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  • 再表WO2018051504-浄化装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年3月22日
【発行日】2019年6月24日
(54)【発明の名称】浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/18 20060101AFI20190603BHJP
   A01G 7/02 20060101ALI20190603BHJP
【FI】
   A01G9/18
   A01G7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
【出願番号】特願2018-539481(P2018-539481)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年9月16日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久幸
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 隆
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
【Fターム(参考)】
2B022DA13
2B029JA03
(57)【要約】

浄化装置は、植物を栽培する温室を加温するための燃焼にて生じた排ガスを浄化する。浄化装置は、排ガス流路と、流下部と、冷却部とを備える。排ガス流路は、予め定められた流下方向に沿って排ガスを流下させる流路であって、流下方向に向かうにつれて下方に向かう冷却区間を有する。また、流下部は、燃焼により生じた排ガスを排ガス流路に流入させ、該排ガスを、流下方向に沿って排ガス流路を流下させる。また、冷却部は、冷却区間を流下する排ガスを冷却する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培する温室を加温するための燃焼にて生じた排ガスを浄化する浄化装置であって、
予め定められた流下方向に沿って前記排ガスを流下させる流路であって、前記流下方向に向かうにつれて下方に向かう冷却区間を有する排ガス流路と、
前記燃焼により生じた前記排ガスを前記排ガス流路に流入させ、該排ガスを、前記流下方向に沿って前記排ガス流路を流下させる流下部と、
前記冷却区間を流下する前記排ガスを冷却する冷却部と、
を備える浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浄化装置において、
前記排ガス流路における前記冷却部の前記流下方向側に設けられ、前記排ガスを浄化するための浄化液を蓄えており、前記排ガス流路を流下する前記排ガスが前記浄化液に接触する浄化液蓄積部をさらに備え、
前記排ガス流路は、前記冷却部による前記排ガスの冷却により生じた凝縮水を、前記浄化液蓄積部に蓄えられた前記浄化液に流入させる流入区間をさらに有する
浄化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の浄化装置において、
前記排ガス流路における前記浄化液蓄積部の前記流下方向側に設けられ、前記排ガス流路を流下する前記排ガスを浄化する浄化部をさらに備える
浄化装置。
【請求項4】
請求項3に記載の浄化装置において、
前記排ガス流路における前記浄化部の前記流下方向側に設けられ、前記排ガス流路を流下する前記排ガスに含まれる二酸化炭素を蓄積する蓄積部と、
前記蓄積部に蓄積された二酸化炭素を前記温室に供給する供給部と、
をさらに備える浄化装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の浄化装置において、
前記温室を加温するための前記燃焼が行われていることを検出する検出部をさらに備え、
前記流下部は、前記検出部により前記燃焼が検出されると、前記排ガスを前記排ガス流路に流入させ、前記流下方向に沿って前記排ガス流路を流下させる
浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物を栽培するための温室を加温する際に生じた排ガスを浄化する浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の二酸化炭素施用装置では、夜間に、施設園芸の農業用ハウスを加温するボイラーの煙突から排ガスが取り出され、該排ガスに含まれる二酸化炭素がタンクに蓄積される。そして、昼間に、タンクに蓄積された二酸化炭素が農業用ハウスに供給される。これにより、園芸作物の光合成が促進される。
【0003】
このような二酸化炭素施用装置では、タンクには、活性炭やゼオライト等といった二酸化炭素の吸着材が蓄えられている。吸着材が排ガスに含まれる二酸化炭素を吸着することで、二酸化炭素が蓄積される。そして、好適に二酸化炭素を吸着材に吸着させるため、熱交換器等を用いて排ガスの温度を低下させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−126708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、冷却により排ガスに含まれる水蒸気が凝縮し、凝縮水が生じる恐れがある。そして、排ガスが硫黄酸化物,窒素酸化物等を有していると、凝縮水は硫酸や硝酸等を含む可能性がある。このため、凝縮水がボイラーの煙突に流入すると、煙突が腐食する恐れがある。また、特許文献1の二酸化炭素施用装置では、ボイラーの煙突から水平方向に分岐する流路上で排ガスが冷却される。このため、流路上に凝縮水が溜まり、流路の壁面が腐食する恐れがある。
【0006】
排ガスの冷却により生じた凝縮水による腐食を抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面である浄化装置は、植物を栽培する温室を加温するための燃焼にて生じた排ガスを浄化する。浄化装置は、排ガス流路と、流下部と、冷却部とを備える。排ガス流路は、予め定められた流下方向に沿って排ガスを流下させる流路であって、流下方向に向かうにつれて下方に向かう冷却区間を有する。また、流下部は、燃焼により生じた排ガスを排ガス流路に流入させ、該排ガスを、流下方向に沿って排ガス流路を流下させる。また、冷却部は、冷却区間を流下する排ガスを冷却する。
【0008】
このような構成によれば、排ガスは、排ガス流路における冷却区間を流下する際に冷却される。冷却区間は、流下方向に向かうにつれて下方に向かう。このため、冷却により生じた凝縮水は、冷却区間を流下方向に移動し、凝縮水が一箇所に留まるのが抑制される。また、凝縮水が、流下方向の反対側に向かって流下する(換言すれば、排ガス流路を逆流する)のが抑制される。このため、凝縮水が、排ガスの発生元である加温機における煙突等に流入するのを抑制できる。したがって、排ガスの冷却により生じた凝縮水による腐食を抑制できる。
【0009】
なお、浄化装置は、浄化液蓄積部をさらに備えても良い。浄化液蓄積部は、排ガス流路における冷却部の流下方向側に設けられ、排ガスを浄化するための浄化液を蓄えており、排ガス流路を流下する排ガスが浄化液に接触する。そして、排ガス流路は、流入区間をさらに有しても良い。流入区間は、冷却部による排ガスの冷却により生じた凝縮水を、浄化液蓄積部に蓄えられた浄化液に流入させる。
【0010】
このような構成によれば、浄化液にて凝縮水を浄化し、凝縮水の腐食作用を取り除くことが可能となる。このため、凝縮水による浄化装置の腐食を抑制できる。
また、浄化装置は、排ガス流路における浄化液蓄積部の流下方向側に設けられ、排ガス流路を流下する排ガスを浄化する浄化部をさらに備えても良い。
【0011】
このような構成によれば、より一層排ガスを浄化できる。このため、該排ガスを大気中及び温室内に放出することが可能となる。
また、浄化装置は、蓄積部と供給部とをさらに備えても良い。蓄積部は、排ガス流路における浄化部の流下方向側に設けられ、排ガス流路を流下する排ガスに含まれる二酸化炭素を蓄積する。また、供給部は、蓄積部に蓄積された二酸化炭素を温室に供給する。
【0012】
このような構成によれば、夜間等における温室の加温により生じた排ガスに含まれる二酸化炭素を、蓄積部に蓄積できる。そして、昼間に、蓄積部に蓄積された二酸化炭素を温室に供給できる。これにより、温室で栽培されている作物の生長を促すことができる。
【0013】
また、浄化装置は、温室を加温するための燃焼が行われていることを検出する検出部をさらに備えても良い。そして、流下部は、検出部により燃焼が検出されると、排ガスを排ガス流路に流入させ、流下方向に沿って排ガス流路を流下させても良い。
【0014】
このような構成によれば、温室の加温が行われている際に、確実に浄化装置による排ガスの浄化を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態の二酸化炭素供給装置のブロック図である。
図2図2A〜2Cは、本実施形態の二酸化炭素供給装置における排ガス流路の変形例である。
【符号の説明】
【0016】
1…二酸化炭素供給装置、2…温室、3…加温機、4…排出流路、4a…温度センサ、10…排ガス流路、11…下方区間、20…熱交換器、30…中和タンク、31…浄化液、40…ブロア、50…浄化部、60…蓄積部、70…制御部。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0018】
[構成の説明]
図1における本実施形態の二酸化炭素供給装置1は、植物を栽培するための温室2に用いられる。具体的には、温室2は、施設園芸に用いられても良い。温室2には、植物の生長を促進するために温室2の室内(以後、単に室内と記載)を加温する加温機3が設けられる。加温機3は、例えば灯油,重油等の燃料を燃焼させることで、室内を加温する。
【0019】
二酸化炭素供給装置1は、夜間に加温機3により室内が加温されると、加温機3から排出された排ガスを浄化すると共に、排ガスに含まれる二酸化炭素を蓄積する。そして、二酸化炭素供給装置1は、浄化等を行った排ガスを、温室2の室外(以後、単に室外と記載)に排出する。つまり、二酸化炭素供給装置1は、加温機3による加温により生じた排ガスを浄化する浄化装置としての機能を有する。そして、二酸化炭素供給装置1は、昼間に、蓄積された二酸化炭素を室内に供給する。これにより、室内の植物の光合成が促進される。
【0020】
二酸化炭素供給装置1は、排ガス流路10と、熱交換器20と、中和タンク30と、ブロア40と、浄化部50と、蓄積部60と、制御部70とを有する。
排ガス流路10は、流下方向15に沿って排ガスを流下させるための流路である。加温機3では、燃焼により生じた排ガスは、排出流路4を通過して加温機3の外部に排出される。排ガス流路10は、加温機3における排ガスの排出流路4(換言すれば、煙突)に繋がっている。一例として、本実施形態では、排ガス流路10は、鉛直方向、又は、略鉛直方向に延びる排出流路4との接続箇所から、水平方向、又は、略水平方向に延びる。排出流路4を流下する排ガスの全部又は一部は、排ガス流路10に流入する。
【0021】
なお、図2A,2Bに示すように、排ガス流路10は、例えば、鉛直方向、又は、略鉛直方向に延びる排出流路4における接続箇所から、上方又は下方に傾斜した方向に延びていても良い。また、図2Cに示すように、排ガス流路10は、排出流路4における水平方向、又は、略水平方向に延びる区間における接続箇所から、下方に延びていても良い。
【0022】
排ガス流路10は、下方区間11を有する。下方区間11は、流下方向15に向かうにつれて下方に向かう。本実施形態では、下方区間11は、一例として、鉛直方向又は略鉛直方向に直線状に延びている。しかし、下方区間11は、例えば、流下方向15側が下方に傾斜した形状であっても良い。また、例えば、下方区間11は、湾曲又は屈曲した形状であっても良い。
【0023】
熱交換器20は、下方区間11における予め定められた配置位置に設けられる。熱交換器20は、下方区間11における該配置位置を流下する排ガスを、冷却材により側方から冷却する。なお、本実施形態では、一例として、冷却材として水等の液体が用いられる。しかし、液体以外にも、例えば空気等が冷却材として用いられても良い。また、二酸化炭素供給装置1は、予め定められた経路に沿って冷却材を循環させても良い。そして、該経路上に設けられた放熱部材により、冷却材に蓄えられた熱を放熱させても良い。
【0024】
中和タンク30は、排ガス流路10における熱交換器20の流下方向15側に設けられる。より詳しくは、下方区間11における流下方向15側の端部が、中和タンク30に繋がっている。中和タンク30には、浄化液31が蓄えられている。なお、浄化液31とは、一例としてアルカリ性の水溶液であっても良い。そして、排ガス流路10を流下する排ガスは、中和タンク30に蓄えられた浄化液31に接触しつつ中和タンク30を通過する。具体的には、排ガスは、浄化液31の内部を通過した後、中和タンク30から流出する。この時、排ガスに含まれる硫黄酸化物,窒素酸化物等が除去される。
【0025】
ブロア40は、排ガス流路10における中和タンク30の流下方向15側に設けられる。ブロア40は、排ガス流路10に存在する気体を圧縮することで、排ガス流路10に存在する気体を流下方向15に沿って流下させる。これにより、加温機3の排出流路4を流下する排ガスが、排ガス流路10に流入し、流下方向15に沿って排ガス流路10を流下する。なお、ブロア40に替えて、例えばファン等により、排ガス流路10に存在する気体を流下方向15に沿って流下させても良い。
【0026】
浄化部50は、排ガス流路10におけるブロア40の流下方向15側に設けられる。排ガス流路10を流下する排ガスは、浄化部50を通過する。この時、植物の育成に悪影響を及ぼす有害物質(例えば、窒素酸化物,一酸化炭素等)が、排ガスから除去される。具体的には、例えば、浄化部50は、排ガスに含まれる有害物質を活性炭に吸着させることで、有害物質を除去しても良い。また、例えば、浄化部50は、排ガスに含まれる有害物質を酸化触媒により酸化させることで、有害物質を除去しても良い。
【0027】
蓄積部60は、排ガス流路10における浄化部50の流下方向15側に設けられる。蓄積部60は、排ガスに含まれる二酸化炭素を蓄積する。そして、蓄積された二酸化炭素は、室内に供給される。蓄積部60は、粉状又は粒状の二酸化炭素の吸着材の集合体である少なくとも1つの吸着部を有する。吸着材とは、例えば、活性炭,ゼオライト等であっても良い。
【0028】
排ガス流路10を流下する排ガスは、少なくとも1つの吸着部の内部を通過する。この時、該排ガスに含まれる二酸化炭素が該吸着部に吸着する。これにより、排ガスに含まれる二酸化炭素が蓄積部60に蓄積される。そして、該吸着部からは、二酸化炭素の濃度が低下した排ガスが流出する。
【0029】
また、空気が少なくとも1つの吸着部の内部を通過すると、該吸着部に吸着している二酸化炭素が空気と共に該吸着部の外部に流出する。このため、該吸着部を通過した空気は、二酸化炭素の濃度が高い状態になる。該吸着部を通過した空気を室内に流入させることで、蓄積部60に蓄積された二酸化炭素が室内に供給される。
【0030】
制御部70は、ブロア40の作動状態、及び、排ガス流路10等に設けられた図示しないバルブの開閉状態を制御する。これにより、二酸化炭素供給装置1における排ガス等の流れが制御される。制御部70は、CPU、RAM、ROM、及び、記憶装置等を有する周知のコンピュータを中心に構成されていても良い。なお、記憶装置とは、書き換え可能な不揮発性の記憶装置(例えば、HDD等)であっても良い。制御部70のCPUは、記憶装置からRAMにロードされたプログラムを実行することで、各種処理を行う。これにより、二酸化炭素供給装置1が制御される。なお、記憶装置及びRAMは、非遷移的実態的記録媒体に相当する。また、制御部70は、多数のデジタル回路等により構成されていても良い。そして、制御部70は、ソフトウェアではなく、ハードウェアを用いて各種処理を行っても良い。
【0031】
[動作の説明]
まず、二酸化炭素供給装置1が、排ガスの浄化、及び、排ガスに含まれる二酸化炭素の蓄積を行う際の動作について説明する。
【0032】
二酸化炭素供給装置1の制御部70は、夜間に加温機3による加温が開始されると、排ガス流路10における始端(換言すれば、排出流路4と排ガス流路10との接続箇所)の付近に設けられた始端バルブを開放すると共に、ブロア40を作動させる。これにより、排出流路4から排出される排ガスの全部又は一部が、排ガス流路10に流入する。該排ガスは、流下方向15に沿って排ガス流路10を流下する。
【0033】
ここで、加温機3は、制御部70に対し、着火信号を出力しても良い。なお、着火信号とは、加温機3にて加温が行われているか否かを示す信号である。そして、制御部70は、加温機3から入力された着火信号に基づき、加温機3による加温が開始されたことを検出しても良い。また、排出流路4に、排出流路4の内部の温度を測定する温度センサ4aが設けられていても良い。また、温度センサ4aは、制御部70に対し、排出流路4の温度を示す温度信号を出力しても良い。そして、制御部70は、温度信号が示す温度が予め定められた閾値に達した場合に、加温機3による加温が開始されたことを検出しても良い。
【0034】
排ガス流路10に流入した排ガスは、下方区間11を通過する際に熱交換器20により冷却される。これにより、排ガスに含まれる水蒸気が凝縮され、凝縮水が生じる。ここで、下方区間11は、流下方向15側に向かうにつれ下方に向かう。このため、凝縮水は、下方区間11を流下方向15側に流下し、中和タンク30に蓄えられた浄化液31に流入する。
【0035】
そして、下方区間11を通過した排ガスは、中和タンク30に到達する。該排ガスは、浄化液31を通過して中和タンク30の流下方向15側に流出する。また、中和タンク30を通過した排ガスは、浄化部50を通過する。排ガスは、中和タンク30及び浄化部50を通過することにより浄化される。
【0036】
その後、浄化部50を通過した排ガスは、蓄積部60に到達する。該排ガスは、蓄積部60における少なくとも1つの吸着部を通過し、蓄積部60の流下方向15側に流出する。この時、排ガスに含まれる二酸化炭素が蓄積部60に蓄積される。そして、蓄積部60を通過した排ガスは、室外に流出する。
【0037】
次に、二酸化炭素供給装置1が、蓄積部60に蓄積された二酸化炭素を室内に供給する際の動作について説明する。制御部70は、昼間に二酸化炭素の供給を行う。具体的には、制御部70は、始端バルブを閉鎖する。また、制御部70は、始端バルブとは別のバルブを開放すると共に、ブロア40を作動させる。これにより、空気が、別の流路から排ガス流路10に流入し、蓄積部60に向かって流下する。
【0038】
蓄積部60に到達した空気は、蓄積部60における少なくとも1つの吸着部を通過し、蓄積部60の流下方向15側に流出する。この時、該吸着部に吸着していた二酸化炭素が、空気と共に流出する。そして、該空気は室内に流入する。これにより、蓄積部60に蓄積された二酸化炭素が室内に供給される。
【0039】
[効果]
(1)上記実施形態の二酸化炭素供給装置1によれば、排ガスは、排ガス流路10における下方区間11を流下する際に冷却される。下方区間11は、流下方向15に向かうにつれて下方に向かう。このため、冷却により生じた凝縮水は、下方区間11を流下方向15に移動し、凝縮水が一箇所に留まるのが抑制される。また、凝縮水が、流下方向15の反対側に流下する(換言すれば、排ガス流路10を逆流する)のが抑制される。このため、凝縮水が、加温機3の排出流路4に流入するのを抑制できる。したがって、排ガスの冷却により生じた凝縮水による腐食を抑制できる。
【0040】
(2)また、下方区間11の下端に中和タンク30が繋がっている。これにより、排ガスの冷却により生じた凝縮水は、下方区間11により中和タンク30の浄化液31に誘導される。このため、浄化液31にて凝縮水を浄化し、凝縮水の腐食作用を取り除くことが可能となる。したがって、凝縮水による二酸化炭素供給装置1の腐食を抑制できる。
【0041】
(3)また、中和タンク30の流下方向15側には、浄化部50が設けられている。このため、排ガスに含まれる窒素酸化物,一酸化炭素等が排ガスから除去される。その結果、排ガスを大気中及び室内に放出することが可能となる。
【0042】
(4)また、二酸化炭素供給装置1は、夜間における室内の加温により生じた排ガスに含まれる二酸化炭素を、蓄積部60に蓄積できる。そして、二酸化炭素供給装置1は、昼間に、蓄積部60に蓄積された二酸化炭素を室内に供給する。このため、温室2で栽培されている作物の生長を促すことができる。
【0043】
(5)また、二酸化炭素供給装置1は、温度センサ4aからの温度信号、又は、加温機3からの着火信号等により、加温機3により加温が開始されたことを検出する。そして、二酸化炭素供給装置1は、加温の開始を検出すると、排出流路4から排ガス流路10に排ガスを流入させ、排ガスの浄化、及び、排ガスに含まれる二酸化炭素の蓄積を行う。このため、温室2の加温が行われている際に、確実に排ガスの浄化を行うことが可能となる。
【0044】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態の二酸化炭素供給装置1から二酸化炭素の蓄積及び供給機能を除いた浄化装置を構成しても良い。換言すれば、二酸化炭素供給装置1における排ガス流路10、熱交換器20、中和タンク30、ブロア40、及び、浄化部50を備え、蓄積部60を備えない浄化装置を構成しても良い。そして、該浄化装置は、夜間であるか否かに関わらず行われる、加温機3による温室2の加温により排出される排ガスの浄化に用いられても良い。なお、このような場合には、浄化装置は、例えば、浄化した排ガスを室内外に排出しても良い。
【0045】
(2)上記実施形態の二酸化炭素供給装置1では、蓄積部60は、二酸化炭素の吸着材の集合体である少なくとも1つの吸着部を有する。そして、機械的な加圧及び加熱を伴わずに、該吸着部と排ガス又は空気とを単に接触させることで、二酸化炭素の蓄積及び供給が行われる。しかしながら、蓄積部60は、例えば、圧力スイング法等のように、機械的な加圧を伴った方法により、二酸化炭素の蓄積及び供給を行っても良い。また、蓄積部60は、加熱を伴って二酸化炭素の蓄積及び供給を行っても良い。このような場合、二酸化炭素を蓄積する部材として、例えば、リチウム複合酸化物が用いられても良い。
【0046】
(3)上記実施形態の二酸化炭素供給装置1では、排ガス流路10は、加温機3の排出流路4から分岐している。このため、加温機3から排出された排ガスの一部が、排ガス流路10に流入する。しかしながら、二酸化炭素供給装置1は、加温機3から排出された排ガスの全部が、排ガス流路10に流入するよう構成されていても良い。
【0047】
[特許請求の範囲との対応]
二酸化炭素供給装置1が浄化装置の一例に、下方区間11が冷却区間及び流入区間の一例に、熱交換器20が冷却部の一例に、中和タンク30が浄化液蓄積部の一例に相当する。また、ブロア40及び制御部70が、流下部の一例に相当する。また、排ガス流路10、ブロア40、及び、制御部70が、供給部の一例に相当する。また、温度センサ4a又は制御部70が、検出部の一例に相当する。
図1
図2
【国際調査報告】