特表-18025362IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝三菱電機産業システム株式会社の特許一覧
再表2018-25362超音波接合用ツール及び超音波接合装置
<>
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000003
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000004
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000005
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000006
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000007
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000008
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000009
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000010
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000011
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000012
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000013
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000014
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000015
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000016
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000017
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000018
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000019
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000020
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000021
  • 再表WO2018025362-超音波接合用ツール及び超音波接合装置 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年2月8日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】超音波接合用ツール及び超音波接合装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20181130BHJP
   H01L 31/05 20140101ALI20181130BHJP
【FI】
   B23K20/10
   H01L31/04 570
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2018-531043(P2018-531043)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年8月4日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 明大
(72)【発明者】
【氏名】山田 義人
【テーマコード(参考)】
4E167
5F151
【Fターム(参考)】
4E167BE06
4E167BE09
4E167BE10
4E167DA04
4E167DB09
5F151EA19
5F151GA03
(57)【要約】
本発明は、超音波振動処理後における被接合材の接合性を良好に保つことができる構造の超音波接合用ツールを提供することを目的とする。そして、本発明に係る超音波接合用ツールであるボンディングツール(4)は、当接先端部(4t)における突出領域(8)に複数の突起部(80)を有している。複数の突起部(80)は、突出領域(8)の長手方向であるX方向に沿って長手方向間隔(DX)毎に均等に形成され、X方向において最外に位置するX方向最外突起部(80xe)は、X方向における突出領域(8)の端辺から長手方向端辺距離(EX)を隔てて配置される。そして、複数の突起部(80)は、第1の配置条件{0.349≦EX/DX≦0.510}を満足するように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(11)の表面上に配置された被接合材(12)に対し、上方から加圧するとともに超音波振動を印加して、前記基板の表面上に前記被接合材を接合する超音波振動接合装置に用いられる超音波接合用ツール(4)であって、
前記超音波接合用ツールの先端部(4t)には超音波振動の印加時に前記被接合材に接する突出領域(8)が設けられ、
前記突出領域は互いに分離形成された複数の凸部(80)を有し、前記複数の凸部は第1の方向に沿って第1の間隔毎に均等に形成され、前記第1の方向は前記突出領域の長手方向であり、
前記複数の凸部のうち、前記第1の方向において最外に位置する第1方向最外凸部は、前記第1の方向における前記突出領域の端部から第1方向端部距離を隔てて配置され、
前記複数の凸部は、前記第1の間隔をDX、前記第1方向端部距離をEXとしたとき、第1の配置条件{0.349≦EX/DX≦0.510}を満足するように配置される、
超音波接合用ツール。
【請求項2】
請求項1記載の超音波接合用ツールであって、
前記複数の凸部は、前記突出領域上に第1の方向に沿ってN(≧2)個、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿ってM(≧2)個のN×Mのマトリクス状に形成され、
前記複数の凸部は前記第2の方向に沿って第2の間隔毎に均等に形成され、前記複数の凸部のうち、前記第2の方向において最外に位置する第2方向最外凸部は、前記第2の方向における前記突出領域の端部から第2方向端部距離を隔てて配置され、
前記複数の凸部は、前記第2の間隔をDY、前記第2方向端部距離をEYとしたとき、第2の配置条件{0.349≦EY/DY≦0.510}をさらに満足するように配置される、
超音波接合用ツール。
【請求項3】
請求項2記載の超音波接合用ツールであって、
前記被接合材は、前記第1の方向に沿って前記基板上に配置され導電性を有するリード線を含み、前記リード線の形成長方向が前記第1の方向となり、形成幅方向が前記第2の方向となり、
前記複数の凸部におけるN×Mのマトリクスは{N>M}を満足する、
超音波接合用ツール。
【請求項4】
請求項3記載の超音波接合用ツールと、
前記基板を載置する基板テーブル(10)と、
前記基板上に前記リード線を配置した状態で、前記突出領域から前記リード線上の印加部(12p)に超音波振動が印加されるように前記超音波接合用ツールを駆動する超音波伝達部(6,17)とを備える、
超音波接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は超音波接合用ツールに関し、特に、太陽電池などの製造に於いて、超音波振動を活用して電極線を接合する超音波接合装置に用いられる超音波接合用ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
被接合材であるワークへ加圧(必要により加温)し超音波振動を伝達する先端金具として超音波接合用ツールがあり、超音波接合用チップ、超音波接合用ホーンとも呼ばれている。
【0003】
超音波接合用ツールの材料、構造や、超音波接合用ツールを用いた超音波接合装置に関する技術が、例えば、特許文献1〜特許文献4に開示されている。これらの先行技術文献において、超音波接合用ツールに関し、被接合材に対する接合性の向上及び接合強度の向上、並びに低コスト化が図れる技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−231402号公報
【特許文献2】特開2005−297055号公報
【特許文献3】特開2005−254323号公報
【特許文献4】特開2005−177812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した超音波接合用ツールの先端部は超音波振動の印加時に被接合材に接する突出領を有し、この突出領域に複数の突起部が形成されるのが一般的であった。
【0006】
一方、被接合材に対する接合性、接合強度の向上、低コスト化の実現を図るべく、被接合材に対し広範囲の接合領域を一回の超音波接合動作にて処理できるようにしたい要望があった。この要望を実現するためには、突出領域を広く形成する必要があり、突出領域を広くするに伴い複数の突起部の形成数(以下、「突起部形成数」と呼ぶ)が増加することになる。
【0007】
しかしながら、複数の突起部における突起部形成数を多くし過ぎると、必然的に超音波接合後における被接合材の剥離強度にバラツキが生じてしまい、被接合材は良好な接合性を保てないという問題点があった。
【0008】
本発明では、上記のような問題点を解決し、突起部形成数を多くしても、超音波振動処理後における被接合材の接合性を良好に保つことができる構造の超音波接合用ツールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる超音波接合用ツールは、基板の表面上に配置された被接合材に対し、上方から加圧するとともに超音波振動を印加して、前記基板の表面上に前記被接合材を接合する超音波振動接合装置に用いられる超音波接合用ツールであって、前記超音波接合用ツールの先端部には超音波振動の印加時に前記被接合材に接する突出領域が設けられ、前記突出領域は互いに分離形成された複数の凸部を有し、前記複数の凸部は第1の方向に沿って第1の間隔毎に均等に形成され、前記第1の方向は前記突出領域の長手方向であり、前記複数の凸部のうち、前記第1の方向において最外に位置する第1方向最外凸部は、前記第1の方向における前記突出領域の端部から第1方向端部距離を隔てて配置され、前記複数の凸部は、前記第1の間隔をDX、前記第1方向端部距離をEXとしたとき、第1の配置条件{0.349≦EX/DX≦0.510}を満足するように配置される。
【発明の効果】
【0010】
この発明における超音波接合用ツールにおける突出領域は、第1の方向に沿って第1の間隔毎に均等に形成される複数の凸部を有し、複数の凸部は上述した第1の配置条件を満足して配置される。
【0011】
このため、この発明における超音波接合用ツールを用いた超音波振動処理時において、被接合材に与える荷重分布をバラツキの少ない良好な分布に設定することができるため、複数の突起の形成数である突起部形成数を多くしても、被接合材の剥離強度のバラツキを抑制し、被接合材の基板への良好な接合性を保つことができる効果を奏する。
【0012】
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】太陽電池積層膜上に導電性を有するリード線が接合された状態を示す斜視図である。
図2】実施の形態であるボンディングツールが用いられる加圧式の超音波接合装置の全体構成を示す説明図である。
図3】実施の形態であるボンディングツールにおける先端把持部及び当接先端部の詳細を示す説明図である。
図4】実施の形態のボンディングツールにおける突出領域の詳細を示す説明図である。
図5図4で示した突起部の構成例の詳細を示す説明図である。
図6】超音波接合装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
図7】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第1の実験結果を示すグラフ(その1)である。
図8】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第1の実験結果を示すグラフ(その2)である。
図9】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第1の実験結果を示すグラフ(その3)である。
図10】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第2の実験結果を示すグラフ(その1)である。
図11】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第2の実験結果を示すグラフ(その2)である。
図12】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第2の実験結果を示すグラフ(その3)である。
図13】張り出し率HRが第1の配置条件を満足しない場合の第3の実験結果を示すグラフ(その1)である。
図14】張り出し率HRが第1の配置条件を満足しない場合の第3の実験結果を示すグラフ(その2)である。
図15】張り出し率HRが第1の配置条件を満足しない場合の第3の実験結果を示すグラフ(その3)である。
図16】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第4実験結果を示すグラフ(その1)である。
図17】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第4実験結果を示すグラフ(その2)である。
図18】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第4実験結果を示すグラフ(その3)である。
図19】張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第4実験結果を示すグラフ(その4)である。
図20】第1〜第4の実験結果で用いた突出領域のNの値と、長手方向間隔DX及び長手方向端辺距離EXの実寸法を表形式で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態>
(全体構成)
図1は基板テーブル10上にガラス基板11が配置され、ガラス基板11の最上層である太陽電池薄膜11g上に導電性を有するリード線12が接合された状態を示す斜視図である。図2はこの発明における実施の形態であるボンディングツール4が用いられる、加圧式の超音波接合装置100の全体構成を示す説明図であり、超音波接合装置100を斜め上方から視た斜視図である。なお、図1及び図2並びに以降に示す図3図5にXYZ直交座標系を適宜示している。
【0015】
図1及び図2に示すように、超音波接合装置100は、(電動)シリンダ1、ボンディングツール4、振動ホーン部6、押さえ機構20,30及び基板テーブル10(図1参照)を備えている。そして、本実施の形態の超音波接合用ツールであるボンディングツール4は先端把持部4h及び当接先端部4tを有している。
【0016】
シリンダ1はボンディングツール4に連結されており、シリンダ1の駆動力(押圧力)F1は、ボンディングツール4に伝達され、ボンディングツール4の駆動を制御することができる。具体的に、シリンダ1は、ボンディングツール4をZ軸方向に沿って移動させることができる。さらに、シリンダ1は、ボンディングツール4の当接先端部4tを介してリード線12に対して所定の圧力を印加することができる。なお、リード線12の構成材料として例えばアルミニウムが考えられる。
【0017】
また、ボンディングツール4は、図示しないホルダーにより支持されており、当該ホルダー内部においてボンディングツール4は上下方向にガイドされている。ボンディングツール4における基板テーブル10側の先端部には当接先端部4tが配設されている。また、ボンディングツール4には、振動ホーン部6が接続されており、図1及び図2では図示しない超音波振動子17(図6参照)で発生した超音波振動UVは、振動ホーン部6を介してボンディングツール4に伝達される。すなわち、超音波振動子17及び振動ホーン部6は当接先端部4tから超音波振動が印加されるようにボンディングツール4を駆動する超音波伝達部として機能する。
【0018】
なお、当接先端部4tは、ボンディングツール4の先端に形成され、超音波振動接合処理の際に、被接合材であるリード線12に当接される突出領域8を最先端領域に有している。
【0019】
(当接先端部4tの突出領域8)
図3は本実施の形態であるボンディングツール4における先端把持部4h及び当接先端部4tの詳細を示す説明図である。同図において、(a) は正面図、(b) は側面図、(c) は底面図を示している。
【0020】
図3に示すように、先端把持部4hに当接先端部4tは結合され、当接先端部4tの底部4tbの表面領域として形成される突出領域8は、図3(c) に示すように、XY平面においてX方向を長手方向とした矩形状に形成される。
【0021】
図4は実施の形態であるボンディングツール4における突出領域8の詳細を示す説明図である。同図において、(a) は底面図、(b)X方向に沿った側面図、(c) はY方向に沿った側面図を示している。なお、図4(a) が図3(b) の突出領域8の着目領域P1の詳細を示している。
【0022】
図4及び図3 (c) に示すように、突出領域8上にX方向(第1の方向)に沿ってN(≧2)個、X方向に直交するY方向(第2の方向)に沿ってM(≧2)個のN×Mのマトリクス状に、互いに分離形成された複数の突起部80(凸部)を有している。図4で示す例では、M=3、N>3の場合を示している。
【0023】
そして、図4(b) に示すように、複数の突起部80のうちX方向に沿って形成される3組のN個の突起部80はそれぞれ、X方向に沿って長手方向間隔DX(第1の間隔)毎に均等に形成される。そして、3組のN個の突起部80はそれぞれ、X方向において最外に位置するX方向最外突起部80xe(第1方向最外凸部)は、突出領域8のX方向における端辺8Lx(端部)から長手方向端辺距離EX(第1方向端部距離)を隔てて配置される。
【0024】
さらに、図4(c) に示すように、複数の突起部80のうちY方向に沿って形成されるN組の3個の突起部80はそれぞれ、Y方向に沿って短手方向間隔DY(第2の間隔)毎に均等に形成される。そして、N組の3個の突起部80はそれぞれ、Y方向において最外に位置するY方向最外突起部80ye(第2方向最外凸部)は、突出領域8のY方向における端辺8Ly(端部)から短手方向端辺距離EY(第2方向端部距離)を隔てて配置される。
【0025】
なお、長手方向間隔DX、長手方向端辺距離EX、短手方向間隔DY及び短手方向端辺距離EYは、図4に示すように突起部80の中心位置80cを基準として設定される。
【0026】
さらに、複数の突起部80は、以下の(1)で示す第1の配置条件と、以下の(2)で示す第2の配置条件とを共に満足する。
【0027】
(1) 第1の配置条件{0.349≦EX/DX≦0.510}
(2) 第2の配置条件{0.349≦EY/DY≦0.510}
【0028】
なお、上述した第1及び第2の配置条件は理想基準STを「0.425」としている。そして、「0.349」は理想基準ST「0.425」に対する下限(0.425−0.425×0.18)を意味し、「0.510」は理想基準ST「0.425」に対する上限(0.425−0.425×0.02)を意味する。
【0029】
すなわち、張り出し率HR(EX/DXあるいはEY/DY)は理想基準STを中心に下限を「−18%」、上限を「+20%」として張り出し率HRの許容範囲を設定している。
【0030】
図5は突起部80の構成例の詳細を示す説明図である。同図(a) は上面図、同図(b) は側面図を示している。
【0031】
同図に示すように、突起部80の底部は平面視して一辺が装着面寸法d2の正方形状を呈しており、中段部も平面視して一辺が先端面寸法d1(<d2)正方形状を呈している。そして、突起部80は−Z方向に向けて形成高さh1を有しており、底部から中段部にかけて側面部曲率k2を有し、中段部から頂部にかけて先端部曲率k1を有している。
【0032】
具体的な寸法としては、例えば、先端面寸法d1が0.22mm、装着面寸法d2が0.47mm、形成高さh1が0.2mm、先端部曲率k1が0.075(1/mm)、側面部曲率k2(1/mm)が0.125の寸法設定が考えられる。
【0033】
また、本実施の形態の超音波接合装置100は、ボンディングツール4に連結されたシリンダ1の両側面(X方向側の面)が接合板25及び35を介して押さえ機構20及び30(のシリンダ21及び31)と連結されることにより、ボンディングツール4と押さえ機構20及び30とが一体的に構成される。
【0034】
押さえ機構20(第1の押さえ機構)は(電動)シリンダ21、押さえ部材22及び押さえローラ23により構成され、押さえローラ23(第1の押さえローラ)は押さえ部材22の回転軸22jを中心とした回転動作が可能である。同様にして、押さえ機構30(第2の押さえ機構)は(電動)シリンダ31、押さえ部材32及び押さえローラ33により構成され、押さえローラ33(第2の押さえローラ)は押さえ部材32の回転軸32jを中心とした回転動作が可能である。
【0035】
押さえ部材22及び32はシリンダ21及び31に連結されている。このため、シリンダ21からの駆動力(押圧力)F22は押さえ部材22を介して押さえローラ23に伝達され、押さえローラ23をZ軸方向(−Z方向)に移動させることができる。さらに、シリンダ21は、押さえローラ23を介してリード線12に対して所定の圧力を印加することができる。同様にして、シリンダ31からの駆動力(押圧力)F32は押さえ部材32を介して押さえローラ33に伝達され、押さえローラ33をZ軸方向(−Z方向)に移動させることができ、さらに、シリンダ31は、押さえローラ33を介してリード線12に対して所定の圧力を印加することができる。
【0036】
なお、押さえローラ23及び33は、例えば、ゴムなどの弾性体で構成されており、押さえローラ23及び33によるリード線12の押圧により、リード線12にダメージを与えることを防止している。
【0037】
さらに、ボンディングツール4と押さえ機構20及び30等が一体化してなる超音波接合装置100には図示しない駆動部が連結されており、超音波接合装置100を装置操作方向DR100に沿って移動させる移動処理が実行可能である。
【0038】
(ガラス基板)
図1に示すように、基板テーブル10上には、表面に太陽電池薄膜11gが形成されたガラス基板11が設置され、ガラス基板11の太陽電池薄膜11g上にX方向に沿ってリード線12が設けられる。すなわち、リード線12の形成長方向がX方向(第1の方向)となり、形成幅方向がY方向(第2の方向)となる。
【0039】
また、図示は省略しているが、基板テーブル10上面には、少なくとも一つ以上の穴が穿設されており、当該穴を介した真空吸着により、ガラス基板11は基板テーブル10に固定される。
【0040】
超音波振動処理の実行時には、(ガラス基板11の)太陽電池薄膜11g上に導電性を有するリード線12がX方向に沿って配置された状態となる。この状態で、シリンダ1からの駆動力F1により、ボンディングツール4は基板テーブル10側に向かう所定の圧力をリード線12に加えながら、超音波振動子で発生し振動ホーン部6を介して得られる超音波振動UVが、ボンディングツール4における当接先端部4tの突出領域8からリード線12の超音波接合ポイント12p上に印加されることにより、リード線12をガラス基板11の太陽電池薄膜11gに接合する超音波振動処理が実行される。
【0041】
(超音波振動処理)
以下、図1及び図2を参照して、本実施の形態の超音波接合装置100を用いた、加圧式の超音波振動処理の動作内容について説明する。
【0042】
まず、基板テーブル10上に、太陽電池薄膜11gが表面に形成された薄厚のガラス基板11を設置する。そして、基板テーブル10に設けられた穴(図示せず)を介した真空吸着により、ガラス基板11を基板テーブル10に固定させる。
【0043】
次に、図示を省略しているリールには、導電性を有する薄膜のリード線12が旋回されている。当該リールからリード線12を引き出し、当該引き出したリード線12をX方向に沿って太陽電池薄膜11g上の所定の箇所に配置する。
【0044】
次に、シリンダ21及び31の押圧力F22及びF32により、押さえ機構20及び30の押さえローラ23及び33がリード線12に対して押圧(基板テーブル10側に押圧)する押圧処理を実行する。
【0045】
そして、押さえローラ23及び33によってリード線12を押圧している状態で、シリンダ1の駆動力F1により、リード線12に向けてボンディングツール4を下降させる。さらに、ボンディングツール4の当接先端部4tの突出領域8、すなわち、複数の突起部80がリード線12に当接すると、シリンダ1の駆動力F1により、当該リード線12に対して基板テーブル10側に所定の圧力を加える。
【0046】
上述したように、押さえ機構20及び30の押圧処理によってリード線12を押さえローラ23及び33により押圧し、ボンディングツール4がリード線12に所定の圧力を印加している状態にした後、超音波振動子17に超音波振動UVを発生させる。当該発生した超音波振動UVは、振動ホーン部6を介して、ボンディングツール4に伝達される。そして、ボンディングツール4の当接先端部4tの突出領域8は、所定の振動数(例えば20〜40kHz)・振幅(10μm以下で、例えばガラス基板11に対する損傷防止の観点から4,5μm程度)の超音波振動UVを行う。
【0047】
このように、ガラス基板11の太陽電池薄膜11g上にリード線12を配置した状態で、基板テーブル10側に所定の圧力を加えながら、振動ホーン部6及び超音波振動子を有する超音波伝達部によって、複数の突起部80を有する突出領域8からリード線12上の超音波接合ポイント12p(印加部)に超音波振動が印加されるように、超音波接合用ツールであるボンディングツール4を駆動する。
【0048】
ここで、超音波振動UVの振動方向は、例えばX軸方向に平行な方向(つまり、リード線12の延設方向)、あるいはY軸に平行な方向(つまり、リード線12の幅方向)が考えられるが、Y軸に平行な方向が望ましい。このように、ボンディングツール4を用いた超音波振動処理を行うことにより、超音波振動UVは当接先端部4tの突出領域8を介してリード線12の超音波接合ポイント12pに印加される。
【0049】
上述したように、リード線12を押さえローラ23及び33により押圧しながら、リード線12に対しボンディングツール4を用いた加圧式の超音波振動処理を実行することにより、リード線12がガラス基板11に接合される。
【0050】
押さえ機構20及び30の押圧処理は、押さえローラ23及び33によるリード線12に対する圧力が薄厚のガラス基板11に損傷を与えない程度の大きさで実行され、ガラス基板11(特に太陽電池薄膜11g)の材質や厚さにもよるが、例えば10kg程度の圧力に設定される。なお、押さえ機構20及び30の押さえローラ23及び33は、リード線12にのみ当接され、押圧の際にガラス基板11(太陽電池薄膜11g)には接することはない。
【0051】
超音波接合装置100は、押さえ機構20及び30の押さえローラ23及び33の押圧処理によりリード線12の超音波接合ポイント12pの両脇を押圧しながら、ボンディングツール4によって上述した超音波振動処理を実行している。
【0052】
また、押さえローラ23及び33によりリード線12を押圧することにより、ガラス基板11を基板テーブル10に対して押圧することにもなる。したがって、基板テーブル10に対するガラス基板11の固定がより強固なものとなり、リード線12に対する加圧式の超音波振動処理を施す際に、ガラス基板11が基板テーブル10に対して移動することを防止できる。
【0053】
このように、ガラス基板11の固定が強固となると、ボンディングツール4による超音波振動処理の実行時に、リード線12のみを超音波振動させることができる。つまり、ボンディングツール4による超音波振動エネルギーを、ガラス基板11とリード線12との接触部における摩擦エネルギーに効率良く変換できる。したがって、超音波振動によるリード線12とガラス基板11との接合を、より短時間でより効率良く行うことが可能となる。
【0054】
一方、超音波振動処理時には、押さえローラ23及び33と超音波接合ポイント12pとの間には必ず隙間が存在するため、リード線12において、この隙間の形成領域(以下、「リード線隙間形成領域」と称す)内において、リード線12にリード線浮き(撓み)が生じる可能性がある。また、超音波接合ポイント12pの間隔を比較的広く設定した場合、隣接する超音波接合ポイント12p,12p間に形成されるリード線12上の領域である接合ポイント間形成領域内においてリード線12にリード線浮きが生じる可能性がある。
【0055】
次に、超音波接合装置100は、超音波振動処理の非実行時に行う押さえ機構20及び30の移動処理を実行する。
【0056】
シリンダ1からの駆動力F1により、ボンディングツール4をZ軸方向(+Z方向)に移動させ、基板テーブル10側から浮いた状態にする。すなわち、超音波接合装置100は、リード線12をガラス基板11に対して接合する超音波振動処理の実行後は、シリンダ1の駆動力F1によりボンディングツール4を上方向に移動させ、リード線12との接触状態を解放する。
【0057】
一方、押さえ機構20及び30の押さえローラ23及び33によるリード線12に対する圧力は、薄厚のガラス基板11に損傷を与えない程度でかつ、リード線12上で回転軸22j及び32jを中心とした押さえローラ23及び33による回転動作を実行させ、リード線12を押圧しつつボンディングツール4と共にリード線12上を押さえ機構20及び30の移動が可能な状態に設定される。
【0058】
上記状態で、超音波接合装置100に連結された図示しない駆動部により、超音波接合装置100を装置操作方向DR100に沿って移動させる移動処理を実行する。なお、駆動部を設けることなく、ガラス基板11を真空吸着固定している基板テーブル10を装置操作方向DR100に沿って移動させることにより、基板テーブル10との関係において相対的に超音波接合装置100による装置操作方向DR100に沿った移動処理を実行するようにしても良い。
【0059】
すなわち、押さえローラ23及び33による回転動作によって装置操作方向DR100に沿って、押さえローラ23及び33がリード線12上を移動することによる、超音波接合装置100の移動処理を実行する。そして、超音波振動を印加する次の超音波接合ポイント12pの上方にボンディングツール4の当接先端部4tが位置する状態で移動処理を停止する。
【0060】
その結果、移動処理中に、押さえローラ23及び33のうちの一方の押さえローラが必ず上述したリード線12の上記リード線隙間形成領域上を押圧しながら移動することになる。このため、仮に、上述した超音波振動処理の実行時にリード線12の上記リード線隙間形成領域にリード線浮きが生じた場合でも、上記一方の押さえローラによる押圧によって上記リード線浮きを確実に解消することができる。同様にして、上記接合ポイント間形成領域にリード浮きが生じた場合にも、当該リード浮きを確実に解消することができる。
【0061】
このように、本実施の形態の超音波接合装置100の押さえ機構20及び30(第1及び第2の押さえ機構)は、ボンディングツール4による超音波振動処理の実行後において、リード線12を押圧しつつ押さえローラ23及び33がリード線12(直近の超音波振動処理の実行時におけるリード線隙間形成領域を含む)上を移動する移動処理を実行している。
【0062】
このため、超音波接合装置100の移動処理時に、押さえローラ23及び33(第1及び第2の押さえローラ)のうち少なくとも一方の押さえローラにより上記リード線隙間形成領域及び上記接合ポイント間形成領域上を押圧することができる。その結果、超音波接合装置100の移動処理時に、リード線12に生じるリード線浮きを確実に解消し、リード線12をガラス基板11上に精度良く接合することができる効果を奏する。
【0063】
(制御部)
図6は超音波接合装置100の制御系を模式的に示すブロック図である。同図に示すように、超音波接合装置100は制御部15をさらに有しており、制御部15において、シリンダ1、21及び31、駆動部16並びに超音波振動子17の駆動を制御している。なお、駆動部16は超音波接合装置100全体を装置操作方向DR100方向に移動させる移動処理を実行し、超音波振動子17は振動ホーン部6を介してボンディングツール4に超音波振動UVを与える超音波振動処理を実行する。
【0064】
制御部15は、シリンダ21及び31の駆動を制御することにより、押さえローラ23及び33の押圧力F22及びF32を可変に制御することができると共に、駆動部16を制御することにより超音波接合装置100の装置操作方向DR100に沿った移動処理を制御することができる。
【0065】
さらに、制御部15は、シリンダ1を駆動制御してボンディングツール4へのZ軸方向に沿った駆動力F1を制御し、超音波振動子17を制御してボンディングツール4の超音波振動処理を制御することができる。したがって、制御部15は、例えば、ユーザからの指示に応じて、ボンディングツール4による超音波振動接合処理の条件(振動数、振幅、加圧力)を可変に制御することができる。
【0066】
一方、ガラス基板11の材質及び厚さ、太陽電池薄膜11gの材質及び厚さ、並びに超音波振動接合処理の条件に応じて、押さえ機構20及び30によるガラス基板11に対する押圧力を変える必要がある。そこで、制御部15は、ユーザからの指示に応じて、シリンダ21及び31を介した押さえ機構20及び30による押圧力F22及びF32を可変に制御する。具体的には、制御部15に、各情報(ガラス基板11自体及び太陽電池薄膜11gを構成する各膜の材質及び厚さ、並びに超音波振動接合処理の条件等)が入力された場合に、予め設定されている情報テーブルと上記各情報とから決定される押圧力により、押さえ機構20及び30の押圧力F22及びF32を制御することができる。ここで、当該情報テーブルには、上記各情報に対して一義的に押圧力が規定されている。
【0067】
上述したように、制御部15の制御により押さえ機構20及び30のシリンダ21及び31を駆動することにより、超音波振動処理の実行時及び実行後それぞれにおいて、超音波振動接合処理の条件に応じて、押さえローラ23及び33の押圧力F22及びF32を適宜制御することができる。
【0068】
このように、制御部15による制御によって、押さえ機構20及び30による押圧力F22及びF32並びにボンディングツール4による超音波振動接合処理の条件等を可変に制御する。したがって、ガラス基板11及び太陽電池薄膜11gの厚さ・素材等に応じて、押さえ機構20及び30による押圧力F22及びF32、駆動部16の駆動内容、並びにボンディングツール4(シリンダ1,超音波振動子17)による超音波振動接合処理の条件を、適宜変更することができる。
【0069】
その結果、本実施の形態の超音波接合装置100は、ガラス基板11(太陽電池薄膜11gを含む)に影響を与えることなく、リード線12における上記リード線浮きの発生可能性を確実に解消しつつ、リード線12をガラス基板11上に接合するように、押圧力F22及びF32、駆動部16の駆動内容並びに超音波振動接合処理の条件を、適切に変更することができる。
【0070】
なお、上記効果は、制御部15により少なくとも押さえ機構20及び30による押圧力F22及びF32を制御することにより得ることができる。
【0071】
(本実施の形態の効果)
(第1の実験結果)
図7図9は張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第1の実験結果(シミュレーション結果)を示すグラフであり、具体的には、EX/DXを張り出し率HRとして、N=17の場合の17個の突起部80の荷重分布を示すグラフ(その1〜その3)である。図7は張り出し率HRが理想基準STの「0.425」の場合、図8は張り出し率HRが理想基準STの上限値である「0.510」の場合、図9は張り出し率HRが理想基準STの下限値である「0.349」の場合を示している。
【0072】
図7図9それぞれにおいて、横軸は17個の突起部80のX方向における形成位置R0〜R16を示しており、形成位置R0及びR16がそれぞれX方向最外突起部80xeの位置を示している。縦軸は荷重度合を示しており、縦軸において基準荷重を“1”とし、基準荷重に対する相対比を示している。
【0073】
発明者らは基準荷重から±10%、すなわち、形成位置R0〜R16における17個の突起部80の超音波振動処理時におけるリード線12に対する荷重分布が{0.90〜1.10}を満足すれば、リード線12の剥離強度のバラツキを許容範囲内に抑制でき、超音波振動処理後の超音波接合ポイント12pにおいて、被接合材であるリード線12の太陽電池薄膜11gへの接合性を良好に保つことができていると判断している。
【0074】
図7の荷重分布線L1に示すように、張り出し率HRが理想基準STである場合、基準荷重から最も離れている形成位置R1、形成位置R15の荷重においても、「0.950」に収まるため、超音波振動処理後の超音波接合ポイント12pにおいて、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。
【0075】
図8の荷重分布線L2に示すように、張り出し率HRが理想基準STの上限である場合、基準荷重から最も離れている形成位置R0、形成位置R16の荷重においても、「1.100」を少し下回るため、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。また、形成位置R0及びR16の荷重が「1.100」に近い値であることから、張り出し率HRが上限値「0.510」を超えると、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性が保てない恐れがあることも併せて推測することができる。
【0076】
図9の荷重分布線L3に示すように、張り出し率HRが理想基準STの下限である場合、基準荷重から最も離れている形成位置R0、形成位置R16の荷重においても、「0.9」となるため、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。また、形成位置R0及びR16の荷重がほぼ「0.9」の値であることから、張り出し率HRが下限値「0.349」を下回ると、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性が保てない恐れがあることも併せて推測することができる。
【0077】
このように、本実施の形態のボンディングツール4における突出領域8の長手方向であるX方向(第1の方向)に沿って長手方向間隔DX(第1の間隔)毎に均等に形成されるN個の突起部80はそれぞれ、長手方向間隔DX及び長手方向端辺距離EX(第1方向端部距離)により規定される上述した第1の配置条件を満足して配置される。
【0078】
このため、図7図9で示した第1の実験結果に示すように、本実施の形態のボンディングツール4を用いた超音波接合装置100による超音波振動処理時において、リード線12の超音波接合ポイント12pに与える荷重分布をバラツキの少ない良好な分布に抑えることができる。その結果、本実施の形態のボンディングツール4を有する超音波接合装置100は、ボンディングツール4の突出領域8に形成される複数の突起部80の形成数である突起部形成数を多くしても、リード線12の剥離強度のバラツキを抑制し、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる効果を奏する。
【0079】
なお、第1の実験結果では、張り出し率HRとしてEX/DXの場合を示した。リード線12の太陽電池薄膜11gへの接合性に影響を与えるのは、突起部80の形成数が多い(N>M)、突出領域8の長手方向(リード線12の形成方向)であるX方向におけるリード線12の剥離強度のバラツキである。したがって、X方向における張り出し率HR(EX/DX)が上記第1の配置条件を満足すれば、基本的にリード線12の剥離強度のバラツキを許容範囲に抑えることができる。
【0080】
なお、本実施の形態のボンディングツール4における突出領域8は、上記第1の配置条件に加え、張り出し率HRがEY/DYの場合における上記第2の配置条件を満足している。このため、第1の実験結果から、X方向に加え、突出領域8の短手方向であるY方向においても、リード線12の剥離強度のバラツキを確実に許容範囲に抑えることにより、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を確実に保つことができる効果を奏する。
【0081】
(第2の実験結果)
図10図12は張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第2の実験結果(シミュレーション結果)を示すグラフであり、具体的には、EX/DXを張り出し率HRとして、張り出し率HRが理想基準STの「0.425」の場合の突起部80の荷重分布を示すグラフ(その1〜その3)である。ただし、第2の実験結果では、X方向に沿って配置される個数であるNを変化させ、図10はN=17の場合、図11はN=7の場合、図12はN=75の場合を示している。
【0082】
図10において、横軸は17個の突起部80の形成位置R0〜R16を示しており、形成位置R0及びR16がそれぞれX方向最外突起部80xeの位置を示している。
【0083】
図11において、横軸は7個の突起部80の形成位置R0〜R6を示しており、形成位置R0及びR6がそれぞれX方向最外突起部80xeの位置を示している。
【0084】
図12において、横軸は75個の突起部80の形成位置R0〜R74を示しており、形成位置R0及びR74がそれぞれX方向最外突起部80xeの位置を示している。なお、縦軸は、図7図9で示した第1の実験結果と同様である。
【0085】
図10の荷重分布線L4に示すように、N=17で張り出し率HRが理想基準STである場合、基準荷重から最も離れている形成位置R1、形成位置R15においても、「0.950」を少し上回るため、超音波振動処理後の超音波接合ポイント12pにおいて、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。
【0086】
図11の荷重分布線L5に示すように、N=7で張り出し率HRが理想基準STある場合、基準荷重から最も離れている形成位置R1、形成位置R5の荷重においても、「0.950」を少し上回るため、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。
【0087】
図12の荷重分布線L6に示すように、N=75で張り出し率HRが理想基準STである場合、基準荷重から最も離れている形成位置R1、形成位置R73の荷重においても「0.950」の荷重を少し上回るため、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。
【0088】
このように、本実施の形態のボンディングツール4における突出領域8の長手方向であるX方向に沿って形成されるN個の突起部80は上述した第1の配置条件を満足することにより、X方向における形成個数Nに関係無く、リード線12の剥離強度のバラツキを許容範囲に抑制し、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる効果を奏する。
【0089】
また、本実施の形態のボンディングツール4における突出領域8は、張り出し率HRがEY/DYの場合においても、上記第2の配置条件を満足している。このため、第2の実験結果から、Y方向においても、Y方向における形成個数Mに関係なく、リード線12の剥離強度のバラツキを確実に許容範囲に抑えることにより、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を確実に保つことができる効果が期待できる。
【0090】
(第3の実験結果)
図13図15は張り出し率HRが第1の配置条件を満足しない場合の第3の実験結果(シミュレーション結果)を示すグラフであり、具体的には、EX/DXを張り出し率HRとして突起部80の荷重分布を示すグラフ(その1〜その3)である。図13はN=7の場合、図14はN=17の場合、図15はN=50の場合を示している。
【0091】
図13において、横軸は7個の突起部80の形成位置R0〜R6を示しており、形成位置R0及びR6がそれぞれX方向最外突起部80xeの位置を示している。
【0092】
図14において、横軸は17個の突起部80の形成位置R0〜R16を示しており、形成位置R0及びR16がそれぞれX方向最外突起部80xeの位置を示している。
【0093】
図15において、横軸は50個の突起部80の形成位置R0〜R49を示しており、形成位置R0及びR49がそれぞれX方向最外突起部80xeの位置を示している。なお、縦軸は、図7図9及び図10図12で示した第1及び第2の実験結果と同様である。
【0094】
図13の荷重分布線L7に示すように、N=7で張り出し率HRが「0.688」と上限値「0.510」を上回り上記第1の配置条件を満足しない場合、基準荷重から最も離れている形成位置R0、形成位置R6における荷重が「1.300」を超えるため、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができない。
【0095】
図14の荷重分布線L8に示すように、N=17で張り出し率HRが「0.625」と上限値「0.510」を上回り上記第1の配置条件を満足しない場合、基準荷重から最も離れている形成位置R0、形成位置R16における荷重が「1.25」付近に達するため、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができない。
【0096】
図15の荷重分布線L9に示すように、N=50で張り出し率HRが「0.600」と上限値「0.510」を上回り上記第1の配置条件を満足しない場合、基準荷重から最も離れている形成位置R0、形成位置R49における荷重が「1.20」に達するため、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができない。
【0097】
このように、第3の実験結果から、本実施の形態の突起部80の長手方向であるX方向に沿って形成されるN個の突起部80は上述した第1の配置条件を満足しない場合、その形成個数Nに関係無く、リード線12の剥離強度のバラツキを許容範囲内に抑制することができないことがわかる。
【0098】
(第4の実験結果)
図16図19は張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の第4の実験結果(シミュレーション結果)を示すグラフであり、具体的には、EX/DXを張り出し率HRとして、張り出し率HRが第1の配置条件を満足する場合の突起部80の荷重分布を示すグラフ(その1〜その4)である。図16及び図18はN=7の場合、図17及び図19はN=75の場合を示している。
【0099】
図16及び図18において、横軸は7個の突起部80の形成位置R0〜R6を示しており、形成位置R0及びR6がそれぞれX方向最外突起部80xeの位置を示している。
【0100】
図17及び図19において、横軸は75個の突起部80の形成位置R0〜R74を示しており、形成位置R0及びR74がそれぞれX方向最外突起部80xeの位置を示している。
【0101】
図20は第1〜第4の実験結果で用いた突出領域8のNの値と、長手方向間隔DX及び長手方向端辺距離EXの実寸法を表形式で示す説明図である。
【0102】
図20に示すように、N=7の場合、長手方向間隔DXを0.85mm、長手方向端辺距離EXを0.361mmとして、理想基準STである「0.425」を実現している。N=17の場合、長手方向間隔DXを0.450mm、長手方向端辺距離EXを0.191mmとして、理想基準STである「0.425」を実現している。N=75の場合、長手方向間隔DXを1.00mm、長手方向端辺距離EXを0.425mmとして、理想基準STである「0.425」を実現している。
【0103】
したがって、図16及び図18は長手方向間隔DXを0.85mm、長手方向端辺距離EXを0.361の実寸値設定の場合における理想基準ST=0.425を想定した場合の上限値及び下限値となる。すなわち、図16及び図18は、長手方向間隔DX及び長手方向端辺距離EXのうち少なくとも一つの値が、図20で示したN=7の場合の実寸値からずれて、上限値及び下限値になった場合を示している。
【0104】
図17及び図19は長手方向間隔DXを1.00mm、長手方向端辺距離EXを0.425の実寸値設定の場合における理想基準ST=0.425を想定した場合の上限値及び下限値となる。すなわち、図17及び図19は、長手方向間隔DX及び長手方向端辺距離EXのうち少なくとも一つの値が、図20で示したN=75の場合の実寸値からずれて、上限値及び下限値になった場合を示している。
【0105】
なお、縦軸は、図7図9図10図12及び図13図15で示した第1、第2及び第3の実験結果と同様である。
【0106】
図16の荷重分布線L10に示すように、N=7で張り出し率HRが「0.510」と上記第1の配置条件の上限値である場合、基準荷重から最も離れている形成位置R0、形成位置R6における荷重が「1.100」であり、超音波振動処理後の超音波接合ポイント12pにおいて、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。
【0107】
図17の荷重分布線L11に示すように、N=75で張り出し率HRが「0.510」と上記第1の配置条件の上限値である場合、基準荷重から最も離れている形成位置R0、形成位置R74における荷重が「1.100」であり、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。
【0108】
図18の荷重分布線L12に示すように、N=7で張り出し率HRが「0.349」と上記第1の配置条件の下限値である場合、基準荷重から最も離れている形成位置R0、形成位置R6における荷重が「0.900」であり、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。
【0109】
図19の荷重分布線L13に示すように、N=75で張り出し率HRが「0.349」と上記第1の配置条件の下限値である場合、基準荷重から最も離れている形成位置R0、形成位置R74における荷重が「0.900」であり、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる。
【0110】
このように、本実施の形態のボンディングツール4における突出領域8の長手方向であるX方向に沿って形成されるN個の突起部80は上述した第1の配置条件を満足することにより、長手方向間隔DX及び長手方向端辺距離EXの寸法絶対値の大小に関係無く、リード線12の剥離強度のバラツキを許容範囲に抑制し、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を保つことができる効果を奏する。
【0111】
また、本実施の形態のボンディングツール4における突出領域8は、張り出し率HRがEY/DYの場合においても、上記第2の配置条件を満足している。このため、第4の実験結果から、Y方向においても、短手方向間隔DY及び短手方向端辺距離EYの寸法絶対値の大小に関係無く、リード線12の剥離強度のバラツキを確実に許容範囲に抑えることにより、リード線12の太陽電池薄膜11gへの良好な接合性を確実に保つことができる効果が期待できる。
【0112】
(その他)
上述した実施の形態では、リード線12が形成される基板としてガラス基板11を示したが、ガラス基板11に代えて、セラミック、シリコン、エポキシなどの薄厚の部材で基板を構成しても良い。また、導電性を有するリード線12の構成材料としてアルミニウムを示したが、他の導電性を有する材料を構成材料として採用しても良い。
【0113】
また、超音波接合装置100は、ボンディングツール4と押さえ機構20及び30とが一体的に形成された構成を示したが、ボンディングツール4と押さえ機構20及び30とを互いに分離して超音波振動接合装置を構成しても良い。この場合、ボンディングツール4と押さえ機構20及び30とは互いに独立して移動処理を行うことになる。また、シリンダ1、21及び31としては電動シリンダを示したがこれに限定されない。
【0114】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0115】
4 ボンディングツール
4t 当接先端部
8 突出領域
6 振動ホーン部
10 基板テーブル
11 ガラス基板
11g 太陽電池薄膜
12 リード線
15 制御部
16 駆動部
17 超音波振動子
80 突起部
100 超音波接合装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】