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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年12月13日
【発行日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20191129BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20191129BHJP
   H01Q 5/378 20150101ALI20191129BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H01Q13/08
   H01Q1/38
   H01Q5/378
   H01Q21/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2019-523452(P2019-523452)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2017-111465(P2017-111465)
(32)【優先日】2017年6月6日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 正裕
(72)【発明者】
【氏名】山田 良樹
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA07
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021CA03
5J021HA10
5J021JA03
5J021JA07
5J045AA03
5J045AB05
5J045DA10
5J046AA07
5J046AB13
5J046PA07
(57)【要約】
アンテナ(10)は、誘電体基材(20)、放射素子(30)、無給電素子(40)、および、接地導体(50)を備える。誘電体基材(20)は、互いに対向する表面と裏面を有する平板状である。放射素子(30)は、誘電体基材(20)における表面と裏面との間に配置され、第1周波数の高周波信号を送受信する。無給電素子(40)は、誘電体基材(20)における表面に配置され、第2周波数の高周波信号を送受信する。接地導体(50)は、誘電体基材(20)における裏面に配置されている。第2周波数は、第1周波数よりも低周波数である。誘電体基材(20)は、表面と裏面とに直交する厚み方向の途中位置に、第2周波数の高周波信号を反射する電界の界面(200)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する表面と裏面を有する平板状の誘電体基材と、
前記誘電体基材における前記表面と前記裏面との間に配置され、第1周波数の高周波信号を送受信する放射素子と、
前記誘電体基材における前記表面に配置され、前記第2周波数の高周波信号を送受信する無給電素子と、
前記誘電体基材における前記裏面に配置された接地導体と、
を備え、
前記第2周波数は、前記第1周波数よりも低周波数であり、
前記誘電体基材は、
前記表面と前記裏面とに直交する厚み方向の途中位置に、前記第2周波数の高周波信号を反射する電界の界面を有する、
アンテナ。
【請求項2】
前記誘電体基材は、
第1比誘電率を有する第1誘電体層と、
前記第1比誘電率よりも低い誘電率からなる第2比誘電率を有する第2誘電体層と、
を備え、
前記第1誘電体層と前記第2誘電体層とは積層されており、前記第2誘電体層の前記第1誘電体層側と反対側の面は、前記誘電体基材の表面である、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第1比誘電率と前記第2比誘電率との比誘電率の差は、3以上である、
請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第1誘電体層と前記第2誘電体層とは、異なる材質である、
請求項2または請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第1誘電体層と前記第2誘電体層とは、同じ材質であり、
前記第1誘電体層または前記第2誘電体層は、実効比誘電率を変化させる調整部材を有する、
請求項2または請求項3に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記第2誘電体層は、前記第2誘電体層の実効比誘電率を低くする前記調整部材を有する、
請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記第1誘電体層は、前記第1誘電体層の実効比誘電率を高くする前記調整部材を有する、
請求項5または請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記無給電素子を含む複数の無給電素子と、前記放射素子を含む複数の放射素子とを備え、
前記複数の無給電素子と前記複数の放射素子は、配列されている、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数の異なる複数の高周波信号を送受信するアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯通信端末用のアンテナ等として、小型のアンテナ装置が各種実用化されている。例えば、特許文献1、特許文献2には、高周波信号が導体によって給電される放射素子と、電磁界結合を利用した無給電素子とを備えたパッチアンテナが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のアンテナでは、無給電素子は、ループ状スロットアンテナを形成している。特許文献1に記載のアンテナは、放射素子と無給電素子との形状を適宜設定することによって、放射素子で送受信する第1高周波信号の周波数と、無給電素子で送受信する第2高周波信号の周波数とを異ならせている。これにより、特許文献1に記載のアンテナは、二周波共用のアンテナである。
【0004】
特許文献2に記載のアンテナは、無給電素子をブースタアンテナとして利用しており、一周波用のアンテナである。また、特許文献2に記載のアンテナは、放射素子の放射面側と反対側に、折れ曲がり形状のリフレクタ導体を備えており、当該リフレクタ導体の形状によって、放射特性を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−298339号公報
【特許文献2】特開2001−326528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のアンテナは、パッチアンテナとループ状スロットアンテナとの組合せであり、ループ状スロットアンテナは、放射素子と接地導体との間に配置されている。このため、アンテナ全体としての形状は、複雑になり、所望の特性を得ることが容易ではない。
【0007】
特許文献2に記載のアンテナは、リフレクタ導体を用いて、アンテナの特性を調整しており、高周波信号を実際に送受信する放射素子および無給電素子以外の要素を必要とする。また、特許文献2に記載のアンテナでは、二周波共用アンテナに適用した場合、二つの周波数に対して適する形状のリフレクタ導体を容易に実現できない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、二周波に対して所望の特性を得られる簡素且つ小型のアンテナを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のアンテナは、誘電体基材、放射素子、無給電素子、および、接地導体を備える。誘電体基材は、互いに対向する表面と裏面を有する平板状である。放射素子は、誘電体基材における表面と裏面との間に配置され、第1周波数の高周波信号を送受信する。無給電素子は、誘電体基材における表面に配置され、第2周波数の高周波信号を送受信する。接地導体は、誘電体基材における裏面に配置されている。第2周波数は、第1周波数よりも低周波数である。誘電体基材は、表面と裏面とに直交する厚み方向の途中位置に、第2周波数の高周波信号を反射する電界の界面を有する。
【0010】
この構成では、第2周波数の高周波信号に対する無給電素子と接地導体との距離が長くなる。
【0011】
また、この発明のアンテナでは、次の構成であることが好ましい。誘電体基材は、第1比誘電率を有する第1誘電体層と、第1比誘電率よりも低い誘電率からなる第2比誘電率を有する第2誘電体層と、を備える。第1誘電体層と第2誘電体層とは積層されており、第2誘電体層の第1誘電体層側と反対側の面は、誘電体基材の表面である。
【0012】
この構成では、比誘電率の異なる2層の誘電体層の界面が、反射を生じる電界の界面となる。
【0013】
また、この発明のアンテナでは、第1比誘電率と第2比誘電率との比誘電率の差は、3以上であることが好ましい。
【0014】
この構成では、第2周波数の高周波信号に対する帯域の広がりがより確実になる。
【0015】
また、この発明のアンテナでは、第1誘電体層と第2誘電体層とは、異なる材質であるとよい。
【0016】
この構成では、材質の異なる誘電体層の積層によって、反射を生じる電界の界面が形成される。
【0017】
また、この発明のアンテナでは、第1誘電体層と第2誘電体層とは、同じ材質であり、第1誘電体層または第2誘電体層は、実効比誘電率を変化させる調整部材を有していてもよい。
【0018】
これらの構成では、1種類の材質の誘電体基材に対して、反射を生じる電界の界面が形成される。
【0019】
また、この発明のアンテナでは、第2誘電体層は、第2誘電体層の実効比誘電率を低くする調整部材を有していてもよい。
【0020】
この構成では、第2誘電体層の比誘電率を調整して、反射を生じる電界の界面が形成される。
【0021】
また、この発明のアンテナでは、第1誘電体層は、第1誘電体層の実効比誘電率を高くする調整部材を有していてもよい。
【0022】
この構成では、第1誘電体層の比誘電率を調整して、反射を生じる電界の界面が形成される。
【0023】
また、この発明のアンテナは、次の構成であってもよい。アンテナは、上述の無給電素子と同様の形状の複数の無給電素子と、上述の放射素子と同様の形状の複数の放射素子とを備える。複数の無給電素子と複数の放射素子は、配列されている。
【0024】
この構成では、アレイアンテナが形成され、第2周波数の高周波信号に対する複数の無給電素子と接地導体との距離が長くなる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、二周波に対して所望の特性を得られるアンテナを簡素且つ小型に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ10の平面図であり、図1(B)は、アンテナ10の側面断面図である。
図2図2は本発明の第1の実施形態に係るアンテナ10の外観斜視図である。
図3図3(A)は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ10の電界分布を示すシミュレーション結果であり、図3(B)は、比較構成のアンテナの電界分布を示すシミュレーション結果である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ10のR.L.(反射損失)の周波数特性と、比較構成のアンテナのR.L.(反射損失)の周波数特性とを示すグラフである。
図5図5は本発明の第2の実施形態に係るアンテナ10Aの側面断面図である。
図6図6は本発明の第3の実施形態に係るアンテナ10Bの側面断面図である。
図7図7は本発明の第4の実施形態に係るアンテナ10Cの側面断面図である。
図8図8は本発明の第5の実施形態に係るアンテナ10Dの側面断面図である。
図9図9は本発明の第6の実施形態に係るアンテナ10Eの側面断面図である。
図10図10は本発明の第7の実施形態に係るアンテナ10Fの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の第1の実施形態に係るアンテナについて、図を参照して説明する。図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ10の平面図であり、図1(B)は、アンテナ10の側面断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ10の外観斜視図である。
【0028】
図1(A)、図1(B)、図2に示すように、アンテナ10は、誘電体基材20、放射素子30、無給電素子40、接地導体50、および、給電用導体60を備える。
【0029】
誘電体基材20は、平面視して矩形である。誘電体基材20は、第1誘電体層21と第2誘電体層22とを備える。第1誘電体層21と第2誘電体層22とは、平面視して矩形の平膜である。第1誘電体層21と第2誘電体層22とは、互いの平膜面が対向するように、積層されている。第1誘電体層21における第2誘電体層22側の面と反対側の面は、誘電体基材20の裏面であり、第2誘電体層22における第1誘電体層21側の面と反対側の面は、誘電体基材20の表面である。すなわち、誘電体基材20は、互いに対向する表面と裏面とを有し、当該表面および裏面に直交する厚み方向に第1誘電体層21と第2誘電体層22とが積層された構造である。
【0030】
第1誘電体層21は、比誘電率εr1の材質からなる。比誘電率εr1が本発明の「第1比誘電率」に対応する。第1誘電体層21は、例えば、LTCC(低温焼成セラミックス)等からなる。比誘電率εr1は、10以下であることが好ましい。
【0031】
第2誘電体層22は、比誘電率εr2の材質からなる。比誘電率εr2が本発明の「第2比誘電率」に対応する。第2誘電体層22は、例えば、ポリイミド等からなる。比誘電率εr2は、比誘電率εr1よりも低い。より具体的には、比誘電率εr2は、比誘電率εr1よりも3以上低いことが好ましい。
【0032】
第1誘電体層21と第2誘電体層22との比誘電率がこのような関係を有することによって、第1誘電体層21と第2誘電体層22との間には、電界の界面200が形成される。電界の界面200は、第2誘電体層22から第1誘電体層21に向かう電界の一部を反射するように作用する。
【0033】
放射素子30は、平面視において矩形であり、銅(Cu)等の金属からなる。放射素子30は、第1周波数の高周波信号(第1高周波信号)を送受信可能にする寸法で形成されている。なお、ここでの第1周波数とは、周波数軸上の1点の周波数に限るものではなく、所定の周波数幅(周波数帯域)を有する周波数である。
【0034】
放射素子30は、誘電体基材20の厚み方向の途中位置に配置されている。より具体的には、第1誘電体層21と第2誘電体層22との当接面に配置されている。
【0035】
無給電素子40は、平面視において中央に開口を有する矩形であり、銅(Cu)等の金属からなる。無給電素子40の平面面積は、放射素子30の平面面積よりも大きく、第2周波数の高周波信号(第2高周波信号)を送受信可能にする寸法で形成されている。なお、ここでの第2周波数とは、周波数軸上の1点の周波数に限るものではなく、所定の周波数幅(周波数帯域)を有する周波数である。
【0036】
第1周波数は、第2周波数よりも高周波である。言い換えれば、第2周波数は、第1周波数よりも低周波である。例えば、第1周波数は、39GHz帯であり、第2周波数は、26GHz帯である。
【0037】
無給電素子40は、誘電体基材20の表面、すなわち、第2誘電体層22における第1誘電体層21との当接面と反対側の面に配置されている。平面視において、無給電素子40は、放射素子30に重なっている。
【0038】
接地導体50は、銅(Cu)等の金属からなる。接地導体50は、誘電体基材20の裏面の略全面、すなわち、第1誘電体層21における第2誘電体層22との当接面と反対側の面の略全面に配置されている。
【0039】
給電用導体60は、給電端子導体61と接続導体62とを備える。給電端子導体61は、矩形であり、銅(Cu)等の金属からなる。給電端子導体61は、誘電体基材20の裏面に配置されている。給電端子導体61は、導体非形成部500を介して、接地導体50と分離されている。接続導体62は、銀(Ag)ペースト等を用いた所謂ビア導体と称されるものであり、第1誘電体層21を厚み方向に貫通する導体である。接続導体62は、給電端子導体61と放射素子30とを接続している。
【0040】
このような構成において、アンテナ10は、給電用導体60から第1高周波信号用の給電がされると、第1高周波信号を放射素子30から放射する。また、アンテナ10は、給電用導体60から第2高周波信号用の給電がされると、第2高周波信号を無給電素子40から放射する。
【0041】
ここで、上述のように、誘電体基材20には、厚み方向の途中位置に、電界の界面200が形成されている。図3(A)に示すように、第2高周波信号の放射面から接地導体50に向けて、電界の不連続面が生じる。
【0042】
図3(A)は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ10の電界分布を示すシミュレーション結果であり、図3(B)は、比較構成のアンテナ10の電界分布を示すシミュレーション結果である。図3(A)は、比誘電率εr1が6.3で比誘電率εr2が2.3の場合を示す。図3(B)に示す比較構成は、本発明の第1の実施形態に係る構成と構造的には同様の構成であり、比誘電率εr1と比誘電率εr2との差が小さい構成である。図3(A)、図3(B)では、淡色ほど電界強度が強く、濃色ほど電界強度が弱いことを示している。
【0043】
図3(A)、図3(B)に示すように、本発明の第1の実施形態の構成を用いることによって、比較構成と比べて、電界の界面200での電界の不連続性が向上する。
【0044】
特に、比誘電率εr1と比誘電率εr2と差が3以上である場合、図3(A)に示すような電界の界面200における電界の不連続性がより向上する。
【0045】
そして、比誘電率εr1が比誘電率εr2よりも高いことによって、電界の界面200は、無給電素子40から接地導体50に向けて、第2高周波信号を反射する反射面として機能する。これにより、第2高周波信号に対する無給電素子40と接地導体50との距離は、物理的な距離よりも長くなる。したがって、無給電素子40から放射される第2高周波信号の周波数帯域は広くなる。すなわち、第2高周波信号に対する帯域特性は改善し、第2高周波信号に対する所望の放射特性を実現できる。
【0046】
一方、第1高周波信号は、第2高周波信号と比較して高周波数であり、放射素子30は第1誘電体層21と第2誘電体層22との界面に配置されている。したがって、第1高周波信号は、電界の界面200の影響を殆ど受けず、第1高周波信号に対する所望の放射特性を実現できる。
【0047】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ10のR.L.(反射損失)の周波数特性と、比較構成のアンテナのR.L.(反射損失)の周波数特性とを示すグラフである。
【0048】
図4において、f1が第1周波数の周波数帯域を示し、f2が第2周波数の周波数帯域を示す。図4に示すように、比較構成のアンテナでは、第1周波数f1において反射が大きいのに対して、本実施形態のアンテナ10では、第1周波数f1に対して反射が少なく、且つ、所定の反射損失の抑制された周波数帯域の幅を大きく取れる。一方、第2周波数f2に対しても、同様に、反射が少なく、且つ、反射損失の抑制された周波数帯域の幅を大きく取れる。
【0049】
このように、本実施形態のアンテナ10では、二周波に対して広い周波数帯域を実現でき、所望の放射特性を実現できる。そして、本実施形態のアンテナ10では、リフレクタ導体等を用いなくてもよく、第1高周波信号と第2高周波信号とを送受信する最小限の構成要素で、二周波に対して広い周波数帯域を実現できる。すなわち、二周波に対して所望の特性を得られる簡素且つ小型のアンテナを実現できる。
【0050】
なお、上述の説明では、比誘電率εr1と比誘電率εr2との差が3以上である場合のシミュレーション結果を示したが、この差は、アンテナ10として所望とする放射特性に応じて適宜調整が可能である。しかしながら、この差を3以上とすることによって、上述の第2高周波信号の反射による実効的な距離の延長効果は高くなる。したがって、この差は、3以上であることが好ましい。また、上述の説明では、比誘電率εr1を10以下としたが、アンテナ10としての仕様に応じて、10よりも大きくてもよい。しかしながら、比誘電率εr1を10以下とすることによって、第1高周波信号の放射特性の劣化を抑制できる。したがって、比誘電率εr1を10以下とすることが好ましい。
【0051】
次に、本発明の第2の実施形態に係るアンテナについて、図を参照して説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ10Aの側面断面図である。
【0052】
図5に示すように、第2の実施形態に係るアンテナ10Aは、第1の実施形態に係るアンテナ10に対して、放射素子30の位置において異なる。アンテナ10Aの他の構成は、アンテナ10の構成と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0053】
放射素子30は、誘電体基材20における第2誘電体層22の内部に配置されている。このような構成であっても、第1の実施形態と同様に、第2高周波信号に対する無給電素子40から接地導体50までの距離の延長効果を得られる。したがって、アンテナ10Aは、アンテナ10と同様の作用効果を得られる。また、この構成では、放射素子30と無給電素子40との結合を強くできる。また、放射素子30と接地導体50との距離が長くなり、第1高周波信号の帯域も広くできる。
【0054】
次に、本発明の第3の実施形態に係るアンテナについて、図を参照して説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ10Bの側面断面図である。
【0055】
図6に示すように、第3の実施形態に係るアンテナ10Bは、第1の実施形態に係るアンテナ10に対して、放射素子30の位置において異なる。アンテナ10Bの他の構成は、アンテナ10の構成と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0056】
放射素子30は、誘電体基材20における第1誘電体層21の内部に配置されている。このような構成であっても、第1の実施形態と同様に、第2高周波信号に対する無給電素子40から接地導体50までの距離の延長効果を得られる。したがって、アンテナ10Bは、アンテナ10と同様の作用効果を得られる。また、この構成では、放射素子30と無給電素子40との不要な結合を抑制できる。
【0057】
次に、本発明の第4の実施形態に係るアンテナについて、図を参照して説明する。図7は、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ10Cの側面断面図である。
【0058】
図7に示すように、第4の実施形態に係るアンテナ10Cは、第1の実施形態に係るアンテナ10に対して、誘電体基材20Cの構成において異なる。アンテナ10Cの他の構成は、アンテナ10の構成と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0059】
誘電体基材20Cは、同一の材質からなる第1誘電体層201と第2誘電体層202とを備える。すなわち、誘電体基材20Cは、単一の材質からなり、内部構造によって第1誘電体層201と第2誘電体層202とを形成している。
【0060】
第1誘電体層201および第2誘電体層202は、第1の実施形態のアンテナ10の第1誘電体層21と同じ比誘電率を有する材質からなる。第1誘電体層201は、気泡220を有さない。第2誘電体層202は、複数の気泡220を有する。この気泡220が本発明の「調整部材」に対応する。複数の気泡220は、第2誘電体層202の全体に亘って、略均一に配置されていることが好ましい。
【0061】
誘電体基材20Cは、気泡220を有さない単数または複数の誘電体シートと、気泡220を有する複数の誘電体シートとを積層することで実現可能である。
【0062】
このような構成では、第1誘電体層201と第2誘電体層202との材質が同じであっても、複数の気泡220を有する第2誘電体層202の実効比誘電率は、第1誘電体層201の実効比誘電率よりも低くなる。
【0063】
この構成により、第1誘電体層201と第2誘電体層202との界面に、電界の界面200Cを形成できる。これにより、アンテナ10Cの第1誘電体層201と第2誘電体層202との関係は、アンテナ10の第1誘電体層201と第2誘電体層202との関係と略同じになる。したがって、アンテナ10Cは、アンテナ10と同様の作用効果を得られる。
【0064】
なお、本実施形態では、第1誘電体層201に気泡220が含まれない態様を示した。しかしながら、第1誘電体層201の実効比誘電率と第2誘電体層202の実効誘電率との関係が、上述の比誘電率εr1と比誘電率εr2との関係と同じになれば、第1誘電体層201に気泡220が含まれていてもよい。
【0065】
次に、本発明の第5の実施形態に係るアンテナについて、図を参照して説明する。図8は、本発明の第5の実施形態に係るアンテナ10Dの側面断面図である。
【0066】
図8に示すように、第5の実施形態に係るアンテナ10Dは、第1の実施形態に係るアンテナ10に対して、誘電体基材20Dの構成において異なる。アンテナ10Dの他の構成は、アンテナ10の構成と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0067】
誘電体基材20Dは、同一の材質からなる第1誘電体層201と第2誘電体層202とを備える。すなわち、誘電体基材20Dは、単一の材質からなり、内部構造によって第1誘電体層201と第2誘電体層202とを形成している。
【0068】
第1誘電体層201および第2誘電体層202は、第1の実施形態のアンテナ10の第2誘電体層22と同じ比誘電率を有する材質からなる。第1誘電体層201は、複数の導体柱230を有する。この導体柱230が本発明の「調整部材」に対応する。複数の導体柱230は、放射素子30、接地導体50、および、給電用導体60に接続されていない。複数の導体柱230は、第2誘電体層202の全体に亘って、略均一に配置されていることが好ましい。
【0069】
誘電体基材20Dは、導体柱230を有さない誘電体シートと、複数の導体柱230を有する誘電体シートとを積層することで実現可能である。導体柱230は、それぞれにビア導体を備える複数の誘電体シートを積層し、厚み方向に並ぶビア導体を接続することでも、実現可能である。
【0070】
このような構成では、第1誘電体層201と第2誘電体層202との材質が同じであっても、複数の導体柱230を有する第1誘電体層201の実効比誘電率は、第2誘電体層202の実効比誘電率よりも高くなる。
【0071】
この構成により、第1誘電体層201と第2誘電体層202との界面に、電界の界面200Dを形成できる。これにより、アンテナ10Dの第1誘電体層201と第2誘電体層202との関係は、アンテナ10の第1誘電体層201と第2誘電体層202との関係と略同じになる。したがって、アンテナ10Dは、アンテナ10と同様の作用効果を得られる。
【0072】
なお、本実施形態では、第2誘電体層202に導体柱230が含まれない態様を示した。しかしながら、第1誘電体層201の実効比誘電率と第2誘電体層202の実効誘電率との関係が、上述の比誘電率εr1と比誘電率εr2との関係と同じになれば、第2誘電体層202に導体柱230が含まれていてもよい。
【0073】
次に、本発明の第6の実施形態に係るアンテナについて、図を参照して説明する。図9は、本発明の第6の実施形態に係るアンテナ10Eの側面断面図である。
【0074】
図9に示すように、第6の実施形態に係るアンテナ10Eは、第1の実施形態に係るアンテナ10に対して、アレイアンテナである点において異なる。アンテナ10Eの基本的な構成は、アンテナ10の構成と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0075】
アンテナ10Eは、誘電体基材20、複数の放射素子30、複数の無給電素子40、接地導体50、および、複数の給電用導体60を備える。複数の給電用導体60は、給電ライン70に接続されている。
【0076】
誘電体基材20は、第1誘電体層21と第2誘電体層22との積層構造である。複数の放射素子30は、同じ形状である。複数の放射素子30は、第1誘電体層21と第2誘電体層22との界面200に、配列して配置されている。複数の無給電素子40は、同じ形状である。複数の無給電素子40は、誘電体基材20の表面に、配列して配置されている。
【0077】
このような構成とすることによって、アンテナ10Eは、二周波の高周波信号を送受信し、所定の指向性を有するアレイアンテナを実現できる。
【0078】
なお、図9に示す例では、アンテナ10Eは、一方向に配列されたアレイアンテナであるが、直交する二方向に沿って二次元配列されたアレイアンテナであってもよい。
【0079】
次に、本発明の第7の実施形態に係るアンテナについて、図を参照して説明する。図10は、本発明の第7の実施形態に係るアンテナ10Fの側面断面図である。
【0080】
図10に示すように、第7の実施形態に係るアンテナ10Fは、第6の実施形態に係るアンテナ10Eに対して、複数の放射素子30の位置において異なる。アンテナ10Fの他の構成は、アンテナ10Eと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0081】
複数の放射素子30は、上述のアンテナ10、アンテナ10A、または、アンテナ10Bの構成にしたがっており、誘電体基材20における厚み方向の位置が適宜設定されている。例えば、図10に示す態様では、第1の放射素子30は、第1誘電体層201と第2誘電体層202との界面200に配置されており、第2の放射素子30は、第1誘電体層201の内部に配置されており、第3の放射素子30は、第2誘電体層202の内部に配置されている。
【0082】
このような構成であっても、アンテナ10Fは、アンテナ10Eと同様に、二周波の高周波信号を送受信し、所定の指向性を有するアレイアンテナを実現できる。また、このような構成を備えることによって、アンテナ10Fは、第1高周波信号の指向性を調整することができる。これにより、第1高周波信号に対して、さらに多様な放射特性を実現できる。
【0083】
なお、図10に示す例では、アンテナ10Fは、一方向に配列されたアレイアンテナであるが、直交する二方向に沿って二次元配列されたアレイアンテナであってもよい。
【0084】
また、上述の各実施形態では、二周波の例を指名したが、三周波以上にも適用は可能であり、少なくとも最も低周波数の高周波信号には、放射素子を用い、最も高い周波数の高周波信号には無給電素子を用いればよい。
【符号の説明】
【0085】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F:アンテナ
20、20C、20D:誘電体基材
21:第1誘電体層
22:第2誘電体層
30:放射素子
40:無給電素子
50:接地導体
60:給電用導体
61:給電端子導体
62:接続導体
70:給電ライン
200、200C、200D:界面
201:第1誘電体層
202:第2誘電体層
220:気泡
230:導体柱
500:導体非形成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10

【手続補正書】
【提出日】2019年8月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
図3(A)は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ10の電界分布を示すシミュレーション結果であり、図3(B)は、比較構成のアンテナの電界分布を示すシミュレーション結果である。図3(A)は、比誘電率εr1が6.3で比誘電率εr2が2.3の場合を示す。図3(B)に示す比較構成は、本発明の第1の実施形態に係る構成と構造的には同様の構成であり、比誘電率εr1と比誘電率εr2との差が小さい構成である。図3(A)、図3(B)では、淡色ほど電界強度が強く、濃色ほど電界強度が弱いことを示している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
この構成により、第1誘電体層201と第2誘電体層202との界面に、電界の界面200Cを形成できる。これにより、アンテナ10Cの第1誘電体層201と第2誘電体層202との関係は、アンテナ10の第1誘電体層21と第2誘電体層22との関係と略同じになる。したがって、アンテナ10Cは、アンテナ10と同様の作用効果を得られる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
なお、本実施形態では、第1誘電体層201に気泡220が含まれない態様を示した。しかしながら、第1誘電体層201の実効比誘電率と第2誘電体層202の実効誘電率との関係が、上述の比誘電率εr1と比誘電率εr2との関係と同じになれば、第1誘電体層201に気泡220が含まれていてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
第1誘電体層201および第2誘電体層202は、第1の実施形態のアンテナ10の第2誘電体層22と同じ比誘電率を有する材質からなる。第1誘電体層201は、複数の導体柱230を有する。この導体柱230が本発明の「調整部材」に対応する。複数の導体柱230は、放射素子30、接地導体50、および、給電用導体60に接続されていない。複数の導体柱230は、第誘電体層201の全体に亘って、略均一に配置されていることが好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
この構成により、第1誘電体層201と第2誘電体層202との界面に、電界の界面200Dを形成できる。これにより、アンテナ10Dの第1誘電体層201と第2誘電体層202との関係は、アンテナ10の第1誘電体層21と第2誘電体層22との関係と略同じになる。したがって、アンテナ10Dは、アンテナ10と同様の作用効果を得られる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
なお、本実施形態では、第2誘電体層202に導体柱230が含まれない態様を示した。しかしながら、第1誘電体層201の実効比誘電率と第2誘電体層202の実効誘電率との関係が、上述の比誘電率εr1と比誘電率εr2との関係と同じになれば、第2誘電体層202に導体柱230が含まれていてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
また、上述の各実施形態では、二周波の例を使用したが、三周波以上にも適用は可能であり、少なくとも最も低周波数の高周波信号には、放射素子を用い、最も高い周波数の高周波信号には無給電素子を用いればよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
互いに対向する表面と裏面を有する平板状の誘電体基材と、
前記誘電体基材における前記表面と前記裏面との間に配置され、第1周波数の高周波信号を送受信する放射素子と、
前記誘電体基材における前記表面に配置され、第2周波数の高周波信号を送受信する無給電素子と、
前記誘電体基材における前記裏面に配置された接地導体と、
を備え、
前記第2周波数は、前記第1周波数よりも低周波数であり、
前記誘電体基材は、
前記表面と前記裏面とに直交する厚み方向の途中位置に、前記第2周波数の高周波信号を反射する電界の界面を有する、
アンテナ。
【国際調査報告】