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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年1月4日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   H02K3/04 E
   H02K3/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2018-525013(P2018-525013)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】特願2016-130054(P2016-130054)
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 孝行
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 泰行
(72)【発明者】
【氏名】狩野 祐二
(72)【発明者】
【氏名】清水 尚也
(72)【発明者】
【氏名】御前 成吾
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA01
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB02
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB02
5H603CB03
5H603CB26
5H603CC05
5H603CC17
5H603CD02
5H603CD11
5H603CD22
5H603CE05
(57)【要約】
従来よりもコイルエンドの高さを減少させることができる回転電機を提供する。
コイル30は、スロット22を固定子コア21の軸線L方向に貫通する直線部34と、異なるスロット22に配置された一対の直線部34を接続する湾曲部33とを有する。湾曲部33は、直線部34に接続された内側傾斜部33aと、該内側傾斜部33aよりも固定子コア21の径方向D2の外側に配置された外側傾斜部33bと、該外側傾斜部33bと内側傾斜部33aとを接続する屈曲部33cと、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子コアと、該固定子コアに設けられた複数のスロットと、該スロットに配置されたコイルとを備えた回転電機であって、
前記コイルは、前記スロットを前記固定子コアの軸線方向に貫通する直線部と、異なる前記スロットに配置された一対の前記直線部を接続する湾曲部とを有し、
前記湾曲部は、前記直線部に接続された内側傾斜部と、該内側傾斜部よりも前記固定子コアの径方向の外側に配置された外側傾斜部と、該外側傾斜部と前記内側傾斜部とを接続する屈曲部と、を有することを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記コイルは、断面形状が矩形のセグメントコイルによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記内側傾斜部は、前記屈曲部へ近づくほど前記固定子コアの径方向の外側へ広がるように前記固定子コアの軸線方向に対して傾斜する側面を有することを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記屈曲部は、前記固定子コアの軸線方向の端面に平行な側面を有することを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記側面は、前記コイルの長方形の断面の長辺方向に沿う広側面であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記湾曲部は、前記固定子コアから最も離隔した頂部を有し、該頂部と前記一対の前記直線部との間にそれぞれ前記外側傾斜部と前記屈曲部と前記内側傾斜部とを有することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項7】
前記湾曲部は、一方の前記内側傾斜部が他方の前記内側傾斜部よりも前記固定子コアの径方向の内側に配置され、
前記固定子コアの周方向に相互に隣接する2つの前記コイルは、前記一方の前記内側傾斜部が前記固定子コアの軸線方向に相互に隣接して配置され、前記他方の前記内側傾斜部が前記一方の前記内側傾斜部と逆の位置関係で前記軸線方向に相互に隣接して配置されることを特徴とする請求項6に記載の回転電機。
【請求項8】
前記固定子コアの周方向に相互に隣接する2つの前記コイルは、前記周方向に相互に隣接する2つの前記頂部の間で前記固定子コアの径方向に間隙を有して対向することを特徴とする請求項7に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から回転電機の固定子と、当該固定子を備える回転電機に関する発明が知られている(下記特許文献1を参照)。この従来の回転電機の固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子コアと、スロット内に配置されて導電性を有する線材と、を有する(同文献、請求項1等を参照)。この線材は、スロット内収納部と、ターン部と、を有している。
【0003】
スロット内収納部は、固定子コアのスロット内に収納される。ターン部は、このスロット内収納部とスロットから所定ピッチ離れた別のスロットに収納されるスロット内収納部との間に位置し、固定子コアの端面から突出して形成される。このターン部は、線材の幅方向であって固定子コアの端面から突出する突出方向に凸状に部分的に曲げられ、かつ、幅方向反対側の凹状に曲げられる部分が他のターン部よりも突出方向に凹んで形成される凸状部位を有する。
【0004】
この構成によれば、ターン部の凸状部位は凹状部分(内側部分)が他のターン部(より具体的には突出方向の端面)よりも凹んでいるので、発生した熱を凹状部分で生じる隙間を通じて逃がし易くなる。すなわち隙間は風の通り道となる。したがって、固定子の性能を好適に維持することが可能となる。なお、「回転電機」は、たとえば電動機(モータ)、発電機、発電電動機等が該当する(同文献、段落0007等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−103755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1には、固定子コアの端面から突出した線材のターン部が、スロット内収容部との境界部位より、固定子コアの端面に対して所定角度をもって延びるように形成することが記載されている。また、同文献には、上記所定角度はターン部の高さに影響するので、高さを低くしたい場合には、所定角度を小さく設定する必要があることが記載されている(たとえば、同文献、段落0018から0023、図1および図2等を参照)。
【0007】
しかしながら、同文献に記載された回転電機では、上記のようにターン部の凸状部位が固定子コアの端面から突出する突出方向に凸状に曲げられるため、ターン部の高さ、すなわちコイルエンドの高さが増加するという課題がある。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりもコイルエンドの高さを減少させることができる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明に係る回転電機は、固定子コアと、該固定子コアに設けられた複数のスロットと、該スロットに配置されたコイルとを備えた回転電機であって、前記コイルは、前記スロットを前記固定子コアの軸線方向に貫通する直線部と、異なる前記スロットに配置された一対の前記直線部を接続する湾曲部とを有し、前記湾曲部は、前記直線部に接続された内側傾斜部と、該内側傾斜部よりも前記固定子コアの径方向の外側に配置された外側傾斜部と、該外側傾斜部と前記内側傾斜部とを接続する屈曲部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る回転電機によれば、コイルの湾曲部に屈曲部を設けることで、直線部に接続された内側傾斜部よりも外側傾斜部を固定子コアの径方向の外側に逃がすことができ、固定子コアの周方向に相互に隣接するコイルの干渉を回避することができる。したがって、本発明によれば、固定子コアの軸線方向における湾曲部の高さを抑制して、従来よりもコイルエンドの高さを減少させた回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る回転電機の断面図。
図2図1に示す回転電機の固定子の斜視図。
図3図2に示す固定子コアの軸線方向の端面に沿う拡大断面図。
図4図2に示すコイルを構成するセグメントコイルの拡大斜視図。
図5図2に示すコイルを構成する第1巻線群を示す拡大斜視図。
図6図2に示すコイルを構成する第1巻線群と第2巻線群を示す拡大斜視図。
図7図6に示す第1巻線群と第2巻線群の異なる視点からの拡大斜視図。
図8】変形例の回転電機のコイルを構成するセグメントコイルの拡大斜視図。
図9】変形例の回転電機の第1巻線群から第3巻線群を示す拡大斜視図。
図10】比較例の回転電機のコイルを構成するセグメントコイルの拡大斜視図。
図11】比較例の回転電機のコイルを示す拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る回転電機の実施形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る回転電機100の断面図である。
【0014】
本実施形態の回転電機100は、たとえば、内燃機関を有しない純粋な電気自動車や内燃機関を有するハイブリッドカーなどの車両に搭載され、動力を発生させるモータとしての機能と、車両の制動時などに発電を行う発電機としての機能とを備えている。回転電機100は、主に、回転子10と固定子20とを備えている。
【0015】
回転子10は、たとえば、複数の電磁鋼鈑を軸線L方向に積層することによって構成された概ね円筒形の回転子コア11と、該回転子コア11に固定されたシャフト12とを備えている。図示は省略するが、回転子コア11は、周方向に等角度間隔で設けられた複数の磁石挿入孔と、該磁石挿入孔に挿入されて固定された複数の磁石とを備えることができる。シャフト12は、軸受13によって回転自在に軸支され、回転子コア11の軸線Lを中心に回転子コア11と一体に回転する。
【0016】
固定子20は、たとえば、複数の電磁鋼鈑を軸線L方向に積層することによって構成された概ね円筒形の固定子コア21と、該固定子コア21に巻回されたコイル30とを備えている。固定子コア21の内側には、固定子コア21の径方向D2に微小な隙間を有して回転子コア11が配置され、固定子コア21の軸線Lと回転子コア11の軸線Lとが一致している。
【0017】
図2は、図1に示す回転電機100の固定子20の斜視図である。図3は、図2に示す固定子コア21の軸線L方向の端面21aに沿う拡大断面図である。
【0018】
固定子コア21は、周方向D1に等角度間隔に設けられて径方向D2に延びる複数のスリット状のスロット22を有している。スロット22は、固定子コア21の軸線L方向の一方の端面21aから他方の端面21bまで固定子コア21を軸線L方向に貫通し、固定子コア21の内周面に軸線L方向の一端から他端まで連続する開口部22aを有している。固定子コア21は、たとえば72箇所のスロット22を有し、各スロット22にコイル30の複数の巻線が配置されている。
【0019】
コイル30は、固定子コア21の径方向D2において、最内周に配置された第1巻線群30Aと、該第1巻線群30Aの外周に配置された第2巻線群30Bと、該第2巻線群30Bの外周に配置された第3巻線群30Cと、該第3巻線群30Cの外周で最外周に配置された第4巻線群30Dとを有している。コイル30は、占積率の低下を抑制する観点から、断面形状が矩形のセグメントコイル31によって構成することができる。
【0020】
図3に示す例において、各スロット22には、インシュレータ40が配置され、第1巻線群30Aおよび第2巻線群30Bを構成するセグメントコイル31の周囲と、第3巻線群30Cおよび第4巻線群30Dを構成するセグメントコイル31の周囲を覆っている。図2に示すコイル30は、たとえば、概ねU字形の複数のセグメントコイル31と、該複数のセグメントコイル31を順次接続する接続部32とによって構成することができる。
【0021】
図4は、図2に示すコイル30を構成する個々のセグメントコイル31の拡大斜視図である。
【0022】
コイル30を構成する個々のセグメントコイル31は、たとえば、スロット22から固定子コア21の軸線L方向に突出する湾曲部33と、スロット22を貫通する一対の直線部34とを有することができる。詳細については後述するが、本実施形態の回転電機100は、この固定子のコイル30の湾曲部33の構成に最大の特徴を有している。
【0023】
セグメントコイル31の一対の直線部34は、固定子コア21の軸線L方向にスロット22を貫通し、湾曲部33が軸線L方向に突出した固定子コア21の軸線L方向の端面21aとは反対側の端面21bから軸線L方向に突出する。湾曲部33と反対に固定子コア21の端面21bから軸線L方向に突出した一対の直線部34は、図2に示す接続部32によって、他のセグメントコイル31の直線部34に順次接続される。
【0024】
個々のセグメントコイル31の一対の直線部34は、固定子コア21の周方向D1に所定のピッチ間隔で離れた一対のスロット22に配置される。図示の例において、個々のセグメントコイル31の一対の直線部34は、6ピッチ間隔で離れた一対のスロット22に配置されている。個々のセグメントコイル31の一対の直線部34のうち、一方の直線部34は他方の直線部34よりも固定子コア21の径方向D2の内側に配置される。
【0025】
図5は、図2に示すコイル30を構成する第1巻線群30Aの拡大斜視図である。
【0026】
図4および図5に示すように、個々のセグメントコイル31の一対の直線部34は、固定子コア21の周方向D1に所定のピッチ間隔で離れた一対のスロット22に配置され、たとえば固定子コア21の72箇所のスロット22に72個のセグメントコイル31が順次配置される。スロット22に配置された個々のセグメントコイル31の一対の直線部34の湾曲部33と反対側の端部を接続部32によって順次接続することで、複数のセグメントコイル31と複数の接続部32とによって、図5に示す第1巻線群30Aが構成される。
【0027】
図3に示すように、第1巻線群30Aを構成する個々のセグメントコイル31の一対の直線部34のうち、相対的に固定子コア21の径方向D2の内側に位置する一方の直線部34は、個々のスロット22において、固定子コア21の径方向D2の最内周の第1層に配置される。第1巻線群30Aを構成する個々のセグメントコイル31の一対の直線部34のうち、相対的に固定子コア21の径方向D2の外側に位置する他方の直線部34は、個々のスロット22において第1層に対して固定子コア21の径方向D2の外側に隣接する第2層に配置される。なお、個々のセグメントコイル31の一対の直線部34は、前述のように、固定子コア21の周方向D1に所定のピッチ間隔で離れた異なるスロット22に配置される。
【0028】
図6は、図2に示すコイル30を構成する第1巻線群30Aと第2巻線群30Bを示す拡大斜視図である。なお、図6では、コイル30を構成するセグメントコイル31の形状を理解しやすくするために、第2巻線群30Bの隣接する2つのセグメントコイル31を取り外した状態を示している。
【0029】
図3に示す各スロット22の第1層と第2層に対して固定子コア21の径方向D2の外側に隣接する第3層と第4層に、第1巻線群30Aを構成するセグメントコイル31と同様に、第2巻線群30Bを構成するセグメントコイル31の一対の直線部34が配置される。そして、第2巻線群30Bを構成する各セグメントコイル31の直線部34が接続部32によって順次接続されている。これにより、図6に示すように、第1巻線群30Aを構成するセグメントコイル31の湾曲部33に対して、固定子コア21の径方向D2の外側に、第2巻線群30Bを構成するセグメントコイル31の湾曲部33が配置される。
【0030】
さらに、図3に示す各スロット22の第3層と第4層に対して固定子コア21の径方向D2の外側に隣接する第5層と第6層に、第1巻線群30Aおよび第2巻線群30Bを構成するセグメントコイル31と同様に、第3巻線群30Cを構成するセグメントコイル31の一対の直線部34が配置される。そして、第3巻線群30Cを構成する各セグメントコイル31の直線部34が接続部32によって順次接続されている。
【0031】
さらに、図3に示す各スロット22の第5層と第6層に対して固定子コア21の径方向D2の外側に隣接する第7層と第8層に、第1巻線群30Aから第3巻線群30Cを構成するセグメントコイル31と同様に、第4巻線群30Dを構成するセグメントコイル31の一対の直線部34が配置される。そして、第4巻線群30Dを構成する各セグメントコイル31の直線部34が接続部32によって順次接続されている。以上のように、固定子20のコイル30は、第1巻線群30Aから第4巻線群30Dによって構成され、波巻きの分布巻きで固定子コア21のスロット22に巻回されている。
【0032】
図2に示すように、固定子20のコイル30は、固定子コア21の径方向D2において、最内周に配置された第1巻線群30Aと、該第1巻線群30Aの外側に配置された第2巻線群30Bと、該第2巻線群30Bの外側に配置された第3巻線群30Cと、該第3巻線群30Cの外側で最外周に配置された第4巻線群30Dとによって構成されている。固定子コア21の軸線L方向において、コイル30の一方のコイルエンド35は、第1巻線群30Aから第4巻線群30Dを構成するセグメントコイル31の湾曲部33によって構成され、コイル30の他方のコイルエンド36は、セグメントコイル31を接続する接続部32によって構成されている。
【0033】
固定子コア21の軸線L方向において、固定子コア21の一方の端面21aから突出するコイルエンド35の軸線L方向における高さを減少させるためには、コイル30を構成するセグメントコイル31の湾曲部33の形状が重要になる。以下、本実施形態の回転電機100の特徴部分であるコイル30の湾曲部33の構成について詳細に説明する。
【0034】
本実施形態の回転電機100において、コイル30を構成するセグメントコイル31の湾曲部33は、図4に示すように、直線部34に接続された内側傾斜部33aと、該内側傾斜部33aよりも固定子コア21の径方向D2の外側に配置された外側傾斜部33bと、該外側傾斜部33bと内側傾斜部33aとを接続する屈曲部33cと、を有している。
【0035】
また、図示の例において、湾曲部33は、固定子コア21から最も離隔した頂部33dを有し、該頂部33dと一対の直線部34との間にそれぞれ外側傾斜部33bと屈曲部33cと内側傾斜部33aとを有している。また、図示の例において、湾曲部33は、全体として頂部33dを頂点とする山形の形状に湾曲している。湾曲部33の頂部33dは、一対の直線部34よりも固定子コア21の径方向D2の外側に配置されている。頂部33dと一対の直線部34との間の部分は、全体として固定子コア21の径方向D2および軸線L方向の双方に角度を有する方向に傾斜して延びている。
【0036】
以下では、セグメントコイル31の一対の直線部34のうち、相対的に固定子コア21の径方向D2の内側に配置される一方の直線部34と頂部33dとの間の内側傾斜部33a、屈曲部33cおよび外側傾斜部33bを、それぞれ第1の内側傾斜部33a、第1の屈曲部33cおよび第1の外側傾斜部33bとする。また、セグメントコイル31の一対の直線部34のうち、相対的に固定子コア21の径方向D2の外側に配置される他方の直線部34と頂部33dとの間の内側傾斜部33a、屈曲部33cおよび外側傾斜部33bを、それぞれ第2の内側傾斜部33a、第2の屈曲部33cおよび第2の外側傾斜部33bとする。
【0037】
図4に示すように、第1の内側傾斜部33aは、一方の直線部34との接続箇所の近傍で、固定子コア21の軸線L方向に概ね平行な側面を有している。第1の内側傾斜部33aのこの側面は、セグメントコイル31の長方形の断面の長辺に沿う広側面31aである。第1の内側傾斜部33aにおいて、セグメントコイル31の長方形の断面の短辺に沿う狭側面31bの一方は、固定子コア21の軸線L方向の一方の端面21aに対向している。
【0038】
第1の内側傾斜部33aは、第1の屈曲部33cへ近づくほど固定子コア21の径方向D2の外側へ広がるように固定子コア21の軸線L方向に対して傾斜する側面を有している。第1の内側傾斜部33aのこの側面は、セグメントコイル31の広側面31aである。第1の内側傾斜部33aは、たとえば、固定子コア21の軸線Lに対する広側面31aの傾斜角度が、第1の屈曲部33cへ近づくほど直角に近づくようにねじられたねじり形状を有することができる。
【0039】
なお、図4では、図2および図3に示す第2巻線群30Bから第4巻線群30Dを構成するセグメントコイル31の一例を示している。これに対し、図5に示すように、固定子コア21の径方向D2の最内周に配置される第1巻線群30Aを構成するセグメントコイル31の第1の内側傾斜部33aは、ねじり形状を有しなくてもよい。
【0040】
また、図4に示すように、第1の内側傾斜部33aと第1の外側傾斜部33bとを接続する第1の屈曲部33cは、第1の内側傾斜部33aから固定子コア21の径方向D2の外側へ向けて屈曲している。図示の例において、第1の屈曲部33cは、固定子コア21の軸線L方向の端面21aに概ね平行で軸線Lに概ね垂直な側面を有している。第1の屈曲部33cのこの側面は、セグメントコイル31の広側面31aである。なお、セグメントコイル31の広側面31aである第1の屈曲部33cの側面は、固定子コア21の軸線L方向の端面21aに所定の角度を有していて傾斜していてもよい。
【0041】
第1の外側傾斜部33bは、第1の内側傾斜部33aよりも固定子コア21の径方向D2の外側に配置され、頂部33dへ近づくほど固定子コア21の径方向D2の内側へ閉じるように固定子コア21の軸線L方向に対する傾斜角度が減少する側面を有している。第1の外側傾斜部33bのこの側面は、セグメントコイル31の広側面31aである。セグメントコイル31の広側面31aである第1の外側傾斜部33bの側面は、頂部33dとの接続箇所において固定子コア21の軸線L方向に概ね平行になっている。
【0042】
頂部33dは、固定子コア21の軸線L方向において固定子コア21から遠ざかる方向にむけて凸の概ね円弧状に湾曲するとともに、固定子コア21の径方向D2の外側へ向けて凸の概ね円弧状に湾曲している。セグメントコイル31の広側面31aである頂部33dの側面は、固定子コア21の軸線L方向に概ね平行である。
【0043】
第2の内側傾斜部33aは、他方の直線部34との接続箇所の近傍で、固定子コア21の軸線L方向に概ね平行な側面を有している。第1の内側傾斜部33aのこの側面は、セグメントコイル31の広側面31aである。第2の内側傾斜部33aにおいて、セグメントコイル31の長方形の断面の短辺に沿う狭側面31bの一方は、固定子コア21の軸線L方向の一方の端面21aに対向している。図示の例において、第2の内側傾斜部33aは、第1の内側傾斜部33aと同様に、第2の屈曲部33cへ近づくほど固定子コア21の径方向D2の外側へ広がるように固定子コア21の軸線L方向に対して傾斜する側面を有するねじり形状を有することができる。
【0044】
第2の内側傾斜部33aと第2の外側傾斜部33bとを接続する第2の屈曲部33cは、第2の内側傾斜部33aから固定子コア21の径方向D2外側へ向けて屈曲している。図示の例において、セグメントコイル31の広側面31aである第2の屈曲部33cの側面は、第1の屈曲部33cよりも固定子コア21の軸線Lに対する傾斜角度が小さくなっている。なお、セグメントコイル31の広側面31aである第2の屈曲部33cの側面は、たとえば、固定子コア21の軸線L方向に対して0°以上90°以下の角度にすることができる。
【0045】
第2の外側傾斜部33bは、第2の内側傾斜部33aよりも固定子コア21の径方向D2の外側に配置され、頂部33dへ近づくほど固定子コア21の径方向D2の内側へ閉じるように固定子コア21の軸線L方向に対する傾斜角度が減少する側面を有することができる。第2の外側傾斜部33bのこの側面は、セグメントコイル31の広側面31aである。セグメントコイル31の広側面31aである第2の外側傾斜部33bの側面は、頂部33dとの接続箇所において固定子コア21の軸線L方向に概ね平行になっている。なお、セグメントコイル31の広側面31aである第2の外側傾斜部33bの側面は、頂部33dと屈曲部33cとの間の概ね全体が固定子コア21の軸線L方向に概ね平行であってもよい。
【0046】
図4に示す例において、湾曲部33は、第1の内側傾斜部33aが第2の内側傾斜部33aよりも固定子コア21の径方向D2の内側に配置されている。また、図5および図6に示すように、固定子コア21の周方向D1に相互に隣接する2つのセグメントコイル31は、第1の内側傾斜部33aが固定子コア21の軸線L方向に相互に隣接して配置され、第2の内側傾斜部33aが第1の内側傾斜部33aと逆の位置関係で軸線L方向に相互に隣接して配置されている。
【0047】
図7は、図6に示す第1巻線群30Aと第2巻線群30Bの異なる視点からの拡大斜視図である。図7では、コイル30の湾曲部33の形状を理解しやすくするために第2巻線群30Bの1つのセグメントコイル31を取り外した状態を示している。図6および図7に示すように、固定子コア21の周方向D1に相互に隣接する2つのセグメントコイル31は、周方向D1に相互に隣接する2つの頂部33dの間で固定子コア21の径方向D2に間隙Gを有して対向している。
【0048】
以下、本実施形態の回転電機100の作用について説明する。
【0049】
本実施形態の回転電機100は、前述のように、固定子コア21と、該固定子コア21に設けられた複数のスロット22と、該スロット22に配置されたコイル30とを備えている。また、コイル30は、図4に示すように、スロット22を固定子コア21の軸線L方向に貫通する直線部34と、異なるスロット22に配置された一対の直線部34を接続する湾曲部33とを有している。そして、湾曲部33は、直線部34に接続された内側傾斜部33aと、該内側傾斜部33aよりも固定子コア21の径方向D2の外側に配置された外側傾斜部33bと、該外側傾斜部33bと内側傾斜部33aとを接続する屈曲部33cと、を有している。
【0050】
これにより、図4図6および図7に示すように、直線部34に接続された内側傾斜部33aよりも外側傾斜部33bを固定子コア21の径方向D2の外側に逃がすことができ、固定子コア21の周方向D1に相互に隣接するコイル30の干渉を回避することができる。したがって、本実施形態の回転電機100によれば、固定子コア21の軸線L方向における湾曲部33の高さを抑制して、図2に示すコイルエンド35の高さを従来よりも減少させることができる。
【0051】
また、固定子コア21に巻回されるコイル30は、断面形状が矩形のセグメントコイル31によって構成することができる。これにより、コイル30の断面積を大きくすることができ、固定子コア21のスロット22におけるコイル30の占積率を向上させ、回転電機100の小型化および高出力化を実現することができる。また、前述のように、コイル30の干渉が防止されることで、図3に示すように、スロット22内で絶縁被覆を有するセグメントコイル31の直線部34を密着させ、コイル30の占積率を向上させ、回転電機100の小型化および高出力化が可能になる。
【0052】
また、図4に示す例において、コイル30を構成するセグメントコイル31の内側傾斜部33aは、屈曲部33cへ近づくほど固定子コア21の径方向D2の外側へ広がるように固定子コア21の軸線L方向に対して傾斜する側面を有している。これにより、図6に示すように、固定子コア21の軸線L方向に重なる複数の内側傾斜部33aの軸線L方向の高さを減少させることができる。この場合、内側傾斜部33aの当該側面が、セグメントコイル31の長方形の断面の長辺方向に沿う広側面31aである場合には、内側傾斜部33aを固定子コア21の径方向D2に沿って寝かせるようにして、内側傾斜部33aの軸線L方向の高さをより効果的に減少させ、コイルエンド35の高さを減少させることができる。
【0053】
さらに、屈曲部33cが固定子コア21の軸線L方向の端面21aに平行な側面を有する場合には、コイル30の干渉を回避しつつ固定子コア21の軸線L方向における屈曲部33cの高さを減少させ、湾曲部33の高さをさらに効果的に減少させることができる。さらに、屈曲部33cの当該側面が、セグメントコイル31の長方形の断面の長辺方向に沿う広側面31aである場合には、屈曲部33cを固定子コア21の径方向D2に沿って寝かせるようにして、屈曲部33cの軸線L方向の高さをより効果的に減少させることができる。
【0054】
また、図4に示す例において、湾曲部33は、固定子コア21から最も離隔した頂部33dを有し、該頂部33dと一対の直線部34との間にそれぞれ外側傾斜部33bと屈曲部33cと内側傾斜部33aとを有している。これにより、頂部33dと一対の外側傾斜部33bを相対的に固定子コア21の径方向D2の外側に逃がしてコイル30の干渉を回避しつつ、一対の内側傾斜部33aを相対的に固定子コア21の径方向D2の内側に配置して、一対の直線部34をスロット22の所望の位置に配置することができる。
【0055】
また、図4に示す例において、湾曲部33は、第1の内側傾斜部33aが第2の内側傾斜部33aよりも固定子コア21の径方向D2の内側に配置されている。そして、図6に示すように、固定子コア21の周方向D1に相互に隣接する2つのセグメントコイル31は、第1の内側傾斜部33aが固定子コア21の軸線L方向に相互に隣接して配置され、第2の内側傾斜部33aが第1の内側傾斜部33aと逆の位置関係で軸線L方向に相互に隣接して配置されている。
【0056】
この場合に、固定子コア21の周方向D1に相互に隣接する2つのセグメントコイル31は、第1の内側傾斜部33aと第2の内側傾斜部33aとの間で交差する。しかし、前述のように、屈曲部33cを設けて第1の内側傾斜部33aと第2の内側傾斜部33aとの間の第1の外側傾斜部33b、頂部33d、および第2の外側傾斜部33bを固定子コア21の径方向D2の外側に逃がすことで、固定子コア21の周方向D1に相互に隣接する2つのセグメントコイル31の干渉を回避することができる。
【0057】
より具体的には、固定子コア21の周方向D1に相互に隣接する2つのセグメントコイル31は、図7に示すように、周方向D1に相互に隣接する2つの頂部33dの間で固定子コア21の径方向D2に間隙Gを有して対向している。これにより、前述のように、固定子コア21の周方向D1に相互に隣接する2つのセグメントコイル31の干渉をより効果的かつ確実に回避することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の回転電機100によれば、固定子コア21のスロット22に配置されたコイル30の干渉を回避しつつ、従来よりもコイルエンド35の高さを減少させることができる。
【0059】
なお、前述の実施形態では、セグメントコイル31の長方形の断面の長辺に沿う広側面31aである内側傾斜部33aの側面、屈曲部33cの側面、および外側傾斜部33bの側面が、固定子コア21の径方向D2外側へ広がるように、固定子コア21の軸線L方向に対して傾斜している例について説明した。しかし、セグメントコイル31の広側面31aである内側傾斜部33aの側面、屈曲部33cの側面、および外側傾斜部33bの側面は、固定子コア21の軸線L方向に平行であってもよい。
【0060】
図8は、変形例の回転電機のコイル30を構成するセグメントコイル31の斜視図である。図9は、変形例の回転電機の第1巻線群30Aから第3巻線群30Cを示す斜視図である。
【0061】
図8に示すように、セグメントコイル31の広側面31aである内側傾斜部33aの側面、屈曲部33cの側面、および外側傾斜部33bの側面は、固定子コア21の軸線L方向に平行である場合でも、前述の実施形態の回転電機100と同様に、固定子コア21のスロット22に配置されたコイル30の干渉を回避しつつ、従来よりもコイルエンド35の高さを減少させる効果を得ることができる。
【0062】
図9に示すように、固定子コア21の径方向D2の内側の第1巻線群30Aよりも外側の第2巻線群30B、第3巻線群30Cにおいて、セグメントコイル31を固定子コア21の軸線L方向の端面21a側にずらして配置する必要が生じる。そのため、セグメントコイル31の広側面31aである内側傾斜部33aの側面、屈曲部33cの側面、および外側傾斜部33bの側面が固定子コア21の軸線L方向に平行である場合には、固定子コア21の径方向D2の外側の第4巻線群30Dを配置するスペースの確保が困難になり、コイルエンド35の高さを増加させる必要が生じる場合がある。
【0063】
したがって、セグメントコイル31の長方形の断面の長辺に沿う広側面31aである内側傾斜部33aの側面、屈曲部33cの側面、および外側傾斜部33bの側面は、図4に示すように、固定子コア21の径方向D2外側へ広がるように、固定子コア21の軸線L方向に対して傾斜していることが好ましい。これにより、コイルエンド35の高さを減少させ、固定子コア21に巻回する巻線群を増加させ、固定子20の高ターン数化および高電圧化を実現することができる。
【0064】
なお、コイル30を構成するセグメントコイル31が屈曲部33cを有しない場合には、コイル30の干渉が発生して、コイルエンド35の高さを従来よりも減少させることが困難になる。図10は、比較例の回転電機のコイル30Xを構成するセグメントコイル31Xの斜視図である。図11は、比較例の回転電機のコイル30Xを示す拡大斜視図である。
【0065】
図10に示すように、比較例の回転電機のコイル30Xを構成するセグメントコイル31Xの湾曲部33Xは、内側傾斜部33a、屈曲部33cおよび外側傾斜部33bを有しない。そのため、図11に示すように、コイルエンド35Xの高さを減少させると、コイル30Xを構成する第1巻線群30XAから第4巻線群30XDにおいて、セグメントコイル31Xの干渉Xが発生する。そのため、スロット22に配置されるセグメントコイル31Xの直線部34Xの間にインシュレータ40を余分に介在させてセグメントコイル31Xの間に無駄な間隔を形成する必要が生じ、占積率が低下し、回転電機が大型化および低出力化するおそれがある。
【0066】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
21 固定子コア
22 スロット
30 コイル
31 セグメントコイル
31a 広側面(側面)
33 湾曲部
33a 内側傾斜部
33b 外側傾斜部
33c 屈曲部
33d 頂部
34 直線部
100 回転電機
D1 周方向
D2 径方向
G 間隙
L 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】