再表2018-34084IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年2月22日
【発行日】2018年11月29日
(54)【発明の名称】半導体モジュール、半導体モジュールに使われるスイッチング素子の選定方法、及びスイッチング素子のチップ設計方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20181102BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
   H02M7/48 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2018-534300(P2018-534300)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年7月12日
(31)【優先権主張番号】特願2016-160318(P2016-160318)
(32)【優先日】2016年8月18日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112003
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100145344
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177312
【弁理士】
【氏名又は名称】辰己 雄一
(72)【発明者】
【氏名】東 展弘
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA02
5H770AA22
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770HA02X
5H770LA02X
5H770LB09
5H770QA04
5H770QA06
5H770QA08
(57)【要約】
相補的にオン・オフ駆動されるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子を備えた半導体モジュールの低損失化を図ると共に、チップサイズの小型化と低廉化を図る。直列に接続されて相補的にオン・オフ駆動されるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子を備え、ローサイド側スイッチング素子の低電位側と接地電位との間に過電流検出用のシャント抵抗を介装して用いられる半導体モジュールであって、前記ハイサイド側スイッチング素子として前記ローサイド側スイッチング素子よりも短絡耐量の低い素子を用いたことを特徴とする。好ましくは前記ハイサイド側スイッチング素子として前記ローサイド側スイッチング素子よりも導通損失が小さく、またチップサイズの小さい素子が用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続されて電源端子と接地端子との間に設けられるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子、これらのスイッチング素子にそれぞれ逆並列に接続されたフリーホイーリング・ダイオード、並びに前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子を相補的にオン・オフ駆動するハイサイド側駆動回路およびローサイド側駆動回路を備え、前記接地端子と接地電位との間に過電流検出用のシャント抵抗を介装して用いられる半導体モジュールであって、
前記ハイサイド側スイッチング素子として前記ローサイド側スイッチング素子よりも短絡耐量の低い素子を用いたことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記ローサイド側スイッチング素子の短絡耐量は、前記ハイサイド側スイッチング素子がオンの状態で前記ローサイド側スイッチング素子がターン・オンしたときに該ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーに基づいて設定されるものであって、
前記ハイサイド側スイッチング素子の短絡耐量は、前記ローサイド側スイッチング素子がオンの状態で前記ハイサイド側スイッチング素子がターン・オンしたときに該ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーに基づいて設定されるものである請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記ハイサイド側スイッチング素子の導通損失は、前記ローサイド側スイッチング素子の導通損失よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記ハイサイド側スイッチング素子のチップサイズは、前記ローサイド側スイッチング素子のチップサイズよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子のそれぞれは、IGBT若しくはパワーMOS-FETからなる請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記ハイサイド側駆動回路は、前記ハイサイド側スイッチング素子と前記ローサイド側スイッチング素子とを直列に接続した中点の電位を基準電位とし、所定の電源電圧を受けて動作して前記ハイサイド側スイッチング素子をオン・オフ駆動するものであって、
前記ローサイド側駆動回路は、前記接地端子の電位を基準電位とし、前記中点に生じる電圧を受けて前記ローサイド側スイッチング素子をオン・オフ駆動するものである請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
直列に接続された前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子からなるハーフブリッジ回路は、前記電源端子と接地端子との間に複数組並列に設けられたものであって、
これらの複数のハーフブリッジ回路を構成した前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子は、複数のハイサイド側駆動回路および複数のローサイド側駆動回路により所定の位相差でそれぞれ相補的にオン・オフ駆動されるものである請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
直列に接続されて電源端子と接地端子との間に設けられるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子、前記ハイサイド側スイッチング素子、および前記ローサイド側スイッチング素子を駆動する駆動回路を備えるとともに、前記接地端子と接地電位との間に過電流検出用のシャント抵抗が介装される半導体モジュールのスイッチング素子選定方法であって、
前記ハイサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ローサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときの前記ローサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から前記ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、
前記ローサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ハイサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときの前記ハイサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から前記ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、
前記ローサイド側スイッチング素子を基準として、導出された前記ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーと前記ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーとに基づいて、前記ハイサイド側スイッチング素子を選定することを特徴とする半導体モジュールのスイッチング素子選定方法。
【請求項9】
直列に接続されて電源端子と接地端子との間に設けられるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子、並びに前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子を相補的にオン・オフ駆動するハイサイド側駆動回路およびローサイド側駆動回路を備え、前記接地端子と接地電位との間に過電流検出用のシャント抵抗が介装された半導体モジュールの前記ハイサイド側スイッチング素子のチップを設計する方法であって、
前記ハイサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ローサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときの前記ローサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から該ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、
前記ローサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ハイサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときの前記ハイサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から該ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、
前記ローサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ間飽和電圧を基準とし、導出された前記ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーと前記ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーとに基づき前記ハイサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ間飽和電圧を決定する段階と、
前記ハイサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ間飽和電圧に基づき、前記ハイサイド側スイッチング素子のサイズを決定する段階と、を含むことを特徴とするチップ設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列に接続されて相補的にオン・オフ駆動されるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子を備え、前記ローサイド側スイッチング素子の低電位側と接地電位との間に過電流検出用のシャント抵抗を介装して用いられる半導体モジュール、半導体モジュールに用いられるスイッチング素子の選定方法、及び半導体モジュールに用いられるスイッチング素子のチップ設計方法
【背景技術】
【0002】
交流モータ等の負荷を駆動する電力変換装置として、インバータ装置が知られている。この種のインバータ装置(電力変換装置)は、基本的にはパワーMOS-FETやIGBT等のスイッチング素子と、該スイッチング素子をオン・オフ駆動する駆動回路とを備えて構成される。またインバータ装置の小型化を図るべく、スイッチング素子とその駆動回路とを各種の保護回路と共に、いわゆるIPM(インテリジェント・パワーモジュール)と称される半導体モジュールとしてパッケージ化することも行われている。
【0003】
図5は、従来の電力用半導体装置(インバータ装置)10の一例を示す概略構成図で、1はインテリジェント・パワーモジュール(IPM)としてパッケージ化された半導体モジュールである。この半導体モジュール(IPM)1は、直列に接続されて電源端子Pと接地端子N(U),N(V),N(W)との間に並列に設けられる複数のハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wおよびローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wとからなる複数組(3組)のハーフブリッジ回路を備える。
【0004】
尚、ここではスイッチング素子2u,2v,2w,3u,3v,3wとしてIGBTを用いた例について示すが、パワーMOS-FETを用いることも可能である。またスイッチング素子(IGBT)2u,2v,2w,3u,3v,3wのそれぞれには、フリーホイーリング・ダイオード4u,4v,4w,5u,5v,5wが逆並列に接続されている。
【0005】
3組のハーフブリッジ回路を並列に形成したハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wおよびローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wは、ハイサイド側駆動回路(HVIC)7u,7v,7wおよびローサイド側駆動回路(LVIC)8により所定の位相、具体的には120°異なる位相(U相,V相,W相)でそれぞれ相補的にオン・オフ駆動される。そして半導体モジュール1は、3組のハーフブリッジ回路の各中点から、その負荷であるモータMを駆動する3相(U相,V相,W相)の交流電流を出力する。
【0006】
尚、3組のハーフブリッジ回路の各中点とは、ハイサイド側スイッチング素子2uとローサイド側スイッチング素子3uとの接続点、ハイサイド側スイッチング素子2vとローサイド側スイッチング素子3vの接続点、並びにハイサイド側スイッチング素子2wとローサイド側スイッチング素子3wとの接続点である。
【0007】
またローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wの低電位側(IGBTのエミッタ側)と接地電位GNDとの間には、過電流検出用のシャント抵抗Rsが介装される。半導体モジュール1におけるローサイド側駆動回路(LVIC)8は、シャント抵抗Rsを介してスイッチング素子(IGBT)2u,2v,2w,3u,3v,3wに流れる過電流を検出したとき、これらのスイッチング素子(IGBT)2u,2v,2w,3u,3v,3wを強制的にオフして過電流保護を実行する過電流保護回路を備える。
【0008】
ここでローサイド側駆動回路8は、接地電位GNDを基準電位とし、ハーフブリッジ回路の各中点に生じる電圧Vsを電源電圧として動作する。またハイサイド側駆動回路7u,7v,7wは、ハーフブリッジ回路の各中点に生じる電圧(中点電位)Vsを基準電位とし、所定の電源電圧Vccを受けて動作する。そしてハイサイド側駆動回路7u,7v,7wおよびローサイド側駆動回路8は、その上位制御機器であるマイクロプロセッサユニット(MPU)から与えられる制御信号Uin,Vin,Winに従ってハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wおよびローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wをそれぞれ相補的にオン・オフ駆動する。
【0009】
このような構成の半導体モジュール(IPM)1とシャント抵抗Rsとを用いて実現される電力変換装置(インバータ装置)10については、例えば特許文献1等に詳しく紹介される通りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−61896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで上述したように半導体モジュール1におけるローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wの低電位側(IGBTのエミッタ側)には過電流検出用のシャント抵抗Rsが接続される。この為、ローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wがターン・オンする際、そのドライブ電流Icによってシャント抵抗Rsの両端間に電圧が発生する。するとこの電圧によってローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wのゲート電圧Vgeが絞られ、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のコレクタ・エミッタ間電圧Vceが高くなることが否めない。
【0012】
特に、例えばハイサイド側スイッチング素子2u(2v,2w)に短絡が生じている場合、図6に例示するようにローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のターン・オン時に過大な短絡電流が流れる。しかしこの過大な短絡電流をシャント抵抗Rsを介して検出して前述した過電流保護を行うまでには一般的に時間が掛かり、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)の素子破壊に至ることもある。
【0013】
ちなみに図6は、アーム短絡が生じている場合のローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)の電圧および電流の時間的変化を示した一例である。この図においてaは入力電圧Vin,bはコレクタ・エミッタ間電圧Vce,cはコレクタ電流Icを示している。
【0014】
そこで従来では、例えば図7に示すように構成された試験回路を用い、ハイサイド側スイッチング素子2u(2v,2w)をオンに設定した状態においてローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)をオン・オフし、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のターン・オン時におけるコレクタ・エミッタ間電圧Vceと短絡時のドライブ電流Icを計測している。そして計測したコレクタ・エミッタ間電圧Vceと短絡時のドライブ電流Icおよび短絡時間から、短絡時に発生するエネルギーを求めている。そして求められた短絡時のエネルギーに基づいてローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)に必要な短絡耐量を求め、その短絡耐量を満たす素子特性のIGBT(またはパワーMOS-FET)をローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)として選定している。
【0015】
ちなみにスイッチング素子2u,2v,2w,3u,3v,3wのいずれかに短絡事故(アーム短絡)が生じた場合、前述したようにローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のゲート電圧が絞り込まれる。従って短絡時のエネルギーは、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)に集中する。この為、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)としては、ハイサイド側スイッチング素子2u(2v,2w)よりも大きな短絡耐量を持つことが要求される。
【0016】
しかしながら従来においては、専ら、ハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wとしてローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wと同じ素子特性を有するIGBT(またはパワーMOS-FET)を選定して半導体モジュール1を構築しているに過ぎない。換言すればハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wの短絡耐量が過剰であると言わざるを得ない。
【0017】
すると過剰な短絡耐量を満たし得るハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wのオン電圧が高くなり、これに伴ってその導通損失が大きくなると言う問題が発生する。更にはハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wの短絡耐量は、該ハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wのコレクタ・エミッタ間飽和電圧Vce(sat)にも関係する。これ故、ハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wとしてチップサイズの大きい素子を選定して、そのコレクタ・エミッタ間飽和電圧Vce(sat)を抑えることが必要となる等の問題も生じる。
【0018】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、相補的にオン・オフ駆動されるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子を備え、ローサイド側スイッチング素子の低電位側にシャント抵抗を接続して用いられる半導体モジュールの低損失化を図ると共に、チップサイズの小型化と低廉化を図ること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した目的を達成するべく本発明に係る半導体モジュールは、
直列に接続されて電源端子と接地端子との間に設けられるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子と、
これらのスイッチング素子にそれぞれ逆並列に接続されたフリーホイーリング・ダイオードと、
前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子を相補的にオン・オフ駆動するハイサイド側駆動回路およびローサイド側駆動回路とを備えて構成され、
前記ローサイド側スイッチング素子の低電位側と接地電位との間に過電流検出用のシャント抵抗を設けて用いられるものである。
【0020】
特に本発明に係る半導体モジュールは、前記ハイサイド側スイッチング素子として前記ローサイド側スイッチング素子よりも短絡耐量の低い素子を用いたことを特徴としている。
【0021】
ちなみに前記ローサイド側スイッチング素子の短絡耐量は、前記ハイサイド側スイッチング素子がオンの状態で前記ローサイド側スイッチング素子のターン・オンしたときに該ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーに基づいて設定される。また前記ハイサイド側スイッチング素子の短絡耐量は、前記ローサイド側スイッチング素子がオンの状態で前記ハイサイド側スイッチング素子がターン・オンしたときに該ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーに基づいて設定される。
【0022】
好ましくは前記ハイサイド側スイッチング素子としては、前記ローサイド側スイッチング素子よりも導通損失が小さい素子が用いられる。また前記ハイサイド側スイッチング素子としては、前記ローサイド側スイッチング素子よりもチップサイズの小さい素子が用いられる。これらの前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子のそれぞれは、例えばIGBT若しくはパワーMOS-FETからなる。
【0023】
また前記ハイサイド側駆動回路は、前記ハイサイド側スイッチング素子と前記ローサイド側スイッチング素子とを直列に接続した中点の電位を基準電位とし、所定の電源電圧を受けて動作して前記ハイサイド側スイッチング素子をオン・オフ駆動するように構成される。また前記ローサイド側駆動回路は、前記接地端子の電位を基準電位とし、前記中点に生じる電圧を電源電圧として前記ローサイド側スイッチング素子をオン・オフ駆動するように構成される。
【0024】
好ましくは直列に接続されたハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子からなるハーフブリッジ回路は、電源端子と接地端子との間に複数組並列に介装して設けられる。そしてこれらの並列に設けられた複数のハーフブリッジ回路をそれぞれ構成する複数のハイサイド側スイッチング素子および複数のローサイド側スイッチング素子は、所定の位相差でそれぞれ相補的にオン・オフ駆動される。
【0025】
また、本発明に係る導通損失低減方法は、直列に接続されて電源端子と接地端子との間に設けられるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子、並びに前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子を相補的にオン・オフ駆動するハイサイド側駆動回路およびローサイド側駆動回路を備え、前記接地端子と接地電位との間に過電流検出用のシャント抵抗が介装された半導体モジュールに発生する導通損失を低減する方法であって、前記ハイサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ローサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときのコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から該ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、
前記ローサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ハイサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときのコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から該ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、
導出された前記ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーと前記ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーとに基づいて、前記ハイサイド側スイッチング素子に前記ローサイド側スイッチング素子よりも短絡耐量を抑えた設計の素子を適用し、短絡耐量と比例関係にある導通損失を低減させる段階を含むことを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る半導体モジュールのスイッチング素子選定方法は、直列に接続されて電源端子と接地端子との間に設けられるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子、前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子を駆動する駆動回路を備えるとともに、前記接地端子と接地電位との間に過電流検出用のシャント抵抗が介装される半導体モジュールのスイッチング素子選定方法であって、
前記ハイサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ローサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときの前記ローサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から前記ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、前記ローサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ハイサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときの前記ハイサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から前記ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、前記ローサイド側スイッチング素子を基準として、導出された前記ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーと前記ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーとに基づいて、前記ハイサイド側スイッチング素子を選定することを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係るスイッチング素子のチップ設計方法は、直列に接続されて電源端子と接地端子との間に設けられるハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子、並びに前記ハイサイド側スイッチング素子および前記ローサイド側スイッチング素子を相補的にオン・オフ駆動するハイサイド側駆動回路およびローサイド側駆動回路を備え、前記接地端子と接地電位との間に過電流検出用のシャント抵抗が介装された半導体モジュールの前記ハイサイド側スイッチング素子のチップを設計する方法であって、
前記ハイサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ローサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときの前記ローサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から該ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、
前記ローサイド側スイッチング素子をオンにした状態で前記ハイサイド側スイッチング素子をターン・オンしたときの前記ハイサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ電圧、短絡時のコレクタ電流、および短絡時間から該ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーを導出する段階と、
前記ローサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ間飽和電圧を基準とし、導出された前記ローサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーと前記ハイサイド側スイッチング素子に加わるエネルギーとに基づき前記ハイサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ間飽和電圧を決定する段階と、
前記ハイサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ間飽和電圧に基づき、前記ハイサイド側スイッチング素子のサイズを決定する段階と、を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明では、エネルギーに着目して、特にハイサイド側スイッチング素子の短絡耐量の低減化を図り、半導体モジュール全体として導通損失を低減させる。なお、ハイサイド側スイッチング素子のチップサイズは、ローサイド側スイッチング素子より低減した短絡耐量の値に比例してチップサイズを小型化することができる。
【発明の効果】
【0029】
構成の半導体モジュールによれば、シャント抵抗に生じる電圧を考慮して設定されるローサイド側スイッチング素子の短絡耐量に比較して、ハイサイド側スイッチング素子として前記ローサイド側スイッチング素子よりも短絡耐量の低い素子が用いられる。従ってハイサイド側スイッチング素子での導通損失を抑えることができる。またローサイド側スイッチング素子に比較してハイサイド側スイッチング素子のチップサイズを小さくすることが可能となる。従って、半導体モジュールの低損失化を図ると共に、半導体モジュールの全体的なチップサイズの小型化と低廉化を図ることが可能となる等の効果が奏せられる。
【0030】
ちなみにハイサイド側スイッチング素子の短絡耐量を決定するには、例えばローサイド側スイッチング素子がオンしている状態においてハイサイド側スイッチング素子をオン・オフする。そしてハイサイド側スイッチング素子(IGBT)のターン・オン時におけるコレクタ・エミッタ間電圧Vceと短絡時のドライブ電流Icを計測する。その上で計測したコレクタ・エミッタ間電圧Vceと短絡時のドライブ電流Icおよび短絡時間から短絡時に発生するエネルギーを導出する。そして導出した短絡時に発生するエネルギーに基づいてハイサイド側スイッチング素子の短絡耐量を決定すれば良い。
【0031】
このハイサイド側スイッチング素子の短絡時に発生するエネルギーは、シャント抵抗に生じる電圧の影響を受けることがない。従って上述した如く短絡時に発生するエネルギーに基づいてハイサイド側スイッチング素子に必要な短絡耐量を求めれば、ローサイド側スイッチング素子の短絡耐量よりも低くすることができる。
【0032】
故に本発明によれば、ローサイド側スイッチング素子に求められる短絡耐量に左右されることなくハイサイド側スイッチング素子に求められる短絡耐量を適正に設定することができる。故に、半導体モジュールの低損失化を図ると共に、チップサイズの小型化と低廉化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る半導体モジュールにおけるハイサイド側スイッチング素子の短絡耐量を適正に設定する為の、ハイサイド側スイッチング素子のコレクタ・エミッタ間電圧Vceと短絡時のドライブ電流Icを計測する計測回路の例を示す図。
【図2】ローサイド側スイッチング素子よりも短絡耐量を小さくした本発明に係るハイサイド側スイッチング素子の導通損失と、ローサイド側スイッチング素子と同じ短絡耐量のハイサイド側スイッチング素子の導通損失とを対比して示す図。
【図3】本発明に係る半導体モジュールにおける損失と、従来の半導体モジュールにおける損失とのシミュレーション結果を対比して示す図。
【図4】本発明に係る半導体モジュールにおけるチップサイズの小型化を、従来の半導体モジュールにおけるチップサイズと対比して示す図。
【図5】従来の半導体モジュールの一例を示す概略構成図。
【図6】アーム短絡が生じている場合にローサイド側スイッチング素子に流れる電流Icと、コレクタ・エミッタ間電圧Vceの変化の様子を示す図。
【図7】半導体モジュールの試験回路の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の半導体モジュール(IPM)1について説明する。
【0035】
本発明に係る半導体モジュール1は、回路構成の点においては基本的には図5に示した従来の半導体モジュール1と同様に構成される。従ってここでは半導体モジュール1の構成については、その説明を省略する。しかし本発明に係る半導体モジュール1は、ハイサイド側スイッチング素子としてローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wの短絡耐量よりも低い短絡耐量を持つ素子を用いることを特徴としており、この点で従来の半導体モジュール1とは異にしている。
【0036】
即ち、従来の半導体モジュール1では、専ら、ローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wの短絡耐量と同じ短絡耐量を持つ素子をハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wとして用いている。これに対して本発明に係る半導体モジュール1においては、例えばIGBTからなるローサイド側スイッチング素子3u,3v,3wの短絡耐量よりも低い短絡耐量を持つ素子(IGBT)を、ハイサイド側スイッチング素子2u,2v,2wに代わる新たなハイサイド側スイッチング素子6u,6v,6wとして用いることを特徴としている。
【0037】
ちなみに新たに採用されるハイサイド側スイッチング素子6u,6v,6wの短絡耐量については、例えば図1に示す試験回路を用い、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)をオンに設定した状態においてハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)をオン・オフし、ハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)のターン・オン時におけるコレクタ・エミッタ間電圧Vceと短絡時のドライブ電流Icを計測する。そして計測したコレクタ・エミッタ間電圧Vceと短絡時のドライブ電流Icおよび短絡時間から導出した短絡時に発生するエネルギーに基づいてハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)に必要な短絡耐量を求める。その上で上述した如く求めた短絡耐量を満たす素子特性のIGBT(またはパワーMOS-FET)を、新たなハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)として決定している。
【0038】
ちなみに、コレクタ・エミッタ電圧をVCE(t)、短絡時のドライブ電流をIC(t)、短絡時間をt1〜t2の期間とすると、エネルギーEは次の式で表すことができる。
【数1】
【0039】
実用的には、素子が破壊したときのVCE(t)とIC(t)を測定器で測定・記録し、一定の時間間隔でVCE(t)とIC(t)の値を読み取って、スプレッドシート等を用いて数値積分することによって、エネルギーEを求めることができる。
【0040】
またスイッチング素子6u,6v,6w,3u,3v,3wのいずれかに短絡事故(アーム短絡)が生じた場合、前述したようにシャント抵抗Rsに生じる電圧によってローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のゲート電圧が絞り込まれる。そして短絡時のエネルギーはローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)に集中する。しかしシャント抵抗Rsに生じる電圧によってハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)のゲート電圧が絞り込まれることはなく、また短絡時のエネルギーがハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)に集中することもない。
【0041】
換言すればハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)に流れる電流は、シャント抵抗Rsの影響を受けることがない。従って上述した如く計測されるハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)のターン・オン時におけるコレクタ・エミッタ間電圧Vceと短絡時のドライブ電流Icおよび短絡時間から導出した短絡時に発生するエネルギーに基づいてハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)に必要な短絡耐量を算出しても、半導体モジュール1の動作特性上、何らの不具合を招くことがない。
【0042】
しかも図7に示す計測回路にて計測されるローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のターン・オン時におけるコレクタ・エミッタ間電圧Vceに比較して、図1に示す計測回路にて計測されるハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)のターン・オン時におけるコレクタ・エミッタ間電圧Vceは、シャント抵抗Rsの影響を受けることがない分、低くなる。従ってコレクタ・エミッタ間電圧Vceと短絡時のドライブ電流Icおよび短絡時間から導出した短絡時に発生するエネルギーに基づいて決定されるハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)に必要な短絡耐量は、前述したローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)に必要な短絡耐量よりも低くなる。
【0043】
故に、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)の短絡耐量よりも低い短絡耐量の素子をハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)として採用した本発明に係る半導体モジュール1においても、シャント抵抗Rsの影響を受けることなく安定に動作することができる。またハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)の短絡耐量を低くした分、ハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)の導通損失を小さく抑えることができ、更にはそのチップサイズについても小さく抑えることができる。故にその実用的利点が多大である。
【0044】
一般に、短絡耐量とコレクタ・エミッタ間飽和電圧Vce(sat)は比例関係にあり、またコレクタ・エミッタ間飽和電圧Vce(sat)とチップサイズも比例関係にある。このため、短絡耐量を大きく(小さく)すると、チップサイズも大きく(小さく)なる。この短絡耐量をスイッチング素子の短絡時に発生するエネルギーとみなして、たとえばローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のコレクタ・エミッタ間飽和電圧Vce(sat)を基準とし、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)に加わるエネルギーとハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)に加わるエネルギーの比に基づいてハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)のコレクタ・エミッタ間飽和電圧Vce(sat)を決定し、また当該コレクタ・エミッタ間飽和電圧Vce(sat)に基づいてハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)のチップサイズを決定するようにしてもよい。
【0045】
あるいは別の方法として、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のチップサイズを基準とし、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)に加わるエネルギーとハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)に加わるエネルギーの比に基づいてハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)のチップサイズを決定するようにしてもよい。
【0046】
ちなみに上述した如く短絡耐量を定めたIGBTからなるハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)、およびローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のそれぞれについてシミュレーションしたところ、次のような結果が得られた。即ち、IGBTの短絡耐量は、そのコレクタ・エミッタ間飽和電圧Vce(sat)と比例関係にあり、またコレクタ・エミッタ間飽和電圧Vce(sat)は、そのチップサイズによって決定される。この為、短絡耐量の大きいローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のチップサイズは、短絡耐量の小さいハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)よりも10〜20%程度大きくせざるを得ない。そして大きなチップサイズが必要となるに伴ってIGBTを形成する上でのチップコストが高くなる。
【0047】
一方、チップサイズが等しいIGBTにおいては、その短絡耐量とオン電圧とは比例関係にある。これ故、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)とチップサイズが等しいハイサイド側スイッチング素子2u(2v,2w)のオン電圧は、ローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)のオン電圧よりも高くなる。そしてこれに伴ってローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)の導通損失に比較してハイサイド側スイッチング素子2u(2v,2w)での導通損失が10〜15%程度増加していた。
【0048】
この点、本発明に係る半導体モジュール1で新たに用いた短絡耐量の低いハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)によれば、上述した如くチップサイズを小さくし得る分、図2に示すようにそのオン電圧を、例えば1.55V程度と低く抑えることができる。そしてハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)での導通損失を、例えば1モジュール当たり0.25μJ程度と低く抑えることができる。換言すれば、従来の半導体モジュール1に比較してハイサイド側スイッチング素子6u(6v,6w)での導通損失を低く抑えることが可能となる。
【0049】
また図3は、従来の半導体モジュール1および本発明に係る半導体モジュール1での損失を対比して示したシミュレーション結果である。尚、図3は、ハイサイド側スイッチング素子2u(2v,2w),6u(6v,6w)およびローサイド側スイッチング素子3u(3v,3w)がオン状態であるとき(Von)、ターン・オンしたとき(ton)、そしてターン・オフしたとき(toff)のそれぞれにおける各損失と、これらを統合した全体的な損失を示している。
【0050】
この図3に示すシミュレーション結果から読み取ることができるように本発明に係る半導体モジュール1によれば、従来の半導体モジュール1に比較して中負荷(Io=5A)から定格負荷(Io=10A)において、11.8〜13.8%程度の損失低減が可能である。
【0051】
また図4に例示するように、IGBTからなるハイサイド側スイッチング素子2u(2v,2w),6u(6v,6w)のチップサイズを、例えば6mm2から5mm2程度と小さくすることができる。従ってチップサイズの小型化に伴い、そのチップコストを約30%程度削減することが可能となる。
【0052】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。ここでは三相交流(U相,V相,W相)を出力する電力変換装置(インバータ装置)10を構成する半導体モジュール(IPM)1を例に説明した。しかし一組のハイサイド側スイッチング素子とローサイド側スイッチング素子とを備えたスイッチング電源装置にも本発明を同様に適用することができる。またハイサイド側スイッチング素子およびローサイド側スイッチング素子としてパワーMOS-FETを用いても良いことは前述した通りである。更にはハイサイド側スイッチング素子をオン・オフ駆動するハイサイド側駆動回路、およびローサイド側スイッチング素子をオン・オフ駆動するローサイド側駆動回路についても、従来より種々提唱されている構成の回路を適宜採用することができる。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 半導体モジュール(IPM)
2u,2v,2w ハイサイド側スイッチング素子
3u,3v,3w ローサイド側スイッチング素子
4u,4v,4w,5u,5v,5w フリーホイーリング・ダイオード
6u,6v,6w ハイサイド側スイッチング素子
7u,7v,7w ハイサイド側駆動回路(HIVC)
8 ローサイド側駆動回路(LVIC)
10 電力変換装置(インバータ装置)
Rs シャント抵抗
M モータ(負荷)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】

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