が直列に接続されている。
各電力変換セル101〜104が内部にトランス131〜134を備えており、1次側変換器111〜114と2次側変換器121〜124が電気的に絶縁されているため、図1に示すように電力変換セル101〜104同士を接続できる。
以上の接続方法によって、電源500が高電圧電源であっても、電源500と電力変換装置10の入力部を接続可能である。また、電力変換装置10から負荷600に高電圧を出力できる。
【0018】
また、各電力変換セル101〜104の出力端子が直列に接続されていることから、各電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4の合成電圧が、出力端子411,412を介して、負荷600に出力される。
各電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4を合成した電圧を合成出力電圧VoSと定義する。また、入力側についても同様の定義が可能であり、各電力変換セル101〜104の入力電圧Vi1〜Vi4を合成した電圧を合成入力電圧ViSと定義する。
また、電力変換装置10の出力電流I、および、各電力変換セル101〜104の出力電流は、すべて共通である。同様に、電力変換装置10の入力電流I、および、各電力変換セル101〜104の入力電流はすべて共通である。
【0019】
図1におけるリアクトル400の役目について説明する。
外部の交流電源500は、正弦波の交流電圧を出力している。一方、電力変換装置10における合成入力電圧ViSは、後記する図4に示すように階段状の疑似正弦波形(マルチレベル疑似正弦波)である。この出力の正弦波と合成入力電圧ViSの疑似正弦波形の差分を、リアクトル400を設けることによって、調整している。
また、リアクトル400は、電力変換装置10における合成入力電圧ViSによるスパイク(ノイズ)を外部の交流電源500に及ぼさないようにする役目をしている。
【0020】
《1次側変換器の回路構成例》
図2は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101における1次側変換器111の回路構成例を示す図である。また、図2には、1次側変換器111の他に1次側バイパス手段141、トランス131、制御装置300も併せて示している。
図2おいて、1次側変換器111は、1次側コンバータ161とコンデンサ171と1次側インバータ181を備えている。
【0021】
1次側コンバータ161は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor-Field-Efect-Transistor)と逆並列ダイオードとからなるスイッチング素子M11〜M14を備えている。スイッチング素子M11〜M14によって、Hブリッジ回路を構成している。
すなわち、スイッチング素子M11とスイッチング素子M12は、直列に接続され、正側直流電源配線101pと負側直流電源配線101nとの間に配置されている。また、スイッチング素子M13とスイッチング素子14は、直列に接続され、正側直流電源配線101pと負側直流電源配線101nとの間に配置されている。
スイッチング素子M11とスイッチング素子M12の接続点と、スイッチング素子M13とスイッチング素子14の接続点との間に、入力電圧Vi1を入力して、制御装置300により、スイッチング素子M11〜M14を制御することにより、正側直流電源配線101pと負側直流電源配線101nとの間に入力電圧Vi1を整流して出力している。そして、整流した電圧をコンデンサ171で平滑して、直流電圧(電力)を生成している。
また、1次側コンバータ161は、正側直流電源配線101pと負側直流電源配線101nとの間の電圧、すなわち1次側直流リンク電圧Vd11を検出するための電圧検出器F1を備える。
【0022】
1次側インバータ181は、MOSFETと逆並列ダイオードとからなるスイッチング素子M15〜M18を備えている。スイッチング素子M15〜M18によって、Hブリッジ回路を構成している。すなわち、スイッチング素子M15とスイッチング素子M16は、直列に接続され、正側直流電源配線101pと負側直流電源配線101nとの間に配置されている。また、スイッチング素子M17とスイッチング素子18は、直列に接続され、正側直流電源配線101pと負側直流電源配線101nとの間に配置されている。
スイッチング素子M15とスイッチング素子16の接続点と、スイッチング素子M17とスイッチング素子18の接続点とが、Hブリッジ回路の出力端子となっている。
Hブリッジ回路の第1の出力端子であるスイッチング素子M15とスイッチング素子M16の接続点には、コイル(インダクタ、リアクトル)482の一方の端子が接続されている。また、Hブリッジ回路の第2の出力端子であるスイッチング素子M17とスイッチング素子18の接続点には、コンデンサ483の一方の端子が接続されている。コイル482の他方の端子とコンデンサ483の他方の端子との間に、トランス131の1次巻線が直列に接続されている。
【0023】
制御装置300は、制御信号として、1次側コンバータ161のスイッチング素子M11〜M14と、1次側インバータ181のスイッチング素子M15〜M18とに駆動信号を出力する。
また、1次側直流リンク電圧Vd11を検出するための電圧検出器F1の出力が、検出信号として制御装置300に入力されている。
【0024】
図2の1次側変換器111において、1次側コンバータ161によって交流の入力電圧Vi1を整流し、コンデンサ171で平滑して正側直流電源配線101pと負側直流電源配線101nとの間に直流電圧(電力)Vd11を生成する。
この直流電圧(電力)を1次側インバータ181によって、可変の周波数の交流電圧(電力)を生成し、コイル482とコンデンサ483とを介して、生成した交流電圧(電力)を1次側変換器111から出力する。
なお、コイル482とコンデンサ483とで共振回路を構成している。1次側インバータ181の制御信号の周波数を変化させると、この周波数が前記の共振回路の共振周波数あるいは共振特性と、どの程度ずれるかによって、1次側変換器111の出力パワーを制御できる。
【0025】
以上、図2の電力変換セル101の1次側変換器111の構成について説明したが、電力変換セル102〜104の1次側変換器112〜114についても同様の構成である。
【0026】
《2次側変換器の回路構成例》
図3は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101における2次側変換器121の回路構成例を示す図である。
また、図3には、2次側変換器121の他に2次側バイパス手段151、トランス131、制御装置300も併せて示している。
図3において、2次側変換器121は、2次側コンバータ191と、コンデンサ201と、2次側インバータ211とを備えている。
【0027】
2次側コンバータ191は、ダイオードD21〜D24によって、ダイオードブリッジ回路が構成されている。すなわち、ダイオードD21のアノードとダイオードD22のカソードとが接続され、ダイオードD21のカソードは正側直流電源配線201pに接続され、ダイオードD22のアノードは負側直流電源配線201nに接続されている。
また、ダイオードD23のアノードとダイオードD24のカソードとが接続され、ダイオードD23のカソードは正側直流電源配線201pに接続され、ダイオードD24のアノードは負側直流電源配線201nに接続されている。
そして、ダイオードD21のアノードとダイオードD22のカソードとの接続点と、ダイオードD23のアノードとダイオードD24のカソードとの接続点との間に、トランス131の2次巻線の電圧が入力している。
また、正側直流電源配線201pと負側直流電源配線201nとの間に平滑用のコンデンサ201が備えられている。
【0028】
2次側インバータ211は、MOSFETと逆並列ダイオードとからなるスイッチング素子M25〜M28を備えている。スイッチング素子M25〜M28によって、Hブリッジ回路を構成している。すなわち、スイッチング素子M25とスイッチング素子26は、直列に接続され、正側直流電源配線201pと負側直流電源配線201nとの間に配置されている。また、スイッチング素子M27とスイッチング素子M28は、直列に接続され、正側直流電源配線201pと負側直流電源配線201nとの間に配置されている。
スイッチング素子M25とスイッチング素子M26の接続点と、スイッチング素子M27とスイッチング素子28の接続点とが、Hブリッジ回路の出力端子となっている。
このHブリッジ回路の出力端子から、電力変換セル101の出力電圧Vo1が出力される。
また、2次側インバータ211は、正側直流電源配線201pと負側直流電源配線201nとの間の電圧である2次側直流リンク電圧Vd21を検出するための電圧検出器F2を備えている。
電圧検出器F2の出力は、検出信号として制御装置300に入力されている。
【0029】
制御装置300は、制御信号として、2次側インバータ211のスイッチング素子M25〜M28に駆動信号を出力する。
また、2次側直流リンク電圧Vd21を検出するための電圧検出器F2の出力が、検出信号として制御装置300に入力されている。
【0030】
図3の2次側変換器121において、2次側コンバータ191によって、トランス131の2次側(2次巻線)の交流入力電圧を整流し、コンデンサ201で平滑して、正側直流電源配線201pと負側直流電源配線201nとの間に直流電圧(電力)Vd21を生成する。
この直流電圧(電力)を2次側インバータ211によって、可変の周波数の交流電圧(電力)を生成し、交流電圧(電力)Vo1を2次側変換器121から出力する。
【0031】
以上のように、図3の電力変換セル101の2次側変換器121の構成について説明したが、電力変換セル102〜104の2次側変換器122〜124についても同様の構成である。
【0032】
<電力変換装置の通常状態の動作>
以上の構成によって得られる電力変換装置10の通常状態の動作を説明する。
まず、各電力変換セル101〜104の1次側変換器111〜114と2次側変換器121〜124について、故障や保全などの理由によって停止させるものがない場合(適宜、「通常状態」と呼称する)を説明する。
制御装置300は、電力変換セル101〜104の1次側バイパス手段141〜144と2次側バイパス手段151〜154をオフ(開放状態、非短絡状態)にする。
【0033】
《各電力変換セルの出力電圧波形と合成出力電圧波形》
図4は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置10における各電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4の波形、および、これらを合成した合成出力電圧VoSの波形の一例を示す図である。
図4において、縦軸に出力電圧Vo1〜Vo4と合成出力電圧VoSと2次側直流リンク電圧の目標値Vを示し、横軸は時刻もしくは時間(時間の推移)である。
また、図4では、電力変換装置10が出力する交流周期TAC2の1周期分の各電圧の波形を示している。
また、図4の合成出力電圧VoSの波形と重ねて示した破線の正弦波1401は、合成出力電圧VoSに含まれる基本波成分である。この基本波成分は合成出力電圧VoSの目標値であると考えてよい。
なお、合成出力電圧VoSは、階段状の疑似正弦波形(マルチレベル疑似正弦波)であって、正弦波とは少し離れた波形であるが、出力負荷がモータのようにコイル成分で構成されている場合には、コイルのインダクタンスの作用で電流波形は、実用的には充分に正弦波に近づいた波形となる。
【0034】
図1における2次側変換器121〜124の2次側コンバータ191〜194は、図3に示すようにダイオードD21〜D24によって構成されるダイオードブリッジ回路である。すなわち、制御装置300では制御されていない。
そのため、電力変換セル101〜104の2次側直流リンク電圧Vd21〜Vd24は、電力変換セル101〜104が備える1次側変換器111〜114(具体的には1次側インバータ181〜184)によってそれぞれ所定の値に制御される。それとともに、2次側直流リンク電圧Vd21〜Vd24は、2次側変換器のコンデンサ201〜204によってそれぞれ平滑されている。
【0035】
また、2次側直流リンク電圧Vd21〜Vd24の目標値は、それぞれ異なる値であってもよい。しかし、説明の都合上、図4では2次側直流リンク電圧Vd21〜Vd24の目標値がすべて等しくVである場合について示した。
電力変換セル101の2次側インバータ211は、出力電圧Vo1の瞬時値として+Vd21(=+V),0,−Vd21(=−V)のいずれかを生成する。
そのため、2次側インバータ211は、図4に示すように正負パルス状の出力電圧Vo1を生成できる。また、出力電圧Vo1の振幅(パルス波高値)はVd21(=V)となる。
また、電力変換セル102〜104の出力電圧Vo2〜Vo4についても、同じ要領で生成される。
【0036】
また、電力変換セル101〜104の出力端子が直列に接続されていることから、合成出力電圧VoSは、電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4の総和となる。そのため、図4のようなマルチレベル疑似正弦波状の合成出力電圧VoSが生成される。
合成出力電圧VoSのレベル数は、正負を合わせて9レベルである。合成出力電圧VoSの振幅(波高値)は4Vである。また、合成出力電圧VoSの目標値を決定し、実際に出力される合成出力電圧VoSの基本波成分が目標値(図4の破線1401)と一致するように電力変換セル101〜104を制御する。
図4の合成出力電圧VoSは完全な正弦波電圧ではなく、基本波成分の他に高調波成分を含む。用いる電力変換セルの台数が多いほど、合成出力電圧VoSのレベル数が増大して、合成出力電圧VoSに含まれる高調波成分は小さくなる。このとき、出力電流Iに含まれる高調波成分もまた小さくなる。
また、図4において、出力電圧Vo1〜Vo4のパルス幅をT21〜T24と定義する。
このように定義したとき、図4では、T21>T22>T23>T24の関係であるため、各電力変換セル101〜104の出力電力に着目すると、電力変換セル101>電力変換セル102>電力変換セル103>電力変換セル104の順となる。
【0037】
《各電力変換セルの入力電圧波形と合成入力電圧波形》
図5は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置10における電力変換セル101〜104の通常状態における入力電圧Vi1〜Vi4の波形、および、これらを合成した合成入力電圧ViSの波形の一例を示す図である。
図5において、縦軸に入力電圧Vi1〜Vi4と合成入力電圧ViSと1次側直流リンク電圧の目標値Vを示し、横軸は時刻もしくは時間(時間の推移)である。
また、図5では、電源500の交流周期TAC1の1周期分の波形を示した。
また、図5の合成入力電圧ViSの波形と重ねて示した破線の正弦波1501は、合成入力電圧ViSに含まれる基本波成分である。この基本波成分は合成入力電圧ViSの目標値であると考えてよい。
なお、電力変換セル101〜104の入力電圧Vi1〜Vi4を制御して、合成入力電圧ViSを所定の正弦波状の振幅や位相を制御するのは、電力変換装置10としての入力電力を所定の電力に制御するためである。
また、図4で示した合成出力電圧VoSの周期TAC2と、図5で示す合成入力電圧ViSの波形の周期TAC1とは異なる。これは2次側インバータ211〜214によって、合成出力電圧VoSの周波数(1/TAC2)が新たに生成されるからである。
【0038】
電力変換セル101〜104の1次側直流リンク電圧Vd11〜Vd14は、電力変換セル101〜104が備える1次側変換器111〜114(具体的には1次側コンバータ161〜164)によって、それぞれ所定の値に制御されている。また、1次側直流リンク電圧Vd11〜Vd14は、1次側変換器のコンデンサ171〜174によって、それぞれ平滑化されている。
1次側直流リンク電圧Vd11〜Vd14の目標値は、それぞれ異なる値であってもよい。しかし、説明の都合上、図5では1次側直流リンク電圧Vd11〜Vd14の目標値がすべて等しくVである場合について示した。
電力変換セル101の1次側コンバータ161は、入力電圧Vi1の瞬時値として+Vd11(=+V),0,−Vd11(−V)のいずれかを生成できる。
【0039】
そのため、1次側コンバータ161は、図5に示すように正負パルス状の入力電圧Vi1を生成できる。そして、入力電圧Vi1の振幅(パルス波高値)は、Vd11(=V)となる。電力変換セル102〜104の入力電圧Vi2〜Vi4についても同じ要領で生成される。
また、電力変換セル101〜104の各入力端子が直列に接続されていることから、合成入力電圧ViSは、電力変換セル101〜104の入力電圧Vi1〜Vi4の総和となる。そのため、図5のようなマルチレベル疑似正弦波状の合成入力電圧ViSが生成される。
合成入力電圧ViSのレベル数は、正負を合わせて9レベルである。また、1レベル(段)分の電圧はVとなる。
【0040】
図1に示したように、交流電源500と電力変換装置10の入力部にはリアクトル400が直列に挿入される。前記したように、リアクトル400によって、交流電源500の出力と電力変換装置10の入力の電圧差を調整する。
制御装置300は、前記したように、合成入力電圧ViSの振幅や位相を制御することで、電源500から電力変換装置10に入力される電力を制御する。また、制御装置300は、合成入力電圧ViSの目標値を決定し、実際に生成される合成入力電圧ViSの基本波成分が目標値(図5の破線1501)と一致するように各電力変換セル101〜104を制御する。
図5の合成入力電圧ViSは、完全な正弦波電圧ではなく、基本波成分の他に高調波成分を含む。用いるセルの台数が多いほど、合成入力電圧ViSのレベル数が増大し、合成入力電圧ViSに含まれる高調波成分は小さくなる。このとき、入力電流Iに含まれる高調波成分もまた小さくなる。
図5において、入力電圧Vi1〜Vi4のパルス幅をT11〜T14と定義する。
11>T12>T13>T14の関係であるため、電力変換セル101〜104の入力電力に着目すると、電力変換セル101>電力変換セル102>電力変換セル103>電力変換セル104の順となる。
【0041】
<1台の電力変換セルが止まった場合に残りの電力変換セルで補う制御について>
次に、故障や保全などの理由によって、1台の電力変換セルが止まった場合においても、残りの他の電力変換セルで補うように制御して、電力変換装置10を通常状態と同様の出力電力の品質を保ちつつ、すみやかに運転を継続できる方法について説明する。
【0042】
<1台の電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合の電力変換装置の動作>
故障や保全などの理由によって、1台の電力変換セル、例えば電力変換セル101の1次側変換器111を停止させる場合の電力変換装置10の動作を説明する。
まず、制御装置300は、停止させる電力変換セル101の1次側バイパス手段141をオン状態(短絡状態)とする。一方、2次側バイパス手段151については通常状態と同様にオフ状態(非短絡状態、開放状態)とする。
次に、制御装置300は、電力変換セル101の2次側変換器121に発生する2次側直流リンク電圧Vd21を所定の値Vに制御するように、電力変換セル101の2次側変換器121を制御する。なお、具体的には2次側インバータ211を、後記するように、制御する。
【0043】
以上のように、1次側変換器111を停止させ、かつ、1次側バイパス手段141をオン状態とするので、電力変換セル101には電力が入力されない。そのため、1次側変換器111から2次側変換器121へと電力が供給されることはない。
また、通常状態のように1次側変換器111によって、2次側直流リンク電圧Vd21を制御することはできない。しかし、2次側インバータ211は、後記するように、コンデンサ201を充放電することによって、2次側直流リンク電圧Vd21を所定の値Vに制御するとともに、2次側直流リンク電圧Vd21を利用して出力電圧Vo1を継続的に生成できる。さらに、電力変換装置10は、通常状態と同様に合成出力電圧VoSを継続的に生成できる。
次に、以上の動作を、動作波形を参照して、詳しく説明する。
【0044】
《電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合の出力電圧波形と合成出力電圧波形》
図6は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置10における1次側変換器111を停止させる場合の電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4の波形、および、これらを合成した合成出力電圧VoSの波形の一例を示す図である。
図6において、縦軸に出力電圧Vo1〜Vo4と、合成出力電圧VoSと、2次側直流リンク電圧の目標値Vとを示し、横軸は時刻もしくは時間(時間の推移)である。なお、TAC1やTAC2の符号を時刻として表記する場合や、時間としてその時間の逆数から周期(交流周期)として表記する場合がある。
図6では、電力変換装置10が出力する交流周期TAC2の1周期分の波形を示している。そのうち時刻TAC2/4から時刻TAC2/2までの四半周期を対象として、動作モード、および、その継続期間(期間)を示す符号a,b1,c,b2を表記している。
【0045】
また、図6の合成出力電圧VoSの波形と重ねて示した破線の正弦波1402は、合成出力電圧VoSに含まれる基本波成分である。この基本波成分は合成出力電圧VoSの目標値であると考えてよい。
また、図6では、出力電流Iの波形1412も併せて示した。ただし、出力電流Iに含まれる高調波成分については無視し、基本波成分のみを示している。
以下では、説明の都合上、電力変換装置10の出力における力率がほぼ1であると仮定する。そのため、合成出力電圧VoSの基本波成分(図6の破線1402)が正である場合には出力電流Iも正である。図6の時刻TAC2/4から時刻TAC2/2までの期間において、出力電流I(波形1412)は正である。なお、出力電流Iの正負の極性は、図1に矢印で示した通りである。
【0046】
《2次側インバータの期間aにおける動作》
図6の期間aにおいて、制御装置300は、コンデンサ201を放電するように電力変換セル101の2次側インバータ211を制御する。具体的には、出力電圧Vo1が+Vd21(=+V)となるように2次側インバータ211を制御する。
なお、図6の電圧波形の記載においては、コンデンサ201の静電容量が十分大きいため、期間aに渡ってコンデンサ201を放電しても、2次側直流リンク電圧Vd21はVから減少しないと仮定した。
期間aでは、合成出力電圧VoSを+4Vに制御する。そのため、電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4をすべて正(+V)に制御する必要がある。
また、図6の期間aでコンデンサ201が放電して、失った電荷を回復するように充電するのは、後記するように図6の期間cである。
【0047】
図7は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101における2次側インバータ211の図6の期間aにおける回路動作の一例を示す図である。
図7では、スイッチング素子M25〜M28を理想スイッチと逆並列ダイオードによって模擬している。また、2次側インバータ211だけでなくコンデンサ201も併せて示している。また、電流経路を一点鎖線701の矢印で示した。
図7に示すように、4個のスイッチング素子M25〜M28のうち、左上のスイッチング素子M25と右下のスイッチング素子M28をオン状態にすることで、出力電圧Vo1は、正(+Vd21=+V)となり、コンデンサ201を放電する向きに電流が流れる。
【0048】
《2次側インバータの期間b1における動作》
図6の期間b1において、制御装置300は、電力変換セル101の出力電圧Vo1が0となるように2次側インバータ211を制御する。このとき、コンデンサ201は充電も放電もされない。
したがって、期間b1において、2次側直流リンク電圧Vd21はVから変化しない。また、期間b1では、合成出力電圧VoSを+3Vに制御する。
電力変換セル101の出力電圧Vo1が0に制御されていても、他の電力変換セル102〜104の出力電圧Vo2〜Vo4をすべて正(+V)に制御することによって、合成出力電圧VoSは+3Vとなる。
【0049】
図8は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101における2次側インバータ211の図6の期間b1における回路動作の一例を示す図である。
図8に示すように、4個のスイッチング素子M25〜M28のうち、左下のスイッチング素子M26と右下のスイッチング素子M28をオン状態にする。
このとき、スイッチング素子の電圧降下を無視すれば出力電圧Vo1は0となる。また、コンデンサ201には電流が流れない。
【0050】
《2次側インバータの期間cにおける動作》
図6の期間cにおいて、制御装置300は、コンデンサ201を充電するように電力変換セル101の2次側インバータ211を制御する。
具体的には、出力電圧Vo1が、−Vd21(=−V)となるように2次側インバータ211を制御する。また、出力電流Ioが正となる期間に2次側インバータ211が負の電圧を出力することによって、2次側インバータ211が電力を回生してコンデンサ201を充電する。
なお、図6の電圧波形の記載においては、コンデンサ201の静電容量が十分大きいため、期間cに渡ってコンデンサ201を充電しても、2次側直流リンク電圧Vd21はVから増大しないと仮定した。
期間cにおいて、電力変換セル101の出力電圧Vo1は、負(−V)となるが、他の電力変換セルの出力電圧Vo2〜Vo4を0または正(+V)に制御することによって、合成出力電圧VoSを正に制御できる。
期間cのように、合成出力電圧VoSが+2V以下であれば、電力変換セル101の出力電圧Vo1を負(−V)に制御しても合成出力電圧VoSを目標のレベルに制御することができる。
【0051】
図9は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101における2次側インバータ211の図6の期間cにおける回路動作の一例を示す図である。
図9に示すように、4個のスイッチング素子M25〜M28のうち、左下のスイッチング素子M26と右上のスイッチング素子M27をオン状態にすることで、出力電圧Vo1は負(−Vd21=−V)となり、コンデンサ201を充電する向きに電流が流れる。
なお、図9において、4個のスイッチング素子M25〜M28をすべてオフ状態にしても、逆並列ダイオードの作用で同様の動作(電流の経路)が得られる。
【0052】
《2次側インバータの期間b2における動作》
図6の期間b2において、制御装置300は、前記の期間b1と同様に電力変換セル101の出力電圧Vo1が0となるように2次側インバータ211を制御する。
すなわち、電力変換セル101の2次側インバータ211の図6の期間b2における回路動作の一例は、期間b1における回路動作を示す図8と同様である。
このように2次側インバータ211の期間b2における回路動作と期間b1における回路動作とは、同じであるものの、合成出力電圧VoSについては、図6に示すように期間b2と期間b1とでは異なる。
期間b2では、合成出力電圧VoSを+V、または0に制御するため、前記の期間cのようにコンデンサ201を充電することもできる。しかし、2次側直流リンク電圧Vd21を目標値Vに維持するようにコンデンサ201の充放電を制御する必要がある。
そのため、期間b2のように、合成出力電圧VoSのレベルが+2V以下であってもコンデンサ201を充電しない期間が発生する。
【0053】
<時刻0から時刻TAC2における動作>
図6の時刻0から時刻TAC2/4までの期間においても、前記の時刻TAC2/4から時刻TAC2/2までの期間と同様に制御する。
合成出力電圧VoSを+4Vに制御する場合、制御装置300は、コンデンサ201を放電するように、具体的には出力電圧Vo1が+Vd21(=+V)となるように2次側インバータ211を制御する。
また、合成出力電圧VoSを+3Vに制御する場合、制御装置300は、出力電圧Vo1が0となるように2次側インバータ211を制御する。
また、合成出力電圧VoSを0〜+2Vに制御する場合、制御装置300は、コンデンサ201を充電するように、具体的には出力電圧Vo1が−Vd21(=−V)となるように2次側インバータ211を制御する。もしくは、出力電圧Vo1が0となるように2次側インバータ211を制御する。
【0054】
図6の時刻TAC2/2から時刻TAC2までの期間において、出力電流Iは負となる。
出力電流Iが負となる場合、出力電圧Vo1が正(+Vd21=+V)となるように2次側インバータ211を制御することで、コンデンサ201が充電される。
前記した図7図9は、出力電流Iが正となる場合の回路動作であったが、時刻TAC2/2から時刻TAC2までの期間のように、出力電流Iが負、かつコンデンサ201が充電される場合における2次側インバータ211の回路動作の一例を次に説明する。
図10は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置10の出力電流Iが負で、電力変換セル101のコンデンサ201を充電する場合における2次側インバータ211の回路動作の一例を示す図である。
図10に示すように、4個のスイッチング素子M25〜M28のうち、左上のスイッチング素子M25と右下のスイッチング素子M28をオン状態にすることで、出力電圧Vo1は正(+Vd21=+V)となり、コンデンサ201を充電する向きに電流が流れる。
なお、図10において、4個のスイッチング素子M25〜M28をすべてオフ状態にしても、逆並列ダイオードの作用で同様の動作(電流の経路)が得られる。
【0055】
《電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合の出力電圧波形と合成出力電圧波形の他の例》
図11は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置10における1次側変換器111を停止させる場合の電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4の波形、および、これらを合成した合成出力電圧VoSの波形の他の例を示す図である。
図11において、縦軸に出力電圧Vo1〜Vo4と合成出力電圧VoSと2次側直流リンク電圧の目標値Vを示し、横軸は時刻もしくは時間(時間の推移)である。
また、図11では、電力変換装置10が出力する交流周期TAC2の1周期分の波形を示した。そのうち時刻TAC2/4から時刻TAC2/2までの四半周期を対象として、動作モードおよび、その継続期間(期間)を示す符号a,b1,b2,cを表記した。
図11における期間a,b1,b2,cは、図6における期間a,b1,c,b2と比較すると、コンデンサ201を充電する期間であるcと、コンデンサ201を充電しない期間であるb2の順番が逆になっている。
【0056】
また、図11の合成出力電圧VoS波形と重ねて示した破線の正弦波1403は、合成出力電圧VoSに含まれる基本波成分である。この基本波成分は合成出力電圧VoSの目標値であると考えてよい。
また、図11では、出力電流Iの波形1413も併せて示した。ただし、出力電流Iに含まれる高調波成分については無視し、基本波成分のみを示した。
【0057】
以上のように、制御装置300は、電力変換セル101の2次側直流リンク電圧Vd21を所定の電圧に制御すること、および合成出力電圧VoSを目標レベルに制御することを両方考慮して、2次側インバータ211を動作させる。
この制御によって、2次側直流リンク電圧Vd21を所定の電圧に維持するとともに、2次側直流リンク電圧Vd21を用いて、出力電圧Vo1、および合成出力電圧VoSを継続的に生成することができる。
【0058】
《電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合の入力電圧波形と合成入力電圧波形》
図12は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101の1次側変換器111を停止させる場合の各電力変換セル101〜104の入力電圧Vi1〜Vi4の波形、および、これら入力電圧を合成した合成入力電圧ViSの波形の一例を示す図である。
図12において、縦軸に入力電圧Vi1〜Vi4と合成入力電圧ViSと1次側直流リンク電圧の目標値V1Bを示し、横軸は時刻もしくは時間(時間の推移)である。
また、図12では、電源500の交流周期TAC1の1周期分の波形を示した。
また、図12の合成入力電圧ViS波形と重ねて示した破線の正弦波1502は、合成入力電圧ViSに含まれる基本波成分である。この基本波成分は合成入力電圧ViSの目標値であると考えてよい。
【0059】
図12に示すように、電力変換セル101の1次側バイパス手段141をオンにするため、電力変換セル101の入力電圧Vi1は0となる。
また、電力変換セル102〜104は、通常状態と同様に正負パルス状の入力電圧Vi2〜Vi4を生成する。ただし、通常状態のパルスと比較して、パルス波形の振幅やパルス幅を変化させる。図12では、入力電圧Vi2〜Vi4の振幅をそれぞれVからV1Bに変化させる例を示した。
なお、この入力電圧Vi2〜Vi4の振幅をそれぞれVからV1Bに変化させるのは、1次側変換器112〜114による。
すなわち、制御装置300は、電力変換セル102〜104の1次側変換器112〜114が制御する1次側直流リンク電圧Vd12〜Vd14の目標値を、入力電圧Vi2〜Vi4に換算して、それぞれVからV1Bに大きくして変更する。1次側直流リンク電圧Vd12〜Vd14が変化すれば、入力電圧Vi2〜Vi4が変化する。
【0060】
図12に示すように、電力変換セル101〜104の入力電圧Vi1〜Vi4が合成されて、マルチレベル疑似正弦波状の合成入力電圧ViSが生成される。なお、正負を合わせた合成入力電圧ViSのレベル数は、通常状態の9レベル(図5)から7レベル(図12)へと減少する。ただし、3VIB=4Vの関係を保つように制御すれば、図5に示す通常状態と、図12に示す電力変換セル101の1次側変換器111を停止させた状態とにおいて、マルチレベル疑似正弦波の振幅は概ね等しく保てる。
以上によって、通常状態と比べて合成入力電圧ViSの波形のレベル数が減少しても、合成入力電圧ViSの基本波成分(図12の破線1502)の振幅を維持して電力変換装置10は動作を継続できる。
なお、以上の電力変換セル101における1次側変換器111の停止の際において、外部の交流電源500の交流電圧には変化はない。外部の交流電源500の交流電圧と、新たに構成したマルチレベル疑似正弦波状の合成入力電圧ViSの調整は、前記したように、リアクトル400によって行われる。
【0061】
<1台の電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合の補足>
以上によって、電力変換装置10は、故障や保全などの理由によって1台の電力変換セル101の1次側変換器111を停止させる場合であっても、電力変換セル101の2次側変換器121を含めた健全な要素を用いて、すみやかに運転を継続できる。
また、他の電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合であっても、同じ要領で制御することによって、1次側変換器を停止させる電力変換セルの2次側変換器を含めた健全な要素を用いて、すみやかに運転を継続できる。
以上のように、1次側変換器を停止させる電力変換セルの2次側変換器を動作させることによって、2次側直流リンク電圧を増大させることなく合成出力電圧VoSの振幅を通常状態と同じ大きさ維持できる。
そのため、負荷600がモータであれば、回転速度範囲を損なうことなく運転を継続できる。また、通常状態と比べて合成出力電圧VoSのレベル数や1レベルあたりの電圧は同じである。したがって、出力電流の高調波成分が増大することはなく、2次側変換器が発する電磁ノイズが増大することもない。前記のように負荷600がモータであれば、モータの劣化を抑制する上でも有効である。
【0062】
<1台の電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合の電力変換装置の動作>
故障や保全などの理由によって1台の電力変換セル101の2次側変換器121を停止させる場合の電力変換装置10の動作を説明する。
図1において、制御装置300は、停止させる電力変換セル101の2次側バイパス手段151をオン状態とする。一方、1次側バイパス手段141については、通常状態と同様にオフ状態とする。
【0063】
次に、制御装置300は、電力変換セル101の1次側変換器111に発生する1次側直流リンク電圧Vd11を所定の値Vとなるように、電力変換セル101の1次側変換器111を制御する。具体的には1次側コンバータ161を制御する。
2次側変換器121を停止させ、かつ、2次側バイパス手段151をオン状態とするので、電力変換セル101は電力を出力できない。そのため、通常状態のように1次側変換器111から2次側変換器121へと送電することによってコンデンサ171を放電することはできない。
このような状態であっても、1次側コンバータ161は、後記するようにコンデンサ171の充放電を制御することによって、1次側直流リンク電圧Vd11を所定の値Vに制御する。それとともに、1次側コンバータ161は、1次側直流リンク電圧Vd11を利用して入力電圧Vi1を継続的に生成する。さらに、電力変換装置10は、通常状態と同様に合成出力電圧VoSを継続的に生成する。
【0064】
<電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合の入力電圧波形と合成入力電圧波形>
次に、電力変換セル101の2次側変換器121を停止させる場合の各電力変換セル101〜104の入力電圧Vi1〜Vi4の波形、および、これらを合成した合成入力電圧ViSの波形について、説明する。
なお、2次側変換器121を停止させる場合においても、1次側変換器111を制御するのは、1次側に流れる電流を所定の電流値で流すため、および1次側の所定の電力を保つために、1次側変換器111を制御してやる必要があるからである。
【0065】
図13は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101の2次側変換器121を停止させる場合の各電力変換セル101〜104の入力電圧Vi1〜Vi4の波形、および、これら入力電圧を合成した合成入力電圧ViSの波形の一例を示す図である。
図13において、縦軸に入力電圧Vi1〜Vi4と合成入力電圧ViSと1次側直流リンク電圧の目標値Vを示し、横軸は時刻もしくは時間(時間の推移)である。
また、図13では、電源500の交流周期TAC1の1周期分の波形を示した。そのうち時刻TAC1/4から時刻TAC1/2までの四半周期を対象として、動作モード、および、その継続期間を示す符号A,B1,C,B2を表記している。
【0066】
また、図13の合成入力電圧ViS波形と重ねて示した破線の正弦波1503は、合成入力電圧ViSに含まれる基本波成分である。この基本波成分は合成入力電圧ViSの目標値であると考えてよい。
また、図13では、入力電流Iの波形1513も併せて示した。ただし、入力電流Iに含まれる高調波成分については無視し、基本波成分のみを示した。
以下では、説明の都合上、電力変換装置10の出力における力率がほぼ1であると仮定する。そのため、合成入力電圧ViSの基本波成分(図13の破線1503)が正である場合には入力電流Iも正である。図13の時刻TAC1/4から時刻TAC1/2までの期間において、入力電流I(波形1513)は正である。なお、入力電流Iの正負の極性は、図1に矢印で示した通りである。
【0067】
図13の期間Aにおける制御装置の制御》
図13に示す期間Aにおいて、制御装置300(図1)は、コンデンサ171(図1)を充電するように、電力変換セル101(図1)の1次側コンバータ161(図1)を制御する。具体的には、入力電圧Vi1が、+Vd11(+V)となるように1次側コンバータ161を制御する。
なお、図13では、コンデンサ171の静電容量が十分大きいため、期間Aにおいてコンデンサ171を充電しても1次側直流リンク電圧Vd11は、Vから増大しないと仮定した。
期間Aでは,合成入力電圧ViSを+4Vに制御する。そのため、各電力変換セルの入力電圧Vi1〜Vi4をすべて正(+V)に制御する。
【0068】
図13の期間Aにおける1次側コンバータの回路動作》
図14は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101における1次側コンバータ161の図13の期間Aにおける回路動作の一例を示す図である。
図14においては、例えばMOSFETからなるスイッチング素子M11〜M14を、理想スイッチと逆並列ダイオードによって模擬して表記している。
また、1次側コンバータ161だけでなくコンデンサ171も併せて示している。図14では、電流経路を一点鎖線801の矢印で示している。
図14に示すように、4個のスイッチング素子M11〜M14のうち、左上のスイッチング素子M11と右下のスイッチング素子M14をオン状態にすることで、入力電圧Vi1は正(+Vd11=+V)となり、コンデンサ171を充電する向きに電流が流れる。なお、すべてのスイッチング素子M11〜M14をオフ状態にしても、逆並列ダイオードの作用によって同様の動作が得られる。
【0069】
図13の期間B1における1次側コンバータの回路動作》
図13に示す期間B1において、制御装置300は、電力変換セル101の入力電圧Vi1が0となるように1次側コンバータ161を制御する。このとき、入力電圧Vi1が0であるので、コンデンサ171は充電も放電もされない。したがって、期間B1において1次側直流リンク電圧Vd11は変化しない。
ただし、電力変換セル101の入力電圧Vi1が0に制御されていても、期間B1では、合成入力電圧ViSを+3Vに制御する。そのため、他の電力変換セル102〜104の入力電圧Vi2〜Vi4をすべて正(+V)に制御する。この制御によって、合成入力電圧ViSは+3Vとなる。
【0070】
図15は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101における1次側コンバータ161の図13の期間B1における回路動作の一例を示す図である。
図15に示すように、4個のスイッチング素子M11〜M14のうち、左下のスイッチング素子M12と右下のスイッチング素子M14をオン状態にする。スイッチング素子(M12,M14)の電圧降下を無視すれば入力電圧Vi1は0となる。また、コンデンサ171には電流が流れない。
なお、4個のスイッチング素子M11〜M14のうち、左上のスイッチング素子M11と右上のスイッチング素子M13をオン状態にしても同様に入力電圧Vi1は0となる。
【0071】
図13の期間Cにおける1次側コンバータの回路動作》
図13に示す期間Cにおいて、制御装置300(図1)は、コンデンサ171(図1)を放電するように電力変換セル101(図1)の1次側コンバータ161(図1)を制御する。具体的には、入力電圧Vi1が−Vd11(=−V)となるように1次側コンバータ161を制御する。
入力電流Iが正となる期間に1次側コンバータ161が負の入力電圧Vi1を生成することによって、1次側コンバータ161が電源500に電力を回生してコンデンサ171を放電する。なお、図13では、コンデンサ171の静電容量が十分大きいため、期間Cに渡ってコンデンサ171を放電しても1次側直流リンク電圧Vd11はVから減少しないと仮定している。
期間Cにおいて、電力変換セル101の入力電圧Vi1は負(−V)となるが、他の電力変換セル102〜104の入力電圧Vi2〜Vi4を0または正(+V)に制御することによって、合成入力電圧ViSを0または正に制御できる。
期間Cのように合成入力電圧ViSが+2V以下であれば、電力変換セル101の入力電圧Vi1を負(−V)に制御しても合成入力電圧ViSを目標のレベルに制御することができる。
【0072】
図16は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101における1次側コンバータ161の図13の期間Cにおける回路動作の一例を示す図である。
図16に示すように、4個のスイッチング素子M11〜M14のうち、左下のスイッチング素子M12と右上のスイッチング素子M13をオン状態にすることで、入力電圧Vi1は負(−Vd11=−V)となり、コンデンサ171を放電する向きに電流が流れる。
【0073】
図13の期間B2における1次側コンバータの回路動作》
図13に示す期間B2において、制御装置300は、前記の期間B1と同様に電力変換セル101の入力電圧Vi1が0となるように1次側コンバータ161を制御する。
すなわち、電力変換セル101の1次側コンバータ161の図13の期間B2における回路動作の一例は、期間B1における回路動作を示す図15と同様である。
期間B2では、合成入力電圧ViSが0または+Vであるため、前記の期間B1のようにコンデンサ171を放電することもできる。しかし、1次側直流リンク電圧Vd11を目標値Vに維持するようにコンデンサ171の充放電を制御する必要がある。
そのため、期間B2のように合成入力電圧ViSが+2V以下であってもコンデンサ171を放電しない期間が発生する。
【0074】
図13の0からTAC1/4までの期間における1次側コンバータの回路動作》
図13の時刻0から時刻TAC1/4までの期間においても、前記の時刻TAC1/4から時刻TAC1/2までの期間と同様に制御する。
合成入力電圧VISを+4Vに制御する場合、制御装置300は、コンデンサ171を充電するように制御する。具体的には、入力電圧Vi1が+Vd11(=+V)となるように1次側コンバータ161を制御する。
合成入力電圧ViSを+3Vに制御する場合、制御装置300は、入力電圧Vi1が0となるように1次側コンバータ161を制御する。
合成入力電圧ViSを0〜+2Vに制御する場合、制御装置300は、コンデンサ171を放電するようにする。具体的には、入力電圧Vi1が−Vd11(=−V)となるように1次側コンバータ161を制御するか、もしくは、入力電圧Vi1が0となるように1次側コンバータ161を制御する。
【0075】
図13のTAC1/2からTAC1までの期間における1次側コンバータの回路動作》
図13の時刻TAC1/2から時刻TAC1までの期間において、入力電流Iは負となる。入力電流Iが負となる場合、入力電圧Vi1が正(+Vd11=+V)となるように1次側コンバータ161を制御することで、コンデンサ171が放電される。
【0076】
図17は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101において、入力電流Iが負であり、かつ、コンデンサ171を放電する場合における1次側コンバータ161の回路動作の一例を示す図である。
図17に示すように、4個のスイッチング素子M11〜M14のうち、左上のスイッチング素子M11と右下のスイッチング素子M14をオン状態にすることで、入力電圧Vi1は正(+Vd11=+V)となり、コンデンサ171を放電する向きに電流が流れる。
【0077】
合成入力電圧ViSの毎周期(毎半周期または毎四半周期であってもよい)において、コンデンサ171の充電量と放電量が等しくなるように1次側コンバータ161を制御すれば、1次側直流リンク電圧Vd11は一定の値に維持される。
一方、合成入力電圧ViSの毎周期(毎半周期または毎四半周期であってもよい)において、コンデンサ171の放電量が充電量より小さければ、コンデンサ171の静電容量が十分大きいと仮定しても1次側直流リンク電圧Vd11は徐々に増大する。
前記の期間B2は、合成入力電圧ViSの毎周期(毎半周期または毎四半周期であってもよい)において、コンデンサ171の充電量と放電量を等しくするために設けられる。なお、コンデンサ171の充電量と放電量を等しくできるのであれば、期間B2の一部または全部において期間Aのようにコンデンサ171を充電してもよい。
【0078】
《コンデンサの充電量と放電量を完全に等しく制御できない場合の制御》
以上においては、コンデンサ171の充電量と放電量を完全に等しく制御できる場合について説明した。
しかしながら、制御演算誤差などの何らかの理由によって、コンデンサ171の充電量と放電量を完全に等しく制御できないことも考えられる。
この充電量と放電量を完全に等しく制御できない場合には、フィードバック制御によって1次側直流リンク電圧Vd11を目標値Vに制御する。
図13では、期間C、すなわちコンデンサ171を放電する期間をTc1と定義した。このTc1は、前記のフィードバック制御の操作量として利用できる。何らかの理由によって1次側直流リンク電圧Vd11が目標値Vより高くなった場合、Tc1を大きくする。すなわち、期間Cを延長して、代わりに期間B2を短縮すればよい。
図13に示すようにTc1を定義する場合、Tc1を求めるためのフィードバック制御演算は、合成入力電圧ViSの毎四半周期に行えばよい。
【0079】
《2次側変換器を停止させる場合の各電力変換セルの入力電圧波形と合成入力電圧波形の他の例》
図18は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101の2次側変換器121を停止させる場合の各電力変換セル101〜104の入力電圧Vi1〜Vi4の波形、および、これら入力電圧を合成した合成入力電圧ViSの波形の別(他)の例を示す図である。
図18では、図13と比較して、期間Cと期間B2の順番が逆になっている。
【0080】
以上のように、制御装置300は、電力変換セル101の1次側直流リンク電圧Vd11を所定の電圧に制御すること、および、合成入力電圧ViSを目標レベルに制御することを両方考慮して1次側コンバータ161を動作させる。
この制御によって、1次側直流リンク電圧Vd11を所定の電圧に維持するとともに、1次側直流リンク電圧Vd11を利用して入力電圧Vi1、および、合成入力電圧ViSを継続的に生成できる。
【0081】
《2次側変換器を停止させる場合の各電力変換セルの出力電圧波形と合成出力電圧波形》
図19は、本発明の第1実施形態に係る電力変換セル101の2次側変換器121を停止させる場合の電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4の波形、および、これら出力電圧を合成した合成出力電圧VoSの波形の一例を示す図である。
図19において、縦軸に出力電圧Vo1〜Vo4と合成出力電圧VoSと2次側直流リンク電圧の目標値V2Bを示し、横軸は時刻もしくは時間(時間の推移)である。
また、図19では、電力変換装置10が出力する交流周期TAC2の1周期分の波形を示している。
また、図19の合成出力電圧VoS波形と重ねて示した破線の正弦波1404は、合成出力電圧VoSに含まれる基本波成分である。この基本波成分は合成出力電圧VoSの目標値であると考えてよい。
【0082】
図19において、電力変換セル101の2次側バイパス手段151をオンにしている。そのため、図19に示すように電力変換セル101の出力電圧Vo1は0となる。
また、電力変換セル102〜104は、通常状態と同様に正負パルス状の出力電圧Vo2〜Vo4を生成する。
電力変換セル101の出力電圧Vo1を0とした場合においても、合成出力電圧VoSは、通常状態と同等の振幅と周波数を出力することが望ましい。そのため、図19に示す電力変換セル102〜104の出力電圧Vo1〜Vo4は、通常状態と比べて、パルス波形の振幅やパルス幅を変化させる。
【0083】
図19においては、出力電圧Vo2〜Vo4の振幅を、VからV2Bに変化させる例を示した。この場合、制御装置300は、電力変換セル102〜104の1次側変換器112〜114が制御する2次側直流リンク電圧Vd22〜Vd24の目標値をそれぞれVからV2Bに変更する。
各電力変換セル101〜104の出力電圧Vo1〜Vo4が合成されて、マルチレベル疑似正弦波状の合成出力電圧VoSが生成される。なお、前記したように、電力変換セル101の出力電圧Vo1は、すべての期間で0である。また、電力変換セル102〜104の出力電圧Vo1〜Vo4は振幅がVからV2Bに変化しているとともに、V2Bを出力する期間を、それぞれT22B〜T24Bに拡張する。
また、正負を合わせた合成出力電圧VoSのレベル数は、通常状態の9から7へと減少する。
【0084】
しかしながら、前記のように、2次側直流リンク電圧の目標値V2Bを通常状態のVより大きく設定すれば、通常状態と比べて合成出力電圧VoSのレベル数が減少しても、合成出力電圧VoSの振幅を維持できる。例えば、V2B=(4/3)・Vと設定する。
負荷600がモータである場合、通常状態と比べて回転速度範囲を損なうことなく運転を継続できる。
【0085】
また、出力電圧Vo1〜Vo4の振幅をVからV2Bに変化させない場合もある。つまり、2次側直流リンク電圧の目標値V2Bが通常状態のVと等しい場合、すなわち、2次側直流リンク電圧の目標値を通常状態から変更しない場合、合成出力電圧VoSの振幅は通常状態と比べて減少する。
しかし、合成出力電圧VoSの振幅が減少しても負荷600が動作を継続できる場合には、2次側直流リンク電圧Vd22〜Vd24の目標値を変更しなくてもよい。例えば、負荷600がモータであり、回転速度上限値の減少を許容できる場合などが考えられる。
【0086】
《1次側変換器と2次側変換器を併せて停止させる場合》
また、故障や保全などの理由によって1台の電力変換セル101の1次側変換器111と2次側変換器121の両方を停止させる場合、停止させる電力変換セル101の1次側バイパス手段141と2次側バイパス手段151の両方をオン状態とする。また、他の電力変換セル102〜104については,図12図19を用いて説明した要領で動作させる。
すなわち、1台の電力変換セル101の1次側変換器111と2次側変換器121の両方を停止させた場合においても、他の電力変換セル102〜104を所定の動作をさせることによって、電力変換装置10を継続して動作をさせることが可能である。
【0087】
<第1実施形態の電力変換装置の動作の総括>
以上、説明したように、電力変換装置10は、故障や保全などの理由によって1台の電力変換セル101の2次側変換器121を停止させる場合であっても、電力変換セル101の1次側変換器111を含めた健全な要素を用いて、すみやかに運転を継続できる。
他の電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合であっても、同じ要領で制御することによって、2次側変換器を停止させるセルの1次側変換器を含めた健全な要素を用いて、すみやかに運転を継続できる。
また、2次側変換器を停止させる電力変換セルの1次側変換器を動作させることによって、1次側直流リンク電圧を増大させることなく合成入力電圧ViSの振幅を通常状態と同じ大きさ維持できる。そのため、電力変換装置10は通常状態と同様に電源500から電力を受電し、動作を継続できる。また、通常状態と比べて合成入力電圧ViSのレベル数や1レベルあたりの電圧は同じである。そのため、入力電流の高調波成分が増大することはなく、1次側変換器が発する電磁ノイズが増大することもない。
【0088】
<第1実施形態の効果>
以上で説明した第1実施形態の構成を用いることで、複数の電力変換セルから構成され、各々の電力変換セルがトランスと1次側変換器と2次側変換器を備える電力変換装置において、故障や保全などの理由によって一部の電力変換セルにおける1次側変換器または2次側変換器のいずれか一方を停止させる場合においても、同電力変換セルにおける1次側変換器または2次側変換器のうち停止させない方を含めた健全な要素を用いて、出力電力の品質を保ちつつ、すみやかに運転を継続できる高信頼の電力変換装置を提供する。以上のことが予備の電力変換セル(セル)を設けることなく実現できる。
【0089】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態として、第1実施形態の電力変換装置10を3台、用いた三相電力変換装置20について説明する。
図20は、本発明の第2実施形態に係る三相電力変換装置20の回路構成例を示すブロック図である。
図20において、三相電力変換装置20は、第1実施形態で説明した電力変換装置10を3台備えている。そして、三相電力変換装置20は、外部の三相交流電源501から入力される三相交流電力を変換して、外部の三相負荷601に三相交流電力を出力する。三相負荷601の例として誘導モータなどの三相モータが考えられるが、他種の電気機器であってもよい。
【0090】
図20に示すように、3台の電力変換装置10が備える二つの入力端子のうち、それぞれの一方の入力端子が三相分の入力端子401A,401B,401Cを構成して、三相交流電源501と接続される。なお、三相交流電源501は、3台の単相の交流電源500A,500B,500CをY結線して構成される。
また、3台の電力変換装置10が備える二つの入力端子のうち、それぞれのもう一方の入力端子402A,402B,402Cは、互いに接続されてY結線の三相交流回路における中性点402Nを構成する。
【0091】
また、3台の電力変換装置10が備える二つの出力端子のうち、それぞれの一方の出力端子が三相分の出力端子411A,411B,411Cを構成して、負荷である三相モータ601と接続される。なお、三相モータ601は、3個のコイル601A,601B,601CをY結線(中性点601N)されて構成される。
また、3台の電力変換装置10が備える二つの出力端子のうち、それぞれのもう一方の出力端子412A,412B,412Cは、互いに接続されてY結線の三相交流回路における中性点412Nを構成する。
【0092】
以上の構成において、第1実施形態で説明した機能、作用により、三相電力変換装置20が備える電力変換装置10のそれぞれは、中性点を基準として単相交流の合成入力電圧を生成できる。
また、3台分の電力変換装置10が生成する合成入力電圧を用いて、三相電力変換装置20は、中性点412Nを基準とした三相交流電圧を生成できる。
また、三相電力変換装置20は、3台の電力変換装置10がそれぞれ備えるリアクトル400(図1)を介して三相交流電源501と接続される。
3台分の電力変換装置10にそれぞれ備えられる制御装置300(図1)は、3台の電力変換装置10の合成入力電圧によって生成される三相交流電圧の振幅と位相を制御することによって、三相交流電源501から入力される電力を制御できる。
また、制御装置300は、3台の電力変換装置10の合成出力電圧によって生成される三相交流電圧の振幅と位相を制御し、三相負荷601に出力する。
【0093】
<第2実施形態の効果>
以上によって、三相交流を入出力する三相電力変換装置20においても、第1実施形態で述べた単相交流における同様の効果を得ることができる。すなわち、三相電力変換装置20において、故障や保全などの理由によって一部の電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合であっても、1次側変換器を停止させる電力変換セルの2次側変換器を含めた健全な要素を用いて、出力電力の品質を保ちつつ、すみやかに運転を継続できる。また、一部の電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合であっても、2次側変換器を停止させる電力変換セルの1次側変換器を含めた健全な要素を用いて、出力電力の品質を保ちつつ、すみやかに運転を継続できる。以上のことが予備の電力変換セル(セル)を設けることなく実現できる。
【0094】
≪第3実施形態≫
次に、直流電圧(電力)を電源とする電力変換装置を第3実施形態として説明する。
図21は、本発明の第3実施形態に係る電力変換装置30の回路構成例を示すブロック図である。図21において、電力変換装置30は、外部の直流電源502から入力される電力を可変の周波数と可変の電圧の交流電力に変換して、この出力電力を外部の負荷602に供給する。
また、図21において、電力変換装置30は、複数の電力変換セル221〜224と制御装置301を備える。また、電力変換装置30では、電力変換セル221〜224のそれぞれの入力端子431,432が並列に接続されている。また、同様に電力変換セル221〜224のそれぞれの出力端子が直列に接続されている。そして、電力変換装置30は、出力端子441,442から交流の出力電圧(電力)を負荷602に供給している。
【0095】
以上の構成で第3実施形態が第1実施形態と異なるのは、外部の電源を直流電源502として、この直流電圧(電力)を複数の電力変換セル221〜224に並列に供給したことである。
そのため、第3実施形態では電力変換セル221〜224における1次側変換器231〜234が第1実施形態における1次側変換器111〜114と異なっている。
また、第3実施形態では外部の直流電源502の電圧(電力)を電力変換セル221〜224に並列に供給しているため、第1実施形態における1次側バイパス手段141〜144を不要としている。
また、第3実施形態では外部の直流電源502の直流電圧を用いているため、第1実施形態におけるリアクトル400を不要としている。
なお、以上の接続方法によって,直流電源502が比較的低圧である場合であっても、電力変換装置30の外部に昇圧トランスを設けることなく電力変換装置30から負荷602に高電圧を出力できる。
以下においては、第3実施形態の電力変換装置30が第1実施形態の電力変換装置10と異なる点を中心に説明する。また、重複する説明は、適宜、省略する。
【0096】
図21において、電力変換セル221〜224は、1次側変換器231〜234、2次側変換器121〜124、トランス131〜134、2次側バイパス手段151〜154をそれぞれ備える。
前記したように、2次側変換器121〜124、トランス131〜134、2次側バイパス手段151〜154については、第1実施形態と同様の構成であり、重複する説明は、適宜、省略する。
以下においては、1次側変換器231〜234を主として説明する。
【0097】
1次側変換器231〜234は、第1実施形態の1次側変換器111〜114と同様に1次側インバータ181〜184をそれぞれ備える。
第1実施形態における1次側変換器111〜114と異なり、1次側変換器231〜234には1次側直流リンク電圧Vd11〜Vd14が存在しない。
1次側インバータ181〜184の具体的な回路方式として、第1実施形態で説明した図2の回路構成における1次側インバータ181の回路をそれぞれ適用できる。
1次側インバータ181〜184は、各電力変換セル221〜224の入力電圧Vi1〜Vi4を交流電圧に変換してトランス131〜134の1次巻線にそれぞれ印加する。
【0098】
トランス131〜134と2次側変換器121〜124は、前記したように、第1実施形態で説明したように動作する。
2次側変換器121〜124の出力端子、すなわち電力変換セル221〜224の出力端子が直列に接続されていることから、電力変換セル221〜224の出力電圧Vo1〜Vo4の合成電圧が出力端子411,412を介して負荷602に出力される。
第1実施形態と同様に、電力変換セル221〜224の出力電圧Vo1〜Vo4を合成した電圧を合成出力電圧VoSと定義する。電力変換装置30の出力電流I、および、電力変換セル221〜224の出力電流Iはすべて共通である。
【0099】
《通常状態における電力変換装置の動作》
通常状態における電力変換装置30の動作を説明する。
制御装置301は、すべての2次側バイパス手段151〜154をオフ状態にするとともに、第1実施形態の図4を用いて説明した要領で電力変換セル221〜224を動作させる。この動作の詳細については、第1実施形態での説明と重複するので省略する。
【0100】
《電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合の電力変換装置の動作》
故障や保全などの理由によって、1台の電力変換セル221の1次側変換器231を停止させる場合の電力変換装置30の動作を説明する。
制御装置301は、通常状態と同様にすべての2次側バイパス手段をオフ状態にするとともに、第1実施形態の図6図11を参照して説明した要領で電力変換セル221〜224を動作させる。動作の詳細については、説明が重複するので省略する。
なお、電力変換セル222〜224の1次側インバータ182〜184と、電力変換セル221〜224の2次側変換器121〜124を前記のように動作させることによって、電力変換装置30の機能、動作に支障なく、電力変換セル221の1次側変換器231を停止させることができる。
【0101】
以上によって、電力変換装置30は、故障や保全などの理由によって1台の電力変換セル221の1次側変換器231を停止させる場合であっても、電力変換セル221の2次側変換器121を含めた健全な要素を用いて運転を継続できる。
他の電力変換セル222〜224の1次側変換器を停止させる場合であっても、同じ要領で制御することによって、1次側変換器を停止させる電力変換セルの2次側変換器を含めた健全な要素を用いて運転を継続できる。
【0102】
《電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合の電力変換装置の動作》
故障や保全などの理由によって、1台の電力変換セル221の2次側変換器121を停止させる場合の電力変換装置30の動作を説明する。
制御装置301は、2次側変換器を停止させる電力変換セル221の2次側バイパス手段151をオン状態にするとともに、第1実施形態の図19を用いて説明した要領で各電力変換セルを動作させる。動作の詳細については、説明が重複するので省略する。
【0103】
以上によって、電力変換装置30は、故障や保全などの理由によって1台の電力変換セル221の2次側変換器121を停止させる場合であっても、電力変換セル221の1次側変換器231を含めた健全な要素を用いて、出力電力の品質を保ちつつ、すみやかに運転を継続できる
他の電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合であっても、同じ要領で制御することによって、2次側変換器を停止させる電力変換セルの1次側変換器を含めた健全な要素を用いて、出力電力の品質を保ちつつ、すみやかに運転を継続できる。
なお、故障や保全などの理由によって1台の電力変換セル221の1次側変換器231と2次側変換器121の両方を停止させる場合についても、同じ要領で制御することによって電力変換装置30は動作を継続できる。
【0104】
<第3実施形態の効果>
以上で説明した第3実施形態の構成を用いることで、故障や保全などの理由によって一部の電力変換セルにおける1次側変換器または2次側変換器のいずれか一方を停止させる場合においても、同電力変換セルにおける1次側変換器または2次側変換器のうち停止させない方を含めた健全な要素を用いて、出力電力の品質を保ちつつ、すみやかに運転を継続できる高信頼の電力変換装置を提供する。以上のことが予備の電力変換セル(セル)を設けることなく実現できる。
【0105】
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態として、第3実施形態の電力変換装置30を3台、用いた三相電力変換装置40について説明する。
図22は、本発明の第4実施形態に係る三相電力変換装置40の回路構成例を示すブロック図である。
図22において、三相電力変換装置40は、第3実施形態で説明した電力変換装置30を3台備えている。そして、三相電力変換装置40は、外部の直流電源502から入力される直流電圧(電力)を変換して、外部の三相負荷603に三相交流電力を出力する。三相負荷603の例として誘導モータなどの三相モータが考えられるが、他種の電気機器であってもよい。
【0106】
図22に示すように、3台の電力変換装置30におけるそれぞれの入力端子は、互いに並列に接続され、三相電力変換装置40の入力端子431,432となっている。そして、三相電力変換装置40の入力端子431,432は、直流電源502と接続され、直流電圧(電力)を入力している。
【0107】
また、3台の電力変換装置30が備える二つの出力端子のうち、それぞれの一方の出力端子が三相分の出力端子441A,441B,441Cを構成して、負荷である三相モータ603と接続される。なお、三相モータ603は、3個のコイル603A,603B,603CをY結線(中性点603N)して構成されている。
また、3台の電力変換装置30が備える二つの出力端子のうち、それぞれのもう一方の出力端子442A,442B,442Cは、互いに接続されてY結線の三相交流回路における中性点442Nを構成する。
以上によって、三相交流を出力する三相電力変換装置40が構成される。
【0108】
<第4実施形態の効果>
以上の構成によって、三相交流を出力する三相電力変換装置40においても単相交流を出力する電力変換装置30と同等の効果が得られる。
すなわち、三相電力変換装置40において、故障や保全などの理由によって一部の電力変換セルの1次側変換器を停止させる場合であっても、1次側変換器を停止させる電力変換セルの2次側変換器を含めた健全な要素を用いて、出力電力の品質を保ちつつ、すみやかに運転を継続できる高信頼の電力変換装置を提供する。
また、一部の電力変換セルの2次側変換器を停止させる場合であっても、2次側変換器を停止させる電力変換セルの1次側変換器を含めた健全な要素を用いて、出力電力の品質を保ちつつ、すみやかに運転を継続できる高信頼の電力変換装置を提供する。以上のことが予備の電力変換セル(セル)を設けることなく実現できる。
【0109】
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を追加・削除・置換をすることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
【0110】
《電力変換装置のその他の構成》
図1および図21においては、電力変換セルを4台利用する例を示したが、台数については任意である。台数が多いほど、出力電圧が正弦波に近付き、品質が良くなる。
また、電力変換装置10および電力変換装置30は、図1あるいは図21に記載した以外に、ブレーカやリレーなどの制御部品、ヒューズなどの保護部品、電圧や電流を検出するためのセンサ、ノイズフィルタを備えていてもよい。
【0111】
《リアクトル》
前記したように、図1において、電力変換装置10は、電源500との接続部にリアクトル400を備える。すなわち、入力電流Iが流れる経路にリアクトル400が挿入されている。しかし挿入箇所は、図1に限定されない。同様に入力電流Iが流れる経路に複数のリアクトルが挿入されていてもよい。
なお、電力変換装置10と負荷600との接続部にも同様にリアクトルを備えていてもよいが、負荷600がモータであれば省略できる。
【0112】
《スイッチング素子》
図2図3においては、スイッチング素子としてMOSFETで説明した。しかし、スイッチング素子はMOSFETに限定されない。例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)やバイポーラトランジスタやスーパージャンクションMOSFETなど他種のスイッチング素子を利用してもよい。
なお、スイッチング素子としてMOSFETの場合は、MOSFETを構成する半導体構造のなかに逆並列ダイオードが寄生して形成される。この寄生する逆並列ダイオードの電気特性が所望の特性を満たさない場合には、逆並列ダイオードを外付けで配置、接続してもよい。
また、IGBTやバイポーラトランジスタなど他種のスイッチング素子を用いた際に、逆並列ダイオードを外付けで配置、接続してもよい。
【0113】
《検出器》
図2においては、1次側変換器111に1次側直流リンク電圧Vd11を検出するための電圧検出器F1を備え、図3においては、2次側変換器121に2次側直流リンク電圧Vd21を検出するための電圧検出器F2を備えている。しかし検出器はこれらに限定されない。
1次側変換器111、2次側変換器121、あるいは電力変換セル101に、前記の電圧検出器の他に、他の箇所の電圧を検出するための電圧検出器や、電流や温度の検出を行う検出器を備えていてもよい。
【0114】
《1次側コンバータの回路方式》
図2では、1次側コンバータ161の具体的な回路方式として、4個のスイッチング素子M11〜M14を用いたHブリッジ回路を示した。しかし、同様の電力変換ができれば、他の回路方式を用いてもよい。
【0115】
《1次側インバータの具体的な回路方式》
図2では、1次側インバータ181の具体的な回路方式として、4個のスイッチング素子M15〜M18を用いたHブリッジ回路の出力端子にコイル482とコンデンサ483が接続された回路を示した。しかし、1次側直流リンク電圧Vd11を変換してトランス131に交流電圧を印加できれば、他の回路方式を用いてもよい。
【0116】
《2次側コンバータ》
図3では、2次側コンバータ191の具体的な回路方式として、ダイオードブリッジ回路(D21〜D24)を示した。しかし、同様の電力変換ができれば、他の回路方式を用いてもよい。
例えば、1次側コンバータ161のように4個のスイッチング素子を用いたHブリッジ回路とすることもできる。
なお、図3における1次側コンバータ161としてHブリッジ回路を用いた場合には、図2に示した1次側インバータ181、トランス131、および図3の2次側コンバータ191によって絶縁型DC−DCコンバータの一種である共振型コンバータが構成される。共振型コンバータ自体は公知技術であるため、詳細な説明については省略する。
【0117】
《2次側インバータ》
図3では、2次側インバータ211の具体的な回路方式として、4個のスイッチング素子M25〜M28を用いたHブリッジ回路を示した。しかし、2次側直流リンク電圧Vd21を交流電圧に変換できれば、他の回路方式を用いてもよい。
【0118】
《出力電圧のパルス幅とローテーション》
図4において,出力電圧Vo1〜Vo4のパルス幅をT21〜T24と定義した。そして、T21>T22>T23>T24の例を示した。しかしこの構成に限らない。
図示については省略するが、出力電圧Vo1,Vo2,Vo3,Vo4のパルス幅をそれぞれT22,T23,T24,T21としてもよい。すなわち、T21〜T24の4通りのパルス幅をどの電力変換セルに割り当てるかについては任意である。
また、合成出力電圧VoSの周期(半周期または四半周期であってもよい)毎にパルス幅の割り当てをローテーションしてもよい。これによって、合成出力電圧VoSの周期TAC2より十分長い時間を考えた場合、各電力変換セルの出力電力(の時間平均値)は等しくなる。
【0119】
《入力電圧のパルス幅とローテーション》
図5において、入力電圧Vi1〜Vi4のパルス幅をそれぞれT11〜T14と定義して説明した。しかし、この方法に限定されない。
図示については省略するが、例えば、入力電圧Vi1,Vi2,Vi3,Vi4のパルス幅をそれぞれT12,T13,T14,T11としてもよい。
すなわち、T11〜T14の4通りのパルス幅をどの電力変換セルに割り当てるかについては任意である。
また、合成入力電圧ViSの波形の周期(半周期または四半周期であってもよい)毎にパルス幅の割り当てをローテーションしてもよい。この方法によって、合成入力電圧ViSの周期TAC1より十分長い時間を考えた場合に、各電力変換セルの入力電力(の時間平均値)は等しくなる。
【0120】
《コンデンサの充放電の制御》
図6に示した各電力変換セルの出力電圧Vo1〜Vo4の波形と合成出力電圧VoSの波形と、図7図10において、コンデンサ201の充放電について説明した。しかし、コンデンサ201の充放電の制御については、前記の方法に限定されない。
例えば、制御装置300が出力電流Iをセンサ(不図示)によって検出し、その極性を判定することによって、コンデンサ201を充電する場合の出力電圧Vo1の極性を決定してもよい。
この構成によって、電力変換装置10の出力における力率が1でない場合であっても、制御装置300は、出力電流Iの極性に応じてコンデンサ201を充電できる。
【0121】
合成出力電圧VoSの毎周期(毎半周期または毎四半周期であってもよい)において、コンデンサ201の充電量と放電量が等しくなるように2次側インバータ211を制御すれば、2次側直流リンク電圧Vd21は一定の値に維持される。
しかし、合成出力電圧VoSの毎周期(毎半周期または毎四半周期であってもよい)において、コンデンサ201の充電量が放電量より小さければ、コンデンサ201の静電容量が十分大きいと仮定しても、2次側直流リンク電圧Vd21は徐々に増大する。
前記の期間b2は、合成出力電圧VoSの毎周期(毎半周期または毎四半周期であってもよい)において、コンデンサ201の充電量と放電量を等しくするために設けられている。
なお、コンデンサ201の充電量と放電量を等しくできるのであれば、期間b2の一部または全部において期間aのようにコンデンサ201を放電してもよい。
【0122】
また、制御演算誤差などの何らかの理由によって、コンデンサ201の充電量と放電量を完全に等しく制御できないことも考えられる。その場合には、フィードバック制御によって2次側直流リンク電圧Vd21を目標値Vに制御する。
図6においては、期間c、すなわち、コンデンサ201を充電する期間をTc2と定義した。このTc2は、前記のフィードバック制御の操作量として利用できる。
また、何らかの理由によって、2次側直流リンク電圧Vd21が目標値Vより高くなった場合には、Tc2を小さく、すなわち、期間cを短縮して代わりに期間b2を延長すればよい。
図6に示すようにTc2を定義する場合には、Tc2を求めるためのフィードバック制御演算は、合成出力電圧VoSの毎四半周期に行えばよい。
【0123】
《充放電する期間の分割》
図11では、図6と比較して、期間cと期間b2との順番が逆になっている例を示した。ただし、充電する期間の設定は、この例に限定されない。
なお、図示については省略するが、合成出力電圧VoSの波形の四半周期において、コンデンサ201を充電する期間cが2箇所以上に分割されていてもよい。
また、図18では、図13と比較して、期間Cと期間B2との順番が逆になっている例を示した。ただし、放電する期間の設定は、この例に限定されない。
図示については省略するが、例えば、合成入力電圧ViSの四半周期において、コンデンサ171を放電する期間Cが2箇所以上に分割されていてもよい。
【0124】
《コンデンサを放電する場合の入力電圧の極性》
第1実施形態において、図13の時刻TAC1/2から時刻TAC1までの期間において、入力電流Iは負となる。入力電流Iが負となる場合、入力電圧Vi1が正(+Vd11=+V)となるように1次側コンバータ161を制御することで、コンデンサ171が放電されることを説明した。この方法は、電力変換装置10の入力における力率が1であると仮定し、制御装置300が図17に示す4個のスイッチング素子M11〜M14を制御するものである。
しかしながら、電力変換装置10の入力における力率が1であるとは限らない。このような場合に対処する方法として、入力電流Iをセンサ(不図示)によって検出して利用する方法もある。すなわち、制御装置300が入力電流Iをセンサによって検出し、その極性を判定することによって、コンデンサ171を放電する場合の入力電圧Vi1の極性を決定する方法である。
この構成では、電力変換装置10の入力における力率が1でない場合であっても、制御装置300は、入力電流Iの極性に応じてコンデンサ171を放電できる。
【0125】
《制御装置の兼用》
図20において、三相電力変換装置20は、電力変換装置10を3台備えている。それぞれの電力変換装置10は、制御装置300(図1)を1台備えている。
したがって、三相電力変換装置20は、制御装置300を3台備えている。三相電力変換装置20は、これら3台の制御装置300を1台の制御装置に統合してもよい。
【0126】
《中性線の結線》
第2実施形態を示す図20においては、前記したように、三相電力変換装置20において、3台の電力変換装置10が備える二つの入力端子のうち、それぞれのもう一方の入力端子402A,402B,402Cが互いに接続されてY結線の中性点402Nを有している。
また、3台の電力変換装置10が備える二つの入力端子のうち、それぞれのもう一方の出力端子412A,412B,412Cが互いに接続されてY結線の中性点412Nを有している。
また、三相交流電源501が備える3台の交流電源500A,500B,500CがY結線で構成されて、中性点500Nを有している。
また、三相モータ601は、3個のコイル600A,600B,600CがY結線で構成されて、中性点600Nを有している。
これらの中性点402N,412N,500N,600Nは、図20に示すように分離されていてもよいが、この方法に限定されない。
例えば、中性点402N,412N,500N,600Nのいずれか、または、すべてを、直接、もしくは所定の抵抗を介して、グラウンド(アース)に接続してもよい。
【0127】
《3相負荷》
図20に示す三相負荷(三相モータ)601、および図22に示す三相負荷(三相モータ)603は、Y結線の例を示した。しかし、三相負荷(三相モータ)601,603は、Y結線に限定されない。
三相負荷(三相モータ)601,603がΔ結線の場合においても、本発明の第2実施形態の三相電力変換装置20および第4実施形態の三相電力変換装置40を用いることは有効である。
【0128】
《第3実施形態の応用例》
図21に示した第3実施形態の電力変換装置30における負荷602の例としてモータで説明したが、この例に限定されない。
例えば、電力変換装置30を太陽光発電などのPCS(Power Conditioning System:パワーコンディショナー)に応用できる。PCSによって、太陽光パネルで発電した直流電流を、家電で一般的に使われる交流電流(交流電力)に変換することができる。
【符号の説明】
【0129】
10,30 電力変換装置
20,40 三相電力変換装置
101〜104,221〜224 電力変換セル
111〜114,231〜234 1次側変換器
121〜124 2次側変換器
131〜134 トランス
141〜144 1次側バイパス手段
151〜154 2次側バイパス手段
161〜164 1次側コンバータ
171〜174,201〜204,483 コンデンサ
181〜184 1次側インバータ
191〜194 2次側コンバータ
211〜214 2次側インバータ
300,301 制御装置
400,482 リアクトル、コイル
500,501A,501B,501C 交流電源、電源
501 三相交流電源
402N,412N,442N,501N,601N,603N 中性点
502 直流電源、電源
600,601A,601B,601C,602,603A,603B,603C 負荷、モータ
601,603 三相負荷、三相モータ
D21〜D24 ダイオード
F1,F2 電圧検出器
M11〜M18,M25〜M28 スイッチング素子、MOSFET
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】